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特許7594235媒体保持部材、印刷装置、液体を吐出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】媒体保持部材、印刷装置、液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241127BHJP
   D06B 11/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B41J2/01 305
D06B11/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020126146
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023305
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】保坂 茂利
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-155887(JP,A)
【文献】特開2005-171458(JP,A)
【文献】特開平5-272046(JP,A)
【文献】特開2001-307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
D06B 11/00
A47G 25/00-25/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を保持して第1方向に移動可能で、互いに接近及び離間可能な2つの第1部材と、
前記2つの第1部材にそれぞれ保持され、前記媒体を保持して、前記第1部材に対して、前記第1方向と直交する第2方向に移動可能な第2部材とを含む保持部を有し、
前記第2部材は、前記第1方向に沿う面内において、前記第2方向と交差する方向に延びている部材である
ことを特徴とする媒体保持部材。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材とで櫛歯状部材を構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体保持部材。
【請求項3】
前記保持部は回転可能に保持されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体保持部材。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の媒体保持部材と、
前記媒体保持部材で保持される前記媒体に対して印刷を施す手段と、を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記第1部材の移動距離及び前記第2部材の移動距離をそれぞれ検知する移動距離検知手段と、
前記移動距離検知手段により検知した移動距離に基づき、印刷する画像の倍率を決定する倍率決定手段と、を備え、
前記印刷を施す手段は、前記決定された倍率に基づいて印刷を実行する
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の媒体保持部材と、
前記媒体保持部材で保持される前記媒体に対して液体を吐出する手段と、を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体保持部材、印刷装置に、液体を吐出する装置関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、布地などの媒体に対して印刷を行う捺染装置などがある。
【0003】
従来、印刷対象のTシャツに、閉じ状態のTシャツ伸長具を差し込み、当該Tシャツ伸長具を開き、Tシャツの胴部を左右に押し広げることにより、当該胴部の前面部分および背面部分を引き伸ばして平面状態とするようにした衣類印刷システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-031888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている媒体保持部材としての伸長具にあっては、例えばTシャツの縦方向の皺(凹凸を含む。以下同じである)を伸ばすことはできるが、横方向の皺を延ばすことができないので、印刷手段との干渉や異常画像が発生するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、印刷品質を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る媒体保持部材は、
媒体を保持して第1方向に移動可能で、互いに接近及び離間可能な2つの第1部材と、
前記2つの第1部材にそれぞれ保持され、前記媒体を保持して、前記第1部材に対して、前記第1方向と直交する第2方向に移動可能な第2部材とを含む保持部を有し、
前記第2部材は、前記第1方向に沿う面内において、前記第2方向と交差する方向に延びている部材である
構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、印刷品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る媒体保持部材の斜視説明図である。
図2】同媒体保持部材の保持部の平面説明図である。
