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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】半導体素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20241126BHJP
   H01S 5/062 20060101ALI20241126BHJP
   H01S 5/026 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G02B6/12 361
H01S5/062
H01S5/026 610
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021572727
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2021001517
(87)【国際公開番号】W WO2021149647
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】P 2020008156
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若葉 昌布
(72)【発明者】
【氏名】丸山 一臣
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-161830(JP,A)
【文献】特開2013-168440(JP,A)
【文献】特開2006-259104(JP,A)
【文献】国際公開第2018/147307(WO,A1)
【文献】特開2013-172026(JP,A)
【文献】特開2010-237296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0194764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース面を有したベースと、
前記ベース面から当該ベース面と交差した第一方向に突出し、頂面と当該頂面の両側の二つの側面とを有し、前記ベース面に沿って延びたメサと、
前記頂面上に設けられた頂壁と、前記二つの側面のうち少なくとも一つの側面上に設けられた側壁とを有し、前記メサの延びる方向に電流が流れるよう構成された電気抵抗体と、
前記メサ内に設けられ当該メサの根元と前記頂面との間に位置した光の導波層と、
を備え
前記電気抵抗体は、前記ベース面上には設けられていない、半導体素子。
【請求項2】
前記側壁の前記第一方向の反対方向の端部が、前記ベース面から前記第一方向に離間した、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記側壁の前記第一方向の反対方向の端部が、前記導波層から前記第一方向に離間した、請求項に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記電気抵抗体は、前記側壁として、前記二つの側面上にそれぞれ設けられた二つの側壁を有した、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項5】
前記電気抵抗体は、前記メサの延びる方向と直交した断面において前記二つの側壁の前記第一方向の長さが異なる部位を有した、請求項に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記電気抵抗体は、前記メサの延びる方向と直交した断面において前記側壁として前記二つの側面のうち一つの側面上に設けられた一つの側壁のみが設けられた部位を有した、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項7】
前記頂壁と前記側壁とが互いに接した、請求項1~のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項8】
前記頂壁と前記側壁とが互いに離れた、請求項1~のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項9】
前記導波層と前記側壁との間に誘電体層を備えた、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項10】
前記導波層と前記側壁とが前記第一方向と直交した第二方向に少なくとも部分的に重なり、
前記導波層と前記側壁との間に誘電体層を備えた、請求項1~9のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項11】
前記ベース上に前記メサと隣接し絶縁材料で作られた埋込層を備えた、請求項1~10のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項12】
前記側壁は、前記埋込層に対して前記ベースとは反対側に設けられた、請求項11に記載の半導体素子。
【請求項13】
前記埋込層上に前記頂壁と接続された導体層を備えた、請求項11または12に記載の半導体素子。
【請求項14】
前記電気抵抗体および前記埋込層を覆う第一保護層を備えた、請求項1113のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項15】
前記埋込層上に前記頂壁と接続された導体層を備え、
前記第一保護層には、前記電気抵抗体を部分的に露出する開口が設けられ、
前記導体層は、前記第一保護層を覆うとともに、前記開口内を貫通した、請求項14に記載の半導体素子。
【請求項16】
前記電気抵抗体と前記埋込層との間に介在する第二保護層を備えた、請求項1115のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【請求項17】
前記メサと前記側壁との間に絶縁層を備えた、請求項1~16のうちいずれか一つに記載の半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メサ上にヒータを備えた半導体素子が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-054168号公報
