(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】露光装置及び配線パターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
(21)【出願番号】P 2023512859
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008212
(87)【国際公開番号】W WO2022215385
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2021066770
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正紀
(72)【発明者】
【氏名】水野 恭志
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071022(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200372(JP,U)
【文献】特表2012-527766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空間光変調器と、
複数の第1の基板が配置される基板ホルダと、
前記複数の第1の基板
の各々の上に複数配置された半導体チップのセットそれぞれに含まれる前記半導体チップの位置を計測する計測系から計測結果を取得し、前記計測結果に基づいて、前記セットそれぞれに含まれる前記半導体チップ間を接続する配線パターンを決定し、決定した前記配線パターンを生成するときに前記
複数の空間光変調器の制御に利用する第1の制御データを作成し、第1の記憶部に記憶させる作成部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記第1の制御データを用いて前記
複数の空間光変調器を制御して、
前記基板ホルダ上に配置された前記複数の第1の基板の各々の前記セットそれぞれに含まれる前記半導体チップ間を接続する配線パターンを露光する露光処理部と、
を備え、
前記露光処理部が前記
複数の第1の基板とは異なる第2の基板を露光処理している間に、前記
複数の第1の基板
の各々の上の前記半導体チップの位置の計測、前記計測結果の取得、前記配線パターンの決定、前記第1の制御データの作成、及び前記第1の制御データの前記第1の記憶部への記憶、の少なくとも1つが実行される、
露光装置。
【請求項2】
複数の
前記基板ホルダと、
前記計測系と、
を備え、
前記複数の
前記基板ホルダのうちの第1の基板ホルダには前記
複数の第1の基板が載置され、
前記露光処理部が、前記
複数の第1の基板上に前記配線パターンを露光処理している間に、前記計測系による前記第1の基板ホルダとは異なる第2の基板ホルダに載置された
複数の基板
の各々の上に複数配置された半導体チップのセットそれぞれに含まれる前記半導体チップの位置の計測、前記作成部による、前記半導体チップの位置の計測結果の取得、前記作成部による、前記計測結果に基づく前記第2の基板ホルダに載置された
前記複数の基板
の各々の上の前記セットそれぞれに含まれる前記半導体チップ間を接続する配線パターンの決定、前記作成部による、決定した前記配線パターンを生成するときに前記
複数の空間光変調器の制御に利用する第2の制御データの作成、及び前記作成部による、前記第2の制御データの前記第1の記憶部とは異なる第2の記憶部への記憶、の少なくとも1つが実行される、
請求項
1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記複数の
前記基板ホルダそれぞれが保持する基板を交換する複数の交換手段を備え、
前記
複数の第1の基板の露光処理中に、前記複数の交換手段の1つが前記第2の基板ホルダが保持する基板の交換を行う、
請求項
2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記計測系は、複数の計測装置を備え、
前記複数の計測装置は、異なる半導体チップの位置を略同時に計測する、
請求項1から請求項
3のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項5】
前記複数の空間光変調器はそれぞれ、
前記複数の第1の基板のうち同一の第1の基板内の異なるセット内の前記半導体チップ間を接続する配線パターン
又は前記複数の第1の基板のうち異なる第1の基板それぞれのセット内の前記半導体チップ間を接続する配線パターンを形成する、
請求項1から請求項
4のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項6】
前記複数の第1の基板のうち、前記基板ホルダ上に載置された載置済み基板の前記半導体チップの位置の計測を行うとともに、前記基板ホルダに載置されていない未載置基板の前記基板ホルダへの載置処理を行う、
請求項
1に記載の露光装置。
【請求項7】
前記作成部は、前記半導体チップの位置の計測が終わった前記載置済み基板から順番に、前記第1の制御データを作成し、前記第1の制御データを前記第1の記憶部へ記憶させる、
請求項
6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記複数の第1の基板は、ウエハ基板である、請求項1から請求項7のいずれか1項記載の露光装置。
【請求項9】
第1の基板ホルダに配置される複数の第1の基板
の各々の上に複数配置された半導体チップのセットそれぞれに含まれる前記半導体チップの位置を計測する計測系から計測結果を取得し、前記計測結果に基づいて、前記セットそれぞれに含まれる前記半導体チップ間を接続する配線パターンを決定し、決定した前記配線パターンを生成するときに
