(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ベルト装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241127BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/00 310
(21)【出願番号】P 2020216340
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020010117
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】濱田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小暮 成一
(72)【発明者】
【氏名】中本 篤
(72)【発明者】
【氏名】秋山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】青木 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-233300(JP,A)
【文献】特開2005-148302(JP,A)
【文献】特開2006-171522(JP,A)
【文献】特開2016-218209(JP,A)
【文献】特開2010-039272(JP,A)
【文献】特開平10-104998(JP,A)
【文献】特開2011-102858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ部材に張架され支持されたベルト部材を備えたベルト装置であって、
前記ローラ部材の軸方向両端部をそれぞれ支持する一対の側板を具備して、前記ベルト部材を保持する筐体と、
前記一対の側板のうち一方の側板に取り付けられて、前記一方の側板の他方の側板に対する位置を調整するための位置決め板と、
前記ベルト部材の表面を清掃する清掃部材を具備して、前記位置決め板に対して着脱可能に設置された清掃ユニットと、
を備
え、
前記位置決め板は、当該ベルト装置から前記清掃ユニットを着脱するための開口が形成され、
前記筐体は、当該ベルト装置に対して前記清掃ユニットが着脱されるときに前記清掃ユニットを案内するための筐体ガイド部を具備したことを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
前記筐体ガイド部は、前記一対の側板の間に設けられたステーに形成されて、前記清掃ユニットの装着方向の手前側に向けて下方に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のベルト装置。
【請求項3】
ローラ部材に張架され支持されたベルト部材を備えたベルト装置であって、
前記ローラ部材の軸方向両端部をそれぞれ支持する一対の側板を具備して、前記ベルト部材を保持する筐体と、
前記一対の側板のうち一方の側板に取り付けられて、前記一方の側板の他方の側板に対する位置を調整するための位置決め板と、
前記ベルト部材の表面を清掃する清掃部材を具備して、前記位置決め板に対して着脱可能に設置された清掃ユニットと、
を備え、
前記位置決め板は、当該ベルト装置から前記清掃ユニットを着脱するための開口が形成され、
前記清掃ユニットは、当該ベルト装置への装着動作時において前記ベルト部材を前記清掃部材へ案内するためのユニットガイド部を具備し、
前記ユニットガイド部は、前記清掃ユニットの装着方向の奥側に向けて下方に傾斜していることを特徴とするベルト装置。
【請求項4】
ローラ部材に張架され支持されたベルト部材を備えたベルト装置であって、
前記ローラ部材の軸方向両端部をそれぞれ支持する一対の側板を具備して、前記ベルト部材を保持する筐体と、
前記一対の側板のうち一方の側板に取り付けられて、前記一方の側板の他方の側板に対する位置を調整するための位置決め板と、
前記ベルト部材の表面を清掃する清掃部材を具備して、前記位置決め板に対して着脱可能に設置された清掃ユニットと、
を備え、
前記位置決め板は、当該ベルト装置から前記清掃ユニットを着脱するための開口が形成され、
前記清掃ユニットは、当該ベルト装置への着脱動作時において前記開口に当接可能に形成されて当該清掃ユニットの姿勢が変化する範囲を制限するためのストッパ部を具備したことを特徴とするベルト装置。
【請求項5】
前記位置決め板は、当該ベルト装置に対して前記清掃ユニットが着脱されるときに前記清掃ユニットを案内するための位置決め板ガイド部を具備したことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項6】
前記位置決め板は、前記清掃ユニットの装着方向の奥側に向けて突出するように形成されたことを特徴とする請求項5に記載のベルト装置。
【請求項7】
前記清掃ユニットは、前記清掃部材が前記ベルト部材に接触する位置を示す目印を具備したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項8】
前記清掃ユニットは、前記清掃部材と前記ベルト部材との接触状態を視認するための切欠き部又は穴部を具備したことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項9】
前記清掃ユニットは、前記位置決め板に装着された状態で、前記清掃部材よりも下方の位置に、上方に起立する壁部で囲まれた凹部が形成されたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項10】
前記清掃ユニットは、当該ベルト装置への装着方向の手前側に突起する把持部が形成されたことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項11】
前記清掃ユニットは、当該ベルト装置への装着方向にみたときに、前記開口から装着方向奥側に向けて挿入される部分が、前記開口の開口範囲内に配置されたことを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項12】
