(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】シャッター機構及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
G01N21/84 Z
(21)【出願番号】P 2022002953
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 世尚
(72)【発明者】
【氏名】高松 正樹
(72)【発明者】
【氏名】白石 潤平
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 恭平
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-026709(JP,U)
【文献】特開2012-163596(JP,A)
【文献】特開2005-161250(JP,A)
【文献】特開2017-142133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B、G01C、G01D、G01F、G01G、G01H、G01J、G01K、G01L、G01M、G01N、G01P、G01Q、G01R、G01S、G01T、G01V、G01W
G02B19/00-G02B21/00
G02B21/06-G02B21/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入射が制限された検査室を備える検査装置に設けられるシャッター機構であって、
前記検査室の内外に通じる開口部の内側に配置される第1シャッターと、
前記検査室の内部であって、かつ、前記第1シャッターの背後に配置される第2シャッターと、を備え、
前記第1シャッターは、
前記開口部を塞ぐ閉状態と、
前記開口部を通して前記検査室に差し入れられる検査対象物に押されて、前記検査室の内部に向かって回転する内開き状態と、
前記開口部を通して前記検査室から引き出される前記検査対象物に押されて、前記検査室の外部に向かって回転する外開き状態と、を有し、
前記第2シャッターは、
前記閉状態の前記第1シャッターに重なり、前記開口部と前記第1シャッターとの間の隙間を塞ぐ遮光状態と、
前記内開き状態の前記第1シャッターに押されて、前記第1シャッターと一緒に回転する従動状態と、
前記外開き状態の前記第1シャッターから離れ、前記遮光状態のときと同じ位置に止まる静止状態と、を有する、シャッター機構。
【請求項2】
前記内開き状態の前記第1シャッターを押している前記検査対象物が前記検査室内の所定位置まで差し入れられると、前記検査対象物と前記第1シャッターとの接触が解除され、
前記検査対象物と前記内開き状態の前記第1シャッターとの接触が解除されると、前記第1シャッターが自重によって前記内開き状態から前記閉状態に移行し、前記第2シャッターが自重によって前記従動状態から前記遮光状態に移行する、請求項1に記載のシャッター機構。
【請求項3】
前記遮光状態の前記第2シャッターは、互いに対向する前記開口部の内側面と前記第1シャッターの外側面との間の隙間を塞ぐ、請求項1又は2に記載のシャッター機構。
【請求項4】
前記第2シャッターは、前記検査装置に設けられた軸受によって回転可能に支持され、
前記第1シャッターは、前記第2シャッターに設けられた軸受によって回転可能に支持される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシャッター機構。
【請求項5】
光の入射が制限された検査室と、前記検査室の内外に通じる開口部と、前記開口部を開閉するシャッター機構と、を含む検査装置であって、
前記シャッター機構は、前記開口部の内側に配置される第1シャッターと、前記検査室の内部であって、かつ、前記第1シャッターの背後に配置される第2シャッターと、を備え、
前記第1シャッターは、
前記開口部を塞ぐ閉状態と、
前記開口部を通して前記検査室に差し入れられる検査対象物に押されて、前記検査室の内部に向かって回転する内開き状態と、
前記開口部を通して前記検査室から引き出される前記検査対象物に押されて、前記検査室の外部に向かって回転する外開き状態と、を有し、
前記第2シャッターは、
前記閉状態の前記第1シャッターに重なり、前記開口部と前記第1シャッターとの間の隙間を塞ぐ遮光状態と、
前記内開き状態の前記第1シャッターに押されて、前記第1シャッターと一緒に回転する従動状態と、
前記外開き状態の前記第1シャッターから離れ、前記遮光状態のときと同じ位置に止まる静止状態と、を有する、検査装置。
