(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】管状保護部材及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20241126BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20241126BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H02G3/04 068
F16L57/00 A
H01B7/00 301
(21)【出願番号】P 2021027419
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】パク ギョンドン
(72)【発明者】
【氏名】足立 貴博
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 拓人
(72)【発明者】
【氏名】山口 ビニシウス
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-093656(JP,A)
【文献】特開2020-061906(JP,A)
【文献】特開2014-089913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16L 57/00
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
束ねられた複数の電線を内部に挿通させる、可撓性を有する管状保護部材であって、
前記電線が内部を挿通する管状本体と、
前記管状本体において、内部を挿通するとともに、端部から延出する前記電線のうちコネクタが装着された側の端部に、前記管状本体の外径側に拡幅された鍔部とが設けられ
、
前記鍔部と、前記管状本体の端部に装着される筒状部とが一体となり、前記管状本体に対して装着可能な鍔部品が構成され、
前記鍔部品は、
断面周方向において2分割された構成部品を組み付けて構成され、
前記構成部品のそれぞれには、組付け状態において対向する対向面が設けられ、
前記構成部品のそれぞれにおける対向面は、前記筒状部における対向面と、前記鍔部における対向面とを有するとともに、軸芯線を中心として対称に形成され、
組み付け状態において対向する前記構成部品同士の対向面の一方には、他方に向かって凸状となる凸部と、
組み付け状態において対向する前記構成部品同士の対向面の前記他方には、前記一方に設けられた前記凸部が凹凸嵌合する凹部が設けられ、
前記凸部及び前記凹部のそれぞれは、前記筒状部における対向面と、前記鍔部における対向面とに設けられ、
前記筒状部における対向面に設けられる前記凸部及び前記凹部は、前記鍔部の側から前記鍔部とは反対側の端部まで設けられ、
前記鍔部における対向面に設けられる前記凸部及び前記凹部は、前記鍔部の内径側から前記鍔部の外端部まで設けられ、
前記筒状部における対向面と前記鍔部における対向面とに設けられた前記凸部及び前記凹部のそれぞれは、一体化された
管状保護部材。
【請求項2】
前記鍔部品は、
断面周方向において2分割された同一形状の構成部品が組み付けられた
請求項
1に記載の管状保護部材。
【請求項3】
前記筒状部は、
前記管状本体の端部から、内部に装着される
請求項
1又は請求項2に記載の管状保護部材。
【請求項4】
前記管状本体は、凹凸が長手方向に交互に配置されたコルゲート管で構成された
請求項1乃至請求項
3のうちいずれかに記載の管状保護部材。
【請求項5】
請求項1乃至請求項
4のうちいずれかに記載の管状保護部材と、
前記管状本体の内部を挿通されるとともに、前記管状本体の端部から延出された端部にコネクタが設けられた前記電線とを有する
ワイヤーハーネス。
【請求項6】
前記鍔部と、前記管状本体の端部に装着される筒状部とが一体となり、前記管状本体に対して装着可能な鍔部品が構成され、
前記電線と前記筒状部が固定された
請求項
5に記載のワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、自動車に配索される電線を挿通させて保護する管状保護部材及び電線を管状保護部材に挿通させたワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスが、車両の様々な箇所に配索されている。このようなワイヤーハーネスは、コルゲート管やプロテクタなどの筒状の保護部材の内部に挿通することで、電線を保護している。
