(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】粘度や表面張力を測定するシステム、および粘度や表面張力を測定する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 11/04 20060101AFI20241126BHJP
G01N 13/02 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01N11/04 Z
G01N13/02
(21)【出願番号】P 2023508365
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021012837
(87)【国際公開番号】W WO2022201485
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】506087705
【氏名又は名称】学校法人産業医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 憲児
(72)【発明者】
【氏名】大野 宏毅
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-1762(JP,A)
【文献】特開2020-8342(JP,A)
【文献】特開2018-9794(JP,A)
【文献】特開平10-232194(JP,A)
【文献】特表2003-524183(JP,A)
【文献】坂本憲児,生活習慣病予防のための体液粘度測定装置,Bio Industry,Vol.37 No.11,日本,Page.61-68
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/00-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器と、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の前記液面位置Lnと前記到達時間tnから第一の流れ係数IWS1を算出し、かつ、前記測定器により測定された、前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の前記液面位置Lnと前記到達時間tnから第二の流れ係数IWS2を算出するための第一の算出部と、
前記第一の試料の、前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する第二の算出部と、
粘性率および/または表面張力が既知の標準試料の、前記毛細管における前記圧力-流れ係数の評価係数Xsと、前記評価係数Xtとの比を用いて、前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出する相対算出部とを有する、粘性および/または表面張力を測定するシステム。
【請求項2】
第一の開口部および第二の開口部を有し、毛細管内径が特定された毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器と、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の前記液面位置と前記到達時間から第一の流れ係数IWS1を算出し、かつ、前記測定器により測定された、前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の前記液面位置Lnと前記到達時間tnから第二の流れ係数IWS2を算出するための第一の算出部と、
前記第一の試料の、前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する第二の算出部と、
前記毛細管内径の値と、前記第一の規定圧力P1と、前記第二の規定圧力P2と、前記第一の流れ係数IWS1と、前記第二の流れ係数IWS2と、前記評価係数Xtとから前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出する独立算出部とを有する、粘性率および/または表面張力を測定するシステム。
【請求項3】
第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器と、
前記測定装置で測定された、前記毛細管内での、第一の圧力P1´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の標準流れ係数IWSs1を算出し、かつ、前記測定装置で測定された、前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の標準流れ係数IWSs2を算出するための標準算出部と、
前記測定装置で測定された、前記毛細管内での、第一の圧力P1´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の試験流れ係数IWSt1を算出し、かつ、前記測定装置で測定された、前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の試験流れ係数IWSt2を算出するための試験試料算出部と、
前記標準試料の粘性率および/または表面張力に基づき、前記標準試料の前記第一の標準流れ係数IWSs1および前記第二の標準流れ係数IWSs2と、前記試験試料の前記第一の試験流れ係数IWSt1および第二の試験流れ係数IWSt2との比から、前記試験試料の粘性率および/または表面張力を算出する対比算出部とを有する、粘性率および/または表面張力を測定するシステム。
【請求項4】
前記圧力調整部の圧力を設定する設定手段を有する、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記圧力調整部の圧力を測定する圧力計を有する、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記評価係数Xtを、3種類以上の圧力で、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから測定した流れ係数を用いて算出する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
前記切替弁が、電磁弁であり、前記毛細管に液面位置を検出する停止用センサーを有し、前記停止用センサーが液面を検出したとき、前記検出に基づいて、前記切替弁を停止する信号を送信し、前記切替弁を停止することで、前記毛細管内で、液の流動を停止させる請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記標準試料の前記毛細管における前記評価係数Xsが、前記前記第一の試料の前記評価係数Xtを算出した、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2で測定して算出されたものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第一の圧力P1´が、大気圧であり、
前記標準試料および前記試験試料が、同じ圧力調整部に接続されることで、それぞれの試料の前記第二の圧力P2´を同一の圧力とする、請求項3記載のシステム。
【請求項10】
第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を用いる粘性率および/または表面張力を測定する方法であり、
前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の流れ係数IWS1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の流れ係数IWS2を算出する工程と、を有し、
前記第一の試料の、前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから算出する圧力-流れ係数の評価係数Xtと、
粘性率および/または表面張力が既知の標準試料の、前記毛細管における前記圧力-流れ係数の評価係数Xsとの比を用いて、前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を測定する方法。
【請求項11】
第一の開口部および第二の開口部を有し、毛細管内径が特定された毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を用いる粘性率および/または表面張力を測定する方法であり、
前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の流れ係数IWS1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の流れ係数IWS2を算出する工程と、を有し、
前記第一の試料の前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出し、
前記毛細管内径の値と、前記第一の規定圧力P1と、前記第二の規定圧力P2と、前記第一の流れ係数IWS1と、前記第二の流れ係数IWS2と、前記評価係数Xtとから前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を測定する方法。
【請求項12】
第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を用いる粘性率および/または表面張力を測定する方法であり、
