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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ロードポート
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20241126BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20241126BHJP
   B65G 1/00 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65G49/07 D
B65G1/00 541
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020165216
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057119
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北浦 毅
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-241333(JP,A)
【文献】特開2020-123626(JP,A)
【文献】特開2018-026486(JP,A)
【文献】特表2001-512288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65G 49/07
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を収容し被加工物を搬出および搬入可能な開口に蓋を備えたカセットが載置され、該蓋を開け被加工物の搬出および搬入を可能とするロードポートであって、
該カセットは、ウェーハを収納するウェーハカセットまたは、テープを介してウェーハをリングフレームに支持したフレームセットを収納するフレームカセットであり、
該ウェーハカセットの該蓋と、該フレームカセットの該蓋とは、該蓋の固定および固定解除を可能とする鍵穴を、該ウェーハカセットまたは該フレームカセットをステージに載置した際に水平方向において同一位置で、鉛直方向において異なる位置に配置し、
該ウェーハカセットまたは該フレームカセットが載置されるステージと、
該ステージに載置された該カセットがウェーハカセットであるかフレームカセットであるかを検知するセンサと、
該センサによる検知結果をうけて、該ステージに載置された該ウェーハカセットの該蓋又は該ステージに載置された該フレームカセットの該蓋を開けたり閉めたりする蓋開閉手段と、を備え
該蓋開閉手段は、
該ウェーハカセットの該蓋を保持するウェーハカセット用吸盤と、
該フレームカセットの該蓋を保持するフレームカセット用吸盤と、
該ウェーハカセット用吸盤及び該フレームカセット用吸盤を吸引源に連通する連通路と、
該鍵穴に進入し該蓋の固定及び固定解除を可能とするハンドルと、
該ハンドルを回転させるハンドル回転機構と、
該ステージを鉛直方向に移動させる昇降機構と、
該ステージを水平方向に移動させる水平移動機構と、
該センサによる検知結果により該ウェーハカセット用吸盤と該フレームカセット用吸盤とを選択的に吸引源に連通する吸盤制御部と、
該センサによる検知結果により該ハンドルが該鍵穴に進入可能なように該昇降機構を制御して該ステージの高さを変更する高さ制御部と、
該水平移動機構を制御し該高さ制御部によって該ハンドルが進入可能な高さになった該鍵穴に該ハンドルを進入させる水平制御部と、
該ハンドル回転機構によって該鍵穴に進入した該ハンドルを回転させ該蓋の固定または固定解除をするハンドル制御部と、を備える、ロードポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロードポートに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを加工する加工装置は、特許文献1、2及び3に開示のように、ウェーハを収納して密閉可能な密閉型カセットであるFOUP(Front Opening Unity Pod)が載置されるステージを有し、FOUPがステージに載置された状態でFOUPの蓋を開けてウェーハをチャックテーブルに搬送するロードポートを備えている。
【0003】
また、加工装置には、リングフレームの開口を塞ぐように貼着したテープの開口部分にウェーハを貼着して形成したフレームセットを収納して密閉可能な密閉型カセットであるフレームFOUPが載置されるステージを有し、フレームFOUPがステージに載置された状態で蓋を開けてフレームセットをチャックテーブルに搬送するロードポートを備えるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-165719号公報
【文献】特開2017-017291号公報
