(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】グロメットインナ及びグロメット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20241126BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20241126BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20241126BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 C
F16L5/02 A
B60R16/02 622
(21)【出願番号】P 2021028012
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】森野 智
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204530(JP,A)
【文献】特開2015-070778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H01B 17/58
F16L 5/02
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔に取り付けられるグロメット用のグロメットインナにおいて、
筒状のインナ本体と、
前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びており、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される複数のフランジ部と、
前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能であり、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置されるロック部と、
前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置され、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す弾性変形部と、
を備え
、
前記弾性変形部は、前記インナ本体から前記ロック部に向かって突出するように設けられ、
前記インナ本体の軸心を含む断面で見たとき、前記弾性変形部は先細状に形成されることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項2】
請求項1に記載のグロメットインナであって、
前記弾性変形部は弾性片により構成されることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のグロメットインナであって、
前記弾性変形部は前記インナ本体に設けられることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項4】
孔に取り付けられるグロメット用のグロメットインナにおいて、
筒状のインナ本体と、
前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びており、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される複数のフランジ部と、
前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能であり、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置されるロック部と、
前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置され、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す弾性変形部と、
を備え、
前記インナ本体は、前記インナ本体から前記ロック部に近づく向きに突出する突出部を有し、
前記弾性変形部は、前記突出部の先端部から前記ロック部に向かって突出するように設けられることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項5】
請求項
4に記載のグロメットインナであって、
前記インナ本体の軸心を含む断面で見たとき、前記弾性変形部は先細状に形成されることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載のグロメットインナであって、
前記インナ本体の軸心を含む断面で見たとき、前記突出部は先細状に形成されることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項7】
請求項1から
6までの何れか一項に記載のグロメットインナであって、
前記弾性変形部は、前記インナ本体の軸方向において、前記ロック部の途中部を押すように構成されることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項8】
請求項1から
7までの何れか一項に記載のグロメットインナであって、
前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記弾性変形部に接触可能な接触面が、前記ロック部に設けられ、
前記ロック部及び前記弾性変形部が何れも弾性変形していない状態では、前記弾性変形部と前記ロック部との間に隙間が形成されていることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項9】
請求項
8に記載のグロメットインナであって、
前記ロック部及び前記弾性変形部が何れも弾性変形していない状態で、前記弾性変形部は前記接触面に対して斜めに延びるように配置されていることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項10】
孔に取り付けられるグロメット用のグロメットインナにおいて、
筒状のインナ本体と、
前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びており、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される複数のフランジ部と、
前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能であり、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置されるロック部と、
前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置され、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す弾性変形部と、
を備え、
前記ロック部は、前記インナ本体に複数設けられ、
前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、複数の前記ロック部は、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置され、
複数の前記ロック部のそれぞれに対応するように、複数の前記弾性変形部が設けられ
、
前記インナ本体を軸心に垂直な面で切った断面は、長手方向と短手方向を有する形状であり、
複数の前記弾性変形部は、前記ロック部を前記長手方向に押す弾性変形部と、前記ロック部を前記短手方向に押す弾性変形部と、を含み、