前記毛細管内での、第一の圧力P1´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の標準流れ係数IWSs1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の標準流れ係数IWSs2を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の試験流れ係数IWSt1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第二の圧力P2´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の試験流れ係数IWSt2を算出する工程と、を有し、
前記標準試料の粘性率および/または表面張力に基づき、前記標準試料の前記第一の標準流れ係数IWSs1および前記第二の標準流れ係数IWSs2と、前記試験試料の前記第一の試験流れ係数IWSt1および第二の試験流れ係数IWSt2との比から、前記試験試料の粘性率および/または表面張力を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の粘度や表面張力を測定するシステムに関する。また、試料の粘度や表面張力を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や唾液などの体液粘度は生活習慣病との相関が示唆されているが粘度の測定は困難である。生体試料はサンプル量も少なく、感染症対策などの衛生的な観点などから、サンプルが接する部分は使い捨てとなる、いわゆるディスポーザブルな構成であることが求められる。
【0003】
少量のサンプルの粘度測定装置としては、EMS粘度計などが実用化されている。EMS粘度計は、最小サンプル量が300μL程度であるが、金属球とガラス容器底面の摩擦を無視できないため、比較的粘度が低い生体試料には適さない可能性がある。
【0004】
特許文献1は、流路を流れる体液の電気伝導率および粘性を計測する体液粘性測定装置であって、前記流路に設けられ、外部の交流電源に接続される第1の導電部と、前記流路に設けられ、該流路内の前記体液を介して前記第1の導電部に電気的に接続される第2の導電部と、前記第2の導電部に接続された出力端子から出力される電気信号の大きさから前記体液の電気伝導率および粘性を算出する演算手段とを備え、前記第1、第2の導電部は、合わせて少なくとも3つあって、それぞれ前記体液の流れに沿って前記流路の異なる位置で該体液に接触することを特徴とする体液粘性測定装置を開示している。また、特許文献2も、導電部を有する粘性測定装置である。
【0005】
特許文献3は、体液の粘性を計測する体液粘性測定装置において、大気圧のもと、毛細管現象による力の作用によって前記体液が流れる流路と、前記体液が前記流路に沿って移動した移動距離および該移動距離の移動に要した移動時間に基づいて回帰分析し、前記体液の粘性を導出する演算手段とを備えることを特徴とする体液粘性測定装置を開示している。また、特許文献4も、微細流路を用いた液体採取等に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-133918号公報
【文献】特開2018-28451号公報
【文献】特開2020-8342号公報
【文献】特開2021-1762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
血液などは、非ニュートン流体になるため、粘度の速度依存性を測定する必要がある。また、100μL程度などの微量の非ニュートン流体を測定するものとなる。このような試料について、粘度や表面張力の測定を行う手法が限られていた。また、特許文献1~4のほかにも、粘性率や表面張力を測定するための手法を提供することで、試料に合わせた試験手法の選択の幅も広がる。
【0008】
特許文献3および4は、微量な液体試料の粘度を、使い捨て可能な市販の毛細管を用いて測定する手段を提供する。これらの方法は、管内を毛細管力によって流れる流体の流動時間から該試料の粘度を算出するが、粘度測定法として下記に課題がある。
【0009】
毛細管内の流動時間の測定だけでは該試料の表面張力と粘度を分離して決定することができない。管内流動時間測定から求められるのは表面張力と粘度の比である。本発明は、この課題を解決する手段を提供する。つまり、流動測定から、試料の粘度と表面張力を独立に決定することができる。
【0010】
係る状況下、本発明は、このような微量の試料でも粘性率や表面張力の測定を行うことができるシステムや方法等を新たに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0012】
<1> 第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器と、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の前記液面位置Lnと前記到達時間tnから第一の流れ係数IWS1を算出し、かつ、前記測定器により測定された、前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の前記液面位置Lnと前記到達時間tnから第二の流れ係数IWS2を算出するための第一の算出部と、
前記第一の試料の、前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する第二の算出部と、
粘性率および/または表面張力が既知の標準試料の、前記毛細管における前記圧力-流れ係数の評価係数Xsと、前記評価係数Xtとの比を用いて、前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出する相対算出部とを有する、粘性および/または表面張力を測定するシステム。
【0013】
<2> 第一の開口部および第二の開口部を有し、毛細管内径が特定された毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器と、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の前記液面位置と前記到達時間から第一の流れ係数IWS1を算出し、かつ、前記測定器により測定された、前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の前記液面位置Lnと前記到達時間tnから第二の流れ係数IWS2を算出するための第一の算出部と、
前記第一の試料の、前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する第二の算出部と、
前記毛細管内径の値と、前記第一の規定圧力P1と、前記第二の規定圧力P2と、前記第一の流れ係数IWS1と、前記第二の流れ係数IWS2と、前記評価係数Xtとから前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出する独立算出部とを有する、粘性率および/または表面張力を測定するシステム。
【0014】
<3> 第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器と、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、第一の圧力P1´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の標準流れ係数IWSs1を算出し、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の標準流れ係数IWSs2を算出するための標準算出部と、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、第一の圧力P1´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の試験流れ係数IWSt1を算出し、
前記測定器により測定された、前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の試験流れ係数IWSt2を算出するための試験試料算出部と、
前記標準試料の粘性率および/または表面張力に基づき、前記標準試料の前記第一の標準流れ係数IWSs1および前記第二の標準流れ係数IWSs2と、前記試験試料の前記第一の試験流れ係数IWSt1および第二の試験流れ係数IWSt2との比から、前記試験試料の粘性率および/または表面張力を算出する対比算出部とを有する、粘性率および/または表面張力を測定するシステム。
【0015】
<4> 前記圧力調整部の圧力を設定する設定手段を有する、前記<1>~<3>のいずれかに記載のシステム。
<5> 前記圧力調整部の圧力を測定する圧力計を有する、前記<1>~<4>のいずれかに記載のシステム。
<6> 前記評価係数Xtを、3種類以上の圧力で、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから測定した流れ係数を用いて算出する、前記<1>または<2>に記載のシステム。
<7> 前記切替弁が、電磁弁であり、前記毛細管に液面位置を検出する停止用センサーを有し、前記停止用センサーが液面を検出したとき、前記検出に基づいて、前記切替弁を停止する信号を送信し、前記切替弁を停止することで、前記毛細管内で、液の流動を停止させる前記<1>~<6>のいずれかに記載のシステム。
<8> 前記標準試料の前記毛細管における前記評価係数Xsが、前記前記第一の試料の前記評価係数Xtを算出した、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2で測定して算出されたものである、前記<1>に記載のシステム。
