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特許7592977重合性化合物、重合性混合物、重合性組成物、高分子、光学フィルム、光学異方体、偏光板、表示装置、反射防止フィルム、化合物、および混合物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】重合性化合物、重合性混合物、重合性組成物、高分子、光学フィルム、光学異方体、偏光板、表示装置、反射防止フィルム、化合物、および混合物
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/34 20060101AFI20241126BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C08F220/34
G02B5/30
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020060974
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021161143
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【弁理士】
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】佐貫 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】坂本 圭
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109066(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123586(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/104317(WO,A1)
【文献】特開2018-031008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/34
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で示される重合性化合物。
【化1】
・・・式(I)
〔式(I)中、ArA1は、置換基を有していてもよい下記式(II-1)または式(II-4)で表される基であり、
【化2】
式(II-1)および(II-4)中、D’は、-C(R)=N-N(R)R、-C(R)=N-N=C(R)R、または、-C(R)=N-N=Rを表し、
は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基を表し、
は、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する有機基を表し、
は、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する有機基を表し、
式(II-4)中、Yは、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
式(II-4)中、Xaは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の有機基を表し、
pは、2~3の整数を表し、
x、yは、それぞれ独立して0~2の整数を表し、xとyが同じ値となる場合は2のみを表し、
tは、0または1を表し、
A1およびZA2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-O-CH-CH-、-CH-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-、-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表し、
21は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1、AA2、BA1、およびBA2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
A1~YA4は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR32-C(=O)-、-C(=O)-NR32-、-O-C(=O)-O-、-NR32-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR32-、または、-NR32-C(=O)-NR33-を表し、R32およびR33は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1およびGA2は、それぞれ独立して、炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH-)の1以上が-O-または-C(=O)-に置換された2価の基のいずれかの2価の有機基であり、GA1およびGA2の前記2価の有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよく(但し、GA1およびGA2の両末端のメチレン基(-CH-)が-O-または-C(=O)-に置換されることはない。)、かつ
A1およびPA2は、それぞれ独立して、重合性基を表す。〕
と、
下記式(IV)で示される重合性化合物とを含む重合性混合物。
【化3】
・・・式(IV)
〔式(IV)中、ArB1は、置換基を有していてもよい下記式(V-1)または式(V-4)で表される基であり、
【化4】
B1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2は、それぞれ、ZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2と同じ意味を表し、
D’、Y、Xa、tは、前記と同じ意味を表す。〕
【請求項2】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された前記式(I)で示される重合性化合物の面積値が、前記式(I)で示される重合性化合物、及び前記式(IV)で示される重合性化合物の面積値の総和に対して0.01%以上50%以下である、請求項1に記載の重合性混合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の重合性混合物、および重合開始剤を含有する、重合性組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の重合性混合物、または請求項に記載の重合性組成物を重合して得られる、高分子。
【請求項5】
請求項4に記載の高分子を構成材料とする、光学フィルム。
【請求項6】
請求項4に記載の高分子を構成材料とする層を有する、光学異方体。
【請求項7】
請求項6に記載の光学異方体および偏光フィルムを含む、偏光板。
【請求項8】
請求項7に記載の偏光板を備える、表示装置。
【請求項9】
請求項7に記載の偏光板を含む、反射防止フィルム。
【請求項10】
下記式(Z)で示される化合物
【化5】
・・・式(Z)
〔式中、ArA2は、置換基を有していてもよい下記式(Z-1)または式(Z-4)で表される基であり、
【化6】
式(Z-4)中、Yは、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
式(Z-4)中、Xaは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の有機基を表し、
pは、2~3の整数を表し、
x、yは、それぞれ独立して0~2の整数を表し、xとyが同じ値となる場合は2のみを表し、
tは、0または1を表し、
A1およびZA2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-O-CH-CH-、-CH-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-、-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表し、
21は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1、AA2、BA1、およびBA2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
A1~YA4は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR32-C(=O)-、-C(=O)-NR32-、-O-C(=O)-O-、-NR32-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR32-、または、-NR32-C(=O)-NR33-を表し、R32およびR33は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1およびGA2は、それぞれ独立して、炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH-)の1以上が-O-または-C(=O)-に置換された2価の基のいずれかの2価の有機基であり、GA1およびGA2の前記2価の有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよく(但し、GA1およびGA2の両末端のメチレン基(-CH-)が-O-または-C(=O)-に置換されることはない。)、かつ
A1およびPA2は、それぞれ独立して、重合性基を表す。〕
と、
下記式(Z’)で示される化合物とを含む混合物。
【化7】
・・・式(Z’)
〔式中、ArB2は、置換基を有していてもよい下記式(Z’-1)または式(Z’-4)で表される基であり、
【化8】
B1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2は、それぞれ、ZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2と同じ意味を表し、
、Xa、tは、前記と同じ意味を表す。〕
【請求項11】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された前記式(Z)で示される化合物の面積値が、前記式(Z)で示される化合物、及び前記式(Z’)で示される化合物の面積値の総和に対して0.01%以上50%以下である、請求項10に記載の混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性化合物、重合性混合物、重合性組成物、高分子、光学フィルム、光学異方体、偏光板、表示装置、反射防止フィルム、化合物、および混合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置等の各種装置において用いられている位相差板には、直線偏光を円偏光に変換する1/4波長板や直線偏光の偏光振動面を90度変換する1/2波長板等がある。これらの位相差板は、ある特定の単色光に対しては正確に光線波長のλ/4あるいはλ/2の位相差を与えることが可能なものである。
ものである。
【0003】
しかしながら、従来の位相差板には、位相差板を通過して出力される偏光が有色の偏光に変換されてしまうという問題があった。これは、位相差板を構成する材料が位相差について波長分散性を有し、可視光域の光線が混在する合成波である白色光に対しては各波長ごとの偏光状態に分布が生じることから、入力光を全ての波長領域において正確な1/4λあるいは1/2λの位相差の偏光に調整することが不可能であることに起因する。
【0004】
このような問題を解決するため、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差板、いわゆる逆波長分散性を有する位相差板が種々検討されている。
【0005】
一方、モバイルパソコン、携帯電話等携帯型の情報端末の高機能化および普及に伴い、フラットパネル表示装置の厚みを極力薄く抑えることが求められてきている。その結果、構成部材である位相差板の薄層化も求められている。
【0006】
薄層化の方法としては、低分子重合性化合物を含有する重合性組成物をフィルム基材に塗布して光学フィルムを形成することにより位相差板を作製する方法が、近年では最も有効な方法とされている。そのため、優れた逆波長分散性を有する光学フィルムを形成可能な重合性化合物またはそれを用いた重合性組成物の開発が多く行われている。
【0007】
そして、例えば特許文献1には、複屈折率(Δn)が大きく、薄膜化が可能である位相差フィルムの材料となる重合性化合物および重合性組成物が記載されている。特許文献2には、保存安定性が高い重合性化合物、および配向ムラが少ない重合性組成物が記載されている。特許文献3および4には、逆波長分散性に優れる光学フィルムを形成可能であると共に、加工に適した低い融点を有して基材に塗布することが容易であり、液晶性を示す温度範囲が広く、更に安価で合成可能な重合性化合物および重合性組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-73496号公報
【文献】国際公開第2016/104317号
【文献】国際公開第2014/010325号
【文献】国際公開第2014/061709号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
重合性化合物を含有する重合性組成物を用いて工業的生産規模で光学フィルムや光学異方体(以下、両者を合わせて「光学フィルム等」と称することがある。)を製造する場合には、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得ることに加え、広い製造条件許容度(プロセスマージン)が必要となる。
特に、大面積での面内均一塗布を可能にする液晶相の安定性向上(第一の課題)、塗工の最初から最後まで光学フィルム等の品質を一定に保つための重合性組成物の安定性向上(第二の課題)は産業上の製造においては極めて重要な課題である。以下に、それぞれを詳細に説明する。
【0010】
第一の課題:重合性組成物を大面積で塗工して光学フィルム等を工業的生産規模で製造する際には、乾燥炉内の温度や時間条件を完全に均一にすることは困難であるため、温度や時間などの製造条件に対しての許容度は、光学フィルム等の歩留まりに大きく影響を与える。
しかし、従来の重合性化合物および重合性組成物では、液晶相をより安定に長時間維持することができなかった。その結果として、大面積で面内均一性の高い光学フィルムが得られず、プロセスマージンが十分ではない課題を有していた。
【0011】
第二の課題:工業的な生産規模においては、重合性組成物を調製して、塗布に供して、その全量の使用を終えるまでに12時間以上もの長時間を要する。その長時間の期間に渡って、重合性組成物の品質を一定に保つことができる、重合性組成物の安定性は、光学フィルム等の品質の均一性に大きく影響を与える。
しかし、従来の重合性化合物および重合性組成物では、塗工に使用している途中で、成分の一部が析出したり、ゲル化が発生したりすることがあるため、長時間の安定性という観点では、プロセスマージンが十分ではない課題を有していた。
よって、液晶相をより安定に長時間維持することで、面内均一性に優れる光学フィルム等が形成可能であり、かつ保存安定性に優れた重合性化合物を含む重合性組成物が求められていた。
本発明は、液晶相をより安定に長時間維持することが可能であり、かつ、成分の析出やゲル化が起こりにくい重合性化合物および重合性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記式(I)で示される所定の重合性化合物と下記式(V)で示される重合性化合物との混合物を使用すれば、液晶相をより安定に長時間維持することが可能であり、かつ、成分の析出やゲル化が起こりにくい重合性液晶組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記に示す重合性化合物、重合性混合物、重合性組成物、高分子、光学フィルム、光学異方体、偏光板、表示装置、反射防止フィルム、化合物(中間体化合物)、および混合物(中間体混合物、さらなる中間体混合物)が提供される。
【0013】
〔1〕下記式(I)で示される重合性化合物。
【化1】
・・・式(I)
〔式(I)中、ArA1は、置換基を有していてもよい下記式(II-1)から式(II-4)の何れかで表される基であり、
【化2】
式(II-1)~(II-4)中、D’は、-C(R)=N-N(R)R、-C(R)=N-N=C(R)R、または、-C(R)=N-N=Rを表し、
は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基を表し、
は、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する有機基を表し、
は、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する有機基を表し、
式(II-4)中、Yは、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
式(II-4)中、Xaは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の有機基を表し、
pは、2~3の整数を表し、
qは、2~4の整数を表し、
x、yは、それぞれ独立して0~2の整数を表し、xとyが同じ値となる場合は2のみを表し、
tは、0または1を表し、
A1およびZA2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-O-CH-CH-、-CH-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-、-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表し、
21は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1、AA2、BA1、およびBA2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
A1~YA4は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR32-C(=O)-、-C(=O)-NR32-、-O-C(=O)-O-、-NR32-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR32-、または、-NR32-C(=O)-NR33-を表し、R32およびR33は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1およびGA2は、それぞれ独立して、炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH-)の1以上が-O-または-C(=O)-に置換された2価の基のいずれかの2価の有機基であり、GA1およびGA2の前記2価の有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよく(但し、GA1およびGA2の両末端のメチレン基(-CH-)が-O-または-C(=O)-に置換されることはない。)、かつ
A1およびPA2は、それぞれ独立して、重合性基を表す。〕
【0014】
〔2〕前記〔1〕に記載の重合性化合物と、下記式(IV)で示される重合性化合物とを含む重合性混合物。
【化3】
・・・式(IV)
〔式(IV)中、ArB1は、置換基を有していてもよい下記式(V-1)から式(V-4)の何れかで表される基であり、
【化4】
B1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2は、それぞれ、ZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2と同じ意味を表し、
D’、Y、Xa、tは、前記と同じ意味を表す。〕
【0015】
〔3〕高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された前記式(I)で示される重合性化合物の面積値が、前記式(I)で示される重合性化合物、及び前記式(IV)で示される重合性化合物の面積値の総和に対して0.01%以上50%以下である、前記〔2〕に記載の重合性混合物。
【0016】
〔4〕前記〔2〕または〔3〕に記載の重合性混合物、および重合開始剤を含有する、重合性組成物。
【0017】
〔5〕前記〔2〕または〔3〕に記載の重合性混合物、または前記〔4〕に記載の重合性組成物を重合して得られる、高分子。
