(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】RFパルス化電子ビームベースのSTEMのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/147 20060101AFI20241126BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20241126BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20241126BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20241126BHJP
【FI】
H01J37/147 A
H01J37/28 C
H01J37/244
G01N23/04 330
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021127667
(22)【出願日】2021-08-03
【審査請求日】2024-06-04
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】エリック レーン キーフト
(72)【発明者】
【氏名】ベルト へニング フレイタグ
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137160(JP,A)
【文献】特開2018-088402(JP,A)
【文献】特開2018-088393(JP,A)
【文献】特開2017-152366(JP,A)
【文献】国際公開第2019/102603(WO,A1)
【文献】特開2015-135833(JP,A)
【文献】特開平10-093425(JP,A)
【文献】特開昭59-105256(JP,A)
【文献】特公昭49-029091(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
G01N 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
RF波で電子ビームをパルス化して、パルス周期を有するパルス化電子ビームを形成することと、
複数の場所でサンプルと相互作用するように前記パルス化電子ビームを移動させることであって、前記複数の場所の各々における前記相互作用が、滞在時間の間発生する、移動させることと、
前記電子ビームの前記パルス化および並進に基づいて、前記パルス化電子ビームの前記サンプルとの前記相互作用のデータ取得を同期させることであって、前記滞在時間が、前記パルス周期の
派生的周波数情報に基づく、同期させることと、を含
み、
前記RF波が、透過型電子顕微鏡(TEM)における交差面で形成される、
方法。
【請求項2】
前記パルス化および前記並進に基づいて、前記電子ビームのデータ取得を前記サンプルと同期させることが、前記複数の場所の各場所で、同数の電子ビームパルスを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記滞在時間が
、パルス周期
の整数倍に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パルス周期の前記
派生的周波数情報が、複数のパルス周期を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データ取得の前記同期化が、RF電子機器からの制御信号に基づいており、前記RF電子機器が、前記RF波を制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記RF電子機器によって制御されるRFキャビティが、前記RF波を形成する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記交差面が、ガンレンズと前記TEMのコンデンサシステムとの間に形成される、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記交差が、前記ガンレンズによって形成される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記TEMが、走査モードで動作している、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス化電子ビームが、50MHz~10GHzの範囲でパルス化される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
装置であって、
光軸に沿って電子ビームを提供するための電子エミッタと、
開口を含む高周波(RF)キャビティであって、前記光軸が前記開口を通って延在するように配置された、RFキャビティと、
前記電子ビームを偏向させるように結合された偏向器と、
少なくとも前記RFキャビティおよび前記偏向器に結合されたコントローラであって、
前記コントローラが、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、
前記RFキャビティ内にRF波を確立することであって、前記RF波が、パルス周期を有するパルス化電子ビームを生成する、確立することと、
前記偏向器を使用して前記パルス化電子ビームを移動させることであって、移動する前記パルス化電子ビームが、滞在時間の間、複数の場所の各場所でサンプルと相互作用する、移動させることと、
前記電子ビームの前記パルス化および前記移動に基づいて、前記パルス化電子ビームの前記サンプルとの前記相互作用のデータ取得を同期させることであって、前記滞在時間が、前記パルス周期の
派生的周波数情報に基づく、同期させることと、を行わせる、コードを含む、非一時的な機械可読媒体を含み、または非一時的な機械可読媒体と結合する、コントローラと、を含
み、
前記RF波が、透過型電子顕微鏡(TEM)における交差面で形成される、
装置。
【請求項12】
前記パルス化電子ビームと前記サンプルとの前記相互作用のデータ取得を同期させるための前記コードが、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、前記複数の場所の各場所で、同数の電子ビームパルスを提供させるコードをさらに含む、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記パルス周期の前記
