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特許7594586流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022523996
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020078599
(87)【国際公開番号】W WO2021099027
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】19209814.3
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ホァン,ヤン-シャン
(72)【発明者】
【氏名】テン ケイト,ニコラース
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-261645(JP,A)
【文献】特開2007-123882(JP,A)
【文献】特開2007-142217(JP,A)
【文献】特開2012-094794(JP,A)
【文献】特開2018-028701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体閉じ込め構造であって、その少なくとも一部と基板の表面の間の空間に液浸液を閉じ込め、前記液浸液を通過することにより前記基板の前記表面を照射する放射ビームが通過するために内部に形成された開口を有する、液体閉じ込め構造と、
使用時に前記液浸液と接触している振動コンポーネントを約30Hz以上1,000Hz未満の周波数で振動させる機構と、
を備える、流体ハンドリングシステム。
【請求項2】
前記液体閉じ込め構造が本体を備え、前記振動コンポーネントが、前記機構が前記本体を振動させる前記液体閉じ込め構造の前記本体である、又は、
前記液体閉じ込め構造が本体を備え、前記機構が前記液体閉じ込め構造の前記本体に対して前記振動コンポーネントを振動させる、又は、
前記機構が第1の機構及び第2の機構を含み、前記液体閉じ込め構造が、第1の本体要素及び第2の本体要素で形成された本体を備え、前記第1の機構が前記第1の本体要素を振動させ、前記第2の機構が前記第2の本体要素を振動させる、
請求項1の流体ハンドリングシステム。
【請求項3】
前記振動コンポーネント及び前記本体が互いに結合されている、又は、
前記液体閉じ込め構造が縦軸を有し、平面視で前記本体が、前記縦軸に沿って前記第1の本体要素と前記第2の本体要素に分離される、又は、
前記液体閉じ込め構造が縦軸を有し、平面視で前記本体が、前記縦軸に沿って前記第1の本体要素と前記第2の本体要素に分離される、又は、
前記第1の本体要素が前記液体閉じ込め構造の内側部をなし、前記第2の本体要素が前記液体閉じ込め構造の外側部をなす、
請求項2の流体ハンドリングシステム。
【請求項4】
前記第1の本体要素が前記液体閉じ込め構造の内側部をなし、前記第2の本体要素が前記液体閉じ込め構造の前記外側部をなす、及び/又は、
前記第1の本体要素及び前記第2の本体要素が互いに結合されている、
請求項3の流体ハンドリングシステム。
【請求項5】
前記振動コンポーネントが前記液体閉じ込め構造の外部に配置され、前記流体ハンドリングシステムが、前記振動コンポーネントに接続された通路であって、前記振動コンポーネントが使用時に前記液浸液で満たされた前記通路を介して前記液浸液と接触している、通路を更に備える、又は、
前記振動コンポーネントが、使用時に前記液浸液と接触している前記液体閉じ込め構造の表面に形成された膜を備える、
請求項1の流体ハンドリングシステム。
【請求項6】
前記表面が前記基板に対向しており、前記膜が前記表面に配置されている、請求項5の流体ハンドリングシステム。
【請求項7】
前記周波数が約60Hz以上である、及び/又は、
前記振動コンポーネントが前記機構によって実質的に水平な面内を移動する、及び/又は、
前記機構が、ピエゾアクチュエータ、ローレンツアクチュエータ、磁歪アクチュエータ、又はリラクタンスアクチュエータを備える、及び/又は、
前記液体閉じ込め構造が、液浸液を前記空間に提供する少なくとも1つの液体供給部材及び前記液浸液を前記空間から除去する少なくとも1つの抽出部材を備える、
請求項1から6の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの液体供給部材が、前記液体閉じ込め構造の内面に形成された液体供給開口を備える、及び/又は、
前記少なくとも1つの液体供給部材が、前記基板の前記表面に対向する前記液体閉じ込め構造の表面に形成された液体供給開口を備える、及び/又は、
前記液体閉じ込め構造が、2つの抽出部材及び2つのガス供給部材を備え、前記少なくとも1つの液体供給部材、前記2つの抽出部材及び前記2つのガス供給部材が、前記基板の前記表面に対向する前記液体閉じ込め構造の表面に形成されている、
請求項7の流体ハンドリングシステム。
【請求項9】
前記抽出部材の第1のものが、前記少なくとも1つの液体供給部材の半径方向外側にあり、前記2つのガス供給部材の第1のものが、前記抽出部材の前記第1のものの半径方向外側にあり、前記抽出部材の第2のものが、前記2つのガス供給部材の前記第1のものの半径方向外側にあり、前記2つのガス供給部材の第2のものが、前記2つの抽出部材の前記第2のものの半径方向外側にある、及び/又は、
前記2つの抽出部材の少なくとも1つが内部に多孔質材を含む、及び/又は、
前記基板の前記表面に対向する前記液体閉じ込め構造の前記表面に少なくとも1つの更なる開口を更に備え、前記少なくとも1つの更なる開口が、前記2つの抽出部材の前記第1のものと前記2つのガス供給部材の前記第1のものの間、及び/又は、前記2つの抽出部材の前記第2のものと前記2つのガス供給部材の前記第2のものの間に配置される、及び/又は、
前記液体閉じ込め構造の前記表面が凹部を備え、任意選択で前記凹部が傾斜面を有する、及び/又は、
前記振動コンポーネントが、前記少なくとも1つの液体供給部材の半径方向内側、及び/又は、前記少なくとも1つの液体供給部材と前記抽出部材の前記第1のものの間に配置されている、
請求項8の流体ハンドリングシステム。
【請求項10】
前記液体閉じ込め構造が、少なくとも2つの抽出部材及び少なくとも1つのガス供給部材を備え、前記液体供給部材、前記少なくとも2つの抽出部材及び前記ガス供給部材が、前記基板の前記表面に対向する前記液体閉じ込め構造の表面に形成される、又は、
前記液体閉じ込め構造の前記少なくとも1つの抽出部材が、前記基板の前記表面に対向する前記液体閉じ込め構造の表面にチャンバを、前記チャンバ内に多孔質材を備え、前記少なくとも1つの抽出部材が、前記チャンバから液体を抽出する第1のチャネル及び前記チャンバからガスを抽出する第2のチャネルを備える、又は、
前記液体閉じ込め構造が内側部及び外側部を備え、前記液体閉じ込め構造の前記少なくとも1つの液体供給部材が前記内側部上に形成され、前記内側部が第1の抽出部材を備え、前記外側部が第2の抽出部材を備える、及び/又は、
少なくとも1つの更なる液体供給部材及び少なくとも1つの更なる抽出部材を備えた更なるデバイスを更に備え、前記少なくとも1つの更なる液体供給部材が、前記更なるデバイスの少なくとも一部と前記基板の前記表面の間の更なる空間に液体を提供し、前記更なるデバイスが、前記少なくとも1つの更なる抽出部材を介して前記液体の少なくとも一部を回収する、
請求項1から9の何れか一項の流体ハンドリングシステム。
【請求項11】
平面視で前記少なくとも2つの抽出部材の第1のものが、前記ガス供給部材の半径方向外側にあり、前記ガス供給部材が、前記少なくとも2つの抽出部材の第2のものの半径方向外側にあり、前記少なくとも1つの抽出部材の前記第2のものが、前記液体供給部材の半径方向外側にある、又は、
前記振動コンポーネントが前記チャンバ内に配置される、又は、
前記外側部が、前記内側部と前記基板の間に配置されたプレートを備え、前記プレートが前記プレートの両側の第1の液体を分離し、前記プレートに対向する前記内側部の表面が前記第1の抽出部材を備え、前記基板に対向する前記プレートの表面が前記第2の抽出部材を備える、又は、
前記更なるデバイスが、前記液体閉じ込め構造の一部である、又は、前記液体閉じ込め構造に隣接して配置されている、
請求項10の流体ハンドリングシステム。
【請求項12】
前記基板の前記表面に対向する前記液体閉じ込め構造の前記表面に少なくとも1つの更なる開口を更に備え、前記少なくとも1つの更なる開口が、前記2つの抽出部材の前記第1のものと前記ガス供給部材の間、及び/又は、前記ガス供給部材と前記2つの抽出部材の前記第2のものの間に配置される、及び/又は、
前記振動コンポーネントが、前記少なくとも1つの液体供給部材と前記少なくとも1つの抽出部材の前記第2のものの間に配置される、及び/又は、前記少なくとも2つの抽出部材の少なくとも1つが多孔質材をその内部に含む、
請求項11の流体ハンドリングシステム。
【請求項13】
前記多孔質材が、最も半径方向内側にある前記抽出部材に設けられる、及び/又は、
前記振動コンポーネントが、前記多孔質材に隣接して配置されている、
請求項12の流体ハンドリングシステム。
【請求項14】
前記第1の抽出部材及び/又は前記第2の抽出部材が、単相流の前記第1の液体を回収する、及び/又は、
前記振動コンポーネントが、前記内側部の少なくとも一部及び/又は前記外側部の少なくとも一部をなす、
請求項11の流体ハンドリングシステム。
【請求項15】
放射ビームを基板の前記表面に向けて投影する投影システムと、
請求項1から14の何れかの流体ハンドリングシステムと、
を備える、リソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2019年11月18日出願の欧州特許出願19209814.3の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は流体ハンドリングシステム及びデバイス製造方法に関する。本発明はリソグラフィ装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。従来のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進み続けるにつれ、回路素子の寸法は継続的に縮小されてきたが、その一方で、デバイス毎のトランジスタなどの機能素子の量は、「ムーアの法則」と通称される傾向に従って、数十年にわたり着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体産業はますます小さなフィーチャを作り出すことを可能にする技術を追求している。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用い得る。この放射の波長が、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。
