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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/101 20060101AFI20241126BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65H45/101 E
G03G15/00 460
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021081168
(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公開番号】P2022175045
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
(72)【発明者】
【氏名】栗山 敦志
(72)【発明者】
【氏名】大場 康雄
(72)【発明者】
【氏名】福原 拓也
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-125312(JP,A)
【文献】特開2019-163165(JP,A)
【文献】特開平8-164686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 45/101
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを重ねてシート束にする重ね部と、
前記シート束を湾曲した搬送路を利用して搬送する搬送部と、
前記シート束を折り曲げて3つ折りにする折処理部と、
前記シート束における前記シートの間に生じるずれ量を算出する算出部とを備え、
前記ずれ量が閾値未満であると、前記搬送部は、前記搬送路を利用して更に前記シート束を搬送する
を備えるシート処理装置。
【請求項2】
前記閾値は、前記シート束を構成する前記シートの枚数に応じて定まる
請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記シートの種類に応じて定まる
請求項1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記複数のシートの先端を揃える補正を行う補正部を更に備え、
前記補正部によって補正された後、前記搬送部は、前記シート束を搬送する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記搬送部は、
搬送ローラを用いて、前記シート束、又は、前記シートを搬送し、
前記補正部は、
前記シート束、又は、前記シートを前記搬送ローラに突き当てて補正する
請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記搬送路は、
前記シート束が循環する形状である
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記搬送路は、第1搬送路、第2搬送路、第3搬送路、第4搬送路、第5搬送路、及び、第6搬送路で構成し、
前記第1搬送路の一端が前記第2搬送路、及び、前記第3搬送路に分岐し、
前記第3搬送路の一端が前記第4搬送路、及び、前記第5搬送路に分岐し、
前記第4搬送路の一端が前記第1搬送路につながり、
前記第1搬送路の他端で前記第6搬送路、及び、前記第4搬送路が合流し、
前記第6搬送路から、前記シートが供給され、
前記重ね部は、
前記第1搬送路で前記複数のシートを重ね、
前記折処理部は、
前記第1搬送路から前記第2搬送路へ前記シート束の一端を搬送し、
前記シート束の一端が前記第2搬送路に搬送された後、前記シート束の第1箇所を挟んで前記第3搬送路へ搬送し、
前記第3搬送路へ前記第1箇所を搬送した後、前記第1箇所を前記第4搬送路に向かって搬送して第1番目の折り目を前記シート束につけ、
前記第1番目の折り目がついた後、前記第1箇所とは異なる第2箇所を挟んで前記第5搬送路へ搬送して第2番目の折り目を前記シート束につけて、前記シート束を3つ折りにする
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記搬送部は、複数の搬送ローラを有する搬送ローラ対を備え、
前記搬送ローラ対を第1回転方向に回転させて、前記第1搬送路から前記第2搬送路へ前記シート束の一端を搬送し、
前記シート束の一端が前記第2搬送路に搬送された後、前記搬送ローラ対を第2回転方向に回転させて、前記第1箇所を挟む
請求項7に記載のシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成を行った用紙等のシートに対して、綴じ処理等の後処理を行う技術が知られている。そのため、後処理を行う前に、複数の用紙を整合させる技術が知られている。
【0003】
そして、まず、1枚目の用紙は、下搬送路内に一時的に滞留する。そして、2枚目の用紙が検知されると、1枚目の用紙は、導入搬送路に向けて送り出される。このようにして、1枚目の用紙と、2枚目の用紙とを重ね合わせる技術が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、用紙等のシートを折る際に、各々のシートに発生する撓みの違いを考慮しない。そのため、重ねたシートを折るときに発生する各々の撓みの違いにより、重ねたシートに、折りずれが生じる課題がある。
【0005】
本発明は、重ねたシートの折りずれを少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である、シート処理装置は、
複数のシートを重ねてシート束にする重ね部と、
前記シート束を湾曲した搬送路を利用して搬送する搬送部と、
前記シート束を折り曲げて3つ折りにする折処理部と、
前記シート束における前記シートの間に生じるずれ量を算出する算出部とを備え、
前記ずれ量が閾値未満であると、前記搬送部は、前記搬送路を利用して更に前記シート束を搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、重ねたシートの折りずれを少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置1の例を示す図である。
