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特許7595158偏光板用接着剤組成物、偏光板及び光学表示装置
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  • 特許-偏光板用接着剤組成物、偏光板及び光学表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】偏光板用接着剤組成物、偏光板及び光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 129/04 20060101AFI20241128BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241128BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20241128BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20241128BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20241128BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241128BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C09J129/04
C09J11/06
C09J163/00
G02B5/30
H10K50/86
H10K59/10
G09F9/30 349E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023522906
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 KR2021015070
(87)【国際公開番号】W WO2022092748
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0140758
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ,テ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イル ジン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ミ ラン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ミ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウ ジン
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-256501(JP,A)
【文献】特開2011-013684(JP,A)
【文献】特開2019-091029(JP,A)
【文献】特開2006-235613(JP,A)
【文献】特開平10-219222(JP,A)
【文献】特開平03-045678(JP,A)
【文献】特開2016-191926(JP,A)
【文献】国際公開第2005/085383(WO,A1)
【文献】特開2017-037234(JP,A)
【文献】特表2015-525900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 129/04
C09J 11/06
C09J 163/00
G02B 5/30
H10K 50/86
H10K 59/10
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂、1次アミン基(-NH)又は2次アミン基(-NH-)を有する架橋剤、及びアルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物を含み、
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を含み、
前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルのうち1種以上を含む、
偏光板用接着剤組成物。
【請求項2】
前記1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤は、エチレンイミン系架橋剤を1種以上含む、請求項1に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項3】
前記架橋剤:前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、1:1乃至1:15の重量比で含まれる、請求項1に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項4】
前記アルキレンオキシド基は、*-[-O-R-]-*(*は、連結部位、Rは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2乃至4のアルキレン基)である、請求項1に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項5】
前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、エチレングリコールジグリシジルエーテルをさらに含む、請求項1に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項6】
前記組成物は、
前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部、前記1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤0.1重量部乃至50重量部、及び前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物1重量部乃至100重量部を含む、請求項1に記載の偏光板用接着剤組成物。
【請求項7】
偏光子;前記偏光子の下部面に積層された第1液晶位相差層;及び前記偏光子と前記第1液晶位相差層とを接着させる第1接着層;を含み、
前記第1接着層は、請求項1乃至のいずれか1項の偏光板用接着剤組成物で形成された、偏光板。
【請求項8】
前記第1液晶位相差層は、芳香族環含有液晶化合物を含む、請求項に記載の偏光板。
【請求項9】
前記第1液晶位相差層の下部面に第2接着層及び第2液晶位相差層がさらに積層された、請求項に記載の偏光板。
【請求項10】
前記第2液晶位相差層は、芳香族環含有液晶化合物を含む、請求項に記載の偏光板。
【請求項11】
前記第2接着層は、ポリビニルアルコール系樹脂、1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤、及びアルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物を含む偏光板用接着剤組成物で形成される、請求項に記載の偏光板。
