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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像表示方法及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20241128BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20241128BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241128BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 535
G09G3/20 612U
G09G3/20 641P
G09G3/20 642B
G09G3/20 642E
G09G3/34 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023149391
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2021030119の分割
【原出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2023165775
(43)【公開日】2023-11-17
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】物申 正彦
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211582(JP,A)
【文献】国際公開第2020/235177(WO,A1)
【文献】特開2016-173466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0283802(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133 , 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配列された複数の発光領域を有するバックライト及び複数のピクセルを有する液晶パネルのコントローラに入力された入力画像を用いて、前記バックライトの各発光領域における輝度の設定値を定めた輝度設定データを作成する工程と、
前記輝度設定データと、前記バックライトの各前記発光領域に設けられた各光源の複数の前記発光領域にわたる輝度プロファイルと、に基づき、前記液晶パネルの各前記ピクセルの直下の輝度を推定した輝度推定データを作成する工程と、
前記輝度推定データにおいて、複数の前記発光領域に対応する各エリアの最大輝度を算出する工程と、
前記輝度推定データと、複数の前記エリアのうち各前記ピクセルが属するエリアの前記最大輝度と、に基づいて前記入力画像の各ピクセルの階調を補正することにより、前記液晶パネルの各前記ピクセルの階調の設定値を定めた階調設定データを作成する工程と、
前記輝度設定データに基づいて前記バックライトを制御し、前記階調設定データに基づいて前記液晶パネルを制御し、画像を表示する工程と、
を備える画像表示方法。
【請求項2】
前記階調設定データを作成する工程においては、前記輝度推定データの前記各ピクセルの直下の前記輝度を、各前記ピクセルが属する前記エリアの前記最大輝度で除した値に基づき、前記入力画像の各前記ピクセルの階調を補正する、請求項に記載の画像表示方法。
【請求項3】
前記バックライトにおいて前記発光領域は第1方向及び第2方向に沿って配列されており、
前記エリアに対応する複数の前記発光領域について、前記第1方向における前記発光領域の配列数は前記第2方向における前記発光領域の配列数に等しい請求項1または2に記載の画像表示方法。
【請求項4】
前記バックライトにおいて前記発光領域は第1方向及び第2方向に沿って配列されており、
前記エリアに対応する複数の前記発光領域について、前記第1方向における前記発光領域の配列数は前記第2方向における前記発光領域の配列数よりも多い請求項1または2に記載の画像表示方法。
【請求項5】
第1の前記エリアに対応する前記発光領域の数は、第2の前記エリアに対応する前記発光領域の数よりも多い請求項1または2に記載の画像表示方法。
【請求項6】
行列状に配列された複数の発光領域を有し、複数の前記発光領域のそれぞれに光源が配置された面状光源を有するバックライトと、
前記バックライト上に位置し、複数のピクセルを有する液晶パネルと、
前記バックライト及び前記液晶パネルを制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
入力画像を用いて、前記バックライトの各前記発光領域における輝度の設定値を定めた輝度設定データを作成する輝度設定データ作成部と、
前記輝度設定データと、各前記光源の複数の前記発光領域にわたる輝度プロファイルと、に基づき、前記液晶パネルの各前記ピクセルの直下の輝度を推定した輝度推定データを作成する輝度推定データ作成部と、
前記輝度推定データにおいて、複数の前記発光領域に対応する各エリアの最大輝度を算出する最大輝度算出部と、
前記輝度推定データと、複数の前記エリアのうち各前記ピクセルが属するエリアの前記最大輝度と、に基づいて前記入力画像の各ピクセルの階調を補正することにより、前記液晶パネルの各前記ピクセルの階調の設定値を定めた階調設定データを作成する階調設定データ作成部と、
前記輝度設定データに基づいて前記バックライトを制御し、前記階調設定データに基づいて前記液晶パネルを制御し、前記液晶パネルに画像を表示させる制御部と、
を有する画像表示装置。
【請求項7】
前記バックライトにおいて前記発光領域は第1方向及び第2方向に沿って配列されており、
前記エリアに対応する複数の前記発光領域について、前記第1方向における前記発光領域の配列数は前記第2方向における前記発光領域の配列数に等しい請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記バックライトにおいて前記発光領域は第1方向及び第2方向に沿って配列されており、
前記エリアに対応する複数の前記発光領域について、前記第1方向における前記発光領域の配列数は前記第2方向における前記発光領域の配列数よりも多い請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項9】
第1の前記エリアに対応する前記発光領域の数は、第2の前記エリアに対応する前記発光領域の数よりも多い請求項6に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、画像表示方法及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、行列状に配列された複数の発光領域を有し、各発光領域に光源が配置されたバックライトと、バックライトの上方に配置され、複数のピクセルを有する液晶パネルと、を備える画像表示装置が知られている。このような画像表示装置を用いれば、液晶パネルに表示したい画像に応じて各発光領域の輝度を個別に設定し、各発光領域の輝度に応じて液晶パネルの各ピクセルの階調を設定することができる。これにより、液晶パネルに表示する画像のコントラストを向上させることができる。このような技術は、「ローカルディミング」と呼ばれている。
【0003】
ローカルディミングにおいて液晶パネルの各ピクセルの階調を設定する方法として、バックライトの各発光領域の輝度の設定値に基づき、液晶パネルの各ピクセルの直下の輝度を推定し、推定した直下の輝度に基づき、表示したい画像の各ピクセルの階調を補正し、液晶パネルの各ピクセルの階調の設定値とする方法が知られている。この際、液晶パネルに表示する画像のコントラストが向上するように、液晶パネルの各ピクセルの階調を設定したいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-54683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、表示する画像のコントラストを向上できる画像表示方法及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一の実施形態に係る画像表示方法は、行列状に配列された複数の発光領域を有するバックライト及び複数のピクセルを有する液晶パネルのコントローラに入力された入力画像を用いて、前記バックライトの各発光領域の輝度の設定値を定めた輝度設定データを作成する工程と、前記輝度設定データと、前記バックライトの各前記発光領域に配置された各光源の輝度プロファイルと、に基づき、前記液晶パネルの各前記ピクセルの直下の輝度を推定した輝度推定データを作成する工程と、前記輝度推定データの最大輝度を算出する工程と、前記輝度推定データと、前記最大輝度と、に基づいて前記入力画像の各ピクセルの階調を補正することにより、前記液晶パネルの各前記ピクセルの階調の設定値を定めた階調設定データを作成する工程と、前記輝度設定データに基づいて前記バックライトを制御し、前記階調設定データに基づいて前記液晶パネルを制御し、前記液晶パネルに画像を表示する工程と、を備える。