【0003】
また、ワイヤーハーネスにおいて保護部材の端部から延出された電線の端部には、特許文献1に記載されるようなコネクタが設けられ、他のワイヤーハーネスにおける電線の端部に設けられたコネクタと接続されている。
なお、コネクタは、電線の先端に設けられた接続端子をコネクタハウジングのキャビティに格納して構成されている。
【0004】
ところで、このようなワイヤーハーネスは、エンジンルームなど車室外にも配索され、被水することがあった。そのため、保護部材の外面を伝わったり、保護部材の外面から電線に伝わったりする水分が、コネクタに浸入することを防止する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、電線の端部に設けたコネクタなどに水分が伝って浸入することを防止できる管状保護部材及びワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、束ねられた複数の電線を内部に挿通させる、可撓性を有する管状保護部材であって、前記電線が内部を挿通する管状本体と、前記管状本体において、内部を挿通するとともに、端部から延出する前記電線のうちコネクタが装着された側の端部に、前記管状本体の外径側に拡幅された鍔部とが設けられ、前記鍔部と、前記管状本体の端部に装着される筒状部とが一体となり、前記管状本体に対して装着可能な鍔部品が構成され、前記鍔部品は、断面周方向において2分割された構成部品を組み付けて構成され、前記構成部品のそれぞれには、組付け状態において対向する対向面が設けられ、前記構成部品のそれぞれにおける対向面は、前記筒状部における対向面と、前記鍔部における対向面とを有するとともに、軸芯線を中心として対称に形成され、組み付け状態において対向する前記構成部品同士の対向面の一方には、他方に向かって凸状となる凸部と、組み付け状態において対向する前記構成部品同士の対向面の前記他方には、前記一方に設けられた前記凸部が凹凸嵌合する凹部が設けられ、前記凸部及び前記凹部のそれぞれは、前記筒状部における対向面と、前記鍔部における対向面とに設けられ、前記筒状部における対向面に設けられる前記凸部及び前記凹部は、前記鍔部の側から前記鍔部とは反対側の端部まで設けられ、前記鍔部における対向面に設けられる前記凸部及び前記凹部は、前記鍔部の内径側から前記鍔部の外端部まで設けられ、前記筒状部における対向面と前記鍔部における対向面とに設けられた前記凸部及び前記凹部のそれぞれは、一体化されたことを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、上述の管状保護部材と、前記管状本体の内部を挿通されるとともに、前記管状本体の端部から延出された端部にコネクタが設けられた前記電線とを有するワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0009】
この発明により、管状本体の外面を伝わる水分が電線間に浸入したり、電線の端部に設けたコネクタなどに浸入したりすることを防止できる。
詳しくは、ワイヤーハーネスが被水し、管状本体の外面を水分が伝わっても、管状本体におけるコネクタが装着された側の端部に設けられた鍔部によって、管状保護部材の鍔部よりもコネクタ側に水分が流れていくことを防止できる。したがって、鍔部よりもコネクタ側に配索されている電線間に水分が浸入したり、電線の端部に設けたコネクタなどに水分が伝って浸入したりすることを防止できる。
【0010】
また、前記鍔部と、前記管状本体の端部に装着される筒状部とが一体となり、前記管状本体に対して装着可能な鍔部品が構成されている。
これにより、前記管状本体の端部に筒状部を装着することで、容易に管状本体の端部に鍔部を容易に設けることができる。
【0011】
また、前記鍔部品は、断面周方向において複数に分割された構成部品を組み付けて構成されている。
これにより、複数の電線に対して、構成部品を組み付けることで容易に、電線を挿通させた鍔部品を構成することができる。したがって、電線に対して鍔部分を後付けし、管状本体に取り付けることができる。
【0012】
また、前記構成部品同士の対向面の一方には、他方に向かって凸状となる凸部と、前記構成部品同士の対向面の前記他方には、前記一方に設けられた前記凸部が凹凸嵌合する凹部が設けられている。
