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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20241126BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241126BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241126BHJP
   B65H 1/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65H7/02
B41J29/38 301
G03G21/00 370
B65H1/00 501A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020209156
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096194
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】ファム テークーン
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-069833(JP,A)
【文献】特開2019-068218(JP,A)
【文献】特開2020-179951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00
-3/68
B65H 7/00
-7/20
B65H 43/00
-43/08
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束を収容する収容部と、該シート束の最上部から一枚ずつ取り出されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送したシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置であって、
前記収容部における前記シートの有無を検知するシート有無検知センサと、
前記搬送部が搬送している前記シートの通過を検知する通過検知センサと、
前記搬送部による前記シートの搬送を制御する搬送制御部と、
前記シート有無検知センサからの検知情報に基づいて前記収容部における前記シートの有無を判定するシート有無判定部と、
前記通過検知センサの検知情報に基づいて前記搬送部が搬送している前記シートの長さが規定長さであるか否かを判定する長さ判定部と、を備え、
前記搬送制御部は、前記長さ判定部が前記規定長さよりも長いと判定した特定のシートについてさらに前記搬送部による搬送を継続させることにより、該特定のシートの後端を前記通過検知センサによる検知位置を通過させ、
前記シート有無判定部は、前記搬送制御部による前記特定のシートの搬送継続の開始タイミングから前記シート有無検知センサからの検知情報を監視し、前記特定のシートの後端が前記検知位置を通過するまで前記収容部における前記シートの有無を判定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シート束を収容する収容部と、該シート束の最上部から一枚ずつ取り出されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送したシートに画像を形成する画像形成部と、前記収容部における前記シートの有無を検知するシート有無検知センサと、前記搬送部が搬送している前記シートの通過を検知する通過検知センサと、を備えた画像形成装置による画像形成方法であって、
前記通過検知センサの検知情報に基づいて前記搬送部が搬送している前記シートの長さが規定長さであるか否かを判定するステップと、
前記規定長さよりも長いと判定した特定のシートについてさらに前記搬送部による搬送を継続させることにより、該特定のシートの後端を前記通過検知センサによる検知位置を通過させるステップと、
前記特定のシートの搬送継続の開始タイミングから前記シート有無検知センサからの検知情報を監視し、前記特定のシートの後端が前記検知位置を通過するまで前記収容部における前記シートの有無を判定するステップと、
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙等のシートに対して画像を形成する画像形成装置が知られている。例えば特許文献1に記載された画像形成装置は、シートの搬送方向の長さを検知するシート長さ検知手段を備えており、シートの連れ送り/重送に起因するシート長さの誤検知を防止している。
この画像形成装置では、制御部にて、収容部内に積層状態でセットされたシート束を構成する個々のシートの長さ(用紙長さ検知手段が検知したシートの長さ)と設定上のシートの長さの差分の絶対値を計算している。そして、制御部は、計算で得られた絶対値が所定値より大きい場合にセットされたシートの長さが不適正と判断し、不適正である旨をユーザーに通知している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像形成装置では、シート束を収容する収容部内に規定サイズと同じサイズのシートを収容するが、規定サイズとは異なるサイズのシートが収容される場合がある。
特許文献1の画像形成装置では、収容部に規定サイズよりも長いシートが1枚だけ残った状態で連続的な画像形成が指示された場合には、収容部にシートが収容されていない状態であるにも関わらず、シートありと誤検知してしまう可能性があった。
特許文献1の画像形成装置では、シートありと誤検知しまうと、検知対象のシートの次のシートへの印刷時において、収容部にシートが収容されていない状態でシートの供給動作が行われることとなり、供給不能のエラーが生じてしまうという課題があった。
【0004】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、収容部に設定よりも長いシートが1枚だけ残った状態で連続的な画像形成が指示された場合において、供給不能のエラーが生じる不都合を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、シート束を収容する収容部と、該シート束の最上部から一枚ずつ取り出されたシートを搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送したシートに画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置であって、前記収容部における前記シートの有無を検知するシート有無検知センサと、前記搬送部が搬送している前記シートの通過を検知する通過検知センサと、前記搬送部による前記シートの搬送を制御する搬送制御部と、前記シート有無検知センサからの検知情報に基づいて前記収容部における前記シートの有無を判定するシート有無判定部と、前記通過検知センサの検知情報に基づいて前記搬送部が搬送している前記シートの長さが規定長さであるか否かを判定する長さ判定部と、を備え、前記搬送制御部は、前記長さ判定部が前記規定長さよりも長いと判定した特定のシートについてさらに前記搬送部による搬送を継続させることにより、該特定のシートの後端を前記通過検知センサによる検知位置を通過させ、前記シート有無判定部は、前記搬送制御部による前記特定のシートの搬送継続の開始タイミングから前記シート有無検知センサからの検知情報を監視し、前記特定のシートの後端が前記検知位置を通過するまで前記収容部における前記シートの有無を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、収容部に設定よりも長いシートが1枚だけ残った状態で連続的な画像形成が指示された場合であっても、シート供給不能のエラーが生じる不都合を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示す概略説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成図である。
図3】(a)はエンジン制御部のハードウェア構成図、(b)は主制御部の機能ブロック図である。
図4】(a)乃至(f)は規定サイズの用紙が複数枚収容されている状態における用紙の搬送を説明する図である。
図5】(a)乃至(g)は長尺用紙の下に規定サイズの用紙が収容されている状態における用紙の搬送を説明する図である。
図6】(a)乃至(e)は長尺用紙が1枚だけ収容された状態における用紙の搬送を説明する図である。
図7】連続印刷処理を説明するフローチャートである。
図8】レジストセンサON時処理を説明するフローチャートである。
