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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シートの貼着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241128BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241128BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/304 622L
H01L21/78 M
B24B41/06 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021027535
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129011
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章文
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌照
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-40941(JP,A)
【文献】特開2009-152424(JP,A)
【文献】特開2015-53396(JP,A)
【文献】特開2011-109008(JP,A)
【文献】特開2005-93987(JP,A)
【文献】特開2010-103137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
H01L 21/301
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被加工物に熱可塑性樹脂からなるシートを熱圧着して固定するシートの貼着装置であって、
被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、
被加工物を覆う大きさの押圧面で、該チャックテーブルに保持された被加工物へ該シートを押圧する押圧板と、
該押圧板の一端側に設けられた回転軸で該押圧板を開閉させ、該押圧面で該シートを被加工物に押圧する押圧位置と、該チャックテーブルが露出する開放位置とに該押圧板を位置付ける開閉ユニットと、
該シートを軟化させる発熱手段と、
該シートを保持するシート保持部と、を有し、
該押圧板の該押圧面にはシート状の弾性部材が敷設されており、
該開放位置から該押圧位置へと該押圧板を被加工物に向かって徐々に傾けることで、被加工物の一端から他端へと、該シート保持部に保持された該シートを該弾性部材を介して押圧することを特徴とするシートの貼着装置。
【請求項2】
該弾性部材の体積弾性率は、10MPa以下であり、厚さは0.5mm以上である請求項1に記載のシートの貼着装置。
【請求項3】
該発熱手段は該押圧板に設けられ、
該弾性部材は該シートより軟化点温度が高く耐熱性を有する請求項1又は2に記載のシートの貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハやパッケージ基板などの被加工物を研削して薄化したり分割したりする際、デバイスが損傷しないよう、保護テープが貼着される。保護テープは、ダイシングテープやグラインドテープと呼ばれ、基材層と粘着層から構成される樹脂製の粘着テープであり、加工終了後、被加工物は粘着テープから剥離される。剥離された被加工物には、粘着層の残渣が残り、デバイスへの悪影響がある場合がある。そこで、粘着層のない、熱可塑性樹脂からなるシートを熱圧着で固定し加工する加工方法が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-201016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱可塑性樹脂からなるシートは、粘着層が無いため、被加工物には残渣が残らないという効果があるが、軟化点以上の温度で加熱しつつ貼着する必要があり、通常粘着テープの貼着で用いるローラーによる貼着が難しいという問題があった。また、粘着層が無いため、空気の噛み込みを残したまま加熱を停止すると、加熱無しに再び貼り付けることが難しいため、空気の噛み込み無く熱圧着を実施したいという要望があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱可塑性樹脂からなるシートを熱圧着する際の空気の噛み込みを抑制できるシートの貼着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のシートの貼着装置は、板状の被加工物に熱可塑性樹脂からなるシートを熱圧着して固定するシートの貼着装置であって、被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、被加工物を覆う大きさの押圧面で、該チャックテーブルに保持された被加工物へ該シートを押圧する押圧板と、該押圧板の一端側に設けられた回転軸で該押圧板を開閉させ、該押圧面で該シートを被加工物に押圧する押圧位置と、該チャックテーブルが露出する開放位置とに該押圧板を位置付ける開閉ユニットと、該シートを軟化させる発熱手段と、該シートを保持するシート保持部と、を有し、該押圧板の該押圧面にはシート状の弾性部材が敷設されており、該開放位置から該押圧位置へと該押圧板を被加工物に向かって徐々に傾けることで、被加工物の一端から他端へと、該シート保持部に保持された該シートを該弾性部材を介して押圧することを特徴とする。