派生的周波数情報が、複数のパルス周期を含む、請求項
11に記載の装置。
【請求項14】
前記交差面で形成される、前記電子ビームの交差が、前記TEMのガンレンズによって形成される、請求項
11に記載の装置。
【請求項15】
前記TEMが、走査モードで動作している、請求項
11に記載の装置。
【請求項16】
RF波を確立するための前記コードが、前記コントローラによって実行されるとき、前記コントローラに、前記RFキャビティ内に2つのRF波を確立させるコードをさらに含む、請求項
11に記載の装置。
【請求項17】
前記パルス化電子ビームが、50MHz~10GHzの範囲でパルス化される、請求項
11に記載の装置。
【請求項18】
明視野検出器、環状暗視野検出器、および高角度環状暗視野検出器をさらに含む、請求項
11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、荷電粒子顕微鏡学、具体的には、パルス化ビーム荷電粒子顕微鏡学に関する。
【背景技術】
【0002】
非導電性サンプルの電子顕微鏡分析は、電荷の蓄積が引き起こす可能性のある損傷および画像化の影響に起因して、典型的に困難である。例えば、電子ビームによって引き起こされる荷電および放電事象に起因するサンプルの移動は、画質の低下をもたらす。追加的に、生物学的材料などの柔らかい材料は、電子ビームへの曝露に起因して損傷を受ける可能性があり、これにより、画像化および後続の分析が制限され得る。かかる問題を解決するための試みがなされてきたが、これまでの試みは、独自の欠点を有する。かかる試みは、低減された全体的な電子線量、線量率の低減、および極低温電子顕微鏡法を含む。線量および/または線量率を低減させることは、ノイズの多い画像および長い取得時間につながる可能性があり、一方で極低温電子顕微鏡法は、複数のレベルの複雑さおよびコストが加わる。既知の技術を考慮しても、非導電性材料を画像化するための新規の技術が、所望される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に開示されるのは、電子ビームをパルス化し、パルス化された電子ビームを、複数の走査場所においてサンプルを走査することと同期させるためのシステムおよび方法である。例示的な方法は、少なくとも、高周波キャビティで、電子ビームをパルス化して、パルス周期を有するパルス化電子ビームを形成することと、パルス化電子ビームを移動させて、複数の場所でサンプルと相互作用させることであって、複数の場所の各々における相互作用が滞在(dwell)時間の間発生する、相互作用させることと、電子ビームのパルス化および並進に基づいて、パルス化電子ビームとサンプルとの相互作用のデータ取得を同期させることと、を含み、滞在(dwell)時間は、パルス周期の派生物(derivative)に基づく。
【0004】
電子ビームをパルス化し、パルス化電子ビームを複数の走査場所において、サンプルを走査することと同期させるための例示的なシステムは、少なくとも、光軸に沿って電子ビームを提供するための電子エミッタと、開口を含むRFキャビティであって、光軸が開口を通って延在するように配置された、RFキャビティと、電子ビームを偏向するために結合された偏向器と、少なくともRFキャビティおよび偏向器に結合されたコントローラと、を含む。コントローラは、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、RFキャビティ内にRF波を確立することであって、RF波が、パルス周期を有するパルス化電子ビームを生成する、確立することと、偏向器を使用してパルス化電子ビームを移動させることであって、移動するパルス化電子ビームが、滞在(dwell)時間の間、複数の場所の各場所でサンプルと相互作用する、移動させることと、電子ビームのパルス化および移動に基づいて、パルス化電子ビームのサンプルとの相互作用のデータ取得を同期させることであって、滞在(dwell)時間が、パルス周期の派生物(derivative)に基づく、同期させることと、を行わせる、コードを含む、非一時的な機械可読媒体を含み、または非一時的な機械可読媒体と結合する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の一実施形態によるSTEMシステムである。
【
図2】本開示の一実施形態による電子顕微鏡の一部の例示的な図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、例示的な方法である。
【
図4】いくつかのサンプル場所におけるパルス周期と滞在(dwell)時間との関係の図解である。
【
図5】本開示の一実施形態による、例示的な機能的ブロック図である。
【0006】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、サンプル走査が、パルス化電子ビームのパルス速度に同期されるパルス化電子ビームを生成する電子顕微鏡の文脈内で以下に説明される。いくつかの実施形態では、電子顕微鏡は、走査透過電子顕微鏡である。サンプルの走査は、パルス速度に同期され、そのため同数のパルスが、各走査場所でサンプルに適用される。しかしながら、本明細書に記載の方法は一般に、コーンビームシステムおよびパラレルビームシステムの両方を含む広範囲の異なる断層撮影の方法および装置に適用可能であり、特定の装置タイプ、ビームタイプ、対象物タイプ、長さスケール、または走査軌道に限定されないことを理解すべきである。
【0008】
