(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】金属線、電線、ケーブルおよび金属線の製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 9/10 20060101AFI20241129BHJP
C22F 1/08 20060101ALI20241129BHJP
H01B 1/02 20060101ALI20241129BHJP
H01B 5/02 20060101ALI20241129BHJP
H01B 5/08 20060101ALI20241129BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20241129BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
C22C9/10
C22F1/08 C
H01B1/02 A
H01B5/02 Z
H01B5/08
H01B13/00 501C
C22F1/00 613
C22F1/00 625
C22F1/00 627
C22F1/00 661A
C22F1/00 681
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686Z
(21)【出願番号】P 2019164762
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-02-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 洋光
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 保
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 聡史
(72)【発明者】
【氏名】高津戸 実
【合議体】
【審判長】井上 猛
【審判官】土屋 知久
【審判官】佐藤 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-23765(JP,A)
【文献】特開2008-290122(JP,A)
【文献】特開2009-249660(JP,A)
【文献】特開2006-156129(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021547(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C9/00-9/10
C22F1/08
H01B1/02
H01B5/02
H01B5/08
H01B13/00
B22D11/00-11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化珪素から成る複数の粒子を含み
、銅また
は銅合金によって構成され、線径が0.03mm以下の金属線であって、
前記金属線を溶解させてなる溶解液を孔径1μmのフィルターで濾過したときに
捕捉され
る前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、
2質量ppm以上10質量ppm以下である、金属線。
【請求項2】
酸化珪素から成る複数の粒子を含み
、銅また
は銅合金によって構成され、線径が0.03mm以下の金属線から成る導体と、
前記導体の周囲を被覆する絶縁体と、を備え、
前記金属線を溶解させてなる溶解液を孔径1μmのフィルターで濾過したときに
捕捉され
る前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、
2質量ppm以上10質量ppm以下である、電線。
【請求項3】
請求項2に記載の電線において、
前記導体は、複数本の前記金属線を撚り合わせしたものから成る、電線。
【請求項4】
酸化珪素から成る複数の粒子を含み
、銅また
は銅合金によって構成され、線径が0.03mm以下の金属線から成る導体、および前記導体の周囲を被覆する絶縁体を備え、互いに撚り合わされる複数本の芯線と、
前記複数本の芯線の周囲を一括して被覆するシースと、
を有するケーブルであって、
前記金属線を溶解させてなる溶解液を孔径1μmのフィルターで濾過したときに
捕捉され
る前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、
2質量ppm以上10質量ppm以下である、ケーブル。
【請求項5】
(a)酸化珪素から成る複数の粒子を含み
、銅また
は銅合金によって構成される原料を準備する工程と、
(b)加熱容器内で前記原料を溶融させる工程と、
(c)前記加熱容器内に配置される気泡供給部から連続的に不活性ガスの気泡を供給し、前記原料の溶融金属液に含まれる前記複数の粒子を前記加熱容器内の上方に浮上させる工程と、
(d)前記(c)工程の後
、前記加熱容器の底部に接続される鋳型内で前記原料の溶融金属液を冷却して凝固させることで金属線を形成する工程と、
