(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-22
(45)【発行日】2024-12-02
(54)【発明の名称】挟持部材付き車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
B60J 1/17 20060101AFI20241125BHJP
【FI】
B60J1/17 C
(21)【出願番号】P 2021068186
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】小坂 芳男
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193881(JP,A)
【文献】特開2009-133094(JP,A)
【文献】特開2021-172329(JP,A)
【文献】米国特許第05765310(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに取り付けられ、上下に摺動する、挟持部材付き車両用窓ガラスであって、
前記挟持部材付き車両用窓ガラスは、前記ドアに前記挟持部材付き車両用窓ガラスが取り付けられた場合に、前記車両の前後方向において車外側に凸となるように湾曲したガラス板と、前記ガラス板の下辺に取り付けられ、前記ガラス板の縁部を挟持する少なくとも一つの挟持部材と、を備え、
前記挟持部材は、
底部と、
前記底部から垂直な第1方向に延設され、前記車外側に位置する第1側壁部と、
前記第1方向に垂直な第2方向に離間し、かつ、前記底部から前記第1方向に延設され、前記ドアに前記挟持部材付き車両用窓ガラスが取り付けられた場合に車内側に位置する第2側壁部と、
を有し、
前記第1側壁部は、第1側壁部本体と、前記第1側壁部本体に対して傾斜した第1傾斜部と、を有し、
前記第2側壁部は、第2側壁部本体と、前記第2側壁部本体に対して傾斜した第2傾斜部と、を有し、
前記ガラス板に前記挟持部材が取り付けられた場合に、前記第2側壁部本体と前記第1傾斜部とは、互いに対向する位置に配置され、かつ、前記第1方向からみたときに、前記第2側壁部本体と前記第1傾斜部との間隔は前記ガラス板の重心に向けて徐々に広がるように配置されており、
前記第1側壁部本体と前記第2傾斜部とは、互いに対向する位置に配置され、かつ、前記第1方向からみたときに、前記第1側壁部本体と前記第2傾斜部との間隔は前記ガラス板の重心とは反対方向に向けて徐々に広がるように配置される、
挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項2】
前記第1側壁部は、第1境界領域を有し、前記第1傾斜部は、前記第1側壁部本体に対し第1境界領域を介して傾斜して形成され、
前記第2側壁部は、第2境界領域を有し、前記第2傾斜部は、前記第2側壁部本体に対し第2境界領域を介して傾斜して形成され、
前記挟持部材を前記第2方向から見た場合に、前記第1境界領域と前記第2境界領域とは、少なくとも一部が重なるように配置される、
請求項1に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記挟持部材は、前記車両のドアに組付けられ、前記挟持部材付き車両用窓ガラスを上下に摺動させるための昇降装置と締結される締結部を有し、
前記挟持部材を前記第2方向から見た場合に、前記締結部は、前記第1境界領域、又は前記第2境界領域のいずれか一方を、前記第1方向とは反対方向に伸ばした仮想領域内に配置される、
請求項2に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記締結部は、前記挟持部材に形成された開口部である、
請求項3に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記挟持部材を前記第2方向から見た場合に、前記第1境界領域と前記第2境界領域とが重複する領域を、前記第1方向とは反対方向に伸ばした仮想領域内に前記開口部が配置される、
請求項4に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記挟持部材を前記第1方向から見た場合に、前記第1傾斜部の仮想延長線と、前記第2傾斜部の仮想延長線が平行である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記挟持部材を前記第1方向から見た場合に、前記第1側壁部本体の仮想延長線と、前記第2側壁部本体の仮想延長線が平行である、
請求項6に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項8】
