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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20241128BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G03G15/01 J
G03G9/08 391
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021050579
(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公開番号】P2022148768
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】當 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】国見 敬二
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-129107(JP,A)
【文献】特開2006-276179(JP,A)
【文献】特開2002-082582(JP,A)
【文献】特開2014-106436(JP,A)
【文献】特開2017-050595(JP,A)
【文献】特開2017-065012(JP,A)
【文献】特開2003-186238(JP,A)
【文献】特開2007-003944(JP,A)
【文献】特開2018-060169(JP,A)
【文献】特開2020-086254(JP,A)
【文献】特開2003-005424(JP,A)
【文献】特開2010-181663(JP,A)
【文献】特開2004-219613(JP,A)
【文献】特開2019-148676(JP,A)
【文献】特開2009-216918(JP,A)
【文献】特開2020-140123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 21/00
G03G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視トナーを利用する可視トナー作像ユニットと、
透明の赤外光吸収トナーを利用する赤外光吸収トナー作像ユニットと、
紫外光発光トナーを利用する紫外光発光トナー作像ユニットとを備えた画像形成装置において、
中間転写体を有し、前記紫外光発光トナー作像ユニット、前記可視トナー作像ユニットおよび前記赤外光吸収トナー作像ユニットを前記中間転写体に一次転写した後に、記録媒体に二次転写する中間転写方式であって、
紫外光発光トナー像、可視光トナー像、赤外光吸収トナー像の順に前記中間転写体に転写し、前記記録媒体上で前記紫外光発光トナーを、前記可視トナーよりも上層に位置させ、前記赤外光吸収トナーを、前記可視トナーよりも下層に位置させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記中間転写体のトナー像を前記記録媒体に二次転写する二次転写位置を前記中間転写体の表面移動方向最下流としたときに、前記紫外光発光トナー作像ユニット、前記可視トナー作像ユニットおよび前記赤外光吸収トナー作像ユニットは、前記中間転写体の表面移動方向上流から、前記紫外光発光トナー作像ユニット、前記可視トナー作像ユニット、前記赤外光吸収トナー作像ユニットの順に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記紫外光発光トナー作像ユニットの像担持体および前記赤外光吸収トナー作像ユニットの像担持体に対して前記中間転写体を接離可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記可視トナー作像ユニットとして、黒トナーを利用する黒作像ユニットと、シアントナーを利用するシアン作像ユニットと、マゼンタトナーを利用するマゼンタ作像ユニットと、イエロートナーを利用するイエロー作像ユニットとを備え、
シアン作像ユニットの像担持体、マゼンタ作像ユニットの像担持体およびイエロー作像ユニットの像担持体に対して前記中間転写体を接離可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
可視トナーを利用する可視トナー作像ユニットと、
透明の赤外光吸収トナーを利用する赤外光吸収トナー作像ユニットと、
紫外光発光トナーを利用する紫外光発光トナー作像ユニットとを備えた画像形成装置において、
前記可視トナー作像ユニットで作像した可視トナー像、前記赤外光吸収トナー作像ユニットで作像した赤外光吸収トナー像および前記紫外光発光トナー作像ユニットで作像した紫外光発光トナー像を、搬送される記録媒体に直接転写する直接転写方式であって、
前記赤外光吸収トナー像、可視光トナー像、紫外光発光トナー像の順に前記記録媒体に転写し
前記記録媒体上で前記紫外光発光トナーを、前記可視トナーよりも上層に位置させ、前記赤外光吸収トナーを、前記可視トナーよりも下層に位置させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記赤外光吸収トナー作像ユニット、前記可視トナー作像ユニットおよび前記紫外光発光トナー作像ユニットは、前記記録媒体の搬送方向上流から、前記赤外光吸収トナー作像ユニット、前記可視トナー作像ユニット、前記紫外光発光トナー作像ユニットの順に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像形成装置において、
