(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241128BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241128BHJP
G03F 7/30 20060101ALI20241128BHJP
G03F 7/16 20060101ALI20241128BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/304 643A
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 648F
H01L21/30 569A
G03F7/30 502
G03F7/16 502
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2020185680
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】一野 克憲
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-238666(JP,A)
【文献】特開2014-154860(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181386(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を吐出するノズルを有する吐出部と、
前記処理液を前記吐出部に送る送液部と、
前記吐出部に送るための前記処理液を前記送液部に供給する供給源と、
前記送液部を制御する制御部と、
前記供給源と前記送液部との間を開閉する第1バルブと、
前記送液部と前記吐出部との間を開閉する第2バルブと、
を備え、
前記送液部は、
前記処理液が流れる管路と、
前記管路上の互いに異なる位置に設けられ、前記処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタと、を有
し、
前記管路は、
前記供給源と前記ノズルとを接続する主管路と、
前記主管路に設けられた2つの分岐点を接続するように形成されたバイパス管路と、を含み、
前記送液部は、
前記バイパス管路に設けられた送液用ポンプと、
前記バイパス管路を開閉する1以上のバルブと、
前記バイパス管路のうち前記送液用ポンプよりも下流側において前記処理液中の異物を検出する異物検出部と、をさらに有し、
前記複数のフィルタのうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタは、前記主管路のうち前記2つの分岐点の間において前記第1のフィルタとは異なるフィルタよりも下流側に設けられ、
前記第1のフィルタとは異なるフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは、前記バイパス管路に設けられ、
前記制御部は、前記異物検出部による検出結果に応じて、前記主管路及び前記バイパス管路における前記処理液の流れを変更するように、前記第1バルブと、前記第2バルブと、前記バイパス管路を開閉する1以上のバルブと、前記送液用ポンプと、を制御する、基板処理装置。
【請求項2】
基板に処理液を吐出するノズルを有する吐出部と、
前記処理液を前記吐出部に送る送液部と、
前記吐出部に送るための前記処理液を前記送液部に供給する供給源と、
前記送液部を制御する制御部と、
前記供給源と前記送液部との間を開閉する第1バルブと、
前記送液部と前記吐出部との間を開閉する第2バルブと、
を備え、
前記送液部は、
前記処理液が流れる管路と、
前記管路上の互いに異なる位置に設けられ、前記処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタと、を有し、
前記管路は、前記供給源と前記ノズルとを接続する主管路と、前記主管路に設けられた2つの分岐点を接続するように形成されたバイパス管路とを含み、
前記送液部は、
前記バイパス管路に設けられた送液用ポンプと、
前記バイパス管路を開閉する1以上のバルブと、をさらに有し、
前記複数のフィルタのうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタは、前記主管路のうち前記2つの分岐点の間において前記第1のフィルタとは異なるフィルタよりも下流側に設けられ、
前記第1のフィルタとは異なるフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは、前記バイパス管路に設けられ、
前記制御部は、処理後の前記基板における欠陥の発生状況に応じて、前記処理液が前記ノズルに到達する前に最後に通過するフィルタを変更するように、前記第1バルブと、前記第2バルブと、前記バイパス管路を開閉する1以上のバルブと、前記送液用ポンプと、を制御する、基板処理装置。
【請求項3】
前記複数のフィルタは、前記複数種類の異物のうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が高いフィルタを含む、請求項1
又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数のフィルタは、捕集部における前記処理液との接触面積が互いに異なる、請求項1
~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記バイパス管路に設けられるフィルタは、前記バイパス管路のうち前記送液用ポンプよりも上流側に設けられる、請求項
1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
供給源からの処理液を、管路を介してノズルから基板に吐出する基板処理方法であって、
前記管路上の互いに異なる位置に設けられ、前記処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタを通過させ、
前記管路は、前記供給源と前記ノズルとを接続する主管路と、前記主管路に設けられた2つの分岐点を接続するように形成されたバイパス管路と、前記バイパス管路に設けられた送液用ポンプと、を有し、
前記複数のフィルタのうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタは、前記主管路のうち前記2つの分岐点の間において前記第1のフィルタとは異なるフィルタよりも下流側に設けられ、
前記第1のフィルタとは異なるフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは、前記バイパス管路に設けられ、
前記バイパス管路のうち前記送液用ポンプよりも下流側において前記処理液中の異物を検出する異物検出部による検出結果に応じて、前記主管路及び前記バイパス管路における前記処理液の流れを変更するように、前記供給源と前記管路との間を開閉する第1バルブと、前記管路と前記ノズルとの間を開閉する第2バルブと、前記バイパス管路を開閉する1以上のバルブと、前記送液用ポンプと、を制御する、基板処理方法。
【請求項7】
供給源からの処理液を、管路を介してノズルから基板に吐出する基板処理方法であって、
前記管路上の互いに異なる位置に設けられ、前記処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタを通過させ、
前記管路は、前記供給源と前記ノズルとを接続する主管路と、前記主管路に設けられた2つの分岐点を接続するように形成されたバイパス管路と、前記バイパス管路に設けられた送液用ポンプと、を有し、
前記複数のフィルタのうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタは、前記主管路のうち前記2つの分岐点の間において前記第1のフィルタとは異なるフィルタよりも下流側に設けられ、
前記第1のフィルタとは異なるフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは、前記バイパス管路に設けられ、
