(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】無線通信システム、基地局装置、及び接続制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/14 20090101AFI20241126BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20241126BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20241126BHJP
H04W 48/08 20090101ALI20241126BHJP
H04W 8/22 20090101ALI20241126BHJP
【FI】
H04W36/14
H04W48/16 135
H04W48/18 113
H04W48/08
H04W8/22
(21)【出願番号】P 2023501974
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007468
(87)【国際公開番号】W WO2022180813
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】福島 健
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 元晴
(72)【発明者】
【氏名】中平 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】村山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】守山 貴庸
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222609(JP,A)
【文献】特表2016-514390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基地局装置と第2基地局装置とを有する複数の基地局装置を備える無線通信システムであって、
端末と接続している前記第1基地局装置が、前記端末の通信要求品質と前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記端末との接続を継続するか否かを判断し、
前記第1基地局装置が、前記端末との接続を継続しないと判断した場合に
おいて、前記端末から受信した前記端末が利用可能な無線規格情報に基づいて、前記端末が前記第2基地局装置を利用可能であると判断した場合に、前記端末に対して前記第2基地局装置への接続を指示する制御信号を送信する
無線通信システム。
【請求項2】
複数の基地局装置を備える無線通信システムにおける基地局装置であって、
前記基地局装置に接続している端末の通信要求品質と前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記端末との接続を継続するか否かを判断する手段と、
前記端末との接続を継続しないと判断した場合に
おいて、前記端末から受信した前記端末が利用可能な無線規格情報に基づいて、前記端末が他の基地局装置を利用可能であると判断した場合に、前記端末に対して
前記他の基地局装置への接続を指示する制御信号を送信する手段と
を備える基地局装置。
【請求項3】
第1基地局装置と第2基地局装置とを有する複数の基地局装置を備える無線通信システムにおいて実行される接続制御方法であって、
端末と接続している前記第1基地局装置が、前記端末の通信要求品質と前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記端末との接続を継続するか否かを判断するステップと
、
前記第1基地局装置が、前記端末との接続を継続しないと判断した場合に
おいて、前記端末から受信した前記端末が利用可能な無線規格情報に基づいて、前記端末が前記第2基地局装置を利用可能であると判断した場合に、前記端末に対して前記第2基地局装置への接続を指示する制御信号を送信するステップと
を備える接続制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末と基地局を有する無線通信システムにおいて、端末を適切な基地局に接続させる技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
端末と基地局を有する無線通信システムの例として、例えば非特許文献1~4に開示された5Gの無線アクセスシステムがある。5Gの無線アクセスシステムは、セルラシステムの例であり、セルラシステムには、5Gの他、LTE、3G等が広く使用されている。また、端末と基地局を有する無線通信システムとして、無線LANも広く使用されている。
【0003】
複数の無線通信システムが存在する環境において、端末は一般に受信電力に基づいて接続先を決定する。例えば、セルラシステムと無線LANの両方が存在する環境において、端末は、無線LAN基地局からの受信信号強度が閾値以上であれば無線LANに接続し、無線LAN基地局からの受信信号強度が閾値以下かつセルラ基地局からの受信信号強度が閾値以上であればセルラシステムに接続する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ドコモテクニカルジャーナル, Vol. 23, No. 4, pp.18-29, 2020
【文献】ドコモテクニカルジャーナル, Vol. 28, No. 3, pp.82-95, 2020
【文献】ドコモテクニカルジャーナル, Vol. 26, No. 3, pp.74-88, 2018
【文献】3GPP TS 38.133. "NR; Requirements for support of radio resource management." 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の無線システムが存在する環境において、受信電力に基づいて接続先を決定する場合、無線通信システムの提供可能な通信品質にかかわらず、収容先が決定されてしまう。
