(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】配電部材の配索構造及び車載機器
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20241126BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241126BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20241126BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20241126BHJP
B60L 50/64 20190101ALI20241126BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20241126BHJP
【FI】
B60R16/02 620Z
H02G3/30
H02G3/16
H05K9/00 C
H05K9/00 L
B60L50/64
B60L3/00 J
(21)【出願番号】P 2021052306
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】達川 永吾
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 健作
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140072(JP,A)
【文献】特開2016-098678(JP,A)
【文献】特開2019-036678(JP,A)
【文献】特開2005-104387(JP,A)
【文献】特開2008-084711(JP,A)
【文献】特開2013-052854(JP,A)
【文献】特開2020-155306(JP,A)
【文献】国際公開第2013/084942(WO,A1)
【文献】特開2018-114899(JP,A)
【文献】特開2020-089188(JP,A)
【文献】特開2013-184639(JP,A)
【文献】特開2016-096063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60K 1/00 - 6/12
B60K 7/00 - 8/00 ; 16/00
H02G 3/08 - 3/40
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、
前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、
前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、
前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、
前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置さ
れ、
前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、
前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、
複数の前記内部配電部材のうち通電される電流が最も大きい前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置された
配電部材の配索構造。
【請求項2】
電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、
前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、
前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、
前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、
前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置され
、
前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、
前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、
複数の前記内部配電部材のうち前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置された
配電部材の配索構造。
【請求項3】
電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、
前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、
前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、
前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、
前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置され
、
前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、
前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、
複数の前記内部配電部材のうち通電される電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置された
配電部材の配索構造。
【請求項4】
電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、
前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、
前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、
前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、
前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置され
、
前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、
複数の前記内部配電部材のうち通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材、及び通電される電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む前記内部配電部材のうち少なくとも2つの前記内部配電部材がある場合、
前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、
通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、あるいは前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置された
配電部材の配索構造。
【請求項5】
前記外部配電部材は、
前記筐体から外部に導出されて他の外部機器に接続される
請求項1
乃至請求項4のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項6】
前記外部配電部材のうち一部の通電方向と、前記内部配電部材の通電方向との交差角度が40度以上90度以下である
請求項1
乃至請求項5のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項7】
前記交差角度が75度以上90度以下である
請求項
6に記載の配電部材の配索構造。
【請求項8】
前記筐体は、接地されることでシールド性を有するシールド性筐体で構成された
請求項1乃至請求項
7のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項9】
前記外部配電部材のうち一部が前記外表面に沿って配置される前記筐体の外表面に、
前記外部配電部材のうち一部の配置方向を規制する規制部が設けられた