処理後の前記基板における欠陥の発生状況に応じて、前記処理液が前記ノズルに到達する前に最後に通過するフィルタを変更するように、前記供給源と前記管路との間を開閉する第1バルブと、前記管路と前記ノズルとの間を開閉する第2バルブと、前記バイパス管路を開閉する1以上のバルブと、前記送液用ポンプと、を制御する、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、フォトレジスト塗布装置において、フィルターユニットを含んで構成される供給用配管に対して循環用配管を設け、塗布停止時にはフォトレジストを循環させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板に吐出される処理液中の異物の低減に有用な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、基板に処理液を吐出するノズルを有する吐出部と、前記処理液を前記吐出部に送る送液部と、前記吐出部に送るための前記処理液を前記送液部に供給する供給源と、を備え、前記送液部は、前記処理液が流れる管路と、前記管路上の互いに異なる位置に設けられ、前記処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板に吐出される処理液中の異物の低減に有用な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、基板処理システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、塗布・現像装置の内部構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、液処理ユニットの構成の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、処理液供給部の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、制御装置の機能上の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、制御装置のハードウェア上の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、液処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)は、それぞれ液処理手順での各部の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、異物検出結果に応じて指令内容を変更する場合の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)は、それぞれ送液部における処理液の流れを変更する場合の一例を説明するための模式図である。
【
図11】
図11(a)、
図11(b)は、それぞれフィルタの配置を変更する場合の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、基板処理装置が提供される。基板処理装置は、基板に処理液を吐出するノズルを有する吐出部と、前記処理液を前記吐出部に送る送液部と、前記吐出部に送るための前記処理液を前記送液部に供給する供給源と、を備え、前記送液部は、前記処理液が流れる管路と、前記管路上の互いに異なる位置に設けられ、前記処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタと、を有する。
【0010】
上記の基板処理装置では、処理液が流れる管路上の互いに異なる位置に複数のフィルタが設けられるため、供給源からの処理液は複数のフィルタを通過してノズルに供給される。また、これらのフィルタは、処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なるため、処理液中に含まれる複数種類の異物が複数のフィルタによって捕集され得る。したがって、基板に吐出される処理液中の異物をより低減することが可能となる。
【0011】
前記複数のフィルタは、前記複数種類の異物のうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が高いフィルタを含む態様としてもよい。
【0012】
上記のように、基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が高いフィルタに対して処理液を通過させる構成とすることによって、処理液中から欠陥の発生頻度が高い異物を除去させることができる。そのため、基板における欠陥の発生を抑制することができる。
【0013】
前記複数のフィルタは、捕集部における前記処理液との接触面積が互いに異なる態様としてもよい。
【0014】
上記のように、処理液との接触面積が互いに異なる捕集部を有するフィルタを用いることで、異物の種類毎の捕集特性を互いに異ならせることができる。このようなフィルタを用いることで、処理液に含まれる異物の種類を考慮して、使用するフィルタを選択することが可能となる。
【0015】
前記複数のフィルタのうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高いフィルタが、前記管路の最下流に位置する態様としてもよい。
【0016】
上記のように、基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高いフィルタを最下流に配置する構成とすることで、欠陥の発生頻度が高い異物が最下流のフィルタによって適切に除去される。そのため、基板における欠陥の発生を抑制することができる。
【0017】
前記管路は、前記供給源と前記ノズルとを接続する主管路と、前記主管路に設けられた2つの分岐点を接続するように形成されたバイパス管路とを含み、前記送液部は、前記バイパス管路に設けられた送液用ポンプをさらに有し、前記複数のフィルタのうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタは、前記主管路のうち前記2つの分岐点の間において前記第1のフィルタとは異なるフィルタよりも下流側に設けられ、前記第1のフィルタとは異なるフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは、前記バイパス管路に設けられる態様としてもよい。
【0018】
上記のように、管路が主管路とバイパス管路とを含む構成において、欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタが主管路に設けられる構成とすると、第1のフィルタを用いた異物の除去を適切に行うことができる。
【0019】
前記バイパス管路に設けられるフィルタは、前記バイパス管路のうち前記送液用ポンプよりも上流側に設けられる態様としてもよい。
【0020】
上記のようにバイパス管路のうち送液用ポンプよりも上流側に設けることによって、送液用ポンプによって、ノズルから処理液を吐出する際に、第1のフィルタを最後に通過させることができる。すなわち、第1のフィルタを実質的に最下流に配置することができるため、欠陥の発生頻度が高い異物が最下流のフィルタによって適切に除去される。
【0021】
前記送液部を制御する制御部をさらに備え、前記送液部は、前記バイパス管路のうち前記送液用ポンプよりも下流側において前記処理液中の異物を検出する異物検出部をさらに有し、前記制御部は、前記異物検出部による検出結果に応じて、前記主管路及び前記バイパス管路における前記処理液の流れを変更する制御を行う態様としてもよい。
【0022】
上記のように、制御部が異物検出部による検出結果に応じて、主管路及びバイパス管路における処理液の流れを変更する構成とすることで、例えば、処理液中の異物の残留程度等を考慮してフィルタに対する処理液の通過回数を変更することができる。このように、処理液中の異物をより適切に除去できるような制御を選択することができる。
【0023】
前記送液部を制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、処理後の前記基板における欠陥の発生状況に応じて、前記処理液が前記ノズルに到達する前に最後に通過するフィルタを変更するように、前記主管路及び前記バイパス管路における前記処理液の流れを変更する制御を行う態様としてもよい。
【0024】
上記のように、制御部が処理後の前記基板における欠陥の発生状況に応じてノズルに到達する前に最後に通過するフィルタを変更する構成とすることで、例えば、処理後の基板での欠陥の発生状況に応じてより適切な順序でフィルタを通過させることができる。そのため、処理後の基板において欠陥が発生しないための適切な制御内容を決定することができる。
【0025】
一つの例示的実施形態において、基板処理方法が提供される。基板処理方法は、供給源からの処理液を、管路を介してノズルから基板に吐出する基板処理方法であって、前記管路上の互いに異なる位置に設けられ、前記処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタを通過させる。
【0026】
上記の基板処理方法では、処理液が流れる管路上の互いに異なる位置に設けられた複数のフィルタを通過した処理液がノズルに供給される。また、これらのフィルタは、処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なるため、処理液中に含まれる複数種類の異物が複数のフィルタによって捕集され得る。したがって、基板に吐出される処理液中の異物をより低減することが可能となる。
【0027】
前記複数のフィルタのうち前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高いフィルタに対して前記処理液を最後に通過させる態様としてもよい。
【0028】
