(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】研削装置および研削方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/12 20060101AFI20241126BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20241126BHJP
B24B 53/00 20060101ALI20241126BHJP
B24B 53/02 20120101ALI20241126BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B24B53/12 A
B24B7/04 A
B24B53/00 A
B24B53/02
H01L21/304 622M
H01L21/304 631
(21)【出願番号】P 2020134548
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】禹 俊洙
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020250(JP,A)
【文献】特開2014-113652(JP,A)
【文献】特開2017-191876(JP,A)
【文献】特開2000-218530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/12
B24B 53/02
B24B 7/04
B24B 53/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面によって
デバイスに配置された銅製の電極を樹脂で封止した板状ワークを保持する保持手段と、環状の研削砥石によって該保持面に保持された
該板状ワークを研削する研削手段と、を備える研削装置であって、
該研削砥石の下面を接触させる銅板を含むドレッサと、
該研削砥石の下面が該銅板の上面に接触可能となるように該銅板を移動させる移動手段と、
該銅板の上面に該研削砥石の下面が接触する接触面積を、該研削砥石の砥粒径が大きくなるにつれて広くする制御部と、を少なくとも備え、
該研削砥石の下面を該銅板の上面に接触させることによって該研削砥石の下面のドレッシングを実施する、
研削装置。
【請求項2】
前記ドレッサは、前記銅板を回転させる回転機構を備え、
前記制御部は、前記回転機構を制御して前記銅板を回転させることによって、前記銅板の上面に前記研削砥石の下面が接触する前記接触面積を変更する、
請求項1記載の研削装置。
【請求項3】
前記銅板の形状が、楕円形、長円形、卵形、または三角形である、
請求項2に記載の研削装置。
【請求項4】
デバイスに配置された銅製の電極を樹脂で封止した板状ワークを研削砥石で研削する研削方法であって、
該研削砥石の下面にドレッサの銅板を接触させ、該研削砥石の下面をドレッシングするドレッシング工程と、
チャックテーブルの保持面によって該板状ワークを保持する保持工程と、
該ドレッシング工程にてドレッシングした該研削砥石の下面で該保持面に保持された板状ワークの樹脂および電極を研削する研削工程と、を含み、
該ドレッシング工程は、該銅板の上面に該研削砥石の下面が接触する接触面積を、該研削砥石の砥粒径が大きくなるにつれて広くすることを含む、
研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削装置および研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および2に開示の技術では、ウェーハに立設したCuで形成された電極が樹脂封止された板状ワークの樹脂を研削砥石によって研削加工することによって、電極を露出させる。この研削加工は、電極の長さが所定の長さになるまで実施される。この研削加工では、樹脂を研削した後、樹脂と電極とを研削する。電極は、ウェーハの面積比で30%から70%配置されている。研削砥石の消耗量は、樹脂を研削しているときは小さい一方、電極を研削すると大きくなる。したがって、電極を研削する場合、研削砥石の消耗量が大きいため、連続加工が困難となる。
【0003】
これに関し、従来、360番手の研削砥石が用いられていたため、研削砥石の消耗量が大きかった。このため、240番手あるいは120番手のなどの砥粒の大きい研削砥石を用いることによって、研削砥石の消耗を小さくすることができ、連続加工が可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-092147号公報
