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特許7594864アニオン変性コロイダルシリカの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】アニオン変性コロイダルシリカの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20241128BHJP
   C01B 33/141 20060101ALI20241128BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20241128BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C01B33/141
B24B37/00 H
H01L21/304 622B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020098159
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021188020
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前 僚太
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/052281(WO,A1)
【文献】特開2019-169589(JP,A)
【文献】特開平05-097422(JP,A)
【文献】特開2006-213541(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117559(WO,A1)
【文献】特開平09-314466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
C01B 33/141
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸ソーダ法により得られた原料コロイダルシリカをイオン交換樹脂を用いてイオン交換するイオン交換工程と、
前記イオン交換した原料コロイダルシリカに化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤を溶液の状態で添加し(ここで、前記溶液の溶媒が有機溶媒を含む)、前記イオン交換した原料コロイダルシリカと前記シランカップリング剤とを含む混合物を加熱して反応物を得る第1反応工程と、
前記反応物を処理することにより前記官能基をスルホン酸基へと変換する第2反応工程と、
前記第2反応工程の後に、前記溶媒を除去する溶媒除去工程と、
を含む、アニオン変性コロイダルシリカの製造方法。
【請求項2】
前記溶液の溶媒が有機溶媒である、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン変性コロイダルシリカの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large Scale Integration)の高集積化、高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(chemical mechanical polishing;CMP)法もその一つであり、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線(ダマシン配線)形成において頻繁に利用される技術である。
【0003】
当該CMPは、半導体製造における各工程に適用されてきており、その一態様として、例えばトランジスタ作製におけるゲート形成工程への適用が挙げられる。トランジスタ作製の際には、金属、シリコン、酸化ケイ素、多結晶シリコン、窒化ケイ素膜といった材料を研磨することがあり、生産性を向上させるべく、各材料を高速で研磨する要求が存在する。かような要求に応えるため、例えば、特許文献1には、窒化ケイ素などの化学反応性に乏しい研磨対象物を高速で研磨可能な研磨用組成物を提供することを目的として、組成物に有機酸を固定化したコロイダルシリカ(スルホン酸基(アニオン)変性コロイダルシリカ)を砥粒として含有させ、pHを6以下とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-040671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、特許文献1に記載のアニオン変性コロイダルシリカを用いると、窒化ケイ素膜を高い研磨速度で研磨することができる。
【0006】
本発明者は、半導体製造におけるCMPにおいて、窒化ケイ素膜を高い研磨速度で研磨する一方、酸化ケイ素膜については、研磨速度を極力低くさせる方が製造上好ましい場合があることを知見した。
【0007】
そこで、本発明は、窒化ケイ素膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができるアニオン変性コロイダルシリカの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を積み重ねた。その結果、原料コロイダルシリカをイオン交換樹脂を用いてイオン交換を行い、イオン交換した原料コロイダルシリカをアニオン変性して、アニオン変性コロイダルシリカを得ることで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の一形態によれば、原料コロイダルシリカをイオン交換樹脂を用いてイオン交換するイオン交換工程と、イオン交換した原料コロイダルシリカをアニオン変性して、アニオン変性コロイダルシリカを得る変性工程と、を含む、アニオン変性コロイダルシリカの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シリコン窒化膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができるアニオン変性コロイダルシリカの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
