(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 3/14 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01L3/14 Z
(21)【出願番号】P 2022512334
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2020069819
(87)【国際公開番号】W WO2021052651
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102019214219.2
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】アウアー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハイネマン,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ティーマン,マルク・オリバー
【審査官】櫻井 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203645(JP,A)
【文献】特開2016-205861(JP,A)
【文献】特開2006-322771(JP,A)
【文献】特開2004-198400(JP,A)
【文献】特開平10-213407(JP,A)
【文献】実開平04-085241(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0282001(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/30 - 7/315
G01D 5/00 - 5/62
G01L 3/00 - 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材群(1)と第2の部材群(2)とを含む測定装置であって、前記第1及び第2の部材群(1、2)は、軸(R)を中心として相対的に回転可能に配置されており、
前記第1の部材群(1)は、第1の基板(1.11)と該第1の基板(1.11)上に配置された感知素子(1.13)とを有する感知部材(1.1;1.1’)を有し、
前記第2の部材群(2)は
、第2の基板(2.11)と
該第2の基板(2.11)上に配置された角度目盛り(2.13)とを有する目盛り部材(2.1)を有し、
前記感知素子(1.13)は、前記第1及び第2の部材群(1、2)が相対的に回転するとき前記角度目盛り(2.13)を検出
することで、前記第1の部材群(1)と前記第2の部材群(2)との間の相対角度位置を特定できるようになっており、
前記測定装置は、さらに導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121、2.122、2.123、2.124)を有する受動センサ装置(1.12;2.12)を有し、
- 前記感知部材(1.1;1.1’)において、
前記軸(R)を中心とした前記第1の基板(1.11)のねじり荷重を特定するため、前記受動センサ装置(1.12)の前記導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121)
が前記第1の基板(1.11)
上に設けられるか、または、
- 前記目盛り部材(2.1)において、
前記軸(R)を中心とした前記第2の基板(2.11)のねじり荷重を特定するため、前記受動センサ装置(2.12)の前記導体路構造(2.121、2.122、2.123、2.124)
が第2の基板(2.11)
上に設けられる、測定装置。
【請求項2】
前記導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121、2.122、2.123、2.124)はそれぞれ、前記導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121、2.122、2.123、2.124)が湾曲して延びる複数の部分(P)を有する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121、2.122、2.123、2.124)は前記部分(P)内で平行に延びる、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
曲率半径は、前記軸(R)からの距離に応じて異なる、請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記部分(P)の前記導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121、2.122、2.123、2.124)は、その中心点が前記軸(R)上にある円周(K)と、それぞれ等しい大きさの角度(α)で交差している、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記角度(α)は20°と70°との間である、請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記ねじり荷重は、前記導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121、2.122、2.123、2.124)の抵抗を特定することによって特定することができる、請求項1から6のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記受動センサ装置(1.12;2.12)は、ブリッジ回路によって接続された4つの導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124;2.121、2.122、2.123、2.124)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記第1の基板(1.11)に励起導体路(1.15)と、前記感知素子(1.13)として、複数の受信導体路を有する受信トラック(1.131、1.132)とが配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項10】