ローラ部材に張架され支持されたベルト部材を備えたベルト装置であって、
前記ローラ部材の軸方向両端部をそれぞれ支持する一対の側板を具備して、前記ベルト部材を保持する筐体と、
前記一対の側板のうち一方の側板に取り付けられて、前記一方の側板の他方の側板に対する位置を調整するための位置決め板と、
前記ベルト部材の表面を清掃する清掃部材を具備して、前記位置決め板に対して着脱可能に設置された清掃ユニットと、
を備え、
前記位置決め板は、画像形成装置本体に位置決めされて、前記一方の側板に対する固定位置を調整可能に構成されたことを特徴とするベルト装置。
【請求項13】
前記清掃部材は、前記ベルト装置の表面に周方向にわたって形成されたスケール状パターンを清掃することを特徴とする請求項1~請求項12のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項14】
当該ベルト装置は、画像形成装置本体に対して所定の引出し方向に引出し可能に構成されて、前記清掃ユニットを離脱する方向が前記引出し方向に略一致することを特徴とする請求項1~請求項13のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項15】
請求項1~請求項14のいずれかに記載のベルト装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、感光体ベルト、定着ベルト等のベルト部材が所定方向に走行されるベルト装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、中間転写ベルトなどのベルト部材の表面を清掃する清掃部材を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1~3参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1~3における画像形成装置は、中間転写ベルト(ベルト部材)の走行速度を安定化することを目的として、無端状の中間転写ベルトの内周面又は外周面における幅方向端部にスケール状パターンを形成して、スケール状パターンを光学センサ(検知センサ)によって光学的に検知した検知結果に基づいて中間転写ベルトの駆動制御をおこなっている。
そして、中間転写ベルトのスケール状パターンに清掃部材を当接させて、中間転写ベルトの表面のスケール状パターンの汚れを清掃することで、スケール状パターンの検知不良による中間転写ベルトの走行不良を防止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、中間転写ベルトなどのベルト部材に対する清掃部材の位置精度が低くて、清掃部材による清掃効率が低かった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、清掃部材による清掃効率が高い、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるベルト装置は、ローラ部材に張架され支持されたベルト部材を備えたベルト装置であって、前記ローラ部材の軸方向両端部をそれぞれ支持する一対の側板を具備して、前記ベルト部材を保持する筐体と、前記一対の側板のうち一方の側板に取り付けられて、前記一方の側板の他方の側板に対する位置を調整するための位置決め板と、前記ベルト部材の表面を清掃する清掃部材を具備して、前記位置決め板に対して着脱可能に設置された清掃ユニットと、を備え、前記位置決め板は、当該ベルト装置から前記清掃ユニットを着脱するための開口が形成され、前記筐体は、当該ベルト装置に対して前記清掃ユニットが着脱されるときに前記清掃ユニットを案内するための筐体ガイド部を具備したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、清掃部材による清掃効率が高い、ベルト装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図4】中間転写ベルトの要部を内周面側からみた図である。
【
図5】スケール状パターンと2つの光学センサとの走行方向の位置関係を示す模式図である。
【
図6】(A)中間転写ベルト装置が画像形成装置本体に装着された状態を上方から示す概略断面図と、(B)中間転写ベルト装置が画像形成装置本体から引出された状態を上方から示す概略断面図と、である。
【
図7】中間転写ベルト装置における筐体と位置決め板との位置関係を示す概略斜視図である。
【
図8】(A)位置決め板を示す斜視図と、(B)その位置決め板に清掃ユニットが装着された状態を示す斜視図と、である。
【
図9】(A)位置決め板とステーとを示す斜視図と、(B)その位置決め板に清掃ユニットが装着された状態を示す斜視図と、である。
【
図10】清掃ユニットを別々の角度から示す斜視図である。
【
図11】変形例としての清掃ユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、
図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、ベルト装置としての中間転写ベルト装置8が設置されている。また、中間転写ベルト装置8の中間転写ベルト10(ベルト部材)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Y(感光体)と、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト10(ベルト部材)及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト10上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト10上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト10上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、ベルト装置としての中間転写ベルト装置8は、
