(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】光電変換装置
(51)【国際特許分類】
H01G 9/20 20060101AFI20241126BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20241126BHJP
H01L 31/0465 20140101ALI20241126BHJP
【FI】
H01G9/20 203A
H01G9/20 203B
H01G9/20 117
H01G9/20 119
H01L31/04 500
H01L31/04 532B
(21)【出願番号】P 2021537623
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2020026219
(87)【国際公開番号】W WO2021024662
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2019143272
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌義
(72)【発明者】
【氏名】山合 碧
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/047550(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/025823(WO,A1)
【文献】特開2014-130734(JP,A)
【文献】特開2011-077049(JP,A)
【文献】特開2011-238472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/20
H01L 31/042
H01L 31/0465
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置された複数の光電変換セルであって、前記各光電変換セルが、光電極と、前記光電極よりも前記第2基板に近い側に配置された対向電極と、を備える複数の光電変換セルと、
前記光電変換セルに隣接して配置され、隣接する前記光電変換セル同士を電気的に接続可能な第1配線構造と、
少なくとも一部が前記対向電極と前記第2基板との間に配置され、前記複数の光電変換セルのうちの任意の光電変換セル同士を電気的に接続可能な第2配線構造と、を備え
、
前記第2配線構造は、
絶縁層と、
前記絶縁層よりも前記対向電極から遠い側に配置された配線層と、を備える、光電変換装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の光電変換装置において、
前記第2配線構造は、前記絶縁層と前記配線層とを重ねた構造を複数個備える、光電変換装置。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載の光電変換装置において、
前記絶縁層は、前記対向電極の直下に第1貫通孔を有し、
前記対向電極は、前記第1貫通孔に配置された導電性樹脂組成物を介して、前記配線層内の配線と電気的に接続可能である、光電変換装置。
【請求項4】
請求項
1から
3のいずれか一項に記載の光電変換装置において、
前記絶縁層は、前記光電極と電気的に接続した前記第1配線構造の直下に第2貫通孔を有し、
前記光電極は、前記第1配線構造と、前記第2貫通孔に配置された導電性樹脂組成物とを介して、前記配線層内の配線と電気的に接続可能である、光電変換装置。
【請求項5】
請求項
1から
4のいずれか一項に記載の光電変換装置において、
前記配線層は、前記光電変換セルを直列に接続する配線、及び前記光電変換セルを並列に接続する配線の少なくともいずれか一方を含む、光電変換装置。
【請求項6】
請求項
1から
5のいずれか一項に記載の光電変換装置において、
前記配線層内の配線の少なくとも一部が、前記光電変換セルの直下に配置されている、光電変換装置。
【請求項7】
請求項
1から
6のいずれか一項に記載の光電変換装置において、
前記第2基板は、開口部を有し、
前記配線層内の配線のうち前記開口部から露出している部分は、外部機器と接続可能な導電端子として機能する、光電変換装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の光電変換装置において、
コネクタを更に備え、
前記コネクタは、導電端子として機能する前記配線層内の配線に電気的に接続されている、光電変換装置。
【請求項9】
請求項
1から
8のいずれか一項に記載の光電変換装置において、
前記配線層に配置された回路素子を備える、光電変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商用電源を得られない外出先などでも電力を供給できるように、外部環境に応じた電力を発電可能な環境発電装置の需要が高まっている。このような環境発電装置としては、例えば、太陽光等の光エネルギーを用いて発電可能な光電変換装置が挙げられる。
【0003】
光電変換装置は、複数の光電変換セルを含むものが多い。例えば複数の光電変換セルが直列に接続した構成である場合、光電変換装置は、1つの光電変換セルの出力電圧よりも高い出力電圧で電力を供給することができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数のセルが直列配線により電気的に接続された太陽電池モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、直列配線によって隣り合うセル同士を電気的に接続することを開示している。特許文献1に記載の構成は、隣り合うセル同士を接続することによって複数のセルを直列に接続することは考慮しているが、直列接続と並列接続を組み合わせた接続とするなど、複数のセルを様々な構成で電気的に接続することは考慮していない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、複数の光電変換セルを様々な構成で電気的に接続することを容易にすることが可能な光電変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の光電変換装置は、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置された複数の光電変換セルであって、前記各光電変換セルが、光電極と、前記光電極よりも前記第2基板に近い側に配置された対向電極と、を備える複数の光電変換セルと、前記光電変換セルに隣接して配置され、隣接する前記光電変換セル同士を電気的に接続可能な第1配線構造と、少なくとも一部が前記対向電極と前記第2基板との間に配置され、前記複数の光電変換セルのうちの任意の光電変換セル同士を電気的に接続可能な第2配線構造と、を備える。このような構成とすることで、本発明の光電変換装置は、複数の光電変換セルのうちの任意の光電変換セル同士を、第2配線構造によって電気的に接続することができる。従って、本発明の光電変換装置は、複数の光電変換セルを様々な構成で電気的に接続することを容易にすることができる。
【0009】