<9> 前記第一の圧力P1´が、大気圧であり、
前記標準試料および前記試験試料が、同じ圧力調整部に接続されることで、前記第二の圧力P2´を同一の圧力とする、前記<3>記載のシステム。
【0016】
<10> 第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を用いる粘性率および/または表面張力を測定する方法であり、
前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の流れ係数IWS1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の流れ係数IWS2を算出する工程と、を有し、
前記第一の試料の、前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから算出する圧力-流れ係数の評価係数Xtと、
粘性率および/または表面張力が既知の標準試料の、前記毛細管における前記圧力-流れ係数の評価係数Xsとの比を用いて、前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を測定する方法。
【0017】
<11> 第一の開口部および第二の開口部を有し、毛細管内径が特定された毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を用いる粘性率および/または表面張力を測定する方法であり、
前記毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の流れ係数IWS1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の流れ係数IWS2を算出する工程と、を有し、
前記第一の試料の前記一の流れ係数IWS1および前記第二の流れ係数IWS2と、前記第一の規定圧力P1および前記第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出し、
前記毛細管内径の値と、前記第一の規定圧力P1と、前記第二の規定圧力P2と、前記第一の流れ係数IWS1と、前記第二の流れ係数IWS2と、前記評価係数Xtとから前記第一の試料の粘性率および/または表面張力を測定する方法。
【0018】
<12> 第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、前記第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、前記毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を用いる粘性率および/または表面張力を測定する方法であり、
前記毛細管内での、第一の圧力P1´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の標準流れ係数IWSs1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、標準試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の標準流れ係数IWSs2を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第一の圧力P1´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の試験流れ係数IWSt1を算出する工程と、
前記毛細管内での、前記第二の圧力P2´における、試験試料の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第二の試験流れ係数IWSt2を算出する工程と、を有し、
前記標準試料の粘性率および/または表面張力に基づき、前記標準試料の前記第一の標準流れ係数IWSs1および前記第二の標準流れ係数IWSs2と、前記試験試料の前記第一の試験流れ係数IWSt1および第二の試験流れ係数IWSt2との比から、前記試験試料の粘性率および/または表面張力を測定する方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、微量の試料でも粘性率や表面張力の測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の測定方法を行うための毛細管を有する流動性の第一の測定システムや第二の測定システムの概要図である。
【
図2】流動性の測定装置における液面位置と到達時間のグラフである。
【
図3】圧力-流れ係数の相関関係を示すグラフである。
【
図4】本発明の第一の測定方法の一例を示すフロー図である。
【
図5】圧力-流れ係数の相関関係を示すグラフである。
【
図6】本発明の第二の測定方法の一例を示すフロー図である。
【
図7】本発明の測定方法を行うための毛細管を有する流動性の第三の測定システムの概要図である。
【
図8】本発明の第三の測定方法の一例を示すフロー図である。
【
図9】本発明の第三の測定方法に係る圧力-流れ係数の相関関係を示すグラフである。
【
図10】本発明に用いる測定装置の一例やその試験例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0022】
[本発明の第一の測定システム]
本発明の第一の測定するシステム(以下、「本発明の第一の測定システム」)は、第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を有する。
【0023】
また、本発明の第一の測定システムは、測定器により測定された、毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の液面位置Lnと到達時間tnから第一の流れ係数IWS1を算出し、毛細管内での、第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の液面位置Lnと到達時間tnから第二の流れ係数IWS2を算出するための第一の算出部を有する。
【0024】
また、本発明の第一の測定システムは、第一の試料の、第一の流れ係数IWS1および第二の流れ係数IWS2と、第一の規定圧力P1および第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する第二の算出部を有する。
【0025】
また、本発明の第一の測定システムは、粘性率および/または表面張力が既知の標準試料の、毛細管における圧力-流れ係数の評価係数Xsとの比を用いて、第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出する相対算出部とを有する。
【0026】
[本発明の第二の測定システム]
本発明の第二の測定するシステム(以下、「本発明の第二の測定システム」)は、本発明の第一の測定システムと同様に、測定器と、第一の流れ係数IWS1の算出と、第二の流れ係数IWS2の算出を行う第一の算出部と、圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する第二の算出部とを有する。
【0027】
毛細管内径の値と、第一の規定圧力P1と、第二の規定圧力P2と、第一の流れ係数IWS1と、第二の流れ係数IWS2と、評価係数Xtとから第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出する独立算出部を有する。
【0028】
[本発明の第三の測定システム]
本発明の第三の測定するシステム(以下、「本発明の第三の測定システム」)は、本発明の第一の測定システムおよび本発明の第二の測定ステムで用いる測定器と、一部共通する測定器を有する。
【0029】
また、本発明の第三の測定システムは、毛細管内での、第一の圧力P1´における、標準試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第一の標準流れ係数IWSs1を算出し、毛細管内での、第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、標準試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の標準流れ係数IWSs2を算出するための標準算出部を有する。
【0030】
また、本発明の第三の測定システムは、毛細管内での、第一の圧力P1´における、試験試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第一の試験流れ係数IWSt1を算出し、毛細管内での、第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、試験試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の試験流れ係数IWSt2を算出するための試験試料算出部を有する。
【0031】
また、本発明の第三の測定システムは、標準試料の粘性率および/または表面張力に基づき、標準試料の第一の標準流れ係数IWSs1および第二の標準流れ係数IWSs2と、試験試料の第一の試験流れ係数IWSt1および第二の試験流れ係数IWSt2との比から、試験試料の粘性率および/または表面張力を算出する対比算出部とを有する。
【0032】
[本発明の第一の測定方法]
