(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】吸光光度測定装置およびそれを備えた生化学分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3577 20140101AFI20241129BHJP
【FI】
G01N21/3577
(21)【出願番号】P 2021124678
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松木 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】信木 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 拓也
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/016842(WO,A1)
【文献】特開平2-44780(JP,A)
【文献】実開昭63-95261(JP,U)
【文献】特開平4-102378(JP,A)
【文献】特開2020-87974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/74
G01N 33/48-33/98
G01N 35/00-37/00
G01J 3/00- 4/04
G01J 7/00- 9/04
H01L 33/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDと、
前記複数のLEDを同一平面上に備える基板と、
前記複数のLEDから出射した光が直接入射するレンズと、
前記レンズを通過した光が反応セルに入射し、当該反応セルから透過した透過光を通すスリットと、
前記透過光を受光して電流に変換する受光部と、を備え、
光が前記スリットまで到達可能な前記基板上の有効領域に、前記複数のLEDは、LEDの出力
P、発光面積
S、
および波長半値全幅
λに基づいて算出される
第1パラメータ
P/(S×λ)の値
、あるいは、LEDの1つの全出力W、指向角θ
1/2
、発光面積S、および波長半値全幅λに基づいて算出される第2パラメータW/(S×λ×θ
1/2
)の値が小さい順に
前記有効領域と前記発光面積の重なりが大きくなるように、かつ最小の第1あるいは第2パラメータの値を示すLEDが前記レンズの中心および前記スリットの中心を通る光軸を含むように、配置されている、吸光光度測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数のLEDは、紫外領域に波長を有する少なくとも1つの第1種LEDと、可視光領域に波長を有する少なくとも1つの第2種LEDと、赤外領域に波長を有する少なくとも1つの第3種LEDと、を含む、吸光光度測定装置。
【請求項3】
請求項
2において、
前記第1種LEDの波長帯は320nmから380nmであり、
前記第2種LEDの波長帯は360nmから820nmであり、
前記第3種LEDの波長帯は700nmから850nmである、吸光光度測定装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記複数のLEDの発光面からレンズ中心までの距離をa、前記レンズの焦点距離をf、前記レンズの中心から前記反応セルの表面までの距離をb、前記反応セルの表面から前記スリットの距離をc、前記スリットの幅をeとしたとき、
前記複数のLEDの発光面からレンズによる発光の結像位置までの距離をhとすると、h=a+(a×f)/(a-f)、かつb≦h-a≦cであり、
前記有効領域の幅をdとすると、d=(e×a)/(h-a)である、吸光光度測定装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の吸光光度測定装置を備える、生化学分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸光光度測定装置およびそれを備えた生化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料の同定や濃度などの分析技術として、吸光光度測定が知られている。生化学分析においては、この吸光光度測定技術を用いて試料測定が行われる。この点、例えば、被測定物が液体の場合、容器内の上下方向で濃度分布が生じることがあり、それぞれの光が濃度の違う部分を透過すると、測定精度に悪影響を及ぼしてしまうことがある。このため、例えば、特許文献1は、出力波長の異なる2種類の半導体光源を用い、少なくとも2種類の半導体光源を同一パッケージ内に、その出力光軸が交差した後に検出器に収まるように、配置することで、複数の光をほぼ同じ濃度のところを通過させ、容器内の試料濃度の影響を受けにくい状態で検出可能にすることを開示する。また、特許文献1には、「光源からの光以外の不必要な迷光を除去できるので、検査制度を向上させることができる」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸光光度測定用の光源として、白色LEDや紫外LEDといった複数のLEDを組み合わせた場合、LEDを設置する位置が非常に重要となる。例えば、上記特許文献1では、検出部における発光の検出のため、2つの光源の距離に関する条件が記載されている。レンズの結像や倍率の関係式から定まる範囲に収まるよう半導体光源を配置することで、受光部にて光量の検出が可能となる。