【請求項6】
前記検査室の内部に設けられ、前記検査対象物を照明する光源と、
前記検査室の内部に設けられ、前記検査対象物を撮影するカメラと、を有する、請求項5に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に設けられるシャッター機構に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、鉄鋼,自動車、医療,医薬,食品等のあらゆる産業分野において様々な検査装置や測定装置が使用されている。検査装置や測定装置の中には、光の入射が制限された検査室や測定室を備えているものがある。例えば、特許文献1に記載されている比抵抗測定器は、測定室と、測定室の出入口に設けられたシャッターと、シャッターを駆動するシャッター開閉機構と、を備えている。シャッター開閉機構は、シャッターを駆動して測定室の出入口を開閉する。シャッターによって出入口が閉じられると、測定室は暗室状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光の入射が制限された検査室を備える検査装置では、検査室の開閉の容易性を維持しつつ、検査室の遮光性を向上させることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態のシャッター機構は、光の入射が制限された検査室を備える検査装置に設けられる。このシャッター機構は、前記検査室の内外に通じる開口部の内側に配置される第1シャッターと、前記検査室の内部であって、かつ、前記第1シャッターの背後に配置される第2シャッターと、を備える。前記第1シャッターは、前記開口部を塞ぐ閉状態と、前記開口部を通して前記検査室に差し入れられる検査対象物に押されて、前記検査室の内部に向かって回転する内開き状態と、前記開口部を通して前記検査室から引き出される前記検査対象物に押されて、前記検査室の外部に向かって回転する外開き状態と、を有する。前記第2シャッターは、前記閉状態の前記第1シャッターに重なり、前記開口部と前記第1シャッターとの間の隙間を塞ぐ遮光状態と、前記内開き状態の前記第1シャッターに押されて、前記第1シャッターと一緒に回転する従動状態と、前記外開き状態の前記第1シャッターから離れ、前記遮光状態のときと同じ位置に止まる静止状態と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、開閉が容易で、かつ、遮光性の高い検査室を備えた検査装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】ワークが検査室に差し入れられる前の小シャッターおよび大シャッターの状態を示す側面図である。
【
図7A】ワークが検査室に差し入れられている最中の小シャッターおよび大シャッターの状態を示す側面図である。
【
図7B】ワークが検査室に差し入れられている最中の小シャッターおよび大シャッターの状態を示す他の側面図である。
【
図7C】ワークが検査室に差し入れられている最中の小シャッターおよび大シャッターの状態を示す他の側面図である。
【
図8】ワークが検査室内の所定位置まで差し入れられたときの小シャッターおよび大シャッターの状態を示す側面図である。
【
図9】ワークが検査室内の検査位置(撮影位置)にあるときの小シャッターおよび大シャッターの状態を示す側面図である。
【
図10A】ワークが検査室から引き出されている最中の小シャッターおよび大シャッターの状態を示す側面図である。
【
図10B】ワークが検査室から引き出されている最中の小シャッターおよび大シャッターの状態を示す他の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用い、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0009】
<検査装置>
図1は、検査装置1Aの外観を示す斜視図である。
図2は、検査装置1Aの構成を示す模式図である。
図1,
図2に示される検査装置1Aは、周囲から区画され、光の入射が制限された検査室10を備えている。検査室10の側壁11には、検査室10の内外に通じる開口部12が設けられており、開口部12を通して検査室10に検査対象物20を出し入れすることができる。より特定的には、開口部12を通して検査対象物20を検査室10の内部に差し入れることができる。また、開口部12を通して検査対象物20を検査室10の外部に引き出すことができる。以下の説明では、検査室10に出し入れされる検査対象物20を“ワーク20”と呼ぶ場合がある。