複数の空間光変調器の制御に利用する第1の制御データを作成し、第1の記憶部に記憶させることと、
前記第1の記憶部に記憶された前記第1の制御データを用いて前記
複数の空間光変調器を制御して、
前記第1の基板ホルダ上に配置された前記複数の第1の基板の各々の前記セットそれぞれに含まれる前記半導体チップ間を接続する配線パターンを露光することと、
を含み、
前記
複数の第1の基板とは異なる第2の基板を露光処理している間に、前記
複数の第1の基板
の各々の上の前記半導体チップの位置を計測することと、前記計測結果を取得することと、前記配線パターンを決定することと、前記第1の制御データを作成することと、前記第1の制御データを前記第1の記憶部に記憶させることと、の少なくとも1つを実行する、
配線パターン形成方法。
【請求項10】
前記
複数の第1の基板
のうちの1つの第1の基板に配置された第1チップセットに含まれる第1チップと第2チップのそれぞれの位置と、前記
1つの第1の基板
又は前記1つの第1の基板とは異なる第1の基板に配置された第2チップセットに含まれる第3チップと第4チップのそれぞれの位置との計測を行うこと、および
前記第1チップの前記位置と前記第2チップの前記位置とに基づいた、前記第1チップと前記第2チップを接続する第1配線のパターンデータと、前記第3チップの前記位置と前記第4チップの前記位置とに基づいた、前記第3チップと前記第4チップを接続する第2配線のパターンデータとの作成を行うこと、を含み、
前記計測を行う期間に、前記作成を開始する、
請求項9に記載の配線パターン形成方法。
【請求項11】
複数の空間光変調器を含む露光装置へ前記第1配線の前記パターンデータと前記第2配線の前記パターンデータの転送を行うことを含み、
前記作成を行う期間に、前記転送を開始する、
請求項10に記載の配線パターン形成方法。
【請求項12】
前記露光装置による前記第2の基板の露光を行うことを含み、
前記露光を行う期間に、前記計測、前記作成、および、前記転送を開始する、
請求項11に記載の配線パターン形成方法。
【請求項13】
前記第1チップの前記位置は、前記第1チップのパッドの位置であり、
前記第2チップの前記位置は、前記第2チップのパッドの位置であり、
前記第3チップの前記位置は、前記第3チップのパッドの位置であり、
前記第4チップの前記位置は、前記第4チップのパッドの位置である、
請求項10に記載の配線パターン形成方法。
【請求項14】
前記
複数の第1の基板は、ウエハ基板である、請求項
9から請求項13のいずれか
1項に記載の配線パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
露光装置及び配線パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FO-WLP(Fan Out Wafer Level Package)、FO-PLP(Fan Out Plate Level Package)と呼ばれる半導体デバイスのパッケージが知られている。
【0003】
例えば、FO-WLPの製造では、複数の半導体チップをウエハ状の支持基板に並べ、樹脂などのモールド材で固めることで疑似ウエハを形成し、露光装置を用いて半導体チップのパッド同士を接続する再配線層を形成する。
【0004】
FO-WLP及びFO-PLPの再配線層の形成におけるスループットの向上が望まれている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
開示の態様によれば、複数の空間光変調器と、複数の第1の基板が配置される基板ホルダと、前記複数の第1の基板の各々の上に複数配置された半導体チップのセットそれぞれに含まれる前記半導体チップの位置を計測する計測系から計測結果を取得し、前記計測結果に基づいて、前記セットそれぞれに含まれる前記半導体チップ間を接続する配線パターンを決定し、決定した前記配線パターンを生成するときに前記複数の空間光変調器の制御に利用する第1の制御データを作成し、第1の記憶部に記憶させる作成部と、前記第1の記憶部に記憶された前記第1の制御データを用いて前記複数の空間光変調器を制御して、前記基板ホルダ上に配置された前記複数の第1の基板の各々の前記セットそれぞれに含まれる前記半導体チップ間を接続する配線パターンを露光する露光処理部と、を備え、前記露光処理部が前記複数の第1の基板とは異なる第2の基板を露光処理している間に、前記複数の第1の基板の各々の上の前記半導体チップの位置の計測、前記計測結果の取得、前記配線パターンの決定、前記第1の制御データの作成、及び前記第1の制御データの前記第1の記憶部への記憶、の少なくとも1つが実行される、露光装置が提供される。
【0007】
なお、後述の実施形態の構成を適宜改良しても良く、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させても良い。更に、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る露光装置を含む、FO-WLPの配線パターン形成システムの概要を示す上面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3(A)及び
図3(B)は、配線パターン形成システムによって形成する配線パターンについて説明するための図である。
【
図4】
図4は、光学定盤に配置されたモジュールについて説明するための図である。
【
図5】
図5(A)は、照明・投影モジュールの光学系を示す図であり、
図5(B)は、DMDを概略的に示す図であり、
図5(C)は、電源がOFFの場合のDMDを示す図であり、
図5(D)は、ON状態のミラーについて説明するための図であり、
図5(E)は、OFF状態のミラーについて説明するための図である。
【
図6】