【0005】
一方で、LEDの出力や波長半値全幅、発光面積、指向角などは個別に異なる上、上記のレンズの結像や倍率の関係式から定まる範囲内にLEDを設置しても、検出される光量に位置依存性が生じる。したがって、特許文献1に記載されている2つの光源の距離に関する条件のみでは、配置するLEDの一部で、試料測定に十分な光量の検出(試料同定するのに十分な信号を取得する)が困難となる場合がある。
本開示は、このような状況に鑑み、試料同定に十分な光量の検出を可能とする技術について提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は、複数のLEDと、複数のLEDを同一平面上に備える基板と、複数のLEDから出射した光が直接入射するレンズと、レンズを通過した光が反応セルに入射し、当該反応セルから透過した透過光を通すスリットと、透過光を受光して電流に変換する受光部と、を備え、光がスリットまで到達可能な基板上の有効領域に、複数のLEDは、LEDの出力、発光面積、及び波長半値全幅に基づいて算出されるパラメータの値が小さい順に、かつ最小のパラメータの値を示すLEDがレンズの中心およびスリットの中心を通る光軸を含むように、配置されている、吸光光度測定装置を提案する。
【0007】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。なお、本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例は如何なる意味においても限定されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、受光部にて検出される光量を試料同定(測定)に十分な光量とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】吸光光度測定装置100の構成例を示す図である。
【
図2】実施例1における複数のLED(一例として、LED1からLED3の3つのLED)の配置例を示す図である。
【
図3】LED1からLED3のパラメータP/(S×λ)の値を示す表である。
【
図4】比較例1によるLED配置例を示す図である。
【
図5】実施例1によるLED配置例と比較例1によるLED配置例のそれぞれについて、受光部8で取得される発光スペクトルを示す図である。
【
図6】LED11およびLED12の特性値を示す表である。
【
図7】パラメータP/(S×λ)の比較の結果から、実施例1にて示した上記条件1および/または条件2に従って、LED12→LED11の順となるように、LED11およびLED12を配置したときのLED配置例を示す図である。
【
図8】比較例2によるLED配置例を示す図である。
【
図9】実施例2によるLED配置例と比較例2によるLED配置例のそれぞれについて、受光部8で取得される発光スペクトルを示す図である。
【
図10】LED11およびLED12の特性値、および中心波長における受光部8での補正係数を示す表である。
【
図11】
図10に示す補正されたパラメータP/(S×λ)の比較結果から、実施例1において示した上記条件1または/および条件2に従って、LED11およびLED12を配置したときのLED配置例を示す図である。
【
図12】実施例3によるLED配置例と比較例2によるLED配置例のそれぞれについて、縦軸を光電流値とした発光スペクトルを示す図である。
【
図13】パラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))の算出に用いる特性値を示す表である。
【
図14】LED13からLED17の特性値を示す表である。
【
図15】
図14に示すパラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))の比較に基づいて、実施例1に記載の上記条件1または/および条件2に従ってLED13からLED17を配置した結果を示す図である。
【
図16】比較例3として、LED13からLED17を共に光軸9に近くなるように配置した場合の配置例を示す図である。
【
図17】実施例5によるLED配置例と比較例3によるLED配置例のそれぞれについて、縦軸を光電流値とした発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の技術の実施例について説明する。なお、本開示の技術は、後述する実施例に限定されるものでなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。また、後述する種々の実施例の説明に使用する各図の対応部分には、同一の符号をつけて示し、重複する説明を省略する。
【0011】
(1)実施例1
実施例1は、吸光光度測定が可能な3つのLEDによる吸光光度測定装置に関し、例えば、吸光光度測定および生化学分析に対応する波長を備えた3つのLEDを用いて、有効領域とパラメータ(P/(S×λ))の算出に基づいて、目標光量を達成可能なLED配置を決定することに関する。なお、実施例1による当該パラメータ(LED配置決定パラメータ)は、LEDの発光面の面直方向における単位面積当たり、単位波長当たり、かつ、単位角度当たりの光量に概ね比例するパラメータであり、複数のLEDの配置を決定する際に依拠すべき値を提供する。