【文献】国際公開第2018/147307号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにメサ上にヒータが設けられた半導体素子では、ヒータによる加熱によって半導体素子の温度が局所的に過度に高くなるのは、好ましくない。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、メサ上にヒータを備えた半導体素子において、局所的な過度な温度上昇を抑制すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体素子は、例えば、ベース面を有したベースと、前記ベース面から当該ベース面と交差した第一方向に突出し、頂面と当該頂面の両側の二つの側面とを有し、前記ベース面に沿って延びたメサと、前記頂面上に設けられた頂壁と、前記二つの側面のうち少なくとも一つの側面上に設けられた側壁とを有し、前記メサの延びる方向に電流が流れるよう構成された電気抵抗体と、を備える。
【0007】
前記半導体素子では、例えば、前記電気抵抗体は、前記側壁として、前記二つの側面上にそれぞれ設けられた二つの側壁を有する。
【0008】
前記半導体素子では、例えば、前記電気抵抗体は、前記メサの延びる方向と直交した断面において前記二つの側壁の前記第一方向の長さが異なる部位を有する。
【0009】
前記半導体素子では、例えば、前記電気抵抗体は、前記メサの延びる方向と直交した断面において前記側壁として前記二つの側面のうち一つの側面上に設けられた一つの側壁のみが設けられた部位を有する。
【0010】
前記半導体素子では、例えば、前記頂壁と前記側壁とが互いに接する。
【0011】
前記半導体素子では、例えば、前記頂壁と前記側壁とが互いに離れる。
【0012】
前記半導体素子は、例えば、前記メサ内に光の導波層を備える。
【0013】
前記半導体素子では、例えば、前記導波層と前記側壁とが前記第一方向に離間する。
【0014】
前記半導体素子は、例えば、前記導波層と前記側壁との間に誘電体層を備える。
【0015】
前記半導体素子では、例えば、前記導波層と前記側壁とが前記第一方向と直交した第二方向に少なくとも部分的に重なり、前記半導体素子は、前記導波層と前記側壁との間に誘電体層を備える。
【0016】
前記半導体素子は、例えば、前記メサから前記第一方向の反対方向に離れた前記ベース内に光の導波層を備える。
【0017】
前記半導体素子は、例えば、前記ベース上に前記メサと隣接し絶縁材料で作られた埋込層を備える。
【0018】
前記半導体素子では、例えば、前記側壁は、前記埋込層の上側に設けられる。
【0019】
前記半導体素子は、例えば、前記埋込層上に前記頂壁と接続された導体層を備える。
【0020】
前記半導体素子は、例えば、前記電気抵抗体および前記埋込層を覆う第一保護層を備える。
【0021】
前記半導体素子は、例えば、前記埋込層上に前記頂壁と接続された導体層を備え、前記第一保護層には、前記電気抵抗体を部分的に露出する開口が設けられ、前記導体層は、前記第一保護層を覆うとともに、前記開口内を貫通する。
【0022】
前記半導体素子は、例えば、前記電気抵抗体と前記埋込層との間に介在する第二保護層を備える。
【0023】
前記半導体素子は、例えば、前記メサと前記側壁との間に絶縁層を備える。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば、メサ上にヒータを備えた半導体素子において、局所的な過度な温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、第1実施形態の半導体素子の、一部の断面を含む例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、第1変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図3図3は、第2変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図4図4は、第3変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図5図5は、第4変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図6図6は、第5変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図7図7は、第6変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図8図8は、第7変形例の半導体素子の導体層が設けられた位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図9図9は、第8変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図10図10は、第8変形例の半導体素子の導体層が設けられた位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図11図11は、第9変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図12図12は、第9変形例の半導体素子の導体層が設けられた位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図13図13は、第10変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図14図14は、第11変形例の半導体素子の導体層が設けられた位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図15図15は、第12変形例の半導体素子の導体層が設けられていない位置での例示的かつ模式的な断面図である。
図16図16は、第2実施形態の半導体素子の例示的かつ模式的な平面図である。
図17図17は、第13変形例の半導体素子の例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態および変形例に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0027】
以下に示される実施形態および変形例は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態および変形例の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0028】
