(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20241128BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20241128BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241128BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20241128BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241128BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241128BHJP
【FI】
G01B11/06 H
G01B11/24 M
H01L21/66 P
G06T7/60 150S
G06T1/00 305A
G06T7/00 610C
(21)【出願番号】P 2020211667
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2020026025
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼田 豊久
(72)【発明者】
【氏名】保坂 理人
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-150849(JP,A)
【文献】特開2009-010457(JP,A)
【文献】特開2015-215193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
H01L 21/66
G06T 7/60
G06T 1/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象基板の表面の変形因子の情報を得ることと、
前記対象基板の
表面の処理状態を表す表面画像を得ることと、
前記表面の変形による画像変化を補償する補正係数を、前記表面の変形因子の情報に基づいて
、前記表面画像の各画素について算出することと、
前記補正係数を用いて前
記表面画像
における各画素の輝度値を補正
することにより、前記対象基板の補正画像を生成することとを含む、情報処理方法。
【請求項2】
前記表面の変形因子の情報を得ることは、前記対象基板の反り量を得ることを含み、
前記表面の変形因子の情報に基づいて前記補正係数を算出することは、反り量が既知である基準基板に基づく反り係数と、前記対象基板の反り量とに基づいて、前記補正係数を算出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象基板の反り量を得ることは、略平坦な基準基板の端面におけるプロファイル線のデータ及び前記対象基板の端面におけるプロファイル線のデータに基づいて前記対象基板の反り量を算出することを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準基板の反り量を得ることと、
前記基準基板の表面画像を得ることと、
前記基準基板の反り量と、前記基準基板の表面画像とに基づいて、前記反り係数を算出することとをさらに含む、請求項2~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反り係数を算出することは、前記基準基板の表面画像の各画素のそれぞれについて前記反り係数を算出することを含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記反り係数を算出することは、前記基準基板の反り量と、前記基準基板の表面画像における各画素の輝度値とに基づいて、前記基準基板の表面画像の各画素のそれぞれについて前記反り係数を算出することを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記反り係数を算出することは、
前記基準基板の表面画像の中央領域における輝度値によって当該表面画像の各画素の輝度値が標準化された標準化データを生成することと、
前記基準基板の反り量と前記標準化データとに基づいて、前記反り係数を算出することとを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記基準基板の反り量を得ることは、略平坦な基準基板の端面におけるプロファイル線のデータ及び非平坦な基準基板の端面におけるプロファイル線のデータに基づいて前記基準基板の反り量を算出することを含む、請求項
4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記非平坦な基準基板は、上に凸の回転放物面形状を呈する基準基板、又は、下に凸の回転放物面形状を呈する基準基板である、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記基準基板の異なる2つの領域の反り量をそれぞれ得ることと、
前記2つの領域の反り量と、前記基準基板の表面画像とに基づいて、前記2つの領域のそれぞれについて前記反り係数を算出することとをさらに含む、請求項
4~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
基板保持部に対する調整用基板の角度を変えて得られた、前記調整用基板の2通りの反り量に基づいて、前記基板保持部の傾き成分を算出することをさらに含む、請求項2~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象基板の反り量の測定と、前記対象基板の表面の撮像とは、同じ筐体内で行われる、請求項2~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象基板の表面画像を得ることは、回転可能なチャックに保持された前記対象基板の表面画像を得ることを含み、
前記表面の変形因子の情報を得ることは、前記対象基板の表面画像を得る際における前記チャックの回転角度情報を得ることを含み、
前記表面の変形因子の情報に基づいて前記補正係数を算出することは、前記チャックの回転角度情報に基づいて前記補正係数を算出することを含む、請求項1~
12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記表面の変形因子の情報に基づいて前記補正係数を算出することは、前記チャックの回転角度と前記補正係数との関係を表す係数モデルと、前記チャックの回転角度情報とに基づいて前記補正係数を算出することを含む、請求項
13記載の方法。
【請求項15】
対象基板の表面の変形因子の情報と、前記対象基板の
表面の処理状態を表す表面画像とを記憶するように構成された記憶部と、
前記表面の変形による画像変化を補償する補正係数を、前記表面の変形因子の情報に基づいて
、前記表面画像の各画素について算出するように構成された算出部と、
前記補正係数を用いて前
記表面画像
における各画素の輝度値を補正
することにより、前記対象基板の補正画像を生成するように構成された生成部とを備える、情報処理装置。
【請求項16】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の情報処理方法を情報処理装置に実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板表面の撮像画像に基づいて、基板上に形成されている膜の膜厚を算出する装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の表面画像に基づいて、基板の表面の処理状態を高い信頼性で評価するのに有効な情報処理方法、情報処理装置及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
情報処理方法の一例は、対象基板の表面の変形因子の情報を得ることと、対象基板の表面画像を得ることと、表面の変形による画像変化を補償する補正係数を、表面の変形因子の情報に基づいて算出することと、補正係数を用いて対象基板の表面画像を補正して、対象基板の補正画像を生成することとを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る情報処理方法、情報処理装置及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、基板の表面画像に基づいて、基板の表面の処理状態を高い信頼性で評価するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、基板処理システムの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、処理モジュールの一例を示す上面図である。
