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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】発酵ベーカリー食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/36 20060101AFI20241127BHJP
   A21D 13/066 20170101ALN20241127BHJP
【FI】
A21D2/36
A21D13/066
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020149116
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043695
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】金井 幹法
(72)【発明者】
【氏名】塚本 一民
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102763805(CN,A)
【文献】特開2012-095578(JP,A)
【文献】特開2018-068241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵ベーカリー食品の製造方法であって、
1)穀粉類と、下記A)~E)からなる群より選択される1種以上の成分とを含む生地を調製すること:
A)水分量が65~95%のα化穀類ペースト;
B)水分量が65~99.5%の海藻類ペースト;
C)水分量が65~95%のバナナペースト;
D)水分量が65~95%のオクラペースト;
E)水分量が65~95%の種実類ペースト、
ここで、該生地の調製は、該穀粉類の一部と該A)~E)からなる群より選択される1種以上の成分とを前混合することと、該前混合で得られた混合物を残りの穀粉類と混合して生地を調製することとを含
該生地が、該穀粉類100質量部あたり、該A)~E)からなる群より選択される1種以上の成分を合計で5~40質量部含有する、
2)該生地を発酵させること、及び、
3)発酵後の生地を、温度80~200℃の環境下で10分間以上蒸気処理すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記前混合が、前記穀粉類の5~50質量%と、前記A)~E)からなる群より選択される1種以上の成分とを混合する工程を含む、請求項記載の方法。
【請求項3】
前記蒸気処理が、前記発酵後の生地を80~100℃の蒸気で加熱することを含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記蒸気処理が、前記蒸気で加熱した生地を、蒸気存在下150~230℃で加熱することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項5】
前記生地がグルテンを実質的に含まない、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記穀粉類が米粉を含む、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記A)のα化穀類があわ、きび、ひえ、米、及びアマランサスからなる群より選択される1種以上である、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記B)の海藻類がわかめ、こんぶ、及びめかぶからなる群より選択される1種以上である、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記E)の種実類がアマニである、請求項1~のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵ベーカリー食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小麦アレルギーへの対応などの健康上の目的で、アレルゲンであるグルテンや小麦粉を低減した低グルテン食品やグルテンフリー食品が提供されている。例えば、小麦粉の代わりに米粉を使用したパン類や菓子類などのベーカリー食品が販売されている。しかしながら、ベーカリー食品の外観や食感はグルテンによるところが大きい。グルテンを含まないベーカリー食品は、発酵や成形の際の生地の保形性が低下し、それによって製品の外観等の品質が低下しがちである。
【0003】
特許文献1には、グルテンを含まない基材と、前記添加剤の全重量に対して1.2wt%以上2.4wt%以下にしたこんにゃく粉と、前記添加剤の全重量に対して0.8wt%以上1.6wt%以下にした海藻粉末とを含む添加剤を、グルテンを含まない主材料に加えて焼き、揚げ、又は蒸すことで製造される、味、しっとり感、食感、舌触り、もっちり感、弾力の少なくとも1つをグルテンと前記添加剤を含まない食品に比べて高めたことを特徴とするグルテンフリー食品が記載されている。特許文献2には、米粉を還元雰囲気下で加熱処理し、次に加水してゲル状にすることで得られた米ゲルに、他の穀粉とイースト菌を混ぜて発酵させ、焼き上げることで、膨らみを保持することができ日持ちのする米粉パンを製造することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-071812号公報