前記ロック部を前記長手方向に押す弾性変形部は、前記ロック部を前記短手方向に押す弾性変形部に比べて、前記ロック部を強い力で押すことを特徴とするグロメットインナ。
【請求項11】
孔に取り付けられるグロメット用のグロメットインナにおいて、
筒状のインナ本体と、
前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びており、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される複数のフランジ部と、
前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能であり、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置されるロック部と、
前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置され、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す弾性変形部と、
を備え、
前記ロック部は、前記インナ本体の外側へ延びるロックフランジ部を備え、
前記ロックフランジ部と、当該ロックフランジ部と隣り合う前記フランジ部と、の間に、前記インナ本体から外側へ離れるにつれて広がる形状の隙間が形成されていることを特徴とするグロメットインナ。
【請求項12】
請求項1から
11までの何れか一項に記載のグロメットインナと、
前記グロメットインナが取り付けられる中空状のグロメット本体と、
を備え、
前記グロメットインナの内部空間及び前記グロメット本体の内部空間に、線状部材が通過可能であることを特徴とするグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメットインナ、及び当該グロメットインナを備えるグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のパネル等に形成された孔に電線等が挿入される場合、グロメットが用いられることがある。グロメットは、孔に嵌めることができ、かつ、電線等を通すことができる。インナ付きグロメットが用いられることで、孔の縁部によって電線等が損傷することを防止することができる。このようなグロメットは、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のグロメットは、グロメット本体と、グロメット本体に組み付けられたロック部材と、から構成されている。グロメット本体は、ゴム等の弾性軟質材から構成されている。ロック部材は、合成樹脂等の弾性硬質材から形成されている。ロック部材は、係止爪を有する係止部を備える。グロメットがパネルに取り付けられるとき、係止爪は、パネルの取付穴に撓みながら挿入された後、元の状態に復帰してパネル裏面側に係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、係止爪がパネル裏面側に係止された状態で係止爪に外力が加わると、意図せず係止が解除され、これによりグロメットがパネルから外れるおそれがある。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、グロメットインナが孔から意図せず外れることを防止することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のグロメットインナが提供される。即ち、このグロメットインナは、孔に取り付けられるグロメットに用いられる。前記グロメットインナは、インナ本体と、複数のフランジ部と、ロック部と、弾性変形部と、を備える。前記インナ本体は、筒状である。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びている。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される。前記ロック部は、前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能である。前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記ロック部は、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置される。前記弾性変形部は、前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置される。前記弾性変形部は、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す。前記弾性変形部は、前記インナ本体から前記ロック部に向かって突出するように設けられる。前記インナ本体の軸心を含む断面で見たとき、前記弾性変形部は先細状に形成される。
【0009】
これにより、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されている状態を、ロック部を弾性変形させることで解除することができる。従って、必要に応じて孔からグロメットインナを取り外すことができるので、メンテナンス性を高めることができる。一方で、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されているとき、ロック解除方向へロック部が意図せず変位させられた場合であっても、2重の戻し力(ロック部の復元力、及び、弾性変形部の復元力)によって、その変位を強力に戻すことができる。従って、グロメットインナが孔から意図せず外れることを確実に防止することができる。また、弾性変形部が先細状に形成されるので、ロック部と接触した場合に円滑に弾性変形させることができる。一方で、弾性変形部の根元部は相対的に太くなるので、根元部での破損等を防止できる。
【0010】
前記のグロメットインナにおいては、前記弾性変形部は弾性片により構成されることが好ましい。
【0011】
これにより、弾性変形部の簡素な構成を実現できる。
【0012】
前記のグロメットインナにおいては、前記弾性変形部は前記インナ本体に設けられることが好ましい。
【0013】
これにより、グロメットインナの簡素な構成を実現できる。
【0016】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成のグロメットインナが提供される。即ち、このグロメットインナは、孔に取り付けられるグロメットに用いられる。前記グロメットインナは、インナ本体と、複数のフランジ部と、ロック部と、弾性変形部と、を備える。前記インナ本体は、筒状である。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びている。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される。前記ロック部は、前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能である。前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記ロック部は、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置される。前記弾性変形部は、前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置される。前記弾性変形部は、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す。前記インナ本体は、前記インナ本体から前記ロック部に近づく向きに突出する突出部を有する。前記弾性変形部は、前記突出部の先端部から前記ロック部に向かって突出するように設けられる。