ここで、本発明の光電変換装置において、前記第2配線構造は、絶縁層と、前記絶縁層よりも前記対向電極から遠い側に配置された配線層と、を備えることが好ましい。このような構成とすることで、複数の光電変換セルのうちの任意の光電変換セル同士を、第2配線構造が備える配線層によって電気的に接続することができる。
【0010】
また、本発明の光電変換装置において、前記第2配線構造は、前記絶縁層と前記配線層とを重ねた構造を複数個備えることが好ましい。このような構成とすることで、光電変換セル同士を接続する際に一層の配線層では交差する箇所が発生するような複雑な接続であっても、交差をさせずに光電変換セル同士を電気的に接続することができる。
【0011】
また、本発明の光電変換装置において、前記絶縁層は、前記対向電極の直下に第1貫通孔を有し、前記対向電極は、前記第1貫通孔に配置された導電性樹脂組成物を介して、前記配線層内の配線と電気的に接続可能であることが好ましい。このような構成とすることで、対向電極と、配線層内の配線とを短い距離で電気的に接続することができる。
【0012】
また、本発明の光電変換装置において、前記絶縁層は、前記光電極と電気的に接続した前記第1配線構造の直下に第2貫通孔を有し、前記光電極は、前記第1配線構造と、前記第2貫通孔に配置された導電性樹脂組成物とを介して、前記配線層内の配線と電気的に接続可能であることが好ましい。このような構成とすることで、光電極と、配線層内の配線とを短い距離で電気的に接続することができる。
【0013】
また、本発明の光電変換装置において、前記配線層は、前記光電変換セルを直列に接続する配線、及び前記光電変換セルを並列に接続する配線の少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。このような構成とすることで、光電変換装置は、複数の光電変換セルを直列接続又は並列接続で接続することができる。
【0014】
また、本発明の光電変換装置において、前記配線層内の配線の少なくとも一部が、前記光電変換セルの直下に配置されていることが好ましい。このような構成とすることで、配線層内の配線の自由度を高めることができる。
【0015】
また、本発明の光電変換装置において、前記第2基板は、開口部を有し、前記配線層内の配線のうち前記開口部から露出している部分は、外部機器と接続可能な導電端子として機能することが好ましい。このような構成とすることで、光電変換装置は、外部機器と容易に電気的に接続することができる。
【0016】
また、本発明の光電変換装置において、コネクタを更に備え、前記コネクタは、導電端子として機能する前記配線層内の配線に電気的に接続されていることが好ましい。このような構成とすることで、光電変換装置は、コネクタを介して外部機器と容易に電気的に接続することができる。
【0017】
また、本発明の光電変換装置において、前記配線層に配置された回路素子を備えることが好ましい。このような構成とすることで、光電変換装置は、光電変換セルと回路素子とを一体的に構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の光電変換セルを様々な構成で電気的に接続することを容易にすることが可能な光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る光電変換装置の概略構造を示す断面図である。
【
図2】光電変換セルの接続の一例として、2直列6並列の接続を示す平面図である。
【
図3】
図2に示す接続の場合の光電変換装置の配線の概略構造を示す平面図である。
【
図4】
図3の光電変換装置のA1-A1線における断面図である。
【
図6】光電変換セルの接続の他の例として、3直列4並列の接続を示す図である。
【
図7】光電変換セルの接続の他の例として、12直列1並列の接続を示す図である。
【
図8】12直列1並列の接続の他の例を示す図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示す図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示す図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示す図である。
【
図12】
図11のオス型のコネクタの構成の一例を示す図である。
【
図13】本発明の第5実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示す図である。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る光電変換装置の配線の概略構造を示す平面図である。
【
図15】
図14の光電変換装置のA2-A2線における断面図である。
【
図16】本発明の第6実施形態に係る光電変換装置の配線の概略構造を示す平面図である。
【
図17】
図16の光電変換装置のA3-A3線における断面図である。
【
図18】
図16の光電変換装置のA4-A4線における断面図である。
【
図19】
図16の光電変換装置の回路構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置1の概略構造を示す断面図である。光電変換装置1は、光電変換を行う太陽電池として、例えば、色素増感型太陽電池、有機薄膜太陽電池、又はペロブスカイト太陽電池等の太陽電池を含みうる。
【0022】
光電変換装置1は、第1基板11と、第2基板12と、複数の光電変換セル10と、を備える。複数の光電変換セル10は、第1基板11と第2基板12との間に配置されている。
図1においては、第1基板11と第2基板12との間に配置された2つの光電変換セル10が示されている。ここで、各光電変換セル10は、光電極13と、対向電極16と、電解液19と、を備える。また、各光電変換セル10は、隔壁20によって区画されている。即ち、各光電変換セル10は、隔壁20によって隣接する光電変換セル10から隔離されている。
【0023】
隣接して配置されている光電変換セル10同士は、第1配線構造21によって、電気的に接続可能である。また、複数の光電変換セル10のうちの任意の光電変換セル10同士は、第2配線構造22によって、電気的に接続可能である。第1配線構造21又は第2配線構造22による光電変換セル10の接続については後述する。
【0024】
第1基板11は、特に限定されることなく、公知の光透過性の基板であってよい。第1基板11の材料としては、例えば、透明樹脂又はガラス等のような可視領域で透明性を有する既知の透明基材が挙げられる。中でも、第1基板11の材料としては、フィルム状に成形された樹脂、即ち、樹脂フィルムを用いることが好ましい。第1基板11の材料として樹脂フィルムを採用することで、光電変換装置1に軽量性及び可撓性を付与できることから、様々な用途に応用することができる。
【0025】
透明基材を形成しうる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)、又はシクロオレフィンポリマー(COP)などの合成樹脂が挙げられる。
【0026】
第2基板12は、第1基板11に対向して配置されている。第2基板12の材料は、第1基板11と同様の基材であってよい。または、第2基板12の材料は、チタン又はアルミ等の箔又は板のような透明性を有さない基材であってもよい。第2基板12の材料としては、第1基板11の材料と同様の理由により、フィルム状に成形された樹脂、即ち、樹脂フィルムを用いることが好ましい。