【0007】
該弾性部材の体積弾性率は、10MPa以下であり、厚さは0.5mm以上であることが好ましい。
【0008】
該発熱手段は該押圧板に設けられ、該弾性部材は該シートより軟化点温度が高く耐熱性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、熱可塑性樹脂からなるシートを熱圧着する際の空気の噛み込みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係るシートの貼着装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、図1のシートの貼着装置の断面図である。
図3図3は、図1のシートの貼着装置の断面図である。
図4図4は、実施形態2に係るシートの貼着装置の構成例を示す斜視図である。
図5図5は、図4のシートの貼着装置の断面図である。
図6図6は、図4のシートの貼着装置の断面図である。
図7図7は、変形例に係るシートの貼着装置の構成例を示す断面図である。
図8図8は、実施形態1及び実施形態2に係るシートの貼着装置の作用効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るシートの貼着装置1を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係るシートの貼着装置1の構成例を示す斜視図である。図2及び図3は、図1のシートの貼着装置1の断面図である。実施形態1に係るシートの貼着装置1は、図1図2及び図3に示すように、チャックテーブル10と、押圧板20と、開閉ユニット30と、発熱手段40と、シート保持部50と、弾性部材60と、制御ユニット70と、を備える。
【0013】
実施形態1において、シートの貼着装置1が熱可塑性樹脂からなるシート110を熱圧着して固定する被加工物100は、例えば、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。被加工物100は、実施形態1では、図1に示すように、表面101の格子状に形成される複数の分割予定ライン102によって区画された領域にデバイス103が形成されている。被加工物100は、本発明では板状であればよく、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でも良い。
【0014】
シート110は、面方向に、シート110が熱圧着される被加工物100の一方の面を覆う大きさを有する。また、シート110は、シート110が熱圧着される被加工物100の一方の面に電極バンプ等の凹凸を有する場合、当該凹凸を覆うことが可能なように、当該凹凸より厚く形成されている。
【0015】
シート110を構成する熱可塑性樹脂は、実施形態1では、軟化点より低温の硬化状態では、流動性を有さない剛体であり、実質的に粘着剤のような粘着性を有さないため、被加工物100の一方の面と過度に粘着することが抑制される。また、シート110を構成する熱可塑性樹脂は、軟化点より高温の軟化状態では、流動性を有するものの、実質的に粘着剤のような粘着性は概ね見られないため、被加工物100の一方の面と過度に粘着することが低減される。
【0016】
シート110を構成する熱可塑性樹脂は、具体的には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ(4-メチル-1-ペンテン),ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン-6,ナイロン-66,ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン、エーテルポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー、エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸三元共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂、並びに、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
【0017】