【文献】特開2017-191876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、研削砥石の下面が、板状ワークを保持する保持面に平行になっていないと、板状ワークに、大きな凹凸を有するソーマークが形成されるため、板状ワークを製品にすることが困難である。このため、研削砥石を交換した際には、研削砥石の下面と保持面とを平行にするために、ドレッシング砥石によって、研削砥石の下面のドレッシングを行う。
【0006】
しかし、研削砥石が、240番手あるいは120番手などの砥粒の大きい砥石である場合、ドレッシング砥石の消耗が大きくなる。このため、ドレッシング砥石を用いて研削砥石の下面を保持面に平行にすることが困難である。
【0007】
そこで、研削砥石の下面を保持面に平行にするために、ドレッシング砥石を用いることに代えて、研削砥石によって、電極を備えた複数枚のダミーワークを研削することが実施されている。
しかし、この方法では、研削砥石を交換してから製品の板状ワークを研削するまでに、時間がかかる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、樹脂で封止された電極を含む板状ワークを研削する研削加工に関し、電極を研削した際に消耗の少ない砥粒径の大きい研削砥石を交換した後、製品の板状ワークを研削するまでにかかる時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の研削装置は、保持面によってデバイスに配置された銅製の電極を樹脂で封止した板状ワークを保持する保持手段と、環状の研削砥石によって該保持面に保持された該板状ワークを研削する研削手段と、を備える研削装置であって、該研削砥石の下面を接触させる銅板を含むドレッサと、該研削砥石の下面が該銅板の上面に接触可能となるように該銅板を移動させる移動手段と、該銅板の上面に該研削砥石の下面が接触する接触面積を、該研削砥石の砥粒径が大きくなるにつれて広くする制御部と、を少なくとも備え、該研削砥石の下面を該銅板の上面に接触させることによって該研削砥石の下面のドレッシングを実施する。
また、本発明の研削装置では、前記ドレッサは、前記銅板を回転させる回転機構を備えてもよく、前記制御部は、前記回転機構を制御して前記銅板を回転させることによって、前記銅板の上面に前記研削砥石の下面が接触する前記接触面積を変更してもよい。
前記銅板の形状は、楕円形、長円形、卵形、または三角形であってもよい。
また、本発明の研削方法は、デバイスに配置された銅製の電極を樹脂で封止した板状ワークを研削砥石で研削する研削方法であって、該研削砥石の下面にドレッサの銅板を接触させ、該研削砥石の下面をドレッシングするドレッシング工程と、チャックテーブルの保持面によって該板状ワークを保持する保持工程と、該ドレッシング工程にてドレッシングした該研削砥石の下面で該保持面に保持された板状ワークの樹脂および電極を研削する研削工程と、を含み、該ドレッシング工程は、該銅板の上面に該研削砥石の下面が接触する接触面積を、該研削砥石の砥粒径が大きくなるにつれて広くすることを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、板状ワークの樹脂および電極を研削する研削加工に用いられる研削砥石を交換した後、板状ワークの電極と同じ材料からなる銅板を、研削砥石の下面に接触させることによって、研削砥石の下面のドレッシングを可能としている。したがって、電極を研削する際に消耗の少ない砥粒径の大きい研削砥石を交換した後、この研削砥石の下面を、容易にドレッシングすること可能である。また、電極を備えた複数枚のダミーワークを研削するようなドレッシングに比して、ドレッシングにかかる時間を短縮することができる。したがって、研削砥石の交換後から板状ワークの研削開始までにかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本実施形態にかかる研削装置1は、被加工物としての板状ワーク100を研削するための装置である。板状ワーク100は、デバイスに配置された電極を樹脂で封止したものである。板状ワーク100は、たとえば、ウェーハと、ウェーハに形成されたデバイスと、デバイスに配置された銅製の電極と、この電極を封止する樹脂とを含む。
【0014】
研削装置1は、直方体状の基台10、上方に延びるコラム11、および、研削装置1に内蔵されている制御部7を備えている。
【0015】
基台10の上面側には、開口部13が設けられている。そして、開口部13内には、保持手段30が配置されている。保持手段30は、板状ワーク100を保持する保持面32を備えたチャックテーブル31、および、チャックテーブル31を支持する支持部材33を含んでいる。