図2】画像形成装置1のハードウェア構成例を示す図である。
図3】シート処理装置2における搬送路等の例を示す図である。
図4】シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その1)である。
図5】シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その2)である。
図6】シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その3)である。
図7】シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その4)である。
図8】シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その5)である。
図9】シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その6)である。
図10】折り処理の例を示す図(その1)である。
図11】折り処理の例を示す図(その2)である。
図12】折り処理の例を示す図(その3)である。
図13】折り処理の例を示す図(その4)である。
図14】ずれが生じる場合の例を示す図(その1)である。
図15】ずれが生じる場合の例を示す図(その2)である。
図16】ずれが生じる場合の例を示す図(その3)である。
図17】ずれが生じる場合の例を示す図(その4)である。
図18】ずれが生じる場合の例を示す図(その5)である。
図19】折り処理を行う前の設定例示す図(その1)である。
図20】折り処理を行う前の設定の効果例示す図(その1)である。
図21】折り処理を行う前の設定例示す図(その2)である。
図22】折り処理を行う前の設定の効果例示す図(その2)である。
図23】搬送例示す図(その1)である。
図24】搬送例示す図(その2)である。
図25】搬送例示す図(その3)である。
図26】ずれ量の計測例を示す図である。
図27】ずれ量の計測する処理例を示す図である。
図28】閾値を設定する第1処理例を示す図である。
図29】閾値を設定する第2処理例を示す図である。
図30】機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[画像形成装置1の例]
図1は、画像形成装置1の例を示す図である。例えば、シート処理装置2は、画像形成装置1が備える。具体的には、画像形成装置1は、図示するように胴部分、かつ、シートを排出する部分等に、シート処理装置2を備える。なお、シート処理装置2は、他の位置、又は、他の装置で用いてもよい。
【0011】
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成例を示す図である。例えば、画像形成装置1は、操作パネル11等を備える。一方で、シート処理装置2は、Central Processing Unit(以下「CPU201」という。)、インタフェース202、Read Only Memory(以下「ROM203」という。)、及び、Random Access Memory(以下「RAM204」という。)等を備える。さらに、シート処理装置2は、センサ205、モータドライバ206、及び、モータ207等を備える。
【0012】
CPU201は、制御装置、及び、演算装置の例である。
【0013】
インタフェース202は、入力装置、及び、出力装置の例である。
【0014】
ROM203、及び、RAM204は、記憶装置の例である。
【0015】
センサ205は、計測装置の例である。
【0016】
モータドライバ206は、モータ207を制御する制御装置の例である。
【0017】
モータ207は、アクチュエータの例である。
【0018】
CPU201には、画像形成装置1側に設けられる演算装置、又は、操作パネル11等から、インタフェース202を介して信号が入力される。そして、CPU201は、信号、及び、各々のセンサ205からの計測結果に基づき、制御を行う。また、CPU201は、ROM203、及び、RAM204と協働して、プログラムを実行する。
【0019】
シート処理装置2は、例えば、アクチュエータ、及び、機構により、シートを「2つ折り」、「3つ折り」、「Z折り」、「内3つ折り」、又は、「外3つ折り」等にする処理(以下「折り処理」という。)を行う。
【0020】
また、「内3つ折り」、又は、「外3つ折り」は、複数のシートを重ね合わせた上、複数のシートに折り処理を行う。
【0021】
例えば、折り処理の設定は、操作パネル11でユーザ操作により入力される。また、折り処理は、上記の例に限れず、他の折り方を行ってもよい。
【0022】
[シート処理装置2における搬送路等の例]
図3は、シート処理装置2における搬送路等の例を示す図である。例えば、シート処理装置2内には、以下のように搬送路が設置される。
【0023】
シート処理装置2は、第1搬送路21、第2搬送路22、第3搬送路23、第4搬送路24、第5搬送路25、第6搬送路26、第7搬送路27、及び、第8搬送路28等の搬送路を装置内に備える。なお、搬送路は、図示する構成に限られない。例えば、搬送路は、図示する以外に更にあってもよい。また、搬送路は、図示する以外の形状であってもよい。以下、図示する搬送路の構成を例に説明する。
【0024】
シート処理装置2は、搬送路上に搬送ローラ対、分岐装置、及び、センサ等を設置するのが望ましい。具体的には、図示する例は、第1センサSN1、第2センサSN2、第3センサSN3、第4センサSN4、第5センサSN5、第6センサSN6、第7センサSN7、及び、第8センサSN8を設置する例である。
【0025】
センサは、例えば、光センサ等である。したがって、センサは、所定の位置においてシートの有無等を計測して計測結果を出力する。なお、センサは、シートの有無等が計測できれば、光センサ以外であってもよい。
【0026】
図示する例は、第0搬送ローラ対R0、第1搬送ローラ対R1、第2搬送ローラ対R2、第3搬送ローラ対R3、第4搬送ローラ対R4、第5搬送ローラ対R5、第6搬送ローラ対R6、第7搬送ローラ対R7、及び、第8搬送ローラ対R8を設置する例である。