図3を参照して、ベルト部材としての中間転写ベルト10、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写対向ローラ14、テンションローラ15、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部30、2次転写ローラ40、等で構成される。中間転写ベルト10は、複数のローラ部材11~15によって張架・支持されるとともに、駆動モータ91による1つのローラ部材(駆動ローラ11)の回転駆動によって
図3中の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト10は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト10上に重ねて1次転写される。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト10は、2次転写ローラ40との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ14が、2次転写ローラ40との間に中間転写ベルト10を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト10上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される。このとき、中間転写ベルト10には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト10は、中間転写クリーニング部30の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト10上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト10上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、
図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙部26には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト10上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着部45の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、
図2にて、作像部における現像部5Y(現像装置)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0025】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像部5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(
図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0027】
次に、
図3を用いて、本実施の形態における中間転写ベルト装置8(ベルト装置)について詳述する。
図3を参照して、ベルト装置としての中間転写ベルト装置8は、ベルト部材としての中間転写ベルト10、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写対向ローラ14、テンションローラ15、クリーニング対向ローラ13、中間転写クリーニング部30、2次転写ローラ40、等で構成される。
【0028】
中間転写ベルト10(ベルト部材)は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向するように配設されている。中間転写ベルト10は、主として5つのローラ部材(駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写対向ローラ14、テンションローラ15、クリーニング対向ローラ13、である。)によって張架・支持されている。
【0029】
本実施の形態において、中間転写ベルト10は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。中間転写ベルト10は、体積抵抗率が106~1013Ωcm、ベルト裏面側の表面抵抗率が107~1013Ωcmの範囲となるように調整されている。また、中間転写ベルト10は、厚さが20~200μmの範囲となるように設定されている。本実施の形態では、中間転写ベルト10の厚さが60μm程度に、体積抵抗率が109Ωcm程度に、設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト10の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン-四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト10の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。また、上述した中間転写ベルト10の体積抵抗率は、「ハイレスターUP MCP HT45」(三菱化学社製)を用いて印加電圧100Vの条件にて測定したものである。