上記のように、基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高いフィルタに対して処理液を最後に通過させる構成とすることで、欠陥の発生頻度が高い異物が最下流のフィルタによって適切に除去される。そのため、基板における欠陥の発生を抑制することができる。
【0029】
前記管路は、前記供給源と前記ノズルとを接続する主管路と、前記主管路に設けられた2つの分岐点を接続するように形成されたバイパス管路と、前記バイパス管路に設けられた送液用ポンプと、を有し、前記複数のフィルタのうち、前記基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタは、前記主管路のうち前記2つの分岐点の間において前記第1のフィルタとは異なるフィルタよりも下流側に設けられ、前記第1のフィルタとは異なるフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは、前記バイパス管路に設けられる態様としてもよい。
【0030】
上記のように、管路が主管路とバイパス管路とを含む構成において、欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタが主管路に設けられる構成とすることで、第1のフィルタを用いた異物の除去を適切に行うことができる。
【0031】
前記バイパス管路のうち前記送液用ポンプよりも下流側において前記処理液中の異物を検出する異物検出部をさらに有し、前記異物検出部による検出結果に応じて、前記主管路及び前記バイパス管路における前記処理液の流れを変更する態様としてもよい。
【0032】
上記のように、異物検出部による検出結果に応じて、主管路及びバイパス管路における処理液の流れを変更する構成とすることで、例えば、処理液中の異物の残留程度等を考慮してフィルタに対する処理液の通過回数を変更することができる。このように、処理液中の異物をより適切に除去できるような制御を選択することができる。
【0033】
処理後の前記基板における欠陥の発生状況に応じて、前記処理液が前記ノズルに到達する前に最後に通過するフィルタを変更するように、前記主管路及び前記バイパス管路における前記処理液の流れを変更する態様としてもよい。
【0034】
上記のように、制御部が処理後の前記基板における欠陥の発生状況に応じてノズルに到達する前に最後に通過するフィルタを変更する構成とすることで、例えば、処理後の基板での欠陥の発生状況に応じてより適切な順序でフィルタを通過させることができる。そのため、処理後の基板において欠陥が発生しないための適切な制御内容を決定することができる。
【0035】
[例示的実施形態の説明]
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0036】
まず、
図1~
図6を参照して本開示の一実施形態に係る基板処理システムを説明する。
【0037】
[基板処理システム]
図1に示される基板処理システム1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。
【0038】
基板処理システム1は、塗布・現像装置2と露光装置3とを備える。塗布・現像装置2は、ワークWの表面にレジスト膜(感光性被膜)を形成するように構成されている。また、塗布・現像装置2は、露光装置による露光処理の後にレジスト膜の現像処理を行うように構成されている。露光装置3は、塗布・現像装置2との間でワークWを授受して、ワークWの表面に形成されたレジスト膜の露光処理(パターン露光)を行うように構成されている。露光装置3は、例えば、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射してもよい。塗布・現像装置2及び露光装置3によって所定のパターンのレジスト膜が表面に形成されたワークWは、その後エッチング処理に供される。エッチング処理では、例えば、プラズマを用いたドライエッチングにより、レジスト膜に覆われていない領域の対象材料の加工が行われる。
【0039】
処理対象のワークWは、例えば基板、あるいは所定の処理が施されることで膜又は回路等が形成された状態の基板である。ワークWに含まれる基板は、一例として、シリコンを含むウェハである。ワークW(基板)は、円形に形成されていてもよいし、多角形など円形以外の板状に形成されていてもよい。ワークWは、一部が切り欠かれた切欠部を有していてもよい。切欠部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。処理対象のワークWは、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)などであってもよく、これらの基板等に所定の処理が施されて得られる中間体であってもよい。ワークWの直径は、例えば200mm~450mm程度であってもよい。
【0040】
エネルギー線は、例えば、電離放射線、非電離放射線などであってもよい。電離放射線は、原子又は分子を電離させるのに十分なエネルギーを有する放射線である。電離放射線は、例えば、極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)、電子線、イオンビーム、X線、α線、β線、γ線、重粒子線、陽子線などであってもよい。非電離放射線は、原子又は分子を電離させるのに十分なエネルギーを有しない放射線である。非電離放射線は、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザーなどであってもよい。
【0041】
[基板処理装置]
以下、基板処理装置の一例として、塗布・現像装置2の構成を説明する。
図1及び
図2に示されるように、塗布・現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、制御装置100とを備える。
【0042】
キャリアブロック4は、塗布・現像装置2内へのワークWの導入及び塗布・現像装置2内からのワークWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ワークW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のワークWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからワークWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からワークWを受け取ってキャリアC内に戻す。
【0043】
処理ブロック5は、複数の処理モジュール11,12,13,14を有する。処理モジュール11,12,13,14は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送アームを含む搬送装置A3とを内蔵している。
【0044】
処理モジュール11は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりワークWの表面上に下層膜を形成する。処理モジュール11の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をワークW上に塗布する。処理モジュール11の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0045】
処理モジュール12は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。処理モジュール12の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜の上に塗布する。処理モジュール12の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0046】
処理モジュール13は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。処理モジュール13の液処理ユニットU1は、上層膜形成用の液体をレジスト膜の上に塗布する。処理モジュール13の熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0047】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光後のレジスト膜の現像処理を行う。液処理ユニットU1は、露光済みのワークWの表面上に現像液を塗布する。また、液処理ユニットU1は、塗布された現像液をリンス液により洗い流す。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0048】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でワークWを昇降させる。