【請求項12】
前記1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤は、エチレンイミン系架橋剤を1種以上含む、請求項11に記載の偏光板。
【請求項13】
前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、エチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルのうち1種以上を含む、請求項11に記載の偏光板。
【請求項14】
請求項の偏光板を含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板用接着剤組成物、偏光板及び光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置などを含む発光表示装置は、偏光板を備えなくてもよい。しかし、入射された外部光は、発光表示装置内のパネルに全反射されることによって画面品質を低下させ得る。そのため、発光表示装置は、パネルの上部面に偏光板を備えることが一般的である。偏光板は、偏光子及び位相差フィルムで構成される。位相差フィルムは、高分子フィルムになってもよいが、最近の薄型化傾向によって液晶フィルムが使用されている。
【0003】
偏光子と液晶フィルムとの接合時には、特に、2枚型の液晶フィルムを導入しながら偏光板と液晶フィルムとの間、そして、二つの液晶フィルムの間を粘着剤層を用いて接合する場合が多かった。しかし、粘着剤層は、フレキシブルディスプレイで要求される屈曲信頼性に不利であるという短所を有する。そのため、粘着剤層の代わりに、光硬化性接着剤で形成された接着剤層を使用する方法が考慮されている。
【0004】
ところが、光硬化性接着剤で形成された接着剤層は、水系接着剤に比べて厚さの薄型化に限界を有していた。だからと言って、水系接着剤で液晶フィルムを接合するとき、液晶フィルムは、低い接着性を有する非接着性フィルムであるので、偏光子と液晶フィルム、液晶フィルムと液晶フィルムとを高接着力で接着させることは困難であった。
【0005】
本発明の背景技術は、韓国公開特許第10-2006-0103451号などに開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、偏光子と液晶位相差層との間の接着力及び液晶位相差層と液晶位相差層との間の接着力に優れた接着層を形成する偏光板用接着剤組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、低い接着性を有する液晶位相差層と偏光子との間の接着力及び低い接着性を有する各液晶位相差層の間の接着力に優れた接着層を形成する偏光板用接着剤組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、高温高湿耐久性及び屈曲信頼性に優れた接着層を形成する偏光板用接着剤組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、上述した接着層を含む偏光板及び光学表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点は、偏光板用接着剤組成物である。
【0011】
1.偏光板用接着剤組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂;1次アミン基(-NH)又は2次アミン基(-NH-)を有する架橋剤;及びアルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物;を含む。
【0012】
2.1において、前記1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤は、エチレンイミン系架橋剤を1種以上含むことができる。
【0013】
3.1~2において、前記架橋剤:前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、1:1乃至1:15の重量比で含まれてもよい。
【0014】
4.1~3において、前記アルキレンオキシド基は、*-[-O-R-]-*(*は連結部位、Rは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2乃至4のアルキレン基)であってもよい。
【0015】
5.1~4において、前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、下記の化学式1の化合物を含むことができる:
【0016】
【化1】
【0017】
(前記化学式1において、
Rは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2乃至4のアルキレン基で、
、Rは、それぞれ独立してエポキシド基又はエポキシド基含有基で、
nは、1乃至30の整数である。)
6.1~5において、前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、エチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルのうち1種以上を含むことができる。
【0018】
7.1~6において、前記組成物は、前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部、前記1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤約0.1重量部乃至約50重量部、及び前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物約1重量部乃至約100重量部を含むことができる。
【0019】
本発明の他の観点は、偏光板である。
【0020】
8.偏光板は、偏光子、前記偏光子の下部面に積層された第1液晶位相差層、及び前記偏光子と前記第1液晶位相差層とを接着させる第1接着層を含み、前記第1接着層は、本発明の偏光板用接着剤組成物で形成された接着層を含む。
【0021】
9.8において、前記第1液晶位相差層は、芳香族環含有液晶化合物を含むことができる。
【0022】
10.8~9において、前記第1液晶位相差層の下部面に第2接着層及び第2液晶位相差層がさらに積層されてもよい。
【0023】
11.8~10において、前記第2液晶位相差層は、芳香族環含有液晶化合物を含むことができる。
【0024】
12.8~11において、前記第2接着層は、ポリビニルアルコール系樹脂、1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤、及びアルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物を含む偏光板用接着剤組成物で形成されてもよい。
【0025】