【0005】
[0005] より小さなフィーチャの解像度の更なる向上は、露光中に水などの比較的高い屈折率を有する液浸流体を基板上に供給することによって達成されることがある。液浸流体の効果は、露光放射がガス中より流体中でより短い波長を有することになるため、より小さいフィーチャの結像を可能にすることである。液浸流体の効果は、システムの有効開口数(NA)を増加させるとともに焦点深度を長くすることと見なされることもある。
【0006】
[0006] 液浸流体は、リソグラフィ装置の投影システムと基板の間の局所エリアに流体ハンドリング構造によって閉じ込められることがある。このような液浸流体の使用は、基板の表面に液滴が存在することにつながる可能性がある。そのような液滴は、液滴が液浸液のメニスカスに衝突するときに、ガスが液浸液に閉じ込められることで気泡の形成につながる可能性があるために問題となる可能性がある。液浸液中の気泡が基板上に印刷欠陥をもたらす可能性がある。そのような気泡が導入される可能性は、基板の相対速度を減じることによって低下させることができるが、これによってリソグラフィ装置のスループットが制限される。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本発明の目的は、スループットを増大する及び/又は基板上の欠陥を減らすための措置が講じられた流体ハンドリングシステム及び方法を提供することである。
【0008】
[0008] 本発明によれば、その少なくとも一部と基板の表面の間の空間に液浸液を閉じ込めるように構成された液体閉じ込め構造であって、液浸液を通過することにより基板の表面を照射する放射ビームが通過するために内部に形成された開口を有する液体閉じ込め構造と、使用時に液浸液と接触している振動コンポーネントを約30Hz以上9,500Hz未満の周波数で振動させる機構とを備える流体ハンドリングシステムが提供される。
【0009】
[0009] 本発明によれば、本明細書で開示されるデバイス製造方法も提供される。
【0010】
[00010] 本発明によれば、本明細書に開示されるリソグラフィ装置も提供される。
【0011】
[00011] 本発明の種々の実施形態、特徴及び利点の構造及び動作だけではなく、本発明の更なる実施形態、特徴及び利点が添付図面を参照して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[00012] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図を参照しながら以下に本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示としてのものに過ぎない。
【0013】
図1】リソグラフィ装置の概略図である。
図2】2a、2b及び2cはそれぞれ、全周囲に延在し得る異なる特徴部(feature)が各バージョンの左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンの断面図である。
図3】3a、3b、3c及び3dはそれぞれ、全周囲に延在し得る異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを含む本発明の第1の実施形態のシステムのバリエーションの断面図である。
図4】全周囲に延在し得る異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを含む本発明の第1の実施形態のシステムのバリエーションの断面図である。
図5】a及びbは、第1の実施形態のシステムのバリエーションを示す。
図6】全周囲に延在し得る異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを含む本発明の第2の実施形態のシステムの断面図である。
図7】全周囲に延在し得る異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを含む本発明の第3の実施形態のシステムの断面図である。
【0014】
[00013] 図に示された特徴部は必ずしも縮尺通りではなく、描かれたサイズ及び/又は配置は限定的ではない。図が本発明にとって不可欠ではない場合がある任意選択的な特徴部を含むことは理解されるであろう。更に、装置の特徴の全てが図のそれぞれに描かれているわけではなく、図は特定の特徴を説明するのに適切なコンポーネントの一部のみを示すことがある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[00014] 本文献では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、波長が365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長)を含む、全てのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0016】
[00015] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0017】
[00016] 図1はリソグラフィ装置を概略的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばUV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAをサポートするように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に配置するように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板サポートWTを正確に配置するように構成された第2のポジショナPWに接続された基板サポート(例えば基板テーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSと、を備える。
【0018】
[00017] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射源SOから放射ビームBを受ける。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使用して放射ビームBを調節し、パターニングデバイスMAの平面において、その断面にわたって所望の空間及び角度強度分布が得られるようにしてもよい。
【0019】
[00018] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈するべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0020】
[00019] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間11を充填するように、基板の少なくとも一部を例えば水のような比較的高い屈折率を有する液浸液で覆うことができるタイプでもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、参照により本願に含まれる米国特許第6,952,253号に与えられている。
【0021】
[00020] リソグラフィ装置は、2つ以上の基板サポートWTを有するタイプである場合もある(「デュアルステージ」とも呼ばれる)。こうした「マルチステージ」機械において、基板サポートWTを並行して使用するか、及び/又は、一方の基板サポートWT上の基板Wにパターンを露光するためこの基板を用いている間に、他方の基板サポートWT上に配置された基板Wに対して基板Wの以降の露光の準備ステップを実行することができる。
【0022】
[00021] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置は測定ステージ(図示せず)を含むことができる。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するよう配置できる。測定ステージは複数のセンサを保持することができる。クリーニングデバイスは、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部のような、リソグラフィ装置の一部をクリーニングするよう配置できる。基板サポートWTが投影システムPSから離れている場合、測定ステージは投影システムPSの下方で移動することができる。
【0023】
[00022] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されている、例えばマスクのようなパターニングデバイスに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターンが付与される。マスクMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFを用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板サポートWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(図1には明示的に図示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示されている基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占有するが、それらをターゲット部分間の空間に位置付けることも可能である。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分C間に位置付けられている場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0024】
[00023] 本発明を明確にするため、デカルト座標系が用いられる。デカルト座標系は3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸の各々は他の2つの軸に対して直交している。x軸を中心とした回転をRx回転と称する。y軸を中心とした回転をRy回転と称する。z軸を中心とした回転をRz回転と称する。x軸及びy軸は水平面を画定し、z軸は垂直方向を画定する。デカルト座標系は本発明を限定せず、単に明確さのため使用される。代わりに、円筒座標系のような別の座標系を用いて本発明を明確にすることも可能である。デカルト座標系の配向は、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように、異なるものとしてもよい。