シート110を構成する熱可塑性樹脂に使用される上記のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体を構成する不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、及び、無水イタコン酸等が例示される。ここで、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸の2元共重合体のみならず、更に他の単量体が共重合された多元共重合体を包含するものである。エチレン-不飽和カルボン酸共重合体に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどが例示される。
【0018】
シート110を構成する熱可塑性樹脂の軟化点は、実施形態1では、0℃以上300℃以下の範囲内の温度である。シート110を構成する熱可塑性樹脂は、上で例示した化合物群が使用されるので、軟化点が0℃以上300℃以下の範囲内の温度となる。シート110を構成する熱可塑性樹脂は、上で例示した異なる種類の化合物を混ぜることで、軟化点を調整することができ、例えば、軟化点をドライ研磨加工中の被加工物100の温度である40℃~100℃程度よりも高い温度に調整することで、ドライ研磨加工中に軟化状態となることを防止することができる。
【0019】
シート110を構成する熱可塑性樹脂は、被加工物100に接触してデバイス103に侵入することでデバイス103の動作不良が生じる可能性がある金属であるナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない。なお、ナトリウム及び亜鉛は、一般的に粘着テープの基材層にコシ(すなわち、しなやかさ及び丈夫さ)を持たせるために意図的に添加されるものであり、意図的に添加しなければ基本的に含まれない。ここで、シート110を構成する熱可塑性樹脂がナトリウム及び亜鉛のいずれも含まないとは、シート110を構成する熱可塑性樹脂に対して実施可能な本出願時点で周知の成分検出方法、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、ICP-MS)や二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry、SIMS)等を用いて熱可塑性樹脂を分析しても、ナトリウム及び亜鉛のいずれもが検出限界以下であることをいう。
【0020】
シート110を構成する熱可塑性樹脂は、大きさが0.1nm以上400nm以下のフィラーが混合されている。フィラーは、実施形態1では、粒状であるが、本発明ではこれに限定されず、繊維のような柱状等の形状を有していてもよい。なお、本明細書では、フィラーの大きさは、フィラーの粒子径で定義される。粒子径の表し方には、幾何学的径、相当径等の既知の手法がある。幾何学的径には、フェレー(Feret)径、定方向最大径(即ち、Krummbein径)、Martin径、ふるい径等があり、相当径には、投影面積円相当径(即ち、Heywood径)、等表面積球相当径、等体積球相当径、ストークス径、光散乱径等がある。フィラーが繊維のような柱状等の形状を有している場合でも、前述のフィラーが粒状である場合と同様の方法で、フィラーの大きさを定義できる。また、本明細書では、大きさが0.1nm以上400nm以下のフィラーのことを、nmオーダーの大きさのフィラーであるとして、ナノフィラーと適宜称する。
【0021】
シート110を構成する熱可塑性樹脂は、このようなナノフィラーが混合されることにより、混合されているナノフィラーの大きさが可視光の波長よりも小さく、可視光を吸収または散乱できないため、透明に近くなり、シート110越しに被加工物100を観察する事を妨げないため、シート110越しにデバイス103を観察するアライメントが容易に実施出来る。なお、400nmより大きいフィラーが混合された熱可塑性樹脂を用いて形成されるシートは、混合されているフィラーが可視光を吸収または散乱する割合が大きくなってしまい、透明度が落ちてしまう可能性がある。
【0022】
シート110を構成する熱可塑性樹脂は、全フィラーのうちナノフィラーが混合された割合が50wt%(質量%)を超えて含まれることが好ましい。なお、例えば、全フィラーのうち大きさが500nmのフィラーをそれぞれ40wt%、50wt%、60wt%の割合で混合したところ、40wt%の場合には、この熱可塑性樹脂を成形して得られるシート110越しに観察するデバイス103の視認性が良好であったが、50wt%、60wt%の場合には、この熱可塑性樹脂を成形して得られるシート110越しにデバイス103の視認はできるものの、40wt%の場合と比較してその視認性が低下した。
【0023】
シート110を構成する熱可塑性樹脂に混合されるナノフィラーは、熱可塑性樹脂より熱膨張係数が小さい充填剤である。シート110を構成する熱可塑性樹脂に混合されるナノフィラーは、熱可塑性樹脂より熱膨張係数が小さい無機充填剤または有機充填剤が好適に使用される。シート110を構成する熱可塑性樹脂は、このようなナノフィラーが混合されることにより、シート110が、シート110を被加工物100に熱圧着した後に冷却する際に、収縮することを低減及び防止することができ、これに伴い、シート110を熱圧着して固定した被加工物100が撓んだり変形したりすることを防止することができる。