前記赤外光吸収トナー作像ユニットの像担持体上の赤外光吸収トナー像を前記記録媒体に転写するための赤外光用転写部材と、前記紫外光発光トナー作像ユニットの像担持体上の紫外光発光トナー像を前記記録媒体に転写するための紫外光用転写部材とを対応する像担持体に対して離間可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5乃至7いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記可視トナー作像ユニットとして、黒トナーを利用する黒作像ユニットと、シアントナーを利用するシアン作像ユニットと、マゼンタトナーを利用するマゼンタ作像ユニットと、イエロートナーを利用するイエロー作像ユニットとを備え、
前記シアン作像ユニットの像担持体上のシアントナー像を前記記録媒体に転写するためのシアン用転写部材と、前記マゼンタ作像ユニットの像担持体上のマゼンタトナー像を前記記録媒体に転写するためのマゼンタ用転写部材と、前記イエロー作像ユニットの像担持体上のイエロートナー像を前記記録媒体に転写するためのイエロー用転写部材とを対応する像担持体に対して離間可能としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記可視トナー作像ユニットとして、黒トナーを利用する黒作像ユニットと、シアントナーを利用するシアン作像ユニットと、マゼンタトナーを利用するマゼンタ作像ユニットと、イエロートナーを利用するイエロー作像ユニットとを備え、
赤外光吸収トナー像を記録媒体上に形成するときは、前記マゼンタトナーと前記シアントナーと前記イエロートナーとを重ね合わせて黒画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
可視トナーを利用する可視トナー作像ユニットと、
透明の赤外光吸収トナーを利用する赤外光吸収トナー作像ユニットと、
紫外光発光トナーを利用する紫外光発光トナー作像ユニットとを備えた画像形成装置において、
記録媒体上で前記紫外光発光トナーは、前記可視トナーよりも上層に位置し、前記赤外光吸収トナーは、前記可視トナーよりも下層に位置するように画像形成し、
前記可視トナー作像ユニットとして、黒トナーを利用する黒作像ユニットと、シアントナーを利用するシアン作像ユニットと、マゼンタトナーを利用するマゼンタ作像ユニットと、イエロートナーを利用するイエロー作像ユニットとを備え、
赤外光吸収トナー像を記録媒体上に形成するときは、前記マゼンタトナーと前記シアントナーと前記イエロートナーとを重ね合わせて黒画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、可視トナーを利用する可視トナー作像ユニットと、透明の赤外光吸収トナーを利用する赤外光吸収トナー作像ユニットと、紫外光発光トナーを利用する紫外光発光トナー作像ユニットとを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
可視トナー作像ユニットとしては、イエロートナーを利用するY用作像ユニットと、マゼンタトナーを利用するM用作像ユニットと、シアントナーを利用するC用作像ユニットとを備えている。紫外光発光トナー作像ユニットは、紫外光発光材を含有する黒トナーを利用している。これら、作像ユニットは、二次転写ニップを最下流として、中間転写ベルトの表面移動方向上流側からY作像ユニット、M作像ユニット、C作像ユニット、紫外光発光トナー作像ユニット(K作像ユニット)、赤外光吸収トナー作像ユニットの順に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、紫外光を照射したときの紫外光発光トナーからなる紫外光発光画像の視認性が悪い場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、可視トナーを利用する可視トナー作像ユニットと、透明の赤外光吸収トナーを利用する赤外光吸収トナー作像ユニットと、紫外光発光トナーを利用する紫外光発光トナー作像ユニットとを備えた画像形成装置において、中間転写体を有し、前記紫外光発光トナー作像ユニット、前記可視トナー作像ユニットおよび前記赤外光吸収トナー作像ユニットを前記中間転写体に一次転写した後に、記録媒体に二次転写する中間転写方式であって、紫外光発光トナー像、可視光トナー像、赤外光吸収トナー像の順に前記中間転写体に転写し、前記記録媒体上で前記紫外光発光トナーを、前記可視トナーよりも上層に位置させ、前記赤外光吸収トナーを、前記可視トナーよりも下層に位置させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発光した紫外光発光画像を良好に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】用紙上に形成されるトナー像の一例を示す図。
図3】中間転写ベルトを感光体に対して接離させる構成について説明する概略図。
図4】印刷条件に応じた中間転写ベルトの接離制御に関する制御ブロック図。
図5】本画像形成装置の印刷フロー図。
図6】直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、中間転写体たる中間転写ベルト31に沿って互いに異なるトナーを利用する複数の作像ユニット10UV,10Y,10M,10C,10K,10IRが並べられた、所謂タンデムタイプである。
【0009】
また、給紙トレイ41から給紙ローラ42により給紙された用紙Sは、レジストローラ43によって一度止められ、中間転写ベルト31上のトナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに応じて二次転写ニップに送り出される。複数の作像ユニット10UV,10Y,10M,10C,10K,10IRは、用いられるトナーが異なるだけで内部構成は共通である。
【0010】