【
図4】
図4は、検査ユニットの一例を上方から見た断面図である。
【
図5】
図5は、検査ユニットの一例を側方から見た断面図である。
【
図6】
図6は、検査ユニットの一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、周縁撮像サブユニットの一例を前方から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、周縁撮像サブユニットの一例を後方から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、周縁撮像サブユニットの一例を示す上面図である。
【
図10】
図10は、周縁撮像サブユニットの一例を示す側面図である。
【
図13】
図13(a)は照明モジュールからの光がミラー部材において反射する様子を説明するための図であり、
図13(b)は基板からの光がミラー部材において反射する様子を説明するための図である。
【
図14】
図14は、基板処理システムの主要部の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、コントローラのハードウェア構成の一例を示す概略図である。
【
図16】
図16は、反り係数を算出する手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図17】
図17(a)は上に凸の回転放物面形状を呈する基板を示す斜視図であり、
図17(b)は下に凸の回転放物面形状を呈する基板を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、ドーム形状の基準基板の表面画像の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、基準基板のプロファイル線の一例を示すグラフである。
【
図20】
図20は、基板の反りを補正する手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図21】
図21は、傾いた保持台及び基板を示す模式図である。
【
図22】
図22は、検査ユニットの一例を上方から見た断面図である。
【
図23】
図23は、係数モデルを算出する手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図24】
図24は、補正画像を生成する手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0009】
1.第1実施形態
[基板処理システム]
図1及び
図2に示されるように、基板処理システム1は、塗布現像装置2(基板処理装置)と、露光装置3と、コントローラCtr(情報処理装置)とを備える。
【0010】
露光装置3は、塗布現像装置2との間で基板Wを授受して、基板Wの表面Wa(
図4等参照)に形成されたレジスト膜(感光性被膜)の露光処理(パターン露光)を行うように構成されている。露光装置3は、例えば、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射してもよい。
【0011】
エネルギー線は、例えば、電離放射線、非電離放射線などであってもよい。電離放射線は、原子又は分子を電離させるのに十分なエネルギーを有する放射線である。電離放射線は、例えば、極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)、電子線、イオンビーム、X線、α線、β線、γ線、重粒子線、陽子線などであってもよい。非電離放射線は、原子又は分子を電離させるのに十分なエネルギーを有しない放射線である。非電離放射線は、例えば、g線、i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザーなどであってもよい。
【0012】
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、基板Wの表面Waにレジスト膜を形成するように構成されている。塗布現像装置2は、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行うように構成されている。
【0013】
基板Wは、円板状を呈してもよいし、多角形など円形以外の板状を呈していてもよい。基板Wは、一部が切り欠かれた切欠部を有していてもよい。切欠部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。基板Wは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。基板Wの直径は、例えば200mm~450mm程度であってもよい。
【0014】
図1~
図3に示されるように、塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0015】
キャリアブロック4は、
図1及び
図3に示されるように、キャリアステーション12と、搬入搬出部13とを有する。キャリアステーション12は、複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、少なくとも一つの基板Wを密封状態で収容する。キャリア11の側面11aには、基板Wを出し入れするための開閉扉(図示せず)が設けられている。キャリア11は、側面11aが搬入搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
【0016】
搬入搬出部13は、キャリアステーション12及び処理ブロック5の間に位置している。搬入搬出部13は、複数の開閉扉13aを有する。キャリアステーション12上にキャリア11が載置される際には、キャリア11の開閉扉が開閉扉13aに面した状態とされる。開閉扉13a及び側面11aの開閉扉を同時に開放することで、キャリア11内と搬入搬出部13内とが連通する。搬入搬出部13は、搬送アームA1を内蔵している。搬送アームA1は、キャリア11から基板Wを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5から基板Wを受け取ってキャリア11内に戻すように構成されている。
【0017】
処理ブロック5は、
図1~
図3に示されるように、処理モジュールPM1~PM4を含む。これらの処理モジュールは、例えば、床面側から処理モジュールPM4、処理モジュールPM1、処理モジュールPM2、処理モジュールPM3の順に並んでいてもよい。処理モジュールPM1~PM4は、
図3に示されるように、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、検査ユニットU3とを含む。検査ユニットU3の詳細については後述する。
【0018】
処理モジュールPM1は、基板Wの表面上に下層膜を形成するように構成されており、BCTモジュールとも呼ばれる。処理モジュールPM1は、
図2及び
図3に示されるように、各ユニットU1~U3と、各ユニットU1~U3に基板Wを搬送する搬送アームA2とを内蔵している。処理モジュールPM1の液処理ユニットU1は、例えば、下層膜形成用の塗布液を基板Wに塗布するように構成されている。処理モジュールPM1の熱処理ユニットU2は、例えば、液処理ユニットU1によって基板Wに形成された塗布膜を硬化させて下層膜とするための加熱処理を行うように構成されている。下層膜としては、例えば、反射防止(SiARC)膜が挙げられる。
【0019】
処理モジュールPM2は、下層膜上に中間膜(ハードマスク)を形成するように構成されており、HMCTモジュールとも呼ばれる。処理モジュールPM2は、
図2及び
図3に示されるように、各ユニットU1~U3と、各ユニットU1~U3に基板Wを搬送する搬送アームA3とを内蔵している。処理モジュールPM2の液処理ユニットU1は、例えば、中間膜形成用の塗布液を基板Wに塗布するように構成されている。処理モジュールPM2の熱処理ユニットU2は、例えば、液処理ユニットU1によって基板Wに形成された塗布膜を硬化させて中間膜とするための加熱処理を行うように構成されている。中間膜としては、例えば、SOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスカーボン膜が挙げられる。
【0020】
処理モジュールPM3は、中間膜上に熱硬化性且つ感光性のレジスト膜を形成するように構成されており、COTモジュールとも呼ばれる。処理モジュールPM3は、
図2及び
図3に示されるように、各ユニットU1~U3と、各ユニットU1~U3に基板Wを搬送する搬送アームA4とを内蔵している。処理モジュールPM3の液処理ユニットU1は、例えば、レジスト膜形成用の塗布液を基板Wに塗布するように構成されている。処理モジュールPM3の熱処理ユニットU2は、例えば、液処理ユニットU1により基板Wに形成された塗布膜を硬化させてレジスト膜とするための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)を行うように構成されている。
