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特許7595598RF電力損失を補償するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】RF電力損失を補償するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241129BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241129BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241129BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101B
H01L21/205
H01L21/31 C
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021573741
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020034698
(87)【国際公開番号】W WO2020256899
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】62/864,346
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エバンズ・マシュー・デニス
(72)【発明者】
【氏名】フラワーズ・クリストファー・アディソン
(72)【発明者】
【氏名】ドリュウリー・ジョン
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/151920(WO,A1)
【文献】特開2008-251462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
H01L 21/3065
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波(RF)電力損失を補償するための方法であって、
プラズマシステムの構成要素に関連付けられている複数のパラメータの複数の測定値を取得し、
前記複数のパラメータの前記複数の測定値から、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている抵抗を決定し、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の1パラメータの値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値とから、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記RF電力損失の量を決定し、
前記RF電力損失量に基づいてRF発生器の動作の設定点を調整し、
前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの1または複数のさらなる値を決定すること、前記RF電力損失の1または複数のさらなる量を決定すること、前記RF発生器の動作の前記設定点を修正すること含む複数の工程を、前記設定点に適用される調整の量が前記RF電力損失を補償するまで繰り返すこと、
を備え、
前記RF電力損失の1または複数のさらなる量は、前記RF電力損失の2または複数のさらなる量を含み、前記RF電力損失の2または複数のさらなる量がそれぞれ所定の範囲内に収まった時、前記設定点に適用されている前記調整の量は前記RF電力損失を補償する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記複数の測定値の取得、および、前記抵抗の決定は、無プラズマ試験の間または後に実行される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記値の取得、前記RF電力損失の量の決定、前記設定点の調整、および、前記繰り返しは、基板の処理中に実行される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記プラズマシステムの前記構成要素は、インピーダンス整合回路である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記RF電力損失の量を決定することは、前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値の二乗とを乗じることを備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することは、第2設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために実行され、
前記繰り返しは、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの第2値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記第2値とから、第2RF電力損失量を決定し、
前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することを備え、前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整すること、第3設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために実行される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記設定点を調整することは、前記RF電力損失量を前記設定点に加えることを含む、方法。
【請求項8】
高周波(RF)電力損失を補償するためのコントローラであって、
プロセッサであって、
プラズマシステムの構成要素に関連付けられている複数のパラメータの複数の測定値を取得し、
前記複数のパラメータの前記複数の測定値から、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている抵抗を決定し、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の1パラメータの値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値とから、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記RF電力損失の量を決定し、
前記RF電力損失量に基づいてRF発生器の動作の設定点を調整し、
前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの1または複数のさらなる値を決定し、前記RF電力損失の1または複数のさらなる量を決定し、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することを、前記設定点に適用される調整の量が前記RF電力損失を補償するまで繰り返すよう構成され、前記RF電力損失の1または複数のさらなる量は、前記RF電力損失の2または複数のさらなる量を含み、前記RF電力損失の2または複数のさらなる量がそれぞれ所定の範囲内に収まった時、前記設定点に適用されている前記調整の量は前記RF電力損失を補償する、プロセッサと
記複数のパラメータの前記複数の測定値を格納するために前記プロセッサに接続されているメモリデバイスと、
を備える、コントローラ。
【請求項9】
請求項8に記載のコントローラであって、前記プロセッサは、無プラズマ試験の間または後に、前記複数の測定値を取得し、前記抵抗を決定する、コントローラ。
【請求項10】
請求項8に記載のコントローラであって、前記プロセッサは、基板の処理中に、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値を取得し、前記RF電力損失量を決定し、前記設定点を調整し、前記1または複数のさらなる値の取得と、前記RF電力損失の前記1または複数のさらなる量の決定と、前記RF発生器の動作の前記設定点の調整とを繰り返す、コントローラ。
【請求項11】
請求項8に記載のコントローラであって、前記プラズマシステムの前記構成要素は、インピーダンス整合回路である、コントローラ。
【請求項12】
請求項8に記載のコントローラであって、前記RF電力損失の量を決定するために、前記プロセッサは、前記抵抗と、前記パラメータの内の前記1パラメータの前記値の二乗とを乗じるよう構成されている、コントローラ。
【請求項13】
請求項8に記載のコントローラであって、前記プロセッサは、第2設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成され、
前記1または複数のさらなる値の取得と、前記RF電力損失の前記1または複数のさらなる量の決定と、前記RF発生器の動作の前記設定点の調整とを繰り返すために、前記コントローラは、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの第2値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記第2値とから、第2RF電力損失量を決定し、
前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されており、
前記プロセッサは、第3設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されている、コントローラ。
【請求項14】
請求項8に記載のコントローラであって、前記設定点を調整するために、前記プロセッサは、前記RF電力損失量および前記設定点を合計するよう構成されている、コントローラ。
【請求項15】
高周波(RF)電力損失を補償するためのプラズマシステムであって、
RF信号を生成するよう構成されているRF発生器と、
前記RF信号を受信するために前記RF発生器に接続されているインピーダンス整合回路と、
前記RF発生器に接続されているコンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、
前記プラズマシステムの構成要素に関連付けられている複数のパラメータの複数の測定値を取得し、
前記複数のパラメータの前記複数の測定値から、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている抵抗を決定し、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の1パラメータの値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値とから、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記RF電力損失の量を決定し、
前記RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の設定点を調整し、
前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの1または複数のさらなる値を決定し、前記RF電力損失の1または複数のさらなる量を決定し、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することを、前記設定点に適用される調整の量が前記RF電力損失を補償するまで繰り返すよう構成され、
前記RF電力損失の1または複数のさらなる量は、前記RF電力損失の2または複数のさらなる量を含み、前記RF電力損失の2または複数のさらなる量がそれぞれ所定の範囲内に収まった時、前記設定点に適用されている前記調整の量は前記RF電力損失を補償する、プラズマシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のプラズマシステムであって、前記コンピュータは、第2設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整し、
前記1または複数のさらなる値の取得と、前記RF電力損失の前記1または複数のさらなる量の決定と、前記RF発生器の動作の前記設定点の調整とを繰り返すために、前記コンピュータは、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの第2値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記第2値とから、第2RF電力損失量を決定し、