【0018】
〔6〕前記〔5〕に記載の高分子を構成材料とする、光学フィルム。
【0019】
〔7〕前記〔5〕に記載の高分子を構成材料とする層を有する、光学異方体。
【0020】
〔8〕前記〔7〕に記載の光学異方体および偏光フィルムを含む、偏光板。
【0021】
〔9〕前記〔8〕に記載の偏光板を備える、表示装置。
【0022】
〔10〕前記〔8〕に記載の偏光板を含む、反射防止フィルム。
【0023】
〔11〕下記式(Z)で示される化合物。
【化5】
・・・式(Z)
〔式中、ArA2は、置換基を有していてもよい下記式(Z-1)から式(Z-4)の何れかで表される基であり、
【化6】
式(Z-4)中、Yは、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
式(Z-4)中、Xaは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の有機基を表し、
pは、2~3の整数を表し、
qは、2~4の整数を表し、
x、yは、それぞれ独立して0~2の整数を表し、xとyが同じ値となる場合は2のみを表し、
tは、0または1を表し、
A1およびZA2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-O-CH-CH-、-CH-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-、-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表し、
21は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1、AA2、BA1、およびBA2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表し、
A1~YA4は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR32-C(=O)-、-C(=O)-NR32-、-O-C(=O)-O-、-NR32-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR32-、または、-NR32-C(=O)-NR33-を表し、R32およびR33は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
A1およびGA2は、それぞれ独立して、炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH-)の1以上が-O-または-C(=O)-に置換された2価の基のいずれかの2価の有機基であり、GA1およびGA2の前記2価の有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよく(但し、GA1およびGA2の両末端のメチレン基(-CH-)が-O-または-C(=O)-に置換されることはない。)、かつ
A1およびPA2は、それぞれ独立して、重合性基を表す。〕
【0024】
〔12〕前記〔11〕に記載の化合物と、下記式(Z’)で示される化合物とを含む混合物。
【化7】
・・・式(Z’)
〔式中、ArB2は、置換基を有していてもよい下記式(Z’-1)から式(Z’-4)の何れかで表される基であり、
【化8】
B1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2は、それぞれ、ZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2と同じ意味を表し、
、Xa、tは、前記と同じ意味を表す。〕
【0025】
〔13〕高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された前記式(Z)で示される化合物の面積値が、前記式(Z)で示される化合物、及び前記式(Z’)で示される化合物の面積値の総和に対して0.01%以上50%以下である、前記〔12〕に記載の混合物。
【0026】
〔14〕下記式(X-1)から式(X-4)のいずれかで示される化合物と、下記式(X’-1)から(X’-4)のいずれかで示される化合物とを含む混合物。
【化9】
〔式中、Yは、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表し、
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表し、
Xaは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の有機基を表し、
pは、2~3の整数を表し、
qは、2~4の整数を表し、
x、yは、それぞれ独立して0~2の整数を表し、xとyが同じ値となる場合は2のみを表し、
tは、0または1を表す。〕
【0027】
〔15〕高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された前記式(X-1)から式(X-4)のいずれかで示される化合物の面積値が、前記式(X-1)から式(X-4)のいずれかで示される化合物、及び前記式(X’-1)から(X’-4)のいずれかで示される化合物の面積値の総和に対して0.01%以上50%以下である混合物。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、液晶相をより安定に長時間維持することが可能であり、かつ、成分の析出やゲル化が起こりにくい重合性組成物を提供可能な重合性化合物、並びに、当該重合性化合物を用いて調製した混合物および高分子が提供される。
また、本発明によれば、配向欠陥の発生が抑制され、これにより液晶相をより安定に長時間維持することで、面内均一性に優れる光学フィルム等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本発明の高分子を構成材料とする層を有する光学異方体を含む積層体の厚さ方向の断面図の例を示す。
図2図2は、本発明の高分子を構成材料とする層を有する光学異方体を含む積層体の上面図の例を示す。
図3(a)】図3(a)~(c)は、液晶性高分子を構成材料とする層を有する光学異方体を含む積層体の表面の状態を示す写真である。図3(a)は、ムラがない状態の写真を示す。
図3(b)】図3(b)は、ややムラが発生している状態の写真を示す。
図3(c)】図3(c)は、ムラが発生している状態の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、「無置換の、または、置換基を有する」の意味である。また、一般式中に含まれるアルキル基や芳香族炭化水素環基等の有機基が置換基を有する場合、当該置換基を有する有機基の炭素数には、置換基の炭素数を含まないものとする。例えば、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基が置換基を有する場合、炭素数6~20の芳香族炭化水素環基の炭素数には、このような置換基の炭素数を含まないものとする。更に、本発明において、「アルキル基」とは、鎖状(直鎖状または分岐状)の飽和炭化水素基を意味し、「アルキル基」には、環状の飽和炭化水素基である「シクロアルキル基」は含まれないものとする。更に、本発明において、「芳香環」とは、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、および、チオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
【0031】
本明細書に記載の化合物は、既知の合成反応を組み合わせて合成することができる。即ち、様々な文献(例えば、MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY(WILEY)、サンドラー・カロ「官能基別有機化合物合成法」稲本直樹共訳(廣川書店))、特開2010-031223号公報に記載の方法を参照して合成できる。
【0032】
ここで、本発明の重合性化合物および重合性混合物は、特に限定されることなく、例えば重合開始剤と混合して重合性組成物を調製する際に用いることができる。
また、本発明の重合性化合物、重合性混合物および重合性組成物は、特に限定されることなく、例えば本発明の高分子を調製する際に用いることができる。
そして、本発明の高分子は、特に限定されることなく、例えば本発明の光学フィルムの構成材料および本発明の光学異方体が有する層の構成材料として用いることができる。また、本発明の光学異方体は、特に限定されることなく、例えば本発明の偏光板に用いることができる。更に、本発明の偏光板は、特に限定されることなく、例えばフラットパネル表示装置および有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの表示装置、並びに反射防止フィルムに用いることができる。
本発明の化合物(中間体化合物)および混合物(中間体混合物)は、本発明の重合性化合物および重合性混合物の製造中間体(製造原料)として用いることができる。
本発明の混合物(さらなる中間体混合物)は、本発明の中間体混合物の製造中間体として用いることができる。
【0033】
(1)重合性化合物
本発明の重合性化合物は、下記式(I)で示される化合物(以下、「重合性化合物(I)」ということがある。)であり、後述する混合物、高分子、光学フィルムおよび光学異方体を調製する際に有利に用いることができる。
【化10】
・・・式(I)
【0034】
ここで、式(I)中、ArA1は、置換基を有していてもよい下記式(II-1)から式(II-4)の何れかで表される基である。
【化11】
【0035】
式(II-1)~(II-4)中、D’は、-C(R)=N-N(R)R、-C(R)=N-N=C(R)R、または、-C(R)=N-N=Rを表す。式(II-1)~(II-4)中、複数のD’は、それぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。
【0036】
式(II-4)中、Yは、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、または、-NR22-C(=O)-NR23-を表す。
【0037】
22およびR23は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。
【0038】
式(II-4)中、Xaは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の有機基を表す。
【0039】
Xaの具体例としては、置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6~18の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
【0040】
Xaの好ましい例としては、下記式(Xa-1)~(Xa-29)で表される構造が挙げられる。下記式(Xa-1)~(Xa-29)で表される基は、置換基を有していてもよい。
【化12】
【0041】
Xaが有し得る置換基の例としては、置換基を有していてもよい炭素数1~20の有機基を表し、tは、0または1を表す。
【0042】
式(II-1)中、pは、2~3の整数を表す。
【0043】
式(II-2)および(II-3)中、qは、2~4の整数を表す。
【0044】
式(II-4)中、x、yは、それぞれ独立して0~2の整数を表す。x、yは、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、xとyが同じ値となる場合は2のみを表す。
式(II-4)中、tは、0または1を表す。
【0045】
ArA1は、D’以外の置換基を1つ以上有していてもよい。当該D’以外の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロゲン化アルキル基、炭素数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のチオアルキル基、炭素数1~6のN-アルキルスルファモイル基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。中でも、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、ターシャリーブチル基が特に好ましい。
【0046】
ArA1は、下記式(III-1)~(III-13)の何れかで表される基が好ましく、式(III-1)、(III-2)、(III-4)、(III-5)、(III-7)、(III-8)、(III-10)、(III-12)で表される基がさらに好ましく、式(III-1)、(III-4)、(III-7)、(III-10)、(III-12)で表される基が特に好ましい。式(III-1)~(III-13)に示されているベンゼン環あるいはナフタレン環上には、置換基として炭素数1~6のアルキル基を有していてもよい。
【化13】
【0047】
ArA1の最も好ましい例としては、上記式(III-7)、下記式(III-14)~(III-21)、の何れかで表される基が挙げられる。
【化14】
【0048】
は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。Rの「炭素数1~6のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、およびイソプロピル基等が挙げられる。
【0049】
は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基を表す。Rの「置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基」の具体例としては、
(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、
(ii)炭素数1~20のアルキル基に含まれる-CH-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)、
(iii)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、
(iv)置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルキニル基、
(v)置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、
(vi)置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素環基、
(vii)置換基を有していてもよい炭素数2~30の芳香族複素環基、
(viii)-G-Y-F
(ix)-SO
(x)-C(=O)-R、および
(xi)-CS-NH-R
が挙げられる。
【0050】
の「置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基」は、
(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、
(ii)炭素数1~20のアルキル基に含まれる-CH-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~30の芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい炭素数2~30の芳香族複素環基、
(viii)-G-Y-F
が好ましい。
【0051】
の「置換基を有していてもよい炭素数1~30の有機基」は、
(i)置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、
(ii)炭素数1~20のアルキル基に含まれる-CH-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く)、
(viii)-G-Y-F
が特に好ましい。
【0052】
上記(i)および(ii)における「炭素数1~20のアルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、1-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、およびn-イコシル基等が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基の炭素数は、1~12であることが好ましく、4~10であることが更に好ましい。
【0053】
上記(iii)における「炭素数2~20のアルケニル基」の例としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基の炭素数は、2~12であることが好ましい。
【0054】
上記(iv)における「炭素数2~20のアルキニル基」の具体例としては、エチニル基、プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基、2-ペンチニル基、ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2-オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7-デカニル基等が挙げられる。
【0055】
上記(v)における「炭素数3~12のシクロアルキル基」の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
【0056】
上記(i)、(iii)、(iv)、(v)における「置換基」の数は、一つでもよく、複数でもよい。上記(i)、(iii)、(iv)、(v)が複数の置換基を有する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。当該置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基、ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1~12のアルコキシ基で置換された炭素数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基、ベンゾピラニル基、ベンゾジオキソリル基、ベンゾジオキサニル基、-SO、-SR、-SRで置換された炭素数1~12のアルコキシ基;水酸基等が挙げられる。
【0057】
上記(vi)における「炭素数6~30の芳香族炭化水素環基」としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~30の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0058】
上記(vii)における「炭素数2~30の芳香族複素環基」としては、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、および、ベンゾピラゾリル基等の炭素数2~30の芳香族複素環基が好ましく、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基およびチアジアゾリル基等の単環の芳香族複素環基、並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、および、ベンゾチアジアゾリル基等の縮合環の芳香族複素環基がより好ましい。
【0059】
上記(vi)および(vii)における「置換基」の数は、一つでもよく、複数でもよい。複数の置換基を有する場合、それらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。当該置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数1~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。
【0060】
上記(i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、および(ix)におけるRは、炭素数1~6のアルキル基、または、炭素数1~6のアルキル基若しくは炭素数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素環基を表す。
【0061】
上記(i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(x)および(xi)におけるRは、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6~12の芳香族炭化水素環基を表す。
【0062】