本出願および特許請求の範囲において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数形も含む。追加的に、「含む」という用語は、「備える」を意味する。さらに、「結合された」という用語は、結合された項目間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0009】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。代替的に、本開示は、単独で、ならびに相互の様々な組み合わせおよび部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態のすべての新規でかつ非自明な特徴および態様を対象とする。開示されたシステム、方法、および装置は、任意の特定の態様もしくは特徴またはそれらの組み合わせに限定されず、開示されたシステム、方法、および装置は、任意の1つ以上の特定の利点が存在すべきである、または問題が解決されるべきであることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、および装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0010】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜的な提示のため、特定の順番で記載されているが、以下に記載される具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明様式が並び替えを包含することを理解されたい。例えば、順に記載される動作は、場合によっては、並び替えられるかまたは同時に実施され得る。さらに、単純化のために、添付の図は、開示されたシステム、方法、および装置を、他のシステム、方法、および装置とともに使用することができる様々な方式を示していない場合がある。追加的に、本説明は、時に、開示された方法を説明するために、「生成する」および「提供する」のような用語を使用する。これらの用語は、実施される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施に応じて、様々であり、当業者には容易に認識可能である。
【0011】
いくつかの例では、値、手順、または装置は、「最低」、「最良」、「最小」などと呼ばれる。そのような記載は、多くの使用される機能的選択肢からの選択が可能であることを示すことを意図しており、そのような選択は、他の選択よりも優れている、小さい、または他の点で望ましい必要はないことが理解されよう。
【0012】
透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型TEM(STEM)などの電子顕微鏡(EM)を使用する、生物学的サンプルを含む非導電性サンプルの分析は、サンプル材料自体に起因して妨げられる可能性がある。例えば、EM環境内の非導電性サンプルは、衝突する電子ビームに起因して電荷を蓄積する。しかしながら、かかる電荷の蓄積は、荷電および放電事象によるサンプルのドリフトに起因して、取得された画像の品質を低下させる。かかる電荷の蓄積はまた、電子ビームの経路にも影響を及ぼし、画質に影響を与える。生体サンプルに関して、電荷の蓄積の問題があるだけでなく、電子ビームの照射もまた、サンプルに損傷を与える可能性がある。これらの問題は、すべて画像の質の低下につながり、画像ベース分析の質の低下をもたらし得る。
【0013】
上記のように、これらの問題を解決するために従来の試みが行われているが、それらの試みは、他の望ましくない問題をもたらす。例えば、全体的な線量送達(線量は所与の場所でサンプルに提供される電荷の量および/または合計)を制限することは、電荷および損傷の影響を低減または排除し得るが、また信号比への少ないノイズに起因して、画質の低下をもたらす可能性もある。別の例は、線量送達、例えば、電子ビームがサンプルに電子を提供する速度の減少であるが、そのような画像化戦略は、取得時間の増加をもたらす。このような時間の増加は、非常に望ましくない。クライオEMの使用に関しては、サンプル調製および顕微鏡の両方が、大きく影響を受ける。まず、サンプルは、極低温で冷却されなければならず、これは生物学的サンプルでは扱いにくい場合があり、顕微鏡は、極低温冷却段を含めなければならず、顕微鏡が複雑になり、コストが増加する。クライオEMは、高品質の画像を提供することができるが、このようなサンプル調製およびコストの増加は、多くの使用ケースにおいて所望されない。そのため、非導電性および生物学的サンプルに対処するための新しい技術が、所望される。
【0014】
1つの解決策は、サンプルを調査するために使用される電子ビームを一時的に構造化することである。電子ビームを一次的に構造化するための1つの技術は、電子ビームをパルス化することである。研究によると、一時的に構造化された照明は、単に線量率および/または全体の線量を低減するだけでなく、損傷メカニズムを低減することに有益な影響を有する可能性があることが示される。例えば、生体サンプルを含む非導電性サンプルをパルス化電子ビームで照射するとき、画像の荷電/放電の不安定性(例えば、STEM画像内のジャンプ)を回避できることが示される。
【0015】
電子ビームのパルス化は、高周波(RF)キャビティ、光電子誘導電子エミッタ、高速ビームブランキング、およびそれらの組み合わせを使用することなど、様々な方法で達成することができる。RFキャビティの場合、キャビティ内に確立された1つ以上のRF波は、通過する電子ビームを出力開口全体に掃引して、電子パルスを生成する。電子ビームが開口と位置合わせされるとき、電子ビームは、経路に沿って続くが、RF波が開口から離れる方向に掃引するとき、開口から出ることを停止する。電子ビームをRF波または複数のRF波で移動させるこのプロセスは、所望の周波数およびデューティサイクルのパルス周期を生成することができる。電子ビームパルスの周波数とRF波の周波数との間の関係は、1対1である必要はないが、可能である。例えば、1つの電子ビームパルスは、1つのRF波周期に対して形成され得る。代替的に、1つのRF波周期当たり、2つの電子ビームパルスが形成されてもよい。キャビティ内に複数のRF波、例えば、2つ、を同時に含む実施形態では、存在するRF周波数の派生物(derivative)は、電子ビームパルスの周波数を生成する。かかる実施形態では、派生物(derivative)は、周波数の差または周波数の倍数を含み得る。前述のように、ビームのパルス化は、サンプルの損傷および荷電の影響を低減することに役立ち、線量の低減に起因する画質を改善させる。
【0016】
画質をさらに改善させるために、電子ビームのパルスは、サンプルの走査と同期させることができる。かかる同期は、同数の電子ビームパルスが各走査場所、例えば、ピクセルに送達されることをもたらすことができる。例えば、滞在(dwell)時間、例えば、電子ビームが各走査場所に方向付けられる時間は、同期させることができ、例えば、正確な整数のパルス周期などの所望の数のパルス周期に設定することができる。かかる走査および画像戦略は、各走査ピクセル間で等しい線量分布をもたらすことができ、これは、特にSTEM画像化において、非導電性サンプル上の損傷および荷電/放電の影響を左右する。