【0021】
処理モジュールPM4は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成されており、DEVモジュールとも呼ばれる。処理モジュールPM4は、
図2及び
図3に示されるように、各ユニットU1~U3と、各ユニットU1~U3に基板Wを搬送する搬送アームA5とを内蔵している。処理モジュールPM4は、各ユニットU1~U3を経ずに基板Wを棚ユニット14,15間において直接搬送する搬送アームA6を内蔵している。処理モジュールPM4の液処理ユニットU1は、例えば、レジスト膜を部分的に除去してレジストパターンを形成するように構成されている。処理モジュールPM4の熱処理ユニットU2は、例えば、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等を行うように構成されている。
【0022】
処理ブロック5は、
図2及び
図3に示されるように、キャリアブロック4側に位置する棚ユニット14を含む。棚ユニット14は、床面から処理モジュールPM3にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニット14の近傍には搬送アームA7が設けられている。搬送アームA7は、棚ユニット14のセル同士の間で基板Wを昇降させる。
【0023】
処理ブロック5は、インターフェースブロック6に位置する棚ユニット15を含む。棚ユニット15は床面から処理モジュールPM4の上部にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0024】
インターフェースブロック6は、搬送アームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送アームA8は、棚ユニット15の基板Wを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3から基板Wを受け取って棚ユニット15に戻すように構成されている。
【0025】
コントローラCtrは、塗布現像装置2を部分的又は全体的に制御するように構成されている。コントローラCtrの詳細については後述する。コントローラCtrは、露光装置3のコントローラとの間で信号を送受信して、露光装置3のコントローラとの連携により基板処理システム1を全体として制御するように構成されていてもよい。
【0026】
[検査ユニットの構成]
続いて、
図4~
図13を参照して、検査ユニットU3についてさらに詳しく説明する。検査ユニットU3は、
図4~
図6に示されるように、筐体100と、回転保持ユニット200(基板保持部)と、表面撮像ユニット300と、周縁撮像ユニット400とを含む。各ユニット200~400は、筐体100内に配置されている。
図4及び
図5に示されるように、筐体100のうち一端壁には、基板Wを筐体100の内部に搬入し、また、基板Wを筐体100の外部に搬出するための搬入出口101が形成されている。
【0027】
回転保持ユニット200は、
図5及び
図6に示されるように、保持台201と、アクチュエータ202,203と、ガイドレール204とを含む。保持台201は、例えば、吸着等により基板Wを略水平に保持する吸着チャックである。保持台201(吸着チャック)の形状は特に限定されないが、例えば円形であってもよい。保持台201のサイズは、基板Wよりも小さくてもよい。保持台201が円形の場合、保持台201のサイズは、例えば直径が80mm程度であってもよい。
【0028】
アクチュエータ202は、例えば電動モータであり、保持台201を回転駆動する。アクチュエータ202は、保持台201に保持されている基板Wを回転させるように構成されている。アクチュエータ202は、保持台201の回転位置を検出するためのエンコーダを含んでいてもよい。この場合、各ユニット300,400による基板Wの各面の撮像位置と、回転位置との対応付けを行うことができる。基板Wが切欠部を有する場合には、各ユニット300,400によって判別された当該切欠部とエンコーダによって検出された回転位置とに基づいて、基板Wの姿勢を特定することができる。
【0029】
アクチュエータ203は、例えばリニアアクチュエータであり、保持台201をガイドレール204に沿って移動させる。アクチュエータ203は、保持台201に保持されている基板Wをガイドレール204の一端側と他端側との間で搬送するように構成されている。そのため、保持台201に保持されている基板Wは、搬入出口101寄りの第1の位置と、周縁撮像ユニット400寄りの第2の位置との間で移動可能である。ガイドレール204は、筐体100内において線状(例えば、直線状、曲線状など)に延びている。
【0030】
表面撮像ユニット300は、
図5及び
図6に示されるように、カメラ310と、照明モジュール320とを含む。カメラ310及び照明モジュール320は、一組の撮像モジュールを構成している。カメラ310は、レンズと、一つの撮像素子(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ310は、照明モジュール320に対向している。
【0031】
照明モジュール320は、ハーフミラー321と、光源322とを含む。ハーフミラー321は、水平方向に対して略45°傾いた状態で、筐体100内に配置されている。ハーフミラー321は、上方から見てガイドレール204の延在方向に交差するように、ガイドレール204の中間部分の上方に位置している。ハーフミラー321は、矩形状を呈している。ハーフミラー321の長さは、基板Wの直径よりも大きい。
【0032】
光源322は、ハーフミラー321の上方に位置している。光源322は、ハーフミラー321よりも長い。光源322から出射された光は、ハーフミラー321を全体的に通過して下方(ガイドレール204側)に向けて照射される。ハーフミラー321を通過した光は、ハーフミラー321の下方に位置する物体で反射した後、ハーフミラー321で再び反射して、カメラ310のレンズを通過し、カメラ310の撮像素子に入射する。すなわち、カメラ310は、ハーフミラー321を介して、光源322の照射領域に存在する物体を撮像できる。例えば、基板Wを保持する保持台201がアクチュエータ203によってガイドレール204に沿って移動する際に、カメラ310は、光源322の照射領域を通過する基板Wの表面Waを撮像できる。カメラ310によって撮像された撮像画像のデータは、コントローラCtrに送信される。
【0033】
周縁撮像ユニット400は、
図7~
図10に示されるように、カメラ410と、照明モジュール420と、ミラー部材430とを含む。カメラ410、照明モジュール420及びミラー部材430は、一組の撮像モジュールを構成している。カメラ410は、レンズ411と、一つの撮像素子412(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ410は、照明モジュール420に対向している。
【0034】
照明モジュール420は、
図7~
図10に示されるように、保持台201に保持された基板Wの上方に配置されている。照明モジュール420は、光源421と、光散乱部材422と、保持部材423とを含む。光源421は、例えば、複数のLED点光源421b(
図10参照)で構成されていてもよい。
【0035】
保持部材423は、ハーフミラー424と、円柱レンズ425と、光拡散部材426と、焦点調節レンズ427とを内部に保持している。ハーフミラー424は、
図8及び
図10に示されるように、水平方向に対して略45°傾いた状態で、貫通孔423a及び交差孔423bの交差部分に配置されている。ハーフミラー424は、矩形状を呈している。
【0036】
焦点調節レンズ427は、交差孔423b内に配置されている。焦点調節レンズ427は、レンズ411との合成焦点距離を変化させる機能を有するレンズであれば特に限定されない。焦点調節レンズ427は、例えば、直方体形状を呈するレンズである。
【0037】
ミラー部材430は、
図7及び
図10に示されるように、照明モジュール420の下方に配置されている。ミラー部材430は、
図7及び
図10~
図12に示されるように、本体431と、反射面432とを含む。本体431は、アルミブロックによって構成されている。
【0038】
反射面432は、
図12に示されるように、保持台201に保持された基板Wが筐体100内の第2の位置にある場合、保持台201に保持された基板Wの端面Wcと裏面Wbの周縁領域Wdとに対向する。反射面432は、保持台201の回転軸に対して傾斜している。反射面432には、鏡面加工が施されている。例えば、反射面432には、ミラーシートが貼り付けられていてもよいし、アルミめっきが施されていてもよいし、アルミ材料が蒸着されていてもよい。
