(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電子回折ホログラフィ
(51)【国際特許分類】
H01J 37/10 20060101AFI20241126BHJP
G03H 5/00 20060101ALI20241126BHJP
H01J 37/26 20060101ALI20241126BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20241126BHJP
【FI】
H01J37/10
G03H5/00
H01J37/26
G01N23/04 330
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021054628
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2023-12-26
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヘンストラ
(72)【発明者】
【氏名】ユチェン デン
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー コール
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-65762(JP,A)
【文献】特開2011-181501(JP,A)
【文献】特開2019-067554(JP,A)
【文献】国際公開第2006/088159(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/10
G03H 5/00
H01J 37/26
G01N 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ホログラフィを使用してサンプルを調査するための方法であって、
前記サンプルに向けて複数の電子を放出することと、
前記複数の電子を第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成することと、
前記第1の電子ビーム及び前記第2の電子ビームが異なる焦点面を有するように、前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することと、
前記第1の電子ビームが前記サンプルにまたは前記サンプルの近くに焦点面を有するように、前記第1の電子ビームを集束させることと、
前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射し、かつ回折面内に焦点面を有するように、前記第2の電子ビームを集束させることと、
前記回折面内における、前記第1の電子ビームと回折された前記第2の電子ビームとの干渉パターンを検出することと、
前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射することから結果として生じた出口波動の出口波動関数を判定することと、
前記出口波動関数に基づいて前記サンプルの構造を判定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記サンプルが、結晶であり、前記サンプルの前記構造を判定することが、前記出口波動関数に基づいて前記サンプルの結晶格子を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出口波動関数を判定することが、前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射することに応答して、前記サンプルを離れる前記電子の前記出口波動関数を判定することを含み、前記サンプルの前記構造が、前記出口波動関数に基づいて判定される、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記出口波動関数を判定することが、前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射することに応答して、前記サンプルを離れる前記電子の前記出口波動関数の位相および振幅を判定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の前記焦点特性を修正することが、前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームのうちの一方に少なくとも四重極レンズ作用を適用することを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記回折面が、前記サンプルの下流の前記第2の電子ビームの第1の焦点面に対応する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
電子ホログラフィを使用してサンプルを調査するための方法であって、
前記サンプルに向けて複数の電子を放出することと、
前記複数の電子を第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成することと、
前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームが異なる焦点面を有するように、前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することと、
前記第1の電子ビームが前記サンプルにまたは前記サンプルの近くに焦点面を有するように、前記第1の電子ビームを集束させることと、
前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射し、かつ回折面内に焦点面を有するように、前記第2の電子ビームを集束させることと、
前記回折面内における、前記第1の電子ビームと回折された前記第2の電子ビームとの干渉パターンを検出することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記回折面内における、前記第1の電子ビームと回折された前記第2の電子ビームとの前記干渉パターンに基づいて、前記サンプルのホログラム像を生成することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記回折面内における、前記第1の電子ビームと回折された前記第2の電子ビームとの前記干渉パターンに基づいて、前記サンプルによって回折された電子の相対位相を判定することをさらに含む、請求項7または8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射することに応答して、前記サンプルを離れる前記電子の出口波動関数を判定することをさらに含む、請求項7~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記出口波動関数を判定することが、前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射することに応答して、前記サンプルを離れる前記電子の前記出口波動関数の位相および振幅を判定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記出口波動関数に基づいて、前記サンプルの構造を判定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルが、結晶であり、前記サンプルの前記構造を判定することが、前記出口波動関数に基づいて前記サンプルの結晶格子を判定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記回折面が、前記サンプルの下流の前記第2の電子ビームの第1の焦点面に対応する、請求項7~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームが、コヒーレントである、請求項7~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
第1の電子面が、前記サンプルの開口を通過する、請求項7~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、電子ビームおよびイオンビームのうちの一方で前記サンプルの前記開口を燃焼させることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の電子ビームに位相シフトを適用することと、
前記回折面内における、位相シフトされた前記第1の電子ビームと回折された前記第2の電子ビームとの追加の干渉パターンを検出することと、
前記干渉パターンおよび前記追加の干渉パターンに少なくとも部分的に基づいて、前記回折面内におけるサンプル出口波動の波動関数の位相を判定することであって、前記サンプル出口波動が、前記第2の電子ビームが前記サンプルに入射することから結果として生じる、判定することと、をさらに含む、請求項7~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記第2の電子ビームの第2の直径が、前記第1の電子ビームの第1の直径よりも20倍大きい、請求項7~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の前記焦点特性を修正することが、前記第1の電子ビームおよび前記第2の電子ビームのうちの一方に少なくとも四重極レンズ作用を適用することを含む、請求項7~19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
透過型電子顕微鏡は、制限視野電子回折(SAED)モードで操作でき、このモードでは、回折面がカメラ上に結像される。このモードは、結晶材料の研究に特に有用であり、この場合、結晶情報が取得できる。単(単結晶の)結晶が研究される場合、結晶を構成する原子の3Dポテンシャル分布を再構築するために、回折パターンを使用することさえできる。等方的な分解能のためには、結晶のすべての方位について、回折パターンが収集される必要がある。実際、データは通常、適切な範囲にわたって結晶を連続的に傾斜させながら収集される。この技術は、マイクロ電子回折、または3D電子結晶学と呼ばれている。回折ピーク強度は、構造因子の振幅を提供するのみであり、位相情報は、欠落しており、他の方法によって取得されなければならない。回折ピークが高分解能(1オングストロームオーダー)に及び、かつ単位胞内の原子数が制限されている場合、位相は、特定の制約(原子性、位相相関)を使用して計算により導出できる。より大きな分子およびより低い分解能の場合、同族体構造からの位相情報を位相の初期推定として使用する「分子置換」と呼ばれる方法が使用されることが多い。完全に未知の構造に対しては、これを行うことができない。X線結晶学で使用される他の一般的な位相決定法(phasing method)(異常分散、同形置換)は、電子結晶学にうまく適用できない。
【0002】
さらには、電子回折モードで動作する現在の透過電子顕微鏡(TEM)システムは、完全な出口波動(試料の、すなわち、振幅情報と位相情報との両方を含む複素数の出口波動)を取得するのに苦慮する。代わりに、電子回折モードで動作するTEMシステムは単に、回折面の拡大像に位置付けられた検出器の様々な位置での散乱電子および/または回折電子の強度を記録し、次いで、検出された強度値のみに基づいて(すなわち、位相情報なしに)試料の再構築を生成する。この、位相情報を判定することができないことにより、電子回折モードで動作するTEMシステムによって効果的に結像できる物体のタイプが制限される。コヒーレント波と物体によって散乱および/または回折された電子との重ね合わせを介して取得される強度情報と位相情報との両方を与える現在の電子ホログラフィセットアップが存在するが、これらのシステムは、回折面で検出される散乱電子および/または回折電子から結果を生成することができない。例えば、オフアクシスホログラフィは、試料の完全な出口波動を取得するために開発された周知の技術であるが、現在、この技術は、試料がカメラ上に結像される場合にのみ適用できる。
【発明の概要】
【0003】
本開示による、電子回折ホログラフィを使用してサンプルを調査するための方法は、サンプルに向けて複数の電子を放出し、複数の電子を第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成し、および、次いで、2つのビームが異なる焦点面を有するように、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正する初期ステップを含む。2つのビームが異なる焦点面を有する場合、本発明による方法は、第1の電子ビームがサンプルにまたはサンプルの近くに焦点面を有するように、第1の電子ビームを集束させることと、第2の電子ビームが、サンプルに入射し、かつ回折面内に焦点面を有するように、第2の電子ビームを集束させることと、の追加のステップを含む。次いで、第1の電子ビームと回折された第2の電子ビームとの干渉パターンが、回折面内に検出され、次いで、回折ホログラフを生成するために使用される。
【0004】
本開示による、電子ホログラフィを使用してサンプルを調査するためのシステムは、サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダと、サンプルに向けて電子を放出するように構成された電子エミッタと、電子エミッタとサンプルホルダとの間に位置付けられた二焦点ビームフォーマと、を含む。二焦点ビームフォーマは、複数の電子を第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成し、かつ第1の電子ビームおよび電子粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正するように構成されている。第1の電子ビームおよび第2の電子の修正された焦点特性により、システムの別のコンポーネント(例えば、スティグメータ)が、第1の電子ビームと第2の電子ビームとの対応する焦点面を異ならせることができるようになる。いくつかの実施形態では、第1の電子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に集束され、かつ第2の電子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に集束されないように、二焦点ビームフォーマは、ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
詳細な説明は、添付の図を参照して説明される。図において、参照番号の最も左の桁(複数可)は、参照番号が最初に現れる図を識別する。異なる図の同じ参照番号は、類似または同一の項目を示している。
【0006】
【
図1】本発明による、回折ホログラフィを使用してサンプルを調査するための例示的な二焦点マルチビームシステムを例示している。
【
図2A】例示的な二焦点マルチビームシステムにおいて、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームが電子回折ホログラフィ中にサンプルと相互作用することを例示している。
【
図2B】例示的な二焦点マルチビームシステムにおいて、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームが電子回折ホログラフィ中にサンプルと相互作用することを例示している。
【
図3】本発明による二焦点マルチビームシステムを使用して回折電子ホログラフィでサンプルを調査するためのサンプルプロセスを例示している。
【
図4】本発明による二焦点マルチビームシステムの光学性能の説明図である。
【
図5】本発明による二焦点マルチビームシステムの光学性能の説明図である。
【
図6】本発明による二焦点マルチビームシステムの光学性能の説明図である。
【
図7】二焦点ビームフォーマがMEMSデバイスを含む、サンプルを調査するための例示的な二焦点マルチビームシステムを例示している。
【
図8】本発明による例示的なMEMSデバイスを例示している。
【
図9】4つの電極を含むMEMSデバイスの例示的な実施形態の概略上面図を例示している。
【
図10】7つの電極を含むMEMSデバイスの例示的な実施形態の概略上面図を例示している。
【
図11】例示的な実施形態の二焦点ビームフォーマが少なくとも四重極レンズ効果を第2の電子ビームに適用させるときに引き起こされる、第2の電子ビームの歪みを例示している。
【
図12】二焦点ビームフォーマが開口レンズアレイを含む、サンプルを調査するための二焦点マルチビームシステムの例示的な実施形態を例示している。
【
図13】例示的な開口レンズアレイの例示的な電極を例示している。
【
図14】例示的な開口レンズアレイの例示的な開口画定構造を例示している。
【
図15】1つの開口画定構造を有する例示的な開口レンズアレイの断面を例示している。
【
図16】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図17】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図18】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図19】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図20】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図21】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図22】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図23】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図24】
図23に例示されるマルチ開口アセンブリで使用できる例示的な中央構造を例示している。
【
図25】第1の電極、第2の電極、および開口画定構造を含む例示的な開口レンズアレイの断面を例示している。
【
図26】二焦点ビームフォーマがビーム分割機構および1つ以上の集束デバイスを含む、サンプルを調査するための二焦点マルチビームシステムの例示的な実施形態を例示している。
【0007】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。概して、図において、所与の例において含まれる可能性が高い要素は、実線で例示されているのに対し、所与の例に対して任意である要素は、破線で例示されている。しかしながら、実線で例示される要素は、本開示の全ての例に必須である訳ではなく、実線で示される要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の例から省略され得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
電子回折ホログラフィを実行するための方法およびシステムが、本明細書に含まれる。より具体的には、本明細書に開示される方法およびシステムは、回折面内に検出される、集束している電子ビームと広い参照電子ビームとの間の干渉パターンから、サンプルの回折ホログラムが生成できるようにすることを含み、および/または生成できるように構成されている。この方法およびシステムでは、電子源によって放出された複数の電子が、コヒーレントな第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに分割され、第1の電子ビームと第2の電子ビームとの対応する焦点面が異なるように、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性が修正される。いくつかの実施形態では、第1の電子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に集束されるように、かつ第2の電子ビームが、サンプルに入射したときに平行(またはほぼ平行)ビーム、収束ビーム、または発散ビームとなるように、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点面が修正される。様々な実施形態では、第1の電子ビームがサンプルによって実質的に影響を受けないように、第1の電子ビームは、サンプルの開口および/またはサンプルの薄い部分を通過し、第1の電子ビームが、参照ビームとして機能できるようになる。次いで、第1の電子ビームと回折された第2の電子ビームとの干渉パターンが、回折面内に検出され、次いで、回折ホログラムを生成するために使用される。回折ホログラムは、回折パターンの位相と振幅との両方を提供する。
【0009】
例えば、上記のプロセスがマイクロ電子回折で使用される場合、サンプル(例えば、結晶)の回折ホログラムが、サンプルの情報(例えば、回折ピークの位相および振幅)を判定するために、複数のサンプル傾斜で取得され得る。あるいは、上記のプロセスを使用して、サンプルの単一の回折ホログラム(例えば、結晶性、多結晶性、部分的に結晶性、非結晶性など)を生成することができ、この回折ホログラムから、ホログラフィック技術を使用して、試料(すなわち、位相と振幅との両方を含む含素出口波動)の完全な出口波動が取り出せると判定してもよい。このことを繰り返して、複数のサンプル傾斜で試料の完全な出口波動を取得する場合には、上記のプロセスを使用して3D情報(すなわち、トモグラフィ)を取得することができる。いくつかの実施形態では、複数の電子は、二焦点ビームフォーマによって少なくとも部分的に分割および/または修正される。本発明のいくつかの実施形態による二焦点ビームフォーマは、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方に少なくとも四重極レンズ効果を適用するように構成されている。いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマは、2つの電子ビームの焦点面を異ならせる。あるいは、いくつかの実施形態では、二焦点ビーム形態が、電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性の変化を引き起こすことにより、ビームが二焦点ビームフォーマの下流の多重極子(すなわち、少なくとも四重極レンズ効果を適用する多重極/補正器/スティグメータ)を通過すると、2つのビームの対応する焦点面が、異なるようになる。例えば、一方のビームを、サンプルに焦点計画を有するようにすることができ、他方のビームは、試料の上方および/または下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に、対応する焦点面を有することができる。サンプルにおける一方のビームの直径は、他方の電子ビームの直径(すなわち、幾何学的スポットサイズ)よりも50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つであり得る。あるいは、または加えて、サンプルにおける一方のビームの直径は、他方の電子ビームが集束しているときの他方の電子ビームの直径よりも50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0010】
