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特許7595328抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20241129BHJP
   C07K 17/00 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241129BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241129BHJP
   C12N 5/12 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241129BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20241129BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C07K16/18
C07K17/00
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/08
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/12
A61K39/395 N
G01N33/531 A
G01N33/53 S
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023500955
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2022006890
(87)【国際公開番号】W WO2022177003
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】P 2021026290
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度 国立研究開発法人日本医療研究開発機構、医療分野研究成果展開事業・先端計測分析技術・機器開発プログラム、課題名「食物アレルギー診断キットと検出器の開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】509346689
【氏名又は名称】学校法人都築学園
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】村田 幸久
(72)【発明者】
【氏名】中村 達朗
(72)【発明者】
【氏名】永田 奈々恵
(72)【発明者】
【氏名】有竹 浩介
(72)【発明者】
【氏名】益子 櫻
【審査官】白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/104025(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/043015(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/021704(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0021437(US,A1)
【文献】NAGATA, Nanae et al.,Development of Monoclonal Antibody-Based EIA for Tetranor-PGDM which Reflects PGD2 Production in the Body,Journal of Immunology Research,2021年04月27日,Volume 2021, Article ID 5591115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
tetranor-PGDMに特異的に結合する、モノクローナル抗体又はその断片であって、
以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はFであり、Xaa2はNであり、Xaa3はAである);
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はNであり、Xaa5はFであり、Xaa6はNであり、Xaa7はDであり、Xaa8はGである);
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はRであり、Xaa10はYであり、Xaa11はYであり、Xaa12はYであり、Xaa13はYであり、Xaa14はGであり、Xaa15はSであり、Xaa16はKであり、Xaa17はAであり、Xaa18はMであり、Xaa19はDであり、Xaa20はYである);
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はTであり、Xaa22はRであり、Xaa23はIであり、Xaa24はNであり、Xaa25はYである);
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はGであり、Xaa27はNである);及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はNであり、Xaa29はVである);
含む、モノクローナル抗体又はその断片。
【請求項2】
tetranor-PGEM、tetranor-PGFM、又はtetranor-PGAMに実質的に結合しない、請求項1に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
【請求項3】
tetranor-PGDMの7~11位の炭素鎖を認識する、請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
【請求項4】
定常領域がヒト由来である、請求項1~3のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
【請求項5】
ヒトキメラ化又はヒト化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
【請求項6】
Fab、F(ab')2、Fab'、Fv及び一本鎖抗体から成る群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項7に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項9】
請求項8に記載の発現ベクターによりトランスフェクトされた、宿主細胞。
【請求項10】
真核細胞である、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を産生する、ハイブリドーマ。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片を含む、tetranor-PGDM関連疾患の診断薬。
【請求項13】
tetranor-PGDM関連疾患が食物アレルギー、アナフィラキシー反応、筋ジストロフィー、又はアスピリン不耐性喘息である、請求項12に記載の診断薬。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片、あるいは請求項12又は13に記載の診断薬を含む、キット。
【請求項15】
更に、固相担体を含み、前記モノクローナル抗体又はその断片が当該固相担体上に固定されている、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片、あるいは請求項12又は13に記載の診断薬を用いて、tetranor-PGDMをインビトロで検出する方法。
【請求項17】
被験者が、食物アレルギーを有するか否かを判定するのを補助する方法であって、
請求項1~6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はその断片、あるいは請求項12又は13に記載の診断薬を用いて、尿中のtetranor-PGDM量をインビトロで検出する工程と、
尿中のtetranor-PGDM量が多いほど、食物アレルギーの症状が重篤である若しくは重篤になった、又は、食物アレルギーを発症するリスクが高い若しくは高くなったとの決定を補助する工程を含む、方法。
【請求項18】
更に、尿中のtetranor-PGEM量をインビトロで測定する工程を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広く、tetranor-PGDMを標的とするモノクローナル抗体又はその断片、及びその用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
食物アレルギーは、摂取した食物に対してじんましんや下痢、嘔吐などの症状がでる他、アナフィラキシーを起こして死に至ることもある疾患である。小児に多いこの疾患の患者数は急激に増加しており、その重篤化も深刻な問題となっている。
【0003】
アレルギーの検査法として、血中IgE 抗体の濃度測定が広く用いられているが、本検査では食物を食べて症状が出るかどうかはわからない。そのため食物アレルギーの確定診断は「経口抗原負荷試験」を行うしか方法はない。しかしこれには、多大な手間と時間がかかり、アナフィラキシーを起こすリスクがある。また、食物アレルギーの治療として「経口免疫療法」が挙げられるが、症状の出ない少量の抗原を数年にわたって食べ続ける必要があり、これにも事故のリスクが付きまとう。このように、簡便かつ的確な診断法や症状評価法の欠如が、患者の増え続ける食物アレルギーの診断・治療法開発のボトルネックになっている。
【0004】
本発明者らは、子供でも採取が容易な尿中に、食物アレルギーに特異的、かつ症状の程度に比例して、脂質プロスタグランジン (PG)D2の代謝産物であるtetranor-PGDM(9α-hydroxy-11,15-dioxo-13,14-dihydro-2,3,4,5-tetranor-prostan-1,20-dioic acid)が排泄されることを発見した(特許文献1)。しかし、本濃度の測定には操作が難しく、費用の掛かる質量分析装置を用いる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/021704号
【文献】米国特許出願公開第2012/0021437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
tetranor-PGDMに対するポリクローナル抗体が知られているが(https://www.caymanchem.com/product/501001/tetranor-pgdm-elisa-kit; 米国特許出願公開第2012/0021437号公報(特許文献2))、ポリクローナル抗体は特異性、製造安定性、測定の再現性でモノクローナル抗体に劣る。これらの品質における問題に加え、ポリクローナル抗体はロット間で性能に差が生まれるため、ヒトの疾患を検査するために応用することができない。
【0007】
そのため、tetranor-PGDMに対するモノクローナル抗体の開発が望まれていたが、tetranor-PGDMは抗原として分子量が小さく、抗体が認識するのが難しく、また、生体内にも存在するため、tetranor-PGDMに対するモノクローナル抗体の開発は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、tetranor-PGDMとキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)との複合体を、造血器型とリポカリン型の2種類のPGD2合成酵素をコードする遺伝子を欠損し、PGD2とその代謝産物であるtetranor-PGDMを産生しないマウスに免疫することで初めてtetranor-PGDMに特異的なモノクローナル抗体の作成に成功した。
【0009】
なお、特許文献2にはtetranor-PGDMとキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)との複合体を野生型のマウスに注射してtetranor-PGDMに対するモノクローナル抗体を製造する方法が記載されているが、得られた抗体について具体的な説明はない。本発明者が同様に野生型のマウスに対して免疫を行ったところ、tetranor-PGDMに特異的なモノクローナル抗体は得られなかった。
【0010】
また、特許文献2ではポリクローナル抗体と思われる、tetranor-PGDMに対する抗体の交差反応性が示されているが(段落0347)、tetranor-PGDMのみならず、tetranor-PGEMに対して結合する点で(Tetranor-PGJM 376%;Tetranor-PGDM 100%;Tetranor-PGEM 0.3%)tetranor-PGEMに対して実質的に結合しない本発明のモノクローナル抗体(例えば、Tetranor-PGJM 563%;Tetranor-PGDM 100%;Tetranor-PGEM 0.00%)とは異なる。両者はtetranor-PGJMに結合する点で共通しているが、tetranor-PGJMは生体内でほとんど生産されず、尿には排出されない。一方、tetranor-PGEMは体内でも大量に産生され、尿でも検出されるため、tetranor-PGEMに対して結合するか否かは極めて重要な相違点となる。このような相違は、例えばCDRの違いに起因すると考えられる。
【0011】
すなわち、本願発明は以下の発明を包含する。
[1]
tetranor-PGDMに特異的に結合する、モノクローナル抗体又はその断片。
[2]
tetranor-PGEM、tetranor-PGFM、又はtetranor-PGAMに実質的に結合しない、[1]に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[3]
tetranor-PGDMの7~11位の炭素鎖を認識する、[1]又は[2]に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[4]
以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである);
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである);