図9】長尺用紙処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。但し、実施の形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0009】
<本実施形態に係る画像形成装置1の特徴>
最初に、画像形成装置1の特徴について説明する。図1は画像形成装置1の概略説明図である。
図1に例示した画像形成装置1は、給紙トレイ21(収容部)、搬送部30、画像形成部40、及び定着部50を含み、給紙トレイ21に収容されたシート状の用紙P(シート)に対して画像の印刷(トナー画像の形成、及び定着)を行う。給紙トレイ21は用紙束PS(シート束)を収容する。すなわち、給紙トレイ21内には、規定サイズの用紙Pが積層状態で収容されている。給紙トレイ21の上方には、給紙トレイ21内の用紙Pの有無を判定するトレイセンサ23(シート有無検知センサ)を設けている。搬送部30は、用紙束PSの最上部から一枚ずつ取り出された用紙Pを搬送する。画像形成部40は、搬送部30が搬送した用紙Pにトナー画像を形成する。画像形成部40の直前にはレジストセンサ33(通過検知センサ)を設けており、画像形成部40に送り込まれる用紙Pを検知する。定着部50は、トナー画像を用紙Pに定着させる。
【0010】
給紙トレイ21内には、本来、規定サイズの用紙Pが積層状態で収容されるべきであるが、手違い等によって規定サイズよりも長い用紙P(長尺用紙)が収容されることもある。このため、画像形成装置1には、搬送部30によって搬送されている用紙Pが、規定サイズの用紙であるのか、又は長尺用紙であるのかを判定する機能が備えられている。
例えば、主制御部231(図3を参照)は、レジストセンサ33からの検知信号の変化に基づき、用紙Pを所定の待機位置に待機させた後、当該待機位置から搬送を開始させる。その後、主制御部231は、レジストセンサ33からの検知信号の変化に基づき、用紙Pの後端の通過タイミングを取得し、当該用紙Pの搬送開始からの経過時間、及び当該用紙Pの搬送速度に基づいて当該用紙Pの長さを取得する。さらに、主制御部231は、取得した用紙Pの長さが、給紙トレイ21に収容されている用紙Pの規定長さよりも長いか否かを判定する。
【0011】
主制御部231は、搬送部30が搬送している用紙Pが規定長さよりも長い長尺用紙(特定のシート)であると判定した場合には、当該長尺用紙に対する搬送を継続させ、長尺用紙の後端をレジストセンサ33による検知位置を通過させる。
また、主制御部231は、長尺用紙に対する搬送の継続に伴って給紙トレイ21における用紙Pの有無をトレイセンサ23からの検知信号(検知情報)に基づいて判定し、給紙トレイ21に用紙Pがないと判定した場合にはユーザーに対して用紙Pがない旨を通知する。ユーザーは、用紙Pがない旨の通知に基づいて給紙トレイ21に用紙Pを補給し、その後、画像形成装置1に対して印刷を指示する。
従って、主制御部231は、給紙トレイ21に長尺用紙が1枚だけ残った状態で連続印刷が指示された場合であっても用紙Pがない状態であることを認識でき、用紙ありと誤検知する不都合を抑制できる。
【0012】
<本実施形態に係る画像形成装置1の詳細>
次に、画像形成装置1の詳細について説明する。図1に示す画像形成装置1は、例えばMFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)であり、プリンタ部10、スキャナ部110、及び後処理装置120を備えている。
なお、画像形成装置1はMFPに限られない。例えば、画像形成装置1は、複写機であってもよいし、プリンタであってもよいし、ファクシミリ送受信機であってもよい。
【0013】
プリンタ部10は用紙Pに対する印刷を行う。なお、プリンタ部10については、後で詳しく説明する。スキャナ部110は原稿を読み取って画像データに変換する。
後処理装置120はプリンタ部10から排出された用紙Pを受け入れて製本、仕分け、スタック等の各種の後処理加工を行う。このため、後処理装置120は、後処理加工を行う後処理装置本体121と、後処理装置本体121から排出された用紙Pが蓄積される排紙トレイ122と、を備えている。なお、画像形成装置1は、後処理装置120を備えていてもよいし、後処理装置120を備えていなくてもよい。
【0014】
プリンタ部10は、給紙部20、搬送部30、画像形成部40、及び定着部50を備えている。
給紙部20は、給紙トレイ21、給紙ローラ22、及びトレイセンサ23を備えており、用紙束PSを収容し、且つ用紙束PSの最上部から一枚ずつ用紙Pを取り出して搬送部30へ供給する。
給紙トレイ21は、トレイ本体21a、及び底板21bを備えている。トレイ本体21aは用紙束PS(シート束、積層された複数のシート)を収容する容器であり、例えば上面が開放された箱状をしている。底板21bは、用紙束PSを載置させるための板状部材であり、トレイ本体21aの内側空間に上下方向に沿って移動可能に配置されている。
トレイ本体21aは、画像形成装置1で印刷可能な複数種類のサイズの用紙Pの中で、最大サイズの用紙Pを収容可能なサイズに作製されており、例えば底板21bに設けた可動仕切りによって、各サイズの用紙Pに適したサイズの収容空間を形成している。
【0015】
給紙ローラ22は、給紙トレイ21に収容された用紙束PSから最上部に位置する一枚の用紙Pを取り出して搬送部30に向けて送り出す。トレイセンサ23は給紙トレイ21内における用紙Pの有無を検知するものであり、例えば光電センサによって作製されている。本実施形態のトレイセンサ23は、用紙Pの検知状態でON状態になり、用紙Pの非検知状態でOFF状態になる。なお、トレイセンサ23は光電センサに限られず、給紙トレイ21内における用紙Pの有無を検知可能な種類のセンサであればよい。
本実施形態において、給紙部20は、給紙トレイ21、給紙ローラ22、及びトレイセンサ23の組を2つ備えている。上側の組(21A,22A,23A)と下側の組(21B,22B,23B)とは、同じサイズの用紙Pを収容してもよく、異なるサイズの用紙Pを収容してもよい。
【0016】
搬送部30は、給紙部20から取り出された用紙Pを搬送経路TPに沿って搬送する手段であり、ローラ、ベルト、これらを駆動するモータ、ガイドレールなどから構成されている。すなわち、搬送部30は、搬送ローラ対31、レジストローラ対32、レジストセンサ33、2次転写ローラ34、2次転写ベルト35、搬送ベルト36、排紙ローラ37、排紙センサ38、及び用紙センサ39を備えている。
搬送ローラ対31は、用紙Pを表面と裏面の両方から挟んで軸中心に回転することにより、用紙Pを搬送経路TPに沿って送り出す。このため、搬送ローラ対31は、搬送経路TPに沿って間隔を空けて複数配置されている。
【0017】
レジストローラ対32は、搬送経路TPにおける画像形成部40の直前に設けられており、中間転写ベルト上に形成されたトナー画像の転写タイミングが到来すると、ニップした用紙Pを画像形成部40へ送り込む。用紙Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対32のニップ位置にて一旦停止する。そして、用紙Pは、中間転写ベルトとともに移動するトナー画像にタイミングを合わせてレジストローラ対32が回転駆動されることにより、画像形成部40へ送り込まれる。
レジストセンサ33は、例えばレジストローラ対32と画像形成部40との間に設けられており、画像形成部40へ送り込まれる用紙Pの有無を検知する。なお、レジストセンサ33は、画像形成部40に送り込まれた用紙Pの後端も検知することから、搬送部30が搬送している用紙Pの通過を検知する通過検知センサということもできる。
本実施形態のレジストセンサ33は、例えば光電センサによって作製されており、用紙Pの検知状態でON状態になり、用紙Pの非検知状態でOFF状態になる。なお、トレイセンサ23は光電センサに限られず、搬送部30が搬送している用紙Pの有無を検知可能な種類のセンサであればよい。
画像形成部40は、用紙Pに転写されるトナー画像を形成する。なお、画像形成部40については後で説明する。
【0018】
2次転写ローラ34は、画像形成部40の2次転写対向ローラ49とともに画像形成部40の中間転写ベルト48、及び2次転写ベルト35をニップする。用紙Pが2次転写ローラ34、及び2次転写対向ローラ49を通過することにより、用紙Pには画像形成部40が形成した多色のトナー画像が転写される。
2次転写ベルト35は、トナー画像が転写された用紙Pを搬送経路TPの搬送方向下流側に搬送する。搬送ベルト36は、2次転写ベルト35と定着部50との間に配置されており、2次転写ベルト35が搬送した用紙Pを定着部50に供給する。排紙ローラ37、及び排紙センサ38は、搬送経路TPにおける後処理装置120の直前に設けられている。排紙ローラ37は、定着部50を通過した後の用紙Pを後処理装置120に向けて排出する。排紙センサ38は、後処理装置120に向けて排出される用紙Pを検知する。用紙センサ39は、搬送経路TPに沿って間隔を空けて複数設けられており、搬送経路TP上の用紙Pを検知する。