【0010】
本実施形態におけるワーク20は、検体が収容される検体収容部21と、試薬が収容される試薬収容部22と、検体と試薬との反応状況に応じて色が変化する試験紙(不図示)と、を含んでいる。検体収容部21は、平板状のベース23の内部に形成されている。試薬収容部22は、ベース23の上面に形成されており、ベース23の上面から突出している。別の見方をすると、試薬収容部22は、ワーク20に設けられた突起または凸部である。なお、検体収容部21には、例えば、人の唾液や血液が収容される。
【0011】
検査室10の内部には、検査室10に出し入れされるワーク20を案内するガイド2が設けられている。また、検査室10の内部には、光源(例えば、LED)3、カメラ4、アクチュエータ5等が設けられている。また、検査装置1Aの上面には、表示部(例えば、液晶モニタ)6や操作ボタン7等が設けられている。
【0012】
検査室10内に設けられているアクチュエータ5は、ワーク20が所定位置まで差し入れられると、試薬収容部22を押圧する。すると、試薬収容部22から試薬が押し出され、検体収容部21に収容されている検体と混ざる。光源3は、検査室10内のワーク20を照明する照明光を発する。カメラ4は、照明光によって照明されているワーク20を撮影する。そして、カメラ4が撮影したワーク20の画像(ワーク画像)に基づいて、試験紙の色の変化の有無や変化の程度などが判定される。
【0013】
<シャッター機構>
図3は、シャッター機構30を示す斜視図である。
図4は、シャッター機構30を示す分解図である。
図5は、シャッター機構30を示す正面図である。
【0014】
上記のように、検査装置1Aでは、検査室10内に設けられているカメラ4によって撮影されたワーク画像に基づいて、試験紙の色の変化などが判定される。ここで、ワーク画像の撮影中に検査室10内に光(外光)が入射すると、ワーク画像が外光の影響を受ける虞がある。このため、ワーク画像を撮影するときには、光源3から出射される光のみによってワーク20が照明されることが好ましい。
【0015】
上記のような事情に鑑み、検査装置1Aには、検査室10に対する光の入射を制限することが求められる。一方、検査装置1Aには、ワーク20を検査室10に容易に出し入れできることも求められる。つまり、検査室10の開閉の容易性および遮光性の両方が求められる。
【0016】
上記のような要求に応えるため、検査装置1Aには、第1シャッター40および第2シャッター50を備え、開口部12を開閉するシャッター機構30が設けられている。第1シャッター40は、開口部12よりも小さく、開口部12の内側に配置されている。一方、第2シャッター50は、第1シャッター40よりも大きく、検査室10の内部に配置されている。そこで、以下の説明では、第1シャッター40を“小シャッター40”と呼び、第2シャッター50を“大シャッター50”と呼ぶ場合がある。
【0017】
<第1シャッター(小シャッター)>
小シャッター40は、開口部12の幅(W)と略同一の幅(W1)を有する略長方形のシャッター板41を備えている。シャッター板41は、金属または合成樹脂の平板であって、開口部12の大部分を塞ぐことが可能な大きさ(面積)を有する。さらに、シャッター板41は、遮光性を備えている。
【0018】
加えて、小シャッター40は、一対の固定部42,43を備えている。より特定的には、シャッター板41の上部に、2つの固定部42,43が一体成形されている。一方の固定部42は、シャッター板41の幅方向一側に配置され、他方の固定部43は、シャッター板41の幅方向他側に配置されている。
【0019】
以下の説明では、シャッター板41の幅方向を“左右方向”とする。さらに、固定部42が配置されている側を“右側”とし、固定部43が配置されている側を“左側”とする。そこで、固定部42を“右側固定部42”と呼び、固定部43を“左側固定部43”と呼ぶ場合がある。
【0020】
小シャッター40は、幅(W1)よりも長い支持軸44を備えている。支持軸44は、シャッター板41に相対回転不能に固定されている。具体的には、支持軸44の一端側は右側固定部42に圧入され、支持軸44の他端側は左側固定部43に圧入されている。さらに、支持軸44の一端側は、右側固定部42を貫通してシャッター板41の右側に突出しており、支持軸44の他端側は、左側固定部43を貫通してシャッター板41の左側に突出している。
【0021】