前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されており、
前記コンピュータは、第3設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されている、プラズマシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、高周波(RF)電力損失を補償するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で提供されている背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示するためのものである。ここに名を挙げられている発明者の業績は、この背景技術に記載された範囲において、出願時に従来技術として通常見なされえない記載の態様と共に、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術として認められない。
【0003】
ウエハは、プラズマツールを用いてエッチングされる。プラズマツールは、高周波(RF)発生器と、整合回路網または整合器と、プラズマチャンバと、を備える。RF発生器は、同軸ケーブルを介して整合器に接続されており、整合器は、伝送線路を介してプラズマチャンバに接続されている。ウエハは、プラズマチャンバ内に配置される。
【0004】
ウエハが配置されると、RF発生器は、整合器および伝送線路を介してプラズマチャンバへRF電力を提供するために、オンにされる。また、処理ガスが、プラズマチャンバに供給される。処理ガスがRF電力によって点火されると、プラズマが、プラズマチャンバ内で点火される。プラズマは、ウエハをエッチングするために用いられる。
【0005】
本開示に記載の実施形態は、このような背景において生まれたものである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、高周波(RF)電力損失を補償するためのシステム、装置、方法、および、コンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、処理、装置、システム、ハードウェア、または、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録された方法など、種々の形態で実施できることを理解されたい。以下に、いくつかの実施形態を記載する。
【0007】
一部の半導体処理ツール(導体エッチング(CE)ツールなど)は、電圧制御モードで、そして一部は、電力制御モードで、サブシステムバイアスを実行する。電圧制御モードは、電力補償動作を利用しない。電力制御モードにおいて、寄生電力損失のチャンバ間での差が、プラズマ負荷へ結合される電力のばらつきを生み出す。最適なチャンバ整合性能を提供するために、結合される電力のばらつきは最小化される。
【0008】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、チャンバ間の結合電力のばらつきを抑えるように補正動作を達成するための補償方法を提供する。システムおよび方法は、バイアスサブシステムのためのチャンバ整合電力補償スキームに関する。補償スキームは、電力制御モードで動作するバイアスサブシステムに適用される。補償スキームは、バイアス整合回路網の出力に配置された電流プローブを利用する。電流プローブから受信された電流測定値が、バイアス整合回路網からプラズマに至るまでの寄生電力損失をリアルタイムで算出することを可能にし、または、電力損失を補償するために用いられる。これらの寄生電力損失は、RF発生器の電力設定点を連続的に更新する変形制御ループを用いて取り除かれる。補正動作は、リアルタイムでRF供給経路に沿った寄生電力損失と等しいオフセットを電力設定点に提供する。
【0009】
いくつかの実施形態において、バイアス整合回路網およびRF供給アセンブリの寄生電力損失を考慮するために、2工程の手順が実施される。手順は、プローブ(電流プローブ、電圧・電流プローブ、インピーダンス測定プローブ、または、インピーダンス走査プローブ、など)を利用する。プローブは、バイアス整合回路網の出力に配置されている。第1に、二乗平均(RMS)電流が、無プラズマ試験(NPT)中にプローブによって測定される。バイアス整合回路網およびアセンブリ全体の等価直列抵抗(ESR)の値が、測定されたRMS電流の二乗およびRF発生器によって送出された電力に線形回帰を実行することによって算出される。ESR値は、ホストコンピュータによって格納され、システム定数として利用される。
【0010】
第2に、制御アルゴリズムが、上で測定されたESR値を用いて、RF発生器のレシピ電力設定点(例えば、P_sp_rec)にリアルタイムの補正動作を提供するために導入される。レシピステップが実行されている時に、電力損失(例えば、P_loss)が、以下の式を用いて、各時間増分または時間ステップiに算出されうる。
P_loss(i)=ERS*(I_RMS(i))・・・(1)
ここで、I_RMS(i)は、時間増分iにプローブによって読み取られたRMS電流である。現在の時間ステップの電力損失は繰り越され、更新された発生器電力設定点(例えば、P_sp_gen)を決定するために、RF発生器のレシピ電力設定点P_sp_recに追加され、ここで、「sp」は設定点を表し、「gen」はRF発生器を表す。以下の式は、その時間増分における更新された発生器電力設定点を示す。
P_sp_gen(i)=P_sp_rec+P_loss(i-1)・・・(2)
手順は、補正オフセットP_loss(i)が測定損失P_loss(i-1)と等しくなるまで繰り返される。この時点で、寄生電力損失は考慮される。
【0011】
RF電力損失(寄生電力損失など)を補償するための本明細書に記載のシステムおよび方法のいくつかの利点は、1または複数の基板を処理する際にチャンバ再現性を達成することを含む。RF発生器は、プラズマチャンバ内の電極にRF電力を供給する。RF電力は、RF経路を介してRF発生器から電極へ伝送される。RF経路の構成要素の特性に起因して、RF経路上でのRF電力の一部の損失が生じる。構成要素の例は、RFケーブル、インピーダンス整合回路、および、RF伝送線路を含む。RFケーブルは、RF発生器をインピーダンス整合回路(バイアス整合回路網など)に接続している。また、RF伝送線路は、インピーダンス整合回路をプラズマチャンバに接続している。RF経路におけるRF電力損失を考慮するために、RF発生器によって送出される電力が調整される。RF発生器によって送出される電力は、RF電力損失が安定するまで調整される。RF電力損失の安定後、RF発生器は、同じまたは実質的に同じ量の送出電力を送出するように制御される。同じまたは実質的に同じ量の電力がRF発生器によって送出されると、1または複数の基板は、均一に処理される。例えば、複数の基板を処理する際に、均一なエッチング速度または均一な蒸着速度が達成される。別の例として、基板は、エッチング速度または蒸着速度を達成するために望ましく処理される。
【0012】
添付の図面を参照して行う以下の詳細な説明から、別の態様が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
実施形態は、添付の図面に関連して行う以下の説明を参照することによって理解される。
【0014】
図1】基板を処理する前に実行される無プラズマ試験を説明するために、システムの一実施形態を示す図。
【0015】
図2】インピーダンス整合回路の出力に関連付けられている抵抗(等価直列抵抗(ESR)など)の決定を説明するために、グラフの一実施形態を示す図。
【0016】
図3】インピーダンス整合回路および伝送線路に関連付けられている電力の損失を考慮する目的で、高周波(RF)発生器によって生成および送出される電力の量を決定する際に、抵抗を利用することを説明するために、システムの一実施形態を示す図。
【0017】
図4】基板の処理中に、プロセッサが、インピーダンス整合回路の出力に関連付けられている電力損失の量に基づいて、RF発生器によって送出される電力の量を修正し続ける方法を説明するために、テーブルの一実施形態を示す図。
【0018】
図5】RF発生器によって送出される電力が、インピーダンス整合回路の出力で送出される電力の損失を考慮して変化することを説明するために、グラフの一実施形態を示す図。
【0019】
図6】送出電力の損失を補償するための方法の応用例を説明するために、システムの一実施形態を示す図。
【0020】
図7図4に関して説明した方法を適用することによって決定された送出電力量が、別の基板を処理するために維持されることを説明するために、システムの一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施形態は、高周波(RF)電力損失を補償するためのシステムおよび方法について記載するものである。本実施形態は、これらの具体的な詳細事項の一部またはすべてがなくとも実施可能であることが明らかである。また、本実施形態が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略した。
【0022】
図1は、基板を処理する前に実行される無プラズマ試験を説明するために、システム100の一実施形態を示す図である。システム100は、RF発生器102、インピーダンス整合回路104、電流センサ106、プラズマチャンバ108、および、ホストコンピュータデバイス110など、複数の構成要素を備える。
【0023】
RF発生器102の例は、キロヘルツ(kHz)RF発生器またはメガヘルツ(MHz)RF発生器を含む。kHzRF発生器の例は、400kHzの動作周波数を有するRF発生器である。MHzRF発生器の例は、1MHzRF発生器または2MHzRF発生器または13.56MHzRF発生器または27MHzRF発生器または60MHzRF発生器の動作周波数を有するRF発生器を含む。RF発生器102は、デジタル信号プロセッサ(DSP)などのプロセッサと、ドライバ/増幅器回路と、RF電源と、を備える。プロセッサは、ドライバ/増幅器回路に接続されており、ドライバ/増幅器回路は、RF電源に接続されている。RF電源の例は、RFオシレータを含む。
【0024】
インピーダンス整合回路104の例は、互いに直列または並列に接続された回路構成要素のネットワークを有する回路を含む。回路構成要素の例は、抵抗器、インダクタ、および、キャパシタを含む。例えば、回路構成要素は、シャントキャパシタまたは直列キャパシタである。
【0025】
プラズマチャンバ108は、平行板プラズマチャンバ(例えば、容量結合プラズマ(CCP)チャンバ)である。プラズマチャンバ108は、チャック112と、チャック112に対向する上側電極114と、を備える。チャック112の例は、下側電極と下側電極の上部に配置されたセラミックプレートとを備えた静電チャック(ESC)を含む。チャック112および上側電極114の各々は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から形成されている。上側電極114は、接地電位に接続されている。
【0026】
電流センサ106の例は、電圧・電流(VI)プローブまたは電流プローブまたはインピーダンスセンサまたはインピーダンススキャナまたはインピーダンスプローブを含む。ホストコンピュータデバイス110の例は、コンピュータおよびサーバを含む。コンピュータは、デスクトップコンピュータまたはラップトップコンピュータまたはスマートフォンまたはタブレットであってよい。ホストコンピュータデバイス110は、プロセッサ120およびメモリデバイス122を備える。本明細書で利用されるプロセッサの例は、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、コントローラ、マイクロプロセッサ、および、マイクロコントローラを含む。メモリデバイスの例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリーメモリ(ROM)を含む。例えば、メモリデバイスは、フラッシュメモリまたは独立ディスク冗長アレイ(RAID)である。メモリデバイス122は、シリアル転送接続、パラレル転送接続、バス、または、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続などの接続を介して、プロセッサ120に接続されている。