本発明の第一の測定する方法(以下、「本発明の第一の測定方法」)は、第一の開口部および第二の開口部を有する毛細管と、第一の開口部側に接続される流路と、大気中に開放された流路および/または圧力調整部に接続された流路とを有する切替弁と、毛細管の液面位置Lnにおける到達時間tnを測定する測定部とを有する測定器を用いて、測定する。
【0033】
本発明の第一の測定方法は、毛細管内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第一の流れ係数IWS1を算出する工程と、毛細管内での、第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の流れ係数IWS2を算出する工程と、を有する。
【0034】
本発明の第一の測定方法は、第一の試料の、第一の流れ係数IWS1および第二の流れ係数IWS2と、第一の規定圧力P1および第二の規定圧力P2とから算出する圧力-流れ係数の評価係数Xtと、粘性率および/または表面張力が既知の標準試料の、毛細管における評価係数Xsとの比を用いて、第一の試料の粘性率および/または表面張力を測定する。
【0035】
[本発明の第二の測定方法]
本発明の第二の測定する方法(以下、「本発明の第二の測定方法」)は、本発明の第一の測定方法と同様に、測定器と、第一の流れ係数IWS1の算出と、第二の流れ係数IWS2の算出を行う。本発明の第二の測定方法で用いる測定器は、毛細管の内径(毛細管内径)の値が特定されている。
【0036】
さらに、本発明の第二の測定方法は、毛細管内径の値と、第一の規定圧力P1と、第二の規定圧力P2と、第一の流れ係数IWS1と、第二の流れ係数IWS2と、圧力-流れ係数の評価係数Xtとから第一の試料の粘性率および/または表面張力を測定する。
【0037】
[本発明の第三の測定方法]
本発明の第三の測定する方法(以下、「本発明の第三の測定方法」)は、本発明の第一の測定方法および本発明の第二の測定方法に用いるものと、一部共通する測定器を用いて、測定する。
【0038】
本発明の第三の測定方法は、毛細管内での、第一の圧力P1´における、標準試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第一の標準流れ係数IWSs1を算出する工程と、
毛細管内での、第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、標準試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の標準流れ係数IWSs2を算出する工程と、
毛細管内での、第一の圧力P1´における、試験試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第一の試験流れ係数IWSt1を算出する工程と、
毛細管内での、第二の圧力P2´における、試験試料の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の試験流れ係数IWSt2を算出する工程と、を有する。
【0039】
本発明の第三の測定方法は、標準試料の粘性率および/または表面張力に基づき、標準試料の第一の標準流れ係数IWSs1および第二の標準流れ係数IWSs2と、試験試料の第一の試験流れ係数IWSt1および第二の試験流れ係数IWSt2との比から、試験試料の粘性率および/または表面張力を測定する。
【0040】
本発明の第一の測定方法、本発明の第二の測定方法、および本発明の第三の測定方法は、いずれも、毛細管内での液の流動性を、差圧を設けた状態で試験し、その流動性に基づいて、粘性率や表面張力を測定する。本願において、本発明の第一の測定方法~本発明の第三の測定方法をまとめて、単に、「本発明の測定方法」と記載する場合がある。
【0041】
本発明の測定システムおよび本発明の測定方法によれば、微量の試料でも粘性率や表面張力の測定を行うことができる。なお、本願において、本発明の測定システムにより、本発明の測定方法を行うことができ、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。特に、本発明の第一の測定方法は本発明の第一の測定システムと対応し、本発明の第二の測定方法は本発明の第二の測定システムと対応し、本発明の第三の測定方法は本発明の第三の測定システムと対応する。
【0042】
本発明の測定システムや本発明の測定方法は、本発明者らが見出した次のような知見に基づく。毛細管内における液の流動性は、その液の粘性率や表面張力と所定の関係にある。さらに、その毛細管内における液の流動性を、複数の圧力で測定し、その測定条件に差圧が存在するものとして得た値から、所定の算出を行うことで、粘性率や表面張力を具体的に数値化できる。
【0043】
[第一の実施形態]
図1~4等に基づいて、本発明の第一の測定システムや本発明の第一の測定方法に関する、第一の実施形態について説明する。
【0044】
[測定システム101]
図1は、本発明の測定方法に用いられる毛細管を有する流動性の第一の測定システムや第二の測定システムの概要図である。測定システム101は、測定器102と、第一の算出部81と、第二の算出部82と、記憶部80と、表示部91を有する。測定システム101は、測定器102を用いて測定された毛細管内での流動性に基づいて、第一の試料5の粘性率や表面張力を測定する。
【0045】
[測定器102]
測定器102は、毛細管11と、切替弁2と、圧力調整部3を有する。また、毛細管11は載置台7に載置される。載置台7は、液溜部4を有する。液溜部4には、第一の試料5が収容される。毛細管11内の液面位置は、センサー61~66により検出され、その到達時間は計時部60で検出される。
【0046】
[毛細管11]
毛細管11は、中空の毛細管状の微細流路110を有し、微細流路110の両端に、第一の開口部111と、第二の開口部112を有する。第一の開口部111は、流路21を介して切替弁2の流路に接続されている。毛細管11は、例えば、クロマトグラフィーの試料点着用や電気生理学実験電極用などに市販されている毛細管などを用いることができる。毛細管は、親水性のマイクロ流路などの毛細管現象が生じるものを含む。
【0047】
毛細管11は、毛細管状の微細流路110を有し、この微細流路110は、毛細管現象が生じる太さの流路である。微細流路110には、微細流路空間内圧力と液体の毛細管力(表面張力)とによって液が入り込む。これらには、微細流路の内径、液体の表面張力、切替弁側の構成、微細流路と液体の親和性等が関与する。このような毛細管現象を利用した粘度測定に適した微細流路の内径は、1mm以下程度である。
【0048】
また、本発明は、微量の液体の評価に適している。特に血液や唾液などの微量の体液への利用に適しており、これらは水を主たる媒質として含む。このため、毛細管11は、親水性のものを用いて、毛細管現象が生じやすいものとすることが好ましい。毛細管11は、例えば、ガラス製のものを用いることができる。
【0049】
[切替弁2]
切替弁2は、流路21を介して、第一の開口部111側に接続される。また、切替弁2は、大気中に開放された流路22と、圧力調整部3に接続された流路23を有する。毛細管現象は比較的速やかに進行することからも、切替弁2は、電気信号により送液開始や送液停止を瞬時に制御する事ができる電磁弁を用いることが好ましい。
【0050】
[流路21]
毛細管11の第一の開口部111と切替弁2とは任意の手段で接続することができる。毛細管11は、使用のたびに取り換える場合があるため、この取り換えを行いやすいように、流路21に可撓性を有するチューブなどを用いて接続することが好ましい。この流路21は、疎水性のものを用いることが好ましい。一部前述したように、毛細管11は親水性のものを用いて、毛細管現象が生じやすいものとすることが好ましい。一方で、微細流路110の第一の開口部111を超えて、切替弁2側まで過剰に液体が入り込まない方が好ましい。
【0051】
[圧力調整部3]
圧力調整部3は、大気圧以外の圧力に調整された部分である。圧力調整部3は複数の圧力に調整されたものであることを把握できるものとすることができる。第一の規定圧力P1と、第二の規定圧力P2とは、異なる圧力である。第一の規定圧力P1を大気圧とする場合、切替弁2を流路22に接続した状態で開放すれば、大気圧とできる。このとき、第一の規定圧力P1とは異なる第二の規定圧力P2とするために、圧力調整部3は、陰圧または陽圧に調整された部分とする。
【0052】
[圧力計31]
本発明の第一の計測方法(システム)や、本発明の第二の計測方法(システム)は、圧力が明確な第一の規定圧力P1や第二の規定圧力P2を必要とする。これらの規定圧力を特定するために、圧力調整部3には、圧力計31を取り付けて、その圧力を測定することが好ましい。圧力計は、気圧を測定する各種圧力計を用いることができる。特に本発明では、大気圧を基準として±10,000Paや、±5,000Pa、±1,000Pa、±500Pa、±300Pa程度の測定レンジで、目盛りとして10Pa刻みや、1Pa刻み、0.5Pa刻み程度の圧力を測定できるような微差圧計を用いることが好ましい。
【0053】
本発明においては、圧力として、陰圧を利用することで、粘度が高い試料の測定にも適している。粘度が高い試料は、毛細管現象による流動性が低いため、大気圧や陽圧などでは測定しにくい場合があるが、陰圧を用いれば、流動性が向上して測定しやすくなる。高粘度の試料を測定するために、陰圧を利用する場合、5,000~10,000Paの陰圧としてもよい。
【0054】