シャッター板41の右側に突出している支持軸44の右側端部は、大シャッター50の一側に設けられている軸受58によって回転可能に支持されている。一方、シャッター板41の左側に突出している支持軸44の左側端部は、大シャッター50の他側に設けられている他の軸受58によって回転可能に支持されている。つまり、小シャッター40は、大シャッター50に回転可能に取り付けられており、支持軸44は、小シャッター40の回転軸である。
【0022】
ここで、シャッター板41の幅(W1)は、開口部12の幅(W)と略同一であるが、開口部12の幅(W)よりも僅かに小さい(狭い)。よって、開口部12の内側面13と小シャッター40(シャッター板41)の外側面45とは、互いに対向し得るが、両者が接触することはない。
【0023】
また、シャッター板41の高さは、開口部12の高さよりも低い。よって、開口部12の底面14と小シャッター40(シャッター板41)の下端面46とは、互いに対向し得るが、両者が接触することはない。
【0024】
つまり、開口部12の内側における小シャッター40の動き(回転)が阻害されることはない一方、開口部12が小シャッター40によって完全に塞がれることもない。具体的には、開口部12が小シャッター40によって塞がれたとき、開口部12の内側面13と小シャッター40の外側面45との間には、隙間60が生じる。また、開口部12の底面14と小シャッター40の下端面46との間には、隙間61が生じる。
【0025】
より特定的には、開口部12の右内側面13aと小シャッター40の右外側面45aとの間に隙間60aが生じる。また、開口部12の左内側面13bと小シャッター40の左外側面45bとの間に隙間60bが生じる。
【0026】
ここで、開口部12の底面14と小シャッター40の下端面46との間に生じる隙間61の高さ(H)は、
図3に示されているワーク20のベース23の厚み(t1)と略同一である。一方、隙間61の高さ(H)は、試薬収容部22を含むワーク20の厚み(t2)よりも低い。言い換えれば、隙間61の高さ(H)は、ベース23の高さよりは高く、ワーク20の全高よりは低い。別の見方をすると、上記のような高さの隙間61が形成されるように、開口部12およびシャッター板41の高さが設定されている。
【0027】
<第2シャッター(大シャッター)>
大シャッター50は、検査室10の内部であって、小シャッター40の背後に配置されている。大シャッター50は、幅(W2)が開口部12の幅(W)よりも大きなシャッター板51を備えている。シャッター板51は、金属または合成樹脂の平板であって、遮光性を備えている。
【0028】
より特定的には、シャッター板51は、右側遮光部52,左側遮光部53および中央部54を有する。中央部54は、右側遮光部52の上部と左側遮光部53の上部とを繋いでいる。この結果、シャッター板41が全体として略長方形であるのに対し、シャッター板51は、全体として略コ字形である。別の見方をすると、シャッター板51は門型である。
【0029】
開口部12よりも幅広のシャッター板51は、シャッター板41よりも幅広である(W1<W<W2)。したがって、シャッター板41とシャッター板51とが重なり合うと、シャッター板51の左右両側がシャッター板41の左右両側からはみ出る。この結果、開口部12を塞いでいる小シャッター40の背面に大シャッター50が重なると、大シャッター50によって隙間60が塞がれる。
【0030】
より特定的には、右側遮光部52は、シャッター板41の右側に突出して、開口部12の右内側面13aと小シャッター40の右外側面45aとの間の隙間60aを塞ぐ。同時に、左側遮光部53は、シャッター板41の左側に突出して、開口部12の左内側面13bと小シャッター40の左外側面45bとの間の隙間60bを塞ぐ。
【0031】
また、開口部12を塞いでいる小シャッター40の背面に大シャッター50が重なると、大シャッター50によって隙間61の一部が塞がれる。より特定的には、右側遮光部52の下部によって、隙間61の右側が部分的に塞がれる。また、左側遮光部53の下部によって、隙間61の左側が部分的に塞がれる。
【0032】
この結果、小シャッター40の下に、シャッター板41およびシャッター板51によって区画された空間が生じる。これまでの説明から、この空間が開口部12の一部であると同時に、隙間61の一部であることが分かる。また、この空間の高さが隙間61の高さ(H)と同一であることが分かる。さらに、この空間の幅が右側遮光部52の内側面と左側遮光部53の内側面との対向間隔(D)と同一であることも分かる。なお、本実施形態における右側遮光部52の内側面と左側遮光部53の内側面との対向間隔(D)は、