が「置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」である場合における「炭素数1~20のアルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、1-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、およびn-イコシル基等が挙げられる。置換基を有してもよい炭素数1~20のアルキル基の炭素数は、1~12であることが好ましく、4~10であることが更に好ましい。
【0063】
が「置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基」である場合における「置換基」の数は、一つでもよく複数でもよい。複数の置換基を有する場合、これらは同一であってもよく異なっていてもよい。当該置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1~12のアルコキシ基で置換された炭素数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール-2-イルチオ基等の炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;およびベンゾジオキサニル基等が挙げられる。
【0064】
が「置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」である場合における「炭素数2~20のアルケニル基」の例としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基の炭素数は、2~12であることが好ましい。
【0065】
が「置換基を有していてもよい炭素数2~20のアルケニル基」である場合における「置換基」の数は、一つでもよく複数でもよい。複数の置換基を有する場合、これらは同一であってもよく異なっていてもよい。当該置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1~12のアルコキシ基で置換された炭素数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール-2-イルチオ基等の炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;およびベンゾジオキサニル基等が挙げられる。
【0066】
が「置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」である場合における「炭素数3~12のシクロアルキル基」の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
【0067】
が「置換基を有していてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基」である場合における「置換基」の数は、一つでもよく複数でもよい。複数の置換基を有する場合、これらは同一であってもよく異なっていてもよい。当該置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基等が挙げられる。中でも、当該置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基が好ましい。
【0068】
が「置換基を有する炭素数6~12の芳香族炭化水素環基」である場合における「炭素数6~12の芳香族炭化水素環基」の例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
【0069】
が「置換基を有する炭素数6~12の芳香族炭化水素環基」である場合における「置換基」の数は、一つでもよく複数でもよい。複数の置換基を有する場合、これらは同一であってもよく異なっていてもよい。当該置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1~12のアルコキシ基で置換された炭素数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;-OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。中でも、当該置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~12のフルオロアルキル基;-OCFから選ばれる1以上の置換基が好ましい。
【0070】
上記(viii)におけるGは、置換基を有していてもよい炭素数1~30の2価の脂肪族炭化水素基、および、置換基を有していてもよい炭素数3~30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる-CH-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR12-C(=O)-、-C(=O)-NR12-、-NR12-、または、-C(=O)-に置換された基のいずれかの有機基である。ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。R12は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
【0071】
上記(viii)におけるYは、-O-、-C(=O)-、-S-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-O-C(=O)-NR11-、-NR11-C(=O)-O-、-N=N-、または、-C≡C-を表す。R11は、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表す。Yは、-O-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-O-が好ましい。
【0072】
上記(viii)におけるFは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。有機基の炭素数としては、2~30であることが好ましく、7以上が好ましく、8以上がさらに好ましく、10以上が特に好ましい。
【0073】
は、
(a)少なくとも一つの水素原子が芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環含有基で置換され、且つ、前記環含有基以外の置換基を有していてもよい炭素数1~18のアルキル基であるか、或いは、
(b)芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素数2~20の環状基
であることが好ましい。
【0074】
が、複数の芳香族炭化水素環および/または複数の芳香族複素環を有する場合は、それぞれが同じであっても異なっていてもよい。
【0075】
における「芳香族炭化水素環」の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等の炭素数6~30の芳香族炭化水素環が挙げられる。
【0076】
における「芳香族複素環」の具体例としては、1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン環、1-ベンゾフラン環、2-ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、べンゾピラノン環等の炭素数2~30の芳香複素環が挙げられる。
【0077】
の「有機基」が有していてもよい置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF;-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-O-C(=O)-R等が挙げられる。Rは前記と同じ意味を表す。なお、Fは、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Fが複数の置換基を有する場合、置換基は同一であってもよく、相異なっていてもよい。
【0078】
上記(a)における「炭素数1~18のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
【0079】
上記(a)において、「芳香族炭化水素環」および「芳香族複素環」の少なくとも一方は、炭素数1~18のアルキル基の炭素原子に直接結合していてもよいし、-S-、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11などの連結基を介して炭素数1~18のアルキル基の炭素原子に結合していてもよい。ここで、R11は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。
【0080】
即ち、上記(a)における「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環含有基」としては、フルオレニル基、ベンゾチアゾリル基のような、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する基、置換されていてもよい芳香族炭化水素環基、置換されていてもよい芳香族複素環基、連結基を有する置換されていてもよい芳香族炭化水素環よりなる基、連結基を有する置換されていてもよい芳香族複素環よるなる基も含まれる。
【0081】
上記(a)における「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環含有基」が、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基である場合、「芳香族炭化水素環基」の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、およびフルオレニル基等の炭素数6~30の芳香族炭化水素環基が挙げられる。また、「置換基」は、上記「Fが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環」が有し得る置換基と同じである。
【0082】
上記(a)における「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環含有基」が、置換基を有していてもよい芳香族複素環基である場合、「芳香族複素環基」の具体例としては、フタルイミド基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノンニル基等の炭素数2~30の芳香複素環基が挙げられる。また、「置換基」は、上記「Fが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環」が有し得る置換基と同じである。
【0083】
上記(a)における「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方を有する環含有基」が、置換基を有していてもよい、連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基、または、置換基を有していてもよい、連結基を有する芳香族複素環よりなる基である場合、「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」または「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」の具体例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントラセニルチオ基、フェナントレニルチオ基、ピレニルチオ基、フルオレニルチオ基、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、ピレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ベンゾイソオキサゾリルチオ基、ベンゾイソチアゾリルチオ基、ベンゾオキサジアゾリルチオ基、ベンゾオキサゾリルチオ基、ベンゾチアジアゾリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンゾチエニルチオ基、ベンゾイソオキサゾリルオキシ基、ベンゾイソチアゾリルオキシ基、ベンゾオキサジアゾリルオキシ基、ベンゾオキサゾリルオキシ基、ベンゾチアジアゾリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンゾチエニルオキシ基等が挙げられる。また、「置換基」は、上記「Fが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環」が有し得る置換基と同じである。
【0084】
上記(a)で示される基の好ましい具体例としては、下記式(3-1)~(3-11)で表される構造が挙げられる。但し、本発明は以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「-」は環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。なお、下記式(3-1)~(3-11)で表される基は置換基を有していてもよく、その具体例としては、Fが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環が有していてもよい置換基の例と同様である。
【化15】
【0085】
上記(b)で示される基の例としては、
(b1)少なくとも一つの炭素数6~18の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭素数6~20の炭化水素環基、
(b2)炭素数6~18の芳香族炭化水素環および炭素数2~18の芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、置換基を有していてもよい炭素数2~20の複素環基
が挙げられる。
【0086】
上記(b1)における「炭化水素環基」としては、例えば、炭素数6~18の芳香族炭化水素環基(フェニル基(炭素数6)、ナフチル基(炭素数10)、アントラセニル基(炭素数14)、フェナントレニル基(炭素数14)、ピレニル基(炭素数16)、フルオレニル基(炭素数13)等)、インダニル基(炭素数9)、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基(炭素数10)、1,4-ジヒドロナフチル基(炭素数10))が挙げられる。
【0087】
上記(b1)の具体例としては、下記式(1-1)~(1-21)で表される構造が挙げられる。下記式(1-1)~(1-21)で表される基は、置換基を有していてもよい。
【化16】
【0088】
上記(b2)における「複素環基」としては、例えば、炭素数2~18の芳香族複素環基(フタルイミド基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾピラノンニル基等)、キサンテニル基、2,3-ジヒドロインドーリル基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、およびテトラヒドロフラニル基が挙げられる。
【0089】
上記(b2)の具体例としては、下記式(2-1)~(2-51)で表される構造等が挙げられる。下記式(2-1)~(2-51)で表される基は置換基を有していてもよい。なお、式中、Xは、-CH-、-NR-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO-を表し、YおよびZは、それぞれ独立して、-NR-、酸素原子、硫黄原子、-SO-または-SO-を表し、Eは、-NR-、酸素原子または硫黄原子を表す(Rは、水素原子、メチル基、または塩素原子を表す。)。
【化17】
【0090】
上記(b)で示される基(例、上記(b1)または(b2)で示される基)は、1以上の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。置換基としては、「Fが有する芳香族炭化水素環および芳香族複素環」が有し得る置換基と同じものが挙げられる。
【0091】
ArA1が(II-1)である場合、Fが下記式(i-1)~(i-9)のいずれかであることが好ましい。また、ArA1が(II-2)または(II-3)である場合、Fが下記(i-1)~(i-13)のいずれかであることが好ましい。なお、下記式(i-1)~(i-13)で表される基は、置換基を有していてもよい。
【化18】
【0092】
ArA1が(II-1)である場合、Fが下記式(ii-1)~(ii-20)のいずれかであることが特に好ましい。また、ArA1が(II-2)または(II-3)である場合、Fが下記(ii-1)~(ii-26)のいずれかであることが好ましい。なお、下記式(ii-1)~(ii-26)で表される基は置換基を有していてもよい。
【化19】
【0093】
ArA1が(II-1)である時、F中の環構造に含まれるπ電子の総数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
ArA1が(II-2)または(II-3)である時、F中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
【0094】
は、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する有機基を表す。
【0095】
の例としては、下記(1)~(5)が挙げられる。
(1)一以上の炭素数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素数6~40の炭化水素環基
(2)炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる一以上の芳香環を有する、炭素数2~40の複素環基
(3)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数1~12のアルキル基
(4)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数2~12のアルケニル基
(5)炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基の少なくとも1つで置換された、炭素数2~12のアルキニル基
【0096】
上記(1)の具体例としては、下記式で表される構造等が挙げられる。下記式で表される基は置換基を有していてもよい。
【化20】
【0097】
上記(2)の具体例としては、下記式で表される構造等が挙げられる。下記式で表される基は置換基を有していてもよい。
【化21-1】
【化21-2】
〔式中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基を表し、Rが複数ある場合は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。〕
【0098】
上記(3)における「炭素数1~12のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
【0099】
上記(4)における「炭素数2~12のアルケニル基」の具体例としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
【0100】
上記(5)における「炭素数2~12のアルキニル基」の具体例としては、エチニル基、プロピニル基等が挙げられる。
【0101】
上記(3)~(5)における「炭素数6~30の芳香族炭化水素環基」および「炭素数2~30の芳香族複素環基」の例としては、Rの炭素数6~30の芳香族炭化水素環基および炭素数2~30の芳香族複素環基として列記した具体例と同じものが挙げられる。
【0102】
上記(1)~(5)の置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素環基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO2R;等が挙げられる。ここでR及びRは、前記と同じ意味を表す。これらの中でも、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、および、炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる1以上の置換基が好ましい。
【0103】
の好ましい例としては、下記式で表される構造等が挙げられる。下記式で表される基は置換基を有していてもよい。
【化22】
【0104】
の特に好ましい例としては、下記式で表される構造等が挙げられる。下記式で表される基は置換基を有していてもよい。
【化23】
【0105】
の最も好ましい例としては、下記式で表される構造等が挙げられる。下記式で表される基は置換基を有していてもよい。