請求項1乃至請求項
8のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項10】
前記規制部は、前記筐体を補強する補強リブで構成された
請求項
9に記載の配電部材の配索構造。
【請求項11】
前記規制部は、前記筐体に設けられた凹部で構成された
請求項
9又は請求項
10に記載の配電部材の配索構造。
【請求項12】
前記外部配電部材及び前記内部配電部材の少なくとも一方は、
複数の導体が通電方向に直交する幅方向に並列配置して一体化した断面扁平状となる扁平配線である
請求項1乃至請求項
11のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項13】
前記外部配電部材及び前記内部配電部材は、
複数の導体が通電方向に直交する幅方向に並列配置して一体化した断面扁平状となる扁平配線であり、
前記筐体の前記外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部と、前記内部配電部材とは、
前記通電方向が交差するとともに、
扁平状の断面幅方向も交差する向きで配置された
請求項1乃至請求項
11のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項14】
前記外部配電部材は、前記内部機器のインターロック配線である
請求項1乃至請求項
13のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項15】
前記外部配電部材は、接地される編組線で覆われた
請求項1乃至請求項
13のうちいずれかに記載の配電部材の配索構造。
【請求項16】
前記編組線で覆われた前記外部配電部材は、駆動バッテリーケーブルである
請求項
15に記載の配電部材の配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造及び車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、車両には様々な電気機器が搭載されており、これらを電気的に接続するワイヤーハーネスなどの配電部材として、高圧用配電部材や低圧用配電部材が複数配索されるとともに、電源分配・制御機能を有する電気接続箱などの車載機器を搭載している。
【0003】
このような車載機器は、昨今の省スペース化や高機能化の要求に応じて、モータ・エンジンなど駆動ユニット、バッテリ、DC-DCコンバータ・インバータなどの電力変換装置箱と一体化、集約化され、各ユニット内外の配電部材も短尺化する傾向にある。このように、配電部材及び各ユニットが集約することで、小型軽量化、省スペース化、配電部材の短尺化、インバータサージ低減の効果を得ている。
【0004】
しかしながら、電気接続箱や配電部材が集約されることで、放射ノイズの影響を受けるリスク、つまりノイズ干渉するリスクが増大する。特に、電気接続箱の筐体の内外の配電部材が集約されない場合に比べ、筐体付近に配索された外部配電部材が内部配電部材の放射ノイズによってノイズ干渉するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述した問題を鑑み、筐体内部に配索された内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減できる配電部材の配索構造及び車載機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置され、前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、複数の前記内部配電部材のうち通電される電流が最も大きい前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置されたたことを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、電動車両において通電される内部機器を内部に有する車載機器であって、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられ、前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置されたことを特徴とする。
【0009】
上記機器とは、モータ・エンジン、トランスミッションなど通電する駆動ユニット、バッテリ、DC-DCコンバータ・インバータなどの電力変換装置箱等の通電される機器が含まれ、外部機器はこれらの何れかであり、車載機器は、外部機器を除くこれらの何れかあるいはそれらの組み合わせであることが含まれる。
【0010】
上述の筐体の外表面に沿って配置とは、筐体の外表面に接触するように配置される場合、内部配電部材の放射ノイズによってノイズ干渉する範囲において外表面に対して隙間を空けて配置される場合も含まれる。
【0011】
この発明により、筐体内部に配索された内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
詳述すると、電動車両における配電部材の配索構造において、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材のうち一部を、前記筐体の内部に配置され、前記内部機器に接続される内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて、前記筐体の外表面に沿って配置される。そのため、内部配電部材に通電されることによって生じる磁界の方向と外部配電部材の通電方向とが交差するため、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
【0012】
また、前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、複数の前記内部配電部材のうち通電される電流が最も大きい前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置されているため、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0013】
詳述すると、筐体内部に複数の内部配電部材が配置された場合、外部配電部材にはそれぞれの内部配電部材からの放射ノイズによるノイズ干渉が生じる。他の内部配電部材より通電される電流が最も大きい内部配電部材によって生じる磁界の磁界強度が高く、ノイズ干渉は他の内部配電部材によるノイズ干渉より大きくなる。そのため、通電される電流が最も大きい前記内部配電部材の通電方向に対して、外部配電部材を通電方向が交差する方向に向けて配置することで外部配電部材のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0014】
またこの発明は、電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置され、前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、複数の前記内部配電部材のうち前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置されたことを特徴とする。
【0015】
この発明により、筐体内部に配索された内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
詳述すると、電動車両における配電部材の配索構造において、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材のうち一部を、前記筐体の内部に配置され、前記内部機器に接続される内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて、前記筐体の外表面に沿って配置される。そのため、内部配電部材に通電されることによって生じる磁界の方向と外部配電部材の通電方向とが交差するため、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
【0016】
また、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