【0027】
RF発生器102は、RFケーブル116を介してインピーダンス整合回路に接続されている。例えば、RF発生器102のRF電源の出力O1が、RFケーブル116を介してインピーダンス整合回路104の入力I2に接続されている。また、インピーダンス整合回路104は、RF伝送線路118を介して、チャック112の下側電極に接続されている。例えば、インピーダンス整合回路104の出力O2が、RF伝送線路118を介して、下側電極に接続されている。RF伝送線路118は、プラズマシステム100の構成要素の別の例であり、RFロッド、絶縁体、および、スリーブを備える。絶縁体は、RFロッドを包み込んでおり、スリーブは、絶縁体を取り巻く保護カバーを形成する。
【0028】
プロセッサ120は、シリアル転送ケーブル、パラレル転送ケーブル、イーサネットケーブル、または、USBケーブルなどの接続ケーブル125を介して、RF発生器102の入力I1に接続されている。例えば、プロセッサ120は、接続ケーブル125を介してRF発生器102のプロセッサに接続されている。電流センサ106は、RFケーブルを介してインピーダンス整合回路104の出力O2に接続され、接続ケーブル121を介してプロセッサ120に接続されている。接続ケーブルの例については、上述した。
【0029】
無プラズマ試験中、プラズマチャンバ108内でプラズマは生成されない。例えば、プラズマチャンバ108内でプラズマを点火するために、1または複数の処理ガス(フッ素含有ガスまたは酸素含有ガスなど)がプラズマチャンバ108に供給されることがない。また、この例では、処理のためにチャック112の上面に基板が配置されることがない。
【0030】
プロセッサ120は、1または複数の変数(周波数および送出電力など)の量を有する命令信号を、接続ケーブル125および入力I1を介して、RF発生器102へ提供する。送出電力は、供給電力と、RFケーブル116内で起きる電力損失との合計である。供給電力は、送出電力の量を有する命令信号を受信することなしに、RF発生器102によって生成される電力である。例えば、供給電力は、RFケーブル116内での電力の損失が考慮されていない場合に、RF発生器102によって出力O1で供給される電力である。変数の量は、プロセッサ120によるアクセスに向けて、メモリデバイス122に格納されている。
【0031】
RF発生器102は、変数の量を有する命令信号を受信し、RF信号124を生成する。例えば、RF発生器102のプロセッサは、変数の量を有する命令信号をプロセッサ120から受信し、それらの量を有する信号を生成する。RF発生器102のプロセッサは、RF発生器102のドライバ/増幅器回路にその信号を提供する。ドライバ/増幅器回路のドライバ(1または複数のトランジスタなど)は、RF発生器102のプロセッサからの信号を受信すると、電流信号を生成する。ドライバ/増幅器回路の増幅器は、電力信号を増幅して、増幅電流信号を出力し、増幅電流信号をRF発生器102のRF電源へ送信する。RF電源は、変数の量を有するRF信号124を生成するように振動する。RF信号124は、出力O1、RFケーブル116、および、入力I2を介して、RF発生器102によってインピーダンス整合回路104へ供給される。
【0032】
インピーダンス整合回路104は、インピーダンス整合回路104の出力O2に接続されている負荷のインピーダンスを、インピーダンス整合回路104の入力I2に接続されているソースのインピーダンスと整合させて、出力O2で変調RF信号126を出力する。負荷の例は、RF伝送線路118およびプラズマチャンバ108を含む。ソースの例は、RFケーブル116およびRF発生器102を含む。
【0033】
変調RF信号126は、RF伝送線路118を介してチャック112の下側電極に伝送される。変調RF信号120が無プラズマ試験中に出力O2で提供または供給されている間に、電流センサ106は、出力O2で供給されている電流の量(二乗平均電流(Irms)など)を測定する。電流は、パラメータの一例である。電流センサ106によって測定される電流の各量は、出力O2で供給される電流の複数の量の二乗平均平方根(rms)である。電流センサ106は、出力O2における電流の量(Irmsなど)の測定値を、接続ケーブル121を介してプロセッサ120へ提供する。
【0034】
プロセッサ120は、電流の量の測定値を受信し、電流の量と、電流の量Irmsが測定された送出電力の量との間の対応関係を含むデータベース(テーブルまたはリストなど)を生成する。例えば、プロセッサ120が、量Pdel1の送出電力を有するRF信号124を生成するように、RF発生器102を制御した時に、電流センサ106は、出力O2で供給される電流の量Irms1を測定する。送出電力は、パラメータの別の例である。プロセッサ120は、量Pdel1とIrms1と間の対応関係(一対一の関係、つながり、関連、または、マッピング、など)をデータベースに格納し、データベースは、メモリデバイス122に格納される。同様に、プロセッサ120が、別の量Pdel2の送出電力を有するRF信号124を生成するように、RF発生器102を制御した時に、電力センサ106は、出力O2で供給される電流の別の量Irms2を測定し、接続ケーブル121を介してプロセッサ120へ量Irms2を提供する。プロセッサ120は、量Pdel2およびIrms2の間の対応関係をデータベースに格納する。このように、期間tにわたって、RF発生器102によってRF信号124で供給された電力の量と、出力O2で測定された電流の量との間の複数の対応関係が、プロセッサ120によって作成または決定され、データベースに格納される。
【0035】
プロセッサ120は、出力O1でRF発生器102によって送出される電力P_delの量(P_del1、P_del2、など)を決定するために、RF発生器102を較正することに注意されたい。例えば、RF発生器102は、RFケーブル116を介して、50オームの抵抗を有する負荷である50オーム負荷など、擬似負荷に接続されている。擬似負荷は、本明細書では、既知の負荷とも呼ぶ。測定装置(電圧および電流のセンサ、もしくは、電力センサ、など)が、擬似負荷の入力に接続され、プロセッサ120に接続されている。プロセッサ120は、出力O1でRF信号を供給するようにRF発生器120を制御するための命令信号を生成する。命令信号を受信すると、RF発生器102は、RF信号を生成し、出力O1およびRFケーブル116を介して擬似負荷へRF信号を供給する。測定装置は、擬似負荷の入力における電力の量を測定する。入力において測定された電力の量から、RFケーブル116での電力損失の量がわかる。プロセッサ120は、RF発生器102によって送出される電力の量を決定するために、測定された電力の量を受信し、RF発生器102によって供給された電力の量と、擬似負荷の入力において測定された電力の量との間の対応関係を決定する。例えば、プロセッサ120は、出力O1においてRF発生器102によって供給された電力の量と、擬似負荷の入力において測定された電力の量との間の差を決定する。その差は、RFケーブル116における電力損失の量に等しい。プロセッサ120は、RF発生器120によって供給された電力量に対してその差を加えて、RF発生器120によって送出される電力の量(Pdel1など)を算出する。プロセッサ120は、RFケーブル116における電力損失を考慮するために、RF発生器120によって供給された電力の量(Psup1など)と、RF発生器122によって送出された電力の量(Pdel1など)との間の対応関係(一対一の関係、つながり、関連、または、マッピング、など)をデータベースに格納する。このように、出力O1における送出電力の複数の量(Pdel1、Pdel2、など)を有すると共に、出力O1における供給電力の複数の量(Psup1、Psup2、など)を有するデータベースが、プロセッサ120によって作成される。データベースは、出力O1においてRF発生器102によって供給された電力の量と、出力O1においてRF発生器102によって送出された電力の量との間の対応関係を含む。
【0036】
出力O1で送出される電力P_delは、RFケーブル116での電力損失を考慮するように較正されているので、RF発生器102の出力O1で送出される電力P_delは、本明細書においてインピーダンス整合回路104の入力I2で送出される電力と呼ばれることもあることに注意されたい。
【0037】
一実施形態において、インピーダンス整合回路は、本明細書において、整合器、整合ネットワーク、インピーダンス整合回路網、または、整合ハウジングと呼ばれることもあり、これらの用語は、本明細書において交換可能に用いられる。
【0038】
一実施形態において、上側電極114が接地電位に接続される代わりに、下側電極が接地電位に接続され、上側電極114はRF伝送線路に接続される。RF伝送線路118は、変調RF信号126を受信するために、インピーダンス整合回路118の出力O2に接続されている。
【0039】
一実施形態において、プロセッサ120の代わりに、複数のプロセッサが用いられる。例えば、プロセッサ120によって実行される本明細書に記載の機能は、代わりに、複数のプロセッサによって分散的に実行される。さらに、メモリデバイス122の代わりに、複数のメモリデバイスが用いられる。例えば、メモリデバイス122に格納される情報は、複数のメモリデバイスの間に分散されて格納される。
【0040】
一実施形態において、プロセッサ120とRF発生器102のプロセッサとによって実行される本明細書に記載の機能は、代わりに、プロセッサ120またはRF発生器102のプロセッサによって、もしくは、3以上のプロセッサによって実行される。
【0041】
一実施形態において、RF発生器102に加えて、1または複数のさらなるRF発生器が、インピーダンス整合回路104に接続される。例えば、RF発生器102は、kHzRF発生器であり、さらなるRF発生器は、2つのMHzRF発生器を含む。別の例として、RF発生器102は、MHzRF発生器であり、さらなるRF発生器は、2つのMHzRF発生器を含む。1または複数のさらなるRF発生器は、対応する1または複数のさらなるRFケーブルを介して、インピーダンス整合回路104の対応する1または複数のさらなる入力に接続される。1または複数のさらなるRF発生器は、対応する1または複数のさらなるRF信号を生成し、対応する1または複数のさらなるRFケーブルを介してインピーダンス整合回路104へ1または複数のさらなるRF信号を提供する。インピーダンス整合回路104は、負荷のインピーダンスを、入力I2に接続されているソースのインピーダンスと、インピーダンス整合回路104の対応する1または複数のさらなる入力とに整合させて、出力O2で変調RF信号を出力する。入力I2と、インピーダンス整合回路104の対応する1または複数のさらなる入力とに接続されるソースの例は、1または複数のさらなるRFケーブル、RFケーブル116、RF発生器102、ならびに、1または複数のさらなるRF発生器を含む。
【0042】
一実施形態において、出力O2に接続される代わりに、電流センサ106は、RF伝送線路108上の任意の点に接続され、もしくは、チャック112の入力I3に接続されることで、その点または入力I3で送出されている電流の量を測定する。この実施形態では、RF発生器120の出力O1からRF伝送路108上のその点または入力I3までに生じる電力損失の量が特定されて、補償される。
【0043】
図2は、インピーダンス整合回路104(図1)の出力O2に関連付けられている抵抗(等価直列抵抗(ESR)など)の決定を説明するためのグラフ200の一実施形態である。出力O2に関連付けられている抵抗は、一定であり、RFケーブル116の抵抗およびインピーダンス整合回路104の回路構成要素の抵抗の組みあわせ(合計など)である。インピーダンス整合回路104の回路構成要素は、インピーダンス整合回路104の入力I2および出力O2の間に接続されている。
【0044】