(e)前記(d)工程で得られた前記金属線の後端部分を切断し、取り除く工程と、
(f)前記(e)工程の後、前記金属線の線径が0.03mm以下になるまで引き延ばす工程と、
を含み
、
前記(f)工程の後の前記金属線に残留する粒子のうち、前記金属線を溶解させてなる溶解液を孔径1μmのフィルターで濾過
したときに捕捉され
る前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、
2質量ppm以上10質量ppm以下である、金属線の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の金属線の製造方法において、
前記(c)工程では、第1流速で前記気泡供給部から前記不活性ガスが供給され、
前記(d)工程では、前記第1流速より遅い第2流速で前記気泡供給部から前記不活性ガスが供給される、金属線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属線、これを用いた電線、ケーブル、および金属線の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2018-16821号公報)には、銅合金線棒材に、0~0.1質量%の珪素が含まれることが記載されている。特許文献2(特開2016-125093号公報)には、0.0001以上0.03質量%以下の珪素を含む電子・電気機器用銅合金が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-16821号公報
【文献】特開2016-125093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
銅または銅合金から成る金属線は、様々な用途に用いられる。例えば、医療用途などで利用されるケーブルを構成する金属線において細線化の需要がある。細い金属線は、荒引線と呼ばれる太い線を延在方向に引き伸ばすことにより製造される。金属線の細線化を進めると、製造工程中に金属線が断線する懸念が大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、金属線を細線化する際の断線の発生頻度を低減させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態である金属線は、酸化珪素から成る複数の粒子を含み、銅または銅合金によって構成される金属線であって、粒径が1μm以上である前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、10質量ppm以下である。
【0007】
例えば、前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、5質量ppm以下である。
【0008】
他の実施の形態である電線は、金属線から成る導体と、前記導体の周囲を被覆する絶縁体と、を備える。前記金属線は、酸化珪素から成る複数の粒子を含み、銅または銅合金によって構成される金属線であって、粒径が1μm以上である前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、10質量ppm以下である。
【0009】
例えば、前記導体は、複数本の前記金属線を撚り合わせしたものから成る。
【0010】
他の実施の形態であるケーブルは、金属線から成る導体、および前記導体の周囲を被覆する絶縁体を備え、互いに撚り合わされる複数本の芯線と、前記複数本の芯線の周囲を一括して被覆するシースと、を有する。前記金属線は、酸化珪素から成る複数の粒子を含み、銅または銅合金によって構成される金属線であって、粒径が1μm以上である前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、10質量ppm以下である。
【0011】
他の実施の形態である金属線の製造方法は、(a)銅または銅合金を含む金属材料、および前記金属材料中に含まれ、酸化珪素から成る複数の粒子を含む原料を準備する工程と、(b)加熱容器内で前記原料を溶融させる工程と、(c)前記加熱容器内に配置される気泡供給部から連続的に不活性ガスの気泡を供給し、前記原料の溶融金属液に含まれる前記複数の粒子を前記加熱容器内の上方に浮上させる工程と、(d)前記(c)工程の後、前記加熱容器の底面に接続される鋳型に前記原料の溶融金属液を引き抜き、冷却することで凝固させる工程と、(e)前記(d)工程を繰り返し実施して金属線を形成した後、前記金属線の末端部分を切断し、取り除く工程と、(f)前記(e)工程の後、前記金属線の線径が0.03mm以下になるまで引き延ばす工程と、を含む。
【0012】
前記(e)工程で前記末端部分を取り除かれた前記金属線に残留する粒径が1μm以上である前記複数の粒子に含まれる珪素の前記金属線に対する質量濃度は、10質量ppm以下である。
【0013】
