(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】熱可塑性ポリウレタン
(51)【国際特許分類】
C08G 18/66 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
C08G18/66 033
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022202354
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2019572065の分割
【原出願日】2018-06-26
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】シェファー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ペゼルト,エルマー
(72)【発明者】
【氏名】ツァルバクシュ,ジルス
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-173310(JP,A)
【文献】特公昭44-026673(JP,B1)
【文献】国際公開第2018/199085(WO,A1)
【文献】特開2017-002145(JP,A)
【文献】特表2014-516367(JP,A)
【文献】特表2016-524017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0107311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87;71/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸
(ただし、コハク酸を除く)と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記ジオール(D1)がエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択され
、
(ii)で使用する鎖延長剤が、4,4’-アルキリデンジシクロヘキシルジアミンを含まない、熱可塑性ポリウレタン。
【請求項2】
前記ジオール(D1)がブタン-1,4-ジオールである、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項3】
前記脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項4】
前記混合物(M1)がプロパン-1,3-ジオール及び前記ジオール(D1)を3:1~1:3の範囲の比率で含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項5】
前記混合物(M1)がさらなるジオールを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項6】
前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項7】
(ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項8】
前記ポリイソシアナートが脂肪族又は芳香族ジイソシアナートである、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項9】
前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【請求項10】
少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む熱可塑性ポリウレタンの調製方法であって、
前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸
(ただし、コハク酸を除く)と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記ジオール(D1)がエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択され
、
(ii)で使用する鎖延長剤が、4,4’-アルキリデンジシクロヘキシルジアミンを含まない、調製方法。
【請求項11】
(a)少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸
(ただし、コハク酸を除く)と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記ジオール(D1)がエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択され
、
(ii)で使用する鎖延長剤が、4,4’-アルキリデンジシクロヘキシルジアミンを含まない、調製する工程、
(b)熱可塑性ポリウレタンから成形体(SB)を製造する工程、
を含む、成形体(SB)の製造方法。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンの、又は請求項10に記載の方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、押出製品、フィルム
又は成形体を製造するための使用方法。
【請求項13】
押出製品、フィルム又はシートが充填剤で強化されている、請求項12に記載の使用方法。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンの、又は請求項10に記載の方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、ポリマー組成物を製造するための使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリイソシアナートを含む少なくとも1種のポリイソシアナート組成物、少なくとも1種の鎖延長剤、及び少なくとも1種のポリオール組成物を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンに関し、ここでこのポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)、好ましくはブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む。本発明はまた、そのような熱可塑性ポリウレタンの調製方法、及び本発明の熱可塑性ポリウレタンの、又は本発明の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、押出製品、フィルム及び成形体を製造するための、又はポリマー組成物を製造するための使用方法にも関する。本発明によるポリウレタンは、低いブルーム傾向を示す。
【背景技術】
【0002】
様々な用途のための熱可塑性ポリウレタンは、原則として従来技術から既知である。供給原料を変えることにより、異なる特性のプロファイルを得ることが可能である。ポリエステルポリオールは、その有益な特性によって、特に高品質のポリウレタン製品に使用される。
【0003】
例えば、US5695884は、高い結晶化度を有する熱可塑性ポリウレタンのためのセバシン酸をベースとするポリエステルポリオールの使用を開示している。US 2006/0141883A1及びUS2006/0121812は、高い融点を有する繊維用のポリウレタンのためのセバシン酸をベースとするポリエステルポリオールの使用も記載している。WO00/51660A1は、セバシン酸をベースとするポリエステルポリオールを使用することができる心臓カテーテル用のポリウレタンを記載している。ここでも、十分な硬度が必要とされる。
【0004】
しかしながら、ポリウレタンの調製にポリエステルポリオールを使用すると、非常に強いブルームの問題がますます発生する。つまり、加工したポリウレタンに白色のコーティングが形成されるため、多くの潜在的な用途から視覚的にもはや受け入れられなくなる。
【0005】
WO2010/107562A1は、プロパン-1,3-ジオールとジカルボン酸との反応生成物から得られる熱可塑性ポリウレタンを開示している。この文書は、アジピン酸及びプロパンジオールをベースとするホモポリエステルを使用して得られる又は得ることができるポリウレタンは、アジピン酸及びブタンジオールをベースとするホモポリエステルを使用して得られる又は得ることができる対応するポリウレタンよりも、ブルームが少ないと記載している。
【0006】
しかしながら、多くの用途では、上記の文書に記載されている機械的特性は不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】US5695884
【文献】US2006/0141883A1
【文献】US2006/0121812
【文献】WO00/51660A1
【文献】WO2010/107562A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、良好な機械的特性を有し、さらにブルームの傾向が低減された熱可塑性ポリウレタンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンによって達成され、ここでこのポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む。
【0010】