グラフ200は、プロット202において、y軸上のRF発生器102の出力O1で送達された電力と、x軸上の送出電力に対応する出力O2で測定された電流の量の二乗(図1)をプロットしている。出力O1での送出電力は、ワット(W)で測定される。無プラズマ試験の間または後に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O1での送出電力の量(例えば、Pdel1、Pdel2、など)にアクセスする(読み出し、または、取得する)。例えば、基板を処理する前に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O1での送出電力の量にアクセスする。電流の量の二乗は、Irmsとしてx軸上にプロットされており、Irmsは、電流センサ106によってアンペアで測定されたものである。また、無プラズマ試験の間または後に、プロセッサ120は、さらに、メモリデバイス120において、量(Irms1、Irms2、など)にアクセスする。アクセスされる量は、メモリデバイス122からプロセッサ120によってアクセスされる送出電力の量に対応する。無プラズマ試験の間または後に、プロセッサ120は、データベースに格納された測定電流の量から出力O2で送出された電流の量の二乗を算出して、グラフ200にプロットする。
【0045】
また、無プラズマ試験の間または後に、プロセッサ120は、グラフ200において、出力O2で送出された電流の量Irms1の二乗Irms1に対して、出力O1で送出された電力の量Pdel1をプロットし、出力O2で送出された電力の量Irms2の二乗Irms2に対して、出力O2で送出された電力の量Pdel2をプロットする。例えば、グラフ200内の点204Aは、量Pdel1およびIrms1を表し、グラフ200内の別の点204Bは、量Pdel2およびIrms2を表している。同様に、グラフ200は、他の点204C、204D、204E、および、204Fを含んでおり、点204C、204D、204E、および、204Fの各々は、RF発生器102の出力O1で送出された電力の量と、インピーダンス整合回路104の出力O2で送出された電流の量の二乗とに対応する。
【0046】
無プラズマ試験の間または後に、プロセッサ120は、点204A、204B、204C、204D、204E、および、204Fからプロット202を生成する。例えば、プロセッサ120は、点204A、204B、204C、204D、204E、および、204Fを通るように直線を適合させるために、線形回帰分析を実行する。各点204A~204Fは、出力O2で送出された電流の量の二乗に対して、出力O1における送出電力の量をプロットする。
【0047】
さらに、無プラズマ試験の間または後に、プロセッサ120は、プロット202の傾きを算出する。例えば、プロセッサ120は、プロット202上に位置する複数の点204Gおよび204Hを特定し、RF発生器102の出力O1での送出電力の量P_delBを決定するためにy軸に向かって水平に点204Gを投影し、RF発生器102の出力O1での送出電力の量P_delAを決定するためにy軸に向かって水平に点204Hを投影し、RF発生器102の出力O1での電流の量IrmsAの二乗IrmsAを決定するためにx軸に向かって垂直に点204Gを投影し、RF発生器102の出力O1での電流の量IrmsBの二乗IrmsBを決定するためにx軸に向かって垂直に点204Hを投影する。プロセッサ120は、量P_delBおよびP_delAの間の第1差と、量IrmsBおよびIrmsAの間の第2差を算出し、第1差および第2差の比を算出して、プロット202の傾きを決定する。プロセッサ120は、インピーダンス整合回路104の出力O2に関連付けられている抵抗ESRとして、その傾きを格納する。
【0048】
図3は、RFケーブル116およびインピーダンス整合回路104に関連付けられている電力の損失を考慮する目的で、RF発生器102によって生成および送出される電力の量P_sp_gen(i+1)を決定する際に、インピーダンス整合回路104の出力O2に関連付けられている抵抗ESRを利用することを説明するために、システム300の一実施形態を示す図である。システム300は、図1のシステム100と構造が同じである。例えば、システム300は、システム100と同じ構成要素を備えている。例えば、システム300は、RF発生器102と、RFケーブル116と、インピーダンス整合回路104と、RF伝送線路118と、プラズマチャンバ108と、電流センサ106と、ホストコンピュータデバイス110と、を備える。
【0049】
プラズマチャンバ108は、処理される基板S1(半導体ウエハなど)を含む。基板処理の例は、基板への1または複数の材料の蒸着、基板のエッチング、基板のスパッタリング、および、基板の洗浄を含む。基板S1は、処理に向けてチャック112の上面に配置されている。
【0050】
整数iで表される第1期間中、プロセッサ120は、RF発生器102によって生成されて出力O1で出力または供給される電力の量P_sp_recを有する命令信号を生成する。期間、時間増分、および、時間ステップという用語は、本明細書では交換可能に用いられる。量P_sp_recは、本明細書において、RF発生器102の動作のレシピ設定点とも呼ばれ、ここで、「sp」は設定点を指し、「rec」はレシピを指す。プロセッサ120は、メモリデバイス122から、量P_sp_recにアクセスする(読み出す、など)。動作のレシピ設定点は、ホストコンピュータデバイス110の入力デバイス(マウス、キーボード、または、キーパッドなど)を介して、ユーザによってプロセッサ120に提供される。入力デバイスは、接続ケーブルを介してプロセッサ120に接続されている。
【0051】
さらに、第1期間中、プロセッサ120は、接続ケーブル125および入力I1を介してRF発生器102へ、量P_sp_recを有する命令信号を送信する。命令信号を受信すると、RF発生器102は、量P_sp_recの電力を有するRF信号302を生成し、出力O1およびRFケーブル116および入力I2を介してインピーダンス整合回路104へ、RF信号302を供給する。第1期間中、RF信号302は、RF信号124(図1)が生成されるのと同じ方法で生成される。例えば、RF発生器102のプロセッサは、量P_sp_recを有する命令信号を受信し、その量を有する信号を生成する。RF発生器102のプロセッサは、RF発生器102のドライバ/増幅器回路に、その量を有する信号を提供する。ドライバ/増幅器回路のドライバは、RF発生器102のプロセッサからの信号を受信すると、電流信号を生成する。ドライバ/増幅器回路の増幅器は、電力信号を増幅して、増幅電流信号を出力し、増幅電流信号をRF発生器102のRF電源へ送信する。RF電源は、量P_sp_recの電力を有するRF信号302を生成して供給するように振動する。
【0052】
第1期間内に、インピーダンス整合回路104は、入力I2でRF信号302を受信し、出力O2に接続されている負荷のインピーダンスを、入力I2に接続されているソースのインピーダンスと整合させて、出力O2で変調RF信号304を出力する。インピーダンス整合回路104は、出力O2およびRF伝送線路118を介してチャック112の下側電極へ、変調RF信号304を提供する。さらに、1または複数の処理ガスが、プラズマチャンバ108へ供給される。1または複数の処理ガスがプラズマチャンバ108に供給され、変調RF信号304がプラズマチャンバ108の下側電極によって受信されると、プラズマがプラズマチャンバ108内で点火されて維持され、そのプラズマは基板S1を処理する。
【0053】
変調RF信号304が第1期間中に出力O2で提供されている間に、電流センサ106は、出力O2で送出された電流の量I_RMS(i)を測定し、ここで、iは、ゼロ以上の整数である。量I_RMS(i)は、出力O2で送出された電流の複数の量の二乗平均平方根である。電流センサ106は、接続ケーブル121を介してプロセッサ120へ、電流の量I_RMS(i)を提供する。基板S1が処理されている間に、プロセッサ120は、量I_RMS(i)をメモリデバイス122に格納し、メモリデバイス122から、量I_RMS(i)にアクセス(読み出しまたは取得など)し、第1期間中の電流の量I_RMS(i)の二乗I_RMS(i)を算出する。プロセッサ120は、二乗I_RMS(i)もメモリデバイス122に格納する。また、基板S1がプラズマ処理チャンバ108内で処理されている第1期間中に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2に関連付けられている抵抗ESRの量と値I_RMS(i)とにアクセス(読み出しまたは取得など)し、抵抗ESRに電流の量の二乗I_RMS(i)を乗じて、インピーダンス整合回路104の出力O2でのRF電力の損失の量P_loss(i)を算出または決定する。量P_loss(i)は、RFケーブル116内のまたはRFケーブル116による電力の損失と、インピーダンス整合回路104の入力I2および出力O2の間のインピーダンス整合回路104の回路構成要素内のまたは回路構成要素による電力の損失とを合わせた量である。第1期間内に、プロセッサ120は、量P_sp_recと出力O2に関連付けられている電力の量P_loss(i)との合計P_sp_gen(i+1)を算出し、送出電力の量P_sp_gen(i+1)を出力し、ここで、「gen」は、RF発生器102を指す。
【0054】
基板S1が処理されている第2期間中に、電力の量P_sp_recを有する命令信号を生成し続ける代わりに、プロセッサ120は、送出電力の量P_sp_gen(i+1)を有する命令信号を生成し、接続ケーブル125および入力I1を介してRF発生器102へ命令信号を送信することで、RF発生器102の動作のレシピ設定点P_sp_recを調整(変更または修正など)する。一例として、第2期間は、第1期間の次の期間(第1期間に連続する期間など)である。例えば、第1期間と第2期間との間には期間がない。別の例として、第2期間は、或る程度の時間の後に第1期間に続く。
【0055】
さらに、第2期間中に、量P_sp_gen(i+1)を有する命令信号を受信すると、RF発生器102は、出力O1での送出電力の量P_sp_gen(i+1)を有するRF信号302を生成する。RF発生器102は、電力の量P_sp_recを有するRF信号302を出力するための上述の方法と同じ方法で、量P_sp_gen(i+1)を有するRF信号302を出力するために、量P_sp_gen(i+1)を有する命令信号を処理する。例えば、第2期間中に、プロセッサ120は、量P_sp_gen(i+1)を達成するようにレシピ設定点P_sp_recを調整(修正または変更など)し、接続ケーブル125を介してRF発生器102へ、量P_sp_gen(i+1)を有する命令信号を提供する。命令信号を受信すると、RF発生器102のプロセッサは、量P_sp_gen(i+1)を有する信号を生成して、RF発生器102のドライバ/増幅器回路へ送信する。量P_sp_gen(i+1)を有する信号を受信すると、ドライバ/増幅器回路は、量P_sp_gen(i+1)に基づいて電流信号を生成し、RF発生器102の電源へ電流信号を提供する。RF発生器102の電源は、電流信号に従って振動することで、量P_sp_gen(i+1)を有するRF信号302を出力する。
【0056】
送出電力の量P_sp_gen(i+1)を有するRF信号302は、RF発生器102によって、出力O1、RFケーブル116、および、入力I2を介してインピーダンス整合回路104へ供給される。インピーダンス整合回路104は、出力O2に接続されている負荷のインピーダンスを、入力I2に接続されているソースのインピーダンスと整合して、送出電力の量P_sp_gen(i+1)を有するRF信号302を変調することで、変調RF信号304を出力する。下側電極は、基板S1を処理するために、送出電力の量P_sp_gen(i+1)に基づいて出力された変調RF信号304を受信する。変調RF信号304は、出力O2およびRF伝送線路118を介して下側電極によって受信される。
【0057】
再び第2期間中に、電流センサ106は、出力O2で送出された電流の量I_RMS(i+1)を測定し、接続ケーブル121を介してプロセッサ120へ、その量を提供する。プロセッサは、量I_RMS(i+1)をメモリデバイス122に格納する。第2期間中に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、量I_RMS(i+1)にアクセス(取得または読み出しなど)し、量I_RMS(i+1)の二乗と出力O2に関連付けられている抵抗ESRとを乗じることによって出力O2での送出電力損失の量P_loss(i+1)を決定または算出する。さらに、第2期間中に、プロセッサ120は、電力の量P_sp_recと電力損失の量P_loss(i+1)との合計を算出して、送出電力の量P_sp_gen(i+2)を出力する。
【0058】