【化24】
【0106】
が有し得る置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。ここでR及びRは、前記と同じ意味を表す。これらの中でも、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基、および、炭素数1~6のアルコキシ基から選ばれる1以上の置換基が好ましい。
【0107】
は、炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する有機基を表す。
【0108】
は、
(1)一以上の炭素数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素数6~40の炭化水素環基、または
(2)炭素数6~30の芳香族炭化水素環および炭素数2~30の芳香族複素環からなる群から選ばれる一以上の芳香環を有する、炭素数2~40の複素環基
であることが好ましい。
【0109】
は、下記のいずれかの基であることがさらに好ましい。
【化25】
〔式中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基を示す。〕
【0110】
式(I)中、ZA1およびZA2は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-O-CH-CH-、-CH-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-、-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、または、-C≡C-を表す。ZA1およびZA2は、単結合、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-が好ましく、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-が特に好ましい。
【0111】
21は、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。
【0112】
式(I)中、AA1、AA2、BA1、およびBA2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。
【0113】
A1、およびAA2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数5~20の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素数2~20の2価の芳香族基が好ましい。
【0114】
A1、およびBA2は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の環状脂肪族基が好ましく、置換基を有していてもよい2価の炭素数5~20の環状脂肪族基がより好ましい。
【0115】
A1、AA2、BA1、およびBA2の「2価の環状脂肪族基」の具体例としては、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、シクロヘプタン-1,4-ジイル、シクロオクタン-1,5-ジイル等の炭素数5~20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン-1,5-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル等の炭素数5~20のビシクロアルカンジイル基等が挙げられる。中でも、2価の環状脂肪族基としては、置換されていてもよい炭素数5~20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、特に、シクロヘキサン-1,4-ジイル基が好ましい。2価の環状脂肪族基は、トランス体であっても、シス体であっても、或いは、シス体とトランス体の混合物であってもよいが、トランス体がより好ましい。
【0116】
A1、AA2、BA1、およびBA2の「2価の芳香族基」の具体例としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等の、炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素環基;フラン-2,5-ジイル、チオフェン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ピラジン-2,5-ジイル等の、炭素数2~20の2価の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、2価の芳香族基としては、炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、特に、1,4-フェニレン基が好ましい。
【0117】
A1、AA2、BA1、およびBA2の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。前記環状脂肪族基および芳香族基は、上述した置換基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。なお、置換基を複数有する場合は、各置換基は同一でも相異なっていてもよい。
【0118】
式(I)中、YA1~YA4は、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR32-C(=O)-、-C(=O)-NR32-、-O-C(=O)-O-、-NR32-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR32-、または、-NR32-C(=O)-NR33-を表す。YA1~YA4は、単結合、-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-が好ましく、-О-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-が特に好ましい。
【0119】
32およびR33は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表す。
【0120】
式(I)中、GA1およびGA2は、それぞれ独立して、炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基、および、炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH-)の1以上が-O-または-C(=O)-に置換された2価の基のいずれかの2価の有機基である。GA1およびGA2の前記2価の有機基に含まれる水素原子は、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい(但し、GA1およびGA2の両末端のメチレン基(-CH-)が-O-または-C(=O)-に置換されることはない。)。「炭素数1~20の2価の脂肪族炭化水素基」および「炭素数3~20の2価の脂肪族炭化水素基」の例としては、それぞれ、炭素数1~20のアルキレン基、および、炭素数3~20のアルキレン基が挙げられる。中でも、GA1およびGA2は、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数2~20のアルケニレン基等の鎖状構造を有する二価の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1~12のアルキレン基がより好ましく、テトラメチレン基〔-(CH-〕、ヘキサメチレン基〔-(CH-〕、オクタメチレン基〔-(CH-〕、デカメチレン基〔-(CH10-〕が特に好ましい。
【0121】
式(I)中、PA1およびPA2は、それぞれ独立して、重合性基を表す。PA1およびPA2の「重合性基」としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のCH=CR31-C(=O)-O-で表される基(R31は、水素原子、メチル基、または塩素原子を表す。)、ビニル基、ビニルエーテル基、p-スチルベン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、水酸基、アミド基、炭素数1~4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基またはチオイソシアネート基等が挙げられる。中でも、CH=CR31-C(=O)-O-で表される基が好ましく、CH=CH-C(=O)-O-(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)-C(=O)-O-(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基がさらに好ましい。
【0122】
なお、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得る観点からは、重合性化合物(I)は、ArA1を中心として左右が概ね対称な構造を有することが好ましい。具体的には、重合性化合物(I)では、PA1-GA1-YA3-BA1-YA1-AA1-ZA1-(*)と、(*)-ZA2-AA2-YA2-BA2-YA4-GA2-PA2とがArA1に結合する側(*)を対称中心とした対称構造を有することが好ましい。
なお、「(*)を対称中心とした対称構造を有する」とは、例えば、-C(=O)-O-(*)と(*)-O-C(=O)-や、-O-(*)と(*)-O-や、-O-C(=O)-(*)と(*)-C(=O)-O-などの構造を有することを意味する。
【0123】
(2)重合性化合物を含む混合物
本発明の混合物(以下、「重合性混合物」ということがある。)は、前記重合性化合物(I)と、下記式(IV)で示される重合性化合物(重合性化合物(IV))とを含む混合物であり、例えば後述する重合性組成物および高分子の製造に用いることができる。
なお、重合性混合物中の重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)との配合比(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された面積値に基づく)は、任意に調整することができる。中でも、液晶相をより安定に長時間維持する観点、かつ、成分の析出やゲル化を起こしにくくする観点からは、重合性化合物(I)のHPLC面積値が、重合性化合物(I)及び重合性化合物(IV)のHPLC面積値の総和に対して0.01%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることがより好ましく、0.1%以上とすることが特に好ましく、50%以下とすることが好ましく、20%以下とすることがより好ましく、10%以下とすることが特に好ましい。
【化26】
・・・式(IV)
【0124】
ここで、式(IV)中、ArB1は、置換基を有していてもよい下記式(V-1)から式(V-4)の何れかで表される基である。
【化27】
【0125】
式(V-1)~(V-4)中、D’、Y、Xa、tは、前記と同じ意味を表す。即ち、重合性化合物(IV)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例は、それぞれ、重合性化合物(I)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例と同じである。式(V-1)~(V-4)におけるこれらの基および数値は、それぞれ、重合性化合物(I)におけるこれらの基および数値と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0126】
ArB1は、下記式(VI-1)~(VI-8)の何れかで表される基が好ましく、式(VI-1)、(VI-2)、(VI-4)、(VI-5)、(VI-7)で表される基がさらに好ましく、式(VI-1)、(VI-4)、(VI-7)で表される基が特に好ましい。下記式(VI-1)~(VI-8)で表される基は、置換基として炭素数1~6のアルキル基を有していてもよい。
【化28】
【0127】
B1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2は、それぞれ、重合性化合物(I)におけるZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2と同じ意味を表す。即ち、ZB1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2の定義、具体例、および好適例は、それぞれ、重合性化合物(I)におけるZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2の定義、具体例、および好適例と同じである。ZB1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2は、それぞれ、重合性化合物(I)におけるZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0128】
なお、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得る観点からは、重合性化合物(IV)は、ArB1を中心として左右が概ね対称な構造を有することが好ましい。具体的には、重合性化合物(IV)では、PB1-GB1-YB3-BB1-YB1-AB1-ZB1-(*)と、(*)-ZB2-AB2-YB2-BB2-YB4-GB2-PB2とがArB1に結合する側(*)を対称中心とした対称構造を有することが好ましい。
なお、「(*)を対称中心とした対称構造を有する」とは、例えば、-C(=O)-O-(*)と(*)-O-C(=O)-や、-O-(*)と(*)-O-や、-O-C(=O)-(*)と(*)-C(=O)-O-などの構造を有することを意味する。
【0129】
なお、特に限定されるものではないが、光学フィルム等の逆波長分散性を高める観点からは、本発明の混合物では、重合性化合物(I)のZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2は、それぞれ、重合性化合物(IV)のZB1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2と同じであることが好ましい。
即ち、重合性化合物(IV)は、中心部に位置するArB1がArA1と異なる構造を有する以外は重合性化合物(I)と同じ構造を有していることが好ましい。
【0130】
上述した重合性化合物を含む混合物は、特に限定されることなく、例えば、個別に調製した1種以上の重合性化合物(I)と1種以上の重合性化合物(IV)とを所望の割合で混合することにより調製することができる。
【0131】
(3)中間体化合物群
(3-1)中間体化合物
本発明の化合物(以下、「中間体化合物」ということがある。)は、下記式(Z)で示される化合物(以下、「中間体化合物(Z)」ということがある。)であり、上記重合性化合物(I)の製造中間体として有用である。
【化29】
・・・式(Z)
【0132】
式中、ArA2は、置換基を有していてもよい下記式(Z-1)から式(Z-4)の何れかで表される基である。
【化30】
【0133】
中間体化合物(Z)において、ZA1、ZA2、AA1、AA2、BA1、BA2、YA1~YA4、GA1、GA2、PA1、PA2、Y、Xa、t、p、q、x、yは、重合性化合物(I)において記載したものと同じ意味を表す。即ち、中間体化合物(Z)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例は、それぞれ、重合性化合物(I)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例と同じである。中間体化合物(Z)におけるこれらの基および数値は、重合性化合物(I)におけるこれらの基および数値と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0134】
中間体化合物(Z)は、ArA2がArA1に置換した以外は中間体化合物(Z)と同じ構造を有する重合性化合物(I)の製造中間体として有用である。例えば、中間体化合物(Z)と、アルデヒド基と縮合反応してD’基を形成することができるアミン化合物(例、HN-N(R)R、HN-N=C(R)R、または、HN-N=R)とを反応させることにより、重合性化合物(I)を得ることができる。
【0135】
(3-2)さらなる中間体化合物
中間体化合物(Z)を製造するための中間体化合物(以下、「さらなる中間体化合物」)としては、例えば、下記式(Z-a)、(Z-b)、(Z-c)で示される化合物が挙げられる。
【化31】
【0136】
式中、ZA1-1とZA1-2は、互いに連結反応してZA1構造を形成することができる1価の結合性基である。また、ZA2-1とZA2-2は、互いに連結反応してZA2構造を形成することができる1価の結合性基である。ZA1-1、ZA1-2、ZA2-1、ZA2-2以外の部分の構造は、中間体化合物(Z)における当該部分の構造と同じである。
【0137】
式(Z-a)中、ZA1-1およびZA2-1は、ArA2構造に影響を与えない反応を介して、それぞれZA1-2およびZA2-2と連結することができる1価の結合性基から選択することができる。このような1価の結合性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基等が挙げられる。ZA1-1およびZA2-1は、最終生成物の化合物が対称性を有することが好ましい観点および連結反応を一括して行うことができる観点から、同じ基であることが好ましい。
【0138】
式(Z-a)で示されるさらなる中間体化合物の具体例としては、下記式(X-1)から式(X-4)で示される化合物が挙げられる。
【化32】
【0139】
式(Z-b)中、ZA1-2は、PA1-GA1-YA3-BA1-YA1-AA1構造に影響を与えない反応を介してZA1-1と連結することができる1価の結合性基から選択することができる。また、式(Z-c)中、ZA2-2は、AA2-YA2-BA2-YA4-GA2-PA2構造に影響を与えない反応を介してZA2-1と連結することができる1価の結合性基から選択することができる。ZA1-2およびZA2-2となり得る1価の結合性基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。式(Z-b)および(Z-c)で示される化合物は、最終生成物の化合物が対称性を有することが好ましい観点および連結反応を一括して行うことができる観点から、同じ化合物であることが好ましい。
【0140】
(4)中間体化合物を含む混合物群
(4-1)中間体混合物
本発明の混合物(以下、「中間体混合物」ということがある。)は、前記中間体化合物(Z)と、下記式(Z’)で示される中間体化合物(中間体化合物(Z’))とを含む混合物であり、上記重合性混合物の製造中間体として有用である。
なお、中間体混合物中の中間体化合物(Z)と中間体化合物(Z’)との配合比(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された面積値に基づく)は、中間体混合物から得られる重合性混合物中の重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)との配合比と同じ配合比として調整してもよい。例えば、上述した重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)との好ましい配合比に合わせる場合は、中間体化合物(Z)のHPLC面積値が、中間体化合物(Z)及び中間体化合物(Z’)のHPLC面積値の総和に対して0.01%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることがより好ましく、0.1%以上とすることが特に好ましく、50%以下とすることが好ましく、20%以下とすることがより好ましく、10%以下とすることが特に好ましい。
【化33】
・・・式(Z’)
【0141】
式中、ArB2は、置換基を有していてもよい下記式(Z’-1)から式(Z’-4)の何れかで表される基である。
【化34】
【0142】
式(Z’-4)中、Y、Xa、p、q、x、y、tは、中間体化合物(Z)の式(Z-4)において記載したものと同じ意味を表す。即ち、式(Z’-4)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例は、それぞれ、上記式(Z-4)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例と同じである。式(Z’-4)におけるこれらの基および数値は、それぞれ、上記式(Z-4)におけるこれらの基および数値と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0143】
