(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】シート積載装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/38 20060101AFI20241126BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65H31/38
B41J11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020202933
(22)【出願日】2020-12-07
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】風間 郁海
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-272812(JP,A)
【文献】特開2020-147420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00
-31/40
B41J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載するシート積載装置であって、
前記シートの搬送方向又は当該搬送方向の直交方向に設置される一対の構成からなるシート整合機構を備え、
当該シート整合機構は、積載されている前記シートに対して往復移動する整合部材と、
弾性部材を介して前記整合部材に連結する駆動部材と、
前記駆動部材に駆動力を伝達する駆動源と、を備え、
前記弾性部材は、前記シートが規定サイズよりも大きいときに当該シートの端部を前記整合部材が押圧したときの反力により伸長
し、
前記駆動源は、ステッピングモータであり、
前記整合部材は、前記駆動部材に対し面接触する凸状部と、
前記シートに対する往復移動の距離を規定する長孔部と、を有し、
前記長孔部には、前記駆動部材に固定される固定部材が挿通されている、
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記固定部材は、円筒部とネジとを組み合わせた段付きネジである、請求項
1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
シート材を積層して収容するシート積載部と、
前記シート積載部から搬送された前記シート材に対して液体を吐出する液体吐出部と、を備え、
前記シート積載部は、請求項1
又は2に記載のシート積載装置であることを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体(以下、単に「シート」とする。)を積層して収容するシート収容部において、シートの端部を整合させる整合機構を備えるシート積載装置が知られている。また、シート積載装置から搬出したシートに液体を吐出する装置も知られている。液体を吐出する装置の一例として、シートに吐出した液体の像により画像を形成する画像形成装置に相当するものも知られている。
【0003】
シート整合装置において、シート整合部材がシート積載位置の外側からシート積載位置におけるシートの端部位置まで往復移動することでシートの端部を正位置で揃える機構も知られている。シートの正位置を揃える機構として、特にシートの横方向(搬出方向に対する直交方向)の整合性を高める動作をする構造も知られている。
【0004】
シートを整合する機構の一例として、シートを待機させる待機トレイと、この待機トレイの下方に配設され、排出されるシートを積載する処理トレイと、この処理トレイに積載された前記シートの横方向の整合を行う整合機構と、整合されたシート束を後処理する後処理機構と、後処理されたシート束を排出する排出トレイとを備えるものが知られている(特許文献1を参照)。
【0005】
特許文献1に記載の整合機構は、シート束を挟んで第1の横整合板と第2の横整合板を有し、前記シート束の整合を行うときには、前記第1の横整合板及び前記第2の横整合板のいずれか一方の横整合板を仮固定し他の横整合板を前記シート束の方向に移動させることにより整合を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の整合機構では、整合板をシート方向に移動させることでシートの整合を行うので、シートの幅および長さにおいて寸法にばらつきがあると整合性が低下する。
【0007】
例えば、シートの寸法は、規格に則ったものではあるが、ノミナル寸法に対してプラス方向にシートの幅寸法や長さ寸法がばらつくこともある。寸法のばらつきによって、整合機構を構成するシート整合部材がシートに衝突して規定距離まで移動できない状態になることもある。また、シート整合部材を駆動する駆動源に対して過度の負荷が加わることもある。
【0008】
シート整合部材が規定距離まで移動できない場合は、整合が正常に行えず、また、シート整合部材の駆動源の負荷が大きくなると、整合機構の動作に異常が生ずる。したがって、従来技術では、シート整合性の維持において課題がある。
【0009】