前記第1の基板(1.11)に少なくとも1つの電子部品(1.14)が配置され、前記電子部品(1.14)によって、前記感知部材(1.1;1.1’)によって生成することができる信号をさらに処理することができる、請求項1から9のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項11】
前記角度目盛り(2.13)は、前記第2の基板(2.11)に配置された、交互に配置されている導電性および非導電性の分割領域から構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項12】
前記第1の基板(1.11)および/または前記第2の基板(2.11)はプラスチック製である、請求項1から11のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項13】
前記第1の基板(1.11)および/または前記第2の基板(2.11)は金属製である、請求項1から12のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項14】
前記感知部材(1.1’)において、前記受動センサ装置(1.12)の前記導体路構造(1.121、1.122、1.123、1.124)は、
前記第1の基板(1.11)上で、感知素子(1.13)に対して相対的に、前記軸(R)について半径方向内側の位置
に設けられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項15】
前記目盛り部材(2.1)において、前記受動センサ装置(2.12)の前記導体路構造(2.121、2.122、2.123、2.124)は、
前記第2の基板(2.11)上で、前記角度目盛り(2.13)に対して相対的に、前記軸(R)について半径方向内側の位置
に設けられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係る相対角度位置およびトルクを特定する測定装置に関する。
このような測定装置は、例えば、相対的に回転可能な2つの機械部材の角度位置を特定するためのロータリーエンコーダとして使用される。誘導的な測定原理に基づく測定装置では、励磁コイルと受信コイルは、例えば導体路の形態で、共通の回路基板または共通の基板に取り付けられ、この回路基板または基板は、例えばロータリーエンコーダの固定子に固定して接続されている。この回路基板に対向して、分割領域または分割構造として導電面と非導電面が周期間隔で交互に取り付けられた目盛り素子が、ロータリーエンコーダの回転子に回転不能に接続されている。励磁コイルに時間的に変化する励磁電流を流すと、回転子および固定子の相対回転中に受信コイルに角度位置に依存した信号が発生する。そして、これらの信号は電子評価システムでさらに処理される。
【0002】
このような測定装置は、例えばロボットの関節など、対応する機械部材の相対運動や相対位置を特定するための電気駆動装置の測定機器として使用されることが多い。この場合、感知部材によって生成された角度位置の値は、対応するインターフェース装置を介して、駆動装置を駆動制御するための後続電子機器に供給される。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第2447690号明細書には、角度位置を測定するために、軸に磁極が生成された測定装置が記載されている。さらに、この軸には力に応じて磁場が影響される力反応領域が設置されており、トルクも測定可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、トルクとともに角度位置の測定を向上させることができる、比較的容易に製造可能な測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。
本発明に係る測定装置は、第1の部材群と第2の部材群とを含み、これらの部材群は、軸を中心として相対的に回転可能に配置されている。第1の部材群は感知部材を有し、この感知部材は、感知部材側に、特に感知素子を有するか、または特に感知素子が配置された第1の基板を有する。第2の部材群は、第1の部材群と第2の部材群との間の相対角度位置を測定装置によって特定できるように、第2の基板と角度目盛りとを有する目盛り部材を有する。さらに、測定装置は、導体路構造を有する受動センサ装置を有する。さらに、感知部材において、付加構造によって導体路構造が第1の基板に取り付けられるため、軸を中心とした第1の基板のねじり荷重をセンサ装置によって特定することができる。代替的に、導体路構造は、目盛り部材において付加構造によって第2の基板に取り付けられるため、軸を中心とした第2の基板のねじり荷重をセンサ装置によって特定することができる。
【0006】