【0027】
搬送ローラ対は、例えば、ニップ(Nip)ローラ等である。また、搬送ローラ対は、モータ207等のアクチュエータにより駆動する。そして、搬送ローラ対は、回転により、シートを上流から下流へ搬送する。
【0028】
図示する例では、折り処理は、折り装置F1が行う。具体的には、折り装置F1は、ローラ対等である。また、図示する例のように、シート処理装置2は、分岐爪3等の分岐装置を備える。
【0029】
第0搬送ローラ対R0は、シートの給紙口に設置される。したがって、シートは、第0搬送ローラ対R0に搬送されて画像形成装置1等からシートを第1搬送路21へ受け入れる。具体的には、シートは、第6搬送路26から第1搬送路21へ供給される。次に、シートは、第1搬送ローラ対R1等によって折り装置F1の下流へ搬送される。
【0030】
第1搬送ローラ対R1は、例えば、第1搬送路21を挟むように対向して設置される。
【0031】
折り装置F1は、例えば、第3搬送路23を挟むように対向して設置される。したがって、折り装置F1がシートを挟むと、第1搬送路21にあるシートは、第3搬送路23を通って、第4搬送路24の方へ搬送される。
【0032】
第2搬送ローラ対R2は、例えば、第4搬送路24上に設置される。そして、第2搬送ローラ対R2は、第3搬送路23から搬送されるシートを図示する例では第4搬送路24上において右方向へ搬送する。
【0033】
第3搬送ローラ対R3は、例えば、第4搬送路24上に設置される。そして、第3搬送ローラ対R3は、第4搬送路24から第1搬送路21へシートを搬送する。
【0034】
なお、第3搬送ローラ対R3は、回転を一時停止し、第4搬送路24上にシートを一時的に停止させてもよい。そして、次のシートが第6搬送路26から供給されると、第3搬送ローラ対R3は、搬送を再開する。このようにして、第1搬送路21では、複数のシートが重ねられる。
【0035】
以上のように、この例では、搬送路は、第1搬送路21、第3搬送路23、及び、第4搬送路24がつながる。このような構成であるため、シートは、第1搬送路21から第3搬送路23、及び、第4搬送路24を通って、第1搬送路21に戻る、いわゆる循環する経路で搬送される。
【0036】
以下、第1搬送路21、第3搬送路23、及び、第4搬送路24等といった湾曲する複数の経路が構成する搬送路を「循環経路」という。なお、循環経路は、図示するような形状、及び、構成に限られない。すなわち、循環経路は、シートが搬送開始点から経路を通って搬送され、元の搬送開始点に戻る経路であればよい。
【0037】
以下、複数のシートを重ねたシートの集まりを「シート束」という。また、シート束は、シート、又は、シート束を循環させて、シートを重ねて構成する。したがって、シート束は、3枚以上のシートで構成してもよい。以下、シート束を構成するシートのうち、最初に循環経路へ供給されるシートを「第1シート」という場合がある。以降、第1シートに重ねていくシートを「第2シート」、及び、「第3シート」・・・・という場合がある。
【0038】
折り装置F1は、第1搬送路21、第2搬送路22、第3搬送路23、第4搬送路24、及び、第5搬送路25等を用いて、シート束に対して、折り処理を行う。
【0039】
第4搬送ローラ対R4、及び、第5搬送ローラ対R5は、例えば、折り処理等にも用いられる。具体的な折り処理の説明は後述する。
【0040】
なお、シート処理装置2は、シート、又は、シート束を排出するため、第6搬送ローラ対R6、第7搬送ローラ対R7、及び、第8搬送ローラ対R8等を備えてもよい。
【0041】
第6搬送ローラ対R6は、第2搬送路22の下流に設置される。そして、第6搬送ローラ対R6の下流に、分岐爪3が設置される。
【0042】
分岐爪3は、シートを第7搬送路27に搬送するか、又は、第8搬送路28に搬送するかを切り替える。例えば、分岐爪3は、ソレノイド等で実現する。なお、分岐爪3は、モータ、ギヤ、及び、カム等を含む駆動機構で実現してもよい。
【0043】
第8搬送路28を通ったシート、又は、シート束は、トレイ4へ排出される。そして、トレイ4は、排出されるシート、又は、シート束を蓄積する。
【0044】
第7搬送路27を通ったシート、又は、シート束は、シート処理装置2より下流に設置される後処理装置等へ搬送される。例えば、後処理装置は、整合処理、又は、綴じ処理等を行う。
【0045】
搬送路には、例えば、以下のような位置にセンサ205が設置される。
【0046】
第1センサSN1は、第1搬送路21上に設置される。図示する例では、第1センサSN1は、第0搬送ローラ対R0の直後に設置される。したがって、この例では、第1センサSN1は、シートが第6搬送路26から供給されたのを検出する。
【0047】
第2センサSN2は、第1搬送路21上に設置される。図示する例では、第2センサSN2は、第1搬送ローラ対R1の直前に設置される。したがって、この例では、第2センサSN2は、シートが第1搬送ローラ対R1で搬送されるのを検出する。
【0048】
第3センサSN3は、第4搬送路24上に設置される。図示する例では、第3センサSN3は、第2搬送ローラ対R2の直後に設置される。したがって、この例では、第3センサSN3は、シートが第4搬送路24へ搬送されるのを検出する。
【0049】
第4センサSN4は、第4搬送路24上に設置される。図示する例では、第4センサSN4は、第3搬送ローラ対R3の直後に設置される。したがって、この例では、第4センサSN4は、シートが第4搬送路24にあるのを検出する。
【0050】
第5センサSN5は、第2搬送路22上に設置される。したがって、この例では、第5センサSN5は、シートが第2搬送路22にあるのを検出する。
【0051】
第6センサSN6は、第5搬送路25上に設置される。したがって、この例では、第6センサSN6は、シートが第5搬送路25にあるのを検出する。
【0052】
第7センサSN7は、第8搬送路28上に設置される。したがって、この例では、第7センサSN7は、シートが第8搬送路28にあるのを検出する。
【0053】
第8センサSN8は、第7搬送路27上に設置される。したがって、この例では、第8センサSN8は、シートが第7搬送路27にあるのを検出する。
【0054】