圧力調整部3は、例えば、圧力容器と真空ポンプとを、バルブを介して接続して、バルブの開閉の程度に応じた圧力を調製できるものなどとすることができる。圧力調整部3は、圧力を把握して管理できればよく、前述のように、圧力計31を取り付けてそのときの圧力を測定して、測定された圧力を用いて相関の算出等を行うことができる。また、圧力調整部の圧力容器等に関する条件を設定したときの圧力を把握しておき、その圧力とみなして使用してもよい。具体的には、シリンジを圧力容器に取り付けて、シリンジの吸引目盛りで圧力を把握できるものとすることなどができる。
【0055】
[液溜部4]
液溜部4は、第一の試料5を収容する。また、液溜部4に収容された第一の試料5に毛細管11の第二の開口部112が接する。
【0056】
液溜部4に収容する第一の試料5の液量は、第一の試料の種類や粘性率や表面張力に影響する諸条件(微細流路の太さ)等により適宜設定できるが、500μL以下や300μL以下、100μL以下、50μLのような範囲とすることができる。流動性を測定するため、特に下限を設定しないでもよいが、1μL以上や、10μL以上のような下限を設けてもよい。
【0057】
[第一の試料5]
第一の試料5は、毛細管現象が生じる任意の液体を用いることができる。この液体には、種々の成分が溶解や分散したものを用いてもよい。血液や唾液などの生体由来のサンプルを対象とすることもできる。また、乳液や、高分子溶液、粒子混濁液などを用いることもできる。
【0058】
測定器102によれば、毛細管11内の第一の試料5の流動性を測定することができる。また、毛細管11や必要に応じて流路21を取り外して容易に廃棄することができる。
【0059】
[載置台7]
毛細管11や、液溜部4、センサー6(センサー61~66)は、載置台7に配置や構成され一体化されている。また、載置台7は、毛細管11の微細流路が略水平なものとなるように配置されている。また、液溜部4に第一の試料5を収容した状態で、毛細管11の第二の開口部112が第一の試料5に接するように構成されている。
【0060】
[センサー6(センサー61~66)]
センサー6(センサー61~66)は、毛細管11を流通する第一の試料5の液面を検出するセンサーである。センサー61~66は、毛細管11の微細流路110に並置して、所定の間隔で複数設けられておる。センサー61~66は、それぞれが対応する位置で微細流路110内の変動を検出することができる。
【0061】
例えば、センサー61~66は、それぞれを光学センサーとして、微細流路110内の液面の変動を検出するものとすることができる。液体51が微細流路110内で吸い込まれるとき、その液面は液と空間中の気体との屈折率差および/または光散乱の差によって光学的手段により顕著に観察しやすい状態となる。この液面L1~L6の通過の有無を、それぞれのセンサー61~66が検出することができる。
【0062】
[計時部60]
計時部60は、センサー61~66に液面が到達した時間(到達時間)を計測する。計時部60は、切替弁2にも接続するものとし、切替弁2を、切り替えたことを契機として、センサー61~66での検出時間を計時する。
【0063】
このように、センサー61~66と、計時部60により、毛細管11の液面位置Ln(Ln1~L6)における、第一の試料5の液面が到達するまでの到達時間tn(t1~t6)を測定する測定部となる。
【0064】
図2は、流動性の測定器における液面位置と到達時間のグラフである。これは、毛細管11の微細流路110に並置したセンサー61~65を通過した時間を測定した流動性の測定器における、基準位置(毛細管の試料入り口)から液面までである液面位置の二乗と、到達時間のグラフである。このように、微細流路110内での液面の変位時間は、毛細管11の長さに対して直線回帰される時間で到達する。
【0065】
測定器102は、切替弁2が、電磁弁であることが好ましい。また、毛細管11の液面位置を検出する停止用センサーを有し、停止用センサーが液面を検出したとき、切替弁2を停止する信号を送信し、切替弁2を停止するように閉じることで、毛細管11内で、液の流動を停止させることが好ましい。この停止用センサーは、停止用に、毛細管11の第一の開口部111付近の第二の開口部112側の手前に、停止用に取り付けてもよい。または、センサー65や、センサー66のように、計時用に取り付けているセンサーによる検出を、停止用のものに併用してもよい。毛細管11は使い捨てとして、適宜取り換えながら使用できるが、流路21に液が入り込むと測定器102が汚染され、復旧作業が煩雑となる場合がある。
【0066】
また、停止用センサーが液面を検知したときに流動を停止させる信号を用いる以外にも流動開始後、一定時間経過時に流動停止させる停止信号を出すものとしてもよい。停止するまでの一定時間としては、長さや流動速度などに応じて、適宜設定できる。例えば3~10秒や、5~8秒程度とすることができる。
【0067】
[第一の算出部81]
第一の算出部81は、第一の流れ係数IWS1や、第二の流れ係数IWS2などの、流れ係数を算出する。
【0068】
[第一の流れ係数IWS1]
本発明の測定方法等は、第一の試料5に係る第一の流れ係数IWS1や第二の流れ係数IWS2を用いて、粘性率や表面張力を測定する。毛細管11内での、第一の規定圧力P1における、第一の試料5の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第一の流れ係数IWS1を算出する工程を有する。到達時間tnと、液面位置Lnとには、前述したように
図2に示すような直線回帰がみられる。よって、到達時間tnと、液面位置Lnとには以下の式が得られる。
到達時間tn=傾き係数WS1×液面位置Ln
2 + 切片係数Bt 式(1)
【0069】
そして、本発明の測定方法等にあたって、この傾き係数WS1の逆数の関数を、第一の流れ係数IWS1とする。(IWS1=傾き係数WS1-1)
【0070】
[第二の流れ係数IWS2]
また、毛細管11内での、第一の規定圧力P1と異なる圧力である第二の規定圧力P2における、第一の試料5の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の流れ係数IWS2を算出する工程を有する。
【0071】
この規定圧力P2でも、その圧力に対応した前述の到達時間tnと、液面位置Lnとの関係のように回帰性がみられ、第一の流れ係数IWS1と同様に、圧力P2における第二の流れ係数IWS2が得られる。
【0072】
[流れ係数IWSn]
圧力を変更したとき、その規定圧力Pnに応じて、この流れ係数IWSnは得られる。よって、圧力は2点のみでなく、3以上の圧力で流れ係数IWSnを算出するものとしてもよい。
【0073】
第一の規定圧力P1は、例えば、大気圧とすることができる。大気圧とするにあたっては、測定器102の場合、切替弁2を切り替えて、流路21を、流路22に接続するものとできる。また、第二の規定圧力P2は、圧力調整部3を第二の規定圧力P2に設定した状態で、切替弁2を切り替えて、流路21を流路23と接続するものとできる。切替弁2を切り替えたタイミングを起点として、到達時間を測定するために切替弁2は計時部60と電気的に接続したものとできる。
【0074】
[第二の算出部82]
第二の算出部82は、第一の試料5に係る圧力-流れ係数の評価係数Xtの算出や、標準試料の圧力-流れ係数の評価係数Xsと比較して、第一の試料5の粘性率や表面張力を算出する。
【0075】
[圧力-流れ係数の評価係数Xt]
第二の算出部82は、第一の試料5の第一の流れ係数IWS1および第二の流れ係数IWS2と、第一の規定圧力P1および第二の規定圧力P2とから圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する。
【0076】
図3は、差圧ΔPaと、試料の流れ係数IWSnの関係を示すグラフである。差圧は、基準圧力を大気圧とし、流れ係数を測定したときの規定圧力Pnと大気圧P0との差(差圧ΔP=測定時の規定圧力Pn-大気圧P0)で示したもので、いわゆるゲージ圧力である。(ここで大気圧をP0としている。)また、その圧力(差圧)での流れ係数IWSnをプロットした。この差圧と、流れ係数IWSnとには、直線回帰することが確認される。差圧が負の値となるグラフの左側は、測定時の規定圧力が大気圧よりも低い条件(陰圧)で測定したものである。右側が陽圧で測定したものである。
【0077】
第一の試料について、圧力(差圧)と、流れ係数IWSnとについて、以下の式が得られる。この圧力-流れ係数の関係式のなかで、傾きを表す評価係数Xtと、切片係数βtは評価に用いられる。
IWSn=評価係数Xt×差圧+切片係数βt 式(2)
【0078】
[圧力-流れ係数の評価係数Xs]
本発明の測定方法等は、粘性率および/または表面張力が既知の標準試料に関するデータを用いて測定を行う。標準試料についても、第一の試料と同様の測定等を行うことで、標準試料に関する以下の式が得られる。この圧力-流れ係数の関係式のなかで、傾きを表す評価係数Xsと、切片係数βsは評価に用いられる。
IWSn=評価係数Xs×差圧+切片係数βs 式(3)
【0079】
第一の規定圧力P1および/または第二の規定圧力P2は、大気圧よりも低い陰圧であることが好ましい。特に、一方を大気圧として、他方を陰圧としてもよい。
図4に示すように、粘度が高い試料は、流動性が低くなり、IWSnを求めたとき、値が低くなる。この場合でも、陰圧での測定は、比較的流動性が維持されて、評価係数Xtが、信頼性が高い値で得られる。
【0080】
また、評価係数Xtを、3種類以上の圧力で、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから測定した流れ係数を用いて算出することが好ましい。
図3のように直線回帰式を求めるにあたって、点数が増えることでより信頼性が高い評価係数Xtの式を得ることができる。