詳述すると、筐体内部に複数の内部配電部材が配置された場合、外部配電部材にはそれぞれの内部配電部材からの放射ノイズによるノイズ干渉が生じる。他の内部配電部材より前記筐体を介して距離が最も近い内部配電部材による磁界の磁束密度は高く、ノイズ干渉は他の内部配電部材によるノイズ干渉より大きくなる。そのため、前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材の通電方向に対して、外部配電部材を通電方向が交差する方向に向けて配置することで外部配電部材のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0017】
またこの発明は、電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置され、前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、複数の前記内部配電部材のうち通電される電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置されたことを特徴とする。
【0018】
上記高い周波数の電流は、例えば、インバータスイッチング周波数(数十~数kHz)である電流をいい、高調波成分を含む電流は、例えば、インバータサージの高調波(数MHz)を含む電流をいう。
【0019】
この発明により、筐体内部に配索された内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
詳述すると、電動車両における配電部材の配索構造において、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材のうち一部を、前記筐体の内部に配置され、前記内部機器に接続される内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて、前記筐体の外表面に沿って配置される。そのため、内部配電部材に通電されることによって生じる磁界の方向と外部配電部材の通電方向とが交差するため、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
【0020】
また、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
詳述すると、筐体内部に複数の内部配電部材が配置された場合、外部配電部材にはそれぞれの内部配電部材からの放射ノイズによるノイズ干渉が生じる。他の内部配電部材より高い周波数、あるいは高調波成分を含む電流が導通する内部配電部材によって生じる磁界の磁界強度が高く、ノイズ干渉は他の内部配電部材によるノイズ干渉より大きくなる。そのため、電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む前記内部配電部材の通電方向に対して、外部配電部材を通電方向が交差する方向に向けて配置することで外部配電部材のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0021】
またこの発明は、電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体と、前記内部機器と通電可能に接続する内部配電部材とが備えられた車載機器における配電部材の配索構造であって、前記内部配電部材は、前記筐体の内部に配置されるとともに、前記内部機器に接続され、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材が備えられ、前記外部配電部材のうち一部は、前記筐体の外表面に沿って配置されるとともに、前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置され、前記筐体の内部に複数の前記内部配電部材が配置され、複数の前記内部配電部材のうち通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材、及び通電される電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む前記内部配電部材のうち少なくとも2つの前記内部配電部材がある場合、前記筐体の外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部は、通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、あるいは前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて配置されたことを特徴とする。
【0022】
この発明により、筐体内部に配索された内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
詳述すると、電動車両における配電部材の配索構造において、前記筐体の外部に配置され、他の外部機器に接続される外部配電部材のうち一部を、前記筐体の内部に配置され、前記内部機器に接続される内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて、前記筐体の外表面に沿って配置される。そのため、内部配電部材に通電されることによって生じる磁界の方向と外部配電部材の通電方向とが交差するため、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
【0023】
また、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉をより効率よく低減することができる。
詳述すると、筐体内部に複数の内部配電部材が配置された場合、外部配電部材にはそれぞれの内部配電部材からの放射ノイズによるノイズ干渉が生じる。他の内部配電部材より通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、他の内部配電部材より前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材、及び他の内部配電部材より通電される電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む前記内部配電部材のうち少なくとも2つの前記内部配電部材がある場合、これらの内部配電部材によるノイズ干渉は他の内部配電部材によるノイズ干渉より大きくなる。
【0024】
その中でも、通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、あるいは前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材によるノイズ干渉は、通電される電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む前記内部配電部材によるノイズ干渉より大きくなる。そのため、通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、あるいは前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて外部配電部材を配置することで、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉をより効率よく低減することができる。
【0025】
なお、通電される電流が最も大きい前記内部配電部材、及び前記筐体を介して距離が最も近い前記内部配電部材の両方がある場合は、筐体の壁面の板厚や他の内部配電部材との配置関係などの諸条件に基づいて、外部配電部材に放射ノイズとして作用する磁界の磁界強度や磁束密度が高くなる前記内部配電部材の通電方向に対して、通電方向が交差する方向に向けて外部配電部材を配置することで外部配電部材のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0026】
この発明の態様として、前記外部配電部材は、前記筐体から外部に導出されて他の外部機器に接続されてもよい。
この発明により、筐体から導出され、他の外部機器に接続される外部配電部材は筐体付近に配索されるが、内部配電部材の放射ノイズによるノイズ干渉を低減することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記外部配電部材のうち一部の通電方向と、前記内部配電部材の通電方向との交差角度が40度以上90度以下であってもよく、さらには、前記交差角度が75度以上90度以下であってもよい。