13.12において、前記1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤は、エチレンイミン系架橋剤を1種以上含むことができる。
【0026】
14.12~13において、前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、エチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルのうち1種以上を含むことができる。
【0027】
本発明の更に他の観点は、光学表示装置である。
【0028】
光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、偏光子と液晶位相差層との間の接着力及び液晶位相差層と液晶位相差層との間の接着力に優れた接着層を形成する偏光板用接着剤組成物を提供することができる。
【0030】
本発明は、低い接着性を有する液晶位相差層と偏光子との間の接着力及び低い接着性を有する各液晶位相差層の間の接着力に優れた接着層を形成する偏光板用接着剤組成物を提供することができる。
【0031】
本発明は、高温高湿耐久性及び屈曲信頼性に優れた接着層を形成する偏光板用接着剤組成物を提供することができる。
【0032】
本発明は、上述した接着層を含む偏光板及び光学表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施例に係る偏光板の断面図である。
図2】本発明の他の実施例に係る偏光板の断面図である。
図3】高温高湿耐久性評価での試験片の平面概略図である。
図4】屈曲信頼性評価での試験片の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[発明を実施するための最善の形態]
添付の図面を参考にして、実施例によって本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0035】
図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては、同一の名称を使用した。図面において、各構成要素の長さ及び大きさは、本発明を説明するためのものであって、本発明が図面に記載の各構成要素の長さ及び大きさに制限されることはない。
【0036】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面を基準にして定義したものであって、視・観点によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよく、「上(on)」と称されるものは、直上のみならず、中間に他の構造を介在した場合も含むことができる。その一方で、「直接上(directly on)」、「直上」又は「直接形成」と称されるものは、中間体などの他の構造を介在していないことを示す。
【0037】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、「X以上、Y以下」(X≦and≦Y)を意味する。
【0038】
本発明の偏光板用接着剤組成物は、被着体である下記で詳述する液晶位相差層に対する接着力に優れた接着層を形成した。本発明の偏光板用接着剤組成物は、偏光子と前記液晶位相差層との間の接着力に優れた接着層を形成し、前記液晶位相差層と前記液晶位相差層との間の接着力に優れた接着層を形成した。一般に、液晶位相差層は、基材フィルム、及び基材フィルムの上部面に形成された液晶位相差層を含む液晶位相差フィルムの形態で偏光子に接着された後、基材フィルムを液晶位相差層から除去することによって偏光板に含まれ得る。液晶位相差層と偏光子との間の接着力が低い場合、基材フィルムを剥離する過程で液晶位相差層が偏光子から剥離され、偏光板の製造が難しくなる。
【0039】
また、本発明の偏光板用接着剤組成物は、高温高湿耐久性及び屈曲信頼性に優れた接着層を形成した。本発明の偏光板は、上述した偏光板用接着剤組成物で形成された接着層を含み、高温高湿耐久性及び屈曲信頼性に優れていた。
【0040】
以下、本発明一実施例の偏光板を、図1を参考にして説明する。
【0041】
図1を参考にすると、偏光板は、偏光子100、第1接着層300、第1液晶位相差層200、及び第3保護層400を含む。偏光子100の上部面に第3保護層400が積層され、偏光子100の下部面には、偏光子100から第1接着層300及び第1液晶位相差層200が順次積層されている。
【0042】
偏光子
偏光子100は、当業者に知られている通常の偏光子を含むことができる。例えば、偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム又はポリプロピレン(PP)系樹脂フィルムで製造された偏光子を含むことができる。具体的には、偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素及び異色性染料のうち一つ以上が吸着したポリビニルアルコール系偏光子、又は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを脱水させて製造されたポリエン系偏光子になってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの鹸化度は、約85モル%乃至約100モル%、具体的には約98モル%乃至約100モル%になってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの重合度は、約1,000乃至約10,000、具体的には約1,500乃至約10,000になってもよい。前記鹸化度及び重合度で偏光子を製造することができる。偏光子は、当業者に知られている通常の方法で製造され得る。
【0043】
偏光子100の厚さは、約5μm乃至約30μm、具体的には約5μm乃至約25μmになってもよい。前記範囲で、偏光子100が偏光板に使用可能であり、偏光板の薄型化効果を具現することができる。
【0044】
第1液晶位相差層
第1液晶位相差層200は、外光が偏光子100を通過した後、出射される線偏光を円偏光にすることによって、外光に対する反射を防止し、画面品質を良好にすることができる。
【0045】
一具体例において、第1液晶位相差層200は、波長550nmでの面内位相差(Re)が約100nm乃至約220nm、具体的には約100nm乃至約180nm、例えば、λ/4位相差を有することができる。前記範囲で、外光に対する反射率を低下させ、画面品質の改善効果を得ることができる。
【0046】
他の具体例において、第1液晶位相差層200は、波長550nmでの面内位相差(Re)が約225nm乃至約350nm、具体的には約225nm乃至約300nm、例えば、λ/2位相差を有することができる。前記範囲で、外光に対する反射率を低下させ、画面品質の改善効果を得ることができる。
【0047】
本明細書において、「面内位相差(Re)」は、Re=(nx-ny)×d(nx,nyは、それぞれ液晶位相差層の遅相軸(slow axis)方向及び進相軸(fast axis)方向の屈折率、dは、液晶位相差層の厚さ(単位:nm))で計算され得る。