【0024】
シート110を構成する熱可塑性樹脂に混合されるナノフィラーは、無機充填剤であることが好ましく、具体的には、溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化鉄、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、マイカ、ガラス、石英、雲母等が好適に使用される。また、シート110を構成する熱可塑性樹脂に混合されるナノフィラーは、上記の2種類以上を混合して使用しても良い。シート110を構成する熱可塑性樹脂に混合されるナノフィラーは、上記した無機充填剤のうち、溶融シリカや結晶性シリカ等のシリカ類が使用されることが好ましく、この場合、ナノフィラーのコストを好適に抑制することができる。
【0025】
シート110を構成する熱可塑性樹脂のうちナノフィラーの含有割合(混合割合)は、0.01wt%~90wt%の範囲で変更可能であり、ナノフィラーの含有割合が多い方が、シート110の熱膨張係数が小さくなり、ドレッシング効果も高くなるが、多すぎるとシート110の全体が脆くなる可能性があるため、適宜の割合を選択してシート110が形成される。
【0026】
シート110を構成する熱可塑性樹脂には、フィラーの他に、酸化防止剤、光安定剤、バインダー樹脂、帯電防止剤、シランカップリング剤、離型剤、界面活性剤、染料、顔料、蛍光剤、紫外線吸収剤等の種々の配合剤を必要に応じて添加することができる。
【0027】
チャックテーブル10は、凹部が形成された円盤状の枠体と、凹部内に嵌め込まれた円盤形状の吸着部と、を備える。チャックテーブル10の吸着部は、多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から形成され、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。チャックテーブル10の吸着部の上面は、被加工物100を吸引保持する保持面11である。保持面11とチャックテーブル10の枠体の上面とは、同一平面上に配置されており、水平面に平行な図1のXY平面に沿って形成される。
【0028】
押圧板20は、図1図2及び図3に示すように、被加工物100を覆う大きさの平坦な押圧面21を有する。押圧板20は、チャックテーブル10の上方に設けられ、押圧面21で、弾性部材60を介して、チャックテーブル10に保持された被加工物100へシート110を押圧する。
【0029】
開閉ユニット30は、図2及び図3に示すように、ヒンジ31と、駆動部32とを有する。ヒンジ31は、チャックテーブル10及び押圧板20の一端側に設けられている。ヒンジ31は、チャックテーブル10及び押圧板20の一端側において、水平方向に平行で、かつ、径方向に直交する回転軸33が設けられている。ヒンジ31は、押圧板20をチャックテーブル10に対して相対的に回転軸33周りに回動可能に支持する。駆動部32は、ヒンジ31または押圧板20に接続して設けられ、押圧板20をチャックテーブル10に対して相対的に回転軸33周りに回動させる。
【0030】
開閉ユニット30は、駆動部32により押圧板20をチャックテーブル10に対して相対的に回転軸33周りに回動させることにより、チャックテーブル10の保持面11側に対して押圧板20を開閉移動させ、押圧位置と開放位置との間に押圧板20を位置付ける。ここで、押圧位置は、チャックテーブル10に対して押圧板20を最も閉じる方向に移動させたときの押圧板20の位置であり、押圧板20の押圧面21がチャックテーブル10の保持面11と鉛直方向に対向して、押圧板20がチャックテーブル10の保持面11側を覆い、押圧面21で弾性部材60を介してチャックテーブル10に保持された被加工物100の全面にシート110を押圧するときの押圧板20の位置である。開放位置は、図2に示すように、押圧位置よりも十分に、チャックテーブル10に対して押圧板20を開く方向に移動させたときの押圧板20の位置であり、チャックテーブル10及びチャックテーブル10に保持された被加工物100が全く押圧板20に覆われずに露出するときの押圧板20の位置である。押圧板20は、開放位置にあるとき、押圧面21で弾性部材60を介してチャックテーブル10に保持された被加工物100にシート110を全く押圧しない。
【0031】
開閉ユニット30は、図3に示すように、開放位置から押圧位置へと押圧板20をチャックテーブル10及びチャックテーブル10に保持された被加工物100に向かって徐々に傾けることで、押圧板20の押圧面21で、被加工物100の一端108から他端109へと、弾性部材60を介してシート110を押圧する。ここで、被加工物100の一端108とは、被加工物100のヒンジ31及び回転軸33が設けられた側の端であり、被加工物100の他端109は、被加工物100のヒンジ31及び回転軸33が設けられた側とは反対側の端である。