【0049】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0050】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でワークWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたワークWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からワークWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0051】
制御装置100は、例えば以下の手順で塗布・現像処理を実行するように塗布・現像装置2を制御する。まず制御装置100は、キャリアC内のワークWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このワークWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0052】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール11内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの表面上に下層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、下層膜が形成されたワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0053】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール12内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの下層膜上にレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0054】
次に制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0055】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。その後制御装置100は、露光処理が施されたワークWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0056】
次に制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御し、このワークWのレジスト膜に現像処理を施すように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7及び搬送装置A1を制御する。以上で塗布・現像処理が完了する。
【0057】
なお、基板処理装置の具体的な構成は、以上に例示した塗布・現像装置2の構成に限られない。基板処理装置は、ワークWに処理液を吐出して液処理を行う液処理ユニットと、これを制御可能な制御装置とを備えていればどのようなものであってもよい。
【0058】
(液処理ユニット)
続いて、
図3及び
図4を参照して、処理モジュール12における液処理ユニットU1の一例について詳細に説明する。液処理ユニットU1は、回転保持部20と、処理液供給部29と、を備える。
【0059】
回転保持部20は、制御装置100の動作指示に基づき、ワークWを保持して回転させる。回転保持部20は、保持部21と、駆動部22とを備える。保持部21は、表面Waを上方に向けて水平に配置されたワークWの中心部を支持し、当該ワークWを吸着(例えば真空吸着)等により保持する。駆動部22は、例えば電動モータ等を動力源とした回転アクチュエータであり、鉛直な回転軸周りに保持部21を回転させる。これにより、鉛直な回転軸周りにワークWが回転する。
【0060】
処理液供給部29は、回転保持部20に回転保持されたワークWに処理液を供給する。処理液供給部29は、
図3及び
図4に示されるように、吐出部30と、送液部60と、補充部50と、第1接続部81と、第2接続部83と、を備える。
【0061】
吐出部30は、ワークWの表面Waに向けて処理液を吐出する。吐出部30は、ノズル31と、送液管32とを備える。ノズル31は、ワークWに処理液を吐出する。ノズル31は、
図3に示されるように、例えば、ワークWの上方に配置され、処理液を下方に吐出する。送液管32は、ノズル31まで処理液を導く。ノズル31からワークWに向けて処理液が吐出されることで、ワークWに処理液が塗布(供給)される。
【0062】
図4に示されるように、送液部60は、処理液を吐出部30に送る。具体的には、送液部60は、処理液を所定圧力で吐出部30(ノズル31)に向けて送り出す。送液部60は、送液管61と、第1フィルタ62と、第2フィルタ63と、圧送部64と、分岐管65a,65bと、第1接続バルブ66と、第2接続バルブ67と、圧力測定部68と、異物検出部69と、を備える。送液管61及び分岐管65a,65bは、処理液が流れる管路を構成する。また、送液管61及び分岐管65a,65bは、処理液を循環させる循環路としても機能する。
【0063】
送液管61は、処理液を吐出部30まで導く主管路である。具体的には、送液管61は、吐出部30の送液管32の上流側における端部に接続されている。第1フィルタ62は、送液管61に設けられており、処理液に含まれる異物を除去する。第1フィルタ62は、送液管61内を通過する処理液に含まれる異物を捕集する。
【0064】
圧送部64は、送液管61を経て処理液を受け入れ、受け入れた処理液を加圧して吐出部30に向けて送り出す。圧送部64は、例えば、ポンプ71と、ポンプ駆動部72と、流量測定部73と、圧力測定部74と、を備える。
【0065】
ポンプ71(送液用ポンプ)は、処理液を収容する収容室と、収容室を収縮させる収縮部とを有する。ポンプ71は、収縮部により収容室を拡大して処理液を受け入れ、収縮部により収容室を収縮させて処理液を送り出す。ポンプ71として、例えば、チューブフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、又はベローズポンプが用いられてもよい。
【0066】
ポンプ駆動部72は、制御装置100の動作指示に基づき、ポンプ71を駆動する。具体的には、ポンプ駆動部72は、ポンプ71の収容室を収縮させるように収縮部を動作させる(駆動する)。例えば、ポンプ駆動部72は、気体により収縮部を動作させるエアオペレーション型の駆動部である。ポンプ駆動部72は、上記気体の圧力(駆動圧)を調節することで、ポンプ71の収容室を収縮させてもよい。
【0067】
流量測定部73は、ポンプ71に対する処理液の入出量に関する情報を取得する。ポンプ71を駆動するための気体の流量は、ポンプ71に対する処理液の入出量に相関するので、ポンプ71に対する処理液の入出量に関する情報である。例えば、流量測定部73は、ポンプ71とポンプ駆動部72との間の接続管内を流れる気体の流量を測定する。流量測定部73は、測定値を制御装置100に出力する。圧力測定部74は、ポンプ71内の圧力に関する情報を取得する。例えば、圧力測定部74は、ポンプ71とポンプ駆動部72との間の接続管内の圧力を測定する。圧力測定部74は、測定値を制御装置100に出力する。
【0068】
分岐管65aは、送液管61のうちの第1フィルタ62の上流部分の分岐点P1から分岐し、送液管61とポンプ71とを接続する。分岐管65bは、送液管61のうちの第1フィルタ62の下流部分の分岐点P2から分岐し、送液管61とポンプ71とを接続する。分岐管65a,分岐管65bによって、送液管61(主管路)における分岐点P1,P2間を接続するバイパス管路が形成される。第2フィルタ63は、分岐管65aに設けられており、処理液に含まれる異物を除去する。第2フィルタ63は、分岐管65a内を通過する処理液に含まれる異物を捕集する。
【0069】
第1接続バルブ66は、分岐管65aに設けられており、制御装置100の動作指示に基づき、送液管61と圧送部64との間を開閉する。第1接続バルブ66は、例えば、エアオペレーションバルブである。上述の第2フィルタ63は、第1接続バルブ66よりも上流側に設けられてもよい。第2接続バルブ67は、分岐管65bに設けられており、制御装置100の動作指示に基づき、送液管61と圧送部64との間を開閉する。第2接続バルブ67は、例えば、エアオペレーションバルブである。
【0070】
圧力測定部68は、送液部60内の管路を流れる処理液の圧力を測定する。例えば、圧力測定部68は、第1フィルタ62と圧送部64との間の圧力を測定する。具体的には、圧力測定部68は、分岐管65bに設けられており、分岐管65b内の処理液の圧力(液圧)を測定する。圧力測定部68は、測定値を制御装置100に出力する。
【0071】
異物検出部69は、送液部60内の管路を流れる処理液に含まれる異物を検出する。例えば、異物検出部69は、分岐管65bのうち、第2接続バルブ67と圧力測定部68との間に設けられてもよい。また、異物検出部69は、分岐管65bに対して測定光を照射することによって分岐管65bから出射される散乱光を分析すること等によって、処理液内の異物の数・特性(大きさ、異物の種類)等を測定してもよい。ただし、異物検出部69による異物の検出方法は上記に限定されない。また、異物検出部69の設置位置は適宜変更することができる。異物検出部69は、異物の検出結果は制御装置100に出力する。