【0007】
他の実施形態に係る画像表示方法は、行列状に配列された複数の発光領域を有するバックライト及び複数のピクセルを有する液晶パネルのコントローラに入力された入力画像を用いて、前記バックライトの各発光領域における輝度の設定値を定めた輝度設定データを作成する工程と、前記輝度設定データと、前記バックライトの各前記発光領域に設けられた各光源の輝度プロファイルと、に基づき、前記液晶パネルの各前記ピクセルの直下の輝度を推定した輝度推定データを作成する工程と、前記輝度推定データにおいて、1以上の前記発光領域に対応する各エリアの最大輝度を算出する工程と、前記輝度推定データと、複数の前記エリアのうち各前記ピクセルが属するエリアの前記最大輝度と、に基づいて前記入力画像の各ピクセルの階調を補正することにより、前記液晶パネルの各前記ピクセルの階調の設定値を定めた階調設定データを作成する工程と、前記輝度設定データに基づいて前記バックライトを制御し、前記階調設定データに基づいて前記液晶パネルを制御し、画像を表示する工程と、を備える。
【0008】
一の実施形態に係る画像表示装置は、行列状に配列された複数の発光領域を有し、複数の前記発光領域のそれぞれに光源が配置された面状光源を有するバックライトと、前記バックライト上に位置し、複数のピクセルを有する液晶パネルと、前記バックライト及び前記液晶パネルを制御するコントローラと、を備える。前記コントローラは、入力画像を用いて、前記バックライトの各前記発光領域の輝度の設定値を定めた輝度設定データを作成する輝度設定データ作成部と、前記輝度設定データと、各前記光源の輝度プロファイルと、に基づき、前記液晶パネルの前記各ピクセルの直下の輝度を推定した輝度推定データを作成する輝度推定データ作成部と、前記輝度推定データの最大輝度を算出する最大輝度算出部と、前記輝度推定データ及び前記最大輝度に基づき、前記入力画像の各ピクセルの階調を補正することにより、前記液晶パネルの各前記ピクセルの階調の設定値を定めた階調設定データを作成する階調設定データ作成部と、前記輝度設定データに基づいて前記バックライトを制御し、前記階調設定データに基づいて前記液晶パネルを制御し、前記液晶パネルに画像を表示させる制御部と、を有する。
【0009】
他の実施形態に係る画像表示装置は、行列状に配列された複数の発光領域を有し、複数の前記発光領域のそれぞれに光源が配置された面状光源を有するバックライトと、前記バックライト上に位置し、複数のピクセルを有する液晶パネルと、前記バックライト及び前記液晶パネルを制御するコントローラと、を備える。前記コントローラは、入力画像を用いて、前記バックライトの各前記発光領域における輝度の設定値を定めた輝度設定データを作成する輝度設定データ作成部と、前記輝度設定データと、各前記光源の輝度プロファイルと、に基づき、前記液晶パネルの各前記ピクセルの直下の輝度を推定した輝度推定データを作成する輝度推定データ作成部と、前記輝度推定データにおいて、1以上の前記発光領域に対応する各エリアの最大輝度を算出する最大輝度算出部と、前記輝度推定データと、複数の前記エリアのうち各前記ピクセルが属するエリアの前記最大輝度と、に基づいて前記入力画像の各ピクセルの階調を補正することにより、前記液晶パネルの各前記ピクセルの階調の設定値を定めた階調設定データを作成する階調設定データ作成部と、前記輝度設定データに基づいて前記バックライトを制御し、前記階調設定データに基づいて前記液晶パネルを制御し、前記液晶パネルに画像を表示させる制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、表示する画像のコントラストを向上できる画像表示方法及び画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る画像表示装置を示す分解斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る画像表示装置のバックライトにおける面状光源を示す上面図である。
図3図2のIII-III線における断面図である。
図4】第1の実施形態に係る画像表示装置の液晶パネルを示す上面図である。
図5】第1の実施形態に係る画像表示装置を示すブロック図である。
図6】第1の実施形態に係る画像表示方法を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る画像表示装置において、コントローラに入力される入力画像を示す模式図である。
図8】第1の実施形態に係る画像表示装置において、コントローラに入力される入力画像のピクセル、バックライトの発光領域、及び液晶パネルのピクセルの関係を示す模式図である。
図9】第1の実施形態に係る画像表示方法のうち輝度設定データの作成方法を示す模式図である。
図10】第1の実施形態に係る画像表示装置のバックライトにおいて、一つの発光領域内の光源を点灯させた場合の輝度プロファイルを示すグラフである。
図11】第1の実施形態に係る画像表示方法のうち輝度推定データの作成方法を示す模式図である。
図12】第1の実施形態に係る画像表示方法のうち、最大輝度の算出方法を示す模式図である。
図13】第1の実施形態に係る画像表示方法のうち、階調設定データの作成方法を示す模式図である。
図14A】正規化した輝度と階調との関係を示すグラフであって、正規化した輝度の最大値が1である場合を示すグラフである。
図14B】正規化した輝度と階調との関係を示すグラフであって、正規化した輝度の最大値が1未満である場合を示すグラフである。
図14C】正規化した輝度と階調との関係を示すグラフであって、正規化した輝度の最大値が1を超える場合を示すグラフである。
図15】第2の実施形態に係る画像表示方法のうち、最大輝度の算出方法を示す模式図である。
図16】第2の実施形態に係る画像表示方法のうち、階調設定データの作成方法を示す模式図である。
図17A】輝度推定データにおけるエリアの他の例を示す模式図である。
図17B】輝度推定データにおけるエリアの他の例を示す模式図である。
図17C】輝度推定データにおけるエリアの他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。更に、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いて、画像表示装置の各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交している。またX軸が延びる方向を「X方向」とし、Y軸が延びる方向を「Y方向」とし、Z軸が延びる方向を「Z方向」とする。また、説明をわかりやすくするために、Z方向を上方、その反対方向を下方とするが、これらの方向は、重力方向とは無関係である。また、説明をわかりやすくするために、各図において、X軸が延びる方向のうち、矢印の方向を「+X方向」とし、その逆方向を「-X方向」とする。同様に、Y軸が延びる方向のうち、矢印の方向を「+Y方向」とし、その逆方向を「-Y方向」とする。
【0014】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示装置を示す分解斜視図である。
本実施形態に係る画像表示装置100は、例えば、テレビ、パソコン、又はゲーム機等の機器のディスプレイに用いられる液晶モジュール(LCM:Liquid Crystal Module)である。画像表示装置100は、バックライト110と、バックライト用のドライバ120と、液晶パネル130と、液晶パネル用のドライバ140と、コントローラ150と、を備える。以下、画像表示装置100の各部について説明する。なお、図1では、説明をわかりやすくするために、構成要素同士が電気的に接続されていることを、構成要素同士を実線で結ぶことにより、示している。
【0015】
バックライト110は、ローカルディミングにより駆動可能である。バックライト110は、面状光源111と、面状光源111上に配置された光学部材118と、を有する。