図6は、照明・投影モジュール付近の拡大図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る露光装置の制御系を示すブロック図である。
【
図8】
図8(A)は、全てのチップが設計位置に配置された状態のウエハWFを示す概略図であり、
図8(B)は、設計位置からずれてチップが配置されたウエハWFを示す概略図である。
【
図9】
図9は、露光装置におけるFO-WLPの配線パターン形成手順を示す概念図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る配線パターン形成システムの概要を示す上面図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態におけるFO-WLPの製造手順の概念図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る配線パターン形成システムの概要を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
第1実施形態に係る露光装置について、
図1~
図9に基づいて説明する。なお、以後の説明において、単に基板Pと記載した場合には、矩形状の基板を示し、ウエハ状の基板についてはウエハWFと記載する。また、後述する基板ステージ30に載置された基板PまたはウエハWFの法線方向をZ軸方向、これに直交する面内で空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)に対して基板PまたはウエハWFが相対走査される方向をX軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をY軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸周りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行なう。空間光変調器の例としては、液晶素子、デジタルミラーデバイス(デジタルマイクロミラーデバイス、DMD)、磁気光学空間光変調器(MOSLM:Magneto Optic Spatial Light Modulator)等が挙げられる。第1実施形態に係る露光装置EXは、空間光変調器としてDMD204を備えるが、他の空間光変調器を備えていてもよい。
【0010】
図1は、一実施形態に係る露光装置EXを含む、FO-WLP及びFO-PLPの配線パターン形成システム500の概要を示す上面図である。
図2は、露光装置EXの構成を概略的に示す斜視図である。
【0011】
配線パターン形成システム500は、
図3(A)に示すような、ウエハWF上に配置された半導体チップ(以下、チップと記載する)間または、
図3(B)に示すような、基板P上に配置されたチップ間を接続する配線パターンを形成するためのシステムである。
【0012】
本実施形態では、ウエハWFまたは基板P上に複数配置されたチップのセット(二点鎖線にて示す)それぞれに含まれるチップC1とチップC2との間を接続する配線パターンを形成する。なお、本実施形態では、各セットに含まれるチップの数は2つであるが、これに限られるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0013】
以下では、ウエハWF上に配置されたチップ間を接続する配線パターンを形成する場合について説明する。
【0014】
図1に示すように、配線パターン形成システム500は、コーターディベロッパー装置CDと、露光装置EXと、を備える。
【0015】
コーターディベロッパー装置CDは、ウエハWFに感光性のレジストを塗布する。レジストを塗布されたウエハWFは、ウエハWFを複数枚ストックできるバッファ部PBへ搬入される。バッファ部PBは、ウエハWFの受け渡しポートを兼ねている。
【0016】
より詳細には、バッファ部PBは、搬入部と搬出部とで構成される。搬入部には、コーターディベロッパー装置CDからレジストを塗布されたウエハWFが1枚ずつ搬入される。レジストを塗布されたウエハWFは、コーターディベロッパー装置CDから搬入部に1枚ずつ所定時間間隔で搬入されるが、後述するトレイTR上に複数枚まとめて搭載されるので、搬入部がウエハWFをためておくバッファとして機能する。
【0017】
また、搬出部は、露光後のウエハWFをコーターディベロッパー装置CDに搬出するときのバッファとして機能する。コーターディベロッパー装置CDは、1枚ずつしか露光後のウエハWFを取り出すことができない。そこで、露光後のウエハWFが複数枚搭載されているトレイTRを搬出部に置く。これにより、コーターディベロッパー装置CDは、トレイTR上から露光後のウエハWFを1枚ずつ取り出すことができる。
【0018】
露光装置EXは、本体部1と、基板交換部2と、で構成される。基板交換部2には、
図1に示すように、ロボットRBが設置されている。ロボットRBは、バッファ部PBに置かれたウエハWFを1枚のトレイTR上に複数枚並べる。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本第1実施形態では、後述する基板ステージ30R,30Lに、4枚×3列のウエハWFを載置することが可能となっている。本第1実施形態に係るトレイTRは、基板ステージ30R,30Lに4枚×1列のウエハWFを順次載置できるような格子状のトレイである。なお、トレイTRは、基板ステージ30R,30Lの全面に一度にウエハWFを載置できるようなトレイ(すなわち4枚×3列のウエハWFを配置可能なトレイ)であってもよい。
【0020】
また、
図2に示すように、基板交換部2は、交換アーム20R,20Lを備える。交換アーム20Rは基板ステージ30Rの基板ホルダPHへのウエハWF(より具体的には、複数のウエハWFを載置したトレイTR)の搬入・搬出を行い、交換アーム20Lは、基板ステージ30Lの基板ホルダPHへのウエハWFの搬入・搬出を行う。なお、以後の説明において、交換アーム20R,20Lを特に区別する必要がない場合には、交換アーム20と記載する。また、