中間体化合物(Z’)において、ZB1、ZB2、AB1、AB2、BB1、BB2、YB1~YB4、GB1、GB2、PB1、PB2、Y、Xa、tは、重合性化合物(IV)において記載したものと同じ意味を表す。即ち、中間体化合物(Z’)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例は、それぞれ、重合性化合物(IV)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例と同じである。中間体化合物(Z’)におけるこれらの基および数値、それぞれ、重合性化合物(IV)におけるこれらの基と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0144】
中間体化合物(Z)と中間体化合物(Z’)とを含む中間体混合物は、ArA2がArA1に置換した以外は中間体化合物(Z)と同じ構造を有する重合性化合物(I)と、ArB2がArB1に置換した以外は中間体化合物(Z’)と同じ構造を有する重合性化合物(IV)とを含む重合性混合物の製造中間体として有用である。特に、本発明の中間体混合物は、D’構造が共通する重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)とを含む重合性混合物の製造中間体として有用である。例えば、中間体混合物と、アルデヒド基と縮合反応してD’基を形成することができるアミン化合物(例、HN-N(R)R、HN-N=C(R)R、または、HN-N=R)とを反応させることにより、D’構造が共通する重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)とを含む重合性混合物を得ることができる。
【0145】
(4-2)さらなる中間体混合物
上記中間体混合物を製造するための中間体混合物(以下、「さらなる中間体混合物」)としては、例えば、
(a)中間体化合物(Z)を製造するためのさらなる中間体化合物から選ばれる1以上の化合物と、
(b)中間体化合物(Z’)を製造するためのさらなる中間体化合物から選ばれる1以上の化合物
の混合物が挙げられる。
【0146】
中間体化合物(Z)を製造するためのさらなる中間体化合物は、上述したとおりである。
【0147】
中間体化合物(Z’)を製造するためのさらなる中間体化合物としては、例えば、下記式(Z’-a)、(Z’-b)、(Z’-c)で示される化合物が挙げられる。
【化35】
【0148】
式中、ZB1-1とZB1-2は、互いに連結反応してZB1構造を形成することができる1価の結合性基である。また、ZB2-1とZB2-2は、互いに連結反応してZB2構造を形成することができる1価の結合性基である。ZB1-1、ZB1-2、ZB2-1、ZB2-2以外の部分の構造は、中間体化合物(Z’)における当該部分の構造と同じである。
【0149】
式(Z’-a)中、ZB1-1およびZB2-1は、ArB2構造に影響を与えない反応を介して、それぞれZB1-2およびZB2-2と連結することができる1価の結合性基から選択することができる。このような1価の結合性基は、ZA1-1およびZA2-1となり得る1価の結合性基と同様である。ZB1-1およびZB2-1は、最終生成物の化合物が対称性を有することが好ましい観点および連結反応を一括して行うことができる観点から、同じ基であることが好ましい。
【0150】
式(Z’-a)で示されるさらなる中間体化合物の具体例としては、下記式(X’-1)から(X’-4)で示される化合物が挙げられる。
【化36】
【0151】
式(X’-4)中、Y、Xa、p、q、x、y、tは、上記式(X-4)において記載したものと同じ意味を表す。即ち、式(X’-4)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例は、それぞれ、上記式(X-4)におけるこれらの基および数値の定義、具体例、および好適例と同じである。式(X’-4)におけるこれらの基および数値は、上記式(X-4)におけるこれらの基および数値と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0152】
式(Z’-b)中、ZB1-2は、PB1-GB1-YB3-BB1-YB1-AB1構造に影響を与えない反応を介してZB1-1と連結することができる1価の結合性基から選択することができる。また、式(Z’-c)中、ZB2-2は、AB2-YB2-BB2-YB4-GB2-PB2構造に影響を与えない反応を介してZB2-1と連結することができる1価の結合性基から選択することができる。ZB1-2およびZB2-2となり得る1価の結合性基は、ZA1-2およびZA2-2となり得る1価の結合性基と同様である。式(Z’-b)および(Z’-c)で示される化合物は、最終生成物の化合物が対称性を有することが好ましい観点および連結反応を一括して行うことができる観点から、同じ化合物であることが好ましい。
【0153】
上記さらなる中間体混合物としては、上記式(Z-a)で示されるさらなる中間体化合物と、上記式(Z’-a)で示されるさらなる中間体化合物の混合物が挙げられる。ZA1-1、ZA2-1、ZB1-1、ZB2-1は、連結反応を一括して行うことができる観点から、同じ基であることが好ましい。このようなさらなる中間体混合物は、上記式(X-1)から式(X-4)のいずれかで示される化合物と、上記式(X’-1)から(X’-4)のいずれかで示される化合物とを含む混合物が好ましく、上記式(X-1)と式(X’-1)で示される化合物を含む混合物、上記式(X-2)と式(X’-2)で示される化合物を含む混合物、上記式(X-3)と式(X’-3)で示される化合物を含む混合物、上記式(X-4)と式(X’-4)で示される化合物を含む混合物のいずれかが、より好ましい。
【0154】
なお、さらなる中間体混合物中の上記式(Z-a)で示されるさらなる中間体化合物(例、上記式(X-1)から式(X-4)のいずれかで示される化合物)と、上記式(Z’-a)で示されるさらなる中間体化合物(例、上記式(X’-1)から(X’-4)のいずれかで示される化合物)との配合比(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定された面積値に基づく)は、さらなる中間体混合物から中間体混合物を経由して得られる重合性混合物中の重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)との配合比と同じ配合比として調整してもよい。例えば、上述した重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)との好ましい配合比に合わせる場合は、上記式(Z-a)で示されるさらなる中間体化合物のHPLC面積値が、上記式(Z-a)で示されるさらなる中間体化合物及び上記式(Z’-a)で示されるさらなる中間体化合物のHPLC面積値の総和に対して0.01%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることがより好ましく、0.1%以上とすることが特に好ましく、50%以下とすることが好ましく、20%以下とすることがより好ましく、10%以下とすることが特に好ましい。
【0155】
式(Z-b)、(Z-c)、(Z’-b)、(Z’-c)で示される化合物は、最終生成物の化合物が対称性を有することが好ましい観点および連結反応を一括して行うことができる観点から、同じ化合物であることが好ましい。
【0156】
(5)重合性組成物
本発明の重合性化合物または混合物を用いた重合性組成物(以下、「重合性液晶組成物」ということがある。)は、上述した重合性化合物または混合物(重合性化合物(I)および重合性化合物(IV)を含む混合物)と、重合開始剤とを含有する。
なお、本発明の重合性化合物または混合物を用いた重合性液晶組成物は、後述するように、本発明の高分子、光学フィルム、光学異方体の製造原料として有用である。そして、本発明の重合性化合物または混合物を用いた重合性液晶組成物によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な光学フィルム等を効率的に製造することができる。
【0157】
ここで、重合開始剤は、重合性液晶組成物に含まれている重合性化合物の重合反応をより効率的に行う観点から配合される。
そして、用いる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤等が挙げられる。
【0158】
ラジカル重合開始剤としては、加熱することにより、重合性化合物の重合を開始し得る活性種が発生する化合物である熱ラジカル発生剤;や、可視光線、紫外線(i線など)、遠紫外線、電子線、X線等の露光光の露光により、重合性化合物の重合を開始しえる活性種が発生する化合物である光ラジカル発生剤;のいずれも使用可能であるが、光ラジカル発生剤を使用するのが好適である。
【0159】
光ラジカル発生剤としては、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O-アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α-ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、キサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、露光によって活性ラジカルまたは活性酸、あるいは活性ラジカルと活性酸の両方を発生する成分である。光ラジカル発生剤は、一種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0160】
アセトフェノン系化合物の具体例としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシル・フェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1,2-オクタンジオン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-4’-モルフォリノブチロフェノン等を挙げることができる。
【0161】
ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0162】
なお、本発明においては、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度をさらに改良することができる点で好ましい。
ここで、「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、下記で定義するメルカプタン系化合物、アミン系化合物等が好ましい。
【0163】
メルカプタン系化合物としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-2,5-ジメチルアミノピリジン等を挙げることができる。アミン系化合物としては、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノベンゾニトリル等を挙げることができる。
【0164】
トリアジン系化合物としては、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0165】
O-アシルオキシム系化合物の具体例としては、1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-ヘプタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-〔4-(フェニルチオ)フェニル〕-オクタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-〔4-(ベンゾイル)フェニル〕-オクタン-1,2-ジオン2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン1-(O-アセチルオキシム)、1-[9-エチル-6-(3-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタノン1-(O-アセチルオキシム)、1-(9-エチル-6-ベンゾイル-9H-カルバゾール-3-イル)-エタノン1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0166】
また、光ラジカル発生剤として、市販品をそのまま用いることもできる。具体例としては、BASF社製の、商品名:Irgacure907、商品名:Irgacure184、商品名:Irgacure369、商品名:Irgacure651、商品名:Irgacure819、商品名:Irgacure907、および、商品名:IrgacureOXE02、並びに、ADEKA社製の、商品名:アデカアークルズN1919T等が挙げられる。
【0167】
前記アニオン重合開始剤としては、アルキルリチウム化合物;ビフェニル、ナフタレン、ピレン等の、モノリチウム塩またはモノナトリウム塩;ジリチウム塩やトリリチウム塩等の多官能性開始剤;等が挙げられる。
【0168】
また、前記カチオン重合開始剤としては、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸;三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズのようなルイス酸;芳香族オニウム塩または芳香族オニウム塩と、還元剤との併用系;が挙げられる。
【0169】
これらの重合開始剤は一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0170】
なお、本発明の重合性化合物または重合性混合物を用いた重合性液晶組成物において、重合開始剤の配合割合は、上述した重合性化合物を含む混合物100質量部に対し、通常、0.1~30質量部、好ましくは0.5~10質量部である。
【0171】
また、本発明の重合性化合物または重合性混合物を用いた重合性液晶組成物には、表面張力を調整するために、界面活性剤を配合するのが好ましい。当該界面活性剤としては、特に限定はないが、通常、ノニオン系界面活性剤が好ましい。当該ノニオン系界面活性剤としては、市販品を用いればよく、例えば、分子量が数千程度のオリゴマーであるノニオン系界面活性剤、例えば、ネオス社製、商品名:フタージェント208Gが挙げられる。
ここで、本発明の重合性化合物または混合物を用いた重合性液晶組成物において、界面活性剤の配合割合は、全重合性化合物100質量部に対し、通常、0.01~10質量部、好ましくは0.1~2質量部である。
【0172】
更に、本発明の重合性化合物または重合性混合物を用いた重合性液晶組成物には、重合性化合物または重合性混合物、重合開始剤、界面活性剤の他、本発明の効果に影響が出ない範囲で、他の成分が更に含まれていてもよい。他の成分としては、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。
また、他の成分としては、他の共重合可能な単量体も挙げられる。具体的には、特に限定されるものではなく、例えば、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸-4’-メトキシフェニル、4-(6-メタクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸ビフェニル、4-(2-アクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸-4’-シアノビフェニル、4-(2-メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸-4’-シアノビフェニル、4-(2-メタクリロリルオキシエチルオキシ)安息香酸-3’,4’-ジフルオロフェニル、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)安息香酸ナフチル、4-アクリロイルオキシ-4’-デシルビフェニル、4-アクリロイルオキシ-4’-シアノビフェニル、4-(2-アクリロイルオキシエチルオキシ)-4’-シアノビフェニル、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)-4’-メトキシビフェニル、4-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)-4’-(4”-フルオロベンジルオキシ)-ビフェニル、4-アクリロイルオキシ-4’-プロピルシクロヘキシルフェニル、4-メタクリロイル-4’-ブチルビシクロヘキシル、4-アクリロイル-4’-アミルトラン、4-アクリロイル-4’-(3,4-ジフルオロフェニル)ビシクロヘキシル、4-(2-アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4-アミルフェニル)、4-(2-アクリロイルオキシエチル)安息香酸(4-(4’-プロピルシクロヘキシル)フェニル)、商品名「LC-242」(BASF社製)、トランス-1,4-ビス〔4-[6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]フェニル〕シクロヘキサンジカルボキシレート、並びに、特開2007-002208号公報、特開2009-173893号公報、特開2009-274984号公報、特開2010-030979号公報、特開2010-031223号公報、特開2011-006360号公報および特開2010-24438号公報に開示されている化合物等の共重合可能な単量体が挙げられる。
これらの他の成分の配合割合は、全重合性化合物100質量部に対し、通常、0.1~20質量部である。
【0173】
本発明の重合性化合物または重合性混合物を用いた重合性液晶組成物は、通常、重合性化合物または重合性混合物と、重合開始剤と、所望により配合される他の成分等とを、所定の割合で、適当な有機溶媒に混合・溶解させることにより、調製することができる。
なお、この場合、混合物としての重合性化合物(I)と重合性化合物(IV)とは、予め混合した状態で添加してもよいし、別々に添加してもよい。
【0174】
用いる有機溶媒としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン等のエーテル類;等が挙げられる。
【0175】
(6)高分子
本発明の高分子は、上述した重合性化合物、上述した重合性混合物(重合性化合物(I)および重合性化合物(IV)を含む混合物)、または、上述した重合性液晶組成物を重合して得られるものである。
ここで、「重合」とは、通常の重合反応のほか、架橋反応を含む広い意味での化学反応を意味するものとする。
そして、本発明の高分子は、通常、重合性化合物(I)に由来する単量体単位(繰り返し単位(I)’)を有し、任意に、重合性化合物(IV)に由来する単量体単位(繰り返し単位(IV)’)を更に有している。
【0176】
なお、本発明の高分子は、重合性化合物(I)を用いて調製しているので、光学フィルム等の構成材料として良好に用いることができる。
【0177】
また、本発明の高分子は、特に限定されることなく、フィルム状、粉体状、粉体が集合した層状などの用途に応じた任意の形状にして使用することができる。
具体的には、高分子のフィルムは、後述する光学フィルムおよび光学異方体の構成材料として良好に用いることができ、高分子の粉は、塗料、偽造防止物品、セキュリティ物品等に利用することができ、高分子の粉よりなる層は、光学異方体の構成材料として良好に用いることができる。
【0178】
そして、本発明の高分子は、具体的には、(α)適当な有機溶媒中で、重合性化合物を含む混合物、または、重合性液晶組成物の重合反応を行った後、目的とする高分子を単離し、得られる高分子を適当な有機溶媒に溶解して溶液を調製し、この溶液を適当な基板上に塗工して得られた塗膜を乾燥後、所望により加熱することにより得る方法、(β)重合性化合物を含む混合物、または、重合性液晶組成物を有機溶媒に溶解し、この溶液を、公知の塗工法により基板上に塗布した後、脱溶媒し、次いで加熱または活性エネルギー線を照射することにより重合反応を行う方法等により好適に製造することができる。
【0179】
前記(α)の方法において重合反応に用いる有機溶媒としては、不活性なものであれば、特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類;等が挙げられる。
これらの中でも、取り扱い性に優れる観点から、沸点が60~250℃のものが好ましく、60~150℃のものがより好ましい。
