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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ローレンツEM用補正器転送光学系
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/26 20060101AFI20241126BHJP
   H01J 37/295 20060101ALI20241126BHJP
   H01J 37/10 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01J37/26
H01J37/295
H01J37/10
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020124971
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2021022564
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】16/522,415
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヘンストラ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-245841(JP,A)
【文献】特開2014-220105(JP,A)
【文献】特開2004-087460(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045476(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
JDreamIII
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構成のとき標準動作モードで、および第2の構成のときローレンツ動作モードで動作するように構成された荷電粒子顕微鏡であって、
試料に向けて荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、
前記試料を保持するように構成された試料ホルダと、
軸上収差を補正するための補正器と、
前記補正器と前記試料ホルダとの間に位置するローレンツレンズと、
前記ローレンツレンズと前記試料ホルダとの間の対物レンズと、を備え、かつ、
前記荷電粒子顕微鏡が、
前記補正器と前記ローレンツレンズとの間に位置付けられた第1の転送レンズと、
前記補正器と前記第1の転送レンズとの間に位置付けられた第2の転送レンズと、をさらに含むように構成されており、
前記荷電粒子顕微鏡が、前記標準動作モードで動作する前記第1の構成と、前記ローレンツ動作モードで動作する前記第2の構成との間で切り替わるように構成されている、荷電粒子顕微鏡。
【請求項2】
前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子顕微鏡が前記ローレンツ動作モードで動作しているとき、前記第1の転送レンズにおける前記荷電粒子ビームの軸方向ビームクロスオーバを前記第1の転送レンズの中心に、または中心の近位に生じさせるように構成されている、請求項1に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項3】
前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子顕微鏡が前記標準動作モードで動作しているとき、前記補正器の出射面を結像する際に、組み合わせ収差C5を最小にするように前記第1の転送レンズを補助するように構成されている、請求項1および2のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項4】
前記第1の転送レンズを補助する前記第2の転送レンズが、前記補正器の出射面を前記対物レンズに近い平面に結像する際に前記第1の転送レンズを補助する前記第2の転送レンズを備える、請求項3に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項5】
前記第1の転送レンズおよび第2の転送レンズが、前記荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードにある間、C5、CS、およびデフォーカスを調整して、前記荷電粒子顕微鏡内のC7収差を最適にバランスさせるように位置付けられいる、請求項1および4のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項6】
前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子顕微鏡が前記ローレンツ動作モードで動作しているときに、有効焦点距離が所望の補正強度に対して最適になるように位置付けられいる、請求項1~5のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項7】
前記荷電粒子顕微鏡が前記標準動作モードで動作しているとき、前記第2の転送レンズが、有効焦点距離が前記荷電粒子顕微鏡の複数の加速電圧の範囲に対して最適であるように位置付けられいる、請求項1~6のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項8】
前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子顕微鏡が前記ローレンツ動作モードで動作しているとき、前記荷電粒子顕微鏡が前記標準動作モードで動作しているときよりも、前記ローレンツレンズにおける前記荷電粒子ビームの直径を大きくさせるように構成されている、請求項1に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項9】
前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子顕微鏡の性能が前記ローレンツ動作モードおよび前記標準動作モードの両方で最適化されるように位置付けられている、請求項1に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項10】
前記荷電粒子顕微鏡が前記ローレンツ動作モードで動作しているとき、前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子ビームを集束させて、1つ以上球面収差係数を低減および/または調整する、請求項1、8、および9のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項11】
前記荷電粒子顕微鏡が前記ローレンツ動作モードで動作しており、前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子ビームを集束させて、5次球面収差係数の低減および/または調整を引き起こす、請求項10に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項12】
前記対物レンズが、前記ローレンツ動作モードではオフにされ、前記ローレンツレンズが、機能的な対物レンズとして作用する、請求項10に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項13】
前記荷電粒子顕微鏡が、透過型電子顕微鏡であり、前記試料ホルダが、前記荷電粒子源と前記第2の転送レンズとの間に位置付けられている、請求項1~11のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項14】
前記荷電粒子顕微鏡が、走査型電子顕微鏡であり、前記第2の転送レンズが、前記荷電粒子源と前記試料ホルダとの間に位置付けられている、請求項1~11のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡。
【請求項15】
標準動作モードおよびローレンツ動作モードのうちの少なくとも1つにおいて前記試料を検査するための請求項1~14のいずれか1項に記載の荷電粒子顕微鏡の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
顕微鏡の倍率と分解能は、科学者およびエンジニアがますます小さなレベルで技術を探求し、開発し続けることができるように、継続的に改善される必要がある。これを達成するために、顕微鏡の構成要素は継続的に改善され、顕微鏡の性能を増加させている(すなわち、分解能の増加、倍率の増加、収差の低減、等)。しかしながら、顕微鏡が複数の動作モードで動作することができる場合、1つの顕微鏡の構成要素を変更すると、第1のモードでの顕微鏡の性能が改善し、一方で、第2の異なるモードでの顕微鏡の性能が低減することがある。したがって、複数の動作モードにわたる顕微鏡の性能の最適化を改善および/または可能にする顕微鏡の開発が所望されている。