【0016】
光学部材118は、特に限定されないが、例えば、光拡散機能等の光調整機能を有するシート、フィルム、又は板である。本実施形態では、バックライト110に設けられる光学部材118の数は、1つである。ただし、バックライトに設けられる光学部材の数は、2つ以上であってもよい。
【0017】
図2は、本実施形態に係る画像表示装置のバックライトにおける面状光源を示す上面図である。
図3は、図2のIII-III線における断面図である。
面状光源111は、本実施形態では図2及び図3に示すように、基板112と、光反射性シート112sと、導光部材113と、複数の光源114と、透光性部材115と、第1光調整部材116と、光反射部材117と、を有する。
【0018】
基板112は、絶縁部材と、絶縁部材に設けられた複数の配線と、を有する配線基板である。基板112の上面視における形状は、本実施形態では図2に示すように、略矩形である。ただし、基板の形状は、上記の形状に限定されない。基板112の上面及び下面は、平坦面であり、X方向及びY方向に概ね平行である。
【0019】
光反射性シート112sは、図3に示すように、基板112上に配置されている。光反射性シート112sは、本実施形態では、第1接着層と、第1接着層上に設けられた光反射層と、光反射層上に設けられた第2接着層と、を有する。光反射性シート112sは、第1接着層により基板112に貼り付けられている。
【0020】
導光部材113は、光反射性シート112s上に配置されている。導光部材113は、その下面の少なくとも一部が第2接着層により光反射性シート112sに貼り付けられている。導光部材113の形状は、本実施形態では板状である。導光部材113の厚さとしては、例えば、200μm以上800μm以下が好ましい。導光部材113は、その厚さ方向に、単層で構成されてもよいし、複数の層の積層体で構成されてもよい。導光部材113の上面視における形状は、本実施形態では図2に示すように略矩形である。ただし、導光部材の形状は、上記の形状に限定されない。
【0021】
このような導光部材113に用いられる材料としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ若しくはシリコーン等の熱硬化性樹脂、又は、ガラス等を用いることができる。
【0022】
導光部材113には、複数の光源配置部113aが配置されている。複数の光源配置部113aは、上面視において行列状に配列されている。各光源配置部113aは、本実施形態では図3に示すように、導光部材113をZ方向に貫通する貫通孔である。ただし、光源配置部は、導光部材の下面に設けられた有底の凹部であってもよい。
【0023】
各光源114は、各光源配置部113a内に配置されている。したがって、複数の光源114も、図2に示すように、行列状に配列されている。ただし、面状光源には、必ずしも導光部材が配置されている必要はない。例えば、面状光源には、導光部材が配置されておらず、単に基板上に複数の光源が行列状に配列されたものであってもよい。なお、導光部材が配置されていない場合の光源配置部とは、基板における光源が配置されている部分をいう。
【0024】
各光源114は、発光素子単体であってもよいし、発光素子に、例えば波長変換部材等を組み合わせた発光装置を有していてもよい。各光源114は、本実施形態では図3に示すように、発光素子114a及び波長変換部材114bと、更に第2光調整部材114hと、第3光調整部材114iと 、を有する。
【0025】
発光素子114aは、例えばLED(Light Emitting Diode)であり、半導体積層体114cと、半導体積層体114cと基板112の配線とを電気的に接続する一対の電極114d、114eと、を含む。光反射性シート112sにおいて、各電極114d、114eの直下に位置する部分には、貫通孔が設けられている。この貫通孔内には、各電極114d、114eと、基板112とを電気的に接続する導電部材112mが配置されている。
【0026】
波長変換部材114bは、半導体積層体114cの上面及び側面を覆う透光性部材114fと、透光性部材114f中に配置され、半導体積層体114cが発する光の波長を異なる波長に変換する波長変換物質114gと、を有する。波長変換物質114gは、例えば蛍光体である。
【0027】
本実施形態において、発光素子114aは、青色光を発する。一方、波長変換部材114bは、例えば、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)又はKSAF系蛍光体(例えば、K(Si,Al)F:Mn)等の赤色光を発する蛍光体(以下、赤色蛍光体という)と、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)又はLAG系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)等の緑色光を発する蛍光体(以下、緑色蛍光体という)と、を含む。これにより、バックライト110は、発光素子114aが発する青色光と、波長変換部材114bが発する赤色光及び緑色光と、の混色光である白色光を出射することができる。また、波長変換部材114bは、蛍光体を含有しない透光性部材に代えてもよく、この場合、例えば赤色蛍光体と緑色蛍光体とを含有する蛍光体シートを面状光源上に配置することにより、同様の白色光を得ることができる。
【0028】
第2光調整部材114hは、波長変換部材114bの上面に配置されており、波長変換部材114bの上面から出射する光の量や出射方向を制御することができる。また、第3光調整部材114iは、電極114d、114eの下面が露出するように、発光素子114aの下面及び波長変換部材114bの下面に配置されている。第3光調整部材114iは、波長変換部材114bの下面に向かう光を反射し、波長変換部材114bの上面及び側面から出射されるように制御することができる。このような第2光調整部材114h及び第3光調整部材114iは、それぞれ透光性樹脂と、透光性樹脂中に含まれる光拡散剤等によって構成することができる。透光性樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂である。光拡散剤は、例えばTiO、SiO、Nb、BaTiO、Ta、Zr、Y、Al、ZnO、MgO、BaSO又はガラスなどの粒子が挙げられる。また、第2光調整部材114hには、光源114直上の輝度が高くなりすぎないように、例えば、Al又はAgなどの金属部材を用いてもよい。
【0029】
光源配置部113a内には、透光性部材115が配置されている。透光性部材115は、光源114を覆っている。透光性部材115上には、第1光調整部材116が配置されている。第1光調整部材116は、光源114直上の輝度が高くなりすぎないように、透光性部材115から入射した光の一部を反射し、他の一部を透過させることができる。このような第1光調整部材116には、第2光調整部材114h又は第3光調整部材114iと同様の部材を用いることができる。
【0030】
また、導光部材113には、上面視で各光源配置部113aを囲むように区画溝113bが設けられている。区画溝113bは、X方向及びY方向に格子状に延びている。区画溝113bは、Z方向に導光部材113を貫通している。ただし、区画溝は、導光部材の上面または下面に設けられた凹部であってもよい。また、区画溝は、導光部材に設けられていなくてもよい。
【0031】
区画溝113b内には、光反射部材117が配置されている。光反射部材117としては、例えば、光拡散剤を含む透光性樹脂を用いることができる。光拡散剤としては、例えば、TiO、SiO、Nb、BaTiO、Ta、Zr、ZnO、Y、Al、MgO、BaSO又はガラスなどの粒子が挙げられる。透光性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂などが挙げられる。また、光反射部材117として、例えば、Al又はAgなどの金属部材を用いてもよい。光反射部材117は、区画溝113bの側面の一部を層状に覆っている。ただし、光反射部材は、区画溝内の全体を埋めるように配置されていてもよい。また、区画溝内に光反射部材は配置されていなくてもよい。
【0032】
本実施形態では、複数の光源114の出力は、バックライト用のドライバ120により、個別に制御可能である。ここで、「出力を制御可能」とは、点灯と消灯の切り替えが可能であること、及び点灯状態における輝度が調整可能であることを意味する。例えば、面状光源は、光源毎に出力を制御可能な構造であってもよく、複数の光源群が行列状に配列され、光源群毎に出力を制御可能な構造であってもよい。