【0180】
また、前記(α)の方法において、単離した高分子を溶解するための有機溶媒、および、前記(β)の方法で用いる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2-ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、1,3-ジオキソラン等のエーテル系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、N-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤;等が挙げられる。これらの中でも、取り扱いが容易な点から、溶媒の沸点が60~200℃のものが好ましい。これらの溶媒は単独でも用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0181】
前記(α)および(β)の方法において用いる基板としては、有機、無機を問わず、公知慣用の材質のものを使用することができる。例えば、有機材料としては、ポリシクロオレフィン〔例えば、ゼオネックス、ゼオノア(登録商標;日本ゼオン社製)、アートン(登録商標;JSR社製)、および、アペル(登録商標;三井化学社製)〕、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、三酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン等が挙げられ、無機材料としては、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
また、用いる基板は、単層のものであっても、積層体であってもよい。
基板としては、有機材料からなる基板が好ましく、有機材料をフィルム状にした樹脂フィルムが更に好ましい。
なお、基板としては、後述する光学異方体の作製に用いられる基板等も挙げられる。
【0182】
また、(α)の方法において高分子の溶液を基板に塗布する方法、および、(β)の方法において重合反応用の溶液を基板に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、キャップコーティング法等を用いることができる。
【0183】
更に、前記(α)および(β)の方法における乾燥または脱溶媒の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等を用いることができる。
【0184】
また、混合物および重合性液晶組成物を重合させる方法としては、活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられるが、加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。
【0185】
ここで、光の照射時の温度は、30℃以下とすることが好ましい。光照射強度は、通常、1W/m~10kW/mの範囲、好ましくは5W/m~2kW/mの範囲である。
【0186】
上述のようにして得られた高分子は、基板から転写して使用することも、基板から剥離して単体で使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学フィルム等の構成材料等として使用することもできる。
また、基板から剥離した高分子は、既知の方法で粉砕して粉体状にしてから使用することもできる。
【0187】
以上のようにして得られる本発明の高分子の数平均分子量は、好ましくは500~500,000、更に好ましくは5,000~300,000である。該数平均分子量がかかる範囲にあれば、高い硬度が得られ、取り扱い性にも優れるため望ましい。高分子の数平均分子量は、単分散のポリスチレンを標準試料とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0188】
そして、本発明の高分子によれば、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面で満足のいく光学フィルム等を得ることができる。
【0189】
(7)光学フィルム
本発明の光学フィルムは、本発明の高分子を用いて形成され、光学的な機能を有する層を含む。光学的な機能とは、単なる透過、反射、屈折、複屈折などを意味する。
【0190】
ここで、本発明の光学フィルムは、配向膜を有していてもよい配向基板上に形成されたままの形態(配向基板/(配向膜)/光学フィルム)、配向基板とは異なる透明基板フィルム等に光学フィルムを転写した形態(透明基板フィルム/光学フィルム)、または、光学フィルムに自己支持性がある場合には光学フィルム単層形態(光学フィルム)のいずれの形態であってもよい。
なお、配向膜および配向基板としては、後述する光学異方体と同じ基板および配向膜を用いることができる。
【0191】
そして、本発明の光学フィルムは、(A)重合性化合物、重合性化合物を含む混合物または重合性液晶組成物の溶液を配向基板上に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、熱処理(液晶の配向)、並びに、光照射および/または加熱処理(重合)を行う方法や、(B)重合性化合物、重合性化合物を含む混合物または液晶性組成物を重合して得られる液晶性高分子の溶液を配向基板上に塗布し、任意に得られた塗膜を乾燥する方法により製造することができる。
【0192】
本発明の光学フィルムは、光学異方体、液晶表示素子用配向膜、カラーフィルター、ローパスフィルター、光偏光プリズム、各種光フィルター等に用いることができる。
【0193】
なお、本発明の光学フィルムは、エリプソメーターで測定した波長449.9nm、548.5nm、650.2nmにおける位相差から求められる、下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70~0.99であることが好ましく、0.75~0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00~1.25であることが好ましく、1.01~1.20であることがより好ましい。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
【0194】
(8)光学異方体
本発明の光学異方体は、本発明の高分子を構成材料とする層を有する。
本発明の光学異方体は、例えば、基板上に配向膜を形成し、該配向膜上に、さらに、本発明の高分子からなる層(液晶層)を形成することによって、得ることができる。なお、本発明の光学異方体は、基板上に本発明の高分子からなる層(液晶層)を直接形成したものであってもよいし、本発明の高分子からなる層(液晶層)のみからなるものであってもよい。
なお、高分子からなる層は、フィルム状の高分子からなるものであってもよいし、粉体状の高分子の集合体であってもよい。
【0195】
ここで、配向膜は、重合性液晶化合物を面内で一方向に配向規制するために基板の表面に形成される。
配向膜は、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリマーを含有する溶液(配向膜用組成物)を基板上に膜状に塗布し、乾燥させ、そして一方向にラビング処理等することで、得ることができる。
配向膜の厚さは0.001~5μmであることが好ましく、0.001~1μmであることがさらに好ましい。
【0196】
ラビング処理の方法は、特に制限されないが、例えばナイロン等の合成繊維、木綿等の天然繊維からなる布やフェルトを巻き付けたロールで一定方向に配向膜を擦る方法が挙げられる。ラビング処理した時に発生する微粉末(異物)を除去して配向膜の表面を清浄な状態とするために、ラビング処理後に配向膜をイソプロピルアルコール等によって洗浄することが好ましい。
また、ラビング処理する方法以外に、配向膜の表面に偏光紫外線を照射する方法によっても、面内で一方向に配向規制する機能を持たせることができる。
【0197】
配向膜を形成する基板としては、ガラス基板、合成樹脂フィルムからなる基板等が挙げられる。前記合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、および、脂環式オレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0198】
脂環式オレフィンポリマーとしては、特開平05-310845号公報、米国特許第5179171号明細書に記載されている環状オレフィンランダム多元共重合体、特開平05-97978号公報、米国特許第5202388号明細書に記載されている水素添加重合体、特開平11-124429号公報(国際公開99/20676号)に記載されている熱可塑性ジシクロペンタジエン系開環重合体およびその水素添加物等が挙げられる。
【0199】
本発明において、配向膜上に本発明の高分子からなる液晶層を形成する方法としては、前記本発明の高分子の項で記載したのと同じ方法(前記(α)および(β))が挙げられる。
得られる液晶層の厚みは、特に制限はないが、通常1~10μmである。
【0200】
なお、本発明の光学異方体の一種としては、特に限定されることなく、位相差板、視野角拡大板等が挙げられる。
【0201】
なお、本発明の光学異方体は、エリプソメーターで測定した波長449.9nm、548.5nm、650.2nmにおける位相差から求められる、下記α値およびβ値が所定の範囲内にあることが好ましい。具体的には、α値は、0.70~0.99であることが好ましく、0.75~0.90であることがより好ましい。また、β値は、1.00~1.25であることが好ましく、1.01~1.20であることがより好ましい。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
【0202】
(9)偏光板等
本発明の偏光板は、本発明の光学異方体および偏光フィルムを含むものである。
本発明の偏光板の具体例としては、図1および2に示すような、偏光フィルム上に、直接又はその他の層(ガラス板等)を介して、本発明の光学異方体が積層されてなるもの(積層体)が挙げられる。
【0203】
偏光フィルムの製造方法は特に限定されない。PVA系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムにヨウ素イオンを吸着させた後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後にヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムへのヨウ素イオン吸着と一軸延伸とを同時に行う方法、PVA系フィルムを二色性染料で染色した後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に二色性染料で染色する方法、PVA系フィルムへの二色性染料での染色と一軸延伸とを同時に行う方法が挙げられる。また、ポリエン系の偏光フィルムを製造する方法としては、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に脱水触媒存在下で加熱・脱水する方法、ポリ塩化ビニル系フィルムを一軸に延伸した後に脱塩酸触媒存在下で加熱・脱水する方法などの公知の方法が挙げられる。
【0204】
本発明の偏光板においては、偏光フィルムと本発明の光学異方体とが、接着剤(粘着剤を含む)からなる接着層を介して接していてもよい。接着層の平均厚みは、通常0.01μm~30μm、好ましくは0.1μm~15μmである。前記接着層は、JIS K7113による引張破壊強度が40MPa以下となる層であることが好ましい。
【0205】
接着層を構成する接着剤としては、アクリル接着剤、ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリオレフィ系接着剤、変性ポリオレフィン接着剤、ポリビニルアルキルエーテル接着剤、ゴム接着剤、塩化ビニル・酢酸ビニル接着剤、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS共重合体)接着剤、その水素添加物(SEBS共重合体)接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレン-スチレン共重合体などのエチレン接着剤、並びに、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体およびエチレン・アクリル酸エチル共重合体などのアクリル酸エステル接着剤などが挙げられる。
【0206】
本発明の偏光板は、本発明の光学異方体を用いていることから、低コストで製造可能で、反射輝度が低く、かつ、広い波長域において一様の偏光変換が可能な、性能面でも優れたものである。
【0207】
また、本発明の偏光板を用いることにより、パネルおよび偏光板を供える表示装置や、反射防止フィルムを好適に製造することができる。なお、表示装置としては、パネルとして液晶パネルを用いたフラットパネル表示装置や、パネルとして有機エレクトロルミネッセンスパネルを用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置が挙げられる。
【実施例
【0208】
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
合成した各化合物は、ブルカー(株)製Bruker AV500を用いたH NMR測定、及び、サーモフィッシャー(株)製Orbitrup Fusiоnを用いた精密質量測定により、化学構造を確認した。
【0209】
(合成例1)化合物1の合成
【化37】
・・・化合物1
【0210】
<ステップ1:さらなる中間体1-Aの合成>
【化38】
・・・さらなる中間体1-A
【0211】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、トランス-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド83.05g(0.40mol)をシクロペンチルメチルエーテル600gに加えて、氷浴下にて5℃に冷却した。この溶液に、4-(6-アクリロイルオキシ-ヘクス-1-イルオキシ)フェノール(DKSH社製)100g(0.38mol)、2,6-ジターシャーリーブチル-4-メチルフェノール1.67g、および、テトラヒドロフラン(THF)230gを加えた。そこへ、強撹拌下にて、トリエチルアミン40.2g(0.40mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、5℃にて、1時間反応を行った。反応終了後、水250gを加えた後、50℃に昇温して4時間撹拌した。その後、水層を抜き出して得られた有機層に1mol/L濃度の酢酸/酢酸ナトリウム緩衝水溶液416gを加えて30分撹拌した後、水層を抜き出した。更に、有機層を水250gで洗浄して得られた有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を蒸発除去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9(容積比))により精製することで、さらなる中間体1-Aを白色固体として75g(17.92mоl)得た。収率は47.4モル%であった。
さらなる中間体1-Aの構造はH-NMRで同定した。
【0212】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48-2.56(m,1H)、2.18-2.26(m,1H)、2.04-2.10(m,2H)、1.93-2.00(m,2H)、1.59-1.75(m,4H)、1.35-1.52(m,8H)。
【0213】
<ステップ2:さらなる中間体1-Bの合成>
【化39】
・・・さらなる中間体1-B
【0214】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、ヘキサメチレンテトラミン15.06g(107.4mmоl)をトリフルオロ酢酸100mLに完全に溶解した後、4,4’-ジヒドロキシビフェニル2.00g(10.74mmоl)を急速に添加した。前記混合物が橙色になったことを確認した後、120℃で5日間反応を行った。反応終了後、氷冷下で4規定塩酸200mLを加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を加熱したDMSOで再結晶することにより、さらなる中間体1-Bを黄色結晶として2.08g(6.98mmоl)得た。収率は64.9モル%であった。
さらなる中間体1-Bの構造はH-NMRで同定した。
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):10.82(s,4H)、10.13(s,2H)、7.59(s,4H)。
【0215】
<ステップ3:中間体1-Cの合成>
【化40】
・・・中間体1-C
【0216】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、前記ステップ1で合成したさらなる中間体1-A:10.00g(23.90mmol)、前記ステップ2で合成したさらなる中間体1-B:2.85g(9.56mmol)、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン210mg(1.72mmol)をクロロホルム100mLに加えた。室温下にて、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.20g(25.33mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、25℃にて4時間撹拌した。反応終了後、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみからクロロホルム:THF=95:5(容積比)にグラジエント)により精製することで、中間体1-Cを白色固体として7.17g(6.52mmоl)得た。収率は68.2モル%であった。
中間体1-Cの構造はH-NMRで同定した。
【0217】
H-NMR(500MHz,DMSO-d6,TMS,δppm):10.20(s,4H)、7.82(s,4H)、6.84-7.01(m,8H)、6.39(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.20(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.83(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.15(t,4H,J=6.5Hz)、3.93(t,4H,J=6.5Hz)、2.54-2.82(m,4H)、2.09-2.25(m,8H)、1.48-1.75(m,16H)、1.31-1.51(m,8H)。
【0218】
<ステップ4:中間体1-Dの合成>
【化41】
・・・中間体1-D
【0219】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)を入れ、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)20mLに溶解した。この溶液に炭酸カリウム8.36g(60.5mmol)、1-ヨードヘキサン3.08g(14.5mmol)を加え、50℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、反応液を水200mLに投入し、酢酸エチル300mLで抽出した。そして、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30)により精製し、白色固体として中間体1-Dを1.96g(7.88mmоl)得た。収率は65.1モル%であった。
中間体1-Dの構造はH-NMRで同定した。
【0220】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69-1.76(m,2H)、1.29-1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)。
【0221】
<ステップ5:化合物1の合成>
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した中間体1-C:4.00g(3.64mmol)、及び、前記ステップ4で合成した中間体1-D:2.72g(10.91mmol)を入れ、THF40mLに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.72mL(0.72mmol)を加え、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル300mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=95:5)により精製し、黄色固体として化合物1を1.71g(0.84mmоl)得た。収率は23.2モル%であった。