前記第1傾斜部は、前記ガラス板の曲面のうち車外側に向いた曲面に沿って配置され、前記第2傾斜部は、前記ガラス板の曲面のうち車内側に向いた曲面に沿って配置される、
請求項1から7のいずれか1項に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記挟持部材は、前記ガラス板の下辺において間隔を開けて配置された第1挟持部材と第2挟持部材とを備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記第1挟持部材の前記底部と、前記第2挟持部材の前記底部とが、第1接続部により接続されることで一体化されている、
請求項9に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記第1挟持部材の前記第1側壁部と、前記第2挟持部材の前記第1側壁部とが、第2接続部により接続されることで一体化されている、
請求項9又は10に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記第1挟持部材の前記第2側壁部と、前記第2挟持部材の前記第2側壁部とが、第3接続部により接続されることで一体化されている、
請求項9又は10に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記ガラス板の曲率半径が、1000mm以上100000mm以下である、
請求項1から12のいずれか1項に記載の挟持部材付き車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持部材付き車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアに上下に摺動可能に取り付けられた車両用窓ガラスは、ドアパネルの内部に配置された昇降装置(「レギュレータ」とも言う。)の駆動力により昇降移動される。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された自動車用窓ガラスは、その下縁部の一部にホルダ(「チャンネル」とも言う。本明細書では、「ホルダ」及び「チャンネル」を総じて「挟持部材」と言う。)が取り付けられており、このホルダが支持部材を介してレギュレータに取り付けられている。
【0004】
また、上記のホルダは、本体部と、本体部の上端に一体的に取り付けられた挟持部とを有し、金属又は樹脂材料などで形成されている。挟持部は、間隔をあけて配置された一対の挟持片を有し、これら挟持片の間に自動車用窓ガラスの下縁部が配置され、接着剤などによって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の挟持部材付き車両用窓ガラスのガラス板は、挟持部材付き車両用窓ガラスを車体に取り付けた場合、車外側に凸となるように湾曲した形状に形成されていることがある。例えば、ガラス板は、車体の前後方向において湾曲した横曲げと称される曲面と、車体の上下方向において湾曲した縦曲げと称される曲面のいずれか一方を有する単曲形状を有している場合と、車体の前後方向において湾曲した横曲げと称される曲面と、車体の上下方向において湾曲した縦曲げと称される曲面の両方を有する複曲形状を有している場合がある。
【0007】
特に、車体の前後方向において湾曲した横曲げの湾曲面を有するガラス板に対し、例えば、特許文献1に開示されている挟持部材をガラス板の下縁部に取り付けた場合、ガラス板と一対の挟持片との間の間隔が、ガラス板の前後方向(車体の前後方向と同じ)において均一とならない。ガラス板と挟持部材とは、一対の挟持片の間に予め充填される接着剤によって固定されるが、挟持部材をガラス板の下縁部に取り付けた場合、上記の前後方向における接着剤の濡れ広がり方が前後方向で不均一となるので接着不良が発生する場合がある。
【0008】
また、従来の挟持部材付き車両用窓ガラスは、車体の前後方向において湾曲した横曲げの湾曲面を有するガラス板に挟持部材を取り付けた場合、挟持部材が撓むことでガラス板を保持する場合がある。このため、挟持部材については、挟持部材が撓んだ状態で車両に配置されてしまうので、挟持部材に生じている残留応力に起因して挟持部材が早期に劣化する場合がある。また、ガラス板についても同様に、挟持部材の取り付けにより残留応力が生じているため、ガラス板の耐久性にも問題がある。
【0009】