【0017】
図1は、本開示の実施形態によるSTEMシステム100である。STEMシステム100、略してシステム100は、集束カラム12に向けて電子ビーム11などの荷電粒子を放出する電子源10を含む。電子ビームは、高エネルギー電子、すなわち、約10keV~1,000keVの典型的なエネルギーを有する電子を生成してもよい。いくつかの実施形態では、集束カラム12は、コンデンサレンズ121、開口122、走査コイル123、および上部対物レンズ124のうちの1つ以上を含むことができる。集束カラム12は、電子源10からの電子をサンプル14上の小さなスポットに集束させる。サンプルの異なる場所は、走査コイル123を介して電子ビームの方向を調整することにより、走査され得る。例えば、走査コイル123を動作させることによって、入射ビーム112は、サンプル14の異なる場所に焦点を合わせるために(破線で示されるように)移されるか、または走査され得る。システム100は、集束カラム12内に配置されたビームブランカ125を追加的に含む。ビームブランカ125は、開口122の前に配置されてもよい。ビームブランカ125は、コントローラ30によって制御されて、(パルス化された)電子ビームを光路から離れて、光軸110の外側の開口122の表面上に偏向させ得る。いくつかの実施形態では、ビームブランカ125は、100kHz~1GHzの周波数で動作させることができる。もちろん、他の動作周波数が、同様に利用される。
【0018】
画像化システムの一次軸110は、電子源10から放出される電子ビームの中心軸であり得る。一次軸110はまた、コンデンサレンズ121の中心軸であり得る。入射ビームが移されないか、または走査されないとき(すなわち、入射ビーム112)、入射ビームは、一次軸110がサンプル14と交差する場所で集束され得る。
【0019】
システム100は、システム100の交差面で配置されたRFキャビティ150をさらに含む。
図1に示される実施形態では、RFキャビティ150は、電子源10の後の第1の交差面で位置付けられる。しかしながら、示される配置は、限定的ではなく、RFキャビティ150は、電子源10とサンプル14との間のシステム100の任意の交差面で位置付けられてもよい。RFキャビティ150は、1つ以上のRF波で通電されて、連続電子ビームからパルス化電子ビームを生成し得る。例えば、RFキャビティ150に入る連続電子ビーム11は、キャビティ内に形成された1つ以上のRF波によって判定されたパルス幅およびパルス周波数を有するパルス化電子ビームとしてキャビティを出てもよい。RFキャビティ150は、電子ビーム11の入口および出口のために、上部および下部の両方に開口を含む。電子パルスを形成するために、RFキャビティ150内部のRF波は、出口開口を横切って電子ビーム11を掃引する。
【0020】
RFキャビティ150は、コントローラ30などのコントローラ、またはRF固有のコントローラ(図示せず)に結合され得る。コントローラは、所望の周波数でキャビティ内に1つ以上のRF波を確立し得る。例えば、例示的な周波数は、1GHz~10GHzの範囲であるが、その範囲外の周波数もまた可能である。所望の動作周波数は、所望のパルス幅および/またはパルス周期に基づいて判定され得る。いくつかの実施形態では、例えば、互いに垂直に配向された2つのRF波は、電子ビームパルスを形成するために共に確立され得る。使用されないとき、RFキャビティ150は、電子ビーム11が入射することなく通過し、パルスが形成されないように、非通電にされてもよい。そのような場合では、システム100は、例えば、連続電子ビーム11でサンプル14を調査することができる。
【0021】
サンプル14は、サンプルホルダ13によって保持され得る。サンプルホルダ13は、サンプルを傾斜および/または並進させることによってサンプル配向を調整し得る。一例として、座標系が、サンプル配向を調整するために画定されてもよく、その結果、入射ビーム112は、画像化システムの一次軸110に沿ってサンプル14上に集束され得る。座標系のz軸は、主軸110に対して平行であり得、xy平面は、z軸に対して垂直な平面であり得る。サンプル14は、x軸の周りまたはy軸の周りを回転することによって、一次軸110に対して傾斜されてもよい。サンプルホルダはまた、サンプル14をx軸、y軸、およびz軸のいずれかに沿って並進させるか、または移してもよい。いくつかの実施形態では、サンプル14は、z軸の周りで回転されてもよい。
【0022】
入射ビーム112に起因してサンプル14を出る電子101は、プロジェクタ16に入ってもよい。一実施形態では、プロジェクタ16は、集束カラムとは別個の部品であってもよい。別の実施形態において、プロジェクタ16は、集束カラム12内のレンズからのレンズ視野の延長部であってもよい。
【0023】
プロジェクタ16は、コントローラ30によって調整され得、その結果、サンプルを通過した直接電子は、円盤状の明視野検出器115に衝突し、一方で、サンプル14によってより強く偏向された回折または散乱電子は、1つ以上の高角度環状暗視野(HAADF)検出器18および/または環状暗視野(ADF)検出器19によって検出される。HAADFおよびADF検出器からの信号は、それぞれ、増幅器20および増幅器21によって増幅され得、一方、明視野検出器115からの信号は、増幅器22によって増幅され得る。増幅器20、21、および22からの信号は、画像処理装置24に送信され得、検出された電子からサンプル14の画像を形成することができる。HAADF検出器18、ADF検出器19、および明視野検出器115の各々は、シンチレータ光電子増倍管検出器、固体PIN検出器、または金属板であり得る。STEMシステム100は、1つ以上のADF検出器、ADF検出器、およびHAADF検出器からの信号を同時に検出し得る。
【0024】