例えば、前記(c)工程では、第1流速で前記気泡供給部に前記不活性ガスが供給され、前記(d)工程では、前記第1流速より遅い第2流速で前記気泡供給部に前記不活性ガスが供給される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の代表的な実施の形態によれば、金属線を細線化する際の断線の発生頻度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施の形態である金属線の斜視断面図である。
【
図2】純度4N(99.99%)級として市販されている銅材に含まれる酸化珪素から成る粒子を集め、電子顕微鏡で撮影した写真である。
【
図3】
図1に示す金属線の製造工程の一例を示すフロー図である。
【
図4】
図3に示す加熱工程において原料を溶融させる加熱容器内に原料を配置した状態を示す要部断面図である。
【
図5】
図4に示す原料が溶融した後、気泡供給部から連続的に気泡を供給している状態を示す要部断面図である。
【
図6】
図5に示す溶融金属液の一部が鋳型内に引き抜かれ、凝固した状態を示す要部断面図である。
【
図7】
図3に示す末端除去工程で荒引き線の末端部分を切断した状態を示す説明図である。
【
図8】
図7に示す荒引き線中に残留する酸化珪素から成る粒子の抽出方法と濃度分析方法の一例を示す説明図である。
【
図9】
図8に続き、荒引き線中に残留する酸化珪素から成る粒子の抽出方法と濃度分析方法の一例を示す説明図である。
【
図10】
図9に続き、荒引き線中に残留する酸化珪素から成る粒子の抽出方法と濃度分析方法の一例を示す説明図である。
【
図11】
図10に続き、荒引き線中に残留する酸化珪素から成る粒子の抽出方法と濃度分析方法の一例を示す説明図である。
【
図12】
図1に示す金属線を含むケーブルの断面図である。
【
図13】
図12に示すケーブルが有する複数の電線のうちの1本の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、線径が30μm以下になるように引き伸ばされた金属線を極細線と呼ぶ。また、極細線に加工される前の、鋳造により形成された金属線を荒引き線と呼ぶ。金属線という用語は、極細線および荒引き線の総称として用いる。また、金属線のうち、その主成分が銅または銅合金であるものを、銅線と呼ぶ場合がある。
【0017】
また、以下の説明において、「粒径」という用語を用いる場合がある。「粒径」とは粒子の大きさを示す指標であるが、以下で説明する粒子の形状はかならずしも球体ではない。以下の説明では、さまざまな形状を持つ粒子の体積を球体とした場合に、その球体の直径を「粒径」とし、1μmの孔径を備える濾過フィルタにより捕捉される粒子を「粒子」として定義する。
【0018】
<金属線の構造>
図1は、本実施の形態の金属線の斜視断面図である。
図1では金属線10の金属材料11中に分散する酸化珪素から成る粒子12を点線で示し、金属線10の断面に存在する粒子12を実線およびハッチングで示している。
【0019】
図1に示す本実施の形態の金属線10は、酸化珪素から成る複数の粒子12を含み、銅または銅合金から構成される金属線である。複数の粒子12は、銅または銅合金から構成される金属材料11中に粒子として存在する。ここでいう「銅」は、例えば無酸素銅、あるいはタフピッチ銅などの純銅であり、この銅中に銅以外の元素が添加されているものが銅合金である。複数の粒子12に含まれる珪素の金属線10に対する質量濃度は、10質量ppm以下である。金属線10の線径(延在方向に対して直交する方向の断面の直径)10dは、0.03mm(言い換えれば30μm)以下である。以下、複数の粒子12に含まれる珪素の金属線10に対する質量濃度を10質量ppm以下にすることにより得られる効果、およびその製造方法について、順に説明する。
【0020】
本願発明者は、電気を伝送する導電線の開発を行っている。導電線は、電力の伝送路、あるいは電気信号の伝送路を構成する部材であって、様々な分野に広く利用される。導電性材料には、様々な種類の純金属、合金、あるいは複合材などがあるが、本実施の形態では、高い導電性を有し様々な分野に広く使用される銅または銅合金を主成分とする金属材料11を有する金属線10を取り上げて説明する。なお、金属材料11は、銅または銅合金を主成分とする金属であるが、銅または銅合金に、銅以外の元素が添加されている場合を含む。
【0021】
導電線として利用される銅線は、上記したように様々な分野に利用されるが、利用される分野によっては、線形が細い銅線が求められる場合がある。例えば、医療分野で利用されるプローブケーブルの場合、患者の体内に挿入される用途で利用される場合もあり、極めて細い線径の銅線が要求される。たとえば、本実施の形態の金属線10の例では、線径は0.01mm(言い換えれば10μm)以上、0.03mm(言い換えれば30μm)以下程度である。このように極めて細い金属線10を極細線と呼ぶ場合がある。
【0022】