このように、従来の挟持部材付き車両用窓ガラスは、特にガラス板が車体の前後方向において湾曲した横曲げの湾曲面を有する場合に、ガラス板と挟持部材との接着不良が発生したり、挟持部材及びガラス板に耐久性の問題が生じたりする場合があるので、それらの問題を解決した品質のよい挟持部材付き車両用窓ガラスが望まれている。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガラス板が車体の前後方向において湾曲した横曲げの湾曲面を有する場合でも、品質のよい挟持部材付き車両用窓ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成するため、本発明の挟持部材付き車両用窓ガラスは、車両のドアに取り付けられ、上下に摺動する、挟持部材付き車両用窓ガラスであって、挟持部材付き車両用窓ガラスは、ドアに挟持部材付き車両用窓ガラスが取り付けられた場合に、車両の前後方向において車外側に凸となるように湾曲したガラス板と、ガラス板の下辺に取り付けられ、ガラス板の縁部を挟持する少なくとも一つの挟持部材と、を備え、挟持部材は、底部と、底部から垂直な第1方向に延設され、車外側に位置する第1側壁部と、第1方向に垂直な第2方向に離間し、かつ、底部から第1方向に延設され、ドアに挟持部材付き車両用窓ガラスが取り付けられた場合に車内側に位置する第2側壁部と、を有し、第1側壁部は、第1側壁部本体と、第1側壁部本体に対して傾斜した第1傾斜部と、を有し、第2側壁部は、第2側壁部本体と、第2側壁部本体に対して傾斜した第2傾斜部と、を有し、ガラス板に挟持部材が取り付けられた場合に、第2側壁部本体と第1傾斜部とは、互いに対向する位置に配置され、かつ、第1方向からみたときに、第2側壁部本体と第1傾斜部との間隔はガラス板の重心に向けて徐々に広がるように配置されており、第1側壁部本体と第2傾斜部とは、互いに対向する位置に配置され、かつ、第1方向からみたときに、第1側壁部本体と第2傾斜部との間隔はガラス板の重心とは反対方向に向けて徐々に広がるように配置される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、品質のよい挟持部材付き車両用窓ガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の挟持部材付き車両用窓ガラスが搭載された車両の要部左側面図
【
図2】
図1に示した挟持部材付き車両用窓ガラスの構成を示した正面図
【
図4】
図2に示した挟持部材をZ軸(+)側からX(-)側に向けて見た挟持部材の上面図
【
図5】
図2に示した挟持部材を車内側から車外側に向けて見た挟持部材の斜視図
【
図6】2つの挟持部材を一体化させるための第1の態様を示した斜視図
【
図7】2つの挟持部材を一体化させるための第2の態様を示した斜視図
【
図8】2つの挟持部材を一体化させるための第3の態様を示した斜視図
【
図9】2つの挟持部材を一体化させるための第4の態様を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明に係る挟持部材付き車両用窓ガラスの実施形態を説明する。
【0015】
なお、本明細書において、方向と位置を表わす「上」「下」「車内」「車外」「車幅」「前方」「後方」は、挟持部材付き車両用窓ガラスが車両に搭載された場合の「上」「下」「車内」「車外」「車幅」「前方」「後方」を意味する。
【0016】
図1には、実施形態に係る挟持部材付き車両用窓ガラス10(以下、「車両用窓ガラス10」と略称する。)が車両200に搭載された一例が示されている。
図2は、
図1の車両用窓ガラス10の構成を示した正面図である。なお、
図1及び
図2では、車両200の前方を矢印Aで示し、後方を矢印Bで示している。また、本明細書においては、互いに直交するXYZ軸の三次元座標系を用いて説明する。Z軸(+)方向は、車両200の上方向であり、本発明の第1方向に相当する。Y軸方向は車両200の車幅方向(
図1及び
図2の紙面奥行き方向)であり、本発明の第2方向に相当する。X軸方向は、矢印A及びBで示した車両200の前後方向と同方向である。
【0017】
図1に示す車両用窓ガラス10は、一例として、フロントサイドガラスに適用されたものであり、車両200のフロントサイドドア202に取り付けられる。また、車両用窓ガラス10は、フロントサイドドア202のドアパネル204の内部に配置された昇降装置50(
図2参照)に連結され、昇降装置50からの駆動力により昇降移動されてフロントサイドドア202の窓用開口部206を開閉する。なお、車両用窓ガラス10はリアサイドガラスに適用されてもよい。
【0018】
図2に示す昇降装置50は、モータ52と、ガイドレール54と、スライダ56と、第1ワイヤ58と、第2ワイヤ60と、ドラム62とを有している。また、昇降装置50と共同して、車両用窓ガラス10の昇降をガイドするフロントサッシュ64及びリヤサッシュ66がフロントサイドドア202(
図1参照)に設けられている。
【0019】