コントローラ30は、オペレータの命令に応答して手動で、または非一時的メモリ32内に格納されたコンピュータ可読命令に従って自動的に、のいずれかで、画像化システム100の動作を制御し得る。コントローラ30は、本明細書に記載の方法のいずれかを実装するために、コンピュータ可読命令を実行し、画像化システム100の様々な構成要素を制御するように構成することができる。例えば、コントローラは、走査コイル123を操作することによって、サンプル上のビーム場所を調整し得る。コントローラは、集束カラム12内の1つ以上の開口および/またはレンズを調整することによって、入射ビームのプロファイルを調整し得る。コントローラは、サンプルホルダ13を傾斜させることにより、入射ビームに対するサンプル配向を調整し得る。コントローラは、サンプルホルダ13を並進させることにより、入射ビームに対してサンプルを移してもよい。コントローラ30は、RFキャビティ150および制御ビームブランカ125内にRF波を確立し得、さらに、コントローラ30は、各走査場所での滞在(dwell)時間などのパルス化電子ビームの走査を、パルス化電子ビーム112の周波数と同期させ得、その結果、同じまたは同様の数のパルスが、各走査場所に向かって方向付けられる。コントローラ30は、通知および/またはサンプルの画像を表示するためにディスプレイ31にさらに結合されてもよい。コントローラ30は、ユーザ入力デバイス33からユーザ入力を受信し得る。ユーザ入力デバイス33は、キーボード、マウス、またはタッチスクリーンを含み得る。
【0025】
動作中、システム100は、RFキャビティ150および集束カラム12を介してサンプル14に向けて電子ビーム11を放出する。サンプル14を画像化するために、走査コイル123は、パルス化電子ビームを、サンプル14の表面上のピクセルとも呼ばれる異なる場所に移動させ、各ピクセル場所の画像を提供する。各場所で、パルス化電子ビーム11は、滞在(dwell)時間の間留まることができる。いくつかのサンプルタイプに関して、上記で考察されるように、電子ビームが、損傷し得るため、露光時間、例えば、線量を制限することが望ましい。かかるサンプルに関して、走査コイル123は、RF制御信号と同期され得、その結果、所望の数のパルスが、各場所に提供される。いくつかの実施形態では、同じ数のパルスが各場所で提供され、その結果、各場所での線量が等しい。いくつかの実施形態では、滞在(dwell)時間は、所望の整数の電子ビームパルスに基づき得る。いくつかの実施形態では、ビームブランカ135は、RFキャビティ150よりも低い周波数で、パルス化電子ビーム12を形成するために使用されてもよい。ビームブランカ125の使用は、パルス化電子ビーム12の全周波数範囲に延在する。追加的に、走査コイル123の制御は、所望のパルス周期を形成するRF制御信号に基づいてもよく、その結果、走査コイルが、電子ビームを各場所まで移動させ、パルスの位相、例えば、滞在(dwell)時間の開始から最初に到達する電子パルスまでの遅延などは、パルスが誤って失われることがないようにし、したがって、各場所が、同じ数のパルスを受信することを保証する。次いで、各場所からの画像データは、組み合わされて、例えば、サンプル14のSTEM画像を形成してもよい。
【0026】
STEMシステムは、例として記載されるが、開示された技術は、任意のタイプの荷電粒子カラムにおいて電子ビームパルスを形成するために使用され得ることを理解されたい。STEM画像化の本考察は、単に1つの好適な画像化モダリティの実施例として提供される。
【0027】
図2は、本開示のある実施形態による、電子顕微鏡200の一部の例示的な図である。電子顕微鏡(EM)200は、例えば、STEMシステム100の一部であり得るか、または任意のタイプの電子ベースの顕微鏡の一部であり得る。実施形態に関係なく、EM200は、少なくとも、電子源210、RFキャビティ250、集束構成要素212、およびコントローラ230を含む。EM200は、開口プレートまたは開口122およびビームブランカ125などのビームブランカを示さないが、そのような構成要素もまた、含めることができる。EM200は、例えば、連続電子ビームからパルス化電子ビームを生成し、パルス化電子ビームをサンプルに方向付けるように構成される。
【0028】
電子源210は、少なくとも電子エミッタ260およびガンレンズ262を含み得る。電子エミッタ260は、Schottky、電界放出、冷電界放出、熱など、現在既知の、または将来開発される任意のタイプのエミッタであり得る。エミッタ210は、ガンレンズ262によって収集される電子ビーム211Aを生成し得る。ガンレンズ262は、電子ビーム211Aを受信し、集束構成要素212に向けて送達するように調節するために結合された1つ以上の光学構成要素を有し得る。ガンレンズ262は、ガンレンズ262と集束構成要素212との間の平面で電子ビーム211Aを集束させるように通電され得る。かかる平面は、交差平面と称されてもよく、電子ビーム211Aが、点、点Yに来る場所によって示される。
図2に関して、電子ビーム211Aが交差する点Y自体は、RFキャビティ250と一致する。
【0029】
従来、電子顕微鏡は、電子光学がどのように配置および通電されるかに応じて、カラムに沿って複数の交差点を有し得、電子ビームは、収束角として既知の異なる角度で各交差面に近づき得る。例えば、電子ビーム211Aは、点Yに近づくにつれて収束角αを有する。前述のように、角度αは、変化する可能性があり、後続の交差面では、第1の交差面のそれよりも大きくなる可能性がある。ソース210とサンプルとの間の任意の交差面は、RFキャビティ250を位置付けるために使用され得ながら、初期交差点YにおいてRFキャビティ250を位置付けることは、角度が比較的小さいので、実装を容易にし得る。かかる比較的小さい角度は、RFキャビティ250の設計要件を緩和して、すべての電子ビームが十分に掃引され、開口252などの開口を出力することを確実にし得る。
【0030】
RFキャビティ250は、キャビティを完全に貫通して延在する開口252を含み得る。開口252は、電子ビーム211Aが通過し、RFキャビティ250内に確立された1つ以上のRF波によって操作されることを可能にする。RFキャビティ250は、パルス化電子ビームを生成するために所望される1つ以上のRF波を確立するために、コントローラ230に結合された1つ以上のアンテナを含み得る。1つ以上のRF波は、開口252上で電子ビーム211Aを掃引して、パルス化電子ビーム211Bを形成し得る。例えば、電子ビーム211Aが開口252を通過するとき、電子ビームは、EM200光軸に沿って伝播し続ける。しかしながら、RF波が電子ビーム211Aを開口252から離れて移動させる際、次いで、電子ビーム211Aは、光軸に沿って伝播し続けることはない。電子ビーム211Aを所望の周波数で開口252上に移動させることにより、パルス化電子ビーム211Bが、形成される。RF波の周波数は、パルス化電子ビーム211Bのパルス周期を判定する。例えば、1つの電子パルスは、1対1の周波数変換を生成するであろう、1つのRF波周期によって生成され得る。代替的に、2つの電子パルスが、1つのRF波周期によって生成されてもよく、これにより、パルス化電子ビームの周波数がRF波の周波数から2倍になり得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のRF波が確立され得、それらのそれぞれの周波数は、異なるパルス周期およびデューティサイクルのパルス化電子ビーム211Bを生成することができる。かかる実施形態では、パルス化電子ビーム211Bの周波数は、派生物(derivative)、例えば、それらの間の差、またはその倍数、2つ以上のRF波の周波数であろう。