本画像形成装置100は、透明の紫外光発光トナー(以下、UVトナーという)を利用する紫外光発光トナー作像ユニットたるUV作像ユニット10UVを備えている。また、本画像形成装置100は、可視トナーを利用する可視作像ユニットとしての作像ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。さらに、本画像形成装置100は、透明の赤外光吸収トナー(以下、IRトナーという)を利用する赤外光吸収トナー作像ユニットたるIR作像ユニット10IRとを備えている。
【0011】
UVトナーにより形成される紫外光発光画像(以下、UV画像という)は、可視光では視認しにくい不可視画像となる。かかるUV画像に紫外光を照射することで、発光し視認が容易になる。IRトナーにより形成される赤外光吸収画像(以下、IR画像という)も可視光では視認しにくい不可視画像となる。IR画像は、赤外線カメラ等の赤外光に感度を持つ赤外線カメラなどの撮像装置で撮像することで赤外光を吸収したIR画像が視認可能となる。
【0012】
可視トナー作像ユニットである黒作像ユニット10Kは、黒のトナーを、可視トナー作像ユニットであるマゼンタ作像ユニット10Mはマゼンタトナーを用いる。可視トナー作像ユニットであるシアン作像ユニット10Cは、シアンのトナーを、可視トナー作像ユニットであるイエロー作像ユニット10Yは、イエローのトナーを用いる。
【0013】
なお、以下の説明においては、UV作像ユニット10UVについて具体的に説明するが、他の作像ユニット10Y,10M,10C,10K,10IRはUV作像ユニット10UVと同様であるので、その説明を省略する。中間転写ベルト31は、回転駆動される駆動ローラ32と従動ローラ33とに架け渡されたエンドレスのベルト、すなわち無端状ベルトである。
【0014】
画像形成に際しては、最初にUV作像ユニット10UVで作像されたUVトナー像を転写する。UV作像ユニット10UVは、感光体としての感光体1UV、この感光体1UVの周囲に配置された帯電器2UV、現像器3UV、感光体クリーナ4UV、除電器等から構成されている。複数の作像ユニット10UV,10Y,10M,10C,10K,10IRの上部に配置された光書き込み装置20は、それぞれの感光体1UV,1Y,1M,1C,1K,1IRに対して光を照射するように構成されている。
【0015】
画像形成に際し、感光体1UVの外周面は、暗中にて帯電器2UVにより一様に帯電された後、光書き込み装置20からのUV画像データに対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器3UVは、この静電潜像をUVトナーによりトナー像化し、このことにより感光体1UV上にUVトナー像が形成される。このUVトナー像は、感光体1UVと中間転写ベルト31とが当接する一次転写ニップで、UV用一次転写ローラ5UVの働きにより中間転写ベルト31上に一次転写される。この一次転写により、中間転写ベルト31上にUVトナー像が形成される。UVトナー像の転写が終了した感光体1UVは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナ4UVにより払拭された後、除電器により除電され、次の画像形成のために待機する。
【0016】
以上のようにして、UV作像ユニット10UVにより中間転写ベルト31上に転写されたUVトナー像は、中間転写ベルト31のローラ駆動により次のイエロー作像ユニット10Yの一次転写ニップに搬送される。イエロー作像ユニット10Yでは、UV作像ユニット10UVでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体1Y上にイエロートナー像が形成され、そのトナー像が既に形成されたUVトナー像に重畳されて転写される。中間転写ベルト31上に転写されたUVトナーとイエロートナー像は、さらに次の作像ユニット10M,10C,10K,10IRの一次転写ニップに搬送される。そして、同様の動作により、感光体1M上に形成されたマゼンタトナー像と、感光体1K上に形成された黒トナー像とが、既に転写されている中間転写ベルト上のトナー像に重畳されて一次転写される。そして、最後に感光体1IR上に形成されたIRトナー像が、中間転写ベルト上のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0017】
給紙トレイ41に収納された用紙Sは最も上のものから順に送り出され、二次転写ローラ50が中間転写ベルト31に当接して形成された二次転写ニップにおいて、中間転写ベルト31上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙Sの紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙Sは更に搬送され、定着器60にて画像を定着された後、画像形成装置100の外部に排紙される。
【0018】
本画像形成装置100は、可視光では視認しにくい不可視画像となるUV画像やIR画像を印刷することができる。従来では、印刷物のデザインとは別にバーコードなどのコード画像を印刷する領域を設ける必要があったが、コード画像をUV画像やIR画像とし、不可視画像とすることで、デザイン内にコード画像を埋め込むことが可能となる。また、例えば、関係者以外は、秘匿にしたい秘匿情報を不可視画像とすることができ、セキュリティー強化を図ることができる。また、印刷物をコピーしたとき、UV画像やIR画像は、印刷されないことから、UV画像やIR画像の有無により、原本かコピーなのかを容易に確認することが可能となる。
【0019】
また、本画像形成装置は、紫外光の照射で視認可能なUV画像と、赤外光に感度を持つ撮像装置が撮像した画像で視認可能なIR画像の2種類の不可視画像と、可視画像とを印刷することができる。これにより、用紙Sの同じ領域にUV画像とIR画像と可視画像とを印刷することができる。これにより、例えば、小サイズ紙など印刷領域が比較的狭い場合でも、十分な情報を印刷することができる。