ガイドレール54は、その長手方向が車両用窓ガラス10の摺動方向に沿うように配置される。スライダ56は、車両用窓ガラス10の側に連結される部材であり、ガイドレール54に対しガイドレール54の長手(上下)方向に沿って摺動自在に係合されている。第1ワイヤ58は、一端がドラム62に連結され、他端がスライダ56に連結されている。第2ワイヤ60は、一端がドラム62に連結され、他端がスライダ56に連結されている。フロントサッシュ64は、車両用窓ガラス10を構成するガラス板12の前縁部12Aを摺動自在に支持し、リヤサッシュ66は、ガラス板12の後縁部12Bを摺動自在に支持している。
【0020】
上記の昇降装置50によれば、モータ52によってドラム62が一方向に回転されると、第1ワイヤ58がドラム62に巻き取られ、第2ワイヤ60がドラム62から送り出される。これにより、スライダ56がガイドレール54に沿って上昇することにより、車両用窓ガラス10が、フロントサッシュ64及びリヤサッシュ66にガイドされながら上昇する。
【0021】
また、モータ52によってドラム62が他方向に回転されると、第1ワイヤ58がドラム62から送り出され、第2ワイヤ60がドラム62に巻き取られる。これにより、スライダ56がガイドレール54に沿って下降することにより、車両用窓ガラス10が、フロントサッシュ64及びリヤサッシュ66にガイドされながら下降する。
【0022】
〔ガラス板〕
実施形態では、車両用窓ガラス10を構成するガラス板12として、例えば、ガラスの表面に圧縮応力層を形成した強化ガラスが採用される。上記の圧縮応力を形成する製法としては、ガラス板を高温化に晒した後に風冷する物理強化、又はガラス板を、アルカリ金属を含む溶融塩中に浸漬させ、ガラス板の最表面に存在する原子径の小さなアルカリ金属(イオン)を、溶融塩中に存在する原子径の大きなアルカリ金属(イオン)と置換する化学強化が挙げられる。なお、他のガラス板12の例として、2枚のガラス板を、中間膜を介して接合された合わせガラスを採用してもよい。ガラス板12が合わせガラスである場合、ガラス板12が車両200に取り付けられた状態で、車外側に位置するガラスが未強化ガラスであり、車内側に位置するガラスが強化ガラスであってもよい。また、ガラス板12が合わせガラスである場合、2枚とも未強化ガラスであってもよい。なお、未強化のガラス板とは、溶融ガラスを板状に成形して徐冷したものであり、ガラスの表面に圧縮応力層を形成した上記の強化ガラスよりも許容応力が小さいものである。
【0023】
また、ガラス板12としては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス又は石英ガラスなどの無機ガラスが採用される。これらのうちでも、製造コストと成形性の観点からソーダライムガラスが特に好ましい。ガラス板12の成形法についても特に限定されないが、フロート法を例示できる。また、ガラス板12として、紫外線又は赤外線を吸収するガラス板を採用してもよい。また、ガラス板12としては透明であることが好ましいが、透明性を損なわない程度に着色されたものであってもよい。
【0024】
ガラス板12は、正面視(
図2参照)で略台形状に構成されており、前縁部12A、後縁部12B、上縁部12C及び下縁部12Dによって周縁部が形成されている。また、ガラス板12は、車両200(
図1参照)に取り付けられた状態で、XYZ軸の三次元方向における断面形状が車両200の車外側に膨らんだ湾曲形状、すなわち、X軸方向、Y軸方向に湾曲し、車外側に凸となるように湾曲した複曲形状を有している。なお、ガラス板12は、車両200(
図1参照)に取り付けられた状態で、X軸方向のみに湾曲し、車外側に凸となるように湾曲した単曲形状を有していてもよい。ガラス板12の曲率半径はX軸方向、Y軸方向ともに、1000mm以上100000mm以下であることが好ましい。ガラス板12の曲率半径はX軸方向、Y軸方向ともに同じであってもよいし、異なっていてもよい。ガラス板12の曲げ成形には、重力成形、プレス成形又はローラー成形などが採用される。
【0025】
なお、ガラス板12として、例えば2枚のガラス板を有する上記の合わせガラスを採用した場合には、合わせガラスのうち車外側に位置するガラス板の厚みを、1mm以上3mm以下とすることが好ましい。車外側のガラス板の厚みが1mm以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、3mm以下であると、車外側のガラス板の質量が大きくなり過ぎず、車両200の燃費の点で好ましい。また、車外側のガラス板の厚みは、1.3mm以上2.8mm以下がより好ましく、1.4mm以上2.6mm以下が更に好ましい。
【0026】
また、合わせガラスのうち車内側のガラス板の厚みを、0.3mm以上2.3mm以下とすることが好ましい。車内側のガラス板の厚みが0.3mm以上であることによりハンドリング性がよく、2.3mm以下であることによりの質量が大きくなり過ぎない。
【0027】
