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特許7594489注出用スパウトおよび注出用スパウト付き容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】注出用スパウトおよび注出用スパウト付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/28 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
B65D47/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021074761
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169015
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】ZACROS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-011297(JP,A)
【文献】特開2011-016588(JP,A)
【文献】特開昭61-011360(JP,A)
【文献】特表2008-512316(JP,A)
【文献】特開2015-209236(JP,A)
【文献】実開昭55-145498(JP,U)
【文献】特開2005-187069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/97210(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/40-25/50
B65D 33/38
B65D 39/00-55/16
B67D 1/00
B67D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に開口部を有する注出筒部と、前記注出筒部の軸線方向に沿って変位が可能な可動部材とを備え、
前記注出筒部は、内容物を収容した本体容器の口部に連結される連結部を有し、
前記連結部の中心軸線は、前記先端部の中心軸線と異なる方向に延びており、
前記連結部は、前記注出筒部が前記本体容器に向けて突出する側端部に設けられ、
前記注出筒部の内部に前記側端部から前記先端部に向かう流路が形成されており、
前記可動部材は、前記注出筒部の先端側に閉鎖部を有し、かつ、前記注出筒部の基端側に操作部を有し、
前記操作部は、前記可動部材を少なくとも前記注出筒部の基端側から前記注出筒部の先端側に変位させることが可能であり、
前記閉鎖部は、前記注出筒部の基端側に位置するときに前記開口部を開放し、前記注出筒部の先端側に位置するときに前記開口部を閉鎖し、
前記可動部材は、前記注出筒部に対してスライド移動可能に形成された板状のスライド部を有することを特徴とする注出用スパウト。
【請求項2】
前記閉鎖部は、前記可動部材の変位に連動して前記開口部を横断する方向に変位することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の注出用スパウト。
【請求項3】
前記注出筒部は、前記開口部を横断する方向に前記閉鎖部を案内する案内部を有することを特徴とする請求項2に記載の注出用スパウト。
【請求項4】
前記可動部材のうち少なくとも前記閉鎖部が可撓性を有し、前記開口部を横断する方向が、前記軸線方向に対し交差する方向であることを特徴とする請求項2または3に記載の注出用スパウト。
【請求項5】
前記開口部が前記注出筒部の側方に開口され、前記開口部を横断する方向が、前記軸線方向に沿う方向であることを特徴とする請求項2または3に記載の注出用スパウト。
【請求項6】
前記注出筒部は、前記注出筒部の外周側で、前記開口部から注出される内容物を受容する容器の口部に装着される装着部を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の注出用スパウト。
【請求項7】
前記装着部は、前記内容物の受容に伴って前記容器から排出される空気を逃がす空気弁を有することを特徴とする請求項6に記載の注出用スパウト。
【請求項8】
前記可動部材は、前記閉鎖部が前記開口部を閉鎖したときに、前記空気弁を閉鎖する空気弁押さえ部を有することを特徴とする請求項7に記載の注出用スパウト。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の注出用スパウトと、内容物を収容する胴部とを備えることを特徴とする注出用スパウト付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出用スパウトおよび注出用スパウト付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、瓶の口部に嵌着されるキャップ部材に通気孔および液体注出孔が形成され、キャップ部材の天板にスライド部材が嵌装されたびん開閉装置が記載されている。
特許文献2には、液体貯留容器の上面に配置され、一端部に注ぎ口が形成された注出具本体と、液体貯留容器を挟持する挟持片と、液体貯留容器内に差し込まれる楔状突起部と、注ぎ口を開閉するための開閉蓋と、を有する液体注出具が記載されている。