【0012】
<吸光光度測定装置の構成例>
図1は、吸光光度測定装置100の構成例を示す図である。吸光光度測定装置100は、複数のLED1からLED3(実施例1では3個のLED)と、基板4と、レンズ5と、検体を含む反応セル6と、スリット7と、受光部8と、を備える。
【0013】
基板4に固定されたLED1からLED3は光をレンズ5へ照射する。レンズ5の中心は、LED1からLED3の発光面から距離a離れている。LED1からLED3からレンズ5に入射した光は、レンズ5における屈折の影響を受けながら検体を含む反応セル6へ入射する。
【0014】
反応セル6は、LED1からLED3側表面がレンズ5の中心から距離b離れるように配置されている。反応セル6の光軸9方向の厚みはtとされる。レンズ5で集光した光の一部は反応セル6および反応セル6中の試料を透過し、一部の光が吸収される。透過後の光は、反応セル6のLED1からLED3側の表面から距離c離れたスリット7を透過し、受光部8へ到達する。この時、スリット7の穴径はeとされる。また、受光部8は、受信した光をフォトダイオードなどの変換素子により電流値や電圧値などの信号として出力する。
【0015】
本実施例の
図1において、スリット7の形状は円形だが、取りうる形状として、対称な形状から、非対称な形状など、様々な形状が想定される。また、光軸9とスリット7との関係についても、例えば、本実施例のように、光軸9がスリット7の中心を通ることで、より高い精度での効果が得られるが、必ずしも中心を通らなくてもよく、LED1からLED3の配置を工夫することにより、光軸9がスリット7の中心を通る場合と同様の効果が得られる。
【0016】
<実施例1による複数のLEDの配置例>
(i)配置されるLEDの種類について
図2は、実施例1における複数のLED(一例として、LED1からLED3の3つのLED)の配置例を示す図である。
図2において、LED1からLED3の発光面の面積、形状は、各LED1からLED3の面積および形状と一致している。一方、LEDの発光面の面積、形状は、LEDチップの面積および形状と異なる場合も想定される。発光面の面積とLEDチップの面積に関する情報は、LED発光時の、輝度計による輝度分布測定や顕微鏡による観察、LEDの仕様表などによって得られる。
【0017】
例えば、LED1は紫外LEDであり、ピークの中心波長を340nmに持つ。LED2は白色LEDであり、励起光由来のピークと蛍光体由来のピークから構成される。励起光由来のピークの中心波長は380nmであり、蛍光体由来のピークの中心波長は600nmである。LED3は赤外LEDであり、ピークの中心波長は800nmである。以上の紫外LED、白色LED、赤外LEDの構成によって、太陽電池材料など、紫外-可視-赤外の幅広い波長域における試料の吸光光度測定が可能となる効果が得られる。なお、各波長域の光を出射するLEDはそれぞれ1つずつ配置するようにしてもよいし、何れかの波長域のLEDを複数個、あるいは各波長域のLEDそれぞれを複数個配置するようにしてもよい。
【0018】
特に、それぞれのLEDの対応波長として、LED1の発光スペクトルの波長域は320nmから360nm、LED2の発光スペクトルの波長域は360nmから820nm、LED3の発光スペクトルの波長域は700nmから945nmである。これらのLED1からLED3を用いることで、生化学分析装置向けの吸光光度測定用光源として利用可能となる効果が得られる。
【0019】
(ii)LED配置の決定方法
ここでは、有効領域10およびパラメータP/(S×λ)を考慮した配置方法およびその結果について説明する。
【0020】
複数のLED1からLED3の各発光がスリット7へ到達し、受光部8にて検出されるためには、
図2に示す有効領域10内に複数のLED1からLED3を設置する必要がある。この有効領域10は、LED1からLED3の発光面の位置と、レンズ5、反応セル6、およびスリット7の配置から算出することができる。算出方法は、次の通りである。目標光量を受光部8にて取得するため、LED1からLED3の発光面の結像位置は反応セル6とスリット7の間に設けることができる。加えて、吸光光度測定として反応セル6内の試料に十分な光量の光が透過される必要がある。このため、結像位置とレンズ5中心との距離hは、レンズの焦点距離をfとすると、b≦h≦b+cかつ、レンズの公式として、(1/a)+(1/(h-a))=(1/f)を満たす位置にLED発光面を設置することができる(後者の式から、h=a+(a×f)/(a-f)となる)。
【0021】
また、基板4上の有効領域10は、光軸9を中心として、直径d=(e×a)/(h-a)の領域と算出される。この有効領域10内にLED1からLED3を設置することで、受光部8にてLED1からLED3の発光を光量として検出可能となる効果がある。
【0022】
例えば、吸光光度測定系として、
図1上の距離a=38.2mm、b=54.4mm、c=17.7mm、t=6.7mm、e=1.8mm、g=9mm、およびレンズ5の焦点距離f=24.8mmである場合、h=108.7mm、有効領域10はd=0.97mmとして算出できる。
【0023】