【0006】
例えば、セルラシステムと無線LANの両方が存在する環境において、従来手法で端末が接続先の基地局を選択する場合、セルラシステムのリソースに余裕がある場合でも、無線LANの受信信号強度が閾値以上ならば無線LANに接続するため、無線LANのリソースが先に枯渇してしまい、端末が要求する通信品質が提供されない場合がある。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、無線通信システムにおいて、端末が要求する通信品質に応じて、端末が適切な基地局に接続することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術によれば、第1基地局装置と第2基地局装置とを有する複数の基地局装置を備える無線通信システムであって、
端末と接続している前記第1基地局装置が、前記端末の通信要求品質と前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記端末との接続を継続するか否かを判断し、
前記第1基地局装置が、前記端末との接続を継続しないと判断した場合において、前記端末から受信した前記端末が利用可能な無線規格情報に基づいて、前記端末が前記第2基地局装置を利用可能であると判断した場合に、前記端末に対して前記第2基地局装置への接続を指示する制御信号を送信する
無線通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、無線通信システムにおいて、端末が要求する通信品質に応じて、端末が適切な基地局に接続することを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1における通信システムの構成図である。
【
図5】実施例1-1における通信システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】実施例1-2における通信システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】実施例1-3における通信システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【
図8】実施例2における通信システムの構成図である。
【
図10】実施例2における通信システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【
図11】実施例3-1における処理フローを示す図である。
【
図12】実施例3-2における処理フローを示す図である。
【
図13】実施例3-2における処理フローを示す図である。
【
図14】装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
【0012】
(実施の形態の概要)
本実施の形態では、端末が要求する通信品質に応じて、端末が適切な基地局に接続することを可能とするために、基地局により各端末に提供されている通信品質等に基づいて接続を制御する。
【0013】
具体的には、各端末が必要とする通信品質と、各基地局が各端末へ提供する通信品質とに基づいて、満足度あるいは充足度を算出し、端末の接続先基地局の選択等の制御を行う。なお、基地局が「端末へ提供する通信品質」とは、通信前の端末であれば、「端末へ提供可能な通信品質」であり、接続確立後の通信中の端末であれば「端末へ実際に提供している通信品質」である。
【0014】
基地局、あるいは後述するNWコントローラが、各端末の定量的な通信品質に対する満足度や充足度を用いて、各端末に対する接続制御を行う。
【0015】
上記の通信品質は特定のものに限られないが、例えば、スループット[Mbps]、通信遅延[s]、パケットロス率[%]等を使用することができる。
【0016】
基地局あるいはNWコントローラが、スループットとパケットロス率等の通信品質を評価する時間(期間)であるタイムスロットについても、ユーザ(端末)の要求によって変化させることとしてもよい。
【0017】
すなわち、高頻度な品質の把握は通信オーバーヘッドの増大につながるため、例えば、ユーザの要求品質が高い場合は、品質の把握を短い期間で行うことで品質劣化を迅速に検知可能とし、ユーザの要求品質が低い場合は、ある程度の通信品質の劣化は許容範囲として通信品質の把握は比較的長期で行う、といったユーザの要求品質に応じた通信品質把握のタイムスロットの動的制御を行うこととしてもよい。
【0018】
本実施の形態では、端末と通信可能な複数の基地局が配置されている環境において、例えば、下記の(1)~(4)に示す情報に基づいて、端末の要求品質を満たすことができる基地局に当該端末を接続する。
【0019】
(1)端末(より具体的には端末の通信セッション)が要求する通信品質
上記の通信品質は、DLとULのうちの一方の通信における品質であってもよいし、DLとUL両方の通信における品質であってもよい。
【0020】
(2)端末-基地局間の無線通信リンクが実現可能な通信品質
(3)基地局が提供可能な通信品質
(4)通信を行う端末に対して制御を行う優先順位
優先順位の設定方法については、例えば、基地局への収容端末数を優先する場合は、要求する通信品質が低いほど優先順位を高く設定する。また、接続順で優先順位を設定してもよい。また、ユーザの契約形態に基づいて優先順位を設定してもよい。例えば、契約形態において、「高優先」の契約がなされている端末については、優先的に制御を行うことと
してもよい。
【0021】
以下、より具体的な動作例として、実施例1~実施例3を説明する。なお、以下の説明において、複数の基地局が存在する環境の例として、無線LANシステムにおける基地局(無線LAN基地局と呼ぶ)とセルラシステムにおける基地局(セルラ基地局と呼ぶ)が存在する例を示しているが、これは一例である。例えば、複数の基地局が、複数種類のセルラシステム(例えば、LTEと5Gと3G)における基地局であってもよい。また、以下では、主にDL通信を想定しているが、UL通信においても同様の制御が可能である。