【0016】
チャックテーブル31の保持面32は、ポーラス材からなり、吸引源(図示せず)に連通されることにより、板状ワーク100を吸引保持する。すなわち、保持手段30は、保持面32によって板状ワーク100を保持する。
【0017】
また、チャックテーブル31は、下方に設けられた支持部材33により、保持面32によって板状ワーク100を保持した状態で、保持面32の中心を通りZ軸方向に延在するテーブル中心軸を中心として回転可能である。したがって、板状ワーク100は、保持面32に保持されて保持面32の中心を回転軸として回転される。
【0018】
チャックテーブル31の周囲には、チャックテーブル31とともにY軸方向に沿って移動されるカバー板39が設けられている。また、カバー板39には、Y軸方向に伸縮する蛇腹カバー12が連結されている。そして、保持手段30の下方には、Y軸方向移動手段40が配設されている。
【0019】
Y軸方向移動手段40は、保持手段30と研削手段70とを、相対的に、保持面32に平行なY軸方向に移動させる。本実施形態では、Y軸方向移動手段40は、研削手段70に対して、保持手段30をY軸方向に移動させるように構成されている。
【0020】
Y軸方向移動手段40は、Y軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール42、このY軸ガイドレール42上をスライドするY軸移動テーブル45、Y軸ガイドレール42と平行なY軸ボールネジ43、Y軸ボールネジ43に接続されているY軸モータ44、および、これらを保持する保持台41を備えている。
【0021】
Y軸移動テーブル45は、Y軸ガイドレール42にスライド可能に設置されている。Y軸移動テーブル45の下面には、図示しないナット部が固定されている。このナット部には、Y軸ボールネジ43が螺合されている。Y軸モータ44は、Y軸ボールネジ43の一端部に連結されている。
【0022】
Y軸方向移動手段40では、Y軸モータ44がY軸ボールネジ43を回転させることにより、Y軸移動テーブル45が、Y軸ガイドレール42に沿って、Y軸方向に移動する。Y軸移動テーブル45には、保持手段30の支持部材33が載置されている。したがって、Y軸移動テーブル45のY軸方向への移動に伴って、チャックテーブル31を含む保持手段30が、Y軸方向に移動する。
【0023】
本実施形態では、保持手段30は、大まかにいえば、保持面32に板状ワーク100を載置するための前方(-Y方向側)の載置位置と、板状ワーク100が研削される後方(+Y方向側)の研削位置との間を、Y軸方向移動手段40によって、Y軸方向に沿って移動される。
【0024】
また、
図1に示すように、基台10上の後方(+Y方向側)には、コラム11が立設されている。コラム11の前面には、板状ワーク100を研削する研削手段70、および、研削送り手段50が設けられている。
【0025】
研削送り手段50は、保持手段30と研削手段70とを、相対的に、保持面32に垂直なZ軸方向(研削送り方向)に移動させる。本実施形態では、研削送り手段50は、保持手段30に対して、研削手段70をZ軸方向に移動させるように構成されている。
【0026】
研削送り手段50は、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール51、このZ軸ガイドレール51上をスライドするZ軸移動テーブル53、Z軸ガイドレール51と平行なZ軸ボールネジ52、Z軸モータ54、および、Z軸移動テーブル53の前面(表面)に取り付けられた支持ケース56を備えている。支持ケース56は、研削手段70を支持している。
【0027】
Z軸移動テーブル53は、Z軸ガイドレール51にスライド可能に設置されている。Z軸移動テーブル53の後面側(裏面側)には、図示しないナット部が固定されている。このナット部には、Z軸ボールネジ52が螺合されている。Z軸モータ54は、Z軸ボールネジ52の一端部に連結されている。
【0028】
研削送り手段50では、Z軸モータ54がZ軸ボールネジ52を回転させることにより、Z軸移動テーブル53が、Z軸ガイドレール51に沿って、Z軸方向に移動する。これにより、Z軸移動テーブル53に取り付けられた支持ケース56、および、支持ケース56に支持された研削手段70も、Z軸移動テーブル53とともにZ軸方向に移動する。
【0029】
研削手段70は、支持ケース56に固定されたスピンドルハウジング71、スピンドルハウジング71に回転可能に保持されたスピンドル72、スピンドル72を回転駆動する回転モータ73、スピンドル72の下端に取り付けられたホイールマウント74、および、ホイールマウント74に支持された研削ホイール75を備えている。