【0019】
画像形成部40は、印刷コマンド(印刷ジョブ)に応じて用紙Pに転写されるトナー画像を形成する。画像形成部40は、作像部41と、1次転写ローラ46と、露光部47と、中間転写ベルト48と、2次転写対向ローラ49と、を備えている。
作像部41はトナー画像を作製する部分であり、例えばイエローのトナー画像を作製する作像部41Y、マゼンタのトナー画像を作製する作像部41M、シアンのトナー画像を作製する作像部41C、及びブラックのトナー画像を作製する作像部41Kを備えている。各作像部41Y、41M、41C、41Kは同じ構成であるため、作像部41Kを例に挙げて説明する。
【0020】
作像部41Kは、感光体ドラム42、帯電部43、現像部44、及びクリーニング部45を備えている。作像部41Kでは、感光体ドラム42に対して作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)が行われ、感光体ドラム42の表面にブラックのトナー画像が形成される。
【0021】
感光体ドラム42は、ドラムモータによって矢印R方向に回転駆動され、帯電部43の位置において感光体ドラム42の表面が一様に帯電される。その後、感光体ドラム42の表面は、露光部47から発せられたレーザ光の照射位置に達し、レーザ光の照射での露光走査によってブラックに対応した静電潜像が形成される。
その後、感光体ドラム42の表面は、現像部44との対向位置に達し、現像部44によって静電潜像が現像されて感光体ドラム42の表面にはブラックのトナー画像が形成される。その後、感光体ドラム42の表面は1次転写ローラ46の対向位置に達する。感光体ドラム42と1次転写ローラ46との間には中間転写ベルト48が挟まれている。感光体ドラム42の表面に形成されたブラックのトナー像は、1次転写ローラ46の位置で中間転写ベルト48の表面に1次転写される。
その後、感光体ドラム42の表面は、クリーニング部45との対向位置に達し、クリーニング部45(クリーニングブレード)によって感光体ドラム42上に残留した未転写トナーが回収される。最後に、感光体ドラム42の表面は除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム42上の残留電位が除去される。
【0022】
なお、以上の作像プロセスは、他の作像部41Y、41M、41Cにおいても作像部41Kと同様に行われる。それぞれの作像部41Y、41M、41C、41Kにおいて感光体ドラム42の表面に形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト48上に重ねて1次転写される。その結果、中間転写ベルト48上には多色のトナー画像が形成される。
【0023】
多色のトナー画像が形成された中間転写ベルト48は、2次転写ローラ34(2次転写ベルト35)との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ49が、2次転写ローラ34との間に中間転写ベルト48と2次転写ベルト35とを挟んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成された多色のトナー画像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙Pに2次転写される。
その後、中間転写ベルト48は、中間転写クリーニング部45の位置に達する。そして、中間転写ベルト48の表面に付着した未転写トナーなどの付着物は、中間転写クリーニング部45によって除去される。付着物の除去により、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0024】
多色のトナー画像が2次転写された用紙Pは、2次転写ベルト35、及び搬送ベルト36によって、定着部50に供給される。定着部50は、定着ベルト51、及び圧力ローラ52を備えている。用紙Pには定着ベルト51、及び圧力ローラ52による熱と圧力とが加わり、2次転写された多色のトナー画像が定着される。
その後、用紙Pは、排紙ローラ37によって後処理装置120に送り出され、後処理装置120によって後処理が施される。後処理が施された用紙Pは、排紙トレイ122に排出される。排紙トレイ122への用紙Pの排出により、画像形成装置1による一連の印刷動作が完了する。
【0025】
<画像形成装置1のハードウェア構成>
図2は、画像形成装置1(MFP)のハードウェア構成図である。図2に示すように、画像形成装置1は、コントローラ210、近距離通信回路220、エンジン制御部230、操作パネル240、及びネットワークI/F(InterFace)250を備えている。なお、画像形成装置1のハードウェア構成は、図2に示す構成に限定されない。例えば、操作パネル240はASIC(Application Specific Integrated Circuit)ではなく、SBに接続される構成であってもよい。
これらのうち、コントローラ210は、コンピュータの主要部であるCPU201、システムメモリ(MEM-P)202、ノースブリッジ(NB)203、サウスブリッジ(SB)204、ASIC206、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)207、HDDコントローラ208、及び記憶部である磁気ディスク(HD)209を有している。NB203とASIC206との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス221で接続されている。
ただし、コントローラ210の構成はこれに限定されない。例えば、CPU201、NB203、SB204などの2以上の構成要素をSoC(System on Chip)によって実現してもよい。この場合、SoCとASIC206との間をPCI-express(登録商標)バスで接続してもよい。
【0026】
CPU201は、画像形成装置1の全体制御を行う制御部である。NB203は、CPU201と、MEM-P202、SB204、及びAGPバス221とを接続するためのブリッジであり、MEM-P202に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
MEM-P202は、コントローラ210の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM202a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM202bとからなる。なお、RAM202bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0027】
SB204は、NB203とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC206は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)である。ASIC206は、AGPバス221、PCIバス222、HDDコントローラ208、及びMEM-C207をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC206は、アービタ(ARB)、メモリコントローラ、複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びにPCIユニットからなる。アービタは、PCIターゲット、AGPマスタ、ASICの中核をなす部分である。メモリコントローラは、MEM-Cを制御する。DMACは、ハードウェアロジックなどにより構成されて画像データの回転などを行う。PCIユニットは、プリンタ部10、スキャナ部110、及び後処理装置120との間でPCIバス222を介したデータ転送を行う。
なお、ASIC206には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0028】
MEM-C207は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD209は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ208は、CPU201の制御に従ってHD209に対するデータの読出し又は書込みを制御する。AGPバス221は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインターフェースであり、MEM-P202に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。ただし、MEM-C207は搭載されていなくてもよい。