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである);
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである);
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである);及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである);
から成る群から選択される少なくとも1つ以上のCDRを含むか、
各CDRのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列から成るCDRを少なくとも1つ以上含むか、あるいは
各CDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列から成るCDRを少なくとも1つ以上含む、[1]~[3]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[5]
(a) のCDRH1において、Xaa2がNである場合、Xaa1がFであり、Xaa3がAであり;又はXaa2がRである場合、Xaa1がF、A又はSである、[4]に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[6]
(b)のCDRH2において、Xaa4がNである場合、Xaa5がFであり、Xaa6がNであり、Xaa7がDであり、Xaa8がGであり;あるいはXaa4がYである場合、Xaa5がGであり、Xaa6がDであり、Xaa7がGであり、Xaa8がN又はDである、[4]又は[5]に記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[7]
(c)のCDRH3において、Xaa10がYである場合、Xaa9がRであり、Xaa11がYであり、Xaa12がYであり、Xaa13がYであり、Xaa14がGであり、Xaa15がSであり、Xaa16がKであり、Xaa17がAであり、Xaa18がMであり、Xaa19がDであり、Xaa20がYであり;あるいはXaa10がVである場合、Xaa9がS又はTであり、Xaa11が存在せず、Xaa12が存在せず、Xaa13が存在せず、Xaa14がSであり、Xaa15がRであり、Xaa16がWであり、Xaa17がFであり、Xaa18がFであり、Xaa19がAであり、Xaa20がVである、[4]~[6]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[8]
(d)のCDRL1において、Xaa22とXaa23がそれぞれTである場合、Xaa21がT又はSであり、Xaa24がN、Y又はKであり、Xaa25がY又はHであり;あるいはXaa22がRであり、Xaa23がIである場合、Xaa21がTであり、Xaa24がNであり、Xaa25がYである、[4]~[7]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[9]
(e)のCDRL2において、Xaa26がGである場合、Xaa27がDではない、[4]~[8]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[10]
(f)のCDRL3において、Xaa28がYである場合、Xaa29がV又はIであり;Xaa28がFである場合、Xaa29がVであり;あるいはXaa28がNである場合、Xaa29がVである、[4]~[9]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[11]
定常領域がヒト由来である、[1]~[10]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[12]
ヒトキメラ化又はヒト化されている、[1]~[11]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[13]
Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv及び一本鎖抗体から成る群から選択される、[1]~[12]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片。
[14]
[1]~[13]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチド。
[15]
[14]に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
[16]
[15]に記載の発現ベクターによりトランスフェクトされた、宿主細胞。
[17]
真核細胞である、[16]に記載の宿主細胞。
[18]
[1]~[13]のいずれかに記載のモノクローナル抗体を産生する、ハイブリドーマ。
[19]
[1]~[13]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片を含む、tetranor-PGDM関連疾患の診断薬。
[20]
tetranor-PGDM関連疾患が食物アレルギー、アナフィラキシー反応、筋ジストロフィー、又はアスピリン不耐性喘息である、[19]に記載の診断薬。
[21]
[1]~[13]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片、あるいは[19]又は[20]に記載の診断薬を含む、キット。
[22]
更に、固相担体を含み、前記モノクローナル抗体又はその断片が当該固相担体上に固定されている、[21]に記載のキット。
[23]
[1]~[13]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片、あるいは[19]又は[20]に記載の診断薬を用いて、tetranor-PGDMを検出する方法。
[24]
被験者が、食物アレルギーを有するか否かを判定するのを補助する方法であって、
[1]~[13]のいずれかに記載のモノクローナル抗体又はその断片、あるいは[19]又は[20]に記載の診断薬を用いて、尿中のtetranor-PGDM量を検出する工程と、
尿中のtetranor-PGDM量が多いほど、食物アレルギーの症状が重篤である若しくは重篤になった、又は、食物アレルギーを発症するリスクが高い若しくは高くなったとの決定を補助する工程を含む、方法。
[25]
更に、尿中のtetranor-PGEM量を測定する工程を含む、[24]に記載の方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体によれば、従来質量分析で測定されていたtetranor-PGDMを、エンザイムイムノアッセイ等において簡便に検出することが可能になる。このようなエンザイムイムノアッセイ法は、体液中のtetranor-PGDMの定量化、動物の疾患モデルの評価、診断の指標、食物アレルギーやその他の疾患の治療モニタリングに役立つことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を用いたエンザイムイムノアッセイの性能に対するpH値(A)及びイオン強度(B)の影響を検討した結果;最適化された条件下でのtetranor-PGDMの競合曲線(C)及びtetranor-PGDMの検出限界を検討した結果(D)を示す。
図2図2は、tetranor-PGDM、tetranor-PGEM、tetranor-PGFM、tetranor-PGAMの構造を示す。
図3図3は、固相抽出する前(A)と後(B)の人工尿から回収したtetranor-PGDMを段階希釈し、測定した結果を示す。
図4図4は、31-13抗体H鎖の配列を示す。
図5図5は、31-13抗体L鎖の配列を示す。
図6図6は、44-63抗体H鎖の配列を示す。
図7図7は、44-63抗体L鎖の配列を示す。
図8図8は、47-11抗体H鎖の配列を示す。
図9図9は、47-11抗体L鎖の配列を示す。
図10図10は、50-32抗体H鎖の配列を示す。
図11図11は、50-32抗体L鎖の配列を示す。
図12図12は、53-113抗体H鎖の配列を示す。
図13図13は、53-113抗体L鎖の配列を示す。
図14図14は、60-141抗体H鎖の配列を示す。
図15図15は、60-141抗体L鎖の配列を示す。
図16図16は、各抗体のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体)
第一の態様において、tetranor-PGDMに特異的に結合するモノクローナル抗体又はその断片が提供される。本明細書では以降、この抗体を単に抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体ともいう。本明細書で使用する場合、「tetranor-PGDMに特異的に結合する」とは、抗体がtetranor-PGEM、tetranor-PGFM、またはtetranor-PGAM に実質的に結合せず、tetranor-PGDM又はtetranor-PGJMに特異的に結合することを意味する。tetranor-PGEMに結合しないモノクローナル抗体は、尿を含む体液中に特に多く排泄されるため好ましい。なお、tetranor-PGJMは生体内でほとんど生産されず、尿には排出されないため、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は実質的にtetranor-PGDM特異的抗体であるといえる。
【0015】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は、抗体産生細胞をミエローマと融合することで得られるハイブリドーマを用いて産生することができる。産生した抗体は回収の前に更に精製工程等の追加の工程にかけてもよく、例えば純度を高めるために、塩析、フィルター濾過、遠心分離を用いた清澄化、アフィニティーによる回収、イオン交換による中間精製、ゲルろ過による最終精製を行うことが好ましい。
【0016】
このようにして得られる抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体の例として、以下の相補性決定領域(CDR):
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである);
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである);
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである);
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである);
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである);及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである);
から成る群から選択される少なくとも1つ以上のCDR、好ましくは6つ全てのCDRを含む抗体が例示される。抗体は通常2つの重鎖と2つの軽鎖がジスルフィド結合により共有結合した構造を有し、各重鎖は重鎖可変領域と重鎖定常領域に、そして各軽鎖は軽鎖可変領域と軽鎖定常領域に分けられる。CDRは各可変領域に3つずつ含まれる。ここで、CDRH1、CDRH2、CDRH3は重鎖の相補性決定領域を重鎖アミノ酸配列のアミノ末端側から順に表記したものであり、CDRL1、CDRL2、CDRL3は軽鎖の相補性決定領域を軽鎖アミノ酸配列のアミノ末端側から順に表記したものである。
【0017】
従って、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体またはその断片は、好ましくは、
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである);
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである);
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである);
を含む重鎖可変領域を含むか、そして/あるいは
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである);
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである);及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである);
を含む軽鎖可変領域を含む。
【0018】
各CDRのアミノ酸配列は、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体またはその断片が、tetranor-PGDMに特異的に結合する限り、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有していてもよい。本明細書で使用する場合、「数個」とは、配列の長さによっても異なるが、2~10個、好ましくは2~5個、より好ましくは2又は3個を指す。
【0019】
置換後のアミノ酸は、以下の分類のような元のアミノ酸側鎖の性質が保存されているアミノ酸であることが望ましい。しかしながら、アミノ酸置換は保存的置換に限定されない。
疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V);
親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T);
脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P);
水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y);
硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M);
カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q);
塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H);
芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)
【0020】
一実施形態において、アミノ酸置換は、天然のヒト抗体において対応する位置に存在するアミノ酸であってよい。
【0021】
一実施形態において、アミノ酸置換は、相補性決定領域(CDR)の外側に存在していてもよい。
【0022】
一実施形態において、アミノ酸置換は、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域に存在していてもよい。
【0023】
あるいは、各CDRのアミノ酸配列は、tetranor-PGDMに特異的に結合する限り、各配列番号に示される配列と80%以上の相同性、好ましくは80%以上の同一性を有するアミノ酸配列から構成されていてもよい。配列の相同性又は同一性は、好ましくは81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%以上、より好ましくは99%以上である。
【0024】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は、以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである);
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである);
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである);
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである);
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである);及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである);
から成る群から選択される少なくとも1つ以上のCDRを含む可変領域を含むか、
各CDRのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列から成るCDRを含む可変領域を少なくとも1つ以上含むか、あるいは
各CDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列から成るCDRを含む可変領域を少なくとも1つ以上含む、抗体又はその断片が結合するエピトープと結合する抗体又はその断片であってもよい。
【0025】
本明細書で使用する場合、「エピトープ」とは、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片が結合するtetranor-PGDMの部分構造を意味する。そのような部分構造として、以下の化学式:
【化1】
で表されるtetranor-PGDMの7~11位の炭素鎖、特に11ケト基が考えられる。7~11位は、PGD2の炭素番号を基本とした番号付けとなっており、1~4位は欠番となっている。
【0026】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は、以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである);
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである);
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである);
を含む重鎖可変領域を含むか、
各CDRのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列から成るCDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域を含むか、あるいは
各CDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列から成るCDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、抗体又はその断片であってもよい。
【0027】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片における重鎖可変領域は、配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかに記載のアミノ酸配列の少なくとも109個の連続したアミノ酸を含んでもよい。
【0028】
本明細書で使用する場合、「配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかに記載のアミノ酸配列の少なくとも109個の連続したアミノ酸」とは、配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかに記載のアミノ酸配列における109個、110個、112個又はそれ以上の連続したアミノ酸を意味する。そのような連続したアミノ酸は、上記CDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含むことが好ましい。
【0029】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片における重鎖可変領域は、配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかに記載のアミノ酸配列、配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列、あるいは配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかに記載のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0030】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は、以下の:
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである);
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである);及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである);
を含む軽鎖可変領域を含むか、
各CDRのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列から成るCDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含むか、あるいは
各CDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列から成るCDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又はその断片であってもよい。
【0031】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は、以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである);
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである);
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである);
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである);
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである);及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである);
を含む可変領域を含むか、
各CDRのアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列から成るCDRH1、CDRH2及びCDRH3並びにCDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む可変領域を含むか、あるいは
各CDRのアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列から成るCDRH1、CDRH2及びCDRH3並びにCDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む可変領域を含む、抗体又はその断片であってもよい。
【0032】
一実施形態において、CDRH1におけるXaa2がNである場合、Xaa1はFであってもよく、Xaa3はAであってもよく;又はXaa2がRである場合、Xaa1はF、A又はSであってもよい。
【0033】
Xaa1はFであることが好ましい。Xaa2はNであることが好ましい。Xaa3はAであることが好ましい。Xaa1がFであり、Xaa2がNであり、Xaa3がAであるCDRH1が好ましい。
【0034】
一実施形態において、CDRH2におけるXaa4がNである場合、Xaa5-Xaa6-Xaa7- Xaa8はFNDGであってもよく;あるいはXaa4がYである場合、Xaa5-Xaa6-Xaa7はGDGであってもよく、Xaa8はN又はDであってもよい。
【0035】
Xaa4はNであることが好ましい。Xaa5-Xaa6-Xaa7- Xaa8はFNDGであることが好ましい。Xaa4がNであり、Xaa5-Xaa6-Xaa7- Xaa8がFNDGであるCDRH2が好ましい。
【0036】
一実施形態において、CDRH3におけるXaa10がYである場合、Xaa9はRであってもよく、Xaa11はYであってもよく、Xaa12はYであってもよく、Xaa13はYであってもよく、Xaa14はGであってもよく、Xaa15はSであってもよく、Xaa16はKであってもよく、Xaa17はAであってもよく、Xaa18はMであってもよく、Xaa19はDであってもよく、Xaa20はYであってもよく;あるいはXaa10がVである場合、Xaa9はS又はTであってもよく、Xaa11は存在しなくてもよく、Xaa12は存在しなくてもよく、Xaa13は存在しなくてもよく、Xaa14はSであってもよく、Xaa15はRであってもよく、Xaa16はWであってもよく、Xaa17はFであってもよく、Xaa18はFであってもよく、Xaa19はAであってもよく、Xaa20はVであってもよい。
【0037】
Xaa9はRであることが好ましい。Xaa10はYであることが好ましい。Xaa11は存在すること、特にYであることが好ましい。Xaa12は存在すること、特にYであることが好ましい。Xaa13は存在すること、特にYであることが好ましい。Xaa14はGであることが好ましい。Xaa15はSであることが好ましい。Xaa16はKであることが好ましい。Xaa17はAであることが好ましい。Xaa18はMであることが好ましい。Xaa19はDであることが好ましい。Xaa20はYであることが好ましい。Xaa9がRであり、Xaa10がYであり、Xaa11がYであり、Xaa12がYであり、Xaa13がYであり、Xaa14がGであり、Xaa15がSであり、Xaa16がKであり、Xaa17がAであり、Xaa18がMであり、Xaa19がDであり、Xaa20がYであるCDRH3が好ましい。
【0038】
一実施形態において、CDRL1におけるXaa22とXaa23がそれぞれTである場合、Xaa21はT又はSであってもよく、Xaa24はN、Y又はKであってもよく、Xaa25はY又はHであってもよく;あるいはXaa22がRであり、Xaa23がIである場合、Xaa21はTであってもよく、Xaa24はNであってもよく、Xaa25はYであってもよい。
【0039】
Xaa21はTであることが好ましい。Xaa22はT又はRであることが好ましい。Xaa23はT又はIであることが好ましい。Xaa24はNであることが好ましい。Xaa21がTであり、Xaa22がT又はRであり、Xaa23がT又はIであり、Xaa24がNであり、Xaa25がYであるCDRL1が好ましい。Xaa21がTであり、Xaa22がRであり、Xaa23がIであり、Xaa24がNであり、Xaa25がYであるCDRL1がより好ましい。
【0040】
一実施形態において、CDRL2におけるXaa26がGである場合、Xaa27はDでなくてもよい。
【0041】
Xaa26はGであることが好ましい。Xaa27はNであることが好ましい。Xaa26がGであり、Xaa27がNであるCDRL2が好ましい。
【0042】
一実施形態において、CDRL3におけるXaa28がYである場合、Xaa29はV又はIであってもよく;Xaa28がFである場合、Xaa29はVであってもよく;あるいはXaa28がNである場合、Xaa29はVであってもよい。Xaa28がY又はNであり、Xaa29がVであるCDRL3が好ましい。
【0043】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片における軽鎖可変領域は、配列番号95~99のいずれかに記載のアミノ酸配列の少なくとも99個の連続したアミノ酸を含んでもよい。
【0044】
本明細書で使用する場合、「配列番号16、29、42、55、68、81のいずれかに記載のアミノ酸配列の少なくとも99個の連続したアミノ酸」とは、配列番号16、29、42、55、68、81のいずれかに記載のアミノ酸配列における99個、100個、101個、102個又はそれ以上の連続したアミノ酸を意味する。そのような連続したアミノ酸は、上記CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含むことが好ましい。