本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0029】
また、各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。なお、X方向は、長手方向あるいは延び方向とも称され、Y方向は、短手方向、幅方向、あるいは厚さ方向とも称され、Z方向は、高さ方向あるいは突出方向とも称されうる。
【0030】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の半導体素子10Aの一部の断面を含む斜視図である。図1には、斜視形状とともに、X方向と直交する断面と、Y方向と直交する断面とが、示されている。
【0031】
図1に示されるように、半導体素子10Aは、基板11と、メサ12と、導波層13Aと、誘電体層14と、電気抵抗体15と、導体層16と、を備えている。
【0032】
基板11は、半導体基板である。基板11は、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、基板11は、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。また、基板11は、ベース面11aを有している。ベース面11aは、平面状の形状を有し、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、ベース面11aは、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。基板11は、ベースの一例である。ベース面11aは、表面とも称されうる。
【0033】
基板11は、例えば、n型のインジウムリン(InP)で作られうる。
【0034】
メサ12は、基板11のベース面11aから、Y方向に略一定の幅で、Z方向に突出している。また、メサ12は、Z方向に略一定の高さで、X方向に延びている。すなわち、メサ12は、ベース面11a上に突出しベース面11aに沿って延びた壁のような形状を有している。なお、メサ12は、ベース面11aに沿って屈曲しながら延びてもよい。また、メサ12の幅は、Z方向、すなわち高さ方向に沿って変化してもよいし、X方向、すなわち延び方向に沿って変化してもよい。Z方向は、第一方向の一例である。
【0035】
メサ12は、頂面12aと、二つの側面12bと、を有している。
【0036】
頂面12aは、Z方向と交差して広がっている。本実施形態では、頂面12aは、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向と直交している。頂面12aは、ベース面11aと略平行である。また、頂面12aは、Y方向に略一定の幅で、X方向に延びている。なお、頂面12aは、屈曲しながらベース面11aと略平行に延びてもよい。また、頂面12aの幅は、メサ12の延び方向に沿って変化してもよい。
【0037】
側面12bは、それぞれ、頂面12aの幅方向の端縁12a1とベース面11aとの間に介在している。言い換えると、側面12bは、端縁12a1から、Z方向の反対方向に向けて、すなわちベース面11aに向けて延びている。側面12bは、Z方向に沿い、Z方向に延びている。また、側面12bは、Z方向に略一定の幅で、X方向に延びている。なお、側面12bは、屈曲しながらベース面11aに沿って延びてもよい。
【0038】
メサ12内には、光を導波する導波層13A、すなわち光の導波層13Aが、設けられている。半導体素子10Aは、所謂ハイメサの構成を備えている。導波層13Aは、メサ12の根元と頂面12aとの間に位置されている。導波層13Aは、Y方向に略一定の幅およびZ方向に略一定の高さで、X方向に延びている。なお、導波層13Aは、メサ12とともに屈曲しながらベース面11aと略平行に延びてもよい。
【0039】
導波層13Aは、本実施形態では、メサ12の二つの側面12b間を貫通している。
【0040】
導波層13Aを含むメサ12は、公知の半導体製造プロセスによって作られうる。メサ12のうち導波層13Aを除く部位は、当該導波層13Aに対するクラッド層12cとして機能する。クラッド層12cは、導波層13Aの材質よりも屈折率が低い材質によって作られうる。例えば、導波層13Aが導波する光の波長が1.55μmである場合、クラッド層12cはInPで作られ、導波層13AはInGaAsPによって作られうる。なお、クラッド層12cおよび導波層13Aの材質は、この例には限定されず、導波層13Aが導波する光の波長に応じて適宜に設定されうる。
【0041】
基板11のベース面11a、メサ12の側面12b、および頂面12aは、誘電体層14で覆われている。誘電体層14は、ベース面11a、頂面12a、および側面12b上に、略一定の厚さで形成されている。誘電体層14は、絶縁性を有している。誘電体層14は、例えば、窒化ケイ素(SiN)や、二酸化ケイ素(SiO)によって作られうる。
【0042】
メサ12の突端には、層状の電気抵抗体15が設けられている。電気抵抗体15は、例えば、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)を主成分とする合金のような、通電によって発熱する材料で作られうる。電気抵抗体15は、導体層16を介して供給された電力により、発熱する。よって、電気抵抗体15は、ヒータとも称されうる。
【0043】
電気抵抗体15は、頂壁15aと、二つの側壁15bと、を有している。
【0044】
頂壁15aは、メサ12の頂面12a上に、誘電体層14を介して設けられている。頂壁15aは、一定の厚さおよびY方向における略一定の幅を有し、メサ12の頂面12aに沿って延びている。
【0045】
側壁15bは、それぞれ、メサ12の側面12b上に、誘電体層14を介して設けられている。側壁15bは、一定の厚さおよびZ方向における略一定の幅を有し、メサ12の側面12bおよび頂面12aの幅方向の端縁12a1に沿って延びている。
【0046】
本実施形態では、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、一体的に接続されている。頂壁15aおよび二つの側壁15bは、メサ12の延び方向と直交する断面においてU字状の形状を有し、メサ12の突端を覆っている。また、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、メサ12に沿ってX方向に延びている。なお、メサ12がベース面11aに沿って屈曲しながら延びる構成にあっては、頂壁15aおよび二つの側壁15bも、メサ12に沿って屈曲しながら延びる。