図1は、本発明による、回折ホログラフィを実施するようにセットアップされた二焦点マルチビームシステム(複数可)100の説明図である。具体的には、
図1は、回折ホログラフィを使用してサンプル104を調査するための例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)102を例示している。例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)102は、異なる対応する焦点面を有する少なくとも2つの電子ビームをサンプル104に照射および/または他の方法で衝突させるように構成された電子顕微鏡(EM)セットアップまたは電子リソグラフィセットアップを含むことができる。様々な実施形態では、二焦点マルチビームシステム(複数可)102は、限定されないが、走査電子顕微鏡(SEM)、走査透過電子顕微鏡(STEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、荷電粒子顕微鏡(CPM)、デュアルビーム顕微鏡システムなどのような1つ以上の異なるタイプのEMおよび/または荷電粒子顕微鏡であり得るか、またはこれらを含むことができる。加えて、いくつかの実施形態では、二焦点マルチビームシステム(複数可)102は、STEMとしても動作することができるTEMであってもよい。
【0011】
例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)102は、放出軸110に沿って、かつ二焦点ビームフォーマ112に向けて複数の電子108(すなわち、電子ビーム)を放出する電子源106(例えば、熱電子源、ショットキー放出源、電界放出源など)を含む。放出軸110は、電子源106から透過型電子顕微鏡システム102の長さに沿って、かつサンプル104を通って延びる中心軸である。
【0012】
二焦点ビームフォーマ112は、(i)複数の電子108を少なくとも第1の電子114とビーム第2の電子ビーム116と、に分割し、かつ(ii)第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方の焦点特性を修正する、ように構成された1つ以上の構造である。例えば、二焦点ビームフォーマ112は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116が異なる対応する焦点面を有するように、焦点特性を修正することができる。
図1は、二焦点ビームフォーマ112を、複数の電子108を放出軸110に沿って延びる第1の電子ビーム114と第2の電子ビーム116とに分割するものとして例示している。第1の電子ビーム114と第2の電子ビーム116との各々は、複数の電子108から形成されるため、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116は、相互にコヒーレントである。
【0013】
図1はまた、二焦点ビームフォーマ112を、第2の電子ビームの焦点特性を第1の電子ビーム114の焦点特性とは相違させる歪みを第2の電子ビーム116に適用するものとして示している。例えば、
図1は、二焦点ビームフォーマ112を、2つのビームが異なる焦点特性を有するように第2の電子ビーム116に影響を与える四重極レンズ効果を適用する少なくとも四重極場(すなわち、双極場、四重極場、六重極場、八重極場など)を生成するように構成されているものとして例示している。少なくとも四重極レンズ効果は、ビームの対応する焦点特性を異ならせるように、ビームのうちの少なくとも一方を歪ませ、非点収差補正し、または他の方法で修正することができる。いくつかの実施形態では、四重極レンズ効果は、垂直メリジオナル平面(例えば、yz平面)以外の1つのメリジオナル平面(例えば、xz平面)内に異なるレンズ効果を適用し、2つのメリジオナル平面の各々における焦点特性の各々に異なる変化を引き起こすことができる。このような非点収差補正は、
図4に示される例示的なシステムに例示されている。
【0014】
このような実施形態では、二焦点ビームフォーマの下流の多重極子(例えば、スティグメータ)は、第2の電子ビーム116の1つに相補的な四重極レンズ効果を適用して、二焦点ビームフォーマ112によって引き起こされる収差を補正し、および第2の電子ビーム116を再び円筒対称ビームにすることができる。このようにして、多重極子は、第2の電子ビーム116を、このような多重極子の下流で円筒対称円筒対称にすると同時に、第1の電子ビーム114とは異なる焦点面を有するようにする。様々なセットアップでは、相補的な四重極レンズ効果が第1の電子ビーム114に適用されないように、この多重極子は、第1の電子ビーム114の焦点面に配置され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマ112は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方の焦点特性を修正して、第2の電子ビーム116が、サンプル104のまたはサンプル104の近くの試料平面に焦点面を有し、かつ第1の電子ビーム114が、サンプル104のまたはサンプル104の近くの試料平面にない対応する焦点面を有するようにするように、構成されている。様々な実施形態では、二焦点ビームフォーマ112は、第1の電子ビーム114の焦点面を修正して、第1の電子ビーム114がサンプル104の上方または下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する平面に集束されるようにすることができる。あるいは、二焦点ビームフォーマ112は、電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正して、第1の電子ビーム114がサンプル104のまたはサンプル104の近くの試料平面に焦点面を有し、かつ第2の電子ビーム116がサンプル104のまたはサンプル104の近くの試料平面にない対応する焦点面を有するようにしてもよい。このような実施形態では、第2の電子ビーム116がサンプル104の上方および/または下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する平面に集束されるように、焦点面(複数可)が修正され得る。
【0016】
図1は、ビームのうちの一方が試料平面内に集束される(すなわち、試料平面またはその近くに焦点面を有する)実施形態を例示しているが、当業者は、本発明による二焦点マルチビームシステム100が、電子ビームのいずれかが試料平面内に集束されることを必要としないことを理解するであろう。さらには、二焦点ビームフォーマ112は、第2の電子ビーム116の焦点特性を修正するものとして示されているが、他の実施形態では、2つのビームが異なる対応する焦点面を有するように、二焦点ビームフォーマ112は、第1の電子ビーム114または両方のビームの焦点特性を変化させることができる。すなわち、当業者であれば、一方のビームに適用されるものとして説明される作用または効果が、異なる実施形態において他方のビームに適用されて、2つのビームが異なる対応する焦点面を有することを可能にし得ることを理解する。
【0017】
あるいは、または加えて、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することにより、サンプル104のまたはサンプル104の近くの試料平面における第1の電子ビーム114の直径を、試料平面における第2の電子ビーム116の直径よりも20倍大きいか、50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つとするように、二焦点ビームフォーマ112が構成されてもよい。このような実施形態では、二焦点ビームフォーマ112は、第1の電子ビーム114の直径を、第2の電子ビーム116が集束している任意の平面における第2の電子ビーム116の直径よりも20倍大きいか、50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つとすることができる。いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマ112は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの一方または両方を、放出軸110から離れるようにさらに偏向させる。
【0018】
いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマ112は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116の形成と、2つのビームのうちの少なくとも一方の焦点特性の修正と、の両方を実行する単一のコンポーネントから構成され得る。例えば、二焦点ビームフォーマ112は、2つのビームを形成することと、ビームの対応する焦点特性を異ならせるように、ビームのうちの少なくとも一方を集束させ、非点収差補正し、および/または他の方法で修正する少なくとも四重極レンズ効果を適用する少なくとも四重極電磁場(すなわち、双極場、四重極場、六重極場、八重極場など)を生成することと、の両方を行う微小電気機械システム(MEMS)に対応し得る。別の例では、二焦点ビームフォーマ112は、2つのビームを形成し、かつ2つのビームのうちの1つ以上に対する四重極レンズ効果を適用する少なくとも四重極電磁場を作り出す複数の開口および/または空洞を画定する構造を含む開口アレイに対応し得る。いくつかの実施形態では、四重極レンズ効果は、1つのメリジオナル平面(例えば、xz平面)における正のレンズ効果と、垂直メリジオナル平面(例えば、yz平面)における負のレンズ効果と、を適用し、2つのメリジオナル平面の各々における焦点特性の各々に異なる変化を引き起こすことができる。
【0019】
このようなシステムでは、多重極子124(例えば、補正器、スティグメータ、または、収差補正器、四重極/八重極タイプの補正器の一部である多重極子など)が、例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)100にさらに下流で含まれて、相補的な四重極レンズ効果を適用して、ビームを再び円筒対称にすることができる。例えば、
図1は、二焦点マルチビームシステム(複数可)102を、スティグメータを含むものとして例示している。あるいは、または加えて、二焦点ビームフォーマ112は、電子ビームの1つ以上の収差のうちの少なくとも1つを引き起こして、二焦点マルチビームシステム(複数可)102内の別の収差を補正するように、位置付けられ、および/または構成されてもよい。このようなシステムコンポーネントは、二焦点ビームフォーマ112が少なくとも四重極レンズ効果を適用しなかった電子ビームの焦点面内に位置付けられ得る。二焦点ビームフォーマが、第1の電子ビーム114に少なくとも第1の四重極レンズ効果を適用し、かつ第2の電子ビーム116に第2の四重極レンズ効果を適用する実施形態では、このような二焦点マルチビームシステム(複数可)100は、第1の電子ビーム114の焦点面内に位置付けられ、かつ、第2の電子ビーム116に相補的な四重極レンズ効果を適用するように構成された第1の多重極子124と、第2の電子ビーム116の焦点面内に位置付けられ、かつ第1の電子ビーム114に相補的な四重極レンズ効果を適用するように構成された第2の多重極子124と、を含むことができる。
【0020】
あるいは、二焦点ビームフォーマ112は、複数のコンポーネント118から構成されてもよい。個々のコンポーネント118は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116の形成と、2つのビームのうちの少なくとも一方の焦点特性の修正と、のうちの一方を実行することができ、または個々のコンポーネント118は、ビームを形成することと、他のコンポーネント118と協調して焦点特性を修正することと、のうちの一方または両方に寄与することができる。いくつかの実施形態では、個々のコンポーネント118は、複数の電子108の一部分を遮断する一方、他の部分を通過させる物理的構造、バイプリズム(例えば、帯電したワイヤ)、薄い結晶またはナノ加工格子で作られた振幅分割電子ビームスプリッタ、1つ以上のレーザパターンフリンジを使用して複数の電子108を第1の電子ビーム114と第2の電子ビーム116とに分割するように構成されたビーム分割レーザシステムなどを含むことができる。あるいは、または加えて、個々のコンポーネント118は、第1の電子ビーム114と第2の電子ビーム116とが異なる焦点面を有するようにするように位置付けられるか、または他の方法で構成された1つ以上のレンズ(例えば、アインツェルレンズ、四重極レンズなど)を含んでもよい。例えば、二焦点ビームフォーマ112は、2つの開口を画定する物理的構造と、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームが異なる対応する焦点面を有するように、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を調整するように位置付けられ、および/または構成されたレンズと、から構成され得る。様々な実施形態では、このようなレンズは、物理的構造の上方または下方に位置付けられ得る。
【0021】
図1は、二焦点ビームフォーマ112を、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方を集束させるレンズ作用を適用するように構成された集束コンポーネント120の上流に位置付けられているものとして例示している。さらには、集束コンポーネント120は、多重極子124の上流に位置付けられている。
図1に示される例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)102では、集束コンポーネントは、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116を集束カラム126に向けて加速/減速させ、集束させ、および/または導く加速器122に対応する。ただし、他の実施形態では、加速器122が、電子108を二焦点ビームフォーマ112に加速/減速させ、集束させ、および/または導き、かつ二焦点ビームフォーマ112が、最終的なエネルギー(例えば、30kV)における電子108の焦点特性を分割および修正するように、加速器122は、電子源106と二焦点ビームフォーマ112との間に位置付けられてもよい。このような実施形態では、集束コンポーネント120は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方を集束させるレンズ作用を適用するように構成されたレンズまたは他の構造に対応し得る。
【0022】
集束カラム126は、電子ビーム114および116を集束させ、電子ビーム114および116がサンプル104に入射するようにする。具体的には、
図1は、集束カラム126が、第2の電子ビーム116がサンプル104上で集束されるように、第2の電子ビーム116を集束させ、かつ第1の電子ビーム114がサンプル104上で集束されないように、第1の電子ビーム114を集束させることを例示している。いくつかの実施形態では、第1の電子ビーム114または第2の電子ビーム116のうちの一方は、この一方がサンプル104に入射するときに、平行であり得るか、実質的に平行であり得るか、収束し得るか、または発散し得る。さらには、他の実施形態では、集束カラム126は、第1の電子ビーム114をサンプル104上で集束させ、かつ第2の電子ビーム116をサンプル104上で集束させないようにすることができる。他の実施形態では、集束カラム126は、いずれのビームをもサンプルに集束させないことができる。
図1には例示されていないが、当業者は、集束カラム126が、二焦点マルチビームシステム(複数可)102を用いたサンプル104の調査を可能にし、および/または強化するために必要な、1つ以上の補正器(例えば、CsまたはCs+Cc収差補正器)、トランスファーレンズ、偏向器、走査コイル、ビームブランカなどを含み得ることを理解するであろう。
【0023】
図1はまた、二焦点マルチビームシステム(複数可)102を、対物レンズ128を含むものとして示している。対物レンズ128は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの一方をサンプル104上の点に集束させる光学素子である。対物レンズ128は、単極子レンズ、磁気静電複合レンズ、静電検出器対物レンズ、または別のタイプの対物レンズを含んでもよい。例えば、対物レンズ128は、TEM対物レンズに対応することができ、サンプルは、TEM対物レンズ内に、および/またはTEM対物レンズの試料前コンポーネントと試料後コンポーネントとの間に浸漬される。
図1は、二焦点マルチビームシステム(複数可)102を、サンプル104を保持するサンプルホルダ130を含むものとしてさらに例示している。
図1は、第1の電子ビーム114を、サンプル104に入射するTEMビームであるとして、および第2の電子ビーム116を、第2の電子ビーム116がサンプルによって実質的に影響を受けずに、第2の電子ビーム116が電子回折ホログラフィ中に参照ビームとして機能できるようにするような、サンプル104の開口および/またはサンプルの薄い部分を通過する参照ビームであるとして示している。
【0024】
図1は、二焦点マルチビームシステム(複数可)102を、サンプル104を通過する第2の電子ビーム116および回折電子134を、電子ビーム114がサンプル104に入射した結果として検出するように構成された、回折面内に位置付けられた検出器132を含むものとしてさらに示している。電子回折ホログラフィ中、検出器132は、回折面内に第2の電子ビームと回折された第1の電子ビームとの干渉パターンを生成するように構成され、次いで、サンプルの回折ホログラムおよび/またはホログラム像を生成するために使用される。このような実施形態は、サンプル104と検出器132との間に位置付けられた1つ以上の投影レンズ136をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、回折ホログラムの生成中にゼロ損失フィルタリングが適用され得る。
【0025】
図1は、二焦点マルチビームシステム102を、任意でコンピューティングデバイス(複数可)142を含むものとしてさらに示している。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス(複数可)142は、第2の電子ビーム116の既知の位相と、検出器132によって検出された干渉パターンと、に基づいて、サンプル104の回折ホログラムを判定するように構成され得る。第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116は、相互にコヒーレントであるため、コンピューティングデバイス142は、サンプルによって回折された電子の位相を判定することができる。このことは、コンピューティングデバイス142が回折パターンの位相と振幅との両方を判定することをさらに可能にする。例えば、マイクロ電子回折では、コンピューティングシステムは、結晶の複数の配向(すなわち、サンプル傾斜)で結晶の回折ホログラムを取得して、回折ピークの位相および振幅を判定することができる。このような位相および振幅情報は、結晶に関して事前情報が既知でない場合でも、結晶に関する構造および/または他の結晶学的情報を判定するために使用できる。さらには、いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス142は、回折ホログラムを使用して、試料出口波動関数(例えば、振幅と位相との両方)を取り出し、および/または試料出口波動関数を使用して、サンプル104の結晶格子および/またはホログラム像を判定する、ようにさらに構成されている。
【0026】
当業者であれば、
図1に描示するコンピューティングデバイス142は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。コンピューティングシステムおよびデバイスは、コンピュータ、ネットワークデバイス、インターネット家電製品、PDA、無線電話、コントローラ、オシロスコープ、増幅器等を含む、指定された機能を実行することができるハードウェアまたはソフトウェアの任意の組み合わせを含んでもよい。コンピューティングデバイス142はまた、例示されていない他のデバイスに接続されてもよく、または代わりに、スタンドアロンシステムとして動作してもよい。
【0027】
図2Aおよび
図2Bは、例示的な二焦点マルチビームシステム100において、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームが電子回折ホログラフィ中にサンプルと相互作用することの説明図である。
【0028】
具体的には、
図2Aは、第1の電子ビーム114を、サンプル104でサンプル平面に実質的に垂直であるTEM照明ビームであるとして示し、第2の電子ビーム116は、参照ビームであるとして示されている。ただし、他の実施形態では、第2の電子ビーム116は、TEM照明ビームとして作用することができ、第1の電子ビーム116は、参照ビームとして作用することができる。
図2Aは、参照ビームを、サンプル104の開口202を通過するものとして示している。開口202は、円形、多項式、卵形、スリットなどの任意の形状を有することができる。他の実施形態では、参照ビームがサンプルによって実質的に影響を受けないように、参照ビームは、サンプルの薄い部分を通過することができる。あるいは、参照ビームがサンプルを通過せずにサンプルのそばを通るように、参照ビームが導かれてもよい。
図2Aは、第1の電子ビーム114を、軸方向のビームであるとして示しているが、他の実施形態では、第1の電子ビーム114は、非軸方向のビームであるとして示されている。同様に、
図2Aは、第2の電子ビーム116を、非軸方向のビームであるとして示しているが、他の実施形態では、第2の電子ビーム116は、軸方向のビームであり得る。
【0029】
図2Aは、第1の電子ビーム114を、対物レンズ130の上方に位置付けられた前焦点面204と、回折面208に対応する後焦点面206と、を有するものとしてさらに示している。