銅線を細線化する(極細線にする)場合、線形がある程度の太さ(例えば8mm程度)のワイヤーロッド(荒引き線と呼ぶ)製造した後、この荒引き線に対して熱処理を1回、あるいは複数回繰り返して行い、必要な線径(例えば30μm以下)になるまで、荒引き線を引き伸ばす。この工程を、伸線加工工程と呼ぶ。
【0023】
ところが、極細線を製造する場合、この伸線加工工程の途中で銅線の断線の発生頻度が非常に高くなる。加工中の銅線が断線すると、製造歩留が低下するので、極細線の製造効率が低下する。そこで、本願発明者は、伸線加工工程における断線の原因を分析し、断線の発生頻度を低減させる技術について検討を行った。
【0024】
本願発明者の検討によれば、伸線加工工程中における銅線の断線の主な原因は、以下の2種類に大別される。すなわち、銅線中に含まれる異物(多くの場合、酸化物粒子)に起因する破断と、伸線時の応力集中による破断(伸び切れと呼ぶ)の2種類である。本願発明者が調査した全ての断線の事象のうち、異物に起因する破断が80%以上を占めることが判った。したがって、異物に起因する破断の発生頻度を低減させれば、伸線加工工程における銅線の断線の発生頻度を大幅に低減することができる。言い換えれば、伸線加工工程に供される荒引き線に含まれる異物の含有率を低減すれば、伸線加工工程における銅線の断線の発生頻度を大幅に低減することができる。
【0025】
また、極細線に含まれる異物のうち、破断の原因になる可能性が高い粒子は、粒径が大きい粒子である。本願発明者の検討によれば、銅線の線径に対して粒径が30%を超えれば破断の原因に成り易く、粒径が50%を超えれば高い頻度で破断が発生する。例えば10μmの線径の金属線10を製造する場合、粒径が3μmの粒子は、破断の原因に成り易く、粒径が5μmの粒子が含まれる場合、伸線加工工程中に破断が発生する可能性が高い。本願発明者は、線径が0.03mm以下になるまで伸線加工する極細線に含まれる粒子の粒径が1μm以上であり、その粒子に含まれる珪素の濃度が特定の濃度である場合に、極細線を製造する伸線加工工程中に断線が発生する可能性が高くなることを見出した。
【0026】
破断の原因となる粒径が大きい粒子は、多くの場合、酸化珪素や酸化アルミニウムなどの金属酸化物から成る粒子である。金属線10の製造工程中に添加される元素が、製造中に析出することにより形成される析出物は、仮に粒子化したとしても、粒径が極めて小さい微細粒子であり、破断の原因にはならない。一方、金属酸化物は、金属線10の製造工程中の周囲の環境由来、あるいは原料由来で混入するものが多く、上記した析出物と比較して粒径が大きいものが多い。また、金属線10の製造工程において、原料である金属材料を溶融させた場合でも、上記した金属酸化物は溶融せずに残留する場合が多く、これらの粒子を積極的に除去するための処理を施さなければ、大きい粒径のまま、荒引き線中に残存する可能性が高い。
【0027】
本願発明者は、上記の知見に基づき、まず、金属線10の製造工程中における異物混入を低減するため、製造環境をクリーン化することに取り組んだ。詳細は後述するが、製造環境由来の異物混入を低減することにより、酸化アルミニウムなど、酸化珪素以外の金属酸化物の混入を低減することができた。しかし、酸化珪素(主に二酸化珪素:SiO2)から成る粒子12は、上記の対策により低減することが難しいことが判った。酸化珪素から成る粒子12は、主に金属線10の原料中に含まれるためである。
【0028】
図2は、純度4N(99.99%)級として市販されている銅材に含まれる酸化珪素から成る粒子を集め、電子顕微鏡で撮影した写真である。
図2に示す粒子の抽出方法は、後述する。
図2に示すように、純度4N級として市販されている銅材中にも、酸化珪素から成る多数の粒子12が含まれていることが判る。なお、
図2に示す粒子12をサンプリングし、エネルギー分散型X線分光法(EDX法と呼ぶ)により粒子12が酸化珪素から成ることを確認している。一方、酸化珪素以外の金属酸化物から成る粒子は、上記した銅材には確認されなかった。このように、酸化珪素から成る複数の粒子12は、原料である銅材に由来して混入するので、金属線10における粒子12の含有率を低減するためには、製造工程中にこれらを除去する必要がある。
【0029】
また、原料である銅材中に多くの粒子12が含まれていることから以下のことが考えられる。すなわち、銅線には、その太さに関わらずある程度の割合で酸化珪素から成る複数の粒子12が含まれている。今回、粒子12の存在が問題になる程の細い銅線を製造することに取り組んだため、粒子12の存在に起因する断線が顕在化した。言い換えれば、粒子12による断線という課題は、30μm以下の線径を備える金属線10に特有の課題と言える。ただし、金属線10を製造するために用いる荒引き線は、伸線加工工程中に断線する可能性があるという潜在的な課題を備えていると言える。
【0030】
<金属線の製造方法>
次に、
図1に示す金属線10の製造方法について、複数の粒子12の一部を除去する方法も含めて説明する。
図3は、