【0072】
補充部50は、吐出部30に向けて送るための処理液を送液部60に補充する。補充部50は、液源51と、圧送部53と、送出管55と、を備える。
【0073】
液源51は、送液部60に補充される処理液の供給源である。圧送部53は、液源51から送液部60に処理液を送り出す。圧送部53は、例えば、液源51から供給された処理液を一時的に貯留し、当該処理液を加圧した状態で送液部60に送り出す。あるいは、圧送部53は、例えば、液源51内の処理液を吸い込むことで処理液を受け入れ、受け入れた処理液を送液部60に送り出す。圧送部53は、例えば、ポンプ56と、ポンプ駆動部57と、圧力測定部54と、を備える。
【0074】
ポンプ56は、液源51内の処理液を吸い込み、吸い込んだ処理液を吐出部30に向けて送り出す。ポンプ56は、例えば、処理液を収容する収容室と、収容室を収縮させる収縮部とを有する。ポンプ56は、収縮部により収容室を拡大して処理液を受け入れ、収縮部により収容室を収縮させて処理液を送り出す。ポンプ56として、例えば、チューブフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、又はベローズポンプが用いられてもよい。
【0075】
ポンプ駆動部57は、制御装置100に動作指示に基づき、ポンプ56を駆動する。具体的には、ポンプ駆動部57は、ポンプ56の収容室を収縮させるように収縮部を動作させる(駆動する)。例えば、ポンプ駆動部57は、気体により収縮部を動作させるエアオペレーション型の駆動部である。ポンプ駆動部57は、上記気体の圧力(以下、「駆動圧」という。)を調節することで、ポンプ56の収容室を収縮させてもよい。
【0076】
圧力測定部54は、ポンプ56内の圧力に関する情報を取得する。例えば、圧力測定部54は、ポンプ56とポンプ駆動部57との間の接続管に接続されており、当該接続管内の圧力を測定する。圧力測定部54は、例えば、ポンプ56を駆動するための気体の圧力を測定する。圧力測定部54は、測定値を制御装置100に出力する。
【0077】
送出管55は、圧送部53(ポンプ56)から送液部60まで処理液を導く。具体的には、送出管55は、送液部60の送液管61の上流側における端部に接続されている。つまり、送液管61は、第1フィルタ62を介して補充部50と送液部60との間を接続している。第1フィルタ62は、送液管61内の流路を流れる処理液(補充部50から送液部60に補充される処理液)に含まれる異物を除去する。
【0078】
第1接続部81は、補充部50と送液部60とを接続する。第1接続部81は、例えば、切替バルブ82を有する。切替バルブ82は、制御装置100の動作指示に基づき、補充部50と送液部60との間を開閉する。切替バルブ82は、補充部50の送出管55と送液部60の送液管61との接続箇所に設けられている。切替バルブ82は、例えば、エアオペレーションバルブである。
【0079】
切替バルブ82は、第1接続バルブ66及び第2接続バルブ67の少なくとも一方の開度変化率よりも小さい開度変化率で開閉してもよい。開度変化率とは、単位時間あたりのバルブの開度の変化の割合である。バルブが閉状態から開状態に切り替わる場合、開度変化率は、バルブの開度の増加率である。バルブが開状態から閉状態に切り替わる場合、開度変化率は、バルブの開度の減少率である。
【0080】
第2接続部83は、送液部60と吐出部30とを接続する。第2接続部83は、例えば、吐出バルブ84を有する。吐出バルブ84は、制御装置100の動作指令に基づき、送液部60と吐出部30との間を開閉する。吐出バルブ84は、送液部60の送液管61と吐出部30の送液管32との接続箇所に設けられている。吐出バルブ84は、例えば、エアオペレーションバルブである。
【0081】
吐出バルブ84と第1接続バルブ66(第2接続バルブ67)との開度変化率の関係は、切替バルブ82と第1接続バルブ66(第2接続バルブ67)との開度変化率の関係と同様であってもよい。つまり、吐出バルブ84は、第1接続バルブ66及び第2接続バルブ67の少なくとも一方の開度変化率よりも小さい開度変化率で開閉してもよい。
【0082】
処理液供給部29には、上述のように第1フィルタ62及び第2フィルタ63の2つのフィルタが設けられる。この2つのフィルタとしては、処理液中に含まれる異物を捕集する際の捕集特性が互いに異なるものが選択される。「異物の捕集特性」とは、処理液中に含まれて互いに異なる複数種類の異物のうち、どの種類の異物に対して高い捕集性能を有しているかを示している。また、「捕集性能が高い」とは、他の異物に対する捕集性能と比べて当該異物に対する捕集性能が高いことをいう。
【0083】
処理液がレジスト液である場合、処理液に含まれる異物は、例えば、異物を構成する成分に基づいて2種類に分類することができる。具体的には、一方は、処理液と同種の材料から構成される異物であり、他方は、異種の材料から構成される異物である。同種の材料から構成される異物とは、例えば、レジスト液に含まれるポリマーが塊状になったもの、装置内のレジスト液の残渣に由来するものなどである。また、異種の材料から構成される異物は、例えば、装置の配管等処理液と接触し得る場所に付着していた異物である。この2種類の異物がワークW上に供給された場合、ワークW上での欠陥となる場合が考えられる。特に、異種の材料から構成される異物は、レジスト液の材料との化学反応を利用して加工が行われるエッチングに影響を与えることが考えられる。
【0084】
また、フィルタは、その形状、材質等によって、異物の捕集特性が異なり得る。例えば、処理液がレジスト液である場合、捕集部として機能するろ過膜として中空糸膜を用いたフィルタが一般的に用いられている。このようなフィルタでは、ろ過膜の表面積、すなわち、ろ過膜と処理液との接触面積に応じて異物の捕集特性が変化することが考えられる。一例としては、ろ過膜の表面積が互いに異なる2種類のフィルタが存在するとする。この場合、上述の異種の材料から構成される異物の捕集性能は、表面積が大きなフィルタのほうが高いと考えられる。一方、上述の同種の材料から構成される異物は、表面積が大きなフィルタから後段へ流出しやすいと考えられ、表面積が小さなフィルタのほうが高い捕集性能を有すると考えられる。このように、フィルタによる異物の捕集特性は、フィルタの種類によって互いに異なる。なお、処理液と捕集部(ろ過膜)との接触面積が大きい状態は、例えば、処理液が流れる流路が長いことによって形成されていてもよく、1次側及び2次側の各部の面積が大きな(つまり、フィルタ内の捕集部において1次側から2次側へ連通する微小流路が多数設けられる)ことによって形成されていてもよい。
【0085】
本実施形態では、第1フィルタ62として、異種の材料から構成される異物の捕集性能が高い、表面積が大きなフィルタを用いる。また、第2フィルタ63として、同種の材料から構成される異物の捕集性能が高い、表面積が小さなフィルタを用いる。なお、装置の用途、処理液の種類等に応じてフィルタの種類の選択及び配置は変更することができる。
【0086】
なお、「異物の種類」とは、異物の「成分」に基づいて分類されていてもよいが、他の観点で分類されていてもよい。例えば、異物の「大きさ」に基づいて分類されていてもよい。処理液の種類、処理液を供給した後のワークWに対する処理の内容、処理液中に存在する異物に由来して生じ得る欠陥の種類に応じて、種類の分類の基準は変更され得る。また、分類の基準が変更されると、異物の種類毎に、捕集性能を高めるための条件が変更され得る。そのため、フィルタ間で異物の種類毎の捕集特性が変化する原因となる要素(例えば、材質、処理液との接触面積等)が変わり得る。このようにフィルタにおける「異物の捕集特性」は、異物の分類手法によっても異なり得る。
【0087】
(制御装置)
図5及び
図6を参照して、制御装置100について詳細に説明する。
図5に示されるように、制御装置100は、機能上のモジュール(以下、「機能モジュール」という。)として、動作指令保持部102と、第1圧力取得部103と、第2圧力取得部104と、流量取得部105と、液圧取得部106と、変更制御部107と、処理液供給制御部101と、を備える。
【0088】
動作指令保持部102は、液処理ユニットU1において実行される液処理手順を規定する動作指令を保持する。この動作指令には、ノズル31から処理液を吐出する際の吐出圧力の目標値(設定値)、ノズル31から処理液を吐出させる実行時間、補充圧力及び補充流量の目標値(設定値)、並びに補充部50から送液部60に処理液を補充させる実行時間等が含まれてもよい。また、動作指令には、ノズル31から供給する前の処理液を循環させる循環処理の内容及び時間等が含まれてもよい。
【0089】
第1圧力取得部103は、圧力測定部54から測定値を取得する。具体的には、第1圧力取得部103は、補充部50においてポンプ56とポンプ駆動部57との間の接続管内の圧力(ポンプ56への駆動圧)を示す測定値を取得する。第1圧力取得部103は、取得した測定値を処理液供給制御部101に出力する。