ここで、受動センサ装置は、特に、受動センサまたは受動部材を含むセンサ装置であって、そのパラメータがねじり荷重によって変化するものであると理解できる。電子部品によって、これらのパラメータは、好ましくは測定装置内で電気信号に変換される。受動センサ装置の動作には、特に電気エネルギーの形態の、外部から供給される補助エネルギーが必要である。ここでは、特に導体路構造の電気抵抗がパラメータとして機能することができる。電気抵抗または抵抗の変化を測定できるようにするために、センサ装置、特に導体路構造には電流を流す必要があるため、センサ装置には作動中に外部から電気エネルギーを供給する必要がある。導体路構造は、長さや断面が変化し、電気抵抗に作用することによるねじり荷重に反応する。
【0007】
導体路構造は、第1の基板または第2の基板に付加構造によって製造される。この種の付加構造の製造過程では、当該基板に広い面積で、代替的に巻回化して層を取り付ける(例えばリフトオフ法)。これは、例えば、当該基板表面での化学反応やガス状物質の凝縮によって行われる。代替的に、液相からの堆積により付加構造を生成することもできる。特に、「付加構造」という用語は、導体路構造が第1または第2の基板に接着されていることを意味しない。
【0008】
特に、導体路構造は、第1の基板または第2の基板の平面上に配置されていてもよい。同様に、感知素子は第1の基板の平坦面に配置されていてもよく、および/または、角度目盛りは第2の基板の平坦面に配置されていてもよい。
【0009】
本発明の特に有利な考えられる形態は、センサユニットの導体路構造と、当該基板の電子素子を接続するための他の導体路構造とが、1つの同じプロセスを用いて製造されていることである。さらに、同じプロセスで角度目盛りを製造してもよい。
【0010】
感知部材と目盛り部材とは、互いに軸方向に隙間を空けて、すなわち部材群が相対的に回転可能な軸の方向に延びる隙間を空けて配置されていてもよい。導体路構造が配置された平面は、部材群が相対的に回転可能な軸に対して直交して配置されていることが好ましい。
【0011】
本発明の有利な形態では、導体路構造はそれぞれ、導体路構造が湾曲して延びる複数の部分を有する。
有利には、導体路構造は部分内で平行に延びる。
【0012】
本発明のさらなる形態では、部分における導体路構造の曲率半径は、軸からの距離に応じて異なる。特に、曲率半径は軸からの距離が長くなるにつれて大きくなる。
有利には、部分の導体路構造は、半径は異なるが、その中心点が軸上にある円周と、それぞれ等しい大きさの角度で交差している。特に、部分における交点での円周上の接線と、導体路構造の接線との角度は、異なる箇所において常に同じ大きさである。導体路構造は、有利には部分においてそれぞれ対数螺旋に従って延びる。
【0013】
本発明の有利な形態では、角度は、20°と70°との間、特に30°と60°との間、有利には40°と50°との間である。
本発明のさらなる形態では、ねじり荷重は、導体路構造の抵抗を特定することによって特定することができる。
【0014】
有利には、センサ装置は、ブリッジ回路によって接続された4つの導体路構造を含む。特に、ホイートストン測定ブリッジを実装することができ、これは、例えば、導体路構造の平均オーミック抵抗を特定するために使用される。
【0015】
本発明の有利な形態では、第1の基板に少なくとも1つの励起導体路と、感知素子として、複数の受信導体路を有する少なくとも1つの受信トラックとが配置されている。相対角度位置を特定するための対応する装置は、特に誘導的な測定原理に基づいている。
【0016】
しかしながら、本発明は、相対角度位置の特定が誘導的な測定原理に基づいて行われる測定装置に基本的に限定されるものではない。むしろ、これに関連して、例えば光学的または磁気的な測定原理も使用することができる。
【0017】
有利には、少なくとも1つの電子部品が第1の基板に配置され、この電子部品によって、感知部材によって生成することができる信号をさらに処理することができる。
さらに、角度目盛りは、第2の基板に配置された、交互に配置されている導電性および非導電性の分割領域から構成されてよい。
【0018】
本発明のさらなる形態では、第1の基板もしくは第2の基板、または第1の基板および第2の基板は、プラスチック製である。
代替的に、第1の基板もしくは第2の基板、または第1の基板および第2の基板は、金属製、特に鋼鉄製またはアルミニウム製であってもよい。
【0019】
有利には、感知部材において、センサ装置の導体路構造、特に上記部分は、感知素子に対して相対的に、軸について半径方向内側の位置で第1の基板に取り付けられている。したがって、導体路構造は、感知素子よりも軸側にある。
【0020】
本発明のさらなる形態では、目盛り部材において導体路構造は、角度目盛りに対して相対的に、軸について半径方向内側の位置で第2の基板に取り付けられている。したがって、この場合、導体路構造は、角度目盛りよりも軸側にある。
【0021】
本発明の有利な構成は、従属請求項からわかる。
本発明に係る測定装置のさらなる詳細および利点は、添付の図を用いた2つの実施例の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【発明を実施するための形態】
【0023】
提示された第1の実施例では、
図1に示されるような装置を用いて本発明が説明される。装置は、第1の部材群1と第2の部材群2とを含み、第1の部材群1は、第2の部材群2に相対的に、軸Rを中心に回転可能に配置された測定装置である。例えば、第1の部材群1は固定子として機能し、第2の部材群2は回転子として機能してもよい。
【0024】
第1の部材群1は、第1の基板1.11を有し、第1フランジ1.2に回転不能に接続された、いわゆる感知部材1.1を含む。感知部材1.1の軸方向に対向して、いわゆる目盛り部材2.1があり、目盛り部材2.1は第2の部材群2に対応付けられ、第2のフランジ2.2およびハブ2.4に回転不能に接続されている。