【0003】
特許文献3には、スパウトの筒部の先端部の内面には、本体容器の筒状開口部の外面のねじと螺合するねじが設けられ、筒部の内側には、本体容器の筒状開口部に挿入可能な管体が設けられた詰め替え容器用スパウトが記載されている。
特許文献4には、注出筒部を有するスパウト本体と、注出筒部に外挿されて軸方向に移動可能な外側スリーブを備え、外側スリーブの先端開口部に脱着可能に嵌合する封止突部が注出筒部に形成された注出用スパウトが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭62-21572号公報
【文献】特開平9-24945号公報
【文献】特許第4628779号公報
【文献】特開2021-31117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のびん開閉装置では、液体注出孔から注出される液体は、スライド部材の内面に形成された注出溝に沿って誘導される。このため、スライド部材を充填対象容器の開口部に挿入した状態で液体を注出すると、充填対象容器に充填された液体がスライド部材の外面に付着するおそれがある。
特許文献2に記載の液体注出具では、注ぎ口が短いため、注ぎ口を充填対象容器の開口部に挿入した状態で液体を注出することが困難である。
【0006】
特許文献3に記載の詰め替え容器用スパウトでは、本体容器に充填対象容器に連結した状態で本体容器の筒状開口部を開閉する機能が示されていない。このため、連結前に筒状開口部を開いておき、内容物が漏出しないように注意深く連結作業を行う必要がある。
特許文献4に記載の注出用スパウトでは、本体容器の注出筒部が閉じたまま充填対象容器を連結する際に、自動で注出筒部が開放される機構を備えている。しかし、液体の充填後に充填対象容器の開口部から注出用スパウトを抜き取るとき、外側スリーブおよび封止突部が充填対象容器に挿入された状態となっている。このため、注出筒部が閉鎖したか確認しにくい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、注出筒部を充填対象容器に挿入して内容物を充填する前後に、注出筒部の開口部を容易に開閉することが可能な注出用スパウトおよび注出用スパウト付き容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、先端部に開口部を有する注出筒部と、前記注出筒部の軸線方向に沿って変位が可能な可動部材とを備え、前記可動部材は、前記注出筒部の先端側に閉鎖部を有し、かつ、前記注出筒部の基端側に操作部を有し、前記操作部は、前記可動部材を少なくとも前記注出筒部の基端側から前記注出筒部の先端側に変位させることが可能であり、前記閉鎖部は、前記注出筒部の基端側に位置するときに前記開口部を開放し、前記注出筒部の先端側に位置するときに前記開口部を閉鎖することを特徴とする注出用スパウトを提供する。
【0009】
前記閉鎖部は、前記可動部材の変位に連動して前記開口部を横断する方向に変位することが可能であってもよい。
前記注出筒部は、前記開口部を横断する方向に前記閉鎖部を案内する案内部を有してもよい。
前記可動部材のうち少なくとも前記閉鎖部が可撓性を有し、前記開口部を横断する方向が、前記軸線方向に対し交差する方向であってもよい。
前記開口部が前記注出筒部の側方に開口され、前記開口部を横断する方向が、前記軸線方向に沿う方向であってもよい。
【0010】
前記注出筒部は、前記注出筒部の外周側で、前記開口部から注出される内容物を受容する容器の口部に装着される装着部を有してもよい。
前記装着部は、前記内容物の受容に伴って前記容器から排出される空気を逃がす空気弁を有してもよい。
前記可動部材は、前記閉鎖部が前記開口部を閉鎖したときに、前記空気弁を閉鎖する空気弁押さえ部を有してもよい。
【0011】
また、本発明は、前記注出用スパウトと、内容物を収容する胴部とを備えることを特徴とする注出用スパウト付き容器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、注出筒部を充填対象容器に挿入して内容物を充填する前後に、注出筒部の開口部を容易に開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の注出用スパウトの連結部側を示した斜視図である。
図2】第1実施形態の注出用スパウトの可動部材側を示した斜視図である。
図3】第1実施形態の注出用スパウトの開放状態を示した断面図である。
図4】第1実施形態の注出用スパウトの閉鎖状態を示した断面図である。
図5図2のV-V線に沿う注出筒部の先端部の断面図である。
図6】第2実施形態の注出用スパウトの断面図である。
図7】第3実施形態の注出用スパウトの断面図である。
図8】空気弁の一例を示した部分拡大断面図である。
図9図8の空気弁の閉鎖状態を示した部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0015】
図1から図5に、第1実施形態の注出用スパウト100を例示する。図1および図2は、注出用スパウト100の斜視図である。図1では連結部30を手前側に表し、図2では可動部材20を手前側に表している。図3に、注出用スパウト100の開放状態を示す。図4に、注出用スパウト100の閉鎖状態を示す。図5に、注出筒部10の先端部11の断面図を示す。