【0033】
本明細書では、上面視において面状光源を、個別に出力が制御される光源又は光源群を含む領域毎に区分けした場合の、各領域を「発光領域」という。換言すれば、発光領域は、バックライトにおいてローカルディミングにより輝度が制御される最小の領域を意味する。したがって、本実施形態では、区画溝113bと同様に、面状光源111を格子状に区画した場合の各領域が、発光領域110sに相当する。
【0034】
各発光領域110sの形状は、矩形状である。本実施形態では、一つの発光領域110s内には、一つの光源114が設けられている。そして、バックライト用のドライバ120が複数の光源114の出力を個別に制御することで、複数の発光領域110sの輝度が個別に制御される。なお、前述したように、複数の光源群毎に出力が制御される場合は、一つの発光領域内に、一つの光源群、すなわち複数の光源が配置され、複数の光源が同時に点灯又は消灯される。
【0035】
複数の発光領域110sは、上面視において行列状に配列されている。以下では、複数の発光領域110sのような行列状の構造において、X方向に並んだ発光領域110s等の行列の要素群を「行」といい、Y方向に並んだ発光領域110s等の行列の要素群を「列」という。例えば、図2に示すように、最も+Y方向に位置する行(最も左に位置する行)を「第1行」とし、最も-Y方向に位置する行(最も右に位置する行)を「最終行」とする。同様に、図2に示すように、最も-X方向に位置する列(最も下に位置する列)を「第1列」とし、最も+X方向に位置する列(最も上に位置する列)を「最終列」とする。複数の発光領域110sは、N1個の行を成し、かつ、M1個の列を成すように配列されている。ここで、N1及びM1はそれぞれ任意の整数であり、図2では、N1が8であり、M1が16である例を示している。
【0036】
面状光源111には、図3に示すように区画溝113bや光反射部材117が設けられているが、隣り合う発光領域110sの間が完全に遮光されてはいない。そのため、隣り合う発光領域110s間で相互に光が伝搬可能である。したがって、一つの発光領域110s内の光源114を点灯させた場合、この光源が発する光は、その周囲の発光領域110sに伝搬し得る。
【0037】
バックライト用のドライバ120は、図1に示すように、基板112及びコントローラ150に接続されている。バックライト用のドライバ120は、複数の光源114の駆動回路を含む。バックライト用のドライバ120は、コントローラ150から受信したバックライト制御データSG1に応じて、各発光領域110sの輝度を調整する。
【0038】
図4は、本実施形態に係る画像表示装置の液晶パネルを示す上面図である。
バックライト110上には、液晶パネル130が配置されている。上面視における液晶パネル130の形状は、本実施形態では、略矩形である。液晶パネル130は、行列状に配列された複数のピクセル130pを有している。図4では、2点鎖線で囲まれた一つの領域が、一つのピクセル130pに相当する。
【0039】
本実施形態に係る液晶パネル130は、カラー画像を表示可能である。そのため、一つのピクセル130pは、3つのサブピクセル130sp、例えばバックライト110から出射する白色光のうち、青色光を透過可能であるサブピクセルと、緑色光を透過可能なサブピクセルと、赤色光を透過可能なサブピクセルとを含む。各サブピクセル130spの光の透過率は、液晶パネル用のドライバ140により、個別に制御可能である。これにより、各サブピクセル130spの階調が個別に制御される。
【0040】
複数のピクセル130pは、N2個の行を成し、かつ、M2個の列を成すように配列されている。ここで、N2及びM2はそれぞれ任意の整数であり、N2>N1であり、M2>M1である。上面視において、各発光領域110s内には、複数のピクセル130pが配置される。なお、図4では、一つの発光領域110sに、4つのピクセル130pが対応している例を示しているが、一つの発光領域110sに対応するピクセル130pの数は、3個以下であってもよいし、5個以上であってもよい。
【0041】
液晶パネル用のドライバ140は、図1に示すように、液晶パネル130及びコントローラ150に接続されている。液晶パネル用のドライバ140は、液晶パネル130の駆動回路を含む。液晶パネル用のドライバ140は、コントローラ150から受信した液晶パネル制御データSG2に応じて、各ピクセル130pの階調を調整する。
【0042】
図5は、本実施形態に係る画像表示装置を示すブロック図である。
コントローラ150は、本実施形態では、入力インターフェース151と、メモリ152と、CPU(central processing unit)等のプロセッサ153と、出力インターフェース154と、を備える。これらは、バスにより相互に接続されている。
【0043】
入力インターフェース151は、例えば、チューナ、パソコン、又はゲーム機等の外部機器900に接続される。入力インターフェース151は、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子等の外部機器900への接続端子を含む。外部機器900は、入力インターフェース151を介してコントローラ150に入力画像IMを入力する。
【0044】
メモリ152は、例えば、ROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random-Access Memory)等を含む。メモリ152は、液晶パネルに画像を表示するための各種プログラム、各種パラメータ、及び各種データを記憶する。
【0045】
プロセッサ153は、メモリ152が記憶するプログラムを読み込むことにより、入力画像IMを処理して、バックライト110の各発光領域110sの輝度の設定値及び液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定め、これらの設定値に基づき、バックライト110及び液晶パネル130を制御する。これにより、液晶パネル130に入力画像IMに対応する画像が表示される。プロセッサ153は、輝度設定データ作成部153a、輝度推定データ作成部153b、最大輝度算出部153c、階調設定データ作成部153d、及び制御部153eを含む。
【0046】
出力インターフェース154は、バックライト用のドライバ120に接続される。また、出力インターフェース154は、例えばHDMI(登録商標)端子等の液晶パネル用のドライバ140の接続端子を含み、液晶パネル用のドライバ140に接続される。バックライト用のドライバ120は、出力インターフェース154を介して、バックライト制御データSG1を取得する。液晶用のドライバ140は、出力インターフェース154を介して、液晶パネル制御データSG2を取得する。
【0047】
以下、本実施形態に係る画像表示装置100を用いた画像表示方法を説明する。また、プロセッサ153の輝度設定データ作成部153a、輝度推定データ作成部153b、最大輝度算出部153c、階調設定データ作成部153d、及び制御部153eとしての機能についても説明する。
【0048】
図6は、本実施形態に係る画像表示方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る画像表示方法は、入力画像IMの取得工程S1と、輝度設定データD1の作成工程S2と、輝度推定データD2の作成工程S3と、最大輝度e2maxの算出工程S4と、階調設定データD3の作成工程S5と、液晶パネル130の画像の表示工程S6と、を備える。以下、各工程について詳述する。以下では、一枚の入力画像IMに対応した画像を液晶パネル130に表示する方法を説明する。なお、コントローラ150に入力画像IMが順次入力され、液晶パネル130に各入力画像IMに対応する画像を順次表示する場合は、以下の工程S1~S6が繰り返し行われる。
【0049】
先ず、入力画像IMの取得工程S1について説明する。
図5に示すように、コントローラ150の入力インターフェース151は、外部機器900から入力画像IMを取得する。取得された入力画像IMは、メモリ152に記憶される。
【0050】
図7は、本実施形態に係る画像表示装置において、コントローラに入力される入力画像を示す模式図である。
図8は、本実施形態に係る画像表示装置において、コントローラに入力される入力画像のピクセル、バックライトの発光領域、及び液晶パネルのピクセルの関係を示す模式図である。
【0051】