【0032】
発熱手段40は、図2及び図3に示すように、チャックテーブル10の内部及び押圧板20の内部にそれぞれ設けられ、それぞれチャックテーブル10の保持面11側及び押圧板20の押圧面21側から、押圧板20によりチャックテーブル10上の被加工物100に押圧されたシート110をシート110の軟化点以上の温度(例えば、軟化点+5℃以上)で加熱して軟化させる。なお、発熱手段40は、図2及び図3に示す例では、チャックテーブル10の内部及び押圧板20の内部にそれぞれ設けられているが、本発明ではこれに限定されず、チャックテーブル10の内部及び押圧板20の内部のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0033】
シート保持部50は、実施形態1では、図1図2及び図3に示すように、チャックテーブル10の枠体の上面の外周に沿って設けられている。シート保持部50は、被加工物100の厚さより高く、上面が平坦な円環状に形成されている。シート保持部50は、チャックテーブル10に保持された被加工物100の外縁よりも外周側、かつ、被加工物100の一方の面よりも高い上面で、シート110を被加工物100より上方に隙間を開けて浮かして保持する。なお、シート保持部50は、本発明ではこの形態に限定されず、被加工物100の上方を覆うようにチャックテーブル10側でシート110を保持する形態であれば、どのような形態でもよい。
【0034】
弾性部材60は、シート状に形成されており、押圧板20の押圧面21に敷設されている。弾性部材60は、体積弾性率が0.1MPa以上10MPa以下であり、厚さ61が0.5mm以上1.5mm以下である。弾性部材60は、シート110を被加工物100に熱圧着する際の温度でシート110と化学反応せず、化学的に安定な材料で形成される。弾性部材60は、シート110より軟化点温度が高く、耐熱性を有する材料で形成されることが好ましい。弾性部材60は、特に発熱手段40が押圧板20の内部に設けられている場合には、シート110より高温になるため、シート110より軟化点温度が高く、耐熱性を有する材料で形成される必要がある。弾性部材60は、実施形態1では、例えば発泡ポリエチレン(polyethylene、PE)のテープが好適に使用され、このテープが押圧板20の押圧面21に貼り付けることで好適に敷設される。
【0035】
制御ユニット70は、シートの貼着装置1の各種構成要素の動作を制御して、被加工物100の一方の面にシート110を熱圧着して固定する一連の処理をシートの貼着装置1に実施させる。制御ユニット70は、真空吸引経路の開閉スイッチを制御することにより、チャックテーブル10の保持面11での被加工物100の吸着保持の切替えを制御する。制御ユニット70は、開閉ユニット30の駆動部32を制御することで、チャックテーブル10に対する押圧板20の位置及び回転軸33回りの回動速度を制御する。制御ユニット70は、発熱手段40を制御して、発熱手段40がシート110を加熱する温度を制御する。
【0036】
制御ユニット70は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット70が含むコンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。制御ユニット70の機能は、実施形態1では、制御ユニット70が含むコンピュータシステムの演算処理装置が、制御ユニット70が含むコンピュータシステムの記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。制御ユニット70の演算処理装置は、制御ユニット70の記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、シートの貼着装置1を制御するための制御信号を、制御ユニット70の入出力インターフェース装置を介してシートの貼着装置1の各構成要素に出力する。
【0037】
次に、本明細書は、実施形態1に係るシートの貼着装置1の動作を図面に基づいて説明する。なお、実施形態1では、図1図2及び図3に示すように、シートの貼着装置1が被加工物100の表面101にシート110を熱圧着して固定するが、本発明ではこれに限定されず、シートの貼着装置1が被加工物100の表面101とは反対側の裏面104にシート110を熱圧着して固定してもよい。
【0038】
まず、シートの貼着装置1の制御ユニット70は、開閉ユニット30の駆動部32により、押圧板20を開放位置に位置付ける。次に、チャックテーブル10の保持面11上に被加工物100が表面101側を上方に向けて載置されると、シートの貼着装置1の制御ユニット70は、チャックテーブル10の保持面11で被加工物100の裏面104側を吸引保持する。その次に、被加工物100の表面101側(上方)を覆うようにシート110が載置されると、シートの貼着装置1のシート保持部50は、チャックテーブル10に保持された被加工物100の外縁よりも外周側、かつ、被加工物100の表面101よりも高い上面で、シート110を被加工物100より上方に隙間を開けて浮かして保持する。