このような測定系において、空気とは異なる光学媒質が光路上に含まれる場合や、複数の異なる波長の発光が利用される場合、屈折率の違いによって、光路長が変化し、有効領域が変化する可能性がある。例えば、検体を含む反応セル6や反応セル6を温調するための水が光学系上にあると、媒質と空気の屈折率の差と光軸9方向の厚みの積の分、光路長が長くなる。したがって、この場合、
図1のbとcが大きくなると考えられるため、有効領域は狭くなると想定される。本実施例においては、これらの媒質の違いによる光路長の影響は考慮されている。つまり、反応セル6の材質の屈折率と、想定される試料の中で屈折率が一番高い試料の屈折率に基づいて有効領域の範囲を想定し、各LEDの配置を決めることができる。光路長の影響を考慮しなくても、有効領域の範囲の算出は可能であるが、異なる媒質の屈折率を踏まえた上で光路長の変化を計算することで、より正確な有効領域の範囲を算出することができる。
【0024】
本実施例における有効領域の範囲の算出にあたって、発光波長は550nmの時を想定した。いずれの波長においても有効領域の範囲の算出は可能である一方、利用するLEDの発光波長域に含まれる波長を用いることで、より正確な有効領域の範囲が算出される。
【0025】
LED1からLED3は基板4に固定されており、LED1からLED3の発光面は基板4から各LED1からLED3の厚み分離れている。LED発光面とレンズ5の中心との距離はa離れており、各LED1から3の厚みが均一である場合は、一義的に距離aを求めることができる。一方で、各LED1から3の厚みにバラつきがある場合も、基板4から各LED1から3の厚みの平均値分離れた位置をLED発光面の位置とすることができる。
【0026】
図3は、LED1からLED3のパラメータP/(S×λ)の値を示す表である。LED1からLED3それぞれのLEDの特性値として、発光面の面積S、出力P、波長半値全幅λをもとに、パラメータP/(S×λ)が算出される。これらの数値は実機の測定または仕様表などから取得することができる値である。実機の測定の場合、発光面の面積Sは光学顕微鏡などを用いて測定可能である。また、出力Pは発光時のLEDから一定距離離れた位置にパワーメータなどを設置することで測定可能である。そして、主要なピークの中心波長および波長半値全幅λは、分光器などによって測定可能である。
【0027】
波長半値全幅λについて、スペクトル中のピークの最大値に対し、半分の値となるときの波長間の幅とする。また、主要なピークが複数となる場合は、各ピークの半値全幅の和がLEDの波長半値全幅λであるとする。取得された発光面の面積S、出力P、波長半値全幅λから、
図3の下段に示すパラメータP/(S×λ)が算出される。このパラメータP/(S×λ)は、LEDにおける単位立体角、単位面積、単位波長あたりの光軸9方向へ進む光の光量におおむね比例する値として理解される。パラメータP/(S×λ)の大きいLEDと小さいLEDの発光面の端が光軸9に対して同じ距離である場合、パラメータP/(S×λ)の大きいLEDの方が受光部8において、より大きい光量が得られる。
【0028】
得られたパラメータP/(S×λ)をLED1から3で比較すると、パラメータP/(S×λ)はLED2、LED3、LED1の順に大きくなる。これらのLED1からLED3の配置において、吸光光度測定装置および生化学分析装置として測定に必要な目標光量を満たすためには、パラメータP/(S×λ)を基に配置をすることが重要となる。
【0029】
パラメータP/(S×λ)の小さいLED2、LED3、LED1の順に、次の条件1および/または条件2を満たすよう各LED1から3を有効領域10に配置する。
条件1:発光面が
図2に示す光軸9に近づくように配置する。
条件2:パラメータP/(S×λ)の小さい順に、有効領域10と複数のLED(LED1からLED3)の発光面の面積の重なりが大きくなるよう配置する。
【0030】
具体的には、パラメータP/(S×λ)が最小値を取るLEDの発光面が光軸9を含むように配置される。そして、パラメータP/(S×λ)が次に小さい値を取るLEDが光軸9に2番目に近くなるように配置される。このように、パラメータP/(S×λ)として小さい値を取る順番に光軸に近接して各LEDを配置する。
以上のように、各LEDの配置方針決定は、パラメータP/(S×λ)の算出結果に基づいて行われる。
【0031】
(iii)LED配置結果
図2には上記LED配置決定方法によるLED配置結果が示される。LED1からLED3に関し、パラメータP/(S×λ)は
図3に示されるような値となるため、光軸9上に(光軸9を含むように)LED2が設置され、LED1とLED3はLED2と隣り合うよう配置される。このとき、光軸9とLED2の発光面との距離は0とみなせる。また、光軸9とLED1の発光面との距離は、
図2に示す光軸9からLED1左下の頂点での距離であり、0.37mmとすることができる。さらに、光軸9からLED3の発光面の端までの距離は、
図2に示す光軸9からLED3左辺までの距離であり、0.32mmとすることができる。よって、この配置により、光軸9からLED発光面の端までの距離がLED2、LED3、LED1の順となった。また、
図2から、LED2、LED3、LED1の順で有効領域10との重なりが大きいことが確認できる。
【0032】
以上から、実施例1において、
図2のLED1からLED3の配置は、条件1および条件2を満たしていることが分かる。加えてこの配置は、以下に示す比較例のような格子状の配置など、規則的な配置でないため、光源部の目視によって顕現性が確認される。