合わせガラスの2枚のガラス板の厚み同じであってもよいし、異なっていてもよい。2枚のガラス板の厚みが同じである場合、2枚のガラス板の厚みは、それぞれ1.0mm以上1.6mm以下であれば、合わせガラスの軽量化と遮音性を両立できる。
【0028】
また、合わせガラスを構成する周知の中間膜は、ポリビニルブチラール(PVB)からなる中間膜のほか、特に耐水性が要求される場合には、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましく用いられる。また、アクリル系光重合型プレポリマー、アクリル系触媒重合型プレポリマー、アクリル酸エステル・酢酸ビニルの光重合型プレポリマー又はポリビニルクロライドなども使用可能である。中間膜は、単層構造又は複数層構造のいずれでもよい。また、中間膜は、透明であってもよいし、着色されていてもよい。
【0029】
なお、合わせガラスを構成するガラス板の枚数は、本例の2枚に限定されず、3枚以上でもよい。中間膜は、3枚以上のガラス板を接合する場合は、2枚以上用いてもよい。
【0030】
[挟持部材]
図2に示すように、ガラス板12の下縁部12Dの一部には、挟持部材14が取り付けられている。本例の挟持部材14は、一例として、2つの挟持部材14A、14Bを備え、挟持部材14A、14Bは、ガラス板12の下縁部(下辺)12DにおいてX軸方向に間隔を開けて取り付けられている。ここで、挟持部材14Aは、本発明の第1挟持部材に相当し、挟持部材14Bは、本発明の第2挟持部材に相当する。なお、
図2では、挟持部材14として、2つの挟持部材14A、14Bを備える形態を示しているが、挟持部材14は、ガラス板12に対して少なくとも1つ備えられていればよい。この点に関しては後述する。
【0031】
以下、挟持部材14A、14Bの構成について説明するが、双方の挟持部材14A、14Bの基本的な構成は同一であるので、ここでは、挟持部材14Aの構成を説明する。そして、挟持部材14Bの構成については、挟持部材14Aで説明した部材の末尾の符号「A」を符号「B」に置き換えることによりその説明は省略することにする。
【0032】
図3は、
図2に示した車両用窓ガラス10の3-3線に沿う要部拡大断面図である。
図3には、特に挟持部材14AのZ軸に沿う縦断面図が示されている。
【0033】
図3に示すように、挟持部材14Aは、本体部16Aと締結部18Aとを有する。
【0034】
〔本体部〕
本体部16Aは、
図3に示すように、断面が略U字形状に形成されてガラス板12の下縁部12Dに取り付けられる。具体的に説明すると、本体部16Aは、底部20Aと、第1側壁部22Aと、第2側壁部24Aと、を備えている。
【0035】
底部20Aは、Z軸に沿う断面形状が略矩形状に構成され、X軸方向に長手軸を有するブロック状に構成される。
【0036】
第1側壁部22Aは、底部20Aから垂直なZ軸(+)方向(第1方向)に延設されており、Z軸に沿う断面形状が略矩形状に構成される。第1側壁部22Aは、フロントサイドドア202(
図1参照)に車両用窓ガラス10が取り付けられた場合に車外側に位置する。ここで、第1側壁部22Aは、本発明の第1側壁部に相当する。
【0037】
第2側壁部24Aは、底部20Aから垂直なZ軸(+)方向(第1方向)に延設されており、Z軸に沿う断面形状が略矩形状に構成される。また、第2側壁部24Aは、第1側壁部22Aに対しZ軸方向に垂直なY軸方向(第2方向)に離間して配置され、かつ、第1側壁部22Aと対面されている。第2側壁部24Aは、フロントサイドドア202(
図1参照)に車両用窓ガラス10が取り付けられた場合に車内側に位置する。ここで、第2側壁部24Aは、本発明の第2側壁部に相当する。
【0038】
なお、
図3では、第1側壁部22Aは、Z軸に沿う断面形状が第2側壁部24Aよりも厚みの薄い略矩形状に構成されているが、これに限定されない。Z軸に沿う断面形状において、第1側壁部22Aと第2側壁部24Aの厚みが同じであってもよいし、第1側壁部22Aの厚み方が第2側壁部24Aの厚みより厚くてもよい。このように構成された本体部16Aは、底部20Aと第1側壁部22Aと第2側壁部24Aとで画成される収容溝34Aにガラス板12の下縁部12Dが収容され、上記の収容溝34Aに予め充填された接着剤26Aによって下縁部12Dに接着される。
【0039】
また、第1側壁部22Aと第2側壁部24Aの互いに対向する内側面には、複数のリブ28Aが形成されている。これらのリブ28Aは、Z軸方向に長手軸を有する薄板状に形成され、かつ、X軸方向に間隔を開けて形成されている。これらのリブ28Aにより第1側壁部22Aと第2側壁部24Aの強度が補強され、かつ、隣接するリブ28Aとリブ28Aとの間の空間に接着剤26Aが入り込むことによりガラス板12と本体部16Aとの接着力が向上される。
【0040】
〔締結部〕