【発明の概要】
【0002】
本開示による、標準動作モードおよびローレンツ動作モードの両方で最適化された性能を有する荷電粒子顕微鏡は、試料に向けて荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源、試料を保持するように構成された試料ホルダ、軸上収差(および/または軸外コマなどの他の収差)を補正する補正器、補正器と試料ホルダとの間に位置するローレンツレンズ、およびローレンツレンズと試料ホルダとの間にある対物レンズを含む。荷電粒子顕微鏡は、補正器とローレンツレンズの間に位置付けられた第1の転送レンズ、および補正器と第1の転送レンズとの間に位置付けられた第2の転送レンズを含むことを特徴とする。荷電粒子顕微鏡は、標準動作モードで動作する第1の構成と、ローレンツモードで動作する第2の構成との間で切り替わるように構成されている。
【0003】
本開示による、第1の構成のときに標準動作モードで動作し、第2の構成のときにローレンツ動作モードで動作するように構成されたこのような荷電粒子顕微鏡の動作方法は、荷電粒子源によって試料に向けて荷電粒子ビームを放出させることと、補正器を使用して軸(および場合によっては軸外)収差を補正することとを含む。荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モード(ローレンツ-STEMまたはローレンツTEM)で動作している場合、本方法は、第1の転送レンズおよび第2の転送レンズを使用して、デフォーカス、CおよびCを最適に調整することを含む。加えて、顕微鏡が標準動作モード(STEMまたはTEM)で動作している場合、本方法は、補正器と第1の転送レンズとの間に位置する第2の転送レンズで荷電粒子ビームを集束させることを含み、それにより、第2の転送レンズは、対物レンズまたはその近くで補正器出射面を結像する際に第1の転送レンズを補助して、組み合わせ収差C(軸方向の5th次の球面収差)を最小限に抑える。
【図面の簡単な説明】
【0004】
詳細な説明は、添付の図を参照して説明される。これらの図では、参照番号の最も左側の数字(複数可)で、当該参照番号が最初に現われる図を同定する。異なる図の同じ参照番号は、類似または同一の項目を示している。
【0005】
図1】複数の動作モードで最適化された性能を有する、試料の検査のための荷電粒子顕微鏡システムの例を図解する。
図2】補正器および1つ以上のレンズの配置を有する荷電粒子システムの補正器転送光学系の光学的挙動を図解する図の集まりである。
図3】標準動作モードおよびローレンツ動作モードで動作することができるTEMシステムとしての荷電粒子顕微鏡システムの例を図解する。
図4】荷電粒子顕微鏡システムを使用した複数の動作モードにおいて最適化された性能を有する、試料の構成要素の検査、成膜、ミリング、および/または抽出のためのサンプリングプロセスを示す。
図5】ローレンツ動作モードで動作する単一の転送レンズ配置を有するシステムの光学性能を示す図である。
図6】ローレンツ動作モードで動作する単一の転送レンズ配置を有するシステムの光学性能を示す図である。
図7】ローレンツ動作モードで動作する複数の転送レンズ配置を有するシステムの光学性能を示す図である。
【0006】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。一般に、これらの図では、所定の例に含まれる可能性が高い要素が実線で示されているのに対し、所定の例には任意選択的である要素は破線で示されている。しかしながら、実線で示される要素は、本開示の全ての例に必須である訳ではなく、実線で示される要素は、特定の例から、本開示の範囲から逸脱しない限り省略されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、複数の動作モードにわたって最適化された性能を有する荷電粒子顕微鏡が開示されている。より具体的には、本開示は、標準動作モードおよびローレンツ動作モードの両方において顕微鏡の性能を増加および/または最適化する改善された荷電粒子顕微鏡を含む。荷電粒子顕微鏡は、補正器と従来の転送レンズとの間に追加の転送レンズを含み、標準動作モードおよびローレンツモード動作の両方において性能を最適化する柔軟性を可能にする。例えば、ローレンツ動作モードでは、本開示による改善された荷電粒子顕微鏡を使用して、デフォーカスおよび/またはC収差にほとんど影響を与えずに、第1の転送レンズでC収差を調整することができる。加えて、追加の転送レンズを含めることにより、本明細書に開示される荷電粒子顕微鏡に、デフォーカスおよび合計のCおよびCをゼロにするための追加の自由度が提供される。
【0008】
図1は、複数の動作モードで最適化された性能を有する、試料102の構成要素の検査のための例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の図解である。例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、帯電粒子のビーム104(通常は電子ビームまたはイオンビーム)で試料102に照射および/またはそうでなければ衝突させるように構成された電子顕微鏡(EM)セットアップまたは電子リソグラフィセットアップを含み得る。様々な実施形態において、荷電粒子顕微鏡システム100は、これらには限定されないが、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、荷電粒子顕微鏡(CPM)、デュアルビーム顕微鏡システム、等のような1つ以上の異なるタイプのEMおよび/または荷電粒子顕微鏡とすることができ、またはこれらを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、TEMは、STEMとしても動作することができる。
【0009】
図1は、標準動作モードおよびローレンツ動作モードで動作することができるSTEMシステム106であるとして例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100を示している。標準動作モードは、試料102の構成要素の検査、成膜、ミリング、および/または抽出のために荷電粒子ビーム104を用いた試料102の照射に対応する。ローレンツ動作モードは、試料102内の磁気誘導の領域を通過する帯電粒子104が受ける偏向に基づいて磁気コントラストが生成される結像モードに対応する。図1に図解されているように、荷電粒子ビーム104の経路は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の動作モードに応じて変化する。例えば、図1は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100が標準動作モードで動作しているときのビーム経路104(a)、および例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100がローレンツ動作モードで動作しているときのビーム経路104(b)をたどる荷電粒子ビーム104を示す。図1は、帯電粒子104が試料102に入射する結果として試料102によって散乱される軸方向電子105の経路をさらに図示している。
【0010】
例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、荷電粒子ビーム104を放出軸110に沿って加速レンズ112に向けて放出する荷電粒子源108(例えば、熱電子源、ショットキー放出源、電界放出源、液体金属イオン源、プラズマイオン源、等)を含む。放出軸110は、荷電粒子源108から例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の長さに沿って、かつ試料102を通って走る中心軸である。理解を容易にするために、荷電粒子ビーム104は、ペンシルビームとして図1~3、5、および6に図示されている。しかしながら、当業者は、ペンシルビームは、それが例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100を通過するとき、荷電粒子ビーム104のビームコーンの外側放射線(すなわち、荷電粒子ビーム104の外径)に対応することを理解するであろう。言い換えれば、図1のビーム104は、荷電粒子ビームの軸方向放射線(axial ray)を示している。
【0011】