【0020】
また、本画像形成装置は、秘匿情報をUV画像とIR画像とに分けることができ、赤外光および紫外光のいずれか一方の照射では、秘匿情報を得られないようにすることができる。これにより、セキュリティーをより一層、高めることができる。
【0021】
また、本画像形成装置は、作像ユニット10UV,10Y,10M,10C,10K,10IRを中間転写ベルト31の表面移動方向に並べて配置している。これにより、UV画像とIR画像と可視画像とを用紙に一括転写することができ、プリント開始から、最初の印刷用紙が排出されるまでの時間(ファーストプリントタイム:FPOT/ファーストコピータイム:FCOT)を短縮することができる。
【0022】
上述したようにUV画像は、紫外光を照射することで発光し、視認可能となるのに対し、IR画像は、赤外線カメラ等の赤外光に感度を持つ撮像装置が撮像した画像から視認可能となる。UV画像は、ブラックライト等で紫外光を照射することで発光して視認される画像である。そのため、UV画像が可視光画像で覆われていると、紫外光が可視画像に遮られ、UV画像が十分に発光しない場合がある。また、発光したUV画像が可視画像に隠されてしまう。その結果、UV画像の視認性が不十分となる場合がある。また、UV画像が、コード画像の場合は、コード画像を読み取りができないおそれもある。そのため、UV画像が、可視画像に覆われないようにする必要がある。
【0023】
一方、IR画像は、上述したように赤外線カメラなどの赤外光に感度を持つ撮像装置で撮像した画像から視認するものであり、可視画像で覆われていても、赤外光に感度を持つ撮像装置で撮像された画像から良好に確認することができる。IR画像は、可視光下において視認が困難な不可視画像であるが、光沢などによって、注視すればIR画像を視認することが可能である。そのため、IR画像に関しては、UV画像とは異なり、可視画像で覆ってIR画像が印刷されていることをばれにくくするのが好ましい。
【0024】
本画像形成装置は、二次転写ニップを最下流として、中間転写ベルト31の表面移動方向上流側から、UV作像ユニット10UV、可視トナー作像ユニット(10Y、10M,10C,10K)、IR作像ユニット10IRの順に配置されている。かかる構成とすることで、UVトナー像、可視トナー像(Y,M,C、K)、IRトナー像の順に中間転写ベルト31上にトナー像が重畳される。このように重畳されたトナー像が用紙Sに二次転写されることで、図2に示すように、用紙上では、IRトナー像、可視トナー像、UVトナー像の順に重畳されることなる(図2では、可視トナー像は、Yトナー像,Mトナー像、Cトナー像)。その結果、用紙上では、IR画像が最下層、可視画像が中間層、UV画像が最上層となる。
【0025】
このように、本画像形成装置は、用紙上でUV画像が最上層となるため、紫外光が、可視画像に遮られることがなく、良好にUV画像を発光させることができる。また、発光したUV画像が、可視画像により隠されてしまうのを防止できる。その結果、UV画像の視認性を十分に確保することができる。また、用紙上でIR画像は最下層となり、可視画像よりも下層になるため、可視画像によりIR画像を隠すことができ、IR画像の秘匿性を高めることができる。
【0026】
また、IR作像ユニットは、中間転写ベルト31の移動方向最下流に配置され、中間転写ベルト31に転写されたIRトナー像が、他の作像ユニットの一次転写ニップを通過することがない。その結果、IRトナー像については、他の作像ユニットの一次転写ニップを通過するときに、感光体に付着する所謂逆転写が発生することがない。これにより、IR画像の劣化を抑制することができる。
【0027】
さらに、IRトナー像は、中間転写ベルト31上では最上層となり、二次転写において、最下層となるため、用紙に二次転写されずに、中間転写ベルト31に残留するなどの転写不良の影響を受け難い。これにより、IR画像の画像劣化をより一層、抑制できる。
【0028】
図3は、中間転写ベルト31を感光体に対して接離させる構成について説明する概略図である。
本画像形成装置100は、感光体1Y,1M,1Cに対して中間転写ベルト31を接離させるカラー用接離機構70と、感光体1UVに対して中間転写ベルト31を接離させるUV用接離機構80UVを有している。また、本画像形成装置100は、感光体1IRに対して中間転写ベルト31を接離させるIR用接離機構80IRを有している。
【0029】
カラー用接離機構70は、Y用一次転写ローラ5Yと、M用一次転写ローラ5Mと、C用一次転写ローラ5Cとを回転自在に支持する支持部材71を有している。支持部材71は、C用一次転写ローラ5Cと黒用一次転写ローラ5Kとの間で回動自在に支持されている。また、支持部材71のY用一次転写ローラ5Yと、M用一次転写ローラ5Mとの間にカム部材72が当接している。中間転写ベルト31をY,M,Cの感光体1Y,M,Cに当接しているときは、カム部材72の上死点(カム軸から最も離れた箇所)が支持部材71に当接している。このとき、支持部材71に支持された各一次転写ローラ5Y,5M,5Cは、中間転写ベルト31を介して対応する感光体に当接する当接位置に位置している。
【0030】
中間転写ベルト31をY,M,Cの感光体1Y,M,Cから離間させるときは、カム部材72の下死点(カム軸から最も近い箇所)が支持部材71に当接するようにカム部材72を回転させる。カム部材72を回転させることで、支持部材71が、図中時計回りに回動し、一次転写ローラ5Y,5M,5Cが、対応する感光体から離れた離間位置へ移動する。これにより、一次転写ローラ5Y,5M,5Cにより感光体1Y,M,Cに押し付けられていた中間転写ベルト31が感光体1Y,M,Cから離間する。なお、カム部材72に替えてアクチュエータにより支持部材71を回動させてもよい。