【文献】特開2009-252780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば加工装置の一種であるウェーハを切削ブレードで切削する切削装置を用いてウェーハを完全に切断する場合には、切断されたウェーハのチップをテープに支持させるために上記のようなフレームセットを形成してこれを切削加工の1ユニットとしている。これに対して、ウェーハを完全に切断しない場合には、ウェーハをリングフレームに支持させていない。
そのため、従来の切削装置は、ウェーハが収納されるウェーハFOUP用のロードポートと、フレームセットが収納されるフレームFOUP用のロードポートとを別々に備えており、切削装置が大きくなってしまっていた。
したがって、FOUPとフレームFOUPとを用いる加工装置を小型化するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被加工物を収容し被加工物を搬出および搬入可能な開口に蓋を備えたカセットが載置され、該蓋を開け被加工物の搬出および搬入を可能とするロードポートであって、該カセットは、ウェーハを収納するウェーハカセットまたは、テープを介してウェーハをリングフレームに支持したフレームセットを収納するフレームカセットであり、該ウェーハカセットの該蓋と、該フレームカセットの該蓋とは、該蓋の固定および固定解除を可能とする鍵穴を、該ウェーハカセットまたは該フレームカセットをステージに載置した際に水平方向において同一位置で、鉛直方向において異なる位置に配置し、該ウェーハカセットまたは該フレームカセットが載置されるステージと、該ステージに載置された該カセットがウェーハカセットであるかフレームカセットであるかを検知するセンサと、該センサによる検知結果をうけて、該ステージに載置された該ウェーハカセットの該蓋又は該ステージに載置された該フレームカセットの該蓋を開けたり閉めたりする蓋開閉手段と、を備え、該蓋開閉手段は、該ウェーハカセットの該蓋を保持するウェーハカセット用吸盤と、該フレームカセットの該蓋を保持するフレームカセット用吸盤と、該ウェーハカセット用吸盤及び該フレームカセット用吸盤を吸引源に連通する連通路と、該鍵穴に進入し該蓋の固定及び固定解除を可能とするハンドルと、該ハンドルを回転させるハンドル回転機構と、該ステージを鉛直方向に移動させる昇降機構と、該ステージを水平方向に移動させる水平移動機構と、該センサによる検知結果により該ウェーハカセット用吸盤と該フレームカセット用吸盤とを選択的に吸引源に連通する吸盤制御部と、該センサによる検知結果により該ハンドルが該鍵穴に進入可能なように該昇降機構を制御して該ステージの高さを変更する高さ制御部と、該水平移動機構を制御し該高さ制御部によって該ハンドルが進入可能な高さになった該鍵穴に該ハンドルを進入させる水平制御部と、
該ハンドル回転機構によって該鍵穴に進入した該ハンドルを回転させ該蓋の固定または固定解除をするハンドル制御部と、を備える、ロードポートである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のロードポートでは、ウェーハカセットとフレームカセットとのいずれか一方を選択的にステージに載置することができる。従って、従来のように2つのロードポートを備える必要がなく、ロードポートを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ロードポートを備えた加工装置の全体を表す斜視図である。
図2】ウェーハカセットを表す斜視図である。
図3】フレームカセットを表す斜視図である。
図4】ステージ及び水平移動機構を表す斜視図である。
図5】ステージ及び開閉パッドを表す斜視図である。
図6】開閉パッド及びパッド水平移動手段を表す斜視図である。
図7】搬入出手段及び搬送手段を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示すロードポート1は、被加工物を収容し被加工物の搬出及び搬入を行うロードポートである。ロードポート1は、例えば加工装置10の+X方向側に配設されている。
加工装置10のうち、ロードポート1が配設されている側(+X方向側)の領域は搬送領域180であり、ロードポート1が配設されていない-X方向側の領域は加工領域181である。例えばロードポート1のステージ43にカセットを載置して、カセットから被加工物を引き出して搬送することにより、搬送領域180から加工領域181へと被加工物を搬送することができる。
【0010】
本実施形態における被加工物は、円板状のウェーハ19及びフレームセット193から構成されるものとする。フレームセット193は、ウェーハ19がリングフレーム191の内側に位置付けられている状態で、リングフレーム191の下面とウェーハ19の下面とにテープ192が貼着されることにより、ウェーハ19、リングフレーム191及びテープ192が一体化されたものである。ウェーハ19は、テープ192を介してリングフレーム191に支持されている。
【0011】