図2以外では、基板ホルダPHの図示を省略している。
【0021】
なお、一般的に、交換アーム20R,20Lは、トレイTRを搬入させるための搬入アームとトレイTRを搬出するための搬出アームとの2つが配置される。これにより、トレイTRを高速に交換することができる。ウエハWFを搬入するときは、格子状のトレイTRを基板交換ピン10が支持する。基板交換ピン10が降下すると、トレイTRは基板ステージ30に形成されている不図示の溝内に沈み、ウエハWFが基板ステージ30上の基板ホルダPHにて吸着、保持される。なお、
図2のように、トレイTRに1列の基板が載せされている場合には、基板ステージ30R,30Lにおいて各トレイTRを載置する位置に合わせて、基板ステージ30R,30Lの位置又は交換アーム20R,20Lの位置を変更する。
【0022】
基板ホルダPHにウエハWFが吸着されると、ウエハWFのアライメントマークもしくは配線のパッドの位置を、光学定盤110に搭載したアライメント系ALG-R又はALG-Lにて計測する。通常、各ウエハWFの位置の計測は、基板ホルダPH上に載置されたウエハWFの、X方向シフト(X)、Y方向シフト(Y)、回転(Rot)、X方向倍率(X_Mag)、Y方向倍率(Y_Mag)、直交度(Oth)の6つのパラメータを算出できるよう、その計測点数及び計測点の配置が決定される。
【0023】
コラム100上にキネマティックに支持された光学定盤110には、
図4に示すように、複数の照明・投影モジュール200、オートフォーカス系AF、アライメント系ALG_R,ALG_L,ALG_Cが配置されている。
【0024】
図2に示すように、本実施形態においては、複数の照明・投影モジュール200を含む列が複数(
図2では4列)配置されている。なお、
図1では、簡略化のため複数の照明・投影モジュール200を含む列を1列のみ記載している。また、
図2では、簡略化のため、アライメント系ALG_R,ALG_Lの図示を省略している。
【0025】
なお、照明・投影モジュール200は、異なるセット内の配線パターンを一度に露光できるように複数設けられていればよく、照明・投影モジュール200の列の数は1列~3列でもよいし、5列以上であってもよい。また、各列に含まれる照明・投影モジュール200の数は、2以上であればよい。また、複数のウエハWFが基板ホルダ上に載置される場合、照明・投影モジュール200が一度に露光する異なるセットは、同一のウエハWF内の異なるセットであってもよいし、異なるウエハWF内のセットであってもよい。
【0026】
図5(A)は、照明・投影モジュール200の光学系を示す図である。照明・投影モジュール200は、コリメータレンズ201、フライアイレンズ202、メインコンデンサーレンズ203、及びDMD204等を備える。
【0027】
光源LSから出射されたレーザ光はデリバリーファイバFBにて照明・投影モジュール200に取り込まれる。レーザ光は、コリメータレンズ201、フライアイレンズ202、メインコンデンサーレンズ203を経て、DMD204をほぼ均一に照明する。
【0028】
図5(B)は、DMD204を概略的に示す図であり、
図5(C)は、電源がOFFの場合のDMD204を示している。なお、
図5(B)~
図5(E)において、ON状態にあるミラーをハッチングで示している。
【0029】
DMD204は、反射角変更制御可能なマイクロミラー204aを複数有する。各マイクロミラー204aは、Y軸周りに傾斜することでON状態となる。
図5(D)では、中央のマイクロミラー204aのみをON状態とし、他のマイクロミラー204aはニュートラルな状態(ONでもOFFでもない状態)とした場合を示している。また、各マイクロミラー204aは、X軸周りに傾斜することでOFF状態となる。
図5(E)では、中央のマイクロミラー204aのみをOFF状態とし、他のマイクロミラー204aはニュートラルな状態とした場合を示している。DMD204は、各マイクロミラー204aのON状態及びOFF状態を切り替えることで、チップ間を接続する配線の露光パターン(以後、配線パターンと記載する)を生成する。
【0030】
OFF状態のミラーによって反射された照明光は、
図5(A)に示すように、OFF光吸収板205により吸収される。照明・投影モジュール200は、DMD204の1画素を所定の大きさで投影するための倍率を有し、レンズのZ軸駆動によるフォーカス合わせと、一部のレンズを駆動することによって、倍率を若干補正可能としている。また、DMD204自体はX方向、Y方向、及びθz方向に駆動可能であり、例えば基板ステージ30の目標値に対する偏差分の補正を行っている。
【0031】
なお、DMD204を空間光変調器の一例として説明をしたため、レーザ光を反射する反射型として説明をしたが、空間光変調器は、レーザ光を透過する透過型でも良いし、レーザ光を回折する回折型でも良い。空間光変調器は、レーザ光を空間的に、且つ、時間的に変調することができる。
【0032】
図4に戻り、オートフォーカス系AFは、照明・投影モジュール200を挟むように配置されている。これにより、ウエハWFの走査方向によらずに、ウエハWF上に配置されたチップ間を接続する配線パターンを形成する露光動作の前に、オートフォーカス系AFによって計測が行える。
【0033】
図6は、照明・投影モジュール200付近の拡大図である。
図6に示すように、照明・投影モジュール200付近には、基板ステージ30の位置を計測するための固定鏡54が設けられている。
【0034】
また、
図6に示すように、基板ステージ30には、アライメント装置60が設けられている。アライメント装置60は、基準マーク60a、及び二次元撮像素子60e等を備える。アライメント装置60は、各種モジュールの位置の計測及び校正のために使用され、光学定盤110上に配置されたアライメント系ALG_R,ALG_L、ALG_Cの校正にも用いられる。