【0039】
反射面432は、保持台201に保持された基板Wの端面Wcから離れる側に向けて窪んだ湾曲面である。すなわち、ミラー部材430は、凹面鏡である。そのため、基板Wの端面Wcが反射面432に写ると、その鏡像が実像よりも拡大する。反射面432の曲率半径は、例えば、10mm~30mm程度であってもよい。反射面432の開き角θ(
図12参照)は、100°~150°程度であってもよい。なお、反射面432の開き角θとは、反射面432に外接する2つの平面がなす角をいう。
【0040】
照明モジュール420においては、光源421から出射された光は、光散乱部材422で散乱され、円柱レンズ425で拡大され、さらに光拡散部材426で拡散された後、ハーフミラー424を全体的に通過して下方に向けて照射される。ハーフミラー424を通過した拡散光は、ハーフミラー424の下方に位置するミラー部材430の反射面432で反射する。保持台201に保持された基板Wが第2の位置にある場合、拡散光が反射面432で反射した反射光は、
図13(a)に示されるように、主として基板Wの端面Wcと表面Waの周縁領域Wdとに照射される。
【0041】
基板Wの表面Waの周縁領域Wdから反射した反射光は、ミラー部材430の反射面432には向かわずにハーフミラー424で再び反射して(
図13(b)参照)、焦点調節レンズ427は通過せずにカメラ410のレンズ411を通過し、カメラ410の撮像素子412に入射する。一方、基板Wの端面Wcから反射した反射光は、ミラー部材430の反射面432とハーフミラー424とで順次反射して、焦点調節レンズ427とカメラ410のレンズ411とを順次通過し、カメラ410の撮像素子412に入射する。したがって、基板Wの端面Wcからカメラ410の撮像素子412に到達する光の光路長は、基板Wの表面Waの周縁領域Wdからカメラ410の撮像素子412に到達する光の光路長よりも長い。これらの光路の光路差は、例えば1mm~10mm程度であってもよい。このように、カメラ410の撮像素子412には、基板Wの表面Waの周縁領域Wdからの光と、基板Wの端面Wcからの光との双方が入力される。すなわち、保持台201に保持された基板Wが筐体100内の第2の位置にある場合、カメラ410は、基板Wの表面Waの周縁領域Wdと基板Wの端面Wcとの双方を撮像できる。カメラ410によって撮像された撮像画像のデータは、コントローラCtrに送信される。
【0042】
[コントローラの構成]
コントローラCtrは、基板Wの表面Waの処理状態を表す情報として、基板Wの表面Waの画像情報を取得するように検査ユニットU3を制御する。ここで、基板Wの表面Waの画像情報は、基板Wの表面Waの処理状態に応じて変化し得るので、基板Wの表面Waの画像情報に基づくことで、基板Wの表面Waの処理状態を把握することが可能である。しかしながら、基板Wの表面Waの画像情報には、基板Wの表面Waの変形も影響を及ぼし得る。そこで、コントローラCtrは、対象基板の表面の変形因子の情報を得ることと、対象基板の表面画像を得ることと、表面の変形による画像変化を補償する補正係数を、表面の変形因子の情報に基づいて算出することと、補正係数を用いて対象基板の表面画像を補正して、対象基板の補正画像を生成することとを含む、情報処理方法を実行するように構成されている。
【0043】
この情報処理方法によれば、表面の変形因子の情報に基づき補正係数を算出し、補正係数を用いて対象基板の表面画像を補正することで、対象基板の表面の変形による画像変化の影響を、対象基板の表面画像から容易に取り除くことができる。従って、基板の表面画像に基づいて、基板の表面の処理状態をより高い精度で評価するのに有効である。基板Wの表面Waの変形は、表面Waの歪み、及び表面Wa全体の傾きを含む。基板Wの表面Waの変形因子の具体例としては、基板Wの反り、保持台201の表面の凹凸に起因する基板Wの変形、保持台201の傾きに起因する基板Wの傾き等が挙げられる。
【0044】
コントローラCtrは、
図14に示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラCtrの機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラCtrを構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific IntegratedCircuit)により実現されるものであってもよい。
【0045】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取る。記録媒体RMは、塗布現像装置2の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMは、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
【0046】
記憶部M2は、種々のデータを記憶する。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラム、カメラ310,410が撮像した基板Wの表面Waの撮像画像(表面画像)の他、基板Wに関する各種の情報(詳しくは後述するが、例えば、反り量、反り係数、補正係数、補正画像など)、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データ等を記憶する。
【0047】
処理部M3は、各種データを処理する。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、液処理ユニットU1、熱処理ユニットU2、保持台201、アクチュエータ203、カメラ310,410、光源322,421などを動作させるための動作信号を生成してもよい。処理部M3は、算出部M31と、生成部M32とを含む(詳しくは後述する)。
【0048】
指示部M4は、処理部M3において生成された動作信号を各種装置に送信する。
【0049】
コントローラCtrのハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラCtrは、ハードウェア上の構成として、例えば
図15に示される回路Ctr1を有する。回路Ctr1は、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路Ctr1は、具体的には、プロセッサCtr2(算出部、生成部)と、メモリCtr3(記憶部)と、ストレージCtr4(記憶部)と、ドライバCtr5と、入出力ポートCtr6とを含む。
【0050】
プロセッサCtr2は、メモリCtr3及びストレージCtr4の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポートCtr6を介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。メモリCtr3及びストレージCtr4は、記憶部M2として機能する。ドライバCtr5は、塗布現像装置2の各種装置をそれぞれ駆動する回路である。入出力ポートCtr6は、ドライバCtr5と塗布現像装置2の各種装置(例えば、液処理ユニットU1、熱処理ユニットU2、保持台201、アクチュエータ203、カメラ310,410、光源322,421など)との間で、信号の入出力を行う。
【0051】
基板処理システム1は、一つのコントローラCtrを備えていてもよいし、複数のコントローラCtrで構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラCtrによって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラCtrの組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラCtrが複数のコンピュータ(回路Ctr1)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路Ctr1)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路Ctr1)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラCtrは、複数のプロセッサCtr2を有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサCtr2によって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサCtr2の組み合わせによって実現されていてもよい。
【0052】