ロードポート1は図1に示すステージ43を備えている。ステージ43の上には図2に示すウェーハカセット12と図3に示すフレームカセット13とを選択的に載置することができる。
【0012】
図2に示したウェーハカセット12にはウェーハ19が収納される。ウェーハカセット12の+Y方向側には開口122が形成されており、開口122には第1蓋120が着脱可能に取り付けられる。第1蓋120には2つの第1鍵穴121が形成されている。
【0013】
また、図3に示したフレームカセット13にはフレームセット193が収納される。フレームカセット13の+Y方向側には開口132が形成されており、開口132には第2蓋130が着脱可能に取り付けられる。第2蓋130には2つの第2鍵穴131が形成されている。
【0014】
ウェーハカセット12の横幅はフレームカセット13の横幅よりも小さく、ウェーハカセット12の高さはフレームカセット13の高さよりも大きい。
また、ウェーハカセット12をステージ43に載置したときのウェーハカセット12の第1鍵穴121と、フレームカセット13をステージ43に載置したときのフレームカセット13の第2鍵穴131とは水平方向において同一位置であり、かつ鉛直方向において異なる位置に配置される。
【0015】
ロードポート1は、図1に示すように蓋開閉手段2を備えている。蓋開閉手段2は、ステージ43を鉛直方向(Z軸方向)に移動させる昇降機構3を備えている。昇降機構3は、ロードポート1の+X方向側かつ-Y方向側に設けられた収容室101の内部の空間に配設されている。
昇降機構3は、底板33と、底板33の上にZ軸方向に立てられた状態で配設されたZ軸方向の軸心を有するボールネジ30と、ボールネジ30を回転させるZ軸モータ32と、ボールネジ30に平行に設けられた一対のガイドレール31とを備えている。ボールネジ30には、底部の図示しないナットがボールネジ30に螺合する支持部材44が連結されている。
【0016】
Z軸モータ32を用いてボールネジ30を回転させることにより、支持部材44がガイドレール31に案内されながらZ軸方向に昇降移動する構成となっている。
【0017】
支持部材44の内部には、図4に示すようにステージ43をY軸方向に水平移動させる水平移動機構4が配設されている。
水平移動機構4は、底板45と、底板45の上に配設されたY軸方向の軸心を有するボールネジ40と、ボールネジ40を回転させるY軸モータ42と、ボールネジ40に平行に設けられた一対のガイドレール41とを有している。ガイドレール41の上には、底部の図示しないナットがボールネジ40に螺合し、ガイドレール41に摺接するステージ43が設けられている。
Y軸モータ42を用いてボールネジ40を回転させることにより、ステージ43がガイドレール41に案内されながらY軸方向に水平移動する構成となっている。
【0018】
ステージ43の一部は支持部材44の内部に配設されており、ステージ43の上面430は、支持部材44から+Z方向側に露出している。
【0019】
ステージ43の上面430には3つの凸部材52が配設されており、ウェーハカセット12及びフレームカセット13には凸部材52に対応する図示しない凹部が形成されている。凸部材52と該凹部との水平位置が一致するようにステージ43にウェーハカセット12またはフレームカセット13を載置して、凸部材52を該凹部に嵌合させることにより、ステージ43にウェーハカセット12またはフレームカセット13を固定することができる。
【0020】
ステージ43の上面430には、第1投光部500と第1投光部500から投光された光を受光する第1受光部501とを有するウェーハFOUP検知センサ50が配設されている。また、ステージ43の上面430には、第2投光部510と第2投光部510から投光された光を受光する第2受光部511とを有するフレームFOUP検知センサ51とが配設されている。
ステージ43にウェーハカセット12またはフレームカセット13が載置されている状態では、第1投光部500と第2投光部510とから投光される光がウェーハカセット12の下面またはフレームカセット13の下面によって反射し、第1受光部501と第2受光部511とのいずれかが反射光を受光するため、どちらの受光部が反射光を受光するかによって、ステージ43に載置されたカセットがウェーハカセット12であるかフレームカセット13であるかを判断することができる。
【0021】
蓋開閉手段2は、図5に示す開閉パッド60を備えている。開閉パッド60の-Y方向側の側面600には、2つのウェーハFOUP用吸盤61と2つのフレームFOUP用吸盤62とが配設されている。
例えば、ウェーハFOUP用吸盤61のうちの一方は2つのフレームFOUP用吸盤62よりも高い高さ位置に配設されており、ウェーハFOUP用吸盤の他方は、2つのフレームFOUP用吸盤62よりも低い高さ位置に配設されている。
2つのウェーハFOUP用吸盤61とフレームFOUP用吸盤62との各々は、連通路98によって吸引源99に連通されている。吸引源99を作動させることにより生み出された吸引力がウェーハFOUP用吸盤61とフレームFOUP用吸盤62とに伝達されることとなる。