図2Aはまた、サンプル104によって散乱/回折される第1の電子ビーム114の部分210を例示している。検出器132は、サンプル104によって散乱/回折される第1の電子ビーム114の部分210と、回折面208内の第2の電子ビーム116と、の両方を検出するように位置付けられている。当業者によって理解されるように、部分210および第2の電子ビーム116は、サンプルの構造および/または特性に基づいて干渉パターンを形成する。例えば、サンプルが結晶である場合、干渉パターンは、複数のピーク(すなわち、エアリーディスク)に対応し得る。
【0030】
同様に、
図2Bは、TEM照明ビーム(
図2Bに電子ビーム116として示されている)が試料における非平行ビームである、本発明の実施形態250を例示している。具体的には、
図2Bは、サンプル面212の上方の仮想回折面222を示す。
図2Bは、TEM照明ビームを、サンプルにおいて発散ビームであるとして示しているが、他の実施形態では、TEM照明ビームは、収束ビームであってもよい。
【0031】
回折面208内では、第1の電子ビーム114の回折部分210の波動関数は、サンプル出口波動関数のフーリエ変換である。このようにして、回折面208内に検出される干渉パターンのピクセル(すなわち、回折ホログラム)は、サンプル出口波動の空間周波数に対応する。2つの電子ビームが相互にコヒーレントであるため、サンプル面212内の複素出口波動は、回折面208内に検出される干渉パターンから数学的に抽出できる。
【0032】
図3は、ハードウェア、ソフトウェア、人間の操作、またはそれらの組み合わせで実装できる一連の操作を表す論理フローグラフのブロックの集まりとして例示された例示的なプロセスのフロー図である。ソフトウェアの文脈では、ブロックは、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたコンピュータ実行可能命令を表し、コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のプロセッサにより実行されると、列挙された操作の実行を引き起こす。一般に、コンピュータ実行可能命令は、特定の機能を実行する、または特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。操作が記述される順序は、限定として解釈されるべきではなく、任意の数の記述ブロックは、任意の順序で組み合わせる、および/または同時に行われるように組み合わせてプロセスを実現することができる。
【0033】
図3は、本発明による二焦点マルチビームシステム(複数可)100を使用して回折電子ホログラフィでサンプルを調査するためのサンプルプロセス300の描示である。プロセス300は、例示的な顕微鏡システム(複数可)100、700、1200、および2400のいずれかで実装され得る。
【0034】
302で、電子源によって複数の電子がサンプルに向けて放出される。電子源は、熱電子源、ショットキー放出源、電界放出源などを含むことができる。電子源は、複数の電子を放出軸に沿って放出する。
【0035】
304で、複数の電子は、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成される。本発明によれば、複数の電子は、二焦点ビームフォーマまたは二焦点ビームフォーマのコンポーネントによって2つのビームに形成される。いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマのコンポーネントは、少なくとも、電子の第1の部分が二焦点ビームフォーマを通過できる(すなわち、第1の電子ビーム)ように構成された第1の開口と、電子の第2の部分が二焦点ビームフォーマを通過できる(すなわち、第2の電子ビーム)ように構成された第2の開口と、を画定する。あるいは、または加えて、二焦点ビームフォーマは、バイプリズム、薄い結晶またはナノ加工格子で作られた振幅分割電子ビームスプリッタ、ビーム分割レーザシステム、または電子ビームを分割するための、当業者に知られている別のタイプの機構を含んでもよい。
【0036】
306で、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性が、修正される。具体的には、本発明によれば、二焦点ビームフォーマまたは二焦点ビームフォーマのコンポーネントは、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正して、2つのビームが異なる対応する焦点面を有するようにするようにさらに構成されている。いくつかの実施形態では、両方のビームの焦点特性および/または焦点面が、調整される。ただし、他の実施形態では、2つのビームのうちの一方のみの焦点特性および/または焦点面が、調整される。
【0037】
いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマは、複数の電極を含むMEMSデバイスであって、複数の電極は、複数の電極に特定の電圧が印加されると、電子ビームのうちの一方に少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場パターンを生成するように構成されている。二焦点ビームフォーマが複数の開口および/または空洞を含む別の例では、複数の開口および/または空洞は、二焦点ビームフォーマの使用中に電子ビームのうちの一方に少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している。2つのビームの対応する焦点特性を異ならせるように、このようなレンズ効果は、少なくとも電子ビームを集束させ、非点収差補正し、または他の方法で修正する。いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマによって適用される四重極レンズ効果は、ビームに、ビームが非円筒対称になるようにする非点収差を適用しながら、電子ビームのうちの一方の焦点特性を調整する(
図4を参照)。このような実施形態では、二焦点ビームフォーマの下流の多重極子(例えば、スティグメータ)は、電子ビームのうちの一方に相補的な四重極レンズ効果を適用して、この電子ビームが再び円筒対称ビームになるようにする。したがって、このような補正器の下流では、各電子ビームは、異なる焦点面を有しながら、円筒対称であり得る。様々なセットアップでは、四重極レンズ効果が他方の電子ビームに適用されないように、この補正器は、他方の電子ビームの焦点面内に配置され得る。
【0038】
あるいは、または加えて、二焦点ビームフォーマは、第1の電子ビームまたは第2の電子ビームの焦点面を修正するように位置付けられるか、または他の方法で構成された1つ以上のレンズを含んでもよい。いくつかの実施形態では、二焦点ビームフォーマは、電子源によって放出された電子の異なる領域の焦点特性および/または焦点面を、これらの電子が第1の電子ビームと第2の電子ビームとに分割される前に調整して、電子が2つの電子ビームに分割されると2つのビームが異なる対応する焦点面を有するようにする。
【0039】
308で、電子ビームのうちの一方は、サンプル上の第1の平面上に集束され、310で、他方の電子ビームは、サンプルにないか、またはサンプルの近くにない第2の平面上で集束される。様々な実施形態では、電子ビームのうちの一方は、この電子ビームがサンプルによって実質的に影響を受けないほどに十分に薄いサンプルの開口および/またはサンプルの一部分をこの電子ビームが通過するように、集束される。これにより、電子ビームのうちの一方は、回折電子ホログラフィを可能にする参照ビームとして機能できるようになる。
【0040】
いくつかの実施形態では、他方の電子ビームは、サンプルの上方および/または下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する平面上で集束される。加えて、2つの電子ビームは、サンプルにおける電子ビームのうちの一方の直径が、サンプルにおける他方の電子ビームの直径よりも50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つとなるように、集束されてもよい。いくつかの実施形態では、電子ビームは、電子ビームを電子ビームのそれぞれの焦点面上に導く集束カラムを通過する。集束カラムは、サンプルの調査を可能にし、および/または強化するために必要な1つ以上の補正器、トランスファーレンズ、偏向器、走査コイル、ビームブランカなどを含むことができる。
【0041】
312で、電子ビームがサンプルと相互作用することから結果として生じた電子および/または放出が、検出される。例えば、回折面内に位置付けられた1つ以上の検出器は、サンプルを透過した電子ビームの部分、サンプルによって回折された電子、サンプルからの放出、またはそれらの組み合わせを検出することができる。具体的には、2つの電子ビームの干渉パターンが、検出される。いくつかの実施形態では、干渉パターンは、回折面内に検出される。
【0042】
314で、2つの電子ビームの干渉パターンに基づいて回折ホログラムが生成され生成される。2つのビームは、相互にコヒーレントであるため、電子ビームのうちの一方は、既知の位相を有し、および参照ビームとして機能して、サンプルによって回折された電子の位相を可能にし、回折パターンの位相と振幅との両方が判定できるようにする。上記で論じたように、このプロセスを使用して、干渉パターン/回折ホログラムの回折ピークの位相および振幅を判定することができ、結晶に関して事前の情報が既知でない場合でも、当該位相および振幅を使用して、結晶に関する構造および/または他の結晶情報を判定することができる。
【0043】
さらには、次いで、回折ホログラムを使用して、試料出口波動関数(例えば、振幅と位相との両方)を取り出すことができる。いくつかの実施形態では、次いで、この試料波動関数を使用して、サンプル構造の結晶格子(すなわち、結晶構造)および/またはホログラム像を判定することができる。
【0044】
代替または補足のプロセスステップで、試料出口波動関数の位相情報が、上記で論じたホログラフィ分析とは別に判定されてもよい。例えば、サンプルを通過するように集束されたビームに、異なる既知の相対位相シフトが複数回適用される場合(例えば、例えば二焦点ビームフォーミングMEMSデバイスなどを使用してシフトさせる、デフォーカスする、または2つのビームのうちの一方に他の種類の収差を引き起こすことによって)、結果として生じた強度パターンを記録し、次いで、この強度パターンを使用して、検出器における/回折面内における波動の相対位相を導出することができる。例えば、検出された干渉パターン/回折ホログラムと参照ビームとの間の位相差φは、
【数1】
の関係に従うことができ、ここで、I
1、I
2、およびI
3は、2つのビームの間の3つの異なる位相シフトについての測定された強度、αは、第1の測定値と第2の測定値との間の、ビームのうちの一方の位相シフト差であり、βは、第1の測定値と第3の測定値との間の、ビームのうちの一方の位相シフト差である。
【0045】
図4~
図6は、本発明による二焦点マルチビームシステム(複数可)100の光学性能の説明図である。
図4は、電子回折ホログラフィを実施するためにセットアップされた例示的な二焦点マルチビームシステム400の例示的なビーム経路を示す。具体的には、
図4は、四重極レンズ効果が非軸方向の第1の電子ビーム402に適用され、かつ四重極レンズ効果が軸方向の第2の電子ビーム404に適用されない、例示的な二焦点マルチビームシステム400のビーム経路を示す。
図4は、yz平面450、およびxz平面470における、軸方向の第1の電子ビーム402および非軸方向の第2の電子ビーム404の例示的なビーム経路を示す。
【0046】
図4は、二焦点ビームフォーマ112に向けて複数の電子108を放出する電子源106を描示している。二焦点ビームフォーマ112は、複数の電子108を、軸方向の第1の電子ビーム404と非軸方向の第2の電子ビーム402との両方に分割するものとして例示されている。
図4は、二焦点ビームフォーマ112を、少なくとも四重極レンズ効果を非軸方向の第1の電子ビーム402に適用し、これにより、非軸方向の第1の電子ビーム402の焦点特性を変化させるものとしてさらに例示している。
図4は、いくつかの実施形態において少なくとも四重極レンズ効果が非軸方向の第1の電子ビーム402に非点収差補正をどのように適用するかを示す。すなわち、
図4は、四重極レンズ効果が、1つのメリジオナル平面における非軸方向の第1の電子ビーム402に第1のレンズ効果(すなわち、xz平面450における負のレンズ効果)を、および垂直メリジオナル平面における非軸方向の第1の電子ビーム402に第2の異なるレンズ効果(すなわち、yz平面470における正のレンズ効果)を、どのように適用し得るかを例示している。
図4は、異なる平面におけるこれらの2つの異なるレンズ効果により、非軸方向の第1の電子ビーム402がどのように円筒対称ビームでなくなる(すなわち、xz平面におけるビームの半径が、yz平面におけるビームの半径と同じではない)かを示す。
【0047】
図4はまた、例示的な二焦点マルチビームシステム400を、軸方向の第2の電子ビーム404の焦点面に位置付けられ、かつ非軸方向の第1の電子ビーム402に、第1の電子ビーム402が再び円筒対称ビームになる(すなわち、xz平面におけるビームの半径が、yz平面におけるビームの半径と同じである)ように、少なくとも四重極レンズ効果を適用するように構成された、多重極子124を含むものとして例示している。軸方向の第2の電子ビーム404が点に集束される平面内に補正器が位置付けられているため、軸方向の第2の電子ビーム404に対する多重極子124の影響は、最小限に抑えられる。様々な実施形態では、カラム偏向器および/またはサンプルホルダの傾斜を使用して、2つのビームの間の相互の傾斜角度を維持しながら、サンプルに対するビームの傾斜および/またはシフトを調和させることができる。
図4は、多重極子124を、第1の電子ビーム402および第2の電子ビーム404の各々に偏向を適用する双極子電磁場を生成するものとして示している。
図4は、この力を、第1の電子ビーム402を多重極子124の下流の軸方向のビームにし、かつ第2の電子ビーム404を多重極子124の下流の非軸方向のビームにするものとして例示している。
【0048】
図4は、第1の電子ビーム402を、サンプル104の開口を通過する参照ビームであるとして、かつ第2の電子ビーム404を、サンプル104に入射するTEMビームであるとして示している。TEMビームは、サンプル104の上流に前焦点面406を有し、およびサンプル104の下流に後焦点面408を有する。後焦点面408は、回折面408に対応する。
図4はまた、対物レンズ128を、試料前コンポーネントおよび試料後コンポーネントを含むTEM対物レンズであるとして示している。
【0049】
図5は、四重極レンズ効果が軸方向の第1の電子ビーム502に適用され、かつ四重極レンズ効果が非軸方向の第2の電子ビーム504に適用されない、例示的な二焦点マルチビームシステム500の例示的なビーム経路を示す。具体的には、
図5は、yz平面550、およびxz平面570における、軸方向の第1の電子ビーム502および非軸方向の第2の電子ビーム504の例示的なビーム経路を示す。
【0050】
図5は、電子源106が二焦点ビームフォーマ112に向けて複数の電子108を放出することを描示している。二焦点ビームフォーマ112は、複数の電子108を、軸方向の第1の電子ビーム902と非軸方向の第2の電子ビーム904との両方に分割するものとして例示されている。
図9は、二焦点ビームフォーマ112を、少なくとも四重極レンズ効果を軸方向の第1の電子ビーム902に適用し、これにより、軸方向の第1の電子ビーム902の焦点特性を変化させるものとしてさらに例示している。具体的には、
図5は、いくつかの実施形態において、少なくとも四重極レンズ効果が、1つのメリジオナル平面において軸方向の第1の電子ビーム502に第1の効果(すなわち、xz平面における負のレンズ効果)を、および垂直メリジオナル平面において軸方向の第1の電子ビーム502に第2の異なる効果(すなわち、yz面における正のレンズ効果)を、どのように適用するかを示す。
【0051】
図5はまた、例示的な二焦点マルチビームシステム500を、非軸方向の第2の電子ビーム504の焦点面に位置付けられ、かつ軸方向の第1の電子ビーム502に、第1の電子ビーム502が再び円筒対称ビームになるように、少なくとも四重極レンズ効果を適用するように構成された、多極要素124を含むものとして例示している。非軸方向の第2の電子ビーム504が点に集束される平面内に補正器が位置付けられているため、非軸方向の第2の電子ビーム504に対する補正器の影響は、最小限に抑えられる。様々な実施形態では、カラム偏向器および/またはサンプルホルダの傾斜を使用して、2つのビームの間の相互の傾斜角度を維持しながら、サンプルに対する電子ビームの傾斜を調和させることができる。様々な実施形態では、カラム偏向器および/またはサンプルホルダの傾斜を使用して、2つのビームの間の相互の傾斜角度を維持しながら、サンプルに対する電子ビームの傾斜を調和させることができる。
【0052】
図6は、少なくとも四重極レンズ効果が非軸方向の参照電子ビーム602および軸方向の電子TEMビーム604に適用される、二焦点マルチビームシステム600の例示的なビーム経路を示す。
図6は、電子源106が二焦点ビームフォーマ112に向けて複数の電子108を放出することを描示している。二焦点ビームフォーマ112は、複数の電子108を、非軸方向の参照電子ビーム602と軸方向の電子TEMビーム604との両方に分割するものとして例示されている。
図6は、二焦点ビームフォーマ112を、少なくとも四重極レンズ効果を非軸方向の参照電子ビーム602に適用し、これにより、非軸方向の参照電子ビーム602の焦点特性を変化させるものとしてさらに例示している。
【0053】
いくつかの実施形態では、四重極レンズ効果の結果は、非軸方向の参照電子ビーム602が円筒対称ビームではなくなることである。1つ以上の非点収差を補正するため、および/または非軸方向の参照電子ビーム602を円筒対称にするための多重極子124(例えば、多重極、スティグメータなど)が、軸方向の電子TEMビーム604の焦点面に位置付けられているものとして、
図1に示されている。例えば、参照電子ビーム602が再び円筒対称になるように、多重極子124は、非軸方向の参照電子ビーム602に、少なくとも四重極レンズ効果を適用することができる。軸方向の参照電子ビーム602が点に集束される平面内に補正器が位置付けられているため、ビームに対する補正器の影響は、最小限に抑えられる。
【0054】
集束カラム126は、六重極補正器606を含むものとして示されている。描示される実施形態では、六重極補正器606の六重極608は、軸方向の電子TEMビーム604の焦点面に位置付けられているものとして示されている。集束カラム126は、非軸方向の参照電子ビーム602を試料焦点面612上に集束させるものとして示されている。このことを例示するために、
図6は、軸上の参照電子ビーム602の焦点面614を、試料焦点面612と一致するものとして示す挿入
図610を描示している。挿入
図610は、集束カラム126を、軸方向の電子TEMビーム604が試料焦点面612の上流の焦点面616と試料焦点面614の下流の焦点面618とを有するように軸方向の電子TEMビーム604を集束させるものとしてさらに示している。
【0055】
図7は、二焦点ビームフォーマがMEMSデバイス702を含む場合に、サンプル104を調査するための二焦点マルチビームシステム(複数可)100の例示的な実施形態700の説明図である。
【0056】
例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)700は、複数の電子108を放出軸110に沿って、かつ加速器120に向けて放出する電子源106を含む。加速器120は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116を二焦点ビームフォーマ112に向けて加速/減速させ、集束させ、および/または導く。
図7は、加速器120を、上記で論じたように、二焦点ビームフォーマ112の上流に位置付けられているものとして例示しており、他の実施形態では、二焦点ビームフォーマ112は、電子源106と加速器120との間に位置付けられ得る。
【0057】
例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)700では、二焦点ビームフォーマ112は、MEMSデバイス702に対応する。MEMSデバイス702は、複数の電子108の一部分がMEMSデバイス702を通過できるように各々構成された第1の開口および第2の開口を画定する。このようにして、第1の開口および第2の開口は、複数の電子108を、それぞれ第1の電子ビーム114と第2の電子ビーム116とに分割する。
図7は、第1の電子ビーム114を、軸方向のビームであるとして例示している。
【0058】
MEMSデバイス702は、複数の電極であって、複数の電極に特定の電圧が印加されると、電極が第2の電子ビーム116に少なくとも四重極レンズ効果を適用する四重極電磁場(すなわち、双極子場、四重極場、六重極場、八重極場など)を生成するように構成された、複数の電極をさらに含む。ビームの対応する焦点特性を異ならせるように、四重極レンズ効果は、少なくとも第2の電子ビーム116を集束させ、非点収差補正し、または他の方法で修正する。いくつかの実施形態では、電極は、電極によって生成される電磁場によって第1の電子ビーム114が影響を受けず、および/またはこのような効果が低減されるように、構成されている。あるいは、または加えて、電極の一部分は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116に異なるレンズ効果を適用する電磁場を生成してもよい。
【0059】
図7は、MEMSデバイス702を、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方を集束させるレンズ作用を適用するように構成された集束コンポーネント120の上流に位置付けられているものとして例示している。
図7に示される例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)700では、集束コンポーネントは、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116を集束カラム126に向けて集束させ、および/または導くレンズ120に対応する。ただし、他の実施形態では、加速器122は、電子源106とMEMSデバイス702との間に位置付けられてもよく、加速器122は、(
図1に例示されるように)レンズ704を置き換えるか、または増強してもよい。
【0060】
電子ビーム114および116がサンプル104に入射するように、集束カラム126および対物レンズ128は、電子ビーム114および116を集束させる。具体的には、
図7は、集束カラム126が、第2の電子ビーム116がサンプル104上で集束されるように、第2の電子ビーム116を集束させ、かつ第1の電子ビーム114がサンプル104上で集束されないように、第1の電子ビーム114を集束させることを例示している。