【0025】
[00024] 液浸技術は、より小さなフィーチャの解像度の向上を可能とするべくリソグラフィシステムに導入されている。液浸リソグラフィ装置において、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層が、装置の(パターン形成されたビームが基板Wに投影されるときに通過する)投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間11に介在する。液浸液は、投影システムPSの最終素子の下方で基板Wの少なくとも一部を覆う。よって、露光を受ける基板Wの少なくとも一部が液浸液に浸される。
【0026】
[00025] 商用の液浸リソグラフィでは、液浸液は水である。典型的に、この水は半導体製造プラントで一般的に使用されている超純水(UPW)などの高純度の蒸留水である。液浸システムでは多くの場合、UPWは精製され、液浸液として液浸空間11に供給される前に追加の処理ステップを受けることがある。水のほかに、例えばフッ化炭化水素のような炭化水素及び/又は水溶液など、屈折率の高い他の液体を液浸液として使用することができる。更に、液体以外の流体を液浸リソグラフィに使用することが想定されている。
【0027】
[00026] 本明細書では、使用時に最終素子100と最終素子100に対向する表面との間の液浸空間11に液浸液が閉じ込められる局所液浸について言及されることになる。この対向表面は、基板Wの表面、又は基板Wの表面と同一平面にある支持台(又は基板サポートWT)の表面である(以下の本文における基板Wの表面への言及はまた、そうではないと明記しない限り、付加的又は代替的に基板サポートWTの表面を指すものであり、逆も同様である)。投影システムPSと基板サポートWTとの間に存在する流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に閉じ込めるために使用される。液浸液で満たされた液浸空間11は、平面視で基板Wの上面よりも小さく、液浸空間11は、基板W及び基板サポートWTが下方に移動する間、投影システムPSに対して実質的に静止したままである。
【0028】
[00027] 他の液浸システム、例えば非閉じ込め液浸システム(いわゆる「オールウェット」液浸システム)や浴式液浸システムも想定されている。非閉じ込め液浸システムでは、液浸液は、最終素子100の下方の表面を越えて広がる。液浸空間11外の液体は薄い液膜として存在する。液体は、基板Wの表面全体、あるいは基板W及び基板Wと同一平面上の基板サポートWTの表面全体を覆うことがある。浴式システムでは、基板Wは液浸液の浴槽に完全に浸漬される。
【0029】
[00028] 流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に供給し、液浸空間11から液浸液を除去し、それにより液浸液を液浸空間11に閉じ込める構造である。それは流体供給システムの一部である特徴部を含む。PCT特許出願公開第WO99/49504号に開示されている構成は、液浸液を液浸空間11から供給又は回収し、投影システムPSの下のステージの相対運動に応じて動作する複数のパイプを備える初期の流体ハンドリング構造である。より最近の設計では、流体ハンドリング構造は、投影システムPSの最終素子100と基板サポートWT又は基板Wとの間の液浸空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在し、それにより液浸空間11を部分的に画定する。
【0030】
[00029] 流体ハンドリング構造12は、様々な機能の選択を有することがある。各機能は、流体ハンドリング構造12がその機能を達成できるようにする対応する特徴部から導かれることがある。流体ハンドリング構造12は、それぞれが1つの機能を指す、バリア部材、シール部材、流体供給システム、流体除去システム、液体閉じ込め構造などいくつかの異なる用語で呼ばれることがある。
【0031】
[00030] バリア部材としての流体ハンドリング構造12は、液浸空間11からの液浸液の流れに対するバリアである。液体閉じ込め構造としての構造は、液浸液を液浸空間11に閉じ込める。シール部材として、流体ハンドリング構造12の封止機構は、液浸液を液浸空間11に閉じ込めるシールを形成する。封止機構は、例えばガスナイフのような、シール部材の表面にある開口からの追加のガス流を含むことがある。
【0032】
[00031] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を供給するため、流体供給システムである場合がある。
【0033】
[00032] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を少なくとも部分的に閉じ込めるため、流体閉じ込めシステムである場合がある。
【0034】
[00033] ある実施態様では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体に対するバリアを提供するため、流体閉じ込め構造などのバリア部材である場合がある。
【0035】
[00034] ある実施形態では、流体ハンドリング構造12は、例えば液浸流体の流れ及び/又は位置を制御することを助けるために、ガス流を生成又は使用することがある。
【0036】
[00035] ガス流は、液浸流体を閉じ込めるシールを形成することがあるため、流体ハンドリング構造12はシール部材と呼ばれることがあり、そうしたシール部材は、流体閉じ込め構造である場合がある。
【0037】
[00036] ある実施形態では、液浸液が液浸流体として用いられる。その場合、流体ハンドリング構造12は液体ハンドリングシステムである場合がある。前述の説明を参照すると、流体に関して定義された特徴部へのこの段落での言及は、液体に関して定義された特徴部を含むものと理解されることがある。
【0038】
[00037] リソグラフィ装置は投影システムPSを有する。基板Wの露光中に、投影システムPSはパターン形成された放射ビームを基板W上に投影する。基板Wに到達するために、放射ビームBの経路は、投影システムPSから、投影システムPSと基板Wとの間の流体ハンドリング構造12によって閉じ込められた液浸液を通過する。投影システムPSは、ビーム経路の最後にあるレンズ素子を有し、これは液浸液と接触している。液浸液と接触しているこのレンズ素子は、「最後のレンズ素子」又は「最終素子」と呼ばれることがある。最終素子100は、流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に囲まれている。流体ハンドリング構造12は、液浸液を最終素子100の下方且つ対向表面の上方に閉じ込めることがある。
【0039】
[00038] 図2a、図2b及び図2cは、流体ハンドリングシステムの変形形態に存在し得る様々な特徴部を示している。この設計は、異なる説明がされていない限り図2a、図2b及び図2cと同じ特徴部の一部を共有することがある。本明細書に記載される特徴部は、図に示すように又は必要に応じて個別に又は組み合わせて選択されることがある。図は、全周囲に延在し得る、異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの異なるバージョンを示す。したがって、例えば流体ハンドリングシステムは、全周囲に延在する同じ特徴部を有することがある。例えば、流体ハンドリングシステムは、図2aの左側、又は図2aの右側、又は図2bの左側、又は図2bの右側、又は図2cの左側、又は図2cの右側のみの特徴部を有することがある。代替的に、流体ハンドリングシステムは、これらの図からの特徴部の任意の組み合わせを周囲に沿った異なる場所に備えることがある。流体ハンドリングシステムは、以下の変形形態に記載の流体ハンドリング構造12を含むことがある。
【0040】
[00039] 図2aは、最終素子100の底面の周りにある流体ハンドリング構造12を示している。最終素子100は逆円錐台形状を有する。円錐台形状は、平坦な底面及び円錐面を有する。円錐台形状は平面から突出し、底部平面を有する。底部平面は、放射ビームBが通過し得る最終素子100の底面の光学的能動部分である。最終素子100はコーティング30を有することがある。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の少なくとも一部を取り囲む。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に対向する内面を有する。内面と円錐面とは相補形状を有することがある。流体ハンドリング構造12の頂面は実質的に平坦である場合がある。流体ハンドリング構造12は、最終素子100の円錐台形状の周りにフィットすることがある。流体ハンドリング構造12の底面は実質的に平坦である場合があり、使用中、底面は基板サポートWT及び/又は基板Wの対向表面と平行である場合がある。したがって、流体ハンドリング構造12の底面は、基板Wの表面に対向する面と呼ばれることがある。底面と対向表面との間の距離は、30~500ミクロンの範囲内、望ましくは80~200ミクロンの範囲内である場合がある。
【0041】
[00040] 流体ハンドリング構造12は、最終素子100よりも基板W及び基板サポートWTの対向表面の近くに延在する。したがって、液浸空間11は、流体ハンドリング構造12の内面と、円錐台部分の平面と対向表面との間に画定される。使用中、液浸空間11は液浸液で満たされる。液浸液は、最終素子100と流体ハンドリング構造12との間の相補面の間のバッファ空間の少なくとも一部、ある実施形態では、相補内面と円錐面との間の空間の少なくとも一部を満たす。
【0042】
[00041] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された開口を介して液浸空間11に供給される。液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面の供給開口20を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面に形成された下方供給開口23から供給される。下方供給開口23は、放射ビームBの経路を取り囲むことがあり、アレイ状の一連の開口又は単一スリットから形成されることがある。液浸液は、投影システムPSの下方の液浸空間11を通る流れが層流となるように供給されて液浸空間11を満たす。加えて、下方供給開口23からの液浸液の供給は、液浸空間11への泡の進入を防ぐ。この液浸液の供給は、液体シールとして機能することがある。