【0016】
図1から図4に示すように、注出用スパウト100は、先端部11に開口部11aを有する注出筒部10と、先端部11の中心軸線A1に平行な軸線方向に沿って変位が可能な可動部材20とを備える。図2に示すように、注出筒部10の先端部11の開口部11aは、注出筒部10に可動部材20が取り付けられた側に形成されている。
【0017】
可動部材20は、注出筒部10の基端側から先端側に移動させることが可能である。図1から図3には、可動部材20が注出筒部10の基端側に変位している状態を示し、図4には、可動部材20が注出筒部10の先端側に変位している状態を示す。先端側に変位した可動部材20は、さらに注出筒部10の先端側から基端側に移動可能であってもよい。
【0018】
なお、本明細書において、注出筒部10の先端側とは、先端部11の中心軸線A1に沿った両方向のうち、注出筒部10から充填対象容器120に向かう側である。また、注出筒部10の基端側とは、先端部11の中心軸線A1に沿って充填対象容器120から注出筒部10に向かう側である。
【0019】
図3に示すように、注出用スパウト100は、内容物を収容した本体容器110の口部111に連結される連結部30と、本体容器110の内容物が充填される充填対象容器120の口部121に装着される装着部13を有する。
【0020】
図示例の注出用スパウト100では、連結部30の中心軸線A2は、先端部11の中心軸線A1と異なる方向に延びている。中心軸線A1,A2の成す角度は特に限定されないが、例えば90°程度でもよい。特に図示しないが、連結部30の中心軸線A2が、先端部11の中心軸線A1と同一方向で平行に配置されてもよく、あるいは中心軸線A1,A2が同一直線上に位置してもよい。
【0021】
図3に仮想線で示した本体容器110および充填対象容器120の形状は、注出用スパウト100に対する模式的な位置関係を示すだけであり、実際の形状を示唆するものではない。仮想線で示した本体容器110および充填対象容器120の寸法も、口部111,121および胴部112,122を区別するために小さめに表示されており、注出用スパウト100に対する実際の比率を表すものではない。
【0022】
本体容器110は、注出用スパウト100に取り付けられる口部111と、内容物を収容する胴部112とを有する。本体容器110は、自立性を有してもよく、また、平袋のように自立性を有しない容器であってもよい。注出用スパウト100は、本体容器110に装着されて、注出用スパウト付き容器を構成することができる。
【0023】
充填対象容器120は、注出筒部10の開口部11aから注出される本体容器110の内容物を受容する相手側の容器である。充填対象容器120は、注出用スパウト100に取り付けられる口部121と、内容物が充填される胴部122とを有する。充填対象容器120は、自立性を有してもよく、また、平袋のように自立性を有しない容器であってもよい。
【0024】
本体容器110は、充填対象容器120に内容物を移し替えるための詰め替え容器としてもよい。本体容器110に収容されている内容物の量と、充填対象容器120の容量との比率は特に限定されない。本体容器110が充填対象容器120の詰め替え1回分でもよく、複数回分でもよい。充填対象容器120としては、特に限定されず、被詰め替え容器、計量容器、その他の各種の容器が挙げられる。実施形態の注出用スパウト100は、本体容器110がパウチ容器等の軟包装容器であり、充填対象容器120がボトル容器である詰め替えシステムに好適に適用することができる。
【0025】
図示例の注出筒部10は、概略として、充填対象容器120に向けて突出する先端部11と、栓体40が取り付けられる基端部12と、本体容器110に向けて突出する側端部14を有する。上述の装着部13は、先端部11と基端部12との間に配置されている。上述の連結部30は、側端部14に設けられている。注出筒部10は、本体容器110の内容物を充填対象容器120に注出するための流路16を有し、注出用スパウト100の本体部材である。内容物の流路16は、側端部14から先端部11にかけて、注出筒部10の内部に形成されている。
【0026】
図示例の可動部材20は、概略として、注出筒部10に対してスライド移動可能に形成されたスライド部21と、注出筒部10の先端側に形成された閉鎖部22と、注出筒部10の基端側に形成された操作部23とを有する。図示例のスライド部21は、閉鎖部22と同程度の厚みを有する薄板状である。スライド部21の形状は特に限定されず、棒状、柱状、厚板状などでもよい。
【0027】
注出筒部10の基端部12には、先端部11の中心軸線A1上に開口した挿入穴12aと、挿入穴12aの周縁から先端側に延びている切欠部12bが形成されている。基端部12に切欠部12bが形成された部分を介して、スライド部21は、基端部12の内周側に配置され、操作部23は、基端部12の外周側に配置される。スライド部21および操作部23が、切欠部12bの周囲を挟み込むことにより、スライド部21が基端部12に対してスライド可能に保持される。
【0028】
基端部12の挿入穴12aには栓体40が挿入されている。栓体40を基端部12に取り付けることにより、可動部材20が切欠部12bから基端側に脱落することが阻止される。栓体40は、基端部12の係止穴12cに係合する係止凸部44を有する。係止凸部44が係止穴12cに係合することにより、栓体40が基端部12に固定される。栓体40が挿入穴12aを封止することにより、注出筒部10の基端側に対して流路16が閉鎖される。