図7は、第2の電子ビーム116を、サンプル104の薄い部分を通過する参照ビームであるとして、かつ第1の電子ビーム114を、サンプル104に入射するTEMビームであるとして示している。
【0061】
いくつかの実施形態では、焦点面第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116は、ビームのうちの一方がサンプル104のまたはサンプル104の近くの平面に集束され、かつ他方の電子ビームがサンプル104の上方および/または下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する平面に集束されるように、修正される。あるいは、または加えて、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116の焦点面は、サンプル104における電子ビームのうちの一方の直径が、サンプルにおける他の電子ビームの直径よりも5倍大きいか、10倍大きいか、20倍大きいか、50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つとなるように、修正されてもよい。
【0062】
図8は、本発明によるMEMSデバイス700の例示的な実施形態800の断面を示す。具体的には、
図8は、複数の電子802を第1の電子ビーム804と第2の電子ビーム806とに分割し、かつ第2の電子ビーム806に少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場パターンを生成する、ように構成されたMEMSデバイス700の断面を例示している。少なくとも四重極レンズ効果により、第1の電子ビーム804および第2の電子ビーム806は、異なる焦点特性を有するようになる。例えば、四重極レンズ効果は、1つのメリジオナル平面(例えば、yz平面)における正のレンズ効果と、垂直メリジオナル平面(例えば、xz平面)における負のレンズ効果と、を適用し、2つのメリジオナル平面の各々における焦点特性に異なる変化を引き起こすことができる。このような実施形態では、別のシステムコンポーネント(例えば、補正器またはスティグメータ)を二焦点ビームフォーマ700の下流に含めて、別の四重極レンズ効果を適用して、ビームを再び円筒対称にすることができる。
【0063】
図8は、MEMSデバイス700を、表面層808、電極層810、および任意でのシールド層812を含むものとして例示している。
図8では、表面層808は、電子802が入射する薄い材料(例えば、箔)を含むものとして示されている。ただし、当業者であれば、他の実施形態において、表面層808が、別個のコンポーネント層に対応するのではなく、電子802が入射する、MEMSデバイス700の1つ以上のコンポーネントの上面に対応してもよいことを理解する。
【0064】
表面層808は、第1の開口816への第1の入口814と、第2の開口820への第2の入口818と、を画定する。いくつかの実施形態では、第1の開口814は、軸方向の開口(すなわち、電子802の放出軸上に位置付けられる)であり、第2の開口818は、非軸方向の開口である。このような実施形態では、第1の電子ビーム804は、軸方向のビームである。第1の入口814は、電子802の第1の部分(すなわち、第1の電子ビーム804)が第1の開口816に入ってMEMSデバイス700を通過できるようにする。同様に、第2の入口818は、電子402の第2の部分(すなわち、第2の電子ビーム806)が第2の開口820に入ってMEMSデバイス700を通過できるようにする。表面層808は、電子802の残りの部分がMEMSデバイス700に入り、および/またはMEMSデバイス700を通過する能力を阻害する。
【0065】
電極層810は、複数のマイクロ電極を含み、複数のマイクロ電極は、対応する電圧が1つ以上の電極に印加されると1つ以上の電極が第1の電子ビーム804および第2の電子ビーム806のうちの一方または両方にレンズ効果を適用する電磁場パターンを生成するように、成形されるか、位置付けられるか、または他の方法で構成されている。レンズ効果により、2つのビームが異なる対応する焦点特性を有するように2つのビームの焦点特性が修正されるようになっている。電極に印加される電圧の大きさ、電極の形状、および電極の厚さ(L)のうちの1つ以上を修正して、生成される電磁場パターンの強度を変化させることができる。本発明によれば、電極層810内の電極は、これらの電極が、第2の電子ビーム806に少なくとも四重極レンズ効果(すなわち、双極子場、四重極場、六重極場、八重極場など)を適用する少なくとも四重極電磁場パターンを生成するように、構成されている。いくつかの実施形態では、電磁場パターンはまた、第1の電子ビーム804および第2の電子ビーム806のうちの一方または両方に双極子場を適用することができる。このような双極子場は、電子ビームのうちの少なくとも一方を、放出軸に垂直な方向に偏向させることができる。
【0066】
図8はまた、MEMSデバイス700を、任意でのシールド層812を含むものとして例示しており、シールド層812は、表面層808の反対側にあり、および第2の電子ビーム816に適用される少なくとも四重極レンズ効果から第1の電子ビーム814を少なくとも部分的に絶縁するように構成されている。
【0067】
図9は、4つの電極を含むMEMSデバイス700の例示的な実施形態900の概略上面図を示す。
図9および
図10は、表面層808によって実線で画定される第1の入口814および第2の入口818を実線で例示している。加えて、
図9および
図10は、電極層810の構成要素を破線で例示している。当業者であれば、破線が、正確な形状を表すのではなく、電極層810内の電極の全体的な輪郭を示すことを認識する。
【0068】
図9は、第1の入口814の半径R
A1を、電極902によって少なくとも部分的に画定される第1の開口の半径R
E1よりも小さいものとして示している。例示的なMEMSデバイス900の実施形態では、半径R
A1は、10μmまたは10μm付近であり得、半径R
E1は、14μm以上または14μm付近以上であり得る。第2の入口818の半径R
A2は、電極902、904、906、および908によって少なくとも部分的に画定される第2の開口の半径R
E2よりも小さいものとして、
図9に示されている。ただし、他の実施形態では、半径R
E1および半径R
A1ならびに/または半径R
E2および半径R
A2の一方または両方が、同じであってもよい。例示的な実施形態900は、半径R
A1と半径R
A2とを等しいおよび/またはおよそ等しいものとして有するものとしてさらに示されているが、このことは、すべての実施形態に必要であるわけではない。第1の入口814と第2の入口818とは、距離Dだけ隔てられている。
【0069】
例示的なMEMSデバイス900の使用中、電極902~908のうちの1つ以上に電圧を印加して、これらの電極が、第2の電子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を生成するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、電極のうちの1つ以上が、接地され得る。例えば、例示的なMEMSデバイス900は、電極904に第1の電圧V1が印加され、かつ電極908に第2の電圧V2が印加され、かつ電極902および電極906が接地されると、第2の電子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を生成することができる。様々な実施形態では、V1およびV2は各々、-20Vよりも大きく、かつ20V未満であり得るが、より大きな電圧を使用することもできる。
【0070】
図10は、7つの電極を含むMEMSデバイス700の例示的な実施形態1000の概略上面図を示す。
図10は、第1の入口814の半径R
A1を、電極1002、1004、1006、および1008によって少なくとも部分的に画定されるような第1の開口の半径R
E1よりも小さいものとして示している。
図10は、第1の開口814を、複数の電子の放出軸1010が通過する軸方向の開口であるとして例示している。
【0071】
第2の入口818の半径R
A2はまた、電極1006、1012、1014、および1016によって少なくとも部分的に画定されるような第2の開口の半径R
E2よりも小さいものとして、
図10に示されている。ただし、他の実施形態では、半径R
E1と半径R
A1、および/または半径R
E2と半径R
A2、の一方または両方が、同じであってもよい。
【0072】
例示的なMEMSデバイス1000の使用中、電極1002~1008および1012~1016のうちの1つ以上に電圧を印加して、これらの電極が、第2の電子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を生成するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、電極のうちの1つ以上が、接地され得る。例えば、例示的なMEMSデバイス1000は、電極1004、1008、1012、および1016に-20V~20Vの値の第1のセットの電圧が印加され、かつ電極1002および1014に-5V~5Vの値の第2のセットの電圧が印加され、かつ電極1006が接地されると、第2の電子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を生成することができる。
【0073】
加えて、当業者であれば、
図9および
図10の破線が電極の例示的な構成を表すことと、実験すれば、第2の電子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を電極に生成させる複数の電極構成(例えば、電極サイズ、電極形状、電極の量、電極のレイアウト、電極に印加される電圧の組み合わせなど)が提供されることと、を理解する。さらには、
図5および
図6の各々は、少なくとも四重極レンズ効果が第2の電子ビームに適用される実施形態を例示しているが、他の実施形態では、電極層は、対応するセットの電圧が電極層に印加されると、第1の電子ビーム(または両方の電子ビーム)に少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を生成するように構成されてもよい。
【0074】
図11は、第2の電子ビームに適用される少なくとも四重極レンズ効果を例示的な実施形態の二焦点ビームフォーマが引き起こすと引き起こされる、第2の電子ビームの焦点特性の変化の説明
図1100である。具体的には、
図11は、エミッタ1102が放出軸1106に沿って複数の電子1104を放出することを示す。複数の電子1104は、円形領域1110において二焦点ビームフォーマ1108に衝突する。二焦点ビームフォーマ1108は、(i)電子ビーム1104を、それぞれ第1の電子ビーム1116および第2の電子ビーム1118に分割する第1の開口1112および第2の開口1114を画定し、かつ(ii)使用時に第2の電子ビーム1118に少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を生成する、MEMSデバイスであるとして、
図11に示されている。
【0075】
図11に例示されるように、いくつかの実施形態では、第2の電子ビーム1118が、(i)第1の電子ビーム1116とは異なる焦点特性を有し、かつ(ii)円筒対称ビームではなくなるように、少なくとも四重極レンズ効果が第2の電子ビーム1118を歪ませる。具体的には、
図11は、二焦点ビームフォーマ1108の下流の平面1120における第1の電子ビーム1116および第2の電子ビーム1118の断面領域を示し、ここで、放出軸は、平面1120に直交している。第1の電子ビーム1116は、第1の電子ビーム1116が平面1120を横切るときに円形の(またはほぼ円形の)断面1122を有するものとして示され、第2の電子ビーム1118は、第2の電子ビーム1118が平面1120を横切るときに非円形の断面1124を有するものとして示されている。出願人は、これらの断面が、本発明による二焦点ビームフォーマのすべての実施形態の性能を例示しておらず、二焦点ビームフォーマ1108の特定の例示的な実施形態に限定されることを注記する。
【0076】
図12は、サンプル104を調査するための二焦点マルチビームシステム(複数可)100の例示的な実施形態1200の説明図であり、二焦点ビームフォーマは、開口レンズアレイ1203を含む。
【0077】
例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)1202は、複数の電子108を放出軸110に沿って、かつ開口レンズアレイ1204に向けて放出する電子源106を含む。開口レンズアレイ1204は、少なくとも1つの開口画定構造1206を含み、開口画定構造1206は、(i)第1の電子ビーム114が少なくとも1つの開口画定構造1206を通過できるようにする第1の開口、(ii)第2の電子ビーム116が少なくとも1つの開口画定構造1206を通過できるようにする第2の開口、および(iii)複数の他の開口を画定する。第1の開口、第2の開口、および複数の開口は全体として、開口画定構造1206および電極(複数可)1208に電圧(複数可)が印加されると、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方にレンズ効果(例えば、少なくとも四重極レンズ効果)を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している。第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116が異なる焦点特性を有するように、レンズ効果は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの一方または両方を歪ませる。
【0078】
開口レンズアレイ1204は、1つ以上の電極(例えば、円盤電極)1208をさらに含む。1つ以上の電極1208の各々は、電極1208に電圧が供給されると、対応する電極と少なくとも1つの開口画定構造1206との間に電場を生成する。加えて、いくつかの実施形態では、電極1208のうちの1つ以上が、少なくとも1つの開口画定構造106に複数の電子108の一部分が到達するのを物理的に遮断してもよい。例えば、電極1208のうちの1つが、電子の第1の部分が電極を通過できる(すなわち、第1の電子ビーム)ようにする第1の開口と、電子の第2の部分が電極を通過できる(すなわち、すなわち、第2の電子ビーム)ようにする第2の開口と、を画定してもよい。
【0079】
図12は、二焦点ビームフォーマ112を、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方を集束させるレンズ作用を適用するように構成された集束コンポーネント120の上流に位置付けられているものとして例示している。
図12に示される例示的な二焦点マルチビームシステム(複数可)1202では、集束コンポーネントは、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116を集束カラム126に向けて加速/減速させ、集束させ、および/または導く加速器122に対応する。
【0080】
電子ビーム114および116がサンプル104に入射するように、集束カラム126および対物レンズ128は、電子ビーム114および116を集束させる。具体的には、
図12は、集束カラム126が、第2の電子ビーム116がサンプル104のまたはサンプル104の近くの平面上で集束されるように、第2の電子ビーム116を集束させ、および第1の電子ビーム114がサンプル104のまたはサンプル104の近くの平面に集束されないように、第1の電子ビーム114を集束させることを例示している。いくつかの実施形態では、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116の焦点特性が修正されることにより、ビームのうちの一方がサンプル104のまたはサンプル104の近くの平面に集束され、かつ他方の電子ビームがサンプル104の上方および/または下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する平面に集束される。あるいは、または加えて、焦点特性第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116は、サンプル104における電子ビームのうちの一方の直径が、サンプルにおける他方の電子ビームの直径よりも50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つとなるように、修正されてもよい。
【0081】
図13は、例示的な開口レンズアレイ1204のための例示的な1300電極1202を例示している。電極1208は、電子が円盤電極1302を通過できるようにする開口1304を画定する円盤電極1302であるとして、
図13に示されている。
【0082】
図14は、例示的な開口レンズアレイ1204のための例示的な1400開口画定構造1402を例示している。例示的な開口画定構造1402は、(i)第1の電子ビームが少なくとも1つの開口画定構造1402を通過できるようにする第1の開口1404、(ii)第2の電子ビームが少なくとも1つの開口画定構造1402を通過できるようにする第2の開口1406、および(iii)複数の他の開口1408を画定する。
図14に示される例示的な実施形態では、第1の開口1404、第2の開口1406、および3つの開口1408の各々は、開口画定構造1402の正中線1410に沿って位置付けられている。
【0083】
図14は、複数の他の開口1408の各々を、電子が開口画定構造1402を通過できるようにする穴であるとして例示している。ただし、他の実施形態では、開口1408のうちの1つ以上は、電子が入ることはできるが、電子が開口画定構造を通過することはできない空の空間を開口画定構造1402が画定する空洞であってもよい。第1の開口1404、第2の開口1406、および複数の開口1408は全体として、少なくとも第2の電子ビームにレンズ効果(例えば、少なくとも四重極レンズ効果)を適用する電磁場を誘起するパターンを形成している。
【0084】
図15は、1つの開口画定構造を有する例示的な開口レンズアレイ1500の断面を例示している。具体的には、
図15は、
図13の例示的な電極1302と、
図14の例示的な開口構造1402と、を含む例示的な開口レンズアレイ1500の断面を示し、断面の切り口は、例示的な開口構造1402の正中線1410と位置整合している。
【0085】
図15は、電子1502が電極1302に向けて放出軸に沿って放出されることを示している。電子1502の一部分が、開口1304と第1の開口1404との両方を通過し、第1の電子ビーム1506になる。電子1502の別の部分が、開口1304と第2の開口1406との両方を通過し、第2の電子ビーム1508になる。いくつかの実施形態では、開口レンズアレイ1500は、少なくとも1つの開口画定構造1402が2つの電極の間にあるように位置付けられた第2の電極を含む。電極1302(A)、電極1302(B)、両方の電極1302(A)および1302(B)、および/または開口画定構造1402に電圧が印加されると、電極1302と開口画定構造1402とに間に電磁場が作り出される。
図15は、開口レンズアレイ1500を、2つの電極を含むものとして例示しているが、いくつかの実施形態では、開口レンズアレイ1500は、1つの電極(電極1302(A)または1302(B)のいずれか)のみを含んでもよい。
【0086】
開口レンズアレイ1500は、電極1302の構成(すなわち、一方の電極、両方の電極、このような電極の位置、このような電極の幾何形状など)と、電極1302の個々のものおよび開口画定構造1402に印加される電圧(または電圧の欠如)と、第1の開口1404、第2の開口1406、および複数の開口1408が全体として、第1の電子ビームに対する第1のレンズ効果と第2の電子ビームに対する第2のレンズ効果とを作り出す電磁石場を作り出すパターンであって、第1のレンズ効果と第2のレンズ効果とが異なる、パターンのように、構成されている。例えば、本発明の実施形態では、電磁場は、第1の電子ビーム1506と第2の電子ビーム1508とが異なる焦点特性を有するようにするレンズ効果(例えば、少なくとも四重極レンズ効果)を作り出すことができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、電磁場はまた、第1の電子ビーム1506および第2の電子ビーム1508のうちの一方または両方を、放出軸1504から離れるように偏向する。また、
図15は、第1の電子ビーム1508を、複数の電子1502の放出軸1504に沿って移動する軸方向のビームとして例示しているが、このことは、すべての実施形態において必要であるわけではない。
【0088】
図16~
図24は、
図25に例示されるマルチ開口アセンブリ2500で使用できる例示的な中央構造を示す。具体的には、
図16は、穴と空洞との組み合わせを含む例示的な開口レンズアレイの例示的な開口画定構造1600を例示している。例示的な開口画定構造1602は、(i)第1の電子ビームが少なくとも1つの開口画定構造1602を通過できるようにする第1の開口1604、(ii)第2の電子ビームが少なくとも1つの開口画定構造1602を通過できるようにする第2の開口1606、および(iii)複数の他の開口1608を画定する。第1の開口1604、第2の開口1606、および複数の開口1608は全体として、マルチ開口アセンブリ2500の使用中に、少なくとも開口画定構造1600ならびに電極2504および2512に電圧が適用されると、少なくとも第2の電子ビームにレンズ効果(例えば、少なくとも四重極レンズ効果)を適用する電磁場を誘起するパターンを形成している。いくつかの実施形態では、開口レンズ構造1602は、第1の開口1604、第2の開口1606、および複数の開口1608の各々を画定する単一の物理的コンポーネントを含む。ただし、他の実施形態では、開口レンズ構造1602は、2つ以上のコンポーネント物理的構造を含んでもよい。
【0089】
図16は、複数の他の開口1608のうちの5つが穴1610に対応し、かつ複数の他の開口1608のうちの4つが空洞1612に対応する、例示的な実施形態を例示している。ただし、他の実施形態では、複数の他の開口1608は、複数の他の開口1608のすべてが穴(例えば、
図14に例示される開口画定構造)または空洞のうちの1つに排他的に対応する実施形態を含む、穴および空洞の他の組み合わせおよび/またはパターンを含んでもよい。
図16に示される例示的な実施形態では、第1の開口1604、第2の開口1606、および2つの他の開口1608の各々は、開口画定構造1602の線1614に沿って位置付けられている。