【0012】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
【0013】
本発明の一形態は、原料コロイダルシリカをイオン交換樹脂を用いてイオン交換するイオン交換工程と、イオン交換した原料コロイダルシリカをアニオン変性して、アニオン変性コロイダルシリカを得る変性工程とを含む、アニオン変性コロイダルシリカの製造方法である。イオン交換工程と変性工程とを組み合わせて実施することにより、本形態のアニオン変性コロイダルシリカの製造方法では、窒化ケイ素膜を高速で研磨し、かつ、酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができるアニオン変性コロイダルシリカを得ることができる。
【0014】
本明細書において、「変性コロイダルシリカ」とは、コロイダルシリカの粒子の表面にアニオン性基(例えば、スルホン酸基)が結合していることを意味する。
【0015】
以下、本発明の一形態に係る製造方法について、詳細に説明する。
【0016】
<イオン交換工程>
本形態の製造方法は、原料コロイダルシリカをイオン交換樹脂を用いてイオン交換するイオン交換工程を含む。
【0017】
イオン交換工程は、1回の実施でもよく、必要に応じて2回以上の実施でもよい。
【0018】
[原料コロイダルシリカ]
原料コロイダルシリカは、後述する変性工程を用いてアニオン変性(改質)される前の原料であり、シリカ粒子を含む。原料コロイダルシリカは、ケイ酸ソーダ法によって製造されたものでも、ゾルゲル法によって製造されたものでもよい。原料コロイダルシリカは、合成したものであっても、市販品であってもよい。原料コロイダルシリカは、未変性のものであっても、変性されたものであってもよい。変性された原料コロイダルシリカとしては、例えばアルミン酸などで処理された変性コロイダルシリカが挙げられる。
【0019】
本形態の製造方法では、原料コロイダルシリカの純度に関わらず、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
【0020】
一実施形態において、原料コロイダルシリカは、ケイ酸ソーダ法により得られたコロイダルシリカである。ケイ酸ソーダ法は、典型的には、水ガラス等の珪酸アルカリ水溶液をイオン交換して得た活性珪酸を原材料として用い、それを粒子成長させる方法である。
【0021】
原料コロイダルシリカの平均一次粒子径の下限は、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、7nm以上であることがさらに好ましい。また、原料コロイダルシリカの平均一次粒子径の上限は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。このような範囲であれば、製造されたアニオン変性コロイダルシリカを含む研磨用組成物において、窒化ケイ素膜を高速で研磨でき、かつ酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。なお、コロイダルシリカの平均一次粒子径は、例えば、BET法で測定されるコロイダルシリカの比表面積に基づいて算出される。
【0022】
原料コロイダルシリカの平均二次粒子径の下限は、2nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることがさらに好ましい。また、原料コロイダルシリカの平均二次粒子径の上限は、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましい。このような範囲であれば、製造されたアニオン変性コロイダルシリカを含む研磨用組成物において、窒化ケイ素膜を高速で研磨でき、かつ酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。なお、コロイダルシリカの平均二次粒子径は、例えば、レーザー回折散乱法に代表される動的光散乱法により測定することができる。
【0023】
原料コロイダルシリカの平均会合度(平均二次粒子径/平均一次粒子径)の値は、特に制限されず、例えば1.0以上5.0以下であり、好ましくは2.5以上5.0以下であり、より好ましくは4.0以上5.0以下である。このような範囲であれば、製造されたアニオン変性コロイダルシリカを含む研磨用組成物において、窒化ケイ素膜を高速で研磨でき、かつ酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができる。
【0024】
原料コロイダルシリカにおけるシリカ粒子(固形分)の濃度は、イオン交換に適する濃度であれば特に制限されない。原料コロイダルシリカにおけるシリカ粒子(固形分)の濃度は、例えば1質量%以上40質量%以下であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
【0025】
[イオン交換樹脂]