【0027】
光電極13は、第1基板11上に配置されている。光電極13は、透明導電膜14と、多孔質酸化物半導体層15と、を備える。透明導電膜14は、第1基板11上に配置されている。多孔質酸化物半導体層15は、透明導電膜14上に配置されている。
【0028】
透明導電膜14は、隣接する光電変換セル10の透明導電膜14とは導通しないように、隣接する光電変換セル10の透明導電膜14からは、隔壁20によって隔てられて配置されている。
【0029】
透明導電膜14は、例えば、Au、Ag又はCuなどにより構成される金属メッシュからなる導電層から形成されてよい。または、透明導電膜14は、例えば、Agナノ粒子等の金属ナノ粒子、又は、微小なAgワイヤ等を塗布して形成された導電層から形成されてよい。または、透明導電膜14は、例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、又はフッ素ドープスズ(FTO)などの複合金属酸化物からなる導電層から形成されてよい。または、透明導電膜14は、例えば、カーボンナノチューブ又はグラフェンなどを含むカーボン系導電層から形成されてよい。または、透明導電膜14は、例えば、PEDOT/PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene) polystyrene sulfonate)などの導電性高分子よりなる導電層から形成されてよい。これらの導電層は複数種が樹脂又はガラス等の基材上に積層されていてもよく、或いは、これらの導電層の形成に用いられうる上述したような各種導電性材料が混合されて1つの導電層を形成していてもよい。
【0030】
透明導電膜14を第1基板11上に形成する方法としては、スパッタリングとエッチングとを組み合わせた方法、又は、スクリーン印刷など、既知の形成方法を用いることができる。
【0031】
多孔質酸化物半導体層15は、増感色素を担持(吸着)していてよい。この場合、多孔質酸化物半導体層15は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、又は酸化スズなどの酸化物半導体の粒子を含む多孔質半導体微粒子層に対して有機色素又は金属錯体色素などの増感色素を吸着させてなる多孔質半導体微粒子層を用いていてよい。有機色素としては、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、キサンテン色素、スクワリリウム色素、ポリメチン色素、クマリン色素、リボフラビン色素、又はペリレン色素等が挙げられる。また、金属錯体色素としては、鉄、銅、又はルテニウムなどの金属のフタロシアニン錯体又はポルフィリン錯体等が挙げられる。例えば、N3、N719、N749、D102、D131、D150、N205、HRS-1、及びHRS-2などが代表的な増感色素として挙げられる。増感色素を溶解させる有機溶媒は、溶媒に存在している水分及び気体を除去するために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、又はプロパノールなどアルコール類、アセトニトリルなどニトリル類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、アミド類、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、芳香族、又はニトロメタンなどの溶媒が好ましい。
【0032】
多孔質酸化物半導体層15を透明導電膜14上に形成する方法としては、スクリーン印刷又はコーティングなどの既知の形成方法を用いることができる。
【0033】
対向電極16は、光電極13よりも第2基板12に近い側に配置されている。対向電極16は、電解液19を介して、光電極13に対向して配置されている。対向電極16は、透明導電膜17と、触媒層18と、を備える。透明導電膜17は、後述する第2配線構造22の絶縁層23上に配置されている。触媒層18は、透明導電膜17上に配置されている。
【0034】
透明導電膜17は、隣接する光電変換セル10の透明導電膜17とは導通しないように、隣接する光電変換セル10の透明導電膜17からは、隔壁20によって隔てられて配置されている。
【0035】
透明導電膜17は、透明導電膜14を形成している導電層と同様の導電層から形成されてよい。
【0036】
触媒層18は、電解液19を介して、多孔質酸化物半導体層15に対向して配置されている。
【0037】
触媒層18としては、例えば、導電性高分子、炭素ナノ構造体、貴金属粒子、及び炭素ナノ構造体と貴金属粒子との混合物などの触媒として機能し得る成分を含む任意の触媒層を用いることができる。
【0038】
ここで、導電性高分子としては、例えば、ポリ(チオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-ブチルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、ポリ(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b]-1,4-ジオキシン)(PEDOT)等のポリチオフェン;ポリアセチレン及びその誘導体;ポリアニリン及びその誘導体;ポリピロール及びその誘導体;ポリ(p-キシレンテトラヒドロチオフェニウムクロライド)、ポリ[(2-メトキシ-5-(2’-エチルヘキシロキシ))-1,4-フェニレンビニレン]、ポリ[(2-メトキシ-5-(3’,7’-ジメチルオクチロキシ)-1,4-フェニレンビニレン)]、ポリ[2-2’,5’-ビス(2’’-エチルヘキシロキシ)フェニル]-1,4-フェニレンビニレン]等のポリフェニレンビニレン類;などを挙げることができる。
【0039】
また、炭素ナノ構造体としては、例えば、天然黒鉛、活性炭、人造黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、又はカーボンナノバッドなどを挙げることができる。
【0040】
また、貴金属粒子としては、触媒作用のあるものであれば特に限定されず、金属白金、金属パラジウム、又は金属ルテニウムなどの公知の貴金属粒子を適宜選択して用いることができる。
【0041】
電解液19は、各光電変換セル10において、光電極13と、対向電極16と、隔壁20とによって囲まれる空間に封止されている。電解液19は、例えば、色素増感型太陽電池において使用しうる任意の電解液から形成されてよい。
【0042】
隔壁20は、第1基板11と第2基板12との間に配置され、絶縁層として機能する。隔壁20は、光電変換セル10を区画しうる。即ち、隔壁20は、各光電変換セル10を、隣接する光電変換セル10から隔離しうる。
【0043】
隔壁20は、接着性、電解質に対する耐性(耐薬品性)、及び、高温高湿耐久性(耐湿熱性)に優れていることが好ましい。そのような隔壁20を形成しうる隔壁材料としては、非導電性の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は活性放射線(光、電子線)硬化性樹脂が挙げられる。より具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、又はポリアミド系樹脂等が挙げられる。なお、本明細書において(メタ)アクリルとは、「アクリル」又は「メタアクリル」を意味する。中でも、取扱い性の観点から、光硬化性アクリル樹脂が好ましい。