【0031】
UV用接離機構80UVは、例えば、アクチュエータを有しており、このアクチュエータを駆動することで、UV用一次転写ローラ5UVを中間転写ベルト31を介して感光体1UVに当接する当接位置から感光体1UVから離間した離間位置へ移動させる。
【0032】
IR用接離機構80IRは、UV用接離機構80UVと同様の構成である。すなわち、アクチュエータを有しており、このアクチュエータを駆動することで、IR用一次転写ローラ5IRを当接位置から離間位置へ移動させる。
【0033】
本画像形成装置は、印刷条件に基づいて、これら接離機構70,80UV,80IRを制御して印刷に用いない作像ユニットの駆動を停止できるようにしている。
図4は、印刷条件に応じた中間転写ベルト31接離制御に関する制御ブロック図である。
制御部90は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリなどで構成されている。作像ユニット10UV,10Y,10M,10C,10K,10IR、IR用接離機構80IR、UV用接離機構80UV、カラー用接離機構70が制御部90に接続されている。外部通信インターフェース91が制御部90に接続されている。外部通信インターフェース91は、プリンタドライバーがインストールされたPC(パーソナルコンピュータ)92などと通信するものである。PC92は、通信ネットワークを介して画像データ等を制御部90に送信する。
【0034】
下記表1は、各印刷条件における各一次転写ローラの接離状態について、まとめた表である。
【0035】
【表1】
【0036】
モノクロ画像を印刷するときは、カラーの一次転写ローラ5Y,5M,5Cを離間位置に位置させ、中間転写ベルト31をカラーの感光体1Y,1M,1Cから離間させて画像形成を行う。これにより、モノクロ画像を印刷するときは、カラーの作像ユニット10Y,10M,10Cの動作を停止することができ、感光体や現像剤の劣化を抑制できる。
【0037】
また、モノクロ画像でUV画像有りのときは、中間転写ベルト31に形成されたUVトナー像のカラーの感光体1Y,1M,1Cへの逆転写を防止することができ、UVトナー像の劣化も抑制することができる。
【0038】
また、印刷する画像データにUV画像がないときは、UV用一次転写ローラ5UVを離間位置に位置させ、中間転写ベルト31をUVの感光体1UVから離間させて画像形成を行う。フルカラーでUV画像がないときは、作像開始をYの作像ユニットから始めることができ、モノクロ画像でUV画像がないときは、作像開始をKの作像ユニットから始めることができる。これにより、UVの作像ユニットから作像を始める場合に比べて、ファーストプリントタイム(FPOT)/ファーストコピータイム(FCOT)を短縮することができる。また、UV画像がないときは、UV作像ユニット10UVの動作を停止することができ、感光体1UVやUV現像剤の劣化を抑制できる。
【0039】
また、印刷する画像データにIR画像がないときは、IR用一次転写ローラ5IRを離間位置に位置させ、中間転写ベルト31をIRの感光体1IRから離間させて画像形成を行う。これにより、IRの作像ユニット10IRの動作を停止することができ、感光体1IRやIR現像剤の劣化を抑制できる。また、IRの感光体1IRへの逆転写も防止でき、画像の劣化を抑制することができる。
【0040】
図5は、本画像形成装置の印刷フロー図である。
制御部90は、外部通信インターフェースが、通信ネットワークを介してPC92から画像データ等を含むジョブ情報を取得したら、画像データが、モノクロ画像かフルカラー画像かを判定する。また、制御部90は、画像データに、IR画像が有るか否か、UV画像が有るか否かを確認する。
【0041】
次に、制御部90は、ジョブ情報に基づいて、離間位置に位置させる一次転写ローラの設定、駆動しない作像ユニットの設定を行う(S2)。例えば、画像データが、モノクロ画像のときは、制御部90は、カラー用一次転写ローラ5Y,5M,5Cを離間位置に設定する。そして、制御部90は、カラー用接離機構を制御して、カラー用一次転写ローラ5Y,5M,5Cを離間位置へ移動させて、中間転写ベルト31をカラーの感光体1Y,1M,1Cから離間させる。また、制御部90は、カラーの作像ユニット10Y,10M,10Cを駆動不要ユニットに設定する。
【0042】
画像データにUV画像がないときは、制御部90は、UV用一次転写ローラ5UVを離間位置に設定する。そして、制御部90は、UV用接離機構80UVを制御して、UV用一次転写ローラ5UVを離間位置へ移動させて、中間転写ベルト31をカラーの感光体1UVから離間させる。また、また、制御部90は、UVの作像ユニット10UVを駆動不要ユニットに設定する。
【0043】
画像データにIR画像がないときは、制御部90は、IR用一次転写ローラ5IRを離間位置に設定する。そして、制御部90は、IR用接離機構80IRを制御して、IR用一次転写ローラ5IRを離間位置へ移動させて、中間転写ベルト31をカラーの感光体1IRから離間させる。また、また、制御部90は、IRの作像ユニット10IRを駆動不要ユニットに設定する。
【0044】
一次転写ローラの離間動作が終了したら、制御部90は、作像動作を開始し(S3)、駆動不要ユニットに設定されていない作像ユニットを駆動させ、作像を行う。そして、作像が終了(S4)し、画像が形成された用紙が装置から排出されたら、プリントが終了となる。
【0045】