【0028】
この発明により、内部配電部材の放射ノイズによる外部配電部材のノイズ干渉をより低減することができる。
詳述すると、交差角度が大きくなるほど、内部配電部材の放射ノイズによる外部配電部材のノイズ干渉を低減することができ、交差角度が90度、つまり直交するとノイズ干渉の低減効果は最大となり、理論上ノイズ干渉は生じない。そして、90度を超えると、ノイズ干渉の低減効果は減少していく。
【0029】
上述のように、交差角度が十分でないとノイズ干渉の低減効果を確実に得ることができない。そのため、交差角度を40度以上90度以下に設定することでノイズ干渉の低減効果を確実に得ることができ、さらには、交差角度を75度以上90度以下に設定することでノイズ干渉の低減効果を十分に得ることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記筐体は、接地されることでシールド性を有するシールド性筐体で構成されてもよい。
この発明により、内部配電部材の通電に起因して放射される2次放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
【0031】
詳述すると、シールド性筐体によって内部配電部材の通電によって生じる磁界が外部へ放射されることを遮蔽できるため、一次放射ノイズによるノイズ干渉は防止できる。
しかしながら、内部配電部材の通電によって生じる磁界によってシールド性を有する筐体には、電流方向が内部配電部材の通電方向と逆向きとなるシールド電流が誘導される。
【0032】
そして、誘導されたシールド電流の通電方向と外部配電部材の通電方向とが交差するため、内部配電部材の通電に起因するシールド電流の2次放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
なお、シールド性筐体は、導電性などの金属材で構成された筐体、非導電性である樹脂材で構成された筐体に導電性層を設けた筐体であってもよい。
【0033】
またこの発明の態様として、前記外部配電部材のうち一部が前記外表面に沿って配置される前記筐体の外表面に、前記外部配電部材のうち一部の配置方向を規制する規制部が設けられてもよい。
この発明により、前記筐体の外表面に配置する前記外部配電部材のうち一部の配置方向を規制部で規制できるため、前記外部配電部材のうち一部の配置方向の不用意な変化による外部配電部材のノイズ干渉を防止できる。
【0034】
またこの発明の態様として、前記規制部は、前記筐体を補強する補強リブで構成されてもよい。
この発明により、外部配電部材の配置方向を規制する規制部と、筐体を補強する補強リブとが別体で構成される場合に比べて、外部配電部材のうち一部の配置方向を規制できる筐体をコンパクトに構成することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記規制部は、前記筐体に設けられた凹部で構成されてもよい。
この発明により、外部配電部材の配置方向を規制する規制部と、前記筐体に設けられた凹部とが別体で構成される場合に比べて、外部配電部材のうち一部の配置方向を規制できる筐体をコンパクトに構成することができる。
【0036】
またこの発明の態様として、前記外部配電部材及び前記内部配電部材の少なくとも一方は、複数の導体が通電方向に直交する幅方向に並列配置して一体化した断面扁平状となる扁平配線であってもよい。
この発明により、扁平配線で構成された配電部材であっても、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減することができる。
【0037】
またこの発明の態様として、前記外部配電部材及び前記内部配電部材は、複数の導体が通電方向に直交する幅方向に並列配置して一体化した断面扁平状となる扁平配線であり、前記筐体の前記外表面に沿って配置される前記外部配電部材のうち一部と、前記内部配電部材とは、前記通電方向が交差するとともに、扁平状の断面幅方向も交差する向きで配置されてもよい。
【0038】
この発明により、扁平配線で構成された配電部材であっても、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉をより確実に低減することができる。
詳述すると、扁平電線で構成された内部配電部材の放射ノイズは、扁平方向の両側が強くなるが、扁平電線で構成した外部配電部材の一部を、内部配電部材の通電方向に対して交差する向きで配置するとともに、断面幅方向も交差する向きで配置することで、内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉をより確実に低減することができる。
【0039】
またこの発明の態様として、前記外部配電部材は、前記内部機器のインターロック配線であってもよい。
この発明により、内部配電部材の放射ノイズによるインターロック配線のノイズ干渉を低減でき、確実に機器を動作させることができる。
【0040】
またこの発明の態様として、前記外部配電部材は、接地される編組線で覆われてもよい。
この発明により、外部配電部材を覆う編組線によるシールド効果が得られるため、内部配電部材の放射ノイズによる外部配電部材のノイズ干渉をより低減することができるとともに、外部配電部材からの放射ノイズによる他の配電部材のノイズ干渉を防止できる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記編組線で覆われた前記外部配電部材は、駆動バッテリーケーブルであってもよい。
この発明により、内部配電部材の放射ノイズによる駆動バッテリーケーブルのノイズ干渉をより低減することができるとともに、放射ノイズが大きい駆動バッテリーケーブルによる他の配電部材のノイズ干渉を防止できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明は、筐体内部に配索された内部配電部材の放射ノイズによる筐体付近に配索された外部配電部材のノイズ干渉を低減できる配電部材の配索構造及び車載機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図3】外部ハーネスと内部ハーネスとの概略斜視図。
【
図4】外部ハーネスと内部ハーネスとの概略説明図。
【
図5】外部ハーネスと内部ハーネスとの位置関係図。
【
図7】扁平ハーネスを用いた電気接続箱の配索構造の説明図。
【
図8】扁平ハーネスを用いた電気接続箱の配索構造の説明図。
【
図9】複数の内部ハーネスに対する外部ハーネスの位置関係図。
【
図10】複数の内部ハーネスに対する外部ハーネスの位置関係図。
【
図11】電気接続ユニットの配索構造の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は電気接続ユニット10の配索構造1の概略斜視図を示し、
図2は電気接続ユニット10の配索構造1の説明図を示し、
図3は外部ハーネス30と内部ハーネス20との概略斜視図を示し、
図4は外部ハーネス30と内部ハーネス20との概略説明図を示している。
【0045】
詳述すると、
図2(a)は
図1におけるA-A矢視概略断面図を示し、
図2(b)は
図1におけるB-B矢視概略断面図を示している。
図4は配索構造1における内部ハーネス20と外部ハーネス30との平面交差箇所の概略平面図であり、
図4(a)は内部ハーネス20の通電方向20iに対して直交方向に外部ハーネス30の通電方向30iが配置された状態の概略平面図を示している。
図4(b)は内部ハーネス20の通電方向20iに対して外部ハーネス30の通電方向30iが40度の方向に配置された状態の概略平面図を示し、
図4(c)は内部ハーネス20の通電方向20iに対して外部ハーネス30の通電方向30iが75度の方向に配置された状態の概略平面図を示し、
図4(d)は内部ハーネス20の通電方向20iに対して外部ハーネス30の通電方向30iが90度以上の方向に配置された状態の概略平面図を示している。
【0046】
なお、電気接続ユニット10の幅方向(
図1において左上と右下とを結ぶ方向)を幅方向Wとし、電気接続ユニット10の奥行き方向(
図1において右上と左下とを結ぶ方向)を奥行方向Lとし、電気接続ユニット10の高さ方向(
図1において上と下とを結ぶ方向)を高さ方向Hとしている。