【0031】
集束構成要素212は、少なくともコンデンサレンズ221および走査コイル223を含み得る。コンデンサレンズ221は、静電レンズ、アブ電磁レンズ、またはそれらの組み合わせである。レンズ221は、RFキャビティ250を出た後のパルス化電子ビーム211Bを受信し、パルス化電子ビーム211Bを調節するように配置される。電子ビーム211Bの調節は、例えば、視準、集束、非点補正、またはそれらの組み合わせを含み得る。もちろん、パルス化電子ビーム211Bに他の変更を加えてもよい。
【0032】
走査コイル223は、コントローラ230に結合された静電コイルまたは電磁コイルであり得る。走査コイル223を所望のパターンで荷電することにより、パルス化電子ビーム211Bの軌道は、サンプル14などのサンプル上に所望の場所で衝突するように操作され得る。追加的に、走査コイル223への後続の制御信号を遅延させることが、所望の滞在(dwell)時間を設定し得る。このように、走査コイルは、パルス化電子ビーム211Bがサンプルと相互作用する場所および時間を制御する。さらに、パルス化電子ビーム211Bがサンプルと相互作用する場所のシーケンスもまた、コントローラであり得る。例えば、パルス化電子ビーム211Bは、例えば、蛇行パターンでサンプルを横切ってラスタされ得るか、またはサンプル上のいくつかの異なる、かつランダムな場所に方向付けられてもよい。
【0033】
動作中、コントローラ230は、RFキャビティ250内に確立された1つ以上のRF波を制御し、ならびに走査コイル223を制御する。走査コイル223およびRFキャビティ250の制御は、別個に実施され得ながら、走査コイル223の制御をRFキャビティ250の制御に基づくことにより、同数のパルスが、サンプル上の各走査場所に提供されることを確実とし得る。例えば、コントローラ230は、RFキャビティ250内にRF波を確立し、これは、パルス周期およびタイミングを判定する。次いで、かかる情報を使用して、走査コイル223は、パルス化電子ビーム211Bをある場所から次の場所に移動させ得、その結果、所望の数のパルスが、各走査場所に提供される。
【0034】
図3は、本開示の実施形態による、例示的な方法301である。方法301は、各場所が、同じまたは同様の数のパルスを受信するように、サンプル上の場所のパルス化電子ビーム露光を同期させるプロセスを概説する。方法300は、例えば、STEMシステム100またはEM200などの電子顕微鏡で実施することができる。
【0035】
方法301は、電子ビームをパルス化してパルス化電子ビームを形成することを含む、プロセスブロック303で始まる。電子ビームパルスを形成することは、例えば、RFキャビティ150または250などのRFキャビティを使用して実施され得る。かかる実施形態では、
図1および
図2に関して上記に記載されるように、RFキャビティは、電子顕微鏡の交差面において位置付けられ得る。例えば、電子源の後の第1の交差面である。しかしながら、パルス化電子ビームを提供するための任意の既知の技術もまた、機能し、本明細書で企図されることに留意されたい。例えば、パルス化電子ビームは、パルス化光学エネルギーを受信して、パルス化電子ビームを生成する光電子源を使用して生成されてもよい。代替的に、ビームブランカが、連続電子ビームからパルス化電子ビームを生成するために使用されてもよい。追加的または代替的に、技術の組み合わせが、所望の幅および/または周期のパルスを取得するために使用されてもよい。さらに、パルスの所望の周波数は、最良のパルス生成技術の情報を与えてもよい。例えば、100KHz~1GHzの範囲のパルスがビームブランカを使用して生成され得る場合、一方で1GHzを上回るパルスは、RFキャビティまたは光電子源を使用して生成され得る。明らかに、複数のパルス生成技術を利用することにより、広範囲の周波数が、取得され得る。
【0036】
プロセスブロック303は、複数の場所でサンプルと相互作用するようにパルス化電子ビームを移動させることを含む、プロセスブロック305が続く場合がある。各場所で、パルス化電子ビームは、滞在(dwell)時間の間留まる。滞在(dwell)時間は、サンプルが各場所で受信する電子線量の量、ならびに電子パルスの数を判定する。複数の場所は、ランダムに、指定された順序で、またはラスタパターンを使用して順次など、任意の順序で標的化され得る。
【0037】
プロセスブロック305は、電子ビームのパルスおよび並進に基づいて、パルス化電子ビームとサンプルとの相互作用のデータ取得を同期させることを含む、プロセスブロック307が続く場合があり、滞在(dwell)時間は、パルス周期の派生物(derivative)に基づく。同期は、例えば、各場所が、同じまたは同様の数の電子パルスを受信することを確実にし得る。少数、例えば、10以下のパルスを各走査場所に提供する実施形態では、各場所での線量がほぼ等しくなることを確実とするために、同じ数のパルスが送達されることが望ましい。他方、より多くの数のパルスが各走査場所に提供される場合、例えば、10を超える場合、次いで、増分電荷は有害ではないので、各走査場所に提供されるパルスの数は、正確である必要はない。
【0038】
図4は、いくつかのサンプル場所でのパルス周期と滞在(dwell)時間との関係の図解401である。図解401は、下軸に沿った時間の単位を含み、パルス化電子ビームおよび3つの走査場所(A、B、およびC)を示す。図に示されるように、各走査場所は、3つの電子ビームパルスを受信する。パルス間で、走査場所は、後続の場所に移動される。3つのパルスのみが、各場所で受信されるように示されるが、かかる数は、例解のためだけのものであり、任意の数のパルスが、各走査場所において送達され得る。例えば、各走査場所は、1桁の数のパルス、数十のパルス、数百のパルス、数千のパルスなどを受信することができる。概して、パルスの数は、パルス速度および滞在(dwell)時間の積である。さらに、前述のように、各走査場所が、同じまたは同様の数のパルスを受信することが望ましい。