以下、上述した表面Waの変形因子として、主として基板Wの反りに着目した場合のコントローラCtrによる情報処理方法を例示する。この場合、上述したコントローラCtrによる情報処理方法において、表面Waの変形因子の情報を得ることは、対象基板の反り量を得ることを含み、表面Waの変形因子の情報に基づいて補正係数を算出することは、反り量が既知である基準基板に基づく反り係数と、対象基板の反り量とに基づいて、補正係数を算出することを含む。以下、この情報処理方法を、反り係数の算出方法と、補正方法とに分けて詳述する。
【0053】
[反り係数の算出方法]
続いて、
図16を参照して、検査ユニットU3を用いて基準基板に基づいて反り係数を得る方法について説明する。
【0054】
ここで、基準基板は、平坦であるか否かが既知である基板Wをいい、以下では符号「W
S」を付する。基準基板W
Sは、平坦な基準基板W
SFと、非平坦な基準基板W
SWとを含んでいてもよい。基準基板W
SWは、
図17(a)に示されるような、上に凸の回転放物面形状を呈する基準基板W
S(周縁に向かうにつれて高さが低くなるように反ったドーム形状)と、
図17(b)に示されるような、下に凸の回転放物面形状(周縁に向かうにつれて高さが高くなるように反ったボウル形状)を呈する基準基板W
Sとを含む。
【0055】
基準基板WSの平坦度の評価指標としては、例えば、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格で定義されるGBIR(Global Backside Ideal Focal Plane Range)、SFQR(Site Frontside Least Squares Focal Plane Range)、SBIR(Site Backside Ideal Focal Plane Range)、ROA(RollOff Amount)、ESFQR(Site Frontside Least Squares FocalPlane Range)、ZDD(Z-height Double Differentiation)などが挙げられる。基準基板WSFは、例えば、SFQRの最大値が100nm程度の平坦度を有していてもよいし、SFQRの最大値が42nm程度の平坦度を有していてもよいし、SFQRの最大値が32nm程度の平坦度を有していてもよいし、SFQRの最大値が16nm程度の平坦度を有していてもよい。
【0056】
まず、コントローラCtrが塗布現像装置2の各部を制御して、基準基板WSを検査ユニットU3に搬送させる(ステップS11)。次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、保持台201に基準基板WSを保持させる。次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、アクチュエータ203によって、保持台201を第1の位置から第2の位置へとガイドレール204に沿って移動させる。
【0057】
このとき、コントローラCtrが表面撮像ユニット300を制御して、光源322をONにさせつつ、カメラ310による撮像を行う(ステップS12)。基準基板WSが第2の位置に到達し、カメラ310による撮像が完了すると、カメラ310によって撮像された撮像画像(表面画像)のデータが記憶部M2に送信される。カメラ310による撮像完了時において、基準基板WSは、照明モジュール420とミラー部材430との間に位置する。
【0058】
ここで、
図18に、ドーム形状の基準基板W
SWの表面画像の一例を示す。
図18に示されるように、基準基板W
SWの反りの状態に応じて、表面画像の輝度値が変化する。以下では、表面画像の画素の任意座標(x,y)における輝度値をI(x,y)と表すことがある。
【0059】
次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、保持台201をアクチュエータ202によって回転させる。これにより、基準基板WSが回転する。この状態で、コントローラCtrが周縁撮像ユニット400を制御して、光源421をONにさせつつ、カメラ410による撮像を行う(ステップS13)。こうして、基準基板WSの端面が撮像される。カメラ410によって得られた基準基板WSの端面の撮像画像(端面画像)は、記憶部M2に記憶される。
【0060】
次に、算出部M31は、ステップS12で得られた端面画像に基づいて、基準基板W
Sのプロファイル線(反り量)を算出する(ステップS14)。算出部M31は、例えば、端面画像のコントラスト差に基づいて、基準基板W
Sの端面の上縁及び下縁を判別する。そして、算出部M31は、当該上縁と下縁との中間位置を通る線をプロファイル線として算出する。こうして、基準基板W
Sの端面の形状が取得される。なお、一例として、基準基板W
Sのプロファイル線P0,P1,P2を
図19に示す。
【0061】
プロファイル線P0は、基準基板WSFのプロファイル線の例である。プロファイル線P1,P2はそれぞれ、基準基板WSWのプロファイル線の例である。
【0062】
プロファイル線P1は、ドーム形状の基準基板W
SW(
図17(a)参照)のプロファイル線の例である。基準基板W
Sの中央部を基準とした場合、ドーム形状の基準基板W
SWの周縁の高さは、基準基板W
SFの周縁の高さよりも低くなるので、プロファイル線P1は、プロファイル線P0を上回ることなくプロファイル線P0に沿って延びる傾向にある(同参照)。
【0063】
プロファイル線P2は、ボウル形状の基準基板W
SW(
図17(b)参照)のプロファイル線の例である。基準基板W
Sの中央部を基準とした場合、ボウル形状の基準基板W
SWの周縁の高さは、基準基板W
SFの周縁の高さよりも高くなるので、プロファイル線P2は、プロファイル線P0を下回ることなくプロファイル線P0に沿って延びる傾向にある(同参照)。
【0064】
次に、算出部M31は、基準基板WSFのプロファイル線P0と基準基板WSWのプロファイル線P1,P2とに基づいて、基準基板WSFに対する基準基板WSWの相対反り量(反り量)を算出する(ステップS15)。例えば、基準基板WSWがドーム形状を呈している場合、算出部M31は、基準基板WSWの所定の座標(角度)におけるプロファイル線P1の値から同じ座標における基準基板WSFのプロファイル線P0の値を減算して、相対反り量ΔP(μm)を算出してもよい。算出部M31は、例えば、90°の位置での相対反り量ΔPを次の式により算出してもよい。
ΔP=P1(90°)-P0(90°)
算出部M31は、プロファイル線P1の平均値P1Mと、プロファイル線P2の平均値P2Mとの差分に基づいて、相対反り量ΔPを算出してもよい。算出部M31は、例えば、次の式により相対反り量ΔPを算出してもよい。
ΔP=P1M-P2M
【0065】
次に、算出部M31は、相対反り量ΔPと、基準基板WSWの表面画像とに基づいて、反り係数A(x,y)を算出する(ステップS16)。算出部M31は、例えば、相対反り量ΔPと、基準基板WSWの表面画像の輝度値IW(x,y)とから、基準基板WSWの反り1μmあたりの輝度値の強度変動を各画素について求めて、当該強度変動を反り係数A(x,y)として算出してもよい。
【0066】
このとき、輝度値IW(x,y)に代えて、基準基板WSFの表面画像の輝度値IF(x,y)で輝度値IW(x,y)を除算した標準化データIN(x,y)を用いて、反り係数A(x,y)を算出してもよい。算出部M31は、例えば、次の式により反り係数A(x,y)を算出してもよい。
A(x,y)=|1-IN(x,y)|/|ΔP|
【0067】
基準基板WSWの表面画像における中央部の輝度値を基準基板WSFの表面画像の輝度値と見なした見なし輝度値IF’(x,y)により、標準化データIN(x,y)を算出してもよい。見なし輝度値IF’(x,y)は、例えば、基準基板WSWの表面画像において中央部のY方向に数十~100ピクセル程度並ぶ画素を平均化し、その値をY方向の全ての画素の輝度値に置き換える作業を、X方向の全ての画素に対して実施したものであってもよい。
【0068】
[補正方法]
続いて、
図20を参照して、検査ユニットU3を用いて、製品用の基板W(以下、基板W
Pと称する。)の反りが撮像画像に及ぼす影響を補正する方法について説明する。
【0069】
まず、コントローラCtrが塗布現像装置2の各部を制御して、基板WPを検査ユニットU3に搬送させる(ステップS21)。次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、保持台201に基板Wを保持させる。次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、アクチュエータ203によって、保持台201を第1の位置から第2の位置へとガイドレール204に沿って移動させる。
【0070】