【0030】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対向している。詳しくは、イエロー用の転写ローラ9Yは中間転写ベルト10を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに対向し、マゼンタ用の転写ローラ9Mは中間転写ベルト10を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに対向し、シアン用の転写ローラ9Cは中間転写ベルト10を介してシアン用の感光体ドラム1Cに対向し、ブラック用(黒色用)の転写ローラ9Kは中間転写ベルト10を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに対向している。1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、芯金上に、導電性スポンジ層が形成された弾性ローラであって、体積抵抗が106~1012Ω(好ましくは、107~109Ω)の範囲となるように調整されている。
【0031】
駆動ローラ11は、制御部90によって制御される駆動モータ91によって回転駆動される。これにより、中間転写ベルト10は所定方向(
図3の時計方向である。)に走行することになる。
テンションローラ15は、芯金上に弾性層が形成されたローラ部材であって、中間転写ベルト10の外周面に当接している。従動ローラ12は、中間転写ベルト10の内周面に当接している。2次転写対向ローラ14とテンションローラ15との間には、中間転写ベルト10を介してクリーニング対向ローラ13に対向するように中間転写クリーニング部30(クリーニングブレード)が設置されている。これらのローラ部材12~15は、それぞれ、中間転写ベルト10の走行にともない従動回転する。
【0032】
図3を参照して、2次転写対向ローラ14は、中間転写ベルト10を介して2次転写ローラ40に当接している。2次転写対向ローラ14は、ステンレス鋼等からなる円筒状の芯金の外周面に、体積抵抗が10
7~10
8Ω程度で、硬度(JIS-A硬度)が48~58度程度のNBRゴムからなる弾性層83(層厚は5mm程度である。)が形成されたものである。
【0033】
また、本実施の形態において、2次転写対向ローラ14は、電源(バイアス出力手段)に電気的に接続されていて、その電源から-10kV程度の高圧電圧となる2次転写バイアスが印加される。この2次転写対向ローラ14に印加される2次転写バイアスは、2次転写ニップに搬送されるシートPに中間転写ベルト10に担持されたトナー像を2次転写するためのものであって、トナーの極性と同じ極性(本実施の形態ではマイナス極性である。)のバイアス(直流電圧)である。これにより、中間転写ベルト10のトナー担持面(外周面)に担持されたトナーが、2次転写電界によって2次転写対向ローラ14側から2次転写ローラ40側に向かって静電移動することになる。
なお、2次転写バイアスは、直流電圧に交流電圧を重畳したものであってもよい。
【0034】
2次転写ローラ40は、中間転写ベルト10のトナー担持面(外周面)に当接して、シートPが搬送される2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ40は、ステンレス鋼、アルミニウム等からなる中空状の芯金上に、硬度(アスカーC硬度)が40~50度程度の弾性層が形成(被覆)されたものである。2次転写ローラ40の弾性層は、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、ソリッド状又は発泡スポンジ状に形成することができる。本実施の形態において、弾性層は、転写電流の集中を抑えるために、その体積抵抗が106.5~107.5Ω程度に設定されている。
なお、2次転写ローラ40の表面に半導電性のフッ素樹脂やウレタン樹脂などの離型層を形成して、ローラ表面のトナーに対する離型性を向上させることもできる。
【0035】
ここで、
図4を参照して、中間転写ベルト装置8(ベルト装置)において、所定方向に走行する無端状の中間転写ベルト10(ベルト部材)には、スケール状パターン17が形成されている。詳しくは、本実施の形態において、中間転写ベルト10には、その表面(内周面)の端部にスケール状パターン17が形成されたスケールテープ(テープ状部材)が周状に貼着されている。
スケール状パターンは、光を反射する材料からなる反射部17pと、光を反射しないで吸収する材料からなる非反射部17sと、が走行方向(
図4、
図5において白矢印方向に示す中間転写ベルト10の走行方向である。)に交互に同じピッチXで配列されたものである。
【0036】
また、
図3~
図5を参照して、中間転写ベルト装置8には、中間転写ベルト10の内周面側であってスケール状パターン17に対向する位置に、スケール状パターン17を検知する光学センサ21A、21B(検知手段)が設置されている。特に、本実施の形態では、
図4、
図5を参照して、周方向に所定の間隔Dをあけて2つの光学センサ(上流側の第1光学センサ21Aと、下流側の第2光学センサ21Bと、である。)が設置されている。
なお、2つの光学センサ21A、21Bは、それぞれ、発光素子、受光素子、コリメートレンズ、複数のスリットが形成された整形板(スリットマスク)、等で構成されている。
また、2つの光学センサ21A、21Bは、いずれも保持部材に保持されていて、センサユニット20を構成している。センサユニット20は、中間転写ベルト装置8の筐体に保持されている。
【0037】
また、2つの光学センサ21A、21Bの間隔D(発光素子からの射出光が中間転写ベルト10上で反射する位置が基準となる。)は、
図5に示すように、スケール状パターン17のピッチXの整数倍になるように設定されている。そのため、スケール状パターン17のピッチXが正確に狙いの値になっている場合には、2つの光学センサ21A、21Bの出力波形(パルス波形、又は、アナログ化された略正弦波形である。)の位相は一致することになる。これに対して、環境変動などによる中間転写ベルト10(スケールテープ)の伸縮などによってスケール状パターン17のピッチXが狙いの値になっていない場合には、それに応じて、2つの光学センサ21A、21Bの出力波形の位相がずれることになる。本実施の形態では、2つの光学センサ21A、21Bのうち少なくとも一方の光学センサによるスケール状パターン17の検知によって、中間転写ベルト10の走行速度の変動を検知するとともに、その検知結果に対して、2つの光学センサ21A、21Bによって検知したスケール状パターン17のピッチXの変化分を補正して、制御部90によって駆動モータ91の回転数を調整しているため、色ズレなどの異常が生じないように中間転写ベルト10の速度を適正化することができる。すなわち、光学センサ21A、21Bによってスケール状パターン17を検知して、その検知結果に基づいて中間転写ベルト10の走行速度が調整制御されることになる。