【0035】
各モジュールの位置の計測・校正は、校正用のDMDパターンを照明・投影モジュール200で、アライメント装置60の基準マーク60a上に投影し、基準マーク60aとDMDパターンの相対位置を計測することで、各モジュールの位置を計測する。
【0036】
またアライメント系ALG_R,ALG_L、ALG_Cの校正は、アライメント系ALG_R,ALG_L、ALG_Cにて、アライメント装置60の基準マーク60aを計測することで行うことができる。すなわち、アライメント系ALG_R,ALG_L、ALG_Cにて、アライメント装置60の基準マーク60aを計測することで、アライメント系ALG_R,ALG_L、ALG_Cの位置を求めることができる。さらに、基準マーク60aを用いて、モジュールの位置との相対位置を求めることが可能となる。
【0037】
また、基板ステージ30には、基板ステージ30の位置を計測するのに用いられる移動鏡MR、DMモニタ70等が設けられている。
【0038】
アライメント系ALG_R及びALG_Lは、複数の計測顕微鏡を備え、基板ステージ30の基板ホルダ上に載置された各ウエハWF上に配置されたチップの位置または配線されるチップのパッドの位置を、アライメント装置60の基準マーク60aを基準に計測する。より具体的には、アライメント系ALG_R,ALG_Lは、基準マーク60aを基準に、各チップの設計位置に基づいて、各チップの位置を計測する。計測結果は、後述するデータ作成装置300に出力される。
【0039】
アライメント系ALG_Cは、露光開始前に基板ステージ30の基板ホルダ上に載置されたウエハWFの位置をアライメント装置60の基準マーク60aを基準に計測する。アライメント系ALG_Cの計測結果に基づいて、基板ステージ30に対するウエハWFの位置ずれが検出され、露光開始位置等が変更される。
【0040】
図7は、本実施形態に係る露光装置EXの制御系600を示すブロック図である。
図7に示すように、制御系600は、データ作成装置300、第1記憶装置310R、第2記憶装置310L、及び露光制御装置400を備える。
【0041】
データ作成装置300は、基板ステージ30の基板ホルダ上に載置されたウエハWFに設けられた各チップの位置または各チップのパッドの位置の計測結果をアライメント系ALG_R及びALG_Lから受信する。データ作成装置300は、各チップの位置の計測結果に基づいて、チップ間を接続する配線パターンを決定し、決定した配線パターンを生成するときにDMD204の制御に利用する制御データを作成する。次に、制御データの作成について、より詳細に説明する。
【0042】
図8(A)は、全てのチップが設計上の位置(以下、設計位置と記載する)に配置された状態のウエハWFを示す概略図である。
図8(A)に示すように、チップC1とチップC2とを接続する配線パターンWLを露光装置EXにて露光(形成)する。ここで、FO-WLPでは、ウエハWF上において樹脂などのモールド材でチップを固めるため、
図8(B)に示すように、個々のチップの位置が、設計位置に対してずれることがある。この場合、設計位置にあるチップ間を接続する配線パターンを示すデータ(以後、設計値データと記載する)を使用してDMD204を制御し配線パターンを露光すると、配線パターンがパッドの位置からずれて接続不良やショートが発生する可能性がある。
【0043】
そこで、本実施形態では、ウエハWFに複数配置されたチップのセットそれぞれに含まれるチップの位置をアライメント系ALG_R又はALG_Lによって計測する。データ作成装置300は、アライメント系ALG_R又はALG_Lから取得した計測結果に基づいて、設計値データの一部を補正した配線パターンデータを作成する。
【0044】
作成された配線パターンデータは、第1記憶装置310R又は第2記憶装置310Lに記憶される。第1記憶装置310R及び第2記憶装置310Lは、例えば、SSD(Solid State Drive)である。
【0045】
第1記憶装置310Rは、基板ステージ30Rに載置されたウエハWFを露光する際にDMD204の制御に利用する配線パターンデータを記憶する。第2記憶装置310Lは、基板ステージ30Lに載置されたウエハWFを露光する際にDMD204の制御に使用する配線パターンデータを記憶する。第1記憶装置310Rまたは第2記憶装置310Lに記憶された配線パターンデータは、露光制御装置400に転送される。
【0046】
次に、本実施形態に係る露光装置EXにおけるFO-WLPの配線パターンの形成手順の一例について説明する。
図9は、露光装置EXにおけるFO-WLPの配線パターンの形成手順の概念図である。
【0047】
図9に示すように、本実施形態では、例えば、基板ステージ30R上のウエハWFを露光処理している間に、基板ステージ30LへのウエハWFの搬入が行われ、アライメント系ALG_Lによるチップ位置の計測が行われる。チップ位置の計測結果に基づいて、データ作成装置300は、順次配線パターンデータを作成し、作成した配線パターンデータを第2記憶装置310Lに記憶(転送)する。第2記憶装置310Lに記憶された配線パターンデータは、基板ステージ30L上のウエハWFの露光開始に合わせて、露光制御装置400に順次転送される。
【0048】
なお、