【0033】
<比較例1による複数のLEDの配置例>
図4は、比較例1によるLED配置例を示す図である。比較例1は、パラメータP/(S×λ)を考慮せず、LED1からLED3を光軸9近傍かつ格子状に配置した例を示している。
【0034】
LED1からLED3は、光軸9近傍へ格子状に並べられている。また、LED1からLED3の各発光面上の光軸9に最も近い端から光軸9までの距離は等しくなっている。一方、
図2に示すように、実施例1においては、LED1からLED3の特性値はそれぞれ異なることから、パラメータを考慮した場合、光軸9から異なる距離にてLED1からLED3が配置される。
【0035】
<実施例1と比較例1の発光スペクトルの比較>
上述のように、比較例1ではパラメータの大きさを踏まえた配置がなされていない。そこで、実施例1と比較例1の発光スペクトルを比較する。
図5は、実施例1によるLED配置例と比較例1によるLED配置例のそれぞれについて、受光部8で取得される発光スペクトルを示す図である。配置される複数のLEDは実施例1と比較例1とで同一のものが使用される。
図5において、横軸は波長(nm)、縦軸はパワー(μW:光束)を示している。
【0036】
比較例(点線)において、ピークの目標光量が40μWである場合に、LED1とLED3の発光ピークは目標光量より大きいが、LED2の発光ピークは目標光量を下回ってしまっている。
【0037】
一方、実施例1(実線)では、比較例1(点線)と比較してLED1およびLED3のパワーは小さくなる一方で、LED2のパワーが大きくなっている。そして、LED1からLED3の全てのピークが目標光量を達成している。これは有効領域10の設定およびパラメータP/(S×λ)に基づいてLEDを配置したことによる効果と言える。
【0038】
(2)実施例2
実施例2は、吸光光度測定に対応する波長を備えた2つのLED11およびLED1212を用い、有効領域とパラメータ(P/(S×λ))の算出に基づいて目標光量を達成可能なLED配置を決定することに関する。
【0039】
図6は、LED11およびLED12の特性値を示す表である。LED11は紫外LEDであり、ピークの中心波長を340nmに持っている。LED12は白色LEDであり、励起光由来のピークと蛍光体由来のピークから構成される。励起光由来のピークの中心波長は380nmであり、蛍光体由来のピークの中心波長は600nmである。LED11およびLED12の発光面積S、出力P、および波長半値全幅λを基に、パラメータ(P/(S×λ))を算出すると、パラメータP/(S×λ)はLED12、LED11の順に大きくなることが分かった。
【0040】
<実施例2によるLED配置例>
図7は、パラメータP/(S×λ)の比較の結果から、実施例1にて示した上記条件1および/または条件2に従って、LED12→LED11の順となるように、LED11およびLED12を配置したときのLED配置例を示す図である。LED11の発光面の左辺は光軸9から0.275mm離れている。また、LED12は光軸9上に発光面が存在することから、光軸9とLED12の発光面との距離は0とみなせる。
従って、LED11およびLED12の配置は、上記条件1および条件2の基準を満たした配置となっていることが分かる。
【0041】
<比較例2によるLED配置例>
図8は、比較例2によるLED配置例を示す図である。
図8に示すように、比較例2では、LED11およびLED12が共に光軸9に近くなるように配置した場合の配置となっている。光軸9に最も近い発光面の辺から、光軸9までの距離は共に0.025mmである。比較例2では、上記パラメータを算出することもないし、当該パラメータの大小に従ってLEDを配置するものでもない。
【0042】
<実施例2と比較例2の発光スペクトルの比較>
上述のように、比較例2ではパラメータの大きさを踏まえた配置がなされていない。そこで、実施例2と比較例2の発光スペクトルを比較する。
図9は、実施例2によるLED配置例と比較例2によるLED配置例のそれぞれについて、受光部8で取得される発光スペクトルを示す図である。配置される複数のLEDは実施例2と比較例2とで同一のものが使用される。
図9において、横軸は波長(nm)、縦軸はパワー(μW:光束)を示している。
【0043】
点線で示される比較例2の発光スペクトルを見ると、ピークの目標光量に対し、LED11に由来する中心波長340nmのピークは目標光量を十分に超えているが、LED12に由来する中心波長600nmのピークは目標光量に到達していないことが確認できる。
【0044】
一方、実線で示される実施例2の発光スペクトルを見ると、ピークの目標光量に対し、LED11およびLED12に由来するピークの光量は共に目標光量を超えている。これは、2つのLEDにおいて、実施例1と同様の有効領域の算出と、LED11およびLED12の特性値より算出したパラメータP/(S×λ)に基づいた配置による効果といえる。
【0045】
<LED寿命とLED配置の関係>
一般的にLEDの寿命は、点灯初期から出力70%となるまでに要する時間として理解される。複数のLEDを用いて、目標光量を達成可能な光源を作製する際、各LEDの寿命の長さが同等となるときの各LEDの出力を基にパラメータを算出しLED配置を行うことにより、各LEDの寿命のばらつきの抑制とLED光源の長寿命化という効果が得られる。