【0038】
以下、本実施の形態における中間転写ベルト装置8(画像形成装置100)の、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に
図3等を用いて説明したように、ベルト装置としての中間転写ベルト装置8には、複数のローラ部材11~15に張架され支持されたベルト部材としての中間転写ベルト10が設置されている。
ここで、
図6、
図7を参照して、中間転写ベルト装置8には、中間転写ベルト10(ベルト部材)を保持する筐体81、82、86が設けられている。
詳しくは、
図6(A)に示すように、中間転写ベルト装置8の筐体(枠体)は、中間転写ベルト10を張架・支持する複数のローラ部材11~15(1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kも含む。)の軸方向両端部をそれぞれ回転可能に支持する一対の側板81、82や、その一対の側板81、82の間に設けられたステー86、などで構成されている。
【0039】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト装置8は、
図6(B)に示すように、画像形成装置本体100(本体フレーム110)に対して所定の引出し方向(
図6(B)の下方である。)に引出し可能に構成されている。
詳しくは、筐体81、82、86の両端部(
図6の左右方向の両端部である。)には、それぞれ、ユニット側スライダ85が設けられている。そして、これらのユニット側スライダ85は、それぞれ、画像形成装置本体100の本体フレーム110に設置された本体側スライダ115に接続されている。このような構成により、中間転写ベルト装置8は、画像形成装置本体100(本体フレーム110)に対して、
図6(B)の白矢印方向の逆方向に引出されたり、白矢印方向に装着されたりすることになる。
【0040】
ここで、本実施の形態において、中間転写ベルト装置8には、
図6(A)、
図7等に示すように、一対の側板81、82のうち一方の側板81(引出し方向手前側の前側板である。)に設置されて、一方の側板81(前側板)の他方の側板82(後側板)に対する位置を調整するための位置決め板83、84が2つ設けられている(取り付けられている)。
詳しくは、位置決め板83、84は、画像形成装置本体100(本体フレーム110)に位置決めされて、一方の側板81(前側板)に対する固定位置を調整可能に構成されている。
【0041】
具体的に、
図6(A)に示すように、引出し方向奥側の側板82(後側板)は、そこに形成された位置決め穴82aが、本体フレーム110の位置決めピン111(本体フレーム110の引出し方向奥側に固設されている。)に嵌合して、本体フレーム110に対する位置が定められる。
これに対して、引出し方向手前側の側板81(前側板)は、位置決め板83、84を介して、本体フレーム110に対する位置が定められる。
詳しくは、位置決め板83、84の位置決め穴83a、84aが、本体フレーム110の位置決めピン112(本体フレーム110の引出し方向手前側に固設されている。)に嵌合する。また、位置決め板83、84の調整穴83b、84b(バカ穴)が、側板81のピン81aに挿通されるが、調整穴83b、84bの穴径に対してピン81aの外径が小さいため、位置決め板83、84(本体フレーム110)に対する側板81の位置を調整することができる。
そして、このような構成により、複数のローラ部材11~15にネジレなどなく平行度が精度良く確保された状態になるように、奥側の側板82に対する手前側の側板81の相対的な位置を調整して、その最適な調整位置で固定ネジ95を位置決め板83、84を介して側板81の雌ネジ部に螺合させて、手前側の側板81の本体フレーム110に対する位置を定める。
このように、位置決め板83、84を用いて一方の側板81一方の側板81(前側板)の他方の側板82(後側板)に対する位置を最適な位置に調整することで、一対の側板81、82にネジレや位置ズレなどが生じることなく、中間転写ベルト10が良好に走行することになる。
【0042】
ここで、本実施の形態における中間転写ベルト装置8には、位置決め板83(2つの位置決め板83、84のうち、一方の位置決め板83である。)に対して清掃ユニット60(
図6、
図10等参照)が着脱可能に設置されている。
この清掃ユニット60には、中間転写ベルト10(ベルト部材)の表面を清掃する清掃部材61が設置されている。具体的に、主として、清掃ユニット60は、清掃部材61と、清掃部材61を保持する保持部材としてのフレーム62と、で構成されている。
【0043】
詳しくは、
図10等を参照して、本実施の形態において、清掃部材61は、中間転写ベルト装置8の表面に周方向にわたって形成されたスケール状パターン17を清掃する植毛部材であって、スケール状パターン17に幅方向(
図4の上下方向である。)にわたって摺接するように構成されている。清掃部材61(植毛部材)は、スケール状パターン17に摺接しても傷つけないように、テフロンなどの低摩擦材料からなる植毛で形成されている。
また、本実施の形態において、清掃部材61は、
図10(A)に示すように、中間転写ベルト10を挟むように内周面側と外周面側とにそれぞれ設置されている。具体的に、中間転写ベルト10の内周面に対向する板金部分に第1の植毛部材の基布部が貼着され、中間転写ベルト10の外周面に対向する板金部分にも第2の植毛部材の基布部が貼着されている。このように、中間転写ベルト10を挟むように清掃部材61を構成することで、中間転写ベルト10の片面側(内周面側)のみに清掃部材を当接させる場合に比べて、中間転写ベルト10のバタツキを抑えることができる(ベルトをしっかりホールドすることができる)。