イオン交換樹脂としては、特に制限されないが、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂、強塩基性アニオン交換樹脂I型、強塩基性アニオン交換樹脂II型、弱塩基性アニオン交換樹脂等が挙げられる。イオン交換樹脂は、好ましくは強酸性カチオン交換樹脂または弱酸性カチオン交換樹脂である。
【0026】
前記強酸性カチオン交換樹脂が有する交換基としては、スルホン酸基等が挙げられる。
【0027】
前記弱酸性カチオン交換樹脂が有する交換基としては、カルボキシ基、フェノール性水酸基等が挙げられる。
【0028】
前記強塩基性アニオン交換樹脂I型が有する交換基としては、トリメチルアンモニウム基等が挙げられる。
【0029】
前記強塩基性アニオン交換樹脂II型が有する交換基としては、ジメチルエタノールアンモニウム基等が挙げられる。
【0030】
前記弱塩基性アニオン交換樹脂が有する交換基としては、三級アミノ基等が挙げられる。
【0031】
イオン交換樹脂としては市販品を使用してもよく、当該市販品としては、SGC650(ピュロライト株式会社製)、ダイヤイオン(商標)シリーズ(三菱化学株式会社製)、アンバーライト(商標)、アンバージェット(商標)(オルガノ株式会社製)等が挙げられる。
【0032】
[イオン交換]
原料コロイダルシリカをイオン交換樹脂を用いてイオン交換する方法は、特に制限されず、従来公知の手法を用いることができる。例えば、原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合する方法、イオン交換樹脂を充填したカラム中に原料コロイダルシリカを通液させる方法などが挙げられる。
【0033】
原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合する場合、イオン交換樹脂の使用量は、使用する原料コロイダルシリカに応じて適宜調整することができる。イオン交換樹脂の使用量は、15質量部の原料コロイダルシリカ(固形分)に対して、例えば10質量部以上50質量部以下であり、好ましくは20質量部以上30質量部以下である。
【0034】
原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合(撹拌)する温度は、例えば10℃以上50℃以下であり、好ましくは20℃以上30℃以下である。また、原料コロイダルシリカとイオン交換樹脂とを混合(撹拌)する時間は、例えば1時間以上30時間以下であり、好ましくは10時間以上20時間以下である。
【0035】
イオン交換が完了した後、イオン交換樹脂を分離除去することで、変性工程で使用するイオン交換した原料コロイダルシリカが得られる。イオン交換樹脂を分離除去する方法は、特に制限されず、例えばイオン交換樹脂を自然沈降させて、上澄み液を回収することにより、イオン交換した原料コロイダルシリカを得ることができる。
【0036】
イオン交換樹脂を充填したカラム中に原料コロイダルシリカを通液させる場合、原料コロイダルシリカのカラムを通過させる速度(空間速度)は、例えば1時間当たり1以上30以下であり、好ましくは5以上15以下である。この際、原料コロイダルシリカの温度は、例えば0℃以上50℃以下であり、好ましくは10℃以上30℃以下である。
【0037】
通液後の原料コロイダルシリカを変性工程におけるイオン交換した原料コロイダルシリカとして使用することができる。
【0038】
<変性工程>
本形態の製造方法は、イオン交換した原料コロイダルシリカをアニオン変性して、アニオン変性コロイダルシリカを得る変性工程を含む。イオン交換した原料コロイダルシリカを用いることで、不純物の発生及びシリカの凝集を抑制することができる。
【0039】
変性工程において、アニオン変性処理の具体的な形態については特に制限はなく、従来公知のコロイダルシリカの変性処理のうち、コロイダルシリカをアニオン変性させることが可能な処理が適宜用いられうる。
【0040】
以下では、好ましい一実施形態として、原料コロイダルシリカをスルホン酸基により変性させることでアニオン変性された変性コロイダルシリカを得るための手法の一例を説明する。この手法において、変性工程は、上述のイオン交換した原料コロイダルシリカに化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤を添加し、前記イオン交換した原料コロイダルシリカと前記シランカップリング剤とを含む混合物を加熱して反応物を得る第1反応工程と、前記反応物を処理することにより前記官能基をスルホン酸基へと変換する第2反応工程とを含む。
【0041】
(第1反応工程)
第1反応工程では、上述のイオン交換した原料コロイダルシリカに化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤を添加し、前記イオン交換した原料コロイダルシリカと前記シランカップリング剤とを含む混合物を加熱する。これにより、反応物(化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤がシリカ粒子の表面に結合したもの)が得られる。このように、スルホン酸基とは異なる官能基を有するシランカップリング剤とイオン交換した原料コロイダルシリカとを反応させた後に上記官能基をスルホン酸基へと変換させる(後述の第2反応工程)ようにしているのは、一般的にスルホン酸基を置換した形のシランカップリング剤が安定して得られにくいためである。
【0042】