【0090】
図17は、単一の物理的構造1702を含む例示的な開口構造1602の断面1700を例示している。具体的には、
図17は、
図16の例示的な開口構造1602の実施形態の断面を示しており、断面の切り口は、線1614と位置整合している。電子1704の第1の部分は、穴1706を介して物理的構造1702を通過することができる。
図17は、電子1704の第2の部分が、電子が物理的構造1702を通過するのを防止する空洞1708に入ることができることをさらに示している。
【0091】
図18は、第1の物理的構造1802および第2の物理的構造1804を含む例示的な開口構造1602の断面1800を例示している。具体的には、
図18は、例示的な開口構造1602の実施形態の断面を示しており、開口構造1602は、断面の切り口が線1614と位置整合している2つの構造(例えば、箔)からなる。
図18は、例示的な開口構造1602の穴1806を、共同で電子1808の第1の部分が開口構造1602を通過できるようにする、第1の物理的構造1802および第2の物理的構造1804の相補的な開口に対応するものとして例示している。
図18はまた、空洞1810を、第2の物理的構造1804に相補的な開口を有さない、第1の物理的構造1802の開口に対応するものとして例示している。言い換えれば、空洞1810は、電子1808の第2の部分が、第1の物理的構造1802と第2の物理的構造1804との間の空間1812に入ることはできるが、開口構造1602を通過することはできないように、構成されている。
【0092】
図19および
図20は、
図25に例示される開口レンズアレイ2500に開口画定構造2306を形成するために使用できる、コンポーネント物理的構造の対を例示している。具体的には、
図19は、2つの物理的構造を含む例示的な開口画定構造の例示的な第1のコンポーネント物理的構造1900を例示している。例示的な開口画定構造1900は、(i)第1の電子ビームが第1のコンポーネント物理的構造1900を通過できるようにする第1の開口1904、(ii)第2の電子ビームが第1のコンポーネント物理的構造1900を通過できるようにする第2の開口1906、および(iii)複数の他の開口1908を画定する。これらの開口の各々は、矩形の幾何形状(例えば、長いスロット)を有するものとして例示されている。このような矩形の開口は、例示的な開口画定構造の使用中に矩形の開口を通過する電子に円筒形のレンズ効果を作り出すように構成されている。
図19に示される例示的な実施形態では、第1の開口1904、第2の開口1906、および2つの開口1908の各々は、第1のコンポーネント物理的構造1900の正中線1910に沿って位置付けられている。
【0093】
図20は、2つの物理的構造を含む例示的な開口画定構造の例示的な第2のコンポーネント物理的構造2000を例示している。例示的な第2のコンポーネント物理的構造2000は、(i)第1の電子ビームが第2のコンポーネント物理的構造2000を通過できるようにする第1の開口2004、(ii)第2の電子ビームが第2のコンポーネント物理的構造2000を通過できるようにする第2の開口2006、および(iii)複数の他の開口2008を画定する。開口2004および2008は、
図19に例示される第1のコンポーネント物理的構造1900によって画定される開口と同様の、矩形の幾何形状を有するものとして示されている。第2の開口2006は、矩形の幾何形状と円形の幾何形状との両方を組み合わせたものとして、
図20に例示されている。言い換えれば、第2の開口2006は、中央に位置付けられ、かつ矩形の幾何形状を有する開口でオーバーレイされた、円形の開口として示されている。第2の開口1906および第2の開口2006の幾何形状のこの組み合わせは、電子ビームBが第2の開口1906および2006を通過する際に、電子ビームBに正味の四重極レンズ効果が適用されるようにする。同様に、第1の開口1904および第1の開口2004の幾何形状は、電子ビームAに正味のレンズ効果が適用されないようにする。
図20に示される例示的な実施形態では、第1の開口2004、第2の開口2006、および2つの開口2008の各々は、正中線2010に沿って位置付けられている。
【0094】
図21および
図20は、
図25に例示される開口レンズアレイ2500に開口画定構造2306を形成するために使用できる、コンポーネント物理的構造の対を例示している。具体的には、
図21は、2つの物理的構造を含む例示的な開口画定構造の例示的な第1のコンポーネント物理的構造2100を例示している。例示的な第1のコンポーネント物理的構造2100は、(i)第1の電子ビームが第1のコンポーネント物理的構造2100を通過できるようにする第1の開口2104、(ii)第2の電子ビームが第1のコンポーネント物理的構造2100を通過できるようにする第2の開口2106、および(iii)複数の他の開口2108を画定する。このような開口は、例示的な開口画定構造の使用中に、第2の開口2106を通過する電子に四重極レンズ効果を作り出すように構成されている。
図21に示される例示的な実施形態では、第1の開口2104、第2の開口2106、および他の開口2108の各々は、第1のコンポーネント物理的構造2100の正中線2110に沿って位置付けられている。
【0095】
図22は、2つの物理的構造を含む例示的な開口画定構造の例示的な第2のコンポーネント物理的構造2200を例示している。例示的な第2のコンポーネント物理的構造2200は、(i)第1の電子ビームが第2のコンポーネント物理的構造2200を通過できるようにする第1の開口2204、(ii)第2の電子ビームが第2のコンポーネント物理的構造2200を通過できるようにする第2の開口2206、および(iii)複数の他の開口2208を画定する。開口2204および2208は、
図22に例示される第1のコンポーネント物理的構造2200によって画定される開口と同様の幾何形状を有するものとして示されている。第2の開口2106および第2の開口2206の幾何形状の組み合わせは、電子ビームAに正味のレンズ効果が適用されないようにする。同様に、第1の開口2104および第1の開口2204の幾何形状は、電子ビームBが第2の開口2106および2206を通過する際に、電子ビームBに正味の四重極レンズ効果が適用されるようにする。
図22に示される例示的な実施形態では、第1の開口2204、第2の開口2206、および2つの開口2028の各々は、正中線2210に沿って位置付けられている。
【0096】
図23および
図24は、
図25に例示される開口レンズアレイ2500に開口画定構造2506を形成するために使用できる、コンポーネント物理的構造の対を例示している。具体的には、
図23は、2つの物理的構造を含む例示的な開口画定構造の例示的な第1のコンポーネント物理的構造2300を例示している。例示的な第1のコンポーネント物理的構造2300は、(i)第1の電子ビームが第1のコンポーネント物理的構造2300を通過できるようにする第1の開口2304、(ii)第2の電子ビームが第1のコンポーネント物理的構造2300を通過できるようにする第2の開口2306、および(iii)複数の他の開口2308を画定する。これらの開口の各々は、矩形の幾何形状(例えば、長いスロット)を有するものとして例示されている。このような矩形の開口は、例示的な開口画定構造の使用中に矩形の開口を通過する電子に円筒形のレンズ効果を作り出すように構成されている。
図23に示される例示的な実施形態では、第1の開口2304、第2の開口2306、および2つの開口2308の各々は、第1のコンポーネント物理的構造2300の正中線2310に沿って位置付けられている。
【0097】
図24は、2つの物理的構造を含む例示的な開口画定構造の例示的な第2のコンポーネント物理的構造2400を例示している。例示的な第2のコンポーネント物理的構造2400は、(i)第1の電子ビームが第2のコンポーネント物理的構造2400を通過できるようにする第1の開口2404、(ii)第2の電子ビームが第2のコンポーネント物理的構造2400を通過できるようにする第2の開口2406、および(iii)複数の他の開口2408を画定する。開口2404および2408は、
図23に例示される第1のコンポーネント物理的構造2300によって画定される開口と同様の矩形を有するものとして示されている。第2の開口2306および第2の開口2406の幾何形状のこの組み合わせは、電子ビームAに正味のレンズ効果が適用されないようにする。同様に、第1の開口2304および第1の開口2404の幾何形状は、第2の開口2306および2406を通過する電子ビームBに正味の四重極レンズ効果が適用されるようにする。
図24に示される例示的な実施形態では、第1の開口2404、第2の開口2406、および2つの開口2408の各々は、正中線2410に沿って位置付けられている。
【0098】
図25は、第1の電極2502、第2の電極2504、および開口画定構造2506を含む、例示的な開口レンズアレイ2500の断面を例示している。
図25は、電子2508が第1の電極2502に向けて放出されることを示している。第1の電極2502は、電子2508の一部分が第1の電極2502を通過できるようにする開口2512の対を画定するものとして示されている。いくつかの実施形態では、第1の電極2502は、2つの開口2512を画定する導電性箔に対応し得る。電子2508の第1の部分は、第1の開口の両方を通過し、第1の電子ビーム2514になる。電子2508の別の部分は、第2の開口の両方を通過し、第2の電子ビーム2516になる。
【0099】
すべての実施形態では、開口レンズアレイ2500は、開口画定構造2506が2つの電極の間にあるように位置付けられた第2の電極2504を含む。第2の電極2504は、第1の電子ビーム2514および第2の電子ビーム2516が第2の電極2504を通過できるようにする開口2518を画定する円盤電極に対応し得る。
【0100】
電極2502および2504の両方、および/または開口画定構造2506に特定の電圧が印加されると、電極2502および2504の間に、電磁場が作り出される。電磁場と、開口画定構造2506によって画定される開口が全体として、第1の電子ビーム2514と第2の電子ビーム2516とが異なる焦点面を有するようにするレンズ効果を作り出すパターン。
【0101】
非限定的であるが、単純な代表的な計算を使用して、上流コンポーネントおよび下流コンポーネントに対して異なるアレイパターンを有する本発明のいくつかの実施形態(例えば、
図19および
図20に描示される実施形態、
図21および
図22に描示される実施形態、
図23および
図24に描示される実施形態)の性能を例示することができる。この単純な代表的な計算を可能にするために、以下の段落では、次のように仮定している。
(a)至るところで|φ
0(Z)|<<Uであり、
(b)開口アレイプレートの近くの場成分
【数2】
が、E
up(すなわち、開口画定構造2506の上方の非ゼロ電場)から、開口画定構造2306の上方での0に変化し、
(c)開口アレイプレートの近くの場成分
【数3】
が、0から、開口画定構造2506の下方のE
low(すなわち、開口画定構造2506の下方の非ゼロ電場)に変化し、および
(d)アレイプレート間の場は、ゼロ場(例えば、
図19および
図20のプレート)である。
【0102】
単純な代表的な計算では、xおよびy方向の2次までの静電ポテンシャルは、xz平面およびyz平面内で鏡面対称である静電ポテンシャルについて、一般に、
【数4】
と表せる。式(1)において、Uは、開口レンズアレイ2500の上方の電子エネルギーを表し、その他の項は、電極2502および2504の両方、および/または開口画定構造2506に印加される電圧によって誘起される。この静電ポテンシャルについてのラプラス方程式(Δφ=0)は、p+q=-1/2を示す。いくつかの例では、このことは、丸開口レンズについてのp=q=-1/4に対応し、xz平面内に集束させるシリンドリカルレンズについてのp=-1/2およびq=0に対応する(
図19に描示される実施形態など)。
【0103】
単純な代表的な計算によれば、開口画定構造2506の上流成分は、レンズ強度
【数5】
を生じさせる。
同様に、開口画定構造2506の下流コンポーネントは、レンズ強度
【数6】
を生じさせる。
これらの式では、f
xおよびf
yは、それぞれ、xz平面およびyz平面における焦点距離であり、U
-1Q
upおよびU
-1Q
lowは、四重極ポテンシャルφ
2(z)(x
2-y
2)によって誘起される四重極レンズの強度である。
【0104】
いくつかの好ましい実施形態では、E
up=E
low≡E。このような実施形態では、総レンズ強度は、以下に単純化される。
【数7】
p
up+q
up=p
low+q
low=-1/2であるため、このような実施形態では、純粋な四重極レンズ作用のみがあることを意味する、κ
y=-κ
xとなる。
【0105】
電磁場が物理的構造1900および2000の両側で同じである開口レンズアレイ2100の実施形態では、第1の電子ビーム2108が第1の開口1904を通って移動することによって引き起こされるレンズ効果は、第1の電子ビーム2108が第1の開口2004を通って移動することによって引き起こされるレンズ効果によって、打ち消され、および/または他の方法で無効にされる。加えて、このような実施形態では、第2の電子ビーム2110が第2の開口1906を通って移動することによって引き起こされるレンズ効果と、第2の電子ビーム2110が第2の開口2006を通って移動することによって引き起こされるレンズ効果と、が組み合わさって、少なくとも四重極レンズ効果を形成する。
【0106】
図26は、サンプル104を調査するための二焦点マルチビーム電子システム(複数可)100の例示的な実施形態2600の説明図であり、二焦点ビームフォーマ112は、ビーム分割機構2604および1つ以上の集束デバイス2606を含む。
【0107】
例示的な二焦点マルチビーム電子システム(複数可)2602は、放出軸110に沿って、かつ二焦点ビームフォーマ112に向けて、複数の電子108を放出する電子源106を含む。本発明の例示された実施形態では、二焦点ビームフォーマ112は、少なくとも(i)複数の電子108を第1の電子ビーム114と第2の電子ビーム116とに分割するビーム分割機構2604、および(ii)2つのビームが同じ対応する焦点面を有さないように、電子ビームのうちの一方または両方の焦点特性を修正するように構成された1つ以上の集束デバイス2606、を含むものとして示されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の集束デバイス2606は、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの一方または両方を、放出軸110から離れるように偏向させるようにさらに構成されている。
【0108】
図26では、ビーム分割機構2604は、第1の電子ビーム114がビーム分割機構2604を通過できるようにする第1の開口と、第2の電子ビーム116がビーム分割機構2604を通過できるようにする第2の開口と、を画定する物理的構造に対応するものとして示されている。
図26は、1つ以上の集束デバイス2606を、任意で2つのレンズに対応するものとしてさらに例示している。ただし、他の実施形態では、集束デバイス2606は、3つ以上のレンズ、電子ビームのうちの一方のみを修正する単一のレンズ、2つの電子ビームがレンズを通過するような高次の収差を有する単一のレンズに対応してもよい。加えて、
図26は、ビーム分割機構2604を、1つ以上の集束デバイス2606の上流にあるとして例示しているが、例示的な二焦点マルチビーム電子システム2602の他の実施形態では、ビーム分割機構2604は、1つ以上の集束デバイス2606の下流にあってもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、集束デバイス2606のうちのいくつかは、ビーム分割機構2604の上流にあってもよい一方、集束デバイス2606のうちの他のものは、ビーム分割機構2604の下流にあってもよい。
【0109】
図26は、二焦点ビームフォーマ112を、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116のうちの少なくとも一方を集束させるレンズ作用を適用するように構成された集束コンポーネント120の上流に位置付けられているものとして例示している。
図26に示される例示的な二焦点マルチビーム電子システム(複数可)2602では、集束コンポーネントは、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116を集束カラム126に向けて加速/減速させ、集束させ、および/または導く加速器122に対応する。
【0110】
集束カラム126および対物レンズ128は、電子ビーム114および116がサンプル104に入射するように、電子ビーム114および116を集束させる。具体的には、
図26は、第2の電子ビーム116がサンプル104上で集束されるように、第2の電子ビーム116を集束させ、かつ第1の電子ビーム114がサンプル104上で集束されないように、第1の電子ビーム114を集束させる集束カラム126を例示している。いくつかの実施形態では、焦点特性第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116は、ビームのうちの一方がサンプル104のまたはサンプル104の近くの平面に集束され、かつ他方の電子ビームがサンプル104の上方および/または下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する平面に集束されるように、修正される。あるいは、または加えて、第1の電子ビーム114および第2の電子ビーム116の焦点特性は、サンプル104における電子ビームのうちの一方の直径が、サンプルにおける他方の電子ビームの直径よりも50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つとなるように、修正されてもよい。
【0111】
本開示による本発明の主題の例は、以下に列挙される段落で説明される。
【0112】
A1.サンプルを調査するための方法であって、サンプルに向けて複数の荷電粒子を放出することと、複数の荷電粒子を第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームに形成することと、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することと、を含む、方法。
【0113】
A1.1.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の荷電粒子ビームが第1の焦点面を有し、かつ第2の荷電粒子ビームが第1の焦点面とは異なる第2の焦点面を有するように、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの1つ以上を修正することを含む、段落A1の方法。
【0114】
A1.1.1.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の荷電粒子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に第1の焦点面を有し、かつ第2の荷電粒子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に焦点面を有さないように、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの1つ以上を修正することを含む、段落A1.1の方法。
【0115】
A1.1.2.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第2の荷電粒子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に焦点面を有し、かつ第1の荷電粒子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に焦点面を有さないように、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの1つ以上を修正することを含む、段落A1.1の方法。
【0116】
A1.2.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの一方に丸レンズ作用を適用することを含む、段落A1~A1.1.2のいずれかの方法。
【0117】
A1.2.1.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとの両方に丸レンズ作用を適用することを含む、段落A1.2の方法。
【0118】
A1.2.1.1.第1の荷電粒子ビームに適用される丸レンズ作用が、第2の荷電粒子ビームに適用される丸レンズ作用とは異なる、段落A1.2.1の方法。
【0119】
A1.3.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの一方に少なくとも四重極レンズ作用を適用することを含む、段落A1~A1.2.1.1のいずれかの方法。
【0120】
A1.4.第1の荷電粒子ビームが、複数の荷電粒子の放出軸に沿って移動する軸方向のビームであり、第2の荷電粒子ビームが、非軸方向のビームである、段落A1~A1.3のいずれかの方法。
【0121】
A1.5.第2の荷電粒子ビームが、複数の荷電粒子の放出軸に沿って移動する軸方向のビームであり、第1の荷電粒子ビームが、非軸方向のビームである、段落A1~A1.4のいずれかの方法。
【0122】
A2.荷電粒子が、電子であり、荷電粒子ビームが、電子ビームである、段落A1~A1.5のいずれかの方法。
【0123】
A3.サンプルにおける第2の荷電粒子ビームの第2のビーム直径が、サンプルにおける第1の荷電粒子ビームの第1のビーム直径よりも、5倍大きいか、10倍大きいか、20倍大きいか、50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つである、段落A1~A2のいずれかの方法。
【0124】
A3.1.第2のビーム直径が、第1の荷電粒子ビームの各クロスオーバ点のまたは各クロスオーバ点に近接した第1のビーム直径よりも、5倍大きいか、10倍大きいか、20倍大きいか、50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つである、段落A3の方法。
【0125】
A4.第1の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて第2の荷電粒子ビームに対して傾斜している、段落A1~A3.1のいずれかの方法。
【0126】