これにより、組み付けて鍔部品を構成する構成部品の対向面同士の間を通って、水分が管状本体の内側に浸入することを防止することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記鍔部品は、同一形状の複数の構成部品が組み付けられてもよい。
この発明により、鍔部品を構成する構成部品の部品点数を低減できるとともに、組み間違いを防止できる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記筒状部は、前記管状本体の端部から、内部に装着されてもよい。
この発明により、管状本体の端部に筒状部が外嵌する場合のように、管状本体の外面と筒状部の内面との隙間を通って水分が、管状本体の内側に侵入することを防止できる。したがって、電線が挿通されている管状本体の内面側から水分が電線を伝ってコネクタ側に浸入することを防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記管状本体は、凹凸が長手方向に交互に配置されたコルゲート管で構成されてもよい。
この発明により、凹凸が長手方向に交互に配置され、可撓性に優れたコルゲート管であっても、容易に鍔部を設けて、コネクタに水分が浸入したり、電線間に水分が浸入したりすることを防止できる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記電線と前記筒状部が固定されてもよい。
この発明により、電線と筒状部を確実に固定できるため、鍔部品が管状本体から脱落することを抑制できる。なお、電線と筒状部の固定は、テープなどによる固定や、接着剤などを塗布することによる固定を含む。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、電線の端部に設けたコネクタなどに水分が伝って浸入することを防止できる管状保護部材及びワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ワイヤーハーネスにおける管状保護部材の断面図。
【
図4】上下方向に分割した鍔部品の概略分割斜視図。
【
図5】展開方向に分解して並べた鍔部品の概略分解斜視図。
【
図8】管状保護部材及びワイヤーハーネスの他の実施形態の断面図。
【
図9】管状保護部材及びワイヤーハーネスのさらに他の実施形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1は管状保護部材1及びワイヤーハーネスWHの断面図を示し、
図2は鍔部品20の概略斜視図を示し、
図3は鍔部品20の説明図を示す。
図4は鍔部品20を上下方向に分割した概略分割斜視図を示し、
図5は鍔部品を展開方向に分解し並べた概略分解斜視図を示し、
図6は鍔部品20の断面図を示す。
なお、
図1において、管状保護部材1の構造を明確にするため、ワイヤーハーネスWHにおいて管状保護部材1のみの断面図で示し、電線2及びコネクタ30は側面図として示す。
【0020】
図3及び
図6について詳述する。
図3(a)は鍔部品20の正面図を示し、
図3(b)は鍔部品20の右側面図を示し、
図3(c)は鍔部品20の背面図を示す。
図6(a)は
図4におけるA-A線矢視断面図を示し、
図6(b)は
図4におけるB-B線矢視断面図を示す。
【0021】
管状保護部材1は、
図1に示すように、束ねられた複数の電線2を内部に挿通させる、可撓性を有する部材である。
管状保護部材1は、電線2が内部を挿通する管状本体としてのコルゲート管10と、コルゲート管10の端部に設けられた鍔部品20とを備えている。なお、コルゲート管10に代えて、ビニールチューブなどの可撓性チューブを用いてもよい。
【0022】
一方で、ワイヤーハーネスWHは、
図1に示すように、管状保護部材1と、管状本体としてのコルゲート管10の内部を挿通されるとともに、コルゲート管10の端部から延出されて端部にコネクタ30が設けられた電線2とを有するものである。
【0023】
この電線2は、コルゲート管10及び鍔部品20の内部を挿通するとともに、鍔部品20の外端部から延出された端部にコネクタ30が設けられている。
なお、コネクタ30は、図示しない他のワイヤーハーネスにおける電線の端部に設けられた別のコネクタ(図示省略)と接続される連結器具であり、電線2の先端に設けられた接続端子(図示省略)をコネクタハウジングのキャビティに格納して構成されている。
【0024】
コルゲート管10は、複数の環状凹部11と複数の環状凸部12とが長手方向に交互に配置され、可撓性を有するように構成されている。このコルゲート管10の内部には電線挿通孔13が形成されている。