【0030】
スピンドルハウジング71は、Z軸方向に延びるように支持ケース56に保持されている。スピンドル72は、チャックテーブル31の保持面32と直交するようにZ軸方向に延び、スピンドルハウジング71に回転可能に支持されている。
【0031】
回転モータ73は、スピンドル72の上端側に連結されている。この回転モータ73により、スピンドル72は、Z軸方向に延びる回転軸を中心として回転する。
【0032】
ホイールマウント74は、円板状に形成されており、スピンドル72の下端(先端)に固定されている。ホイールマウント74は、研削ホイール75を支持している。
【0033】
研削ホイール75は、ホイールマウント74と略同径を有するように形成されている。研削ホイール75は、金属材料から形成された円環状のホイール基台(環状基台)76を含む。ホイール基台76の下面には、全周にわたって、研削砥石77が固定されている。
【0034】
研削砥石77は、環状に形成されており、保持面32の中心を通るように位置づけられた場合に、保持面32からはみ出る(オーバ-ハングする)ような径を有する。この環状の研削砥石77は、その中心を通りZ軸方向に延びる回転軸を中心として、スピンドル72、ホイールマウント74、およびホイール基台76を介して、回転モータ73によって回転され、研削位置に配置されているチャックテーブル31に保持された板状ワーク100を研削する。
このように、研削手段70は、環状の研削砥石77によって、保持面32に保持された板状ワーク100を研削する。
【0035】
また、本実施形態では、
図1に示すように、Y軸方向移動手段40のY軸移動テーブル45上に、保持手段30とともに、ドレッサ20が配置されている。
【0036】
ドレッサ20は、板状の基台21、基台21に取り付けられている支持板22、支持板22に支持されているシリンダー部材23、および、シリンダー部材23に取り付けられている銅板27を備えている。
【0037】
基台21は、ZY面に平行に延びる板状の部材であり、Y軸移動テーブル45の上面における、保持手段30の+X方向側に固定されている。支持板22は、基台21の+X方向側の面に取り付けられており、その+X方向側の面において、シリンダー部材23を支持している。
【0038】
シリンダー部材23は、支持板22に取り付けられているシリンダー基台24、シリンダー基台24に支持されているシリンダー本体25、および、シリンダー本体25内に配されたピストンロッド26を含んでいる。
【0039】
銅板27は、ピストンロッド26の上端に取り付けられている。この銅板27は、銅板27の上面が研削砥石77の下面に接触して、研削砥石77の下面をドレッシングするために用いられる。
なお、本実施形態では、ドレッシングは、研削砥石77の下面を保持手段30の保持面32に平行にすること、および、研削砥石77の下面の高さを揃えること、を含む。
【0040】
ピストンロッド26は、シリンダー本体25内において、Z軸方向に沿って上下に移動可能である。本実施形態では、シリンダー本体25およびピストンロッド26を含むシリンダー部材23は、研削砥石77の下面が銅板27の上面に接触可能となるように銅板27を移動させる移動手段の一例であり、銅板27におけるZ軸方向での位置を調整する昇降機構である。
Z軸方向におけるピストンロッド26の移動範囲は、ピストンロッド26の上端に取り付けられている銅板27が保持手段30の保持面32よりも上方となる位置から、銅板27が保持面32よりも下方となる位置までである。
【0041】
また、ドレッサ20は、Y軸方向移動手段40のY軸移動テーブル45上に、保持手段30とともに配置されている。このため、銅板27を含むドレッサ20は、保持手段30と同様に、Y軸方向移動手段40によって、Y軸方向に沿って移動される。したがって、Y軸方向移動手段40は、研削砥石77の下面が銅板27の上面に接触可能となるように銅板27を移動させる移動手段の一例であり、銅板27におけるY軸方向での位置を調整する。
【0042】
銅板27は、板状ワーク100の電極と同じ材料である銅からなる円板である。銅板27は、研削砥石77の番手が粗くなると、研削砥石77の下面が銅板27の上面に接触する接触面積、すなわち、研削砥石77が銅板27に接触する面積である接触面積が大きくなる、ように構成される。すなわち、銅板27は、研削手段70の研削砥石77の径方向の幅よりも大きい直径を有し、研削砥石77の砥粒径の大きさに対応した面積を有する。
【0043】
たとえば、研削砥石77が120番手の研削砥石である場合、銅板27の直径は、4インチである。また、研削砥石77が240番手の研削砥石である場合、銅板27の直径は、3インチである。このように、研削砥石77の面積は、研削砥石77の砥粒径が大きくなるにつれて広くなるように設定されている。