本発明は、積載されたシートの端部を整合するとき、シート整合部材を駆動させる駆動源への負荷を制限するシート積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明はシートを積載するシート積載装置に関し、前記シートの搬送方向又は当該搬送方向の直交方向に設置される一対の構成からなるシート整合機構を備え、当該シート整合機構は、積載されている前記シートに対して往復移動する整合部材と、弾性部材を介して前記整合部材に連結する駆動部材と、前記駆動部材に駆動力を伝達する駆動源と、を備え、前記弾性部材は、前記シートが規定サイズよりも大きいときに当該シートの端部を前記整合部材が押圧したときの反力により伸長し、前記駆動源は、ステッピングモータであり、前記整合部材は、前記駆動部材に対し面接触する凸状部と、前記シートに対する往復移動の距離を規定する長孔部と、を有し、前記長孔部には、前記駆動部材に固定される固定部材が挿通されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、積載されたシートの端部を整合するとき、シート整合部材を駆動させる駆動源への負荷を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るシート積載装置を備える液体を吐出する装置の実施形態の全体構成を示す模式図。
【
図2】本発明に係るシート積載装置の一実施形態としての搬入部の内部構成を示す斜視図。
【
図3】上記搬入部が備える給紙トレイの内部構成を示す斜視図。
【
図4】上記搬入部が備えるシート整合機構の概要を示す説明図。
【
図5】第一実施形態に係るシート整合機構の詳細な構成を示す説明図。
【
図6】第二実施形態に係るシート整合機構の詳細な構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る液体を吐出する装置の一実施形態としての画像形成システム1の全体構成を示す概略図である。なお、本実施形態においては、整合対象であり搬送対象であるシート状の媒体としてシート材であるシートPを例示しながら説明する。しかし、本実施形態は、紙媒体のみに適用が限定されるものではなく、プラスチックシート、樹脂または布などのシート状の媒体であれば適用可能である。
【0014】
図1に示すように、画像形成システム1は、搬入部10と、印刷部20と、乾燥部30と、搬出部40とを備えている。画像形成システム1は、搬入部10から搬入されるシートPに対し、印刷部20で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部30でシートPに付着した液体を乾燥させた後、シートPを搬出部40に排出する。
【0015】
搬入部10は、本発明に係るシート積載装置の一実施形態に相当する。搬入部10は、シートPを印刷部20に搬送するシート搬送装置としても機能する。搬入部10は、シートPを積載してシート束として収容するシート積載部としての給紙トレイ11を複数備える。また、搬入部10は、シートPを印刷部20へ送り込む複数のレジストローラ対13と、積載しているシート束からシートPを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12と、を備える。
【0016】
給送装置12は、例えば、エアーの吸引を利用してシートPを搬送ベルトに吸着させ、搬送する。これ以外にもローラやコロを用いた装置などでもよい。給送装置12により給紙トレイ11から送り出されたシートPは、先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部20へ送り出される。
【0017】
印刷部20は画像形成装置としての液体を吐出する構成を備える装置であり、シートPを搬送するためのドラム51および吸引装置52を有する。ドラム51は、シートPを周面に担持して回転する回転部材である。吸引装置52は、ドラム51の周面に吸引力を生じさせる吸引手段である。また印刷部20は、ドラム51に担持されたシートPに向けて液体を吐出する液体吐出部22を備えている。
【0018】
本実施形態において、搬入部10から印刷部20に搬送されるシートPの搬送方向を「Y方向」とする。また、画像形成システム1の高さ方向であって、シートPの積載方向を「Z方向」とする。そして、Y方向とZ方向との直交方向であって、シートPのいわゆる幅方向を「X方向」とする。
【0019】
印刷部20は、搬入部10から搬送されたシートPを受け取ってドラム51との間でシートPを渡す渡し胴24と、ドラム51によって搬送されたシートPを乾燥部30へ受け渡す受け渡し胴25とを備えている。
【0020】
搬入部10から印刷部20へ搬送されてきたシートPは、渡し胴24に設けられた把持手段であるシートグリッパによって先端が把持され、渡し胴24の回転に伴って搬送される。渡し胴24により搬送されたシートPは、ドラム51との対向位置でドラム51へ受け渡される。
【0021】
ドラム51の表面にも把持手段であるシートグリッパが設けられており、シートPの先端がシートグリッパによって把持される。ドラム51の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されている。吸引装置52は、ドラム51の所要の吸引孔から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0022】
そして、渡し胴24からドラム51へ受け渡されたシートPは、シートグリッパによって先端が把持されると共に、吸引装置52による吸い込み気流によってドラム51上に吸着担持され、ドラム51の回転に伴って搬送される。