【0025】
鍔部品20は、管状本体としてのコルゲート管10の端部に装着される筒状部21(いわゆるパイプ部)と、鍔部としてのフランジ部22とが合成樹脂により一体形成されたもので、この鍔部品20はコルゲート管10に対して装着可能に構成されている。
【0026】
この実施形態では、筒状部21は円筒状に形成されており、また、フランジ部22は円板状に形成されている。また、鍔部品20の内部には、コルゲート管10側の電線挿通孔13と連通する電線挿通孔23が貫通形成されている。
【0027】
筒状部21は、
図3(c)に示すように、背面視で環状凹部11が形成する内周面と略同径の外周面を有する円筒状に形成され、コルゲート管10におけるコネクタ30の装着側の端部から、コルゲート管10の内部に挿入して装着されている。
【0028】
鍔部品20の鍔部としてのフランジ部22は、コルゲート管10においてコルゲート管10の内部を挿通するとともに端部から延出する電線2のうちコネクタ30が装着された側の端部に設けられており、フランジ部22はコルゲート管10の外径側に拡幅されている。
換言すれば、フランジ部22は筒状部21のコネクタ側の端部から径方向外方に拡幅されたものである。
【0029】
この鍔部品20は、
図2、
図4に示すように、断面周方向において複数に分割された構成部品を組み付けて構成される。この実施形態では、鍔部品20は、断面周方向において2分割された第1構成部品20A及び第2構成部品20Bを組み付けて構成されている。
【0030】
第1構成部品20Aは、
図2乃至
図6に示すように、筒状部21を半割りにした半円筒形状の半割り筒21Aと、半割り筒21Aのコネクタ30装着側から径方向外方に延び、フランジ部22を半割りにした半円形状のフランジ部22Aとを備えている。
【0031】
同様に、第2構成部品20Bは、
図2乃至
図6に示すように、筒状部21を半割りにした半円筒形状の半割り筒21Bと、半割り筒21Bのコネクタ30装着側から径方向外方に延び、フランジ部22を半割りにした半円形状のフランジ部22Bとを備えている。
【0032】
第1構成部品20A及び第2構成部品20Bには、それぞれ対向面としての合わせ面24A,24Bがそれぞれ形成されている。
第1構成部品20A側の合わせ面24Aは、
図5及び
図6に示すように、半割り筒21Aの軸芯線X1の一方側において半割り筒21A側の合わせ面部aと、フランジ部22A側の合わせ面部bとをL字状に一体化する。また、軸芯線X1の他方側において半割り筒21A側の合わせ面部cと、フランジ部22A側の合わせ面部dとをL字状に一体化している。この合わせ面部a,bによる一方側の合わせ面24Aと、合わせ面部c,dによる他方側の合わせ面24Aと、は軸芯線X1を中心として対称に形成されている。
【0033】
同様に、
図5、
図6に示すように、第2構成部品20B側の合わせ面24Bは、半割り筒21Bの軸芯線X2の一方側において半割り筒21B側の合わせ面部eと、フランジ部22B側の合わせ面部fとをL字状に一体化するとともに、軸芯線X2の他方側において半割り筒21B側の合わせ面部gと、フランジ部22B側の合わせ面部hとをL字状に一体化している。この合わせ面部e,fによる一方側の合わせ面24Bと、合わせ面部g,hによる他方側の合わせ面24Bと、は軸芯線X2を中心として対称に形成されている。
なお、第1構成部品20Aの軸芯線X1と、第2構成部品20Bの軸芯線X2とは、第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの組み付け時において一致するものである。
【0034】
さらに、
図5、
図6に示すように、第1構成部品20Aの合わせ面部aには、組み付け時に第2構成部品20B側へ向かって凸状となる凸状部25aが形成されている。また、第1構成部品20Aの合わせ面部bにも、組み付け時に第2構成部品20B側へ凸状となる凸状部25bが形成されている。そして、各凸状部25a,25bをL字状に一体化した凸部25が設けられている。
【0035】
第1構成部品20Aの合わせ面部cには、
図5及び
図6に示すように、第1構成部品20Aと第2構成部品20Bとを組み付けときに、第2構成部品20B側の後述する凸状部27eが凹凸嵌合する凹状部26cが形成されている。また、第1構成部品20Aの合わせ面部dには、組み付け時に、第2構成部品20B側の後述する凸状部27fが凹凸嵌合する凹状部26dが形成されている。