なお、センサは、上記の配置、及び、数に限られない。すなわち、センサは、図示する以外の位置に設置されてもよい。
【0055】
[シートの搬送、及び、循環の例]
例えば、シートは、以下のように搬送、及び、循環させる。
【0056】
図4は、シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その1)である。以下、循環経路に関する部分を抽出して説明する。また、以降の説明では、図3に示す構成要素と同一の構成要素は同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
搬送路には、例えば、第1分岐装置J1、第2分岐装置J2、及び、第3分岐装置J3等が設置される。第1分岐装置J1、第2分岐装置J2、及び、第3分岐装置J3は、アクチュエータ等により回転する分岐爪等である。そして、第1分岐装置J1、第2分岐装置J2、及び、第3分岐装置J3の状態により、シートが搬送される経路が切り替わる。
【0058】
以下、図4に示すような状態を初期状態とする例で説明する。初期状態は、シートが供給される前の状態である。したがって、初期状態は、図示するように、循環経路には、いずれの経路にもシートが無い状態である。
【0059】
図5は、シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その2)である。図4と比較すると、図5は、まず第1シートP1がある点が異なる。具体的には、第1シートP1は、給紙口から供給される。そして、第1シートP1は、給紙口に先端が到達すると、第0搬送ローラ対R0の回転により、第1搬送路21に搬送される。
【0060】
図4と比較すると、図5は、第1分岐装置J1の位置が異なる。具体的には、第1シートP1を第3搬送路23へ搬送する場合には、第1分岐装置J1は、図示するように、第3搬送路23へ向くように移動する。このように移動すると、第1シートP1は、第1分岐装置J1に沿って、第3搬送路23の方へ誘導される。
【0061】
また、第1搬送ローラ対R1を回転させる前、すなわち、回転を停止している第1搬送ローラ対R1に対して、第1シートP1を突き当てる(この例では、右側から第1シートP1を第1搬送ローラ対R1へ当てるように左側へ搬送する。)と、シート処理装置2は、いわゆるスキュー補正ができる。
【0062】
例えば、第1搬送ローラ対R1は、第1シートP1を第1搬送ローラ対R1が挟む位置からの距離(以下「第1突当量Δ1」という。)が設定値になると、回転を開始する。なお、設定値は、例えば、事前に設定する。
【0063】
第1突当量Δ1は、第1搬送ローラ対R1が第1シートP1を挟む位置を基準にした第1シートP1の先端の位置である。
【0064】
次に、折り装置F1、及び、第2搬送ローラ対R2等が回転すると、以下のようになる。
【0065】
図6は、シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その3)である。図5と比較すると、第1シートP1が主に第3搬送路23等にある点が異なる。
【0066】
まず、第1シートP1は、折り装置F1等によって、第3搬送路23へ搬送される。続いて、第1シートP1は、第2搬送ローラ対R2等により、下り勾配の傾斜に沿って、第4搬送路24の方へ搬送される。
【0067】
図7は、シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その4)である。図6と比較すると、第1シートP1が主に第4搬送路24等にある点が異なる。
【0068】
例えば、折り装置F1、第2搬送ローラ対R2、及び、第3搬送ローラ対R3は、第1シートP1の先端を第4センサSN4が検出する位置からの距離(以下「第2突当量Δ2」という。)が設定値になると、回転を停止する。なお、設定値は、例えば、事前に設定する。
【0069】
そのため、第2突当量Δ2に達するまで第1シートP1が搬送されると、第1シートP1は、第4搬送路24等で停止する。一方で、シート処理装置2は、第2シートP2を給紙口から供給する。このような第1シートP1、及び、第2シートP2をシート処理装置2は、例えば、以下のように搬送して重ねる。
【0070】
図8は、シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その5)である。図7と比較すると、図8は、第1シートP1、及び、第2シートP2が第1搬送路21で合流する点が異なる。
【0071】
第1センサSN1は、第2シートP2の先端を検出する。例えば、第2搬送ローラ対R2、及び、第3搬送ローラ対R3は、第2シートP2の先端を第1センサSN1が検出する位置からの距離(以下「第3突当量Δ3」という。)が設定値になると、回転を再開する。なお、設定値は、例えば、事前に設定する。
【0072】
このように、第1シートP1、及び、第2シートP2を重ねると、例えば、以下のようにシート束にできる。
【0073】
図9は、シートの搬送、及び、循環の例を示す図(その6)である。図8と比較すると、図9は、第1シートP1、及び、第2シートP2が重なってシート束となる点が異なる。
【0074】
なお、シート束は、上記以外の方法で重ねて作成してもよい。また、シート束を更に循環させる等により、シートを3枚以上重ねて、1つのシート束にしてもよい。
【0075】
[シート束P0を3つ折りにする折り処理の例]
シート束P0が作成された後、例えば、シート束P0に対して、シート処理装置2は、以下のように折り処理を行う。
【0076】
図10は、折り処理の例を示す図(その1)である。図9と比較すると、まず、図10は、第1分岐装置J1、及び、第2分岐装置J2が移動した点が異なる。このように第1分岐装置J1、及び、第2分岐装置J2が移動すると、シート束P0は、一端(この例では、シート束P0の左端である。)が第2搬送路22へ搬送される。例えば、シート束P0は、第1搬送ローラ対R1、及び、第4搬送ローラ対R4等により、第2搬送路22へ搬送される。
【0077】
以下、図には、各々の搬送ローラを回転させる方向を矢印で記載する。
【0078】
なお、シート束P0には、第1搬送ローラ対R1等を利用して、スキュー補正がされるのが望ましい。このように補正を行うと、シート束P0、すなわち、複数のシートの先端を揃えることができる。