【0047】
本実施形態の配索構造1は、電動車両において、車載機器である電気接続ユニット10と、その他の外部機器である駆動バッテリ2とを、バッテリーケーブルである外部ハーネス30で接続している。
駆動バッテリ2は、幅方向Wの長さより奥行方向Lの長さが長く、幅方向Wの長さより高さ方向Hの長さが短い箱状であり、前面に、後述する外部ハーネス30の一端に設けたコネクタ31を接続可能に構成している。
【0048】
電気接続ユニット10は、上段の電気接続・分配箱11(以下において単に分配箱11という)、電力変換装置・電子機器箱12(以下において単に電子機器箱12という)、及び下段の駆動ユニット13とが組み付けられ、一体化された箱状である。なお、電気接続ユニット10は、幅方向Wの長さより奥行方向Lの長さが長く、幅方向Wの長さより高さ方向Hの長さが短い箱状である
【0049】
そして、電気接続ユニット10は、所定の厚みの樹脂製壁面で構成する箱状の筐体14の内部に図示省略する内部機器を備えている。そして、内部機器同士を接続する内部ハーネス20を備えている。
具体的には、内部ハーネス20は、電子機器箱12の内部に配置した内部機器同士を接続したり、分配箱11や駆動ユニット13に配置した内部機器と電子機器箱12の内部に配置した内部機器とを接続したりする。
【0050】
また、電気接続ユニット10における電子機器箱12の上面には、後述する外部ハーネス30の一端に設けたコネクタ31を接続可能に構成するとともに、後述する外部ハーネス30の配置方向を規制する規制部15を備えている。規制部15は、外部ハーネス30の被覆電線の直径に応じた間隔を隔てて配置されるとともに、2本の被覆電線に応じて4箇所設けている。
【0051】
なお、本実施形態では、内部ハーネス20は、導体を絶縁材で被覆した被覆電線で構成され、電子機器箱12の内部において、分配箱11と電子機器箱12とが並列する幅方向Wに沿って配置されている。
【0052】
このように構成した電気接続ユニット10と駆動バッテリ2とを外部ハーネス30で接続している。外部ハーネス30は、高圧用のハーネスであり、2本の被覆電線で構成され、両端部には2本の被覆電線に対して一体的に設けたコネクタ31を備えている。
【0053】
外部ハーネス30は、一端に設けたコネクタ31を電気接続ユニット10における電子機器箱12の上面に接続するとともに。他端に設けたコネクタ31を駆動バッテリ2の前面に接続して、電気接続ユニット10と駆動バッテリ2とを接続して配索構造1を構成することができる。
【0054】
詳しくは、一端に設けたコネクタ31を電子機器箱12の上面に接続した外部ハーネス30を、電子機器箱12の上面において規制部15によって規制されることで奥行方向Lに沿って配置し、電気接続ユニット10の奥行方向Lの奥側の壁面に沿って曲げ下がり、駆動バッテリ2の前面に向かって配置している。
【0055】
そのため、
図3及び
図4(a)に示すように、内部ハーネス20と外部ハーネス30とは、高さ方向Hにおいて筐体14の両側に配置され、内部ハーネス20の通電方向20iと外部ハーネス30の通電方向30iとが高さ方向Hから視て直交する向きで配置されている。
【0056】
内部ハーネス20の通電方向20iと外部ハーネス30の通電方向30iとが高さ方向Hから視て直交するとは、
図4(a)に示すように、内部ハーネス20の通電方向20iと外部ハーネス30の通電方向30iとのなす角(交差角度α)が90度であることをいう。
【0057】
このように構成された配索構造1では、内部ハーネス20に通電すると、
図3に示すように、直交する方向の磁界Xが発生する。
そして、電気接続ユニット10の外側に配置した外部ハーネス30に通電すると、内部ハーネス20の通電によって生じた磁界Xは、筐体14を貫通して外部ハーネス30に放射ノイズとなって作用し、ノイズ干渉するおそれがある。これに対し、内部ハーネス20と外部ハーネス30とは高さ方向Hから視て直交しているため、外部ハーネス30に磁界Xが放射ノイズとしてノイズ干渉することはない。
【0058】
上述のように、電動車両において、通電される内部機器を内部に配置する筐体14と、内部機器と通電可能に接続する内部ハーネス20とが備えられた電気接続ユニット10における配索構造1において、内部ハーネス20は、筐体14の内部に配置されるとともに、内部機器に接続され、筐体14の外部に配置され、駆動バッテリ2に接続される外部ハーネス30が備えられ、外部ハーネス30のうち一部は、筐体14の外表面に沿って配置されるとともに、内部ハーネス20の通電方向20iに対して、通電方向30iが直交する方向に向けて配置されている。そのため、筐体14の内部に配索された内部ハーネス20の放射ノイズによる筐体14の外表面に沿って配索された外部ハーネス30のノイズ干渉を低減することができる。
【0059】
詳述すると、電動車両における配索構造1において、筐体14の外部に配置され、駆動バッテリ2に接続される外部ハーネス30のうち一部を、筐体14の内部に配置され、内部機器に接続される内部ハーネス20の通電方向20iに対して、通電方向30iが交差する方向に向けて、筐体14の外表面に沿って配置される。そのため、内部ハーネス20に通電されることによって生じる磁界Xの方向と外部ハーネス30の通電方向30iとが交差し、内部ハーネス20の放射ノイズによる筐体14の外表面に沿って配索された外部ハーネス30のノイズ干渉を低減することができる。
【0060】
また、筐体14から外部に導出されて駆動バッテリ2に接続された外部ハーネス30は筐体14の外表面に沿って配索されるが、内部ハーネス20の放射ノイズによるノイズ干渉を低減することができる。
【0061】
また、外部ハーネス30のうち一部が外表面に沿って配置される筐体14の外表面に、外部ハーネス30のうち一部の配置方向を規制する規制部15が設けられているため、筐体14の外表面に配置する外部ハーネス30のうち一部の配置方向を規制部15で規制できる。したがって、外部ハーネス30のうち一部の配置方向の不用意な変化による外部ハーネス30のノイズ干渉を防止できる。
【0062】
なお、内部ハーネス20の通電によって生じる磁界Xが、通電する外部ハーネス30の放射ノイズとしてノイズ干渉することは、内部ハーネス20と外部ハーネス30とが筐体14を介して高さ方向Hから視て直交することでノイズ干渉しないが、
図4(b)に示すように、交差角度αが75度であっても、磁界Xによる放射ノイズの影響は低減でき、ノイズ干渉を軽減できる。
【0063】
なお、
図4(c)に示すように、交差角度αが40度であっても、磁界Xによる放射ノイズの影響を少しは低減でき、ノイズ干渉も軽減できるものの、交差角度αが40度より小さい角度になると、放射ノイズの影響の低減量は少なく、ノイズ干渉を軽減することが困難となる。
【0064】
また、
図4(d)に示すように、交差角度αが90度を超えると、つまり交差角度αが鈍角になると、その外角βが鋭角状になり、放射ノイズの影響の低減量は少なくなり、ノイズ干渉の軽減量も小さくなる。
【0065】
したがって、内部ハーネス20と外部ハーネス30との高さ方向Hから視た交差角度αが40度以上90度以下、より好ましくは75度以上90度以下となるように、内部ハーネス20に対して外部ハーネス30を配置することで、内部ハーネス20の通電によって生じる磁界Xが、通電する外部ハーネス30の放射ノイズとしてノイズ干渉することを低減することができる。
【0066】
このように、外部ハーネス30のうち一部の通電方向30iと、内部ハーネス20の通電方向20iとの交差角度αが40度以上90度以下であり、さらには、交差角度αが75度以上90度以下であるため、内部ハーネス20の放射ノイズによる外部ハーネス30のノイズ干渉をより低減することができる。
【0067】
詳述すると、交差角度αが大きくなるほど、内部ハーネス20の放射ノイズによる外部ハーネス30のノイズ干渉を低減することができ、交差角度αが90度、つまり直交するとノイズ干渉の低減効果は最大となり、理論上ノイズ干渉は生じない。そして、90度を超えると、ノイズ干渉の低減効果は減少していく。
【0068】
そして、交差角度αが十分でないとノイズ干渉の低減効果を確実に得ることができない。そのため、交差角度αを40度以上90度以下に設定することでノイズ干渉の低減効果を確実に得ることができ、さらには、交差角度αを75度以上90度以下に設定することでノイズ干渉の低減効果を十分に得ることができる。