【0046】
また、出力70%未満となった場合の各LEDの出力を想定し、パラメータの算出およびLED配置を行うことによって、各LEDの寿命後も、より長期間にわたって目標光量を達成可能となる効果が得られる。
【0047】
(3)実施例3
実施例1および2において、目標光量の値は各波長で一定の値を取るとしているが、対象の波長域において一定の光量値を持つとは限らない。また、
図5や
図9に示す目標光量はエネルギー[W]であるものの、測定に用いる受光部8は電流や電圧、光子数などの信号として光量を出力する可能性がある。つまり、光自体はパワー(W)で表されるが、実際に測定を行う場合には、受光部8はパワー値を出力するのではなく、光の強度を電流値などで出力することがある。このとき、受光部8においてパワー(W)を電流値(A)に変換するに当たり、波長によって変換効率が変わってしまうという現象が起こりうる。このため、電流値で光の強度を読み取る場合には、変換効率を考慮した上で複数のLEDの配置を最適化する必要がある。例えば、複数のLEDにおいて、パワー(W)の大きさの順位と光の強度を変換して得られた電流値の大きさの順位が異なる場合がある。
【0048】
受光部8に利用されるフォトダイオードなどの素子の変換効率([W/A]や[W/V]など)は波長依存性を持つため、目標光量の大きさもまた波長依存性を持つ場合がある。よって、各波長で目標光量が異なる場合は、対象の波長域に対応するLEDのパラメータP/(S×λ)を、さらに目標光量値または変換効率で割った値を基に、各LEDの配置を決めることができる。
【0049】
<吸光光度測定が可能な2LEDの吸光光度測定装置>
実施例3は、吸光光度測定に対応する波長を備えた2つのLED11およびLED12を用い、有効領域とパラメータP/(S×λ)の算出に基づいて、目標光量を目標光電流として達成可能なLED配置を決定することに関する。なお、実施例3では、実施例2に対応して2つのLEDを用いている場合について説明するが、実施例1のように3つのLEDや、後述の実施例のように、5つ以上のLEDの場合であっても同様の考え方が適用可能である。また、実施例3による吸光光度測定装置の構成は、実施例1で示した
図1のそれと同様である。
【0050】
<実施例3によるLED配置例>
LED11およびLED12から発せられた光は、吸光光度測定装置100の受光部8によって受講される。受光部8の受光素子が受けるLED11およびLED12の発光は、光量の他に電流や電圧、光子数などの値として出力される。例えば、受光部8の受光素子によって光量が光電流へ変換される場合、受光素子における光電変換比の波長依存性による影響を踏まえて、補正されたパラメータを算出する必要がある。
【0051】
図10は、LED11およびLED12の特性値、および中心波長における受光部8での補正係数を示す表である。実施例1または3にて示したパラメータP/(S×λ)へ補正係数をかけることによって、単位立体角、単位面積、単位波長あたりの光軸9方向へ進む光の光電流値におおむね比例する値として補正されたパラメータを算出することができる。LED11およびLED12の補正されたパラメータを比較すると、実施例2と同様に、当該パラメータは、LED12、LED11の順に大きくなることが分かった。
【0052】
図11は、
図10に示す補正されたパラメータP/(S×λ)の比較結果から、実施例1において示した上記条件1または/および条件2に従って、LED11およびLED12を配置したときのLED配置例を示す図である。
図11において、LED11発光面の左辺は光軸9から0.175mm離れている。また、LED12は光軸9上に発光面が存在することから、光軸9とLED12の発光面との距離は0と見做すことができる。
なお、実施例3に対する比較例としては、実施例3と実施例2のLED配置は類似するので、上述の実施例2に対する比較例2(
図8)を挙げることができる。
【0053】
<実施例3と比較例2の発光スペクトルの比較>
図12は、実施例3によるLED配置例と比較例2によるLED配置例のそれぞれについて、縦軸を光電流値とした発光スペクトルを示す図である。
【0054】
図12において、点線で示す比較例2の発光スペクトルは、
図10の点線で示す比較例2のスペクトル形状とはスペクトル形状は異なることが確認できる。このスペクトル形状の差異が受光部8の受光素子における光電変換比の波長依存性による影響である。
【0055】
比較例2において、LED11に由来する中心波長340nmのピークは目標光電流を十分に超えているが、LED12に由来する中心波長600nmのピークは目標光電流に到達していないことが確認できる。
【0056】
一方、実線で示される実施例3の発光スペクトルを見ると、ピークの目標光電流に対して、LED11およびLED12に由来するピークの光量は共に目標光電流を超えている。これは、2つのLEDにおいて、有効領域の算出、LED11およびLED12の特性値および受光部8の受光素子の光電変換比より算出、および補正されたパラメータP/(S×λ)に基づいたLED配置による効果と言える。
【0057】
(4)実施例4
実施例4は、生化学分析に対応した波長を備える3つのLEDにおいて、有効領域とパラメータW/(S×λ×θ1/2)の算出に基づいて、目標光量を達成するLED配置を決定することに関する。