【0079】
第5センサSN5は、シート束P0の先端を検出する。例えば、シート束P0は、シート束P0の先端を第5センサSN5が検出する位置からの距離(以下「第4突当量Δ4」という。)が設定値にまで搬送される。なお、設定値は、例えば、事前に設定する。
【0080】
以上のように、第4突当量Δ4が設定値になるまでシート束P0の搬送を行うと、シート処理装置2は、シート束P0の搬送を停止する。
【0081】
次に、シート処理装置2は、第2分岐装置J2を移動させる。第2分岐装置J2を移動させた後、シート処理装置2は、第1搬送ローラ対R1を図10と同様の方向へ回転させる。一方で、シート処理装置2は、第4搬送ローラ対R4、及び、折り装置F1を図10と逆の方向へ回転させる。このように、搬送ローラ対を制御すると、シート束P0は、以下のようになる。
【0082】
図11は、折り処理の例を示す図(その2)である。図10と比較すると、図11は、第4搬送ローラ対R4、及び、折り装置F1の回転方向が異なる。また、図10と比較すると、図11は、第2分岐装置J2が異なる。このように、各々の搬送ローラ対、及び、折り装置F1が回転すると、シート束P0が撓む(図では、下に向かって、シート束P0が引っ張られる状態となる)。以下、このようにシート束P0が撓み、折り装置F1が挟むシート束P0の箇所を「第1箇所PS1」という。
【0083】
図11に示す状態を続けると、シート束P0は、第1箇所PS1から第3搬送路23へ搬送される。したがって、第1箇所PS1に折り目がつく。以下、第1箇所PS1につく折り目を「第1番目の折り目」とする。ゆえに、第1箇所PS1は、第1番目の折り目をつける位置に事前に設定される。
【0084】
このような処理を行うと、シート束P0は、以下のようになる。
【0085】
図12は、折り処理の例を示す図(その3)である。図11と比較すると、図12は、第1箇所PS1が第4搬送路24へ向かって搬送された点が異なる。
【0086】
第3センサSN3は、シート束P0の先端となる第1箇所PS1を検出する。例えば、シート束P0は、第1箇所PS1を第3センサSN3が検出する位置からの距離(以下「第5突当量Δ5」という。)が設定値にまで搬送される。なお、設定値は、例えば、事前に設定する。
【0087】
以上のように、第5突当量Δ5が設定値になるまでシート束P0の搬送を行うと、シート処理装置2は、第2搬送ローラ対R2を回転させるのを停止する。
【0088】
次に、シート処理装置2は、図12と同様の方向に、折り装置F1を回転させる。一方で、シート処理装置2は、図12とは逆の方向に、第2搬送ローラ対R2を回転させる。このように、搬送ローラ対を制御すると、シート束P0は、以下のようになる。
【0089】
図13は、折り処理の例を示す図(その4)である。図11と比較すると、図12は、第2搬送ローラ対R2が逆方向に回転する点が異なる。このように、各々の搬送ローラ対、及び、折り装置F1が回転すると、シート束P0は、第1箇所PS1とは異なる箇所が撓む(図では、第5搬送路25に向かって、シート束P0が引っ張られる状態となる)。以下、このようにシート束P0が撓み、第5搬送ローラ対R5が挟むシート束P0の箇所を「第2箇所PS2」という。
【0090】
図13に示す状態を続けると、シート束P0は、第2箇所PS2から第5搬送路25へ向かって搬送される。したがって、第2箇所PS2に折り目がつく。以下、第2箇所PS2につく折り目を「第2番目の折り目」とする。ゆえに、第2箇所PS2は、第2番目の折り目をつける位置に事前に設定される。
【0091】
以上のように、第1箇所PS1、及び、第2箇所PS2に、第1番目、及び、第2番目の折り目をつけると、シート処理装置2は、シート束P0に2つの折り目をうけて、3つ折りにできる。このように、3つ折りされたシート束P0は、例えば、第5搬送路25を通って、トレイ4に排出される。
【0092】
[ずれの例]
上記のような折り処理を行うと、重ねたシートに発生する各々の撓みの違い等により、例えば、以下のように、折りずれ(以下、単に「ずれ」という。)が生じる。以下、3つのシートを重ねて1つのシート束P0とする場合を例に説明する。
【0093】
図14は、ずれが生じる場合の例を示す図(その1)である。図14(A)は、図11と同様である。
【0094】
折り処理によって生じるずれを考慮しない場合には、3つのシートは、例えば、図14(B)に示すような位置関係である。
【0095】
図14(B)は、シート束P0の一端を拡大して示す図である。折り処理によって生じるずれを考慮しない場合には、第1シートP1、第2シートP2、及び、第3シートP3の各々の先端は、揃えられる。
【0096】
図14(C)は、各々のシートに発生する撓みを拡大して示す図である。図示するように、第1番目の折り目をつける際に、第1シートP1、第2シートP2、及び、第3シートP3をまとめて折り曲げると、各々に発生する撓みが異なる。
【0097】
具体的には、図示する例では、上に位置するシートほど、撓みが大きい。したがって、この例では、第3シートP3、第2シートP2、第1シートP1の順に撓みが大きい。このように、撓みに違いがあると、例えば、以下のようにずれが生じる。
【0098】
図15は、ずれが生じる場合の例を示す図(その2)である。図15は、図14に示すシート束P0に対して、図12に示す処理を行った状態を示す。図15(A)は、図12と同様である。
【0099】
図15(B)は、シート束P0の一端を拡大して示す図である。折り処理によって、図14(C)に示す撓みの違いにより、第1シートP1、第2シートP2、及び、第3シートP3の先端が移動する。図示するように、撓みが一番大きいため、第3シートP3が他のシートよりも先行する。同様に、第2シートP2も、第1シートP1より先行する。このような撓みによる移動により、第1シートP1、第2シートP2、及び、第3シートP3の間には、いわゆる「折りずれ」が生じる。
【0100】
同様に、第2番目の折り目を付ける場合にも、以下のようなずれが生じる場合がある。
【0101】
図16は、ずれが生じる場合の例を示す図(その3)である。図16(A)は、図13と同様である。以下、図14、及び、図15と同様に、折り処理によって生じるずれをとする。すなわち、3つのシートは、折り処理が行われる前、図14(B)に示すような位置関係である。