そして、各凹状部26c,26dをL字状に一体化した凹部26が設けられている。
【0036】
第2構成部品20Bの合わせ面部eには、
図5及び
図6に示すように、第2構成部品20Bの合わせ面部eには、組み付け時に第1構成部品20A側へ向かって凸状となる凸状部27eが形成されている。また、第2構成部品20Bの合わせ面部fにも、組み付け時に第1構成部品20A側へ向かって凸状となる凸状部27fが形成されている。そして、各凸状部27e,27fをL字状に一体化した凸部27が設けられている。
【0037】
第2構成部品20Bの合わせ面部gには、
図5及び
図6に示すように、組み付け時に、第1構成部品20A側の凸状部25aが凹凸嵌合する凹状部28gが形成されている。また、第2構成部品20Bの合わせ面部hには、組み付け時に、第1構成部品20A側の凸状部25bが凹凸嵌合する凹状部28hが形成されている。そして、各凹状部28g,28hをL字状に一体化した凹部28が設けられている。
【0038】
すなわち、第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの対向面としての合わせ面24A,24Bの一方には、他方に向かって凸状となる凸部25,27と、第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの合わせ面24A,24Bの他方には、一方に設けられた凸部25,27が凹凸嵌合する凹部26,28が設けられている。
【0039】
これにより、第1構成部品20Aと第2構成部品20Bとを組み付けて鍔部品20を構成する第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの合わせ面24A,24B同士の間を通って、電線2が挿通する鍔部品20の内周面に水分が浸入することを防止することができる。
【0040】
なお、合わせ面部aに形成された凸状部25aはフランジ部22A側から半割り筒21Aのフランジ部22Aと反対側の端部まで連続して形成されている。また、合わせ面部bに形成された凸状部25bは合わせ面部bの内径側からフランジ部22Aの外端部まで連続して形成されている。
【0041】
また、合わせ面部cに形成された凹状部26cはフランジ部22A側から半割り筒21Aのフランジ部22Aと反対側の端部まで連続して形成されている。また、合わせ面部dに形成された凹状部26dは合わせ面部dの内径側からフランジ部22Aの外端部まで連続して形成されている。
【0042】
さらに、合わせ面部eに形成された凸状部27eはフランジ部22B側から半割り筒21Bのフランジ部22Bと反対側の端部まで連続して形成されている。また、合わせ面部fに形成された凸状部27fは合わせ面部fの内径側からフランジ部22Bの外端部まで連続して形成されている。
【0043】
さらにまた、合わせ面部gに形成された凹状部28gはフランジ部22B側から半割り筒21Bのフランジ部22Bと反対側の端部まで連続して形成されている。また、合わせ面部hに形成された凹状部28hは合わせ面部hの内径側からフランジ部22Bの外端部まで連続して形成されている。
【0044】
このように構成された第1構成部品20Aと第2構成部品20Bは、
図5及び
図6に示すように、同一形状に構成されており、鍔部品20は、
図2に示すように、同一形状の2つの第1構成部品20A及び第2構成部品20Bが組み付けられたものである。これにより、鍔部品20を構成する第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの部品点数を低減し、組み間違いを防止できる。
【0045】
次に、管状保護部材1及びワイヤーハーネスWHの組み付けについて説明する。
図1に示すように、予めコネクタ30が装着された電線2に対して第1構成部品20Aと第2構成部品20Bとを外方から取り付ける。
【0046】
具体的には、束ねられた複数の電線2の外側一方側と外側他方側とに同一形状の第1構成部品20Aと第2構成部品20Bとを対向配置する。より詳しくは、
図4に示すように、第2構成部品20Bの凸部27と第1構成部品20Aの凹部26(
図5参照)とを対向させるとともに、第2構成部品20Bの凹部28と第1構成部品20Aの凸部25(
図5参照)とを対向させる。
そして、第1構成部品20Aと第2構成部品20Bとの間に電線2を挿通すべく、第1構成部品20A及び第2構成部品20Bを凹部26,28と凸部25,27により凹凸嵌合する(