A5.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームが、コヒーレントなビームである、段落A1~A4のいずれかの方法。
【0127】
A6.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームの各々を加速器で最終エネルギーに加速することをさらに含む、段落A1~A5のいずれかの方法。
【0128】
A7.複数の荷電粒子を加速器で最終エネルギーに加速することをさらに含む、段落A1~A5のいずれかの方法。
【0129】
A8.複数の荷電粒子を形成することと、焦点特性の修正と、の各々が、二焦点ビームフォーマによって実行される、段落A1~A7のいずれかの方法。
【0130】
A8.1.二焦点ビームフォーマが、加速器の上方に位置する、A6に従属する場合の段落A8の方法。
【0131】
A8.2.二焦点ビームフォーマが、加速器の下方に位置する、A7に従属する場合の段落A8の方法。
【0132】
A8.3.二焦点ビームフォーマが、第2の荷電粒子ビームを歪ませる、段落A8~A8.2のいずれかの方法。
【0133】
A8.4.二焦点ビームフォーマが、第2の荷電粒子ビームの焦点面を変化させる、段落A8~A8.3のいずれかの方法。
【0134】
A8.5.二焦点ビームフォーマが、第2の荷電粒子ビームを円筒対称ビームではないようにする、段落A8~A8.4のいずれかの方法。
【0135】
A8.5.1.第2の荷電粒子ビームを、スティグメータを用いて円筒対称ビームにすることをさらに含む、段落A8.5の方法。
【0136】
A8.6.二焦点ビームフォーマが、第2の荷電粒子ビームが1つ以上の収差を有するようにする、A8~A8.5.1のいずれかの方法。
【0137】
A8.6.1.1つ以上の収差のうちの少なくとも1つが、決定論的収差である、段落A8.6の方法。
【0138】
A8.6.2.二焦点ビームフォーマが、システム内の別の収差を補正するために1つ以上の収差のうちの少なくとも1つを引き起こすように位置付けられ、および/または構成されている、段落A8.6~8.6.1のいずれかの方法。
【0139】
A8.7.二焦点ビームフォーマが、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方を、複数の荷電粒子の放出軸から離れるように偏向するようにさらに構成されている、段落A8~A8.6.2のいずれかの方法。
【0140】
A9.二焦点ビームフォーマが、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性の修正を少なくとも部分的に引き起こす少なくとも四重極レンズ効果を生成するように構成されたMEMSデバイスを含む、段落A8~A8.7のいずれかの方法。
【0141】
A9.1.MEMSデバイスが、第1の開口および第2の開口を画定する構造を含み、第1の荷電粒子ビームが、第1の開口を通過し、第2の荷電粒子ビームが、第2の開口を通過する、段落A9の方法。
【0142】
A9.1.1.第1の開口が、第2の開口と同じ半径を有する、段落A9.1の方法。
【0143】
A9.1.2.第1の開口が、第2の開口よりも小さい半径を有する、段落A9.1の方法。
【0144】
A9.1.3.第1の開口が、第2の開口よりも大きい半径を有する、段落A9.1の方法。
【0145】
A9.1.4.MEMSデバイスが、複数の荷電粒子に面する表面層を含み、第1の開口および第2の開口が、表面層によって画定される、段落A9.1~A9.1.3のいずれかの方法。
【0146】
A9.1.4.1.表面層が、箔である、段落A9.1.4の方法。
【0147】
A9.1.5.第1の開口が、複数の荷電粒子の放出軸上に位置付けられた軸方向の開口であり、第2の開口が、非軸方向の開口である、段落A9.1~A9.1.4.1のいずれかの方法。
【0148】
A9.1.6.第2の開口が、複数の荷電粒子の放出軸上に位置付けられた軸方向の開口であり、第1の開口が、非軸方向の開口である、段落A9.1~A9.1.4.1のいずれかの方法。
【0149】
A9.2.MEMSデバイスが、1つ以上の電極を含む、段落A9~A9.1.5のいずれかの方法。
【0150】
A9.2.1.1つ以上の電極に、対応する電圧が印加されると、1つ以上の電極が、少なくとも四重極レンズ効果を少なくとも部分的に適用する電磁場を生成する、段落A9.2の方法。
【0151】
A9.2.1.1つ以上の電極のうちの少なくとも1つが、接地されている、段落A9.2~A9.2.1のいずれかの方法。
【0152】
A9.2.2.MEMSデバイスが、表面層の反対側にある絶縁層を含む、A9.1.4に従属する場合の段落A9.2~A9.2.1のいずれかの方法。
【0153】
A9.2.2.1.1つ以上の電極が、絶縁層と表面層との間に位置付けられた電極層に位置する、段落A9.2.2の方法。
【0154】
A9.2.3.1つ以上の電極が、4つの電極を含む、段落A9.2~A9.2.2.1のいずれかの方法。
【0155】
A9.2.4.1つ以上の電極が、7つの電極を含む、段落A9.2~A9.2.2.1のいずれかの方法。
【0156】
A9.3.少なくとも四重極レンズ効果が、双極レンズ効果、四重極レンズ効果、六重極レンズ効果、および八重極レンズ効果のうちの1つである、段落A9~A9.2.4のいずれかの方法。
【0157】
A9.4.少なくとも四重極場が、第1の荷電粒子ビームの焦点面を変化させない、段落A9~A9.3のいずれかの方法。
【0158】
A9.5.MEMSデバイスが、1つ以上の双極子場を生成するようにさらに構成されている、段落A9~A9.4のいずれかの方法。
【0159】
A9.5.1.1つ以上の双極子場が、荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方を、放出軸に垂直な方向に偏向させる、段落A9.5の方法。
【0160】
A9.6.四重極レンズ効果が、第1の荷電粒子ビームの第1のメリジオナル平面における、第1の荷電粒子ビームに対する正のレンズ効果と、第1の荷電粒子ビームの第2のメリジオナル平面における、第1の荷電粒子ビームに対する負のレンズ効果と、を適用し、第1のメリジオナル平面が、第2のメリジオナル平面に垂直である、段落A9~A9.5.1のいずれかの方法。
【0161】
A9.6.1.四重極場によって引き起こされる、第1のメリジオナル平面における第1の荷電粒子ビームの焦点面の第1の変化が、四重極場によって引き起こされる、第2のメリジオナル平面における第1の荷電粒子ビームの焦点面の第2の変化とは異なる、段落A9.6の方法。
【0162】
A9.7.四重極レンズ効果が、第2の荷電粒子ビームの第1のメリジオナル平面における、第2の荷電粒子ビームに対する正のレンズ効果と、第2の荷電粒子ビームの第2のメリジオナル平面における、第2の荷電粒子ビームに対する負のレンズ効果と、を適用し、第1のメリジオナル平面が、第2のメリジオナル平面に垂直である、段落A9~A9.5.1のいずれかの方法。
【0163】
A9.7.1.四重極場によって引き起こされる、第1のメリジオナル平面における第2の荷電粒子ビームの焦点面の第1の変化が、四重極場によって引き起こされる、第2のメリジオナル平面における第2の荷電粒子ビームの焦点面の第2の変化とは異なる、段落A9.7の方法。
【0164】
A10.二焦点ビームフォーマが、第1の開口および第2の開口を画定する物理的構造であって、第1の荷電粒子ビームが第1の開口を通過し、かつ第2の荷電粒子ビームが第2の開口を通過する、物理的構造と、第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとが異なる焦点面を有するように、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を調整するように位置付けられ、および/または構成されたレンズと、を含む、段落A8~A8.6.2のいずれかの方法。
【0165】
A10.1.第1の荷電粒子ビームが、第1の開口を通過し、第2の荷電粒子ビームが、第2の開口を通過する、段落A10の方法。
【0166】
A10.2.レンズが、アインツェルレンズである、段落A10~A10.1のいずれかの方法。
【0167】
A10.3.レンズが、物理的構造の上方に位置付けられている、段落A10~A10.2のいずれかの方法。
【0168】
A10.4.レンズが、物理的構造の下方上方に位置付けられている、段落A10~A10.2のいずれかの方法。
【0169】
A10.5.レンズが、第2の荷電粒子ビームの焦点面を調整するように位置付けられ、および/または構成されている、段落A10~A10.4のいずれかの方法。
【0170】
A10.5.1.レンズが、第1の荷電粒子ビームの焦点面を調整するように位置付けられ、および/または構成されていない、段落A10.5の方法。
【0171】
A11.二焦点ビームフォーマが、第1の荷電粒子ビームが少なくとも1つの物理的構造を通過できるようにする第1の開口と、第2の荷電粒子ビームが少なくとも1つの物理的構造を通過できるようにする第2の開口と、複数の他の開口と、を画定する少なくとも1つの物理的構造を含む、段落A6~A6.5のいずれかの方法。
【0172】
A11.1.第1の開口、第2の開口、および複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第2の荷電粒子ビームにレンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落A11の方法。
【0173】
A11.1.1.第1の開口、第2の開口、および複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第2の荷電粒子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落A11.1の方法。
【0174】
A11.1.1.1.電磁場が、二焦点ビームフォーマの使用中に第1の荷電粒子ビームに四重極レンズ効果を適用しない、段落A11.1.1の方法。
【0175】
A11.1.2.第1の開口、第2の開口、および複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第1の荷電粒子ビームに円形レンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落A11.1~A11.1.1.1のいずれかの方法。
【0176】
A11.1.2.1.複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第2の荷電粒子ビームに少なくとも円形レンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落A11.1.2の方法。
【0177】
A11.1.3.電磁場によって適用されるレンズ効果が、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性の修正を少なくとも部分的に引き起こす、段落A11.1~A11.2.1のいずれかの方法。
【0178】
A11.1.3.1.電磁場が、第1の荷電粒子ビームの焦点特性を変化させる、段落A11.1.3の方法。
【0179】
A11.3.複数の開口のうちの少なくとも1つの開口が、穴である、段落A11~A11.2.1のいずれかの方法。
【0180】
A11.3.1.穴が、
【0181】
少なくとも1つの物理的構造の第1の表面内に画定される入口であって、第1の表面が複数の荷電粒子に面する、入口と、第1の表面の反対側にある少なくとも1つの物理的構造の第2の表面内に画定される出口と、入口と出口とを接続する空の容積と、を含む、段落A11.3の方法。
【0182】
A11.3.1.1.第1の表面および第2の表面が各々、単一の物理的構造の表面である、段落A11.3.1の方法。
【0183】
A11.3.1.2.第1の表面および第2の表面が各々、異なる物理的構造の表面である、段落A11.3.1の方法。
【0184】
A11.4.複数の開口のうちの少なくとも1つの開口が、空洞である、段落A11~A11.3.1.2のいずれかの方法。
【0185】
A11.4.1.空洞が、少なくとも1つの物理的構造の第1の表面内に画定される入口であって、第1の表面が複数の荷電粒子に面する、入口と、入口と連通し、かつ少なくとも1つの物理的構造によって画定される空の容積と、を含み、入口を介して空の容積に入る、複数の荷電粒子のうちの荷電粒子が二焦点ビームフォーマを通過しないように、少なくとも1つの物理的構造が、空の容積を画定する、段落A11.4の方法。
【0186】
A11.4.1.1.空洞が、単一の物理的構造によって画定される、段落A11.4.1の方法。
【0187】
A11.4.1.2.空洞が、複数の物理的構造によって画定される、段落A11.4.1の方法。
【0188】
A11.5.複数の開口が、穴と空洞との組み合わせを含む、段落A11.3~A11.4.1.2のいずれかの方法。
【0189】
A11.6.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、円形である、段落A11~A11.5のいずれかの方法。
【0190】
A11.7.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、矩形である、段落A11~A11.5のいずれかの方法。
【0191】
A11.7.1.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、正方形である、段落A11~A11.5のいずれかの方法。
【0192】
A11.7.2.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、丸い角を有する、段落A11~A11.5のいずれかの方法。
【0193】
A11.8.第1の開口、第2の開口、および複数の開口の幾何形状が、均一ではない、段落A11~A11.7.2のいずれかの方法。
【0194】
A11.9.第1の開口、第2の開口、および複数の開口のサイズが、均一ではない、段落A11~A11.8のいずれかの方法。
【0195】
A11.10.二焦点ビームフォーマが、第1の印加電圧を受け取るように構成された第1の電極をさらに含む、段落A11~A11.9のいずれかの方法。
【0196】
A11.10.1.第1の電極が、複数の荷電粒子の少なくとも一部分が第1の電極を通過できるようにする電極入口開口を少なくとも部分的に画定する物理的構造を含む、段落A11.10の方法。
【0197】
A11.10.1.1.電極入口開口が、複数の荷電粒子の第1の部分が第1の電極を通過できるようにする第1の電極入口開口であり、第2の電極が、複数の荷電粒子の第2の部分が第1の電極を通過できるようにする第2の電極入口開口をさらに画定する、段落A11.10.1の方法。
【0198】
A11.10.2.第1の電極が、第1の開口、第2の開口、および複数の開口の上流にある、段落A11.10~A11.10.1.1のいずれかの方法。
【0199】
A11.10.3.第1の電極が、円盤形状の電極である、段落A11.10~A11.10.2のいずれかの方法。
【0200】
A11.10.4.二焦点ビームフォーマが、第2の印加電圧を受け取るように構成された第2の電極をさらに含む、段落A11.10~A11.10.2のいずれかの方法。
【0201】
A11.10.4.1.第1の電圧が、第2の電圧とは異なる、段落A11.10.4の方法。
【0202】
A11.10.4.2.第1の電圧と第2の電圧とが、異なる、段落A11.10.4の方法。
【0203】
A11.10.4.3.第2の電極が、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方が第2の電極を通過する電極出口開口を少なくとも部分的に画定する物理的構造を含む、段落A11.10.4~A11.10.4.2のいずれかの方法。
【0204】
A11.10.4.3.1.電極出口開口が、第1の荷電粒子ビームが第2の電極を通過できるようにする第1の電極出口開口であり、第2の電極が、第2の荷電粒子ビームが第2の電極を通過できるようにする第2の電極出口開口をさらに含む、段落A11.10.4.3の方法。
【0205】
A11.10.4.3.第2の電極が、第1の開口、第2の開口、および複数の開口の下流に位置付けられている、段落A11.10.4~A11.10.4.3.1のいずれかの方法。
【0206】
A12.二焦点ビームフォーマが、穴を画定し、かつ複数の荷電粒子を第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとに分割するように位置付けられ、および/または構成されたバイプリズムを含む、段落A8~A8.6.2のいずれかの方法。
【0207】
A13.レーザパターンフリンジを使用して、複数の荷電粒子を第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとに分割する、段落A8~A8.6.2のいずれかの方法。
【0208】
A14.第2の荷電粒子ビームが、サンプルの上方に位置する異なる平面に集束される、段落A1~A13のいずれかの方法。
【0209】
A13.1.異なる平面が、サンプルの上方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する、段落A13の方法。
【0210】
A14.第2の荷電粒子ビームが、サンプルの下方に位置する異なる平面に集束される、段落A1~A13のいずれかの方法。
【0211】
A14.1.異なる平面が、サンプルの下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する、段落A14の方法。
【0212】
A15.サンプルのまたはサンプルの近くの平面と、異なる平面と、の間の距離が、対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%である、段落A13~A14.1のいずれかの方法。
【0213】
A16.第2の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて平行ビームである、段落A1~A15のいずれかの方法。
【0214】
A17.第2の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて収束ビームである、段落A1~A15のいずれかの方法。
【0215】
A18.第2の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて発散ビームである、段落A1~A15のいずれかの方法。
【0216】
B1.電子ホログラフィを使用してサンプルを調査するための方法であって、サンプルに向けて複数の電子を放出することと、複数の電子を第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成することと、2つの電子ビームが異なる焦点面を有するように、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することと、第1の電子ビームがサンプルにまたはサンプルの近くに焦点面を有するように、第1の電子ビームを集束させることと、第2の電子ビームがサンプルに入射し、かつ回折面内に焦点面を有するように、第2の電子ビームを集束させることと、回折面における第1の電子ビームと回折された第2の電子ビームとの干渉パターンを検出することと、を含む、方法。
【0217】
B1.1.回折面内における、第1の電子ビームと回折された第2の電子ビームとの干渉パターンに基づいて、サンプルのホログラム像を生成することをさらに含む、段落B1の方法。
【0218】
B1.2.回折面内における、第1の電子ビームと回折された第2の電子ビームとの干渉パターンに基づいて、サンプルによって回折された電子の位相を判定することをさらに含む、段落B1~B1.1のいずれかの方法。
【0219】
B1.3.第2の電子ビームがサンプルに入射することに応答して、サンプルを離れる電子の出口波動関数を判定することをさらに含む、段落B1~B1.2のいずれかの方法。
【0220】
B1.3.1.出口波動関数を判定することが、第2の電子ビームがサンプルに入射することに応答して、サンプルを離れる電子の出口波動関数の位相および振幅を判定することを含む、段落B1.3の方法。
【0221】
B1.3.2.出口波動関数に基づいてサンプルの構造を判定することをさらに含む、段落B1.3~B1.3.1のいずれかの方法。
【0222】
B1.3.2.1.サンプルが結晶であり、サンプルの構造を判定することが、出口波動関数に基づいてサンプルの結晶格子を判定することを含む、段落B1.3.2の方法。
【0223】
B1.4.方法が、複数のサンプル傾斜で繰り返されて、複数の回折ホログラムを取得し、複数の回折ホログラムの各回折ホログラムが、複数のサンプル傾斜のうちのサンプル傾斜に対応する、段落B1~B1.3.2.1のいずれかの方法。
【0224】
B1.4.1.複数の回折ホログラムに基づいてサンプルの結晶構造を判定することをさらに含む、段落B1.4の方法。
【0225】
B1.5.干渉パターンの回折ピークの位相および振幅を判定することをさらに含む、段落B1~B1.4.1のいずれかの方法。
【0226】
B1.5.1.干渉パターンの回折ピークの位相および振幅に少なくとも部分的に基づいてサンプルの結晶構造を判定することをさらに含む、段落B1.5の方法。
【0227】
B1.6.第1の電子ビームに位相シフトを適用することと、回折面における、位相シフトされた第1の電子ビームと回折された第2の電子ビームとの追加の干渉パターンを検出することと、干渉パターンおよび追加の干渉パターンに少なくとも部分的に基づいて、回折面におけるサンプル出口波の波動関数の位相を判定することであって、サンプル出口波動が、第2の電子ビームがサンプルに入射することから結果として生じる、判定することと、をさらに含む、段落B1~B1.5.51のいずれかの方法。
【0228】
B1.6.1.第1の電子ビームに第2の位相シフトを適用することと、回折面における、第2の位相シフトされた第1の電子ビームと回折された第2の電子ビームとの第2の追加の干渉パターンを検出することと、をさらに含み、回折面におけるサンプル出口波動の波動関数の位相の判定が、第2の追加の干渉パターンに少なくとも部分的に基づいている、段落B1.6の方法。
【0229】
B2.第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの一方が、複数の荷電粒子の放出軸に沿って移動する軸方向のビームである、段落B1~B1.5.1のいずれかの方法。
【0230】
B3.回折面が、サンプルの下流の第2の電子ビームの第1の焦点面に対応する、段落B1~B2のいずれかの方法。
【0231】
B4.第1の電子ビームおよび第2の電子ビームが、コヒーレントである、段落B1~B3のいずれかの方法。
【0232】