このとき、コントローラCtrが表面撮像ユニット300を制御して、光源322をONにさせつつ、カメラ310による撮像を行う(ステップS22)。基板WPが第2の位置に到達し、カメラ310による撮像が完了すると、カメラ310によって撮像された基板WPの表面の撮像画像(表面画像)のデータが記憶部M2に送信される。カメラ310による撮像完了時において、基板WPは、照明モジュール420とミラー部材430との間に位置する。
【0071】
次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、保持台201をアクチュエータ202によって回転させる。これにより、基板WPが回転する。この状態で、コントローラCtrが周縁撮像ユニット400を制御して、光源421をONにさせつつ、カメラ410による撮像を行う(ステップS23)。こうして、基板WPの端面が撮像される。カメラ410によって得られた基板WPの端面の撮像画像(端面画像)は、記憶部M2に記憶される。
【0072】
次に、算出部M31は、ステップS12で得られた端面画像に基づいて、基板WPのプロファイル線(反り量)を算出する(ステップS24)。算出部M31は、例えば、端面画像のコントラスト差に基づいて、基板WPの端面の上縁及び下縁を判別する。そして、算出部M31は、当該上縁と下縁との中間位置を通る線をプロファイル線PXとして算出する。こうして、基板WPの端面の形状が取得される。
【0073】
次に、算出部M31は、基準基板WSFのプロファイル線P0と基板WPのプロファイル線PXとに基づいて、基準基板WSFに対する基板WPの相対反り量(反り量)を算出する(ステップS25)。例えば、算出部M31は、基準基板WSFの所定の座標(角度)におけるプロファイル線P1の値から同じ座標における基板WPのプロファイル線PXの値を減算して、相対反り量ΔQ(μm)を算出してもよい。算出部M31は、例えば、90°の位置での相対反り量ΔQを次の式により算出してもよい。
ΔQ=PX(90°)-P0(90°)
【0074】
次に、算出部M31は、相対反り量Qと、ステップS16で算出した反り係数A(x,y)とに基づいて、補正係数B(x,y)を算出する(ステップS26)。算出部M31は、例えば、次の式により補正係数B(x,y)を算出してもよい。
B(x,y)=A(x,y)×ΔQ+1
【0075】
次に、生成部M32は、基板WPの表面画像の輝度値I(x,y)と、ステップS26で算出した補正係数B(x,y)とに基づいて、基板WPの表面画像から反りの影響を除いた補正画像の輝度値J(x,y)を算出する。生成部M32は、例えば、輝度値I(x,y)を補正係数B(x,y)で除算することにより、輝度値J(x,y)を算出してもよい。これにより、基板WPの反りによる影響が補正された補正画像が生成される(ステップS27)。
【0076】
[作用]
以上の例によれば、補正係数B(x,y)は、反り量が既知である基準基板WSに基づく反り係数A(x,y)と、当該補正係数B(x,y)を算出しようとする基板WPそれ自身に由来する相対反り量ΔQとから得られる。そのため、基板WPの表面画像が、自己のパラメータを含む相対反り量ΔQに基づいて適切に補正される。したがって、基板WPに反りがある場合であっても、その反りの影響が補正された補正画像を精度よく得ることが可能となる。
【0077】
以上の例によれば、反り係数A(x,y)は、基準基板WSWの表面画像の各画素のそれぞれについて算出されうる。この場合、補正係数B(x,y)も、基板WPの表面画像の各画素にそれぞれ応じた値となる。そのため、反り係数A(x,y)を用いることで、基板WPの表面画像の各画素のそれぞれに応じた補正係数B(x,y)をより簡単に算出することが可能となる。また、基板WPに反りがある場合であっても、補正係数B(x,y)を用いることで、その反りの影響をより効果的に補正することが可能となる。
【0078】
以上の例によれば、反り係数A(x,y)は、基準基板WSWの表面画像の輝度値IW(x,y)に基づいて、基準基板WSWの表面画像の各画素のそれぞれについて算出されうる。この場合、反り係数A(x,y)から得られる補正係数B(x,y)を用いて、基板WPの表面画像における各画素の輝度値をそれぞれ補正することで、補正画像が生成される。そのため、輝度値の計算という簡単な手法で、反り係数A(x,y)及び補正画像を得ることが可能となる。
【0079】
以上の例によれば、標準化データIN(x,y)を用いて反り係数A(x,y)が算出されうる。この場合、当該反り係数A(x,y)を用いて、後続の計算をより簡単に行うことが可能となる。
【0080】
以上の例によれば、基準基板WSWの反り量は、基準基板WSFのプロファイル線P0と基準基板WSWのプロファイル線P1,P2とに基づく相対反り量ΔPとして算出されうる。この場合、基準基板WSFの自重による反りの影響が除去される。そのため、精度の高い反り係数A(x,y)を算出することが可能となる。
【0081】
以上の例によれば、基板WPの反り量は、基準基板WSFのプロファイル線P0と基板WPのプロファイル線PXとに基づく相対反り量ΔQとして算出されうる。この場合、基板WPの自重による反りの影響が除去される。そのため、精度の高い補正係数B(x,y)を算出することが可能となる。したがって、基板WPに反りがある場合であっても、その反りの影響をさらに効果的に補正することが可能となる。
【0082】
ところで、一般に、基板Wの表面画像は、基板Wの反り量に応じて各画素の色情報が変化する。そのため、以上の例のように、基準基板WSWの反り量と、基準基板WSWの表面画像との対応関係に基づいて反り係数A(x,y)をモデル化することにより、反り係数A(x,y)と、基板WPの反り量との関係性から、基板WPの表面画像の補正係数を簡易且つ直接的に算出することが可能となる。
【0083】
以上の例によれば、基準基板WSの反り量の測定と、基準基板WSの表面の撮像とは、同じ筐体100内で行われる。同様に基板WPの反り量の測定と、基板WPの表面の撮像とは、同じ筐体100内で行われる。そのため、基板WP又は基準基板WSの搬送が最小限となるので、反り係数A(x,y)又は補正画像の取得の高速化を図ることが可能となる。
【0084】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0085】
(1)反射面432は、湾曲面以外の他の形状(例えば、平坦面)を呈していてもよい。
【0086】
(2)周縁撮像ユニット400は、焦点調節レンズ427を含んでいなくてもよい。
【0087】
(3)周縁撮像ユニット400は、光散乱部材422、円柱レンズ425及び光拡散部材426のいずれかを含んでいなくてもよい。
【0088】
(4)検査ユニットU3は、棚ユニット14,15に配置されていてもよい。
【0089】
(5)基準基板WS又は基板WPの反り量(相対反り量ΔP,ΔQ)を算出するにあたり、基準基板WS又は基板WPの端面Wcのみを撮像可能な撮像モジュールを用いてもよい。
【0090】
(6)保持台201によって回転される基板Wは、偏心回転したり、中心軸が傾いた状態で回転することがある。保持台201の回転軸自体の軸振れ、保持台201の機械的な組み付け公差による振れ、保持台201の吸着面における公差による振れなどが存在することがあるためである。その結果、基板Wの周縁が上下に振れることがある。そこで、調整用の基板W(以下、基板WAと称する。)を用いて、保持台201による回転ぶれの影響を抑制することにより、基板Wの反りをより高精度に補正してもよい。
【0091】
例えば、反り係数の算出前に、保持台201に対する基板WAの角度を変えつつ、基板WAの反り量(プロファイル線)を複数取得してもよい。取得された当該プロファイル線には、回転保持ユニット200による基板WAの回転ぶれの成分と、基板WAの反りの成分が含まれる。そこで、基板WAの複数のプロファイル線に基づいて、保持台201による回転ぶれの成分(保持台201の傾き成分)を算出してもよい。
【0092】
(7)基準基板WSWの異なる2つの領域(例えば、上半分領域及び下半分領域)についての反り量(第1の反り量及び第2の反り量)を、それぞれ取得してもよい。基準基板WSWの一方の領域に対する第1の反り係数を、第1の反り量と、当該一方の領域の表面画像とに基づいて算出してもよい。基準基板WSWの他方の領域に対する第2の反り係数を、第2の反り量と、当該他方の領域の表面画像とに基づいて算出してもよい。
【0093】
基準基板WSWの異なる2つの領域に対応するように設定された基板WPの異なる2つの領域(例えば、上半分領域及び下半分領域)についての反り量(第3の反り量及び第4の反り量)を、それぞれ取得してもよい。基板WPの一方の領域に対する第1の補正係数を、第3の反り量と、第1の反り係数とに基づいて算出してもよい。基板WPの他方の領域に対する第2の補正係数を、第4の反り量と、第2の反り係数とに基づいて算出してもよい。
【0094】