【0039】
チャックテーブル10で被加工物100を吸引保持し、シート保持部50でシート110を保持した後、シートの貼着装置1の制御ユニット70は、発熱手段40をシート110の加熱温度まで加熱してから、開閉ユニット30の駆動部32により、押圧板20を開放位置から押圧位置へと徐々に移動させることにより、押圧板20を被加工物100及びシート110に向かって徐々に傾ける。このようにすると、押圧板20の押圧面21は、被加工物100の表面101の一端108から他端109へと、シート保持部50に保持されたシート110を弾性部材60を介して押圧する。この際に、弾性部材60は、被加工物100の表面101の一端108から他端109へとシート110を押圧する押圧力の反作用の力に応じて弾性変形し、この押圧力の分布を滑らかにして、被加工物100の表面101の一端108から他端109へとシート110を押圧するときに押圧力が所定の圧力未満となる領域が生じる押圧抜けを抑制し、被加工物100の表面101とシート110との間の空気の噛み込みを抑制する。そして、発熱手段40は、被加工物100の表面101の一端108から他端109へと、シート保持部50に保持されたシート110を、チャックテーブル10上の被加工物100側及び押圧板20の押圧面21側からそれぞれ加熱して軟化させる。このようにして、シート保持部50に保持されたシート110は、被加工物100の表面101の一端108から他端109へと、軟化及び押圧されることにより、熱圧着されて固定される。被加工物100に熱圧着されて固定されたシート110のうち、被加工物100の外縁からはみ出した部分は、適宜カッターなどにより切断される。
【0040】
以上のような構成を有する実施形態1に係るシートの貼着装置1は、弾性部材60を敷設した押圧面21を徐々に傾けてシート110を被加工物100の一端108から他端109へと押圧及び加熱することにより熱圧着して固定するので、シート110を被加工物100に熱圧着する際の被加工物100とシート110との間の空気の噛み込みを抑制できるという作用効果を奏する。
【0041】
また、実施形態1に係るシートの貼着装置1は、弾性部材60の体積弾性率が0.1MPa以上10MPa以下であり、弾性部材60の厚さ61が0.5mm以上1.5mm以下である。このため、実施形態1に係るシートの貼着装置1は、弾性部材60が好適に押圧抜けを抑制しつつ、シート110を被加工物100に押圧することができるので、被加工物100とシート110との間の空気の噛み込みをより好適に抑制する。なお、弾性部材の体積弾性率が0.1MPa未満である場合や弾性部材の厚さが1.5mmより大きい場合は、弾性部材の弾性変形が大きくなり過ぎてシート110を被加工物100に押圧する押圧力が不十分になってしまう恐れがある。また、弾性部材の体積弾性率が10MPaより大きい場合や弾性部材の厚さが0.5mm未満である場合は、弾性部材の弾性変形が小さくなり過ぎてシート110を被加工物100に押圧する際に押圧抜けを抑制して被加工物100とシート110との間の空気の噛み込みを抑制する機能が不十分になってしまう恐れがある。
【0042】
また、実施形態1に係るシートの貼着装置1は、弾性部材60が、シート110より軟化点温度が高く、耐熱性を有することが好ましい。また、実施形態1に係るシートの貼着装置1は、特に発熱手段40が押圧板20の内部に設けられている場合には、弾性部材60が、シート110より軟化点温度が高く、耐熱性を有する。このため、実施形態1に係るシートの貼着装置1は、シート110を被加工物100に熱圧着する際の加熱により弾性部材60が軟化してしまうために弾性部材60の弾性変形による機能が不十分になってしまう恐れを抑制できる。
【0043】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係るシートの貼着装置1-2を図面に基づいて説明する。図4は、実施形態2に係るシートの貼着装置1-2の構成例を示す斜視図である。図5は、図4のシートの貼着装置1-2の断面図である。図6は、図4のシートの貼着装置1-2の断面図である。図4から図6は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
実施形態2に係るシートの貼着装置1-2は、図4図5及び図6に示すように、実施形態1に係るシートの貼着装置1において、シート保持部50をシート保持部50-2に変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同じである。シート保持部50-2は、実施形態2では、図4図5及び図6に示すように、円環状凸部51と、テープ52とを有する。円環状凸部51は、押圧板20の押圧面21の外周に沿って設けられている。円環状凸部51は、弾性部材60の厚さ61より十分に高い円環状に形成されている。テープ52は、弾性部材60を覆うように配されたシート110の外周部分を、円環状凸部51の凸面に仮止めしている。このように、シート保持部50-2は、押圧板20の押圧面21に敷設された弾性部材60よりも外周側で、円環状凸部51及びテープ52により、弾性部材60を覆うようにシート110を保持する。なお、シート保持部50-2は、本発明ではこの形態に限定されず、弾性部材60を覆うように押圧板20側でシート110を保持する形態であれば、どのような形態でもよく、例えば、クランプやバキュームを使用してシート110を保持してもよい。