加速レンズ112は、荷電粒子ビーム104を集束カラム114に向けて加速/減速、集束、および/または方向付ける。集束カラム114は、試料102に入射するように荷電粒子ビーム104を集束させる。加えて、集束カラム114は、荷電粒子ビーム104の収差(例えば、幾何学的収差、色収差)を補正および/または調整する。図1では、集束カラム114は、補正器116および複数のレンズ118の配置を含むものとして図解されている。補正器116は、荷電粒子ビーム104の軸上収差を補正するための光学構成要素である。様々な実施形態において、補正器116は、Rose(のような)であり得る六極子補正器、S-CORR補正器、またはCrewe(のような)の六極子補正器、または四極子-八極子補正器、あるいは、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100内の幾何学的および/または色収差を補正するように構成された任意の他のタイプ、もしくは別のタイプの補正器であり得る。本開示では、荷電粒子ビーム104が補正器116を出て、荷電粒子ビームの経路が放出軸110に(実質的に)平行である実施形態が論じられる。しかしながら、当業者は、本開示が非平行の場合(例えば、補正器116がその出射面またはその近くでビームクロスオーバを生成する場合)に拡張できることを理解するであろう。
【0012】
図1では、集束カラム114は、対物レンズ120、ローレンツレンズ122、第1の転送レンズ124、および第2の転送レンズ126を含む複数のレンズ118の配置を含むものとしてさらに図解されている。対物レンズ120は、荷電粒子ビーム104を試料102上の点に集束させる光学素子である。対物レンズ120は、単極子レンズ、磁気静電複合レンズ、静電検出器対物レンズ、または別のタイプの対物レンズを含み得る。いくつかの実施形態では、例示の荷電粒子顕微鏡システム100がローレンツモードで動作しているとき、対物レンズ120はオフにされる。そのような実施形態では、ローレンツレンズ122は、対物レンズのように作用し、荷電粒子ビーム104を試料に集束させる。ローレンツレンズ122は、第1の転送レンズ124からの荷電粒子ビーム104の発散部分をレンダリングして、それが収束ビームおよび/または発散性の少ないビームになるようにする光学レンズである。ローレンツ122は、例示の荷電粒子顕微鏡が標準モードで動作するときに、追加の転送レンズとして作用する。例えば、図1は、(a)例示の荷電粒子顕微鏡システム100が標準の動作モードで動作するときにより発散性の少ないビームに、および(b)例示の荷電粒子顕微鏡システム100がローレンツモードで動作するときに収束ビームに、荷電粒子ビーム104の発散部分をレンダリングするものとしてローレンツレンズ122を図解している。
【0013】
図1はさらに、複数の転送レンズを含むものとして複数のレンズ118の配置を図解している。具体的には、図1は、第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126を含むものとして複数のレンズ118の配置を図解している。従来、同様の顕微鏡システムには、単一の転送レンズのみが含まれており、それは、単一の動作モード中に顕微鏡システムの性能を最適化するように、位置付けられ、および/または他の方法で構成された光学特性を有していた。そのような単一の転送レンズ配置は、ローレンツモードで好ましい性能を有するように設計することができるが、そのような構成は、標準動作モードで動作するとき、システムの性能を妥協することになる。
【0014】
より具体的には、補正器および/またはモノクロメータの現在の構成は、エネルギーの広がりを低減し、色収差を抑制し、幾何収差を5次まで補正することがでるが、このような現在の構成における単一の転送レンズの位置は、標準動作モードに対してのみ最適である。すなわち、現在の単一の転送レンズ構成は、ローレンツ動作モードでの性能を妥協し、および/または、そうでなければローレンツ動作モードに対して最適ではない。例えば、例示の荷電粒子顕微鏡システム100の理想的な性能のために、C収差は、十分に小さく、好ましくは負でなければならず、それにより、C収差およびデフォーカスと組み合わせてC収差を補償することができる。
【0015】
加えて、従来技術の顕微鏡システムでは、顕微鏡システム内で生成されるCおよび熱磁場ノイズ(すなわち、ジョンソンノイズ)を低減するために、現在の補正器116の主六極子の励起レベルが非常に高いことが所望される。しかしながら、これらの従来のシステムでは、主六極子の励起におけるそのような増加はまた、顕微鏡システムの性能を阻害する巨大な組み合わせ-C収差を生み出す。単一の転送レンズは、標準モードでの動作に対して最適に位置付けることがでるが、従来技術の顕微鏡システムがローレンツモードで動作する場合、単一の転送レンズを最適に位置付けることはできない。したがって、今日の顕微鏡システムでは、主六極子のはるかに低い励起が選択される必要がある。これは、Cおよび熱磁場ノイズへの補正器の寄与が最適に縮小されないという理想的ではない状況をもたらす。さらに、主六極子励起が減少したこの状態でも、今日の顕微鏡システムには、準最適組み合わせ-C収差がまだ存在する。これらの問題のため、現在の単一転送レンズ構成で達成可能なローレンツ-STEM分解能が制限されてiいる。
【0016】
しかしながら、本開示による例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、補正器と第1の転送レンズ124との間に追加の転送レンズ(すなわち、第2の転送レンズ126)を組み込むことによってこれらの問題に対処する。従来のシステムの単一レンズを2つの適切に位置付けられた、および/または理想的に光学的に構成された転送レンズに置き換えることによって、ここに開示された例示の荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、複数の動作モード(すなわち、標準モードおよびローレンツモード)で最適化することができる。すなわち、本開示によれば、第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126の位置および/または光学特性は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム100の性能が通常の動作モードで最適化されるように最適化され、一方、ローレンツ動作モードでも最適化されている。例えば、第2の転送レンズ126は、C、C、およびデフォーカスが、ローレンツ動作モードでのC収差を最適にバランスさせるように調整されることを可能にする。これらの高次の幾何収差を制限することに加えて、第2の転送レンズ126は、色収差および/または熱磁場ノイズを低減するように位置付けられ、および/または他の方法で光学的に構成され得る。
【0017】
さらに、いくつかの実施形態では、第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126はまた、単一の転送レンズ構成に対する標準動作モードでの例示的な荷電粒子顕微鏡システム100の改善された性能を提供するように位置付け、および/または他の方法で光学的に構成され得る。例えば、荷電粒子顕微鏡システムの標準動作モードでは、加速電圧にかなりの範囲がある(例えば、30~300kV)。現在の単一転送レンズ構成を有する従来のシステムでは、設計がハイエンドの加速電圧(例えば、300kV)に対して最適化されている場合、設計はローエンドの加速電圧(例えば、30kV)に対して最適ではない。しかしながら、本開示による例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100では、第2の転送レンズ126は、集束カラム114が加速電圧の全範囲にわたって最適化されることを可能にする追加の自由度を提供する。
【0018】
図1は、試料102を保持する試料ホルダ128を含むものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100をさらに図解している。例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100はまた、荷電粒子ビーム104が試料102に入射する結果として試料102を通過する荷電粒子を検出するように構成されている検出器130を含むものとして示されている。加えて、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、荷電粒子ビーム104に試料102の表面を走査させるための非点収差補正および走査コイル132を含むものとして図解されている。例えば、スキャンコイル132を動作させることによって、荷電粒子ビーム104の方向は、それが試料102の異なる場所に当たるようにシフトされ得る。例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、試料102と検出器130との間に位置付けられた1つ以上の投影レンズ136をさらに含む。
【0019】