【文献】特開2018-161082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低グルテンでありながらも外観と食感に優れたベーカリー食品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、α化穀類ペースト、海藻類ペースト、バナナペースト、オクラペースト、及び種実類ペーストから選択される成分を配合した粘性のある前生地を調製し、次いで該前生地を用いてベーカリー食品生地を調製した後、これを発酵させ、次いで焼成前に蒸気処理することにより、グルテンを含まなくとも生地の保形性がよく良好な外観を有し、且つ食感にも優れたベーカリー食品を製造することができることを見出した。
【0007】
したがって、本発明は、発酵ベーカリー食品の製造方法であって、
1)穀粉類と、下記A)~E)からなる群より選択される1種以上の成分とを含む生地を調製すること:
A)水分量が65~95%のα化穀類ペースト;
B)水分量が65~99.5%の海藻類ペースト;
C)水分量が65~95%のバナナペースト;
D)水分量が65~95%のオクラペースト;
E)水分量が65~95%の種実類ペースト、
ここで、該生地の調製は、該穀粉類の一部と該A)~E)からなる群より選択される1種以上の成分とを前混合することと、該前混合で得られた混合物を残りの穀粉類と混合して生地を調製することとを含む、
2)該生地を発酵させること、及び、
3)発酵後の生地を、温度80~200℃の環境下で10分間以上蒸気処理すること、
を含む、方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低グルテン、さらにはグルテンフリーでありながらも、外観と食感に優れた高品質のベーカリー食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
グルテンを含まないベーカリー食品は、生地にグルテンが形成されないことにより、生地の保形性が低下する。生地の保形性の低下は、発酵や成形工程に影響し、ひいては製造したベーカリー食品の品質の低下につながる。生地の品質向上のために増粘剤などの添加物が添加されることがあるが(例えば特許文献1)、増粘剤の添加は、ベーカリー食品の食感を損なうことがある。本発明の発酵ベーカリー食品の製造方法(以下、本発明の方法)では、粘性成分を添加した粘性のある前生地を調製し、次いで該前生地を用いてベーカリー食品生地を調製した後、得られた生地を発酵させ、次いで焼成前に加熱蒸気で処理する。本発明の方法により製造された発酵ベーカリー食品は、生地の保形性が向上しており良好な外観を保つことができるだけでなく、食感の点でも良好な品質を有している。
【0010】
本発明の方法により得られる発酵ベーカリー食品としては、パン類、発酵菓子などが挙げられる。パン類としては、食パン、ロールパン、菓子パンなどが挙げられる。食パンとしては白食パン、フランスパン、バラエティーブレッド、イングリッシュマフィン、フォカッチャ、ピザ等が挙げられ、ロールパンとしては、テーブルロール、バターロール、コッペパン、スィートロール、バンズ等が挙げられ、菓子パンとしては、アンパン、ジャムパン、クリームパン、カレーパン等のフィリング類をパンに詰めたもの、メロンパン、レーズンパン、デニッシュペストリー、クロワッサン、ブリオッシュ等が挙げられる。発酵菓子としては、シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ドーナツ、マフィン、ワッフル、スコーンなどが挙げられる。ただし本発明の製造方法により製造されるベーカリー食品の種類は、これらに限定されない。
【0011】
本発明の方法では、穀粉類と、下記A)~E)からなる群より選択される1種以上の成分とを含む生地を調製する。
A)α化穀類ペースト
B)海藻類ペースト
C)バナナペースト
D)オクラペースト
E)種実類ペースト
【0012】
前記A)のα化穀類ペーストは、穀類(穀粒、穀粉など状態は問わない)に加水して加熱することにより調製することができる。該α化穀類ペーストは、α化穀類を含むペーストであれば、均質なペーストであってもよく、又は、例えばお粥のような不均質なペーストであってもよい。該α化穀類ペーストの原料となる穀類としては、一般的に食用に供されるものであればよく、好ましくは、きび、あわ、ひえ、アマランサス、キヌア、米、トウモロコシなどが挙げられ、より好ましくはあわ、きび、ひえ、米、及びアマランサスが挙げられる。これらの穀類は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組合せで用いることができる。該ペースト及び生地の調製における操作性の点で、該α化穀類ペーストは、水分量が65~95%であると好ましい。
【0013】
前記B)の海藻類ペーストは、必要に応じてミキサー等で粉砕させた海藻類(生、乾燥、及び熱処理済みのものを含む)に加水し、必要に応じてさらに混合することにより調製することができる。該海藻類ペーストは、均質なペーストであっても、不均質なペーストであってもよい。該海藻類ペーストの原料となる海藻類としては、一般的に食用に供されるものであればよく、好ましくは、わかめ、こんぶ、めかぶ、あおさ、のり、ひじき、もずくなどが挙げられ、より好ましくは、わかめ、こんぶ、及びめかぶが挙げられる。これらの海藻類は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組合せで用いることができる。該ペースト及び生地の調製における操作性の点で、該海藻類ペーストは、水分量が65~99.5%であると好ましい。