図2に示すようにウエハWFを1つのトレイTRに4枚×1列並べる場合には、1つのトレイTRにウエハWFを4枚載置し終えたところで、トレイTRを基板ステージ30L上に載置し、アライメント系ALG_Lにてチップ位置の計測を開始してもよい。この場合、アライメント系ALG_Lによるチップ位置の計測と、次のトレイTRへの別のウエハWFの載置処理とを並行して行うことができる。そして、別のウエハWFを並べたトレイTRを基板ステージ30L上に載置する処理と並行して、アライメント系ALG_Lによる計測結果に基づいて、すでにチップ位置の計測が終了したウエハWFの配線パターンデータを作成し、第2記憶装置310Lに記憶させる処理を行うことができる。このような並行処理は、配線パターンデータの作成と転送及び記憶に時間がかかる場合に、特に有効である。なお、チップ位置の計測と、配線パターンデータの作成及び記憶とにかかる時間が露光時間と比べて短い場合には、1つのトレイTRに例えば4枚×3列のウエハWFを載置した後に、基板ステージ30L上に搬入し、アライメント系ALG_Lによる計測を行ってもよい。なお、載置処理では、ウエハWFをトレイTRに載置する載置動作と、ウエハWFをトレイTRに載置する準備を行う載置準備動作と、のいずれかを行えばよい。
【0049】
一方、基板ステージ30L上のウエハWFの露光が開始されると、基板ステージ30R上の露光済みのウエハWFの搬出が行われた後、新たなウエハWFが基板ステージ30R上に搬入される。その後、アライメント系ALG_Rによるチップ位置の計測が行われる。チップ位置の計測結果に基づいて、データ作成装置300は、順次配線パターンデータを作成し、作成した配線パターンデータを第1記憶装置310Rに転送する。第1記憶装置310Rに記憶された配線パターンデータは、基板ステージ30R上のウエハWFの露光開始に合わせて、露光制御装置400に順次転送される。
【0050】
このように、本実施形態では、2つの基板ステージ30R及び30Lの一方を用いて露光処理をしている間に、もう一方の基板ステージにおいて露光済みウエハの搬出、新たなウエハの搬入、チップ位置の計測、配線パターンデータの作成・転送が行われる。このように、2つの基板ステージ30R、30Lを用いた並行処理を行うことで、チップ位置の計測や、配線パターンデータの作成・転送の処理の時間を露光処理の時間に隠すことができる。これにより、FO-WLPの配線パターンの形成におけるスループットを向上させることができる。なお、露光処理とは、露光を行うための基板ステージの駆動と、露光が終了して基板の交換位置への基板ステージの駆動までの一連の動作を含む。
【0051】
以上、詳細に説明したように、本第1実施形態に係る露光装置EXは、空間光変調器(第1実施形態ではDMD204)と、データ作成装置300と、露光制御装置400と、を備える。また、露光装置EXは、複数の基板ステージ30R,30Lと、アライメント系ALG_R,ALG_Lと、を備える。アライメント系ALG_Lは、基板ステージ30Rに載置されたウエハWF上に配線パターンが露光されている間に、基板ステージ30Lに載置されたウエハWF上に複数配置された半導体チップのセットそれぞれに含まれるチップC1及びC2の位置を計測する。データ作成装置300は、アライメント系ALG_Lから計測結果を取得し、計測結果に基づいて、基板ステージ30L上のウエハWF上に複数配置されたチップのセットそれぞれに含まれるチップC1とチップC2との間を接続する配線パターンWLを決定する。そして、データ作成装置300は、決定した配線パターンWLを生成するときにDMD204の制御に利用する配線パターンデータを作成し、第2記憶装置310Lに記憶させる。露光制御装置400は、基板ステージ30Rにおける露光処理が終了すると、第2記憶装置310Lに記憶された配線パターンデータを利用してDMD204を制御して、基板ステージ30Lに載置されたウエハWF上のセットそれぞれに含まれるチップC1とC2との間を接続する配線パターンWLを露光する。これにより、基板ステージ30R上のウエハWFを露光処理している間に、基板ステージ30L上に載置された基板上のチップ位置の計測、計測結果に基づく配線パターンデータの作成・転送を行うことができる。これにより、時間を有効に使用することができるため、FO-WLPの配線パターンの形成におけるスループットを向上させることができる。
【0052】
また、本第1実施形態において、ウエハWFは、露光装置EXが備える基板ステージ30R,30L上に複数配置される。これにより、複数のウエハWFに対して半導体チップ間を接続する配線パターンを形成することができるため、FO-WLPの配線パターンの形成におけるスループットを向上させることができる。
【0053】
また、本第1実施形態において、露光装置EXは、基板ステージ30R,30Lそれぞれが保持するウエハWFを交換する複数の交換アーム20R,20Lを備える。そして、例えば、基板ステージ30R上のウエハWFを露光処理している間に、交換アーム20Lは、基板ステージ30L上のウエハWFの交換を行う。これにより、時間を有効に使用することができるため、FO-WLPの配線パターンの形成におけるスループットを向上させることができる。
【0054】
また、本第1実施形態において、露光装置EXは、DMD204を複数備え、複数のDMD204はそれぞれ、異なるセット内の半導体チップ間を接続する配線パターンを形成する。これにより、異なるセット内の半導体チップ間を接続する配線パターンを同時に形成することができるため、FO-WLPの配線パターンの形成におけるスループットを向上させることができる。
【0055】
なお、上記第1実施形態では、2つの基板ステージ30R及び30Lの一方を用いて露光処理をしている間に、もう一方の基板ステージにおいて露光済みウエハの搬出、新たなウエハの搬入、チップ位置の計測、配線パターンデータの作成・転送が行っていたが、これに限られるものではない。2つの基板ステージ30R及び30Lの一方を用いて露光処理をしている間に、もう一方の基板ステージにおける露光済みウエハの搬出、新たなウエハの搬入、チップ位置の計測、及び、配線パターンデータの作成・転送の少なくとも1つが行われればよい。
【0056】
(変形例)