驚くべきことに、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含むポリオール混合物のポリエステルをベースとする本発明の熱可塑性ポリウレタンは、純粋なジオールのポリエステルをベースとするものと比較して、ブルームの傾向が著しく低減されると同時に、市販の熱可塑性ポリウレタンに相当する良好な機械的特性を有することが見出された。
【0011】
本発明によれば、少なくとも成分(i)~(iii)を反応させる。本発明によるポリウレタンの調製のために、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、ポリオール組成物を使用する。
【0012】
混合物(M1)は、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む。ジオール(D1)は、好ましくは、エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択される。本発明によれば、ブタン-1,4-ジオールが特に好ましい。本発明によれば、混合物(M1)は、プロパン-1,3-ジオールに加えて、2~12個の炭素原子を有する2種以上のジオールも含み得る。
【0013】
従ってさらなる実施形態において、本発明は、ジオール(D1)がエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択される、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。さらなる実施形態において、本発明は、ジオール(D1)がブタン-1,4-ジオールである上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。よって本発明は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンにも関し、ここでこのポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む。
【0014】
本発明によれば、ここでは原則として、当業者に既知の任意の適したポリエステルオールを使用することが可能である。本発明によれば、この場合使用するポリエステルポリオールは、1.8~2.3の範囲、好ましくは1.9~2.2の範囲、特に2の平均官能価を有することが好ましい。本発明のポリエステルポリオールは好ましくはポリエステルジオールである。
【0015】
本発明により使用するポリエステルポリオールの適した分子量範囲は、それ自体当業者に既知である。好ましい実施形態では、ポリエステルポリオールの分子量は、750~3000g/molの範囲、特に好ましくは800~2500g/molの範囲、及び非常に特に好ましくは1000~2000g/molの範囲である。
【0016】
従ってさらなる実施形態において、本発明は、ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有する、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0017】
本発明による特に適したポリエステルポリオールは、25~230mgKOH/gの範囲の、特に好ましくは35~140mgKOH/gの範囲の、非常に特に好ましくは40~115mgKOH/gの範囲のOH価を有する。
【0018】
本発明によれば、ポリエステルポリオール(P1)は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)、好ましくはブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより、得ることができる又は得られる。
【0019】
本発明において、混合物(M1)中のプロパン-1,3-ジオール及びジオール(D1)の混合比は、広い限度内で変えることができる。例えば、プロパン-1,3-ジオール及びジオール(D1)の比率は、3:1~1:3の範囲でよい。本発明によれば、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールの比率は、特に3:1~1:3の範囲でよい。
【0020】
従ってさらなる実施形態において、本発明は、混合物(M1)がプロパン-1,3-ジオール及びジオール(D1)を3:1~1:3の範囲の比率で含む、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。さらなる実施形態において、本発明は、混合物(M1)がプロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを、3:1~1:3の範囲の比率で含む、上記の熱可塑性ポリウレタンにも関する。
【0021】
本発明によれば、プロパン-1,3-ジオール及びジオール(D1)の比率、特にプロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールの比率は、例として、2.5:1~1:2.5の範囲、又は2:1~1:2の範囲、又は1.5:1~1:1.5の範囲、又は1:1でもよい。
【0022】
混合物(M1)は、ここでさらなる成分、例えば溶媒又はさらなる多価アルコールを含み得る。適した多価アルコールは、例えば、多価脂肪族アルコール、例えば、2、3、4個又はそれ以上のOH基、例えば、2個又は3個のOH基を有する脂肪族アルコールである。本発明による適した脂肪族アルコールは、例えば、C2~C12アルコール、好ましくはC2~C8アルコール、及び非常に特に好ましくはC2~C6アルコールである。適したさらなる脂肪族C2~C6ジオールは、例えば、ジエチレングリコール、3-オキサペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、ジプロピレングリコール、ペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール及び3-メチルペンタン-1,5-ジオールである。
【0023】
従ってさらなる実施形態において、本発明は、混合物(M1)がさらなるジオールを含む、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0024】
好ましくは、混合物(M1)は、プロパン-1,3-ジオール及びジオール(D1)以外の、特にプロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオール以外のさらなるアルコールを含まない。特に好ましい実施形態では、混合物(M1)は、プロパン-1,3-ジオール及びジオール(D1)以外の、特にプロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオール以外のさらなる成分を含まない。
【0025】
本発明によれば、プロパンジオール及び/又はさらなるジオール、例えば再生可能な原材料から少なくとも部分的に得られたブタンジオールを使用することも可能である。この場合、多価アルコールは再生可能な原材料から部分的に又は完全に得られていることが可能である。本発明によれば、使用する多価アルコールの少なくとも1種は、再生可能な原材料から少なくとも部分的に得てよい。
【0026】
よってプロパン-1,3-ジオールは、合成により調製されたプロパン-1,3-ジオールでよいが、特に、再生可能な原材料からのプロパン-1,3-ジオール(「バイオプロパン-1,3-ジオール」)でよい。バイオプロパン-1,3-ジオールは例えば、トウモロコシ及び/又は砂糖から得ることができる。さらなる可能性は、バイオディーゼル生産からのグリセロール廃棄物の変換である。本発明のさらに好ましい実施形態では、多価アルコールは、再生可能な原材料から少なくとも部分的に得られたプロパン-1,3-ジオールである。
【0027】
さらなる実施形態において、本発明はまた、少なくとも1種の多価アルコールが再生可能な原材料から少なくとも部分的に得られたプロパン-1,3-ジオールである、上記のポリウレタンに関する。
【0028】
本発明によれば、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸を使用して、ポリエステルポリオール(P1)を調製する。
【0029】
本発明において、使用するジカルボン酸は、直鎖又は分岐鎖であり得る。本発明において、ジカルボン酸は、好ましくは4~12個の炭素原子を有するジカルボン酸、特に好ましくは6~10個の炭素原子を有するジカルボン酸から選択される。本発明において、使用するジカルボン酸は、特に好ましくはアジピン酸である。本発明によれば、言及したジカルボン酸の2種以上の混合物を使用することも可能である。
【0030】
従ってさらなる実施形態において、本発明は、脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、ポリエステルポリオール(P1)を調製するために、混合物(M1)及び2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸以外のさらなる成分は使用しない。よって本発明の特に好ましい実施形態では、アジピン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びジオール(D1)からなる混合物(M1)とを使用して、ポリエステルポリオール(P1)を調製する。
【0032】
本発明の熱可塑性ポリウレタンの調製のために、少なくとも1種の鎖延長剤を成分(ii)として使用する。
【0033】