【0014】
前記C)のバナナペーストは、バナナをペースト状にしたものであり、例えば生のバナナをミキサー等で混合してペーストにしたものや、乾燥バナナに適宜加水してペーストにしたものが挙げられる。該バナナペーストは、均質なペーストであっても、不均質なペーストであってもよい。該ペースト及び生地の調製における操作性の点で、該バナナペーストは、水分量が65~95%であると好ましい。
【0015】
前記D)のオクラペーストは、オクラをペースト状にしたものである。例えば、生のオクラに加水して、ミキサーで混合したものが挙げられる。該オクラペーストは、均質なペーストであっても、不均質なペーストであってもよい。該ペースト及び生地の調製における操作性の点で、該オクラペーストは、水分量が65~95%であると好ましい。
【0016】
前記E)の種実類ペーストは、種実類又はその粉砕物に、加水して加熱するか、又はお湯を加えて、混合することにより調製することができる。該種実類ペーストの原料となる種実類としては、一般的に食用に供されるものであればよいが、好ましくはアマニ(亜麻実)、胡麻、アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、胡桃が挙げられ、より好ましくはアマニが挙げられる。該種実類ペーストは、均質なペーストであっても、不均質なペーストであってもよい。該ペースト及び生地の調製における操作性の点で、該種実類ペーストは、水分量が65~95%であると好ましい。
【0017】
前記A)~E)は、粘性のある状態(ペースト状)で生地に添加される。前記A)~E)の原料をペーストにせずに(例えば、単なる粉砕物の状態で)生地に添加した場合、該生地が充分な粘性を得られずに保形性が低下し、製造されたパンの外観と食感が低下する。前記A)~E)のペーストの水分量は、原料の水分量と、加水量から求めることができる。得られるペーストが所望の水分量になるように、原料への加水量を調整すればよい。
【0018】
本発明の発酵ベーカリー食品の生地に含まれる穀粉類の例としては、米粉、ライ麦粉、大麦粉、コーンフラワー、そば粉などが挙げられる。該穀粉類は小麦粉を含んでいてもよいが、好ましくは小麦粉を含まない。上記に挙げた穀粉類は、いずれか1種又はいずれか2種以上の組合せで用いることができる。このうち、米粉が好ましい。
【0019】
該生地は、澱粉類を含んでいてもよい。澱粉類の例としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉及びこれらにα化、エーテル化、エステル化、酸化処理等の処理を施した加工澱粉等が挙げられ、これらをいずれか1種又はいずれか2種以上の組合せで用いることができる。
【0020】
該生地は、ベーカリー食品の製造に通常用いる副材料をさらに含むことができる。該副材料の例としては、イースト;発酵種;膨張剤;ブドウ糖、果糖、乳糖、砂糖、イソマルトースなどの糖類;卵黄、卵白、全卵等の卵成分;乳、豆乳、粉乳、脱脂粉乳等の乳成分;大豆蛋白等の蛋白質;ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等の油脂類;食塩等の無機塩類;イーストフード;乳化剤;保存料;ビタミン;カルシウム等の強化剤などが挙げられる。好ましくは、該副材料はイーストを含む。好ましくは、該生地はグルテンを実質的に含まない。例えば、該生地の材料として小麦粉及びグルテンは使用されない。
【0021】
本発明で製造される発酵ベーカリー食品の生地における、前記穀粉類、澱粉類、及び副材料の種類及び配合量は、ベーカリー食品の種類や所望する品質などに応じて、当業者が適宜決定することができる。
【0022】
本発明の方法においては、前記穀粉類と、前記A)~E)からなる群より選択される1種以上の粘性成分とを混合することでベーカリー食品の生地を調製する。該生地における該粘性成分の含有量は、前記A)~E)のペーストの合計量として、好ましくは穀粉類100質量部あたり5~40質量部である。必要に応じて、該生地の調製の際には、該穀粉類及び粘性成分とともに、前記澱粉類や、副材料、又は水分が混合される。使用される水分の量は、ベーカリー食品の種類や所望する品質などに応じて、当業者が適宜決定することができる。
【0023】
より詳細には、本発明によるベーカリー食品生地の調製においては、まず、該粘性成分を、該穀粉類の一部を含む材料と前混合する。より好ましくは、該粘性成分の全量を、該穀粉類の全量の5~50質量%と前混合する。該前混合の際には、穀粉類とともに澱粉類や、副材料、又は水分を該粘性成分と混合してもよい。該前混合により粘性のある混合物(前生地)を調製する。次いで、得られた混合物を残りの穀粉類を含む材料と混合(本混合)して、ベーカリー食品生地を調製すればよい。例えば、該粘性成分と、穀粉類の5~50質量%と、食塩、糖類、油脂等を含む副材料と、水分の一部とを混合して、粘性のある混合物を調製する。次いで、得られた混合物に、イースト、残りの穀粉類、及び残りの水分を添加して混合し、ベーカリー食品生地を調製する。生地材料の混合は、通常の製パンに使用されるミキサーなどを用いて、通常のベーカリー食品の製造手順に従って行うことができる。