【0102】
図16(B)は、各々のシートに発生する撓みを拡大して示す図である。図示するように、第2番目の折り目をつける際に、第1シートP1、第2シートP2、及び、第3シートP3をまとめて折り曲げると、各々に発生する撓みが異なる。
【0103】
具体的には、図示する例では、下に位置するシートほど、撓みが大きい。したがって、この例では、第1シートP1、第2シートP2、第3シートP3の順に撓みが大きい。このように、撓みに違いがあると、例えば、以下のようにずれが生じる。
【0104】
図17は、ずれが生じる場合の例を示す図(その4)である。折り処理を行うと、例えば、シート束P0は、図17(A)が示すように、3つ折りの状態となる。
【0105】
図17(B)は、シート束P0の一端を拡大して示す図である。折り処理によって、図16(B)に示す撓みの違いにより、第1シートP1、第2シートP2、及び、第3シートP3の先端が移動する。図示するように、撓みが一番大きいため、第1シートP1が他のシートよりも先行する。同様に、第2シートP2も、第3シートP3より先行する。このような撓みによる移動により、第1シートP1、第2シートP2、及び、第3シートP3の間には、いわゆる「折りずれ」が生じる。
【0106】
したがって、折り処理によって生じるずれを考慮せずに、折り処理を行うと、シート束P0は、以下のようになる。
【0107】
図18は、ずれが生じる場合の例を示す図(その5)である。例えば、折り処理を行うと、例えば、シート束P0は、図18(A)が示すように、3つ折りの状態となる。
【0108】
図18(B)は、シート束P0の一端を拡大して示す図である。図18(B)は、図17(B)と同様の図である。
【0109】
図18(C)は、シート束P0の他端を拡大して示す図である。図18(C)は、図15(B)と同様の図である。
【0110】
以上のように、ずれが生じるため、重ねたシートに発生する各々の撓みの違いを考慮せずに折り処理を行うと、端部がずれて、シート束P0が作成される場合がある。
【0111】
そこで、上記のような重ねたシートに発生する各々の撓みの違いを考慮して、以下のように、折り処理を行う前に、シート束P0を設定する。
【0112】
図19は、折り処理を行う前の設定例示す図(その1)である。図19(A)は、図14(A)と同様である。すなわち、シート束P0は、図示するような折り処理を行う前に、図19(B)のように設定する。
【0113】
図19(B)は、シート束P0の一端を拡大して示す図である。以降、シート束P0には、図14と同じ折り処理が行われる。そのため、図14(C)と同様に、シート束P0には、図19(C)に示すような撓みが生じる。
【0114】
ゆえに、シート束P0の一端は、撓みの違いにより、図15(B)に示すような第3シートP3が他のシートよりも先行し、第2シートP2が、第1シートP1より先行する状態になる。
【0115】
このようなずれが生じるのを前提に、ずれを相殺するようにシート束P0を設定する。具体的には、図19(B)に示すように、第1シートP1は、第2シートP2よりも先行した位置に設定する。さらに、第2シートP2は、第3シートP3よりも先行した位置に設定する。
【0116】
以下、第2シートP2の一端を基準に、第1シートP1を先行させる距離を「第1設定量ΔX」という。同様に、第3シートP3の一端を基準に、第2シートP2を先行させる距離を「第2設定量ΔY」という。
【0117】
第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYは、撓みによって生じるずれとは逆の方向に設定する。また、第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYは、撓みによって生じるずれを相殺する程度に設定する。このように設定すると、例えば、折り処理を行うと、シート束P0は、以下のようになる。
【0118】
図20は、折り処理を行う前の設定の効果例示す図(その1)である。図20(A)は、図15と同様の状態である。すなわち、図20(A)は、第1番目の折り目をつける折り処理が終わった状態を示す。
【0119】
図20(B)に示すように、第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYは、撓みによって生じるずれで相殺される。そのため、シート束P0の一端を揃えることができる。このようにして、シートのずれを少なくできる。
【0120】
他端についても、重ねたシートに発生する各々の撓みの違いを考慮して、以下のように、折り処理を行う前に、シート束P0を設定する。
【0121】
図21は、折り処理を行う前の設定例示す図(その2)である。図21(A)は、図16(A)と同様である。
【0122】
図21(C)は、シート束P0の他端を拡大して示す図である。例えば、シート束P0には、第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYを事前に設定する。以降、シート束P0には、図16と同じ折り処理が行われる。そのため、図16(B)と同様に、シート束P0には、図21(B)に示すような撓みが生じる。
【0123】
第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYは、撓みによって生じるずれとは逆の方向に設定する。また、第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYは、撓みによって生じるずれを相殺する程度に設定する。このように設定すると、例えば、折り処理を行うと、シート束P0は、以下のようになる。
【0124】
図22は、折り処理を行う前の設定の効果例示す図(その2)である。図22(A)は、図17と同様の状態である。すなわち、図22(A)は、第2番目の折り目をつける折り処理が終わった状態を示す。
【0125】
図22(B)に示すように、第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYは、撓みによって生じるずれで相殺される。そのため、シート束P0の他端を揃えることができる。このようにして、シートのずれを少なくできる。