【0029】
また、近距離通信回路220には、データを送受信するアンテナ220aが備わっている。近距離通信回路220は、NFC、Bluetooth等の通信回路である。
更に、エンジン制御部230は、プリンタ部10、スキャナ部110、及び後処理装置120によって構成されている。また、操作パネル240は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部241、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー、コピー開始指示を受け付けるスタートキー、及び画像形成装置1が行う機能の切り替え指示を受け付けるアプリケーション切り替えキー等からなるパネル操作部242を備えている。
【0030】
コントローラ210は、画像形成装置1の全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル240からの入力等を制御する。スキャナ部110又はプリンタ部10には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
なお、画像形成装置1は、操作パネル240のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。操作パネル240は、各種情報を表示するLCDや動作状態を点灯/消灯により表示するLEDといった表示部及びタッチパネルやハードキースイッチを有する入力部等を備えている。なお、操作パネル240はタッチパネルを備える場合にはハードキースイッチはなくてもよい。
また、ネットワークI/F250は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路220、及びネットワークI/F250は、PCIバス222を介して、ASIC206に電気的に接続されている。
【0031】
次に、エンジン制御部230について説明する。図3(a)はエンジン制御部230のハードウェア構成図、図3(b)は主制御部231の機能ブロック図である。
図3(a)に示すように、エンジン制御部230は、主制御部231と、プリンタ部10と、スキャナ部110と、後処理装置120とを備えている。
主制御部231は、コントローラ210と連携して、プリンタ部10、スキャナ部110、及び後処理装置120に対する制御を行うものであり、CPU231aとメモリ231bとを備えている。
CPU231aは、エンジン制御部230の制御の中心となる部分であり、メモリ231bに記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行する。メモリ231bは、CPU231aが実行するコンピュータプログラムを記憶している。また、メモリ231bは、CPU231aの動作時において、コンピュータプログラムが展開されたり、各種データを一時的に記憶する。
【0032】
プリンタ部10は、上述したように、給紙部20、搬送部30、画像形成部40、及び定着部50を備えている。給紙部20は、上述したトレイセンサ23に加え、給紙ローラ22を回転駆動する給紙モータ321(シート供給モータ)を含んでいる。搬送部30は、上述した用紙センサ39、レジストセンサ33、及び排紙センサ38に加え、搬送ローラ対31を回転駆動する搬送モータ331、レジストローラ対32を回転駆動するレジストローラ駆動モータ332、及び排紙ローラ37を回転駆動する排紙モータ333を含んでいる。
画像形成部40は、上述した作像部41Y、41M、41C、41Kに加え、転写ベルトを回転駆動する転写ベルト駆動モータ341を含んでいる。
定着部50は、定着ベルト51を回転駆動する定着ベルト駆動モータ351、及び定着部50(例えば圧力ローラ52)を加熱するヒータ352を含んでいる。
【0033】
図3(b)に示すように、主制御部231は、CPU231aがコンピュータプログラムを実行することに伴って、用紙有無判定部231A、供給制御部231B、搬送制御部231C、画像形成制御部231D、長さ判定部231E、中止制御部231F、及び通知制御部231Gとして機能する。
【0034】
用紙有無判定部231Aは、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて、給紙トレイ21内における用紙P(シート)の有無を判定する。供給制御部231Bは、給紙モータ321の動作を制御することにより、給紙トレイ21に収容された用紙束PSの最上部から一枚ずつ用紙Pを取り出し、取り出した用紙Pを搬送部30に向けて供給させる。搬送制御部231Cは、用紙センサ39、レジストセンサ33、及び排紙センサ38からの検知信号に基づいて搬送部30(搬送モータ331、レジストローラ駆動モータ332、及び排紙モータ333)の動作を制御し、搬送部30内における用紙Pの搬送を制御する。画像形成制御部231Dは、印刷コマンド(印刷ジョブ)に基づいて画像形成部40を制御し、用紙Pに多色のトナー画像を形成させる。
【0035】
長さ判定部231Eは、レジストセンサ33からの検知信号に基づいて、搬送部30が搬送している用紙Pの長さを取得し、取得した用紙Pの長さが規定長さであるか否かを判定する。なお、以下の説明において、長さ判定部231Eによる判定対象とされた用紙Pの中で、長さ判定部231Eによって規定長さよりも長い、又は短いと判定された用紙Pのことを特定用紙(長尺用紙、短尺用紙)という。
搬送制御部231Cは、特定用紙についてさらに搬送部30による搬送を継続させる。これにより、特定用紙は、後端がレジストセンサ33を通過した後、後処理装置120に向けて排出される。中止制御部231Fは、用紙有無判定部231Aによって給紙トレイ21内に用紙Pがないと判定された場合、若しくは、長さ判定部231Eによって用紙Pが規定長さよりも長い、又は短いと判定された場合に印刷を中止させる(印刷動作をキャンセルさせる)。
通知制御部231Gは、長さ判定部231Eによって用紙Pが規定長さよりも長い、又は短いと判定されたとき、或いはトレイセンサ23が用紙なしと検知した場合に、パネル表示部241等を制御して判定結果や検知結果をユーザーに通知する。
【0036】
<連続印刷時における用紙Pの搬送について>
次に、本実施形態に係る画像形成装置1によって行われる連続印刷時の用紙Pの搬送について説明する。
図4は規定サイズの用紙Pが複数枚収容されている状態における用紙Pの搬送を説明する図、図5は長尺用紙の下に規定サイズの用紙Pが収容されている状態における用紙Pの搬送を説明する図、図6は長尺用紙が1枚だけ収容された状態における用紙Pの搬送を説明する図である。
【0037】
<規定サイズの用紙Pが複数枚収容されている状態について>
最初に、給紙トレイ21内に規定サイズの用紙Pが複数枚収容されている状態における用紙Pの搬送について説明する。
図4(a)に示すように、規定サイズの用紙Pが複数枚収容されている状態において、用紙Pに対する連続的な印刷が指示されると、主制御部231(用紙有無判定部231A)は、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて、給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。
図4(b)に示すように、主制御部231(供給制御部231B)は、用紙Pがある旨の判定結果に基づいて給紙モータ321の動作を制御し、給紙トレイ21に収容された用紙束PSの最上部から一枚の用紙P1(1枚目の用紙、先行用紙)を取り出して搬送部30に供給させる。
【0038】
図4(c)に示すように、主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、搬送部30によって搬送経路TPを搬送する1枚目の用紙P1の後端が判断基準位置RPを通過したと判定した場合に、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。
判断基準位置RPは、用紙束PSの最上部の用紙P2(2枚目の用紙、後続用紙)について供給を開始するか否かを判断するために用いられる。このため、判断基準位置RPは、給紙トレイ21に収容された用紙P2の先端位置との間に必要な間隔を空けた位置に定められる。
【0039】
本実施形態において、主制御部231は、1枚目の用紙P1の先端がレジストセンサ33の検知位置に達したときに、1枚目の用紙P1の後端位置を推定する。主制御部231による用紙P1の後端位置の推定は、設定上の用紙サイズ(用紙長さ、用紙幅)を示す用紙サイズ情報に基づいて行われる。具体的には、1枚目の用紙P1の後端位置は、1枚目の用紙P1の先端がレジストセンサ33の検知位置を通過したタイミングにおいて、レジストセンサ33の検知位置から搬送方向の上流側に向かって設定上の用紙長さ分だけ遡った位置と推定される。