図3】同媒体保持部材の保持部の説明図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る媒体保持部材の斜視説明図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る媒体保持部材の斜視説明図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る媒体保持部材の斜視説明図である。
図7】本発明の第5実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の平面説明図である。
図8】同じく正面説明図である。
図9】本発明の第6実施形態における印刷制御に係る部分の説明に供するブロック説明図である。
図10】同実施形態における印刷制御の説明に供するフロー図である。
図11】同実施形態における印刷制御に係る説明に供する説明図である。
図12】比較例1における印刷制御に係る説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同実施形態に係る媒体保持部材の斜視説明図、図2は同媒体保持部材の保持部の平面説明図、図3は同媒体保持部材の保持部の説明図であり、図3(a)は斜視説明図、(b)は側面説明図である。
【0011】
媒体保持部材40は、例えばTシャツなどの媒体400を保持する保持部401と、保持部401を支持する支持部402と、支持部402を固定した基部403とを備えている。
【0012】
保持部401は、一対の(2つの)櫛歯状部材410を有している。櫛歯状部材410は、第1部材411と、第2部材412とを含む。
【0013】
第1部材411は、例えば棒状の長尺部材であり、第1方向Xに移動可能である。2つの第1部材411は、支持部402の架橋部422に移動可能に保持されて、互いに接近及び離間可能である。
【0014】
第2部材412は、第1部材411に保持され、第1部材411の移動可能な方向である第1方向Xと直交する第2方向Yに移動可能である。第1部材411には、複数の第2部材412が保持されている。また、第1部材411内には、第2部材412を第2方向Yに移動させる移動機構として、例えばモータなどの駆動源、ギヤなどが配置されている。
【0015】
第2部材412は、媒体400と接触して媒体400保持するコロ部412aと、コロ部412aと一体の軸部412bとを有し、軸部412bが第1部材411のガイド部411aに移動可能に保持されている。第2部材412のコロ部412aの最も高い位置は、図3(b)に示すように、第1部材411の上面と高さと同じである。
【0016】
第1部材411及び第2部材412の表面には、例えば摩擦係数の高い部材を備えることが好ましい。これにより、第1部材411、あるいは、第2部材412が移動するときに、保持(接触)する媒体400に容易にテンションを掛けることができる。
【0017】
支持部402は、基部403に固定された支柱部421と、保持部401の2つの第1部材411を移動可能に保持している架橋部422と、支柱部421と架橋部422とをつなぐ軸部423とを備えている。
【0018】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0019】
媒体保持部材40に媒体400として例えばTシャツ400Aを保持する場合には、図2(b)に示すように、Tシャツ400Aを保持部401に被せるように装着する。そして、保持部401の2つの第1部材411を互いに離間する方向に移動させる。これにより、Tシャツ400Aの表面を均す第1方向Xのテンションが掛けられ、Tシャツ400Aに生じている縦方向(第1方向Xと交差する方向)の皺が均される。
【0020】
次いで、保持部401の第2部材412を第2方向Yに移動させる。第2部材412をTシャツ400A(布地400)に接触させつつ第2方向Yに移動することで、Tシャツ400Aの表面を均す第2方向Yのテンションが掛けられ、Tシャツ400Aに生じている横方向(第2方向Yと交差する方向)の皺が均される。
【0021】
この場合、第2部材412は、動作時間の短縮、並びに、テンションを前後(第2方向Y)に均等にかけるため、Tシャツ400Aの首部分400Aaと裾部分400Abの両方を同時に伸ばしていくことが好ましい。
【0022】
このとき、第2部材412は、一対の櫛歯状部材410の第1部材411、411に設置されているので、Tシャツ400Aに対してテンションを前後(第2方向Y)に掛けるときに、左右(第1方向X)において均等にテンションを掛けることができるようになる。
【0023】
なお、ここでは、媒体400がTシャツ400Aである例で説明しているが、袋状にできる媒体、例えばトートバック、袋状になる帽子などであれば、媒体400の表面の皺を均して印刷することが可能になる。また、袋状ではなく、平面状の媒体400であっても、摩擦力の高い媒体であれば、同様に皺を均すことができる。
【0024】
また、本実施形態では、棒状の第1部材411が第1方向Xに接近及び離間可能に移動することで媒体400にテンションを掛けることができるため、印刷できる媒体400の大きさに対しての自由度が大きくなる。
【0025】
例えば、板状のプラテン部材を保持部材として使用する場合には、プラテン部材の大きさよりも小さい媒体をセットができないため、小さいプラテン部材を用意するか、媒体をテープ等でプラテン部材に無理やり留めておく必要がある。しかしながら、小さいプラテン部材を用意して交換するには手間がかかる。また、媒体をプラテン部材にテープ等で留めておく場合には、媒体の表面に皺が生じ易くなり、画質異常になりやすい。
【0026】