ウェーハカセット12の第1蓋120がウェーハFOUP用吸盤61に接触している状態で吸引源99を作動させてウェーハFOUP用吸盤61に吸引力を伝達することにより、ウェーハカセット12の第1蓋120を保持することができる。また、フレームカセット13の第2蓋130がフレームFOUP用吸盤62に接触している状態で吸引源99を作動させてフレームFOUP用吸盤62に吸引力を伝達することにより、フレームカセット13の第2蓋130を保持することができる。
【0022】
図6に示すように、開閉パッド60の-Y方向側の側面600には2つのハンドル63が設けられている。2つのハンドル63は、図2に示したウェーハカセット12の第1蓋120に形成された第1鍵穴121及び図3に示したフレームカセット13の第2蓋130に形成された第2鍵穴131に進入可能に形成されている。
また、開閉パッド60の内部にはハンドル63を回転可能に支持するスピンドル64とスピンドル64を回転させる回転手段65とを有するハンドル回転機構66が配設されている。回転手段65は例えばモータやエンコーダ等を有するものであり、該モータを用いてスピンドル64を適宜の回転角度だけ回転させることによりハンドル63を適宜の回転角度だけ回転させることができる。
【0023】
例えば、図2に示したウェーハカセット12の+Y方向側の側面に第1蓋120が係合している状態で第1蓋120の第1鍵穴121にハンドル63を挿入してハンドル63を回転させることにより、ウェーハカセット12に第1蓋120を固定することができる。
また、ウェーハカセット12に第1蓋120が固定されている状態で第1蓋120の第1鍵穴121にハンドル63を挿入して、ハンドル63を例えばウェーハカセット12に第1蓋120を固定するときの回転方向と反対の回転方向に回転させることにより、ウェーハカセット12に固定された第1蓋120を固定解除することができる。
【0024】
同様に、図3に示したフレームカセット13と第2蓋130とが係合している状態で第2蓋130の第2鍵穴131にハンドル63を挿入してハンドル63を回転させることにより、フレームカセット13に第2蓋130を固定することができる。
また、フレームカセット13に第2蓋130が固定されている状態で第2蓋130の第2鍵穴131にハンドル63を挿入してハンドル63を回転させることにより、フレームカセット13に固定された第2蓋130を固定解除することができる。
【0025】
図6に示した開閉パッド60の下方には開閉パッド60をY軸方向に水平移動させるパッド水平移動手段7が配設されている。
パッド水平移動手段7はZ軸方向に立設された支持板73を有しており、開閉パッド60は支持板73に支持されている。
また、パッド水平移動手段7は、底板74と、底板74の上においてY軸方向に延設されたボールネジ70と、ボールネジ70を回転させるモータ72と、ボールネジ70に平行に設けられた一対のガイドレール71とを備えており、ボールネジ70には支持板73の底部に設けられた図示しないナットが螺合している。
モータ72を用いてボールネジ70を回転させることにより、支持板73がガイドレール71に案内されながらY軸方向に水平移動して、支持板73に支持された開閉パッド60が支持板73と一体的にY軸方向に移動する構成となっている。
【0026】
ロードポート1はCPUやメモリ等を有する動作制御部としての高さ制御部91、水平制御部92及びハンドル制御部93を備えている。
【0027】
高さ制御部91は、図1に示した昇降機構3を電気的に制御する機能を有する。高さ制御部91に制御されて昇降機構3がステージ43をZ軸方向に昇降移動させることにより、図6に示したハンドル63が第1蓋120の第1鍵穴121に進入可能になるようにステージ43の高さを変更したり、ハンドル63が第2蓋130の第2鍵穴131に進入可能になるようにステージ43の高さを変更したりすることができる。
【0028】
高さ制御部91は、ウェーハFOUP検知センサ50及びフレームFOUP検知センサ51に接続されている。ステージ43にウェーハカセット12が載置されたことがウェーハFOUP検知センサ50によって検知された場合、またはステージ43にフレームカセット13が載置されたことがフレームFOUP検知センサ51によって検知された場合には、ウェーハカセット12とフレームカセット13とのどちらがステージ43に載置されているかの情報が高さ制御部91に伝達される。そして、高さ制御部91に制御されてステージ43がZ軸方向に移動することにより、第1蓋120の第1鍵穴121をハンドル63に進入させたり、第2蓋130の第2鍵穴131をハンドル63に進入させたりすることが可能となる。
【0029】
ハンドル制御部93は、図6に示したハンドル回転機構66を制御してハンドル63を回転させてウェーハカセット12に第1蓋120を固定したり、ウェーハカセット12に固定された第1蓋120を固定解除したりする機能を有している。