【0081】
[標準試料]
標準試料は、粘性率や表面張力が既知のものを用いる。比較的粘度が低い、生体試料などの低粘度の試料を測定対象の第一の試料とする場合、例えば、水などを標準試料とすることができる。例えば、純水の20℃における表面張力は、72.8(mN/m)である。また、純水の20℃における粘性率は、1.00(mPa・s)である。
【0082】
標準試料の毛細管11における圧力-流れ係数の評価係数Xsは、別に測定等して得られている値を参照値として登録しておき、これを用いてもよい。または、第一の試料の圧力-流れ係数の評価係数X1を算出した、第一の規定圧力P1および第二の規定圧力P2で同様に測定して算出することが好ましい。標準試料に関するデータのため、基準値を算出しておいても十分に測定等ができるが、粘性率や表面張力は、温度や気圧の影響を非常に大きく受けやすい。よって、試験を行う環境や季節等の影響をより少なくした校正のために標準試料も同条件で測定することがより好ましい。
【0083】
[相対算出部83]
相対算出部83は、粘性率および/または表面張力が既知の標準試料の、毛細管11における圧力-流れ係数の評価係数Xsとの比を用いて、第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出するものである。なお、第一の実施形態においては、測定システム101の独立算出部84を用いなくてよい。
【0084】
[粘性率や表面張力の算出]
粘性率や表面張力の算出にあたっては、以下の原理が用いられる。圧力差があるときに、定常状態(慣性力を考慮しない状態)で、摩擦力と表面張力と圧力差があるとき、次の式(a1)が成り立つ(Washburn式)。
【0085】
【0086】
式(a1)において、各符号は以下である。D:毛細管内径(直径)(mm)、σt:測定試料の表面張力(mN/m)、θt:測定試料と毛細管内壁の接触角(°)、ηt:測定試料の粘性率(mPa・s)、l:液体が管内に侵入した距離(mm)、t:経過時間(ms)。また、ΔP(Pa)は測定時の圧力容器内圧(規定圧力Pn)と大気圧(P0)の差を表しΔP=Pn-P0となる。
【0087】
【0088】
【0089】
すなわち、時間=(粘度、表面張力、差圧の関数)×(液面位置)
2で表すことができる。ここで規定圧力P1に対してはWS1(ただしΔPは測定時の規定圧力P1と大気圧P0の差圧)、規定圧力P2に対してはWS2(ただしΔPは測定時の規定圧力P2と大気圧P0の差圧)などが定まる。また前述の
図2のグラフの傾きは前述の式(a1)~(a3)のWSn(ただしΔPは測定時の規定圧力Pnと大気圧P0の差圧)と同じである。
【0090】
【0091】
ここで、式(a4)に示すように、傾き係数WSnの逆数を流れ係数と名付け、IWSnと表記し、規定圧力Pnのときの値に対応する。(ただしΔP測定時の規定圧力Pnと大気圧P0の差圧)
【0092】
【0093】
試料tについて流れ係数IWSnがゼロになるような差圧ΔP(t,IWSn=0)が求められたとする。式(a5)からわかるように、この値は表面張力と接触角と毛細管内径によってきまる。逆に言えば、毛細管内径Dと接触角と、流れ係数IWSnがゼロになるような差圧ΔPが求められれば、その試料の表面張力の値を決めることができる。
【0094】
測定試料と毛細管内壁の接触角は、例えば水とガラスの場合は鋭角になるため、COSθtの値は1に近くなる。このような試料についてはCOSθt=1と近似しても良い。以下では同程度の接触角の場合を考えCOSθt=1の近似を用いる。
【0095】
この実測値と、Washburn式の原理とを組み合わせることで、第一の試料の流動特性を複数の圧力で測定したものと、標準試料の流動特性を複数の圧力で測定したものを導入して次の対比関係から、第一の試料の表面張力や、粘性率を算出できる。
【0096】
2種類の試料s,tについてそれぞれIWSn=0となるΔPを測定する。式(a5)から下記の関係が求められる。
【0097】
【0098】
ここでΔP(t,IWSn=0)は、試料tのIWSn=0となるΔP、ΔP(s,IWSn=0は、試料sのIWSn=0となるΔPを表す。
【0099】
試料sを標準試料とし、試料tを未知試料とすると、未知試料の表面張力σtは、標準試料の表面張力σsを基準として上述の式から算出される。
【0100】
(粘性率の相対評価1)
2種の試料s,tについて、2つの相異なる圧力ΔP1(規定圧力P1と大気圧の差圧)およびΔP2(規定圧力P2と大気圧の差圧)において、流れ係数IWSを定めたとする。式(a4)から下記の関係式(a7)が求められる。
【0101】
【0102】
ここでIWSs1は圧力ΔP1時の試料sの流れ係数、IWSs2は圧力ΔP2時の試料sの流れ係数、IWSt1は圧力ΔP1時の試料tの流れ係数、IWSt2は圧力ΔP2時の試料tの流れ係数を表す。
【0103】
例えば試料sを標準試料、試料tを未知試料とすれば、上の式(a7)から、標準試料の粘性率ηsを基準として未知試料の粘性率ηtを求めることができる。
【0104】
(粘性率の相対評価2)
標準試料sおよび未知試料tの表面張力がわかっているときは、大気圧下で流れ係数を求めることにより、下記の式(a8)から標準試料の粘性率ηsを基準として未知試料の粘性率ηtを求めることができる。
【0105】
【0106】
ここでIWSs0は大気圧時の標準試料tの流れ係数、IWSt0は大気圧時の標準試料tの流れ係数を表す。
【0107】
粘性率ηと表面張力σは未知試料の評価係数Xtと切片係数βt、および標準試料の評価係数Xsと切片係数βsからでも算出が可能である。
【0108】
式(2)における第一の試料の評価係数Xtと、式(3)における標準試料の評価係数Xsを用いると、式(a7)は下記式(a9)と表すことができる。これから標準試料の粘性率ηsを基準として未知試料の粘性率ηtを求めることができる。
【0109】
【0110】
式(2)における第一の試料の切片係数βt、式(3)における標準試料の切片係数βsを用いると、式(a8)は式(a10)と表すことができる。式(a9)と合わせると式(a11)となる。これから標準試料の表面張力σsを基準として未知試料の表面張力σtを求めることができる。
【0111】
【0112】
【0113】
すなわち、標準試料についての評価係数Xsと切片係数βsを備えておき、未知試料の評価係数Xtと切片係数βtを測定るための圧力を設定すると、比較により、未知試料の粘性率ηや表面張力σを、標準試料に対する相対的なものとして算出できる。
【0114】
例えば、標準試料の第一の規定圧力P1における流れ係数をIWS1´として、標準試料の第二の規定圧力P2における流れ係数をIWS2´とし、さらに、標準試料の大気圧における流れ係数をIWS0´とする。標準試料は、粘性率ηs、表面張力σsとする。
【0115】
さらに、第一の試料の流れ係数をIWS1、第一の試料の流れ係数をIWS2、さらに、第一の試料の大気圧における流れ係数IWS0を用いる。
【0116】
これらから、第一の試料の粘性率ηtや、第一の試料の表面張力σtは次のように求めることができる。
【0117】
ηt=ηs×(IWS1´-IWS2´)/(IWS1-IWS2)
すなわち、第一の試料の粘性率ηtは、標準試料の流れ係数の圧力依存性と第一の試料の圧力依存性の比に標準試料の粘性率ηsをかけることで得ることができる。
【0118】
σt=σs×(ηt/ηs)×(IWS0/IWS0´)
すなわち、第一の試料の表面張力σtは、標準試料と第一の試料の粘性率の比と、大気圧下の標準試料の流れ係数と第一の試料の流れ係数の比に、標準試料の表面張力σsをかけることで得ることができる。
【0119】
[記憶部80]
記憶部80は、本発明の測定を行う際に得られる、測定値や、各処理データを算出するための計算式、またその処理を行うためのプログラムなどを記憶した部分である。
【0120】
[表示部91]
表示部91は、測定された粘性率や表面張力、各種条件や算出工程の回帰式などを表示するモニターである。
【0121】
測定システム101は、第一の算出部81や第二の算出部82、相対算出部83、独立算出部84として機能させるためのプログラムを、パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォンなどに適用することで、実現することができる。後述する測定システム103に係る標準算出部85や、試験試料算出部86、対比算出部87等も同様である。
【0122】
[測定フロー(1)]
図4は、本発明の第一の測定方法の一例を示すフロー図である。ステップS11は、第一の規定圧力で第一の試料を測定する。ステップS21は、液面位置と到達時間から、第一の規定圧力における第一の試料の流れ係数を算出する。ステップS31は、第二の規定圧力で第一の試料を測定する。ステップS41は、液面位置と到達時間から、第二の規定圧力における第一の試料の流れ係数を算出する。ステップS51は、各圧力の流れ係数から圧力-流れ係数の評価係数Xtを算出する。ステップS61は、標準試料に関する圧力-流れ係数の評価係数Xsを導入する。ステップS71は、ここまでに得られた、標準試料と第一の試料の圧力-流れ係数の評価係数を用いて、標準試料の粘性率や表面張力を参照して、第一の試料の粘性率や表面張力を測定する。これにより、第一の試料の粘性率や表面張力を得ることができる。
【0123】
[第二の実施形態]
図1~
図3、
図5、
図6等に基づいて、本発明の第二の測定システムや本発明の第二の測定方法に関する、第二の実施形態について説明する。
【0124】
第二の実施形態は、第一の実施形態に用いる