基板S1が処理されている第3期間中に、プロセッサ120は、出力O1で供給される電力のレシピ設定点P_sp_recを調整するために、送出電力の量P_sp_gen(i+2)を有するRF信号302を生成するよう、RF発生器102を制御する。例えば、第3期間中に、プロセッサ120は、量P_sp_gen(i+2)を達成するようにレシピ設定点P_sp_recを調整(修正または変更など)し、接続ケーブル125を介してRF発生器102へ、量P_sp_gen(i+2)を有する命令信号を提供する。プロセッサ120から命令信号を受信すると、RF発生器102のプロセッサは、量P_sp_gen(i+2)を有する信号をRF発生器102のドライバ/増幅器回路へ送信する。量P_sp_gen(i+2)を有する信号を受信すると、ドライバ/増幅器回路は、量P_sp_gen(i+2)に基づいて電流信号を生成し、電源へ電流信号を提供する。電源は、電流信号に従って振動することで、量P_sp_gen(i+2)を有するRF信号302を出力する。第3期間は、第2期間に連続する期間である。同様の方法で、基板S1が処理されているさらなる期間中に、プロセッサ120は、インピーダンス整合回路104の出力O2に関連付けられている電力損失(例えば、出力O2における電力損失、など)を考慮または補償するために、RF信号302の送出電力の量を変更するよう、RF発生器102を制御し続ける。
【0059】
図4は、基板S1または別の基板の処理中に、プロセッサ120が、インピーダンス整合回路104(図3)の出力O2に関連付けられている電力損失の量に基づいて、RF発生器102の出力O1での送出電力の量を修正し続ける方法を説明するために、テーブル400の一実施形態を示す図である。テーブル400は、時間ステップのリストと、レシピ設定点P_sp_recに適用される補正オフセットのリストと、発生器設定点と、出力O2に関連付けられている電力の損失P_lossと、プラズマチャンバ108(図1)内のプラズマに結合された電力の量と、次の時間ステップの補正オフセットと、を含む。電力の損失P_lossの例は、P_loss(i)およびP_loss(i+1)を含む。電力の損失P_lossは、電力の損失の量が、レシピ設定点P_sp_recに追加される時に、レシピ設定点P_sp_recを調整するために用いられる。補正オフセット、発生器設定点、電力の損失、プラズマに結合された電力の量、および、次の時間の補正オフセットは、ワット(W)で測定される。
【0060】
時間ステップの例は、第1期間、第2期間、および、第3期間を含む。例えば、第1期間は時間ステップ0の例であり、第2期間は時間ステップ1の例であり、第3期間は時間ステップ2の例である。別の例として、第1期間は時間ステップ4の例であり、第2期間は時間ステップ5の例であり、第3期間は時間ステップ6の例である。例えば、第1期間は時間ステップ3の例であり、第2期間は時間ステップ4の例であり、第3期間は時間ステップ5の例である。
【0061】
発生器設定点の例は、初期発生器レシピ設定点としての量P_sp_recと、量P_sp_gen(i+1)と、量P_sp_gen(i+2)と、を含む。さらに、出力O2に関連付けられている電力の損失の例は、量P_loss(i)および量P_loss(i+1)を含む。各時間ステップの間、出力O2に関連付けられている電力の損失は、次の時間ステップの補正オフセットと同じである。例えば、補正オフセットは、時間ステップ2の間に5Wであり、時間ステップ1の間の5Wの電力の損失と同じである。
【0062】
時間ステップ0の間に、プロセッサ120は、500Wの量を有するRF信号302(図3)を生成するように、RF発生器102を制御する。量500Wは、電力のレシピ設定点P_sp_recの例である。さらに、時間ステップ0の間に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2に関連付けられている送出電力の損失の量5Wにアクセスする。出力O2での送出電力の損失の量5Wは、電流センサ106(図3)によって測定された電流の量(I_RMS(i)など)の二乗と、抵抗ESRとを乗じることによって、プロセッサ120によって算出される。電流の量I_RMS(i)は、時間ステップ0中に電流センサ106によって測定される。また、時間ステップ0の間に、495Wの量の送出電力が、基板S1を処理するために用いられるプラズマに結合される。量495Wは、RF信号302の電力の量500Wと、出力O2での電力損失の量5Wとの間の差である。時間ステップ0の間に、プロセッサ120は、出力O2に関連付けられている電力損失の量5Wに等しくなるように、次の時間ステップの補正オフセットの量5Wを決定する。
【0063】
時間ステップ1の間に、プロセッサ120は、レシピ設定点500Wと、時間ステップ0の間に決定された次の時間ステップの補正オフセット5Wとの合計を算出し、合計である量505Wを有するRF信号302を生成するように、RF発生器102を制御する。量505Wは、RF発生器102の出力O1でRF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+1)の例である。さらに、時間ステップ1の間に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2での送出電力の損失の量8Wにアクセスする。送出電力の損失の量8Wは、電流センサ106(図3)によって測定された電流の量(I_RMS(i+1)など)の二乗と、抵抗ESRとを乗じることによって、プロセッサ120によって算出される。電流の量I_RMS(i+1)は、時間ステップ1中に電流センサ106によって測定される。また、時間ステップ1の間に、497Wの量の送出電力が、基板S1を処理するために用いられるプラズマに結合される。量497Wは、RF信号302の送出電力の量505Wと、出力O2に関連付けられている電力損失の量8Wとの間の差である。時間ステップ1の間に、プロセッサ120は、出力O2に関連付けられている電力損失の量8Wに等しくなるように、次の時間ステップの補正オフセットの量8Wを決定する。
【0064】
時間ステップ2の間に、プロセッサ120は、レシピ設定点500Wと、時間ステップ1の間に決定された次の時間ステップの補正オフセット8Wとの合計を算出し、合計である量508Wを有するRF信号302を生成するように、RF発生器102を制御する。時間ステップ2は、時間ステップに連続する時間ステップである。量508Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+2)の例である。さらに、時間ステップ2の間に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2での送出電力の損失の量9Wにアクセスする。出力O2での送出電力の損失の量9Wは、電流センサ106(図3)によって測定された電流の量(I_RMS(i+2)など)の二乗と、抵抗ESRとを乗じることによって、プロセッサ120によって算出される。量I_RMS(i+2)は、プロセッサ120によってメモリデバイス122に格納される。電流の量I_RMS(i+2)は、時間ステップ2中に電流センサ106によって測定される。また、時間ステップ2の間に、499Wの量の送出電力が、基板S1を処理するために用いられるプラズマに結合される。量499Wは、RF信号302の送出電力の量508Wと、出力O2に関連付けられている電力損失の量9Wとの間の差である。時間ステップ2の間に、プロセッサ120は、出力O2に関連付けられている電力損失の量9Wに等しくなるように、次の時間ステップの補正オフセットの量9Wを決定する。
【0065】
時間ステップ3の間に、プロセッサ120は、レシピ設定点500Wと、時間ステップ2の間に決定された次の時間ステップの補正オフセット9Wとの合計を算出し、合計である量509Wを有するRF信号302を生成するように、RF発生器102を制御する。時間ステップ3は、時間ステップ2に連続しまたは続く時間ステップである。量509Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+3)の例である。さらに、時間ステップ3の間に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2での送出電力の損失の量10Wにアクセスする。出力O2での送出電力の損失の量10Wは、電流センサ106(図3)によって測定された電流の量(I_RMS(i+3)など)の二乗と、抵抗ESRとを乗じることによって、プロセッサ120によって算出される。量10Wは、電流センサ106によって測定され、プロセッサ120に提供される。電流の量I_RMS(i+3)は、時間ステップ3中に電流センサ106によって測定される。また、時間ステップ3の間に、499Wの量の送出電力が、基板S1を処理するために用いられるプラズマに結合される。量499Wは、RF信号302の送出電力の量509Wと、出力O2に関連付けられている電力損失の量10Wとの間の差である。時間ステップ3の間に、プロセッサ120は、出力O2に関連付けられている電力損失の量10Wに等しくなるように、次の時間ステップの補正オフセットの量10Wを決定する。
【0066】
時間ステップ4の間に、プロセッサ120は、レシピ設定点500Wと、時間ステップ3の間に決定された次の時間ステップの補正オフセット10Wとの合計を算出し、合計である量510Wを有するRF信号302を生成するように、RF発生器102を制御する。時間ステップ4は、時間ステップ3に連続しまたは続く時間ステップである。量510Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+4)の例である。さらに、時間ステップ4の間に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2での送出電力の損失の量10.5Wにアクセスする。出力O2での送出電力の損失の量10.5Wは、電流センサ106(図3)によって測定された電流の量(I_RMS(i+4)など)の二乗と、抵抗ESRとを乗じることによって、プロセッサ120によって算出される。電流の量I_RMS(i+4)は、時間ステップ4中に電流センサ106によって測定される。また、時間ステップ4の間に、499.5Wの量の送出電力が、基板S1を処理するために用いられるプラズマに結合される。量499.5Wは、RF信号302の送出電力の量510Wと、出力O2に関連付けられている電力損失の量10.5Wとの間の差である。時間ステップ4の間に、プロセッサ120は、出力O2に関連付けられている電力損失の量10.5Wに等しくなるように、次の時間ステップの補正オフセットの量10.5Wを決定する。
【0067】
時間ステップ5の間に、プロセッサ120は、レシピ設定点500Wと、時間ステップ4の間に決定された次の時間ステップの補正オフセット10.5Wとの合計を算出し、合計である量510.5Wを有するRF信号302を生成するように、RF発生器102を制御する。時間ステップ5は、時間ステップ4に連続しまたは続く時間ステップである。量510.5Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+5)の例である。さらに、時間ステップ5の間に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2に関連付けられている送出電力の損失の量10.6Wにアクセスする。出力O2での送出電力の損失の量10.6Wは、電流センサ106(図3)によって測定された電流の量I_RMS(i+5)の二乗と、抵抗ESRとを乗じることによって、プロセッサ120によって算出される。電流の量(I_RMS(i+5)など)は、時間ステップ5中に電流センサ106によって測定される。また、時間ステップ5の間に、499.9Wの量の送出電力が、基板S1を処理するために用いられるプラズマに結合される。量499.9Wは、RF信号302の送出電力の量510.5Wと、出力O2に関連付けられている電力損失の量10.6Wとの間の差である。時間ステップ5の間に、プロセッサ120は、出力O2に関連付けられている電力損失の量10.6Wに等しくなるように、次の時間ステップの補正オフセットの量10.6Wを決定する。
【0068】