図1に示す金属線10の製造工程の一例を示すフロー図である。
図4は、
図3に示す加熱工程において原料を溶融させる加熱容器内に原料を配置した状態を示す要部断面図である。
図5は、
図4に示す原料が溶融した後、気泡供給部から連続的に気泡を供給している状態を示す要部断面図である。
【0031】
まず、
図3に示す原料準備工程として、
図4に示す原料15を準備する。原料15は、銅を主成分とする金属棒である。原料15は、銅または銅合金によって構成される金属材料中に酸化珪素から成る複数の粒子12が含まれているものである。なお、原料15は、金属材料に添加元素を含んでいる場合がある。また、
図3に示す加熱工程において、添加元素が追加される場合がある。
【0032】
図3に示す加熱工程から鋳造工程までは、不活性ガス雰囲気中(例えばアルゴンガス雰囲気中)で実施される。不活性ガス雰囲気中には酸素は殆ど存在せず、少なくとも、酸素濃度(体積濃度)は、10ppm以下である。このように、酸素濃度が極めて低い不活性ガス雰囲気中で荒引き線の製造を行うことで、鋳造工程中における銅の酸化を抑制できる。
【0033】
次に、
図3に示す加熱工程として、
図4に示す加熱容器20内で原料15を溶融させる。加熱容器20は、金属を溶融させる耐熱容器である坩堝である。加熱容器20の周囲にはコイル21が配置され、加熱容器20内に配置された原料15は、コイル21を利用した誘導加熱により加熱され、加熱容器20内で溶融する。これにより、原料15の金属成分は溶融し、
図5に示す溶融金属液16になる。この時、酸化珪素から成る複数の粒子12は、耐熱性が高いので、金属が溶融した後も粒子12は溶融せず、溶融金属液16中に浮遊する。この浮遊する粒子12の処理については後述する。
【0034】
加熱容器20の底面20bには、鋳型22が接続される。鋳型22は、円柱形の空間を備える形材であり、鋳型22の周囲には冷却部23が配置される。鋳型22内の空間に溶融した金属が流れ込むと、鋳型22内で冷却され、固体化する。
図4は、原料15を溶融させる前の状態を示している。この時、鋳型22内の空間には栓24が挿入され、該空間は栓24により塞がれている。
図5に示すように、溶融金属液16は、栓24により堰き止められる。
【0035】
上記したように、加熱工程は不活性ガス雰囲気中で実施される。溶融した銅、あるいは溶融した銅に添加された元素が、加熱雰囲気中で酸素に触れると、これらが酸化する。添加元素が珪素(Si)あるいはアルミニウム(Al)である場合、これらが酸化すると、酸化物粒子が形成される場合がある。これらの酸化物粒子は、原料15に存在する粒子12と同様に、銅線の破断の原因に成り得る大きさになる場合もある。本実施の形態の場合、加熱工程は不活性ガス雰囲気中で実施されるので、これらの酸化物粒子が形成されることを抑制できる。
【0036】
次に、
図3に示す粒子浮上工程として、
図5に示すように、加熱容器20内に配置される気泡供給部30を用いて、連続的に不活性ガスの気泡31を加熱容器20内の下方(底面20bの近傍)から加熱容器20内の上方へ供給し、原料15(
図4参照)の溶融金属液16に含まれる複数の粒子12を加熱容器20内の上方に浮上させる。複数の粒子12は、おもに二酸化珪素であり、銅と比較して比重が小さい。このため、溶融金属液16を加熱状態のまま長時間放置すれば、複数の粒子12は浮上する。ただし、粒子12の浮上を待つ間の放置時間が長いので、本実施の形態では、気泡31を介して溶融金属液16中に浮遊する粒子12を強制的に浮上させる。以下、気泡供給部30から連続的に不活性ガスの気泡31を供給し、溶融金属液16に含まれる複数の粒子12を加熱容器20内の上方に浮上させる処理をバブリング処理と呼ぶ場合がある。
【0037】
バブリング処理に用いる気体は、例えば、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガスである。不活性ガス中には酸素は殆ど存在せず、少なくとも、酸素濃度(体積濃度)は、10ppm以下である。このように、酸素濃度が極めて低い不活性ガスを用いて気泡31を形成することにより、加熱容器20内で、酸素と添加元素が反応して酸化物粒子が形成されることを抑制できる。
【0038】
バブリング処理に用いる気泡供給部30は、溶融金属液16中に浮遊する粒子12を強制的に浮上させる気泡31を連続的に発生させることができる装置であれば、構造は特に限定されない。
図5に例示的に示す例では、気泡供給部30は、加熱容器20の上端よりも底面20bに近い位置から気泡31が供給されるように配置される。気泡供給部30は、多数の気泡31を加熱容器20内に連続的に発生させる気泡発生部30Aと、気泡発生部30Aに接続され、気泡発生部30Aに不活性ガスを供給するガス供給部30Bと、を有する。気泡発生部30Aは、例えば、複数のノズルを備える板、あるいは、ポーラスな構造の板部材を用いることができる。不活性ガスは、ガス供給部30Bを経由して気泡発生部30Aに供給され、気泡発生部30Aで気泡31になる。