【0069】
なお、電気接続ユニット10の内部において、内部ハーネス20が上述のように直線状に延びるように配置されるだけでなく、
図5に示す内部ハーネス20aのように、途中で曲がることがある。
具体的には、配索構造1aにおける要部の拡大平面図である
図5に示すように、配索構造1aにおける内部ハーネス20aは、幅方向Wに延びる幅方向内部ハーネス21と、曲がり部22と、奥行方向Lに延びる奥行方向内部ハーネス23とがある。
【0070】
このような内部ハーネス20aに対して電気接続ユニット10の上面に配置する外部ハーネス30aは、コネクタ31から奥行方向Lに延びる奥行方向外部ハーネス32と、曲がり部33と、幅方向Wに延びる幅方向外部ハーネス34とがある。
【0071】
そして、奥行方向Lに延びる奥行方向外部ハーネス32が幅方向Wに延びる幅方向内部ハーネス21と高さ方向Hから視て直交し、幅方向Wに延びる幅方向外部ハーネス34が奥行方向Lに延びる幅方向内部ハーネス21と高さ方向Hから視て直交する。これにより、内部ハーネス20aに通電することで生じる磁界Xが放射ノイズとして、通電する外部ハーネス30にノイズ干渉することを防止できる。
【0072】
なお、内部ハーネス20aの各部分に対して高さ方向Hから視て直交する方向に外部ハーネス30aの各部分を配置するために、奥行方向外部ハーネス32を奥行方向Lに延びるように規制する奥行き方向規制部15aと、幅方向外部ハーネス34を幅方向Wに延びるように規制する幅方向規制部15bとを備えると、奥行方向外部ハーネス32と幅方向外部ハーネス34との配置方向を規制できるため好ましい。
【0073】
また、上述の電気接続ユニット10は、所定の板厚の樹脂製板部材で筐体14が構成されていたが、
図6に示すように、金属製板部材で構成されたシールド性筐体14bを有するシールド電気接続ユニット10bであってもよい。
なお、
図6(a)は
図1のB-B矢視断面図に対応するシールド電気接続ユニット10bの断面図を示し、
図6(b)はシールド電気接続ユニット10bを備えた配索構造1bの外部ハーネス30と内部ハーネス20との概略斜視図を示している。
【0074】
シールド電気接続ユニット10bは、上述したように、シールド性筐体14bを、導電性を有する金属製板部材で構成しているため、内部ハーネス20に通電すると、内部ハーネス20によって生じる磁界X(
図6(b)では不図示)はシールド性筐体14bによって遮蔽される。
【0075】
しかしながら、導電性を有する金属製板部材で構成されたシールド性筐体14bには、内部ハーネス20の通電方向20iと逆向きとなるシールド電流Isが誘導される。そして、誘導されたシールド電流Isによって2次磁界Xbが生じる。
【0076】
そして、シールド電流Isの2次磁界Xbが2次放射ノイズとして、通電する外部ハーネス30に作用するものの、シールド電流Isの通電方向と外部ハーネス30の通電方向30iとが高さ方向Hから視て直交するため、外部ハーネス30にノイズ干渉することはない。
【0077】
上述のように、接地されることでシールド性を有するシールド性筐体14bは、内部ハーネス20に通電されると、電流方向が内部ハーネス20の通電方向20iと逆向きとなるシールド電流Isが誘導され、2次磁界Xbが生じる。そして、誘導されたシールド電流Isの通電方向と外部ハーネス30の通電方向30iとが交差するため、内部ハーネス20の通電に起因するシールド電流の2次放射ノイズによるシールド性筐体14bの外表面に沿って配索された外部ハーネス30のノイズ干渉を低減することができる。
【0078】
また、上述の説明では、内部ハーネス20及び外部ハーネス30を被覆電線で構成したが、
図7に示すように、内部ハーネス20c及び外部ハーネス30cを、複数の導体を並列配置して一体化した断面扁平状となる扁平配線で構成してもよい。
【0079】
なお、
図7(a)は、内部ハーネス20c及び外部ハーネス30cが扁平配線で構成された配索構造1cの斜視図を示し、
図7(b)は、電気接続ユニット10cを透過状態で図示した配索構造1cの斜視図を示している。
また、
図8(a)は
図7(a)におけるC-C矢視概略断面図を示し、
図8(b)は
図7(a)におけるD-D矢視概略断面図を示している。
【0080】
配索構造1cにおける内部ハーネス20c及び外部ハーネス30cは、上述したように、複数の導体を並列配置し、全体を絶縁材で一体的に被覆した断面扁平状となる扁平配線で構成している。
【0081】
扁平電線で構成された内部ハーネス20cは、電気接続ユニット10cの内部において、導体の並列方向が高さ方向Hとなるように向けて配置されている。なお、内部ハーネス20cは、幅方向Wに延びる幅方向内部ハーネス21cと、曲がり部22cと、奥行方向Lに延びる奥行方向内部ハーネス23cとで高さ方向Hから視て逆L字状に配置している。
【0082】
電気接続ユニット10cの上面に配置される外部ハーネス30cは、導体の並列方向が高さ方向Hに直交する幅方向Wか奥行方向Lとなるように向けて配置されている。なお、外部ハーネス30cは、奥行方向Lに延びる奥行方向外部ハーネス32cと、曲がり部33cと、奥行方向Lに延びる幅方向外部ハーネス34cと、電気接続ユニット10cの側面に沿って高さ方向Hに延びる高さ方向外部ハーネス35cとで構成している。
【0083】
なお、電気接続ユニット10cを構成する筐体14cの上面には、略格子状に形成された補強リブ16が設けられている。
補強リブ16は、外部ハーネス30cの配索経路に沿って形成されており、上述のように配索される外部ハーネス30cの奥行方向外部ハーネス32c、曲がり部33c及び幅方向外部ハーネス34cは、補強リブ16によって配索経路が規制されている。
【0084】
そのため、電気接続ユニット10cの内部において扁平方向が高さ方向Hとなるように向けて配置された内部ハーネス20cと、扁平方向が幅方向W又は奥行方向Lとなるように向けた配置された外部ハーネス30cは、
図8に示すように、高さ方向Hから視て配置方向が直交するだけでなく、断面幅方向も直交する向きで配置している。
【0085】
上述のように、外部ハーネス30c及び内部ハーネス20cは、複数の導体が通電方向30iに直交する幅方向に並列配置して一体化した断面扁平状となる扁平配線であり、筐体14cの外表面に沿って配置される外部ハーネス30cのうち一部と、内部ハーネス20cとは、通電方向30iが交差するとともに、扁平状の断面幅方向も交差する向きで配置されているため、扁平配線で構成された配電部材であっても、内部ハーネス20cの放射ノイズによる筐体14cの外表面に沿って配索された外部ハーネス30cのノイズ干渉をより確実に低減することができる。
【0086】
詳述すると、扁平電線で構成された内部ハーネス20cの放射ノイズは、扁平方向の両側が強くなるが、扁平電線で構成した外部ハーネス30cの一部を、内部ハーネス20cの通電方向20iに対して交差する向きで配置するとともに、断面幅方向も交差する向きで配置することで、内部ハーネス20cの放射ノイズによる筐体14cの外表面に沿って配索された外部ハーネス30cのノイズ干渉をより確実に低減することができる。
【0087】
また、外部ハーネス30c及び内部ハーネス20cは、複数の導体が通電方向30iに直交する幅方向に並列配置して一体化した断面扁平状となる扁平配線であるため、扁平配線で構成された配電部材であっても、内部ハーネス20cの放射ノイズによる筐体14cの外表面に沿って配索された外部ハーネス30cのノイズ干渉を低減することができる。
【0088】
また、筐体14cを補強する補強リブ16が外部ハーネス30cの配置方向を規制する規制部として機能するため、筐体14cを補強する補強リブ16と規制部とが別体で構成される場合に比べて、外部ハーネス30cのうち一部の配置方向を規制できる筐体14cをコンパクトに構成することができる。
【0089】
さらにまた、筐体14cの上面に沿って扁平配線で構成された外部ハーネス30cを、扁平方向が奥行方向L及び幅方向Wに沿うように配置しているため、外部ハーネス30cを扁平方向が高さ方向Hとなるように配置する場合に比べて配索構造1cの低背化を図ることができる。
【0090】
また、上述の説明では、電気接続ユニット10の内部に配置された1本の内部ハーネス20に対して外部ハーネス30を高さ方向Hから視て直交する方向に向けて配置したが、複数本の内部ハーネス20(20d、20e)が配置されることがあり、この場合における外部ハーネス30dの配置方向について