【0023】
液体吐出部22は、吐出ユニット23(23A~23F)を備えている。例えば、吐出ユニット23Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット23Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット23Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット23Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、吐出ユニット23E、23Fは、YMCKのいずれか、或いは、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。さらに、表面コート液などの処理液を吐出する吐出ユニットを設けることもできる。
【0024】
液体吐出部22の各吐出ユニット23は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作を行う。ドラム51に担持されたシートPが液体吐出部22との対向領域を通過するときに、吐出ユニット23から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像がシートPの面に形成される。
【0025】
乾燥部30は、印刷部20でシートP上に付着した液体を乾燥させるための乾燥機構部31と、印刷部20から搬送されてくるシートPを吸引した状態で搬送する吸引搬送機構部32とを備えている。
【0026】
印刷部20から搬送されてきたシートPは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、乾燥機構部31を通過するように搬送され、搬出部40へ受け渡される。
【0027】
乾燥機構部31を通過するとき、シートP上の液体は乾燥処理が施される。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シートP上に液体中に含まれる着色剤が定着し、またシートPのカールが抑制される。
【0028】
搬出部40は、複数のシートPが積載される搬出トレイ41を備えている。乾燥部30から搬送されてくるシートPは、搬出トレイ41上に順次積み重ねられて保持される。
【0029】
なお、画像形成システム1には、例えば、シートPに対して前処理を行う前処理部を印刷部20の上流側に配置したり、液体が付着したシートPに対して後処理を行う後処理部を乾燥部30と搬出部40との間に配置したりすることもできる。
【0030】
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシートPに塗布する先塗り処理を行うものが挙げられる。また、後処理部としては、例えば、印刷部20で印刷されたシートPを反転させて再び印刷部20へ送ってシートPの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートPを綴じる処理などを行うものが挙げられる。
【0031】
[シート積載装置の実施形態]
次に、本発明に係るシート積載装置の実施形態としての搬入部10の詳細を説明する。
図2は搬入部10の内部構成を示す斜視図であり、
図3は搬入部10から着脱可能な給紙トレイ11を示す斜視図である。
【0032】
搬入部10は、1または複数の給紙トレイ11を格納することができる。利用者はシート束を給紙トレイ11内に積載させるときに、給紙トレイ11を引き出す。この引出し操作により、給紙トレイ11は、ガイドレール15の案内に従い引き出される。給紙トレイ11の下面にはガイドレール15と当接する被当接部16が設けられ、被当接部16がガイドレール15上を摺動することにより、給紙トレイ11は搬入部10の本体から引き出される。そして利用者はシート束を積載したのち、給紙トレイ11を押し込んで搬入部10に格納する。
【0033】
本実施形態の給送装置12は、
図2や
図3に示すとおり給紙トレイ11と一体となっており、利用者による給紙トレイ11の引き出し操作と共に給送装置12も引き出される。
【0034】
給送装置12は、
図3に示すように給紙トレイ11のシート排出口301の上部側に位置している。また給送装置12は、シート排出口301の上流側(
図3の破線領域内)に分離搬送機構300を有している。分離搬送機構300は、給紙トレイ11に積載されるシートPの束から一のシートPを分離して搬送する。分離搬送機構300は、例えば、複数のシートPが積載されているシート束の最上部のある1枚のシートPを分離する。
【0035】
搬入部10の給紙トレイ11には、シートPを積載して収容する収容空間が備わっている。そして、収納空間に積載されたシートPを正位置で積載するようにシート整合機構110が備わっている。以下、シート整合機構110の構造について詳細に説明する。
【0036】
[シート整合機構110の詳細]
図4は、給紙トレイ11が備える整合機構の構成を概略的に示す図である。積載トレイには、収容空間の底面に想到するトレイ119が備わっており、そのトレイ119の上方にシートPが積載されるように構成されている。トレイ119のZ方向の位置は、シートPの積載量に応じて可変し、最上位に積載されているシートPが給送装置12において送り出されるように調整される。
【0037】