【0039】
図5は、本開示の一実施形態による、例示的な機能ブロック
図500である。
図5は、本開示の一実施形態を実装するために使用され得るコンピュータシステム500を例解する、ブロック図である。コンピューティングシステム500は、コントローラ30/230などの、システム100および/またはEM200に含まれるコンピューティングハードウェアの一例であり得、メモリ32を組み込み、例えば、ディスプレイ31およびユーザ入力デバイス33に結合され得る。コンピュータシステム500は、少なくとも、情報を処理するためのコア530などのハードウェアプロセッサを含み、通信バスに結合され得る。コンピューティングシステム500は、方法301などの、本明細書に開示される方法および技術を実装するために使用され得、また、パルス化電子ビームのパルス周期とサンプルの走査の同期に基づいて、画像を取得するために使用され得る。
【0040】
コンピュータシステム500はまた、コア530によって実行される情報および命令を記憶するためにバスに結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスなどの、メインメモリ532を含む。メインメモリ532はまた、コア530によって実行される命令の実行中、一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用され得る。かかる命令は、コア530にアクセス可能な非一時的記憶媒体内に記憶されるとき、コンピュータシステム500を、命令で指定された動作を実施するようにカスタマイズされた専用マシンにレンダリングする。メインメモリ532は、メモリ32であっても、メモリ32とは別個のものであってもよい。
【0041】
コンピュータシステム500は、コア530のための静的情報および命令を記憶するためにバスに結合された、読み取り専用メモリ(ROM)534または他の静的記憶デバイスをさらに含む。磁気ディスクまたは光学ディスクなどの記憶デバイス536が、提供され、情報および命令を記憶するためのバスに結合される。
【0042】
コンピュータシステム500は、情報をコンピュータユーザに表示するための、ディスプレイ31などのディスプレイにバスを介して結合されてもよい。英数字キーおよび他のキーを含む入力デバイス33は、コア530に情報およびコマンド選択を通信するためのバスに結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報および命令選択をコア530に通信するため、およびディスプレイ上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御である。この入力デバイスは通常に、デバイスが平面内の位置を指定することを可能にする、二つの軸、すなわち、第1の軸(例えば、「x」)および第2の軸(例えば、「y」)における2つの自由度を有する。
【0043】
コンピュータシステム500は、カスタマイズされたハードワイヤードロジック、1つ以上のASICまたはFPGA、ファームウェアおよび/またはコンピュータシステムと組み合わせてコンピュータシステム500を専用マシンにするプログラムロジックを使用して、本明細書に記載の技術を実装してもよい。一実施形態によれば、本明細書の技術は、メインメモリ532内に収容される1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するコア530に応答して、コンピュータシステム500によって実施される。そのような命令は、記憶デバイス536などの別の記憶媒体からメインメモリ532に読み込まれてもよい。メインメモリ532内に収容される命令のシーケンスの実行は、コア530に、本明細書に記載される処理工程を実施させる。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用してもよい。
【0044】
本明細書で使用される「記憶媒体」という用語は、マシンを特定の方法で動作させるデータおよび/または命令を記憶する任意の非一時的媒体を表す。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス536のような、光または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ532のような動的メモリを含む。記憶媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープもしくは他の磁気データ記憶媒体、CDーROM、任意の他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを持つ任意の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASHーEPROM、NVRAM、任意の他のメモリチップもしくはカートリッジ、連想メモリ(CAM)、および三値連想メモリ(TCAM)を含む。
【0045】
記憶媒体は、伝送媒体とは異なるが、伝送媒体と連動して使用され得る。伝送媒体は、記憶媒体間の情報の転送に関与する。例えば、伝送媒体は、バス640を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。伝送媒体はまた、電波および赤外線データ通信中に生成されるものなど、音響波または光波の形態を取ることもできる。
【0046】
様々な形態の媒体が、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを、実行のためにコア530に搬送することに関与し得る。例えば、命令は、最初は遠隔コンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリにロードして、ネットワークを介して命令を送信することができる。
【0047】