【0043】
[00042] 液浸液は、内面に形成された回収開口21から回収されることがある。回収開口21を介した液浸液の回収は、負圧の印加によるものや、液浸空間11を通過する液浸液の流れの速度の結果である回収開口21を介した回収である場合がある、あるいは回収は両方の結果である場合がある。回収開口21は、平面視した場合、供給開口20の反対側に位置することがある。付加的又は代替的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の頂面上に位置するオーバフロー回収部24を介して回収されることがある。供給開口20及び回収開口21は、その機能を交換することができる(すなわち、液体の流れ方向を逆転させる)。これによって、流れ方向を流体ハンドリング構造12と基板Wとの相対運動に応じて変化させることが可能になる。
【0044】
[00043] 付加的又は代替的に、液浸液は、底面に形成された回収開口25を介して流体ハンドリング構造12の下方から回収されることがある。回収開口25は、液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に対して保持する働きをすることがある。メニスカス33は流体ハンドリング構造12と対向表面との間に生じ、液体空間とガス状の外部環境との間の境界としての働きをする。回収開口25は、単相流で液浸液を回収し得る多孔質プレートである場合がある。底面の回収開口は、液浸液の回収が行われる一連の釘付け開口32である場合がある。釘付け開口32は、二相流で液浸液を回収することがある。
【0045】
[00044] 任意選択で、流体ハンドリング構造12の内面に対して半径方向外側にガスナイフ開口26がある。ガスは、液浸空間11内の液浸液の液体閉じ込めを支援するために、高速でガスナイフ開口26を介して供給されることがある。供給されたガスは加湿されることがあり、実質的に二酸化炭素を含むことがある。ガスナイフ開口26の半径方向外側には、ガスナイフ開口26を介して供給されたガスを回収するためのガス回収開口28がある。
【0046】
[00045] 例えば大気又はガス源又は真空に開放した別の開口が、流体ハンドリング構造12の底面、すなわち流体ハンドリング構造12の基板Wに対向する表面に存在している場合がある。このような任意選択の別の開口50の例が図2aの右側に破線で示されている。図に示すように、別の開口50は両矢印で示される供給部材又は抽出部材である場合がある。例えば供給部として構成される場合、別の開口50はあらゆる供給部材と同様、液体供給又はガス供給に接続されることがある。代替的に、抽出部として構成される場合、別の開口50は流体を抽出するのに使用されることがあり、例えば大気又はガス源又は真空に接続されることがある。例えば、少なくとも1つの別の開口50が、ガスナイフ開口26とガス回収開口28との間、及び/又は釘付け開口32とガスナイフ開口26との間に存在している場合がある。
【0047】
[00046] 図2aの左右両側の流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンはメニスカス33を釘付けする。図2aの右側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、釘付け開口32の固定位置によって、最終素子100に対して実質的に固定される位置にメニスカス33を釘付けすることがある。図2aの左側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を釘付けすることがあるため、メニスカス33は回収開口25の長さ及び/又は幅に沿って移動することがある。露光中に放射ビームBが基板Wの全面に向かうように、基板Wを支持する基板サポートWTは投影システムPSに対して移動する。リソグラフィ装置により露光される基板Wの生産を最大化するために、基板サポートWT(ひいては基板W)はできるだけ高速で移動する。ただし、これを上回ると流体ハンドリング構造12と基板Wとの間のメニスカス33が不安定になる限界相対速度(限界スキャン速度と呼ばれる場合が多い)が存在する。不安定なメニスカス33は、例えば1つ以上の液滴の形で液浸液を失うリスクが高くなる。更に、不安定なメニスカス33は、特に閉じ込められた液浸液が基板Wの縁部を横切るときに液浸液に気泡が入ってしまうリスクが高くなる。
【0048】
[00047] 基板Wの表面上に存在する液滴が熱負荷をかけることがあり、欠陥の原因となる場合がある。液滴は乾燥しみを残しながら蒸発することがあり、粒子などのコンタミを搬送しながら移動することがあり、気泡を生じさせる液浸液のより大きい塊と衝突することがあり、液滴が位置する表面に熱負荷をかけながら蒸発することがある。そのような熱負荷は、歪みの原因、及び/又は表面が結像されている基板Wに対するリソグラフィ装置のコンポーネントの位置決めと関係がある場合の位置決め誤差の原因となる可能性がある。したがって、表面に液滴が形成されることは望ましくない。したがって、このような液滴の形成を防ぐために、基板サポートWTの速度は、メニスカス33が安定した状態を保つ限界スキャン速度に制限される。これはリソグラフィ装置のスループットを制限する。
【0049】
[00048] 図2aの流体ハンドリングシステムの左側は、ばね60を備えることがある。ばね60は、流体ハンドリング構造12に対して付勢力を基板Wの方向に加えるように構成された調整可能な受動ばねである場合がある。したがって、ばね60を使用して基板W上方の流体ハンドリング構造12の高さを制御することができる。そのような調整可能な受動ばねは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,199,874号に記載されている。例えば電磁力を用いる他の付勢デバイスが適切な場合もある。ばね60は図2aの左側に示されているが、これは任意選択であり、図2aの左側の他の特徴部に含められる必要はない。ばね60は他の図のいずれにも示されていないが、図2a、図2b、図2c、図3a、図3b、図3c、図3d、図4図5a、図5b、図6、及び/又は図7に関連して説明される流体ハンドリングシステムの他のバリエーションに含められる可能性もある。
【0050】
[00049] 図2bは、メニスカス33の最終素子100に対する移動を可能にする、左右両側にある流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンを示している。メニスカス33は、移動基板Wの方向に移動することがある。これによってメニスカス33と移動基板Wとの相対速度が低下し、安定性が向上し、メニスカス33の破壊リスクが低下することがある。メニスカス33が破壊される基板Wの速度は、投影システムPS下方での基板Wの高速移動を可能にするように上昇する。したがって、スループットが増加する。
【0051】
[00050] 図2bに示された、図2aと共通の特徴部は、同じ参照番号を共有する。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に相補する内面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の底部平面よりも対向表面に近い。
【0052】
[00051] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口34を介して液浸空間11に供給される。供給開口34は、内面の底部寄りの、円錐台形状の底面の下方に位置する可能性がある。供給開口34は、放射ビームBの経路の周囲に間隔を開けて、内面の周囲に位置する。
【0053】
[00052] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面の回収開口25を介して液浸空間11から回収される。対向表面が流体ハンドリング構造12の下方で移動するとき、メニスカス33は回収開口25の表面上を対向表面の移動と同じ方向に移動することがある。回収開口25は多孔質部材から形成されることがある。液浸液は単相で回収されることがある。液浸液は二相流で回収されることがある。二相流は、流体ハンドリング構造12内のチャンバ35に受容され、そこで液体とガスに分離される。液体とガスは、チャンバ35から別個のチャネル36、38を通して回収される。
【0054】
[00053] 流体ハンドリング構造12の底面の内周39は、内面から離れて液浸空間11内に延在してプレート40を形成する。内周39は、放射ビームBの形状及びサイズに合致する大きさであり得る小さなアパーチャを形成する。プレート40は、その両側の液浸液を分離する働きをすることがある。供給された液浸液は、アパーチャに向かって内側に、内側アパーチャを通った後、周辺の回収開口25に向かってプレート40の下方を半径方向外側に流れる。
【0055】
[00054] 流体ハンドリング構造12は、図2bの右側に示すような2つの部分、すなわち内側部12aと外側部12bとに分かれていることがある。内側部12a及び外側部12bは、対向表面と平行な平面内で、互いに対して相対的に移動することがある。内側部12aは、供給開口34を有することがあり、オーバフロー回収部24を有することがある。外側部12bは、プレート40及び回収開口25を有することがある。内側部12aは、内側部12aと外側部12bとの間を流れる液浸液を回収するための中間回収部42を有することがある。
【0056】
[00055] したがって、図2bの流体ハンドリング構造の2つの異なるバージョンは、メニスカス33の基板Wと同じ方向への移動を可能にすることによって、スキャン速度を高速化し、リソグラフィ装置のスループットを向上させることができる。ただし、メニスカス33が図2bの左側の流体ハンドリング構造12の回収開口25の表面上を移動する速度は遅い場合がある。図2bの右側の流体ハンドリング構造12は、外側部12bを内側部12a及び最終素子100に対して移動させることによってメニスカス33のより素早い移動を可能にする。しかしながら、内側部12aと外側部12bとの接触を回避するためにその間に十分な液浸液が供給されることを確実にするように中間回収部42を制御することは困難な場合がある。
【0057】
[00056] 図2cは、図2a及び/又は図2bに関連して以上で説明したように液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に釘付けするのに使用され得る、流体ハンドリング構造12の左側及び右側にある2つの異なるバージョンを示している。図2cに示された、図2a及び/又は図2bと共通の特徴部は同じ参照番号を共有する。
【0058】