このようにスケール状パターン17を清掃部材61によって清掃することで、スケール状パターン17がトナーなどの付着によって汚れて反射部17pと非反射部17sとを光学センサ21A、21Bによって識別することができずに(誤検知してしまい)、中間転写ベルト10の走行速度制御に狂いが生じてしまう不具合を軽減することができる。
【0044】
ここで、
図7~
図9等に示すように、本実施の形態における中間転写ベルト装置8において、位置決め板83には、中間転写ベルト装置8から清掃ユニット60を着脱するための開口83cが形成されている。なお、
図8(B)、
図9(B)、
図10(A)に付した矢印Sは、位置決め板83に対する清掃ユニット60の装着方向を示している。
詳しくは、先に説明したように、中間転写ベルト装置8は、
図7の矢印方向を引出し方向として画像形成装置本体100(本体フレーム110)から引出される。そして、清掃ユニット60を離脱する方向が、その引出し方向に略一致している。すなわち、清掃ユニット60は、中間転写ベルト装置8(位置決め板83)に対して
図7の矢印方向に取り出されることになる。
そして、位置決め板83の開口83cは、引出し方向手前側からみて露呈する位置に形成されている。すなわち、開口83cは、ユーザーやサービスマンなどの作業者が中間転写ベルト装置8の着脱操作をおこなう側に、開口している。これにより、作業者は、画像形成装置本体100に対する中間転写ベルト装置8の着脱操作や、中間転写ベルト装置8(位置決め板83)に対する清掃ユニット60の着脱操作を、容易におこなうことができる。
【0045】
また、本実施の形態において、清掃ユニット60は、中間転写ベルト装置8への装着方向(
図8(B)、
図9(B)の矢印S方向である。)にみたときに、開口83cから装着方向奥側に向けて挿入される部分(
図10(A)において破線Qで囲んだ部分以外の部分である。)が、開口83cの開口範囲内に配置されている。すなわち、清掃ユニット60を装着方向に投影したときに、
図10(A)において破線で囲んだ部分は開口83cの範囲外に位置するが、それ以外の部分は開口83cの範囲内に位置することになる。
これにより、清掃ユニット60の要部(清掃部材61が設置された部分である。)を開口83cから矢印方向にスムーズに装着することが可能になる。
なお、
図10(A)において破線で囲んだ部分は、位置決め板83に面接触する部分であって、そのような状態で位置決め板83にネジ締結されることで、位置決め板83(中間転写ベルト装置8)に清掃ユニット60が固定されることになる。
【0046】
このように、本実施の形態では、位置決め板83に、清掃ユニット60の着脱をおこなうための開口83cを設けているため、清掃部材61のメンテナンスをおこなうときの作業効率を高めることができる。
また、清掃ユニット60(清掃部材61)は、中間転写ベルト装置8の筐体(例えば、ステー86である。)に設置されるのではなく、位置決め板83に設置されるため、中間転写ベルト10に対する位置精度を高めることができる。すなわち、中間転写ベルト装置8のステー86などに設置した場合には、筐体にネジレなどがあると中間転写ベルト10に対する清掃部材61の位置精度が低くなってしまうが、最終的な位置決めをおこなう基準となる位置決め板83に清掃部材61を固定することで、そのような位置精度の低下が生じにくくなる。特に、本実施の形態では、スケール状パターン17が、後側の側板82ではなく、前側の側板81(ネジレや位置ズレが生じやすい側板であって、位置決め板83、84によって位置調整される側板である。)に近い側に形成されているため、このように位置決め板83に清掃部材61を固定することが有用になる。
【0047】
以下、作業者が清掃ユニット60を中間転写ベルト装置8から取り外すときの操作手順について説明する。
まず、
図6(A)に示すように画像形成装置本体100(本体フレーム110)に装着された状態の中間転写ベルト装置8を、
図6(B)に示すように、操作方向手前側(引出し方向手前側)に引出す。そして、
図6(B)に示すように、引出された状態の中間転写ベルト装置8(位置決め板83、84が設置された状態のものである。)における位置決め板83の開口83cから、清掃ユニット60を操作方向手前側(引出し方向手前側)に引出すことになる。
ここで、清掃ユニット60の引出しは、
図6(A)に示すように中間転写ベルト装置8が画像形成装置本体100から引出されていない状態でも可能であるが、その場合には、中間転写ベルト装置8を引出しておこなう場合に比べて、中間転写ベルト10のテンションが張られた状態であるため、清掃ユニット60の引出し作業がやや難しくなる。
なお、作業者が清掃ユニット60を中間転写ベルト装置8に取り付けるときには、上述した取り外し時の操作手順の逆の手順で操作されることになる。
【0048】
ここで、本実施の形態において、位置決め板83には、
図9(A)等に示すように、位置決め板83には、中間転写ベルト装置8に対して清掃ユニット60が着脱されるときに清掃ユニット60を案内するための位置決め板ガイド部83dが設けられている。換言すると、清掃ユニット60の着脱動作を案内するための位置決め板ガイド部83dが設けられている。
すなわち、位置決め板83が設置された状態の中間転写ベルト装置8に対して清掃ユニット60が装着されるときには、清掃ユニット60は、位置決め板ガイド部83dに案内されながら、中間転写ベルト装置8における装着位置に装着されることになる。これに対して、位置決め板83が設置された状態の中間転写ベルト装置8に対して清掃ユニット60が取り外されるときには、清掃ユニット60は、位置決め板ガイド部83dに案内されながら、中間転写ベルト装置8における装着位置から離脱されることになる。