また、ハンドル制御部93は、フレームカセット13に第2蓋130を固定したり、フレームカセット13に固定された第2蓋130を固定解除したりする機能を有している。
【0030】
図1に示した収容室101の+Y方向側には、ウェーハ19やフレームセット193を保持する保持手段16が配設されている。保持手段16は例えば円板状のチャックテーブルであり、その上面はウェーハ19が保持される保持面160である。保持面160には、例えば図示しない吸引源が接続されている。保持面160にウェーハ19が載置された状態で該吸引源が作動することにより保持面160にウェーハ19を吸引保持できる。
また、保持手段16の周囲には4つのクランプ161が配設されている。フレームセット193を構成するウェーハ19を保持面160に載置して、4つのクランプ161を用いてリングフレーム191を四方から挟持することにより、保持手段16にフレームセット193を保持することができる。
さらに、保持手段16の+Y方向側には、加工後のウェーハ19を洗浄する洗浄手段17が配設されている。
【0031】
収容室101の+Y方向側には、Y軸方向に延びる一対のレール162が配設されている。2つのレール162は、互いが接近する方向及び離間する方向(X軸方向)に移動可能であり、搬入出手段15によって搬出されたウェーハ19またはフレームセット193がレール162に一時的に載置された状態で互いが接近する方向に移動することにより、ウェーハ19またはフレームセット193を所定の位置に位置合わせすることができる。
【0032】
ロードポート1はウェーハカセット12からのウェーハ19の搬出及びウェーハカセット12へのウェーハ19の搬入、並びに、フレームカセット13からのフレームセット193の搬出及びフレームカセット13へのフレームセット193の搬入を行う搬入出手段15を備えている。搬入出手段15は、図7に示すようにウェーハ19を吸引保持するウェーハ吸着ハンド150とワークセット193を把持するフレームクランプ156とウェーハ吸着ハンド150及びフレームクランプ156を切り替え可能に支持する切替機構152とを備えている。ウェーハ吸着ハンド150は図示しない吸引源に接続されており、該吸引源によって生み出された吸引力をウェーハ吸着ハンド150に伝達してウェーハ吸着ハンド150にウェーハ19を吸引保持することができる。また、切替機構152はモータ等を備えており、ウェーハ吸着ハンド150及びフレームクランプ156を回転させてウェーハ吸着ハンド150をステージ43に向かわせたり、フレームクランプ156をステージ43に向かわせたりすることができる。
【0033】
切替機構152は、加工装置10のカバー100の+X方向側の側面に配設された水平移動手段153に支持されている。水平移動手段153はボールネジ155や図示しないモータ等を有しており、切替機構152に連結されたウェーハ吸着ハンド150またはフレームクランプ156をY軸方向に水平移動させることができる。
なお、切替機構は、フレームクランプ156のみを回転させてもよい。つまり、フレームクランプ156を回転させウェーハ吸着ハンド150のステージ側(前方)にフレームクランプ156を位置づけたり、ウェーハ吸着ハンド150の上方にフレームクランプ156を位置づけたりすることを可能にする。ウェーハ吸着ハンド150の前方に位置づけたフレームクランプ156によってフレームカセット13に収納されているフレームセット193を把持することを可能としていて、フレームクランプ156をウェーハ吸着ハンド150の上方に位置づけることによってウェーハ吸着ハンド150によってウェーハカセット12に収納されているウェーハを吸引保持することを可能にしている。
【0034】
ロードポート1は、ウェーハ19又はフレームセット193を保持手段16と洗浄手段17との間で搬送する搬送手段14を備えている。搬送手段14は、下端に4つの吸盤140を有するフレーム保持部141と、フレーム保持部141を支持する支持部材148とを備えている。吸盤140は図示しない吸引源に接続されており、該吸引源によって生み出された吸引力は吸盤140に伝達されることとなる。
【0035】
また、搬送手段14は、図1に示すように加工装置10のカバー100の+X方向側の側面に配設された水平移動手段143を備えている。水平移動手段143は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ145と、ボールネジ145を回転させるモータ144とボールネジ145に平行に設けられた一対のガイドレール146と、側部の図示しないナットがボールネジ145に螺合してガイドレール146に摺接する可動板147とを備えている。可動板147には支持部材148が昇降可能に支持されている。
モータ144を用いてボールネジ145を回転させることにより可動板147がガイドレール146に案内されながらY軸方向に平行移動するとともに、可動板147に支持された支持部材148及び支持部材148に支持されたフレーム保持部141がY軸方向に平行移動する構成となっている。