【0039】
なお、上方に浮上した複数の粒子12は、
図3の鋳造工程により得られる荒引き線の末端部分に集中する。これを
図3の末端除去工程において除去するので、粒子浮上工程のバブリング処理中は、溶融金属液16から粒子12を取り除く必要はない。
【0040】
また、この粒子浮上工程においてバブリング処理の処理時間を長くすれば、最終的に得られる金属線10に含まれる粒子12の質量濃度を低減することができる。言い換えれば、最終的に得られる金属線10に含まれる粒子12の質量濃度は、バブリング処理の処理時間に反比例して小さくなる。
【0041】
次に、
図3に示す鋳造工程として、
図6に示すように、加熱容器20の底部に接続される鋳型22に原料15(
図4参照)の溶融金属液を引き抜き、冷却することで凝固させる。
図6は、
図5に示す溶融金属液の一部が鋳型内に引き抜かれ、凝固した状態を示す要部断面図である。本工程では、鋳型22内の空間を塞いでいた栓24を下方に引き抜くことにより、鋳型22内の空間に溶融金属液16を流し込む。鋳型22内に流入した溶融金属液16は、鋳型22の周囲に配置される冷却部23を介して冷却され、鋳型22内で固体化する。固体化した金属は、
図3に示す伸線加工工程に供される荒引き線(金属線)17である。
【0042】
図6に示すように、鋳型22内で固体化した荒引き線17は、断続的に鋳型22の下方に引き抜かれ、鋳型22内には新たな溶融金属液16が加熱容器20から流れ込み、鋳型22内で凝固する。この時、既に固体化した荒引き線17が鋳型22内の空間を塞ぐ栓として機能する。このように、断続的に鋳造を行い、加熱容器20内に残る溶融金属液16の大部分が荒引き線17として鋳造された時点で次の末端除去工程に移行する。
【0043】
ところで、
図6に示す例では、鋳造工程を行う間、気泡供給部30から継続的に気泡31が供給されている。上記したように、粒子12の比重は、溶融金属液16の比重より小さいので、溶融金属液16の液面が静止していれば、一度浮上した粒子12は、溶融金属液16中に沈まない。しかし、鋳造工程では、断続的に溶融金属液16が鋳型22に流れ込むので、溶融金属液16の液面が徐々に下がる。このように液面の位置が変化する際に、液面付近に集められた複数の粒子の一部が沈むことを防止するため、本実施の形態のように、気泡31を継続的に発生させ続けることが好ましい。
【0044】
ただし、鋳造工程で行うバブリング処理は、粒子浮上工程で行うバブリング処理とは異なり、粒子浮上工程で浮上した粒子12が再び沈むことを防止することを目的とする。このため、鋳造工程で行うバブリング処理は、粒子浮上工程で行うバブリング処理と比較して、遅い流速(言い換えれば低いガス供給圧力)で不活性ガスを供給して行う。これにより、粒子浮上工程で浮上した粒子12が再び沈むことを防止することができる。鋳造工程で行うバブリング処理と、粒子浮上工程で行うバブリング処理とは、以下のような表現で区別することができる。すなわち、粒子浮上工程では、第1流速で気泡供給部30に不活性ガスが供給される。鋳造工程では、第1流速より遅い第2流速で気泡供給部30に不活性ガスが供給される。
【0045】
上記の通り、鋳造工程で荒引き線を形成した後、
図3に示す末端除去工程として、
図7に示す荒引き線(金属線)17の末端部分(鋳造工程での後端部分)17Tを切断し、取り除く。
図7は、
図3に示す末端除去工程で荒引き線の末端部分を切断した状態を示す説明図である。
図7では、末端部分17Tの内部に集中的に含有される粒子12を模式的に示している。荒引き線17の末端部分17Tでは、珪素の質量濃度が10質量ppmよりも大きくなっている。例えば、荒引き線17の先端から長手方向に沿って50mm程度までの部分が末端部分17Tに相当する。上記した製造方法によれば、粒子12が溶融金属液16の液面付近に浮いた状態で鋳造する。このため、粒子12の大部分は、荒引き線17の末端部分17Tに集中する。本工程では、粒子12を高濃度で含む末端部分17Tを除去するので、末端部分17Tを取り除かれた荒引き線17に含まれる粒子12の濃度は小さくなる。すなわち、末端除去工程で末端部分17Tを取り除かれた荒引き線17に残留する複数の粒子12に含まれる珪素の荒引き線17に対する質量濃度は、10質量ppm以下である。
【0046】
荒引き線17の線径17Dは、
図1に示す金属線10の線径10Dより太く、例えば8mm程度である。したがって、荒引き線17の製造段階では、荒引き線17内に多くの粒子12が含まれていても荒引き線17が断線する可能性は低い。ただし、本実施の形態のように、次の伸線加工工程に供される荒引き線17の段階で粒子12の含有率を低減することにより、伸線加工中における荒引き線17の断線の発生頻度を低減することができる。
【0047】
次に、
図3に示す伸線加工工程として、
図7に示す荒引き線17の線径17Dが0.03mm以下になるまで引き延ばし、
図1に示す金属線10を得る。伸線加工工程では、
図17に示す荒引き線を延在方向に伸長させるが、得られる金属線10(