入力画像IMは、行列状に配列される複数のピクセルIMpを有する。以下では、説明をわかりやすくするために、例えば入力画像IMのように、ピクセルIMp等の要素が行列状に配列されるデータにおいて、要素の配列方向を、xy直交座標系を用いて表す。また、x軸が延びる方向のうち、矢印の方向を「+x方向」とし、その逆方向を「-x方向」とする。同様に、y軸が延びる方向のうち、矢印の方向を「+y方向」とし、その逆方向を「-y方向」とする。また、以下では、x方向に並んだ行列の要素群を「行」といい、y方向に並んだ行列の要素群を「列」という。例えば、図7に示すように、最も+y方向に位置する行(最も左に位置する行)を「第1行」とし、最も-y方向に位置する行(最も右に位置する行)を「最終行」とする。同様に、図7に示すように、最も-x方向に位置する列(最も下に位置する列)を「第1列」とし、最も+x方向に位置する列(最も上に位置する列)を「最終列」とする。
【0052】
また、以下では説明をわかりやすくするために、図8に示すように、入力画像IMの一つのピクセルIMpが、液晶パネル130の一つのピクセル130pに対応している例を説明する。すなわち、複数のピクセルIMpは、本実施形態では、N2個の行を成し、かつ、M2個の列を成すように配列される。そして、入力画像IMにおいて、バックライト110の一つの発光領域110sに対応する画像エリアIMsには、複数のピクセルIMpが含まれる。ただし、入力画像のピクセルと、液晶パネルのピクセルとの対応関係は、一対一でなくてもよい。この場合、コントローラ150のプロセッサ153は、入力画像のピクセルと液晶パネルのピクセルとが一対一で対応するような前処理を入力画像に施してから、以下の処理を行う。
【0053】
各ピクセル130pには、階調が設定されている。入力画像IMは、本実施形態では、カラー画像である。そのため、図7に示すように、第i行及び第j列に位置するピクセルIMpには、青色の階調Gb(i,j)、緑色の階調Gg(i,j)、及び赤色の階調Gr(i,j)が設定されている。ここで、iは、1からN2までの任意の整数であり、jは1からM2までの任意の整数である。各階調Gb(i,j)、Gg(i,j)、Gr(i,j)は、例えば8bitで表現される場合、0から255までの数字である。
【0054】
次に、輝度設定データD1の作成工程S2について説明する。
図9は、本実施形態に係る画像表示方法のうち輝度設定データの作成方法を示す模式図である。
輝度設定データ作成部153aは、入力画像IMの各発光領域110sに対応する各画像エリアIMsに含まれる複数のピクセルIMpの階調Gb(i,j)、Gg(i,j)、Gr(i,j)のうち、最大階調Gmaxを輝度Lに変換した輝度設定データD1を作成する。
【0055】
以下、輝度設定データD1の作成方法の具体例を説明する。
先ず、輝度設定データ作成部153aは、第n行及び第m列に位置する発光領域110sに対応する画像エリアIMsを抽出する。一つの画像エリアIMsは一つの発光領域110sに対応するため、入力画像IMにおいては、複数の画像エリアIMsがN1個の行及びM1個の列を成すように配列されている。したがって、nは、1からN1の間の任意の整数であり、mは1からM1の間の任意の整数である。次に、輝度設定データ作成部153aは、この画像エリアIMsに含まれる全てのピクセルIMpの青色の階調Gb(i,j)、緑色の階調Gg(i,j)、及び赤色の階調Gr(i,j)のうちの最大値を、この画像エリアIMsの最大階調Gmaxとする。次に、輝度設定データ作成部153aは、この最大階調Gmaxを輝度Lに変換する。次に、輝度設定データ作成部153aは、この輝度Lを、輝度設定データD1の第n行及び第m列に位置する要素e1(n,m)の値とする。
輝度設定データ作成部153aは、この処理を、全ての画像エリアIMsについて行う。
【0056】
このようにして得られた輝度設定データD1は、N1個の行及びM1個の列を有する行列状のデータである。そして、第n行かつ第m列に位置する輝度設定データD1の要素e1(n,m)の値は、第n行かつ第m列に位置する画像エリアIMsの最大階調Gmaxを輝度Lに変換した値である。また、第n行かつ第m列に位置する輝度設定データD1の要素e1(n,m)の値は、第n行かつ第m列に位置する発光領域110sの輝度の設定値である。
輝度設定データ作成部153aは、輝度設定データD1をメモリ152に記憶させる。
【0057】
以上、輝度設定データD1の作成方法の具体例を説明したが、輝度設定データD1の作成方法は、上記に限定されない。例えば、輝度設定データ作成部153aは、上記の輝度Lをさらに補正した値を、輝度設定データD1の各要素e1(n,m)の値にしてもよい。
【0058】
図10は、本実施形態に係る画像表示装置のバックライトにおいて、一つの発光領域内の光源を点灯させた場合の輝度プロファイルを示すグラフである。なお、図10では、横軸をX方向における位置とし、縦軸を輝度とする。
図10では、光源114が点灯している発光領域110sをONで示し、光源114が消灯している発光領域110sをOFFで示している。
【0059】
図10に示すように、一つの発光領域110s内の光源114を点灯させた場合、その発光領域110s内の輝度は、XY平面上の各位置において一定ではないことがある。具体的には、本実施形態では、上面視において光源114の中心が発光領域110sの略中心上に位置するため、発光領域110sの中心から遠ざかるほど、輝度が低下する。したがって、一つの発光領域110s上には、液晶パネル130の複数のピクセル130pが配置されているが、これらのピクセル130pの直下の輝度は、同一にならない場合がある。
【0060】
また、本実施形態に係る面状光源111においては、隣り合う発光領域110sの間が完全に遮光されていない。そのため、バックライト110において、一つの発光領域110s内の光源114を点灯させた場合、この光源114から出射した光は、その周囲の発光領域110sに伝搬し得る。このように、各発光領域110sの輝度は、輝度設定データD1により設定した値にならず、その周囲の発光領域110s内の光源114が発する光の影響を受ける場合がある。
【0061】
そこで、本実施形態では、一つの発光領域110s内の光源114の輝度プロファイル、及びその周囲の発光領域110s内の光源114が発する光の影響を盛り込んで、各ピクセル130pの直下の輝度を推定した輝度推定データD2を作成する。そして、輝度推定データD2に基づき、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定めた階調設定データD3を作成する。
【0062】
以下、輝度推定データD2の作成工程S3の具体例について詳述する。
図11は、本実施形態に係る画像表示方法のうち輝度推定データの作成方法を示す模式図である。
メモリ152は、本実施形態では予め、一つの発光領域110s内の光源114を点灯させた場合のXY平面上の各位置における輝度分布を示す輝度プロファイルD4を記憶している。
【0063】
先ず、輝度推定データ作成部153bは、輝度設定データD1及び輝度プロファイルD4から、液晶パネル130の第i行及び第j列に位置するピクセル130pの直下の輝度V(i,j)を推定する。
【0064】
具体的には、輝度推定データ作成部153bは、輝度設定データD1において、このピクセル130pの直下に位置する発光領域110sに対応する要素e1(n,m)の値(輝度の設定値)と、輝度プロファイルD4と、から、この発光領域110s内の光源114のみを点灯させた場合の、このピクセル130pの直下の輝度V1(i,j)を推定する。更に、輝度推定データ作成部153bは、輝度設定データD1において、この発光領域110sの周囲の発光領域110sに対応する要素e1(k,l)の値と、輝度プロファイルD4から、周囲の発光領域110s内の光源114のみを点灯させた場合の、このピクセル130pの直下の輝度V2(i,j)を推定する。ここで、kは、1からN1の間の任意の整数であり、lは1からM1の間の任意の整数である。そして、これらの輝度V1(i,j)、V2(i,j)を足し合わせた値を、このピクセル130pの直下の輝度V(i,j)として推定する。これにより、輝度推定データ作成部153bは、一つの発光領域110s内の輝度分布及び周囲の発光領域110sからの光漏れの両方を盛り込んで、このピクセル130pの直下の輝度V(i,j)を推定できる。
【0065】
輝度推定データ作成部153bは、算出した輝度V(i,j)を、輝度推定データD2の第i行及び第j列に位置する要素e2(i,j)の値にする。輝度推定データ作成部153bは、液晶パネル130の全てのピクセル130pについて、上記の処理を行う。