【0048】
第1液晶位相差層200の厚さは、約0.1μm乃至約30μm、例えば、約1μm乃至約10μmになってもよい。前記範囲で、偏光板を薄型化させ、目標とする位相差を具現することができる。
【0049】
第1液晶位相差層200は、低い接着性を有する。前記低い接着性は、第1液晶位相差層が液晶組成物で形成されることによって起因し得る。
【0050】
一具体例において、第1液晶位相差層200は、疎水性の芳香族環含有液晶化合物を含有することができる。第1液晶位相差層は、基材フィルム上に液晶位相差層用組成物をコーティングして硬化させることによって形成され、芳香族環含有液晶化合物は、配向されることによって上述した面内位相差を具現することができる。芳香族環含有液晶化合物においては、基材フィルム上で機械的配向、物理的配向又は光配向がなされてもよい。基材フィルムは、一面に配向膜が形成されなくてもよく、芳香族環含有液晶化合物の配向をより容易にするために、一面に配向膜がさらに形成されていてもよい。前記基材フィルムは、光学的に透明な樹脂フィルムであって、その種類が特に制限されない。例えば、基材フィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC)などのセルロース系樹脂フィルムなどを挙げることができるが、これに制限されない。
【0051】
一具体例において、芳香族環含有液晶化合物は、液晶性を付与できる芳香族環及び重合性官能基で構成されるユニットを含む、高分子、オリゴマー又はモノマーであってもよい。前記重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基又はビニルエーテル基などであって、熱又は光によって硬化されることによって第1液晶位相差層の強度を高めることもできる。
【0052】
第1液晶位相差層は、上述した芳香族環含有液晶化合物を含む組成物で形成されてもよい。前記組成物は、レベリング剤、重合開始剤、配向補助剤、熱安定剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤をさらに含むこともでき、これらの詳細な種類としては、当業者に知られているものを参照する。
【0053】
図1には示していないが、第1液晶位相差層200の下部面には粘着層又は接着層が形成されることによって、偏光板を光学表示装置用パネルなどに粘着させることができる。粘着層又は接着層は、当業者に知られている(メタ)アクリル系組成物で形成されてもよいが、これに制限されない。
【0054】
第1接着層
第1接着層300は、偏光子100と第1液晶位相差層200との間に形成され、偏光子100と第1液晶位相差層200とを互いに接着させることができる。
【0055】
一具体例において、第1接着層300は、偏光子100及び第1液晶位相差層200にそれぞれ直接形成されてもよい。前記「直接形成」は、偏光子100と第1液晶位相差層200との間に第1接着層300以外の粘着層、接着層又は粘接着層が形成されないことを意味する。
【0056】
第1接着層300の厚さは、約10nm乃至約500nm、例えば、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、500nm、具体的には約50nm乃至約200nmになってもよい。前記範囲で、偏光板の薄型化効果を得ることができる。
【0057】
第1接着層300は、下記で詳述する偏光板用接着剤組成物で形成されることによって偏光子100及び第1液晶位相差層200に対する接着力に優れ、高温高湿での耐久性及び高温高湿での屈曲信頼性に優れた偏光板を提供した。以下、偏光板用接着剤組成物に対して詳細に説明する。
【0058】
偏光板用接着剤組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂、1次アミン基(-NH)又は2次アミン基(-NH-)を有する架橋剤、及びアルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物を含む。これを通じて、偏光板用接着剤組成物は、上述した接着層の効果を具現した。また、偏光板用接着剤組成物は、水系接着剤組成物であって、光硬化型接着剤組成物に比べてさらに薄型の接着層を形成することができる。
【0059】
偏光板用接着剤組成物は、熱硬化型組成物であって、熱硬化によって接着層を形成することができる。
【0060】
偏光板用接着剤組成物は、水系溶媒をさらに含むことができる。水系溶媒は、接着剤組成物の塗布を容易にし、薄型の接着層の形成を可能にする。
【0061】
水系溶媒は、超純水などを含む水になってもよいが、これに制限されない。水系溶媒は、接着剤組成物のうち残量で含まれてもよい。
【0062】
ポリビニルアルコール系樹脂は、ビニル系高分子であって、偏光子としてポリビニルアルコール系偏光子を含む場合、他の接着性樹脂よりも接着力の面で優秀になり得る。
【0063】
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニルを鹸化して得られたポリビニルアルコール又はその誘導体、又は酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体の鹸化物、又は、ポリビニルアルコールをアセチル化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化又はリン酸エステル化して得られた変性ポリビニルアルコール系樹脂を含むことができる。これらは、単独で含まれてもよく、又は2種以上混合して含まれてもよい。前記共重合性を有する単量体としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル類、エチレン、プロピレンなどのα-オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、モノアルキルマレート、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N-メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピロリドン誘導体などを挙げることができる。
【0064】
一具体例において、ポリビニルアルコール系樹脂は、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を含むことができる。アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、接着層の耐水性を改善することを促進することができる。
【0065】
一具体例において、ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、約1モル%乃至約30モル%、例えば、1モル%、5モル%、10モル%、15モル%、20モル%、25モル%、30モル%、具体的には約1モル%乃至約10モル%になってもよい。前記範囲で、架橋剤との十分な反応点を提供することによって接着力を示すことができ、偏光板の耐水性も高めることができる。アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を製造する方法は、特に制限されない。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸に分散させ、ジケテンを添加する方法などが考慮され得るが、これに制限されない。