【0029】
栓体40は、可動部材20が配置される側に、略平面状の案内面41を有する。さらに栓体40は、栓体40が挿入穴12aに嵌合される箇所よりも先端側に延出する延出部42を有する。切欠部12bは延出部42により閉鎖されている。上述の案内面41は、延出部42まで延長されている。可動部材20のうち、少なくとも操作部23は、先端部11の中心軸線A1に沿った変位が可能となるように、切欠部12bおよび案内面41により案内される。
【0030】
延出部42の先端側には、押さえ凸部43が形成されている。可動部材20のスライド部21は、押さえ凸部43により、案内面41と注出筒部10の内壁面との間に保持されている。押さえ凸部43がスライド部21に向けて突出することにより、スライド部21と案内面41との間に隙間が確保され、可動部材20が変位する際に摩擦が軽減される。
【0031】
特に図示しないが、可動部材20を中心軸線A1に沿った変位に案内する構造は、注出筒部10に形成してもよく、栓体40に形成してもよい。可動部材20を中心軸線A1に沿って案内する構造が、平面状の案内面41に限らず、直線状の溝、軸、柱等であってもよい。
【0032】
注出筒部10の先端部11は、閉鎖部22が可動部材20の変位に連動して開口部11aを横断する位置として、開口面11bを有する。図示例の開口面11bは、先端部11の中心軸線A1に対して傾斜する方向に設定されている。特に図示しないが、開口面11bが先端部11の中心軸線A1に垂直または平行な方向に設定されてもよい。開口面11bは、湾曲面等の曲面でもよく、傾斜面等の平面でもよい。
【0033】
図示例の注出筒部10の場合、開口面11bは、開口部11aの周縁部に沿って設定されている。特に図示しないが、先端部11の壁面が開口面11bより先端側に延びて形成される場合、開口面11bが、開口部11aの周縁部と異なる位置に設定されてもよい。例えば、開口面11bが先端部11の中心軸線A1に対して傾斜する方向に設定されていて、開口部11aの周縁部が先端部11の中心軸線A1に垂直な面に形成されてもよい。
【0034】
図3に示すように、閉鎖部22が注出筒部10の基端側に位置するとき、閉鎖部22は、開口部11aを開放した状態となる。図4に示すように、閉鎖部22が注出筒部10の先端側に位置するとき、開口部11aが閉鎖部22により閉鎖される。図示例の可動部材20は、閉鎖部22が開口部11aを閉鎖したとき、可動部材20の先端部が注出筒部10の先端側に突出しないように構成されている。
【0035】
操作部23は、可動部材20を少なくとも注出筒部10の基端側から先端側に変位させることが可能である。先端側に変位した可動部材20を、先端側から基端側に変位させることも可能である。可動部材20が先端側の位置と基端側の位置との中間で、任意の位置に可動部材20を静止させることも可能である。閉鎖部22が開口部11aの開閉を切り替えるだけでなく、可動部材20の位置に応じて開口部11aの開口面積を連続的または段階的に調節することもできる。
【0036】
第1実施形態の注出用スパウト100は、先端部11の中心軸線A1に沿った可動部材20の変位に対し、閉鎖部22が中心軸線A1に対して傾斜する方向に形成された開口面11bに沿って変位する。このため、可動部材20のうち少なくとも閉鎖部22が可撓性を有することが好ましい。また、注出筒部10は、開口面11bに沿って閉鎖部22を案内する案内部11c,11dを有してもよい。
【0037】
図示例の注出筒部10は、案内部11c,11dとして、閉鎖部22の外面側を案内する外側案内部11cと、閉鎖部22の内面側を案内する内側案内部11dとを有する。外側案内部11cと内側案内部11dとの間で閉鎖部22が変位する位置が、開口面11bとなる。外側案内部11cは、開口面11bに沿って閉鎖部22を案内することができる。図示例の注出筒部10では、内側案内部11dが開口面11bのうち基端側の一部にのみ形成されているが、内側案内部11dが開口面11bの先端側まで形成されてもよい。
【0038】
第1実施形態の注出用スパウト100は、開口面11bが中心軸線A1に傾斜して交差する方向に形成されているが、閉鎖部22が可撓性を有するため、閉鎖部22が開口面11bに沿って移動することができる。特に図示しないが、開口面11bの少なくとも一部が中心軸線A1に垂直に交差する方向に形成されてもよい。操作部23の変位方向は先端部11の中心軸線A1に沿っているため、充填対象容器120から離れた基端部12で操作部23を操作することができ、操作性に優れる。
【0039】
図5に示すように、閉鎖部22が開口部11aを閉鎖するとき、外側案内部11cが閉鎖部22の周縁部に接触する。これにより、閉鎖部22が弾性変形により湾曲または傾斜した状態を容易に維持することができる。図5では、紙面の左側が閉鎖部22の先端側であり、紙面の上下が閉鎖部22の幅方向両側である。閉鎖部22の先端側または幅方向両側を外側案内部11cが保持することにより、先端側に変位した閉鎖部22がスライド部21の延長線上に延びた状態となること、すなわち、閉鎖部22が開口面11bから外れる方向に形状を復元することが抑制される。