図1の測定システム101を用いて、第一の実施形態と一部共通する操作等により行うことができる。第二の実施形態は、第一の実施形態の相対算出部83に代えて、独立算出部84を用いる構成である。
【0125】
[独立算出部84]
独立算出部84は、毛細管内径の値と、第一の規定圧力P1と、第二の規定圧力P2と、第一の流れ係数IWS1と、第二の流れ係数IWS2と、圧力-流れ係数の評価係数Xtとから第一の試料の粘性率および/または表面張力を算出する。
【0126】
第二の測定システムや第二の測定方法は、毛細管内径Dが特定できていることを条件に、標準試料を用いることなく、第一の試料の流れ係数の評価から、第一の試料の粘性率ηtや、表面張力σtを算出する。毛細管内径Dが特定できるとき、毛細管内での流動状況には、以下の式が成立する。
【0127】
【0128】
【0129】
さらに、表面張力σtは、「IWSn=評価係数Xt×差圧+切片係数βt」で表すことができる評価係数Xtと切片係数βtとの関係で、大気圧と差を差圧としたとき、IWSnが0となるときの差圧ΔPxとの関係で、次の式が成り立つ。
【0130】
【0131】
上記式において、ΔPxは、IWSn=0となる差圧である。ここで、差圧ΔPxには「ΔPx=(IWSn-切片係数βt)/評価係数Xt」が成り立つ。また「IWSn=評価係数Xt×差圧+切片係数βt」の式は、第一の規定圧力P1と、第二の規定圧力P2と、第一の流れ係数IWS1と、第二の流れ係数IWS2を測定することで得られる。
【0132】
ここで、第一の試料の粘性率ηtや表面張力σtは、毛細管の内径D、第一の試料の流れ係数IWS1,IWS2を用いて、前述の式(b1)、(b2)、(b3)から次の式から得ることができる。
【0133】
ηt=D2/42×(P1-P2)/(IWS1-IWS2)
すなわち、第一の試料の粘度は、毛細管内径と、差圧と、第一の試料の流れ係数とから、算出することができる。
【0134】
σt=ΔPx × D/4
すなわち、第一の試料の表面張力は、毛細管内径と、第一の試料の流れ係数IWSnが0となるときの差圧ΔPx差圧とから、算出することができる。
【0135】
[測定フロー(2)]
図6は、本発明の第二の測定方法の一例を示すフロー図である。ステップS12は、第一の規定圧力で第一の試料を測定する。ステップS22は、液面位置と到達時間から、第一の規定圧力における第一の試料の流れ係数を算出する。ステップS32は、第二の規定圧力で第一の試料を測定する。ステップS42は、液面位置と到達時間から、第二の規定圧力における第一の試料の流れ係数を算出する。ステップS52は、さらに、毛細管内径の内径値Dを用いて、ステップS42までの条件や算出された値から、第一の試料の粘性率や表面張力を算出する。これにより、第一の試料の粘性率や表面張力を得ることができる。
【0136】
[第三の実施形態]
図7~9等に基づいて、本発明の第三の測定システムや本発明の第三の測定方法に関する、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態は、測定システム101に準じる構成を有するものである。測定システム103は、標準試料50を液溜部4に収容する、上段の毛細管11を用いるものと、試験試料51を液溜部4に収容する、上段の毛細管11を用いるものを並置し、同一の圧力容器30に接続されている。
【0137】
圧力容器30は、バルブ32を介して、真空ポンプ33に接続されている。バルブ32は、ニードルバルブなどを用いることができる。圧力容器30は、真空ポンプ33の真空度や、ニードルバルブの開閉の程度に応じた圧力となる。圧力容器30とバルブ32と真空ポンプ33により、圧力調整部となる。なお、第三の実施形態は、標準試料と、第一の試料とが、同じ圧力下での流動性を評価していれば測定ができ、圧力容器30の圧力を特定せずに粘性率や表面張力を測定できる。このため、上段の毛細管11と、下段の毛細管11を、同じ圧力容器30に接続することで、同一の圧力下での試験とすることができる。また、第三の実施形態で、試験時の圧力を測定して試験を行ってもよい。
【0138】
[測定システム103]
図7は、本発明の測定方法に用いられる毛細管を有する流動性の第三の測定システムの概要図である。測定システム103は、測定器104と、標準算出部85と、試験試料算出部86と、対比算出部87と、記憶部80と、表示部91を有する。測定システム103は、測定器104を用いて測定された毛細管11内での流動性に基づいて、試験試料51の粘性率や表面張力を測定する。
【0139】
[測定器104]
測定器104は、毛細管11と、切替弁2と、圧力容器30を有する。また、毛細管11は載置台7に載置される。載置台7は、液溜部4を有する。液溜部4には、試料(上段は標準試料50、下段は試験試料51)が収容される。毛細管11内の液面位置は、センサー6により検出され、その到達時間は計時部60で検出される。測定器104は、このような毛細管の流動性を特定するための構成を2つ並置したものである。
【0140】
本発明の第三の測定方法(システム)においては、圧力を特定することなく、試験試料と、標準液とが同じ圧力で、測定されていることを前提に、後述の関係式に基づいて、標準試料の粘性率や表面張力との比として算出する。
【0141】
[標準算出部85]
標準算出部85は、毛細管11内での、第一の圧力P1´における、標準試料50の、前記液面位置Lnと、前記到達時間tnから、第一の標準流れ係数IWSs1を算出するためのものである。また、標準算出部85は、毛細管11内での、第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、標準試料50の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の標準流れ係数IWSs2を算出するためのものである。
【0142】
[試験試料算出部86]
試験試料算出部86は、毛細管11内での、第一の圧力P1´における、試験試料51の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第一の試験流れ係数IWSt1を算出するためのものである。また、試験試料算出部85は、毛細管11内での、第一の圧力P1´と異なる圧力である第二の圧力P2´における、試験試料51の、液面位置Lnと、到達時間tnから、第二の試験流れ係数IWSt2を算出するためのものである。
【0143】
[対比算出部87]
対比算出部87は、標準試料の粘性率および/または表面張力に基づき、標準試料の第一の標準流れ係数IWSs1および第二の標準流れ係数IWSs2と、試験試料の第一の試験流れ係数IWSt1および第二の試験流れ係数IWSt2との比から、試験試料の粘性率および/または表面張力を算出するものである。なお、この対比算出部87による算出にあたっては、試験試料と標準試料との測定が、同じ圧力(第一の圧力P1´、第二の圧力P2´)で測定されていればよく、その具体的な圧力は不明でも粘性率の算出等ができる。よって、圧力計などを用いずに実施することもできる。
【0144】
対比算出部87における計算は、毛細管内における流動状態に関する以下の関係式に基づく。
【0145】
【0146】
【0147】
ここでIWSs0は大気圧時に測定した標準試料の流れ係数、IWSt0は大気圧時に測定した試験試料の流れ係数を表す。
【0148】
前述の式(c1)、(c2)から、粘性率ηや表面張力σを算出できる。粘性率ηを算出するために、標準試料と、試験試料の2つの試料を、それぞれに、同じ2点の圧力で流れ係数を算出する。表面張力σを算出するために、標準試料と、試験試料の2つの試料を、それぞれに、大気圧と、大気圧以外の圧力の2点で流れ係数を算出する。これにより、試験試料の粘性率ηや表面張力σを、標準試料に対する相対的なものとして算出できる。
【0149】
例えば、ここで、標準試料の第一の圧力P1´における流れ係数をIWSs1として、標準試料の第二の圧力P2´における流れ係数をIWSs2とする。いずれかの圧力が大気圧の場合として、標準試料の大気圧における流れ係数をIWSs0とする。標準試料は、粘性率ηs、表面張力σsとする。
【0150】
さらに、試験試料の流れ係数をIWSt1、試験試料の流れ係数をIWSt2とする。さらに、大気圧における流れ係数をIWSt0とする。
【0151】
これらから、試験試料の粘性率ηt´や、試験試料の表面張力σt´は次のように求めることができる。
【0152】
ηt´=ηs×(IWSs1-IWSs2)/(IWSt1-IWSt2)
すなわち、試験試料の粘性率ηt´は、標準試料の流れ係数の圧力依存性と試験試料の圧力依存性の比に標準試料の粘性率ηsをかけることで得ることができる。
【0153】
σt´=σs×(ηt´/ηs)×(IWSt0/IWSs0)
すなわち、試験試料の表面張力σt´は、標準試料と試験試料の粘性率の比と、大気圧下の標準試料の流れ係数と試験試料の流れ係数の比に、標準試料の表面張力σsをかけることで得ることができる。
【0154】
[本発明の経緯や応用例等]
本発明は、粘度評価を行う際の測定方法と、それに合わせた新たな解析手法により、表面張力と切り離した粘度と表面張力の同時測定を実現するものである。本発明によれば、相対粘度だけでなく、具体的に数値化した粘度も測定可能になる。また、装置構成は、2系統で2回測定したり、装置を2つ並列して1回測定したりすることで達成することなどができる。また、陰圧条件などを利用して、毛細管現象での流動性が低い、比較的流動性が低い試料でも測定ができる。なお、測定過程の結果などを用いて、相対的な粘度や表面張力の比較のみを行うこともできる。
【0155】