[00057] 流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に相補する内面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の底部平面よりも対向表面に近い。液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された開口を介して液浸空間11に供給される。液浸液は、流体構造12の内面にある供給開口34を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は、流体構造12の内面にある供給開口20を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は下方供給開口23を介して供給される。液浸液は、抽出部材を介して、例えば内面に形成された回収開口21及び/又はオーバフロー回収部24及び/又は以下で説明される流体ハンドリング構造12の表面にある1つ以上の開口を介して回収されることがある。
【0059】
[00058] 図2cの左右両側の流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンはメニスカス33を釘付けする。図2cの右側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口32aの固定位置によって、最終素子100に対して実質的に固定される位置にメニスカス33を釘付けすることがある。図2cの左側にある流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を釘付けすることがあるため、メニスカス33は回収開口25の長さ及び/又は幅に沿って移動することがある。
【0060】
[00059] 図2bに関連して以上で説明したように、流体ハンドリング構造12の底面の内周は、内面から離れて液浸空間11内に延在して左側に示されるようなプレート40を形成することがある。以上で説明したように、これによって小さなアパーチャが形成されることがあり、両側に液浸液が分離されること、及び/又は液浸液がアパーチャに向かって内側に、内側アパーチャを通った後、周辺の回収開口25に向かってプレート40の下方を半径方向外側に流れることがある。この特徴部は図2cの左側に示されているが、示されている他の特徴部と組み合わせることは任意選択である。好ましくは、左側に示されるように液浸液は流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口34を介して液浸空間11に供給される。供給開口34は、内面の底部寄りの、円錐台形状の底面の下方に位置する可能性がある。供給開口34は、放射ビームBの経路の周囲に間隔を開けて、内面の周囲に位置する。代替的又は付加的に、液浸液は流体構造12の内面にある供給開口20を介して供給されることがある。代替的又は付加的に、液浸液は下方供給開口23を介して供給される。供給開口34は好適な液体供給であるが、供給開口34、供給開口20及び/又は下方供給開口23の任意の組み合わせが設けられることがある。
【0061】
[00060] 図2cの左側に示すように、流体ハンドリングシステムが、上記の流体ハンドリング構造12及び更なるデバイス300を含むことがある。流体ハンドリング構造12は、回収開口25などの抽出部材と、下方供給開口23などの液体供給開口とを有することがある。流体ハンドリング構造12が、図2aの左側、図2aの右側、図2bの左側、図2bの右側、又は(以下で説明される)図2cの右側に関連して開示された任意の構成を、更なるデバイス300と組み合わせて含み得ることは理解されるであろう。
【0062】
[00061] また、更なるデバイス300は液滴キャッチャと呼ばれることがある。更なるデバイス300は、流体ハンドリング構造12が表面上を移動した後に基板Wの表面上に液体が発生することを抑えるために設けられる。更なるデバイス300は、液体供給部材301と少なくとも1つの抽出部材302とを含むことがある。少なくとも1つの抽出部材302は、平面視で少なくとも1つの供給部材301を取り囲む形状で形成されることがある。少なくとも1つの液体供給部材301は、更なるデバイス300の少なくとも一部と基板Wの表面との間の空間311に更なる液体を供給するように構成されることがある。更なるデバイス300は、液体の少なくとも一部を少なくとも1つの抽出部材302を介して回収するように構成されることがある。更なるデバイス300は、基板Wの表面上に残された液体を空間311内の液体と統合した後、基板Wの表面上に残っている液体の量が減るように液体を抽出するのに使用されることがある。
【0063】
[00062] 更なるデバイス300は、図2cの流体ハンドリング構造12とは別個のデバイスとして示されている。更なるデバイス300は流体ハンドリング構造12に隣接して配置されることがある。代替的に、更なるデバイス300は、流体ハンドリング構造12の一部である、すなわち流体ハンドリング構造12と一体である場合がある(ただし、図3dのように、いずれの構成を選択することもできる)。
【0064】
[00063] 更なるデバイス300は、流体ハンドリング構造12により供給された液体から離れた空間311に液体を供給するように構成されることがある。
【0065】
[00064] 付加的又は代替的に、流体ハンドリング構造12は図2cの右側に示すようなコンポーネントを有することがある。より具体的には、流体ハンドリング構造12は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された少なくとも1つの液体供給部材、2つの抽出部材(例えば回収開口32a及び32b)及び2つのガス供給部材(例えばガス供給開口27a及び27b)を含むことがある。少なくとも1つの液体供給部材は、上記の流体ハンドリング構造12の底面にある下方供給開口23、又は図2bの左側に関連して説明された流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口20もしくは液体供給開口34と同じである場合がある。液体供給部材、抽出部材及びガス供給部材は、流体ハンドリング構造12の表面に形成されることがある。具体的には、これらのコンポーネントは、流体ハンドリング構造12の基板Wに対向する面、すなわち流体ハンドリング構造12の底面に形成されることがある。
【0066】
[00065] 2つの抽出部材のうちの少なくとも一方は内部に多孔質材37を含むことがある。多孔質材37は、開口、例えば流体ハンドリング構造12が流体ハンドリング構造12の下方から流体を抽出する回収開口32a内に設けられることがあり、液浸液を単相流で回収することがある。2つの抽出部材のうちの他方、例えば回収開口32bは、液浸流体を二相抽出器として回収することがある。
【0067】
[00066] 具体的には、流体ハンドリング構造12は、液体供給部材(例えば下方供給開口23)と、液体供給部材の半径方向外側の第1の抽出部材(例えば回収開口32a)と、第1の抽出部材の半径方向外側の第1のガス供給部材(例えばガス供給開口27a)と、第1のガス供給部材の半径方向外側の第2の抽出部材(例えば回収開口32b)と、第2の抽出部材の半径方向外側の第2のガス供給部材(例えばガス供給開口27b)とを含むことがある。図2aと同様に、例えば大気又はガス源又は真空に開放した別の開口が、(流体ハンドリング構造12に関連して)先に説明したように、流体ハンドリング構造12の底面に存在している場合がある。
【0068】
[00067] 例えば、少なくとも1つの別の開口(図示せず)が流体ハンドリング構造12の底面に設けられることがある。別の開口は任意選択である。別の開口は、上記の構成で説明された第1の抽出部材(例えば回収開口32a)と第1のガス供給部材(例えばガス供給開口27a)との間に配置されることがある。代替的又は付加的に、別の開口は、上記の構成で説明された第2の抽出部材(例えば回収開口32b)と第2のガス供給部材(例えばガス供給開口27b)との間に配置されることがある。別の開口は上記の別の開口50と同じである場合がある。
【0069】
[00068] 任意選択で、流体ハンドリング構造12は凹部29を含む。凹部29は、回収開口32aと回収開口32bとの間、又はガス供給開口27aと回収開口32bとの間に設けられることがある。凹部29の形状は流体ハンドリング構造12の周りで均一である場合があり、任意選択で傾斜面を含むことがある。回収開口32aと回収開口32bとの間に設けられた凹部29の場合、ガス供給開口27bは図2cに示されるように傾斜面に設けられることがある。供給開口27aと回収開口32bとの間に設けられた凹部29の場合、ガス供給開口27bは、傾斜面、又は流体ハンドリング構造12の底面の基板Wの表面に平行な部分に設けられることがある。代替的に、凹部29の形状は流体ハンドリング構造12の周囲に沿って変化することがある。凹部29の形状を変化させて、ガス供給部材から供給されたガスが流体ハンドリング構造12の下方の流体に及ぼす影響を変化させることがある。
【0070】
[00069] 図2aから図2cは、流体ハンドリングシステムの一部として使用され得る異なる構成の例を示す。上記の例は特定の抽出部材及び回収部材について言及しているが、全く同じ種類の抽出部材及び/又は回収部材を使用する必要がないことは理解されるであろう。場合によっては部材の位置を示すのに異なる用語が使用されるが、同じ機能特徴部が設けられることがある。上記の抽出部材の例には、回収開口21、オーバフロー回収部24、回収開口25(場合により多孔質プレート及び/又はチャンバ35を含む)、ガス回収開口28、釘付け開口32、回収開口32a、回収開口32b及び/又は中間回収部42が含まれる。上記の供給部材の例には、供給開口20、下方供給開口23、ガスナイフ開口26、ガス供給開口27a、ガス供給開口27b、及び/又は供給開口34が含まれる。一般に、流体、液体又はガスを抽出/回収するのに使用される抽出部材は、流体、液体又はガスをそれぞれ抽出/回収する他の使用例の少なくともいずれかと交換可能である。同様に、流体、液体又はガスを供給するのに使用される供給部材は、流体、液体又はガスをそれぞれ供給する他の使用例の少なくともいずれかと交換可能である。抽出部材は、流体、液体又はガスを抽出部材に引き込む負圧に接続されることによってある空間から流体、液体又はガスを抽出/回収することがある。供給部材は関連供給に接続されることによって空間に流体、液体又はガスを供給することがある。
【0071】
[00070] 既に説明したように、液浸流体の使用は基板上のより小さいフィーチャの解像度を改善するのに有益であるが、基板上に欠陥がもたらされることに関連する液浸流体の使用の問題も存在する。
【0072】