また、K色トナーの色材として、カーボンブラック等の赤外光を吸収する材料が用いられおり、K色トナーが赤外光を吸収する場合がある。この場合は、IR画像を形成するときは、K色トナーを用いずに、Y,M,C色のトナーを重ね合わせて黒色画像を作像する。下記表2は、K色トナーが赤外光を吸収する場合の各印刷条件における各一次転写ローラの接離状態についてまとめたものである。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示すように、印刷条件に、IR画像があるときは、黒用一次転写ローラ5Kを、離間位置へ移動させ、中間転写ベルト31をK色の感光体1Kから離間させる。なお、黒用一次転写ローラ5Kを接離させる接離機構としては、UV用接離機構80UVやIR用接離機構80IRと同様な構成である。また、IR用一次転写ローラ5IRと黒用一次転写ローラ5Kとをシーソ状に保持する。そして、IR用一次転写ローラ5IRが離間位置にあるときは、黒用一次転写ローラ5Kが当接位置に位置し、黒用一次転写ローラ5Kが離間位置にあるときは、IR用一次転写ローラ5IRが当接位置に位置するように接離機構を構成してもよい。
【0048】
また、表2に示すように、モノクロ画像でIR画像無しのときは、カラー用一次転写ローラ5Y,5M,5Cは、離間位置に位置させ、黒用一次転写ローラ5Kを当接位置に位置させて、K色トナーで黒画像を作像する。一方、モノクロ画像でIR画像有りのときは、黒用一次転写ローラ5Kは、離間位置に位置させ、カラー用一次転写ローラ5Y,5M,5Cを当接位置に位置させて、Y,M,C色トナーを重ね合わせて黒画像を作像する。これにより、赤外線カメラ等で印刷された用紙上の画像を撮像したとき、黒画像がIR画像を阻害することがなく、良好に赤外線カメラなどの機械を通して、IR画像を視認することができる。
【0049】
また、フルカラー画像でIR画像無しのときは、黒用一次転写ローラ5Kを当接位置に位置させて、K色トナーで黒画像を作像する。一方、フルカラー画像でIR画像有りのときは、黒用一次転写ローラ5Kを、離間位置に位置させ、カラー用一次転写ローラ5Y,5M,5Cで、フルカラー画像を作像する。これにより、フルカラー画像時においても、赤外線カメラ等で印刷された用紙上の画像を撮像したとき、黒画像がIR画像の視認性を阻害することがなく、良好に赤外線カメラなどの機械を通して、IR画像を視認することができる。
【0050】
図6は、直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示す図である。
図6に示す構成は、用紙を静電吸着させて搬送する紙搬送ベルト61を有しており、用紙の搬送方向の上流側から、IR作像ユニット10IR、可視像作像ユニット(10Y,10M,10C,10K)、UV作像ユニット10UVの順に配置されている。
【0051】
作像ユニットをこのような配置にすることで、用紙S上にIRトナー像、可視トナー像(Y,M,C,K)、UVトナー像の順に転写される。これにより、実施形態と同様に、用紙上でIR画像が最下層、可視画像が中間層、UV画像が最上層となる。その結果、紫外光を良好にUV画像に照射することができ、良好にUV画像を発光させることができる。また、発光したUV画像を、可視画像が隠してしまうことがなくなり、UV画像の視認性を十分に確保することができる。さらに、可視画像によりIR画像を隠すことができ、IR画像の秘匿性を高めることができる。
【0052】
また、図6に示す直接転写方式においても、上述した表1と同様に、印刷条件に応じて、各一次転写ローラを接離させる。これにより、画像形成に必要のない作像ユニットの動作を停止させておくことができ、感光体や現像剤の劣化を抑制することができる。また、モノクロ画像時は、IRトナー像の感光体1Y,1M,1Cへの逆転写を防止でき、IR画像の劣化を抑制できる。また、UV画像がないときは、用紙S上トナーの感光体1UVへの逆転写を防止できる。
【0053】
また、図6に示す構成においても、K色トナーとして、カーボンブラック等の赤外光を吸収する材料が用いられている場合は、IR画像を作像するときは、Y,M,C色トナーを重ね合わせて黒画像を形成する。これにより、黒画像がIR画像の視認性を阻害することがなく、良好に赤外線カメラなどの機械を通して、IR画像を視認することができる。この場合は、上述した表2と同様に、印刷条件に応じて、各一次転写ローラを接離させることで、IR画像を作像するときは、黒作像ユニットの動作を停止させ、Y,M,C色トナーを重ね合わせて黒画像を形成することができる。
【0054】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
可視トナーを利用する可視トナー作像ユニット(本実施形態では、作像ユニット10Y,10M,10C,10Kが該当する)と、透明の赤外光吸収トナーを利用するIR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットと、紫外光発光トナーを利用するUV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニットとを備えた画像形成装置において、用紙Sなどの記録媒体上で紫外光発光トナーは、可視トナーよりも上層に位置し、赤外光吸収トナーは、可視トナーよりも下層に位置するように画像形成する。
特許文献1に記載の画像形成装置は、中間転写ベルトの表面移動方向上流側から可視トナー作像ユニット、紫外光発光トナー作像ユニット、赤外光吸収トナー作像ユニットの順に配置されている。かかる配置であるため、中間転写ベルト上に可視トナー、紫外光発光トナー、赤外光吸収トナーの順に重畳され、この重畳されたトナーが記録媒体に二次転写されることで、記録媒体上では、最下層が赤外光吸収トナー、中間層が紫外光発光トナー、最上層が可視トナーとなる。記録媒体上で紫外光発光トナーの上に可視トナーが重なるため、この可視トナーが、紫外光発光トナーへ照射される紫外光を遮るおそれがあり、紫外光による発光が不十分となるおそれがあった。また、発光した紫外光発光トナーからなる紫外光発光画像を可視トナーが覆い隠してしまうおそれもあった。これらの結果、発光した紫外光発光画像の視認性が悪くなるおそれがあった。