【0022】
(実施例1)
<システム構成>
図1に、実施例1における通信システムの全体構成例を示す。
図1に示すように、この通信システムは、複数の端末100-1~100-N、無線LAN基地局200、セルラ基地局300を有する。無線LAN基地局200とセルラ基地局300は、ネットワーク400に接続されている。ネットワーク400は、例えば、端末100が利用するアプリケーションのサービスを提供するサーバが存在するネットワークである。また、ここでは、無線LAN基地局200とセルラ基地局300にはどの端末とも通信可能(受信信号強度が閾値以上)と想定する。なお、端末を端末装置と呼び、基地局を基地局装置と呼んでもよい。
【0023】
図2に、端末100の構成例を示す。
図2に示すように、端末100は、通信部110、情報取得部120、データ格納部130、測定部140を有する。通信部110は、基地局と無線通信を行う。また、通信部110にはアプリケーションが搭載されており、サーバ等とアプリケーションによるデータ通信を行う。測定部140は、無線通信リンクの品質を測定する。
【0024】
情報取得部120は、利用アプリケーションにおける通信要求品質や、測定部140による測定結果等を取得し、通信部110を介して送信する。データ格納部130には、例えば、端末100がサポートしている無線通信規格情報等が格納されている。
【0025】
図3に、無線LAN基地局200の構成例を示す。
図3に示すように、無線LAN基地局200は、NW通信部210、リソース管理部220、接続制御部230、端末通信部240を有する。
【0026】
NW通信部210は、ネットワーク400側との通信を行う。リソース管理部220は、無線LAN基地局200において使用しているリソース、使用可能なリソース等を管理し、端末100に提供可能なリソースを把握する。接続制御部230は、端末100の通信要求品質と、端末100に提供可能なリソース等に基づいて、接続制御を実行する。
【0027】
また、接続制御部230は、通信中の端末100について、実際に提供している通信品質を把握し、端末100の通信要求品質と、端末100に提供している通信品質に基づいて、接続制御を実行することも可能である。端末通信部240は、端末100と無線通信を行う。
【0028】
図4に、セルラ基地局300の構成例を示す。
図4に示すように、セルラ基地局300は、NW通信部310、リソース管理部320、接続制御部330、端末通信部340を有する。
【0029】
NW通信部310は、ネットワーク400側との通信を行う。リソース管理部320は、セルラ基地局300において使用しているリソース、使用可能なリソース等を管理し、端末100に提供可能なリソースを把握する。接続制御部330は、端末100の通信要求品質と、端末100に提供可能なリソース等に基づいて、接続制御を実行する。
【0030】
また、接続制御部330は、通信中の端末100について、実際に提供している通信品質を把握し、端末100の通信要求品質と、端末100に提供している通信品質に基づいて、接続制御を実行することも可能である。端末通信部340は、端末100と無線通信を行う。
【0031】
以下、実施例1の通信システムの具体的な動作例として、実施例1-1~実施例1-3を説明する。実施例1-1~実施例1-3では、特定の端末100が、無線LAN基地局200に接続している状態において、アプリケーション利用のためのDL通信を開始する状況を想定している。なお、このような想定は一例である。例えば、UL通信を開始する場合でも同様の動作が可能である。また、シーケンスで示す制御は、複数の端末のそれぞれについて実行されるが、以下では、代表として「端末100」についての動作を示している。
【0032】
また、最初に無線LAN基地局200に接続しているのではなく、最初にセルラ基地局300に接続されている場合でも同様の動作が可能である。すなわち、実施例1-1~実施例1-3において、無線LAN基地局200をセルラ基地局300に置き換え、セルラ基地局300を無線LAN基地局200に置き換えたとしても同様の動作が可能である。
【0033】
<実施例1-1>
まず、
図5のシーケンス図を参照して実施例1-1を説明する。S101において、端末100は、アプリケーション利用のために通信を開始しようと試みる。
【0034】
また、無線LAN基地局200は常に自身に接続している他の端末の通信状況等を基に、無線LAN側で端末100に提供可能なリソースを把握している(S102)。同様に、セルラ基地局300は常に自身に接続している他の端末の通信状況等を基に、セルラシステム側で端末100に提供可能なリソースを把握している(S103)。
【0035】
提供可能なリソースとは、例えば、ネットワーク400上のアプリケーションサーバから端末100までの経路における、端末100に対して提供可能な帯域であってもよいし、基地局が端末100に割り当て可能な時間・周波数リソースであってもよいし、提供可能な通信品質(スループット等)であってもよいし、その他のリソースであってもよい。
【0036】
S104において、端末100は、利用するアプリケーション等を基に通信要求品質を把握する。通信要求品質は、例えば、アプリケーションの利用に必要なスループットである。また、通信要求品質は、アプリケーションの利用方法によっても異なる。例えば、映像配信のアプリケーションを利用する場合において、高画質の映像を見る場合には、低画質の映像を見る場合よりも通信要求品質は高くなる。
【0037】
S105において、端末100は、把握した情報を無線LAN基地局200に送信する。S106において、無線LAN基地局200は、無線LAN側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を上回っているかどうかを判定する。上回っていればS106の判定はYesとなり、上回っていなければ(下回っていれば)、S106の判定はNoになる。具体的には、例えば、無線LAN基地局200は、端末100に提供可能なスループットが、端末100が要求するスループットを上回っているかどうかを判定する。