【0090】
第2圧力取得部104は、圧力測定部74から測定値を取得する。具体的には、第2圧力取得部104は、送液部60においてポンプ71とポンプ駆動部72との間の接続管内の圧力(ポンプ71への駆動圧)を示す測定値を取得する。第2圧力取得部104は、取得した測定値を処理液供給制御部101に出力する。
【0091】
流量取得部105は、流量測定部73から測定値を取得する。具体的には、流量取得部105は、ポンプ71とポンプ駆動部72との間の接続管内のポンプ71を駆動するための気体の流量を示す測定値を取得する。流量取得部105は、取得した測定値を処理液供給制御部101に出力する。
【0092】
液圧取得部106は、圧力測定部68から測定値を取得する。具体的には、液圧取得部106は、第1フィルタ62と圧送部64(ポンプ71)との間の処理液の圧力を示す測定値を取得する。液圧取得部106は、取得した測定値を処理液供給制御部101に出力する。
【0093】
変更制御部107は、異物検出部69から異物の検出結果を取得する。具体的には、変更制御部107は、分岐管65bを流れる処理液に含まれる異物の数、大きさ等に係る情報を取得する。また、変更制御部107は、異物の検出結果に基づいて、処理液供給制御部101において実行される動作指令の内容を変更するか否かを判断する。そして、動作指令の内容を変更する場合、動作指令保持部102において保持される動作指令を更新する。変更制御部107による変更制御については後述する。なお、変光制御を行わない場合、変更制御部107は省略されてもよい。
【0094】
処理液供給制御部101は、ノズル31から処理液を吐出させるように処理液供給部29を制御する。処理液供給制御部101は、例えば、機能モジュールとして、補充準備部111と、補充制御部112と、循環制御部113と、吐出準備部114と、吐出制御部115と、を備える。
【0095】
補充準備部111は、補充部50から送液部60へ処理液を補充するための準備を行うように構成されている。具体的には、補充準備部111は、補充部50から送液部60への処理液の補充前に、補充部50内と送液部60内との圧力差を縮小させ、当該圧力差を縮小させた状態で切替バルブ82を開いてもよい。補充準備部111は、例えば、切替バルブ82が閉じた状態で、補充部50内と送液部60内との圧力差を縮小させるように補充部50内の圧力を変更してもよい。補充準備の一例として、補充準備部111は、切替バルブ82が閉じた状態で、補充部50内と送液部60内との圧力差が縮小するように圧送部53(ポンプ駆動部57)を制御してもよい。
【0096】
補充制御部112は、補充部50から送液部60へ処理液を補充させるように構成されている。具体的には、補充制御部112は、切替バルブ82を開けた後、補充部50から送液部60への処理液の補充を開始させる。一例として、補充制御部112は、切替バルブ82を開いた後に、補充部50内の圧力の調節、送液部60内の圧力の調節、及び切替バルブ82の開状態への再切替えが順に実行された後に、送液部60への処理液の補充を開始させる。補充制御部112は、補充準備部111によって補充部50内と送液部60内との圧力差を縮小させた状態で、補充部50から送液部60へ処理液を補充させる。
【0097】
補充制御部112は、圧送部53から圧送部64に送られる処理液の圧力を目標値に追従させるように、圧送部53及び圧送部64のいずれか一方を制御する。処理液の圧力を目標値へ追従させるように制御しつつ、補充制御部112は、処理液の単位時間あたりの流量を目標値に追従させるように、圧送部53(ポンプ駆動部57)及び圧送部64(ポンプ駆動部72)の他方を制御してもよい。
【0098】
循環制御部113は、送液部60内で処理液を循環させるように構成されている。具合的には、循環制御部113は、補充制御部112によって処理液が補充された状態で、切替バルブ82及び吐出バルブ84を閉じた状態で、ポンプ駆動部72、第1接続バルブ66及び第2接続バルブ67の開閉を制御する。この状態で、圧送部64(ポンプ駆動部72)を制御することで、送液管61と、分岐管65a,65bとの間で処理液を循環させる制御を行ってもよい。
【0099】
吐出準備部114は、ノズル31から処理液を吐出するための準備を行うように構成されている。具体的には、吐出準備部114は、ノズル31からの処理液の吐出を開始する前に、送液部60内の処理液の圧力を調節してもよい。吐出準備部114は、吐出バルブ84が閉じた状態で、送液部60内と吐出部30内との圧力差を縮小させるように送液部60内の圧力を変更してもよい。
【0100】
吐出制御部115は、ノズル31から処理液をワークWに向けて吐出させるように構成されている。具体的には、吐出制御部115は、吐出バルブ84を開き、吐出バルブ84が開かれた状態で、ノズル31からワークWへ処理液を吐出させる。吐出制御部115は、ノズル31まで送られる処理液の圧力を目標値に追従させるように圧送部64(ポンプ駆動部72)を制御してもよい。また、吐出制御部115は、目標値を一定の設定値に維持することにより、ノズル31からワークWに向けて略一定の流量で処理液を吐出させてもよい。
【0101】
制御装置100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば、制御装置100は、
図6に示される回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、タイマ125と、を備える。
【0102】
ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の液処理手順を塗布・現像装置2に実行させるためのプログラムを記録している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記録する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、塗布・現像装置2の各部との間で電気信号の入出力を行う。タイマ125は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。
【0103】
なお、制御装置100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御装置100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0104】
[処理液供給手順]
図7及び
図8を参照して、基板処理装置の制御方法(基板処理方法)の一例として、制御装置100により実行される液処理手順について説明する。
図7は、液処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0105】
図7に示されるように、制御装置100は、ステップS01,S02を順に実行する。ステップS01では、例えば、補充準備部111が、補充部50から送液部60に処理液を補充する準備として、補充部50内と送液部60内との圧力差を縮小させるように処理液供給部29を制御する。ステップS02では、例えば、補充制御部116が、補充部50内と送液部60内との圧力差が縮小した状態で、補充部50から送液部60に処理液を補充させるように処理液供給部29を制御する。
【0106】
次に、制御装置100は、ステップS03を順に実行する。ステップS03では、例えば、循環制御部113が、切替バルブ82及び吐出バルブ84を閉じた状態で、ポンプ駆動部72、第1接続バルブ66及び第2接続バルブ67の開閉を制御する。この状態で、圧送部64(ポンプ駆動部72)を制御する。循環制御の詳細については後述する。
【0107】
次に、制御装置100は、ステップS04,S05を順に実行する。ステップS04では、例えば、吐出準備部114が、ノズル31からの処理液の吐出の準備として、送液部60内と吐出部30内との圧力差を縮小させるように処理液供給部29を制御する。ステップS05では、例えば、吐出制御部115が、送液部60内と吐出部30内との圧力差が縮小した状態で、ノズル31から処理液をワークWに向けて吐出させるように処理液供給部29を制御する。吐出準備処理及び吐出処理の詳細については後述する。以上により、一連の液処理手順が終了する。
【0108】
ここで、上記の一連の処理のうち、補充、循環、及び吐出の各処理について
図8を参照しながら説明する。
【0109】
補充制御(ステップS02)では、制御装置100の補充制御部112は、切替バルブ82を閉状態から開状態に切り替える。その後、補充部50の圧送部53から送液部60の圧送部64に送られる処理液の補充圧力、及び当該処理液の補充流量を調節する。このとき、補充制御部112は、
図8(a)に示されるように、例えば、圧力測定部74による測定値に基づいて、補充圧力を目標値に追従させるように圧送部53(ポンプ駆動部57)を制御してもよい。補充制御部112は、流量測定部65による測定値に基づいて、補充流量を目標値に追従させるように圧送部64(ポンプ駆動部72)を制御してもよい。