化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤としては、例えば、1)加水分解によりスルホン酸基に変換できるスルホン酸エステル基を有するシランカップリング剤、2)酸化によりスルホン酸基に変換できるメルカプト基および/またはスルフィド基を有するシランカップリング剤が挙げられる。なお、コロイダルシリカ表面のスルホン酸修飾は溶液中で行われるため、修飾効率を高めるためには、後者のメルカプト基および/またはスルフィド基を有するカップリング剤を用いることが好ましい。
【0043】
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、スルフィド基を有するカップリング剤としては、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
【0044】
また、シランカップリング剤を酸であらかじめ加水分解させておいてから、イオン交換した原料コロイダルシリカへ縮合反応させてもよい。
【0045】
シランカップリング剤は水に溶解しにくいことから、シランカップリング剤を溶液の状態で添加することが好ましい。また、当該溶液の溶媒としては、シランカップリング剤を溶解させる目的で、有機溶媒(親水性溶媒)を用いることが好ましい。かような有機溶媒(親水性溶媒)としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒が例示される。有機溶媒は、蒸気圧が小さいとの観点から、メタノールまたはエタノールが好ましく、さらに取扱いが容易との観点から、エタノールがより好ましい。
【0046】
なお、第1反応工程において用いられるシランカップリング剤の添加量について特に制限はないが、イオン交換した原料コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子(固形分)100質量%に対して、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。シランカップリング剤の添加量が0.5質量%以上であれば、シリカ粒子の表面を十分にアニオン化させることができ、研磨剤(研磨用組成物における砥粒)として用いられた場合に優れた性能を発揮させることが可能となる。一方、シランカップリング剤の添加量が10質量%以下であれば、得られる反応物(アニオン変性コロイダルシリカ)の経時的なゲル化が防止されうる。また、シランカップリング剤を溶解させるのに用いられる有機溶媒(親水性溶媒)の量は、シランカップリング剤の量100体積%に対して、好ましくは300体積%以上3000体積%以下であり、より好ましくは400体積%以上2000体積%以下である。
【0047】
シランカップリング剤を添加する際の温度は限定されないが、常温(約20℃)から反応溶媒の沸点までの範囲が好ましい。反応時間も限定されないが、10分以上30時間以下が好ましく、30分以上20時間以下がより好ましい。ただし、カップリング剤の加水分解を終了させるという観点から、第1反応工程は、50℃以上の温度条件を15時間以上継続させる条件で実施されることが好ましい。添加時のpHは、特に限定されない。
【0048】
(第2反応工程)
第2反応工程では、上記第1反応工程で得られた反応物(化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤がシリカ粒子の表面に結合したもの)を処理する。これにより、上記シランカップリング剤の有する「化学的にスルホン酸基に変換できる官能基」をスルホン酸基へと変換する。
【0049】
上記シランカップリング剤の有する「化学的にスルホン酸基に変換できる官能基」をスルホン酸基へと変換するために行う上記「処理」の具体的な形態について特に制限はなく、用いられるシランカップリング剤の構造に応じて適宜選択されうる。例えば、第1反応工程において上記1)加水分解によりスルホン酸基に変換できるスルホン酸エステル基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、上記反応物に対して加水分解処理を施すことで、シランカップリング剤の有する官能基(スルホン酸エステル基)を加水分解することができる。これにより、当該スルホン酸エステル基はスルホン酸基へと変換される。
【0050】
また、第1反応工程において上記2)酸化によりスルホン酸基に変換できるメルカプト基および/またはスルフィド基を有するシランカップリング剤を用いた場合には、上記反応物に対して酸化処理を施すことで、シランカップリング剤の有する官能基(メルカプト基および/またはスルフィド基)を酸化することができる。これにより、当該メルカプト基またはスルフィド基はスルホン酸基へと変換される。
【0051】
上記反応物に対して酸化処理を施すには、例えば、上記反応物を酸化剤と反応させればよい。酸化剤としては、例えば、硝酸、過酸化水素、酸素、オゾン、有機過酸(過カルボン酸)、臭素、次亜塩素酸塩、過マンガン酸カリウム、クロム酸等が挙げられる。これらの酸化剤の中でも過酸化水素および有機過酸(過酢酸、過安息香酸類)が比較的取り扱いが容易で酸化収率も良好である点で好ましい。なお、反応で副生する物質を考慮すれば、過酸化水素を用いることが最も好ましい。反応に必要な量を確保し、残留する酸化剤を低減させるという観点から、酸化剤の添加量は、シランカップリング剤の3モル倍以上5モル倍以下が好ましい。酸化剤の添加量をかような範囲内の値とすることで、得られるアニオン変性コロイダルシリカ中の残留酸化剤濃度を最小限に抑えることが可能となる。得られるアニオン変性コロイダルシリカ中の残留酸化剤濃度の具体的な数値について特に制限はないが、好ましくは1000質量ppm以下であり、より好ましくは700質量ppm以下であり、特に好ましくは500質量ppm以下である。