なお、銅板27は楕円形、長円形、卵形、または三角形でもよい。また、銅板を回転させる回転機構を備えるとよい。そして、制御部7は、回転機構を制御し銅板を回転させることによって研削砥石77の砥粒径に対応して接触面積を変更する。例えば、砥粒径が大きいときは研削砥石77に接触する面積を大きくするよう銅板27を所定の角度回転させる。
なお、回転機構は、シリンダー本体25を回転させても良いし、ピストンロッド26を回転させても良い。
【0044】
また、制御部7は、制御プログラムに従って演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部7は、研削装置1の上述した各部材を制御して、板状ワーク100に対する研削加工、および、研削砥石77に対するドレッシングを実行する。
【0045】
以下に、研削装置1における研削砥石77の下面のドレッシングについて説明する。
【0046】
本実施形態にかかる研削装置1において実施される研削加工では、板状ワーク100を保持手段30によって保持し、この板状ワーク100の樹脂を研削砥石77によって研削し、樹脂に封止された電極を露出させる。樹脂を研削した後、研削砥石77によって、樹脂および電極を研削する。
そして、本実施形態では、板状ワーク100の樹脂および電極を研削する研削加工に用いられる研削砥石77を交換した場合に、研削加工を実施する前に、研削砥石77の下面のドレッシングが実施される。
【0047】
このドレッシングは、研削砥石77が、所定のドレッシング位置に配置されて実施される。ドレッシング位置は、たとえば、保持手段30の保持面32に研削砥石77が接触しないような、保持面32よりも高い位置である。
【0048】
ドレッシングでは、まず、制御部7は、回転モータ73を制御して、スピンドル72、ホイールマウント74、およびホイール基台76を介して、研削砥石77を回転させる。
【0049】
さらに、制御部7は、ドレッシング位置にある場合の研削砥石77の下面が、ドレッサ20の銅板27の上面に接触可能となるように、銅板27の位置を調整する。
【0050】
すなわち、制御部7は、Y軸方向移動手段40を制御してドレッサ20をY軸方向に移動させることにより、銅板27のY軸方向での位置を、研削砥石77の下面に接触可能なように、研削砥石77の下方となるように調整する。
さらに、制御部7は、シリンダー本体25に対してピストンロッド26をZ軸方向に移動させることにより、銅板27のZ軸方向での位置(高さ)を、保持面32よりも上に上げて、ドレッシング位置にある場合の研削砥石77の下面に接触可能なように調整する。
【0051】
その後、制御部7は、研削送り手段50を制御して、研削砥石77の位置を、ドレッシング位置にまで降下させる。これにより、回転する研削砥石77の下面が、銅板27の上面に接触し、銅板27によってドレッシングされる。所定時間にわたるドレッシングの結果、研削砥石77の下面が保持面32に平行となるとともに、研削砥石77の下面の高さが揃えられる。
【0052】
以上のように、本実施形態では、板状ワーク100の樹脂および電極を研削する研削加工に用いられる研削砥石77を交換した後、研削砥石77の下面のドレッシングを実施する。この際、板状ワーク100の電極と同じ材料からなる銅板27を、研削砥石77の下面に接触させることによって、研削砥石77の下面のドレッシングを可能としている。したがって、本実施形態では、電極を研削する際に消耗の少ない砥粒径の大きい研削砥石77を交換した後、この研削砥石77の下面を、容易にドレッシングすること可能である。また、電極を備えた複数枚のダミーワークを研削するようなドレッシングに比して、ドレッシングにかかる時間を短縮することができる。したがって、研削砥石77の交換後から板状ワーク100の研削開始までにかかる時間を短縮することができる。
【0053】
また、銅板27は、研削砥石77の番手が粗くなると、研削砥石77が銅板27に接触する面積である接触面積が大きくなる、ように構成されている。たとえば、制御部7は、銅板27をY軸方向に移動させ研削砥石77の番手に応じて位置を変更することによって、接触面積を変更する。そのため、予め研削砥石77の番手ごとにドレッシング時のY軸方向における銅板27の位置が予め設定されているとよい。このように、研削砥石77の番手(すなわち、研削砥石77の砥粒の粒径)に応じて銅板27の面積を変更することで、ドレッシングにおける研削砥石77の消耗量を、番手によらずに、実質的に等しくすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、銅板27を有するドレッサ20を備えている。