【0066】
このようにして得られた輝度推定データD2は、N2個の行及びM2個の列を有する行列状のデータである。そして、第i行かつ第j列に位置する輝度推定データD2の要素e2(i,j)の値は、液晶パネル130において第i行かつ第j列に位置するピクセル130pの直下の輝度の推定値である。
輝度推定データ作成部153bは、輝度推定データD2をメモリ152に記憶させる。
【0067】
以上、輝度推定データD2の作成方法の具体例を説明したが、輝度推定データD2の作成方法は、上記に限定されない。例えば、輝度推定データ作成部153bは、輝度設定データD1及び輝度プロファイルD4に基づき、輝度設定データD1に基づいてバックライト110を駆動した場合の、液晶パネル130の全てのピクセル130pの直下の輝度分布を推定したマップを作成してもよい。そして、輝度推定データ作成部153bは、作成したマップに基づき、輝度推定データD2を作成してもよい。
【0068】
次に、最大輝度e2maxの算出工程S4について説明する。
図12は、本実施形態に係る画像表示方法のうち、最大輝度の算出方法を示す模式図である。
最大輝度算出部153cは、輝度推定データD2に含まれる全ての輝度V(i,j)の最大値を、最大輝度e2maxとする。最大輝度算出部153cは、最大輝度e2maxをメモリ152に記憶させる。
【0069】
次に、階調設定データD3の作成工程S5について説明する。
図13は、本実施形態に係る画像表示方法のうち、階調設定データの作成方法を示す模式図である。
階調設定データ作成部153dは、図13に示すように、輝度推定データD2と、最大輝度e2maxと、に基づいて入力画像IMの各ピクセルIMpの階調Gb(i,j)、Gg(i,j)、Gr(i,j)を補正することにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定めた階調設定データD3を作成する。
【0070】
以下、階調設定データD3の作成方法の具体例について説明する。
図14Aは、縦軸に正規化した輝度を取り、横軸に変換後の階調を取り、ガンマ補正の変換式に基づいて、正規化した輝度を階調に変換した際の、正規化した輝度と階調との関係を示すグラフであって、正規化した輝度の最大値が1である場合を示すグラフである。
図14Bは、縦軸に正規化した輝度を取り、横軸に変換後の階調を取り、ガンマ補正の変換式に基づいて、正規化した輝度を階調に変換した際の、正規化した輝度と階調との関係を示すグラフであって、正規化した輝度の最大値が1未満である場合を示すグラフである。
図14Cは、縦軸に正規化した輝度を取り、横軸に変換後の階調を取り、ガンマ補正の変換式に基づいて、正規化した輝度を階調に変換した際の、正規化した輝度と階調との関係を示すグラフであって、正規化した輝度の最大値が1を超える場合を示すグラフである。
【0071】
輝度推定データD2に基づいて入力画像IMの各ピクセルIMpの階調Gb(i,j)、Gg(i,j)、Gr(i,j)を補正する際には、輝度推定データD2の各輝度V(i,j)を、階調Ga(i,j)に変換する必要がある。輝度V(i,j)を所定の値Voで除算することにより正規化された輝度Vn(i,j)は、以下に示すガンマ補正に基づく変換式Gfにより、階調Ga(i,j)に変換できることが知られている。
【0072】
【数1】
【0073】
ガンマ補正の変換式Gfでは、正規化した輝度Vn(i,j)の値が1である場合に、変換した階調Ga(i,j)が、階調Gaが取りえる最大値GEmaxとなるような式である。階調が取りえる最大値GEmaxとは、例えば、階調Gaが8bitで表現される場合、すなわち0から255までの数字で表現される場合は、255である。したがって、輝度推定データD2内の各輝度V(i,j)を、階調Ga(i,j)に変換したい場合、正規化する際に用いる所定の値Voが、最大輝度e2maxとなるように設定すれば、図14に示すように、正規化した輝度Vn(i,j)の最大値Vnmaxが1となる。その結果、最大値Vnmaxを、階調Gaが取りえる最大値GEmaxに変換できる。すなわち、変換後の階調Ga(i,j)は、階調Ga(i,j)が取りえる範囲0~GEmaxを最大限に活用できる。
【0074】
しかしながら、入力画像IMに応じて最大輝度e2maxは変化し得るが、従来は、各入力画像IMの最大輝度e2maxが不明であったため、正規化の際に用いる所定の値Voを、一定の値にしていた。
【0075】
そのため、入力画像IMによっては、液晶パネル130の直下の最大輝度e2maxが、所定の値Vo未満となる場合がある。このような場合、正規化した輝度Vn(i,j)の最大値Vnmaxが、1未満となる。そのため、図14Bに示すように階調Ga(i,j)が本来取りえる範囲0~GEmaxが、十分に活用されない場合がある。
【0076】
また、入力画像IMによっては、液晶パネル130の直下の最大輝度e2maxが、所定の値Voを超える場合がある。このような場合、正規化した輝度Vn(i,j)の最大値Vnmaxが、1を超える。変換後の階調Ga(i,j)は、最大値GEmaxを超える値をとることができない。そのため、正規化した輝度Vnが1を超える場合、変換後の階調Ga(i,j)は、図14Cに示すようにGEmaxに丸め込まれる。このように、液晶パネル130の直下の最大輝度e2maxが、所定の値Voを超える場合、所定の値Voを超える輝度V(i,j)の違いを、変換後の階調Ga(i,j)で表現することができなくなる。
【0077】
そこで、本実施形態に係る画像表示方法においては、最大輝度e2maxにより輝度推定データD2に含まれる輝度V(i,j)を正規化する。すなわち、変換式Gfにおいて、Vo=e2maxとする。そして、輝度V(i,j)を最大輝度e2maxにより除することにより正規化した輝度V(i,j)/e2maxに基づき、入力画像IMを補正する。
【0078】
具体的には、先ず、階調設定データ作成部153dは、最大輝度e2max、輝度推定データD2において第i行及び第j列に位置する要素e2(i,j)の輝度V(i、j)、及び、入力画像IMにおいて、第i行及び第j列に位置するピクセルIMpの青色の階調Gb(i,j)を、変換式Gfに基づく補正式Exに代入する。
【0079】
【数2】
【0080】
階調設定データ作成部153dは、青色の階調Gbを補正式Exに代入したことによる補正式Exの出力値Exb(i,j)を、図13に示すように、このピクセル130pの青色の階調の設定値とする。
【0081】
階調設定データ作成部153dは、上記の補正式Exの青色の階調Gb(i,j)を緑色の階調Gg(i,j)に置換し、同様の処理を行う。これにより得られた補正式Exの出力値Exg(i,j)を、このピクセル130pの緑色の階調の設定値とする。
【0082】
また、階調設定データ作成部153dは、上記の補正式Exの青色の階調Gb(i,j)を赤色の階調Gr(i,j)に置換し、同様の処理を行う。これにより得られた補正式Exの出力値Exr(i,j)を、このピクセル130pの赤色の階調の設定値とする。
【0083】
階調設定データ作成部153dは、これらの出力値Exb(i,j)、Exg(i,j)、Exr(i,j)を、階調設定データD3の第i行かつ第j列に位置する要素e3(i,j)の値にする。
階調設定データ作成部153dは、これらの処理を、液晶パネル130の全てのピクセル130pについて行う。
【0084】
このようにして得られた階調設定データD3は、N2個の行及びM2個の列を有する行列状のデータである。そして、第i行かつ第j列に位置する階調設定データD3の要素e3(i,j)の値は、液晶パネル130において第i行かつ第j列に位置するピクセル130pの階調の設定値である。
階調設定データ作成部153dは、階調設定データD3をメモリ152に記憶させる。
【0085】
以上、階調設定データD3の作成方法の具体例を説明したが、階調設定データD3の作成方法は、上記の方法に限定されない。例えば、輝度を階調に変換する変換式は、ガンマ補正に基づく変換式でなくてもよい。
【0086】
次に、画像の表示工程S6について説明する。
制御部153eは、輝度設定データD1に基づいてバックライト110を制御し、階調設定データD3に基づいて液晶パネル130を制御し、液晶パネル130に画像を表示させる。
【0087】
具体的には、制御部153eは、図5に示すように、出力インターフェース154を介して、輝度設定データD1に基づいて作成されたバックライト制御データSG1をバックライト用のドライバ120に送信する。バックライト制御データSG1は、バックライト用のドライバ120の駆動を制御できるデータである限り特に限定されないが、例えばPWM(Pulse Width Modulation)形式のデータである。バックライト用のドライバ120は、バックライト制御データSG1に基づいて、各光源114の出力を制御する。