【0047】
導体層16は、X方向に略一定の幅で、誘電体層14の表面に沿って延びている。導体層16は、電気抵抗体15と電気的に接続されている。本実施形態では、導体層16は、電気抵抗体15の頂壁15aおよび二つの側壁15bの、誘電体層14とは反対側を、覆っている。
【0048】
導体層16は、電気抵抗体15のX方向の端部に接続されるとともに、電源の端子(不図示)と電気的に接続されており、電気抵抗体15に電力を供給する給電経路として機能する。導体層16は、例えば、金(Au)のような、導電性を有した材料によって作られうる。
【0049】
また、本実施形態では、図示されないが、電気抵抗体15のX方向の反対方向の端部には、電源のもう一つの端子と電気的に接続された導体層が接続される。すなわち、電気抵抗体15は、X方向またはX方向の反対方向、すなわちメサ12の延びる方向に電流が流れるよう、構成されている。
【0050】
誘電体層14、電気抵抗体15、および導体層16は、公知の半導体製造プロセスによって作ることができる。これらのうち、誘電体層14および電気抵抗体15については、まず、メサ12および基板11のベース面11aを覆う誘電体層14が形成され、次に、当該誘電体層14に対してメサ12の側面12bおよび基板11のベース面11aとは反対側の領域が、レジストで埋められる。この際、当該領域は、メサ12の頂部(頂面12aおよび当該頂面12aと隣接した側面12bの少なくとも一部)を覆った誘電体層14が露出した状態となるように、レジストによって埋められる。次に、当該誘電体層14の露出部分を覆うように頂壁15aおよび側壁15bが形成され、その後レジストが除去されることにより、誘電体層14および電気抵抗体15が形成される。
【0051】
以上、説明したように、本実施形態では、半導体素子10Aは、基板11(ベース)と、メサ12と、電気抵抗体15と、を備える。基板11は、ベース面11aを有する。メサ12は、基板11からZ方向(第一方向)に突出し、頂面12aと当該頂面12aの両側の二つの側面12bとを有する。また、電気抵抗体15は、頂面12a上に設けられた頂壁15aと、側面12b上に設けられた側壁15bとを有し、メサ12の延びる方向に電流が流れるよう構成されている。
【0052】
このような構成によれば、電気抵抗体15は、頂壁15aに加えて側壁15bを有している。よって、頂壁のみを有する電気抵抗体に比べて、電気抵抗体15に電流が流れる方向と直交する電気抵抗体15の断面積を、より大きくすることができる。よって、例えば、頂壁15aのみを有した同じ電気抵抗値の電気抵抗体に、同じ電力を供給した場合に比べて、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇を抑制することができ、ひいては、半導体素子10Aの信頼性を向上することができる。なお、電気抵抗体15に電流が流れる方向は、電気抵抗体15およびメサ12の延びる方向である。
【0053】
また、本実施形態では、例えば、電気抵抗体15は、二つの側面12b上にそれぞれ設けられた二つの側壁15bを有している。
【0054】
このような構成によれば、例えば、電気抵抗体15が一つの側壁15bのみを有する場合に比べて、断面積をより大きくしやすい。よって、例えば、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度がより一層低くなりやすい、すなわち、局所的な過度な温度上昇をより一層抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、例えば、電気抵抗体15の頂壁15aと側壁15bとは、互いに接している。
【0056】
このような構成によれば、例えば、頂壁15aと側壁15bとの間での熱伝導性を高めることができ、これにより、頂壁15aによる発熱が、側壁15bを介してメサ12の根元側により伝達されやすくなる。
【0057】
また、本実施形態では、例えば、光の導波層13Aは、メサ12内に設けられている。
【0058】
本実施形態の効果は、メサ12内に導波層13Aを含む構成において、得られる。
【0059】
また、本実施形態では、例えば、導波層13Aと電気抵抗体15の側壁15bとがZ方向(第一方向)に離間している。
【0060】
このような構成によれば、例えば、導波層13Aから光の吸収性が比較的高い側壁15bへの光の漏れを、抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、例えば、誘電体層14は、導波層13Aと側壁15bとの間に介在している。
【0062】
このような構成によれば、例えば、誘電体層14により、導波層13Aから光の吸収性が比較的高い側壁15bへの光の漏れを、抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、例えば、誘電体層14は、メサ12と側壁15bとの間に介在している。
【0064】
このような構成によれば、例えば、誘電体層14により、側壁15bからメサ12に電流が流れるのを阻止することができる。
【0065】
[第1変形例]
図2は、第1実施形態の第1変形例の半導体素子10Bの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0066】
図2図1と比較すれば明らかとなるように、本変形例の半導体素子10Bでは、側壁15bのZ方向の長さが、第1実施形態の半導体素子10Aよりも長い。よって、本変形例によれば、電気抵抗体15の断面積を、より一層大きくすることができる。したがって、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより一層低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇をより一層抑制することができ、ひいては、半導体素子10Bの信頼性をより一層向上することができる。
【0067】
また、本変形例では、例えば、導波層13Aと側壁15bとが、Y方向、すなわちメサ12の幅方向に重なっている。そして、導波層13Aと側壁15bとの間に、誘電体層14が介在している。
【0068】
このような構成によれば、例えば、側壁15bが導波層13AとY方向に重なる位置まで延び、半導体素子10Bの局所的な温度をより低くすることができる構成において、誘電体層14により、導波層13Aから光の吸収性が比較的高い側壁15bへの光の漏れを抑制することができる。