図9及び
図10とともに説明する。
【0091】
なお、
図9(a)は、内部ハーネス20d(20d1,20d2)が配置された配索構造1dの高さ方向Hから視た平面図を示し、
図9(b)は
図9(a)におけるE-E矢視断面図を示している。
【0092】
電気接続ユニット10の内部に配置された内部ハーネス20d1と内部ハーネス20d2とは、概ね幅方向Wに向かって配置されているものの、幅方向Wに向かって配置された内部ハーネス20d2に対して、内部ハーネス20d1は平行ではない幅方向W及び奥行方向Lに交差する向きで配置している。
【0093】
そして、内部ハーネス20d1と内部ハーネス20d2とは、電気接続ユニット10の筐体14から同じ間隔で配置されている。そのため、内部ハーネス20d1と内部ハーネス20d2とは、外部ハーネス30に対して高さ方向Hに同じ間隔で配置される。また、内部ハーネス20d1と内部ハーネス20d2とは、同じ周波数の電流が導通されている。
【0094】
しかしながら、内部ハーネス20d1には内部ハーネス20d2より大きな電流が導通する。そのため、内部ハーネス20d1に電流が導通することで生じる磁界Xd1は、内部ハーネス20d2に電流が導通することで生じる磁界Xd2より磁界強度が高くなる。
【0095】
したがって、電流を導通する外部ハーネス30に、磁界Xd2の放射ノイズより、磁界Xd1の放射ノイズの方がノイズ干渉するため、
図9(a)に示すように、外部ハーネス30を内部ハーネス20d1に対して高さ方向Hから視て直交するように配置している。
【0096】
このように、筐体14の内部に複数の内部ハーネス20d(20d1,20d2)が配置され、筐体14の外表面に沿って配置される外部ハーネス30のうち一部は、複数の内部ハーネス20dのうち通電される電流が最も大きい内部ハーネス20d1の通電方向20iに対して、通電方向30iが交差する方向に向けて配置されているため、内部ハーネス20の放射ノイズによる筐体14の外表面に沿って配索された外部ハーネス30のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0097】
詳述すると、筐体14の内部に複数の内部ハーネス20dが配置された場合、外部ハーネス30にはそれぞれの内部ハーネス20dからの放射ノイズによるノイズ干渉が生じる。
【0098】
他の内部ハーネス20d2より通電される電流が最も大きい内部ハーネス20d1によるノイズ干渉は他の内部ハーネス20d2によるノイズ干渉より大きくなる。そのため、通電される電流が最も大きい内部ハーネス20d1の通電方向20iに対して、外部ハーネス30を通電方向30iが交差する方向に向けて配置することで外部ハーネス30のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0099】
なお、上述の説明では、内部ハーネス20d1及び内部ハーネス20d2を導通する電流が異なったが、同じ電流量であっても、内部ハーネス20d1を導通する電流が内部ハーネス20d2を導通する電流より、高い周波数、あるいは高調波成分を含む場合も同様の配置方向となる。
【0100】
具体的には、高い周波数、あるいは高調波成分を含む電流が導通する内部ハーネス20d1に生じる磁界Xd1が、内部ハーネス20d2に生じる磁界Xd2より磁界強度が高くなり、磁界Xd2の放射ノイズより、磁界Xd1の放射ノイズの方がノイズ干渉するため、
図9(a)に示すように、外部ハーネス30を内部ハーネス20d1に対して高さ方向Hから視て直交するように配置するとよい。
【0101】
上述のように、筐体14の内部に複数の内部ハーネス20dが配置され、筐体14の外表面に沿って配置される外部ハーネス30のうち一部は、複数の内部ハーネス20dのうち通電される電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む内部ハーネス20d1の通電方向20iに対して、通電方向30iが交差する方向に向けて配置されているため、内部ハーネス20dの放射ノイズによる筐体14の外表面に沿って配索された外部ハーネス30のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0102】
詳述すると、筐体14の内部に複数の内部ハーネス20dが配置された場合、外部ハーネス30にはそれぞれの内部ハーネス20dからの放射ノイズによるノイズ干渉が生じる。他の内部ハーネス20d2より高い周波数、あるいは高調波成分を含む電流が導通する内部ハーネス20d1によるノイズ干渉は他の内部ハーネス20によるノイズ干渉より大きくなる。そのため、電流が最も高い周波数、あるいは高調波成分を含む内部ハーネス20d1の通電方向20iに対して、外部ハーネス30を通電方向30iが交差する方向に向けて配置することで外部ハーネス30のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0103】
また、内部ハーネス20d1を導通する電流が内部ハーネス20d2を導通する電流より大きく、内部ハーネス20d2を導通する電流が内部ハーネス20d1を導通する電流よりも高い周波数、あるいは高調波成分を含む場合であっても、電流に高い周波数、あるいは高調波成分を含むことによる磁界Xd2の磁界強度よりも、大きな電流が導通する内部ハーネス20d1による磁界Xd1による磁界強度が高く、ノイズ干渉の方が大きくなるため、上述の同様に、高さ方向Hから視て外部ハーネス30を内部ハーネス20d1に対して直交する向きで配置するほうがよい。
【0104】
また、上述の説明では、電気接続ユニット10の筐体14から同じ間隔で配置された内部ハーネス20dについて説明したが、
図10に示すように電気接続ユニット10の筐体14からの間隔が異なる内部ハーネス20eについて説明する。
【0105】
なお、
図10(a)は、内部ハーネス20e(20e1,20e2)が配置された配索構造1eの高さ方向Hから視た平面図を示し、
図10(b)は
図10(a)におけるF-F矢視断面図を示している。
【0106】
電気接続ユニット10の内部に配置された内部ハーネス20e1と内部ハーネス20e2とは、上述の内部ハーネス20dと同様に、幅方向Wに向かって配置された内部ハーネス20e2に対して、内部ハーネス20e1は平行ではない幅方向W及び奥行方向Lに交差する向きで配置している。
そして、内部ハーネス20e1と内部ハーネス20e2とは、同じ周波数の電流が同じ大きさで導通されている。
【0107】
しかしながら、内部ハーネス20e1は、内部ハーネス20e2より電気接続ユニット10の筐体14に近い間隔で配置されている。そのため、内部ハーネス20e1は、内部ハーネス20e2に比べて、外部ハーネス30に対して高さ方向Hに近く配置されている。なお、内部ハーネス20eに電流が導通することで生じる磁界Xeは、内部ハーネス20eからの距離が離れるほど磁束密度が低くなる。
【0108】
したがって、電流を導通する外部ハーネス30に、磁界Xe2の放射ノイズより、磁束密度が高くなる磁界Xe1の放射ノイズの方がノイズ干渉するため、
図10(a)に示すように、外部ハーネス30を内部ハーネス20e1に対して高さ方向Hから視て直交するように配置している。
【0109】
上述のように、筐体14の内部に複数の内部ハーネス20eが配置され、筐体14の外表面に沿って配置される外部ハーネス30のうち一部は、複数の内部ハーネス20eのうち筐体14を介して距離が最も近い内部ハーネス20e1の通電方向20iに対して、通電方向30iが交差する方向に向けて配置されている。そのため、内部ハーネス20の放射ノイズによる筐体14の外表面に沿って配索された外部ハーネス30のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0110】
詳述すると、筐体14の内部に複数の内部ハーネス20eが配置された場合、外部ハーネス30にはそれぞれの内部ハーネス20eからの放射ノイズによるノイズ干渉が生じる。他の内部ハーネス20e2より筐体14を介して距離が最も近い内部ハーネス20e1によるノイズ干渉は他の内部ハーネス20e2によるノイズ干渉より大きくなる。そのため、筐体14を介して距離が最も近い内部ハーネス20e1の通電方向20iに対して、外部ハーネス30を通電方向30iが交差する方向に向けて配置することで外部ハーネス30のノイズ干渉を効率よく低減することができる。