図4(c)の例において、1枚目の用紙P1の長さは設定上の用紙長さと等しいため、1枚目の用紙Pの実際の後端位置は制御上の後端位置と同じである。従って、主制御部231は、1枚目の用紙P1の先端がレジストセンサ33の検知位置に達したときに、1枚目の用紙P1の後端が判断基準位置RPを通過していると判定する。
なお、1枚目の用紙P1の後端位置の推定方法は上述の方法に限られない。例えば、1枚目の用紙P1の後端位置を、1枚目の用紙Pの設定上の用紙長さ、1枚目の用紙Pの搬送経路TP上の搬送速度、及び1枚目の用紙Pの搬送部30への供給開始からの経過時間に基づいて推定してもよい。
【0040】
主制御部231(搬送制御部231C、画像形成制御部231D)は、1枚目の用紙P1の先端が画像形成部40の直前に到達すると、1枚目の用紙P1の搬送を一時停止させる。図4(c)の例において、主制御部231は、1枚目の用紙P1の先端がレジストセンサ33の検知位置に到達すると、1枚目の用紙P1の搬送を一時停止させる。
その後、主制御部231は、トナー画像の転写タイミングが到来すると1枚目の用紙P1を画像形成部40に送り込む。1枚目の用紙P1には画像形成部40、及び定着部50による印刷が行われる。すなわち、1枚目の用紙P1が画像形成部40(上述した2次転写ニップ)を通過すると、1枚目の用紙P1にはトナー画像が転写される。その後、トナー画像が転写された1枚目の用紙P1が定着部50を通過すると、トナー画像が1枚目の用紙P1に定着される。
【0041】
なお、主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、1枚目の用紙P1に対してトナー画像を転写する前に1枚目の用紙Pの後端が判断基準位置RPを通過したと判定しなかった場合には、トナー画像の転写期間中に1枚目の用紙P1の後端が判断基準位置RPを通過したか否かを判定する。
転写期間中における1枚目の用紙P1の搬送速度は既知であるため、主制御部231は、1枚目の用紙P1の後端位置を、1枚目の用紙P1の設定上の用紙長さ、1枚目の用紙P1の搬送速度(転写速度)、及びトナー画像の転写開始からの経過時間に基づいて推定する。
【0042】
図4(d)に示すように、主制御部231(供給制御部231B)は、用紙Pがある旨の判定結果に基づいて給紙モータ321の動作を制御し、給紙トレイ21に収容された用紙束PSの最上部の用紙(2枚目の用紙)P2を取り出して搬送部30に供給させる。前述したように、2枚目の用紙P2の供給開始時点において、1枚目の用紙P1の後端は判断基準位置RPを通過しており、2枚目の用紙P2の先端と1枚目の用紙P1の後端との間には必要な間隔が空けられているため、2枚の用紙P1、P2が重なって供給されてしまう不都合が抑制される。
【0043】
また、主制御部231(長さ判定部231E)は、1枚目の用紙P1に対するトナー画像の転写開始に伴って、レジストセンサ33(通過検知センサ)からの検知信号を監視し、1枚目の用紙P1の長さが規定長さであるか否かを判定する。
例えば、主制御部231は、レジストセンサ33からの検知信号を監視しつつ、1枚目の用紙P1に対するトナー画像の転写開始からの経過時間を計測する。そして、主制御部231は、転写開始からの経過時間が規定長さに対応する判定時間範囲内(図7に示す第1判定時間(S7)以上第2判定時間(S13)未満の範囲内)に、レジストセンサ33からの検知信号がON(用紙あり)からOFF(用紙なし)へ切り替わった場合に、1枚目の用紙P1が規定長さであると判定する。
なお、図4(d)に示す1枚目の用紙P1は規定長さであるため、主制御部231(長さ判定部231E、画像形成制御部231D)は、1枚目の用紙P1に対する印刷(トナー画像の形成、及び定着)を行わせる。
【0044】
図4(e)に示すように、主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、2枚目の用紙P2の先端がレジストセンサ33の検知位置に達したときに、2枚目の用紙P2の後端が判断基準位置RPを通過していたと判定した場合に、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。また、主制御部231(搬送制御部231C)は、1枚目の用紙P1をプリンタ部10から後処理装置120に向けて排出させる。
図4(f)に示すように、主制御部231(供給制御部231B)は、給紙トレイ21内に用紙Pがある旨の判定結果に基づいて給紙モータ321の動作を制御し、給紙トレイ21に収容された用紙束PSの最上部の用紙(3枚目の用紙)P3を搬送部30に供給させる。
主制御部231は、以上の動作を繰り返し行うことにより、規定サイズの用紙Pに対して連続的に画像を印刷する。
【0045】
<長尺用紙の下に規定サイズの用紙Pが収容されている状態について>
次に、給紙トレイ21に収容された用紙束PSの最上部、若しくは積層方向の途中に、規定長さよりも長い長尺用紙が収容された状態、言い換えれば、長尺用紙の下に規定サイズの用紙Pが収容されている状態における用紙Pの搬送について説明する。
図5(a)に示すように、給紙トレイ21に収容された用紙束PSの最上部の用紙(1枚目の用紙)P11が長尺用紙である状態において、用紙Pに対する連続的な印刷が指示されると、主制御部231(用紙有無判定部231A)は、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて、給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。
図5(b)に示すように、主制御部231(供給制御部231B)は、用紙Pがある旨の判定結果に基づいて給紙モータ321の動作を制御し、用紙束PSの最上部に位置する1枚目の用紙P11を搬送部30に向けて供給させる。
【0046】
図5(c)に示すように、主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、搬送部30によって搬送経路TPを搬送する1枚目の用紙P11の後端が判断基準位置RPに到達したと判定した場合に、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。
主制御部231(搬送制御部231C)は、用紙Pの有無判定に先立ち、1枚目の用紙P11の後端位置を推定する。前述したように、主制御部231による1枚目の用紙P11の後端位置の推定は、1枚目の用紙P11の設定上の用紙長さ、1枚目の用紙P11の搬送速度(転写速度)、及びトナー画像の転写開始からの経過時間に基づいて行われる。
【0047】
図4(c)で説明したように、1枚目の用紙P11の設定上の用紙長さは、用紙Pの先端がレジストセンサ33の検知位置に達したときに、用紙Pの後端が判断基準位置RPを通過する長さである。従って、主制御部231(搬送制御部231C)は、1枚目の用紙P11の後端が判断基準位置RPを通過したと判定する。
しかしながら、図5(c)に示すように、1枚目の用紙P11は設定上の用紙長さよりも長い長尺用紙であることから、1枚目の用紙P11の実際の後端位置は推定された後端位置よりも搬送方向の下流側に位置する。図5(c)の例では、1枚目の用紙P11の先端がレジストセンサ33の検知位置に達したときに、1枚目の用紙P11の後端がトレイセンサ23よりも搬送方向の下流側に位置している。
【0048】
図5(c)に示す例において、主制御部231(用紙有無判定部231A)は、トレイセンサ23が1枚目の用紙P11の後端部分を検知したことに基づいて給紙トレイ21に用紙Pがあると判定する。主制御部231(供給制御部231B)は、給紙トレイ21に用紙Pがあると判定したことに伴い、給紙モータ321を制御して給紙ローラ22を回転させる。給紙ローラ22の回転により、1枚目の用紙P11の後端部分が搬送方向の下流側に送り出されることになる。
【0049】
図5(d)に示すように、主制御部231(長さ判定部231E)は、1枚目の用紙P11へのトナー画像の転写開始に伴って、レジストセンサ33からの検知信号を監視し、1枚目の用紙P11の長さが規定長さであるか否かを判定する。
前述したように、主制御部231は、レジストセンサ33からの検知信号を監視しつつ、1枚目の用紙P11への転写開始からの経過時間を計測する。そして、主制御部231は、転写開始からの経過時間が1枚目の用紙P11の設定上の長さに対応する第2判定時間(図7、S13)を超えても、レジストセンサ33からの検知信号がON(用紙あり)のままであった場合に、1枚目の用紙P11が規定長さよりも長い長尺用紙であると判定する。
【0050】