【0040】
図示例の注出筒部10は、可動部材20が配置される側に平面を有する略円筒形状であるが、注出筒部10は、任意形状の筒状であればよい。特に図示しないが、注出筒部10を三角筒状、四角筒状等の角筒状、楕円筒状等にしてもよい。
【0041】
図示例の注出用スパウト100の場合、注出筒部10と本体容器110との連結に用いられる上述の連結部30は、連結部30の中心軸線A2に沿って延びる外筒部31と、中心軸線A2に垂直な面に形成された天面部33を有するキャップ状である。図示例の連結部30は、注出筒部10と別部材に形成された連結部材である。特に図示しないが、連結部30が注出筒部10に一体に形成されてもよい。
【0042】
外筒部31の内面には、ねじ部32が形成されている。連結部30の嵌合部34を注出筒部10の側端部14に嵌合し、ねじ部32を用いて連結部30を本体容器110の口部111に締結することにより、注出筒部10が本体容器110の口部111に固定される。側端部14の外周には、フランジ部15が形成されている。フランジ部15は、例えば、連結部30と側端部14または口部111との連結を機械、治具等を用いて実施する際に利用してもよい。
【0043】
天面部33の中央部は側端部14に向けて開口しており、この開口部から本体容器110に向けてテーパ筒部35が形成されている。外筒部31とテーパ筒部35とは同心状に配置されており、外筒部31とテーパ筒部35との間に本体容器110の口部111を挿入することができる。口部111の内面がテーパ筒部35と密着することにより、内容物が外筒部31とテーパ筒部35との隙間に入り込みにくくなる。
【0044】
図示例の注出用スパウト100の場合、注出筒部10を充填対象容器120に装着する際に用いられる装着部13は、先端部11の外周面に沿って形成された筒部13aと、筒部13aの基端側を先端部11の外周面と一体化する結合部13cとを有する。筒部13aの内面には、充填対象容器120の口部121に締結可能なねじ部13bが形成されている。ねじ部13bを口部121に締結することにより、注出筒部10が充填対象容器120の口部121に固定される。
【0045】
注出用スパウト100を用いて内容物を本体容器110から充填対象容器120に移し替えるには、まず、連結部30を用いて、本体容器110の口部111に注出用スパウト100を装着し、次に、充填対象容器120の口部121を装着部13に装着してもよい。空の充填対象容器120を装着部13に装着するときは、本体容器110の口部111が重力に対して上を向いたままの姿勢を維持してもよい。
【0046】
注出用スパウト100の先端部11の開口部11aが開口した状態で、本体容器110の口部111を傾け、あるいは横向きにすることにより、本体容器110の内容物を充填対象容器120に注出することができる。側端部14から先端部11に向かう流路16が注出筒部10の内部に形成されているため、中心軸線A1,A2の方向が互いに異なっていても、内容物の方向転換が円滑になる。流路16が先端部11および側端部14の2方向にのみ連通しているため、本体容器110の口部111と充填対象容器120の口部121の向きが異なっていても、内容物の漏出を抑制することができる。
【0047】
装着部13は、内容物を注出する際、内容物と入れ替えに充填対象容器120から排出される空気を逃がすためのクリアランスを有してもよい。例えば粘度の高い液体を注出する場合、充填対象容器120の空気を本体容器110に向けて移動させるのではなく、外部に逃がすことにより、注出を迅速に行うことができる。
【0048】
図示例の装着部13では、結合部13cに空気弁保持部13dが形成されている。空気弁保持部13dには、空気穴51を有する空気弁50が保持されている。空気弁50は、例えばゴム等の弾性部材から形成されている。空気弁50の空気穴51は、内容物の受容に伴って充填対象容器120の内圧が上昇したとき、空気を排出しやすいように開口径を拡張することができる。液体等の内容物は、空気穴51を通り抜けにくいため、空気穴51を通じた内容物の漏出が抑制される。
【0049】
特に図示しないが、空気弁保持部13dに空気弁50を保持する代わりに、装着部13に一定の断面積を有する空気穴を開口してもよい。また、内容物が装着部13に到達しないように注出することにより、充填対象容器120から空気穴を通じた内容物の漏出を回避してもよい。
【0050】
内容物の充填が完了したときは、先端部11の中心軸線A1に沿って、操作部23を基端側から先端側に変位させることにより、先端部11の開口部11aを確実に閉鎖することができる。注出筒部10の流路16内に内容物が残留していても、内容物の垂れ落ちを抑制することができる。
【0051】
本体容器110に収容されている内容物の量が充填対象容器120の容量より多いときは、注出される内容物が充填対象容器120から溢れ出ない程度で注出を停止する必要がある。操作部23が充填対象容器120の外側に露出されているため、ユーザーが内容物の液面を見て注出を停止する場合も、操作部23を迅速に操作することができる。
【0052】