図1はさらに、コンピューティング装置(複数可)134を任意選択的に含むものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100を示している。当業者であれば、図1に示すコンピューティング装置134は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。コンピューティングシステムおよび装置は、コンピュータ、ネットワーク装置、インターネット家電製品、PDA、無線電話、コントローラ、オシロスコープ、増幅器、等を含む、指定された機能を実行することができるハードウェアまたはソフトウェアの任意の組み合わせを含み得る。コンピューティング装置134はまた、図示されていない他の装置に接続され得、または代わりに、スタンドアロンシステムとして動作してもよい。さらに、図示の構成要素により実現される機能は、いくつかの実施態様では、より少ない構成要素に組み合わせることができる、または追加の構成要素に分散させることができる。同様に、いくつかの実施態様では、図示の構成要素のうちいくつかの構成要素の機能は実現されなくてもよい、および/または他の追加機能を利用可能とすることができる。
【0020】
コンピューティング装置(複数可)134は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の構成要素であってもよく、ネットワーク通信インターフェースを介して例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100と通信する例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100とは別個のデバイス、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の構成要素部分である第1のコンピューティング装置134を含んでもよく、それは、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の動作を駆動するコントローラとして作用する(例えば、走査コイル132を動作させることによって、試料102上の走査場所を調整する、等)。このような実施形態では、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100はまた、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100とは別のデスクトップコンピュータである第2のコンピューティング装置134を含んでもよく、それは、検出器134から受信したデータを処理して、試料102の画像を生成する、および/または他のタイプの分析を実施するように実行可能である。コンピューティング装置134は、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチスクリーン、等を介して、ユーザ選択を受信し得る。
【0021】
コンピューティング装置134は、1つ以上のプロセッサがアクセス可能なメモリ(複数可)に格納された命令、アプリケーション、またはプログラムを実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサは、これらに限定されないが、ハードウェア中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)などを含むハードウェアプロセッサを含むことができる。多くの事例では、本技術は本明細書において、1つ以上のプロセッサにより実行されるものとして説明されているが、いくつかの事例では、本技術は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブルロジック装置(CPLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、またはこれらの組み合わせのような1つ以上のハードウェアロジックコンポーネントにより実現することができる。
【0022】
1つ以上のプロセッサにアクセス可能なメモリは、コンピュータ可読媒体の例である。コンピュータ可読媒体は、2つのタイプのコンピュータ可読媒体、すなわちコンピュータ記憶媒体および通信媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータのような情報を格納する任意の方法もしくは技術で実現される揮発性媒体および不揮発性媒体、着脱可能媒体、および着脱不能媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、これらに限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、もしくは他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気ストレージ装置、もしくは所望の情報を格納するために使用することができ、かつコンピューティング装置によりアクセスすることができる任意の他の非伝送媒体を含む。一般に、コンピュータ記憶媒体は、1つ以上の処理装置により実行されると、本明細書において説明される様々な機能および/または操作を実行するようになるコンピュータ実行可能命令を含むことができる。これとは異なり、通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールを具体化する、または搬送波のような変調データ信号の他のデータを具体化する、もしくは他の伝送機構を具体化する。本明細書において定義されるように、コンピュータ記憶媒体は通信媒体を含まない。
【0023】
当業者であれば、項目またはその一部分が、メモリと他のストレージ装置との間で転送されて、メモリ管理およびデータ完全性を確保することができることを理解することもできるであろう。代替的に、他の実施態様では、ソフトウェアコンポーネントのいくつかは、または全ては、別の装置のメモリで実行し得、コンピューティング装置134と通信し得る。システムコンポーネントまたはデータ構造のいくつかは、または全ては、非一時的なコンピュータアクセス可能媒体に格納する、または適切なドライブにより読み取られるポータブル製品に格納することもでき(例えば、命令または構造化データとして)、適切なドライブの様々な例は、上に説明されている。いくつかの実施態様では、コンピューティング装置134とは別のコンピュータアクセス可能媒体に格納されている命令が、無線リンクのような通信媒体を介して伝達される電気信号、電磁信号、もしくはデジタル信号のような伝送媒体または信号を介して、コンピューティング装置134に送信されてもよい。様々な実施態様は、コンピュータアクセス可能媒体に関するこれまでの記述に従って実現される命令および/またはデータを受信する、送信する、または格納することをさらに含むことができる。
【0024】
図2は、補正器および1つ以上のレンズの配置を有する荷電粒子システムの補正器転送光学系の光学的挙動を図解する図200の集まりである。具体的には、図210、220、および230は、そのような荷電粒子システムに存在する収差を検討するための光学的挙動を図解している。
【0025】
図210は、以下の式(1)で使用される有効焦点距離(feff)の意味を明確にする、補正されたSTEMの一般的なスキームを示す。図210、220、および230の各々は、xz平面における荷電粒子ビーム104の軸方向放射線を示し、ここで、z軸は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の放出軸110に対応する。
【0026】
例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の性能を計算するとき、荷電粒子ビーム104の軸方向放射線202は、それが補正器116を離れるとき、放出軸110に平行であり、補正器出射面204は、位置収差がゼロまたは最小である平面に対応する、と仮定することができる。例えば、補正器116が六極子補正器である場合、出射面は、最後の主六極子の中心にある仮想平面である。有効焦点距離(feff)は次のように定義することができる。
【数1】
ここで、試料面206において
【数2】
(αは常に1よりはるかに小さい)、かつxは、補正器出射面204でのx座標である。補正器116と試料102との間に正味の加速または減速がないため、補正器出射面204から試料面206への1次放射線の転送は、行列式=1の追随する転送行列によって左右される。
【数3】
【0027】
図220は、転送レンズなしで対物レンズ120を有する補正されたSTEMの光学スキームを示す。単純化された薄いレンズモデルを使用すると、レンズの効果は式(3)で与えられ、ここで、fは焦点距離、CおよびCはそれぞれ3次および5次の球面収差係数である。
【数4】

式(3)では、下付き文字「in」は入射電子(複数可)を指し、下付き文字「out」は出射電子(複数可)を指し、当然のことながら、両方とも薄いレンズの平面内にある。補正器出射面204の開始時に、補正強度(K)が0よりも大きい場合、次式となる。
【数5】