適した鎖延長剤は、原則として当業者に既知である。適した化合物の例は、少なくとも2個のイソシアナート反応性官能基、例えばヒドロキシル基、アミノ基又はチオール基を有するものである。よってさらなる実施形態において、本発明は、少なくとも2個のイソシアナート反応性官能基を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種の鎖延長剤を使用する、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0034】
適した鎖延長剤の例は、<500g/mol、好ましくは<350g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される化合物である。さらなる実施形態において、本発明はまた、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる鎖延長剤(KV2)を使用する、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0035】
本発明によれば、使用するさらなる鎖延長剤(KV2)はジオールであることが好ましい。ここで、50g/mol~220g/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式ジオールを好ましく使用することができる。アルキレンラジカル中に2~10個の炭素原子を有するアルカンジオール、特にジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/又はデカアルキレングリコールが好ましい。本発明では、1,2-エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール及びヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテルが特に好ましい。
【0036】
本発明において、分岐鎖化合物、例えばシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ピナコール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール又はN-フェニルジエタノールアミンも鎖延長剤として適している。同様に適しているのは、例えば4-アミノブタノールなどの混合化合物である。
【0037】
本発明において、使用する鎖延長剤及びポリオール組成物の量は、広い範囲内で変えてよい。例えば、成分(iii)及び成分(ii)は、(iii)の(ii)に対するモル比が1:0.7、1:2.7及び1:7.3で使用する。
【0038】
本発明によれば、ポリオール組成物は少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む。本発明によれば、ポリオール組成物は、さらなるポリオールを含み得る。適したポリオールは、原則として当業者に既知であり、例えば「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック]、第7巻、Polyurethane[ポリウレタン]」、Carl Hanser Verlag、1993年第3版、第3.1章に記載されている。ポリオールとしてポリエステルオール又はポリエーテルオールを使用することが特に好ましい。同様に、ポリカーボネートを使用することも可能である。本発明においてはコポリマーも使用し得る。本発明により使用するポリオールの数平均分子量は、好ましくは0.5x103g/mol~8x103g/molの間であり、好ましくは0.6x103g/mol~5x103g/molの間、特に0.8x103g/mol~3x103g/molの間である。
【0039】
本発明によれば、ポリエーテルオールだけでなく、ポリエステルオール、ブロックコポリマー、及びハイブリッドポリオール、例えばポリ(エステル/アミド)なども適している。本発明によれば、好ましいポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアジペート、ポリカーボネート、ポリカーボネートジオール及びポリカプロラクトンである。
【0040】
さらなる実施形態において、本発明はまた、ポリオール組成物が、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカプロラクトン及びポリカーボネートからなる群から選択されるポリオールを含む、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0041】
適したブロックコポリマーは、例えばエーテル及びエステルブロックを有するものであり、例えばポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、又はポリカプロラクトン末端ブロックを有するポリエーテルなどである。本発明によれば、好ましいポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。ポリカプロラクトンも好ましい。
【0042】
ポリオール組成物は、好ましくは、1.8~2.3、好ましくは1.9~2.2、特に2の平均官能価を有する。本発明により使用するポリオールは、好ましくは、第一級ヒドロキシル基のみを有することが好ましい。
【0043】
本発明によれば、ポリオール組成物は溶媒も含み得る。適した溶媒は、それ自体当業者に既知である。
【0044】
本発明によれば、熱可塑性ポリウレタンの調製に使用される成分(i)は、少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物である。本発明において好ましいポリイソシアナートは、ジイソシアナート、特に脂肪族又は芳香族ジイソシアナート、さらに好ましくは芳香族ジイソシアナートである。
【0045】
従ってさらなる実施形態において、本発明は、ポリイソシアナートが脂肪族又は芳香族ジイソシアナートである、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0046】
さらに、本発明において、予備反応生成物をイソシアナート成分として使用してよく、ここでOH成分の一部を先行の反応工程でイソシアナートと反応させる。得られた生成物は、実際のポリマー反応である後続の工程で残りのOH成分と反応し、これによって熱可塑性ポリウレタンが形成される。
【0047】
使用する脂肪族ジイソシアナートは、通常の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアナート、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアナート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアナート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアナート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアナート、ブチレン1,4-ジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート、1-イソシアナート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアナート、1-メチル-2,4-及び/又は1-メチルシクロヘキサン2,6-ジイソシアナート、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)である。
【0048】
好ましい脂肪族ポリイソシアナートは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン及びメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)である。
【0049】
好ましい脂肪族ポリイソシアナートは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン及びメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)であり、特に好ましくは、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及び1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン又はそれらの混合物である。
【0050】
適した芳香族ジイソシアナートは、特にナフチレン1,5-ジイソシアナート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアナート(MDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアナート(PDI)、ジフェニルエタン4,4’-ジイソシアナート(EDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアナート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアナート及び/又はフェニレンジイソシアナートである。
【0051】
従ってさらなる実施形態において、本発明は、ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0052】