【0111】
なお、外部ハーネス30に対する間隔が最も近い内部ハーネス20e1と、外部ハーネス30に対する間隔が最も大きい内部ハーネス20e2とで、内部ハーネス20e2を導通する電流が、内部ハーネス20e1を導通する電流より、高い周波数、あるいは高調波成分を含む場合は、電流に高い周波数、あるいは高調波成分を含むことによる磁界Xe2の磁束密度よりも、外部ハーネス30に対する間隔が最も近い内部ハーネス20e1による磁界Xe2によるノイズ干渉の方が大きくなる。よって、上述と同様に、高さ方向Hから視て外部ハーネス30を内部ハーネス20e1に対して直交する向きで配置するほうがよい。
【0112】
これに対し、外部ハーネス30に対する間隔が最も近い内部ハーネス20e1と、外部ハーネス30に対する間隔が最も大きい内部ハーネス20e2とで、内部ハーネス20e2を導通する電流が、内部ハーネス20e1を導通する電流より大きい場合は、大きな電流による磁界Xe2の磁界強度と、外部ハーネス30に対する間隔が最も近い内部ハーネス20e1に生じる磁界Xe2の外部ハーネス30に作用する磁束密度とによるノイズ干渉が最も大きい方の内部ハーネス20eに対して、高さ方向Hから視て外部ハーネス30を直交する向きで配置すればよい。
【0113】
また、上述の説明における電気接続ユニット10から延びて駆動バッテリ2と接続する外部ハーネス30を、
図11に示すように、編組線や金属管などのシールド部材で囲繞してもよい。
なお、
図11は外部ハーネス30をシールド部材で囲繞した電気接続ユニット10fの配索構造1fの概略斜視図を示している。
【0114】
配索構造1fを構成する電気接続ユニット10fは、上段において、電子機器箱12fと分配箱11fが上述の分配箱11と電子機器箱12との幅方向Wの位置が入れ替わっている。
そして、電子機器箱12fは分配箱11fより高さ方向Hの高さが高く、分配箱11fより上方向に突出する側面に、コネクタ31を装着可能に構成している。
【0115】
電子機器箱12fの側面にコネクタ31を装着した外部ハーネス30fは、分配箱11fの上面を幅方向Wに配置され、分配箱11f及び駆動ユニット13の側面に沿って下方に伸びる。そして、外部ハーネス30fは、駆動バッテリ2の前面に向かって伸びて、駆動バッテリ2の前面にコネクタ31を装着して配索構造1fを構成している。
【0116】
このように、電気接続ユニット10fと駆動バッテリ2とを接続する外部ハーネス30fは、電子機器箱12fの側面に装着されるコネクタ31から分配箱11fの上面及び側面に沿って配置される部分と、駆動バッテリ2の前面に装着されるコネクタ31から所定長さ部分を編組線36で囲繞されている。
【0117】
さらに、編組線36同士の間には金属管37が配置され、編組線36に囲繞された部分同士の間の外部ハーネス30fが挿通されている。なお、編組線36と金属管37とは電気的に導通可能に接続されている。
そして、図示省略するが両編組線36及び金属管37はいずれかの位置で接地されている。そのため、編組線36で両端部側が囲繞され、その間は金属管37に挿通される外部ハーネス30fは、編組線36及び金属管37によって電磁シールドされた状態となる。
【0118】
なお、編組線36で囲繞された外部ハーネス30fは、上述したように、分配箱11fの上面において幅方向Wに配置されており、分配箱11の内部には内部ハーネス20fが奥行方向Lに沿って配置されている。つまり外部ハーネス30fの通電方向30iと内部ハーネス20fの通電方向20iとが高さ方向Hから視て直交するように配置されている。
【0119】
したがって、外部ハーネス30fの通電方向30iと内部ハーネス20fの通電方向20iとが高さ方向Hから視て直交するように配置されているため、内部ハーネス20fの放射ノイズによる外部ハーネス30fのノイズ干渉をより低減することができる。
【0120】
また、内部ハーネス20の通電方向20iに対して高さ方向Hから視て通電方向30iが直交する方向となる外部ハーネス30fは編組線36で囲繞されているため、外部ハーネス30fを覆う編組線36によるシールド効果が得られる。したがって、内部ハーネス20fの放射ノイズによる外部ハーネス30fのノイズ干渉をさらに低減することができるとともに、外部ハーネス30fからの放射ノイズによる内部ハーネス20fや駆動バッテリ2のノイズ干渉をより防止できる。
【0121】
また、編組線36及び金属管37で覆われた外部ハーネス30fは、駆動バッテリーケーブルであるため、内部ハーネス20fの放射ノイズによる駆動バッテリーケーブルのノイズ干渉をより低減することができるとともに、放射ノイズが大きい駆動バッテリーケーブルによる内部ハーネス20fや駆動バッテリ2のノイズ干渉を防止することができる。
【0122】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の機器は内部機器に対応し、
以下同様に、
筐体は筐体14,14cに対応し、
内部配電部材は内部ハーネス20,20a,20c,20c1,20d,20d1,20d2,20e,20e1,20e2,20fに対応し、
車載機器は電気接続ユニット10,10a,10c,10fに対応し、
配電部材の配索構造は配索構造1に対応し、
他の外部機器は駆動バッテリ2に対応し、
外部配電部材は外部ハーネス30,30a,30c,30d,30fに対応し、
交差角度は交差角度αに対応し、
シールド性筐体はシールド電気接続ユニット10bに対応し、
規制部は規制部15に対応し、
補強リブは補強リブ16に対応し、
電流が最も大きい内部配電部材は電流が最も大きい内部ハーネス20c1に対応し、
距離が最も近い内部配電部材は距離が最も近い内部ハーネス20d1に対応し、
高い周波数、あるいは高調波成分を含む内部配電部材は高い周波数、あるいは高調波成分を含む内部ハーネス20c1に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0123】
例えば、上述の外部ハーネス30は電気接続ユニット10と駆動バッテリ2とを接続するバッテリーケーブルであったが、外部ハーネス30は電気機器のインターロック配線であってもよい。
また、外部ハーネス30が電気機器のインターロック配線である場合、内部ハーネス20の放射ノイズによるインターロック配線のノイズ干渉を低減でき、確実に電気機器を動作させることができる。
【0124】
上述の説明では、筐体14の外表面に沿って外部ハーネス30を配置したが、内部ハーネス20の磁界Xが作用する範囲において筐体14の外表面から隙間を空けて配置されてもよい。
【0125】
また、上述の説明では、内部ハーネス20c及び外部ハーネス30cの両方を扁平配線で構成したが、内部ハーネス20c及び外部ハーネス30cの一方を扁平配線で構成し、他方を被覆電線で構成してもよい。さらには、外部ハーネス30cだけでなく、内部ハーネス20cも扁平方向が奥行方向L及び幅方向Wに双方向に向けて配置してもよい。
【0126】
上述のシールド性筐体14bは金属製板部材で構成されたが、筐体14のように樹脂製板部材で構成し、内表面か外表面の少なくとも一方に導電性を有する金属膜を貼り付けてシールド性筐体14bを構成してもよい。
【0127】
また、上述の説明では、筐体14cの上面に略格子状に形成した補強リブ16や規制部15,15a,15bで外部ハーネス30,30a,30cの配索経路を規制したが、筐体14,14cの上面に凹部を形成し、凹部で外部ハーネス30,30a,30cの配索経路を規制してもよい。
【0128】
この場合、外部ハーネス30,30a,30cの配策経路を規制する規制部15,15a,15bや補強リブ16と、筐体14,14cに設けられた凹部とが別体で構成される場合に比べて、外部ハーネス30,30a,30cの配策経路を規制できる筐体14,14cをコンパクトに構成することができる。
【符号の説明】
【0129】
1…配索構造
2…駆動バッテリ
10,10a,10c,10f…電気接続ユニット
10b…シールド電気接続ユニット
14,14c…筐体
14b…シールド性筐体
15,15a,15b…規制部
16…補強リブ
20,20a,20c,20c1,20d,20d1,20d2,20e,20e1,20e2,20f…内部ハーネス
20i,30i…通電方向
30,30a,30c,30d,30f…外部ハーネス
36…編組線
α…交差角度