【0038】
なお、上記の判定方法は一例である。例えば、無線LAN基地局200は、「(端末100に提供可能な通信品質)/(端末100が要求する通信品質)」が、X(0<X≦1)以上であればS106の判定をYesとすることとしてもよい。Xは予め設定するパラメータである。また、無線LAN基地局200における混雑度(例:接続している端末数)に応じてXを変えてもよい。なお、通信品質が遅延である場合、「(端末100に提供可能な通信品質)/(端末100が要求する通信品質)」において、「通信品質」は、「1/遅延」として計算する。値が小さいほど良い通信品質を表すものについて同様である。
【0039】
S106の判定がYesである場合、S107において、無線LAN基地局200は端末100との接続を継続する。
【0040】
S106の判定がNoである場合、無線LAN基地局200は、端末100をセルラ基地局300に接続させることを決定し、S108において、端末100に対して、セルラ基地局300との接続を指示する制御信号を送信する。制御信号を受信した端末100は、S109において、セルラ基地局300への接続を要求する制御信号をセルラ基地局300に送信する。この制御信号の中に、端末100の通信要求品質が含まれていてもよい。
【0041】
S110において、セルラ基地局300は、セルラシステム側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を上回っているかどうかを判定する。上回っていればS110の判定はYesとなり、上回っていなければS110の判定はNoになる。具体的には、例えば、セルラ基地局300は、端末100に提供可能なスループットが、端末100が要求するスループットを上回っているかどうかを判定する。
【0042】
なお、上記の判定方法は一例である。例えば、セルラ基地局300は、「(端末100に提供可能な通信品質)/(端末100が要求する通信品質)」が、X(0<X≦1)以上であればS110の判定をYesとすることとしてもよい。Xは予め設定するパラメータである。セルラ基地局300の混雑度(例:接続している端末数)に応じてXを変えてもよい。
【0043】
S110での判定がYesである場合、S111において、セルラ基地局300は、端末との接続を確立する。S110での判定がNoの場合、S112において、セルラ基地局300は、接続不可を示す制御信号を端末100に送信する。ただし、これは一例である。例えば、端末100に対して、通信要求を満たせないが、接続を確立することを通知して、接続を確立してもよい。
【0044】
また、実施例1-1(実施例1-2、1-3も同様)において、実施例3での制御と同様に、基地局が、端末100が通信中の通信品質を監視して、端末100の通信要求品質を満たせなくなった場合に、端末100に接続先基地局の切り替えを指示してもよい。
【0045】
<実施例1-2>
次に、
図6を参照して、実施例1-2を説明する。実施例1-2はほぼ実施例1-1と同じであるので、実施例1-1と異なる点のみを説明する。
【0046】
S101の後、端末100は、S104-2において、利用アプリケーション等に基づく通信要求品質とともに、端末100が利用可能な無線規格情報を把握する。無線規格情報とは、例えば、無線LANを利用できることを示す情報、セルラシステムを利用できることを示す情報等である。S105において、端末100は、通信要求品質とともに、利用可能な無線規格情報を無線LAN基地局200に通知する。
【0047】
S106における判定がNoである場合、無線LAN基地局200は、端末100が利用可能な無線規格情報を参照し、端末100がセルラシステムを利用可能である場合に、S108において、セルラ基地局300への接続を指示する制御信号を端末100に送信する。S106における判定がNoである場合において、端末100がセルラシステムを利用可能でない場合には、無線LAN基地局200は、例えば、端末100に対して、通信要求品質を満たせない旨の通知を行って、端末100との通信を継続する。
【0048】
<実施例1-3>
次に、
図7を参照して実施例1-3を説明する。S101~S105は実施例1-1と同じである。S115において、無線LAN基地局200は、セルラ基地局300から、セルラ基地局300が端末100に対して提供可能なリソースの情報を取得する。なお、基地局間での情報のやりとりは、直接に基地局間で行うこととしてもよいし、NWコントローラ等を介して行うこととしてもよいし、特定の端末を介して行うこととしてもよい。
【0049】
S116において、無線LAN基地局200は、無線LAN側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を上回っているかどうかを判定するとともに、セルラシステム側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を上回っているかどうかを判定する。
【0050】
ここでは、「無線LAN側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を上回っており、かつ、セルラシステム側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を上回っている」、又は、「無線LAN側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を下回っている、かつ、セルラシステム側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を下回っている」とする。
【0051】
この状況でのS116において、無線LAN基地局200は、無線LAN側で端末100に対して提供可能なリソースの量と、セルラシステム側で端末100に対して提供可能なリソースの量を比較し、無線LAN側で端末100に対して提供可能なリソースの量が、セルラシステム側で端末100に対して提供品可能なリソースの量を上回っているかどうかを判定する。上回っていれば、S116の判定はYesになり、上回っていなければ(下回っていれば)、S116の判定はNoになる。