ここで、得られるアニオン変性コロイダルシリカ中の残留酸化剤濃度が1000質量ppmを超えると、アニオン変性コロイダルシリカ自体や当該アニオン変性コロイダルシリカが研磨剤(砥粒)として添加されてなる研磨用組成物が密閉容器中に封入された状態で保管・輸送された際に過酸化水素等の酸化剤が分解して酸素等のガスが発生し、容器の内圧が上昇する可能性がある。一方、上述のように、得られるアニオン変性コロイダルシリカ中の残留酸化剤濃度が低減されることで、かような内圧の上昇の虞が低減されるため、好ましい。また、研磨用組成物として用いられた場合に、多量の酸化剤を含有するときに生じうるウェハディッシングといった問題の発生も抑制されうるという利点もある。なお、コロイダルシリカおよびシランカップリング剤については、スルホン酸基に酸化(変換)される官能基以外は酸化反応において安定な構造を有するので、副生成物は存在しない。
【0052】
上記の方法に従って得られたアニオン変性コロイダルシリカが水以外の溶媒を含んでいる場合には、必要に応じて、変性工程の後に、溶媒を除去する溶媒除去工程を含んでもよい。例えば、反応溶媒を主とする分散媒を水で置換したり、エバポレーターを用いて溶媒を除去したりすることができる。なお、この水置換は、シランカップリング剤を添加後、酸化剤を添加する前に行ってもよい。水以外の溶媒を水で置換する方法は特に限定されず、例えば、当該アニオン変性コロイダルシリカを加熱しながら水を一定量ずつ滴下する方法が挙げられる。また、当該アニオン変性コロイダルシリカを沈殿・分離、遠心分離等により水以外の溶媒と分離した後に、水に再分散させる方法も挙げられる。
【0053】
<研磨用組成物>
上述の製造方法で得られるアニオン変性コロイダルシリカは、研磨用組成物に含まれる研磨剤(砥粒)として使用することができる。よって、本発明の一形態は、砥粒と分散媒とを含む研磨用組成物であって、前記砥粒が上述の製造方法で得られるアニオン変性コロイダルシリカを含む、研磨用組成物である。
【0054】
本形態の研磨用組成物中の砥粒の含有量の下限は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、1.0質量%以上であることがよりさらに好ましい。また、砥粒の含有量の上限は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0055】
分散媒としては、水を含むことが好ましい。さらに、不純物による研磨用組成物の他の成分への影響を防ぐ観点から、できる限り高純度な水を使用することが好ましい。具体的には、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水等を用いることが好ましい。また、分散媒として、研磨用組成物の他の成分の分散性などを制御する目的で、有機溶媒などをさらに含んでもよい。
【0056】
本形態の研磨用組成物は、必要に応じて、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、酸化剤、分散剤、表面保護剤、濡れ剤、界面活性剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤等の公知の添加剤をさらに含有してもよい。上記添加剤の含有量は、その添加目的に応じて適宜設定すればよい。
【0057】
pH調整剤としては、公知の酸、塩基性無機化合物以外の塩基、またはこれらの塩を使用することができる。pH調整剤として使用できる酸の具体例としては、例えば、塩酸、硫酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、およびリン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、およびフェノキシ酢酸等の有機酸が挙げられる。
【0058】
pH調整剤として使用できる塩基性無機化合物以外の塩基としては、エタノールアミン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール等の脂肪族アミン、芳香族アミン、水酸化第四アンモニウム等の塩基性有機化合物、アンモニア等が挙げられる。
【0059】
上記pH調整剤は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
【0060】
pH調整剤の添加量は、特に制限されず、研磨用組成物のpHが所望の範囲内となるよ
う適宜調整すればよい。
【0061】
本形態の研磨用組成物のpHの上限は、好ましくは5.0以下であり、より好ましくは4.0以下であり、さらに好ましくは3.0以下である。研磨用組成物のpHの下限は、特に制限されないが、好ましくは1.5以上である。
【0062】
本形態の研磨用組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば砥粒と、必要に応じて添加剤とを、分散媒中で撹拌混合することにより得ることができる。各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10℃以上40℃以下が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。
【0063】
<研磨方法>
本発明の一形態は、上述の研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する、研磨方法である。
【0064】