【0066】
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度及び鹸化度は特に制限されないが、平均重合度は、約100乃至約3000、例えば、100、500、1000、1500、2000、2500、3000、平均鹸化度は、約85モル%乃至約100モル%、例えば、85モル%、86モル%、87モル%、88モル%、89モル%、90モル%、91モル%、92モル%、93モル%、94モル%、95モル%、96モル%、97モル%、98モル%、99モル%、100モル%になってもよい。前記範囲で、偏光子と第1液晶位相差層との間の接着力がより改善され得る。
【0067】
ポリビニルアルコール系樹脂は、水系溶媒100重量部に対して約1重量部乃至約20重量部、例えば、約1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、具体的には約1重量部乃至約10重量部で含まれてもよい。前記範囲で、接着層の接着力を示すことができ、接着剤組成物の粘度が急激に上昇しないので、工程性が優秀になり得る。
【0068】
前記1次アミン基(-NH)及び/又は2次アミン基(-NH-)を有する架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂及び下記で詳述するアルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物と反応することによって、接着層に接着力を提供することができる。
【0069】
前記架橋剤は、直鎖状、分岐鎖状又はデンドリマー型であって、複数個の1次アミン基(-NH)又は2次アミン基(-NH-)を有するので、接着層に接着力を提供することができる。また、前記架橋剤は、偏光板用水系接着剤で使用される複数個の架橋剤のうち下記で詳述するエポキシ系化合物と反応し、接着力、高温高湿耐久性及び屈曲信頼性を全て提供するという点で選ばれた。
【0070】
一具体例において、1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤は、エチレンイミン系架橋剤のうち1種以上を含むことができる。前記「エチレンイミン系架橋剤」は、エチレンイミンを公知の方法によって開環(ring opening)、重合(polymerization)、誘導体化(derivatization)などの1種以上で処理して合成された架橋剤を含むことができる。具体的には、エチレンイミン系架橋剤は、ポリ(エチレンイミン)系架橋剤を含むことができる。
【0071】
ポリ(エチレンイミン)系架橋剤は、末端に1次アミン基及び/又は2次アミン基を有し、主鎖中に2次アミン基及び/又は3次アミン基を有する直鎖状、分岐鎖状又はデンドリマー型の化合物を含むことができる。1次アミン基及び/又は2次アミン基は、ポリビニルアルコール系樹脂の官能基、具体的には、水酸基又はアセトアセチル基と反応することによって接着力を高めることができる。
【0072】
ポリ(エチレンイミン)系架橋剤は、当業者に知られているように、エチレン基(-CHCH-)が2次アミン基及び/又は3次アミン基に連結され、末端に1次アミン基及び/又は2次アミン基を有する架橋剤を含むことができる。
【0073】
前記架橋剤の重量平均分子量は、特に制限されないが、約100乃至約100万になってもよい。前記範囲で、本発明の接着層の効果を示すことができる。
【0074】
前記架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して約0.1重量部乃至約50重量部、例えば、約0.1重量部、0.5重量部、1重量部、1.5重量部、2重量部、2.5重量部、3重量部、3.5重量部、4重量部、4.5重量部、5重量部、5.5重量部、6重量部、6.5重量部、7重量部、7.5重量部、8重量部、8.5重量部、9重量部、9.5重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、21重量部、22重量部、23重量部、24重量部、25重量部、26重量部、27重量部、28重量部、29重量部、30重量部、31重量部、32重量部、33重量部、34重量部、35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、40重量部、41重量部、42重量部、43重量部、44重量部、45重量部、46重量部、47重量部、48重量部、49重量部、50重量部、具体的には約0.5重量部乃至約10重量部、さらに具体的には約1重量部乃至約10重量部、約1重量部乃至約5重量部で含まれてもよい。前記範囲で、接着層の接着力が良好になり得る。
【0075】
前記架橋剤:下記のアルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、約1:1乃至約1:15、例えば、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、具体的には約1:1乃至約1:10、さらに具体的には約1:1乃至約1:5の重量比で前記接着剤組成物に含まれてもよい。前記範囲で、エポキシ系化合物のうちエポキシ基と架橋剤のうちアミン基とが十分に反応し、接着剤内部の凝集力が向上し、接着力が向上するという効果があり得る。
【0076】
一方、第1液晶位相差層は、上述した疎水性の芳香族環液晶化合物で形成されることによって、水系接着剤がうまく塗布されないという問題を有し得る。しかし、アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、上述した問題を解消することができる。一具体例において、アルキレンオキシドを有するエポキシ系化合物は、芳香族基を有さない非芳香族系化合物であってもよい。また、前記エポキシ系化合物は、エポキシ基によって前記架橋剤と反応し、前記架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と反応することによって、最終的には、高い接着力を有する接着層を提供することができる。
【0077】
また、前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、前記接着剤組成物を液晶位相差層に塗布するとき、前記接着剤組成物が液晶位相差層に所定の厚さでうまく塗布されるようにし、その結果、均一な接着層の形成を可能にする。
【0078】
前記アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、化合物分子内にアルキレンオキシド基反復単位を有し、側鎖及び/又は末端にエポキシ基を有する、直鎖状又は分岐鎖状の化合物を含むことができる。
【0079】