【0069】
なお、電気抵抗体15は、メサ12の延びる方向の全体にわたって、図2に示される断面形状を有してもよいし、メサ12の延びる方向の一部区間において、図2に示される断面形状を有してもよい。また、本変形例では、導波層13Aの全体が、側壁15bとY方向に重なっているが、これには限定されず、導波層13Aの一部が、側壁15bとY方向に重なってもよい。
【0070】
[第2変形例]
図3は、第1実施形態の第2変形例の半導体素子10Cの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0071】
本変形例の半導体素子10Cでは、少なくとも図3の断面を有する部位において、二つの側壁15b1,15b2(15b)のZ方向の長さL1,L2が、互いに異なっている。
【0072】
このような側壁15bの形態は、例えば、側壁15b1の近く(図3におけるメサ12の左側)に半導体素子10Cの別の部位が存在し、当該別の部位が障壁となって側壁15b1をZ方向に長く形成し難いような場合に生じうる。
【0073】
このような構成によっても、側壁15b1,15b2を有している分、電気抵抗体15の断面積をより大きくすることができるため、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇を抑制することができ、ひいては、半導体素子10Cの信頼性を向上することができる。
【0074】
なお、電気抵抗体15は、メサ12の延びる方向の全体にわたって、図3に示される断面形状を有してもよいし、メサ12の延びる方向の一部区間において、図3に示される断面形状を有してもよい。
【0075】
[第3変形例]
図4は、第1実施形態の第3変形例の半導体素子10Dの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0076】
図4に示されるように、本変形例の半導体素子10Dでは、少なくとも図3の断面を有する部位において、電気抵抗体15は、メサ12の二つの側面12b1,12b2(12b)のうち一つの側面12b2に設けられた側壁15b2(15b)のみを、有している。本変形例では、頂壁15aおよび一つの側壁15bは、一体的に接続されており、メサ12の延び方向と直交した断面においてL字状の形状を有し、一つの端縁12a1を覆い、メサ12に沿ってX方向に延びている。
【0077】
このような側壁15bの形態は、側壁15b2とは反対側(図4におけるメサ12の左側)に半導体素子10Dの別の部位が存在し、当該別の部位が障壁となって側壁15b2とは反対側には側壁15bを形成し難いような場合に生じうる。
【0078】
このような構成によっても、側壁15b2を有している分、電気抵抗体15の断面積をより大きくすることができるため、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇を抑制することができ、ひいては、半導体素子10Dの信頼性を向上することができる。
【0079】
なお、電気抵抗体15は、メサ12の延びる方向の全体にわたって、図4に示される断面形状を有してもよいし、メサ12の延びる方向の一部区間において、図4に示される断面形状を有してもよい。
【0080】
[第4変形例]
図5は、第1実施形態の第4変形例の半導体素子10Eの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0081】
図5に示されるように、本変形例の半導体素子10Eでは、導波層13Eの幅がメサ12の幅よりも短く、導波層13Eの幅方向(Y方向)の両側が、メサ12のクラッド層12cで覆われている。すなわち、半導体素子10Eは、所謂埋め込みメサの構成を備えている。
【0082】
このような構成によっても、電気抵抗体15が側壁15bを有している分、当該電気抵抗体15の断面積をより大きくすることができるため、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇を抑制することができ、ひいては、半導体素子10Eの信頼性を向上することができる。
【0083】
[第5変形例]
図6は、第1実施形態の第5変形例の半導体素子10Fの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0084】
図6に示されるように、本変形例の半導体素子10Fでは、頂壁15aと二つの側壁15bとの間に、メサ12に沿って延びたスリットS(隙間)が設けられている。スリットSが設けられている区間において、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、互いに接していない。ただし、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、同じ電源の端子(不図示)と並列に接続されている。すなわち、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、電気的に接続されている。
【0085】
このような構成によっても、電気抵抗体15が側壁15bを有している分、当該電気抵抗体15の断面積をより大きくすることができるため、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇を抑制することができ、ひいては、半導体素子10Fの信頼性を向上することができる。
【0086】
なお、スリットSは、電気抵抗体15の全長に渡って設けられてもよいし、電気抵抗体15の一部区間に設けられてもよい。また、本変形例では、スリットSは、図6の断面においてY方向に延びているが、これには限定されず、スリットSは、当該断面においてZ方向や、Z方向とY方向(またはY方向の反対方向)との間の方向に延びてもよい。また、スリットSの位置も、本変形例の位置には限定されない。
【0087】
[第6変形例]
図7は、第1実施形態の第6変形例の半導体素子10Gの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0088】