より高い官能価のイソシアナートの好ましい例は、トリイソシアナート、例えばトリフェニルメタン4,4’ ,4”-トリイソシアナート、前述のジイソシアナートのシアヌレート、及びジイソシアナートと水との部分反応により得ることができるオリゴマー、例えば前述のジイソシアナートのビウレット、及びさらに、平均して2個以上、好ましくは3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの半ブロック化ジイソシアナートの特定の反応により得ることができるオリゴマーである。
【0053】
本発明によれば、ポリイソシアナート組成物はまた、1種以上の溶媒を含み得る。適した溶媒は、当業者に既知である。適した例は非反応性溶媒、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン及び炭化水素などである。
【0054】
本発明においてさらに使用できるのは、架橋剤、例えば、前述のより高い官能価のポリイソシアナート又はポリオール、又は複数のイソシアナート反応性官能基を有する他のより高い官能価の分子である。同様に本発明において、ヒドロキシル基に比例して使用する過剰のイソシアナート基を介して、生成物の架橋を達成することが可能である。
【0055】
本発明によれば、成分(i)~(iii)は、使用するポリオール組成物及び鎖延長剤の官能価の合計の、使用するイソシアナート組成物の官能価の合計に対するモル比が、1:0.8~1:1.3の範囲にあるような比率で使用する。比率は、好ましくは1:0.9~1:1.2の範囲、より好ましくは1:0.965~1:1.11の範囲、より好ましくは1:0.97~1:1.11の範囲、より好ましくは1:0.97~1:1.05の範囲、特に好ましくは1:0.98~1:1.03の範囲にある。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明は、使用するポリオール組成物及び鎖延長剤の官能価の合計の、使用するイソシアナート組成物の官能価の合計に対するモル比が、1:0.8~1:1.3の範囲にある、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0057】
成分(i)~(iii)の反応において考慮されるさらなるパラメータは、イソシアナート指数である。指数はこの場合、反応で使用される成分(i)の合計のイソシアナート基の、イソシアナート反応性基、すなわち、具体的には成分(ii)及び(iii)の基の比率によって定義される。指数1000では、成分(i)の各イソシアナート基に対して1個の活性水素原子がある。指数が1000を超えると、イソシアナート反応性基よりも多くのイソシアナート基がある。成分(i)~(iii)の反応における指数は、好ましくは965~1110の範囲、例えば970~1110の範囲、より好ましくは970~1050の範囲、特に好ましくは980~1030の範囲にある。
【0058】
さらなる実施形態において、本発明は、反応における指数が965~1100の範囲にある、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0059】
本発明によれば、成分(i)~(iii)の反応中にさらなる添加剤、例えば触媒又は助剤及び追加物を添加してよい。追加物及び助剤はそれ自体当業者に既知である。本発明によれば、2種以上の添加剤の組み合わせを使用することも可能である。
【0060】
本発明において、「添加剤」という用語は、特に触媒、助剤及び追加物、特に安定剤、核剤、離型剤、離型助剤、充填剤、難燃剤又は架橋剤を意味すると理解される。
【0061】
適した添加剤又は追加物は、例えば安定剤、核剤、充填剤、例えばシリケート、又は架橋剤、例えば多官能性アルミノシリケートである。
【0062】
よってさらなる実施形態において、本発明は、熱可塑性ポリウレタンが少なくとも1種の添加剤を含む、上記の熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0063】
助剤及び追加物の例には、界面活性物質、難燃剤、核剤、酸化安定剤、酸化防止剤、潤滑剤及び離型助剤、染料及び顔料、安定剤(例えば加水分解、光、熱又は変色に対する)、無機及び/又は有機充填剤、強化剤、可塑剤が含まれる。適した助剤及び追加物は、例えば、Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック]、第VII巻、Vieweg and Hoechtlen編集、Carl Hanser Verlag,Munich、1966(第103頁~第113頁)に見出すことができる。
【0064】
適した触媒は、従来技術から原則として同様に既知である。適した触媒は、例えば、スズオルガニル、チタンオルガニル、ジルコニウムオルガニル、ハフニウムオルガニル、ビスマスオルガニル、亜鉛オルガニル、アルミニウムオルガニル及び鉄オルガニルからなる群から選択される有機金属化合物、例えばスズオルガニル化合物、好ましくはジアルキルスズ、例えばジメチルスズ又はジエチルスズ、又は脂肪族カルボン酸のスズオルガニル化合物、好ましくはスズジアセテート、スズジラウラート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウラート、ビスマス化合物、例えばビスマスアルキル化合物など、又は鉄化合物、好ましくは鉄(MI)アセチルアセトネート、又はカルボン酸の金属塩、例えばスズ(II)イソオクトエート、スズジオクトエート、チタネートエステル又はビスマス(III)ネオデカノエートである。
【0065】
好ましい実施形態では、触媒はスズ化合物及びビスマス化合物から選択され、より好ましくはスズアルキル化合物又はビスマスアルキル化合物である。スズ(II)イソオクトエート及びビスマスネオデカノエートが特に適している。
【0066】
触媒は通常は0~2000ppm、好ましくは1ppm~1000ppm、より好ましくは2ppm~500ppm、及び最も好ましくは5ppm~300ppmの量で使用する。
【0067】
本発明の熱可塑性ポリウレタンの特性は、用途に応じて広い範囲内で変えてよい。
【0068】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む熱可塑性ポリウレタンの調製方法に関し、
ここでこのポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む。
【0069】
本方法の好ましい実施形態、適した供給原料又は混合比に関して、対応する上記の記述を参照されたい。
【0070】
成分(i)~(iii)の反応は、原則としてそれ自体既知の反応条件下で実施し得る。この場合、反応は非連続的に又は連続的に、例えばベルトプロセス又は反応押出プロセスで、行ってよい。適したプロセスは、例えばEP0922552A1又はWO2006/082183A1に記載されている。
【0071】
ポリウレタンは、既知のプロセスによって非連続的に又は連続的に、例えば反応性押出機、又はワンショットによるベルトプロセス又はプレポリマープロセスを使用して、好ましくはワンショットプロセスにより、製造し得る。これらのプロセスにおいて、反応させる成分は互いに連続的に又は同時に混合され、反応が即座に開始する。押出機プロセスでは、合成成分及び任意に鎖延長剤、触媒及び/又は追加物を、押出機に個別に又は混合物として導入し、例えば100~280℃、好ましくは140~250℃の温度で反応させ、得られたポリウレタンを押出し、冷却してペレット化する。
【0072】
好ましい実施形態では、成分(i)~(iii)の反応は、室温よりも高い温度で実施する。
【0073】
本発明によれば、加熱は、当業者に既知の任意の適した方法で行ってよい。供給原料は、例えば加熱可能な計量ユニットを使用して、好ましくは添加前に加熱し得る。
【0074】
例えば、反応性押出プロセスを使用する反応において、反応は、ゾーン温度が170℃~245℃の範囲、好ましくは180℃~235℃の範囲、より好ましくは190℃~230℃の範囲にあるように実施する。
【0075】
本発明によれば、例えば成分の前処理又は得られる熱可塑性ポリウレタンの後処理のために、本方法がさらなる工程を含むことも可能である。よってさらなる実施形態において、本発明は、得られる熱可塑性ポリウレタンを反応後に熱処理する、上記の熱可塑性ポリウレタンの調製方法にも関する。
【0076】
本発明によるポリウレタンは、通常は顆粒の形態又は粉末形態で存在し、これによって所望のフィルム、成形品、ロール、繊維、自動車用トリム、ホース、ケーブルコネクタ、ベローズ(bellows)、トレーリングケーブル、ケーブル被覆、シール、ベルト又は減衰要素が得られる。本発明によるポリウレタンの加工は、慣例の方法、例えば射出成形、カレンダ加工、押出などによって行う。
【0077】
本発明の熱可塑性ポリウレタン/本発明の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリウレタンは、多種多様に使用し得る。本発明の熱可塑性ポリウレタンは、成形品及びフィルムの製造に特に適している。可能な用途は、例えば、シール、シーリングリング、ガスケット、シーリングワッシャー、シーリング剤、シーリング組成物、シーラント又は靴のアウターソールである。さらなる用途は、例えば、とりわけ空気圧用途のホース、コンベヤーベルト、フィルム、包装材料、ケーブル、床材用途、衝撃吸収材及び吸音材である。
【0078】
さらなる態様において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンの、又は本発明の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、押出製品、フィルム及び成形体を製造するための、特にケーブル被覆、ホース、シールを製造するための使用方法に関する。