【0052】
S116の判定がYesの場合、S117において、無線LAN基地局200は端末100との接続を継続する。
【0053】
S116の判定がNoである場合、無線LAN基地局200は、端末100をセルラ基地局300に接続させることを決定し、S118において、端末100に対して、セルラ基地局300との接続を指示する制御信号を送信する。制御信号を受信した端末100は、S119において、セルラ基地局300との接続を確立する。
【0054】
なお、「無線LAN側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を下回っている、かつ、セルラシステム側で端末100に提供可能なリソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を下回っている」ケースにおいて、ここでは、リソースの量が、端末100の通信要求品質を満たせるリソースの量を下回っているものの、通信の継続はできることを想定している。
【0055】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、NWコントローラ500が、各基地局から情報を収集し、端末の接続先の制御を実行する例である。なお、NWコントローラをNWコントローラ装置と呼んでもよい。
【0056】
<システム構成例>
図8に、実施例2における通信システムの全体構成例を示す。
図8に示すように、この通信システムは、複数の端末100-1~100-N、複数の基地局BS-1~BS-M、及びNWコントローラ500を有する。各基地局BSとNWコントローラ500との間は、有線又は無線により接続されている。なお、図示はしていないが、各基地局BSは、データ通信のためのネットワーク400にも接続されている。
【0057】
各基地局BSは、無線LAN基地局であってもよいし、セルラ基地局であってもよいし、これら以外の方式の基地局であってもよい。
【0058】
実施例2では、端末100が、自身の通信要求品質を把握して、その情報を、いずれかの基地局BSを介してNWコントローラ500に送信する。NWコントローラ500は各基地局BSが提供可能なリソースを把握しており、端末100の通信要求品質に基づいて、端末100が通信を行う接続先の最適な基地局BSを選択する。
【0059】
端末100の構成は、実施例1において、
図2に示した構成と同様である。実施例2の基地局BSについては、NWコントローラ500へリソースの情報を送信でき、NWコントローラ500からの指示に従って動作できる構成であればよい。また、実施例2の基地局BSについても、実施例1において、
図3、
図4で示した構成と同様の構成を有していてもよい。
【0060】
図9に、NWコントローラ500の構成図を示す。
図9に示すように、NWコントローラ500は、通信部510、リソース管理部520、情報取得部530、接続制御部540を有する。
【0061】
通信部510は、各基地局BSと通信を行う。情報取得部530は、各端末、及び各基地局BSから情報を収集する。また、情報取得部530は、通信中の端末について、実際の通信品質を取得(監視)する。
【0062】
リソース管理部520は、各端末及び各基地局BSから収集した情報に基づき、各基地局BSにおける、各端末に対して利用中のリソース、利用可能なリソース等を管理する。接続制御部540は、端末の通信要求品質と、端末に提供可能なリソースや実際に端末に提供されている通信品質等に基づき、端末の接続先基地局の決定や切り替え等の制御を行う。
【0063】
<動作例>
次に、
図10のシーケンス図を参照して実施例2における通信システムの動作例を説明する。なお、端末に関して、
図10は1つの端末100の動作を示しているが、これは図時の便宜上のものであり、実際には、複数の端末のそれぞれが任意のタイミングで端末100と同様の動作を行っている。また、基地局BSについても、実際には複数の基地局BSが存在するが、
図10には1つの基地局BSを示している。
【0064】
また、
図10の前提として、端末100は、アプリケーション利用のための基地局BSとの接続はなされていない状態であるが、フィードバック情報の送信のために、ある基地局BSと通信をすることは可能であるとする。
【0065】
S201において、端末100は、アプリケーション利用のために通信を開始しようと試みる。
【0066】
S202において、端末100は、利用するアプリケーション等を基に通信要求品質を把握する。通信要求品質は、例えば、アプリケーションの利用に必要なスループットである。また、通信要求品質は、アプリケーションの利用方法によっても異なり得る。例えば、映像配信のアプリケーションを利用する場合において、高画質の映像を見る場合には、低画質の映像を見る場合よりも通信要求品質は高くなる。
【0067】
S203に示すとおり、NWコントローラ500は、常時(例えば定期的に)、各基地局BSに接続している各端末の通信状況等の情報や、各基地局が提供可能なリソースの情報等を、各基地局BSから収集している。NWコントローラ500は、収集した情報に基づいて、基地局BS毎に、端末100に提供可能なリソースを把握することができる。
【0068】
S204において、端末100は、周辺の無線機(全基地局BS+他の全端末)からの信号の受信電力の信号強度等を基に、各基地局BSとの無線通信リンクの通信品質(例:RSSI、RSRQ等)を取得する。
【0069】
S205において、端末100は、S202、S204において取得した情報を、いずれかの基地局BSを介して、NWコントローラ500に送信(フィードバック)する。
【0070】
S206において、NWコントローラ500は、通信(接続)を要求する端末、及び基地局BSと接続済みの端末における、基地局BSを割り当てる優先順位を決定する。例えば、接続要求順で優先順位を決定してもよい。また、端末から収集される情報に含まれる端末の優先度に応じて優先順位を決定してもよい。
【0071】