【0024】
得られたベーカリー食品生地を、通常の手順に従って発酵させる。さらに必要に応じて、発酵させた生地を分割又は成形する。本発明の方法で得られたベーカリー食品生地は、前混合で得られた粘性のある混合物を生地に練り込むことにより、通常のグルテンフリーの生地と比べて保形性が向上している。よって該ベーカリー食品生地は、発酵の際に崩れにくく、発酵で生成される炭酸ガスやアルコールガスを生地中に保持することができ、かつ分割又は成形における作業性がよい。
【0025】
続いて、本発明の方法においては、得られた発酵後の生地を蒸気処理する。該蒸気処理によって、得られたベーカリー食品の外観及び食感が向上する。該蒸気処理は、生地を加熱蒸気に曝すことができる処理であればよい。好ましくは、該蒸気処理は、温度80~200℃の環境下で行われる。また好ましくは、該蒸気処理は、絶対湿度200~600g/m3の環境下で行われる。該蒸気処理の例としては、発酵後の生地を80~100℃の蒸気で加熱すること、発酵後の生地を飽和蒸気処理又は過熱蒸気処理すること、などが挙げられる。該蒸気処理には、蒸し器、スチームオーブン、市販の食品用蒸気発生装置、などを用いることができる。
【0026】
好ましくは、該蒸気処理は、発酵後の生地を80~100℃の蒸気で加熱した後、該生地をさらに、蒸気存在下、より高温(例えば100℃超、好ましくは150~230℃)で加熱することを含む。このような二段階での蒸気処理により、得られたベーカリー食品の外観及び食感がさらに向上する。好ましくは、二段階目のより高温での加熱は焼成である。例えば、該二段階での蒸気処理は、該発酵後の生地を、スチームオーブンを用いて初めにスチームモードで加熱し、続いてコンビネーションモードにより所定温度で焼成することで行うことができる。
【0027】
該蒸気処理の時間は、好ましくは10分間以上、より好ましくは10~40分間である。上述した二段階での蒸気処理を行う場合、最初の蒸気加熱を10~20分間、後の蒸気存在下のより高温での加熱を20~30分間行うことが好ましい。
【0028】
前記蒸気処理した生地を焼成することによって、本発明の発酵ベーカリー食品を得ることができる。生地の焼成は、通常の手順に従って行うことができる。本発明の方法においては、生地を前記蒸気処理又は焼成する前又は後に、生地にフィリングを詰めたり、トッピングを加えたりしてもよい。
【実施例
【0029】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。
【0030】
1.粘性成分の調製
A)α化穀類ペースト
雑穀(あわ、きび、ひえ、米、又はアマランサス)に3倍量のお湯を加えて加熱し、必要に応じて加熱中に粘度調整のための水をさらに加え、ペースト状のお粥を製造した。
B)海藻類ペースト
海藻(わかめ、こんぶ、又はめかぶ)をコーヒーミルで粉砕し、水を加えて混ぜ、ペーストを製造した。加えた水の量は、わかめは14倍量、こんぶ及びめかぶ:5倍量とした。
C)バナナペースト
バナナを細かく切り、ビーターで攪拌してペーストを製造した。
D)オクラペースト
オクラに熱湯を掛け、そこにオクラの半分量の水を加えてブレッダーで潰し、ペーストを製造した。
E)種実類(アマニ)ペースト
アマニ(亜麻実)の粉砕物に3倍量のお湯を加えて混ぜ、ペーストを製造した。
【0031】
2.パンの製造
表1~3に示す材料を用いた。前混合での材料をビーターで適度な粘性がでるまで攪拌した。得られた混合物に、イーストを水で溶かして加え、さらに米粉、及び残りの水を加え、攪拌して生地を調製した。水の量は、生地の粘度により調整した。捏上温度は26~27℃とした。得られた生地を型に流し込み(型比容積3.0)、発酵(38℃、85%、40~45分)の後、スチームコンベクションオーブン(SelfCookingCenter#61、RATIONAL社)にて以下の条件で加熱し、パンを製造した。
条件1)焼成のみ:160℃35~45分(オーブンモード)
条件2)蒸し→焼成:100℃30分(スチームモード)→160℃20~30分(オーブンモード)
条件3)蒸し→蒸し+焼成→焼成:100℃15分(スチームモード)→160℃(コンビネーションモード)25分→160℃5~10分(オーブンモード)
【0032】
製造したパンの外観及び食感を下記評価基準にて評価した。評価は訓練された10人のパネラーが行い、平均点を求めた。結果を表1~3に示す。
<評価基準>
(外観:ボリューム)
5点:ボリュームが大きく、形状も良好
4点:ボリュームがやや大きく、形状もやや良好
3点:ボリュームはあるが、形状がやや悪い
2点:ボリュームがやや小さく、形状もやや悪い
1点:ボリュームが小さく、形状も悪い
(外観:クラック)
5点:クラックは無く、良好
4点:クラックはほぼ無く、良好
3点:クラックがやや見られ、やや悪い
2点:クラックがやや大きく、やや悪い
1点:クラックが大きく、かなり悪い
(食感)
5点:くちゃつきが無く、口どけも良好
4点:くちゃつきがわずかで、口どけも良好
3点:くちゃつきを感じるが、口どけもやや良好
2点:くちゃつきがあり、やや口どけがやや不良
1点:くちゃつきが酷く、口どけも不良
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】