【0079】
よって本発明は、
(a)少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
このポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、調製する工程、
(b)熱可塑性ポリウレタンから成形体(SB)を製造する工程、
を含む、成形体(SB)の製造方法にも関する。
【0080】
好ましい実施形態に関しては、上記の記述を参照されたい。工程(b)の通り熱可塑性ポリウレタンから成形体(SB)を製造するために一般的に使用される方法は、それ自体当業者に既知である。方法はまた、工程(a)及び(b)の間にさらなる工程、例えば熱可塑性ポリウレタンの処理又は温度処理を含んでもよい。
【0081】
さらなる実施形態において、本発明は、上記の熱可塑性ポリウレタンの、又は本発明の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、押出製品、フィルム及び成形体を製造するための使用方法にも関し、ここでその押出製品、フィルム又はシートは充填剤で強化されている。
【0082】
驚くべきことに、本発明の熱可塑性ポリウレタン又は本発明の方法により得られる熱可塑性ポリウレタンは、発泡材料の製造によく適していることが見出された。ここで本発明の熱可塑性ポリウレタンは、それ自体既知の様式で発泡材料に加工することができる。発泡剤、セル調節剤、界面活性物質、核剤、充填剤、中空微小球及び/又は離型剤などの追加物が、ここで任意に用いられる。適した加工及び追加物は、例えば、WO2014/198779A1、WO2007/082838A1又はWO94/20568A1に開示されている。
【0083】
従ってさらなる態様において、本発明はまた、上記の熱可塑性ポリウレタンの、又は本発明の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、発泡フィルム、発泡成形品又は発泡粒子を、又はそれから得ることができる粒子発泡体を製造するための使用方法にも関する。
【0084】
さらなる実施形態において、本発明はまた、上記の熱可塑性ポリウレタンの、又は本発明の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、発泡フィルム、発泡成形品又は発泡粒子を、又はそれから得ることができる粒子発泡体を製造するための使用方法にも関し、ここでそれから得ることができる発泡フィルム、発泡成形品又は発泡粒子及び粒子発泡体は、充填剤で強化されている。
【0085】
本発明において、本発明の熱可塑性ポリウレタン又は本発明の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリウレタンは、ポリマー組成物又はポリマーブレンドにおいて使用することもできる。そのようなポリマー組成物又はポリマーブレンドは、本発明の熱可塑性ポリウレタン、又は本発明の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリウレタン、及び1種以上のさらなるポリマーを含む。よって本発明はまた、上記の熱可塑性ポリウレタンの、又は本発明の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、ポリマー組成物を製造するための使用方法に関する。
【0086】
本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲及び実施例に見出すことができる。上述し、以下に説明する本発明による主題/方法/使用方法の特徴は、いずれの場合も指定した組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせでも使用可能であることが理解されよう。例えば、好ましい特徴と特に好ましい特徴との組み合わせ、又は特に好ましい特徴などでさらに特徴付けられない特徴の組み合わせも、この組み合わせがそのように明示的に言及されていなくても暗黙的に包含される。
【発明を実施するための形態】
【0087】
本発明の例示的な実施形態を以下に列挙するが、これらは本発明を限定するものではない。特に、本発明は、従属関係の参照、よって以下に特定される組み合わせから生じる実施形態も包含する。
【0088】
1. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、熱可塑性ポリウレタン。
【0089】
2. 前記ジオール(D1)がエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択される、実施形態1に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0090】
3. 前記ジオール(D1)がブタン-1,4-ジオールである、実施形態1又は2に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0091】
4. 脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、実施形態1から3のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0092】
5. 前記混合物(M1)が、プロパン-1,3-ジオール及び前記ジオール(D1)を3:1~1:3の範囲の比率で含む、実施形態1から4のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0093】
6. 前記混合物(M1)がさらなるジオールを含む、実施形態1から5のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0094】
7. 前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施形態1から6のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0095】
8. (ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される、実施形態1から7のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0096】
9. 前記ポリイソシアナートが脂肪族又は芳香族ジイソシアナートである、実施形態1から8のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0097】
10. 前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、実施形態1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0098】
11. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む熱可塑性ポリウレタンの調製方法であって、前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、調製方法。
【0099】
12. 前記ジオール(D1)が、エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択される、実施形態11に記載の方法。
【0100】
13. 前記ジオール(D1)がブタン-1,4-ジオールである、実施形態11に記載の方法。
【0101】
14. 前記脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、実施形態11から13のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
15. 前記混合物(M1)がプロパン-1,3-ジオール及び前記ジオール(D1)を3:1~1:3の範囲の比率で含む、実施形態11から14のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
16. 前記混合物(M1)がさらなるジオールを含む、実施形態11から15のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
17. 前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施形態11から16のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
18. (ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される、実施形態11から17のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
19. 前記ポリイソシアナートが脂肪族又は芳香族ジイソシアナートである、実施形態11から18のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
20. 前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、実施形態11から19のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
21.