【0126】
[搬送の例]
第1設定量ΔX、及び、第2設定量ΔYは、例えば、以下のような搬送で設定する。
【0127】
図23は、搬送例示す図(その1)である。以下、第1シートP1、及び、第2シートP2を重ねたシート束に対し、図9に示す処理により、更に第3シートP3を重ねて、3枚のシート束とする例で説明する。次に、シート束に対して、スキュー補正を行う。
【0128】
図23(B)は、シート束P0の一端を拡大して示す図である。図示するように、スキュー補正を行うと、シート束P0において、シートの先端を揃えることができる。このように、補正を行った後、シート束P0を以下のように搬送する。
【0129】
図24は、搬送例示す図(その2)である。
【0130】
図25は、搬送例示す図(その3)である。
【0131】
循環経路等の湾曲する搬送路を利用して、シート処理装置2は、シート束P0を搬送する。湾曲する搬送路を利用して搬送すると、内側を搬送するシートと、外側を搬送するシートとでは、搬送される距離が異なる。そのため、「内輪差」が生じる。したがって、湾曲する搬送路は、循環経路に限られず、内側と外側で搬送の距離が異なる搬送路であればよい。以下、湾曲する搬送路を循環経路とする。
【0132】
具体的には、内側を搬送するシート(この例では、第1シートP1である。)が、外側と搬送するシート(この例では、第3シートP3等である。)より搬送する。
【0133】
図24(B)、及び、図25(B)が示すように、シート束P0を搬送すると、各々のシートをずらすことができる。この例は、第1シートP1が最も先行するようにシート束P0を設定する例である。
【0134】
以上のように、湾曲する搬送路を利用して、シート束P0を搬送すると、シート束P0において、シートの間にずれを設定できる。
【0135】
[ずれ量の計測、及び、ずれ量を調整する例]
以下、このように搬送で設定するずれの量を「ずれ量」という。ずれ量は、例えば、以下のように計測する。
【0136】
図26は、ずれ量の計測例を示す図である。例えば、ずれ量は、第3センサSN3等を用いて計測される。ただし、ずれ量は、第3センサSN3以外のセンサで計測されてもよい。ずれ量は、湾曲する搬送路に更に搬送するか、又は、折り処理を行うかを判断するのに用いられる。したがって、ずれ量は、判断が行われるまでに計測されていればよい。具体的には、この例では、第1搬送ローラ対R1にシートの先端が達する前までに、ずれ量は計測されていればよい。
【0137】
図27は、ずれ量の算出例を示す図である。例えば、ずれ量は、以下のような処理で算出される。
【0138】
ステップS2701では、シート処理装置2は、シート束P0を搬送する。具体的には、図23に示すようにシート束P0を作成すると、シート処理装置2は、図24、及び、図25のようにシート束P0を搬送する。
【0139】
ステップS2702では、シート処理装置2は、シートの長さL2を取得する。例えば、シートの長さL2は、事前に入力される。以下、シート束P0を構成する各シートは、すべてシートの長さL2であるとする。
【0140】
ステップS2703では、シート処理装置2は、シート束P0の先端を検出する。
【0141】
次に、先端を検出すると(ステップS2703でYES)、シート処理装置2は、ステップS2704に進む。一方で、先端を検出しないと(ステップS2703でNO)、シート処理装置2は、ステップS2703を繰り返す。すなわち、シート処理装置2は、シート束P0の先端を検出するまで、先端の検出を繰り返す。
【0142】
ステップS2704では、シート処理装置2は、シート束P0の後端を検出する。
【0143】
次に、後端を検出すると(ステップS2704でYES)、シート処理装置2は、ステップS2705に進む。一方で、後端を検出しないと(ステップS2704でNO)、シート処理装置2は、ステップS2704を繰り返す。すなわち、シート処理装置2は、シート束P0の後端を検出するまで、後端の検出を繰り返す。
【0144】
ステップS2705では、シート処理装置2は、シート束P0の全長L1を取得する。
【0145】
シート束P0の全長L1は、先端から後端までの長さである。したがって、シート束P0の全長L1は、先端の検出結果、及び、後端の検出結果から取得される。
【0146】
ステップS2706では、シート処理装置2は、ずれ量を算出する。例えば、ずれ量は、下記(1)式を計算すると算出される値である。
【0147】
ずれ量 = シート束P0の全長L1 - シートの長さL2 (1)
上記(1)式が示すように、ずれ量は、シート束P0の全長L1、及び、シートの長さL2の差で算出される。
【0148】
ステップS2707では、シート処理装置2は、ずれ量が閾値未満であるか否かを判断する。閾値は、事前に設定される値である。
【0149】
次に、ずれ量が閾値未満でないと(ステップS2707でNO)、シート処理装置2は、ステップS2708に進む。一方で、ずれ量が閾値未満であると(ステップS2704でYES)、シート処理装置2は、ステップS2701に進む。
【0150】
すなわち、ずれ量が十分でない場合には、シート処理装置2は、再度、湾曲する搬送路でシート束P0を搬送する。
【0151】
一方で、折り処理で生じるずれを相殺できる程度のずれ量が確保できた場合(ステップS2707でNO)には、シート処理装置2は、折り処理を行う。
【0152】
ステップS2708では、シート処理装置2は、折り処理を行う。
【0153】
なお、上記の処理は、図示する以外の処理が行われてもよい。また、各処理は、並行、又は、図示するのとは異なる順序で行われてもよい。
【0154】
以上のように、ずれ量を算出した後、シート処理装置2は、ずれ量を閾値と比較する。したがって、閾値は、折り処理によって生じるずれ等に基づいて事前に設定される。このようにして、シート処理装置2は、折り処理で生じるずれがなくなるように、搬送により、ずれ量を調整する。
【0155】
例えば、循環経路を利用する場合には、シート処理装置2は、ずれ量に応じて、何度か循環経路でシート束P0を循環させる。このような循環の回数で、シート処理装置2は、ずれ量を調整する。
【0156】
このようにすると、シート処理装置2は、より精度良くシートのずれを少なくできる。