そして、銅板27を用いた研削砥石77の下面のドレッシングの後、ドレッサ20のシリンダー部材23(シリンダー本体25およびピストンロッド26)を用いて、銅板27を保持面32よりも下方に位置づけることにより、保持面32によって板状ワーク100を保持することができる。したがって、研削砥石77の交換およびドレッシングの後、すぐに、研削砥石77による板状ワーク100の研削加工を開始することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、研削砥石77の下面をドレッシングするために、銅板27を備えたドレッサ20を用いている。これに代えて、
図2に示すようなドレッシングボード80を用いてもよい。
【0056】
ドレッシングボード80は、研削装置1における研削加工に用いられる研削砥石77の下面をドレッシングするために用いられる。ドレッシングボード80は、円板82と、円板82に取り付けられた銅板81と、を備えている。
【0057】
銅板81は、
図1に示した銅板27と同様に、研削砥石77の番手が粗くなると、研削砥石77が銅板81に接触する面積である接触面積が大きくなる、ように構成されている。すなわち、銅板81は、銅板27と同様に、研削手段70の研削砥石77の径方向の幅よりも大きい直径を有し、研削砥石77の砥粒径の大きさに対応した面積を有する。
【0058】
円板82は、たとえば、
図1に示した板状ワーク100と同様の直径を有している。円板82は、銅板27が中央に配置される上面83、および、
図1に示した保持手段30に保持される下面84を有する。
【0059】
ドレッシングボード80を用いたドレッシングでは、作業者が、ドレッシングボード80を、上面83が上側になり、下面84が保持面32に接するように、保持面32上に載置する。その後、制御部7が、保持面32を吸引源に連通させる。これにより、保持手段30が、保持面32によって、ドレッシングボード80を保持する。
【0060】
その後、制御部7は、Y軸方向移動手段40を制御して、研削砥石77によってドレッシングボード80の銅板81を研削可能な位置(上述の研削位置)に、ドレッシングボード80を保持している保持手段30を移動させる。
【0061】
さらに、制御部7は、回転モータ73を制御して、スピンドル72、ホイールマウント74、およびホイール基台76を介して、研削砥石77を回転させる。
【0062】
その後、制御部7は、研削送り手段50を制御して、研削手段70における研削砥石77を降下させる。これにより、回転する研削砥石77の下面が、銅板81の上面に接触し、銅板81によってドレッシングされる。所定時間にわたるドレッシングの結果、研削砥石77の下面が保持面32に平行となるとともに、研削砥石77の下面の高さが揃えられる。
【0063】
この構成でも、板状ワーク100の電極と同じ材料からなる銅板81を、研削砥石77の下面に接触させることによって、研削砥石77の下面のドレッシングを実施している。したがって、研削砥石77を交換した後、この研削砥石77の下面を容易にドレッシングすること可能である。また、従来に比して、ドレッシングにかかる時間を短縮することができるので、研削砥石77の交換後から板状ワーク100の研削開始までにかかる時間を短縮することができる。
【0064】
なお、ドレッシングボード80を用いる場合、銅板81は、円板状に限られず、リング状に形成されてもよい。この場合、研削砥石77の番手に応じて、リング状の銅板81の幅を変更することにより、研削砥石77が銅板81に接触する面積である接触面積を調整する。
【0065】
また、本実施形態では、研削砥石77に関し、120番手および240番手の研削砥石77について言及している。これらに限らず、研削砥石77は、より粗い研削砥石、たとえば、80番手の研削砥石であってもよい。あるいは、研削砥石77は、より細かい研削砥石であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1:研削装置、7:制御部、10:基台、11:コラム、
20:ドレッサ、21:基台、22:支持板、
23:シリンダー部材、24:シリンダー基台、25:シリンダー本体、
26:ピストンロッド、27:銅板、
30:保持手段、31:チャックテーブル、32:保持面、33:支持部材、
40:Y軸方向移動手段、50:研削送り手段、
70:研削手段、71:スピンドルハウジング、
72:スピンドル、73:回転モータ、74:ホイールマウント、
75:研削ホイール、76:ホイール基台、77:研削砥石、
80:ドレッシングボード、81:銅板、82:円板、83:上面、84:下面、
100:板状ワーク