【0044】
第1配線構造21は、光電変換セル10に隣接して配置されている。第1配線構造21は、導電性を有し、隣接する光電変換セル10同士を電気的に接続することが可能である。第1配線構造21は、隣接する光電変換セル10に対し、一方の光電変換セル10の光電極13と、他方の光電変換セル10の対向電極16とを電気的に接続することが可能である。
図1を参照すると、左側の光電変換セル10と右側の光電変換セル10との間に配置されている第1配線構造21は、左側の光電変換セル10の透明導電膜17と、右側の光電変換セル10の透明導電膜14に接続されている。これにより、左側の光電変換セル10と右側の光電変換セル10との間に配置されている第1配線構造21は、左側の光電変換セル10の対向電極16と、右側の光電変換セル10の光電極13とを電気的に接続している。
【0045】
また、第1配線構造21は、光電変換セル10の光電極13を、後述する第2配線構造22に含まれる配線241に接続することも可能である。
図1には、左側の光電変換セル10の光電変換セル10の光電極13が、第1配線構造21及び導電性樹脂組成物233を介して、配線241に電気的に接続されている様子が示されている。
【0046】
第1配線構造21は、例えば、樹脂と導電性粒子とを含有する組成物から形成されてよい。
【0047】
この場合、樹脂としては、例えば、活性放射線若しくは紫外線の照射により硬化させた樹脂、又は、加熱により硬化させた樹脂が挙げられる。樹脂の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;シリコーン樹脂;などが挙げられる。当該樹脂には、ラジカル開始剤、カチオン硬化剤、アニオン硬化剤などの任意の硬化剤を用いることができ、重合形式も、付加重合、開環重合など、特に限定されない。
【0048】
また、導電性粒子としては、例えば、Ag、Au、Cu、Al、In、Sn、Bi、又はPbなどの金属及び、これを含む合金からなる粒子、金属酸化物粒子、樹脂粒子等の有機化合物粒子又は無機化合物粒子の表面を、金属又は金属酸化物等の導電性物質、例えばAu/Ni合金で被覆した粒子、導電性炭素粒子などを用いることができる。
【0049】
第2配線構造22は、第2基板12上に配置されている。第2配線構造22は、少なくとも一部が、光電変換セル10の対向電極16と、第2基板12との間に配置されている。
【0050】
第2配線構造22は、絶縁層23と、配線層24と、を備える。配線層24は、第2基板12上に配置されている。絶縁層23は、配線層24上に配置されている。換言すれば、配線層24は、絶縁層23よりも対向電極16から遠い側に配置されている。
【0051】
絶縁層23は、第1貫通孔231と、第2貫通孔232と、を有する。第1貫通孔231は、対向電極16の直下に位置する貫通孔である。第2貫通孔232は、光電極13に電気的に接続する第1配線構造21の直下に位置する貫通孔である。
【0052】
第1貫通孔231には、導電性樹脂組成物233が配置されている。対向電極16は、第1貫通孔231に配置されている導電性樹脂組成物233を介して、配線層24内の配線241と電気的に接続することができる。
【0053】
第2貫通孔232には、導電性樹脂組成物233が配置されている。光電極13は、第1配線構造21と、第2貫通孔232に配置されている導電性樹脂組成物233とを介して、配線層24内の配線241と電気的に接続することができる。
【0054】
第1貫通孔231及び第2貫通孔232は、複数の光電変換セル10をどのように電気的に接続するかに応じて、絶縁層23の適切な位置に設けられていてよい。
【0055】
絶縁層23は、例えば、合成樹脂フィルム等のフィルム状、シート状、薄板状の成形体であり、無機材料であっても合成樹脂であっても、それらの複合材料であってもよい。複合材料としては、例えばガラス繊維強化プラスチックであってもよい。フィルムを形成する合成樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体等、ポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、又はシクロオレフィンポリマー(COP)であってもよい。
【0056】
配線層24は、導電性を有する配線241が形成されている層である。配線層24の配線241以外の部分は、絶縁性の材料で形成されている。
【0057】
配線241は、配線層24内において、任意の形状に形成することができる。これにより、配線241は、高い自由度で、複数の光電変換セル10のうちの任意の光電変換セル10同士を電気的に接続することができる。配線241は、隣接する光電変換セル10同士だけでなく、離れた位置にある光電変換セル10同士を接続することもできる。配線241は、任意の光電変換セル10同士を直列に接続することもできるし、並列に接続することもできる。
【0058】
配線241は、光電極13側ではなく対向電極16側に配置されている。そのため、配線241は、光電極13に入射される光を遮らない。従って、配線241の存在は、光電変換セル10の発電能力にほとんど影響を与えない。
【0059】
第2基板12は、開口部121を有する。配線層24内の配線241のうち開口部121から露出している部分は、外部機器と接続可能な導電端子242として機能する。
【0060】
第2基板12は、正極として機能する導電端子242と、負極として機能する導電端子242とを露出させるため、少なくとも2つの開口部121を有する。外部の電気機器などは、正極として機能する導電端子242と、負極として機能する導電端子242とに電気的に接続することにより、光電変換装置1が発電した電力を利用することができる。
【0061】
第2配線構造22は、第2基板12に、必要な層を積層して構成してもよい。また、第2配線構造22は、フレキシブル基板として構成してよく、その場合、フレキシブル基板を第2基板12上に張り合わせて構成してもよい。そのため、例えば、光電変換セル10がプラスチックDSC(Dye-sensitized Solar Cell)のような製造過程において高い熱をかけられないような熱的制限がある太陽電池の場合であっても、貼り合わせの前に高い熱をかけて第2配線構造22を製造することが可能である。
【0062】
(2直列6並列の接続)
続いて、
図2~
図4を参照して、12個の光電変換セル10が2直列6並列に接続されている場合の一例について説明する。ここで、「2直列6並列」とは、2個の光電変換セル10が直列に接続されている構成が6個並列に接続されていることを意味する。本明細書の以後の説明において、「X直列Y並列」のような表現を用いるが、これも同様の意味であり、X個の光電変換セル10が直列に接続されている構成がY個並列に接続されていることを意味する。
【0063】
図2は、12個の光電変換セル10が2直列6並列に接続されている場合の接続を示す平面図である。ただし、光電変換装置1が備える光電変換セル10の個数、及び光電変換セル10の接続はこれに限定されるものではない。光電変換装置1は、任意の複数の個数の光電変換セル10を備えていてよい。光電変換装置1が備える複数の光電変換セル10は、任意の直列数、及び任意の並列数で接続されていてよい。