次に、補正器と対物レンズ120との間のドリフト空間は、次式によって表される。
【数6】
式(5)は、補正器と対物レンズ120との間のこのドリフト空間が3次の位置収差をもたらし、それが次の関係を介して5次の組み合わせ収差を生じさせることを示している。
【数7】
これが、対物レンズ120の作用を引き起こし、試料面206へのその後のドリフトは次のようになる。
【数8】
それゆえ、
【数9】
角度α=-x/fobjに関して、これは次のようになる。
【数10】
したがって、C収差補正は、補正強度が次式に従う場合、達成され、
【数11】
それはx=C5,totalαをもたらし,次の合計5次収差係数を有する。
【数12】
【0028】
図230は、対物レンズ120および転送レンズ124を有する補正されたSTEMの光学スキームを示す。通常、転送レンズ124プラス対物レンズ120の収差は、対物レンズの寄与によって支配される。転送レンズ収差が無視され、Cが、対物レンズ120に対してゼロに等しい最も単純なケースでは、図230に示すように、補正器出射面が対物レンズに結像される場合、合計Cはシステムに対してゼロである。次に、転送光学系は、軸外等方性コマ収差が小さいことを同時に保証し、これは、TEMモードの結像補正器に関連している。実際には、等方性コマ収差ゼロと最適なC5の転送レンズ設定には小さな違いがあるため、どちらがより重要かを決定する必要がある。試料の非平行照射を可能にすることによって、差異(したがってジレンマ)を小さくすることができる。ローレンツTEMモードでは、軸外コマ収差は通常、C5がゼロであるか、C7を最適に相殺する場合に十分に小さくなる。
【0029】
このような光学構成では、対物レンズ平面208に位置収差はなく、したがって、組み合わせCはない。しかしながら、転送レンズの異なる励起では、レンズに位置収差がある。
【数13】
ここで、距離dはどちらかの符号を持つことができ、したがって対応する組み合わせCもどちらかの符号を持つことができる。例えば、図230のシステムがより弱い転送レンズ124を含む場合、より弱い転送124レンズは、(特定の制限内で)対物レンズ120の正のCを補正することができる負の組み合わせCを生成することができる。
【0030】
再び、(焦点距離fを有する)転送レンズ124が、補正器出射面204を対物レンズ120上に正確に結像すると仮定する。これは、f=a-a/Lを意味し、
【数14】
実際には、所与の対物レンズ120について、bおよびLは多かれ少なかれ与えられ、光学設計者は距離aを最適化するのに単一の自由度を有する。これは、光学構成が単一の対物レンズ120に対して最適化されるのを可能にする。しかしながら、そのような構成は、対物レンズ120がオフにされ、別のレンズが機能的な対物レンズとして作用する場合(例示の荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100がローレンツ動作モードで動作する場合など)、もはや最適化されない。
【0031】
したがって、光学システムが標準動作モードおよびローレンツモードの両方に対して最大の補正器116強度K3,maxを使用するには、次のようになる。
【数15】
ここで、下付き文字Lはローレンツモードを指す。さらに、典型的な比率を使用して、ローレンツ動作モードおよび標準動作モードの最適距離間の比率aは、次の関係に基づいて決定できる。
【数16】
ここで、Xは、0.4と0.6の間の値である。したがって、ローレンツ動作モードでの転送レンズ124の最適距離aは、標準動作モードでの最適距離よりも大幅に小さい。いくつかの実施形態では、転送レンズ124のためのaは、式(14)のaよりも小さい。そのような実施形態では、第1の転送レンズおよび第2の転送レンズの両方がローレンツモードで励起される。例えば、好ましい実施形態では、aは、第1の転送レンズ124において荷電粒子ビーム104のクロスオーバが存在するように選択され得、それにより、デフォーカス、C、およびCの調整の間にデカップリングが存在する。
【0032】
非平行ビーム(例えば、試料に面する側で)を有するCs補正器の場合にも、同様の計算を行うことができる。例えば、3次のスロープ収差がなく、負のCsに対応する3次の位置収差のみがある、出射面にビームクロスオーバを有するSTEM Cs補正器。これは最終的に次の結果になる。
【数17】
ここでも、Xは、典型的には0.4と0.6の間の値である。したがって、この場合もまた、ローレンツ動作モードでの転送レンズ124の最適距離aは、標準動作モードでの最適距離よりも大幅に小さい。
【0033】
図1に関する注釈で上述したように、本明細書に開示される例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、補正器116と転送レンズ124との間に追加の転送レンズ126を組み込むことによって、最適距離のこの違いを克服する。この転送レンズ126を含めることは、システムを最適化する追加の自由度を光学設計者に提供し、それにより、標準動作モードおよびローレンツ動作モードの両方においてシステムの性能を最適化する(すなわち、収差を低減および/または補正する)ことを可能にする。このような最適化は、以前の単一転送レンズ構成では不可能であった。
【0034】
図3は、標準動作モードおよびローレンツ動作モードで動作することができるTEMシステム300であるとして例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100を示している。
【0035】
TEMシステム300は、荷電粒子源108によって放出される荷電粒子ビーム104で試料102を照射するように構成されている。図3に図解されているように、荷電粒子ビーム104の経路は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100の動作モードに応じて変化する。例えば、図3は、TEMシステム300が標準動作モードで動作しているときのビーム経路304(a)、およびTEMシステム300がローレンツ動作モードで動作しているときのビーム経路304(b)をたどる荷電粒子ビーム104を示す。加速レンズ112は、荷電粒子ビーム104を試料102に向けて加速/減速、集束、および/または方向付ける。いくつかの実施形態では、TEMシステム300は、荷電粒子ビーム104を、それが試料102に入射するように方向付ける集束カラム306を含む。
【0036】
図3は、試料102によって散乱された軸方向電子105の経路に位置付けられた補正器116を含むものとして、TEMシステム300をさらに図解している。補正器116は、荷電粒子ビーム104の軸(場合によっては軸外)収差を補正するための光学構成要素である。図3では、TEMシステム300は、対物レンズ120、ローレンツレンズ122、第1の転送レンズ124、および第2の転送レンズ126を含む複数のレンズ118の配置を含むものとしてさらに図解されている。いくつかの実施形態では、例示の荷電粒子顕微鏡システム100がローレンツモードで動作しているとき、対物レンズ120はオフにされる。そのような実施形態では、ローレンツレンズ122が、対物レンズのように作用する。ローレンツレンズ122は、対物レンズ120からの荷電粒子ビーム104の発散部分をレンダリングして、それが収束ビームおよび/またはより収束ビームになるようにする光学レンズである。例えば、図3は、ローレンツレンズ122が荷電粒子ビーム104の一部をレンダリングするように図解しており、それにより、それは、(a)TEMシステム300が標準動作モードで動作するときにより収束したビーム、(b)TEMシステム300がローレンツモードで動作するときに収束ビーム、となる。
【0037】
図3に図解されているように、軸方向電子105の経路は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)300の動作モードに応じて変化する。例えば、図3は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)300が標準動作モードで動作しているときの経路105(a)、および例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)300がローレンツ動作モード動作しているときの経路105(b)をたどる軸電子105を示す。
【0038】
図3は、第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126を含むものとして複数のレンズ118の配置をさらに図解している。従来、同様の顕微鏡システムには、単一の転送レンズのみが含まれており、それは、単一の動作モード中に顕微鏡システムの性能を最適化するように、位置付けられ、および/または他の方法で構成された光学特性有していた。加えて、このような単一の転送レンズ配置は、非液浸対物レンズを備えたローレンツ顕微鏡には不適当である。
【0039】