(a)少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及び2~12個の炭素原子を有するさらなるジオール(D1)を含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、調製する工程、
(b)前記熱可塑性ポリウレタンから成形体(SB)を製造する工程、
を含む、成形体(SB)の製造方法。
【0109】
22. 前記ジオール(D1)がエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
【0110】
23. 前記ジオール(D1)がブタン-1,4-ジオールである、実施形態21に記載の方法。
【0111】
24. 前記脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、実施形態21から23のいずれか一項に記載の方法。
【0112】
25. 前記混合物(M1)がプロパン-1,3-ジオール及び前記ジオール(D1)を3:1~1:3の範囲の比率で含む、実施形態21から24のいずれか一項に記載の方法。
【0113】
26. 前記混合物(M1)がさらなるジオールを含む、実施形態21から25のいずれか一項に記載の方法。
【0114】
27. 前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施形態21から26のいずれか一項に記載の方法。
【0115】
28. (ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される、実施形態21から27のいずれか一項に記載の方法。
【0116】
29. 前記ポリイソシアナートが脂肪族又は芳香族ジイソシアナートである、実施形態21から28のいずれか一項に記載の方法。
【0117】
30. 前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、実施形態21から29のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
31. 実施形態1から10のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンの、又は実施形態11から20のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、押出製品、フィルム及び成形体を製造するための使用方法。
【0119】
32. 押出製品、フィルム又はシートが充填剤で強化されている、実施形態31に記載の使用方法。
【0120】
33. 実施形態1から10のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンの、又は実施形態11から20のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、ポリマー組成物を製造するための使用方法。
【0121】
34. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、熱可塑性ポリウレタン。
【0122】
35. 前記脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、実施形態34に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0123】
36. 前記混合物(M1)が、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを3:1~1:3の範囲の比率で含む、実施形態34又は35に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0124】
37. 前記混合物(M1)がヘキサン-1,6-ジオールを含む、実施形態34から36のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0125】
38. 前記混合物(M1)がプロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールからなる、実施形態34から37のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0126】
39. 前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施形態34から38のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0127】
40. (ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される、実施形態34から39のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0128】
41. ポリイソシアナートが脂肪族又は芳香族ジイソシアナートである、実施形態34から40のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0129】
42. 前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、実施形態34から41のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタン。
【0130】
43. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸であり、混合物(M1)はプロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールからなる、熱可塑性ポリウレタン。
【0131】
44. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記混合物(M1)が、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを3:1~1:3の範囲の比率で含む、熱可塑性ポリウレタン。
【0132】
45. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸であり、
前記混合物(M1)が、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを3:1~1:3の範囲の比率で含む、熱可塑性ポリウレタン。
【0133】
46. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸であり、
前記混合物(M1)が、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを3:1~1:3の範囲の比率で含み、
前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有し、
(ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択され、
前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、熱可塑性ポリウレタン。
【0134】
47. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
を反応させることにより得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンであって、
前記ポリオール組成物は、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含み、
前記脂肪族ジカルボン酸はアジピン酸であり、
前記混合物(M1)はヘキサン-1,6-ジオールを含み、
前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有し、
(ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択され、
前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、熱可塑性ポリウレタン。
【0135】
48. 少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む熱可塑性ポリウレタンの調製方法であって、
前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、調製方法。
【0136】
49.