【0064】
なお、
図2は、第1配線構造21と、第2配線構造22の配線241とによって、光電変換セル10を電気的に接続する様子を模式的に示したものであり、物理的な形状を示したものではない。
【0065】
図2の光電変換セル10内に示す矢印は光電変換セル10の電流の向きを示している。光電変換セル10においては、対向電極16から光電極13に向かって電流が流れる。
【0066】
図3は、12個の光電変換セル10が2直列6並列に接続されている場合の第1配線構造21及び配線241による光電変換セル10の接続を示す平面図である。
図3においては、光電変換装置1の構成要素の図示は適宜省略されている。
図4は、
図3に示す光電変換装置1のA1-A1線における断面図である。
【0067】
図2に示す接続の例においては、隣接する光電変換セル10である光電変換セル10-1と光電変換セル10-2とにおいて、光電変換セル10-1の対向電極16と光電変換セル10-2の光電極13とが第1配線構造21を介して電気的に接続されている。同様に、光電変換セル10-3と10-4、光電変換セル10-5と10-6、光電変換セル10-7と10-8、光電変換セル10-9と10-10、及び光電変換セル10-11と10-12が第1配線構造21を介して電気的に接続されている。これらの第1配線構造21による接続により、光電変換セル10が2個直列に接続された構成が6個形成されている。
【0068】
また、これらの2個直列に接続された光電変換セル10を6個並列に接続させるために、配線241によって、光電変換セル10-1、10-3、10-5、10-7、10-9及び10-11の光電極13が相互に電気的に接続され、この配線241上に正極として機能する導電端子242が形成されている。また、配線241によって、光電変換セル10-2、10-4、10-6、10-8、10-10及び10-12の対向電極16が相互に電気的に接続され、この配線241上に負極として機能する導電端子242が形成されている。
【0069】
図2において、破線による接続は、第1配線構造21による接続を示している。また、実線による接続は、第2配線構造22内の配線241による接続を示している。光電変換セル10間の接続を示している他の図面においても、破線による接続、及び、実線による接続は、
図2の場合と同様の意味を有する。
【0070】
図3及び
図4は、
図2に示した接続を、第1配線構造21及び配線241によって実現した一例を示す図である。
【0071】
図3においては、各光電変換セル10の左側に光電極13が位置し右側に対向電極16が位置するものとする。そうすると、
図3においては、光電変換セル10-1、10-5、10-7及び10-11の光電極13が、配線241によって相互に接続されている(光電変換セル10-3及び10-9については図示が省略されている)。また、光電変換セル10-2、10-6、10-8及び10-12の対向電極16が、配線241によって相互に接続されている(光電変換セル10-4及び10-10については図示が省略されている)。
【0072】
図4を参照すると、隣接する光電変換セル10である光電変換セル10-1及び10-2においては、光電変換セル10-1の対向電極16と、光電変換セル10-2の光電極13とが第1配線構造21を介して電気的に接続されている。同様に、光電変換セル10-5の対向電極16と、光電変換セル10-6の光電極13とが第1配線構造21を介して電気的に接続されている。
【0073】
また、
図4を参照すると、光電変換セル10-1の光電極13は、第1配線構造21と、第2貫通孔232に配置された導電性樹脂組成物233とを介して、配線241に電気的に接続されている。光電変換セル10-5の光電極13は、第1配線構造21と、第2貫通孔232に配置された導電性樹脂組成物233とを介して、配線241に電気的に接続されている。光電変換セル10-1の光電極13が接続されている配線241と、光電変換セル10-5の光電極13が接続されている配線241とは、
図3に示すように、Y軸の負方向側においてX軸方向に沿って延びている配線241によって電気的に接続されている。
【0074】
また、
図4を参照すると、光電変換セル10-2の対向電極16は、第1貫通孔231に配置された導電性樹脂組成物233を介して、配線241に電気的に接続されている。光電変換セル10-6の対向電極16は、第1貫通孔231に配置された導電性樹脂組成物233を介して、配線241に電気的に接続されている。光電変換セル10-2の対向電極16が接続されている配線241と、光電変換セル10-6の対向電極16が接続されている配線241とは、
図3に示すように、Y軸の正方向側においてX軸方向に沿って延びている配線241によって電気的に接続されている。
【0075】
なお、
図2及び
図3においては、第2配線構造22の配線241が、光電変換セル10とZ軸方向において重ならない場合を示しているが、配線241は、光電変換セル10とZ軸方向において重なるところに配置されていてもよい。この際、配線241は、光電変換セル10が備える第1配線構造21とZ軸方向において重なるところに配置されていてもよい。配線241を、光電変換セル10とZ軸方向において重なるところに配置することによって、光電変換装置1を小型化することが可能となる。また、配線241を、光電変換セル10とZ軸方向において重なるところにも配置することによって、配線241を配置する位置の自由度が高まる。
【0076】
1つの光電変換セル10が出力する開放電圧は、例えば0.7[V]程度である。そうすると、
図2~
図4に示したような2直列6並列の構成の場合、光電変換装置1は、0.7[V]の2倍の1.4[V]程度の電圧を出力することができる。このような光電変換装置1は、例えば、微小電圧を供給するための電源として使用することができる。
【0077】
(2直列6並列以外の接続)
光電変換装置1を、例えば二次電池を充電するための電源として使用する場合、光電変換装置1は、1.4[V]よりも高い電圧を出力できることが望ましい。
【0078】
図5に各種の二次電池の公称電圧をまとめた表を示す。
図5を参照すると、鉛蓄電池の公称電圧は、2[V]である。リチウムイオン二次電池の公称電圧は、3.6~3.7[V]である。リチウムイオンポリマー二次電池の公称電圧は、3.6~3.7[V]である。ニッケル・水素蓄電池の公称電圧は、1.2[V]である。ニッケル・カドミウム蓄電池の公称電圧は、1.2[V]である。
【0079】
図5に示すような二次電池を充電する場合、光電変換装置1は、1.4[V]よりも高い電圧を出力できることが必要となる。以下、
図6~
図8を参照して、1.4[V]よりも高い電圧を出力可能な光電変換装置1の例を示す。
【0080】
<3直列4並列の接続>
図6は、12個の光電変換セル10が3直列4並列に接続されている場合の接続を示す平面図である。
【0081】