【0017】
これにより、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されている状態を、ロック部を弾性変形させることで解除することができる。従って、必要に応じて孔からグロメットインナを取り外すことができるので、メンテナンス性を高めることができる。一方で、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されているとき、ロック解除方向へロック部が意図せず変位させられた場合であっても、2重の戻し力(ロック部の復元力、及び、弾性変形部の復元力)によって、その変位を強力に戻すことができる。従って、グロメットインナが孔から意図せず外れることを確実に防止することができる。また、弾性変形部の小型化を図ることができ、弾性変形部を簡単に構成することができる。
【0018】
前記のグロメットインナにおいては、前記インナ本体の軸心を含む断面で見たとき、前記弾性変形部は先細状に形成されることが好ましい。
【0019】
これにより、先細状に形成されるので、弾性変形部を円滑に弾性変形させることができる。一方で、弾性変形部の根元部は相対的に太くなるので、根元部での破損等を防止できる。
【0020】
前記のグロメットインナにおいては、前記インナ本体の軸心を含む断面で見たとき、前記突出部は先細状に形成されることが好ましい。
【0021】
これにより、突出部の小型化を実現できる。一方で、突出部の根元部は相対的に太くなるので、根元部での破損等を防止できる。
【0022】
前記のグロメットインナにおいては、前記弾性変形部は、前記インナ本体の軸方向において、前記ロック部の途中部を押すように構成されることが好ましい。
【0023】
これにより、強度が弱い弾性変形部が、グロメットインナの外側に露出しにくい構造となる。従って、弾性変形部を良好に保護することができる。
【0024】
前記のグロメットインナにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記弾性変形部に接触可能な接触面が、前記ロック部に設けられる。前記ロック部及び前記弾性変形部が何れも弾性変形していない状態では、前記弾性変形部と前記ロック部との間に隙間が形成される。
【0025】
これにより、ロック部がロック解除方向に所定以上変位した場合にだけ、弾性変形部がロック部を押すことになる。従って、弾性変形部の耐久性を高めることができる。
【0026】
前記のグロメットインナにおいては、前記ロック部及び前記弾性変形部が何れも弾性変形していない状態で、前記弾性変形部は前記接触面に対して斜めに延びるように配置されていることが好ましい。
【0027】
これにより、ロック部がロック解除方向に変位した場合に、弾性変形部が接触面に対して斜めに当たる。従って、弾性変形部が円滑に弾性変形することができる。
【0028】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成のグロメットインナが提供される。即ち、このグロメットインナは、孔に取り付けられるグロメットに用いられる。前記グロメットインナは、インナ本体と、複数のフランジ部と、ロック部と、弾性変形部と、を備える。前記インナ本体は、筒状である。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びている。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される。前記ロック部は、前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能である。前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記ロック部は、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置される。前記弾性変形部は、前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置される。前記弾性変形部は、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す。前記ロック部は、前記インナ本体に対して複数設けられる。前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、複数の前記ロック部は、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される。複数の前記ロック部のそれぞれに対応するように、複数の前記弾性変形部が設けられる。前記インナ本体を軸心に垂直な面で切った断面は、長手方向と短手方向を有する形状である。複数の前記弾性変形部は、前記ロック部を前記長手方向に押す弾性変形部と、前記ロック部を前記短手方向に押す弾性変形部と、を含む。前記ロック部を前記長手方向に押す弾性変形部は、前記ロック部を前記短手方向に押す弾性変形部に比べて、前記ロック部を強い力で押す。
【0029】
これにより、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されている状態を、ロック部を弾性変形させることで解除することができる。従って、必要に応じて孔からグロメットインナを取り外すことができるので、メンテナンス性を高めることができる。一方で、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されているとき、ロック解除方向へロック部が意図せず変位させられた場合であっても、2重の戻し力(ロック部の復元力、及び、弾性変形部の復元力)によって、その変位を強力に戻すことができる。従って、グロメットインナが孔から意図せず外れることを確実に防止することができる。また、孔に対するグロメットインナの固定状態を良好に保持することができる。更に、インナ本体の長手方向と平行な方向に弾性変形することでロック解除するロック部に対しては、ロック解除のための力が意図せず加わる可能性が高い。しかし、上記の構成によれば、このロック部を弾性変形部によりロック状態に保ち易くなる。
【0032】
本発明の第4の観点によれば、以下の構成のグロメットインナが提供される。即ち、このグロメットインナは、孔に取り付けられるグロメットに用いられる。前記グロメットインナは、インナ本体と、複数のフランジ部と、ロック部と、弾性変形部と、を備える。前記インナ本体は、筒状である。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸方向一端部に設けられ、このインナ本体の軸方向一端部から前記インナ本体の外側へ延びている。前記複数のフランジ部は、前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記インナ本体の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される。前記ロック部は、前記孔に引っ掛かるために前記インナ本体の外側に連結され、弾性変形することで前記インナ本体に近づく方向に変位して前記孔への引っ掛かりを解除することが可能である。前記インナ本体の軸心に沿って見たときに、前記ロック部は、前記複数のフランジ部のうち前記インナ本体の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部の間に配置される。前記弾性変形部は、前記インナ本体よりも外側、かつ、前記ロック部よりも内側に配置される。前記弾性変形部は、前記ロック部が前記インナ本体に近づく方向に変位したときに前記ロック部と接触し、接触した前記ロック部を前記インナ本体から離れる方向に押す。前記ロック部は、前記インナ本体の外側へ延びるロックフランジ部を備える。前記ロックフランジ部と、当該ロックフランジ部と隣り合う前記フランジ部と、の間に、前記インナ本体から外側へ離れるにつれて広がる形状の隙間が形成されている。