化合物1の構造はH-NMRで同定した。
【0222】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.45(d,4H,J=2.5Hz)、7.82(s,4H)、7.63-7.71(m,8H)、7.22-7.34(m,8H)、6.86-7.02(m,8H)、6.41(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.35(t,8H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.55-2.81(m,4H)、2.30-2.45(m,8H)、1.65-1.85(m,32H)、1.31-1.56(m,24H)、0.91(t,12H,J=7.0Hz)。
【0223】
(合成例2)混合物1の合成
【化42】
・・・混合物1
【0224】
<ステップ1:さらなる中間体混合物2-Aの合成>
【化43】
・・・さらなる中間体混合物2-A
【0225】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、4,4’-ジヒドロキシビフェニル4.00g(21.48mmоl)、ヘキサメチレンテトラミン6.92g(49.4mmоl)をトリフルオロ酢酸200mLに完全に溶解し、120℃で4時間反応を行った。反応終了後、氷冷下で4規定塩酸400mLを添加し12時間撹拌した。撹拌終了後、沈殿物をろ過し、得られた結晶をトルエン200mLに加え、10分間撹拌した後、結晶をろ取した。得られた結晶を乾燥させることにより、さらなる中間体混合物2-Aを黄色結晶として2.24g得た。
【0226】
この黄色結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ2に用いた。
【0227】
(2-A-1):(2-A-2)=95.1:4.9
【0228】
上記式(2-A-1)および(2-A-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(2-A-1)MS(m/z):241.0499[M+1]
(2-A-2)MS(m/z):269.0448[M+1]
【0229】
<ステップ2:中間体混合物2-Bの合成>
【化44】
・・・中間体混合物2-B
【0230】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成したさらなる中間体1-A:10.00g(23.90mmol)、前記ステップ1で合成したさらなる中間体混合物2-A:2.30g、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン210mg(1.72mmol)をクロロホルム100mLに加えた。室温下にて、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.20g(25.33mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、25℃にて4時間撹拌した。反応終了後、反応液を水500mLに投入し、酢酸エチル200mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から溶媒を減圧留去した後、得られた残留物をTHF200mLに溶解させた。その溶液にメタノール800mLを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として中間体混合物2-Bを7.24g得た。
この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ3に用いた。
【0231】
(2-B-1):(2-B-2)=95.6:4.4
【0232】
上記式(2-B-1)および(2-B-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(2-B-1)MS(m/z):1060.4688[MNH4+
(2-B-2)MS(m/z):1088.4637[MNH4+
【0233】
<ステップ3:混合物1の合成>
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体混合物2-B:4.30g、及び、合成例1のステップ4で合成した中間体1-D:1.27g(5.11mmol)を入れ、THF40mLに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.43mL(0.43mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル300mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、そこへメタノール50mLを滴下し、ろ過により結晶を得た。得られた結晶をテトラヒドロフラン40mL、メタノール50mLから再結晶することで、黄色固体として混合物1を5.14g得た。
【0234】
この黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。
【0235】
(1-1):(1-2)=96.2:3.8
【0236】
上記式(1-1)および(1-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(1-1)MS(m/z):1505.6818[M+1]
(1-2)MS(m/z):1764.7961[M+1]
【0237】
(合成例3)混合物2の合成
【化45】
・・・混合物2
【0238】
<ステップ1:さらなる中間体混合物3-Aの合成>
【化46】
・・・さらなる中間体混合物3-A
【0239】
合成例2の製造において、ステップ1のさらなる中間体混合物2-Aを得る工程にて、ヘキサメチレンテトラミンの使用量を6.92g(49.4mmоl)から7.82g(55.84mmоl)に変更した以外は、合成例2のステップ1と同様の操作を行った。その結果、さらなる中間体混合物3-Aを黄色結晶として2.14g得た。
【0240】
この黄色結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ2に用いた。
【0241】
(3-A-1):(3-A-2):(3-A-3)=92.0:4.5:3.5
【0242】
上記式(3-A-1)、(3-A-2)、および(3-A-3)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(3-A-1)MS(m/z):241.0497[M+1]
(3-A-2)MS(m/z):269.0449[M+1]
(3-A-3)MS(m/z):297.0397[M+1]
【0243】
<ステップ2:中間体混合物3-Bの合成>
【化47】
・・・中間体混合物3-B
【0244】
合成例2の製造において、ステップ2の中間体混合物2-Bを得る工程にて、さらなる中間体混合物2-A:2.30gを前記ステップ1で合成したさらなる中間体混合物3-A:2.07gに変更した以外は、合成例2のステップ2と同様の操作を行った。その結果、中間体混合物3-Bを白色固体として7.14g得た。
【0245】
この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ3に用いた。
【0246】
(3-B-1):(3-B-2):(3-B-3)
=92.2:4.6:3.2
【0247】
上記式(3-B-1)、(3-B-2)、および(3-B-3)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(3-B-1)MS(m/z):1060.4691[MNH4+
(3-B-2)MS(m/z):1088.4639[MNH4+
(3-B-3)MS(m/z):1116.4578[MNH4+
【0248】
<ステップ3:混合物2の合成>
合成例2の製造において、ステップ3の混合物1を得る工程にて、中間体混合物2-B:4.30gを前記ステップ2で合成した中間体混合物3-B:3.87gに変更した以外は、合成例2のステップ3と同様の操作を行った。その結果、混合物2を黄色固体として4.95g得た。
【0249】
この黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。
【0250】
(2-1):(2-2):(2-3)=92.6:4.6:2.8
【0251】
上記式(2-1)および(2-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(2-1)MS(m/z):1505.6815[M+1]
(2-2)MS(m/z):1764.7958[M+1]
(2-3)MS(m/z):2023.9098[M+1]
【0252】
(合成例4)化合物2の合成
【化48】
・・・化合物2
【0253】
<ステップ1:初期中間体4-Aの合成>
【化49】
・・・初期中間体4-A
【0254】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、1,4-ジメトキシベンゼン7.00g(50.67mmоl)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン29.44g(253.33mmоl)、及びジエチルエーテル280mmоlを加え、均一な溶液とした。この溶液を0℃に冷却し、2.6M n-ブチルリチウム(n-ヘキサン溶液)97.4mL(253.33mmоl)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を還流条件下で6時間反応させた後、反応液を-78℃に冷却し、N,N-ジメチルホルムアミド18.52g(253.33mmоl)を加え、全容を同温度でさらに2時間撹拌した。その後、反応液に3N塩酸350mLを-78℃で加え、25℃まで昇温させた後、蒸留水300mL、飽和食塩水200mLを加えて、クロロホルム750mLで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾別し、ロータリーエバポレーターにて、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた個体をトルエン200mL中に加え、10分間撹拌した後、結晶をろ取することで、黄色結晶として初期中間体4-Aを5.96g(30.69mmоl)得た。収率は60.6モル%であった。
初期中間体4-Aの構造はH-NMRで同定した。
【0255】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):10.51(s,2H)、7.46(s,2H)、3.95(s,6H)。
【0256】
<ステップ2:さらなる中間体4-Bの合成>
【化50】
・・・さらなる中間体4-B
【0257】
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した初期中間体4-A:3.32g(17.10mmоl)をジクロロメタン160mLに溶解させ、-50℃に冷却した。この溶液に、三臭化ほう素(17%ジクロロメタン溶液)51.3mL(51.29mmоl)を滴下し、全容を同温度で1時間撹拌した後、反応液を25℃に昇温してさらに2時間撹拌した。その後、反応液を氷水600mLに投入し、酢酸エチル500mLで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて、ろ液から溶媒を減圧留去した。得られた個体をトルエン200mL中に加え、5分間撹拌した後、結晶をろ取することで、黄色結晶としてさらなる中間体4-Bを2.51g(15.11mmоl)得た。収率は88.4モル%であった。
さらなる中間体4-Bの構造はH-NMRで同定した。
【0258】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):10.23(s,2H)、9.96(s,2H)、7.24(s,2H)。
【0259】
<ステップ3:中間体4-Cの合成>
【化51】
・・・中間体4-C
【0260】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成したさらなる中間体1-A:10.00g(23.90mmol)、前記ステップ2で合成したさらなる中間体4-B:1.59g(9.56mmol)、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン233mg(1.91mmol)をクロロホルム100mLに加えた。室温下にて、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.20g(25.33mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、25℃にて5時間撹拌した。反応終了後、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみからクロロホルム:THF=9:1(容積比)にグラジエント)により精製することで、中間体4-Cを白色固体として6.06g(6.28mmоl)得た。収率は65.7モル%であった。
中間体4-Cの構造はH-NMRで同定した。
【0261】
H-NMR(500MHz,DMSO-d6,TMS,δppm):10.10(s,2H)、7.51(s,2H)、6.94-7.08(m,8H)、6.33(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.18(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.94(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.10(t,4H,J=6.5Hz)、3.92(t,4H,J=6.5Hz)、2.54-2.83(m,4H)、2.09-2.21(m,8H)、1.48-1.75(m,16H)、1.30-1.48(m,8H)。
【0262】
<ステップ4:化合物2の合成>
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した中間体4-C:4.00g(4.14mmol)、及び、合成例1のステップ4で合成した中間体1-D:3.09g(12.41mmol)を入れ、THF40mLに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.83mL(0.83mmol)を加え、40℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル300mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=95:5)により精製し、黄色固体として化合物2を1.53g(1.07mmоl)得た。収率は23.2モル%であった。
化合物2の構造はH-NMRで同定した。
【0263】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.81(d,2H,J=2.5Hz)、7.65-7.69(m,6H)、7.49(s,2H)、7.30-7.38(m、2H)、6.90-7.05(m,8H)、6.41(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.11(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.85(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.31(t,4H,J=8.0Hz)、4.17(t,4H,J=6.5Hz)、3.96(t,4H,J=6.5Hz)、2.55-2.68(m,4H)、2.30-2.34(m,8H)、1.65-1.81(m,20H)、1.30-1.53(m,20H)、0.89(t,6H,J=7.0Hz)。
【0264】
(合成例5)混合物3の合成
【化52】
・・・混合物3
【0265】
<ステップ1:さらなる中間体混合物5-Aの合成>
【化53】
・・・さらなる中間体混合物5-A
【0266】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、マグネシウム1.49g(0.061mоl)とメタノール61gを加え、加熱還流条件下で1時間撹拌した。反応液を25℃に冷却し、4-(ベンジルオキシ)フェノール20.0g(0.102mоl)を加え、常圧下でメタノール30gを蒸留により留去した。ここにトルエン102gを加え、反応液の内温が85℃になるまで、メタノールとトルエンをさらに共沸蒸留により除去した。その後、パラホルムアルデヒド13.78g(0.459mоl)とトルエン40.8gのスラリー溶液を、滴下漏斗を用いて1時間かけて滴下した。その際、反応の進行とともにメタノールが生成するため、反応液内温を85~95℃に維持してメタノールを共沸除去した。前記スラリー液の滴下終了後、さらに全容を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、12N塩酸12.38gを水60gで希釈した溶液を反応液に加え、全容を2時間撹拌した。得られた反応混合物に飽和食塩水20gと飽和重曹水20gとの混合液で洗浄し、分液し、有機層を分取して、トルエン溶液を得た。
【0267】
得られたトルエン溶液に、メタノール41gと5%パラジウム/カーボン粉末(50%含水品、STDタイプ、エヌ・イー ケムキャット社製)2.35gを加え、反応容器内を水素置換した後、水素を満たしたガスパックを接続して、25℃で20時間反応させた。反応終了後、触媒を吸引ろ過によって取り除き、得られたろ液を、内温が110℃になるまでメタノールを常圧下で蒸留留去した。得られた濃縮液を25℃まで冷却して、析出した結晶をろ過により単離し、乾燥することで黄色固体としてさらなる中間体混合物5-Aを11.29g得た。この黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ2に用いた。
【0268】
(5-A-1):(5-A-2)
=97.1:2.9
【0269】
上記式(5-A-1)および(5-A-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(5-A-1)MS(m/z):137.0240[M+1]
(5-A-2)MS(m/z):165.0190[M+1]
【0270】
<ステップ2:中間体混合物5-Bの合成>
【化54】
・・・中間体混合物5-B
【0271】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成したさらなる中間体1-A:10.00g(23.90mmol)、前記ステップ1で合成したさらなる中間体混合物5-A:1.29g、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン233mg(1.91mmol)をクロロホルム100mLに加えた。室温下にて、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.20g(25.33mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、25℃にて4時間撹拌した。反応終了後、反応液を水500mLに投入し、酢酸エチル200mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から溶媒を減圧留去した後、得られた残留物をTHF200mLに溶解させた。その溶液にメタノール800mLを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として中間体混合物5-Bを6.93g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ3に用いた。
【0272】
(5-B-1):(5-B-2)=98.3:1.7
【0273】
上記式(5-B-1)および(5-B-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(5-B-1)MS(m/z):956.4439[MNH4+
(5-B-2)MS(m/z):984.4367[MNH4+
【0274】
<ステップ3:混合物3の合成>