【0036】
また、フレーム保持部141の中央には、ウェーハ吸着パッド151が配設されている。ウェーハ吸着パッド151は、図示しない吸引源に接続されており、その下面にウェーハ19を吸着することができる。ウェーハ吸着パッド151はベルヌーイパッドでもよい。
【0037】
以下、ロードポート1のステージ43にウェーハカセット12を載置して、ウェーハカセット12からウェーハ19を引き出す際のロードポート1の動作について説明する。
まず、図1に示したロードポート1のステージ43に、ウェーハカセット12に固定されている第1蓋120が+Y方向側に向くようにウェーハカセット12を載置する。これにより、ウェーハカセット12に固定されている第1蓋120と、図6に示した開閉パッド60のハンドル63とが対面している状態となる。また、ステージ43にウェーハカセット12を載置する際には、ステージ43の上面430に配設された凸部材52の水平位置とウェーハカセット12の下面に形成された図示しない凹部の水平位置とを一致させる。これにより、ステージ43にウェーハカセット12が固定される。
【0038】
ステージ43にウェーハカセット12が載置されると、そのことが図4に示したウェーハFOUP検知センサ50によって検知される。そして、ステージ43にウェーハカセット12が載置されているという情報が高さ制御部91に伝達される。
【0039】
次に、伝達された情報に基づき、高さ制御部91によって昇降機構3が制御されてステージ43が-Z方向に所定量下降する。これにより、ステージ43に載置されたウェーハカセット12に取り付けられている第1蓋120の第1鍵穴121の高さ位置と開閉パッド60のハンドル63の高さ位置とが一致する。
【0040】
次いで、水平制御部92によって水平移動機構4が制御されてステージ43が+Y方向に適宜の距離だけ移動する。これにより、ウェーハカセット12と開閉パッド60とが互いに接近していき、第1鍵穴121にハンドル63が進入する。第1鍵穴121にハンドル63が進入した状態では、開閉パッド60の-Y方向側の側面600と第1蓋120とが接触している。この状態で、ウェーハFOUP用吸盤61に接続された吸引源99を作動させることにより、生み出された吸引力が連通路98を通じてウェーハFOUP用吸盤61に伝達され、第1蓋120がウェーハFOUP用吸盤61に吸引保持される。
なお、開閉パッド60を水平方向に移動させるパッド水平移動手段7を用いて、第1鍵穴121にハンドル63を進入させてもよい。
【0041】
その後、ハンドル制御部93によりハンドル回転機構66が制御され、ハンドル回転機構66に駆動されてハンドル63が回転する。これにより、ウェーハカセット12に固定されている第1蓋120が取り外される。
そして、パッド水平移動手段7を用いてウェーハFOUP用吸盤61に保持された第1蓋120を+Y方向に移動させ、第1蓋120とウェーハカセット12とをY軸方向において離間させる。
【0042】
次に昇降機構3を用いてステージ43に載置されたウェーハカセット12を+Z方向に上昇させる。なお、ステージ43を上昇させる代わりに開閉パッド60を-Z方向に下降させてもよい。その後、ウェーハ吸着ハンド150を用いてウェーハカセット12の中のウェーハ19を吸引保持する。
そして、水平移動手段153を用いてウェーハ吸着ハンド150に保持されたウェーハ19を+Y方向に水平移動させ、ウェーハカセット12からウェーハ19を取り出す。次に、一対のレール162を互いに接近する方向に移動させてウェーハ19を載置可能な間隔にした後、ウェーハ吸着ハンド150を下降させることにより、ウェーハ19を一対のレール162の上に載置する。このとき、レール162は、ウェーハ19を載置できるように互いが離間した状態となっている。
【0043】
次に、支持部材148を下降させ、ウェーハ吸着パッド151によってレール162に載置されたウェーハ19を吸着する。そして、レール162を互いに離間する方向に移動させた後、ウェーハ吸着パッド151を下降させることにより、保持手段16の保持面160の上にウェーハ19を載置する。さらに、保持面160に吸引力を伝達させつつ、ウェーハ吸着パッド151の吸引力を解除してウェーハ吸着パッド151を上昇させると、保持面160にウェーハ19が吸引保持される。
なお、上記の例では、レール162に載置されたウェーハをウェーハ吸着パッド151で吸引保持して保持面160に載置させているが、ウェーハ吸着ハンド150が吸引保持したウェーハをウェーハ吸着パッド151で吸引保持して保持面160に載置させてもよい。
【0044】
保持面160にウェーハ19を吸引保持した後には、例えば保持手段16に接続された図示しないX軸移動手段等を用いてウェーハ19を-X方向に移動させて、ウェーハ19を加工領域181に移動させる。そして、加工装置10の内部においてウェーハ19を切削加工する。
【0045】