図4に示すように、シートPの上方に相当する位置において、シートPの幅方向の端部を整合するシート整合機構110が、シートPの両幅端部を整合可能な位置で対向して配置されている。
【0038】
シート整合機構110は、整合部材111と、駆動源としてのモータ112と、を主に備えている。モータ112の動作によって整合部材111がX方向の往復移動を行う。ここでの「往復移動」とは、シートPの積載位置の外側からシート積載位置までに整合部材111を反復的に移動させることをいう。整合部材111の往復移動によって、シートPの両側端部が整合位置まで移動させられる。
【0039】
シート整合機構110は、積載されているシートPの最上段の側端部を押すことができる高さ位置に配置されている。
【0040】
ここで、シート整合機構110に対する従来例で生じうる課題について、比較例として説明する。例えば、シートPの寸法が、規格幅にばらついているとき、仮に、ノミナル値に対してプラス方向に大きなシートPを積載したときを想定する。この場合、整合部材111に掛かる負荷トルクがモータ112の動作許容トルクを超えると、モータ112が脱調することになる。モータ112が一度脱調すると、その後、整合部材111の往復移動位置にズレが発生することになる。そして、脱腸の後に今度はノミナル寸法に対してマイナス方向にばらついているシートP(幅の小さいシートP)が積載されたとき、理想の位置まで側端部を押し込むことができなくなり、整合性が低下することになる。
【0041】
なお、シート整合機構110は、シートPの搬送方向(Y方向)の端部を整合するように、シートPの搬送方向先端側と後端側に整合部材111を配置し、整合部材111をY方向において往復移動させるように構成してもよい。
【0042】
本実施形態に掛かるシート整合機構110は、上記のようなモータ112の脱腸の発生要因を抑制する構成を備える。その構成について、
図5を用いて説明する。
【0043】
[第一実施形態]
図5がシート整合機構110の第一実施形態を説明する図である。シート整合機構110は、すでに説明のとおり、シートPの幅方向の両側端部又は搬送方向の両端部(先端と後端)に対して作用する機構である。シートPの対向する端部に対して整合動作を実行するものであるから、例えば、一対の構成がX方向又はY方向において対向して配置されている。
図5は、その一方のみを示しているが、これと同様に構成が対向して配置されることでシート整合機構110は構成される。以下は、幅方向の両側端部に作用させる場合を例示する。先端と後端に作用させる場合も同様である。
【0044】
シート整合機構110は、整合部材111と、駆動源としてのモータ112と、整合部材111にモータ112の駆動力を伝達するための駆動部材113と、弾性部材114と、を備えている。
【0045】
整合部材111は、往復移動によって整合位置にシートPの側端部を押して移動させるための整合押圧部1111と、整合押圧部1111をX方向において摺動させる摺動部1112と、を有する。摺動部1112は、後述する孔部1133の開口範囲で移動する摺動突起部1112aを備えている。
【0046】
モータ112は、回転軸1121と、回転軸1121に取り付けられたピニオン歯1122からなる。モータ112は、例えばステッピングモータであって、入力されたパルス信号に応じて回転量と回転方向が切り変えられる。
【0047】
駆動部材113は、ピニオン歯1122と噛み合うラック歯と、弾性部材114を介して整合部材111の往復移動のための駆動力を伝達する弾性力伝達部1132と、孔部1133と、を有する。
【0048】
駆動部材113は、モータ112からの駆動力を受け取り、整合部材111をX方向において往復移動させる駆動力を整合部材111に伝達する。
【0049】
弾性部材114は、駆動部材113と整合部材111を接続し、自然時には、整合部材111と駆動部材113が突っ張るように、これら部材間に固定される。これによって、駆動部材113からの駆動力は弾性部材114を介して伝達し、整合部材111がシートPを整合する往復動作を実行中に加わる負荷は、弾性部材114で緩和されて駆動部材113に伝達する。
【0050】
弾性部材114の弾性係数は、モータ112のモータトルクよりも低い負荷で縮むよう任意に設計すればよい。
【0051】
回転軸1121がA方向に回転すると、駆動部材113が+X方向に移動するので、弾性力伝達部1132も+X方向に移動する。弾性力伝達部1132には弾性部材114の一端部が固定されていて、弾性部材114の他端は、摺動部1112に固定されている。そこで、弾性力伝達部1132が+X方向に移動することで弾性部材114には伸長する方向のちか力が加わるが、復元力によって摺動部1112が+X方向に付勢されて移動する。これによって、+X方向に整合押圧部1111が移動する。
【0052】
一方、回転軸1121がB方向に回転すると、駆動部材113が-X方向に移動するので、弾性力伝達部1132も-X方向に移動する。弾性力伝達部1132が-X方向に移動することで弾性部材114には収縮する方向に力が加わるが、弾性部材114は元々、駆動部材113と整合部材111の間で突っ張るように固定されているので、摺動部1112は-X方向に付勢されて移動する。これによって、-X方向に整合押圧部1111が移動する。
【0053】