【0045】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片における軽鎖可変領域は、配列番号16、29、42、55、68、81のいずれかに記載のアミノ酸配列、配列番号16、29、42、55、68、81のいずれかに記載のアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸の欠失、置換又は付加を有するアミノ酸配列、あるいは配列番号16、29、42、55、68、81のいずれかに記載のアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0046】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は上記CDRを有する限り、その他の構造、例えばCDR以外の可変領域や定常領域の構造は特に限定されないが、上記のCDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とをそれぞれコードするアミノ酸配列の例として、それぞれ、配列番号9、22、35、48、61、74のアミノ酸配列および配列番号16、29、42、55、68、81のアミノ酸配列が挙げられる。
【0047】
好ましい実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片は、配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかのアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号16、29、42、55、68、81のいずれかのアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含んでもよい。
【0048】
好ましい実施形態において、ヒト化抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片は、配列番号9、22、35、48、61、74のいずれかのアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号16、29、42、55、68、81のいずれかのアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含んでもよい。
(組み合わせの例:配列番号9と配列番号16;配列番号22と配列番号29;配列番号35と配列番号42;配列番号48と配列番号55;配列番号74と配列番号81)
【0049】
本明細書で使用する場合、「抗体」は、天然のものであるか、あるいは全体的又は部分的に合成により製造された人工の免疫グロブリン又はその断片を意味する。抗体はIgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれのアイソタイプであってもよい。ヒトの免疫グロブリンとして、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgMの9種類のクラス(アイソタイプ)が知られている。
【0050】
抗体の由来は問わず、任意の哺乳類、例えばヒトや、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ラクダ等の非ヒト動物であってもよい。ヒト抗体のみならず、ヒト化抗体、キメラ抗体等の組み換え抗体を使用することもできる。本明細書で使用する場合、「ヒト化抗体」とは、ヒト抗体のCDRを、非ヒト動物抗体由来のCDRで置き換えたものである。CDR以外に一部のフレームワークのアミノ酸残基をヒト抗体に移植してもよい。非ヒト動物抗体由来のCDRをヒトに使用する場合、ヒト抗体の定常領域と組み合わせることが好ましい。
【0051】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体には、所望とする効果が奏される限り、化学的又は生物学的な修飾が施されていてもよい。化学的な修飾体には、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N-結合又はO-結合炭水化物鎖の化学修飾体等が含まれる。生物学的な修飾体には、翻訳後修飾(例えば、N-結合又はO-結合への糖鎖付加、N末端又はC末端のプロセッシング、脱アミド化、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化)されたもの、原核生物宿主細胞を用いて発現させることによりN末端にメチオニン残基が付加したもの等が含まれ得る。
【0052】
修飾体は更に、その重鎖カルボキシル末端において1又は2つのアミノ酸が欠失した欠失体、及びアミド化された当該欠失体等であってもよい。
【0053】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を構成する2本の重鎖は、完全長及び上記の欠失体からなる群から選択される重鎖のいずれか一種の組み合わせからなるものであってもよいし、いずれか二種の組み合わせからなるものであってもよい。
【0054】
本明細書で使用する場合、抗体の「断片」とは、断片化される前の抗体が奏する機能の少なくとも一部を奏する機能的な断片を意味し、その例としては、Fab、F(ab’)、scFv、Fab’、一本鎖抗体(scFv)等が挙げられる。断片はこれらの分子に限定されず、tetranor-PGDMに特異的に結合する限り、どのような断片であってもよい。例えば、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体は、単一ドメイン抗体やナノボディのように、単一の重鎖可変領域を有し、軽鎖配列を有さない抗体であってもよい。
【0055】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片は目的に応じてリンカーを含んでいてもよく、例えば一本鎖抗体等のように抗体の抗原結合部位を構成する複数の可変領域が結合されている場合にはその間にリンカーが介在しうる。例えば、重鎖可変部と軽鎖可変部とをリンカーを介して連結することにより一本鎖抗体を得る。リンカーの配列は当業者が適宜決定することができる。
【0056】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体の断片は、抗体タンパク質の全長分子をパパイン、ペプシン等の酵素で処理することで得ることができる。あるいは、所望の断片をコードする遺伝子を適当な宿主細胞において発現することで産生してもよい。宿主細胞を形質転換する際には、重鎖配列遺伝子と軽鎖配列遺伝子は、同一の発現ベクターに挿入されていることが可能であり、また、別々の発現ベクターに挿入されていることも可能である。宿主細胞は原核細胞又は真核細胞のいずれでもよい。原核細胞の例としては、大腸菌や枯草菌等の細菌細胞が挙げられる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真核微生物を用いることができる。動物細胞、植物細胞、あるいは真菌細胞が使用できる。動物細胞の例としては、次のような細胞を例示することができる。
(1)哺乳類細胞、:CHO、COS、ミエローマ、BHK、Hela、Vero、HEK293、Ba/F3、HL-60、Jurkat、SK-HEP1等。
(2)両生類細胞:アフリカツメガエル卵母細胞等。
(3)昆虫細胞:sf9、sf21、Tn5等。
【0057】
(ポリヌクレオチド)
第二の態様において、上記本発明の抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチド(本発明のポリヌクレオチド)が提供される。
【0058】
本発明のポリヌクレオチドは、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又はその相補鎖を含む1本鎖又は2本鎖のポリヌクレオチド(cDNA等を含むDNA、あるいはmRNA、cRNA等を含むRNA)であってもよい。
【0059】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の重鎖可変領域(又は重鎖)と軽鎖可変領域(又は軽鎖)は、同一のポリヌクレオチド上にコードされていてもよく、別々のポリヌクレオチドにコードされて、その組み合わせとして提供されてもよい。重鎖可変領域(又は重鎖)コードするポリヌクレオチドと、軽鎖可変領域(又は軽鎖)をコードするポリヌクレオチドの組み合わせも、「抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチド」に包含される。
【0060】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドの例として、
以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである)をコードする塩基配列;
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである)をコードする塩基配列;
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである)をコードする塩基配列;
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである)をコードする塩基配列;
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである)をコードする塩基配列;及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである)をコードする塩基配列;
から成る群から選択される少なくとも1つ以上のCDRをコードする塩基配列、好ましくは6つ全てのCDRをコードする塩基配列を有するものが例示される。
【0061】
(a)~(c)の塩基配列を含むVH塩基配列の例としては、配列番号8、21、34、47、60、73が挙げられる。(d)~(f)の塩基配列を含むVL塩基配列の例としては、配列番号15、28、41、54、67、80が挙げられる。抗体又はその断片の遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、上記のような配列番号のいずれかで表される塩基配列と実質的に同一の塩基配列を有するものであってもよい。実質的に同一の塩基配列とは、各配列番号で表される塩基配列と80%以上の相同性、好ましくは80%以上の同一性、例えば81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上、好ましくは99%以上の同一性を有する配列から成るポリヌクレオチド、あるいはもしくは、各配列番号で表される塩基配列に相補的な配列から成るポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるポリヌクレオチドであって、そのポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、所望の機能を有するもの、例えばtetranor-PGDMに特異的に結合するもののことである。
【0062】
ここで、ストリンジェントな条件とは、当業者によって容易に決定されるハイブリダイゼーションの条件のことであり、一般的に核酸の塩基長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な実験条件である。一般に、塩基が長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、塩基が短くなると温度は低くなる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補鎖がその融点よりやや低い環境における再アニール能力に依存する。
【0063】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドは、以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである)をコードする塩基配列;
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである)をコードする塩基配列;及び
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである)をコードする塩基配列;
を有するか、
各CDRをコードする塩基配列において、1又は数個の塩基の欠失、置換又は付加を有する塩基配列から成る、CDRH1、CDRH2及びCDRH3をコードする塩基配列を有するか、あるいは
各CDRをコードする塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列から成る、CDRH1、CDRH2及びCDRH3をコードする塩基配列を有してもよい。
【0064】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドは、以下の:
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである)をコードする塩基配列;
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである)をコードする塩基配列;及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである)をコードする塩基配列;
を有するか、
各CDRをコードする塩基配列において、1又は数個の塩基の欠失、置換又は付加を有する塩基配列から成る、CDRL1、CDRL2及びCDRL3をコードする塩基配列を有するか、あるいは
各CDRをコードする塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列から成る、CDRL1、CDRL2及びCDRL3をコードする塩基配列を有してもよい。
【0065】
一実施形態において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、以下の:
(a) GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(配列番号1)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH1(ここで、Xaa1はF、A又はSであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである)をコードする塩基配列;