注出を停止する際、操作部23を変位させる方向は、注出筒部10の先端部11および充填対象容器120の口部121と同じ中心軸線A1に沿う方向である。このため、操作部23を真っ直ぐ下向きに押し込むだけで、注出を停止することができ、口部121が上向きでも操作が容易である。従来のコック等のように、軸線方向に対するひねり動作、流路を横切る水平動作などの複雑な動作が不要であるため、操作を誤って開口部11aの閉鎖が不十分になったり、充填対象容器120を横に倒したりする等のミスを抑制することができる。
【0053】
図示例の可動部材20は、閉鎖部22が先端部11を閉鎖すると同時に空気弁50を閉鎖するため、空気弁押さえ部24を有する。この場合、結合部13cには、空気弁50以外に空気を逃がすクリアランスが形成されていない。空気弁押さえ部24が空気弁50を押さえて閉鎖することにより、空気弁50を通じて充填対象容器120の内部の空気が外部に排出され、あるいは、外気が充填対象容器120の内部に流入することを抑制することができる。
【0054】
内容物の注出を停止したとき、注出筒部10の先端部11が充填対象容器120に挿入されたまま、開口部11aが閉鎖される。このため、注出筒部10を口部121から抜き出すとき、流路16に含まれる内容物は、充填対象容器120に注出されず、本体容器110に回収することができる。
【0055】
内容物の注出を停止したとき、内容物の液面が注出筒部10の開口部11aより上方まで到達していても、注出筒部10を口部121から抜き出すと、液面下にある先端部11の体積に応じて、充填対象容器120側の液面が低下する。このため、口部121の上面ぎりぎりまで内容物の液面が上昇していても、注出筒部10を口部121から抜き出すことにより、充填対象容器120における内容物の液面は適正な水準に抑えられる。
【0056】
例えば、充填対象容器120に内容物を充填した後、ポンプ等の装置を口部121に取り付ける場合は、ポンプ等の装置の下部が液面下に没すると、充填対象容器120側で内容物の液面が上昇する。実施形態の注出用スパウト100によれば、上述したように、注出筒部10を口部121から抜き出すときに液面が低下するため、ポンプ等の装置の取り付け時に充填対象容器120から内容物が溢れることを抑制することができる。
【0057】
注出用スパウト100が装着される本体容器110に内容物が残っている場合は、可動部材20の閉鎖部22が注出筒部10の先端部11を閉鎖した状態で、注出用スパウト100付きの本体容器110を保管してもよい。あるいは、連結部30と口部111との連結を解除して、注出用スパウト100を本体容器110から取り外し、口部111に適当なキャップ等を付けた状態で本体容器110を保管してもよい。
【0058】
内容物の注出後、注出用スパウト100を本体容器110に装着したまま保管する場合は、特に図示しないが、装着部13にカバーを取り付けてもよい。カバーは、先端部11を覆う形状を有することが好ましく、ねじ部13bを用いて装着部13に取り付け可能としてもよい。例えば、カバーが充填対象容器120よりも小型で、空のボトル形状であってもよい。
【0059】
次に、図6を用いて、第2実施形態の注出用スパウト101について説明する。第2実施形態の注出用スパウト101は、装着部13に空気弁保持部13dおよび空気弁50がなく、操作部23に空気弁押さえ部24が不要であることを除いて、第1実施形態の注出用スパウト100と同様に構成することができる。このため、注出筒部10、可動部材20、連結部30、栓体40等に関する重複した説明は省略する。
【0060】
第2実施形態の注出用スパウト101は、装着部13に空気穴51がないため、内容物を注出する際、内容物と入れ替えに充填対象容器120から排出される空気を、本体容器110側に移動させることができる。
【0061】
注出用スパウト101を用いて内容物を本体容器110から充填対象容器120に移し替える手順は、連結部30および装着部13を第1実施形態と同様に用いることができる。図6には、本体容器110および充填対象容器120を図示していないが、図3に示す注出用スパウト100と同様に、本体容器110および充填対象容器120が注出用スパウト101に連結された状態で、内容物を注出することができる。
【0062】
本体容器110に収容されている内容物の量が充填対象容器120の容量より多いときも、充填対象容器120側で内容物の液面が開口部11aより上方に到達すると、充填対象容器120から本体容器110への空気の移動が停止する。充填対象容器120の内圧の上昇が抑止されることにより、本体容器110から充填対象容器120への内容物の注出も自動的に停止される。
【0063】
第2実施形態の注出用スパウト101において、注出筒部10の先端部11を閉鎖するための操作部23の操作は、注出が停止した状態で行うことができる。操作部23が充填対象容器120の外側に露出されているため、ユーザーが内容物の液面を見て注出を停止する場合も、操作部23を迅速に操作することができる。先端部11を閉鎖する際、操作部23を変位させる方向は、注出筒部10の先端部11および充填対象容器120の口部121と同じ中心軸線A1に沿う方向である。このため、操作部23を真っ直ぐ下向きに押し込むだけで、注出を停止することができ、口部121が上向きでも操作が容易である。
【0064】
先端部11が閉鎖されたとき、内容物の液面が注出筒部10の開口部11aより上方まで到達していても、注出筒部10を口部121から抜き出すと、液面下にある先端部11の体積に応じて、充填対象容器120側の液面が低下する。このため、口部121の上面ぎりぎりまで内容物の液面が上昇していても、注出筒部10を口部121から抜き出すことにより、充填対象容器120における内容物の液面は適正な水準に抑えられる。