時間ステップ6の間に、プロセッサ120は、レシピ設定点500Wと、時間ステップ5の間に決定された次の時間ステップの補正オフセット10.6Wとの合計を算出し、合計である量510.6Wを有するRF信号302を生成するように、RF発生器102を制御する。時間ステップ6は、時間ステップ5に連続しまたは続く時間ステップである。量510.6Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+6)の例である。さらに、時間ステップ6の間に、プロセッサ120は、メモリデバイス122から、出力O2での送出電力の損失の量10.6Wにアクセスする。出力O2での送出電力の損失の量10.6Wは、電流センサ106(図3)によって測定された電流の量(I_RMS(i+6)など)の二乗と、抵抗ESRとを乗じることによって、プロセッサ120によって算出される。電流の量I_RMS(i_6)は、時間ステップ6中に電流センサ106によって測定される。電流量I_RMS(i+6)は、プロセッサ120によってメモリデバイス122に格納され、プロセッサ120によってメモリデバイス122からアクセス(読み出しまたは取得など)される。また、時間ステップ6の間に、500Wの量の送出電力が、基板S1を処理するために用いられるプラズマに結合される。量500Wは、RF信号302の送出電力の量510.6Wと、出力O2に関連付けられている電力損失の量10.6Wとの間の差である。時間ステップ6の間に、プロセッサ120は、出力O2に関連付けられている電力損失の量10.6Wに等しくなるように、次の時間ステップの補正オフセットの量10.6Wを決定する。
【0069】
このように、プロセッサ120は、電力損失量が補償されるまで、インピーダンス整合回路104の出力O2で測定された電力損失量に基づいて、RF発生器102の出力O1でRF発生器102によって送出される電力の量を制御し続ける。電力損失量は、電力損失量が安定した時に補償される。例えば、時間ステップ5および6の間に、プロセッサ120は、電流センサ106によって測定された出力O2での送出電流の量と、出力O2に関連付けられている抵抗ESRとに基づいて、同じ量の電力損失10.6Wが発生したと判定する。電力損失量が安定していると判定すると、プロセッサ120は、RF発生器102の出力O1でRF発生器102によって送出される電力の量を変化させないように、RF発生器102を制御する。例えば、時間ステップ6の後、プロセッサ120は、RF発生器102の出力O1で量510.6Wの電力を送出するように、RF発生器102を制御し、量510.6Wを変化させないさらに例を挙げると、時間ステップ6の後、電流センサ106は、インピーダンス整合回路104の出力O2から切り離される。出力O2での送出電力損失の量を決定するために、出力O2で電流を測定し続ける必要はない。
【0070】
一実施形態において、2つの連続した時間ステップに対して同じ電力損失量であると判定する代わりに、プロセッサ120は、2つの連続した時間ステップ中の電力損失量が、互いから所定の範囲内にあると判定することで、2つの時間ステップの後者の電力損失量が安定していると判定する。例えば、時間ステップ5の間の電力損失量が、10.6Wではなく10.61Wであると仮定し、時間ステップ6の間の電力損失量が10.6Wであるとすると、プロセッサ120は、量10.6Wおよび10.61Wが、互いから0.1Wまたは0.2Wの所定の範囲内にあると判定して、電力損失量10.6Wが時間ステップ6中に安定していると判定する。別の例として、時間ステップ5の間の電力損失量が、10.6Wではなく10.62Wであると仮定し、時間ステップ6の間の電力損失量が10.6Wであるとすると、プロセッサ120は、量10.6Wおよび10.62Wが、互いから0.2Wまたは0.3Wの所定の範囲内にあると判定して、時間ステップ6の間の電力損失量10.6Wが安定していると判定する。
【0071】
一実施形態において、インピーダンス整合回路104の出力O2での電流を測定し、電流の測定値および抵抗ESRからインピーダンス整合回路104の出力O2での電力損失の量を決定し、電力損失の量およびRF発生器102のレシピ設定点からRF発生器102によって送出される電力の量を決定する方法の反復は、50ヘルツ(Hz)~1kHzの範囲の速さで行われる。例えば、出力O2での電流の量(I_RMS(i)など)の測定、測定値I_RMS(i)および抵抗ESRからの量P_loss(i)の決定、ならびに、レシピ設定点P_sp_recおよび量P_loss(i)からの量P_sp_gen(i+1)の決定は、毎秒50回、毎秒1000回、または、毎秒50回~毎秒1000回の間の回数、反復的に繰り返される。別の例として、50または1000の時間ステップ(時間ステップの例は、テーブル400に関して上記に提供されている)が、1秒間に発生する。各時間ステップの間に、電流の量(I_RMS(i)など)が、出力O2で測定され、量P_loss(i)が、測定値I_RMS(i)および抵抗ESRから決定され、量P_sp_gen(i+1)が、レシピ設定点P_sp_recおよび量P_loss(i)から決定される。
【0072】
一実施形態において、量510Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i)の例であり、量510.5Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+1)の例であり、量510.6Wは、RF発生器102によって送出される電力の量P_sp_gen(i+2)の例である。
【0073】
図5は、出力O1でRF発生器102(図3)によって送出される電力P_sp_genが、インピーダンス整合回路104(図3)の出力O2で送出される電力の損失P_lossを考慮して変化することを説明するために、グラフ500の一実施形態を示す図である。用語「P_sp_gen」における「sp」は設定点を表し、用語「P_sp_gen」における「gen」はRF発生器102を表すことに注意されたい。グラフ500は、時刻tに対して、RF発生器102によって送出される電力P_sp_genをプロットしている。グラフ500は、プロット502、別のプロット504、および、さらに別のプロット506を含む。プロット502は、RF発生器102の出力O1での送出電力P_sp_ge示している。さらに、プロット504は、インピーダンス整合回路104の出力O2で送出される電力の損失P_lossを示し、プロット506は、一定量であるレシピ設定点P_sp_recを示している。
【0074】
グラフ500に示すように、時間tと共に送出電力の損失の量P_loss(P_loss(i)、P_loss(i+1)、P_loss(i+2)、など)が増加すると、時間tと共に送出電力の量P_sp_gen(例えば、P_sp_gen(i)、P_sp_gen(i+1)、P_sp_gen(i+2)、P_sp_gen(i+3)、P_sp_gen(i+4)、P_sp_gen(i+5)、P_sp_gen(i+6)、など)が増加する。送出電力P_lossの損失を考慮することによって、基板S1(図4)または別の基板の処理における均一性が、時間tと共に達成される。送出電力P_sp_genおよびレシピ設定点P_sp_recの間の差は、本明細書では設定点オフセットと呼ばれることに注意されたい。
【0075】
図6は、送出電力の損失を補償するための方法の応用例を説明するために、システム600の一実施形態を示す図である。システム600は、比較器602と、コントローラ604と、加算器606と、RF発生器102と、インピーダンス整合回路104と、プラズマチャンバ108と、電流センサ106と、遅延回路608と、フィルタ610と、コントローラ611と、比較器612と、を備える。
【0076】
コントローラ604の例は、プロセッサ120(図3)、ASIC、PLD、CPU、マイクロプロセッサ、および、マイクロコントローラを含む。コントローラ604の別の例は、プロセッサ120とRF発生器102のプロセッサとの組みあわせを含む。比較602または比較器612の例は、コントローラ、プロセッサ、PLD、CPU、マイクロプロセッサ、および、マイクロコントローラを含む。加算器606、遅延回路608、および、フィルタ610の各々は、コントローラ、プロセッサ、PLD、CPU、マイクロプロセッサ、および、マイクロコントローラを用いて実装されてよい。フィルタ610の例は、電流I_RMSの高周波数をフィルタアウトするローパスフィルタを含む。
【0077】
比較器602は、コントローラ604に接続され、コントローラ604は、加算器606に接続されている。加算器606は、接続ケーブルを介してRF発生器102に接続されている。また、遅延回路608は、接続ケーブルを介して電流センタ106に接続されている。遅延回路608は、フィルタ610接続され、フィルタ610は、コントローラ611に接続されている。コントローラ611は、比較器612に接続され、比較器612は、比較器602に接続されている。
【0078】
電力センサ106は、基板の処理中に測定される電流の量I_RMS(I_RMS(i)、I_RMS(i+1)、I_RMS(i+2)、I_RMS(i+3)、I_RMS(i+4)、I_RMS(i+5)、または、I_RMS(i+6)、など)もしくは無プラズマ試験中に測定される電流の量Irmsを測定して、遅延回路608に提供する。遅延回路608は、基板の処理中に測定された電流I_RMSに関連しまたは無プラズマ試験中に測定された電流Irmsに関連付けられている時間遅延に対処(低減または除去など)する。例えば、遅延回路608は、プロセッサ120によって電流センサ106から電流の量I_RMSを受信する際の時間遅延と、インピーダンス整合回路102の出力O2での電力損失P_lossを決定するために電流の測定値I_RMSおよび抵抗ESRをプロセッサ120によって処理する際の時間遅延と、電力損失P_lossおよびレシピ設定点P_sp_recから送出電力の量P_sp_genをプロセッサ120によって決定する際の時間遅延と、を低減または除去する。別の例として、遅延回路608は、プロセッサ120によって電流センサ106から電流の量Irmsを受信する際の時間遅延を低減または除去する。遅延回路608は、電流I_RMSに関連付けられている時間遅延および電流Irmsに関連付けられている時間遅延を低減または除去し、電流の測定値I_RMSまたは電流の測定値Irms(例えば、量など)をフィルタ610に提供する。
【0079】
フィルタ610は、電流センサ106によって測定される電流量I_RMSまたは電流量Irmsの高周波数成分を除去(フィルタリングなど)する。コントローラ611は、グラフ200(図2)に示した、電流センサ106によって測定される電流の量Irmsと送出電力の量P_delとの間の関係性から、抵抗ESRの値を決定する。また、コントローラ611は、抵抗ESRおよび電流I_RMSの二乗から電力損失の量P_lossを決定し、送出電力損失の量P_lossを比較器612に提供する。
【0080】
比較器612は、プラズマチャンバ108内のプラズマに結合される送出電力の量P_coupledを決定するために、インピーダンス整合回路104の入力I2に送出される電力の量を、送出電力損失の量P_lossと比較する。入力I2に送出される電力は、P_delと表されている。比較器612は、プラズマに結合される送出電力の量P_coupledを比較器602に提供する。
【0081】
さらに、比較器602は、インピーダンス整合回路104の出力O2での送出電力損失の量P_lossを決定するために、プラズマチャンバ108内のプラズマに結合される電力の量P_coupledを、レシピ設定点P_sp_recと比較する。コントローラ604は、インピーダンス整合回路104の出力O2での送出電力損失量P_lossを比較器602から受信し、その損失量を加算器606に提供する。加算器606は、インピーダンス整合回路104の出力O2での送出電力損失量P_lossをレシピ設定点P_sp_recに加算して、合計設定点または総設定点を生成し、それは、接続ケーブルを介してRF発生器102へ入力として提供される。RF発生器102は、送出電力の合計設定点を生成して、RF発生器102の出力O1で提供するように動作される。
【0082】
一実施形態において、遅延回路608、フィルタ610、コントローラ611、比較器612、比較器602、コントローラ604、および、加算器606は、プロセッサ120内に実装される。例えば、遅延回路608、フィルタ610、コントローラ611、比較器612、比較器602、コントローラ604、および、加算器606は、プロセッサ120の一部である。
【0083】
一実施形態において、フィルタ610は、任意選択的であり、システム600において用いられなくてもよい。例えば、遅延回路608は、フィルタ610に接続されずに、コントローラ611に接続される。
【0084】