図1参照)。
【0047】
この凹凸嵌合により、
図2に示すように、第1構成部品20A側の合わせ面24Aと、第2構成部品20B側の合わせ面24Bとが当接する。また、合わせ面部a,c,e,gの凸状部25a,凹状部26c,凸状部27e,凹状部28gの凹凸嵌合により、鍔部品20のフランジ部22A,22Bの合わせ面部b,d,f,hに沿う方向への位置ずれを防止し、かつ合わせ面24A,24B同士の間を通って水分が浸入することを防止することができる。
【0048】
さらに、合わせ面部b,d,f,hの凸状部25b,凹状部26d,凸状部27f,凹状部28hの凹凸嵌合により、鍔部品20の半割り筒21A,21Bの軸芯線X1,X2方向への位置ずれを防止し、かつ、合わせ面24A,24B同士の間を通って水分が浸入することを防止することができる。
【0049】
次に、鍔部品20の筒状部21における反フランジ部側の外周と、筒状部21からフランジ部22とは反対側に突出した電線2の外周との間を、ビニールテープなどの絶縁性の粘着テープにて各外周間にわたって巻回固定したテープ巻回層29を形成する(
図1参照)。このテープ巻回層29により筒状部21と電線2とを固定する。そして、鍔部品20の筒状部21におけるテープ巻回層29の端部位置まで管状本体であるコルゲート管10を装着する。
【0050】
続いて、鍔部品20の筒状部21におけるフランジ部22とコルゲート管10先端との間と、コルゲート管10先端側とを、ビニールテープなどの絶縁性の粘着テープにて、筒状部21外周とコルゲート管10先端側外周との間にわたって巻回固定したテープ巻回層40を形成する。このテープ巻回層40により筒状部21とコルゲート管10とを固定すると、管状保護部材1及びワイヤーハーネスWHの組み付けが完了する。
【0051】
このように、束ねられた複数の電線2を内部に挿通させる、可撓性を有する管状保護部材1は、電線2が内部を挿通するコルゲート管10と、コルゲート管10において、内部を挿通するとともに、端部から延出する電線2のうちコネクタ30が装着された側の端部に、コルゲート管10の外径側に拡幅されたフランジ部22とが設けられている。これにより、コルゲート管10の外面を伝わる水分が電線2,2間に浸入したり、電線2の端部に設けたコネクタ30などに浸入したりすることを防止できる。
【0052】
また、このように構成された管状本体としてのコルゲート管10に鍔部品20をコネクタ30側に装着する管状保護部材1の内部に、電線2を挿通させることで、ワイヤーハーネスWHとすることができる。
【0053】
詳しくは、ワイヤーハーネスWHが被水し、コルゲート管10の外面を水分が伝わっても、コルゲート管10の内部を挿通する電線2のコネクタ30が装着された側のコルゲート管10の端部に設けられたフランジ部22によって、電線2やコネクタ30側に水分が流れていくことを防止できる。したがって、フランジ部22を超えて水分が電線2,2間に浸入することを防止できるとともに、電線2の端部に設けたコネクタ30に水分が伝わって浸入することを防止できる。
【0054】
また、フランジ部22と、コルゲート管10の端部に装着される筒状部21とが一体となり、コルゲート管10に対して装着可能な鍔部品20が構成されたことにより、コルゲート管10の端部に筒状部21を装着することで、容易にコルゲート管10の端部にフランジ部22を容易に設けることができる。
【0055】
さらに、筒状部21は、コルゲート管10の端部から、内部に挿入して装着されている。これにより、コルゲート管10の端部に筒状部21が外嵌する場合のように、コルゲート管10の外面と筒状部21の内面との隙間を通って、コルゲート管10の内側に水分が侵入することを防止できる。したがって、電線2が挿通するコルゲート管10の内周面からコネクタ30側に水分が伝わって、コネクタ30に浸入することを防止できる。
【0056】
さらにまた、鍔部品20は、断面周方向において複数に分割された第1構成部品20A及び第2構成部品20Bを組み付けて構成されたことにより、複数の電線2に対して、第1構成部品20A及び第2構成部品20Bを組み付けることで容易に、電線2を挿通させた鍔部品20を構成することができる。したがって、電線2に対して鍔部品20を後付けし、コルゲート管10に取り付けることができる。
【0057】
加えて、鍔部品20は、同一形状の複数の第1構成部品20A及び第2構成部品20Bが組み付けられたことにより、鍔部品20を構成する第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの部品点数を低減できるとともに、組み間違いを防止することができる。