【0088】
また、制御部153eは、出力インターフェース154を介して、階調設定データD3を液晶パネル制御データSG2として液晶パネル用のドライバ140に送信する。ただし、液晶パネル制御データSG2は、階調設定データD3を、液晶パネル用のドライバ140の駆動を制御可能な形式に変換したデータであってもよい。液晶パネル用のドライバ140は、液晶パネル制御データSG2に基づいて、各ピクセル130p、より詳細には各サブピクセル130spの光の透過率を制御する。
【0089】
輝度設定データD1をバックライト制御データSG1への変換を行うタイミングは、工程S2以降であれば特に限定されない。また、階調設定データD3を液晶パネル制御データSG2への変換を行う場合、変換を行うタイミングは、工程S5以降であれば特に限定されない。
【0090】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る画像表示方法は、輝度設定データD1を作成する工程S2と、輝度推定データD2を作成する工程S3と、最大輝度e2maxを算出する工程S4と、階調設定データD3を作成する工程S5と、画像を表示する工程S6と、を備える。
【0091】
工程S2においては、複数の発光領域110sを行列状に有するバックライト110及び複数のピクセル130pを有する液晶パネル130のコントローラ150に入力された入力画像IMを用いて、バックライト110の各発光領域110sの輝度の設定値を定めた輝度設定データD1を作成する。
工程S3においては、輝度設定データD1と、バックライト110の各発光領域110sに配置された各光源114の輝度プロファイルD4と、に基づき、液晶パネル130の各ピクセル130pの直下の輝度を推定した輝度推定データD2を作成する。
工程S4においては、輝度推定データD2の最大輝度e2maxを算出する。
工程S5においては、輝度推定データD2と、最大輝度e2maxと、に基づいて入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正することにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定めた階調設定データD3を作成する。
工程S6においては、輝度設定データD1を用いてバックライト110を制御し、階調設定データD3を用いて液晶パネル130を制御し、液晶パネル130に画像を表示する。
【0092】
このように、本実施形態では、輝度推定データD2と、最大輝度e2maxと、に基づいて入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正することにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定める。そのため、入力画像IMに応じた液晶パネル130の直下の最大輝度e2maxについての情報を盛り込んで、入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正できる。これにより、液晶パネル130に表示する画像のコントラストを改善できる画像表示方法を提供できる。
【0093】
また、階調設定データD3を作成する工程S5においては、輝度推定データD2の各ピクセル130pの直下の輝度V(i,j)を最大輝度e2maxで除した値に基づき、入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正する。そのため、液晶パネル130に表示する画像のコントラストを改善できる。
【0094】
また、本実施形態に係る画像表示装置100は、行列状に配列された複数の発光領域110sを有し、複数の発光領域110sのそれぞれに光源114が配置された面状光源111を有するバックライト110と、バックライト110上に位置し、複数のピクセル130pを有する液晶パネル130と、バックライト110及び液晶パネル130を制御するコントローラ150と、を備える。コントローラ150は、輝度設定データ作成部153aと、輝度推定データ作成部153bと、最大輝度算出部153cと、階調設定データ作成部153dと、を有する。
【0095】
輝度設定データ作成部153aは、入力画像IMを用いて、バックライト110の各発光領域110sの輝度の設定値を定めた輝度設定データD1を作成する。
輝度推定データ作成部153bは、輝度設定データD1と、各光源114の輝度プロファイルD4と、に基づき、液晶パネル130の各ピクセル130pの直下の輝度を推定した輝度推定データD2を作成する。
最大輝度算出部153cは、輝度推定データD2の最大輝度e2maxを算出する。
階調設定データ作成部153dは、輝度推定データD2及び最大輝度e2maxに基づき、入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正することにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定めた階調設定データD3を作成する。
制御部153eは、輝度設定データD1に基づきバックライト110を制御し、階調設定データD3に基づき液晶パネル130を制御し、液晶パネル130に画像を表示させる。
【0096】
このように、本実施形態では、輝度推定データD2と、最大輝度e2maxと、に基づいて入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正することにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定める。そのため、入力画像IMに応じた最大輝度e2maxについての情報を盛り込んで、入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正できる。そのため、液晶パネル130に表示する画像のコントラストを改善できる画像表示装置100を提供できる。
【0097】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図15は、本実施形態に係る画像表示方法のうち、最大輝度の算出方法を示す模式図である。
図16は、本実施形態に係る画像表示方法のうち、階調設定データの作成方法を示す模式図である。
本実施形態に係る画像表示方法は、最大輝度e2max(n,m)を算出する方法、及び階調設定データD23の作成方法において、第1の実施形態に係る画像表示方法と相違する。
なお、以下の説明においては、原則として、第1の実施形態との相違点のみを説明する。以下に説明する事項以外は、第1の実施形態と同様である。
【0098】
先ず、最大輝度e2max(n,m)の算出方法について説明する。
第1の実施形態では、輝度推定データD2に含まれる全ての輝度V(i,j)のうちの最大値を、最大輝度e2maxとした。これに対して、本実施形態では、図15に示すように、輝度推定データD2において、1以上の発光領域110sに対応する各エリアD2sの最大輝度e2max(n,m)を算出する。
【0099】
本実施形態では、輝度推定データD2において、一つのエリアD2sは、一つの発光領域110sに対応する。そして、各エリアD2sには、複数の輝度V(i,j)が含まれる。ただし、輝度推定データにおいて、一つのエリアが、二つ以上の発光領域に対応していてもよい。また、全てのエリアにおいて対応する発光領域の数は、同一でなくてもよい。
【0100】
具体的には、先ず、最大輝度算出部153cは、輝度推定データD2において第n行及び第m列に位置するエリアD2sを抽出する。
【0101】
次に、最大輝度算出部153cは、エリアD2sに含まれる全ての輝度V(i,j)の最大値を、最大輝度e2max(n,m)とする。
【0102】
次に、最大輝度算出部153cは、最大輝度e2max(n,m)を、N1個の行及びM1個の列を有する行列状の最大輝度データD25の、第n行及び第m列に位置する要素e25(n,m)の値とする。
【0103】
最大輝度算出部153cは、同様の処理を、全てのエリアD2sについて行う。これにより、最大輝度データD25が作成される。最大輝度算出部153cは、最大輝度データD25をメモリ152に記憶させる。
【0104】
次に、階調設定データD23の作成方法について説明する。