したがって、モータ112の回転方向及び回転量を制御することで、シートPの側端部に対して整合押圧部1111が往復移動をしながら繰り返し押すことで、積層されているシートPを整合できる。
【0054】
整合押圧部1111の移動量は、モータ112の回転量によって規定され、モータ112の回転量は、整合対象のシートPのサイズ情報によって規定される。したがって、シートPの規定サイズを知らせるサイズ情報に応じた位置まで整合押圧部1111が移動する。整合押圧部1111がシートPの側端部を押し、摺動部1112に負荷が加わったとき、その負荷が、弾性部材114の初期負荷よりも小さい負荷であれば、弾性部材114の変形は生じないので、そのまま、整合動作を実行する。
【0055】
シートPのサイズがノミナル寸法に対してプラス方向にバラついているとする。整合押圧部1111に対してシートPからの反力が加わり、移動方向(+X方向)の逆方向(-X方向)に整合押圧部1111が押されて、摺動部1112が-X方向に押される。そして、弾性部材114の初期負荷より大きい負荷となれば弾性部材114が収縮する。
【0056】
すなわち、摺動部1112の-X方向への移動によって弾性部材114に対して伸長方向の力が加わるが、弾性部材114の弾性力に収縮するので、整合部材111に加わった反力がモータ112の回転軸1121に直接伝達されることなく緩和される。つまり、モータ112に掛かる負荷を弾性部材114で吸収できるので、整合対象物であるシートPがノミナル寸法に対してバラついたとしても、モータ112の脱調などを防止できる。そして、整合部材111の往復移動を継続することができるので、シート整合性を向上できる。
【0057】
[第二実施形態]
図6は、第二実施形態を説明する図である。本実施形態もすでに説明のとおり、シートPの幅方向又は長さ方向の両端部において、一対となって作用する機構である。なお、
図6においても、一対がX方向において対向して配置されているものを例示して説明する。
図6は、その一方のみを示しているが、これと同様に構成が対向して配置されることでシート整合機構110aは構成される。以下、第一実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0058】
本実施形態に係るシート整合機構110aは、整合部材111a、モータ112、駆動部材113、弾性部材114の他に、固定部材115を備えている。
【0059】
整合部材111aは、往復移動によって整合位置にシートPの側端部を押して移動させるための整合押圧部1111と、整合押圧部1111をX方向において摺動させる摺動突起部1112aと、を有する。摺動部1112は、駆動部材113に対して摺動するときの摺動面としての凸状部1115を備えている。
【0060】
整合部材111aがシートPの整合処理を実行するとき、シートPからの反力が整合押圧部1111に加わると、その負荷が整合部材111aの回転トルクとなり、整合押圧部1111がシートPを正常に押すことができなくなる。また、駆動部材113と整合部材111aの摺動が機能しない状態に至る可能性もある。そこで、シート整合機構110aは、その回転トルクによって整合部材111aが回転することを固定部材115により抑制する。
【0061】
固定部材115は、円筒部と、円筒部に挿通する固定ネジと、を組み合わせた段付きネジである。固定部材115の円筒部は、摺動突起部1112aに形成されている長孔部1114に挿通されていて、固定ネジは、円筒部を駆動部材113に固定する。
【0062】
長孔部1114は、整合部材111aの回転を抑制するために、整合押圧部1111の回転長さ(揃え部回転長さ)よりも長くなるように定めた摺動部抑え距離をもって形成されている。
【0063】
固定部材115によって、整合部材111aの摺動限界は長孔部1114の距離で定まるので、この長孔の距離を揃え部回転長さよりも長くなるようにすれば、第一実施形態に係る駆動部材113に形成されていた孔部1133は不要となる。
【0064】
整合部材111aの整合動作時において、整合部材111aと駆動部材113の摩擦を軽減させるために、摺動面に凸状部1115が設けられている。これによって、整合部材111aと駆動部材113の接触面(摺動面)の摺動接地面積を小さくすることができ、円滑な摺動が可能になる。
【0065】
以上、本実施形態では、分離部材と吸着搬送ベルトユニットとを一体で装置本体から着脱可能にする構成を説明した。これにより、メンテナンスなどのために着脱動作があっても、両者の位置関係を保つことができ、シートPが重送されることを抑制し、シートジャムを引き起こすことを防止することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 :画像形成システム
10 :搬入部
11 :給紙トレイ
12 :給送装置
20 :印刷部
30 :乾燥部
40 :搬出部
110、110a :シート整合機構
111、111a :整合部材
112 :モータ
113 :駆動部材
114 :弾性部材
115 :固定部材
119 :トレイ
300 :分離搬送機構
301 :シート排出口
1111 :整合押圧部
1112 :摺動部
1112a :摺動突起部
1114 :長孔部
1121 :回転軸
1122 :ピニオン歯
1132 :弾性力伝達部
1133 :孔部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】