B4.第1の電子面(the first electron plane)が、サンプルの開口を通過する、段落B1~B3のいずれかの方法。
【0233】
B4.1.方法が、電子ビームおよびイオンビームのうちの一方でサンプルの開口を燃焼させることをさらに含む、段落B4の方法。
【0234】
B5.第1の電子ビームを妨害する十分な散乱がないように、第1の電子ビームは、サンプルの薄い領域を通過する、段落B1~B3のいずれかの方法。
【0235】
B6.第2の電子ビームが、サンプルにおいて平行ビームである、段落B1~B5のいずれかの方法。
【0236】
B6.1.第2の電子ビームが、サンプルにおいて収束ビームである、段落B1~B5のいずれかの方法。
【0237】
B6.2.第2の電子ビームが、サンプルにおいて発散ビームである、段落B1~B5のいずれかの方法。
【0238】
B7.第2の電子ビームの第2の直径が、第1の電子ビームの第1の直径よりも5倍、10倍、20倍、50倍、および100倍大きい、段落B1~B6のいずれかの方法。
【0239】
B8.第1の荷電粒子ビームが、複数の荷電粒子の放出軸に沿って移動する軸方向のビームであり、第2の荷電粒子ビームが、非軸方向のビームである、段落B1~B7のいずれかの方法。
【0240】
B9.第2の荷電粒子ビームが、複数の荷電粒子の放出軸上に沿って移動する軸方向のビームであり、第1の荷電粒子ビームが、非軸方向のビームである、段落B1~B7のいずれかの方法。
【0241】
B10.第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの一方に丸レンズ作用を適用することを含む、段落B1~B9のいずれかの方法。
【0242】
B10.1.第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の電子ビームと電子粒子ビームとの両方に丸レンズ作用を適用することを含む、段落B10の方法。
【0243】
B10.1.1.第1の電子ビームに適用される丸レンズ作用が、第2の電子ビームに適用される丸レンズ作用とは異なる、段落B10.1の方法。
【0244】
B11.第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することが、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの一方に少なくとも四重極レンズ作用を適用することを含む、段落B1~B10.1.1のいずれかの方法。
【0245】
B11.1.少なくとも四重極レンズ作用が、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの一方に非点収差を適用して、この一方が円筒対称ビームではなくなるようにする、段落B11の方法。
【0246】
B11.2.第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの一方に追加の少なくとも四重極レンズ効果を適用することをさらに含む、段落B11~B11.1のいずれかの方法。
【0247】
B11.2.1.追加の少なくとも四重極レンズ効果が、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの一方を円筒対称ビームにする、段落B11.2の方法。
【0248】
B11.2.2.少なくとも四重極レンズ効果が、補正器によって適用される、段落B11.2~B11.2.1のいずれかの方法。
【0249】
B11.2.2.1.補正器が、複数の電子の放出軸に垂直な偏向をさらに適用する、段落B11.2.2の方法。
【0250】
B11.2.2.1.1.第2の電子ビームが、軸方向のビームであり、偏向は、第2の電子ビームを補正器の下流の非軸方向のビームとする、段落B11.2.2.1の方法。
【0251】
B11.2.2.1.2.第2の電子ビームが、非軸方向のビームであり、偏向は、第2の電子ビームを補正器の下流の軸方向のビームにする、段落B11.2.2.1の方法。
【0252】
B11.2.2.1.3.第1の電子ビームが、軸方向のビームであり、偏向は、第1の電子ビームを補正器の下流の非軸方向のビームにする、段落B11.2.2.1の方法。
【0253】
B11.2.2.1.4.第1の電子ビームが、非軸方向のビームであり、偏向は、第1の電子ビームを補正器の下流の軸方向のビームにする、段落B11.2.2.1の方法。
【0254】
B11.2.2.2.補正器が、少なくとも四重極レンズ効果を受けなかった電子ビームの焦点面に位置付けられている、段落B11.2.2.1~B11.2.2.1.4のいずれかの方法。
【0255】
B12.複数の電子が、分割され、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームが、MEMSデバイスによって修正される、段落B1~B11.2.2.2のいずれかの方法。
【0256】
B12.1.MEMSデバイスが、段落F1~F12.1のいずれかのMEMSデバイスを含む、段落B12の方法。
【0257】
B13.複数の電子が、分割され、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームが、マルチ開口デバイスによって修正される、段落B1~B12のいずれかの方法。
【0258】
B13.1.MEMSデバイスが、段落F1~F12.1のいずれかのMEMSデバイスを含む、段落B13の方法。
【0259】
B14.サンプルが、結晶である、段落B1~B13のいずれかの方法。
【0260】
B14.1.回折像の回折ピークが、エアリーディスクである、段落B14の方法。
【0261】
B15.サンプルによって散乱された電子が、回折面内に焦点面を有する、段落B1~B14.1のいずれかの方法。
【0262】
C1.サンプルを調査するためのシステムであって、サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダと、サンプルに向けて荷電粒子を放出するように構成された荷電粒子エミッタと、荷電粒子エミッタとサンプルホルダとの間に位置付けられた二焦点ビームフォーマと、を含み、二焦点ビームフォーマが、複数の荷電粒子を第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームに形成することと、第1の荷電粒子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に集束され、かつ第2の荷電粒子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に集束されないように、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することと、を行うように構成されている、システム。
【0263】
C2.荷電粒子エミッタが、サンプルに向けて電子を放出するように構成された電子エミッタであり、荷電粒子ビームが、電子ビームである、段落C1のシステム。
【0264】
C3.サンプルにおける第2の荷電粒子ビームの第2のビーム直径が、サンプルにおける第1の荷電粒子ビームの第1のビーム直径よりも、5倍大きいか、10倍大きいか、20倍大きいか、50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つである、段落C1~C2のいずれかのシステム。
【0265】
C3.1.第2のビーム直径が、第1の荷電粒子ビームの各クロスオーバ点のまたは各クロスオーバ点に近接した第1のビーム直径よりも、5倍大きいか、10倍大きいか、20倍大きいか、50倍大きいか、100倍大きいか、500倍大きいか、または1000倍大きいかのうちの少なくとも1つである、段落C3のシステム。
【0266】
C4.第1の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて第2の荷電粒子ビームに対して傾斜している、段落C1~C3.1のいずれかのシステム。
【0267】
C5.第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームが、コヒーレントなビームである、段落C1~C4のいずれかのシステム。
【0268】
C6.加速器をさらに含む、段落C1~C5のいずれかのシステム。
【0269】
C6.1.加速器が、二焦点ビームフォーマの下方に位置付けられており、ならびに第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームの各々を最終エネルギーまで加速するように構成されている、段落C6のシステム。
【0270】
C6.2.加速器が、二焦点ビームフォーマの上方に位置付けられており、および複数の荷電粒子を最終エネルギーまで加速するように構成されている、段落C6のシステム。
【0271】
C7.二焦点ビームフォーマが、第2の荷電粒子ビームを歪ませる、段落C1~C6.2のいずれかのシステム。
【0272】
C8.二焦点ビームフォーマが、第2の荷電粒子ビームの焦点面を変化させる、段落C1~C7のいずれかのシステム。
【0273】
C9.二焦点ビームフォーマが、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの一方を円筒対称ビームではないようにする、段落C8~C8.4のいずれかのシステム。
【0274】
C9.1.第2の荷電粒子ビームを円筒対称ビームにするように構成された補正器をさらに含む、段落C9のシステム。
【0275】
C9.1.1.補正器が、スティグメータである、段落C9.1のシステム。
【0276】
C10.二焦点ビームフォーマが、第2の荷電粒子ビームが1つ以上の収差を有するようにする、C1~C9.1.1のいずれかのシステム。
【0277】
C10.1.1つ以上の収差のうちの少なくとも1つが、決定論的収差である、段落C10のシステム。
【0278】
C10.2.二焦点ビームフォーマが、システム内の別の収差を補正するために1つ以上の収差のうちの少なくとも1つを引き起こすように位置付けられ、および/または構成されている、段落C10~C10.1のいずれかのシステム。
【0279】
C11.二焦点ビームフォーマが、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームの少なくとも一方を、複数の荷電粒子の放出軸から離れるように偏向するようにさらに構成されている、段落C1~C10.2のいずれかのシステム。
【0280】
C12.二焦点ビームフォーマが、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性の修正を少なくとも部分的に引き起こす少なくとも四重極場を生成するように構成されたMEMSデバイスを含む、段落C1~C11のいずれかのシステム。
【0281】
C12.1.MEMSデバイスが、第1の開口および第2の開口を画定する構造を含み、第1の荷電粒子ビームが、第1の開口を通過し、第2の荷電粒子ビームが、第2の開口を通過する、段落C12のシステム。
【0282】
C12.1.1.第1の開口が、第2の開口と同じ半径を有する、段落C12.1のシステム。
【0283】
C12.1.2.第1の開口が、第2の開口よりも小さい半径を有する、段落C12.1のシステム。
【0284】
C12.1.3.第1の開口が、第2の開口よりも大きい半径を有する、段落C12.1のシステム。
【0285】
C12.1.4.MEMSデバイスが、複数の荷電粒子に面する表面層を含み、第1の開口および第2の開口が、表面層によって画定される、段落C12.1~C12.1.3のいずれかのシステム。
【0286】
C12.1.4.1.表面層が、箔である、段落C12.1.4のシステム。
【0287】
C12.1.5.第1の開口が、複数の荷電粒子の放出軸上に位置付けられた軸方向の開口であり、第2の開口が、非軸方向の開口である、段落C12.1~C12.1.4.1のいずれかのシステム。
【0288】
C12.1.6.第2の開口が、複数の荷電粒子の放出軸上に位置付けられた軸方向の開口であり、第1の開口が、非軸方向の開口である、段落C12.1~C12.1.4.1のいずれかのシステム。
【0289】
C12.2.MEMSデバイスが、1つ以上の電極を含む、段落C12.1~C12.1.6のいずれかのシステム。
【0290】
C12.2.1.1つ以上の電極に、対応する電圧が印加されると、1つ以上の電極が、少なくとも四重極場を生成する、段落C12.2のシステム。
【0291】
C12.2.1.1つ以上の電極のうちの少なくとも1つが、接地されている、段落C12.2~12.2.1のいずれかのシステム。
【0292】
C12.2.2.MEMSデバイスが、表面層の反対側にある絶縁層を含む、C12.1.4に従属する場合の段落C12.2~C12.2.1のいずれかのシステム。
【0293】
C12.2.2.1.1つ以上の電極が、絶縁層と表面層との間に位置付けられた電極層に位置する、段落C12.2.2のシステム。
【0294】
C12.2.3.1つ以上の電極が、4つの電極を含む、段落C12.2~C12.2.2.1のいずれかのシステム。
【0295】
C12.2.4.1つ以上の電極が、7つの電極を含む、段落C12.2~C12.2.2.1のいずれかのシステム。
【0296】
C12.3.少なくとも四重極場が、双極子場、四重極場、六重極場、または八重極場のうちの1つである、段落C12.1~C12.2.4のいずれかのシステム。
【0297】
C12.4.少なくとも四重極場が、第1の荷電粒子ビームの焦点面を変化させない、段落C12.1~C12.3のいずれかのシステム。
【0298】
C12.5.MEMSデバイスが、1つ以上の双極子場を生成するようにさらに構成されている、段落C12.1~C12.4のいずれかのシステム。
【0299】
C12.5.1.1つ以上の双極子場が、荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方を、放出軸に垂直な方向に偏向させる、段落C12.5のシステム。
【0300】
C13.二焦点ビームフォーマが、第1の開口および第2の開口を画定する物理的構造であって、第1の荷電粒子ビームが第1の開口を通過し、かつ第2の荷電粒子ビームが第2の開口を通過する、物理的構造と、第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとが異なる焦点面を有するように、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を調整するように位置付けられ、および/または構成されたレンズと、を含む、段落C1~C11のいずれかのシステム。
【0301】
C13.1.第1の荷電粒子ビームが、第1の開口を通過し、第2の荷電粒子ビームが、第2の開口を通過する、段落C13のシステム。
【0302】
C13.2.レンズが、アインツェルレンズである、段落C13~C13.1のいずれかのシステム。
【0303】
C13.3.レンズが、物理的構造の上方に位置付けられている、段落C13~C13.2のいずれかのシステム。
【0304】
C13.4.レンズが、物理的構造の下方上方に位置付けられている、段落C13~C13.2のいずれかのシステム。
【0305】
C13.5.レンズが、第2の荷電粒子ビームの焦点特性を調整するように位置付けられ、および/または構成されている、段落C13~C13.4のいずれかのシステム。
【0306】
C13.5.1.レンズが、第1の荷電粒子ビームの焦点面を調整するように位置付けられ、および/または構成されていない、段落C13.5のシステム。
【0307】
C14.二焦点ビームフォーマが、少なくとも1つの物理的構造であって、第1の荷電粒子ビームが少なくとも1つの物理的構造を通過できるようにする第1の開口と、第2の荷電粒子ビームが少なくとも1つの物理的構造を通過できるようにする第2の開口と、複数の他の開口と、を画定する、少なくとも1つの物理的構造を含む、段落C14~C14.5のいずれかのシステム。
【0308】
C14.1.複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第2の荷電粒子ビームにレンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落C14のシステム。
【0309】
C14.1.1.複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第2の荷電粒子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落C14.1のシステム。
【0310】
C14.1.1.1.電磁場が、二焦点ビームフォーマの使用中に第1の荷電粒子ビームに四重極レンズ効果を適用しない、段落C14.1.1のシステム。
【0311】
C14.1.2.複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第1の荷電粒子ビームに円形レンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落C14.1~C14.1.1.1のいずれかのシステム。
【0312】
C14.1.2.1.複数の他の開口が、二焦点ビームフォーマの使用中に第2の荷電粒子ビームに少なくとも円形レンズ効果を適用する電磁場を作り出すパターンを形成している、段落C14.1.2のシステム。
【0313】
C14.1.3.電磁場によって適用されるレンズ効果が、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性の修正を少なくとも部分的に引き起こす、段落C14.1~C14.2.1のいずれかのシステム。
【0314】
C14.1.3.1.電磁場が、第1の荷電粒子ビームの焦点面を変化させる、段落C14.1.3のシステム。
【0315】
C14.3.複数の開口のうちの少なくとも1つの開口が、穴である、段落C14~C14.2.1のいずれかのシステム。
【0316】
C14.3.1.穴が、
【0317】
少なくとも1つの物理的構造の第1の表面内に画定される入口であって、第1の表面が複数の荷電粒子に面する、入口と、第1の表面の反対側にある少なくとも1つの物理的構造の第2の表面内に画定される出口と、入口と出口とを接続する空の容積と、を含む、段落C14.3のシステム。
【0318】
C14.3.1.1.第1の表面および第2の表面が各々、単一の物理的構造の表面である、段落C14.3.1のシステム。
【0319】
C14.3.1.2.第1の表面および第2の表面が各々、異なる物理的構造の表面である、段落C14.3.1のシステム。
【0320】
C14.4.複数の開口のうちの少なくとも1つの開口が、空洞である、段落C14~C14.3.1.2のいずれかのシステム。
【0321】
C14.4.1.空洞が、
【0322】
少なくとも1つの物理的構造の第1の表面内に画定される入口であって、第1の表面が複数の荷電粒子に面する、入口と、入口と連通し、かつ少なくとも1つの物理的構造によって画定される空の容積と、を含み、入口を介して空の容積に入る、複数の荷電粒子のうちの荷電粒子が二焦点ビームフォーマを通過しないように、少なくとも1つの物理的構造が、空の容積を画定する、段落C14.4のシステム。
【0323】
C14.4.1.1.空洞が、単一の物理的構造によって画定される、段落C14.4.1のシステム。
【0324】
C14.4.1.2.空洞が、複数の物理的構造によって画定される、段落C14.4.1のシステム。
【0325】
C14.5.複数の開口が、穴と空洞との組み合わせを含む、段落C14.3~C14.4.1.2のいずれかのシステム。
【0326】
C14.6.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、円形である、段落C14~C14.5のいずれかのシステム。
【0327】
C14.7.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、矩形である、段落C14~C14.5のいずれかのシステム。
【0328】
C14.7.1.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、正方形である、段落C14~C14.5のいずれかのシステム。
【0329】
C14.7.2.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、丸い角を有する、段落C14~C14.5のいずれかのシステム。
【0330】
C14.8.第1の開口、第2の開口、および複数の開口の幾何形状が、均一ではない、段落C14~C14.7.2のいずれかのシステム。
【0331】
C14.9.第1の開口、第2の開口、および複数の開口のサイズが、均一ではない、段落C14~C14.8のいずれかのシステム。
【0332】
C14.10.二焦点ビームフォーマが、第1の印加電圧を受け取るように構成された第1の電極をさらに含む、段落C14~C14.9のいずれかのシステム。
【0333】
C14.10.1.第1の電極が、複数の荷電粒子の少なくとも一部分が第1の電極を通過できるようにする電極入口開口を少なくとも部分的に画定する物理的構造を含む、段落C14.10のシステム。
【0334】
C14.10.1.1.電極入口開口が、複数の荷電粒子の第1の部分が第1の電極を通過できるようにする第1の電極入口開口であり、第2の電極が、複数の荷電粒子の第2の部分が第1の電極を通過できるようにする第2の電極入口開口をさらに画定する、段落C14.10.1のシステム。
【0335】
C14.10.2.第1の電極が、第1の開口、第2の開口、および複数の開口の上流にある、段落C14.10~C14.10.1.1のいずれかのシステム。
【0336】
C14.10.3.第1の電極が、円盤形状の電極である、段落C14.10~C14.10.2のいずれかのシステム。
【0337】
C14.10.4.二焦点ビームフォーマが、第2の印加電圧を受け取るように構成された第2の電極をさらに含む、段落C14.10~C14.10.2のいずれかのシステム。
【0338】
C14.10.4.1.第1の電圧が、第2の電圧とは異なる、段落C14.10.4のシステム。
【0339】
C14.10.4.2.第1の電圧と第2の電圧とが、異なる、段落C14.10.4のシステム。
【0340】
C14.10.4.3.第2の電極が、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方が第2の電極を通過する電極出口開口を少なくとも部分的に画定する物理的構造を含む、段落C14.10.4~C14.10.4.2のいずれかのシステム。
【0341】
C14.10.4.3.1.電極出口開口が、第1の荷電粒子ビームが第2の電極を通過できるようにする第1の電極出口開口であり、第2の電極が、第2の荷電粒子ビームが第2の電極を通過できるようにする第2の電極出口開口をさらに含む、段落C14.10.4.3のシステム。