締結部18Aは、本体部16Aと一体に構成されると共に、一例として、第1側壁部22Aの下部からZ軸(-)方向に延設されている。また、締結部18Aは、X軸方向において、挟持部材14Aの中央位置に対応する位置に設けられている。更に、締結部18Aには、開口部30AがY軸方向に形成されている。この開口部30Aには、
図2に示すボルト32が挿入され、このボルト32はスライダ56のアーム57に締結される。また、アーム57は、スライダ56に連結されている。これにより、挟持部材14Aがアーム57を介してスライダ56に連結される。
【0041】
図3に示した本体部16A及び締結部18Aは、一例として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)又はポリアセタール樹脂(POM)などの硬質なエンジニアリングプラスティックによって構成される。なお、本体部16A及び締結部18Aは、樹脂製に限定されるものではなく金属製であってもよい。
【0042】
図4は、
図2に示した挟持部材14A、14AをZ軸(+)側からZ軸(-)側に向けて見た挟持部材14A、14Bの上面図である。また、
図5は、
図2に示した挟持部材14A、14Aを車内側から車外側に向けて見た挟持部材14A、14Bの斜視図である。なお、
図4及び
図5においては、挟持部材14A、14Bとガラス板12のそれぞれの形状(屈曲部及び湾曲面等)をその特徴が分かり易いように誇大視して示している。また、ここでも挟持部材14Aの構成を説明し、挟持部材14Bについては説明を省略する。
【0043】
挟持部材14Aの第1側壁部22Aは、第1側壁部本体100Aと、第1側壁部本体100Aに対して傾斜した第1傾斜部102Aと、を有している。本例では、第1側壁部本体100AがX軸に沿って配置され、第1傾斜部102AがX軸に対してY軸方向(車外側)に傾斜して配置される。
【0044】
また、第2側壁部24Aは、第2側壁部本体104Aと、第2側壁部本体104Aに対して傾斜した第2傾斜部106Aと、を有している。本例では、第2側壁部本体104AがX軸に沿って配置され、第2傾斜部106AがX軸に対してY軸方向(車内側)に傾斜して配置される。
【0045】
ガラス板12に挟持部材14Aが取り付けられた場合に、第2側壁部本体104Aと第1傾斜部102Aとは、Y軸方向において互いに対向する位置に配置され、かつ、Z軸(+)方向の側(第1方向)からみたときに、第2側壁部本体104Aと第1傾斜部102Aとの間隔はガラス板12の重心Gに向けて徐々に広がるように配置されている。また、第1側壁部本体100Aと第2傾斜部106Aとは、Y軸方向において互いに対向する位置に配置され、かつ、Z軸(+)方向の側(第1方向)からみたときに、第1側壁部本体100Aと第2傾斜部106Aとの間隔はガラス板12の重心Gとは反対方向に向けて徐々に広がるように配置される。ここで、上記の「重心Gに向けて」とは、「現実の重心Gに向けて」を意味するものではなく、ガラス板12の前後方向(X軸方向)において、「重心Gの側に向けて」を意味している。同様に、上記の「重心Gとは反対側に向けて」とは、「現実の重心Gとは反対側に向けて」を意味するものではなく、ガラス板12の前後方向(X軸方向)において、「重心Gの側とは反対側に向けて」を意味している。
【0046】
次に、上記の如く構成された車両用窓ガラス10と、例えば、第1側壁部と第2側壁部とがX軸方向において互いに平行に配置された挟持部材を有する車両用窓ガラス(比較例)とを比較する。
【0047】
上記の比較例では、X軸方向に湾曲したガラス板、すなわち、車外側に凸となるように湾曲したガラス板と第1側壁部との間の間隔、及びガラス板と第2側壁部との間の間隔が、ガラス板の前後方向(X軸方向)において不均一となる。その結果として、比較例では、挟持部材をガラス板に取り付けた場合の、前後方向(X軸方向)における接着剤の濡れ広がり方が前後方向で不均一となるので接着不良が発生する場合がある。
【0048】
上記の比較例に対し実施形態の車両用窓ガラス10は、X軸方向に湾曲したガラス板12、すなわち、車外側に凸となるように湾曲したガラス板12と第1側壁部22Aとの間の間隔、及びガラス板12と第2側壁部24Aとの間の間隔が、ガラス板12の前後方向(X軸方向)において略均一となる。その結果として、実施形態の車両用窓ガラス10は、挟持部材14Aをガラス板12に取り付けた場合の、前後方向(X軸方向)における接着剤26Aの濡れ広がり方が前後方向で略均一となるので、挟持部材14Aをガラス板12に確実に接着固定できる。
【0049】
また、比較例では、X軸方向に湾曲したガラス板に挟持部材を取り付けた場合、挟持部材が撓んだりガラス板が撓んだりするため、挟持部材及びガラス板の耐久性に問題がある。
【0050】