なお、データ作成装置300は、配線パターンデータではなく、DMD204の駆動量及びレンズアクチュエータの駆動量を規定した駆動データを作成してもよい。すなわち、DMD204は設計値データを用いて配線パターンを生成し、DMD204の駆動量及びレンズアクチュエータの駆動量を変更することで、ウエハWF上に投影される配線パターンの投影像の位置を変更し、ウエハWF上に形成される配線パターンの形状を変化させてもよい。なお、光学的に配線パターンの像を補正することによって、配線パターンの形状を変更してもよい。
【0057】
《第2実施形態》
ウエハWFにチップを貼り付ける工程は、露光装置EXでの配線パターンの形成前に行われるため、データ作成装置300は、ウエハWFに対する各チップの位置を検査する検査工程にて取得した計測データを用いて、配線パターンデータまたは駆動データを作成してもよい。
【0058】
図10は、第2実施形態に係る配線パターン形成システム500Aの概要を示す上面図である。第2実施形態に係る配線パターン形成システム500Aは、ウエハWF上のチップの位置を計測するチップ計測ステーションCMSを備える。
【0059】
チップ計測ステーションCMSは、複数の計測顕微鏡61を備え、異なるセット内のチップの位置を計測する。ここで、複数の計測顕微鏡61か計測する異なるセット内のチップの位置とは、同一のウエハWF上の異なるセット内のチップの位置でもよいし、異なるウエハWF上の各セット内のチップの位置でもよい。本実施形態では、複数の計測顕微鏡61は、異なるウエハWF上の各セット内のチップの位置を計測している。
【0060】
チップの位置の計測結果は、データ作成装置300に送信される。データ作成装置300は、チップ計測ステーションCMSから受信したチップ位置の計測結果にもとづいて、配線パターンデータ(駆動データでもよい)を作成する。なお、データ作成装置300が作成した配線パターンデータは、現在露光中の基板の露光制御に使用されている配線パターンデータが記憶されている記憶装置とは異なる記憶装置に記憶される。すなわち、現在露光中のウエハWFの露光制御に使用されている配線パターンデータが第1記憶装置310Rに記憶されている場合、データ作成装置300は、作成した配線パターンデータを第2記憶装置310Lに記憶(転送)する。
【0061】
第2実施形態に係る露光装置EX-Aでは、本体部1Aは、1つの基板ステージ30を備える。なお、第2実施形態では、チップ計測ステーションCMSによりチップ位置を計測するため、アライメント系ALG_L及びALG_Rを省略できる。
【0062】
チップ位置の計測が終了したウエハWFは、コーターディベロッパー装置CDにて感光性のレジストを塗布された後、バッファ部PBへ搬入される。バッファ部PBに置かれたウエハWFは、基板交換部2Aに設置されたロボットRBにより、1枚のトレイTR上に複数枚(第2実施形態では4枚×3列)並べられ、本体部1Aに搬入され、基板ステージ30の基板ホルダ上に載置される。
【0063】
アライメント系ALG_Cは、基板ホルダに対する各ウエハWFの位置を計測し、露光開始位置等を補正する。なお、基板ホルダにウエハWFを載置したときにウエハWFがZ軸周りに回転するなどして、データ作成装置300が作成した配線パターンデータの位置からチップの位置がずれた場合、当該配線パターンデータを用いて配線を形成すると、チップ間が正しく接続されないおそれがある。
【0064】
この場合、データ作成装置300は、第1実施形態及びその変形例で説明したように、配線パターンデータを作成または駆動データを作成することにより、チップ間が接続されるように配線パターンの形状を補正すればよい。例えば、データ作成装置300は、チップ計測ステーションCMSによって計測した各ウエハWFの位置に対するチップの位置に基づいて、アライメント系ALG_Cにて計測された各ウエハWFの位置から、配線パターンデータの位置からの各チップの位置ずれを検出する。データ作成装置300は、当該ずれに基づいて、配線パターンデータを補正、または駆動データを作成する。これにより、基板ホルダにウエハWFを載置したときにウエハWFがZ軸周りに回転するなどした場合でも、チップ間を接続する配線を形成することができる。
【0065】
なお、アライメント系ALG_Cは、ウエハWFの位置計測に、チップのアライメントマークを用いてもよい。
【0066】
図11は、第2実施形態におけるFO-WLPの配線パターン形成手順の概念図である。第1実施形態と同様に、本体部1Aにおける露光処理中に、チップ位置の計測、配線パターンデータ(駆動データであってもよい)の作成・転送、ウエハWFへのレジスト塗布、及びトレイTRへのウエハWFの載置が行われるため、FO-WLPの配線パターンの形成におけるスループットを向上させることができる。
【0067】
本第2実施形態に係る露光装置EXは、空間光変調器(DMD204)と、データ作成装置300と、露光制御装置400と、を備える。データ作成装置300は、ウエハWF上に複数配置された半導体チップのセットそれぞれに含まれるチップC1及びC2の位置を計測するチップ計測ステーションCMSから計測結果を取得し、計測結果に基づいて、セットそれぞれに含まれるチップC1とチップC2との間を接続する配線パターンWLを決定し、決定した配線パターンWLを生成するときにDMD204の制御に利用する配線パターンデータを作成し、第1記憶装置310Rまたは第2記憶装置310Lに記憶させる。露光制御装置400は、第1記憶装置310Rまたは第2記憶装置310Lに記憶された配線パターンデータを利用してDMD204を制御して、セットそれぞれに含まれるチップC1とチップC2との間を接続する配線パターンWLを露光する。ウエハWF上のチップの位置の計測は、当該ウエハWFと一緒にチップ位置が計測されるウエハWFのセットとは異なるウエハWFのセットが露光されている間に行われる。これにより、時間が比較的かかる露光処理の間に、チップ位置の計測、計測結果に基づく配線パターンデータの作成・転送を行うことができ、時間を有効に使用することができるため、FO-WLPの配線パターンの形成におけるスループットを向上させることができる。