図5(d)の例において、主制御部231は、1枚目の用紙P11が長尺用紙であると判定する。主制御部231(長さ判定部231E、中止制御部231F、搬送制御部231C)は、1枚目の用紙P11が長尺用紙であると判定すると、1枚目の用紙P11に対する印刷動作をキャンセルして搬送を継続させる。言い換えれば、1枚目の用紙P11は、長尺用紙である判定されたことに基づき、後処理装置120に向けての排出が開始される。
主制御部231(通知制御部231G)は、1枚目の用紙P11が長尺用紙であると判定すると、パネル表示部241等を制御して判定結果をユーザーに通知する。また、主制御部231は、印刷動作をキャンセルしたことから、パネル表示部241に連続印刷を再度促すための情報を表示させる。
なお、主制御部231(中止制御部231F、搬送制御部231C)は、長尺用紙である判定する前に、搬送部30に2枚目の用紙Pを供給している場合には、供給済みの2枚目の用紙Pについても印刷動作をキャンセルして搬送を継続させ、後処理装置120に向けて排出させる。この場合、後処理装置120は、排出対象とされた各用紙Pを、後処理を施すことなく排紙トレイ122に排出する。
【0051】
主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、搬送部30内の1枚目の用紙(長尺用紙)P11に対する搬送の継続(排出制御の開始)に伴い、トレイセンサ23からの検知信号を監視して給紙トレイ21内における用紙Pの有無を判定する。本実施形態において、主制御部231は、用紙Pの有無の判定を、排出対象とされた用紙P(1枚目の用紙P11、及び供給済みの後続用紙)が後処理装置120に排出されるまで継続して行う。
図5(d)の例において、給紙トレイ21には他の用紙P(用紙束PSの最上部に位置する用紙P12等)が収容されているため、トレイセンサ23からの検知信号は排出対象とされた用紙Pが排出されるまでONを維持する。主制御部231は、トレイセンサ23からの検知信号がONを維持していたことに基づき、給紙トレイ21内に用紙Pがあると判定する。
【0052】
図5(e)に示すように、ユーザーによって連続印刷が再度指示されると、主制御部231(用紙有無判定部231A)は、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて、給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。
図5(f)に示すように、主制御部231(供給制御部231B)は、給紙トレイ21内に用紙Pがある旨の判定結果に基づいて給紙モータ321の動作を制御し、給紙トレイ21に収容された用紙束PSの最上部の用紙P(1枚目の用紙P12)を搬送部30に向けて供給させる。
図5(g)に示すように、主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、搬送部30によって搬送経路TPを搬送する1枚目の用紙P12の後端が判断基準位置RPに到達したと判定した場合に、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。なお、以降の処理は、図4で説明した通りであるため、説明を省略する。
【0053】
<長尺用紙が1枚だけ収容された状態について>
次に、給紙トレイ21に長尺用紙が1枚だけ収容された状態における用紙Pの搬送について説明する。
図6(a)に示すように、給紙トレイ21に規定長さよりも長い用紙P21が1枚だけ収容された状態において、用紙Pに対する連続的な印刷が指示されると、主制御部231(用紙有無判定部231A)は、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて、給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。
図6(b)に示すように、主制御部231(供給制御部231B)は、用紙Pがある旨の判定結果に基づいて給紙モータ321の動作を制御し、給紙トレイ21に収容された用紙P21を搬送部30に向けて供給させる。
図6(c)に示すように、主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、搬送部30によって搬送経路TPを搬送する用紙P21の後端が判断基準位置RPに到達したと判定した場合に、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する。
なお、ここまでの動作は、用紙P11の下に規定サイズの用紙Pが収容されている状態(図5(a)乃至(c)の状態)と同じである。従って、図6(c)の状態において、主制御部231(用紙有無判定部231A)は、給紙トレイ21内に用紙Pがあると判定する。
【0054】
図6(d)に示すように、主制御部231(長さ判定部231E)は、用紙P21の画像形成部40への供給開始に伴って、レジストセンサ33からの検知信号を監視し、用紙P21の長さが規定長さであるか否かを判定する。
図6(d)の例において、主制御部231(長さ判定部231E、中止制御部231F、搬送制御部231C)は、供給開始からの経過時間が長尺用紙用の第2判定時間を超えても、レジストセンサ33からの検知信号がON(用紙あり)のままであることから、画像形成部40に規定よりも長い長尺用紙が供給されたと判定し、用紙P21に対する印刷動作をキャンセルし、且つ用紙P21の搬送を継続させる。その結果、図6(e)に示すように、用紙P21は後処理装置120に向けて排出される。
【0055】
図6(d)に戻り、主制御部231(搬送制御部231C、用紙有無判定部231A)は、用紙P21に対する搬送の継続(排出制御の開始)に伴い、トレイセンサ23からの検知信号に基づいて給紙トレイ21内における用紙Pの有無を判定する。主制御部231(用紙有無判定部231A)は、トレイセンサ23からの検知信号がOFFであることから、給紙トレイ21内に用紙Pはないと判定する。
すなわち、主制御部231(用紙有無判定部231A)は、図6(c)の状態では給紙トレイ21内に用紙Pが収容されていると判定したが、その後、図6(d)の状態において給紙トレイ21内に用紙Pはないと判定し直す。
主制御部231(通知制御部231G)は、画像形成部40に長尺用紙が供給されたことに伴ってパネル表示部241等を制御し、長尺用紙が給紙部20に収容されていた旨をユーザーに通知する。さらに、主制御部231は、給紙トレイ21内に用紙Pはないと判定したことから、パネル表示部241に給紙トレイ21への用紙Pの補給を促すための情報を表示させる。
【0056】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る画像形成装置1では、主制御部231は、搬送部30が搬送している用紙P21が規定長さよりも長い長尺用紙である判定したことに伴い、印刷動作をキャンセルし、且つ用紙P21の搬送を継続させる(長尺用紙を後処理装置120に向けて排出させる)。さらに、主制御部231は、用紙P21に対する搬送の継続に伴って給紙トレイ21における用紙Pの有無をトレイセンサ23に検知させる。
従って、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、給紙トレイ21に規定よりも長い用紙P21が1枚だけ残った状態で連続的な印刷が指示された場合であっても、用紙P21の排出後において用紙ありと誤検知する不都合を抑制できる。
【0057】
<連続印刷処理時における主制御部231の動作フローチャート>
次に、連続印刷処理時における主制御部231の動作フローチャートについて説明する。図7は連続印刷処理を説明するフローチャート、図8はレジストセンサON時処理を説明するフローチャート、図9は長尺用紙処理を説明するフローチャートである。
各フローチャートは主制御部231による動作を示している。言い換えれば、主制御部231は、メモリ231bに記憶されたコンピュータプログラムをCPU231aが読み出し、メモリ231bに展開して実行することにより、各フローチャートに示される動作を実行する。
【0058】
主制御部231は、画像形成装置1のコントローラ210から連続印刷コマンドを受信すると(S1、Yes)、トレイセンサ23からの検知信号を取得する(S2)。主制御部231は、トレイセンサ23の検知信号がONであった場合に給紙トレイ21内に用紙Pがあると判定(S2、Yes)し、の検知信号がOFFであった場合に給紙トレイ21内に用紙Pがないと判定(S2、No)する。
主制御部231は、給紙トレイ21内に用紙Pがないと判定した場合には、連続印刷コマンドに基づく印刷動作をキャンセルし(S21)、ペーパーエンド処理を行う(S22)。主制御部231は、ペーパーエンド処理において、パネル表示部241に給紙トレイ21への用紙Pの補給を促すための情報を表示させる。