【0045】
以上のような構成を有する実施形態2に係るシートの貼着装置1-2は、実施形態1において、シート110を保持する側を、チャックテーブル10側から押圧板20側に変更したものであり、実施形態1と同様に、駆動部32により押圧板20を開放位置から押圧位置へと徐々に移動させた際に、下方から、チャックテーブル10、被加工物100、シート110、弾性部材60、押圧板20の順に積層された状態となる。このため、実施形態2に係るシートの貼着装置1-2は、実施形態1と同様に、弾性部材60を敷設した押圧面21を徐々に傾けてシート110を被加工物100の一端108から他端109へと押圧及び加熱することにより熱圧着して固定するので、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0046】
〔変形例〕
本発明の変形例に係るシートの貼着装置1を図面に基づいて説明する。図7は、変形例に係るシートの貼着装置1の構成例を示す断面図である。図7は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
変形例に係るシートの貼着装置1は、実施形態1において、チャックテーブル10の保持面11上に保持部材15を新たに設け、シート保持部50の高さをさらに保持部材15の高さ分だけ高くしたものであり、その他の構成は同じである。保持部材15は、環状フレーム120と被加工物100との厚さの差に相当する高さを有し、被加工物100のシート110が熱圧着される側の面(表面101)を、環状フレーム120のシート110が熱圧着される側の面と同一平面状になるまで嵩上げする。
【0048】
次に、本明細書は、変形例に係るシートの貼着装置1の動作を図面に基づいて説明する。シートの貼着装置1は、変形例では、チャックテーブル10の保持面11上で、保持部材15上に被加工物100を載置し、被加工物100の外縁よりも外周側に環状フレーム120を載置し、シート保持部50の上面で被加工物100及び環状フレーム120を覆うようにシート110を保持した後に、実施形態1と同様に、駆動部32により押圧板20を開放位置から押圧位置へと徐々に移動させて、環状フレーム120の一端128及び被加工物100の表面101の一端108から他端109,129へとシート110を押圧する。この際に、弾性部材60は、被加工物100の表面101とシート110との間の空気の噛み込みを抑制するとともに、環状フレーム120とシート110との間の空気の噛み込みを抑制する。このようにして、変形例では、シート110は、被加工物100の表面101に熱圧着されて固定されるとともに、環状フレーム120に熱圧着されて固定される。被加工物100及び環状フレーム120に熱圧着されて固定されたシート110のうち、環状フレーム120の外縁からはみ出した部分は、適宜カッターなどにより切断される。変形例では、被加工物100が環状フレーム120の開口にシート110で支持されたフレームユニットが得られる。
【0049】
以上のような構成を有する変形例に係るシートの貼着装置1は、実施形態1において、チャックテーブル10の保持面11上に保持部材15を新たに設けることにより、被加工物100のシート110が熱圧着される側の面(表面101)を、環状フレーム120のシート110が熱圧着される側の面と同一平面状になるまで嵩上げしている。このため、変形例に係るシートの貼着装置1は、弾性部材60により、実施形態1と同様にシート110を被加工物100に熱圧着する際の被加工物100とシート110との間の空気の噛み込みを抑制できるとともに、シート110を環状フレーム120に熱圧着する際の被加工物100と環状フレーム120との間の空気の噛み込みを抑制できる。
【0050】
なお、変形例に係るシートの貼着装置1は、実施形態1において保持部材15を新たに設けたものであるが、同様の保持部材15を実施形態2に係るシートの貼着装置1-2に設けてもよい。この場合にも、変形例に係るシートの貼着装置1と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0051】
〔実施例〕
次に、本発明の発明者らは、実施形態1及び実施形態2に係るシートの貼着装置1,1-2の作用効果を確認した。図8は、実施形態1及び実施形態2に係るシートの貼着装置1,1-2の作用効果を説明する図である。図8は、作用効果を確認した際に得られた結果をまとめて示している。
【0052】