【0058】
また、第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの対向面(合わせ面24A,24B)の一方には、他方に向かって凸状となる凸部25,27と、第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの対向面(合わせ面24A,24B)の他方には、一方に設けられた凸部25,27が凹凸嵌合する凹部26,28が設けられている。
【0059】
これにより、凸部25,27及び凹部26,28が止水機能を発揮するため、組み付けて鍔部品20を構成する第1構成部品20A及び第2構成部品20Bの対向面(合わせ面24A,24B)同士の間を通って、水分がコルゲート管10の内側に浸入することを防止することができる。
【0060】
さらに、コルゲート管10は、環状凹部11と環状凸部12とが長手方向に交互に配置されて構成されている。これにより、凹凸が長手方向に交互に配置され、可撓性に優れたコルゲート管10であっても、容易にフランジ部22を設けて、コネクタ30に水分が浸入したり、電線2,2間に水分が浸入したりすることを防止できる。
【0061】
また、第1構成部品20Aと第2構成部品20Bを嵌合結合する凹凸形状の他の実施形態について
図7(a)に基づいて簡単に説明する。
図7(a)は、凹凸嵌合構造のさらに他の実施形態における背面図を示す。なお、
図7(a)において、
図3(c)と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0062】
図3(c)で示した先の実施形態においては、凸状部25a,25b,27e,27fの断面形状は方形状のコーナ部に対してアール部を形成した形状と成し、凹状部26c,26d,28g,28hはこれに対応する断面形状と成した。
【0063】
これに対して、
図7(a)で示す実施形態においては、凸状部25a,25b,27e,27fの断面形状を台形状と成し、凹状部26c,26d,28g,28hはこれに対応する断面形状と成している。
このように構成しても
図1~
図6で示した先の実施形態と同様の作用、効果を奏する。
【0064】
さらまた、第1構成部品20Aと第2構成部品20Bを嵌合結合する凹凸形状の他の実施形態について
図7(b)に基づいて簡単に説明する。
図7(b)は凹凸嵌合構造のさらに他の実施形態における背面図を示す。なお、
図7(b)において、
図3(c)と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0065】
図7(b)に示すこの実施形態においては、第1構成部品20Aにおける半割り筒21Aの合わせ面24Aに、他方に向かって凸状となる断面台形状の凸部41を形成する一方で、第2構成部品20Bにおける半割り筒21Bの合わせ面24Bには、凸部41が凹凸嵌合する断面台形凹状の凹部42が形成されている。
【0066】
このように構成すると、2つの第1構成部品20A及び第2構成部品20Bが非同一形状となるものの、その他の構成は先の各実施形態とほぼ同様であり、同様の作用、効果を奏する。
【0067】
また、本実施形態では、筒状部21の外周面がコネクタ30の側から反対側まで平坦に形成されているが、例えば
図8に示すように、コネクタ30の側が凹凸状に構成されてもよい。
ここで、
図8はワイヤーハーネスWHにおける管状保護部材1の他の実施形態を示す断面図である。なお、
図8において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0068】
図8に示す実施形態では、鍔部品20の筒状部21におけるフランジ部22近傍に筒状部21の軸方向に所定間隔を隔てて複数の環状リブ43を設けている。そして、筒状部21の外周面から径方向外方へ突出する3条の環状リブ43を設け、これら環状リブ43間には筒状部21の外周面を凹底面とする環状凹部44が形成されている。
【0069】
管状本体としてのビニールチューブなどの可撓性チューブ45を設け、この可撓性チューブ45の端部から鍔部品20の筒状部21を可撓性チューブ45内部に挿入し、可撓性チューブ45の内径部と複数の環状リブ43の外径部とを圧接させることで、可撓性チューブ45の抜け止めを図っている。
【0070】