図7に示されるように、本変形例の半導体素子10Gでは、頂壁15aと二つの側壁15bとの間に、メサ12に沿って延びた隙間Gが設けられている。隙間Gが設けられている区間において、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、第5変形例よりも大きく離間し、互いに接していない。ただし、本変形例でも、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、同じ電源の端子(不図示)に並列に接続されている。すなわち、頂壁15aおよび二つの側壁15bは、電気的に接続されている。
【0089】
このような構成によっても、電気抵抗体15が側壁15bを有している分、当該電気抵抗体15の断面積をより大きくすることができるため、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇を抑制することができ、ひいては、半導体素子10Gの信頼性を向上することができる。
【0090】
なお、隙間Gは、電気抵抗体15の全長に渡って設けられてもよいし、電気抵抗体15の一部区間に設けられてもよい。また、隙間Gの位置も、本変形例の位置には限定されない。
【0091】
[第7変形例]
図8は、第1実施形態の第7変形例の半導体素子10Hの、導体層16が設けられた位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0092】
図8に示されるように、本変形例の半導体素子10Hは、メサ12と隣接した埋込層17を備えている。埋込層17は、基板11のうち、メサ12が設けられていない領域において、ベース面11aからZ方向に略一定の高さで、X方向およびY方向に延びている。なお、基板11およびメサ12と埋込層17との間には、誘電体層14が介在している。
【0093】
埋込層17のZ方向の高さは、電気抵抗体15の一部が露出するよう、設定されている。本変形例では、埋込層17から電気抵抗体15の頂壁15aが露出している。また、埋込層17の頂面17aは、電気抵抗体15の頂壁15a、または側壁15bのうち頂壁15aの近傍の部位と、Y方向、すなわちメサ12の幅方向と重なるように、設定されている。
【0094】
埋込層17は、絶縁材料で作られる。具体的に、埋込層17は、例えば、ポリイミドのような絶縁性を有した合成樹脂材料で作られうる。埋込層17は、絶縁層や補強層とも称されうる。
【0095】
導体層16は、埋込層17上に設けられている。なお、導体層16が設けられない位置での半導体素子10Hの断面は、図8から導体層16を取り除いた形状となる。
【0096】
以上、説明したように、本変形例では、半導体素子10Hは、基板11(ベース)上にメサ12と隣接した埋込層17を有している。
【0097】
このような構成によれば、例えば、メサ12の保護性を高めることができるとともに、半導体素子10Hの剛性を高めることができる。
【0098】
また、本変形例では、導体層16は、埋込層17上に設けられている。
【0099】
このような構成によれば、例えば、導体層16のメサ12上の部位と、導体層16の基板11上の部位との間で、Z方向の高さの差を小さくできる。よって、例えば、導体層16をより容易に形成できるという利点や、導体層16の体積をより小さくできるという利点が得られる。
【0100】
[第8変形例]
図9は、第1実施形態の第8変形例の半導体素子10Iの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。また、図10は、半導体素子10Iの、導体層16が設けられた位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0101】
図9に示されるように、本変形例の半導体素子10Iは、電気抵抗体15および誘電体層14を覆う保護層18Iを備えている。保護層18Iは、電気抵抗体15のメサ12とは反対側を覆っている。
【0102】
また、図10に示されるように、保護層18Iには、導体層16が設けられる位置において、電気抵抗体15を部分的に露出する開口18Iaが設けられている。導体層16は、電気抵抗体15および保護層18Iの、基板11およびメサ12とは反対側を覆うとともに、開口18Iaを埋めるように貫通し、電気抵抗体15と接続されている。
【0103】
保護層18Iは、例えば、窒化ケイ素や、二酸化ケイ素のような誘電体によって作られうる。保護層18Iは、誘電体層や、絶縁層とも称されうる。保護層18Iは、第二保護層の一例である。
【0104】
以上、説明したように、本変形例では、保護層18Iは、電気抵抗体15を覆っている。
【0105】
このような構成によれば、例えば、電気抵抗体15の保護性を高めることができる。
【0106】
また、本変形例では、保護層18Iには、電気抵抗体15を部分的に露出する開口18Iaが設けられ、導体層16は、保護層18Iのメサ12とは反対側を覆うとともに、開口18Iaを埋めるように貫通し、電気抵抗体15と電気的に接続されている。
【0107】
このような構成によれば、例えば、電気抵抗体15が保護層18Iによって覆われた構成においても、開口18Iaを介して導体層16と電気抵抗体15とを電気的に接続することができる。また、開口18Iaが形成されることにより保護層18Iが欠落した部位においても、開口18Iaを埋める導体層16によって、電気抵抗体15を覆うことができる。よって、電気抵抗体15をより確実に保護することができる。
【0108】
[第9変形例]
図11は、第1実施形態の第9変形例の半導体素子10Jの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。また、図12は、半導体素子10Jの、導体層16が設けられた位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0109】
図11,12に示されるように、本変形例の半導体素子10Jは、第7変形例と同様の埋込層17(図8参照)を備えている。
【0110】
また、図11に示されるように、半導体素子10Jは、電気抵抗体15および埋込層17を覆う保護層18Jを備えている。保護層18Jは、電気抵抗体15および埋込層17の、基板11およびメサ12とは反対側を、覆っている。
【0111】
また、図12に示されるように、保護層18Jには、導体層16が設けられる位置において、電気抵抗体15を部分的に露出する開口18Jaが設けられている。導体層16は、保護層18Jの埋込層17とは反対側を覆うとともに、開口18Jaを埋めるように貫通し、電気抵抗体15と接続されている。
【0112】
保護層18Jは、例えば、窒化ケイ素や、二酸化ケイ素のような誘電体によって作られうる。保護層18Jは、誘電体層や、絶縁層とも称されうる。保護層18Jは、第一保護層の一例である。