これに対し実施形態の車両用窓ガラス10は、X軸方向に湾曲したガラス板12の湾曲面に沿う第1傾斜部102Aと第2傾斜部106Aとを有しているので、挟持部材14Aが撓んだりガラス板12が撓んだりすることなく、X軸方向に湾曲したガラス板12に挟持部材14Aが取り付けられる。その結果として、挟持部材14A及びガラス板12の耐久性の問題を解消できる。
【0051】
これにより、実施形態によれば、品質のよい車両用窓ガラス10を提供できる。
【0052】
以下、本発明における好ましい幾つかの態様について説明する。
【0053】
図4及び
図5に示すように、第1側壁部22Aは、第1境界領域108Aを有し、第1傾斜部102Aは、第1側壁部本体100Aに対し第1境界領域108Aを介して傾斜して形成される。また、第2側壁部24Aは、第2境界領域110Aを有し、第2傾斜部106Aは、第2側壁部本体104Aに対し第2境界領域110Aを介して傾斜して形成されている。そして、挟持部材14AをY軸方向(第2方向)から見た場合に、第1境界領域108Aと第2境界領域110Aとが、少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0054】
上記の態様のように、第1境界領域108Aと第2境界領域110Aとを配置することにより、接着剤26Aは、上記の一部が重なった位置を基準としてX軸方向(矢印A及びB方向)に略均一に濡れ広がるようになる。その結果として、挟持部材14Aとガラス板12との接着力が向上する。なお、上記の第1境界領域108A及び第2境界領域110Aとは、例えば、X軸方向において線条の境界線を中央とする前後で数ミリの範囲を指す。
【0055】
また、上記の態様において、
図3に示すように、挟持部材14AをY軸方向(第2方向)から見た場合に、第1境界領域108AをZ(+)方向(第1方向)とは反対方向(Z(-))に伸ばした仮想領域T内に、挟持部材14Aの締結部18Aが配置される。すなわち、締結部18Aの開口部30Aを上記の仮想領域T内に配置する態様である。
【0056】
このように締結部18Aの開口部30Aを仮想領域T内に配置することにより、接着剤26Aは、挟持部材14Aと昇降装置50との締結位置(開口部30A)を基準としてX軸方向(矢印A及びB方向)により均一に濡れ広がるようになる。その結果として、挟持部材14Aとガラス板12との接着力が更に向上する。なお、仮想領域T内に締結部18Aを配置するとは、開口部30Aの中心が仮想領域T内に配置されることを意味し、かならずしも開口部30Aの全体が仮想領域T内に配置されなくてもよい。
【0057】
ここで、実施形態の車両用窓ガラス10は、第1側壁部22Aの下方に締結部18Aを設けた構成であるが、第2側壁部24Aの下方に締結部18Aを設けた構成の場合は、第2境界領域110AをZ(+)方向(第1方向)とは反対方向(Z(-))に伸ばした仮想領域T内に締結部18A(開口部30A)を配置すればよい。
【0058】
また、他の態様は、
図4に示すように、挟持部材14AをZ(+)方向(第1方向)から見た場合に、第1傾斜部102Aの仮想延長線Cと、第2傾斜部106Aの仮想延長線Dとが平行である。
【0059】
このように仮想延長線Cと仮想延長線Dとを平行にすることにより、接着剤26Aは、第1境界領域108Aと第2境界領域110Aを基準としてX軸方向(矢印A及びB方向)により均一に濡れ広がるようになる。なお、ここで言う「平行」とは、ある程度の角度幅(例えば±1度の範囲)を有するものを意味し、かならずしも完全な平行を意味するものではない。
【0060】
また、上記の他の態様において、
図4に示すように、挟持部材14AをZ(+)方向(第1方向)から見た場合に、第1側壁部本体100Aの仮想延長線Eと、第2側壁部本体104Aの仮想延長線Fとが平行である態様である。
【0061】
このように仮想延長線Eと仮想延長線Fとを平行にすることにより、接着剤26Aは、第1境界領域108Aと第2境界領域110Aを基準としてX軸方向(矢印A及びB方向)により均一に濡れ広がるようになる。なお、ここで言う「平行」とは、ある程度の角度幅(例えば±1度の範囲)を有するものを意味し、かならずしも完全な平行を意味するものではない。
【0062】
また、
図4に示すように、第1傾斜部102Aを、ガラス板12の曲面のうち車外側に向いた曲面13Aに沿って配置し、第2傾斜部106Aを、ガラス板12の曲面のうち車内側に向いた曲面13Bに沿って配置する態様である。
【0063】
このように第1傾斜部102Aを曲面13Aに沿って配置し、第2傾斜部106Aを曲面13Bに沿って配置することにより、接着剤26Aは、第1境界領域108Aと第2境界領域110Aを基準としてX軸方向(矢印A及びB方向)により一層均一に濡れ広がるようになる。
【0064】
以下に説明する
図6から