基板WPの一方の領域に対する第1の補正画像を、第1の補正係数を用いて生成してもよい。基板WPの他方の領域に対する第2の補正画像を、第2の補正係数を用いて生成してもよい。これらの第1の補正画像及び第2の補正画像を合成して、基板WPの全体の補正画像を生成してもよい。以上によれば、基準基板WSWの一方の領域の反り量と基準基板WSWの他方の領域の反り量とが異なっている場合や、基板WPの一方の領域の反り量と基板WPの他方の領域の反り量とが異なっている場合でも、基板WPの補正画像を精度よく得ることが可能となる。
【0095】
(8)反り係数、補正係数などの計算は、各画素に含まれる色情報(色相、彩度、明度など)に基づいて行われてもよい。
【0096】
(9)キャリアから搬送されてくる最初の1枚目の基板WPに対してのみ補正係数B(x,y)を算出してもよい。この場合、2枚目以降の基板WPの表面画像の輝度値I(x,y)と、1枚目の基板WPから得られた補正係数B(x,y)とに基づいて、補正画像を精製してもよい。
【0097】
(10)複数の基板WPの表面画像の輝度値I(x,y)を取得する処理(ステップS22)と、当該複数の基板WPのうち少なくとも一つから補正係数B(x,y)を算出する処理(ステップS23~S26)とが、別のタイミングで実行されてもよい。例えば、複数の基板WPの表面画像の輝度値I(x,y)を取得する処理(ステップS22)が完了した後に、当該複数の基板WPのうち少なくとも一つから補正係数B(x,y)を算出する処理(ステップS23~S26)が実行されてもよい。当該補正係数B(x,y)を用いて、既に取得されている複数の基板WPの表面画像の輝度値I(x,y)を一括して補正してもよい(補正のバッチ処理)。
【0098】
(11)上記の反り係数の算出処理又は補正処理は、塗布現像装置2から独立した検査ユニットU3によって実行されてもよい。
【0099】
[他の例]
例1.情報処理方法の一例は、対象基板の反り量を得ることと、対象基板の表面画像を得ることと、反り量が既知である基準基板に基づいて生成された反り係数と、対象基板の反り量とに基づいて、対象基板の表面画像の補正係数を算出することと、補正係数を用いて対象基板の表面画像を補正して、対象基板の補正画像を生成することとを含んでいてもよい。この場合、補正係数は、反り量が既知である基準基板に由来する反り係数と、当該補正係数を算出しようとする対象基板それ自身に由来する反り量とから得られる。そのため、対象基板の表面画像が、自己のパラメータに由来する反り量に基づいて適切に補正される。したがって、対象基板に反りがある場合であっても、その反りの影響が補正された補正画像を精度よく得ることが可能となる。
【0100】
例2.例1の方法において、補正係数を算出することは、対象基板の表面画像の各画素のそれぞれに応じた補正係数を算出することを含んでいてもよい。この場合、対象基板の表面画像が画素ごとに補正される。そのため、対象基板に反りがある場合であっても、その反りの影響をより効果的に補正することが可能となる。
【0101】
例3.例1又は例2の方法において、補正画像を生成することは、補正係数を用いて対象基板の表面画像における各画素の輝度値をそれぞれ補正することにより、補正画像を生成することを含んでいてもよい。この場合、輝度値の計算という簡単な手法で補正画像を得ることが可能となる。
【0102】
例4.例1~例3のいずれかの方法において、対象基板の反り量を得ることは、略平坦な基準基板の端面におけるプロファイル線のデータ及び対象基板の端面におけるプロファイル線のデータに基づいて対象基板の反り量を算出することを含んでいてもよい。この場合、対象基板の自重による反りの影響が除去される。そのため、対象基板に反りがある場合であっても、その反りの影響をさらに効果的に補正することが可能となる。
【0103】
例5.例1~例4のいずれかの方法は、基準基板の反り量を得ることと、基準基板の表面画像を得ることと、基準基板の反り量と、基準基板の表面画像とに基づいて、反り係数を算出することとをさらに含んでいてもよい。この場合、反り係数は、基準基板の反り量と、基準基板の表面画像との対応関係によってモデル化される。一般的に、基板の表面画像は、基板の反り量に応じて各画素の色情報が変化するので、例5において規定される反り係数と、対象基板の反り量との関係性から、対象基板の表面画像の補正係数を簡易且つ直接的に算出することが可能となる。
【0104】
例6.例5の方法において、反り係数を算出することは、基準基板の表面画像の各画素のそれぞれについて反り係数を算出することを含んでいてもよい。この場合、基準基板の表面画像の各画素に対応する反り係数を用いることにより、対象基板の表面画像の各画素のそれぞれに応じた補正係数をより簡単に算出することが可能となる。
【0105】
例7.例6の方法において、反り係数を算出することは、基準基板の反り量と、基準基板の表面画像における各画素の輝度値とに基づいて、基準基板の表面画像の各画素のそれぞれについて反り係数を算出することを含んでいてもよい。この場合、輝度値の計算という簡単な手法で反り係数を得ることが可能となる。
【0106】
例8.例7の方法において、反り係数を算出することは、基準基板の表面画像の中央領域における輝度値によって当該表面画像の各画素の輝度値が標準化された標準化データを生成することと、基準基板の反り量と標準化データとに基づいて、反り係数を算出することとを含んでいてもよい。この場合、当該反り係数を用いて、後続の計算をより簡単に行うことが可能となる。
【0107】
例9.例5~例8のいずれかの方法において、基準基板の反り量を得ることは、略平坦な基準基板の端面におけるプロファイル線のデータ及び非平坦な基準基板の端面におけるプロファイル線のデータに基づいて基準基板の反り量を算出することを含んでいてもよい。この場合、基準基板の自重による反りの影響が除去される。そのため、精度の高い反り係数を算出することが可能となる。
【0108】
例10.例9の方法において、非平坦な基準基板は、上に凸の回転放物面形状を呈する基準基板、又は、下に凸の回転放物面形状を呈する基準基板であってもよい。
【0109】
例11.例5~例10のいずれかの方法は、基準基板の異なる2つの領域の反り量をそれぞれ得ることと、2つの領域の反り量と、基準基板の表面画像とに基づいて、2つの領域のそれぞれについて反り係数を算出することとをさらに含んでいてもよい。この場合、基準基板の一方の領域の反り量と基準基板の他方の領域の反り量とが異なっていても、対象基板の補正画像を精度よく得ることが可能となる。
【0110】
例12.例1~例11のいずれかの方法は、基板保持部に対する調整用基板の角度を変えて得られた、調整用基板の2通りの反り量に基づいて、基板保持部の傾き成分を算出することをさらに含んでいてもよい。この場合、基板を保持する基板保持部の傾きの影響を基板の反り量から除去することが可能となる。
【0111】
例13.例1~例12のいずれかの方法において、対象基板の反り量の測定と、対象基板の表面の撮像とは、同じ筐体内で行われてもよい。この場合、対象基板の搬送が最小限となるので、補正画像の取得の高速化を図ることが可能となる。
【0112】
例14.情報処理装置の一例は、反り量が既知である基準基板に基づいて生成された反り係数と、対象基板の反り量と、対象基板の表面画像とを記憶するように構成された記憶部と、反り係数と、対象基板の反り量とに基づいて、対象基板の表面画像の補正係数を算出するように構成された算出部と、補正係数を用いて対象基板の表面画像を補正して、対象基板の補正画像を生成するように構成された生成部とを備えていてもよい。この場合、例1と同様の作用効果が得られる。
【0113】
例15.コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例1~例13のいずれかの方法を情報処理装置に実行させるためのプログラムを記録していてもよい。この場合、例1の方法と同様の作用効果が得られる。本明細書において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、一時的でない有形の媒体(non-transitorycomputer recording medium)(例えば、各種の主記憶装置又は補助記憶装置)や、伝播信号(transitorycomputer recording medium)(例えば、ネットワークを介して提供可能なデータ信号)を含んでいてもよい。
【0114】
2.第2実施形態
上述の第1実施形態においては、上述した表面Waの変形因子として、主として基板Wの反りに着目した場合のコントローラCtrによる情報処理方法を例示した。第2実施形態においては、上述した表面Waの変形因子として、主として保持台201の表面の凹凸に起因する基板Wの変形、及び保持台201の傾きに起因する基板Wの傾き(
図21参照)に着目した場合の構成を例示する。
【0115】
[基板処理システム]