【0058】
既に実施例1にて示したLED1からLED3および光学部材の配置において、
図3の表に示した方法以外でもパラメータを算出し、比較することができる。具体的には、発光面の面積S、全出力W、波長半値全幅λ、指向角θ
1/2に基づいてパラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))が算出可能である。実施例1との違いとして、全出力Wと指向角θ
1/2がある。全出力Wを指向角θ
1/2で割った値は、光軸9方向に進む単位立体角あたりの光量におおむね比例する値であり、また実施例1における出力Pにも概ね比例する値となる。
【0059】
全出力Wは、実施例1に示す出力Pと異なり、積分球などを用いてLEDを評価することで取得される。また、一般的に全出力Wは仕様表に記載された特性値として用いることもできる。指向角θ1/2は、面直方向を0度としたときに、最大強度の半分となる角度の2分の1の値であり、LEDにおける角度分布の広がりを示す特性値である。これはゴニオメータなどを用いることで測定することができ、また全出力と同様に、仕様表に記載された特性値として用いることが可能である。
【0060】
図13は、パラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))の算出に用いる特性値を示す表である。
図13に示す特性値からLED1からLED3のパラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))を算出し、比較すると、実施例1と同様に、当該パラメータの大きさは、LED2、LED3、LED1の順に大きくなっている。以上から各LEDの配置方針決定に必要パラメータを、同等またはより高い精度で、算出可能となる。また、当該パラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))に基づいた配置を行うことにより、LED1からLED3すべてのピークが目標光量を達成可能な効果が得られる。
【0061】
(5)実施例5
実施例5は、吸光光度測定に対応する波長を備える5つのLED13からLED17を用い、有効領域とパラメータ(W/(S×λ×θ1/2))の算出に基づいて目標光量を達成可能なLED配置を決定することに関する。
【0062】
図14は、LED13からLED17の特性値を示す表である。LED13は紫外LEDであり、ピークの中心波長を340nmに持っている。LED14は青色LEDであり、ピークの中心波長を450nmに持っている。LED15は白色LEDであり励起光由来のピークと蛍光体由来のピークから構成される。励起光由来のピークの中心波長は380nmであり、蛍光体由来のピークの中心波長は550nmである。LED16は赤色LEDであり、ピークの中心波長を710nmに持っている。LED17は赤外LEDであり、ピークの中心波長を800nmに持っている。
【0063】
図14のLED13からLED17の発光面積S、出力P、および波長半値全幅λを基にパラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))を算出すると、パラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))はLED15、LED13、LED16、LED17、LED14の順に大きくなることが分かる。
【0064】
<実施例5によるLED配置例>
図15は、
図14に示すパラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))の比較に基づいて、実施例1に記載の上記条件1または/および条件2に従ってLED13からLED17を配置した結果を示す図である。
図15において、LED13における辺から光軸9までの距離は0.21mm、LED14における頂点から光軸9までの距離は0.26mm、LED15は発光面上に光軸9が存在するため、発光面と光軸9との距離は0と見做せる。そして、LED16における頂点から光軸9までの距離は0.22mm、LED17における辺から光軸9までの距離は0.25mmである。
【0065】
<比較例3によるLED配置例>
図16は、比較例3として、LED13からLED17を共に光軸9に近くなるように配置した場合の配置例を示す図である。各LEDから光軸9までの距離として、LED13とLED15における頂点から光軸9までの距離は0.021mm、LED14およびLED16における頂点から光軸9までの距離は0.2mmである。また、LED17における辺から光軸9までの距離は0.025mmである。比較例3の配置例は、光軸9の周りにLEDが密集した配置であるが、パラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))の大小に従った配置ではない。
【0066】
<実施例5と比較例3の発光スペクトルの比較>
図17は、実施例5によるLED配置例と比較例3によるLED配置例のそれぞれについて、縦軸を光電流値とした発光スペクトルを示す図である。
【0067】
図17において点線で示す比較例3の発光スペクトルを見ると、ピークの目標光量に対して、LED13、LED14、LED16、およびLED17に由来する中心波長340nm、450nm、710nm、および800nmのピークは目標光量を十分に超えているが、LED15に由来する中心波長550nmのピークは目標光量に到達していないことが確認できる。