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体混合物5-B:4.05g、及び、合成例1のステップ4で合成した中間体1-D:1.27g(5.11mmol)を入れ、THF40mLに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.43mL(0.43mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル200mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、そこへメタノール50mLを滴下し、ろ過により結晶を得た。得られた結晶をテトラヒドロフラン40mL、メタノール50mLから再結晶することで、黄色固体として混合物3を4.15g得た。この黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。
【0275】
(3-1):(3-2)=98.9:1.1
【0276】
上記式(3-1)および(3-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(3-1)MS(m/z):1170.5355[M+1]
(3-2)MS(m/z):1429.6509[M+1]
【0277】
(合成例6)混合物4の合成
【化55】
・・・混合物4
【0278】
<ステップ1:さらなる中間体混合物6-Aの合成>
【化56】
・・・さらなる中間体混合物6-A
【0279】
合成例2の製造において、ステップ1のさらなる中間体混合物2-Aを得る工程にて、ヘキサメチレンテトラミンの使用量を6.92g(49.4mmоl)から6.47g(46.18mmоl)に変更した以外は、合成例2のステップ1と同様の操作を行った。その結果、さらなる中間体混合物6-Aを黄色結晶として2.35g得た。
【0280】
この黄色結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ2に用いた。
(6-A-1):(6-A-2)=99.5:0.5
【0281】
上記式(6-A-1)および(6-A-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(6-A-1)MS(m/z):241.0497[M+1]
(6-A-2)MS(m/z):269.0449[M+1]
【0282】
<ステップ2:中間体混合物6-Bの合成>
【化57】
・・・中間体混合物6-B
【0283】
合成例2の製造において、ステップ2の中間体混合物2-Bを得る工程にて、さらなる中間体混合物2-A:2.30gを前記ステップ1で合成したさらなる中間体混合物6-A:2.14gに変更した以外は、合成例2のステップ2と同様の操作を行った。その結果、中間体混合物6-Bを白色固体として7.19g得た。
【0284】
この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ3に用いた。
(6-B-1):(6-B-2)=99.8:0.2
【0285】
上記式(6-B-1)および(6-B-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(6-B-1)MS(m/z):1060.4690[MNH4+
(6-B-2)MS(m/z):1088.4639[MNH4+
【0286】
<ステップ3:混合物4の合成>
合成例2の製造において、ステップ3の混合物1を得る工程にて、中間体混合物2-B:4.30gを前記ステップ2で合成した中間体混合物6-B:4.12gに変更した以外は、合成例2のステップ3と同様の操作を行った。その結果、混合物4を黄色固体として4.99g得た。
【0287】
この黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。
(4-1):(4-2)=99.0:0.1
【0288】
上記式(4-1)および(4-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(4-1)MS(m/z):1505.6820[M+1]
(4-2)MS(m/z):1764.7959[M+1]
【0289】
(合成例7)混合物5の合成
【化58】
・・・混合物5
【0290】
<ステップ1:さらなる中間体混合物7-Aの合成>
【化59】
・・・さらなる中間体混合物7-A
【0291】
合成例5の製造において、ステップ1のさらなる中間体混合物5-Aを得る工程にて、パラホルムアルデヒドの使用量を13.78g(0.459mmоl)から13.01g(0.433mmоl)に変更した以外は、合成例5のステップ1と同様の操作を行った。その結果、さらなる中間体混合物7-Aを黄色結晶として11.31g得た。この黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ2に用いた。
(7-A-1):(7-A-2)=99.1:0.9
【0292】
上記式(7-A-1)および(7-A-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(7-A-1)MS(m/z):137.0242[M+1]
(7-A-2)MS(m/z):165.0188[M+1]
【0293】
<ステップ2:中間体混合物7-Bの合成>
【化60】
・・・中間体混合物7-B
【0294】
合成例5の製造において、ステップ2の中間体混合物5-Bを得る工程にて、さらなる中間体混合物5-A:1.29gを前記ステップ1で合成したさらなる中間体混合物7-A:1.31gに変更した以外は、合成例5のステップ2と同様の操作を行った。その結果、中間体混合物7-Bを白色結晶として6.85g得た。この白色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、白色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。この化合物を精製することなく、そのままステップ3に用いた。
(7-B-1):(7-B-2)=99.5:0.5
【0295】
上記式(7-B-1)および(7-B-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(7-B-1)MS(m/z):956.4441[MNH4+
(7-B-2)MS(m/z):984.4365[MNH4+
【0296】
<ステップ3:混合物5の合成>
合成例5の製造において、ステップ3の混合物3を得る工程にて、中間体混合物5-B:4.05gを前記ステップ2で合成した中間体混合物7-B:4.11gに変更した以外は、合成例5のステップ3と同様の操作を行った。その結果、混合物5を黄色固体として4.01g得た。この黄色固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、黄色固体に含まれる化合物の面積値比は下記の通りであった。
(5-1):(5-2)=99.7:0.3
【0297】
上記式(5-1)および(5-2)で表される化合物の構造は質量分析で同定した。
(5-1)MS(m/z):1170.5357[M+1]
(5-2)MS(m/z):1429.6504[M+1]
【0298】
(比較合成例1)比較化合物1の合成
【化61】
・・・比較化合物1
【0299】
<ステップ1:さらなる比較中間体8-Aの合成>
【化62】
・・・さらなる比較中間体8-A
【0300】
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、4,4’-ジヒドロキシビフェニル28.0g(150mmоl)、ヘキサメチレンテトラミン46.0g(330mmоl)をトリフルオロ酢酸350mLに完全に溶解し、110℃で4時間反応を行った。反応終了後、氷冷下で4規定塩酸3Lを添加し12時間撹拌した。撹拌終了後、沈殿物をろ過し、得られた結晶をトルエン300mLに加え、10分間撹拌した後、結晶をろ取した。得られた結晶を乾燥させることにより、さらなる比較中間体8-Aを黄色結晶として7.45g(30.75mmоl)得た。収率は20.0モル%であった。
さらなる比較中間体8-Aの構造はH-NMRで同定した。
【0301】
H-NMR(500MHz,DMSO-d,TMS,δppm):10.87(s,2H)、10.04(s,2H)、7.93(d,2H,J=2.5Hz)、7.84(d,2H,J=2.5Hz,8.5Hz)、7.03(d,2H,J=8.5Hz)。
【0302】
<ステップ2:比較中間体8-Bの合成>
【化63】
・・・比較中間体8-B
【0303】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成したさらなる中間体1-A:10.00g(23.90mmol)、前記ステップ1で合成したさらなる比較中間体8-A:2.32g(9.56mmol)、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン233mg(1.91mmol)をクロロホルム100mLに加えた。室温下にて、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.20g(25.33mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、25℃にて3時間撹拌した。反応終了後、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみからクロロホルム:THF=95:5(容積比)にグラジエント)により精製することで、比較中間体8-Bを白色固体として7.13g(6.84mmоl)得た。収率は71.5モル%であった。
比較中間体8-Bの合成はH-NMRで同定した。
【0304】
H-NMR(500MHz,DMSO-d6,TMS,δppm):10.25(s,2H)、7.83(s,2H)、7.22-7.27(m,2H)、6.84-7.00(m,10H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.19(t,4H,J=6.5Hz)、3.96(t,4H,J=6.5Hz)、2.54-2.80(m,4H)、2.29-2.43(m,8H)、1.67-1.83(m,8H)、1.35-1.54(m,16H)。
【0305】
<ステップ3:比較化合物1の合成>
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した比較中間体8-B:4.44g(4.26mmol)、及び、合成例1のステップ4で合成した中間体1-D:1.27g(5.11mmol)を入れ、THF40mLに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.43mL(0.43mmol)を加え、40℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル300mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=93:7)により精製し、黄色固体として比較化合物1を5.33g(3.54mmоl)得た。収率は83.2モル%であった。
比較化合物1の構造はH-NMRで同定した。
【0306】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):8.39(d,2H,J=2.5Hz)、7.81(s,2H)、7.63-7.70(m,4H)、7.22-7.32(m,6H)、6.86-7.02(m,10H)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.35(t,4H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56-2.80(m,4H)、2.30-2.45(m,8H)、1.66-1.85(m,20H)、1.31-1.55(m,20H)、0.91(t,6H,J=7.0Hz)。
【0307】
(比較合成例2)比較化合物2の合成
【化64】
・・・比較化合物2
【0308】
<ステップ1:中間体9-Aの合成>
【化65】
・・・中間体9-A
【0309】
温度計を備えた3口反応器において、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成したさらなる中間体1-A:10.00g(23.90mmol)、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド1.32g(9.56mmol)、および4-(ジメチルアミノ)ピリジン233mg(1.91mmol)をクロロホルム100mLに加えた。室温下にて、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド3.20g(25.33mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、25℃にて4時間撹拌した。反応終了後、反応液を直接シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルムのみからクロロホルム:THF=9:1(容積比)にグラジエント)により精製することで、中間体9-Aを白色固体として5.49g(5.85mmоl)得た。収率は61.2モル%であった。
中間体9-Aの構造はH-NMRで同定した。
【0310】
H-NMR(500MHz,DMSO-d6,TMS,δppm):10.02(s,1H)、7.67(d,1H,J=3.0Hz)、7.55(dd,1H,J=3.0Hz,8.5Hz)、7.38(d,1H,J=8.5Hz)、6.99-7.04(m,4H)、6.91-6.96(m,4H)、6.32(dd,2H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,2H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,2H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.56-2.81(m,4H)、2.10-2.26(m,8H)、1.50-1.76(m,16H)、1.33-1.49(m,8H)。
【0311】
<ステップ2:比較化合物2の合成>
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ1で合成した中間体9-A:4.00g(4.26mmol)、及び、合成例1のステップ4で合成した中間体1-D:1.27g(5.11mmol)を入れ、THF40mLに溶解させた。この溶液に、1N塩酸0.43mL(0.43mmol)を加え、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を蒸留水200mLに投入し、酢酸エチル200mLで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ別した後、ロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを減圧留去して、白色固体を得た。この白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=9:1)により精製し、黄色固体として比較化合物2を4.24g(3.63mmоl)得た。収率は85.1モル%であった。
比較化合物2の構造はH-NMRで同定した。
【0312】
H-NMR(500MHz,CDCl,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67-7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58-2.70(m,4H)、2.31-2.35(m,8H)、1.66-1.82(m,18H)、1.31-1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)。
【0313】
(実施例1~13、比較例1~2)
合成例1~7で得た化合物1~2及び混合物1~5、比較合成例1~2で得た比較化合物1~2のそれぞれ、並びに、光重合開始剤(ADEKA社製、商品名:アデカアークルズN1919T)、界面活性剤(DIC社製、商品名:メガファックF-562)、シクロペンタノン、及び1,3-ジオキソランを表1に示す割合で混合した。
【0314】
得られた混合物を90℃に加温して溶解させて、温めたまま、0.45μmの細孔径を有するディスポーザブルフィルターでろ過し、重合性液晶組成物1~15をそれぞれ得た。
【0315】
【表1】
【0316】
<重合性組成物の安定性評価>
前記実施例1~13、比較例1~2で得られた重合性組成物1~15について重合性組成物の安定性評価を行った。重合性組成物1~15について、25℃にて、2日間静置して、目視により析出及びゲル化発生有無を評価した。評価結果を表2にまとめた。
【0317】
<液晶相の安定性評価>
(i)重合性液晶組成物による液晶層の形成
ラビング処理されたポリイミド配向膜の付与された透明ガラス基板(E.H.C.Co.,Ltd.製、商品名:配向処理ガラス基板)に、重合性液晶組成物1~15のそれぞれを♯4のワイヤーバーを使用して塗布した。塗膜を、下記表2に示す温度で1分間乾燥した後、表2に示す温度で1分間配向処理し、液晶層(厚み約2.5μm)を形成した。
【0318】
(ii)光学異方体の形成
上記(i)で作製した液晶層を表2に示す温度で1分間あるいは15分間放置した後、それぞれの液晶層の塗布面側から表2に示す温度で1500mJ/cmの紫外線を照射して重合させ、それぞれ、透明ガラス基板付光学異方体を得た。
【0319】
(iii)液晶相安定性の判定
上記(ii)で得られた透明ガラス基板付光学異方体を図1および2に示すように配置して積層体を得て、表面の状態を目視にて観察した。ムラの無い状態がよい状態である。ムラが少ない状態を10とし、ムラが発生している状態を1として、その程度を10段階で評価した。評価結果を表2にまとめた。
なお、図1および2中、偏光フィルムとしては、PVA系の偏光フィルム(住友化学社製)を使用した。また、ムラがない状態(評価指数:10)、ややムラが発生している状態(評価指数:5)、ムラが発生している状態(評価指数:1)の写真を、それぞれ図3(a)、図3(b)、図3(c)に示した。
【0320】
<光学特性の測定>
上記(ii)で得られた透明ガラス基板付光学異方体について、245.9nmから998.4nm間の位相差(リタデーション、Re)を、エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M2000U型)を用いて測定した。また、測定した位相差を用いて以下のように算出されるα、β値から波長分散性を評価した。結果を表3に示す。
α=(449.9nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
β=(650.2nmにおける位相差)/(548.5nmにおける位相差)
【0321】
なお、広帯域性を示す理想的な波長分散性、即ち逆波長分散性を示す場合、α値は1より小となり、β値は1より大となる。フラットな波長分散性を有している場合、α値とβ値は同程度の値となる。一般的な(通常の)波長分散性を有している場合、α値は1より大となり、β値は1より小となる。即ち、α値とβ値が同程度の値となるフラットな波長分散性が好ましく、αが1より小となり、βが1より大となる逆波長分散性が特に好ましい。
【0322】
ここで、光学異方体の膜厚は、透明ガラス基板付光学異方体の光学異方体に針で傷をつけ、その段差を表面形状測定装置DEKTAK150型(株式会社アルバック製)で測定して計測した。
【0323】
【表2】
【0324】
表2から、実施例1~13で使用した重合性液晶組成物1~13では、析出やゲル化発生までの時間が2日以上と重合性組成物の安定性が高く、塗布ムラが少なく液晶相を安定に長時間維持できる塗膜が得られるとなることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0325】
本発明によれば、液晶相をより安定に長時間維持することが可能であり、かつ、成分の析出やゲル化が起こりにくい重合性組成物を提供可能な重合性化合物、並びに、当該重合性化合物を用いて調製した混合物および高分子が提供される。
また、本発明によれば、配向欠陥の発生が抑制され、これにより液晶相をより安定に長時間維持することで、面内均一性に優れる光学フィルム等が提供される。
【符号の説明】
【0326】
1 偏光フィルム
2 液晶層(光学異方体)
3 ガラス基板
4 偏光フィルム
5 ライトボックス
11 吸収軸
12 遅相軸
13 吸収軸

図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】