[00071] 一般に、液浸液が使用される場合、液浸液の液滴が基板Wの表面に取り残されることがある。液浸液の縁部にあるメニスカス33は、基板Wの表面上の液滴と衝突することがある。液滴がメニスカス33に衝突するとき、液浸液内にガスが閉じ込められることがある。これによって液浸液に気泡が生じる。液浸液に気泡が形成されると、基板W上に欠陥が生じる可能性がある。以上で説明したように、気泡形成の確率は、基板Wと流体ハンドリング構造12との相対速度を減じることによって低下させることができる。ただし、これによってリソグラフィ装置のスループットが減少する。
【0073】
[00072] そのような気泡の形成を観察するために実験が行われてきた。メニスカス33に衝突するときに非対称に変形する液滴が気泡を形成する可能性が低いことが観察されている。一般に、これはメニスカス33と非対称に変形した液滴との接触によって、ガスが閉じ込められるのではなく漏れ出ることを可能にし、その結果、気泡が形成されることがないか、閉じ込められる量がかなり少ない可能性があるためと考えられている。したがって、衝突時の液滴とメニスカス33との接触に影響を及ぼすことが有益であろうことが分かる。
【0074】
[00073] 本発明は、少なくとも1つの気泡に関連する問題の影響を減らすのに役立つはずである。本発明は、衝突時の液滴とメニスカス33との接触に影響を及ぼす平坦でない表面を有するようにメニスカスを振動させるさまざまな実施形態を含む。平坦でない表面を有するメニスカス33は、液滴がメニスカス33に衝突するときにガスが漏れ出す可能性を高める。これによって液浸液中の気泡発生が減少する、及び/又は多くの気泡を発生させることなく基板Wと液浸ヘッドとのより高い相対速度が可能になる。したがって、欠陥を減らすことができる、及び/又はスループットを増大することができる。
【0075】
[00074] 本発明では、液浸液のメニスカス33の振動を励起するために、液浸液に振動運動が与えられる。振動の周波数を調整することによって、液滴とメニスカス33の間の相互作用を調整すること、すなわち液滴がメニスカスから跳ね返るか否か又はメニスカスと合体するか否かに影響を及ぼすことが可能である。この原理は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、少なくともMolacek,Jan,and John W.M.Bushを含む学術論文「Drops Bouncing on a Vibrating Bath.」Journal of the Fluid Mechanics 727(2013年7月28日):582-611.著作権2013 Cambridge University Pressに記載されている。
【0076】
[00075] 本発明は、液体閉じ込め構造及び機構を備えた流体ハンドリングシステムを提供する。液体閉じ込め構造112及び機構200のバリエーションが図3a~7にわたって示されている。液体閉じ込め構造112は、上記の実施形態及び/又はバリエーションのいずれかに記載される、例えば図2a及び/又は2b及び/又は2cの左側及び/又は右側に関連して示される及び/又は説明される流体ハンドリング構造12である場合がある。液体閉じ込め構造112は、以下で更に詳しく説明される本体113を備えることがある。
【0077】
[00076] 液体閉じ込め構造112は、液体閉じ込め構造112の少なくとも一部と基板Wの表面400の間の空間111に液浸液を閉じ込めるように構成されている。液体閉じ込め構造112は、空間111に液体を供給すること、及び空間111から液体を除去することによって液浸液を制御することができる。したがって、液浸液は空間111に閉じ込めることができる。液浸液は、液体閉じ込め構造112の少なくとも1つの液体供給部材によって提供されることがある。少なくとも1つの液体供給部材は、液体を供給することができる任意の適切な供給部材、例えば下方供給開口23である場合がある。液浸液は、液体閉じ込め構造112の少なくとも1つの液体抽出部材によって除去されることがある。少なくとも1つの抽出部材は、液体を抽出することができる任意の適切な抽出部材、例えば釘付け開口32である場合がある。
【0078】
[00077] 液体閉じ込め構造112は、液浸液を通過することにより基板Wの表面400を照射する放射ビームBが通過するために内部に形成された開口10を有する。換言すれば、基板Wは、液浸液及び液体閉じ込め構造112の開口10を通って進む放射ビームBによって照射することができる。空間111は、液体閉じ込め構造112と基板Wの表面400の間にある場合がある。したがって、空間111は上記の液浸空間11と同じである場合がある。上記のように、空間111は、最終素子100と最終素子100に対向する基板Wの表面400の間にある場合がある。対向表面は、基板Wの表面400、又は基板Wの表面と同一平面上にある支持台(又は基板サポートWT)の表面である(明示的に別段の定めがある場合を除き、以下の記載における基板Wの表面400についての記載は、付加的又は代替的に基板サポートWTの表面も指し、逆も同様である)。空間111は、液体閉じ込め構造112及び基板Wによって画定されることがある。したがって、上記の実施形態及びバリエーションと同様に、空間111は、液体閉じ込め構造112及び基板Wによって形成されることがある。空間111は更に、投影システムPSの最終素子100によって画定されることがある。空間111は、液体閉じ込め構造112によって液浸液で満たされることがある。
【0079】
[00078] 機構200は流体ハンドリングシステムの一部である。機構200は振動コンポーネント210を振動させるように構成されている。振動コンポーネント210は、機構200により振動する物理的オブジェクトである。振動コンポーネント210は流体ハンドリングシステムの一部である場合がある。すなわち流体ハンドリングシステムは振動コンポーネント210を備えることがある。振動コンポーネント210は、使用時に液浸液と接触している。換言すれば、使用中であるために液浸液が空間111内にあるとき、液浸液は振動コンポーネント210に物理的に接触することになる。例えば振動コンポーネント210は、液浸液に浸されることがある、及び/又は液浸液を閉じ込めるのに使用される流体ハンドリングシステムの一部の縁部をなすことがある。振動コンポーネント210は、振動コンポーネント210の少なくとも一部が液浸液に接触して液浸液に振動を誘起する限りにおいて、液浸液のメニスカス33に配置されることがある。
【0080】
[00079] 振動コンポーネント210は任意の適切な材料で作られることがある。例えば、振動コンポーネント210は、液体閉じ込め構造112の本体113と同じ材料で形成されることがある。本体113に適した他の材料が代わりに使用されることがある。すなわち、振動コンポーネント210は、本体113と異なる材料で形成されることがある。ほんの一例として、振動コンポーネント210は金属、例えばステンレス鋼で形成されることがある。
【0081】
[00080] 以上で説明したように、振動の周波数はメニスカス33の形状に適応するように選択されることがあり、その結果、衝突時のメニスカス33と液滴の間の相互作用が影響を受けることになる。メニスカス33の振動が、波長と振動の周波数(別名発振周波数と呼ばれることがある)の分散関係により特徴付けられる波の形成を誘発する。したがって、振動の周波数は、メニスカス33に沿って形成された波の波長に影響を及ぼす。機構200が振動コンポーネント210を振動させるように構成されているため、振動コンポーネント210の振動の周波数はゼロよりも大きい。機構200は、振動コンポーネント210を約30Hz以上の周波数で振動させるように構成されている。機構200は、振動コンポーネント210を9,500Hz未満の周波数で振動させるように構成されている。
【0082】
[00081] 好ましくは、周波数は上記のように約30Hz以上である。周波数は約40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、又は500Hz以上である場合がある。好ましくは、周波数は約9,500Hz未満である。周波数は、約9,000、8,000、7,000、6,000、5,000、4,000、3,000、2,000、1,500、1,400、1,300、1,200、1,100、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100Hz以下である場合がある。
【0083】
[00082] 好ましくは、周波数の範囲は、約60Hz以上~約9,500Hz未満であるか、好ましくは、周波数の範囲は、約100Hz以上約2,000Hz以下であるか、より好ましくは、周波数の範囲は、約500Hz以上約1,500Hz以下である。
【0084】
[00083] 振動コンポーネント210は、望ましくは機構200によっていずれの方向にも移動する可能性がある。好ましくは、振動コンポーネント210は、機構200によって実質的に水平な面内を移動する。実質的に水平な面は図に示すXY平面に対応する。振動コンポーネント210は、XY平面内を少なくとも1つの直線方向に並進移動することがある、及び/又は、振動コンポーネントは、RZ軸周りに回転することがある。このように振動コンポーネント210を振動させることは、他のコンポーネントへの外乱を減少させ得るため、他の方向への振動に有益である場合がある。
【0085】
[00084] 上記のように、機構200は振動機構210を振動させるのに使用される。機構200は、任意の適切なアクチュエータ、例えばピエゾアクチュエータ、ローレンツアクチュエータ、磁歪アクチュエータ、又はリラクタンスアクチュエータを備えることがある。機構200は、現在知られている、又はこの目的のために後に開発される任意の適切なアクチュエータである場合がある。
【0086】
[00085] 第1の実施形態では、液体閉じ込め構造112の少なくとも一部は機構200によって振動する。例えば、液体閉じ込め構造112は、図3a、図3b、図3c及び図3dに示すように本体113及び振動コンポーネント210を備えることがある。図3a、図3b、図3c、及び図3dは、図2a、図2b及び/又は図2cの流体ハンドリング構造12に関連して以上で説明した特徴部のいずれか又は全てを有し得る液体ハンドリング構造112と一緒に振動機構を示すためのものである。
【0087】