【0065】
例えば、充填対象容器120に内容物を充填した後、ポンプ等の装置を口部121に取り付ける場合は、ポンプ等の装置の下部が液面下に没すると、充填対象容器120側で内容物の液面が上昇する。第1実施形態の注出用スパウト100と同様に、第2実施形態の注出用スパウト101においても、注出筒部10を口部121から抜き出すときに液面が低下するため、ポンプ等の装置の取り付け時に充填対象容器120から内容物が溢れることを抑制することができる。
【0066】
内容物の注出後、第2実施形態の注出用スパウト101が装着される本体容器110に内容物が残っている場合の処置は、第1実施形態の注出用スパウト100について説明した方法と同様にすることができる。
【0067】
次に、図7を用いて、第3実施形態の注出用スパウト102について説明する。第3実施形態の注出用スパウト102は、開口部11aが注出筒部10の側方に開口され、開口面11bが先端部11の中心軸線A1に沿って形成されていることを除いて、第1実施形態の注出用スパウト100と同様に構成することができる。このため、注出筒部10、可動部材20、連結部30、栓体40、空気弁50、本体容器110、充填対象容器120等に関する重複した説明は省略する。
【0068】
第3実施形態の注出用スパウト102の場合、閉鎖部22が開口部11aを横断する開口面11bが、先端部11の外周面と同一の面上に設定されている。注出筒部10の先端部11の下端は、先端部11の中心軸線A1に交差する底部17により閉鎖されている。
【0069】
先端部11の開口面11bが中心軸線A1に沿った方向に設定されているため、中心軸線A1に沿った可動部材20の変位に対し、閉鎖部22が中心軸線A1と同じ方向に変位するだけで、開口部11aを開閉することができる。このため、第3実施形態の可動部材20は、閉鎖部22を含めて、可撓性を有しなくてもよい。操作部23の変位方向が先端部11の中心軸線A1に沿っているため、充填対象容器120から離れた基端部12で操作部23を操作することができ、操作性に優れる。
【0070】
注出筒部10は、先端部11の中心軸線A1に沿って閉鎖部22を案内する案内部11c,11dを有してもよい。第3実施形態の注出筒部10は、案内部11c,11dとして、閉鎖部22の外面側を案内する外側案内部11cと、閉鎖部22の内面側を案内する内側案内部11dとを有する。図示例の注出筒部10では、外側案内部11cおよび内側案内部11dが開口面11bの先端側まで形成されている。
【0071】
閉鎖部22が開口部11aを閉鎖するとき、外側案内部11cが閉鎖部22の周縁部に接触する。これにより、閉鎖部22が中心軸線A1に交差する方向に変形することを抑制することができる。例えば、内容物が流路16に残ったまま開口部11aを閉鎖し、閉鎖部22が内容物の重量に押されても、閉鎖部22が開口面11bの外側に飛び出すことを抑制することができる。
【0072】
図示例の注出用スパウト102は、第1実施形態の注出用スパウト100と同様に、空気弁押さえ部24および空気弁50を有する。内容物と入れ替えに充填対象容器120から排出される空気が外部に逃げるため、ユーザーが内容物の液面を見ながら操作部23を操作して、注出を停止することが好ましい。
【0073】
開口面11bが中心軸線A1に沿って設定されている注出用スパウト102において、第2実施形態の注出用スパウト101と同様に、装着部13が空気穴51を有しない構造としてもよい。この場合は、充填対象容器120における内容物の液面が開口部11aより上方に到達すると、本体容器110から充填対象容器120への内容物の注出も自動的が停止される。ユーザーは、注出が停止した後で、注出筒部10の先端部11を閉鎖するために操作部23を操作することができる。
【0074】
次に、図8~9を用いて、空気弁の一例を説明する。この場合の注出用スパウトは、装着部13に設けられる空気弁60を除いて、第1実施形態の注出用スパウト100と同様に構成することができる。このため、注出筒部10、可動部材20、連結部30、栓体40、本体容器110、充填対象容器120等に関する重複した説明は省略する。
【0075】
図示例の空気弁60は、注出筒部10の装着部13を先端部11の外周面と一体化する結合部13cにおいて、空気弁保持部13dに保持された変形部61と、結合部13cを貫通するように保持された貫通部62と、結合部13cに対して抜け止めとなる抜止部63とを有する。貫通部62の外周部から変形部61の下面には空気流路64が形成されている。変形部61の周縁部には、図8に示すように、結合部13cの外面と接触することにより空気流路64を閉鎖する弁体部65が形成されている。
【0076】
空気弁60は、例えばゴム等の弾性部材から形成されている。空気弁60の空気流路64は、内容物の受容に伴って充填対象容器120の内圧が上昇したとき、弁体部65が結合部13cの外面から離れることにより、空気を外部へ放出することができる。液体等の内容物は、空気流路64を通り抜けにくいため、空気流路64を通じた内容物の漏出が抑制される。図示例の空気弁60は、第1実施形態に用いた空気弁50と異なる点として、空気弁60の外周において、空気弁60が装着される部材との隙間に空気流路64が形成される。このため、空気弁60の内部構造が複雑にならず、小型でも成形が容易である。