また、プラテン部材よりも大きな画像を印刷したい場合は、大きなプラテン部材を用意する必要があるが、小さいプラテン部材と同様に、用意して交換するには手間がかかる。
【0027】
これに対して、本実施形態では、第1部材411が第1方向X(左右方向)に移動可能であることから、移動可能範囲内であれば、どのような大きさの媒体も保持できて、表面の皺を均して印刷することができる。
【0028】
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して説明する。図4は同実施形態における媒体保持部材の第2部材の移動制御の説明に供する説明図である。なお、ここでは、位置関係を見やすくするため、第1部材は側面図で、第2部材は平面図で示している。
【0029】
本実施形態では、媒体保持部材40の保持部401に媒体400を保持するとき、例えば、第2部材412は、図4に実線で示すように、可動領域内で第2方向Yの一端側に寄せておく。そして、媒体400を保持部401に載せた後、第2部材412を第2方向Yの他端側(矢印方向)に向けて仮想線図示の位置まで移動させることで、媒体400の皺を伸ばすようにしている。
【0030】
これにより、第2部材の可動領域を最大限利用でき、効率よく皺を伸ばすことができる。
【0031】
なお、このとき、各第2部材412を同時ではなく、例えばTシャツ400Aの首部分にある第2部材412から裾部分方向にある第2部材412を順繰りに移動するように制御してもよい。
【0032】
これにより、第2部材の移動により生じる軽微な布のたわみ等を生じさせず、効率よく皺を伸ばすことができる。
【0033】
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して説明する。図5は同実施形態に係る媒体保持部材の斜視説明図である。
【0034】
本実施形態では、支持部402の軸部423を支柱部421に対して回転可能な回転軸部423Aとし、回転軸部423Aを回転駆動する駆動源やギヤなどを支柱部421内に備えている。
【0035】
このように構成したので、保持部401を回転させることができる。これにより、媒体400が袋状の媒体、例えばTシャツ400Aであれば、自動で保持部401を回転させて、前面と背面を入れ替えて印刷することができ、両面印刷を簡単に行うことができる。
【0036】
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して説明する。図6は同実施形態に係る媒体保持部材の斜視説明図である。
【0037】
本実施形態では、保持部401の一対の(2つの)櫛歯状部材410は、第1方向Xを回動中心として、実線図示の位置(印刷位置)と仮想線図示の位置(セット位置)との間で矢印方向に回動可能に設けられている。なお、櫛歯状部材410の仮想線図示の位置では、図を見やすくするため、第1部材411のみ図示して第2部材412の図示を省略している。
【0038】
このように構成したので、保持部401の一対の(2つの)櫛歯状部材410の仮想線図示の位置に回動して手前側を持ち上げた状態にすることができ、例えばTシャツをセットするとき、ユーザーが上から下に向かってTシャツをセットすることができ、操作性が向上する。
【0039】
次に、本発明の第5実施形態について図7及び図8を参照して説明する。図7は同実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の平面説明図、図8は同じく正面説明図である。
【0040】
印刷装置1は、液体を吐出する装置であり、液体を吐出する液体吐出手段である複数のヘッド20(20A~20D)を搭載したキャリッジ11を備えている。
【0041】
ガイド部材12、13はキャリッジ11を第1方向(主走査方向)Xに往復移動可能に保持している。キャリッジ11は、主走査モータ14で回転される駆動プーリ15と従動プーリ16との掛け回したタイミングベルト17に連結し、主走査モータ14を駆動することによりキャリッジ11を第1方向(主走査方向)Xに往復移動させる。
【0042】
キャリッジ11の位置は、第1方向(主走査方向)Xに沿って配置されるエンコーダシートと、エンコーダシートのスリットを読み取る読み取りセンサとで構成されるリニアエンコーダによって検出できる。
【0043】
コントローラボード50は、キャリッジ11の位置から吐出位置でタイミングを合わせてヘッド20から液体であるインクを吐出させる制御をする。
【0044】
装置本体側のタンクホルダ51には、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色の液体を貯留したメインタンク32が着脱可能に装着される。メインタンク32の液体は、供給経路及び送液手段によってヘッド20側に送液される。
【0045】
印刷装置1は、印刷対象(液体付与対象)としての媒体400を保持する媒体保持部材40を備えている。媒体保持部材40は、前記第1実施形態或いは第2実施形態と同様な構成である。
【0046】
媒体保持部材40は、昇降機構41上に搭載して上下方向Zの高さを調整可能としている。昇降機構41はスライダ42上に搭載されている。スライダ42は、第1方向(主走査方向)Xと直交する第2方向(副走査方向)Yに延設したスライドレール43上に移動可能に載置されている。
【0047】
スライダ42は、タイミングベルト45を介して副走査駆動機構により第2方向(副走査方向)Yに往復移動される。スライダ42が第2方向(副走査方向)Yに往復移動されることにより、媒体保持部材40も第2方向(副走査方向)Yに往復移動される。
【0048】