さらに詳しくは、位置決め板ガイド部83dは、位置決め板83の主面(側板81に面接触する面である。)から、開口83cの下辺に対して略平行に、清掃ユニット60の装着方向奥側に向けて突出するように形成されている(装着方向の奥側に突出するように形成されている)。
このように位置決め板ガイド部83dを設けることで、清掃ユニット60が着脱方向に対してほぼ真直ぐ移動して、清掃ユニット60の着脱時の操作性が向上することになる。
【0049】
また、本実施の形態において、中間転写ベルト装置8のステー86(筐体)には、
図9(A)等に示すように、中間転写ベルト装置8に対して清掃ユニット60が着脱されるときに清掃ユニット60を案内するための筐体ガイド部86aが設けられている。換言すると、清掃ユニット60の着脱動作を案内するための筐体ガイド部86aが設けられている。なお、
図9では、簡単のため、ステー86や位置決め板83が設置される側板81の図示を省略している。
すなわち、中間転写ベルト装置8に対して清掃ユニット60が装着されるときには、清掃ユニット60は、筐体ガイド部86aに案内されながら、中間転写ベルト装置8における装着位置に装着されることになる。これに対して、中間転写ベルト装置8に対して清掃ユニット60が取り外されるときには、清掃ユニット60は、筐体ガイド部86aに案内されながら、中間転写ベルト装置8における装着位置から離脱されることになる。
さらに詳しくは、筐体ガイド部86aは、ステー86の主面(中間転写ベルト10の外周面に略平行に対向する面である。)から、清掃ユニット60の装着方向手前側に向けて下方(主面から離れる方向である。)に傾斜して突出するように形成されている。
このように筐体ガイド部86aを設けることで、清掃ユニット60がステー86の下方に入り込むような不具合が防止されて、清掃ユニット60の着脱時の操作性が向上することになる。
【0050】
また、本実施の形態において、清掃ユニット60には、
図9(B)、
図10等に示すように、中間転写ベルト装置8への装着動作時において中間転写ベルト10を清掃部材61へ案内するためのユニットガイド部62bが設けられている。
詳しくは、ユニットガイド部62bは、フレーム62の一部(曲げ加工した部分である。)であって、開口83cの下辺に対して略平行な面から、清掃ユニット60の装着方向奥側に向けて下方(上述した略平行な面から離れる方向である。)に傾斜して突出するように形成されている。
このようにユニットガイド部62bを設けることで、清掃ユニット60を中間転写ベルト装置8に装着するときに、中間転写ベルト10を清掃部材61の位置に相対的に導きやすくなって、中間転写ベルト10の引っ掛かりなども生じにくく、清掃ユニット60の装着時の操作性が向上することになる。
【0051】
また、本実施の形態において、清掃ユニット60には、
図9(B)、
図10等に示すように、中間転写ベルト装置8への着脱動作時において開口83cに当接可能に形成されて清掃ユニット60の姿勢が変化する範囲を制限するためのストッパ部62aが設けられている。
詳しくは、ストッパ部62aは、フレーム62の一部であって、開口83cの下辺に対して略平行な面から、清掃ユニット60の装着方向手前側に向けて開口83cの位置を越えて略平行に突出するように形成されている。
このストッパ部62aは、
図9(B)に示すように、開口83cに対して清掃ユニット60が正常な姿勢であるときには開口83cに当接することはない。しかし、開口83cに対して清掃ユニット60が
図9(B)の実線両矢印方向や破線両矢印方向に回転してしまうと(正常な姿勢から大きく変化してしまうと)、ストッパ部62aが開口83cにぶつかって、それ以上の回転(姿勢の変化)が制限されることになる。そのため、清掃ユニット60の誤セットが軽減されて、清掃ユニット60の着脱時の操作性が向上することになる。
【0052】
また、本実施の形態において、清掃ユニット60には、
図10(A)等に示すように、清掃部材61が中間転写ベルト10(ベルト部材)に接触する位置を示す目印62eが設けられている。
詳しくは、先に説明したように、清掃部材61は、上下に位置する2つの植毛部材であって、2つの植毛部材によって中間転写ベルト10を挟み込むように設置される。ここで、目印62eは、その2つの植毛部材によって中間転写ベルト10を挟み込む位置が、操作方向手前側から視認できるように、フレーム62に刻印された矢印である。
このように目印62eを設けることで、中間転写ベルト10の位置を視認しやすくなるため、清掃ユニット60の誤セットが抑止されて、清掃ユニット60の着脱時の操作性が向上することになる。
なお、目印62eは、フレーム62に刻印した矢印に限定されることなく、例えば、フレーム62に貼着したデカルなどでも良い。
【0053】
また、本実施の形態において、清掃ユニット60には、
図10等に示すように、中間転写ベルト装置8への装着方向の手前側に突起する把持部62cが形成されている。
詳しくは、把持部62cは、フレーム62の一部(曲げ加工した部分である。)であって、位置決め板83に面接触する面部から、清掃ユニット60の装着方向手前側に向けて突出するように形成されている。
このように把持部62cを設けることで、作業者は把持部62cを把持した状態で清掃ユニット60を中間転写ベルト装置8に対して着脱することができるため、清掃ユニット60の着脱時の操作性が向上することになる。
【0054】
また、本実施の形態において、清掃ユニット60は、
図10等を参照して、位置決め板83に装着された状態で、清掃部材61よりも下方の位置に、上方に起立する壁部で囲まれた凹部としての受部62dが形成されている。
詳しくは、受部62d(凹部)は、フレーム62の一部(絞り加工した部分である。)であって、清掃部材61の下方でお椀状に形成されている。
このように受部62dを設けることで、清掃部材61によって掻き取られたトナーなどの付着物(スケール状パターン17に付着していた付着物である。)が、清掃部材61の位置から落下しても受部62dで捕集することができるため、装置が汚れる不具合が軽減される。
なお、本実施の形態では、