【0077】
内容物の充填が完了したときは、上述したように、操作部23(図4参照)を基端側から先端側に変位させることにより、先端部11の開口部11aを確実に閉鎖することができる。閉鎖部22が先端部11を閉鎖すると同時に、図9に示すように、空気弁押さえ部24が空気弁60の変形部61を押圧することにより、空気流路64が閉鎖される。空気弁押さえ部24が空気弁60を押さえて閉鎖することにより、空気弁60を通じて充填対象容器120の内部の空気が外部に排出され、あるいは、外気が充填対象容器120の内部に流入することを抑制することができる。
【0078】
装着部13において、容器から排出される空気を逃がす弁構造は、上述した空気弁50,60に限定されず、適宜の構造から構成することができる。注出用スパウト100を構成する樹脂等の成形部材に空気弁等の弁構造を形成してもよい。ゴム、樹脂、金属等から形成される別部材により空気弁等の弁構造を形成して、注出用スパウト100を構成する部材に装着してもよい。
【0079】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
注出筒部10、可動部材20、連結部30、栓体40を形成する材料は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂、金属等の各種成形材料から成形することができる。
【0080】
本体容器110の胴部112の構成は、特に限定されないが、例えば、ボトル容器、パウチ容器、チューブ容器等が挙げられる。本体容器110がボトル容器などの成形容器である場合、特に図示しないが、成形容器の一部として、連結部30が本体容器110に一体化されていてもよい。
【0081】
胴部112のパウチ容器に本体容器110の口部111を接合する場合は、口部111にフィルム、シート等のパウチ部材を接合してもよい。パウチ部材は、少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなるシーラント層、接着層を有することで、パウチ部材同士の接合に食わせて、パウチ部材と口部111との接合を行うことができる。パウチ容器としては、スタンディングパウチ、側面または底面にフィルムの折り込みを有するガゼット容器などが挙げられる。
【0082】
充填対象容器120の胴部122の構成は、特に限定されないが、例えば、ボトル容器、パウチ容器、チューブ容器等が挙げられる。ボトル容器などの成形容器を成形する材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の各種合成樹脂が挙げられる。パウチ容器、チューブ容器、ボトル容器などの容器が、金属、紙、無機化合物、有機化合物等の樹脂以外の材質からなる層を含んでもよい。
【0083】
内容物としては特に限定されないが、液体、粉体、粒体等の流体を採用できる。内容物の種類としては、特に限定されず、飲料品、食料品、調味料、化粧品、医薬品、洗剤、接着剤、家庭用品、工業製品などが挙げられる。液体の内容物としては、飲料、調味液、洗剤、薬剤などが挙げられる。粉体または粒体の内容物としては、塩、砂糖、胡椒、顆粒状調味料、粉末洗剤などを挙げることができる。
【0084】
実施形態の可動部材20の先端部は、内容物が液体であっても漏出を抑制することができるように、穴を有しない板状の閉鎖部22となっている。内容物が粒体等、一定のサイズを有する固形物である場合は、閉鎖部22が、内容物を漏出させない程度の穴、格子目、網目等を有してもよい。
【0085】
実施形態の可動部材20は、軸線方向に沿う可動部材20の変位に連動して、閉鎖部22が開口部11aを横断する方向に変位するように構成されている。本発明は、これに限定されず、内容物が注出される開口部の形成された面に対して、閉鎖部が垂直な方向に変位してもよい。注出筒部の軸線方向を高さ方向として、閉鎖部が開口部と同じ高さにあれば閉鎖部が開口部を閉鎖し、閉鎖部が開口部と異なる高さにあれば開口部が開放される構成でもよい。
【符号の説明】
【0086】
A1…先端部の中心軸線、A2…連結部の中心軸線、10…注出筒部、11…先端部、11a…開口部、11b…開口面、11c…外側案内部、11d…内側案内部、12…基端部、12a…挿入穴、12b…切欠部、12c…係止穴、13…装着部、13a…筒部、13b…ねじ部、13c…結合部、13d…空気弁保持部、14…側端部、15…フランジ部、16…流路、17…底部、20…可動部材、21…スライド部、22…閉鎖部、23…操作部、24…空気弁押さえ部、30…連結部、31…外筒部、32…ねじ部、33…天面部、34…嵌合部、35…テーパ筒部、40…栓体、41…案内面、42…延出部、43…押さえ凸部、44…係止凸部、50,60…空気弁、51…空気穴、61…変形部、62…貫通部、63…抜止部、64…空気流路、65…弁体部、100,101,102…注出用スパウト、110…本体容器、111…本体容器の口部、112…本体容器の胴部、120…充填対象容器、121…充填対象容器の口部、122…充填対象容器の胴部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9