前記「アルキレンオキシド基」は、*-[-O-R-]-*(*は、連結部位、Rは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2乃至4のアルキレン基)であってもよい。例えば、前記アルキレンオキシド基は、エチレンオキシド基、n-プロピレンオキシド基又はiso-プロピレンオキシド基などになってもよい。前記「エポキシ基」は、エポキシド基又はグリシドキシ基などになってもよい。一具体例において、アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、下記の化学式1の化合物を含み得るが、これに制限されない:
【0080】
【化2】
【0081】
(前記化学式1において、
Rは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2乃至4のアルキレン基で、
、Rは、それぞれ独立してエポキシド基又はエポキシド基含有基で、
nは、1乃至30の整数である。)
前記エポキシド基含有基は、グリシジル基又はグリシドキシ基になってもよい。
【0082】
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30になってもよい。
【0083】
例えば、アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、モノアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、モノアルキレングリコールトリグリシジルエーテル、及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルのうち1種であって、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル;ジ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルなどを含むポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルのうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0084】
好ましくは、アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルのうち1種以上を含むことができる。ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル及びポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルは、さらに低い曲率半径でも屈曲信頼性を高めることができる。
【0085】
アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して約1重量部乃至約100重量部、例えば、約1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、21重量部、22重量部、23重量部、24重量部、25重量部、26重量部、27重量部、28重量部、29重量部、30重量部、31重量部、32重量部、33重量部、34重量部、35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、95重量部、100重量部、具体的には約1重量部乃至約50重量部、さらに具体的には約3重量部乃至約35重量部で含まれてもよい。前記範囲で、接着層の接着力が良好になり得る。
【0086】
偏光板用接着剤組成物は、上述したポリビニルアルコール系樹脂、アルキレンオキシド基を有するエポキシ系化合物、及び1次アミン基又は2次アミン基を有する架橋剤以外の通常の添加剤をさらに含むことができる。例えば、添加剤は、UV吸収剤、熱安定剤、可塑剤、界面活性剤、反応抑制剤、接着性向上剤、揺変性付与剤、導電性付与剤、酸化防止剤、レベリング剤、及び安定化剤のうち1種以上を含み得るが、これらに制限されない。
【0087】
第3保護層
第3保護層400は、偏光子100の上部面に形成され、偏光子100を保護したり、偏光板に追加的な機能を提供することができる。
【0088】
第3保護層400は、光学的に透明な保護フィルム又は保護コーティング層であって、当業者に知られている通常のものを含むことができる。例えば、保護フィルムは、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロースエステル系樹脂、非晶性環状ポリオレフィンなどを含む環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環状ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリアクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち一つ以上を含むことができる。
【0089】
第3保護層400の厚さは、約5μm乃至約200μm、具体的には約30μm乃至約120μmで、保護フィルムタイプの場合は約10μm乃至約100μmになってもよく、保護コーティング層タイプの場合は約1μm乃至約50μmになってもよい。前記範囲で、第3保護層400を偏光板に使用することができる。
【0090】
図1には示していないが、第3保護層400の上部面には、ハードコーティング層、耐指紋性層、反射防止層などの機能性コーティング層がさらに形成され、偏光板に追加的な機能を提供することができる。
【0091】
また、図1には示していないが、第3保護層400は、接着層によって偏光子100に接着されてもよい。このとき、接着層は、上述した本発明の偏光板用接着剤組成物で形成されてもよく、又は、当業者に知られている水系接着剤又は光硬化型接着剤で形成されてもよい。
【0092】
以下、図2を参考にして、本発明の他の実施例の偏光板を説明する。
【0093】
図2を参照すると、偏光板は、第3保護層400、偏光子100、第1接着層300、第1液晶位相差層200、第2接着層600、及び第2液晶位相差層500を含む。偏光子100の上部面に第3保護層400が積層され、偏光子100の下部面には、偏光子100から第1接着層300、第1液晶位相差層200、第2接着層600、第2液晶位相差層500が順次積層される。第1液晶位相差層200の下部面に第2接着層600及び第2液晶位相差層500がさらに形成された点を除いては、図1の偏光板と実質的に同一である。
【0094】
第2液晶位相差層
第2液晶位相差層500は、外光が偏光子100を通過した後で出射される線偏光を円偏光にすることによって、外光に対する反射を防止し、画面品質を良好にすることができる。
【0095】
一具体例において、第2液晶位相差層500は、波長550nmでの面内位相差(Re)が約225nm乃至約350nm、具体的には約225nm乃至約300nm、例えば、λ/2位相差を有することができる。前記範囲で、外光に対する反射率を低下させ、画面品質の改善効果を得ることができる。
【0096】