図1参照)の特性を向上させるため、伸線加工を複数回に分け、複数回の伸線加工の間に被加工品(荒引き線17から金属線10になる途中の金属線)に対して熱処理を施し、金属の結晶状態や、添加元素の析出状態を制御する。また、複数回の伸線加工の終盤に、被加工品の表面に銀(Ag)などのめっき膜を形成する場合もある。これらの処理を行う間、被加工品には熱応力や引張応力などのストレスが印加される。本実施の形態の場合、上記したように、加工中の金属線に残る複数の粒子12に含まれる珪素の金属線に対する質量濃度は、10質量ppm以下である。このため、伸線加工工程において金属線にストレスが印加されても、この金属線の断線の発生頻度を低減できる。
【0048】
<粒子の濃度と断線の発生頻度の評価>
次に、
図1に示す金属線10または
図7に示す荒引き線17に含まれる粒子12の濃度と、伸線加工工程中の断線の発生頻度の関係について評価した結果を説明する。本セクションでは、まず、評価の手法を説明し、次に、評価結果について説明する。
図8~
図11は、
図7に示す荒引き線中に残留する酸化珪素から成る粒子の抽出方法と濃度分析方法の一例を示す説明図である。
【0049】
後述する評価結果において記載される、珪素の金属線に対する質量濃度は、以下のように調査した。まず、
図8に示すように、溶媒40が充填された容器41内に、試料42を浸漬する。溶媒40は例えば硝酸溶液である。また、試料42は、調査対象の金属線であり、例えば、
図7に示す荒引き線の一部分を切断したものである。なお、溶媒40中に浸漬される前に、試料42の質量は予め計測されている。試料42を溶媒に浸漬すると、試料42の金属成分が溶媒中に溶解した溶解液43(
図9参照)が得られる。溶解液43には、試料42に含まれる銅などの金属成分は溶解しているが、酸化珪素から成る粒子(
図7に示す粒子12)を含む、酸化物粒子は、溶解せずに粒子の状態で残留する。
【0050】
次に、
図9に示すように、濾過装置44を用いて溶解液43を濾過する。濾過装置44は、溶解液43を収容する第1容器44Aと、濾液45を収容する第2容器44Bと、を有する。第1容器44Aと第2容器44Bとは、濾過フィルタ46を介して接続されている。また、第2容器44Bは、真空ポンプ(吸気ポンプ)47に接続され、真空ポンプにより第2容器44B内を減圧することにより、第1容器44A内の溶解液43が第2容器44Bに向かって吸引され、吸引濾過が行われる。濾過フィルタ46は、例えばセルロース製の不織布であり、1μmの孔径の多数の孔を備える。濾過装置44により吸引濾過を行うと、濾過後の濾過フィルタ46には、溶解液43に溶解しなかった粒子が残渣として得られる。この残渣に、酸化珪素から成る粒子が含まれる。
【0051】
次に、
図10に示すように、濾過後の濾過フィルタ46をアルカリ融剤48と混合して加熱融解する。アルカリ融剤48は、例えば炭酸ナトリウムである。次に、
図11に示すように加水分解した融解物49を取出し、強酸溶液50に浸漬して溶液化する。この酸化珪素溶解液を分析試料とし、高周波誘導結合プラズマによる発行分光分析法を用いて、分析試料に含まれる珪素の質量を定量的に分析する。この珪素の質量の分析結果を分子とし、予め測定した
図8に示す試料42の質量を分母にすることで、複数の粒子12(
図1参照)に含まれる珪素の金属線10に対する質量濃度を算出することができる。
【0052】
上記の方法により試料42に含まれる珪素の質量を分析する場合、厳密には、
図1に示す金属線10(または、
図7に示す荒引き線17)に含まれる複数の粒子(酸化珪素から成る粒子)12のうち、1μmの孔径を備える濾過フィルタ46により捕捉される粒子12に含まれる珪素の試料42に対する質量濃度が算出される。
【0053】
次に、金属線に含まれる酸化珪素から成る粒子の金属線に対する質量濃度と、伸線加工工程中の金属線の破断の発生頻度との関係について本願発明者が評価した結果について説明する。表1は、金属線に含まれる酸化珪素から成る粒子の金属線に対する質量濃度と、伸線加工工程中の金属線の破断の発生頻度との関係について本願発明者が評価した結果を示す表である。表1において、試料番号SP1~SP5のうち、試料番号SP1~SP3までは、
図1に示す金属線10および
図7に示す荒引き線17に対応する実施例である。一方、試料番号SP4およびSP5のそれぞれは、
図1に示す金属線10および
図7に示す荒引き線17に対する比較例である。
【0054】
表1において、Si濃度の欄には、各試料番号の荒引き線が含有する酸化珪素から成る粒子に含まれる珪素の荒引き線に対する質量濃度を示している。また、表1の断線発生頻度の欄には、5kgの荒引き線を0.016mmに伸線加工する際に断線が発生する頻度を記載している。また、断線発生頻度の欄では、試料番号SP5において発生した断線回数(50回程度)を基準とし、これに対する断線回数の発生割合を%で示している。
【0055】
【0056】