【0033】
これにより、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されている状態を、ロック部を弾性変形させることで解除することができる。従って、必要に応じて孔からグロメットインナを取り外すことができるので、メンテナンス性を高めることができる。一方で、孔に対してインナ本体がロック部のロックにより固定されているとき、ロック解除方向へロック部が意図せず変位させられた場合であっても、2重の戻し力(ロック部の復元力、及び、弾性変形部の復元力)によって、その変位を強力に戻すことができる。従って、グロメットインナが孔から意図せず外れることを確実に防止することができる。また、作業者が指でロックフランジ部を押し易くなる。従って、孔からグロメットインナを取り外す作業が容易になる。
【0034】
本発明の第5の観点によれば、以下の構成のグロメットが提供される。即ち、このグロメットは、上記のグロメットインナと、前記グロメットインナが取り付けられる中空状のグロメット本体と、を備える。前記グロメットインナの内部空間及び前記グロメット本体の内部空間に、線状部材が通過可能である。
【0035】
これにより、孔を通過する線状部材を、損傷しないように保護することができる。グロメットインナのロックを必要に応じて解除できる一方、グロメットインナが孔から意図せず外れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るグロメットインナの斜視図。
【
図5】(a)グロメットインナを貫通孔に通すときの様子を示す図。(b)貫通孔に対してグロメットインナを固定したときの様子を示す図。
【
図6】貫通孔に対してグロメットインナを固定したときに、ロック部に対して解除方向に外力が加わった様子を示す図。
【
図7】本発明の第2施形態に係るグロメットインナの一部断面図。
【
図8】(a)貫通孔に対してグロメットインナを固定したときの様子を示す図。(b)貫通孔に対してグロメットインナを固定したときに、ロック部に対して解除方向に外力が加わった様子を示す図。
【
図9】変形例に係るグロメットインナの一部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るグロメットインナ1について説明する。グロメットインナ1は、グロメットに用いられる。このグロメットは、
図5(b)に示すように、車両のパネル5等に形成された貫通孔(孔)7に取り付けられる。
【0038】
グロメットは、グロメットインナ1のほか、
図5に示すグロメット本体11を備える。グロメット本体11は、中空の筒状に形成されている。グロメット本体11は、弾性変形が容易な材料、例えば軟質ゴムにより構成される。グロメットインナ1は、グロメット本体11に固定される。グロメットインナ1は、グロメット本体11を装着した状態で、パネル5の貫通孔7に対して固定することができる。
【0039】
以下、グロメットインナ1について詳細に説明する。以下の説明では、各構成の相対的な位置関係等を説明するために、
図1に示す矢印に従ってグロメットインナ1の前後方向、左右方向、及び上下方向を定義する。ただし、これらの方向の定義は便宜的なものであり、グロメットインナ1が使用される向き等を限定するものではない。
【0040】
グロメットインナ1は、グロメット本体11よりも剛性のある材料、例えば合成樹脂により構成されている。
図1、
図2及び
図3に示すように、グロメットインナ1は、インナ本体21と、複数のフランジ部23と、ロック部25と、を有する。また、グロメットインナ1は、弾性変形部27を有する。グロメットインナ1は、型を用いて一体的に製造することができる。
【0041】
インナ本体21は、中空の筒状に形成されている。本実施形態では、インナ本体21の筒状部分を筒軸に垂直な面で切った断面が長円状である。この断面は、長手方向(長軸方向)と短手方向(短軸方向)を有する。
図1では、インナ本体21の筒軸方向を上下方向とし、上記の断面の長軸方向を前後方向とし、短軸方向を左右方向とした状態が描かれている。インナ本体21の筒軸は、インナ本体21の軸心に相当する。
【0042】
インナ本体21は、グロメットインナ1がグロメット本体11に取り付けられたとき、一部がグロメット本体11の端部に挿入された状態となり、グロメット本体11の端部と同軸に配置される。グロメットインナ1がグロメット本体11に取り付けられた状態では、インナ本体21の内部空間がグロメット本体11の内部空間と繋がる。これらの内部空間を、
図5に示すように、電線等の線状部材W1が通過することができる。
【0043】
インナ本体21は、筒軸に沿って見たときに、パネル5の貫通孔7に対して実質的に相似する長円状に形成されている。筒状に形成されたインナ本体21の外周面を筒軸に垂直な平面で切った断面において、長軸方向及び短軸方向のそれぞれの寸法は、対応する貫通孔7のものと比べて実質的に少し小さい。インナ本体21は、互いに対向する2つの第1部分31と、互いに対向する2つの第2部分33と、を有する。
【0044】
第1部分31は、長軸方向に延びる直線状に形成されている。第2部分33は、半円状に形成されている。2つの第2部分33のうち一方の第2部分33は、2つの第1部分31の長手方向一端部同士を繋ぎ、他方の第2部分33は、2つの第1部分31の長手方向他端部同士を繋ぐ。
【0045】
それぞれの第1部分31の長手方向中央に、第1窪み部35が形成されている。第1窪み部35は、インナ本体21の外周面を内側に窪ませるように形成されている。第1窪み部35は、インナ本体21に対し、筒軸方向のほぼ全体にわたって形成されている。第1窪み部35は、長円状のインナ本体21の外周側を開放させている。
【0046】
図2及び
図3に示すように、第1窪み部35の内壁は、第1壁部37と、第2壁部39と、を有する。第1壁部37は、第1窪み部35の開放側と反対側に位置している。第2壁部39は、互いに対向するように1対で配置されている。第1壁部37は、2つの第2壁部39同士を接続する。2つの第2壁部39は、第1壁部37に対してほぼ垂直に向けられている。
【0047】
それぞれの第2部分33の長手方向中央に、第2窪み部41が形成されている。第2窪み部41は、インナ本体21に対し、筒軸方向のほぼ全体にわたって形成されている。第2窪み部41は、長円状のインナ本体21の外周側を開放させている。
【0048】
図3に示すように、第2窪み部41は、第1壁部43と、第2壁部45と、を有する。第1壁部43及び第2壁部45の構成は、第1窪み部35の第1壁部37及び第2壁部39の構成と実質的に同様であるので、説明を省略する。
【0049】
複数のフランジ部23は、インナ本体21の筒軸方向の一端部に設けられている。複数のフランジ部23のそれぞれは、インナ本体21から、筒軸と垂直な向きで外側へ突出する板状に形成されている。インナ本体21の筒軸に沿って見たとき、
図3のように、各フランジ部23の突出端部(外側端部)は、インナ本体21の外周面とほぼ平行となっている。インナ本体21の筒軸に沿って見たとき、複数のフランジ部23のそれぞれは、インナ本体21の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置されている。この間隔の部分に、前述の第1窪み部35及び第2窪み部41のほか、凹部47が配置されている。