図6に示す接続の例においては、隣接する光電変換セル10である光電変換セル10-1~10-3が、第1配線構造21を介して電気的に接続されている。同様に、光電変換セル10-4~10-6、光電変換セル10-7~10-9、及び光電変換セル10-10~10-12が第1配線構造21を介して電気的に接続されている。これらの第1配線構造21による接続により、光電変換セル10が3個直列に接続された構成が4個形成されている。
【0082】
また、これらの3個直列に接続された光電変換セル10を4個並列に接続させるために、配線241によって、光電変換セル10-1、10-4、10-7、及び10-10の光電極13が相互に電気的に接続され、この配線241上に正極として機能する導電端子242が形成されている。また、配線241によって、光電変換セル10-3、10-6、10-9、及び10-12の対向電極16が相互に電気的に接続され、この配線241上に負極として機能する導電端子242が形成されている。
【0083】
図6に示したような3直列4並列の構成の場合、光電変換装置1は、0.7[V]の3倍の2.1[V]程度の電圧を出力することができる。このような光電変換装置1は、例えば、
図5に示したニッケル・水素蓄電池又はニッケル・カドミウム蓄電池を充電するための電源として使用することができる。
【0084】
<12直列1並列の接続>
図7は、12個の光電変換セル10が12直列1並列に接続されている場合の接続を示す平面図である。
【0085】
図7に示す接続の例においては、隣接する光電変換セル10である光電変換セル10-1~10-6が、第1配線構造21を介して電気的に接続されている。同様に、光電変換セル10-7~10-12が第1配線構造21を介して電気的に接続されている。これらの第1配線構造21による接続により、光電変換セル10が6個直列に接続された構成が2個形成されている。
【0086】
また、これらの6個直列に接続された光電変換セル10を、12個直列に接続された光電変換セル10とするために、配線241によって、光電変換セル10-6の対向電極16と、光電変換セル10-7の光電極13とが電気的に接続されている。また、光電変換セル10-1の光電極13が接続されている配線241には、正極として機能する導電端子242が形成されている。また、光電変換セル10-12の対向電極16が接続されている配線241には、負極として機能する導電端子242が形成されている。
【0087】
図7に示したような12直列1並列の構成の場合、光電変換装置1は、0.7[V]の12倍の8.4[V]程度の電圧を出力することができる。このような光電変換装置1は、例えば、
図5に示した鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、又はリチウムイオンポリマー二次電池を充電するための電源として使用することができる。
【0088】
<12直列1並列の接続の他の例>
図8は、12個の光電変換セル10が12直列1並列に接続されている場合の接続の他の例を示す平面図である。
図8に示す構成は、光電変換セル10-7~10-12において、電流の流れる向きが、
図7に示した光電変換セル10-7~10-12とは逆になっている点で、
図7に示した構成と異なる。これは、光電変換セル10-7~10-12において、光電極13と対向電極16との接続が、
図7に示した光電変換セル10-7~10-12における光電極13と対向電極16との接続と逆になるようにすることにより実現できる。例えば、
図7に示す構成においては、光電変換セル10-7の対向電極16と、光電変換セル10-8の光電極13とが第1配線構造21を介して電気的に接続されているが、
図8に示す構成では、光電変換セル10-7の光電極13と、光電変換セル10-8の対向電極16とが第1配線構造21を介して電気的に接続されている。
【0089】
図8に示すような接続とすることにより、配線241の長さを、
図7に示したような接続とした場合よりも短くすることができる。例えば、
図8に示した構成において光電変換セル10-6と光電変換セル10-12とを接続する配線241の長さは、
図7に示した構成において光電変換セル10-6と光電変換セル10-7とを接続する配線241の長さよりも短い。
【0090】
このように、本実施形態に係る光電変換装置1によれば、第2配線構造22内の配線241によって、複数の光電変換セル10を様々な構成で容易に電気的に接続することができる。
【0091】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態に係る光電変換装置2の概略構成を示す平面図である。第2実施形態に係る光電変換装置2については、第1実施形態に係る光電変換装置1との相違点について主に説明する。
【0092】
第2実施形態に係る光電変換装置2は、4個の光電変換セル10が2直列2並列に接続されている場合を例にして説明する。ただし、光電変換装置2が備える光電変換セル10の個数、及び光電変換セル10の接続はこれに限定されるものではない。光電変換装置2は、任意の複数の個数の光電変換セル10を備えていてよい。光電変換装置2が備える複数の光電変換セル10は、任意の直列数、及び任意の並列数で接続されていてよい。
【0093】
なお、
図9は、第1配線構造21と、第2配線構造22の配線241とによって、光電変換装置2が備える光電変換セル10-1~10-4が電気的に接続されている様子を模式的に示したものであり、物理的な形状を示したものではない。
【0094】
光電変換装置2は、第2配線構造22の配線層24に配置された回路素子30を備える。
図9は、回路素子30が逆流防止用のダイオードである場合を示している。
図9に示す例では、ダイオードである回路素子30のアノードが、配線層24内の配線241によって、光電変換セル10-1の光電極13と、光電変換セル10-3の光電極13とに接続されている。また、ダイオードである回路素子30のカソードが、配線層24内の配線241によって、正極として機能している導電端子242に接続されている。
【0095】
このように、回路素子30が第2配線構造22の配線層24に配置されていることによって、光電変換装置2は、複数の光電変換セル10と回路素子30とを一体的に構成することができる。従って、光電変換装置2は、ダイオードのような機能素子を回路素子30として備えることと、小型化とを両立することができる。
【0096】
また、
図9に示す例においては、光電変換セル10-3及び10-4の直下に、配線241が配置されている。このように、光電変換セル10とZ軸方向に重ねて配線241を配置することにより、光電変換装置2を更に小型化することができる。なお、このような、光電変換セル10と配線241とをZ軸方向に重ねる構成は、
図9の他の部分においても可能であるし、例えば
図2のような他の図面に示す他の実施形態においても可能である。
【0097】
[第3実施形態]
図10は、本発明の第3実施形態に係る光電変換装置3の概略構成を示す平面図である。第3実施形態に係る光電変換装置3については、第1実施形態に係る光電変換装置1との相違点について主に説明する。
【0098】
第3実施形態に係る光電変換装置3は、4個の光電変換セル10が2直列2並列に接続されている場合を例にして説明する。ただし、光電変換装置3が備える光電変換セル10の個数、及び光電変換セル10の接続はこれに限定されるものではない。光電変換装置3は、任意の複数の個数の光電変換セル10を備えていてよい。光電変換装置3が備える複数の光電変換セル10は、任意の直列数、及び任意の並列数で接続されていてよい。