(b) I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(配列番号2)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH2(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである)をコードする塩基配列;
(c) A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(配列番号3)に記載のアミノ酸配列から成るCDRH3(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである)をコードする塩基配列;
(d) Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(配列番号4)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL1(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである)をコードする塩基配列;
(e) Xaa26-T-Xaa27に記載のアミノ酸配列から成るCDRL2(ここで、Xaa26はG又はDであり、Xaa27はN又はDである)をコードする塩基配列;及び
(f) ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(配列番号5)に記載のアミノ酸配列から成るCDRL3(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである)をコードする塩基配列;
を含むか、
各CDRをコードする塩基配列において、1又は数個の塩基の欠失、置換又は付加を有する塩基配列から成る、CDRH1、CDRH2及びCDRH3並びにCDRL1、CDRL2及びCDRL3をコードする塩基配列を有するか、あるいは
各CDRをコードする塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列から成る、CDRH1、CDRH2及びCDRH3並びにCDRL1、CDRL2及びCDRL3をコードする塩基配列を有してもよい。
【0066】
(ベクター及び宿主細胞)
第三の態様において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター、及び該発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞が提供される。該発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を産生し得る。
【0067】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の重鎖可変領域(又は重鎖)をコードするポリヌクレオチドと、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の軽鎖可変領域(又は軽鎖)をコードするポリヌクレオチドは、同一の発現ベクター中に含まれていてもよいし、別々の発現ベクター中に組み込まれて、その組み合わせとして提供されてもよい。重鎖可変領域(又は重鎖)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター(重鎖可変領域(又は重鎖)の発現ベクター)と、軽鎖可変領域(又は軽鎖)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター(軽鎖可変領域(又は軽鎖)の発現ベクター)の組み合わせも、「抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクター」に包含される。
【0068】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び当該発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は当業者に公知の手法により得ることができる。例えば、一本鎖の抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチド等を、その発現に適したベクターに組み込み、これを宿主に導入することによって、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片が発現する。発現ベクターは抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の宿主細胞における発現に適したプロモーターやターミネーター等を含んでいることが好ましい。発現ベクターは更にエンハンサー等のその他の適当な制御配列を含むことができる。
【0069】
ベクターは宿主細胞の種類、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の発現効率等を考慮して、当業者が周知の発現ベクターから適宜選択することができ、その種類はプラスミドベクターであっても、レトロウイルスやアデノウイルスに由来するウイルスベクターであってもよい。
【0070】
宿主細胞としては、発現ベクターから抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を発現できる細胞であれば制限されず、大腸菌のような原核細胞や、CHO、COS、NIH3T3、HEK293、HEK293T、COS-7等の哺乳動物由来の細胞、F9等の昆虫由来の細胞、酵母細胞等の真核細胞であってもよい。哺乳動物としては、ヒト、チンパンジー等の霊長類、マウス、ラット、ハムスター等のげっ歯類が挙げられる。
【0071】
発現ベクターの宿主細胞へのトランスフェクションは、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法等の当業者に周知の方法や市販の試薬を用いた方法を用いて行うことができる。
【0072】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクターをトランスフェクトした宿主細胞(トランスフェクタント)には、
・該発現ベクターを含み、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を発現するトランスフェクタント;及び
・抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドが発現可能な態様で宿主細胞の染色体上に組み込まれることにより、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を発現するトランスフェクタント(ステーブルトランスフェクタント)が包含される。このようなステーブルトランスフェクタントには、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドを含む、発現ベクターが含まれていてもいなくてもよい。トランスフェクタントは、好ましくは、CHO、COS、NIH3T3、HEK293、HEK293T、COS-7等の哺乳動物由来の細胞である。
【0073】
(ハイブリドーマ)
第四の態様において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが提供される。
【0074】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、常法に従い、tetranor-PGDMで免疫動物を免疫し、免疫動物から得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知のミエローマ細胞と融合させることにより得ることができる。しかしながら、tetranor-PGDMは低分子であり、生体内にも存在するため、抗体が産生されにくい。そのため、免疫動物として、遺伝子改変技術により、造血器型とリポカリン型の2種類のPGD2合成酵素をコードする遺伝子を欠損した、PGD2とその代謝産物にあたるtetranor-PGDMを産生しないマウス等を用い、免疫原であるtetranor-PGDMをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などのキャリアタンパク質で複合体とすることが好ましい。PGD2とその代謝産物にあたるtetranor-PGDMを産生しないマウスは、例えば、CRISPR/Cas system等の技術を用いて、L-PGDSのエクソンIIに存在するPGD2産生サイト内、システイン65をセリンに置換することで得られる。L-PGDSのアミノ酸配列(配列番号84)における65番目のシステインは酵素活性中心であり(J Biol Chem. 2009 14;284(33):22344-52.) 、これを他のアミノ酸、例えばセリンに置換するとPGD合成酵素活性を消失し、PGD2産生ができなくなる。このようなハイブリドーマの中から、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を産生する細胞がスクリーニングされる。免疫動物の例としては、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ等のげっ歯類や、サル等の哺乳類が挙げられる。
【0075】
(抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体の製造方法)
第五の態様において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の製造方法が提供される。抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片の製造は、上記の宿主細胞、トランスフェクタントやハイブリドーマを培養することで行ってもよいし、組換えDNA技術を用いて行ってもよい。
【0076】
組換えDNA技術により組換えタンパク質として製造される抗体として、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体などが挙げられる。これらの抗体は、例えば、抗体や、その重鎖又は軽鎖をコードする組換えベクターにより形質転換された宿主細胞を培養することで製造することができる。組換え抗体は、所望の抗体をコードする遺伝子を導入したトランスジェニック動物を用いて製造することもできる。
【0077】
宿主細胞、トランスフェクタントやハイブリドーマの培養条件は所望とする抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片や宿主細胞の種類に応じて当業者が適宜決定することができる。製造方法は、培養工程で得られた培養物から、tetranor-PGDMに特異的に結合する抗体又はその断片を回収する工程を更に含んでもよい。
【0078】
製造された抗体又はその断片は回収の前に更に精製工程等の追加の工程にかけてもよく、例えば純度を高めるために、塩析、フィルター濾過、遠心分離を用いた清澄化、アフィニティーによる回収、イオン交換による中間精製、ゲルろ過による最終精製を行うことが好ましい。
【0079】
(tetranor-PGDM関連疾患の診断薬)
第六の態様において、抗tetranor-PGDMモノクローナルの種々の用途、例えば、当該抗体又はその断片を含む、tetranor-PGDM関連疾患の診断薬が提供される。
【0080】
本明細書で使用する場合、「tetranor-PGDM関連疾患」とは、食物アレルギー(国際公開第2016/021704号(上掲);Maeda S, Nakamura T, Harada H, Tachibana Y, Aritake K, Shimosawa T, et al. Prostaglandin D2 metabolite in urine is an index of food allergy. Sci Rep. 2017;7(1):17687. Epub 2017/12/17. doi: 10.1038/s41598-017-17798-w. PubMed PMID: 29247205; PubMed Central PMCID: PMCPMC5732293.; Inagaki S, Maeda S, Narita M, Nakamura T, Shimosawa T, Murata T, et al. Urinary PGDM, a prostaglandin D2 metabolite, is a novel biomarker for objectively detecting allergic reactions of food allergy. J Allergy Clin Immunol. 2018;142(5):1634-6.e10. Epub 2018/07/10. doi: 10.1016/j.jaci.2018.06.032. PubMed PMID: 29981807.)、アナフィラキシー反応、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの筋ジストロフィー(Takeshita E, Komaki H, Tachimori H, Miyoshi K, Yamamiya I, Shimizu-Motohashi Y, et al. Urinary prostaglandin metabolites as Duchenne muscular dystrophy progression markers. Brain Dev. 2018;40(10):918-25. Epub 2018/07/15. doi: 10.1016/j.braindev.2018.06.012. PubMed PMID: 30006121.)、アスピリン不耐性喘息(Higashi et al., " Urinary tetranor-PGDM concentrations in aspirin-intolerant asthma and anaphylaxis", J Allergy Clin Immunol. 2012 Feb;129(2):557-9, 559.e1-2. doi: 10.1016/j.jaci.2011.09.019. Epub 2011 Oct 22.)のように、tetranor-PGDが診断マーカーとなるような疾患を意味する。