図8(a)では、内部に処理液が流れている状態の管路が太い線で示されており、開状態のバルブが白抜きで示され、閉状態のバルブが黒塗りで示されている(
図8(b),(c)でも同様)。
【0110】
循環制御(ステップS03)では、制御装置100の吐出制御部115は、切替バルブ82を開状態から閉状態に切り替える。その後、循環制御部113は、第1接続バルブ66を開き、第2接続バルブ67を閉じた状態で圧送部64(ポンプ駆動部72)を駆動させることで、第2フィルタ63を処理液が通過するように処理液を移動させる。その後、第1接続バルブ66を閉じ、第2接続バルブ67を開いた状態で圧送部64(ポンプ駆動部72)を駆動させる。この動作を繰り返すことによって、第2接続バルブ67、ポンプ71、第1接続バルブ66の順で処理液が通過するように、処理液の循環が行われる。このとき、処理液が第1フィルタ62及び第2フィルタ63を交互に通過する。
【0111】
吐出制御(ステップS05)では、制御装置100の吐出制御部115は、切替バルブ82及び第1接続バルブ66を閉じた状態で、吐出バルブ84を閉状態から開状態に切り替える。その後、吐出制御部115は、ノズル31まで送られる処理液の吐出圧力を調節する。具体的には、圧送部64(ポンプ71の収縮部)の制御を開始する。これにより、吐出制御部115は、吐出バルブ84が開かれた状態でノズル31からの処理液の吐出を開始させる。このとき、吐出制御部115は、圧力測定部68による測定値に基づいてポンプ駆動部72(ポンプ71から処理液に加わる圧力)を調節してもよい。所定時間が経過した後、吐出制御部115が、切替バルブ82及び第1接続バルブ66を閉じた状態に維持したまま、第2接続バルブ67及び吐出バルブ84を開状態から閉状態にそれぞれ切り替える。これにより、吐出が終了する。
上記所定時間は、動作指令保持部102が保持する動作指令に定められており、例えば、1回あたりの液処理において使用される処理液の量に応じて予め設定されている。処理液の吐出中は、制御装置100が、ワークWが回転するように回転保持部20を制御することで、ワークWの表面Waにレジスト塗布膜が形成されてもよい。
【0112】
[処理液の移動経路の変更について]
上記の基板処理装置には異物検出部69が設けられている。変更制御部107は、異物検出部69による異物の検出結果に基づいて、処理液供給制御部101において実行される動作指令の内容を変更するか否かを判断してもよい。
図9及び
図10を参照しながら、異物の検出結果に基づく処理の変更の手順について説明する。
【0113】
図9に示されるように、制御装置100は、ステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、変更制御部107が、異物検出部69による検出結果を取得する。異物検出部69による検出結果には、例えば、処理液中に含まれる異物の数(単位体積あたりの異物の個数)に対応する情報が含まれ得る。また、検出結果には、処理液中にどのような種類の異物が含まれているか(どの種類の異物がどの程度含まれているか)を示す情報が含まれていてもよい。
【0114】
次に、制御装置100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、変更制御部107が異物の検出結果に基づいて動作指令を変更するかを判定する。動作指令を変更するか否かは、例えば、処理液中の異物の数について予め定めた閾値に基づいて判定してもよい。例えば、処理液中の異物の数が閾値以下になっている場合には、処理液の循環を終了するように動作指令を変更することとしてもよい。また、処理液中の異物の数が閾値以上になっている場合には、処理液の循環を繰り返す(循環回数を増やす)ように動作指令を変更することとしてもよい。
【0115】
ステップS12において動作指令の内容を変更すると判定した場合、制御装置100はステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、動作指令保持部102において保持される動作指令に記載された内容を変更する。変更する内容は、例えば、処理液の循環回数の変更等、判定基準に対応したものである。以上により、指令内容の変更に係る一連の手順が終了する。指令内容を変更した場合、処理液供給制御部101は変更内容を即時に反映して変更内容に基づいた処理を行ってもよい。
【0116】
図10(a)及び
図10(b)では、循環の有無による処理液の移動経路の違いを示している。例えば、
図10(a)では、処理液が、送液管61、分岐管65b、65aの順に循環した後に、再度送液管61、分岐管65bを経て後段の吐出バルブ84へ到達することを示している。この場合、処理液は、第1フィルタ62、第2フィルタ63、第1フィルタ62の順にフィルタを通過した後に、吐出バルブ84を経て後段のノズルへ到達する。動作指令保持部102で保持される動作指令は、このような処理液の流れを規定していたとする。
【0117】
一方、
図10(b)では、処理液が循環せずに送液管61、分岐管65bを経て後段の吐出バルブ84へ到達することを示している。この場合、処理液は、第1フィルタ62のみを通過した後に、吐出バルブ84を経て後段のノズルへ到達する。
図10(b)に示すように分岐管65bに異物検出部69が設けられている場合、処理液が分岐管65bに到達した段階で処理液中の異物の評価を行うことができる。この段階で異物の評価を行い、その結果に応じてその後の処理の内容を変更してもよい。例えば、処理液中の異物が十分少ないと判定される場合、
図10(b)に示すようにそのまま吐出バルブ84を経てノズルへ到達するように指令内容を変更してもよい。また、処理液中にある程度の数の異物が含まれると判定される場合、
図10(a)に示すように当初の指令内容に沿って分岐管65aに対して処理液が流れるように制御してもよい。このように、異物検出部69による検出結果を利用して、処理液の流れを変更する制御を行ってもよい。処理液の流れを変更するように動作指令の内容が変更された場合、変更された処理液の流れが形成されるように、制御装置100によって各バルブ及び圧送部64の制御が行われる。
【0118】
なお、上記では、処理液供給部29における処理液の流れについて説明したが、上述の各バルブの開閉動作及び圧送部64の動作は一例であり、これらの各部の動作を変更することで、種々の処理液の流れを形成することができる。換言すると、各バルブの開閉動作及び圧送部64の動作を変更することで、送液管61、分岐管65b、65aにおける処理液の流れを柔軟に制御することができる。例えば、上記の処理液供給部29では、処理液の循環方向が分岐管65bから分岐管65aに向かう方向ではなく、
図10(c)に示すように逆方向となるように制御することもできる。具体的には、分岐管65b上の第1接続バルブ66(
図4参照)を開いた状態とし、分岐管65b上の第2接続バルブ67(
図4参照)及び切替バルブ82が閉じた状態とした上で、ポンプ71が処理液を吸い込む動作をすると、逆方向に処理液が移動する。この場合、第1フィルタ62を下流側から上流側へ向かうように処理液の循環の流れが形成されることになる。この逆方向の循環を行った後に、第1接続バルブ66及び第2接続バルブ67の開閉状態の切替えとポンプ71の動作とによって、分岐管65aを流れる処理液が分岐管65b、吐出バルブ84を経てノズルから吐出されるように制御をしてもよい。この場合、第2フィルタ63を通過した処理液がノズルから吐出されるので、実質的に第2フィルタ63が最下流のフィルタとなる。このように、上記の処理液供給部29によれば、処理液の流れを制御するための指令内容を変更することで、実質的に最下流となるフィルタを変更することも可能である。
【0119】
また、処理液の流れを変更する契機として、異物検出部69による検出結果に代えて、後段のワークWに対する処理の結果を利用してもよい。例えば、後段でワークWに対するエッチング処理が行われる場合、エッチング後の検査(AEI:After Etching Inspection)に応じて処理液の流れを変更することとしてもよい。例えば、エッチング後の検査の結果、第2フィルタ63による捕集性能が高い種類の異物に由来した欠陥が多く残っていたとする。この場合、第1フィルタ62よりも第2フィルタ63を後段に配置した状態で処理液を通過させたほうが、第2フィルタ63による捕集性能を利用した異物の除去の効果が高まると考えられる。したがって、上述の処理液の流れが変更可能であることを利用して、第2フィルタ63が後段(最下流)になるように、処理液の流れを変更する構成としてもよい。
【0120】
[作用]
上記の基板処理装置(塗布・現像装置2)及び基板処理方法によれば、処理液が流れる管路(送液管61及び分岐管65a,65b)上の互いに異なる位置に複数のフィルタ(第1フィルタ62及び第2フィルタ63)が設けられる。そのため、供給源(液源51)からの処理液は、複数のフィルタを通過してノズル31に供給される。また、これらのフィルタは、処理液に含まれることが想定される複数種類の異物に対する捕集特性が互いに異なるため、処理液中に含まれる複数種類の異物が複数のフィルタによって捕集され得る。したがって、基板に吐出される処理液中の異物をより低減することが可能となる。