これに対し、態様1では、記録媒体上で紫外光発光トナーは、可視トナーよりも上層に位置するので、記録媒体上の紫外光発光トナーは、可視トナーにより紫外光が遮られることがなく、紫外光により良好に発光することができる。また、発光した紫外光発光画像が可視トナーで覆い隠されることもない。これにより、発光した紫外光発光画像を良好に視認することができる。
また、記録媒体上で赤外光吸収トナーは、可視トナーよりも下層に位置するので、可視トナーにより赤外光吸収トナー像を隠すことができ、秘匿性を高めることができる。なお、赤外光吸収トナーからなる赤外光吸収画像は、赤外光に感度を持つ赤外線カメラなどの撮像装置で撮像することで視認することが可能となる画像である。赤外光吸収特性がほとんどない可視トナーが、赤外光に感度を持つ撮像装置で撮像された画像に影響をおよぼすことはほとんどない。従って、可視トナーにより赤外光吸収画像が覆われていたとしても、赤外光に感度を持つ撮像装置で撮像された画像から、赤外光吸収画像を良好に視認することができる。
【0055】
(態様2)
態様1において、中間転写ベルト31などの中間転写体を有し、UV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニット、可視トナー作像ユニット(本実施形態では、作像ユニット10Y,10M,10C,10Kが該当する)およびIR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットを中間転写体に一次転写した後に、記録媒体に二次転写する中間転写方式であって、紫外光発光トナー像、可視光トナー像、赤外光吸収トナー像の順に中間転写体に転写する。
これによれば、実施形態で説明したように、用紙Sなどの記録媒体上で、紫外光発光トナーが可視トナーよりも上層に位置し、赤外光吸収トナーが可視トナーよりも下層に位置するようにできる。
【0056】
(態様3)
態様2において、中間転写ベルト31などの中間転写体のトナー像を用紙Sなどの記録媒体に二次転写する二次転写位置を中間転写体の表面移動方向最下流としたときに、UV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニット、可視トナー作像ユニット(本実施形態では、作像ユニット10Y,10M,10C,10Kが該当する)およびIR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットは、中間転写体の表面移動方向上流から、紫外光発光トナー作像ユニット、可視トナー作像ユニット、赤外光吸収トナー作像ユニットの順に配置されている。
これによれば、実施形態で説明したしたように、紫外光発光トナー像、可視光トナー像、赤外光吸収トナー像の順に中間転写体に転写することができる。
【0057】
(態様4)
態様2または3において、UV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニットの感光体1UVなどの像担持体およびIR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットの感光体1IRなどの像担持体に対して中間転写ベルト31などの中間転写体を接離可能に構成した。
これによれば、実施形態で説明したように、IR画像などの赤外光吸収画像を形成しないときは、中間転写ベルト31などの中間転写体をIR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットの感光体1IRなどの像担持体から離間させて画像形成を行うことができる。これにより、赤外光吸収画像を形成しないときは、IR作像ユニットの動作を停止させることができ、赤外光吸収トナー作像ユニットの像担持体や現像剤の劣化を抑制することができる。
また、UV画像などの紫外光発光画像を形成しないときは、中間転写体をUV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニットの感光体1UVなどの像担持体から離間させて画像形成を行うことができる。これにより、紫外光発光画像を形成しないときは、紫外光発光トナー作像ユニットの動作を停止させることができ、紫外光発光トナー作像ユニットの像担持体や現像剤の劣化を抑制することができる。
【0058】
(態様5)
態様2乃至4いずれかにおいて、可視トナー作像ユニットとして、黒トナーを利用する黒作像ユニット10Kと、シアントナーを利用するシアン作像ユニット10Cと、マゼンタトナーを利用するマゼンタ作像ユニット10Mと、イエロートナーを利用するイエロー作像ユニット10Yとを備え、シアン作像ユニット10Cの感光体1Cなどの像担持体、マゼンタ作像ユニット10Mの感光体1Mなどの像担持体およびイエロー作像ユニット10Yの感光体1Yなどの像担持体に対して中間転写ベルト31などの中間転写体を接離可能に構成した。
これによれば、実施形態で説明したように、モノクロ画像を作像するときは、シアン作像ユニット10Cの感光体1Cなどの像担持体、マゼンタ作像ユニット10Mの感光体1Mなどの像担持体およびイエロー作像ユニット10Yの感光体1Yなどの像担持体から中間転写ベルト31などの中間転写体を離間させて画像形成を行うことができる。これにより、モノクロ画像のときは、シアン作像ユニット10C、マゼンタ作像ユニット10Mおよびイエロー作像ユニット10Yの動作を停止させることができ、これら作像ユニットの像担持体や現像剤の劣化を抑制することができる。
【0059】
(態様6)