同一の保持台201が用いられる限り、保持台201の表面の凹凸は、基板Wの形状に対し高い再現性で影響を及ぼすものと考えられる。しかしながら、上述したように保持台201は回転可能である。このため、保持台201に関する変形因子が基板Wの表面Waの画像情報に及ぼす影響、及び保持台201が基板Wの形状に及ぼす影響は、保持台201の回転角度によって変わり得る。そこで、第2実施形態においては、表面撮像ユニット300が取得する画像内における保持台201の傾きを把握する必要がある。このため、第2実施形態においては、
図22に示すように、保持台201に、指標211が設けられている(検査ユニットU3は指標211を更に有する)。指標211の具体例としては、指標穴等が挙げられる。
【0116】
保持台201に関する変形因子に着目する場合、コントローラCtrによる情報処理方法において、対象基板の表面画像を得ることは、回転可能な保持台201に保持された対象基板の表面画像を得ることを含み、表面の変形因子の情報を得ることは、対象基板の表面画像を得る際における保持台201の回転角度情報を得ることを含み、表面Waの変形因子の情報に基づいて補正係数を算出することは、保持台201の回転角度情報に基づいて補正係数を算出することを含む。
【0117】
表面Waの変形因子の情報に基づいて補正係数を算出することは、保持台201の回転角度と補正係数との関係を表す係数モデルと、保持台201の回転角度情報とに基づいて補正係数を算出することを含んでもよい。
【0118】
以下、この情報処理方法を、係数モデルの算出方法と、補正画像の生成方法とに分けて詳述する。
【0119】
[係数モデルの算出方法]
図23に示すように、まず、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、アクチュエータ203によって、保持台201を第1の位置から第2の位置へとガイドレール204に沿って移動させる。このとき、コントローラCtrが表面撮像ユニット300を制御して、光源322をONにさせつつ、カメラ310による撮像を行う(ステップS31)。保持台201が第2の位置に到達し、カメラ310による撮像が完了すると、カメラ310によって撮像された撮像画像(チャック表面画像)のデータが記憶部M2に送信される。
【0120】
次に、算出部M31が、回転保持ユニット200から、保持台201の回転角度情報を取得する(ステップS32)。一例として、回転保持ユニット200は、アクチュエータ202の回転角度センサ(例えばロータリーエンコーダ)による保持台201の回転角度の検出値を、記憶部M2に送信する。算出部M31は、回転角度センサによる保持台201の回転角度の検出値を、記憶部M2から取得する。以下、回転角度センサによる保持台201の回転角度の検出値を「センサ角度」という。
【0121】
次に、算出部M31は、ステップS31において取得されたチャック表面画像における指標211の位置に基づいて、チャック表面画像内における保持台201の回転角度を算出する。以下、チャック表面画像内における保持台201の回転角度を「画像内チャック角度」という。算出部M31は、センサ角度を画像内チャック角度に換算するための角度換算値を算出し、記憶部M2に記憶させる(ステップS33)。
【0122】
次に、コントローラCtrが塗布現像装置2の各部を制御して、基準基板WSを検査ユニットU3に搬送させる(ステップS34)。次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、保持台201に基準基板WSを保持させる。
【0123】
次に、コントローラCtrは、アクチュエータ202により保持台201を基準基板WSと共に回転させ、複数の回転角度ごとに基準基板WSの表面画像を表面撮像ユニット300に取得させる。以下、これにより取得される複数の表面画像のそれぞれを、「基準画像」という。
【0124】
一例として、コントローラCtrは、複数の回転角度ごとに、アクチュエータ203によって、保持台201を第1の位置から第2の位置へとガイドレール204に沿って移動させる。このとき、コントローラCtrが表面撮像ユニット300を制御して、光源322をONにさせつつ、カメラ310による撮像を行う。基準基板WSが第2の位置に到達し、カメラ310による撮像が完了すると、カメラ310によって撮像された基準画像のデータが記憶部M2に送信される(ステップS35)。
【0125】
ステップS35において複数の回転角度ごとの撮像およびそのデータの蓄積が完了したあと、算出部M31は、全ての基準画像に基づいて、保持台201の回転角度(例えば上記画像内チャック角度)と、補正係数との関係を表す係数モデルを生成し、記憶部M2に記憶させる。例えばコントローラCtrは、全ての基準画像ごとに、基準画像内の画素ごとに、保持台201の回転角度(例えば上記画像内チャック角度)と、画素値(例えば輝度値、又は色情報)との関係を表す角度-係数関数を生成する(ステップS38)。画素ごとに生成される複数の角度-係数関数の集合が、係数モデルの一例に相当する。また、保持台201の回転角度と、角度-係数関数とに基づいて導出される画素ごとの画素値が、補正係数の一例に相当する。以下、この画素値を「補正画素値」という。以上で係数モデルの生成が完了する。
【0126】
[補正画像の生成方法]
図24に示すように、コントローラCtrが塗布現像装置2の各部を制御して、基板W
Pを検査ユニットU3に搬送させる(ステップS41)。次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、保持台201に基板W
Pを保持させる。
【0127】
次に、算出部M31が、上記回転角度センサによる保持台201の回転角度の検出値(上記センサ角度)を、記憶部M2から取得し、記憶部M2が記憶する角度換算値とセンサ角度とに基づいて、上記画像内チャック角度を算出する(ステップS42)。
【0128】
次に、コントローラCtrが回転保持ユニット200を制御して、アクチュエータ203によって、保持台201を第1の位置から第2の位置へとガイドレール204に沿って移動させる。このとき、コントローラCtrが表面撮像ユニット300を制御して、光源322をONにさせつつ、カメラ310による撮像を行う(ステップS43)。基板WPが第2の位置に到達し、カメラ310による撮像が完了すると、カメラ310によって撮像された撮像画像(表面画像)のデータが記憶部M2に送信される。
【0129】
次に、算出部M31は、ステップS42で算出した画像内チャック角度と、記憶部M2が記憶する係数モデルとに基づいて、補正係数を算出する(ステップS44)。例えば算出部M31は、表面画像の画素ごとに、角度-係数関数と、画像内チャック角度とに基づいて補正画素値を算出する。
【0130】
次に、生成部M32は、基板WPの表面画像と、ステップS42で算出した補正係数とに基づいて、基板WPの表面画像から、保持台201に関する変形因子の影響を除いた補正画像を生成する。例えば生成部M32は、基板WPの表面画像の各画素の画素値から、補正画素値を減算する。これにより、保持台201に関する変形因子の影響を除いた補正画像が生成される(ステップS45)。
【0131】
[作用]
以上の例によれば、保持台201の姿勢が表面Waに及ぼす影響をも加味した補正係数を用いることで、対象基板の表面Waの変形による画像変化の影響を、より確実に対象基板の表面画像から取り除くことができる。従って、基板Wの表面画像に基づいて、基板Wの表面状態をより高い精度で評価するのに有効である。
【0132】
以上の例によれば、補正係数と保持台201の回転角度との関係を表す係数モデルを用いることで、補正係数をより簡単且つ適切に算出することができる。
【0133】
以上においては、保持台201の表面の凹凸に起因する基板Wの変形と、保持台201の傾きに起因する基板Wの傾きとの両方を考慮した場合の係数モデルの生成方法を例示したが、いずれか一方のみを考慮して係数モデルを生成してもよい。例えば、保持台201の傾きが無視できる程度に小さい場合、保持台201の表面の凹凸に起因する基板Wの変形のみを考慮して係数モデルを生成してもよい。
【0134】
基板Wの反り量に着目した第1実施形態の情報処理方法と、保持台201に関する変形因子に着目した第2実施形態の情報処理方法とを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…基板処理システム、2…塗布現像装置、100…筐体、200…回転保持ユニット(基板保持部)、300…表面撮像ユニット、400…周縁撮像ユニット、Ctr…コントローラ(情報処理装置)、Ctr2…プロセッサ(算出部、生成部)、Ctr3…メモリ(記憶部)、Ctr4…ストレージ(記憶部)、M2…記憶部、M3…処理部、M31…算出部、M32…生成部、RM…記録媒体、U3…検査ユニット、W,WA,WP…基板、WS,WSF,WSW…基準基板、Wa…表面。