ペーパーエンド処理が行われると、一連の処理が終了する。その後、画像形成装置1のユーザーが給紙トレイ21に用紙Pを補給し、連続印刷を再度指示することにより、ステップS1からの処理が行われる。
【0059】
主制御部231は、給紙トレイ21内に用紙Pがあると判定した場合(S2、Yes)には、給紙モータ321の動作を制御することにより、給紙トレイ21に収容された中で最も上の用紙P(先行用紙)を搬送部30に向けて供給させる(S3)。
主制御部231は、ステップS3で先行用紙の供給を開始した後、先行用紙の先端がレジストセンサ33に到達したか否かを判定し(S4)、到達したとの判定により(S4、Yes)、レジストセンサON時処理(S5)を行う。
なお、主制御部231は、先行用紙の先端が所定の待機位置(例えばレジストセンサ33の検知位置)に到達すると先行用紙の搬送を停止させ、画像形成部40によるトナー画像の転写タイミングが到来するまでの間に亘って先行用紙を待機させる。
【0060】
図8に示すように、レジストセンサON時処理において、主制御部231は、用紙サイズ情報に基づいて先行用紙の後端位置を推定し(S31)、推定した後端位置が判断基準位置RP(図4乃至図6を参照)を通過しているか否かを判定する(S32)。
主制御部231は、先行用紙の後端位置が判断基準位置RPを通過していると判定した場合には(S32、Yes)、トレイセンサ23がONであるか否かを判定し(S33)、トレイセンサ23がONの場合には(S33、Yes)、給紙トレイ21に収容されたシート束の最上部に位置する後続用紙の搬送部30への供給を開始する(S34)。一方、主制御部231は、トレイセンサ23がOFFの場合には(S33、No)、連続印刷コマンドに基づく印刷動作をキャンセルし(S21)、ペーパーエンド処理を行う(S22)。
主制御部231は、後続用紙の搬送部30への供給を開始した後、先行用紙に対するトナー画像の転写開始タイミングが到来したが否かを判定し(S35)、転写開始タイミングが到来した場合には(S35、Yes)、先行用紙を画像形成部40へ供給してトナー画像の転写を開始し(S36)、連続印刷処理に復帰する。
【0061】
主制御部231は、先行用紙の後端位置が判断基準位置RPを通過していないと判定した場合には(S32、No)、先行用紙に対するトナー画像の転写開始タイミングが到来したが否かを判定し(S37)、転写開始タイミングが到来した場合には(S37、Yes)、先行用紙に対するトナー画像の転写を開始する(S38)。
主制御部231は、トナー画像の転写開始からの経過時間に基づいて先行用紙の後端位置を推定し(S39)、推定した後端位置が判断基準位置RPを通過したか否かを判定する(S40)。主制御部231は、推定した後端位置が判断基準位置RPを通過していなかった場合に(S40、No)、ステップS39に移行して先行用紙の後端位置を再度推定する。
主制御部231は、推定した後端位置が判断基準位置RPを通過していると判定した場合には(S40、Yes)、トレイセンサ23がONであるか否かを判定し(S41)、トレイセンサ23がONであった時には(S41、Yes)給紙トレイ21に収容された用紙束PSにおける最上部の用紙P(後続用紙)の搬送部30への供給を開始し(S42)、連続印刷処理に復帰する。一方、主制御部231は、トレイセンサ23がOFFであった時には(S41、No)、連続印刷コマンドに基づく印刷動作をキャンセルし(S21)、ペーパーエンド処理を行う(S22)。
【0062】
図7に戻り、主制御部231は、レジストセンサ33オン時処理(S5)に続いて、レジストセンサ33がOFFになったか否か、言い換えれば先行用紙の後端がレジストセンサ33の位置を通過したか否かを判定する(S6)。
主制御部231は、レジストセンサ33がONを維持していた場合に(S6、No)、先行用紙に対するトナー画像の転写開始から第2判定時間が経過したか否かを判定する(S13)。第2判定時間は、トナー画像の転写対象の用紙P(先行用紙)が規定サイズよりも長い長尺用紙であるか否かを判定するために定められている。
このため、主制御部231は、レジストセンサ33がONを維持している間に亘って、ステップS6とステップS13の処理を繰り返し行い、トナー画像の転写開始から第2判定時間が経過してもレジストセンサ33がONを維持していた場合に(S13、Yes)、先行用紙は長尺用紙であると判定する。
【0063】
主制御部231は、先行用紙に対するトナー画像の転写開始から第2判定時間が経過する前にレジストセンサ33がOFFに切り替わった場合に(S6、Yes)、転写開始からの経過時間が第1判定時間以上であるか否かを判定する。第1判定時間は、先行用紙が規定サイズであるか否かを判定するために定められている。従って、主制御部231は、転写開始からの経過時間が第1判定時間以上の場合に(S7、Yes)、先行用紙の長さは設定上の長さの同じと判定し、第1判定時間未満である場合(S7、No)に先行用紙は設定上の長さよりも短い短尺用紙であると判定する。
【0064】
主制御部231は、先行用紙が短尺用紙であると判定した場合(S7、No)、短尺用紙であることを示すサイズエラーフラグを設定し(S8)、先行用紙に対するトナー画像の転写開始からレジストセンサ33がOFFに切り替わるまでの経過時間に基づいて先行用紙の用紙サイズを取得する(S9)。その後、主制御部231は、短尺用紙処理(S10)を行い、連続印刷コマンドに基づく印刷動作をキャンセルし、先行用紙及び供給済みの用紙Pを後処理装置120へ排出し、サイズエラーを通知する。
短尺用紙処理が行われると、一連の処理が終了する。画像形成装置1のユーザーが連続印刷を再度指示することにより、ステップS1からの処理が行われる。なお、ステップS8で設定されたサイズエラーフラグは、ステップS1からの処理の実行に伴う初期化処理でクリアされる。
【0065】
主制御部231は、先行用紙が正規長さの用紙Pであると判定した場合(S7、Yes)、先行用紙に対応する印刷データが最終頁の印刷データであるか否かを判定し(S11)、最終頁の印刷データでなかった場合(S11、No)、ステップS4に移行して印刷動作を継続する。一方、主制御部231は、先行用紙に対応する印刷データが最終頁の印刷データであった場合(S11、Yes)、最終頁の印刷が終了したか否かを判定し(S12)、最終頁の印刷が終了した場合(S12、Yes)に、連続印刷処理を終了する。
【0066】
主制御部231は、先行用紙に対するトナー画像の転写開始から第2判定時間が経過してもレジストセンサ33がONを維持していた場合に(S13、Yes)、先行用紙が長尺用紙であることを示すサイズエラーフラグを設定し(S14)、その後、長尺用紙処理を行う(S15)。
図9に示すように、長尺用紙処理において、主制御部231は、連続印刷コマンドに基づく印刷動作をキャンセルする(S50)。続いて、主制御部231は、先行用紙(便宜上、図9の説明において長尺用紙という)の排出制御を開始し(S51)、後続用紙が搬送部30に供給済みであれば(S52、Yes)、供給済みの後続用紙についても排出制御を開始する(S53)。
【0067】
主制御部231は、長尺用紙に対するトナー画像の転写開始から第3判定時間が経過したか否かを判定する(S54)。第3判定時間は、長尺用紙、又は供給済みの後続用紙が紙詰まりによって排出できない状態であるか否かを判定するために定められている。従って、主制御部231は、排出制御の開始から第3判定時間が経過した場合に(S54、Yes)、長尺用紙、又は供給済みの後続用紙が紙詰まりによって排出できない状態であると判定し、紙詰まり処理を行う(S55)。
主制御部231は、紙詰まり処理において、パネル表示部241に紙詰まりが生じた旨、及び紙詰まりの解消を促すための情報を表示させる。
紙詰まり処理が行われると、一連の処理が終了する。その後、画像形成装置1のユーザーが紙詰まりを除去し、連続印刷を再度指示することにより、ステップS1からの処理が行われる。
【0068】
主制御部231は、排出制御の開始から第3判定時間が経過していないと判定した場合には(S54、No)、トレイセンサ23からの検知信号を取得する(S56)。
主制御部231は、トレイセンサ23の検知信号がONであった場合に給紙トレイ21内に用紙Pがあると判定し(S56、Yes)、の検知信号がOFFであった場合に給紙トレイ21内に用紙Pがないと判定する(S56、No)。
主制御部231は、給紙トレイ21内に用紙Pがないと判定した場合には、連続印刷コマンドに基づく印刷動作をキャンセルし(S21)、ペーパーエンド処理を行う(S22)。
【0069】
一方、主制御部231は、給紙トレイ21内に用紙Pがあると判定した場合には、長尺用紙の後端がレジストセンサ33の検知位置を通過する前か否かを判定する(S57)。