(a)少なくとも成分(i)~(iii):
(i)少なくとも1種のポリイソシアナートを含むポリイソシアナート組成物、
(ii)少なくとも1種の鎖延長剤、及び
(iii)少なくとも1種のポリオール組成物、
の反応を含む、熱可塑性ポリウレタンを調製する工程であって、
前記ポリオール組成物が、2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸と、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを含む混合物(M1)とを反応させることにより得ることができる、少なくとも1種のポリエステルポリオール(P1)を含む、調製する工程、
(b)前記熱可塑性ポリウレタンから成形体(SB)を製造する工程、
を含む、成形体(SB)の製造方法。
【0137】
50. 前記脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である、実施形態48又は49に記載の方法。
【0138】
51. 前記混合物(M1)が、プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオールを3:1~1:3の範囲の比率で含む、実施形態48から50のいずれか一項に記載の方法。
【0139】
52. 前記混合物(M1)がヘキサン-1,6-ジオールを含む、実施形態48から51のいずれか一項に記載の方法。
【0140】
53. 前記ポリエステルポリオール(P1)が750~3000g/molの範囲の分子量Mwを有する、実施形態48~52のいずれか一項に記載の方法。
【0141】
54. (ii)で使用する鎖延長剤が、<500g/molの分子量を有する脂肪族及び芳香族ジオールからなる群から選択される、実施形態48から53のいずれか一項に記載の方法。
【0142】
55. 前記ポリイソシアナートが脂肪族又は芳香族ジイソシアナートである、実施形態48から54のいずれか一項に記載の方法。
【0143】
56. 前記ポリイソシアナートが、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアナート(HDI)、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアナート(H12MDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)からなる群から選択される、実施形態48から55のいずれか一項に記載の方法。
【0144】
57. 実施形態1から14のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンの、又は実施形態48又は50から56のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、押出製品、フィルム及び成形体を製造するための使用方法。
【0145】
58. 押出製品、フィルム又はシートが充填剤で強化されている、実施形態57に記載の使用方法。
【0146】
59. 実施形態34から47のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリウレタンの、又は実施形態48又は50から56のいずれか一項に記載の方法により得ることができる又は得られる熱可塑性ポリウレタンの、ポリマー組成物を製造するための使用方法。
【0147】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明の主題に関して決して限定するものではない。
【実施例】
【0148】
1.供給原料
次の供給原料を使用した。
【0149】
ポリオール1: 45.4のOH価、及び第一級OH基のみを有するポリエステルポリオール(プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオール(比率1:1)及びアジピン酸をベースとする、官能価:2)
ポリオール2: 56.6のOH価、及び第一級OH基のみを有するポリエステルポリオール(プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオール(比率1:3)及びアジピン酸をベースとする、官能価:2)
ポリオール3: 44.0のOH価、及び第一級OH基のみを有するポリエステルポリオール(プロパン-1,3-ジオール及びブタン-1,4-ジオール(比率3:1)及びアジピン酸をベースとする、官能価:2)
ポリオール4: 45.1のOH価、及び第一級OH基のみを有するポリエステルポリオール(プロパン-1,3-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオール(比率1:1)及びアジピン酸をベースとする、官能価:2)
ポリオール5: 43.3のOH価、及び第一級OH基のみを有するポリエステルポリオール(プロパン-1,3-ジオール及びアジピン酸をベースとする、官能価:2)
ポリオール6: 45.2のOH価、及び第一級OH基のみを有するポリエステルポリオール(ブタン-1,4-ジオール及びアジピン酸をベースとする、官能価:2)
ジイソシアナート1: 芳香族イソシアナート(メチレンジフェニル4,4’-ジイソシアナート)
CE1: ブタン-1,4-ジオール
安定剤1: 高分子カルボジイミド
触媒: チタニウム(IV)ブトキシド(TTB)、CAS:5593-70-4
スズ(II)2-エチルヘキサノエート(SDO)、CAS:301-10-0
【0150】
2. 手法:
2.1 粘度の決定:
特に明記しない限り、ポリオールの粘度は、DIN EN ISO3219(1994)に従い25℃で、Rheotec RC20回転式粘度計で、CC25DINスピンドルを使用して(スピンドル直径:12.5mm、メスシリンダーの内径:13.56mm)、せん断速度50 1/sで決定した。
【0151】
2.2 ヒドロキシル価の測定:
ヒドロキシル価は、無水フタル酸法DIN53240(1971-12)により決定し、mgKOH/gで報告する。
【0152】
2.3 酸価の測定:
酸価は、DIN EN1241(1998-05)に従って決定し、mgKOH/gで報告する。
【0153】
3. ポリオールの調製
3.1 例1(ADA/P1,3/B1,4(1:1)、Mw:2500)-ポリオール1
温度計、窒素注入口、加熱マントル、蒸留カラム、及び攪拌機を備えた4Lの丸首フラスコに、最初に1828.09gのアジピン酸、608.72gのブタン-1,4-ジオール、514.02gのプロパン-1,3-ジオール、5ppmのSDO及び1ppmのTTBを入れ、これを120℃に加熱した。混合物が透明になった後、温度を最初に150℃に上げ、次に段階的に240℃に上げ、240℃で数時間水を留去した。算出した凝縮水の90%を除去した後、装置内の圧力を60mbarに下げた。形成した凝縮水を、1mgKOH/g未満の酸価に達するまで連続的に留去した。反応時間は合計で約18時間であった。