図3は、TEMシステム300を、補正器116を出た後の荷電粒子ビーム104を受け取るように構成されたカメラ302を含むものとしてさらに図解している。カメラ302は、それが受け取る荷電粒子ビーム104の一部に基づいて、試料102の画像を生成し、かつ/または試料102の組成情報を判定するように構成されている。図3はさらに、コンピューティング装置(複数可)134を任意選択的に含むものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100を示している。
【0040】
図4は、標準動作モードおよびローレンツ動作モードで動作することができるSEMシステム400であるとして例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100を示している。図4に図解されているように、荷電粒子ビーム104の経路は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)400の動作モードに応じて変化する。例えば、図4は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100が標準動作モードで動作しているときのビーム経路104(a)、および例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100がローレンツ動作モードで動作しているときのビーム経路104(b)をたどる荷電粒子ビーム104を示す。
【0041】
例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)400は、放出軸110に沿って、かつ加速レンズ112に向けて荷電粒子ビーム104を放出する荷電粒子源108を含む。加速レンズ112は、荷電粒子ビーム104を集束カラム114に向けて加速/減速、集束、および/または方向付ける。集束カラム114は、試料102に入射するように荷電粒子ビーム104を集束させる。加えて、集束カラム114は、荷電粒子ビーム104の収差(例えば、幾何収差、色収差、等)を補正および/または調整する。図4では、集束カラム114は、補正器116および複数のレンズ118の配置を含むものとして図解されている。補正器116は、荷電粒子ビーム104の軸上収差を補正するための光学構成要素である。
【0042】
図4では、集束カラム114は、対物レンズ120、ローレンツレンズ122、第1の転送レンズ124、および第2の転送レンズ126を含む複数のレンズ118の配置を含むものとしてさらに図解されている。いくつかの実施形態では、例示の荷電粒子顕微鏡システム400がローレンツモードで動作しているとき、対物レンズ120はオフにされる。そのような実施形態では、ローレンツレンズ122は、対物レンズのように作用し、荷電粒子ビーム104を試料に集束させる。例えば、図4は、(a)例示の荷電粒子顕微鏡システム400が標準の動作モードで動作するときにより発散性の少ないビームに、および(b)例示の荷電粒子ビーム400がローレンツモードで動作するときに収束ビームに、荷電粒子ビーム104の発散部分をレンダリングするものとしてローレンツレンズ122を図解している。
【0043】
図4は、第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126を含むものとして複数のレンズ118の配置をさらに図解している。本開示によれば、第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126の位置および/または光学特性は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム400の性能が通常の動作モードで最適化されるように最適化され、一方、ローレンツ動作モードでも最適化されている。さらに、いくつかの実施形態では、第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126はまた、単一の転送レンズ構成に対する標準動作モードでの例示的な荷電粒子顕微鏡システム400の改善された性能を提供するように位置付け、および/または他の方法で光学的に構成され得る。
【0044】
図4は、試料102を保持する試料ホルダ128を含むものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)400をさらに図解している。例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)400はまた、荷電粒子ビーム104が試料102に入射する結果として試料102によって放出および/または反射される荷電粒子を検出するように構成されている検出器130を含むものとして示されている。加えて、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100は、荷電粒子ビーム104に試料102の表面を走査させるための非点収差補正および走査コイル132を含むものとして図解されている。図4はさらに、コンピューティング装置(複数可)134を任意選択的に含むものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)400を示している。
【0045】
図5は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実現することができる一連の操作を表わす論理フローグラフのブロックの集まりとして示された例示的なプロセスのフロー図である。ソフトウェアの状況では、ブロックは、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に格納されているコンピュータ実行可能命令を表わし、コンピュータ実行可能命令が1つ以上のプロセッサにより実行されると、列挙される操作を実行するようになる。一般に、コンピュータ実行可能命令は、特定の機能を実行する、または特定の抽象データタイプを実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。操作が記述される順序は、限定として解釈されるべきではなく、任意の数の記述ブロックは、任意の順序で組み合わせる、および/または同時に行われるように組み合わせてプロセスを実現することができる。
【0046】
図5は、荷電粒子顕微鏡システムを使用した複数の動作モードにおいて最適化された性能を有する、試料の構成要素の検査、成膜、ミリング、および/または抽出のためのサンプリングプロセス500を示す。プロセス500は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム(複数可)100、300、および400のいずれかにおいて、および/または上述のコンピューティング装置(複数可)134によって、もしくは他の環境およびコンピューティング装置において実現され得る。
【0047】
502において、荷電粒子システムの動作モードが選択される。例えば、荷電粒子システムは、標準動作モードまたはローレンツ動作モードのいずれかで動作する入力を受け取ることができる。標準動作モードは、試料の構成要素の検査、成膜、ミリング、および/または抽出のために荷電粒子ビームで試料が照射される動作モードに対応する。ローレンツ動作モードは、試料内の磁気誘導の領域を通過する帯電粒子が受ける偏向に基づいて磁気コントラストが生成される結像モードに対応する。
【0048】
502でローレンツ動作モードが選択された場合、プロセスはステップ404に続き、対物レンズは任意選択的にオフにされる。対物レンズがオフにされる実施形態では、ローレンツレンズは、機能的な対物レンズとして作用する。
【0049】
ステップ506において、荷電粒子ビームが荷電粒子源によって放出される。具体的には、荷電粒子ビームは、荷電粒子源によって放出軸に沿って試料に向けて放出される。荷電粒子源は、熱電子源、ショットキー放出源、電界放出源、液体金属イオン源、プラズマイオン源、等を含み得る。放出軸は、荷電粒子源から、かつ試料を通って荷電粒子システムの長さに沿って走る中心軸である。
【0050】
508では、荷電粒子ビームが試料上に集束される。いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームは、それを試料上に方向付ける集束カラムを通過することができる。いくつかの実施形態では、集束カラムは、荷電粒子ビームの軸上収差を補正する補正器(例えば、ローズ(のような)であり得る六極子補正器、またはS-CORR補正器、またはCrewe(のような)の六極子補正器、あるいは四極子-八極子補正器、もしくは任意の他のタイプ)を含み得る。代替的に、荷電粒子システムが透過型顕微鏡である場合、補正器は、試料からのビーム経路の下流に位置付けられてもよい。
【0051】