【0050】
インナ本体21の筒軸に沿って見たとき、凹部47は、インナ本体21の筒壁が延びる方向でフランジ部23とフランジ部23の間に挟まれるように配置されている。インナ本体21の筒軸に沿って見たとき、凹部47は、インナ本体21から遠い側を開放させている。
【0051】
図示しないが、グロメット本体11において、凹部47に対応する位置に突起が設けられている。グロメットインナ1がグロメット本体11に取り付けられるとき、凹部47は、グロメット本体11側の突起に略隙間なく嵌まる。凹部47及び突起は、インナ本体21の長軸方向で一側に偏った位置、言い換えれば非対称な位置に形成されている。これにより、グロメットインナ1をグロメット本体11に対して本来とは逆の向きに取り付ける組立ミスを防止することができる。
【0052】
ロック部25は、インナ本体21に対して複数(4つ)設けられている。それぞれのロック部25は、インナ本体21の外側に連結されている。ロック部25は、
図5(b)に示すようにパネル5の貫通孔7に引っ掛かり、貫通孔7に対してグロメットインナ1が固定された状態をロックする。ロック部25は、弾性変形することでインナ本体21に近づく方向に変位して貫通孔7への引っ掛かりを解除する。このように、ロック部25は、ロック状態とロック解除状態とを切り換えることができる。
【0053】
それぞれのロック部25は、インナ本体21のうち、筒軸方向の一側の端部に連結されている。筒軸方向で、インナ本体21にロック部25が連結される側は、フランジ部23が配置される側と反対側である。ロック部25は、インナ本体21との連結部分から、フランジ部23が形成されている側に近づくように、インナ本体21の筒軸方向に概ね沿って延びている。ロック部25の先端部は、自由端とされている。
【0054】
インナ本体21の筒軸方向に沿って
図3のように見たときに、複数のロック部25は、インナ本体21の筒壁が延びる方向で適宜の間隔をあけて配置されている。各ロック部25は、インナ本体21の筒壁が延びる方向でフランジ部23とフランジ部23の間に挟まれるように配置されている。
【0055】
具体的には、4つのロック部25のうち2つのロック部25は、第1窪み部35の内部に実質的に位置するように、インナ本体21の短軸方向の端部に設けられる。残りの2つのロック部25は、第2窪み部41の内部に実質的に位置するように、インナ本体21の長軸方向の端部に設けられる。4つのロック部25は実質的に同じ構成を有するので、以下では、第1窪み部35に配置されたロック部25を例にして説明する。
【0056】
図4等に示すように、ロック部25は、支持部51と、変形部53と、接触部55と、爪部57と、接続部59と、ロックフランジ部61と、を有する。変形部53の一部、爪部57、及び接続部59が、ロック部25のうち、インナ本体21の筒軸方向に沿って延びる部分に含まれている。ロック部25において、このように延びている部分の長手方向途中部に、接触部55が設けられている。ロック部25の自由端の部分には、ロックフランジ部61が配置されている。
【0057】
支持部51は、インナ本体21に形成された第1窪み部35のうち、筒軸方向の一端部に配置されている。支持部51は、短い棒状に形成されている。支持部51は、第1窪み部35の第1壁部37から、筒軸に垂直な方向に外側へ直線状に突出している。支持部51の突出端は、第1窪み部35の開口付近に位置する。
【0058】
変形部53は、支持部51の先端部であって、ロック部25がほぼ垂直に曲がる部分に配置されている。変形部53は、支持部51の先端部から曲がりながら、爪部57に向かって延びている。変形部53が弾性変形することにより、インナ本体21に対してロック部25を変位させることができる。変形部53は、ロック部25の自由端に外部から力を加えたときに弾性変形する主要部分であるが、ロック部25のうち変形部53以外の部分も弾性変形し得る。
【0059】
接触部55は、ロック部25においてインナ本体21の筒軸方向に沿って延びる部分(ロック部25の途中部)に設けられている。ロック部25が弾性変形しない状態で、接触部55は、第1窪み部35の開口付近に位置する。この状態で、接触部55と第1窪み部35の第1壁部37との間には、適宜の間隔が形成される。接触部55は、第1壁部37と概ね平行な板状に形成されている。
【0060】
接触部55は、接触面65を有する。接触面65は、接触部55の内側の面である。接触面65は、インナ本体21の筒軸方向途中部(第1窪み部35の第1壁部37)に対して、適宜の隙間をあけて向かい合うように配置されている。詳細は後述するが、第1窪み部35の内部には、弾性変形部27が第1壁部37から突出するように配置されている。接触面65は、ロック部25がインナ本体21に近づく方向に変位したときに、弾性変形部27に接触することができる。接触面65は、本実施形態では、インナ本体21の軸方向途中部に沿う略平坦な面となっている。
【0061】
爪部57は、インナ本体21の筒軸に対して概ね垂直な方向に外側へ突出するように形成されている。爪部57は、パネル5の貫通孔7に引っ掛かることができる。爪部57は、接触部55と同様に、変形部53よりも自由端に近い側に設けられている。爪部57は、インナ本体21の軸方向途中部(第1窪み部35の第1壁部37)に対して、適宜の隙間を形成するように配置されている。
【0062】
爪部57の外面は、略3角形状に突出している。爪部57の外面は、
図4に示すように、自由端側に近づくに従って外側への突出量が増大する部分と、自由端側に近づくに従って外側への突出量が減少する部分と、を有する。爪部57の最も外側の部分は、変形部53が弾性変形しないとき、第1窪み部35の開口から突出している。爪部57は、変形部53の弾性変形により、この位置からインナ本体21に近づく方向に変位する。
【0063】
爪部57には、接続部59を介して、ロックフランジ部61が設けられている。接続部59及びロックフランジ部61は、爪部57よりも自由端側に配置されている。
【0064】
ロックフランジ部61は、フランジ状に形成されている。ロックフランジ部61は、インナ本体21の筒軸と垂直な向きで外側へ突出する板状に形成されている。インナ本体21の筒軸に沿って見たとき、
図3のように、ロックフランジ部61の突出端面は、フランジ部23の突出端面とほぼ一致する。
【0065】
ロックフランジ部61は、インナ本体21の筒軸方向一端部と対応する位置に配置されている。
図2等に示すように、ロックフランジ部61とフランジ部23は、インナ本体21の筒軸に垂直な共通の平面に沿って配置されている。インナ本体21の筒軸に沿って見たとき、ロックフランジ部61は、インナ本体21の筒壁が延びる方向でフランジ部23と並べて配置されている。
【0066】
本実施形態において、ロック部25は、1対のアームを含んで構成されている。2つのアームは、インナ本体21の筒軸に沿って見たときに、筒壁が延びる方向で隙間をあけて並んで配置されている。支持部51、変形部53、爪部57、及び接続部59は、1対のアームのそれぞれに設けられている。一方、接触部55及びロックフランジ部61は、1対のアーム同士を連結するように設けられている。
【0067】
爪部57の内面のうち変形部53から遠い側の部分は、
図4等に示すように、自由端側に近づくに従って第1壁部37との距離を増大させるように緩やかに傾斜している。接続部59の内面も同様である。これにより、ロック部25をインナ本体21に近づく方向に
図5(a)のように大きく変位させても、ロック部25とインナ本体21の筒壁とが干渉することを防止できる。