例えば、基地局BSと接続済みで通信を行っているある端末の優先度が、通信を要求している別の端末の優先度よりも高い場合、当該接続済み端末における接続切替(品質の良い通信を提供する基地局BSへの切り替え等)の制御を、当該別の端末の接続制御よりも優先的に実行する。
【0072】
優先順位に基づいて、制御対象の端末が端末100に決定されたとする。NWコントローラ500は、収集した情報に基づいて、各基地局BSに対する端末100における無線通信リンクの通信品質、及び、各基地局BSにおける端末100に提供可能なリソースとから、各基地局BSにおける、端末100に提供可能な通信品質を算出する。なお、実施例1においても、基地局が端末100に提供可能なリソースを判断する際に、当該基地局に対する端末100における無線通信リンクの通信品質、及び、当該基地局における端末100に提供可能なリソースとから、当該基地局が端末100に提供可能な通信品質を算出してもよい。
【0073】
NWコントローラ500は、端末100の通信要求品質と、各基地局BSにおける端末100に対して提供可能な通信品質とを比較して、端末100の通信要求品質を満たす通信品質を提供可能な基地局BSを選択する。端末100の通信要求品質を満たす通信品質を提供可能な基地局BSが複数台存在する場合には、その中から1つの基地局BSを選択する。一例として、端末100の通信要求品質を満たす通信品質を提供可能な複数の基地局BSから、端末100におけるRSSIが最大となる基地局BSを選択することとしてもよい。
【0074】
NWコントローラ500は、選択した基地局BSと端末100とを接続させる。例えば、NWコントローラ500は、いずれかの基地局BSを介して端末100に対して、選択した基地局BSへ接続するよう指示する。あるいは、NWコントローラ500は、選択した基地局BSに対して、端末100と接続するように指示することとしてもよい。
【0075】
S208において、NWコントローラ500は、端末100により実行される通信の通信品質を把握する。例えば、NWコントローラ500は、端末100により実行される通信が通るネットワーク装置(選択した基地局BSでもよい)から得られるデータに基づいて、端末100により実行される通信のデータパケット、スループット、RTT等を監視する。
【0076】
S209において、NWコントローラ500は、S208で把握した実際の通信品質と、端末100の通信要求品質とに基づく制御を実行する。例えば、NWコントローラ500は、実際の通信品質のほうが端末100の通信要求品質よりも良いかどうかを判定し、良い場合には、所定の時間(例:Y個のタイムスロット)だけ待機して、再び実際の通信品質のほうが端末100の通信要求品質よりも良いかどうかの判定を実行する。実際の通信品質のほうが端末100の通信要求品質よりも良い状態が継続する場合、通信の終了まで、上記の待機・判定が繰り返される。
【0077】
上記判定において、実際の通信品質のほうが端末100の通信要求品質よりも良くない場合、例えば、実際のスループットが、端末100の要求するスループットよりも低い場合、NWコントローラ500は、いずれかの基地局BSを介して、端末100に対して、無線通信リンクの通信品質の把握を行うよう命令する。その後、
図10のS205からの処理が再び行われる。再度のS207において、端末100に対する基地局BSとして、接続済みの基地局BSとは別の基地局BSが選択された場合、当該別の基地局BSへの接続切替が行われる。
【0078】
上記のY(待機するタイムスロットの数)については、前述したとおり、例えば、ユーザの要求品質が高い場合は、品質の把握を短い期間で行うことで品質劣化を迅速に検知可能とし、ユーザの要求品質が低い場合は、ある程度の通信品質の劣化は許容範囲として通信品質の把握は比較的長期で行う。
【0079】
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3では、ユーザの満足度(あるいは充足度)の評価手順の例について説明する。実施例3の動作は、基地局BS(無線LAN基地局でもよいし、セルラ基地局でもよい)において行われてもよいし、NWコントローラ500で行われてもよいが、一例として、NWコントローラ500(具体的には、接続制御部540)により行われるものとして説明を行う。下記で説明する動作が基地局BSの接続制御部により行われてもよい。
【0080】
以下、実施例3-1~3-3を説明する。実施例3-1~3-3のいずれにおいても、1つ又は複数の基地局BSに接続して通信を行っている複数の端末が存在し、それぞれの端末についての満足度/充足度を算出する。
【0081】
<実施例3-1>
実施例3-1は、端末により行われる実通信の品質が、ユーザ(端末)の要求を満たしているか否か(これを"満足度"と呼ぶ)を、各端末について評価する。実施例3-1において、NWコントローラ500が実行する処理手順を、
図11を参照して説明する。また、品質の例としてスループットを使用する。
図11において、Nは全端末数である。全端末数は、特定の1つの基地局BSに接続される端末の数であってもよいし、いずれかの基地局BSと通信を行っている端末の全部の数であってもよい。
【0082】
S301において、NWコントローラ500は、提供スループット値に満足している端末数を0とし、iを1として初期化する。
【0083】
S302において、NWコントローラ500は、端末i(i=1,...,N)の要求スループット値と、端末iが接続している基地局BSが提供している実通信のスループット値を取得する。
【0084】
S303において、NWコントローラ500は、端末iの要求スループット値を実通信のスループット値が満たしている否かを判定する。つまり、「実通信のスループット値≧要求スループット値」を満たすか否かを判断する。
【0085】
S303での判断がYes(満たす)であればS304に進み、No(満たさない)であればS305に進む。
【0086】
S304において、提供スループット値に満足している端末数に1を加算する。S305において、NWコントローラ500は、全端末の評価が完了したかどうかを判断し、NoであればS307に進み、YesであればS306に進む。Noの場合のS307において、i=i+1として、S302からの処理を繰り返す。