[00086] 機構200は、本体113に対して振動コンポーネント210を振動させるように構成されることがある。振動コンポーネント210は、液浸液の縁部に空間111を画定するためのバリアを形成することがある。したがって、振動コンポーネント210は、液体閉じ込め構造112の液浸液との縁部接点をなすことがある。より小さい質量を作動させることが流体ハンドリングシステム及び装置における外乱力を全体として低減する可能性があるため、振動コンポーネント210を本体113とは別の要素として提供することが好ましい場合がある。振動コンポーネント210は、本体213の内部に、又はこれに隣接して配置されることがある。振動コンポーネント210は、図3a、図3b、図3c及び図3dに示すように本体113の凹部内に配置されることがある。振動コンポーネント210は任意の適切な形状である場合がある。
【0088】
[00087] 振動コンポーネント210は、少なくとも機構200を介して本体213に結合されることがある。すなわち振動コンポーネント210及び本体113は、少なくとも機構200を介して接続されることがある。図3a、図3b、図3c及び図3dは、振動コンポーネント210の上部に接続された機構200を示しているが、機構200は、振動コンポーネント210に任意の適切な位置で取り付けられてよい。振動コンポーネント210及び本体113はまた、何らかの形態の保持手段によって、例えば振動コンポーネント210及び本体113に取り付けられた少なくとも1つのばね214を介して結合されることがある。図3a、図3b、図3c及び図3dは振動コンポーネント210の側部に接続されたばね214を示しているが、ばね214は振動コンポーネント210に任意の適切な位置で取り付けられてよい。
【0089】
[00088] 図3a、図3b、図3c及び図3dに示すように、振動コンポーネント210は、あらゆる液体供給部材及び/又はあらゆる液体抽出部材の半径方向内側に配置されることがある。代替的に、振動コンポーネント210は、液体供給部材のいずれか1つ及び/又はあらゆる液体抽出部材の間に配置されることがある。
【0090】
[00089] 例えば図3aの左側に関連して、振動コンポーネント210は、回収開口25、例えば多孔質材に隣接して配置される可能性がある。振動コンポーネント210は、液体供給開口(例えば下方供給開口23)と液体抽出開口(例えば回収開口25)の間に配置される可能性がある。例えば図3a及び図3bの右側に関連して、振動コンポーネント210は、液体供給開口(例えば下方供給開口23)と液体抽出開口(例えば釘付け開口32)の間に配置される可能性がある。例えば図3bの左側に関連して、振動コンポーネント210は、回収開口25、例えば多孔質材に隣接して配置される可能性がある。振動コンポーネント210は、液体供給開口(例えば下方供給開口23)と液体抽出開口(例えば回収開口25)の間に配置される可能性がある。
【0091】
[00090] 例えば図3cの左側に関連して、振動コンポーネント210は、液体抽出開口(例えば回収開口25)の半径方向内側に配置される可能性がある。図3cの左側に関連して、振動コンポーネント210は、(振動コンポーネント210が液浸液と直接接触できる限りにおいて)チャンバ35内に配置される可能性がある。図3cの左側に関連して、振動機構210がプレート40の一部をなす、又はプレート40の一部に取って代わる可能性があることに留意されたい。例えば、図3cの右側に関連して、振動コンポーネント210は、液体抽出開口(例えば中間回収部42)の半径方向内側に配置される可能性がある。図3cの右側に関連して、液体閉じ込め構造112が内側部112a(上記の図2bの内側部12aに対応する)と、外側部112b(上記の図2bの外側部12bに対応する)とを有し得ることに留意されたい。したがって、本体113は、内側部112aをなす第1の本体要素113aと、外側部112bをなす第2の本体要素113bとで形成されることがある。任意選択で、第1の本体要素113aと第2の本体要素113bは互いに結合される。好ましくは結合は、例えば弾性接続を介して、第2の本体要素113bに対する第1の本体要素113aの移動を可能にする。振動機構210は、図3cの右側に示すように内側部112aの少なくとも一部をなすことがある。付加的又は代替的に、振動機構210は外側部112bの少なくとも一部をなすことがある。例えば図3cの右側に関連して、振動機構210は、プレート40の一部をなす、又はプレート40の一部に取って代わる可能性がある。この場合、振動コンポーネント210は、液体抽出開口(例えば回収開口25)の半径方向内側に配置されることがある。
【0092】
[00091] 例えば図3dの左側に関連して、振動コンポーネント210は、回収開口25、例えば多孔質材に隣接して配置される可能性がある。振動コンポーネント210は、液体供給開口(例えば下方供給開口23)と液体抽出開口(例えば回収開口25)の間に配置される可能性がある。例えば図3dの右側に関連して、振動コンポーネント210は、液体供給開口(例えば下方供給開口23)と液体抽出開口(例えば回収開口32a)の間に配置される可能性がある。
【0093】
[00092] 図3a、図3b、図3c及び図3dに示すように、単一の(すなわち、たった1つの)振動コンポーネント210が存在する場合がある。代替的に、複数の振動コンポーネント210が存在する場合もある。これらは、液体閉じ込め構造112のさまざまな位置に、例えば図3a、図3b、図3c及び図3dに関連して以上で説明したいずれか又は全ての場所に位置することがある。
【0094】
[00093] この実施形態では、液体閉じ込め構造112の本体113は振動することがある。すなわち液体閉じ込め構造112は、図4に示すように全体として移動することがある。この場合、本体113は振動コンポーネントである。この場合、液体閉じ込め構造112の実質的に全体は機構200によって移動することがある。液体閉じ込め構造112全体としての振動を実行することは比較的簡単である場合がある。ただし、液体閉じ込め構造112の本体113を振動させることは、基板W、及び/又はリソグラフィ装置のコンポーネント、例えば基板サポートWTに外乱力をもたらす可能性が高い場合がある。
【0095】
[00094] 図4では、機構200は液体閉じ込め構造112の上部に取り付けられているが、機構200は、液体閉じ込め構造112の任意の適切な部分に取り付けることができる。この場合、機構200は有利には液浸液の外側に配置されることがある。機構200は、支持フレーム(図示せず)などの、リソグラフィ装置の非可動部に取り付けられることがある。また、保持手段(図示せず)が、図3a、図3b、図3c及び図3dに関連して以上で説明したように、液体閉じ込め構造112の本体113とリソグラフィ装置の非可動部の間に設けられることがある。
【0096】
[00095] 図4が、液体閉じ込め構造112の本体113の全体が振動するバリエーションを示すことが理解されるであろう。図4は、図3aに対応する液体閉じ込め構造112の特徴部を示しているが、液体閉じ込め構造112は、図3b、図3c、又は図3dのいずれかに示す特徴部を有することがある、すなわち液体閉じ込め構造112は、図2a、図2b及び/又は図2cの流体ハンドリング構造12の特徴部のいずれかを有する可能性がある。
【0097】
[00096] 第1の実施形態では、液体閉じ込め構造112の本体113は、複数のセグメント、例えば第1の本体要素113a及び第2の本体要素113bによって形成されることがある。任意選択で、第1の本体要素113aと第2の本体要素113bは互いに結合される。好ましくは結合は、例えば弾性接続を介して、第2の本体要素113bに対する第1の本体要素113aの移動を可能にする。
【0098】
[00097] そのようなバリエーションが図5a及び図5bに示されている。この場合、第1の本体要素113a及び第2の本体要素113bは、それぞれが振動コンポーネントである場合がある。機構は第1の機構200a及び第2の機構200bを含むことがある。この場合、第1の機構200aは、第1の本体要素113a(第1の振動コンポーネントの役割を果たす)を振動させるように構成されることがあり、第2の機構200bは、第2の本体要素113b(第2の振動コンポーネントの役割を果たす)を振動させるように構成されることがある。第1の機構200a及び第2の機構200bは、第1の本体要素113a及び/又は第2の本体要素113bをそれぞれ上記の周波数で振動させるように構成されることがある。
【0099】
[00098] 液体閉じ込め構造112を複数のセグメントに設けることは有利である。なぜなら、本体113の振動を更に制御することができる、例えば第1の本体要素113a及び第2の本体要素113bを異なる周波数で同時に振動させることができるためである。
【0100】
[00099] ほんの一例として、液体閉じ込め構造112は縦軸LXを有することがある。平面視で本体113は、縦軸LXに沿って第1の本体要素113aと第2の本体要素113bに分離されることがある。したがって、第1の本体要素113aと第2の本体要素113bの間の分離線が縦軸LXを横切ることがある。第1の本体要素113aは液体閉じ込め構造112の前部をなすことがあり、第2の本体要素113bは液体閉じ込め構造112の後部をなすことがある。これは、液体閉じ込め構造112の下面の図である図5aに示されている。図5aに示すように、基板Wは、液体閉じ込め構造112に対して、液体閉じ込め構造112の縦軸LXに実質的に平行な方向に移動することがある。したがって、図5aの第1の本体要素113aは液体閉じ込め構造112の前部である場合があり、第2の本体要素113bは液体閉じ込め構造112の後部である場合がある。当然のことながら、本体113は、さまざまな形を用いて第1の本体要素113a及び第2の本体要素113bによって形成されることがあり、例えば第1の本体要素113aと第2の本体要素113bの間の分離線は、縦軸LXに沿って、又は縦軸LXに実質的に平行に形成されることがある。
【0101】
[000100] 第1の本体要素113a及び第2の本体要素113bの振動は、液体閉じ込め構造112の後部と比べて液体閉じ込め構造112の前部においてメニスカス33に液滴のより良好なコヒーレンスを生じさせるように制御されることがある。これは、基板W上に欠陥を引き起こす可能性をより高くし得る、液体閉じ込め構造112の前部における気泡の導入を低減し得るため有益である場合がある。
【0102】
[000101] 図5aでは、第1の機構200a及び第2の機構200bは、第1の本体要素113a及び第2の本体要素113bの側部にそれぞれ示されているが、第1の機構200a及び第2の機構200bは任意の適切な場所に配置されてよい。図5aに示す液体閉じ込め構造112の形状、下方供給開口23の形態及び形状、及び釘付け開口32の形態及び形状はほんの一例であり、任意の形状/形態を使用することができる。任意の付加的又は代替的な液体供給開口及び/又は液体抽出開口が設けられてよい。
【0103】