図9に示す各態様は、挟持部材14Aと挟持部材14Bとを一体化した場合の態様である。このように挟持部材14Aと挟持部材14Bとを一体化した態様によれば、挟持部材14Aと挟持部材14Bとをガラス板12に別々に取り付ける態様と比較して、挟持部材14A及び挟持部材14Bとガラス板12との相対的な取り付け位置のばらつきを抑えることができる。なお、
図6から
図9に示した形態においては、
図5で示した締結部18A、18Bを図示することなく、その特徴部である接続部を誇大視して示している。以下、各態様を具体的に説明する。
【0065】
図6に示す第1の態様は、挟持部材14Aの底部20Aと、挟持部材14Bの底部20Bとを、第1接続部120により接続して一体化する態様である。この第1接続部120は、底部20A、20Bと同様の形状(ブロック形状)に構成されている。
【0066】
これにより、挟持部材14Aと挟持部材14Bとが一体化されるので、挟持部材14A及び挟持部材14Bとガラス板12との相対的な取り付け位置のばらつきを抑えることができる。なお、
図6では、第1接続部120の形状を分かりやすく説明するために、第1接続部120と底部20Aと間に境界線を付して別体のように示しているが、製造的な観点から見れば、第1接続部120と底部20A、20Bとは一体成形されることが好ましい。
【0067】
図7に示す第2の態様は、挟持部材14Aの第1側壁部22Aと、挟持部材14Bの第1側壁部22Bとを、第2接続部122により接続して一体化する態様である。この第2接続部122は、第1側壁部22A、22Bと同様の形状(板状)に構成されている。
【0068】
このような態様であっても、挟持部材14Aと挟持部材14Bとを一体化できる。なお、
図7では、第2接続部122の形状を分かりやすく説明するために、第2接続部122と第1側壁部22A、22Bと間に境界線を付して別体のように示しているが、製造的な観点から見れば、第2接続部122と第1側壁部22A、22Bとは一体成形されることが好ましい。
【0069】
図8に示す第3の態様は、挟持部材14Aの第2側壁部24Aと、挟持部材14Bの第2側壁部24Bとを、第3接続部124により接続して一体化する態様である。この第3接続部124は、第2側壁部24A、24Bと同様の形状(板状)に構成されている。
【0070】
このような態様であっても、挟持部材14Aと挟持部材14Bとを一体化できる。なお、
図8では、第3接続部124の形状を分かりやすく説明するために、第3接続部124と第2側壁部24A、24Bと間に境界線を付して別体のように示しているが、製造的な観点から見れば、第3接続部124と第2側壁部24A、24Bとは一体成形されることが好ましい。
【0071】
図9に示す第4の態様は、挟持部材14Aと挟持部材14Bとを、
図6から
図8に示した第1接続部120と第2接続部122と第3接続部とにより接続して一体化する態様である。
【0072】
このような態様であっても挟持部材14Aと挟持部材14Bとを一体化できる。
【0073】
なお、本例の挟持部材14については、2つの挟持部材14A、14Bを備えることを前提として説明したが、1つの挟持部材のみをガラス板12に取り付けた態様であっても、2つの挟持部材14A、14Bを取り付けたものと同様の効果(品質のよい車両用窓ガラスを提供する)が得られる。但し、ガラス板12を安定して昇降させる観点から見れば、2つの挟持部材14A、14Bをガラス板12に取り付けた形態であることが好ましい。
【0074】
以上、本発明について説明したが、本発明は、上記の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、いくつかの改良又は変形を行ってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…車両用窓ガラス、12…ガラス板、14A…挟持部材、14A…挟持部材、16A…本体部、16B…本体部、18A…締結部、18B…締結部、20A…底部、20B…底部、22A…第1側壁部、24A…第2側壁部、22B…第1側壁部、24B…第2側壁部、26A…接着剤、28A…リブ、30A…開口部、32…ボルト、34A…収容溝、50…昇降装置、52…モータ、54…ガイドレール、56…スライダ、57…アーム、58…第1ワイヤ、60…第2ワイヤ、62…ドラム、64…フロントサッシュ、66…リヤサッシュ、100A…第1側壁部本体、102A…第1傾斜部、104A…第2側壁部本体、106A…第2傾斜部、108A…第1境界領域、110A…第2境界領域、100B…第1側壁部本体、102B…第1傾斜部、104B…第2側壁部本体、106B…第2傾斜部、108B…第1境界領域、110B…第2境界領域、200…車両、202…フロントサイドドア、204…ドアパネル、206…窓用開口部