他の具体例において、第2液晶位相差層500は、波長550nmでの面内位相差(Re)が約100nm乃至約220nm、具体的には約100nm乃至約180nm、例えば、λ/4位相差を有することができる。前記範囲で、外光に対する反射率を低下させ、画面品質の改善効果を得ることができる。
【0097】
第2液晶位相差層500の厚さは、約0.1μm乃至約30μm、例えば、約1μm乃至約10μmになってもよい。前記範囲で、偏光板を薄型化させ、目標とする位相差を具現することができる。
【0098】
第2液晶位相差層500は、低い接着性を有する。前記低い接着性は、第2液晶位相差層が液晶組成物で形成され、上述した面内位相差を具現するために適正な範囲のnx及びnyを付与することなどによって起因し得る。
【0099】
一具体例において、第2液晶位相差層500は、疎水性の芳香族環含有液晶化合物を含有することができる。例えば、第2液晶位相差層500は、上述した第1液晶位相差層200で説明した組成物で形成されてもよい。
【0100】
第2接着層
第2接着層600は、第1液晶位相差層200と第2液晶位相差層500との間に形成され、第1液晶位相差層200と第2液晶位相差層500とを互いに接着させることができる。
【0101】
一具体例において、第2接着層600は、第1液晶位相差層200及び第2液晶位相差層500にそれぞれ直接形成されてもよい。前記「直接形成」は、第1液晶位相差層200と第2液晶位相差層500との間に第2接着層600以外の粘着層、接着層又は粘接着層が形成されないことを意味する。
【0102】
第2接着層600の厚さは、約10nm乃至約500nm、例えば、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nm、430nm、440nm、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、500nm、約50nm乃至約100nmになってもよい。前記範囲で、偏光板の薄型化効果を得ることができる。
【0103】
一具体例において、第2接着層600は、第1接着層300で上述した本発明の偏光板用接着剤組成物で形成されてもよい。結局、本発明の偏光板用接着剤組成物は、高い水接触角を有する液晶位相差層と高い水接触角を有する液晶位相差層との間の接着力に優れ、低い接着性を有する液晶位相差層と低い接着性を有する液晶位相差層との間の接着力に優れる接着層を具現することができる。
【0104】
他の具体例において、第2接着層600は、当業者に知られている通常の光硬化型接着剤で形成されてもよい。光硬化型接着剤は、エポキシ系化合物又は(メタ)アクリル系化合物、及び光開始剤を含むことができる。エポキシ系化合物又は(メタ)アクリル系化合物、及び光開始剤としては、当業者に知られている通常の種類から選ばれたものが使用されてもよい。
【0105】
図2には示していないが、第2液晶位相差層500の下部面にも粘着層又は接着層が形成されることによって、偏光板を光学表示装置用パネルなどに粘着させることができる。粘着層又は接着層は、当業者に知られている(メタ)アクリル系組成物で形成されてもよいが、これに制限されない。
【0106】
以下、本発明の偏光板の製造方法を説明する。
【0107】
偏光板の製造方法は、液晶位相差層の一面に本発明の偏光板用接着剤組成物を塗布することによってコーティング層を形成し、前記コーティング層と偏光子とを合わせ、前記偏光板用接着剤組成物を硬化させることによって偏光子と液晶位相差層とを接着させる段階を含むことができる。
【0108】
偏光板の製造方法は、液晶位相差層の一面に本発明の偏光板用接着剤組成物を塗布することによってコーティング層を形成し、前記コーティング層と液晶位相差層とを合わせ、前記偏光板用接着剤組成物を硬化させることによって液晶位相差層と液晶位相差層とを接着させる段階を含むことができる。
【0109】
前記塗布は、当業者に知られている通常の方法で行われてもよい。例えば、ダイコーター、バーコーターなどを含み得るが、これに制限されない。前記硬化は、前記コーティング層を熱硬化することを含むことができる。熱硬化は、特に制限されなく、例えば、約40℃乃至約100℃で約1分乃至約60分間1回以上行われてもよい。
【0110】
本発明の光学表示装置は、本発明の偏光板を含む。
【0111】
例えば、光学表示装置は、有機発光表示装置などを含む発光表示装置、液晶表示装置などを含み得るが、これに制限されない。例えば、光学表示装置は、フレキシブル光学表示装置を含むことができる。
【0112】
[発明を実施するための形態]
以下、本発明の実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を促進するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例に限定されない。
【0113】
A.第3保護層:COPフィルム(G+、Zeon社、上部面にハードコーティング層が形成される。厚さ:28μm)
B.第1液晶位相差フィルム:基材フィルム(TACフィルム)の下部面に液晶位相差層(波長550nmでλ/2位相差を有する)が形成された液晶位相差フィルム(富士フイルム株式会社、QLAA)
C.第2液晶位相差フィルム:基材フィルム(TACフィルム)の上部面に液晶位相差層(波長550nmでλ/4位相差を有する)が形成された液晶位相差フィルム(富士フイルム株式会社、QLAB)
実施例1
<偏光子の製造>
ポリビニルアルコール系フィルム(三菱ケミカル株式会社、重合度:2800、厚さ:20μm)を0.3%のヨウ素水溶液に浸漬させて粘着させた。前記フィルムのMD方向に5.0倍の延伸比で延伸させた。延伸されたポリビニルアルコール系フィルムを3%のホウ酸水溶液及び2%のヨウ化カリウム水溶液に浸漬させ、色相補正を行った。50℃で4分間乾燥させ、偏光子(厚さ:7μm)を製造した。
【0114】
<偏光板用水系接着剤組成物の製造>
ポリビニルアルコール系樹脂3重量部を95℃の水100重量部に入れ、60分間撹拌しながら溶かした。得た溶液を常温で完全に冷やした後、架橋剤0.1重量部及びエポキシ系化合物0.1重量部を順次添加して互いに混合した後、マグネチックスターラーで撹拌することによって偏光板用接着剤組成物を製造した。
【0115】
下記の表1は、ポリビニルアルコール系樹脂3重量部に対する固形分を基準にして架橋剤及びエポキシ系化合物の含量(単位:重量部)を示したものである。下記の表1において、「-」は、該当の成分が含まれないことを表示する。
【0116】
<偏光板用光硬化型接着剤組成物の製造>
エポキシ系化合物2021P(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、株式会社ダイセル)80重量部、エポキシ系化合物EX141(フェニルグリシジルエーテル、ナガセケムテックス株式会社)20重量部、及び陽イオン重合開始剤CPI100P(サンアプロ株式会社)5重量部を混合し、偏光板用光硬化型接着剤組成物を製造した。
【0117】
<偏光板の製造>