主走査方向の一端側には、ヘッド20の維持回復を行うメンテナンスユニット60が配置されている。メンテナンスユニット60は、ヘッド20のノズル面をキャッピングする吸引キャップ61と、ヘッド20のノズル面を保湿のためにキャッピングする保湿キャップ62と、ヘッド20のノズル面を払拭する払拭部材63を備えている。吸引キャップ61には吸引ポンプが接続されている。
【0049】
主走査方向の他端側には、吐出受け66が配置されている。コントローラボード50は、印刷途中で、ヘッド20から吐出受け66に液体を吐出させることにより、ヘッド20の維持回復を行う。
【0050】
また、印刷装置1は、電源ボタン70、操作部71、電源ユニット72などを備えている。
【0051】
この印刷装置1において、例えばTシャツ400Aに印刷を行うときには、前述したようにTシャツ400Aを媒体保持部材40の保持部401にセットする。その後、操作部71での操作により、スライダ42を介して媒体保持部材40を装置内後方へ完全に引き込む動作を行う。
【0052】
媒体保持部材40の引き込みが完了したとき、印刷データ待機状態となる。ここで、印刷装置1が外部の情報処理装置から印刷データを受信したときに印刷動作が開始される。あるいは、予めコントローラボード50に印刷データが蓄積されていた場合には、操作部71で当該印刷データを選択することによって印刷動作が開始される。
【0053】
印刷動作が開始されると、スライダ42を介して媒体保持部材40が印刷開始位置まで移動される。その後、キャリッジ11の移動とヘッド20からの液体吐出が行われて、1行分が印刷される。1行分が印刷されると、スライダ42を介して媒体保持部材40が1行分移動される。キャリッジ11の1スキャンとスライダ42の間欠移動の繰り返しを行うことにより、Tシャツ400Aの所望の領域に印刷を施す。印刷完了後、媒体保持部材40は装置手前まで戻されて印刷終了となる。
【0054】
次に、本発明の第6実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態における印刷制御に係る部分の説明に供するブロック説明図である。
【0055】
本実施形態では、第1部材411の第1方向Xへの移動距離を検知するX方向移動距離検知手段811と、第2部材412の第2方向Yへの移動距離を検知するY方向移動距離検知手段812とを備えている。
【0056】
そして、倍率決定手段813は、X方向移動距離検知手段811の検知結果及びY方向移動距離検知手段812の検知結果に基づいて印刷する画像の倍率を決定する。
【0057】
印刷制御手段814は、印刷に係る制御を司り、印刷機構部815を駆動制御して印刷を実行する。印刷制御手段814は、印刷を行うとき、印刷する画像を倍率決定手段813で決定された倍率で変倍して印刷を実行する。
【0058】
なお、印刷機構部815は、前記第3実施形態で説明したように、媒体400に印刷を施すための機構部であり、ヘッド20及びその移動機構、媒体保持部材40及びその移動機構などで構成される。
【0059】
次に、本実施形態に係る印刷制御について図10のフロー図を参照して説明する。
【0060】
まず、前記第1実施形態で説明したように、媒体保持部材40に媒体400として例えばTシャツ400Aを保持する場合には、Tシャツ400Aを保持部401に被せるように装着する。そして、2つの第1部材411を互いに離間する方向に移動させ、次いで、第2部材412を第2方向Yに移動させる(ステップS1、以下、「S1」というように表記する。)。
【0061】
このとき、X方向移動距離検知手段811によって第1部材411の第1方向Xへの移動距離を検知し、Y方向移動距離検知手段812によって第2部材412の第2方向Yへの移動距離を検知する(S2)。
【0062】
次いで、倍率決定手段813は、X方向移動距離検知手段811の検知結果及びY方向移動距離検知手段812の検知結果に基づいて印刷する画像の倍率を決定する(S3)。
【0063】
その後、印刷制御手段814によって、倍率決定手段813で決定された倍率で印刷する画像を変倍し、印刷機構部815を駆動制御して印刷を実行する(S4)。
【0064】
本実施形態の作用について図11及び図12を参照して説明する。図11は本実施形態による印刷制御に係る説明に供する説明図、図12は比較例1における印刷制御に係る説明に供する説明図である。
【0065】
比較例1では、図12(a)に示すように、Tシャツ400Aにテンションを掛けた状態で、指定された大きさの画像(元画像)Daを印刷している。この場合、図12(b)に示すように、印刷後にTシャツ400Aを媒体保持部材40から取り外すと、テンションがなくなるので、印刷した元画像Daの面積が小さくなった画像Dbとなり、再現性が低下する。
【0066】
これに対し、本実施形態では、図11(a)に示すように、テンションが掛けられた状態のTシャツ400Aに相当するように元画像Daを拡大した拡大画像Dcを印刷している。この場合、図11(b)に示すように、印刷後にTシャツ400Aを媒体保持部材40から取り外すと、テンションがなくなるので、印刷した拡大画像Dcの面積が小さくなって元像Dbの大きさとなり、再現性が向上し、印刷品質が向上する。
【符号の説明】
【0067】
1 印刷装置
11 キャリッジ
20 ヘッド(液体吐出手段)
40 媒体保持部材
400 媒体
401 保持部
402 支持部
403 基部
410 櫛歯状部材
411 第1部材
412 第2部材
813 倍率決定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12