【0157】
なお、閾値は、以下のように、シートの枚数、又は、シートの種類に応じて設定されてもよい。
【0158】
図28は、閾値を設定する第1処理例を示す図である。
【0159】
ステップS2801では、シート処理装置2は、シート束P0を構成するシートの枚数を判断する。
【0160】
ステップS2802では、シート処理装置2は、シート束P0を構成するシートの枚数に応じた閾値を設定する。
【0161】
シートの枚数は、例えば、シート処理装置2内にあるシートを数えて特定される。
【0162】
シートの枚数により、折り処理によってシートの間に生じるずれが異なる。ゆえに、上記の処理等を行うと、シート処理装置2は、シートの枚数に応じて閾値を事前に設定すると、より精度良くシートのずれを少なくできる。
【0163】
図29は、閾値を設定する第2処理例を示す図である。
【0164】
ステップS2901では、シート処理装置2は、シート束P0を構成するシートの種類を判断する。
【0165】
ステップS2902では、シート処理装置2は、シート束P0を構成するシートの種類に応じた閾値を設定する。
【0166】
シートの種類は、例えば、シート処理装置2に事前に入力される。
【0167】
シートの種類により、折り処理によってシートの間に生じるずれが異なる。ゆえに、上記の処理等を行うと、シート処理装置2は、シートの種類に応じて閾値を事前に設定すると、より精度良くシートのずれを少なくできる。
【0168】
なお、シートの種類は、図示する「普通紙」、「薄紙」、及び、「厚紙」のように厚みに限られない。例えば、シートの種類は、シートの材質、又は、シートに施されている処理等でもよい。
【0169】
[機能構成例]
図30は、機能構成例を示す図である。例えば、シート処理装置2は、重ね部2F1、搬送部2F2、及び、折り処理部2F3等を備える。また、シート処理装置2は算出部2F4、及び、補正部2F5等を更に備えるのが望ましい。
【0170】
重ね部2F1は、複数のシートを重ねてシート束にする。
【0171】
搬送部2F2は、シート束を湾曲した搬送路を利用して搬送する。
【0172】
折り処理部2F3は、シート束を折り曲げる。
【0173】
算出部2F4は、ずれ量を算出する。
【0174】
補正部2F5は、複数のシートの先端を揃える補正を行う。
【0175】
以上のような機能構成であると、シート処理装置2は、重ね部2F1によって、例えば、図23に示すように、シート束を作成できる。次に、シート処理装置2は、搬送部2F2によって、循環経路等の湾曲した搬送路を利用してシート束を搬送する。このようにすると、シート処理装置2は、例えば、図24、及び、図25に示すように、シート束に、折り処理で生じるずれを相殺するように、シート間にずれを事前に作ることができる。
【0176】
以上のように、用紙等のシートを折る際に、各々のシートに発生する撓みの違いを考慮してシート間にずれを事前に作ると、各々の撓みの違いによって生じるずれを相殺できる。ゆえに、シート処理装置2は、シートのずれを少なくできる。
【0177】
[その他の実施形態]
上記に説明した電流制御方法は、例えば、一部の処理をファームウェア等のプログラム等で実現してもよい。すなわち、電流制御方法は、プログラムに基づいて、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置、及び、制御装置を協働して動作させて、コンピュータが実行する方法である。また、プログラムは、記憶装置、又は、記憶媒体等に書き込まれて配布、又は、電気通信回線等を通じて配布されてもよい。
【0178】
上記に説明した各装置は、1つの装置でなくともよい。すなわち、各装置は、複数の装置で構成するシステム等でもよい。
【0179】
画像形成装置は、例えば、商用印刷機(例えば、大型の電子写真プリンタ、又は、インクジェットプリンタ等である。)等でもよい。
【0180】
シートは、例えば、用紙(「普通紙」等ともいう。)である。ただし、シートは、用紙以外のコート紙、ラベル紙等の他、オーバヘッドプロジェクタシート、フィルム、又は、可撓性を持つ薄板等でもよい。また、記録媒体は、ロール紙等でもよい。
【0181】
具体的には、シートは、用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体等である。
【0182】
このように、シートの材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又は、これらの組み合わせ等である。
【0183】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されず、技術的な要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。
【0184】
上記の実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0185】
1 :画像形成装置
2 :シート処理装置
2F1 :重ね部
2F2 :搬送部
2F3 :折り処理部
2F4 :算出部
2F5 :補正部
21 :第1搬送路
22 :第2搬送路
23 :第3搬送路
24 :第4搬送路
25 :第5搬送路
26 :第6搬送路
27 :第7搬送路
28 :第8搬送路
F1 :折り装置
P0 :シート束
P1 :第1シート
P2 :第2シート
P3 :第3シート
R0 :第0搬送ローラ対
R1 :第1搬送ローラ対
R2 :第2搬送ローラ対
R3 :第3搬送ローラ対
R4 :第4搬送ローラ対
R5 :第5搬送ローラ対
R6 :第6搬送ローラ対
R7 :第7搬送ローラ対
R8 :第8搬送ローラ対
SN1 :第1センサ
SN2 :第2センサ
SN3 :第3センサ
SN4 :第4センサ
SN5 :第5センサ
SN6 :第6センサ
SN7 :第7センサ
SN8 :第8センサ
ΔX :第1設定量
ΔY :第2設定量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0186】
【文献】特開2012-250844号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30