一実施形態において、遅延回路608、フィルタ610、コントローラ611、比較器612、比較器602、コントローラ604、および、加算器606によって実行される本明細書に記載の機能は、1または複数のプロセッサによって実行される。例えば、遅延回路608、フィルタ610、および、コントローラ611によって実行される本明細書に記載の機能が、或るプロセッサによって実行され、比較器612、比較器602、コントローラ604、および、加算器606によって実行される本明細書に記載の機能が、別のプロセッサ(プロセッサ120など)によって実行される。
【0085】
図7は、図3または図4に関して説明した方法を適用することによって決定された送出電力量P_sp_genが、基板S1の処理後に別の基板S2を処理するために維持されることを説明するために、システム700の一実施形態を示す図である。システム700は、システムが電流センサ106を備えないことを除けば、システム300と同じ構成要素を備えている。電流センサ106は、インピーダンス整合回路104の出力O2に接続されていない。例えば、電流センサ106は、インピーダンス整合回路104の出力O2から切り離されている。さらに、チャック112の上面に配置された基板S1は、プラズマチャンバ108から取り出され、基板S1が取り出された後、基板S2が、処理に向けて上面に配置されている。
【0086】
プロセッサ120は、電力損失量P_lossが複数の時間ステップ(複数の期間など)にわたって所定の範囲内にあるような、RF発生器102によって供給される送出電力の量(P_sp_gen(i+1)、P_sp_gen(i+10)、または、510.6W(図4)、など)を一旦決定すると、RF発生器102によって供給される送出電力の量を変更しない。例えば、プロセッサ120は、図4の時間ステップ6の後の各時間ステップ中に、量510.6Wの送出電力を有するRF信号302を生成するために、量510.6Wを有する命令信号をRF発生器102へ提供する。量510.6Wを有する命令信号を受信すると、RF発生器102は、量510.6Wを有するRF信号302を生成し、出力O1および入力I2を介してインピーダンス整合回路104へ、RF信号302を提供する。
【0087】
RF信号302を受信すると、インピーダンス整合回路104は、出力O2に接続されている負荷のインピーダンスを、入力I2に接続されているソースのインピーダンスと整合させて、変調RF信号304を出力する。1または複数の処理ガスがプラズマチャンバ108に供給され、変調RF信号304がチャック112の下側電極に供給され、プラズマが、プラズマチャンバ108内で点火または維持される。プラズマチャンバ108内のプラズマは、プラズマチャンバ108内に配置された基板S2を処理する。
【0088】
一実施形態において、基板S2を処理するためにRF発生器102の出力O1で同じ量の送出電力を提供するようにRF発生器102を制御する代わりに、インピーダンス整合回路の出力O2で電流I_RMSを測定し、電流I_RMSおよび抵抗ESRから出力O2での電力損失P_lossを決定し、電力損失P_lossおよびレシピ設定点P_sp_recに基づいてRF発生器104に適用される送出電力P_sp_genを決定する、図3および図4に関して説明した方法は、基板S1の処理後に1または複数の時間ステップで基板S2に対して繰り返される。次いで、基板S2に対して決定された送出電力P_sp_genは、さらなる時間ステップで基板S2に適用される。
【0089】
一実施形態において、RF電力損失を補償するための本明細書に記載の方法は、誘導結合プラズマ(IC)ツール、電子サイクロトロン共鳴(ECR)ツール、または、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)ツールなど、他のタイプの半導体処理ツールに適用される。例えば、CCPプラズマチャンバ108の代わりに、ICPプラズマチャンバ、ECRプラズマチャンバ、または、PECVDプラズマチャンバが用いられる。例えば、RF伝送線118は、ICPプラズマチャンバの下側電極に接続される。この例では、ICPプラズマチャンバのトランス結合プラズマ(TCP)コイルが、接地電位に接続され、もしくは、インピーダンス整合回路を介してまた1または複数のRF発生器に接続される。別の例として、RF伝送線路118は、PECVDプラズマチャンバのペデスタルに接続される。さらに別の例として、RF伝送線路118は、ICPプラズマチャンバのTCPコイルに接続される。この例では、ICPプラズマチャンバの下側電極が、接地電位に接続され、もしくは、インピーダンス整合回路を介してまた1または複数のRF発生器に接続される。プラズマチャンバ108は、或るタイプの半導体処理ツールであることに注意されたい。
【0090】
本明細書に記載の実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家電、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなど、様々なコンピュータシステム構成で実施されてもよい。本明細書に記載の実施形態は、コンピュータネットワークを通して接続された遠隔処理ハードウェアユニットによってタスクが実行される分散コンピューティング環境で実施されてもよい。
【0091】
一部の実施形態において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。システムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備える。システムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化される。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/またはシステムに接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の任意の処理を制御するようにプログラムされる。
【0092】
概して、様々な実施形態において、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASICとして定義されるチップ、PLD、1または複数のマイクロプロセッサ、もしくは、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられる命令であり、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための処理を実行するための動作パラメータを定義する。動作パラメータは、一部の実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0093】
コントローラは、一部の実施形態において、コンピュータの一部であるか、または、コンピュータに接続されており、かかるコンピュータは、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、または、それらの組み合わせでシステムに結合されている。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあるか、もしくは、ウエハ処理のためのリモートアクセスを可能にするファブホストコンピュータシステムの全部または一部である。コントローラは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、もしくは、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べる。
【0094】
一部の実施形態では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、コンピュータネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含む)を介してシステムに処理レシピを提供する。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備え、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。一部の例において、コントローラは、ウエハを処理するための設定の形態で命令を受信する。設定は、ウエハに対して実行される処理のタイプ、ならびに、コントローラがインターフェースをとるまたは制御するツールのタイプに固有であることを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の遂行処理など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散される。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルで、または、リモートコンピュータの一部として、リモートに配置されている、など)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路を含む。
【0095】
限定はしないが、様々な実施形態において、プラズマシステムは、プラズマエッチングチャンバ、蒸着チャンバ、スピンリンスチャンバ、金属メッキチャンバ、洗浄チャンバ、ベベルエッジエッチングチャンバ、物理蒸着(PVD)チャンバ、化学蒸着(CVD)チャンバ、原子層蒸着(ALD)チャンバ、原子層エッチング(ALE)チャンバ、イオン注入チャンバ、トラックチャンバ、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連付けられているかまたは利用される任意のその他の半導体処理システムを含む。
【0096】
また、上述の動作は、平行板プラズマチャンバに関して説明されているが、いくつかの実施形態において、上述の動作は、その他のタイプのプラズマチャンバ、例えば、トランス結合プラズマ(TCP)リアクタ、誘電体ツール、電子サイクロトロン共鳴(ECR)リアクタを備えたプラズマチャンバなど、に適用されることに注意されたい。TCPリアクタの例は、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタを含む。TCPリアクタの別の例は、導体ツールを含む。時に、リアクタおよびプラズマチャンバという用語は、本明細書では交換可能に用いられる。
【0097】
上述のように、ツールによって実行される処理動作に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信する。
【0098】
上述の実施形態を念頭に置いて、実施形態の一部は、コンピュータシステムに格納されたデータを含め、コンピュータによって実行される様々な動作を用いることを理解されたい。コンピュータによって実行される動作は、物理量を扱う動作である。
【0099】
実施形態の一部は、さらに、これらの動作を実行するためのハードウェアユニットまたは装置に関する。装置は、専用コンピュータ向けに特別に構成される。専用コンピュータとして規定された場合、コンピュータは、特定の目的に含まれない他の処理、プログラム実行、または、ルーチンを実行しつつ、特定の目的のために動作することができる。
【0100】
一部の実施形態において、本明細書に記載された動作は、コンピュータメモリに格納されたまたはコンピュータネットワークを介して取得された1または複数のコンピュータプログラムによって選択的にアクティベートまたは構成されたコンピュータで処理される。データがコンピュータネットワークを介して取得されると、そのデータは、コンピュータネットワーク(例えば、コンピューティングリソースのクラウド)上の他のコンピュータによって処理されてもよい。
【0101】
本明細書に記載の1または複数の実施形態は、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体上にコンピュータ読み取り可能なコードとして製造されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、データを格納する任意のデータ記憶ハードウェアユニット(例えば、メモリデバイスなど)であり、データは、その後、コンピュータシステムによって読み出される。非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスク-ROM(CD-ROM)、CD-レコーダブル(CD-R)、CD-リライタブル(CD-RW)、磁気テープ、および、その他の光学式および非光学式のデータ記憶ハードウェアユニットが挙げられる。一部の実施形態において、非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能なコードが分散的に格納および実行されるように、ネットワーク接続されたコンピュータシステム上に分散されたコンピュータ読み取り可能なタンジブル媒体を含む。