前記製造した偏光子の上部面及び下部面のそれぞれに、前記製造した偏光板用水系接着剤組成物を所定の厚さで塗布した。
【0118】
前記偏光子の上部面に前記COPフィルムの下部面を合わせ、50℃の乾燥オーブン内で1分間、85℃の乾燥オーブン内で3分間処理した。前記偏光子の下部面に前記第1液晶位相差層用フィルムのうち液晶位相差層側の面を合わせ、50℃の乾燥オーブン内で1分間、85℃の乾燥オーブン内で3分間処理し、第3保護層/接着層/偏光子/接着層/液晶位相差層/TACフィルムの積層体を製造した。
【0119】
前記第2液晶位相差層用フィルムのうち液晶位相差層側の面に、前記製造した偏光板用光硬化型接着剤組成物を所定の厚さで塗布することによって接着剤コーティング層を形成した。前記第1液晶位相差層用フィルムのうちTACフィルムを除去した後、前記接着剤コーティング層に第1液晶位相差層用フィルムのうち液晶位相差層を合わせ、第2液晶位相差層用フィルムの基材フィルム側の面で金属ハライドランプを用いて出力80W/cm、エネルギー100mJ/cmで光を照射し、これを常温で1日放置した。その後、第2液晶位相差層用フィルム側の基材フィルムを除去した。
【0120】
これを通じて、第3保護層/接着層(偏光板用水系接着剤組成物で形成される。厚さ:100nm)/偏光子/接着層(偏光板用水系接着剤組成物で形成される。厚さ:100nm)/液晶位相差層(波長550nmでλ/2位相差を有する。)/接着層(偏光板用光硬化型接着剤組成物で形成される。厚さ:3μm)/液晶位相差層(波長550nmでλ/4位相差を有する)の順に積層された偏光板を製造した。
【0121】
実施例2乃至実施例6
実施例1において、偏光板用水系接着剤組成物のうち各成分の種類及び/又は含量を下記の表1(単位:重量部)のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法を実施することによって偏光板を製造した。
【0122】
実施例7
実施例1において、偏光板用光硬化型接着剤組成物の代わりに、実施例1で製造された偏光板用水系接着剤組成物を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法で偏光板を製造した。これを通じて、第3保護層/接着層(偏光板用水系接着剤組成物で形成される。厚さ:100nm)/偏光子/接着層(偏光板用水系接着剤組成物で形成される。厚さ:100nm)/液晶位相差層(波長550nmでλ/2位相差を有する。)/接着層(偏光板用水系接着剤組成物で形成される。厚さ:100nm)/液晶位相差層(波長550nmでλ/4位相差を有する。)の順に積層された偏光板を製造した。
【0123】
比較例1及び比較例2
実施例1において、偏光板用水系接着剤組成物のうち各成分の種類及び/又は含量を下記の表1(単位:重量部)のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法を実施することによって偏光板用接着剤組成物、積層体及び偏光板を製造した。
【0124】
比較例3及び比較例4
実施例1において、偏光板用水系接着剤組成物のうち各成分の種類及び/又は含量を下記の表1(単位:重量部)のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法を実施した。
【0125】
実施例及び比較例で使用した偏光板用接着剤の構成は、下記の表1の通りである。
【0126】
【表1】
【0127】
前記表1において、
A:ポリビニルアルコール系樹脂(三菱ケミカル株式会社、Z200、アセトアセチル基に変性されたポリビニルアルコール、平均重合度:1200、鹸化度:99モル%、アセトアセチル基変性度:5モル%)
B:ポリ(エチレンイミン)系架橋剤(株式会社日本触媒、SP018、1次アミン基又は2次アミン基を有する。)
C:グリオキサール系架橋剤(株式会社TCL、固形分40重量%、溶剤は水)
D:ジルコニウム化合物(Zircosol-ZN、溶剤は水、第一稀元素化学工業株式会社)
E:ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル(EX821、ナガセケムテックス株式会社)
F:エチレングリコールジグリシジルエーテル(EX811、ナガセケムテックス株式会社)
G:ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル(EX920、ナガセケムテックス株式会社)
実施例及び比較例の偏光板用接着剤及び偏光板に対して下記の物性を評価し、その結果を下記の表2に示した。
【0128】
(1)液晶位相差層の転写有無:実施例及び比較例と同一の方法でCOPフィルム/接着層/偏光子/接着層(偏光板用水系接着剤で形成される。)/第1液晶位相差フィルム(液晶位相差層/TACフィルム)の積層体を製造した。1時間経過した後、TACフィルムを液晶位相差層から剥離したとき、TACフィルムが液晶位相差層から剥離され、液晶位相差層が偏光子側に付いている場合を「○」、液晶位相差層が偏光子から分離される場合を「X」と評価した。
【0129】
(2)高温高湿耐久性:実施例及び比較例で製造した偏光板を、偏光子の吸収軸方向が45゜方向(対角線方向)になるように長さ×幅(50mm×50mm)に切断した後、ガラス板に付着させることによって試験片を製造した。前記製造した試験片を60℃及び95%相対湿度のチャンバー内で500時間にわたって放置した。図3を参照すると、試験片1のうち、長さ又は幅に対して45゜方向(偏光子の角)に測定された偏光子の4個の脱色部位5の長さの平均値を測定した。得た平均値に対して、下記の基準で評価した。
【0130】
○:1mm未満
△:1mm以上、3mm未満
X:3mm超過。
【0131】
(3)屈曲信頼性:実施例及び比較例で製造した偏光板を、偏光子の吸収軸方向が45゜方向(対角線方向)になるように長さ×幅(50mm×50mm)の正四角形の試験片を製造した。図4のように、前記製造した試験片10をそれぞれ曲率半径3Rになるように半分に折った後、形状が固定された2個のスリット20の間に入れた状態で60℃及び95%相対湿度のチャンバー内に入れ、500時間にわたって放置してから取り出した。折れた部分において層間界面での浮き上がりによる気泡、しわ、波模様などが全く発生していない場合は「○」、気泡、しわ、波模様などが少しでも発生した場合は「X」と評価した。
【0132】
【表2】
【0133】
前記表2に示したように、本発明の偏光板用接着剤組成物は、偏光子と液晶位相差層との間の接着力に優れるので、液晶位相差層の転写がうまく行われ、本発明は、高温高湿耐久性及び屈曲信頼性に優れた接着層を形成した。
【0134】
その一方で、本発明の構成を満足できない比較例の偏光板用接着剤組成物は、本発明の効果を全て得ることができなかった。比較例3及び比較例4は、第1液晶位相差層用フィルムのうちTACフィルムを除去する過程で第1液晶位相差層が偏光子から分離され、偏光板を製造することができなかった。
【0135】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものと見なすことができる。
図1
図2
図3
図4