第1の実施形態では、液晶パネル130の各ピクセル130pについて、補正式Exに基づいて階調の設定値を定めた階調設定データD3を作成する際に、共通の最大輝度e2maxを用いた。これに対して、本実施形態では、輝度推定データD2と、複数のエリアD2sのうち各ピクセル130pが属するエリアD2sの最大輝度e2max(n,m)と、に基づいて、入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正する。これにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定めた階調設定データD23を作成する。
【0105】
具体的には、先ず、階調設定データ作成部153dは、輝度推定データD2において第i行及び第j列に位置する要素e2(i,j)の輝度V(i、j)、入力画像IMにおいて、第i行及び第j列に位置するピクセルIMpの青色の階調Gb(i,j)、及び、最大輝度データD25において、第i行及び第j列に位置する要素e2(i,j)が属するエリアD2sの最大輝度e2max(n,m)を、以下の補正式Ex2に代入する。
【0106】
【数3】
【0107】
階調設定データ作成部153dは、青色の階調Gbを補正式Ex2に代入したことによる補正式Ex2の出力値Ex2b(i,j)を、液晶パネル130において、第i行及び第j列に位置するピクセル130pの青色の階調の設定値とする。
【0108】
階調設定データ作成部153dは、上記の補正式Ex2の青色の階調Gb(i,j)を緑色の階調Gg(i,j)に置換し、同様の処理を行う。これにより得られた補正式Ex2の出力値Ex2g(i,j)を、このピクセル130pの緑色の階調の設定値とする。
【0109】
また、階調設定データ作成部153dは、上記の補正式Ex2の青色の階調Gb(i,j)を赤色の階調Gr(i,j)に置換し、同様の処理を行う。これにより得られた補正式Ex2の出力値Ex2r(i,j)を、このピクセル130pの赤色の階調の設定値とする。
【0110】
階調設定データ作成部153dは、これらの出力値Ex2b(i,j)、Ex2g(i,j)、Ex2r(i,j)を、階調設定データD23の第i行かつ第j列に位置する要素e23(i,j)の値にする。
階調設定データ作成部153dは、これらの処理を、液晶パネル130の全てのピクセル130pについて行う。
【0111】
このようにして得られた階調設定データD23は、N2個の行及びM2個の列を有する行列状のデータである。そして、第i行かつ第j列に位置する階調設定データD23の要素e23(i,j)の値は、液晶パネル130において第i行かつ第j列に位置するピクセル130pの階調の設定値である。
階調設定データ作成部153dは、階調設定データD23をメモリ152に記憶させる。
【0112】
以上説明したように、本実施形態に係る画像表示方法の工程S3においては、輝度推定データD2において、1以上の発光領域110sに対応する各エリアD2sの最大輝度e2max(n,m)を算出する。また、工程S4においては、輝度推定データD2と、複数のエリアD2sのうち各ピクセル130pが属するエリアD2sの最大輝度e2max(n,m)と、に基づいて、入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正することにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定めた階調設定データD23を作成する。
【0113】
このように1以上の発光領域110sに対応するエリアD2s毎に、最大輝度e2max(n,m)を算出し、エリアD2s毎に、最大輝度e2max(n,m)を用いて、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定める。そのため、エリアD2s毎に、最大輝度e2max(n,m)に適した各ピクセル130pの階調を設定することができる。したがって、液晶パネル130に表示する画像のコントラストを改善した画像表示方法を提供できる。
【0114】
また、本実施形態では、階調設定データD23を作成する工程S5においては、輝度推定データD2の各ピクセル130pの直下の輝度V(i,j)を、各ピクセル130pが属するエリアD2sの最大輝度e2max(n,m)で除した値に基づき、入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正する。したがって、液晶パネル130に表示する画像のコントラストを改善した画像表示方法を提供できる。
【0115】
同様に、本実施形態に係る画像表示装置100の最大輝度算出部153cは、輝度推定データD2において、1以上の発光領域110sに対応する各エリアD2sの最大輝度e2max(n,m)を算出する。また、階調設定データ作成部153dは、輝度推定データD2と、複数のエリアD2sのうち各ピクセル130pが属するエリアD2sの最大輝度e2max(n,m)と、に基づいて入力画像IMの各ピクセルIMpの階調を補正することにより、液晶パネル130の各ピクセル130pの階調の設定値を定めた階調設定データD23を作成する。したがって、液晶パネル130に表示する画像のコントラストを改善した画像表示装置100を提供できる。
【0116】
図17Aは、輝度推定データにおけるエリアの他の例を示す模式図である。
図17Bは、輝度推定データにおけるエリアの他の例を示す模式図である。
図17Cは、輝度推定データにおけるエリアの他の例を示す模式図である。
【0117】
本実施形態では、各エリアD2sが、各発光領域110sに対応している。しかしながら、図17A図17Cに示すように、輝度推定データD2において、各エリアD2sは、複数の発光領域110sに対応していてもよい。
【0118】
図17Aに示すように、1つのエリアD2sにおいて、x方向において対応する発光領域110sの数と、y方向において対応する発光領域110sの数と、は一致していてもよい。また、図17Bに示すように、1つエリアD2sにおいて、x方向において対応する発光領域110sの数と、y方向において対応する発光領域110sの数と、は一致していなくてもよい。
【0119】
また、図17Cに示すように、全てのエリアD2sにおいて、対応する発光領域110sの数は、同一でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、例えば、テレビ、パソコン、又はゲーム機等の機器のディスプレイに利用することができる。
【符号の説明】
【0121】
100 :画像表示装置
110 :バックライト
110s :発光領域
111 :面状光源
112 :基板
113 :導光部材
113a :光源配置部
113b :区画溝
114 :光源
114a :発光素子
114b :波長変換部材
114c :半導体積層体
114d、114e:電極
114f :透光性部材
114g :波長変換物質
114h :第2光調整部材
114i :第3光調整部材
116 :第1光調整部材
117 :光反射部材
118 :光学部材
120 :バックライト用のドライバ
130 :液晶パネル
130p :ピクセル
130sp :サブピクセル
140 :液晶パネル用のドライバ
150 :コントローラ
151 :入力インターフェース
152 :メモリ
153 :プロセッサ
153a :輝度設定データ作成部
153b :輝度推定データ作成部
153c :最大輝度算出部
153d :階調設定データ作成部
153e :制御部
154 :出力インターフェース
900 :外部機器
D1 :輝度設定データ
D2 :輝度推定データ
D23 :階調設定データ
D25 :最大輝度データ
D2s :輝度推定データにおいて1以上の発光領域に対応するエリア
D3 :階調設定データ
D4 :輝度プロファイル
Ex、Ex2:補正式
Exb、Exg、Exr、Ex2b、Ex2g、Ex2r:補正式の出力値
GEmax :階調が取りえる最大値
Gb :入力画像の青色の階調
Gg :入力画像の緑色の階調
Gr :入力画像の赤色の階調
Gmax :入力画像の各画像エリアの最大階調
IM :入力画像
IMp :ピクセル
IMs :画像エリア
L :輝度
SG1 :バックライト制御データ
SG2 :液晶パネル制御データ
V :直下の輝度
Vn :正規化した輝度
Vnmax :正規化した輝度の最大値
Vo :所定の値
e1 :輝度設定データの要素
e2 :輝度推定データの要素
e2max :最大輝度
e3、e23:階調設定データの要素
e25 :最大輝度データの要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17A
図17B
図17C