そして、ウェーハ19を加工した後、保持手段16が+X方向に移動してウェーハ19が搬送領域180に戻る。そして、ウェーハ吸着パッド151がウェーハ19を吸引保持して上昇し、水平移動手段143によって+Y方向に移動して洗浄手段17の上方に移動させた後、ウェーハ吸着パッド151を下降させ吸着を解除することにより、洗浄手段17にウェーハ19が載置され、保持される。そして、洗浄手段17において加工後のウェーハWが洗浄されると、再びウェーハ吸着パッド151を下降させてウェーハ19を保持する。そして、ウェーハ吸着パッド151を上昇させた後、水平移動手段143によってウェーハ19を吸着したウェーハ吸着パッド151が-Y方向に移動し、レール162の上方まで移動する。レール162を互いが離間した状態としておき、ウェーハ吸着パッド151を下降させて吸着を解除してウェーハ19をレール162の上に載置する。そして、レール162を互いに接近させてウェーハ19を所定の位置に位置合わせすると、次に、搬入出手段15のウェーハ吸着ハンド150がウェーハ19を保持する。そして、レール162を離間させた後、ウェーハ19を搬入出手段15のウェーハ吸着ハンド150を用いてレール162から搬出してウェーハカセット12に収納する。
例えば、ウェーハカセット12に加工されたすべてのウェーハ19を収納した後には、ウェーハカセット12に第1蓋120を固定する。具体的には、昇降機構3を用いてステージ43を-Z方向に下降させて、ウェーハカセット12と第1蓋120との高さ位置を合わせる。そして、パッド水平移動手段7を用いて開閉パッド60に保持された第1蓋120を-Y方向に水平移動させて、ウェーハカセット12に第1蓋120を係合させる。その後、ハンドル回転機構66を用いて例えば第1蓋120の取り外すときの回転方向と反対の回転方向にハンドル63を回転させる。これにより、ウェーハカセット12に第1蓋120が固定される。
【0046】
ロードポート1のステージ43にフレームカセット13を載置して、フレームカセット13からウェーハ19を引き出す際のロードポート1の動作について説明する。まず、図1に示すロードポート1のステージ43に、フレームカセット13に取り付けられている第2蓋130が+Y方向側に向くようにフレームカセット13を載置する。これにより、フレームカセット13に取り付けられている第2蓋130と、開閉パッド60のハンドル63とが対面している状態となる。また、ステージ43にフレームカセット13を載置する際には、ステージ43の上面430に配設された凸部材52の水平位置とフレームカセット13の下面に形成された図示しない凹部の水平位置とを一致させる。これにより、ステージ43にフレームカセット13が固定される。
【0047】
ステージ43にフレームカセット13が載置されると、そのことがフレームFOUP検知センサ51によって検知される。そしてステージ43にフレームカセット13が載置されている旨の情報が高さ制御部91に伝達される。
【0048】
次に、伝達された情報に基づき、高さ制御部91によって昇降機構3が制御されてステージ43が-Z方向に所定量下降する。これにより、ステージ43に載置されたフレームカセット13に取り付けられている第2蓋130の第2鍵穴131の高さ位置と開閉パッド60のハンドル63の高さ位置とが一致する。
なお、ステージ43を下降させる代わりに、開閉パッド60を上昇させてもよい。
【0049】
次いで、水平制御部92によって水平移動機構4が制御されてステージ43が+Y方向に適宜の距離だけ移動する。これにより、フレームカセット13と開閉パッド60とが互いに接近していき、第2鍵穴131にハンドル63が進入する。第2鍵穴131にハンドル63が進入した状態では、開閉パッド60の-Y方向側の側面600と第2蓋130とが接触している。この状態で、フレームFOUP用吸盤62に接続された吸引源99を作動させることにより、生み出された吸引力が連通路98を通じてフレームFOUP用吸盤62に伝達され、第2蓋130がフレームFOUP用吸盤62に吸引保持される。
【0050】
その後、ハンドル制御部93によりハンドル回転機構66が制御され、ハンドル回転機構66に駆動されてハンドル63が回転する。これにより、フレームカセット13に取り付けられていた第2蓋130が取り外される。
そして、パッド水平移動手段7を用いてフレームFOUP用吸盤62に保持された第2蓋130を+Y方向に移動させ、第2蓋130とフレームカセット13とをY軸方向において離間させる。
【0051】
次に、昇降機構3を用いてステージ43に載置されたフレームカセット13を+Z方向に上昇させる。その後、搬入出手段15のフレームクランプ156を用いてフレームカセット13に収納されているフレームセット193を把持する。
そして、水平移動手段153を用いてフレームクランプ156を+Y方向に水平移動させることにより、フレームセット193をフレームカセット13から引き出し一対のレール162の上に載置する。このとき、レール162は、フレームセット193を載置できる間隔で互いが離間した状態となっている。
【0052】