【0102】
上述したいくつかの方法動作は、特定の順序で提示されているが、様々な実施形態において、その他のハウスキーピング処理が方法動作の合間に実行される、もしくは、方法動作が、若干異なる時間に実行される、様々な間隔で方法動作が起きることを許容するシステムに方法動作が分散される、または、上述したのと異なる順序で実行されるように調整されることを理解されたい。
【0103】
さらに、一実施形態において、本開示に記載された様々な実施形態に記載された範囲を逸脱することなしに、本明細書に記載の任意の実施形態の1または複数の特徴が、任意の他の実施形態の1または複数の特徴と組み合わされることに注意されたい。
【0104】
理解を深めるために、本実施形態について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、実施形態は、本明細書に示した詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲および等価物の範囲内で変形されてよい。
[適用例1]高周波(RF)電力損失を補償するための方法であって、
プラズマシステムの構成要素に関連付けられている複数のパラメータの複数の測定値を取得し、
前記複数のパラメータの前記複数の測定値から、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている抵抗を決定し、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の1パラメータの値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値とから、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記RF電力損失の量を決定し、
前記RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の設定点を調整し、
前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの1または複数のさらなる値を決定すること、前記RF電力損失の1または複数のさらなる量を決定すること、前記RF発生器の動作の前記設定点を修正すること含む複数の工程を、前記設定点に適用される調整の量が前記RF電力損失を補償するまで繰り返すこと、
を備える、方法。
[適用例2]適用例1に記載の方法であって、複数のRF電力損失量がそれぞれ所定の範囲内に収まった時、前記設定点に適用されている前記調整の量は前記RF電力損失を補償している、方法。
[適用例3]適用例1に記載の方法であって、前記複数の測定値の取得、および、前記抵抗の決定は、無プラズマ試験の間または後に実行される、方法。
[適用例4]適用例1に記載の方法であって、前記値の取得、前記RF電力損失の量の決定、前記設定点の調整、および、前記繰り返しは、基板の処理中に実行される、方法。
[適用例5]適用例1に記載の方法であって、前記プラズマシステムの前記構成要素は、インピーダンス整合回路である、方法。
[適用例6]適用例1に記載の方法であって、前記RF電力損失の量を決定することは、前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値の二乗とを乗じることを備える、方法。
[適用例7]適用例1に記載の方法であって、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することは、第2設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために実行され、
前記繰り返しは、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの第2値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記第2値とから、第2RF電力損失量を決定し、
前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することを備え、前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整すること、第3設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために実行される、方法。
[適用例8]適用例1に記載の方法であって、前記設定点を調整することは、前記RF電力損失量を前記設定点に加えることを含む、方法。
[適用例9] 高周波(RF)電力損失を補償するためのコントローラであって、
プロセッサであって、
プラズマシステムの構成要素に関連付けられている複数のパラメータの複数の測定値を取得し、
前記複数のパラメータの前記複数の測定値から、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている抵抗を決定し、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の1パラメータの値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値とから、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記RF電力損失の量を決定し、
前記RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の設定点を調整し、
前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの1または複数のさらなる値を決定し、前記RF電力損失の1または複数のさらなる量を決定し、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することを、前記設定点に適用される調整の量が前記RF電力損失を補償するまで繰り返すよう構成されている、プロセッサと、
前記複数のパラメータの前記複数の測定値を格納するために前記プロセッサに接続されているメモリデバイスと、
を備える、コントローラ。
[適用例10]適用例9に記載のコントローラであって、前記プロセッサは、複数のRF電力損失量がそれぞれ所定の範囲内に収まった時、前記設定点に適用されている前記調整の量が前記RF電力損失を補償していると判定する、コントローラ。
[適用例11]適用例9に記載のコントローラであって、前記プロセッサは、無プラズマ試験の間または後に、前記複数の測定値を取得し、前記抵抗を決定する、コントローラ。
[適用例12]適用例9に記載のコントローラであって、前記プロセッサは、基板の処理中に、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値を取得し、前記RF電力損失量を決定し、前記設定点を調整し、前記1または複数のさらなる値の取得と、前記RF電力損失の前記1または複数のさらなる量の決定と、前記RF発生器の動作の前記設定点の調整とを繰り返す、コントローラ。
[適用例13]適用例9に記載のコントローラであって、前記プラズマシステムの前記構成要素は、インピーダンス整合回路である、コントローラ。
[適用例14]適用例9に記載のコントローラであって、前記RF電力損失の量を決定するために、前記プロセッサは、前記抵抗と、前記パラメータの内の前記1パラメータの前記値の二乗とを乗じるよう構成されている、コントローラ。
[適用例15]適用例9に記載のコントローラであって、前記プロセッサは、第2設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成され、
前記1または複数のさらなる値の取得と、前記RF電力損失の前記1または複数のさらなる量の決定と、前記RF発生器の動作の前記設定点の調整とを繰り返すために、前記コントローラは、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの第2値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記第2値とから、第2RF電力損失量を決定し、
前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されており、
前記プロセッサは、第3設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されている、コントローラ。
[適用例16]適用例9に記載のコントローラであって、前記設定点を調整するために、前記プロセッサは、前記RF電力損失量および前記設定点を合計するよう構成されている、コントローラ。
[適用例17]高周波(RF)電力損失を補償するためのプラズマシステムであって、
RF信号を生成するよう構成されている高周波(RF)発生器と、
前記RF信号を受信するために前記RF発生器に接続されているインピーダンス整合回路と、
前記RF発生器に接続されているコンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、
前記プラズマシステムの構成要素に関連付けられている複数のパラメータの複数の測定値を取得し、
前記複数のパラメータの前記複数の測定値から、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている抵抗を決定し、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の1パラメータの値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記値とから、前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記RF電力損失の量を決定し、
前記RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の設定点を調整し、
前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの1または複数のさらなる値を決定し、前記RF電力損失の1または複数のさらなる量を決定し、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整することを、前記設定点に適用される調整の量が前記RF電力損失を補償するまで繰り返すよう構成されている、プラズマシステム。
[適用例18]適用例17に記載のプラズマシステムであって、前記コンピュータは、複数のRF電力損失量がそれぞれ所定の範囲内に収まった時、前記設定点に適用されている前記調整の量が前記RF電力損失を補償していると判定する、プラズマシステム。
[適用例19]適用例17に記載のプラズマシステムであって、前記コンピュータは、第2設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記RF発生器の動作の前記設定点を調整し、
前記1または複数のさらなる値の取得と、前記RF電力損失の前記1または複数のさらなる量の決定と、前記RF発生器の動作の前記設定点の調整とを繰り返すために、前記コンピュータは、
前記プラズマシステムの前記構成要素に関連付けられている前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの第2値を取得し、
前記抵抗と、前記複数のパラメータの内の前記1パラメータの前記第2値とから、第2RF電力損失量を決定し、
前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されており、
前記コンピュータは、第3設定点で動作するように前記RF発生器を制御するために、前記第2RF電力損失量に基づいて前記RF発生器の動作の前記設定点を調整するよう構成されている、プラズマシステム。
[適用例20]適用例17に記載のプラズマシステムであって、前記コンピュータは、複数のRF電力損失量が互いから所定の範囲内に収まった時、前記設定点に適用されている前記調整の量が前記RF電力損失を補償していると判定する、プラズマシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7