【0068】
《第3実施形態》
ウエハWFをベース基板Bに貼り付け、ベース基板Bに対する各チップの位置を、チップ計測ステーションCMSにおいて計測してもよい。
【0069】
図12は、第3実施形態に係る配線パターン形成システム500Bの概要を示す上面図である。第3実施形態に係る配線パターン形成システム500Bは、チップが配置されたウエハWFをベース基板Bに複数枚貼り付けるウエハ配置装置WAを有する。ウエハ配置装置WAは、ベース基板Bに対するウエハWFの位置が変更されないようにするものである。
【0070】
ウエハ配置装置WAにより複数枚のウエハWFが貼り付けられたベース基板Bは、チップ計測ステーションCMSに搬入される。
【0071】
チップ計測ステーションCMSは、複数の計測顕微鏡61を備え、ベース基板Bに対する各チップの位置を計測する。複数の計測顕微鏡61は、異なるセット内のチップの位置を計測する。チップの位置の計測結果は、データ作成装置300に送信される。
【0072】
データ作成装置300は、チップ計測ステーションCMSから受信したチップ位置の計測結果にもとづいて、配線パターンデータ(駆動データでもよい)を作成する。なお、データ作成装置300が作成した配線パターンデータは、現在露光中のベース基板B上のウエハWFの露光制御に使用されている配線パターンデータが記憶されている記憶装置とは異なる記憶装置に記憶される。すなわち、現在露光中のベース基板B上のウエハWFの露光制御に使用されている配線パターンデータが第1記憶装置310Rに記憶されている場合、データ作成装置300は、作成した配線パターンデータを第2記憶装置310Lに記憶(転送)する。
【0073】
チップ位置の計測が終了したウエハWFは、ベース基板Bごとコーターディベロッパー装置CDに搬入され、感光性のレジストを塗布された後、基板交換部2BのポートPTに搬入される。その後、ウエハWFは、ベース基板Bごと基板ステージ30の基板ホルダ上に載置される。
【0074】
その後の処理は、第2実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。第3実施形態では、ウエハWFが載置・固定されたベース基板Bの位置を用いて全てを管理し、露光できる。例えば、アライメント時もベース基板Bに対するEGA計測と補正を行えばよい。つまり、ウエハWFがベース基板Bに載置・固定されているため、ベース基板Bが基板ステージ30の基板ホルダ上に載置された際にウエハWFごと/チップごとのアライメントは不要となり、ベース基板Bのみのアライメントを行えばよい。なお、ウエハ配置装置WAは、ベース基板BにウエハWFを張り付けたが、トレイTR上にウエハWFを直接載置・固定するようにしてもよい。
【0075】
第3実施形態においても、本体部1Aにおける露光処理中に、チップ位置の計測、配線パターンデータの作成・転送、ウエハWFへのレジスト塗布を行うことにより、FO-WLPの再配線層の形成におけるスループットを向上させることができる。
【0076】
(変形例)
第3実施形態では、ウエハ配置装置WAとチップ計測ステーションCMSとが別の装置としたが、この構成に限られない。計測顕微鏡61は、ウエハ配置装置WAにて、ベース基板Bに貼り付けられたウエハWFからチップ位置の計測を開始しても良い。換言すると、複数のウエハWFのベース基板Bへの貼り付け動作と並行して、計測顕微鏡61により計測動作を行う。なお、計測顕微鏡61は、1枚のウエハWFがベース基板Bに貼り付けられてから、計測動作を開始しても良いし、複数枚のウエハWFがベース基板Bに貼り付けられてから、計測動作を開始しても良い。なお、計測顕微鏡61は、ウエハWFがベース基板Bに載置されるタイミングでは、一旦計測動作を中断しても良い。これは、ウエハWFをベース基板Bへ載置する際に発生する振動が、計測顕微鏡61の計測結果に影響を与えることを防止するためである。
【0077】
なお、上記第1~第3実施形態及びその変形例では、第1記憶装置310Rと第2記憶装置310Lを別体の記憶装置としていたが、基板ステージ30Rに載置されたウエハWFの露光処理に使用されるデータ(配線パターンデータ及び駆動データの少なくとも1つ)と、基板ステージ30Lに載置されたウエハWFの露光処理に使用されるデータ(配線パターンデータ及び駆動データの少なくとも1つ)と、を1つの記憶装置の異なる記憶領域に記憶させるようにしてもよい。ただし、1つの記憶装置の異なる記憶領域を利用する場合、一方の記憶領域にアクセスしている間は、他方の記憶領域にアクセスできないため、全体としての処理時間が長くなってしまう恐れがある。また、SSDは書き込みのたびに劣化が進み、使用時間もその寿命に影響を与える。従って、本第1実施形態における記憶装置へのデータの書き込み回数は比較的多いため、1台のSSDを用いる場合、短い期間でSSDの交換が必要になる可能性がある。したがって、2台の記憶装置を用いることが好ましい。
【0078】
なお、上記第1~第3実施形態とその変形例において、複数のウエハ状の基板を基板ステージ30に載置する場合について説明したが、矩形状の基板を基板ステージ30上に複数載置してもよい。
【0079】
また、第1~第3実施形態及びその変形例は、
図3(B)に示す基板P上のチップ間を接続する配線パターンの形成にも適用可能である。
【0080】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0081】
EX、EX-A、EX-B 露光装置
204 DMD
204a マイクロミラー
300 データ作成装置
310R 第1記憶装置
310L 第2記憶装置
400 露光制御装置
C1,C2 半導体チップ
WF ウエハ
P 基板