主制御部231は、長尺用紙の後端がレジストセンサ33の検知位置を通過する前であった場合(S57、Yes)に、レジストセンサ33の検知信号がONからOFFに切り替わったか否かを判定する(S58)。一方、主制御部231は、長尺用紙の後端がレジストセンサ33の検知位置を通過した後であった場合(S57、No)に、後述するステップS61の処理に移行する。
【0070】
主制御部231は、レジストセンサ33の検知信号がONのままと判定した場合(S58、No)に、ステップS54に移行して第3判定時間が経過したか否かを判定する。一方、主制御部231は、レジストセンサ33の検知信号がONからOFFに切り替わったと判定した場合(S58、Yes)に、長尺用紙の長さを取得する(S59)。長尺用紙の長さは、例えば長尺用紙に対するトナー画像の転写開始(長尺用紙の画像形成部40への供給開始)からレジストセンサ33の検知信号がONからOFFに切り替わるまでの経過時間と、長尺用紙の搬送速度とに基づいて求めることができる。
【0071】
主制御部231は長尺用紙の長さを取得した後に排出中の後続用紙の有無を判定する(S60)。主制御部231は排出中の後続用紙があると判定した場合(S60、Yes)、後続用紙が排出されたか否かを判定する(S61)。後続用紙が排出されたか否かの判定条件は、適宜に定めることができる。例えば、後続用紙の後端がレジストセンサ33の検知位置を通過したときに後続用紙が排出されたと判定してもよいし、或いは、後続用紙が後処理装置120に供給されたときに後続用紙が排出されたと判定してもよい。
主制御部231は、後続用紙は排出されていないと判定した場合(S61、No)に、ステップS54に移行して第3判定時間が経過したか否かを判定する。
【0072】
一方、主制御部231は、後続用紙が排出されたと判定した場合(S61、Yes)、又は排出中の後続用紙はないと判定した場合(S60、No)には、トレイセンサ23からの検知信号を取得し(S62)、給紙トレイ21内の用紙Pの有無を判定する。
主制御部231は、給紙トレイ21内に用紙Pがないと判定した場合(S62、No)には、連続印刷コマンドに基づく印刷動作をキャンセルし(S21)、ペーパーエンド処理を行う(S22)。一方、主制御部231は、給紙トレイ21内に用紙Pがあると判定した場合(S62、Yes)には、パネル表示部241等を制御して長尺用紙に基づくサイズエラーが生じた旨をユーザーに通知する(S63)。
サイズエラーが生じた旨がユーザーに通知されると、一連の処理が終了する。画像形成装置1のユーザーが連続印刷を再度指示することにより、ステップS1からの処理が行われる。なお、ステップS14で設定されたサイズエラーフラグは、ステップS1からの処理の実行に伴う初期化処理でクリアされる。
【0073】
<変形例について>
上述した実施形態では、電子写真方式の画像形成部40を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、画像形成部40は、インクジェット方式、熱転写方式、又は感熱記録方式であってもよい。
上述した実施形態では、シートとして用紙Pを例に挙げて説明したが、シートは用紙Pに限られない。例えば、はがき、封筒、塗工紙(コート紙やアート紙等)、及びトレーシングペーパであってもよい。また、OHPシート、及びOHPフィルムであってもよい。
【0074】
また、上述した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0075】
[本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ]
<第一の実施態様>
本態様は、用紙束PS(シート束)を収容する給紙トレイ21(収容部)と、用紙束PSの最上部から一枚ずつ取り出された用紙P(シート)を搬送する搬送部30と、搬送部30が搬送した用紙Pに画像を形成する画像形成部40と、を備えた画像形成装置1であって、給紙トレイ21における用紙Pの有無を検知するトレイセンサ23(シート有無検知センサ)と、搬送部30が搬送している用紙Pの通過を検知するレジストセンサ33(通過検知センサ)と、搬送部30による用紙Pの搬送を制御する搬送制御部231Cと、トレイセンサ23からの検知信号(検知情報)に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定する用紙有無判定部231A(シート有無判定部)と、レジストセンサ33の検知情報に基づいて搬送部30が搬送している用紙Pの長さが規定長さであるか否かを判定する長さ判定部231Eと、を備え、搬送制御部231Cは、長さ判定部231Eが規定長さよりも長いと判定した長尺用紙(特定のシート)についてさらに搬送部30による搬送を継続させることにより、該長尺用紙の後端をレジストセンサ33による検知位置を通過させ、用紙有無判定部231Aは、搬送制御部231Cによる長尺用紙の搬送制御に伴い、トレイセンサ23からの検知情報に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定することを特徴とする。
本態様に係る画像形成装置1によれば、給紙トレイ21(収容部)に設定よりも長い長尺用紙が1枚だけ残った状態で連続的な画像形成が指示された場合であっても、用紙P供給不能のエラーが生じる不都合を抑制できる。
【0076】
<第二の実施態様>
本態様は、用紙束PS(シート束)を収容する給紙トレイ21(収容部)と、用紙束PSの最上部から一枚ずつ取り出された用紙P(シート)を搬送する搬送部30と、搬送部30が搬送した用紙Pに画像を形成する画像形成部40と、給紙トレイ21における用紙Pの有無を検知するトレイセンサ23(シート有無検知センサ)と、搬送部30が搬送している用紙Pの通過を検知するレジストセンサ33(通過検知センサ)と、を備えた画像形成装置1による画像形成方法であって、レジストセンサ33の検知信号(検知情報)に基づいて搬送部30が搬送している用紙Pの長さが規定長さであるか否かを判定するステップと、規定長さよりも長いと判定した長尺用紙(特定のシート)についてさらに搬送部30による搬送を継続させることにより、長尺用紙の後端をレジストセンサ33による検知位置を通過させるステップと、長尺用紙の搬送制御に伴い、トレイセンサ23からの検知信号(検知情報)に基づいて給紙トレイ21における用紙Pの有無を判定するステップと、を備えたことを特徴とする。
本態様に係る画像形成方法によれば、第一の実施態様と同様の作用効果を奏する。
【0077】
<第三の実施態様>
本態様に係るプログラムは、第二の実施態様に記載された画像形成方法における各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【符号の説明】
【0078】
1…画像形成装置、10…プリント部、20…給紙部、21…給紙トレイ、21a…トレイ本体、21b…底板、22…給紙ローラ、23…トレイセンサ(シート有無検知センサ)、30…搬送部、31…搬送ローラ対、32…レジストローラ対、33…レジストセンサ(通過検知センサ)、34…2次転写ローラ、35…2次転写ベルト、36…搬送ベルト、37…排紙ローラ、38…排紙センサ、39…用紙センサ、40…画像形成部、41(41Y、41M、41C、41K)…作像部、42…感光体ドラム、43…帯電部、44…現像部、45…クリーニング部、46…1次転写ローラ、47…露光部、48…中間転写ベルト、49…2次転写対向ローラ、50…定着部、51…定着ベルト、52…圧力ローラ、110…スキャナ部、120…後処理装置、121…後処理装置本体、122…排紙トレイ、210…コントローラ、201…CPU、202…MEM-P、203…NB、204…SB、206…ASIC、207…MEM-C、208…HDDコントローラ、209…HD、221…AGPバス、222…PCIバス、220…近距離通信回路、220a…アンテナ、230…エンジン制御部、231…主制御部、231a…CPU、231b…メモリ、231A…用紙有無判定部、231B…供給制御部、231C…搬送制御部、231D…画像形成制御部、231E…長さ判定部、231F…中止制御部、231G…通知制御部、240…操作パネル、241…パネル表示部、242…パネル操作部、250…ネットワークI/F、321…給紙モータ、331…搬送モータ、332…レジストローラ駆動モータ、333…排紙モータ、341…転写ベルト駆動モータ、351…定着ベルト駆動モータ、352…ヒータ、PS…用紙束(シート束)、P…用紙(シート)、TP…搬送経路、RP…判断基準位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【文献】特開2014-56161公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9