【0068】
パネル5にグロメットインナ1を取り付けたときに、ロックフランジ部61の厚み方向一側の面は、パネル5に対向する。以下、この面を対向面71と呼ぶ。フランジ部23の厚み方向一側の面もパネル5に対向し、この面を対向面73と呼ぶ。ロックフランジ部61の対向面71は、各フランジ部23の対向面73と同一平面上に配置されている。
【0069】
ロックフランジ部61と、当該ロックフランジ部61と隣り合うフランジ部23と、の間に、第1隙間(隙間)77aが形成されている。言い換えれば、ロック部25は、隣り合うフランジ部23に対して分離した状態で設けられる。そのため、ロック部25は、インナ本体21に対して、隣り合うフランジ部23と独立して変位することができる。
【0070】
第1隙間77aは、1つのロックフランジ部61を挟むように1対で形成される。第1窪み部35に配置されるロック部25に関していえば、これらの第1隙間77aは、インナ本体21の筒壁が延びる方向でロックフランジ部61を挟んで位置する2つのフランジ部23の間の距離が、インナ本体21に近い側よりもインナ本体21から遠い側の方が大きくなるように形成されている(
図3において、L1<L2)。
【0071】
本実施形態では、第1窪み部35に対応する第1隙間77aは、インナ本体21の筒軸に沿って見たときに、インナ本体21から外側へ離れるにつれて徐々に広がる略V字状に形成されている。第1隙間77aは、第1窪み部35に連続するように設けられている。
【0072】
図3には、第1窪み部35に配置されるロック部25と、第2窪み部41に配置されるロック部25と、が示されている。2つの第2窪み部41に配置されるロック部25においても、第1窪み部35と同様に、ロックフランジ部61を挟むように第1隙間77b,77cが形成される。2つのうち1つの第2窪み部41において形成される第1隙間77bは、V字状でなく、平行状に形成されている。残りの第2窪み部41において形成される第1隙間77cは、インナ本体21の筒壁が円弧状に湾曲する部分に対応して、円弧状に形成されている。このように、隙間の形状は任意である。
【0073】
次に、ロック部25とは別にインナ本体21に設けられる弾性変形部27について説明する。
【0074】
図4に示すように、弾性変形部27は、インナ本体21の筒軸に垂直な方向において、インナ本体21よりも外側、かつ、ロック部25よりも内側に配置されている。弾性変形部27は、ロック部25がインナ本体21に近づく方向に変位したときにロック部25と接触し、接触したロック部25を、筒軸に対して概ね垂直に、インナ本体21から離れる方向に押す。
【0075】
本実施形態において、弾性変形部27は、複数のロック部25のそれぞれに対応するように複数(4つ)設けられている。4つのロック部25の全てに対応するように弾性変形部27を配置することが好ましい。ただし、4つのうち一部のロック部25だけに対応するように弾性変形部27を設けても良い。例えば、第2窪み部41に配置されたロック部25(言い換えれば、ロック解除のためにインナ本体21の長軸方向に押されるロック部25)だけに、弾性変形部27を設けることができる。
【0076】
弾性変形部27は弾性片により構成されている。弾性変形部27はインナ本体21(第1部分31又は第2部分33)に設けられている。詳細には、弾性変形部27は、第1窪み部35の第1壁部37、又は、第2窪み部41の第1壁部43に形成されている。弾性変形部27は、インナ本体21の軸方向途中部からロック部25に向かって突出するように設けられている。
【0077】
インナ本体21の筒軸を含む断面で見たとき、弾性変形部27は、
図4に示すように、先端部が尖っている。
【0078】
ロック部25及び弾性変形部27が何れも弾性変形していない状態では、弾性変形部27は、
図4に示すように、ロック部25が有する接触部55の接触面65に対して斜めに延びるように配置されている。弾性変形部27が突出する方向は、インナ本体21の筒軸方向でロック部25の根元から離れるに従って、筒壁から外側へ離れるように傾斜している。
【0079】
弾性変形部27は、ロック部25の、インナ本体21の筒軸方向での途中部を押すように構成されている。具体的には、ロック部25がインナ本体21に近づく側に変位したとき、弾性変形部27は、ロック部25が備える接触部55の接触面65に接触することができる。
【0080】
ロック部25及び弾性変形部27が何れも弾性変形していない状態では、弾性変形部27とロック部25との間に第2隙間(隙間)79が形成される。第2隙間79は、インナ本体21の筒軸に対して垂直な方向での隙間である。第2隙間79は、インナ本体21の第1窪み部35内に設けられる。
【0081】
次に、グロメットをパネル5に取り付ける場合に、貫通孔7に対してグロメットインナ1を着脱するための構成について説明する。
【0082】
グロメットをパネル5に取り付ける前の準備作業として、作業者は、グロメットインナ1を、
図5(a)等に示すグロメット本体11に取り付ける。グロメット本体11において、グロメットインナ1の外側に被せる部分には、環状の凹状溝部81が形成されている。前述のフランジ部23及びロックフランジ部61を凹状溝部81に嵌めるようにして、グロメット本体11に対してグロメットインナ1が取り付けられる。グロメット本体11には、貫通孔7の周縁部に密着可能な第1リップ部83及び第2リップ部85が、環状に形成されている。
【0083】
その後、作業者は、グロメットインナ1を、パネル5の貫通孔7に差し込む。
図5及び
図6では、差込方向が下から上である場合が描かれている。
【0084】
前述のように、爪部57の外面は、自由端側(言い換えれば、差込方向の手前側)に近づくに従って外側への突出量が増大する部分を有する。従って、貫通孔7へのグロメットインナ1の差込みに連動して、
図5(a)に示すように、ロック部25の爪部57が貫通孔7の縁部に押されて、変形部53が弾性変形する。これにより、ロック部25がインナ本体21に近づく側に変位する。この状態では、爪部57がインナ本体21に近づくように内側へ退避するため、グロメットインナ1をパネル5の貫通孔7に通すことが可能となる。作業者は、爪部57が貫通孔7を乗り越えるまで、グロメットインナ1(言い換えれば、グロメット)を下から上へ押し込む。
【0085】
爪部57の最も外側の部分が貫通孔7を通り抜けると、ロック部25に復元力が作用する。よって、ロック部25が変位して、
図5(b)に示すように、グロメットインナ1側の爪部57と、グロメット本体11に形成された第1リップ部83及び第2リップ部85と、でパネル5が挟まれた状態となる。また、ロック部25が貫通孔7の縁部に引っ掛かる。
【0086】
よって、貫通孔7に対してグロメットインナ1がロック部25によりロックされた状態で、グロメットをパネル5に取り付けることができる。このときには、第1リップ部83は、外側に向かって広がるようにパネル5に押し付けられて、パネル5と密着する。そのため、第1リップ部83とパネル5との間の止水性を良好に確保することができる。
【0087】
一方、部品の交換等の理由で、パネル5の貫通孔7に対して固定されている状態のグロメットを取り外したい場合には、作業者は、4つのロック部25のロックフランジ部61を同時に、グロメット本体11を介して間接的に、外側から内側に向かって指で強く押す。
図5(b)には、作業者がロック解除のためにグロメット本体11に力を加える方向が、矢印F1で示されている。矢印F1の方向に十分に強い力を加えることにより、爪部57がインナ本体21に近づくように内側に退避した、ロック解除状態とすることができる。この状態で、作業者は、グロメットインナ1を貫通孔7から引き抜いて外す。