【0154】
45.4mgKOH/gのヒドロキシル価、0.79mgKOH/gの酸価、及び75℃で1423mPasの粘度を有するポリエステルポリオールを得た。
【0155】
3.2 例2(ADA/P1,3/B1,4(1:3)、Mw:2000)-ポリオール2
温度計、窒素注入口、加熱マントル、蒸留カラム、及び攪拌機を備えた4Lの丸首フラスコに、最初に1792.91gのアジピン酸、914.48gのブタン-1,4-ジオール、257.4gのプロパン-1,3-ジオール、5ppmのSDO及び1ppmのTTBを入れ、これを120℃に加熱した。混合物が透明になった後、温度を最初に150℃に上げ、次に段階的に240℃に上げ、240℃で数時間水を留去した。算出した凝縮水の90%を除去した後、装置内の圧力を60mbarに下げた。形成した凝縮水を、1mgKOH/g未満の酸価に達するまで連続的に留去した。反応時間は合計で約20時間であった。
【0156】
56.6mgKOH/gのヒドロキシル価、0.4mgKOH/gの酸価及び75℃で882mPasの粘度を有するポリエステルポリオールを得た。
【0157】
3.3 例3(ADA/P1,3/B1,4(3:1)、Mw:2500)-ポリオール3
温度計、窒素注入口、加熱マントル、蒸留カラム、及び攪拌機を備えた4Lの丸首フラスコに、最初に1864.56gのアジピン酸、309.98gのブタン-1,4-ジオール、785.28gのプロパン-1,3-ジオール、5ppmのSDO及び1ppmのTTBを入れ、これを120℃に加熱した。混合物が透明になった後、温度を最初に150℃に上げ、次に段階的に240℃に上げ、240℃で数時間水を留去した。算出した凝縮水の90%を除去した後、装置内の圧力を60mbarに下げた。形成した凝縮水を、1mgKOH/g未満の酸価に達するまで連続的に留去した。反応時間は合計で約17時間であった。
【0158】
44.0mgKOH/gのヒドロキシル価、0.86mgKOH/gの酸価、及び75℃で1325mPasの粘度を有するポリエステルポリオールを得た。
【0159】
3.4 例4(ADA/P13/H16(1:1)、Mw2500)-ポリオール4
温度計、窒素注入口、加熱マントル、蒸留カラム、及び攪拌機を備えた4Lの丸首フラスコに、最初に1694.43gのアジピン酸、744.21gのヘキサン-1,6-ジオール、479.22gのプロパン-1,3-ジオール、5ppmのSDO及び1ppmのTTBを入れ、これを120℃に加熱した。混合物が透明になった後、温度を最初に150℃に上げ、次に段階的に240℃に上げ、240℃で数時間水を留去した。算出した凝縮水の90%を除去した後、装置内の圧力を60mbarに下げた。形成した凝縮水を、1mgKOH/g未満の酸価に達するまで連続的に留去した。反応時間は合計で約21時間であった。
【0160】
45.1mgKOH/gのヒドロキシル価、0.61mgKOH/gの酸価、及び75℃で1065mPasの粘度を有するポリエステルポリオールを得た。
【0161】
3.5 例5(ADA/P1,3、Mw:2500)-ポリオール5(比較例)
温度計、窒素注入口、加熱マントル、蒸留カラム、及び攪拌機を備えた4Lの丸首フラスコに、最初に1902.45gのアジピン酸及び1066.75gのプロパン-1,3-ジオールを入れ、これを120℃に加熱した。酸が完全に溶けた後、温度を最初に150℃に上げ、次に段階的に240℃に上げ、240℃で数時間水を留去した。算出した凝縮水の90%を除去した後、混合物を180℃に冷却し、5ppmのSDO及び1ppmのTTBを添加した。混合物はその後240℃まで再度加熱し、装置内の圧力を60mbarに下げた。形成した凝縮水を、1mgKOH/g未満の酸価に達するまで連続的に留去した。反応時間は合計で約22時間であった。
【0162】
43.3mgKOH/gのヒドロキシル価、0.86mgKOH/gの酸価、及び75℃で1465mPasの粘度を有するポリエステルポリオールを得た。
【0163】
3.6 例6(ADA/B14、Mw:2500)-ポリオール6(比較例)
温度計、窒素注入口、加熱マントル、蒸留カラム、及び攪拌機を備えた4Lの丸首フラスコに、最初に1758.1gのアジピン酸、1210.8gのブタン-1,4-ジオール、1ppmのTTB及び5ppmのSDOを入れ、これを120℃に加熱した。酸が完全に溶けた後、温度を最初に150℃に上げ、次に段階的に240℃に上げ、240℃で数時間水を留去した。算出した凝縮水の90%を除去した後、装置内の圧力を60mbarに下げた。形成した凝縮水を、1mgKOH/g未満の酸価に達するまで連続的に留去した。反応時間は合計で約15時間であった。
【0164】
45.2mgKOH/gのヒドロキシル価、0.6mgKOH/gの酸価、及び75℃で1080mPasの粘度を有するポリエステルポリオールを得た。
【0165】
4. TPU合成の調製例:
熱可塑性ポリウレタン(TPU)を、ジイソシアネート、鎖延長剤(CE)、安定剤、及びポリオールから、表1の配合により、攪拌しながら反応容器内で合成した。開始温度は80℃であった。110℃の反応温度に達した後、溶液を125℃に加熱した加熱プレート上に注ぎ出し、得られたTPUスラブを熱処理(15時間、80℃)後にペレット化した。
【0166】
【0167】
5. 機械的特性
得られた熱可塑性ポリウレタンの機械的特性値を表2に列挙する。ここで、機械的特性は、以下の手法に従い、100℃で20時間熱処理した射出成形シートについて室温で決定した。
【0168】
ショア硬度 DIN ISO7619-1:2012、3秒の押込み時間後に決定
引張強さ DIN53504、S2試験片で測定
破断点伸び DIN53504
引き裂き伝播抵抗 DIN53515
摩耗 DIN53516。
【0169】
【0170】
6. ブルーム特性
ブルーム特性は、熱処理していない射出成形シートについて、交互気候試験を使用し、標準の温度及び湿度条件下での保管の場合で分析した。交互気候試験では、試験片を2週間にわたり、各場合とも12時間、-18℃と室温の間で交互に保管した。結果を表3にまとめる。
【0171】
【0172】
凡例:0=ブルームなし、1=ブルームあり、2=強度のブルーム
引用文献:
US5695884
US2006/0141883A1
US2006/0121812A1
WO00/51660A1
WO2010/107562A1
Kunststoffhandbuch [プラスチックハンドブック]、第VII巻、Vieweg and Hoechtlen編集、Carl Hanser Verlag,Munich1966(第103頁~第113頁)
EP0922552A1
WO2006/082183A1
WO2014/198779A1
WO2007/082838A1
WO94/20568A1