図3に示すように、中間転写ベルト10において斜め方向に走行する部分に清掃部材61が設置されていて、清掃部材61によって掻き取られた付着物が清掃部材61の位置から落下しやすくなっているため、受部62dを設けることが有用になる。
【0055】
<変形例>
図11に示すように、変形例としての清掃ユニット60には、目印62eに加えて、清掃部材61と中間転写ベルト10(ベルト部材)との接触状態を視認するための切欠き部62fと穴部62gとが設けられている。
詳しくは、切欠き部62fは、フレーム62の一部を切り欠いた部分であって、操作方向手前側(引出し方向手前側)からみて、清掃部材61の一部(2つの植毛部材が接触する部分である。)が露呈するように形成されている。
また、穴部62gは、フレーム62の一部を貫通させた部分であって、操作方向手前側(引出し方向手前側)からみて、清掃部材61の一部(2つの植毛部材が接触する部分である。)が露呈するように形成されている。
このように切欠き部62fや穴部62gを設けることで、中間転写ベルト10の位置を視認しやすくなるため、清掃ユニット60の誤セットが抑止されて、清掃ユニット60の着脱時の操作性が向上することになる。
なお、変形例では、切欠き部62fと穴部62gとを設けたが、これらのうち一方だけを設けた場合であっても、同じような効果を得ることができる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態における中間転写ベルト装置8(ベルト装置)は、ローラ部材11~15に張架され支持された中間転写ベルト10(ベルト部材)を備えた中間転写ベルト装置8であって、複数のローラ部材11~15の軸方向両端部をそれぞれ支持する一対の側板81、82を具備して中間転写ベルト10を保持する筐体81、82、86と、一対の側板81、82のうち一方の側板81に設置されて一方の側板81の他方の側板82に対する位置を調整するための位置決め板83、84と、中間転写ベルト10の表面を清掃する清掃部材61を具備して位置決め板83に対して着脱可能に設置された清掃ユニット60と、が設けられている。
これにより、清掃部材61による清掃効率が高くなる。
【0057】
なお、本実施の形態では、ベルト部材としての中間転写ベルト10が設置されたベルト装置(中間転写ベルト装置8)に対して本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されることはない。例えば、転写搬送ベルト、感光体ベルト、定着ベルト等のベルト部材が設けられたベルト装置に対しても、ベルト表面を清掃する清掃部材が設置されたものであれば、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト10のスケール状パターン17を清掃する清掃部材61が設置された中間転写ベルト装置8に対して本発明を適用したが、清掃部材による清掃対象はこれに限定されることなく、例えば、中間転写ベルトの表面を幅方向わたって清掃する清掃部材が設置された中間転写ベルト装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト10の内周面にスケール状パターン17が形成された中間転写ベルト装置8に対して本発明を適用したが、中間転写ベルトの外周面にスケール状パターンが形成された中間転写ベルト装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、スケール状パターン17が形成されたスケールテープが中間転写ベルト10に貼着された中間転写ベルト装置8に対して本発明を適用したが、スケール状パターンの形態はこれに限定されることなく、例えば、スケール状パターンが中間転写ベルトに直接的に形成された中間転写ベルト装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、中間転写ベルト10のスケール状パターン17を検知する光学センサ21A、21Bが2つ設置された中間転写ベルト装置8に対して本発明を適用したが、中間転写ベルトのスケール状パターンを検知する光学センサが1つ又は3つ以上設置された中間転写ベルト装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、複数のローラ部材11~15に張架され支持された中間転写ベルト10(ベルト部材)を備えた中間転写ベルト装置8(ベルト装置)に対して本発明を適用したが、1つのローラ部材に張架され支持されたベルト部材(例えば、1つのローラ部材と、1つ又は複数のガイド部材と、によって張架・支持されたベルト部材である。)を備えたベルト装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0059】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(感光体)、
8 中間転写ベルト装置(ベルト装置)、
10 中間転写ベルト(ベルト部材)、
17 スケール状パターン(スケールテープ)、
17p 反射部、
17s 非反射部、
20 センサユニット、
21A 第1光学センサ(光学センサ)、
21B 第2光学センサ(光学センサ)、
60 清掃ユニット、
61 清掃部材(植毛部材)、
62 フレーム、
62a ストッパ部、
62b ユニットガイド部、
62c 把持部、
62d 受部(凹部)、
62e 目印、
62f 切欠き部、
62g 穴部、
81、82 側板(筐体)、
83、84 位置決め板(位置決め部材)、
83c 開口、
83d 位置決め板ガイド部、
86 ステー(筐体)、
86a 筐体ガイド部、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
110 本体フレーム、
P シート。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【文献】特開2017-167498号公報
【文献】特開2005-148302号公報
【文献】特開2009-300701号公報