【0088】
貫通孔7にグロメットがしっかり組み付けられているか否かを検査するために、検査者がグロメット本体11等を掴んで軽い力で揺り動かす場合がある。あるいは、作業者が何らかの作業をしているときに、貫通孔7に固定された状態のグロメットに指等が当たってしまう場合も考えられる。
【0089】
グロメット本体11に矢印F1の方向で力が加わると、ロック部25がインナ本体21に近づく側に変位する。力がある程度大きい場合、
図6に示すように、ロック部25における接触部55の接触面65が弾性変形部27に接触し、弾性変形部27を弾性変形させる。
図6に示すように、接触面65が弾性変形部27に接触を開始した時点では、爪部57の退避が十分でないため、グロメットインナ1は貫通孔7から抜けることができない。
【0090】
弾性変形部27は、接触面65によって押されて弾性変形する反力として、接触面65を、インナ本体21から離れる方向に押す。言い換えれば、弾性変形部27は、その復元力を接触面65に作用させる。従って、ロック部25には、2重の戻し力(変形部53の復元力、及び、弾性変形部27の復元力)が加わることになる。
【0091】
よって、2重の戻し力を上回る大きさの力を矢印F1の方向に加えない限り、前述のロック状態が解除されないことになる。そのため、グロメットインナ1が貫通孔7から意図せず外れることを確実に防止することができる。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態のグロメットインナ1は、パネル5の貫通孔7に取り付けられるグロメットに用いられる。グロメットインナ1は、インナ本体21と、複数のフランジ部23と、ロック部25と、弾性変形部27と、を備える。インナ本体21は、筒状である。複数のフランジ部23は、インナ本体21の筒軸方向一端部に設けられる。フランジ部23は、インナ本体21の筒軸方向一端部からインナ本体21の外側へ延びる。インナ本体21の筒軸に沿って見たときに、フランジ部23は、インナ本体21の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される。ロック部25は、貫通孔7に引っ掛かるためにインナ本体21の外側に連結され、弾性変形することでインナ本体21に近づく方向に変位して貫通孔7への引っ掛かりを解除することが可能である。インナ本体21の筒軸に沿って見たときに、ロック部25は、複数のフランジ部23のうち、インナ本体21の筒壁が延びる方向で隣り合うフランジ部23の間に配置される。弾性変形部27は、インナ本体21よりも外側、かつ、ロック部25よりも内側に配置される。弾性変形部27は、ロック部25がインナ本体21に近づく方向に変位したときにロック部25と接触し、接触したロック部25をインナ本体21から離れる方向に押す。
【0093】
これにより、貫通孔7に対してインナ本体21がロック部25のロックにより固定されている状態を、ロック部25を弾性変形することで解除することができる。従って、必要に応じて貫通孔7からグロメットインナ1を取り外すことができるので、メンテナンス性を高めることができる。一方で、貫通孔7に対してインナ本体21がロック部25のロックにより固定されているとき、ロック解除方向へロック部25が意図せず変位させられた場合であっても、2重の戻し力(ロック部25の復元力、及び、弾性変形部27の復元力)によって、その変位を強力に戻すことができる。従って、グロメットインナ1が貫通孔7から意図せず外れることを確実に防止することができる。
【0094】
また、本実施形態のグロメットインナ1において、弾性変形部27は弾性片により構成される。
【0095】
これにより、弾性変形部27の簡素な構成を実現できる。
【0096】
また、本実施形態のグロメットインナ1において、弾性変形部27はインナ本体21に設けられる。
【0097】
これにより、グロメットインナ1の簡素な構成を実現できる。
【0098】
また、本実施形態のグロメットインナ1において、弾性変形部27は、インナ本体21の軸方向において、ロック部25の途中部を押すように構成される。
【0099】
これにより、強度が弱い弾性変形部27が、グロメットインナ1の外側に露出しにくい構造となる。従って、弾性変形部27を良好に保護することができる。
【0100】
また、本実施形態のグロメットインナ1において、ロック部25がインナ本体21に近づく方向に変位したときに弾性変形部27に接触可能な接触面65が、ロック部25に設けられる。ロック部25及び弾性変形部27が何れも弾性変形していない状態では、弾性変形部27とロック部25との間に第2隙間79が形成される。
【0101】
これにより、ロック部25がロック解除方向に所定以上変位した場合にだけ、弾性変形部27がロック部25を押すことになる。従って、弾性変形部27の耐久性を高めることができる。
【0102】
また、本実施形態のグロメットインナ1において、ロック部25及び弾性変形部27が何れも弾性変形していない状態で、弾性変形部27は接触面65に対して斜めに延びるように配置される。
【0103】
これにより、ロック部25がロック解除方向に変位した場合に、弾性変形部27が接触面65に当たって変形する方向が安定する。従って、弾性変形部27が円滑に弾性変形することができる。
【0104】
また、本実施形態のグロメットインナ1において、ロック部25は、インナ本体21に複数設けられる。インナ本体21の筒軸に沿って見たときに、複数のロック部25は、インナ本体21の筒壁が延びる方向に間隔をあけて配置される。複数のロック部25のそれぞれに対応するように、複数の弾性変形部27が設けられる。
【0105】
これにより、貫通孔7に対するグロメットインナ1の固定状態を良好に保持することができる。
【0106】
また、本実施形態のグロメットインナ1において、ロック部25は、インナ本体21の外側へ延びるロックフランジ部61を備える。ロックフランジ部61と、当該ロックフランジ部61と隣り合うフランジ部23と、の間に、インナ本体21から外側へ離れるにつれて広がる形状の第1隙間77aが形成される。
【0107】
これにより、フランジ部23とフランジ部23との距離を確保し易くなるので、作業者が指でロックフランジ部61を押し易くなる。従って、貫通孔7からグロメットインナ1を取り外す作業が容易になる。
【0108】
また、本実施形態のグロメットは、グロメットインナ1と、グロメットインナ1が取り付けられる中空状のグロメット本体11と、を備える。グロメットインナ1の内部空間及びグロメット本体11の内部空間に、線状部材W1が通過可能である。
【0109】
これにより、貫通孔7を通過する線状部材W1を、損傷しないように保護することができる。グロメットインナ1のロックを必要に応じて解除できる一方、グロメットインナ1が貫通孔7から意図せず外れることを防止できる。
【0110】
次に、第2実施形態のグロメットインナについて説明する。なお、第2実施形態においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0111】
図7に示す本実施形態のグロメットインナ1xは、第1実施形態のグロメットインナ1と比べて、主として弾性変形部27xの構成が相違する。
【0112】
本実施形態のグロメットインナ1xにおいても、4つのロック部25及び4つの弾性変形部27xは実質的に同じ構成を有する。従って、以下では、第1窪み部35に配置されたロック部25及び弾性変形部27xを例にして説明する。
【0113】
図7に示すように、インナ本体21は、突出部91を有する。突出部91は、インナ本体21からロック部25に近づく向きに斜めに突出するように設けられている。突出部91は、インナ本体21の第1窪み部35の内部に配置されている。突出部91は、複数のロック部25のそれぞれに対応するように複数設けられている。