【0099】
なお、
図10は、第1配線構造21と、第2配線構造22の配線241とによって、光電変換装置3が備える光電変換セル10-1~10-4が電気的に接続されている様子を模式的に示したものであり、物理的な形状を示したものではない。
【0100】
光電変換装置3は、X軸の負方向側の辺付近に導電端子242を備えているだけでなく、X軸の正方向側の辺付近にも導電端子242を備えている。
【0101】
このように、光電変換装置3が、X軸の負方向側の辺付近とX軸の正方向側の辺付近との両方において導電端子242を備えていることにより、複数個の光電変換装置3を電気的に接続する場合に、光電変換装置3同士を電気的に接続する配線を短くすることができる。例えば、複数個の光電変換装置3をX軸方向に並べて配置した場合、X軸の負方向側に位置する光電変換装置3のX軸の正方向側の辺付近の導電端子242と、X軸の正方向側に位置する光電変換装置3のX軸の負方向側の辺付近の導電端子242とを接続する配線は、短くすることができる。
【0102】
[第4実施形態]
図11は、本発明の第4実施形態に係る光電変換装置4の概略構成を示す平面図である。第4実施形態に係る光電変換装置4については、第3実施形態に係る光電変換装置3との相違点について主に説明する。
【0103】
第4実施形態に係る光電変換装置4は、4個の光電変換セル10が2直列2並列に接続されている場合を例にして説明する。ただし、光電変換装置4が備える光電変換セル10の個数、及び光電変換セル10の接続はこれに限定されるものではない。光電変換装置4は、任意の複数の個数の光電変換セル10を備えていてよい。光電変換装置4が備える複数の光電変換セル10は、任意の直列数、及び任意の並列数で接続されていてよい。
【0104】
なお、
図11は、第1配線構造21と、第2配線構造22の配線241とによって、光電変換装置4が備える光電変換セル10-1~10-4が電気的に接続されている様子を模式的に示したものであり、物理的な形状を示したものではない。
【0105】
光電変換装置4は、
図10に示した光電変換装置3が、オス型のコネクタ41と、メス型のコネクタ42と、を更に備えたものである。
図12に、オス型のコネクタ41の構成の一例を示す。メス型のコネクタ42については図示を省略するが、メス型のコネクタ42は、オス型のコネクタ41と機械的且つ電気的に接続可能な任意の構成であってよい。
【0106】
オス型のコネクタ41は、正極として機能する接続端子411と、負極として機能する接続端子411と、を備える。正極として機能する接続端子411は、X軸の負方向側に配置されている正極として機能する導電端子242と、電気的に接続している。負極として機能する接続端子411は、X軸の負方向側に配置されている負極として機能する導電端子242と、電気的に接続している。
【0107】
メス型のコネクタ42は、正極として機能する接続端子421と、負極として機能する接続端子421と、を備える。正極として機能する接続端子421は、X軸の正方向側に配置されている正極として機能する導電端子242と、電気的に接続している。負極として機能する接続端子421は、X軸の正方向側に配置されている負極として機能する導電端子242と、電気的に接続している。
【0108】
このように、光電変換装置4が、オス型のコネクタ41とメス型のコネクタ42とを備えていることにより、複数個の光電変換装置4を電気的に接続する場合に、外部配線を用いずに、光電変換装置4同士を接続することができる。例えば、複数個の光電変換装置4をX軸方向に並べて配置した場合、X軸の正方向側に位置する光電変換装置4のオス型のコネクタ41を、X軸の負方向側に位置する光電変換装置4のメス型のコネクタ42に挿入することにより、外部配線を用いることなく、光電変換装置4同士を機械的且つ電気的に接続することができる。
【0109】
なお、
図11に示したオス型のコネクタ41、及びメス型のコネクタ42の配置は一例である。例えば、
図11に示すオス型のコネクタ41の位置にメス型のコネクタ42が配置されており、メス型のコネクタ42の位置にオス型のコネクタ41が配置されていてもよい。
【0110】
[第5実施形態]
図13~
図15を参照して、本発明の第5実施形態に係る光電変換装置5について説明する。
図13は、本発明の第5実施形態に係る光電変換装置5の概略構成を示す平面図である。
図14は、本発明の第5実施形態に係る光電変換装置5の配線の概略構造を示す平面図である。
図15は、
図14に示す光電変換装置5のA2-A2線における断面図である。
【0111】
第5実施形態に係る光電変換装置5は、24個の光電変換セル10が12直列2並列に接続されている場合を例にして説明する。ただし、光電変換装置5が備える光電変換セル10の個数、及び光電変換セル10の接続はこれに限定されるものではない。光電変換装置5は、任意の複数の個数の光電変換セル10を備えていてよい。光電変換装置5が備える複数の光電変換セル10は、任意の直列数、及び任意の並列数で接続されていてよい。
【0112】
なお、
図13は、第1配線構造21と、第2配線構造22の配線241とによって、光電変換装置5が備える光電変換セル10-1~10-24が電気的に接続されている様子を模式的に示したものであり、物理的な形状を示したものではない。
【0113】
図15に示すように、光電変換装置5の第2配線構造22は、絶縁層23-1と配線層24-1とを重ねた構造と、絶縁層23-2と配線層24-2とを重ねた構造と、を備える。換言すれば、光電変換装置5は、絶縁層23と配線層24とを重ねた構造を2つ備える。
【0114】
配線層24-2は、第2基板12上に配置されている。絶縁層23-2は、配線層24-2上に配置されている。配線層24-1は、絶縁層23-2上に配置されている。絶縁層23-1は、配線層24-1上に配置されている。
【0115】
配線層24-1には、導電性を有する配線241-1が形成されている。配線層24-2には、導電性を有する配線241-2が形成されている。
【0116】
配線層24-1内の配線241-1は、絶縁層23-1の貫通孔に配置されている導電性樹脂組成物233を介して、第1配線構造21と電気的に接続することができる。配線層24-2内の配線241-2は、絶縁層23-2の貫通孔に配置されている。導電性樹脂組成物233を介して、配線層24-1内の配線241-1と電気的に接続することができる。
【0117】
図13及び
図14に示すように、光電変換セル10-1の光電極13と、光電変換セル10-13の光電極13とは、配線層24-2内の配線241-2を介して電気的に接続されている。また、光電変換セル10-7の光電極13と、光電変換セル10-19の光電極13とは、配線層24-1内の配線241-1を介して電気的に接続されている。
【0118】
光電変換セル10を
図13に示すような複雑な接続構成で接続する必要がある場合、例えば
図13に示す交差箇所Kのように、光電変換セル10を接続する配線同士が交差する必要が生じる場合がある。本実施形態に係る光電変換装置5は、第2配線構造22が2つの配線層24-1及び24-2を備えるため、