【0081】
(抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を含むキット)
第七の態様において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を含むキットが提供される。
【0082】
キットはtetranor-PGDMの測定、例えば定性試験又は定量試験に使用されることが意図される。tetranor-PGDMを測定する方法としては、例えば、検体中のtetranor-PGDMとの抗原抗体反応を利用するイムノアッセイが好ましい。
【0083】
イムノアッセイは、検出可能に標識した抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体、又は、検出可能に標識した抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体に対する抗体(二次抗体)を用いる。抗体の標識法により、エンザイムイムノアッセイ(EIA又はELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、化学発光イムノアッセイ(CLIA)等に分類され、これらのいずれもキットにおいて好適に用いることができる。上記の測定方法はあくまでも例示であり、上記抗体はその他の当業者に公知の方法、例えば凝集法、化学発光免疫測定法(CLIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)等においても使用することができる。
【0084】
ELISA法では、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素、RIA法では、125I、131I、35S、3H等の放射性物質、FPIA法では、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ダンシルクロリド、フィコエリトリン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、近赤外蛍光材料等の蛍光物質、CLIA法では、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリン等の発光物質で標識した抗体が用いられる。その他、金コロイド、量子ドットなどのナノ粒子で標識した抗体を検出することもできる。
【0085】
また、イムノアッセイでは、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体をビオチンで標識し、酵素等で標識したアビジン又はストレプトアビジンを結合させて検出することもできる。
【0086】
イムノアッセイの中でも、酵素標識を用いるELISA法は、簡便且つ迅速に抗原を測定することができる。ELISA法には競合法とサンドイッチ法がある。競合法では、マイクロプレート等の固相担体に抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を固定し、尿検体と酵素標識したtetranor-PGDMを添加して、抗原抗体反応を生じさせる。いったん洗浄した後、酵素基質と反応、発色させ、吸光度を測定する。尿検体中のtetranor-PGDMが多ければ発色は弱くなり、尿検体中のtetranor-PGDMが少なければ発色が強くなるので、検量線を用いてtetranor-PGDM量を求めることができる。
【0087】
サンドイッチ法では、固相担体に抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を固定し、尿サンプルを添加し、反応させた後、さらに酵素で標識した別の抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を添加して反応させる。洗浄後、酵素基質と反応、発色させ、吸光度を測定することにより、tetranor-PGDM量を求めることができる。サンドイッチ法では、固相担体に固定した抗体と尿検体中のtetranor-PGDMを反応させた後、まず非標識抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体(一次抗体)を添加し、この非標識抗tetranor-PGDM体に対する抗体(二次抗体)を酵素標識してさらに添加してもよい。
【0088】
酵素基質は、酵素がペルオキシダーゼの場合、3,3'-diaminobenzidine(DAB)、3,3',5,5'-tetramethylbenzidine(TMB)、o-phenylenediamine(OPD)等を用いることができ、アルカリホスファターゼの場合、p-nitropheny phosphate(NPP)等を用いることができる。
【0089】
本明細書において「固相担体」は、抗体を固定できる担体であれば特に限定されず、ガラス製、金属性、樹脂製等のマイクロタイタープレート、基板、ビーズ、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレン、PVDFメンブレン等が挙げられ、標的物質や抗体は、これらの固相担体に公知の方法に従って固定することができる。
【0090】
キットの形態は限定されないが、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を含むスティック状のもので、検体中のtetranor-PGDM量が色のついたラインなどで可視化され得る形態が好ましい。このようなスティック状のキットは、公知のものを用いることができる。例えば、例えばイムノクロマト法を利用するスティックが知られており、金コロイドなどで標識した第1の抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体が格納された抗体格納部と、tetranor-PGDMの別のエピトープを認識する第2の抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体をセルロース膜などにライン状に固定した判定部が細い溝でつながれた構成とすることができる。かかるスティックに検体を添加すると、抗体格納部で標識抗体とtetranor-PGDMが結合してtetranor-PGDM-標識抗体複合体となり、当該複合体が毛細管現象により溝を通って判定部に移動する。当該複合体が固定された第2の抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体に捕捉されると、金コロイドのプラズモン効果により、赤色のラインが判定部に出現する。
【0091】
スティックの判定部には、標識抗体に対する抗体を固定したコントロールラインを設けてもよい。コントロールラインは、tetranor-PGDMの有無にかかわらず発色するので、試験が正しく行われたかどうか確認することができる。
【0092】
スティックは、尿検体を吸収するための吸収紙や、乾燥剤等をさらに備えていてもよい。
【0093】
スティックは、抗体格納部に標識した抗tetranor-PGEM抗体も格納し、判定部にtetranor-PGEMの別のエピトープを認識する抗tetranor-PGEM抗体をライン状に固定しておくことにより、tetranor-PGDMとtetranor-PGEMを同時に測定することができる。
【0094】
このようなスティックによれば、家庭でも簡単にtetranor-PGDM量を測定し、食物アレルギーの発症リスクや程度を評価することができる。
【0095】
キットは、tetranor-PGDM関連疾患、例えば食物アレルギー又はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの診断のみならず、食物アレルギーの肥満細胞の活性化の評価に用いることもできる。
【0096】
(tetranor-PGDMの検出方法)
第八の態様において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を用いてtetranor-PGDMを検出する方法が提供される。
【0097】
tetranor-PGDMの検出方法は、食物アレルギー又はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの診断のみならず、食物アレルギーの肥満細胞の活性化の評価に用いることもできる。
【0098】
(食物アレルギーの診断方法)
第九の態様において、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を用いて食物アレルギーを診断する方法が提供される。
【0099】
尿中tetranor-PGDM量は、食物アレルギーの症状の重篤度の上昇や組織中の肥満細胞の数及び活性化に伴って上昇し、食物アレルギーの治療薬投与による症状の抑制に伴って低下する。したがって、尿中tetranor-PGDM量を測定すれば、被験者が食物アレルギーを有するか否かだけでなく、その重篤度も評価することができる。また、食物アレルギーを有する被験者の尿中では、抗原刺激を行わなくてもtetranor-PGDM濃度が高い場合がある。したがって、食物アレルギーを発症していない被験者の尿中tetranor-PGDM量を測定して、食物アレルギーの発症リスクを評価することもできる。
【0100】
そのような評価方法は、尿中のtetranor-PGDM量を検出する工程と、
尿中のtetranor-PGDM量が多いほど、食物アレルギーの症状が重篤である若しくは重篤になった、又は、症状を発症するリスクが高い若しくは高くなったとの決定を補助する工程を含んでもよい。かかる決定で使用される閾値は被験者の年齢等の要因により変動し得る。そのため、限定することを意図するものではないが、健康な人では、尿中tetranor-PGDM濃度は1.5±0.3 ng / mgクレアチニン(Cre)であるのに対し、食物アレルギーの症状が重篤である若しくは重篤になった、又は、症状を発症するリスクが高い若しくは高くなった被験者における尿中tetranor-PGDM濃度は2.25 ng/mg Cre以上の場合がある。
【0101】
本明細書において「食物アレルギー」は、食品中に含まれるアレルゲンが体内に取り込まれることで起こる様々なアレルギー反応をいう。食物アレルギーとしては、鶏卵、牛乳、甲殻類、小麦、果物、ナッツ類、魚介類、蕎麦などのアレルギーがよく知られるが、これら以外のアレルゲンによるアレルギーも含まれる。症状は、皮膚、粘膜、消化器、呼吸器などに生じ、下痢、嘔吐、皮膚炎などが代表的である。
【0102】
本明細書において「被験者」は、食物アレルギーの可能性がある者、食物アレルギーを現に発症した者、食物アレルギーの治療を受けている者、食物アレルギーの治療薬を服用している者、食物アレルギーを有するかどうか不明な者等とすることができる。また、「被験者」は、ヒトに限らず、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、サル、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマなどの哺乳動物であってもよい。
【0103】
本発明に係る食物アレルギーの検査方法の一態様では、尿中のtetranor-PGDM量がより多いときに、症状がより重篤である、又は発症リスクがより高いと判断される。尿中のtetranor-PGDM量がより多いか否かは、tetranor-PGDM量は、同一個体から複数回採取した尿中のtetranor-PGDM量を測定して結果を比較して判断してもよい。この場合、同一個体における重篤度や発症リスクの変化を評価することができる。また、尿中のtetranor-PGDM量がより多いか否かは、複数人から採取した尿中のtetranor-PGDM量を測定して結果を比較してもよい。この場合、他の人に比較して、重篤度や発症リスクが高いかどうかを評価することができる。
【0104】
本発明に係る食物アレルギーの検査方法の一態様では、尿中のtetranor-PGDM量が所定の値より高い場合に、症状が重篤である、又は発症リスクが高いと判断され、所定の値より低い場合に、症状が軽い、又は発症リスクが低いと判断される。所定値(カットオフ値)は、複数の健常者又は非食物アレルギー患者の尿検体におけるtetranor-PGDM量と、複数の食物アレルギーの患者の尿検体におけるtetranor-PGDM量を比較して、常法により決定することができる。
【0105】
一態様において、本発明に係る食物アレルギーの検査方法は、食物アレルギーの患者に投与する治療薬や、患者に対して行う治療方法の評価に用いられる。例えば、治療開始前から治療開始後の任意の時点で採取した尿検体におけるtetranor-PGDM量を測定し、tetranor-PGDM量が減少する場合にその治療薬又は治療方法は有効であると判断され、tetranor-PGDM量が減少しないか増加する場合にはその治療薬又は治療方法は有効ではないと判断される。このとき、tetranor-PGDM量の減少や増加は、有意な減少又な増加ではなくてもよく、減少又は増加の傾向があると当業者が判断できる程度であってもよい。
【0106】
一態様において、本発明に係る食物アレルギーの検査方法は、食物アレルギーの治療薬の開発のための動物実験において、その薬の効果を評価するために用いてもよい。
【0107】
一態様において、本発明に係る食物アレルギーの検査方法は、診断に必要な情報を得るために、被験者から採取した試料を調べることを意味する。かかる検査方法は、例えば検査会社等で実施される。
【0108】
本発明の検査に用いられる尿は、常法に従って採取したものを用いることができる。一回の尿でも、二回以上の蓄尿でもよい。採取した尿は、検査時まで室温で保存してもよく、-40℃以下、例えば-80℃で保存してもよい。凍結した尿は、急速に融解させて測定に用いることができる。
【0109】
被験者の尿中のtetranor-PGDM量に加えて、PGE2の代謝産物であるtetranor-PGEM(9,15-dioxo-11α-hydroxy-13,14-dihydro-2,3,4,5-tetranor-prostan-1,20-dioic acid)の量を測定してもよい。
【0110】