態様1において、可視トナー作像ユニット(本実施形態では、作像ユニット10Y,10M,10C,10Kが該当する)で作像した可視トナー像、IR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットで作像したIRトナー像などの赤外光吸収トナー像およびUV作像ユニットなどの紫外光発光トナー作像ユニットで作像したUVトナー像などの紫外光発光トナー像を、搬送される用紙Sなどの記録媒体に直接転写する直接転写方式であって、赤外光吸収トナー像、可視光トナー像、紫外光発光トナー像の順に記録媒体に転写する。
これによれば、図6を用いて説明したように、用紙Sなどの記録媒体上で、紫外光発光トナーが可視トナーよりも上層に位置し、赤外光吸収トナーが可視トナーよりも下層に位置するようにできる。
【0060】
(態様7)
態様6において、IR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニット、可視トナー作像ユニット(本実施形態では、作像ユニット10Y,10M,10C,10Kが該当する)およびUV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニットは、用紙Sなどの記録媒体の搬送方向上流から、赤外光吸収トナー作像ユニット、可視トナー作像ユニット、紫外光発光トナー作像ユニットの順に配置されている。
これによれば、図6を用いて説明したように、赤外光吸収トナー像、可視光トナー像、紫外光発光トナー像の順に記録媒体に転写することができる。
【0061】
(態様8)
態様6または7において、IR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットの像担持体上の赤外光吸収トナー像を記録媒体に転写するためのIR用一次転写ローラ5IRなどの赤外光用転写部材と、UV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニットの像担持体上の紫外光発光トナー像を記録媒体に転写するためのUV用一次転写ローラ5UVなどの紫外光用転写部材とを対応する像担持体に対して離間可能とした。
これによれば、図6を用いて説明したように、IR画像などの赤外光吸収画像を形成しないときは、用紙などの記録媒体をIR作像ユニット10IRなどの赤外光吸収トナー作像ユニットの感光体1IRなどの像担持体に非接触で搬送することができる。これにより、赤外光吸収画像を形成しないときは、IR作像ユニットの動作を停止させることができ、赤外光吸収トナー作像ユニットの像担持体や現像剤の劣化を抑制することができる。
また、UV画像などの紫外光発光画像を形成しないときは、記録媒体をUV作像ユニット10UVなどの紫外光発光トナー作像ユニットの感光体1UVなどの像担持体に非接触で搬送することができる。これにより、紫外光発光画像を形成しないときは、紫外光発光トナー作像ユニットの動作を停止させることができ、紫外光発光トナー作像ユニットの像担持体や現像剤の劣化を抑制することができる。
【0062】
(態様9)
態様6乃至8いずれかにおいて、可視トナー作像ユニットとして、黒トナーを利用する黒作像ユニット10Kと、シアントナーを利用するシアン作像ユニット10Cと、マゼンタトナーを利用するマゼンタ作像ユニット10Mと、イエロートナーを利用するイエロー作像ユニット10Yとを備え、シアントナー作像ユニットの像担持体上のシアントナー像を記録媒体に転写するための一次転写ローラ5Cなどのシアン用転写部材と、マゼンタトナー作像ユニットの像担持体上のマゼンタトナー像を記録媒体に転写するための一次転写ローラ5Mなどのマゼンタ用転写部材と、イエロートナー作像ユニットの像担持体上のイエロートナー像を記録媒体に転写するための一次転写ローラ5Yなどのイエロー用転写部材とを対応する像担持体に対して離間可能とした。
これによれば、実施形態で説明したように、モノクロ画像を作像するときは、シアン作像ユニット10Cの感光体1Cなどの像担持体、マゼンタ作像ユニット10Mの感光体1Mなどの像担持体およびイエロー作像ユニット10Yの感光体1Yなどの像担持体に非接触で用紙Sなどの記録媒体を搬送することができる。これにより、モノクロ画像のときは、シアン作像ユニット10C、マゼンタ作像ユニット10Mおよびイエロー作像ユニット10Yの動作を停止させることができ、これら作像ユニットの像担持体や現像剤の劣化を抑制することができる。
【0063】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、可視トナー作像ユニットとして、黒トナーを利用する黒作像ユニット10Kと、シアントナーを利用するシアン作像ユニット10Cと、マゼンタトナーを利用するマゼンタ作像ユニット10Mと、イエロートナーを利用するイエロー作像ユニット10Yとを備え、赤外光吸収トナー像を記録媒体上に形成するときは、マゼンタトナーとシアントナーとイエロートナーとを重ね合わせて黒画像を形成する。
これによれば、表2を用いて説明したように、マゼンタトナーとシアントナーとイエロートナーとを重ね合わせて形成された黒画像は、ほとんど赤外光を吸収することがなく、赤外線に感度を持つ撮像装置で撮像した画像において、黒画像が、赤外光吸収画像を阻害することがなく、良好に赤外光吸収画像を視認することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 :感光体
5 :一次転写ローラ
10 :作像ユニット
31 :中間転写ベルト
61 :紙搬送ベルト
70 :カラー用接離機構
80IR :IR用接離機構
80UV :UV用接離機構
90 :制御部
91 :外部通信インターフェース
100 :画像形成装置
S :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【文献】特開2006-276179号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6