【0087】
S306において、NWコントローラ500は、「提供スループット値に満足している端末数/全端末数」を計算することにより、複数端末全体の満足度を算出し、処理を終了する。
【0088】
上記の処理は例えば定期的に実行される。処理中の個々の端末の満足度判断において、満足していない端末については、実施例3で説明したように、接続先の基地局BSの切り替え制御が行われてもよい。
【0089】
また、例えば、
図11の「全端末」が、1つの基地局BSに接続される端末と想定し、
図11に示す処理を基地局BS毎に行うこととしてもよい。この場合、NWコントローラ500は、基地局BS毎のS306で算出した全端末についての満足度に応じて、ある端末についての接続先の基地局BSの選択を行ってもよい。例えば、全端末についての満足度がある閾値以上の基地局BSの中から端末の接続先の基地局BSを選択してもよい。
【0090】
<実施例3-2>
実施例3-2は、端末により行われる実通信の品質が、ユーザ(端末)の要求を充足している度合い(これを"充足度"と呼ぶ)を、各端末について評価する。実施例3-2において、NWコントローラ500が実行する処理手順を、
図12を参照して説明する。また、品質の例としてスループットを使用する。
図12において、Nは全端末数である。全端末数は、特定の1つの基地局BSに接続される端末の数であってもよいし、いずれかの基地局BSと通信を行っている端末の数であってもよい。
【0091】
S311において、NWコントローラ500は、iを1として初期化する。S312において、NWコントローラ500は、端末i(i=1,...,N)のスループットに対する要求品質と、端末iが接続している基地局BSが提供している実通信の品質を取得する。
【0092】
S313において、NWコントローラ500は、「実通信の提供スループット値/端末の要求スループット値」から、端末iのスループットに対する充足度を算出する。
【0093】
S314において、全端末の評価が完了した場合は処理を終了し、完了していなければ、S315でi=i+1として、S312からの処理を実行する。
【0094】
上記の処理は例えば定期的に実行される。処理中の個々の端末の充足度判断において、例えば充足度が閾値以下である端末については、実施例3で説明したように、接続先の基地局BSの切り替えが行われてもよい。
【0095】
<実施例3-3>
実施例3-3は、端末により行われる実通信の品質が、ユーザ(端末)の要求を充足している度合い(これを"充足度"と呼ぶ)を、品質毎に各端末について評価する。実施例3-3において、NWコントローラ500が実行する処理手順を、
図13を参照して説明する。
図13において、Nは全端末数である。全端末数は、特定の1つの基地局BSに接続される端末の数であってもよいし、いずれかの基地局BSと通信を行っている端末の数であってもよい。また、Mは通信品質の項目数である。
【0096】
S321において、NWコントローラ500は、i=1、j=1として初期化を行う。S322において、NWコントローラ500は、端末i(i=1,...,N)の各通信品質の項目に対する要求品質と、端末iが接続している基地局BSが提供している実際の各項目の通信品質を取得する。
【0097】
S323において、NWコントローラ500は、項目j(j=1,...,M)の通信要求品質と実際の通信品質を基に通信品質項目jの充足度を算出する。
【0098】
充足度の算出方法については、通信品質毎に予め定めておく。例えば、「スループットの充足度=提供スループット値/要求スループット値」、「遅延の充足度=要求遅延値/提供遅延値」等によって、充足度を計算する。
【0099】
S324において、端末iの全ての通信品質に対する充足度を評価した場合(Yesの場合)はS326に進み、Noの場合はS325に進む。S325では、j=j+1として、S323からの処理を行う。
【0100】
S326において、全端末の評価が完了した場合は処理を終了し、完了していなければ、S327でi=i+1として、S322からの処理を実行する。
【0101】
上記の処理は例えば定期的に実行される。処理中の個々の端末の充足度判断において、例えば、ある端末について、特定の項目の品質の充足度が所定の閾値以下である場合に、当該端末については、実施例3で説明したように、接続先の基地局BSの切り替えが行われてもよい。特定の項目が、当該端末から指定された項目であってもよい。
【0102】
また、項目j毎に重みαjを付けて、重み付き総和(Σ充足度j×αj)が所定の閾値以下である端末については、実施例3で説明したように、接続先の基地局BSの切り替えが行われてもよい。
【0103】
(ハードウェア構成例)
端末100、基地局BS(無線LAN基地局、セルラ基地局を含む)、NWコントローラ500はいずれも、例えば、コンピュータにプログラムを実行させることにより実現できる。このコンピュータは、物理的なコンピュータであってもよいし、クラウド上の仮想マシンであってもよい。端末100、基地局BS(無線LAN基地局、セルラ基地局を含む)、NWコントローラ500を総称して「装置」と呼ぶ。
【0104】
すなわち、当該装置は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、当該装置で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0105】
図14は、上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図14のコンピュータは、それぞれバスBSで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008等を有する。なお、これらのうち、一部の装置を備えないこととしてもよい。例えば、表示を行わない場合、表示装置1006を備えなくてもよい。