尿中tetranor-PGDM量は、他の炎症性疾患では、食物アレルギーとは異なる挙動を示す。したがって、尿中tetranor-PGDM量を測定することにより、他の炎症性疾患(例えば、腸炎、ぜんそく、アレルギー性皮膚炎)との類症鑑別を行うことができる。また、尿中tetranor-PGEM量も、他の炎症性疾患では、食物アレルギーとは異なる挙動を示す。したがって、尿中tetranor-PGDM量と尿中tetranor-PEGM量を両方測定することにより、より精度の高い類症鑑別を行うことができる。
【0111】
より具体的には、尿中tetranor-PGDM量は一定期間上昇が維持され、尿中tetranor-PGEM量は一過性に上昇してすぐに低下する場合、食物アレルギーであると判断することができる。ここで、一定期間とは、例えば、食物アレルギーの原因となる物質を摂取してから3日以上、5日以上、7日以上、10日以上、又は20日以上をいう。一過性に上昇してすぐに低下するとは、例えば、上昇してから5日以内、4日以内、又は3日以内に低下することをいう。
【0112】
尿中tetranor-PGEM量は公知の方法、例えば質量分析装置を用いて測定することができる。
【0113】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体又はその断片を用いることで、食物アレルギーにおける肥満細胞の活性化も評価することができる。
【0114】
本明細書において「肥満細胞の活性化」とは、肥満細胞の数の増大や、脱顆粒を含む活性の上昇を意味する。後述する実施例に示されるとおり、尿中tetranor-PGDM量は、肥満細胞の増加に伴って上昇し、脱顆粒抑制下では上昇しない。また、尿中tetranor-PGEM量も、肥満細胞の増加に伴って上昇する。よって、尿中tetranor-PGDM量及び尿中tetranor-PGEM量を指標として、肥満細胞の活性化を評価することができる。
【0115】
例えば、アレルギー性鼻炎は肥満細胞欠損マウスでは症状が生じる一方、食物アレルギーは肥満細胞欠損マウスではほとんど症状が出ないことが知られているなど、食物アレルギーは、肥満細胞依存性が高く、肥満細胞数の増加と活性がその発症と進行に重要であることが知られている。この食物アレルギーに特有の肥満細胞(特に消化管粘膜型の肥満細胞)の活性化を検出する方法としては、これまでに血中のヒスタミン濃度を測定する方法しかなかったが、血中ヒスタミンは15分で消失するため、事実上肥満細胞の活性化を検出する方法は存在しなかった。
【0116】
(tetranor-PGDM関連疾患の治療方法)
第十の態様において、抗tetranor-PGDM関連疾患と診断された被験者を治療する方法が提供される。
【0117】
上記の診断方法によりtetranor-PGDM関連疾患と診断された被験者に対しては、適宜必要な処置が施される。例えば、食物アレルギーと診断された被験者に対しては、減感作療法など公知の治療法を適用することができる。
【0118】
減感作療法とは、医師の管理下で希釈したアレルゲンを患者に投与し、免疫寛容を誘導しようとするものである。多くのアレルギー疾患の治療法が対症療法であるのに対し、減感作療法はアレルギー疾患の作用機序に働きかけて根治を目標とする点で注目されている。減感作療法では、極めて低い投与量から開始し、徐々に投与量を増やすが、その際、閾値を超える量のアレルゲンを投与することで重篤な症状を起こすことのないよう、患者におけるアレルギー症状の重篤度を適切に評価する手法が必要とされる。
【0119】
減感作療法の投与経路、投与量及び投与頻度については、特別な限定はなく、患者の年齢、体重、症状などの様々な条件に応じて、適宜選択することができる。投与経路としては、例えば、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、経皮、経粘膜、経口、吸入等により個体に投与する経路が挙げられる。
【0120】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例
【0121】
材料と方法
マウス
CRISPR / Casシステムを応用したオフセットニッキング法を用いて、L-PGDS(配列番号84)の第65番目に位置するシステインをセリンに置き換えたL-PGDS C65S変異マウスを作製した。具体的には、標的胚性幹細胞のL-PGDSのエクソン-3をターゲティングベクターとし、Cas9ニッカーゼ、ガイドRNAを使用して切断後、ベクターDNAを挿入することで、TGC(システイン)をAGC(セリン)に変換した。この細胞をICR系統マウスの8細胞期胚にマイクロインジェクションすることでL-PGDS C65S変異マウスが得られた。
【0122】
モノクローナル抗体の調製
L-PGDS C65Sマウスに、Keyhole limpet hemocyanin(KLH)結合tetranor-PGDMを皮下投与することで免疫を行った。 免疫したマウスの脾細胞を、標準的なプロトコルで骨髄腫(ミエローマ)細胞(SP2 / 0-Ag14)と融合させた[6]。 陽性ハイブリドーマを、限界希釈法によりクローン化した。 IgG抗体はハイブリドーマ培養上清の無血清培地から精製した。
【0123】
各抗体の可変領域のcDNA配列の決定
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体のVH及びVLをコードする遺伝子配列の単離
各抗体を産生するハイブリドーマ1x106個より、TRI Reagent(Molecular Research Center, Inc.社製、Cat#TR118)を用いて、total RNAを調製した。
【0124】
抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体のVH及びVLの遺伝子クローニング:各ハイブリドーマのtotal RNA 1 μgから、SMARTer(登録商標)Mouse BCR IgG H/K/L Profiling Kit(Clontech社製、Cat#634422)を用いて、cDNAを作製した。得られた抗体のアイソタイプは、Iso-Gold Rapid Mouse Monoclonal Antibody Isotyping κ&λ Kit(BioAssay Works社製、Cat# KSOT03-010)を用いて同定した。得られたcDNAを鋳型として、キット添付のBCR Primer 1V(フォワードプライマーを含有する)と、mBCR Primer 1Hのリバースプライマー(マウスのIgG重鎖定常領域をコードする)、mBCR Primer 1L(κ)あるいはmBCR Primer 1L(λ)(マウスのIgG軽鎖定常領域をコードする)を組み合わせて使用することで、VHおよびVLのcDNA配列決定を行った。
【0125】
具体的には、BCR Primer 1VとmBCR Primer 1H を組み合わせてPCR反応を行い、各抗体のVHのcDNA断片を増幅した。また、マウスIg(κ)特異的なプライマー(mBCR Primer 1L(κ))とBCR Primer 1Vの組み合わせ、あるいはマウスIg(λ)特異的なプライマー(mBCR Primer 1L(λ))とBCR Primer 1Vと組み合わせてPCRを行い、各抗体のVLのcDNA断片を増幅した。
【0126】
PCRは、98℃で10秒間、60℃で15秒間、68℃で45秒間からなる反応サイクルを35回行った。
【0127】
それぞれのPCR増幅産物をFastGene Gel/PCR Extraction kit(日本ジェネティクス社製、Cat#FG-91202)を用いて精製した。
【0128】
得られた遺伝子断片の3’末端に、TArget CloneTM -Plus-(TOYOBO社製、 Cat#TAK-201)を用いてdAを付加し、キット付属のpTA2 Vectorに挿入した。
【0129】
得られたプラスミドを、大腸菌DH5α株に導入した。得られた形質転換体よりFastGene Plasmid Mini Kit(日本ジェネティクス社製、Cat#FG-90502)を用いてプラスミドを抽出し、塩基配列を解析した。その結果、cDNAの5’末端に開始コドンと推定されるATG配列が存在する完全長のVH cDNA、及びVL cDNAが取得されたことを確認した。
【0130】
競合酵素免疫測定法
tetranor-PGDMモノクローナル抗体の反応性は、競合EIAにより検討した。 抗マウスヤギIgG抗体固相化96wellプレート(Cayman Chemical、ミシガン州、米国)に、さまざまな濃度のtetranor-PGDMモノクローナル抗体を1時間インキュベートした。 次に、プレートを、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.05%(v / v)Tween-20(PBS-T)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS-T)で3回洗浄した。 続いて、tetranor-PGDM結合アセチルコリンエステラーゼトレーサー(トレーサー)を一晩インキュベートした。 次に、プレートをPBS-Tで3回洗浄し、Ellman試薬と1時間インキュベートした。 マイクロプレートリーダー(Perkin Elmer、マサチューセッツ州、米国)で405nmの吸光度を測定した。プロスタグランジン代謝物に対するtetranor-PGDMの選択性は、tetranor-PGEM、tetranor-PGAM、およびtetranor-PGFMを用いた競合EIAにより検討した。
【0131】
結果を以下に示す。
【表1】
【0132】
EIA法の確立
pH(5.0、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、および9.0)とイオン強度(10mMリン酸緩衝液中のNaCl含有量)がEIAの性能に及ぼす影響を検討した。 各条件下で、tetranor-PGDMの標準阻害曲線をプロットした。 交差反応性は、次の式に基づいて計算した:
交差反応性(%)=(tetranor-PGDMのIC50/その他のtetranor-PGM のIC50)×100。
【0133】
再現性試験
アッセイ溶液に既知濃度のtetranor-PGDMを添加し、測定した。同時再現性は9回の測定から求め、日差再現性は測定を3日間実施することで求めた。
【0134】
精度予測
分析対象物の濃度と吸光度のデータセットは、a、b、c、およびdのフィッティングパラメータを含む次の4パラメータロジスティック方程式でフィッティングした。 [7、8]
f(X)=(a - d) /(1 +(X / c)b)+ d
林らによって提案されたモデル[9]に基づいて、分析全体(ρT)の相対標準偏差(RSD)は、次式で表される。
ρT2= X2 /(X + G)2×(ρX2+ρG2)+ρB2+ρS2+(σW/ f(X)×100)2[9]
この式で、Gは標識された抗原の量であり、ρX、ρG、ρB、およびρSは、それぞれ抗原、抗体、および基質とラベル付けされた、分析対象物のピペットボリュームのRSDであり、ρSは、ピペット容量の色原体基質溶液のRSDの3分の2であった。 σWは、プレートのウェル間の固有の吸光度のSDである。標識抗原の濃度が不明なので、競合EIAの不確実性の近似式ρT2=ρB2+(σW/ f(X)×100)2を使用した[9]。ρB= 0.782116およびσW= 0.0026。 ρTはブランクを差し引いた測定値から算出した。 ρB値は、ピペットで分取した液体の重量を20回測定し、RSDを算出した。 σW値は、空ウェル(n = 96)の吸光度のウェル間SDから算出した。
【0135】
人工尿中のtetranor-PGDMの測定
人工尿(表2)に、蒸留水に溶解したtetranor-PGDMを添加し、4種類の濃度(1.25、2.5、5.0、および10.0 ng / mL)の尿サンプルを調製した。
【表2】
【0136】
固相抽出(SPE)では、0.4mLの尿サンプルを0.1%(v / v)ギ酸で0.8mLに希釈した。 これを、200μLのアセトニトリルと蒸留水で前処理したSPEカートリッジカラム(HLBμElutionプレート、Waters、マサチューセッツ州、米国)にアプライした。 カラムを200μLの蒸留水と200μLのヘキサンで洗浄後、脂質画分をアセトニトリル50μLで溶出した。 溶出液を回収し、真空中で乾燥させ、得られた残留物を0.4mLのアッセイ溶液で再溶解した。 次に、tetranor-PGDMを含むサンプル溶液をEIAに供した。 同時に、tetranor-PGDMをLC-MS / MSで測定した[2、3]。LC-MS / MSで求めたSPEからの回収率は、77.1%であった(表3)。
【表3】
【0137】
結果
競合EIAの最適化
免疫したマウス脾細胞からtetranor-PGDMに対するモノクローナル抗体 (Mab) を産生するハイブリドーマを得た。次に、60-141Mabを精製し、競合EIAに適用した。
【0138】
患者の尿サンプルはそれぞれ異なる物理化学的特性を持つため、MabベースのEIAの最適なイオン強度とpHを検討した。図1Aに示すように、600 mMのNaCl濃度は、競合曲線に強く干渉した。アッセイバッファー中のNaCl濃度がそれぞれ15、75、150、および300mMの時のIC50値、それぞれ6.6、5.7、5.3、および7.3 ng / mLであった。したがって、最適な塩濃度は、リン酸緩衝液中の150 mM NaClに設定した。
アッセイバッファーの最適pHを決定するため、pH 5.0、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、および9.0の時のIC50値はそれぞれ8.6、6.6、5.5、5.6、4.8、5.2、および4.8 ng / mLであった。(図1B)。これらの結果は、この評価系が、中性からわずかにアルカリ性の条件下で、わずかに酸性の条件下よりも感度が高いことを示した。したがって、最適pHはpH7.5に設定した。
【0139】
最適化された条件下において、tetranor-PGDMの競合曲線より、IC50値は1.79±0.36であった(図1C)。
【0140】
EIAの検証
Tetranor-PGDMをアッセイ溶液で段階希釈し、tetranor-PGDMの検出限界を検討した。 検出限界(LOD)は0.0498 ng / mL、定量範囲(ROQ)値は0.252~20.2 ng / mLであった。LODおよびROQは、それぞれ30%RSDの濃度および<10%RSDの濃度領域と定義した(図1D)。