【0025】
図2は、目盛り部材2.1の平面図である。目盛り部材2.1は、例えば(特に繊維強化)エポキシ樹脂、炭素繊維強化プラスチック、または金属、特に鋼からなる第2の基板2.11を含む。第2のフランジ2.2に取り付ける目的で、目盛り部材2.1または第2の基板2.11は穴2.111を有し、ここで穴2.111は内径および外径に沿って円周上に配置されている。ねじ2.3を用いて、目盛り部品2.1は外径でフランジ2.2に、内径でハブ2.4に、回転しないように接続することができる。第2の基板2.11には、2つの分割トラック2.131、2.132を含む角度目盛り2.13が取り付けられている。2つの分割トラック2.131、2.132は円形状に構成され、第2の基板2.11上に異なる直径で軸Rに対して同心円状に配置されている。2つの分割トラック2.131、2.132はそれぞれ、導電性の分割領域および非導電性の分割領域が交互に配置された(付加構造によって取り付けられた)周期シーケンスから構成されている。図示の例では、導電性分割領域の材料として銅を第2の基板2.11に取り付けた。これに対し、非導電性の分割領域では、第2の基板2.11は被覆されていない。第2の基板2.11が鋼鉄などの金属材料から製造される場合、導電性分割領域と第2の基板2.11との間に、例えばポリイミドからなるプラスチック層が設けられる。
【0026】
また、第2の基板2.11には、センサ装置2.12がここでは導体路または導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124の形態で、付加構造によって、特にフォトリソグラフィプロセスを用いて取り付けられている。
【0027】
第2の基板2.11が鋼鉄などの金属材料で製造されている場合、導電性分割領域と第2の基板2.11との間、または導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124と第2の基板2.11との間に例えばポリイミドなどのプラスチック層が生成される。
【0028】
センサ装置2.12は、基本的に円形状に構成され、軸Rに対して心合わせされて配置されている。また、センサ装置2.12または導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、軸Rに直交する向きの面内に配置されている。特に、センサ装置2.12は、軸R上の点について点対称に構成されている。センサ装置2.12は、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124を含み、これらは例えば銅または鋼鉄から生成されてよい。
図3によれば、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124が湾曲し、平行に延びる複数の部分Pをそれぞれ有する。提示された実施例では、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、部分Pの領域において平行な螺旋線に沿って延びるため、部分P内では導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124の曲率半径は軸Rへの距離に応じて異なる。特に、部分Pの導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、軸R上に中心点がある円周Kと、それぞれ等角αで交差する。提示された実施例では、角度αは45°である。したがって、部分Pの導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、それぞれ対数螺旋の法則に従って延びる。円周Kの各接線は常に同じ角度αで対数螺旋と交差し(等角軌道)、この性質は、軸Rに共通の中心点を有する異なる半径の任意の円周に該当する。よって、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、部分Pにおいて、等角螺旋に従って延びる。提示された実施例では、等角螺旋または対数螺旋、ひいては部分Pにおける導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124のコースは、一義的に角度α=45°で特徴付けられている。こうして、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、ホイートストンブリッジを形成するように接続して配置されている。
【0029】
さらに、第2の基板2.11には電子部品2.14が搭載され(
図2)、電子部品2.14は、センサ装置2.12に適切な電圧または電流を供給し、他方で、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124から生成された信号または抵抗値をさらに処理する機能を果たす。受動センサ装置2.12であるため、センサ装置2.12に補助エネルギーを供給することが必須である。
【0030】
目盛り部材2.1を感知するための
図4に示す感知部材1.1は、感知素子1.13を含む。ここで、感知素子1.13は、第1の外側受信トラック1.131と、第2の内側受信トラック1.132における2つの受信導体路を含む。それぞれの受信トラック1.131、1.132の受信導体路の関連するペアは、相対的にずらされて(ここでは相対的に均等にずらされて)配置されている。
【0031】
さらに、感知部材1.1には励磁コイルとして、内側、中間、外側の励磁トラックに取り付けられている励磁導体路1.15が設けられている。感知部材1.1自体は環状であるため、心合わせされた穴を有する。