研磨対象物は、窒化ケイ素および酸化ケイ素を含む。酸化ケイ素を含む膜の例としては、例えば、オルトケイ酸テトラエチルを前駆体として使用して生成されるTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)タイプ酸化ケイ素膜(以下、単に「TEOS膜」とも称する)、HDP(High Density Plasma)膜、USG(Undoped Silicate Glass)膜、PSG(Phosphorus Silicate Glass)膜、BPSG(Boron-Phospho Silicate Glass)膜、RTO(Rapid Thermal Oxidation)膜等が挙げられる。
【0065】
研磨対象物は、窒化ケイ素および酸化ケイ素に加えて、他の材料を含んでもよい。他の剤用としては、炭窒化ケイ素、ポリシリコン、窒化チタン、タングステンなどが挙げられる。
【0066】
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモータ等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。
【0067】
前記研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
【0068】
研磨条件にも特に制限はなく、例えば、研磨定盤の回転速度は、10rpm以上500rpm以下が好ましく、キャリア回転速度は、10rpm以上500rpm以下が好ましく、研磨対象物を有する基板にかける圧力(研磨圧力)は、0.1psi以上10psi以下が好ましい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明の研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
【実施例
【0069】
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。
【0070】
(実施例1)
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.5)1kgとイオン交換樹脂(強酸性カチオン交換樹脂 SGC650;ピュロライト株式会社製)200mLとを混合し、18時間撹拌してイオン交換を行った。イオン交換終了後、イオン交換樹脂を自然沈降させて、上澄み液(イオン交換したコロイダルシリカ)を回収した。
【0071】
イオン交換したコロイダルシリカ900mLに、エタノール20mLと混合した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン5mLを加えて、70℃で18時間加熱した。その後、31質量%過酸化水素溶液を80mL加えて、65℃で18時間加熱した。加熱後、エバポレーターを用いてエタノールを除去して、アニオン変性コロイダルシリカを調製した。
【0072】
(実施例2)
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量を4mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、アニオン変性コロイダルシリカを調製した。
【0073】
(実施例3)
エバポレーターを用いてエタノールを除去することを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、アニオン変性コロイダルシリカを調製した。
【0074】
(実施例4)
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量を3mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、アニオン変性コロイダルシリカを調製した。
【0075】
(実施例5)
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量を2mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、アニオン変性コロイダルシリカを調製した。
【0076】
(実施例6)
3-メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量を1mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、アニオン変性コロイダルシリカを調製した。
【0077】
(実施例7)
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.5)1kgをイオン交換樹脂200mLで18時間イオン交換を行った。
【0078】
イオン交換後のコロイダルシリカ900mLに、メタノール20mLおよび3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン5mLを加えて、60℃で18時間加熱した。その後、31質量%過酸化水素溶液を80mL加えて、65℃で18時間加熱した。加熱後、エバポレーターを用いてメタノールを除去して、アニオン変性コロイダルシリカを調製した。
【0079】
(比較例1)
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.5)1kgをイオン交換樹脂200mLで18時間イオン交換を行い、比較例のコロイダルシリカを調製した。
【0080】
(比較例2)
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.5)1kgをイオン交換樹脂200mLで18時間イオン交換を行った。
【0081】