【0141】
このEIAの不正確さは、3つの異なる濃度でtetranor-PGDMを含むアッセイ溶液を使用して評価した。 実験内および実験間CVは、それぞれ3.9%~6.0%(n = 9)および5.7%~10.4%(n = 9)であった(表4)。
【表4】
【0142】
tetranor-PGDMの回収率は89.4%~111.7%であった。 tetranor-PGDMのすべての回収率と変動係数は許容範囲内であった。
【0143】
tetranor-PGDMに対する生成されたMabの交差反応性
尿中には、tetranor-PGDM以外に、tetranor-PGEMやtetranor-PGFMなどの他の尿中PG代謝物が存在する(図2)。 次に、tetranor-PGEM、tetranor-PGAM、およびtetranor-PGFMに対する交差反応性を評価した。tetranor-PGEM、tetranor-PGFM、およびtetranor-PGAMとの交差反応性は、それぞれ0.00%、0.00%、および1.17%であった(表5)。
【表5】
確立したEIA法がこれらの代謝物と有意な交差反応性を示さなかったことから、このEIA法が十分な特異性で尿中tetranor-PGDMを測定できることが示唆された。
【0144】
人工尿中のtetranor-PGDMの測定
人工尿中に既知量のtetranor-PGDMを添加し、60-141MAbを用いた競合EIA法でtetranor-PGDMが回収されるかを測定した。
【0145】
希釈直線性は、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体を用いたEIA法の有効性の指標である。まず、20 ng / mLのtetranor-PGDMを含む人工尿サンプルを段階希釈し、前記抗体によるtetranor-PGDM回収率を測定した。tetranor-PGDMの測定値は、希釈倍率と線形相関しなかった。さらに、tetranor-PGDMの回収率は30.2%未満であった(図3A)。これらの結果は、一部の尿成分がEIA法に負の干渉を引き起こす可能性があることを示唆する。
【0146】
したがって、負の干渉を排除するべく、尿サンプルを固相抽出(SPE)した。LC-MS / MSで求めた SPEからのtetranor-PGDMの回収率は77.1%であった(表2)。 SPE後、13.9 ng / mLのtetranor-PGDMを含む人工尿サンプルを段階希釈し測定した。 SPE後、人工尿の測定値は希釈倍率と良好な直線性を示した(r = 0.999、図3B)。
【0147】
人工尿に濃度が異なるtetranor-PGDMを添加し、回収率を求めた。tetranor-PGDMの回収率は82.3%~113.5%の範囲であった。tetranor-PGDMの回収率はすべて許容範囲内であった(表6)。
【表6】
tetranor-PGDMの濃度は0.85(AU-1)及び5.95(AU-2)であった。
【0148】
考察
この研究では、tetranor-PGDM測定のため、抗tetranor-PGDMモノクローナル抗体の作成と高感度の競合EIA法を確立した。アッセイ溶液サンプルで、変動係数3.9%~10.4%の高い平均回収率(89.4%~111.7%)が得られた。tetranor-PGDM測定のEIAのROQは0.252~196 20.2 ng / mLであった。サンプルのマトリックス効果は、SPEの使用により排除された。 SPE後、尿サンプルで高い平均回収率(82.3%~113.5%)が得られた。
【0149】
抗原抗体結合は弱い分子間結合を特徴とするため、イオン強度またはpHのいずれかの変化がこの相互作用に影響を与える可能性がある。各尿サンプル個々の特性は、EIA法を用いた解析の信頼性に影響を与える可能性がある[10]。 pH9.0まで、EIAのIC50値は大きく変化しなかった。イオン強度を300 mMまで増加しても、tetranor-PGDMの認識は著しく変化しなかった。これらの結果は、イオン強度またはpHのいずれかの変化が、60-141抗体を使用したEIA法にほとんど影響を与えないことを示唆している。
【0150】
健康な人では、尿中tetranor-PGDM濃度は1.5±0.3 ng / mgクレアチニン(Cre)である[1]。尿中Cre濃度は約1mg / mLである[11]。本発明者らは以前、食物アレルギー患者の経口負荷試験の尿中tetranor-PGDMの最適なカットオフ値が2.25 ng / mg Creであることを示した[3]。 LOQ値はカットオフ値よりも低かった。別の疾患では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の尿中tetranor-PGDM濃度は9.7 ng / mg Creであると報告されている[4]。これらの結果は、この最適化されたEIA法が、食物アレルギーまたはデュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者の尿中tetranor-PGDMの検出に受け入れられることを示した。
【0151】
tetranor-PGEMおよびtetranor-PGFMの尿中濃度は、それぞれ8~15 ng / mg Creおよび11~59 ng / mLであった[12、13]。この競合EIA法は、他のtetranor-PG代謝物との交差反応性はごくわずかであった。 NHS / EDC-を介したエステル化を介してtetranor-PGDMのカルボキシル基にKLHを結合させることによって調製されたKLH結合tetranor-PGDMを用いて、マウスを免疫した。一般に、抗体は、共役結合から最も離れているハプテンの部分を最もよく認識すると考えられている。したがって、60-141抗体のエピトープは、tetranor-PGDMのシクロペンタン環にあると考えられる。さらに、60-141抗体は、11ケト基を持たないtetranor-PGEM、tetranor-PGFM、またはtetranor-PGAMを認識しなかった。
【0152】
これは、60-141抗体のエピトープが、tetranor-PGDMの11ケト基にあることを示唆している。つまり、交差反応性試験により、60-141抗体がtetranor-PGDM構造に対してほぼ独占的に向けられていることを示した。
【0153】
また、60-141抗体は、tetranor-PGEMに対し0.631%、tetranor-PGAMに対し3.876%、tetranor-PGFMに対し<0.003%と、他の脂質と比較してPGDMへの特異性が十分に高かった。
【0154】
この研究では、1つのモノクローナル抗体の生成に成功し、高感度の競合EIA法を開発した。このEIA法は、体液中のtetranor-PGDMの定量化、動物の疾患モデルの評価、診断の指標、食物アレルギーやその他の疾患の治療モニタリングに役立つ。
【0155】
参考資料
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【配列表フリーテキスト】
【0156】
配列番号1:CDRH1のアミノ酸配列:GYT-Xaa1-T-Xaa2-Y-Xaa3(ここで、Xaa1はF又はAであり、Xaa2はN又はRであり、Xaa3はA又はWである)
配列番号2:CDRH2のアミノ酸配列:I-Xaa4-P-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Xaa8-T(ここで、Xaa4はN又はYであり、Xaa5はF又はGであり、Xaa6はN又はDであり、Xaa7はD又はGであり、Xaa8はG、N又はDである)
配列番号3:CDRH3のアミノ酸配列:A-Xaa9-Xaa10-Xaa11-Xaa12-Xaa13-Xaa14-Xaa15-Xaa16-Xaa17-Xaa18-Xaa19-Xaa20(ここで、Xaa9はR、S又はTであり、Xaa10はY又はVであり、Xaa11はYであるか又は存在せず、Xaa12はYであるか又は存在せず、Xaa13はYであるか又は存在せず、Xaa14はG又はSであり、Xaa15はS又はRであり、Xaa16はK又はWであり、Xaa17はA又はFであり、Xaa18はM又はFであり、Xaa19はD又はAであり、Xaa20はY又はVである)
配列番号4:CDRL1のアミノ酸配列:Xaa21-GAV-Xaa22-Xaa23-S-Xaa24-Xaa25(ここで、Xaa21はT又はSであり、Xaa22はT又はRであり、Xaa23はT又はIであり、Xaa24はN、Y又はKであり、Xaa25はY又はHである)
配列番号5:CDRL3のアミノ酸配列:ALW-Xaa28-SNHW-Xaa29(ここで、Xaa28はY、F又はNであり、Xaa29はV又はIである)
配列番号6:31-13抗体のVH全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号7:31-13抗体のVH全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号8:31-13抗体のVH塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号9:31-13抗体のVHアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号10:31-13抗体のCDRH1アミノ酸配列
配列番号11:31-13抗体のCDRH2アミノ酸配列
配列番号12:31-13抗体のCDRH3アミノ酸配列
配列番号13:31-13抗体のVL全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号14:31-13抗体のVL全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号15:31-13抗体のVL塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号16:31-13抗体のVLアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号17:31-13抗体のCDRL1アミノ酸配列
配列番号18:31-13抗体のCDRL3アミノ酸配列
配列番号19:44-63抗体のVH全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号20:44-63抗体のVH全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号21:44-63抗体のVH塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号22:44-63抗体のVHアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号23:44-63抗体のCDRH1アミノ酸配列
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配列番号28:44-63抗体のVL塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号29:44-63抗体のVLアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号30:44-63抗体のCDRL1アミノ酸配列
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配列番号61:53-113抗体のVHアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号62:53-113抗体のCDRH1アミノ酸配列
配列番号63:53-113抗体のCDRH2アミノ酸配列
配列番号64:53-113抗体のCDRH3アミノ酸配列
配列番号65:53-113抗体のVL全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号66:53-113抗体のVL全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号67:53-113抗体のVL塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号68:53-113抗体のVLアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号69:53-113抗体のCDRL1アミノ酸配列
配列番号70:53-113抗体のCDRL3アミノ酸配列
配列番号71:60-141抗体のVH全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号72:60-141抗体のVH全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号73:60-141抗体のVH塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号74:60-141抗体のVHアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号75:60-141抗体のCDRH1アミノ酸配列
配列番号76:60-141抗体のCDRH2アミノ酸配列
配列番号77:60-141抗体のCDRH3アミノ酸配列
配列番号78:60-141抗体のVL全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号79:60-141抗体のVL全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号80:60-141抗体のVL塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号81:60-141抗体のVLアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号82:60-141抗体のCDRL1アミノ酸配列
配列番号83:60-141抗体のCDRL3アミノ酸配列
図1
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【配列表】
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