表1に示す試料番号SP1~SP5を見て判るように、Si濃度の値と断線発生頻度の値は比例する。すなわち、Si濃度の値を小さくする程、断線発生頻度を低減することができる。また、試料番号SP1とSP4とを比較して判るように、Si濃度が10質量ppmより小さくなると、断線発生頻度が急激に低下している。この結果から、断線発生頻度を低下させる観点からは、
図1に示す複数の粒子12に含まれる珪素の金属線10に対する質量濃度を10質量ppm以下にすることが好ましいと言える。
【0057】
また、表1に示す試料番号SP1~SP3を見て判るように、Si濃度が10質量ppm以下の場合でもSi濃度の値を小さくする程、断線発生頻度を低減することができる。したがって、断線発生頻度を低下させる観点から
図1に示す複数の粒子12に含まれる珪素の金属線10に対する質量濃度を5質量ppm以下にすることが好ましく、2質量ppm以下にすることがさらに好ましい。
【0058】
ただし、Si濃度の値を小さくするためには、
図6を用いて説明した粒子浮上工程において、バブリング処理の時間を長くする必要がある。この場合、処理時間が長くなり、製造効率低下の原因となる。したがって、粒子12を取り除くために要する時間を考慮しつつ、断線発生頻度を低減させる観点からは、
図1に示す複数の粒子12に含まれる珪素の金属線10に対する質量濃度は5質量ppm以上10質量ppm以下が特に好ましい。
【0059】
<金属線の適用例>
次に、
図1~
図11を用いて説明した金属線10(
図1参照)の適用例について説明する。
図12は、
図1に示す金属線を含むケーブルの断面図である。
図13は、
図12に示すケーブルが有する複数の電線のうちの1本の断面図である。
【0060】
図12に示すケーブル60は、互いに撚り合わされる複数の電線(芯線、同軸ケーブル)70と、複数の電線70の周囲を一括して被覆するシース61と、を有する。ケーブル60は、例えば、医療用途で用いられるプローブケーブルであり、シース61の外径は約2.1mmである。外径2.1mmのケーブル60は、多数の電線70を備えているので、複数の電線70のそれぞれの線径は小さい。例えば、
図12および
図13に示す例では、電線の外径は約0.16mm(160μm)である。
【0061】
図13に示すように、電線70は、互いに撚り合わされた複数の金属線10Aから成る中心導体71と、中心導体71を被覆する絶縁体72と、絶縁体72の外側に配置される外部導体73と、中心導体71、絶縁体72、および外部導体73を一括して被覆するシース(絶縁体)74と、を有する。中心導体71を構成する複数の金属線10Aのそれぞれは、
図1に示す金属線10に相当し、複数の金属線10Aのそれぞれの線径は、0.03mm以下である。また、外部導体73を構成する複数の金属線10Bのそれぞれは、
図1に示す金属線10に相当し、複数の金属線10Bのそれぞれの線径は、0.03mm以下である。
【0062】
このように、極細線である多数の金属線10を用いた電線70およびこれを用いたケーブル60は、例えば人体内に挿入する際の取扱い操作性を向上させることができる。また、多数の電線70を内蔵するケーブル60は、多数の信号を並行して伝送できる。例えば、ケーブル60を画像診断装置のプローブとして用いた場合、得られる画像の解像度を向上させることができる。
【0063】
なお、
図13では、電線70の例として、同軸ケーブルを例示的にしめしたが、
図1~
図11を用いて説明した金属線10(
図1参照)が適用された電線には種々の変形例がある。例えば、1本の金属線10から成る導体と、導体の周囲を被覆する絶縁体と、から成る電線にも適用できる。また例えば、互いに撚り合わせられた複数本の金属線10から成る導体と、導体の周囲を被覆する絶縁体と、から成る電線(
図13に示す外部導体73およびシース74がない電線)に適用することができる。
【0064】
本発明は前記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しな
い範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、金属線に利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
10,10A,10B 金属線(極細線)
10D,17D 線径
11 金属材料
12 粒子(酸化珪素から成る粒子)
15 原料
16 溶融金属液
17 荒引き線(金属線)
17T 末端部分
20 加熱容器
20b 底面
21 コイル
22 鋳型
23 冷却部
24 栓
30 気泡供給部
30A 気泡発生部
30B ガス供給部
31 気泡
40 溶媒
41 容器
42 試料
43 溶解液
44 濾過装置
44A 第1容器
44B 第2容器
45 濾液
46 濾過フィルタ
47 真空ポンプ(吸気ポンプ)
48 アルカリ融剤
49 融解物
50 強酸溶液
60 ケーブル
61,74 シース(絶縁体)
70 電線(芯線、同軸ケーブル)
71 中心導体
72 絶縁体
73 外部導体