[000102] 図5bに示すように、第1の本体要素113aは上記の内側部112aである場合があり、第2の本体要素113bは上記の外側部112bである場合がある。図5bには、流体ハンドリングシステムの右側のみが示されている。
【0104】
[000103] 第1の機構200a及び第2の機構200bは、それぞれ第1の本体要素113a及び第2の本体要素113bの任意の適切な表面に設けられてよい。この場合、第1の機構200a及び第2の機構200bは、液浸液の外側に配置されることがある。第1の機構200a及び第2の機構200bは、支持フレーム(図示せず)などの、リソグラフィ装置の非可動部に取り付けられることがある。第1の機構200a及び第2の機構200bは同じ非可動部に取り付けられることがある。また、保持手段(図示せず)が、図3a、図3b、図3c及び図3dに関連して以上で説明したように、第1の本体要素113a及び/又は第2の本体要素113bとリソグラフィ装置の非可動部の間に設けられることがある。
【0105】
[000104] 図5a及び図5bが、液体閉じ込め構造112の本体113の別個の部分が振動するバリエーションを示していることが理解されるであろう。本体113の一方の部分だけが振動することがある。本体113の少なくとも一方の部分は静止状態に保持されることがある一方、本体113の少なくとも他方の部分は振動する。図5a及び図5bは図3aに対応する液体閉じ込め構造112の特徴部を示しているが、液体閉じ込め構造112は図3b、図3c、又は図3dのいずれかに示した特徴部を有することがある、すなわち液体閉じ込め構造112は、図2a、図2b及び/又は図2cの流体ハンドリング構造12の特徴部のいずれかを有する可能性がある。
【0106】
[000105] 第2の実施形態では、振動コンポーネント210は液体閉じ込め構造112の外部に配置される。第2の実施形態のバリエーションは、図6の左側及び右側に示されている。振動コンポーネント210は、液体接続部を介して液浸流体と接触している場合がある。この実施形態では、流体ハンドリングシステムは更に、振動コンポーネント210に接続された通路220であって、これを介して振動コンポーネント210が液浸液と接触している通路220を備える。通路220は、使用時に液浸液で満たされることがある。換言すれば、振動コンポーネント210は、通路220を通って空間111に移る液浸液と接触する。
【0107】
[000106] 通路220は、第1の端部220aに第1の開口221aを、第2の端部220bに第2の開口221bを備えることがある。通路220は、第1の端部220aで振動コンポーネント210と結合されることがある。第1の端部220a及び振動コンポーネント210の各形状によって、第1の端部220aはハウジング240と一体の振動コンポーネント210に結合されることがある。ただし、これは振動コンポーネント210が第1の端部220aに直接取り付けられる場合には使用されることはない。通路220は、第2の端部220bで液浸液と接触している場合がある。例えば第2の開口221bは、図6の左側に示すように使用時に液浸液に浸るように配置されることがある。通路220は、望ましくは液体閉じ込め構造112に接続される、又は液体閉じ込め構造112の一部をなすことがある。したがって、例えば通路220は、少なくとも一部が液体閉じ込め構造112の一部として形成されることがある。この場合、第2の開口221bは、図6の右側に示すように使用時に液浸液と接触している液体閉じ込め構造112の縁部に形成されることがある。
【0108】
[000107] 図6に示すように、ハウジング240は、通路220が確実に液浸液で満たされるように通路220からガスを除去するのに使用され得る更なる開口222を備えることがある。好ましくは、更なる開口222は、ガスを除去し、液浸液と振動コンポーネント210との接触を維持するために振動コンポーネント210に隣接して配置される。更なる開口222は、付加的又は代替的に通路220上に配置されることがある。
【0109】
[000108] 液浸液は非圧縮性であるため、振動源の位置は、上記の振動を液浸液に与えながらも液体閉じ込め構造112の外側にある可能性がある。第2の実施形態のように液体閉じ込め構造112の外部に振動コンポーネント210を設けることは有益である。なぜなら、機構200及び/又は振動コンポーネント210を、液体閉じ込め構造112の内部に、その一部として、又は液体閉じ込め構造112に取り付けて設ける必要がないため設計自由度が増すからである。これによってサイズ制限がほとんどなくなるため、機構200に追加オプションが提供されることがある。
【0110】
[000109] 図6が、振動コンポーネント210が液体閉じ込め構造112の外部に配置される第2の実施形態のバリエーションを示していることが理解されるであろう。図6図3aに対応する液体閉じ込め構造112の特徴部を示しているが、図6の左側又は右側に関連して説明される振動コンポーネント210は、図3a、図3b、図3c、又は図3dのいずれかに示した特徴部を有する液体閉じ込め構造を備えることがある、すなわち液体閉じ込め構造112は、図2a、図2b及び/又は図2cの流体ハンドリング構造12の特徴部のいずれかを有する可能性がある。
【0111】
[000110] 第3の実施形態では、振動コンポーネント210は膜230を備える。膜230は任意の適切な材料で形成されることがある。例えば、膜230は金属、例えばステンレス鋼又はニッケルである場合がある。膜230は、使用時に液浸液と接触している液体閉じ込め構造112の表面に形成されることがある。好ましくは、膜230を備える液体閉じ込め構造112の表面は、基板Wに対向する表面であり、この表面は液体閉じ込め構造112の底面と呼ばれることもある。ただし、膜230は、必ずしもこの表面に配置されるわけではない。膜230は、液体閉じ込め構造112の任意の他の適切な表面に設けられる可能性がある。膜230は、液浸液を機構200から離しておくことができる、すなわち膜230は液体分離機構の役割を果たすことができるため有利である。膜230は、膜230のない振動機構210を使用するときより、液浸液とのより大きい接触表面積を提供する点で有利である場合がある。
【0112】
[000111] この場合、膜230及び機構200は、図7に示すように液体閉じ込め構造112の本体113の凹部内に配置されることがある。
【0113】
[000112] 膜230は、第1の実施形態の振動コンポーネント210に関連して説明したように、液体閉じ込め構造112の任意の適切な場所に配置されてよい。例えば図7は、膜230があらゆる液体供給部材及び液体抽出部材の半径方向内側に配置されることを示しており、膜230は、液体供給部材及び/又は液体抽出部材のいずれかの間に設けられる可能性がある。
【0114】
[000113] 図7が振動コンポーネント210が膜230である第3の実施形態のバリエーションを示していることが理解されるであろう。図7図3aに対応する液体閉じ込め構造112の特徴部を示しているが、膜230は、図3a、図3b、図3c、又は図3dのいずれかに示した特徴部を有する液体閉じ込め構造112を備えることがある、すなわち液体閉じ込め構造は、図2a、図2b及び/又は図2cの流体ハンドリング構造12の特徴部のいずれかを有する可能性がある。
【0115】
[000114] 膜230は、ベロー、好ましくは金属ベローに置き換えられることがある。この場合、振動コンポーネント210は、ベローを動かすためにベローと接触している場合がある。ベローは液浸液と接触しているため、液浸液に振動を与えることがある。これは膜230の使用と同様の利点をもたらすことがあり、更に液浸液との接触面積を増やすことがある。特に、ベローは機構200を液浸液から離すことがある。ほんの一例として、ベローはServometer(登録商標)により生産されたものと同じ又は類似している場合がある。ほんの一例として、ベローは約10μmの壁厚を有することがある。
【0116】
[000115] 第1、第2及び第3の実施形態の全てが、液浸液を振動させるのに使用される振動コンポーネント210のさまざまなバリエーションに関連することも理解されるであろう。例えば液体閉じ込め構造112の本体113の少なくとも一部及び膜230を振動させるために、これらの実施形態の一部又は全てを組み合わせる場合がある。換言すれば、第1、第2及び/又は第3の実施形態に記載されたバリエーションは、例えば複数の振動コンポーネント及び/又は機構を、図2a、図2b及び/又は図2cに関連して説明した流体ハンドリング構造12のいずれか1つ、又は図3a、図3b、図3c及び/又は図3dに関連して説明した液体閉じ込め構造112のいずれか1つとともに提供することによって組み合わせられる可能性がある。
【0117】
[000116] 本発明はリソグラフィ装置を提供することがある。リソグラフィ装置は、上記のリソグラフィ装置の他の特徴部又はコンポーネントのいずれか又は全てを有することがある。例えば、リソグラフィ装置は、任意選択で放射源SO、照明システムIL、投影システムPS、基板テーブルWTなどの少なくとも1つ以上を含むことがある。
【0118】
[000117] 具体的には、リソグラフィ装置は、放射ビームBを基板Wの表面のある領域に向けて投影するように構成された投影システムPSを含むことがある。リソグラフィ装置は、上記の実施形態及び変形形態のいずれかに記載された流体ハンドリングシステムを更に含むことがある。
【0119】
[000118] リソグラフィ装置は、基板Wを流体ハンドリングシステムに対して移動させるように構成されたアクチュエータを備えることがある。したがって、アクチュエータは基板Wの位置(又は代替的に、流体ハンドリングシステムの位置)を制御するのに使用されることがある。アクチュエータは、基板Wを保持するように構築された基板サポート(例えば基板テーブル)WT及び/又は基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWである、又はこれを備える可能性がある。
【0120】
[000119] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0121】
[000120] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0122】
[000121] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0123】
[000122] 以上では光リソグラフィに関連して本発明の実施形態の使用に特に言及しているが、本発明は他の用途に使用できることを理解されたい。
【0124】
[000123] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5a
図5b
図6
図7