図3に示されているワーク20のベース23の幅(w)よりも僅かに大きい(広い)。
【0033】
つまり、開口部12を塞いでいる小シャッター40の背面に大シャッター50が重なると、小シャッター40の下に、ワーク20のベース23が通過可能な高さ及び幅を有する空間が形成される。以下の説明では、この空間を“挿入口62”と呼ぶ場合がある。
【0034】
大シャッター50は、一対の固定部55,56を備えている。より特定的には、シャッター板51の上部に、2つの固定部55,56が一体成形されている。一方の固定部55は、シャッター板51の幅方向一側に配置され、他方の固定部56は、シャッター板51の幅方向他側に配置されている。以下の説明では、固定部55を“右側固定部55”と呼び、固定部56を“左側固定部56”と呼ぶ場合がある。
【0035】
加えて、大シャッター50は、幅(W2)よりも長い支持軸57を備えている。支持軸57は、シャッター板51に相対回転不能に固定されている。具体的には、支持軸57の一端側は右側固定部55に圧入され、支持軸57の他端側は左側固定部56に圧入されている。さらに、支持軸57の一端側は、右側固定部55を貫通してシャッター板51の右側に突出しており、支持軸57の他端側は、左側固定部56を貫通してシャッター板51の左側に突出している。
【0036】
シャッター板51の右側に突出している支持軸57の右側端部は、検査室10の側壁11に設けられている軸受15によって回転可能に支持されている。一方、シャッター板51の左側に突出している支持軸57の左側端部は、検査室10の側壁11に設けられている他の軸受15によって回転可能に支持されている。つまり、大シャッター50は、検査室10の側壁11に回転可能に取り付けられており、支持軸57は、大シャッター50の回転軸である。
【0037】
<シャッターの動作(ワーク差し入れ時)>
図6は、ワーク20が検査室10に差し入れられる前の小シャッター40および大シャッター50の状態を示す側面図である。
図7A,
図7B,
図7Cは、ワーク20が検査室10に差し入れられている最中の小シャッター40および大シャッター50の状態を示す側面図である。
図8は、ワーク20が検査室10内の所定位置まで差し入れられたときの小シャッター40および大シャッター50の状態を示す側面図である。
【0038】
図6に示されるように、ワーク20が検査室10に差し入れられる前、小シャッター40は開口部12を塞いでいる(閉状態)。このとき、大シャッター50は、閉状態の小シャッター40の背面に重なり、開口部12と小シャッター40との間の隙間60(
図5)を塞いでいる(遮光状態)。
【0039】
より特定的には、シャッター板51の右側遮光部52は隙間60aを塞ぎ、シャッター板51の左側遮光部53は隙間60bを塞いでいる。このとき、小シャッター40の下には、挿入口62が形成される。
【0040】
図7Aに示されるように、開口部12(挿入口62)を通して検査室10の内部にワーク20(ベース23)が差し入れられると、ワーク20(試薬収容部22)が小シャッター40(シャッター板41)の前面下部に接触する。
【0041】
ワーク20がさらに検査室10の内部に差し入れられると、
図7B,
図7Cに示されるように、小シャッター40がワーク20(試薬収容部22)に押されて検査室10の内部に向かって回転する(内開き状態)。同時に、大シャッター50が小シャッター40に押されて小シャッター40と一緒に回転する(従動状態)。
【0042】
別の見方をすると、ワーク20は、小シャッター40および大シャッター50を回転させて開口部12を開く。また、ワーク20は、小シャッター40に接触し、小シャッター40および大シャッター50を支持しながら検査室10の内部に向かって移動する。
【0043】
図8を参照する。ワーク20が検査室10内の所定位置まで差し入れられると、ワーク20(試薬収容部22)と内開き状態の小シャッター40との接触が解除される。すると、小シャッター40が自重によって内開き状態から閉状態に移行する。同時に、大シャッター50が自重によって従動状態から遮光状態に移行する。
【0044】
この結果、開口部12の大部分が小シャッター40によって塞がれる。また、開口部12と小シャッター40との間の隙間60(
図5)が大シャッター50によって塞がれる。
【0045】