510において、第1の転送レンズおよび第2の転送レンズが、収差を調整するために使用される。具体的には、第1の転送レンズおよび第2の転送レンズが、荷電粒子システムがローレンツ動作モードにある間、C、C、およびデフォーカスを調整してC収差を最適にバランスさせるために使用される。例えば、荷電粒子システムの補正器は、補正器によって生成された負のCを対物レンズによって生成された正のCに一致させることによって、1つ以上の軸(場合によっては軸外)収差を調整し得る。そのような場合、第1の転送レンズおよび第2の転送レンズは、補正器およびローレンツレンズによるCへの何らかの寄与をゼロに調整し得る。これらの高次の幾何収差を制限することに加えて、第2の転送レンズは、色収差および/または熱磁場ノイズを低減するように位置付けられ、および/または他の方法で光学的に構成され得る。これらの高次の幾何収差を制限することに加えて、いくつかの実施形態では、第2の転送レンズは、主六極子をより高いレベルの励起(例えば、最大励起)に設定することができるように位置付け、および/または他の方法で光学的に構成することができ、これにより、色収差、および/または熱磁場ノイズを低減する。第1および第2の転送レンズの位置および/または光学構成は、荷電粒子システムの性能が標準動作モードおよびローレンツ動作モードの両方で最適化されるように存在する。
【0052】
512において、画像が生成され、および/または試料に関する組成情報が判定される。例えば、カメラまたは他のタイプの検出器を使用して、試料を透過する荷電粒子ビームの一部および/または試料によって反射/放出される荷電粒子を受け取ることができ、かつ、荷電粒子システムに関連付けられたコンピューティング装置は、カメラおよび/またはセンサからのデータに基づいて画像を生成することができる。
【0053】
514において、荷電粒子システムは、その動作モードを変更するための入力を受け取る。荷電粒子システムが標準動作モードで動作していた場合、次に、プロセスはステップ504に続き、荷電粒子システムはローレンツ動作モードで動作する。代替的に、荷電粒子システムがローレンツ動作モードで動作していた場合、プロセスはステップ516に続き、荷電粒子システムは標準動作モードで動作する。ステップ516において、対物レンズが任意選択的にオンにされる。
【0054】
ステップ518において、荷電粒子ビームが荷電粒子源によって放出される。具体的には、荷電粒子ビームは、荷電粒子源によって放出軸に沿って試料に向けて放出される。
【0055】
520では、荷電粒子ビームが試料上に集束される。いくつかの実施形態では、荷電粒子ビームは、それを試料上に方向付ける集束カラムを通過することができる。一部の実施形態では、集束カラムは、荷電粒子ビームの軸上収差を補正する補正器を含み得る。代替的に、荷電粒子システムが透過型顕微鏡である場合、補正器は、試料からのビーム経路の下流に位置付けられてもよい。
【0056】
522では、荷電粒子システムの性能を調整するために、一対の転送レンズが任意選択的に使用される。いくつかの実施形態では、第1の転送レンズおよび第2の転送レンズは、荷電粒子システムの改善された性能を提供するように位置付けられ、および/または他の方法で光学的に構成され得る。例えば、荷電粒子顕微鏡システムの標準動作モードでは、加速電圧にかなりの範囲がある(例えば、30~300kV)。現在の単一転送レンズ構成を有する従来のシステムでは、設計がハイエンドの加速電圧(例えば、300kV)に対して最適化されている場合、設計はローエンドの加速電圧(例えば、30kV)に対して最適ではない。しかしながら、本開示による例示的な荷電粒子システムでは、第2の転送レンズは、荷電粒子システムが加速電圧の全範囲にわたって最適化されることを可能にする追加の自由度を提供する。次に、プロセスはステップ512に続き、画像が生成され、および/または試料に関する組成情報が判定される。
【0057】
図6および図7は、それぞれ、単一の転送レンズ配置を有するシステムおよび複数の転送レンズ配置を有するシステムの光学性能の図解である。図6は、ローレンツ動作モードで動作する単一の転送レンズ構成を有するシステムの光学性能を図解し、この転送レンズの位置は、通常動作モードに対して最適である。図6は、荷電粒子ビーム102の軸方向放射線602のビーム経路、および主六極子の中心にクロスオーバを有する荷電粒子ビーム102の軸外放射線604のビーム経路の両方を示し、補正器116は、特定の加速電圧で動作しているS-CORRである)。図7は、ローレンツ動作モードで動作する複数の転送レンズ配置を有するシステムの光学性能を図解する。図7は、荷電粒子ビーム102の軸方向放射線702のビーム経路、および補正器116が特定の加速電圧で動作している荷電粒子ビーム102の軸外放射線704のビーム経路の両方を示す。図7において、補正器116の主六極子は、中央六極子の非常に小さな励起がA=0をもたらすために必要とされるように励起される。第1の転送レンズ124および第2の転送レンズ126は、C、Cおよびデフォーカスが調整されてC7を最適にバランスさせるように最適に位置付けられている。加えて、3倍収差AおよびDは、Dを最適にバランスさせるように調整されている。
【0058】
本開示による本発明の主題の例は、以下に列挙される段落で説明される。
【0059】
A1.第1の構成のとき標準動作モードで、および第2の構成のときローレンツの動作モードで動作するように構成された荷電粒子顕微鏡であって、
試料に向けて荷電粒子ビームを放出するように構成された荷電粒子源と、
試料を保持するように構成された試料ホルダと、
軸上収差を補正するための補正器と、
補正器と試料ホルダとの間に位置するローレンツレンズと、
ローレンツレンズと試料ホルダの間の対物レンズと、
補正器とローレンツレンズの間に位置付けられた第1の転送レンズと、
補正器と第1の転送レンズとの間に位置付けられた第2の転送レンズと、を備え、
荷電粒子顕微鏡が、標準動作モードで動作する第1の構成と、ローレンツモードで動作する第2の構成との間で切り替わるように構成されている、荷電粒子顕微鏡。
【0060】
A1.1.第2の転送レンズが、
荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しているとき、第1の転送レンズにおける荷電粒子ビームの軸方向放射線のビームクロスオーバを第1の転送レンズの中心に、または中心の近位に生じさせ、
荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているとき、補正器出射面を対物レンズに近い平面に結像する際に、組み合わせ収差Cを最小にするように第1の転送レンズを補助する、ように構成されている、段落A1の荷電粒子顕微鏡。
【0061】
A1.1.1.第1の転送レンズおよび第2の転送レンズが、荷電粒子システムがローレンツ動作モードにある間、C、C、およびデフォーカスを調整して、荷電粒子顕微鏡内のC収差を最適にバランスさせるように位置付けられ、および/または他の方法で構成されている、段落A1.1の荷電粒子顕微鏡。
【0062】
A1.1.2.第2の転送レンズが、荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しているときに、有効焦点距離が所望の補正強度に対して最適になるように位置付けられ、および/または他の方法で構成されている、段落A1.1の荷電粒子顕微鏡。
【0063】
A1.1.2.1.有効焦点距離が、対応する補正強度の合計Cがゼロのときに最適である、段落A1.1.2の荷電粒子顕微鏡。
【0064】
A1.1.2.2.有効焦点距離が、大きくおよび/または最大の補正強度で最適になるように、第2の転送レンズが位置付けられ、および/または他の方法で構成されている、段落A1.1.2~A1.1.2.1のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0065】
A1.1.2.荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているとき、第2のレンズは、補正器出射面を対物レンズまたはその近くの平面に結像する際に第1の転送レンズを補助するように構成されている、段落A1.1~A1.1.1.1のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0066】
A1.1.3.荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているとき、第2の転送レンズが、有効焦点距離が荷電粒子顕微鏡の複数の加速電圧の範囲に対して最適であるように位置付けられ、および/または他の方法で構成されている、段落A1.1~A1.1.2のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0067】