また可撓性チューブ45及び環状リブ43の圧接により、これら可撓性チューブ45及び環状リブ43の間に隙間ができることを防止して、防水性能の向上を図っている。すなわち、テープ巻回層29により電線2と筒状部21とを固定しても、可撓性チューブ45及び環状リブ43の圧接により防水性能が確保されているので、テープの巻回厚みにより防水性能が阻害されるものではない。
【0071】
なお、鍔部品20におけるフランジ部22の反コネクタ側の面は、可撓性チューブ45の端部に突き当てられている。
このように構成しても、その他の構成は、
図1~
図6を参照して説明した先の実施形態とほぼ同様であり、同様の効果を奏する。
【0072】
また、
図9に示すように、コルゲート管10に対して
図8に示す鍔部品20を装着させてもよい。
ここで、
図9はワイヤーハーネスWHにおける管状保護部材1のさらに他の実施形態を示す断面図である。なお、
図9において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0073】
この実施形態においても
図8で示した実施形態と同様に、鍔部品20の筒状部21におけるフランジ部22近傍には、筒状部21の軸方向に環状凹部44と環状リブ43とが交互に一体形成されている。
【0074】
鍔部品20の筒状部21における反フランジ部側には、テープの巻き代を確保する目的で、小径部21Cが設けられている。
鍔部品20の筒状部21における小径部21Cと、電線2とを固定するテープ巻回層29の小径部21C側の外径は、コルゲート管10の内径と一致又は略一致することが好ましい。
【0075】
そして、この実施形態においては、凹凸(環状凹部11と環状凸部12)が長手方向に交互に配置されたコルゲート管10を設け、このコルゲート管10の先端側の凹凸を、筒状部21の環状リブ43と環状凹部44とに凹凸嵌合させている。この凹凸嵌合により、環状リブ43及び環状凹部44とコルゲート管10との間に隙間が発生することを防止している。
【0076】
また、凹凸嵌合により、コルゲート管10の抜け止めを図るとともに、小径部21Cの外周に巻回するテープ巻回層29のフランジ部側の外径を、コルゲート管10の内径と一致又は略一致させることで、これらテープ巻回層29及びコルゲート管10の間においても隙間が形成されるのを抑制している。
【0077】
なお、鍔部品20におけるフランジ部22の反コネクタ側の面は、コルゲート管10の端部に突き当てられている。
このように構成しても、その他の構成は、
図1~
図6を参照して説明した先の実施形態とほぼ同様であり、同様の効果を奏する。
【0078】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の管状保護部材は、実施形態の管状保護部材1に対応し、以下同様に、
電線は、電線2に対応し、
管状本体は、コルゲート管10、可撓性チューブ45に対応し、
コネクタは、コネクタ30に対応し、
鍔部品は、鍔部品20に対応し、
筒状部は、筒状部21に対応し、
鍔部は、フランジ部22に対応し、
構成部品は、第1構成部品20Aと第2構成部品20Bとに対応し、
対向面は、合わせ面24A,24Bに対応し、
凸部は、凸部25,27に対応し、
凹部は、凹部26,28に対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネスWHに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0079】
例えば、上述の実施形態においては、鍔部は中心部に電線挿通孔23を備えた円形状のフランジ部22を例示したが、鍔部は中心部に電線挿通孔23を備えた方形状のフランジ部であってもよい。
【0080】
さらに、鍔部品20として2分割された第1構成部品20A及び第2構成部品20Bを例示したが、鍔部品は3分割された構成部品を組み付けて構成してもよい。
さらにまた、構成部品同士の対向面に設けられる凸部25,27と凹部26,28とは、L字状のものを例示したが、凸部として複数の円柱の凸部を採用し、凹部として円柱の凸部が凹凸嵌合する円柱状の穴部を採用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…管状保護部材
2…電線
10…コルゲート管
20…鍔部品
20A…第1構成部品
20B…第2構成部品
21…筒状部
22…フランジ部
24A,24B…合わせ面
25,27…凸部
26,28…凹部
30…コネクタ
45…可撓性チューブ
WH…ワイヤーハーネス