【0068】
一方、
図17において実線で示される実施例5の発光スペクトルを見ると、LED13からLED17に由来する発光の各ピークが目標光量を超えていることが確認される。これは、5つのLEDにおいて、有効領域の算出とLED13からLED17の特性値から算出されたパラメータ(W/(S×λ×θ
1/2))に基づいてLED配置を決定したことによる効果と言える。
【0069】
<5つ以上のLEDを配置する場合の本実施例のメリット>
目標光量や目標光電流を達成するLEDの配置方法として、LEDの個数が2から4個の場合には、配置するLEDの個数が少なく、想定される並べ方のパターンも少ない。また、全LEDの光軸近傍への配置が容易であることから、上述の比較例1および2のようにパラメータを検討せず、光軸近傍への配置と微調整によって目標光量を達成可能な配置方法を見つけることができる可能性がある。
【0070】
一方、LEDの個数が5個以上である場合には、配置のパターンが複雑化し、全LEDを光軸近傍に近づけることは困難となる。このため、光軸近傍に配置するLEDの優先順位を設ける必要がある。このような場合において、パラメータに基づくLED配置はより高い精度で目標光量を達成することができる。
【0071】
(6)実施例6
実施例6は、実施例1から実施例5で説明した吸光光度測定装置100の生化学分析装置への適用に関する。
【0072】
図18は、実施例6による生化学分析装置の構成例を示す図である。生化学分析装置200は、制御部201と、前処理部202と、分注部203と、上述の吸光光度測定装置100を備える測定・検出部204と、を備える。
【0073】
前処理部202では、混合容器205内で試料と試薬との混合、遠心、攪拌、恒温反応などが測定の前処理として適宜行われる。分注部203では、前処理後の混合容器内の試料が、分注装置206により反応セル207に分注される。なお、反応セル207中にて混合容器205中での前処理と同様の作業が行われ、混合容器205および分注装置206を必要としない生化学分析装置もある。測定・検出部204では、反応セル207が吸光光度測定装置100を用いて評価される。前処理から測定・検出までの動作を制御部201にて制御および自動化することで、連続的かつ効率的に生化学分析を行うことができる。
以上のような構成を採ることにより、実施例1から実施例5による吸光光度測定装置100を用いて生化学分析装置を構成することができる。
【0074】
(7)まとめ
(i)本開示の吸光光度測定装置では、複数のLEDを載置する基板上に、そこにLEDを配置すれば受光部(あるいはスリット)に光が到達するとされる有効領域が規定される。このとき、当該有効領域に、複数のLEDは、LEDの出力、発光面積、及び波長半値全幅に基づいて算出されるパラメータ(P/(S×λ)やW/(S×λ×θ1/2))の値が小さい順に、かつ最小のパラメータの値を示すLEDがレンズの中心およびスリットの中心を通る光軸を含むように、配置される。また、複数のLEDは、当該パラメータの値が小さい順に有効領域における専有面積が大きくなるように配置される。このように複数のLEDを基板上に配置することにより、受光部が検出する、各波長光のピーク光量が目標光量を超えるので、反応セルに収容した測定対象の試料を正確に同定することが可能となる。
【0075】
複数のLEDは、例えば、紫外領域に波長を有する少なくとも1つの第1種LED(第1種LED群:波長帯は320nmから380nm)と、可視光領域に波長を有する少なくとも1つの第2種LED(第2種LED群:波長帯は360nmから820nm)と、赤外領域に波長を有する少なくとも1つの第3種LED(第3種LED群:波長帯は700nmから850nm)と、を含むように構成することができる。このような波長帯のLEDを用いることにより、様々な種類の試料を同定することができる吸光光度測定装置を提供することができる。
【0076】
(ii)上記有効領域の幅(径)dは、以下のように求めることができる。吸光光度測定装置の構成要素に関し、複数のLEDの発光面からレンズ中心までの距離をa、レンズの焦点距離をf、レンズの中心から反応セルの表面までの距離をb、反応セルの表面からスリットの距離をc、スリットの幅をeと規定する。このとき、複数のLEDの発光面からレンズによる発光の結像位置までの距離をhとすると、h=a+(a×f)/(a-f)、かつb≦h-a≦cである。そして、有効領域の幅をdは、d=(e×a)/(h-a)によって算出することができる。このように、上記有効領域の幅dは、各光学的条件から一意に求めることができるため、複数のLEDを上述のルール(実施例1で述べた条件1および条件2)に従って配置し、反応セルに収容した測定対象の試料を正確に同定することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
1、2、3、11、12、13、14、15、16、17 LED
4 基板
5 レンズ
6 反応セル
7 スリット
8 受光部
9 光軸
10 有効領域
100 吸光光度測定装置
201 制御部
202 前処理部
203 分注部
204 測定・検出部
205 混合容器
206 分注装置
207 反応セル