次に、支持部材148を下降させ、吸盤140によってリングフレーム191を吸着する。そして、レール162を互いに離間する方向に移動させレール162の間隔をリングフレーム191が通過可能に広げた後、フレーム保持部141を下降させることにより、保持手段16の保持面160の上にウェーハ19を載置するとともに、クランプ161にフレームセット193を載置する。さらに、保持面160に吸引力を伝達させるとともにクランプ161がリングフレーム191を挟持し、吸盤140の吸引力を解除して上昇させ、保持手段16においてフレームセット193を保持する。
【0053】
保持手段16にフレームセット193を保持した後、例えば保持手段16に接続された図示しないX軸方向移動手段等を用いてフレームセット193を-X方向に移動させて、フレームセット193を加工領域181に移動させる。そして、加工装置10の内部においてフレームセット193のウェーハ19を加工する。
【0054】
そして、フレームセット193のウェーハ19を加工した後、保持手段16が+X方向に移動してフレームセット193が搬送領域180に戻る。そして、吸盤140がリングフレーム191を吸着して上昇し、水平移動手段143によって+Y方向に移動して洗浄手段17の上方に移動させた後、吸盤140を下降させ吸着を解除することにより、洗浄手段17にフレームセット193が載置され、保持される。そして、洗浄手段17において加工後のウェーハWが洗浄されると、再び吸盤140を下降させてリングフレーム191を保持する。そして、フレーム保持部141を上昇させた後、水平移動手段143によってフレーム保持部141が-Y方向に移動し、フレームセット193がレール162の上方まで移動する。一対のレール162を互いに接近させてフレームセット193が載置可能な所定の位置(間隔)に位置合わせし、吸盤140を下降させて吸着を解除してリングフレーム191をレール162の上に載置する。そして、搬入出手段15のフレームクランプ156がフレームセット193のリングフレーム191を把持して、レール162の上を滑らせるようにフレームセット193を搬入出手段15のフレームクランプ156を用いてフレームカセット13に収納する。
例えば、フレームカセット13に加工されたすべてのフレームセット193を収納した後には、フレームカセット13に第2蓋130を固定する。具体的には、昇降機構3を用いてステージ43を-Z方向に下降させて、フレームカセット13の高さ位置と第2蓋130の高さ位置とを合わせる。そして、パッド水平移動手段7を用いて開閉パッド60に保持された第2蓋130を-Y方向に水平移動させて、フレームカセット13に第2蓋130を係合させる。その後、ハンドル回転機構66を用いて例えば第2蓋130の取り外すときの回転方向と反対の回転方向にハンドル63を回転させる。これにより、フレームカセット13に第2蓋130が固定される。
【0055】
ロードポート1においては、ウェーハカセット12とフレームカセット13とのいずれか一方を選択的にステージ43に載置することができる。従って、従来のように2つのロードポートを備える必要がなく、ロードポートの小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1:ロードポート 10:加工装置 100:カバー 101:収容室
12:ウェーハカセット 120:第1蓋 121:第1鍵穴 122:開口
13:フレームカセット 130:第2蓋 131:第2鍵穴 132:開口
14:搬送手段 140:吸盤 141:フレーム保持部
143:水平移動手段 144:モータ 145:ボールネジ 146:ガイドレール
147:可動板 148:支持部材
15:搬入出手段 150:ウェーハ吸着ハンド 151:ウェーハ吸着パッド
152:切替機構 153:水平移動手段 155:ボールネジ 156:フレームクランプ
16:保持手段 160:保持面 161:クランプ 162:レール
19:ウェーハ 191:リングフレーム 192:テープ 193:フレームセット
2:蓋開閉手段
3:昇降機構 30:ボールネジ 31:ガイドレール 32:Z軸モータ 33:底板
4:水平移動機構 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Y軸モータ
43:ステージ 430:上面 44:支持部材 45:底板
50:ウェーハFOUP検知センサ 51:フレームFOUP検知センサ
500:第1投光部 501:第1受光部 510:第2投光部 511:第2受光部
52:凸部材 60:開閉パッド 600:側面 61:ウェーハFOUP用吸盤
62:フレームFOUP用吸盤 63:ハンドル 64:スピンドル 65:回転手段
66:ハンドル回転機構
7:パッド水平移動手段 70:ボールネジ 71:ガイドレール 72:モータ
73:支持板 74:底板
91:高さ制御部 92:水平制御部 93:ハンドル制御部 98:連通路
99:吸引源
180:搬送領域
181:加工領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7