【0121】
基板に対して処理液を吐出して液処理を行う場合、処理液に含まれる異物が欠陥を引き起こす可能性があるため、異物を除去するために流路上にフィルタを設けて処理液を通過させることが検討されている。上記実施形態で説明した基板処理装置及び基板処理方法では、処理液に含まれる異物の種類が複数あることに着目し、異物に対する捕集特性が互いに異なる複数のフィルタを管路上に設けている。そのため、複数のフィルタにおける互いに異なる捕集特性を利用して、処理液中の異物を効果的に除去することが可能となる。また、フィルタによっては、以前に処理液を流通させた際に残存した処理液の成分が異物の一種として後段に流出する場合がある。このような場合には、例えば、後段にこの種の異物に対する捕集性能が高いフィルタを設けることで、基板に対して吐出する前に処理液中から異物を除去することができる。このように、捕集特性が互いに異なるフィルタを複数設ける構成とすることで、基板に吐出する前に処理液中の異物を低減することができる。
【0122】
また、フィルタの捕集特性は、フィルタの種類によって多様に存在し得るが、基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が高いフィルタを選択して使用することができる。このようなフィルタに対して処理液を通過させる構成とすることによって、処理液中から欠陥の発生頻度が高い異物を除去させることができる。そのため、基板における欠陥の発生を抑制することができる。
【0123】
また、複数のフィルタとして、捕集部(例えば、中空糸膜)における処理液との接触面積が互いに異なるものを選択してもよい。特定の処理液に対して同種の形状・材質からなるフィルタを適用する場合、捕集部の処理液との接触面積を互いに異ならせることで異物に対する捕集特性が変化し得る。このようなフィルタの特徴を利用して基板処理装置の多段のフィルタを構成してもよい。
【0124】
また、複数のフィルタを用いる場合、基板に対する後段の液処理を行った後に生じ得る欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高いフィルタが、管路の最下流に位置する態様としてもよい。また、最下流とは、実質的に最下流であればよく、ノズル31から吐出される前の処理液が最後に通過する態様であればよい。このような構成とすることで、欠陥の発生頻度が高い異物が最下流のフィルタによって適切に除去されるため、基板における欠陥の発生を抑制することができる。
【0125】
管路は、供給源とノズルとを接続する主管路としての送液管61と、主管路に設けられた2つの分岐点を接続するように形成されたバイパス管路としての分岐管65a,65bとを含んでいてもよい。送液部60は、バイパス管路に設けられた送液用ポンプとしてのポンプ71を有していてもよい。また、複数のフィルタのうち、欠陥の発生頻度が高い種類の異物に対する捕集性能が最も高い第1のフィルタ(第1フィルタ62)は、主管路のうち2つの分岐点P1,P2の間に設けられる。このとき、第1フィルタ62は、他のフィルタよりも下流側に設けられ得る。さらに、第1のフィルタとは異なるフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタは、バイパス管路に設けられてもよい。このような構成とすることで、第1のフィルタを用いて欠陥に関係し得る異物の除去を適切に行うことができる。
【0126】
なお、バイパス管路に設けられるフィルタは、バイパス管路のうち前記送液用ポンプよりも上流側に設けられる態様としてもよい。この場合、送液用ポンプ(ポンプ71)によって、ノズル31から処理液を吐出する際に、第1のフィルタを最後に通過させることができる。すなわち、第1のフィルタを実質的に最下流に配置することができるため、欠陥の発生頻度が高い異物が最下流のフィルタ(第1フィルタ62)によって適切に除去される。
【0127】
また、上記実施形態で説明したように、送液部60を制御する制御部(制御装置100)をさらに備えてもよい。また、送液部60は、バイパス管路のうち送液用ポンプよりも下流側において、処理液中の異物を検出する異物検出部69をさらに有していてもよい。また、制御装置100は、異物検出部69による検出結果に応じて、管路における処理液の流れを変更する制御を行ってもよい。このように、異物検出部69による検出結果に応じて、主管路及びバイパス管路における処理液の流れを変更する構成とすることで、例えば、処理液中の異物の残留程度等を考慮してフィルタに対する処理液の通過回数を変更することができる。このように、処理液中の異物をより適切に除去できるような制御を選択することができる。
【0128】
また、処理後の基板における欠陥の発生状況に応じて、処理液がノズル31に到達する前に最後に通過するフィルタを変更するように、主管路及びバイパス管路における処理液の流れを変更する制御を行ってもよい。この場合、例えば、処理後の基板での欠陥の発生状況に応じてより適切な順序でフィルタを通過させることができる。そのため、処理後の基板において欠陥が発生しないための適切な制御内容を決定することができる。
【0129】
[他の実施形態]
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0130】
例えば、供給源(液源51)とノズル31との間の構成、すなわち、処理液をノズル31(吐出部30)へ供給するための構成は、圧送部、管路等の構成を含めて、適宜変更することができる。管路における供給用ポンプ(ポンプ71)の配置についても適宜変更することができる。また、管路の構成に応じてフィルタの配置も適宜変更し得る。
【0131】
図11(a)及び
図11(b)では、上記実施形態と同様の管路構成におけるフィルタの配置の変更例を示している。
図11(a)は、分岐管65a上に代えてポンプ71よりも下流側の分岐管65bに第2フィルタ63を配置した例を示している。このような構成とした場合、
図8(c)に示した動作と同様の動作で吐出バルブ84を経てノズル31に対して処理液を供給する場合、処理液は第2フィルタ63を通過した後にノズル31に対して供給される。一方、ポンプ71及びバルブの動作の内容によっては、処理液が最後に第1フィルタ62を通過してノズル31に共有される構成とすることもできる。このように、フィルタの配置はポンプ71の上流側であっても下流側であってもよい。
【0132】
また、
図11(b)は、バイパス管路としての分岐管65bの下流側の分岐点P2よりも下流側に第1フィルタ62を配置した例を示している。この場合、バイパス管路を含む循環路を循環するか、もしくは、送液管61を通過した処理液は、必ず第1フィルタ62を通過して吐出バルブ84を経てノズル31に供給される。このような構成とした場合、最下流の第1フィルタ62を通過しない態様は実現できないが、上流での処理液の循環回数を変更することによって、例えば、第2フィルタ63を通過させない制御も可能となる。このように、フィルタの配置は、例えば処理液の特性、フィルタによる除去対象の異物等の特性に応じて適宜変更することができる。なお、バルブとフィルタとの位置関係についても適宜変更できることは言うまでもない。
【0133】
また、フィルタの数についても適宜変更することができる。また、フィルタの数を増やす場合、複数のフィルタのうちの一部が同じ捕集特性を有する同種のフィルタであってもよい。
【0134】
また、上記実施形態では処理液がレジスト液である場合について説明したが、レジスト液とは異なる処理液を対象に同様の構成を設けてもよい。
【0135】
また、異物検出部69を有しない構成であってもよい。また、異物検出部69を管路の他の位置(分岐管65bとは異なる位置)に設けてもよい。
【0136】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0137】
1…基板処理システム、2…塗布・現像装置、3…露光装置、4…キャリアブロック、5…処理ブロック、6…インタフェースブロック、20…回転保持部、21…保持部、22…駆動部、29…処理液供給部、30…吐出部、31…ノズル、32…送液管、50…補充部、51…液源、53…圧送部、54…圧力測定部、55…送出管、56…ポンプ、57…ポンプ駆動部、60…送液部、61…送液管、62…第1フィルタ、63…第2フィルタ、64…圧送部、65…流量測定部、65a,65b…分岐管、66…第1接続バルブ、67…第2接続バルブ、68…圧力測定部、69…異物検出部、71…ポンプ、72…ポンプ駆動部、73…流量測定部、74…圧力測定部、81…第1接続部、82…切替バルブ、83…第2接続部、84…吐出バルブ、100…制御装置、101…処理液供給制御部、102…動作指令保持部、103…第1圧力取得部、104…第2圧力取得部、105…流量取得部、106…液圧取得部、107…変更制御部、111…補充準備部、112…補充制御部、113…循環制御部、114…吐出準備部、115…吐出制御部。