図8は、実施形態1と同様のシートの貼着装置1において、弾性部材60の体積弾性率及び厚さ61のみを変更して、同じ熱可塑性樹脂からなるシート110を被加工物100の表面101に熱圧着して固定したときの被加工物100の表面101へのシート110の貼着状態の評価の結果を示している。図8の「体積弾性率」の行は、各実施例及び比較例における弾性部材60の体積弾性率を示している。図8の「厚さ」の行は、各実施例及び比較例における弾性部材60の厚さ61を示している。図8の「貼着結果」の行は、各実施例及び比較例における被加工物100の表面101へのシート110の貼着状態の評価の結果を示している。
【0053】
図8の実施例1の列は、弾性部材60の体積弾性率が0.1MPaで厚さ61が0.5mmである場合の結果を示している。図8の実施例2の列は、弾性部材60の体積弾性率が0.8MPaで厚さ61が0.5mmである場合の結果を示している。図8の実施例3の列は、弾性部材60の体積弾性率が10.0MPaで厚さ61が0.5mmである場合の結果を示している。図8の実施例4の列は、弾性部材60の体積弾性率が0.1MPaで厚さ61が1.0mmである場合の結果を示している。図8の実施例5の列は、弾性部材60の体積弾性率が0.8MPaで厚さ61が1.0mmである場合の結果を示している。図8の実施例6の列は、弾性部材60の体積弾性率が10.0MPaで厚さ61が1.0mmである場合の結果を示している。図8の実施例7の列は、弾性部材60の体積弾性率が0.1MPaで厚さ61が1.5mmである場合の結果を示している。図8の実施例8の列は、弾性部材60の体積弾性率が0.8MPaで厚さ61が1.5mmである場合の結果を示している。図8の実施例9の列は、弾性部材60の体積弾性率が10.0MPaで厚さ61が1.5mmである場合の結果を示している。図8の比較例の列は、弾性部材の体積弾性率が93.0MPaで厚さが1.0mmである場合の結果を示している。
【0054】
図8の「貼着結果」の行の「○」は、被加工物100の表面101へのシート110の貼着面積が被加工物100の表面101の面積の95%以上であったという結果を示しており、図8の「貼着結果」の行の「×」は、被加工物100の表面101へのシート110の貼着面積が被加工物100の表面101の面積の95%未満であったという結果を示している。
【0055】
図8の実施例1~9に示すように、弾性部材60の体積弾性率が0.1MPa以上10MPa以下であり、厚さ61が0.5mm以上1.5mm以下である場合、いずれも、被加工物100の表面101へのシート110の貼着面積が被加工物100の表面101の面積の95%以上であった。図8に示す実施例1~9では、いずれも、被加工物100の表面101とシート110との間の空気の噛み込みを表すボイドが見られず、被加工物100の表面101へのシート110の貼着面積が概ね100%であった。
【0056】
一方で、図8の比較例に示すように、弾性部材60の体積弾性率が10MPaより大きい93.0MPaである場合、被加工物100の表面101へのシート110の貼着面積が被加工物100の表面101の面積の95%未満であった。図8に示す比較例では、被加工物100の表面101とシート110との間の空気の噛み込みを表すボイドが散見され、ボイドの面積が被加工物100の表面101の面積の10%以上であった。
【0057】
また、実施形態2と同様のシートの貼着装置1-2においても、弾性部材60の体積弾性率及び厚さ61について図8と同様の実施例1~9及び比較例と同じ条件で、同じ熱可塑性樹脂からなるシート110を被加工物100の表面101に熱圧着して固定したときの被加工物100の表面101へのシート110の貼着状態を評価したところ、図8と全く同様の結果が得られた。
【0058】
これにより、図8に示す実施例1~9及び比較例では、体積弾性率が0.1MPa以上10MPa以下であり、厚さ61が0.5mm以上1.5mm以下である弾性部材60を敷設した押圧面21を徐々に傾けてシート110を被加工物100の一端108から他端109へと押圧及び加熱することにより熱圧着して固定することで、シート110を被加工物100に熱圧着する際の被加工物100とシート110との間の空気の噛み込みを抑制できることが明らかとなった。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記した各実施形態及び各変形例において使用するシート110を構成する熱可塑性樹脂は、紫外線からの回路保護や回路の秘匿を目的として、黒などの暗色に着色されていてもよく、紫外線吸収剤を混練させてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1-2 シートの貼着装置
10 チャックテーブル
11 保持面
20 押圧板
21 押圧面
30 開閉ユニット
33 回転軸
40 発熱手段
50,50-2 シート保持部
60 弾性部材
61 厚さ
100 被加工物
110 シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8