【0032】
ねじ穴1.21を用いて、固定子に対応付けることができる第1のフランジ1.2に、第1の機械素子を取り付けることができる。ハブ2.4は中央開口部2.41を有し、中央開口部2.41に駆動軸を挿入することができ、駆動軸はハブ2.4に回転不能に接続することができる。このようにして、回転運動をハブ2.4に導入し、ひいては目盛り部材2.1にも導入することができる。ハブ2.4および第2のフランジ2.2は、目盛り部材2.1を介して互いに接続されている。第2のフランジ2.2の穴2.21を用いて、回転子側の第2のフランジ2.2に別の機械部材を取り付けることができる。したがって、第2のフランジ2.2に従動側の機械部材を固定することができる。すなわち、
図1に係る位置センサの組み立てられた状態では、軸Rが両方の素子の中心点を通り、目盛り部材2.1と感知部材1.1とが相対回転した場合、誘導効果によってそれぞれの角度位置に依存した信号が生成することができるように、目盛り部材2.1および感知部材1.1は軸方向に対向している。
【0033】
この目的のために、感知部材1.1に搭載された特定用途向け部材が使用され、この部材は評価素子としてだけでなく、励磁制御素子としても動作し、その制御下で、その後励磁導体路1.15を流れる励磁電流が生成される。励磁電流は、目盛り部材2.1の角度位置に応じて受信導体路に電圧を誘導し、これらの電圧は信号とも呼ばれる。
【0034】
外側受信トラック1.131の受信導体路は、それぞれ内側受信トラック1.132の受信導体路より多くの巻回を有する。さらに、外側分割トラック2.131は、内側分割トラック2.132より多くの導電性分割領域(および多くの非導電性分割領域)を有する。外側分割トラック2.131は、外側受信トラック1.131または関連する受信導体路で感知される。外側受信トラック1.131は、目盛り部品2.1が感知部材1.1に対して相対回転すると、比較的高い分解能の増分信号を供給する。これに対して内側受信トラック1.132は、内側分割トラック2.132が感知されると、比較的低い分解能の増分信号を供給する。感知部材1.1と目盛り部材2.1とが同様に相対回転すると、内側受信トラック1.132の受信導体路によって、外側受信トラック1.131の受信導体路より小さい数の信号周期が生成される。増分信号を組み合わせることによって、絶対的角度情報を生成することができる。
【0035】
しかし、測定装置は角度位置だけでなく、トルクも特定することができる。この目的のために、目盛り部材2.1または第2の基板2.11に(付加構造により)導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124が取り付けられている。説明した実施例のように、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124の付加構造が、角度目盛り2.13の導電性分割領域の付加構造と同じ原理に従って実施されると特に有利である。導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124は、角度目盛り2.13に対して相対的に、軸Rについて半径方向内側に位置している。したがって、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124と軸Rとの間の距離は、角度目盛り2.13と軸Rとの間の距離より小さくなっている。
【0036】
目盛り部材2.1には、電気エネルギーを供給することができる。これは、例えば、ケーブル(可能な回転数に制限がある場合)、スリップリング、または無線で行うことができる。測定装置の動作中、定義された電流が受動センサ装置2.12に導入され、この受動センサ装置2.12は目盛り部材2.1に配置され、ひいては提示された実施例では回転子に対応付けられている。駆動力が目盛り部材2.1を貫通することにより、目盛り部材2.1は極めて小さいながらも変形する。ねじり荷重による第2の基板2.11の変形に応じて、導体路構造2.121、2.122、2.123、2.124の抵抗が変わる。この効果を利用して、受動センサ装置2.12により軸Rを中心としたねじれが存在する第2の基板2.11のねじり荷重を特定することができる。電子部品2.14によって信号が生成され、信号は例えば無線で感知部材1.1に伝送される。これらの信号は、目盛り部材2.1のねじり荷重に関する情報を含み、目盛り部材2.1と感知部材1.1との間の相対角度位置に関する情報を含む信号とともに後続の電子システムに伝送することができる。
【0037】
図5は、本発明に係る測定装置の第2の実施例を示す図である。第1の実施例とは異なり、感知部材1.1’は、受動センサ装置1.12と感知素子1.13の両方を有する。この第2の実施例では、軸Rを中心としたねじりモーメントによる感知部材1.1’の変形を特定することができる。このための前提条件は、当然ながら、対応する力の流れが感知部材1.1’を通るように、感知部材1.1’が装置に取り付けられていることである。感知部材1.1’は、受動センサ装置1.12の励磁導体路1.15と導体路構造1.121、1.122.1.123、1.124に電力を供給する機能を果たす多数の電子部品1.14を有する。さらに、電子部品1.14は、ねじりモーメントと角度情報に関して、該当する信号を処理する機能も果たす。導体路構造1.121、1.122、1.123、1.124は、感知素子1.13(または受信トラック1.131、1.132)に対して相対的に、軸Rについて半径方向内側に位置している。したがって、導体路構造1.121、1.122、1.123、1.124と軸Rとの間の距離は、感知素子1.13と軸Rとの間の距離より小さくなる。