【0113】
以上、説明したように、本変形例では、保護層18Jは、電気抵抗体15および埋込層17を覆っている。
【0114】
このような構成によれば、例えば、埋込層17を有した半導体素子10Jにあっても、電気抵抗体15の保護性を高めることができる。
【0115】
また、本変形例では、保護層18Jには、電気抵抗体15を部分的に露出する開口18Jaが設けられ、導体層16は、保護層18Jの埋込層17とは反対側を覆うとともに、開口18Jaを貫通し、電気抵抗体15と電気的に接続されている。
【0116】
このような構成によれば、例えば、電気抵抗体15が保護層18Jによって覆われた構成においても、開口18Jaを介して導体層16と電気抵抗体15とを電気的に接続することができる。また、開口18Jaが形成されることにより保護層18Jが欠落した部位においても、開口18Jaを埋める導体層16によって、電気抵抗体15を覆うことができる。よって、電気抵抗体15をより確実に保護することができる。
【0117】
[第10変形例]
図13は、第1実施形態の第10変形例の半導体素子10Kの導体層16が設けられていない位置でのX方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0118】
図13に示されるように、本変形例の半導体素子10Kは、第7変形例と同様の埋込層17(図8参照)を備えている。
【0119】
ただし、本変形例では、電気抵抗体15の側壁15bは、埋込層17の頂面17aの上側に設けられている。すなわち、側壁15bのZ方向の反対方向の端部15b3は、頂面17aに対してZ方向に接し、側壁15bは、当該端部15b3からZ方向に延びている。
【0120】
また、本変形例でも、保護層18Jは、電気抵抗体15および埋込層17の、基板11およびメサ12とは反対側を、覆っている。
【0121】
以上、説明したように、本変形例では、側壁15bは、埋込層17の上側に設けられている。
【0122】
このような構成によれば、例えば、埋込層17を形成した後に、電気抵抗体15を、当該埋込層17の頂面17a上に、より容易に形成することができる。よって、埋込層17を有した半導体素子10Kの製造の手間やコストをより低減することができる。
【0123】
[第11変形例]
図14は、第1実施形態の第11変形例の半導体素子10Lの、導体層16が設けられた位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0124】
図14に示されるように、本変形例の半導体素子10Lは、第9変形例の半導体素子10J(図12参照)の、誘電体層14および電気抵抗体15と、埋込層17との間に、保護層18Lが介在した構成を、備えている。
【0125】
保護層18Lは、例えば、窒化ケイ素や、二酸化ケイ素のような誘電体によって作られうる。保護層18Lは、第二保護層の一例である。保護層18Lは、誘電体層あるいは絶縁層とも称されうる。
【0126】
このような構成によれば、例えば、保護層18Lによって、電気抵抗体15から埋込層17への熱の伝達を抑制することができ、電気抵抗体15で生じた熱に対する埋込層17の保護性を高めることができる。また、保護層18Lによって、誘電体層14および電気抵抗体15と埋込層17との密着性を向上することができる。
【0127】
[第12変形例]
図15は、第1実施形態の第12変形例の半導体素子10Mの、導体層16が設けられていない位置での、X方向と直交した、すなわちメサ12の延び方向と直交した断面図である。
【0128】
図15に示されるように、本変形例では、導波層13Mは、メサ12からZ方向の反対方向に離れた基板11内に設けられている。半導体素子10Mは、所謂ローメサの構成を備えている。光は、メサ12により、導波層13Mのうちメサ12に対してZ方向の反対方向に位置する領域内に閉じ込められて導波する。
【0129】
メサ12は、第1実施形態と同様に、誘電体層14で覆われている。メサ12の頂面12a上には誘電体層14を介して電気抵抗体15の頂壁15aが設けられ、メサ12の側面12b上には誘電体層14を介して電気抵抗体15の側壁15bが設けられている。また、半導体素子10Mは、第8変形例と同様に、電気抵抗体15および誘電体層14を覆う保護層18Iを備えている。
【0130】
このような構成によっても、電気抵抗体15が側壁15bを有している分、当該電気抵抗体15の断面積をより大きくすることができるため、メサ12あるいは当該メサ12と隣接した各部の局所的な温度をより低くすることができ、すなわち、局所的な過度な温度上昇を抑制することができ、ひいては、半導体素子10Mの信頼性を向上することができる。
【0131】
[第2実施形態]
図16は、第2実施形態の半導体素子100の平面図である。この半導体素子100は、特許文献2に開示されるようなバーニア効果を利用した波長可変型の半導体レーザ素子として構成されている。半導体素子100は、共通の基板11上に集積された半導体素子20,30,40,50,60を備えている。なお、図16では、導波層13A,13E,13Mや、誘電体層14、導体層16、保護層18I,18J,18L等の図示を省略している。
【0132】
半導体素子20は、直線状のメサ12-2(12)を備えている。メサ12-2は、標本化回折格子(sampled grating)を含むDBR(distributed bragg reflector)型の回折格子層と導波層とを含む半導体積層構造を有している。半導体素子20は、櫛形のピークを有する反射スペクトル特性を有しており、レーザ共振器の一方の反射体を構成する。
【0133】
半導体素子20において、基板11の表面11cには、互いに間隔をあけた二つのトレンチ溝11bが形成されており、これら二つのトレンチ溝11bの間に、当該トレンチ溝11bの底面からZ方向に突出したメサ12-2が設けられている。トレンチ溝11bの底面は、基板11のベース面11aの一例である。
【0134】
また、半導体素子20は、電気抵抗体15を備えている。電気抵抗体15は、上記実施形態および変形例と同様に、頂壁15aと側壁15bとを有し、メサ12-2に沿って延びている。通電によって電気抵抗体15を発熱させメサ12-2を加熱することにより、反射ピーク波長を波長軸上で全体的にシフトさせることができる。
【0135】