イオン交換後のコロイダルシリカ900mLに、エタノール20mLと混合した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン4mLを加え、70℃で18時間加熱して、比較例のコロイダルシリカを調製した。
【0082】
(比較例3)
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.5)1kgをイオン交換樹脂200mLで18時間イオン交換を行った。
【0083】
イオン交換後のコロイダルシリカ920mLに、31質量%過酸化水素溶液を80mL加えて、65℃で18時間加熱した。エバポレーターを用いてエタノールを除去して、比較例のコロイダルシリカを調製した。
【0084】
(比較例4)
ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:12nm、平均二次粒子径54nm、平均会合度:4.5)900mLに、エタノール20mLと混合した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン4mLを加えて、70℃で18時間加熱した。その後、31質量%過酸化水素溶液を80mL加えて、65℃で18時間加熱した。エバポレーターを用いてエタノールを除去して、比較例のコロイダルシリカを調製した。
(比較例5)
ゾルゲル法により製造されたコロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:20質量%、平均一次粒子径:35nm、平均二次粒子径69nm、平均会合度:2.0)1kgとイオン交換樹脂(強酸性カチオン交換樹脂 SGC650;ピュロライト株式会社製)200mLとを混合し、18時間撹拌してイオン交換を行った。イオン交換終了後、イオン交換樹脂を自然沈降させて、上澄み液(イオン交換したコロイダルシリカ)を回収した。
【0085】
イオン交換したコロイダルシリカ900mLに、エタノール20mLと混合した3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン5mLを加えて、70℃で18時間加熱した。その後、31質量%過酸化水素溶液を80mL加えて、65℃で18時間加熱した。加熱後、エバポレーターを用いてエタノールを除去して、比較例のコロイダルシリカを調製した。
【0086】
[評価]
<平均二次粒子径の評価>
実施例2で調製したアニオン変性コロイダルシリカおよび比較例4で調製したコロイダルシリカの平均二次粒子径を、レーザー光を用いた光散乱法によって測定した。測定機器としては日機装株式会社製、動的光散乱式粒度分布計UPA-UT151を用いた。
【0087】
実施例2で調製したアニオン変性コロイダルシリカの平均二次粒子径は、54nmであった。また、比較例4で調製したコロイダルシリカの平均二次粒子径は、80nmであった。
【0088】
したがって、イオン交換を行うことにより、シリカ粒子の凝集を抑制できることが分かる。
【0089】
<研磨速度の評価>
(研磨用組成物の調製)
上記で得られた実施例1~7のアニオン変性コロイダルシリカもしくは比較例1~5のコロイダルシリカまたは比較例6のコロイダルシリカ(ケイ酸ソーダ法により製造されたアルミン酸修飾コロイダルシリカ(シリカ粒子濃度:15質量%、平均一次粒子径:54nm、平均会合度:4.5))をシリカ粒子濃度が4質量%となるようにイオン交換水を加えて、混合液を得た。その後、混合液にマレイン酸をpHが2.0となるように添加して、研磨用組成物1~13を調製した。
【0090】
研磨用組成物(液温:25℃)のpHは、pHメータ(株式会社堀場製作所製 型番:LAQUA)により確認した。
【0091】
(ゼータ電位測定)
上記で調製した研磨用組成物1~13を大塚電子株式会社製ELS-Z2に供し、測定温度25℃でフローセルを用い、レーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)により測定を行った。得られたデータをSmoluchowskiの式で解析することにより、研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカのゼータ電位を算出した。結果を表1に示す。
【0092】
(研磨速度の評価)
研磨対象物として、
・200mmウェハ(SiN(窒化ケイ素膜))、
・200mmウェハ(TEOS(酸化ケイ素膜))、
を準備し、上記で得られた研磨用組成物を用いて、各ウェハを以下の研磨条件で研磨し、研磨速度を測定した。また選択比を算出した。
【0093】
[研磨条件]
研磨機:200mmウェハ用CMP片面研磨機
研磨パッド:ポリウレタン製パッド(IC1010:ロームアンドハース社製)
圧力:4.0psi(約27.6kPa)
プラテン(定盤)回転数:90rpm
ヘッド(キャリア)回転数:87rpm
研磨用組成物の流量:200ml/min
研磨時間:1分間。
【0094】
[研磨速度]
研磨速度(研磨レート)は、以下の式により計算した。
【0095】
【数1】
【0096】
膜厚は、光干渉式膜厚測定装置(ケーエルエー・テンコール(KLA)株式会社製 型
番:ASET)によって求めて、その差を研磨時間で除することにより評価した。結果を
表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
表1に示すように、実施例のアニオン変性コロイダルシリカを用いることにより、比較例のコロイダルシリカと比べて、窒化ケイ素膜を高速で研磨でき、かつ酸化ケイ素膜の研磨速度を抑えることができることが分かる。