コンピュータシステム500は、バスに結合された通信インターフェース538も含む。通信インターフェース538は、ローカルネットワークに接続されたネットワークリンク(図示せず)に結合される双方向データ通信を提供する。例えば、通信インターフェース538は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、または対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を提供するモデムであり得る。別の例として、通信インターフェース538は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。無線リンクの実装であってもよい。そのような実装では、通信インターフェース538は、様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、または光信号を送受信する。
【0048】
コンピュータシステム500は、ネットワーク、ネットワークリンク、および通信インターフェース538を通じて、メッセージを送信し、プログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの実施例では、サーバは、ISP、ローカルネットワーク、および/または通信インターフェース538を介して、インターネット666を通じるアプリケーションプログラムに対して要求されたコードを送信してもよい。
【0049】
受信されたコードは、受信された際にコア530によって実行されてもよく、および/または後の実行のために記憶デバイス536もしくは他の不揮発性記憶装置内に記憶されてもよい。
【0050】
開示された技術を例示するために本明細書で考察された実施形態は、限定するものと見なされるべきではなく、実装の例を提供するにすぎない。当業者は、本明細書で意図され、本開示の範囲内にある、開示された技術を実装し得る他の無数の方式を理解するであろう。
【0051】
パルス化電子ビームを生成し、パルス化電子ビームのパルス周期に基づくデータ取得を同期させるための例示的な方法は、RF波で、電子ビームをパルス化して、パルス周期を有するパルス化電子ビームを形成することと、パルス化電子ビームを移動させて、複数の場所でサンプルと相互作用させることであって、複数の場所の各々における相互作用が滞在(dwell)時間の間発生する、相互作用させることと、電子ビームのパルス化および並進に基づいて、パルス化電子ビームとサンプルとの相互作用のデータ取得を同期させることと、を含み、滞在(dwell)時間は、パルス周期の派生物(derivative)に基づく。
【0052】
パルス化および並進に基づいて、電子ビームのデータ取得をサンプルと同期させる例示的な方法は、複数の場所の各場所に同数の電子ビームパルスを提供することを含む。
【0053】
滞在(dwell)時間が、整数のパルス周期に等しい、上記の例示的な方法。
【0054】
パルス周期の派生物(derivative)が、複数のパルス周期を含む、上記の例示的な方法。
【0055】
データ取得の同期化が、RF電子機器からの制御信号に基づいており、RF電子機器が、RF波を制御する、上記の例示的な方法。
【0056】
RF電子機器によって制御されるRFキャビティが、RF波を形成する、上記の例示的な方法。
【0057】
RF波が、透過型電子顕微鏡(TEM)における交差面で形成される、上記の例示的な方法。
【0058】
交差面が、ガンレンズとTEMのコンデンサシステムとの間に形成される、上記の例示的な方法。
【0059】
交差が、ガンレンズによって形成される、上記の例示的な方法。
【0060】
TEMが、走査モードで動作している、上記の例示的な方法。
【0061】
パルス化電子ビームが、50MHz~10GHzの範囲でパルス化される、上記の例示的な方法。
【0062】
上記の例示的な方法の代替的な実施形態では、ビームブランカが、パルス化電子ビームを生成するために、RF波の代わりに、またはRF波に加えて、使用される。
【0063】
パルス化電子ビームを生成し、パルス化電子ビームのパルス周期に基づいて、データ取得を同期させるための例示的なシステムは、光軸に沿って電子ビームを提供するための電子エミッタと、開口を含むRFキャビティであって、光軸が開口を通って延在するように配置された、RFキャビティと、電子ビームを偏向するために結合された偏向器と、少なくともRFキャビティおよび偏向器に結合されたコントローラと、を含む。コントローラは、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、RFキャビティ内にRF波を確立することであって、RF波が、パルス周期を有するパルス化電子ビームを生成する、確立することと、偏向器を使用してパルス化電子ビームを移動させることであって、移動するパルス化電子ビームが、滞在(dwell)時間の間、複数の場所の各場所でサンプルと相互作用する、移動させることと、電子ビームのパルス化および移動に基づいて、パルス化電子ビームのサンプルとの相互作用のデータ取得を同期させることであって、滞在(dwell)時間が、パルス周期の派生物(derivative)に基づく、同期させることと、を行わせる、コードを含む、非一時的な機械可読媒体を含み、または非一時的な機械可読媒体と結合する。
【0064】
パルス化電子ビームとサンプルとの相互作用のデータ取得を同期させるためのコードが、コントローラによって実行されるとき、コントローラに複数の場所の各場所で、同数の電子ビームパルスを提供させるコードをさらに含む、上記のような例示的なシステム。
【0065】
パルス周期の派生物(derivative)が、複数のパルス周期を含む、上記の例示的なシステム。
【0066】
RF波が、透過型電子顕微鏡(TEM)における交差面で形成される、上記のような例示的なシステム。
【0067】
交差面で形成される、電子ビームの交差が、TEMのガンレンズによって形成される、上記のような例示的なシステム。
【0068】
TEMが、走査モードで動作している、上記のような例示的なシステム。
【0069】
RF波を確立するためのコードが、コントローラによって実行されるとき、コントローラに、RFキャビティ内に2つのRF波を確立させるコードをさらに含む、上記のような例示的なシステム。
【0070】
パルス化電子ビームが、50MHz~10GHzの範囲でパルス化される、上記のような例示的なシステム。
【0071】
明視野検出器、環状暗視野検出器、および高角度環状暗視野検出器をさらに含む、上記のような例示的なシステム。
【0072】
上記の例示的なシステムの代替的な実施形態では、ビームブランカが、パルス化電子ビームを生成するために、RF波の代わりに、またはRF波に加えて、使用される。