A2.第2の転送レンズは、荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しているとき、荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているときよりも、ローレンツレンズにおける荷電粒子ビームの直径を大きくさせるように構成されている、段落A1~A1.1.3のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0068】
A3.荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているとき、第2の転送レンズは、デフォーカス、CおよびCを低減および/またはゼロにするように結像する際に第1の転送レンズを補助する、段落A1~A2のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0069】
A3.1.転送レンズを補助する第2の転送レンズは、補正器出射面を対物レンズに近い平面に結像する際に第1の転送レンズを補助する第2の転送レンズを備える、段落A3の荷電粒子顕微鏡。
【0070】
A4.第2の転送レンズが、荷電粒子顕微鏡の性能がローレンツ動作モードおよび標準動作モードの両方で最適化されるように位置付けられている、段落A1~A3.1のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0071】
A5.荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しているとき、第2の転送レンズが、荷電粒子ビームを集束させて、1つ以上の球面収差係数を低減および/または調整する、段落A1~A4のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0072】
A5.1.荷電粒子ビームを集束させて1つ以上の球面収差係数を低減および/または調整する第2の転送レンズが、1つ以上の球面収差係数を低減および/または調整するために、第2の転送レンズと協働する補正器、第1の転送レンズ、ローレンツレンズ、および対物レンズのうちの1つ以上をさらに備える、段落A5の荷電粒子顕微鏡。
【0073】
A5.2.1つ以上の球面収差係数を低減および/または調整することが、デフォーカス、C、およびCのうちの1つ以上を最適に調整することを含む、段落A5~A5.1のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0074】
A5.3.荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しており、第2の転送レンズが、荷電粒子ビームを集束させて、5次球面収差係数の低減および/または調整を引き起こす、段落A5~A5.2のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0075】
A5.4.1つ以上の球面収差係数を低減および/または調整することが、1つ以上の球面収差を補償するためにローレンツレンズ内の軸外放射線の位置を調整することを含む、段落A5~A5.3のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0076】
A5.4.1.1つ以上の球面収差係数を低減および/または調整することが、ローレンツレンズ内の軸外放射線の位置をローレンツレンズの中心を通過させるか、またはその近くにさせることを含む、段落A5.4の荷電粒子顕微鏡。
【0077】
A5.4.対物レンズが、ローレンツモードではオフにされ、ローレンツレンズが、機能的な対物レンズとして作用する、段落A5~A5.3.2のいずれかの荷電粒子顕微鏡
【0078】
A6.補正器が、六極子補正器、ROSE補正器、ROSEのような補正器、S-CORR補正器、Crewe補正器、Creweのような補正器、および六極子補正器、および四極子-八極子補正器、である、段落A1~A5.4のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0079】
A7.荷電粒子源が、ショットキーFEGまたは低温FEGを含む、段落A1~A6のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0080】
A8.モノクロメータおよび単純なC補正器の一方または両方をさらに備える、段落A1~A7のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0081】
A8.1.荷電粒子顕微鏡が、モノクロメータおよび単純なCc補正器の両方として作用する、中央平面にナノスリットを有するSplit Wienフィルタを備える、段落A8の荷電粒子顕微鏡。
【0082】
A9.荷電粒子顕微鏡が、透過型電子顕微鏡である、段落A1~A8.1のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0083】
A9.1.試料ホルダが、荷電粒子源と補正器との間に位置付けられている、段落A9の荷電粒子顕微鏡。
【0084】
A10.荷電粒子顕微鏡が、走査型電子顕微鏡である、段落A1~A8.1のいずれかの荷電粒子顕微鏡。
【0085】
A10.1.補正器が、荷電粒子源と試料ホルダとの間に位置付けられている、段落A10の荷電粒子顕微鏡。
【0086】
B1.第1の構成のとき標準動作モードで、および第2の構成のときローレンツ動作モードで動作するように構成された荷電粒子顕微鏡を動作させる方法であって、
荷電粒子源によって荷電粒子ビームを試料に向けて放出させることと、
軸上収差を補正するために、補正器を介して補正することと、
荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しているとき、第2の転送レンズを使用して、第1の転送レンズにおける荷電粒子ビームの軸方向放射線のビームクロスオーバを第1の転送レンズの中心に、またはその近くにさせることと、
荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているとき、第2の転送レンズを使用して、補正器出射面を対物レンズに近い平面に結像する際に、組み合わせ収差Cを最小にするように第1の転送レンズを補助することと、を含む、方法。
【0087】
B1.1.荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しているときに、荷電粒子ビームを集束させることが、第2の転送レンズを使用して第1の転送レンズにおける荷電粒子ビームの軸方向ビームのクロスオーバを第1の転送レンズの中心に、またはその近くにさせることを含み、荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているときに、第2の転送レンズを使用して第1の転送レンズを補助することが、補正器出射面を対物レンズに近い面に結像する際に、第2の転送レンズが第1の転送レンズを補助することを含む、段落B1の方法。
【0088】
B2.ローレンツ動作モードと標準動作モードとの間で切り替えることをさらに含む、段落B1~B1.1のいずれかの方法。
【0089】
B2.1.荷電粒子顕微鏡がローレンツレンズおよび対物レンズを備え、荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作するとき、対物レンズがオフにされ、ローレンツレンズが機能的な対物レンズとして作用する、段落B2の方法。
【0090】
B2.1.1.荷電粒子顕微鏡がローレンツ動作モードで動作しているとき、第2の転送レンズが、ローレンツレンズ内の荷電粒子ビームの軸方向放射線の位置を、荷電粒子顕微鏡が標準動作モードで動作しているときよりもローレンツレンズの中心から遠ざけるように構成されている、段落B2.1の方法。
【0091】
B2.1.2.第1の転送レンズにおける荷電粒子ビームの位置が5次球面収差係数を低減および/または調整するように、第2の転送レンズで荷電粒子ビームを集束させることが、ローレンツレンズにおける軸外放射線の位置をローレンツレンズの中心を通過させないことを含む、段落B2.1~B2.1.1のいずれかの方法
【0092】
B3.荷電粒子顕微鏡の性能が、ローレンツ動作モードおよび標準動作モードの両方で最適化されるように、第2の転送レンズが位置付けられている、段落B1~B2.1.2のいずれかの方法。
【0093】
C1.段落B1~B3のいずれかの方法を実行するための段落A1~A10のいずれかの荷電粒子顕微鏡の使用。
【0094】
D1.1つ以上のプロセッサにより実行されるとき、段落A1~A10のいずれかの荷電粒子顕微鏡に、段落B1~B3のいずれかの方法を実行させる、非一時的なコンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体。
図1
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図7