【0106】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0107】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、当該装置に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられ、送信部及び受信部として機能する。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。出力装置1008は演算結果を出力する。
【0108】
(実施の形態の効果について)
以上説明した本実施の形態に係る技術により、端末の要求を満たす通信品質を提供することができる。また、例えば、無線LAN基地局のリソースが枯渇した場合にセルラ基地局への接続制御が可能となるため、従来手法と比べて満足な通信品質が提供される端末数が増加する。
【0109】
図15は、通信品質としてスループットを使用した場合において、従来手法(Previous)と本提案(Propose)における、ユーザ数(端末数)と、全端末中の満足端末の割合との関係を示したシミュレーション結果の図である。
図15に示すとおり、従来手法と比べて満足な通信品質が提供される端末数が増加することがわかる。
【0110】
(実施の形態のまとめ)
本明細書には、少なくとも下記各項の無線通信システム、基地局装置、NWコントロール装置、及び接続制御方法が開示されている。
(第1項)
第1基地局装置と第2基地局装置とを有する複数の基地局装置を備える無線通信システムであって、
端末と接続している前記第1基地局装置が、前記端末の通信要求品質と前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記端末との接続を継続するか否かを判断し、
前記第1基地局装置が、前記端末との接続を継続しないと判断した場合に、前記端末に対して前記第2基地局装置への接続を指示する制御信号を送信する
無線通信システム。
(第2項)
前記第1基地局装置が、前記端末との接続を継続しないと判断した場合において、前記端末から受信した情報に基づいて、前記端末が前記第2基地局装置を利用可能であると判断した場合に、前記端末に対して前記第2基地局装置への接続を指示する制御信号を送信する
第1項に記載の無線通信システム。
(第3項)
複数の基地局装置とNWコントローラ装置とを備える無線通信システムであって、
前記NWコントローラ装置が、端末から通信要求品質を受信するとともに、各基地局装置から提供可能なリソースの情報を受信し、
前記NWコントローラ装置が、前記端末の前記通信要求品質と、各基地局装置における前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記通信要求品質を提供可能な基地局装置を選択し、前記選択された基地局装置に前記端末を接続させる
無線通信システム。
(第4項)
前記NWコントローラ装置は、前記選択された基地局装置により前記端末に対して提供されている通信品質と前記通信要求品質とに基づいて、前記端末の接続制御を実行する
第3項に記載の無線通信システム。
(第5項)
複数の基地局装置を備える無線通信システムにおける基地局装置であって、
前記基地局装置に接続している端末の通信要求品質と前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記端末との接続を継続するか否かを判断する手段と、
前記端末との接続を継続しないと判断した場合に、前記端末に対して他の基地局装置への接続を指示する制御信号を送信する手段と
を備える基地局装置。
(第6項)
複数の基地局装置とNWコントローラ装置とを備える無線通信システにおける前記NWコントローラ装置であって、
端末から通信要求品質を受信するとともに、各基地局装置から提供可能なリソースの情報を受信する手段と、
前記端末の前記通信要求品質と、各基地局装置における前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記通信要求品質を提供可能な基地局装置を選択し、前記選択された基地局装置に前記端末を接続させる手段と
を備えるNWコントローラ装置。
(第7項)
第1基地局装置と第2基地局装置とを有する複数の基地局装置を備える無線通信システムにおいて実行される接続制御方法であって、
端末と接続している前記第1基地局装置が、前記端末の通信要求品質と前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記端末との接続を継続するか否かを判断するステップと
前記第1基地局装置が、前記端末との接続を継続しないと判断した場合に、前記端末に対して前記第2基地局装置への接続を指示する制御信号を送信するステップと
を備える接続制御方法。
(第8項)
複数の基地局装置とNWコントローラ装置とを備える無線通信システムにおいて実行される接続制御方法であって、
前記NWコントローラ装置が、端末から通信要求品質を受信するとともに、各基地局装置から提供可能なリソースの情報を受信するステップと、
前記NWコントローラ装置が、前記端末の前記通信要求品質と、各基地局装置における前記端末に提供可能なリソースとに基づいて、前記通信要求品質を提供可能な基地局装置を選択し、前記選択された基地局装置に前記端末を接続させるステップと
を備える接続制御方法。
【0111】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0112】
100-1~100-N 端末
110 通信部
120 情報取得部
130 データ格納部
140 測定部
200 無線LAN基地局
210 NW通信部
220 リソース管理部
230 接続制御部
240 端末通信部
300 セルラ基地局
310 NW通信部
320 リソース管理部
330 接続制御部
340 端末通信部
BS-1~BS-M 基地局
400 ネットワーク
500 NWコントローラ
510 通信部
520 リソース管理部
530 情報取得部
540 接続制御部
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
1008 出力装置