図13に示すような交差箇所Kがあっても、配線層24-1内の配線241-1と、配線層24-2内の配線241-2とを立体的に交差させることができる。従って、本実施形態に係る光電変換装置5は、複数の光電変換セル10を複雑な接続構成で接続する必要がある場合であっても、複数の光電変換セル10を、高い自由度で電気的に接続することができる。
【0119】
なお、本実施形態においては、光電変換装置5が、絶縁層23と配線層24とを重ねた構造を2つ備える場合を例に挙げて説明したが、光電変換装置5は、絶縁層23と配線層24とを重ねた構造を3つ以上備えていてもよい。即ち、光電変換装置5は、絶縁層23と配線層24とを重ねた構造を複数個備えていてよい。
【0120】
[第6実施形態]
図16~
図18を参照して、本発明の第6実施形態に係る光電変換装置6について説明する。
図16は、本発明の第6実施形態に係る光電変換装置6の配線の概略構造を示す平面図である。
図17は、
図16に示す光電変換装置6のA3-A3線における断面図である。
図18は、
図16に示す光電変換装置6のA4-A4線における断面図である。
【0121】
第6実施形態に係る光電変換装置6は、12個の光電変換セル10が12直列1並列に接続されている場合を例にして説明する。ただし、光電変換装置6が備える光電変換セル10の個数、及び光電変換セル10の接続はこれに限定されるものではない。光電変換装置6は、任意の複数の個数の光電変換セル10を備えていてよい。光電変換装置6が備える複数の光電変換セル10は、任意の直列数、及び任意の並列数で接続されていてよい。
【0122】
図17及び
図18に示すように、第6実施形態に係る光電変換装置6は、第2基板12のZ軸の負方向側の面に、蓄電池50が配置されている。蓄電池50は、
図18に示すように、配線ケーブル51と、コネクタ52とを介して、後述する導電端子521に接続している。蓄電池50は、光電変換装置6が備える光電変換セル10が発電した電力の供給を受けて充電することができる。
【0123】
蓄電池50は、特に限定しないが、例えば図に示した二次電池のいずれかであってもよい。
【0124】
コネクタ52は、例えば、
図16に示すような位置に配置されていてよい。コネクタ52は、正極として機能する導電端子521と、負極として機能する導電端子521とに電気的に接続されている。導電端子521は、配線層24内の配線241のうち、コネクタ52に電気的に接続している部分である。
【0125】
コネクタ52は、例えば、2ピンタイプのコネクタであってよい。この場合、コネクタ52の2つのピンのうちの一方のピンは、正極として機能する導電端子521に電気的に接続している。また、コネクタ52の2つのピンのうちの他方のピンは、負極として機能する導電端子521に電気的に接続している。
【0126】
図19に、光電変換装置6の回路構成の一例を示す。
図19に示す回路は、配線層24に、充放電制御回路61と、スイッチ62-1と、スイッチ62-2と、制御回路63とが配置されている場合の例である。スイッチ62-1及びスイッチ62-2は、特に区別する必要がない場合、以後、単にスイッチ62と記載する。
【0127】
図19に示す発電部60は、光電変換装置6が備える複数の光電変換セル10全体を示すものとする。発電部60の正極及び負極は、充放電制御回路61に接続されている。
【0128】
充放電制御回路61は、制御回路63からの指令を受けて、発電部60から供給される電圧及び電流が適切な電流及び電流になるように、電圧レベル及び電流レベルを制御する。
【0129】
スイッチ62は、制御回路63からの指令を受けて接続先を切り替え可能なスイッチである。スイッチ62-1は、発電部60の負極に、充放電制御回路61を介して接続されている。スイッチ62-1は、制御回路63からの指令を受けて、充放電制御回路61の接続先を、負極として機能する導電端子242と、負極として機能する導電端子521のいずれか一方に切り替える。スイッチ62-2は、発電部60の正極に、充放電制御回路61を介して接続されている。スイッチ62-2は、制御回路63からの指令を受けて、充放電制御回路61の接続先を、正極として機能する導電端子242と、正極として機能する導電端子521のいずれか一方に切り替える。
【0130】
なお、スイッチ62-1は、配線層24に配置されていなくてもよい。この場合、負極として機能する導電端子242及び負極として機能する導電端子521は、発電部60の負極に、充放電制御回路61を介して常時接続されていてよい。
【0131】
制御回路63は、充放電制御回路61及びスイッチ62を制御する。制御回路63は、発電部60によって発電された電力を外部機器に供給して外部機器を動作させる場合、充放電制御回路61が導電端子242に接続されるようにスイッチ62を制御する。制御回路63は、発電部60によって発電された電力で蓄電池50を充電する場合、充放電制御回路61が導電端子521に接続されるようにスイッチ62を制御する。
【0132】
このように、導電端子242とは別の導電端子521を有することで、光電変換装置6は、導電端子242から外部機器に電力を供給するだけでなく、一体化されている蓄電池50を充電することも可能となる。また、光電変換装置6は、配線層24に、充放電制御回路61、スイッチ62及び制御回路63などのような機能回路を配置することで、発電部60による発電と所定の機能とが一体化された機能デバイスを実現することができる。
【0133】
なお、
図19においては、充放電制御回路61と、スイッチ62-1と、スイッチ62-2と、制御回路63とが配線層24に配置されている場合を例に挙げて説明したが、これらの回路は配線層24に配置されていなくてもよい。例えば、これらの回路のうちの一部又は全てが、配線層24に配置されていなくてもよい。
【0134】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。
【0135】
例えば、対向電極16が備える透明導電膜17は、必ずしも透明である必要はなく、透明性を有さない導電膜であってもよい。
【0136】
例えば、光電変換セル10の構成として、色素増感型太陽電池の場合を例に挙げて説明したが、光電変換セル10は、色素増感型太陽電池以外の種類の光電変換セルであってよい。例えば、光電変換セル10は、電解液19を備えない種類の光電変換セルであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明によれば、複数の光電変換セルを様々な構成で電気的に接続することを容易にすることが可能な光電変換装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0138】
1、2、3、4、5、6 光電変換装置
10 光電変換セル
11 第1基板
12 第2基板
121 開口部
13 光電極
14 透明導電膜
15 多孔質酸化物半導体層
16 対向電極
17 透明導電膜
18 触媒層
19 電解液
20 隔壁
21 第1配線構造
22 第2配線構造
23 絶縁層
231 第1貫通孔
232 第2貫通孔
233 導電性樹脂組成物
24 配線層
241 配線
242 導電端子
30 回路素子
41 オス型のコネクタ
411 接続端子
42 メス型のコネクタ
421 接続端子
50 蓄電池
51 配線ケーブル
52 コネクタ
521 導電端子
60 発電部
61 充放電制御回路
62 スイッチ
63 制御回路