【0114】
インナ本体21の筒軸を含む断面で見たとき、
図7に示すように、突出部91は先細状に形成されている。言い換えれば、突出部91は、インナ本体21側に位置する根元部に比べて、ロック部25側に位置する先端部(突出端部)が細くなるように形成されている。突出部91は、当該突出部91の根元部から先端に近づくにつれて細くなっている。突出部91は十分に太く形成されているので、実質的に弾性変形しない。
【0115】
突出部91の先端部からロック部25に向かって突出するように、弾性変形部27xが設けられている。弾性変形部27xは、突出部91と同様に先細状に形成されている。弾性変形部27xは、根元部側から先端に近づくにつれて細くなっている。
【0116】
接触部55のうちロックフランジ部61に近い側の内面には、突出部91の形状に対応した傾斜面が形成されている。この傾斜面の部分に、弾性変形部27xに接触可能な接触面65が形成されている。
【0117】
弾性変形部27xが突出する方向は、接触部55の接触面65に対して斜めとなっている。ロック部25及び弾性変形部27xが何れも弾性変形していない状態では、
図7に示すように、弾性変形部27xとロック部25との間に第2隙間79が形成される。
【0118】
図8(a)には、パネル5の貫通孔7に対してグロメットインナ1xがロック部25のロックにより固定されている状態が示されている。
図8(b)には、
図8(a)の状態のグロメットにおいて、ロックフランジ部61に対してロック解除を行う方向に、矢印F2の方向の力がグロメット本体11を介して加わった状態が示されている。
図8(b)では、力がある程度大きいため、接触部55の接触面65が、弾性変形部27xに接触している。
図8(b)の状態では、爪部57の内側への退避が不十分であるため、グロメットインナ1xが貫通孔7から抜けることができない。
【0119】
図8(b)の状態では、前述の第1実施形態と同様に、ロック部25に2重の戻し力が加わることになる。この結果、グロメットがパネル5から意図せず外れることを回避することができる。
【0120】
本実施形態において、爪部57の内面及び接続部59の内面は、第1実施形態と異なり、第1壁部37とほぼ平行である。インナ本体21の筒壁(即ち、第1壁部37)のうち接続部59と向かい合う部分に、切欠き部29が形成されている。切欠き部29は、筒壁を厚み方向で貫通するように形成されている。接続部59は、切欠き部29に入ることができる。これにより、ロック部25xをインナ本体21に近づく方向に大きく変位させても、ロック部25xとインナ本体21の筒壁とが干渉することを防止できる。貫通状の切欠き部29に代えて、接続部59が入ることが可能な非貫通状の凹部が、第1壁部37に形成されても良い。
【0121】
以上に説明したように、本実施形態のグロメットインナ1xにおいて、インナ本体21は、インナ本体21からロック部25に近づく向きに突出する突出部91を有する。弾性変形部27xは、突出部91の先端部からロック部25に向かって突出するように設けられる。
【0122】
これにより、弾性変形部27xの小型化を図ることができ、弾性変形部27xを簡単に構成することができる。
【0123】
また、本実施形態のグロメットインナ1xにおいて、インナ本体21の筒軸を含む断面で見たとき、弾性変形部27xは先細状に形成される。
【0124】
これにより、先細状に形成されるので、弾性変形部27xを円滑に弾性変形させることができる。一方で、弾性変形部27xの根元部は相対的に太くなるので、根元部での破損等を防止できる。
【0125】
また、本実施形態のグロメットインナ1xにおいて、インナ本体21の筒軸を含む断面で見たとき、突出部91は先細状に形成される。
【0126】
これにより、突出部91の小型化を実現できる。一方で、突出部91の根元部は相対的に太くなるので、根元部での破損等を防止できる。
【0127】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0128】
図9に示す本変形例のグロメットインナ1yでは、上記の実施形態と比べて異なる形状を有するロック部25xが備えられる。ロック部25xが備える接触部55xは、板状ではなく棒状に形成される。接触部55xは、ロック部25xが備える1対のアーム同士を繋ぐように配置される。接触部55xが備える接触面65は、弾性変形部27に接触可能である。
【0129】
図9には、第1実施形態の弾性変形部27に対して変形を適用した場合が示されている。しかし、
図9に示す接触部55xは、第2実施形態の弾性変形部27xに対して適用することもできる。
【0130】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0131】
第1実施形態では、4つの弾性変形部27のうち、第1窪み部35に配置された弾性変形部27と、第2窪み部41に配置された弾性変形部27とで、弾性変形部27の復元力は同じである。しかし、第2窪み部41の弾性変形部27が、第1窪み部35の弾性変形部27よりも、ロック部25を強い力で押すように構成しても良い。第1窪み部35に配置されるロック部25は、インナ本体21の短軸方向と平行な方向に弾性変形することでロック解除状態となる。第2窪み部41に配置されるロック部25は、インナ本体21の長軸方向と平行な方向に弾性変形することでロック解除状態となる。
【0132】
インナ本体21の長軸方向と平行な方向に弾性変形することでロック解除するロック部25に対しては、ロック解除のための力が意図せず加わる可能性が高い。しかし、上記のように構成した場合には、このロック部25を弾性変形部27によりロック状態に保ち易くなる。
【0133】
第2実施形態においても、第2窪み部41の弾性変形部27xが、第1窪み部35の弾性変形部27xよりも、ロック部25を強い力で押すように構成することができる。
【0134】
インナ本体21に形成されるロック部25,25xの数は、4個に限定されず、3個以下又は5個以上に変更することもできる。
【0135】
インナ本体21は、長円状の筒に形成されることに代えて、例えば円筒状、4角筒状等に形成することができる。
【0136】
接触部55は、弾性変形部27又は27xと接触可能な接触面65を有するものであれば良く、その形状は限定されない。
【0137】
弾性変形部27xは、先細状とすることに代えて、略一定の太さを有するように構成されても良い。
【0138】
弾性変形部27(27x)は、インナ本体21の筒軸方向で、ロック部25又は25xの途中部を押すように構成する代わりに、ロック部25(25x)の自由端を押すように構成しても良い。
【0139】
弾性変形部27,27xは、インナ本体21に設ける代わりに、ロック部25に設けても良い。例えば、弾性変形部27,27xを、ロック部25のうち、インナ本体21の筒軸方向に沿って延びる部分の中途部に配置することができる。弾性変形部27,27xは、ロック部25からインナ本体21の外周面(例えば、第1壁部37)に向かって突出するように設けられる。この構成では、ロック部25において接触部55を省略することができる。
【0140】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0141】
1,1x,1y グロメットインナ
7 貫通孔(孔)
11 グロメット本体
21 インナ本体
23 フランジ部
25,25x ロック部
27,27x 弾性変形部
61 ロックフランジ部
65 接触面
77a,77b,77c 第1隙間(隙間)
79 第2隙間(隙間)
91 突出部