なお、前述の構成は各発明の実施形態の一例である。これらは、適宜、他の開示内容を援用して実施してもよい。例えば、本発明の第一の測定方法および第二の測定方法は、測定器104に示す構成に準じる構成で実施することもできる。この場合、圧力容器30に差圧計を取り付けて圧力測定してもよいし、圧力容器30を陰圧にするときの条件から、計算したり再現時の測定結果などから得られる圧力を規定圧力として用いてもよい。
【0156】
または、本発明の第三の測定方法を測定器102に準じる構成で実施することもできる。この場合、試験に用いる液や試験条件に応じて、適宜、毛細管を取り替えたり、洗浄して用いる。粘性率や表面張力を測定するための圧力は、圧力計31で測定して再現することで同一条件での測定として試験ができる。
【0157】
図10は、本発明に用いることができる毛細管内での流動状況を把握する構成例を示したものである。左上は概要を示すイメージ図である。左下は、実際の毛細管とその周囲を抽出した図である。右上は、毛細管の周囲に光センサーを配置したものである。右下は、光センサーで検出される変位を示すグラフである。長さ約100mmの毛細管の開口部の一方を、液溜部(液溜め)として、他方の開口部を流路と接続できるものとする。液溜めに試験試料(第一の試料)や標準液のような液を配置する。毛細管の他方の開口部の置かれた状況によって、毛細管現象等の力で、液溜めに配置された液は毛細管内を、他方の開口部側に向けて、移動する。毛細管に、所定の間隔で光センサーを設置すると、毛細管を移動する液の液面を検知する。この液面位置と、移動する時間は、
図10の右下のグラフのように検出される。
【実施例】
【0158】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0159】
[実施例1]
本発明の第一の測定方法(測定システム)に係る試験として、次の試験を行った。
・標準試料:純水を用いた。
・第一の試料:エタノール濃度20質量%の純水との混合物(20%エタノール水溶液)を用いた。
【0160】
試験システム101に準じる構成により、試験を行った。毛細管は、試験条件に応じて、適宜、公称値の範囲内で毛細管内径を同一視できる毛細管を用いた。また、圧力調整部3に相当するものとして、真空容器と真空ポンプとニードルバルブを使って陰圧や陽圧を調整した(「大気圧+245Pa」~「大気圧―350Pa」)。圧力は圧力計で測定した。測定温度は、20.5℃±0.9℃とした。
【0161】
図2に、純水と、20%エタノール水溶液について、毛細管の液面位置(液面位置)の二乗と到達時間(到達時間)をプロットし、流動特性に関するIWSn(傾き)を求めるためのグラフを示す。
【0162】
図3に、差圧(Pa)と、IWSnをプロットし、それぞれの直線回帰式を求めたグラフを示す。これらの結果に基づいて、標準液の表面張力、粘性率との比から、試料の表面張力と、粘性率を測定した。おおむね、試料の推定値と同様の結果が得られた。また、表1は、純水の試験結果値である。表2は、第一の試料である20%エタノール水溶液の試験結果値である。なお、いずれの差圧で測定した値も、直線回帰の決定係数(r
2)は0.99以上であった。
【0163】
【0164】
【0165】
この試験結果から、標準液の圧力-流れ係数の評価係数Xsに関する次の式が得られる。
IWSn(標準液)=-0.0256*差圧 + 10.55
【0166】
また、第一の試料(20%エタノール水溶液)の圧力-流れ係数の評価係数Xtに関する次の式が得られる。
IWSn(第一の試料)=-0.0125*差圧 + 2.83
【0167】
・粘性率ηの計算
標準試料の純水の20.5℃での粘性率は0.996(mPa・s)である。次の式に当てはめて、第一の試料の粘性率を算出した。第一の規定圧力P1は大気圧(0)とした。第二の規定圧力P2は-200Paとする。このとき、標準試料と第一の試料については、それぞれの流れ係数等として、次の値が前述の評価係数より得られる。
IWS1´:10.320(標準試料の大気圧の流れ係数)
IWS2´:15.337(標準試料の-200Paの流れ係数)
IWS1:2.856(第一の試料の大気圧の流れ係数)
IWS2:5.297(第一の試料の-200Paの流れ係数)
ηt=ηs×(IWS1´-IWS2´)/(IWS1-IWS2)
ηt=0.996*(10.320-15.337) / (2.856―5.297)=2.05
以上のように、第一の試料の粘性率は、2.05(mPa・s)と測定された。なお、20%エタノール水溶液の文献値は、20.5℃で2.15(mPa・s)であり信頼性が高い値が得られた。
【0168】
・表面張力σの計算
標準試料の純水の表面張力は72.8(mN/m)である。
これに、前述の値を参照して、第一の試料の表面張力を算出した。なお、粘性率で用いた値は、IWS1、IWS1´が大気圧での値のため、それぞれが、IWS0、IWS0´に相当する。
σt=σs×(ηt/ηs)×(IWS0/IWS0´)
σt=72.8*(2.05/0.996) * (2.856/10.320) =41.5
以上のように、第一の試料の表面張力は、41.5(mN/m)と測定された。なお、20%エタノール水溶液の文献値は、20.5℃で38.3(mN/m)であり信頼性が高い値が得られた。
【0169】
[実施例2]
本発明の第二の測定方法(測定システム)に係る試験として、次の試験を行った。
実施例1で得られた、エタノール水溶液の流れ係数や評価係数Xtについて、以下の値が得られている。
IWS1:2.856(第一の試料の大気圧の流れ係数)
IWS2:5.297(第一の試料の-200Paの流れ係数)
IWSn(第一の試料)=-0.0125*差圧 + 2.83
さらに、試験に用いた毛細管の内径Dは、公称値が0.68mmである。
【0170】
これらの値から、以下の式より、20%エタノール水溶液の粘性率ηtを算出した。
ηt=D2/42×(P1-P2)/(IWS1-IWS2)
ηt=(0.68/4)^2 * (0-200)/(2.856-5.297)=2.37
以上のように、第一の試料の粘性率は、2.37(mPa・s)と測定された。なお、20%エタノール水溶液の文献値は、20.5℃で2.15(mPa・s)であり信頼性がある値が得られた。
【0171】
これらの値から、以下の式より、20%エタノール水溶液の表面張力σtを算出した。
σt=ΔPx × D/4
ΔPxは、「IWSn(第一の試料)=-0.0125*差圧 + 2.83 =0」となるときの差圧である。(ΔPx=226.4Pa)
σt=226.4×0.68/4=38.5
以上のように、第一の試料の表面張力は、38.5(mN/m)と測定された。なお、20%エタノール水溶液の文献値は、20.5℃で38.3(mN/m)であり信頼性がある値が得られた。
【0172】
[実施例3]
・標準試料:純水を用いた。
・試験試料:エタノール濃度20質量%の純水との混合物(20%エタノール水溶液)を用いた。
【0173】
試験システム103に準じる構成により、試験を行った。毛細管は、試験条件に応じて、適宜、毛細管内径の公称値が同一視できるものを用いた。また、圧力調整部3に相当するものとして、真空容器と真空ポンプとニードルバルブを使って陰圧調整した(想定圧力およそ「大気圧-350Pa」)。測定温度は、20.5℃±0.9℃とした。
【0174】
図2のように、純水と、20%エタノール水溶液について、毛細管の液面位置(液面位置)の二乗と到達時間(到達時間)をプロットし、流動特性に関する流れ係数IWSnを求めるためのグラフとして、その直線回帰式から、流れ係数を得た。表3にそれぞれの流れ係数IWSnを示す。
【0175】
【0176】
・粘性率ηの測定
標準試料の純水の20.5℃での粘性率は0.996(mPa・s)である。次の式に当てはめて、試験試料の粘性率を算出した。第一の圧力P1´は大気圧である。第二の圧力P2´は陰圧であり、約―350Pa程度と考えられる。
ηt´=ηs×(IWSs1-IWSs2)/(IWSt1-IWSt2)
ηt´=0.996*(10.320-19.685)/(2.856-7.452)=2.03
以上のように、試験試料の粘性率は、2.03(mPa・s)と測定された。なお、20%エタノール水溶液の文献値は、20.5℃で2.15(mPa・s)であり信頼性がある値が得られた。
【0177】
・表面張力σの測定
標準試料の純水の表面張力は20.5℃で72.8(mN/m)である。これに、前述の値を参照して、試験試料の表面張力を算出した。なお、粘性率で用いた値は、IWSs1、IWSt1が大気圧での値のため、それぞれが、IWSs0、IWSt0に相当する。
σt´=σs×(ηt´/ηs)×(IWSt0/IWSs0)
σt´=72.8*(20.3/0.996)*(2.856/10.320)=41.1
以上のように、試験試料の表面張力は、41.1(mN/m)と算出された。なお、20%エタノール水溶液の文献値は、20.5℃で38.3(mN/m)であり信頼性がある値が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、試料の粘性率や表面張力の測定に利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0179】
101 測定システム 102 測定器 11 毛細管
111 第一の開口部 112 第二の開口部
2 切替弁 21~23 流路 3 圧力調整部 30 圧力容器
31 圧力計 32 バルブ 33 真空ポンプ 4 液溜部
5 第一の試料 50 標準試料 51 試験試料
61~66 センサー 60 計時部 7 載置台 80 記憶部
81 第一の算出部 82 第二の算出部
83 相対算出部 84 独立算出部
85 標準算出部 86 試験試料算出部 87 対比算出部
91 表示部