【0342】
C14.10.4.3.第2の電極が、第1の開口、第2の開口、および複数の開口の下流に位置付けられている、段落C14.10.4~C14.10.4.3.1のいずれかのシステム。
【0343】
C15.二焦点ビームフォーマが、穴を画定し、かつ複数の荷電粒子を第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとに分割するように位置付けられ、および/または構成されたバイプリズムを含む、段落C1~C11のいずれかのシステム。
【0344】
C16.レーザパターンフリンジを使用して、複数の荷電粒子を第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとに分割する、段落C1~C11のいずれかのシステム。
【0345】
C17.第2の荷電粒子ビームが、サンプルの上方に位置する異なる平面に集束される、段落C1~C16のいずれかのシステム。
【0346】
C17.1.異なる平面が、サンプルの上方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する、段落C17のシステム。
【0347】
C18.第2の荷電粒子ビームが、サンプルの下方に位置する異なる平面に集束される、段落C1~C16のいずれかのシステム。
【0348】
C18.1.異なる平面が、試料サンプルの下方の対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%に位置する、段落C18のシステム。
【0349】
C19.サンプルのまたはサンプルの近くの平面と、異なる平面と、の間の距離が、対物レンズ焦点距離の少なくとも0.1%、1%、10%、または100%である、段落C17~C18.1のいずれかのシステム。
【0350】
C20.第2の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて平行ビームである、段落C1~C19のいずれかのシステム。
【0351】
C21.第2の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて収束ビームである、段落C1~C19のいずれかのシステム。
【0352】
C22.第2の荷電粒子ビームが、サンプルにおいて発散ビームである、段落C1~C19のいずれかのシステム。
【0353】
D1.段落A1~A16、B1~B15、L1~L10.2、またはM9.1の方法のうちのいずれかを実行するための、段落C1~C20のいずれかのシステムの使用。
【0354】
E1.1つ以上の処理ユニットによって実行されると、段落C1~C20のいずれかのシステムに段落A1~A16、B1~B15、L1~L10.2、またはM1~M9.1のいずれかの方法を実行させる命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【0355】
F1.MEMSデバイスであって、複数の荷電粒子の荷電粒子の第1の部分がMEMSデバイスを通過できるように構成された第1の開口と、複数の荷電粒子のうちの荷電粒子の第2の部分がMEMSデバイスを通過できるように構成された第2の開口と、1つ以上の電極であって、1つ以上の電極に、対応する電圧が印加されると、荷電粒子の第1の部分および荷電粒子の第2の部分のうちの少なくとも1つの焦点特性の修正を少なくとも部分的に引き起こす少なくとも四重極場を生成するように構成された1つ以上の電極と、を含む、MEMSデバイス。
【0356】
F1.1.複数の荷電粒子が、MEMSデバイスに入射するソースビームを形成する、段落F1のMEMSデバイス。
【0357】
F1.1.1.複数の荷電粒子が、複数の電子である、段落F1~F1.1のいずれかのMEMSデバイス。
【0358】
F2.第1の開口が、荷電粒子の第1の部分を第1の荷電粒子ビームに形成するように構成されており、第2の開口が、荷電粒子の第2の部分を第2の荷電粒子ビームに形成するように構成されている、段落F1~F1.1.1のいずれかのMEMSデバイス。
【0359】
F2.1.第1の開口が、第2の開口と同じ半径を有する、段落F2のMEMSデバイス。
【0360】
F2.2.第1の開口が、第2の開口よりも小さい半径を有する、段落F2のMEMSデバイス。
【0361】
F2.3.第1の開口が、第2の開口よりも大きい半径を有する、段落F2のMEMSデバイス。
【0362】
F3.物理的構造が、第1の開口および第2の開口を画定する表面層を含む、段落F1~F2.3のいずれかのMEMSデバイス。
【0363】
F3.1.表面層が、荷電粒子の第3の部分がMEMSデバイスを通過するのを防止する、段落F3のMEMSデバイス。
【0364】
F3.2.表面層が、箔である、段落F3~F3.1のいずれかのMEMSデバイス。
【0365】
F4.第1の開口が、複数の荷電粒子の放出軸上に位置付けられた軸方向の開口であり、第2の開口が、非軸方向の開口である、段落F1~F3.2のいずれかのMEMSデバイス。
【0366】
F5.第2の開口が、複数の荷電粒子の放出軸上に位置付けられた軸方向の開口であり、第1の開口が、非軸方向の開口である、段落F1~F3.2のいずれかのMEMSデバイス。
【0367】
F6.1つ以上の電極のうちの少なくとも1つが、接地されている、段落F1~F5のいずれかのMEMSデバイス。
【0368】
F7.MEMSデバイスが、表面層の反対側にある絶縁層を含む、段落F3~F3.1のいずれかに従属する場合の段落F1~F6のいずれかのMEMSデバイス。
【0369】
F7.1.1つ以上の電極が、絶縁層と表面層との間に位置付けられた電極層に位置する、段落F7のMEMSデバイス。
【0370】
F8.1つ以上の電極が、4つの電極を含む、段落F1~F7.1のいずれかのMEMSデバイス。
【0371】
F9.1つ以上の電極が、7つの電極を含む、段落F1~F7.1のいずれかのMEMSデバイス。
【0372】
F10.少なくとも四重極場が、双極子場、四重極場、六重極場、または八重極場のうちの1つである、段落F1~F9のいずれかのMEMSデバイス。
【0373】
F11.少なくとも四重極場が、第1の荷電粒子ビームの焦点面を変化させない、段落F1~F10のいずれかのMEMSデバイス。
【0374】
F12.MEMSデバイスが、1つ以上の双極子場を生成するようにさらに構成されている、段落F1~F11のいずれかのMEMSデバイス。
【0375】
F12.1.1つ以上の双極子場が、荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方を、放出軸に垂直な方向に偏向させる、段落F12のMEMSデバイス。
【0376】
G1.段落F1~F12.1のいずれかのMEMSデバイスのうちのいずれかの使用。
【0377】
G2.段落A1~A16、B1~B15、L1~L10.2、またはM1~M9.1の方法のうちのいずれかを実行するための、段落F1~F12.1のMEMSデバイスのうちのいずれかの使用。
【0378】
G3.サンプルの調査のための、段落F1-F12.1のMEMSデバイスのうちのいずれかの使用。
【0379】
H1.段落C1~C20のいずれかのシステムにおける、段落F1~F12.1のMEMSデバイスのうちのいずれかの使用。
【0380】
I1.開口レンズアレイデバイスであって、複数の荷電粒子のうちの荷電粒子の第1の部分が開口レンズアレイデバイスを通過できるように構成された第1の開口と、複数の荷電粒子のうちの荷電粒子の第2の部分が開口レンズアレイデバイスを通過できるように構成された第2の開口と、少なくとも1つの電極と、を含み、第1の開口、第2の開口、および複数の他の開口が、少なくとも1つの物理的構造および少なくとも1つの電極に、対応する電圧が印加されると、開口レンズアレイデバイスの使用中に荷電粒子の第2の部分にレンズ効果を適用する電磁場を生じるパターンを形成している、開口レンズアレイデバイス。
【0381】
I1.1.複数の荷電粒子が、開口レンズアレイデバイスに入射するソースビームを形成する、段落I1の開口レンズアレイデバイス。
【0382】
I1.1.1.複数の荷電粒子が、複数の電子である、段落I1~I1.1のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0383】
I2.第1の開口が、荷電粒子の第1の部分を第1の荷電粒子ビームに形成するように構成されており、第2の開口が、荷電粒子の第2の部分を第2の荷電粒子ビームに形成するように構成されている、段落I.1~I11.1のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0384】
I2.1.電磁場が、開口レンズアレイデバイスの使用中に第2の荷電粒子ビームに少なくとも四重極レンズ効果を適用する、段落I2の開口レンズアレイデバイス。
【0385】
I2.1.1.電磁場が、開口レンズアレイデバイスの使用中に第1の荷電粒子ビームに四重極レンズ効果を適用しない、段落I2.1の開口レンズアレイデバイス。
【0386】
I2.1.2.電磁場が、開口レンズアレイデバイスの使用中に第1の荷電粒子ビームに円形レンズ効果を適用する、段落I2~I2.1.1のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0387】
I2.1.3.電磁場が、開口レンズアレイデバイスの使用中に第2の荷電粒子ビームに少なくとも円形レンズ効果、段落I2~I2.1.2のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0388】
I3.電磁場によって適用されるレンズ効果が、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方の焦点面の修正を少なくとも部分的に引き起こす、段落I1~I2.1.3のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0389】
I3.1.レンズ効果によって引き起こされる焦点面の修正が、第1の荷電粒子ビームと第2の荷電粒子ビームとが異なる焦点面を有するようにする、段落I1の開口レンズアレイデバイス。
【0390】
I3.2.電磁場が、第1の荷電粒子ビームの焦点面を変化させる、段落I3~I3.1のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0391】
I4.複数の開口のうちの少なくとも1つの開口が、穴である、段落I1~I3.2のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0392】
I4.1.穴が、少なくとも1つの物理的構造の第1の表面内に画定される入口であって、第1の表面が複数の荷電粒子に面する、入口と、第1の表面の反対側にある少なくとも1つの物理的構造の第2の表面内に画定される出口と、入口と出口とを接続する空の容積と、を含む、段落I4の開口レンズアレイデバイス。
【0393】
I4.1.1.第1の表面および第2の表面が各々、単一の物理的構造の表面である、段落I4.1の開口レンズアレイデバイス。
【0394】
I4.1.2.第1の表面および第2の表面が各々、異なる物理的構造の表面である、段落I4.1の開口レンズアレイデバイス。
【0395】
I5.複数の開口のうちの少なくとも1つの開口が、空洞である、段落I1~I4.1.2のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0396】
I5.1.空洞が、少なくとも1つの物理的構造の第1の表面内に画定される入口であって、第1の表面が複数の荷電粒子に面する、入口と、入口と連通し、かつ少なくとも1つの物理的構造によって画定される空の容積と、を含み、入口を介して空の容積に入る、複数の荷電粒子のうちの荷電粒子が二焦点ビームフォーマを通過しないように、少なくとも1つの物理的構造が、空の容積を画定する、段落I5の開口レンズアレイデバイス。
【0397】
I5.1.空洞が、単一の物理的構造によって画定される、段落I5.1の開口レンズアレイデバイス。
【0398】
I5.2.空洞が、複数の物理的構造によって画定される、段落I5.1の開口レンズアレイデバイス。
【0399】
I6.複数の開口が、穴と空洞との組み合わせを含む、段落I4~I5.2のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0400】
I7.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、円形である、段落I1~I6のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0401】
I8.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、矩形である、段落I1~I7のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0402】
I9.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、正方形である、段落I1~I8のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0403】
I10.第1の開口、第2の開口、または複数の開口のうちの開口、のうちの少なくとも1つの幾何形状が、丸い角を有する、段落I1~I9のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0404】
I11.第1の開口、第2の開口、および複数の開口の幾何形状が、均一ではない、段落I1~I10のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0405】
I12.第1の開口、第2の開口、および複数の開口のサイズが、均一ではない、段落I1~I11のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0406】
I13.少なくとも1つの電極が、第1の印加電圧を受け取るように構成された第1の電極を含む、段落I1~I12のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0407】
I13.1.第1の電極が、複数の荷電粒子の少なくとも一部分が第1の電極を通過できるようにする電極入口開口を少なくとも部分的に画定する物理的構造を含む、段落I13の開口レンズアレイデバイス。
【0408】
I13.1.1.電極入口開口が、複数の荷電粒子の第1の部分が第1の電極を通過できるようにする第1の電極入口開口であり、第2の電極が、複数の荷電粒子の第2の部分が第1の電極を通過できるようにする第2の電極入口開口をさらに画定する、段落I13.1の開口レンズアレイデバイス。
【0409】
I13.2.第1の電極が、第1の開口、第2の開口、および複数の開口の上流にある、段落I13~I13.1.1のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0410】
I13.3.第1の電極が、円盤形状の電極である、段落I13~I13.2のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0411】
I13.4.少なくとも1つの電極が、第2の印加電圧を受け取るように構成された第2の電極をさらに含む、段落I13~I13.3のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0412】
I13.4.1.第1の電圧が、第2の電圧とは異なる、段落I13.4の開口レンズアレイデバイス。
【0413】
I13.4.2.第1の電圧と第2の電圧とが、同じである、段落I13.4の開口レンズアレイデバイス。
【0414】
I13.4.3.第2の電極が、第1の荷電粒子ビームおよび第2の荷電粒子ビームのうちの少なくとも一方が第2の電極を通過する電極出口開口を少なくとも部分的に画定する物理的構造を含む、段落I13.4~I13.4.2のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0415】
I13.4.3.1.電極出口開口が、第1の荷電粒子ビームが第2の電極を通過できるようにする第1の電極出口開口であり、第2の電極が、第2の荷電粒子ビームが第2の電極を通過できるようにする第2の電極出口開口をさらに含む、段落I13.4.3の開口レンズアレイデバイス。
【0416】
I13.4.4.第2の電極が、第1の開口、第2の開口、および複数の開口の下流に位置付けられている、段落I13.4~I13.4.3.1のいずれかの開口レンズアレイデバイス。
【0417】
J1.段落I1~I13.4.4のいずれかのマルチ開口デバイスの使用。
【0418】
J2.段落A1~A16、B1~B15、L1~L10.2、またはM9.1の方法のうちのいずれかを実行するための、段落I1~I13.4.4のいずれかのマルチ開口デバイスの使用。
【0419】
J3.サンプルの調査のための段落I1-I13.4.4のいずれかのマルチ開口デバイスの使用。
【0420】
K1.段落C1~C20のいずれかのシステムにおける段落I1~I13.4.4のいずれかのマルチ開口デバイスの使用。
【0421】
L1.TEMおよびSEM技術を用いてサンプルを調査するための方法であって、サンプルに向けて複数の電子を放出することと、複数の電子粒子を第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成することと、第1の電子ビームがサンプルのまたはサンプルの近くの平面に集束されるSEMビームであり、かつ第2のビームがサンプルに入射したときに平行ビームであるTEMビームであるように、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの少なくとも一方の焦点特性を修正することと、SEMビームおよびTEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた放出を検出することと、を含む、方法。
【0422】
L2.SEMビームおよびTEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた検出された放出から、SEM像およびTEM像のうちの一方または両方を生成することをさらに含む、段落L1の方法。
【0423】
L3.SEMビームおよびTEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた放出を検出することが、同じ検出器および/または検出器アレイを使用して、(1)SEMビームが入射することから結果として生じする放出、および(2)TEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた放出を検出することを含む、段落L1~L2のいずれかの方法。
【0424】
L4.SEMビームおよびTEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた放出を検出することが、同時に、(1)SEMビームが入射することから結果として生じた放出、および(2)TEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた放出を検出することを含む、段落L1~L3のいずれかの方法。
【0425】
L4.1.サンプルの表面領域を横切ってSEMビームを走査することをさらに含む、段落L4の方法。
【0426】
L4.1.1.SEMビームが走査される間、TEMビームが、サンプルに入射したままである、段落L4.1の方法。
【0427】
L4.1.2.SEMビームが走査される間、TEMビームが、静的な箇所に入射したままである、段落L4.1~L4.1.1のいずれかの方法。
【0428】
L5.SEM動作モード、TEM動作モード、および同時SEM/TEM動作モードのうちの2つを切り替えることをさらに含む、段落L1~L4.1のいずれかの方法。
【0429】
L5.1.SEM動作モードへの切り替えが、SEMビームのみがサンプルに入射するようにTEMビームを遮断させることを含む、段落L5の方法。
【0430】
L5.1.1.TEMビームを遮断させることが、TEMビームがビームブロッカーによって遮断されるように、TEMビームを偏向することと、ビームブロッカーがTEMビームの経路を遮るように、ビームブロッカーを動かすことと、TEMビームが開口を通過することができないように、開口を遮ることと、のうちの1つを含む、段落5.1の方法。
【0431】
L5.2.TEM動作モードへの切り替えが、TEMビームのみがサンプルに入射するように、SEMビームを遮断させることを含む、段落L5~L5.1のいずれかの方法。
【0432】
L5.2.1.SEMビームを遮断させることが、SEMビームがビームブロッカーによって遮断されるように、SEMビームを偏向することと、ビームブロッカーがSEMビームの経路を遮るように、ビームブロッカーを動かすことと、SEMビームが開口を通過することができないように、開口を遮ることと、のうちの1つを含む、段落5.2の方法。
【0433】
L6.TEMビームがサンプルに入射することに起因する、検出された放出の一部分を判定することをさらに含む、段落L1~L5.2.1.のいずれかの方法。
【0434】
L6.1.SEMビームがサンプルに入射することに起因する、検出された放出の一部分を判定することをさらに含む、段落L6の方法。
【0435】
L7.SEMビームおよびTEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた検出された放出に基づいてSEM像を生成することをさらに含む、段落L1~L6.1のいずれかの方法。
【0436】
L8.SEMビームおよびTEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた検出された放出に基づいてTEM像を生成することをさらに含む、段落L1~L7のいずれかの方法。
【0437】
L9.SEMビームおよびTEMビームがサンプルに入射することから結果として生じた放出が、単一の検出器および/または検出器アレイで検出される、段落L1~L8のいずれかの方法。
【0438】
L10.複数の電子粒子を第1の電子ビームおよび第2の電子ビームに形成することと、焦点特性の修正と、が二焦点ビームフォーマによって少なくとも部分的に実行される、段落L1~L9のいずれかの方法。
【0439】
L10.1.二焦点ビームフォーマが、段落F1~F12.1のいずれかのMEMSデバイスである、段落L10の方法。
【0440】
L10.2.二焦点ビームフォーマが、段落I1~I13.4.4のいずれかのマルチ開口アレイである、段落L10の方法。
【0441】
L10.2.二焦点ビームフォーマが、第1の電子ビームおよび第2の電子ビームのうちの一方に少なくとも四重極レンズ効果を適用する、段落L10~L10.2のいずれかの方法。