半導体素子30は、光導波領域としての活性層を含む埋め込みメサ型の半導体積層構造を有する。活性層は、半導体素子20の導波層に光学的に接続されており、半導体素子30に設けられた電極(不図示)によって通電され、光利得を発生する。
【0136】
半導体素子40は、メサ12-4(12)を備えている。メサ12-4は、平面視でY字状かつ折れ線状の外観を呈している。メサ12-4は、導波層を含む半導体積層構造を有する。メサ12-4の一方の端部の導波層は、半導体素子30の活性層に光学的に接続されており、半導体素子30から離間するように延びている。メサ12-4は、その中間部に存在する多モード干渉(MMI)部において二つのアームに分岐され、半導体素子30とは反対側に各アームの他方の端部を有している。
【0137】
半導体素子40においても、半導体素子20と同様に、基板11の表面11cに、互いに間隔をあけた二つのトレンチ溝11bが形成されており、これら二つのトレンチ溝11bの間に、ベース面11aとしてのトレンチ溝11bの底面からZ方向に突出したメサ12-4が設けられている。
【0138】
半導体素子50は、半導体素子40の一部を構成している。半導体素子50は、メサ12-4(12)における一方のアームの一部として、メサ12-5(12)を備えている。
【0139】
半導体素子50においても、半導体素子20,40と同様に、基板11の表面11cに、互いに間隔をあけた二つのトレンチ溝11bが形成されており、これら二つのトレンチ溝11bの間に、ベース面11aとしてのトレンチ溝11bの底面からZ方向に突出したメサ12-5が設けられている。
【0140】
また、半導体素子50は、電気抵抗体15を備えている。電気抵抗体15は、上記実施形態および変形例と同様に、頂壁15aと側壁15bとを有し、メサ12-5に沿って延びている。通電によって電気抵抗体15を発熱させメサ12-5を加熱することにより、メサ12-5における導波層の光路長を変化させることができ、ひいては、レーザ共振器の共振器長を変化させることができる。
【0141】
半導体素子60は、メサ12-6(12)を備えている。メサ12-6は、平面視でリング状の外観を有している。メサ12-6は、導波層を含む半導体積層構造を有するリング共振器である。
【0142】
半導体素子40,50,60は、半導体素子30から入力される光に対して、半導体素子20におけるものとは周期が異なる櫛形のピークを有する反射スペクトル特性を有しており、レーザ共振器の他方の反射体を構成する。
【0143】
メサ12-6の導波層は、半導体素子40のメサ12-4の2つのアーム部のそれぞれの光導波路に光学的に接続されている。
【0144】
半導体素子60においても、半導体素子20,40、60と同様に、基板11の表面11cに、互いに間隔をあけた二つのトレンチ溝11bが形成されており、これら二つのトレンチ溝11bの間に、ベース面11aとしてのトレンチ溝11bの底面からZ方向に突出したメサ12-6が設けられている。
【0145】
また、半導体素子60は、電気抵抗体15を備えている。電気抵抗体15は、上記実施形態および変形例と同様に、頂壁15aと側壁15bとを有し、メサ12-6に沿って延びている。通電によって電気抵抗体15を発熱させメサ12-6を加熱することにより、反射ピーク波長を波長軸上で全体的にシフトさせることができる。
【0146】
メサ12-4との接続部位12Nにおいては、メサ12-6は、メサ12-4側、すなわち外周側の側面12bを有しないため、電気抵抗体15は、頂壁15aと、メサ12-4とは反対側の側壁15bとを有している。すなわち、この電気抵抗体15は、メサ12-4の延び方向と直交する断面において、部分的にL字状の形状を有している。両側にトレンチ溝11bがある接続部位12N以外の一般部位においては、電気抵抗体15は、頂壁15aと二つの側壁15bとを有している。
【0147】
上述した半導体素子100は、半導体素子20,50,60に設けられた電気抵抗体15のそれぞれに供給する電力を調整することにより、バーニア効果を利用した波長可変レーザ素子として機能することができる。
【0148】
本実施形態の半導体素子100によっても、上記実施形態および変形例と同様に、頂壁15aと側壁15bとを有した電気抵抗体15による効果を、得ることができる。
【0149】
[第13変形例]
図17は、第2実施形態の変形例としての第13変形例の半導体素子100Aの平面図である。なお、図17では、導波層13A,13E,13Mや、誘電体層14、導体層16、保護層18I,18J,18L等の図示を省略している。
【0150】
半導体素子100Aは、第2実施形態と同様の半導体素子20,30を有している。すなわち、半導体素子20は、櫛形のピークを有する反射スペクトル特性を有しており、レーザ共振器の一方の反射体を構成する。また、半導体素子30は、光利得を発生する。
【0151】
また、半導体素子100Aは、レーザ共振器の他方の反射体として、反射面100aを備えている。
【0152】
以上の構成を備える本実施形態の半導体素子100Aは、レーザ素子として機能しうる。
【0153】
本実施形態の半導体素子100Aによっても、上記実施形態および変形例と同様に、頂壁15aと側壁15bとを有した電気抵抗体15による効果を、得ることができる。
【0154】
以上、本発明の実施形態および変形例が例示されたが、上記実施形態および変形例は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、半導体素子に利用することができる。
【符号の説明】
【0156】
10A~10M…半導体素子
20,30,40,50,60…半導体素子
11…基板(ベース)
11a…ベース面
11b…トレンチ溝
11c…表面
12…メサ
12-2,12-4,12-5,12-6…メサ
12N…接続部位
12a…頂面
12a1…端縁
12b,12b1,12b2…側面
12c…クラッド層
13A,13E,13M…導波層
14…誘電体層(絶縁層)
15…電気抵抗体
15a…頂壁
15b,15b1,15b2…側壁
15b3…端部
16…導体層
17…埋込層
17a…頂面
18I…保護層
18Ia…開口
18J…保護層
18Ja…開口
18L…保護層(第二保護層)
100,100A…半導体素子
100a…反射面
G…隙間
L1,L2…長さ
S…スリット
X…方向(第二方向、長手方向、延び方向)
Y…方向(第三方向、幅方向、厚さ方向)
Z…方向(第一方向、高さ方向、突出方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17