なお、ワーク20が上記所定位置まで差し入れられたとき、ベース23の一部(前方)は検査室10内に位置するが、ベース23の他の一部(後方)は検査室10の外部に位置する。言い換えれば、ベース23の後方は検査室10の外に露出している。別の見方をすると、ベース23は、挿入口62を貫通して検査室10の内外に延びる。この結果、挿入口62がワーク20(ベース23)によって塞がれる。
【0046】
つまり、小シャッター40が内開き状態から閉状態に移行し、大シャッター50が従動状態から遮光状態に移行すると、開口部12の大部分が小シャッター40によって塞がれる。また、開口部12の内側面13と小シャッター40の外側面45との間の隙間60が大シャッター50によって塞がれる。さらに、小シャッター40および大シャッター50によっては塞がれない開口部12の残部(挿入口62)がワーク20によって塞がれる。この結果、検査室10がほぼ完全に遮光される。つまり、検査室10への光の入射および検査室10からの光の出射が防止される。
【0047】
その後、検査室10のさらに奥に差し入れられたワーク20は、所定の検査が行われる検査位置(ワーク画像が撮影される撮影位置)に到達する。ワーク20が検査位置(撮影位置)に到達した後も、小シャッター40は閉状態に維持され、大シャッター50は遮光状態に維持される。また、挿入口62はワーク20のベース23によって塞がれる。つまり、検査室10の遮光状態が維持される。
【0048】
<シャッターの動作(ワーク引き出し時)>
図9は、ワーク20が検査室10内の検査位置(撮影位置)にあるときの小シャッター40および大シャッター50の状態を示す側面図である。
図10A,
図10Bは、ワーク20が検査室10から引き出されている最中の小シャッター40および大シャッター50の状態を示す側面図である。
【0049】
図9に示されているワーク20が開口部12(挿入口62)を通して検査室10の外部に引き出されると、
図10Aに示されるように、ワーク20(試薬収容部22)が小シャッター40(シャッター板41)の背面下部に接触する。
【0050】
ワーク20がさらに検査室10の外部に引き出されると、
図10Bに示されるように、小シャッター40がワーク20(試薬収容部22)に押されて検査室10の外部に向かって回転する(外開き状態)。一方、大シャッター50は、小シャッター40から離れ、遮光状態のときと同じ位置に止まる(静止状態)。言い換えれば、小シャッター40は、大シャッター50を置き去りにして検査室10の外部に向かって回転する。
【0051】
別の見方をすると、ワーク20は、小シャッター40を回転させて開口部12を開く。また、ワーク20は、小シャッター40に接触し、小シャッター40を支持しながら検査室10の外部に向かって移動する。
【0052】
その後、ワーク20が検査室10の外部の所定位置まで引き出されると、ワーク20(試薬収容部22)と小シャッター40との接触が解除される。すると、小シャッター40が自重によって外開き状態から閉状態に移行する。この結果、大シャッター50は、静止状態から遮光状態に移行する。つまり、小シャッター40および大シャッター50が
図6に示されている状態に戻る。
【0053】
上記のように、小シャッター40および大シャッター50は、開口部12を通して検査室10に差し入れられるワーク20によって連動して内向きに開かれる。また、小シャッター40および大シャッター50は、ワーク20が検査位置よりも手前の所定位置まで差し入れられると、自重によって自動的に閉じる。すると、小シャッター40,大シャッター50およびワーク20によって開口部12がほぼ完全に塞がれる。言い換えれば、検査室10がほぼ完全に遮光される。一方、小シャッター40は、開口部12を通して検査室10から引き出されるワーク20によって外向きに開かれる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る検査装置1Aの検査室10は、開閉の容易性と高い遮光性とを兼ね備えている。
【0055】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、
図1,
図2に示した検査装置1Aの外観や構成は一例であって、適宜変更することができる。また、
図3等に示したシャッター機構30は、唾液検査や血液検査に用いられる検査装置以外の検査装置や測定装置に設けることができる。さらに、第1シャッター40や第2シャッター50に、検査装置に応じた様々な特性を与えることができる。例えば、第1シャッターや第2シャッターには、遮光性に加えて、放射線遮蔽性や遮音性などを与えることができる。
【符号の説明】
【0056】
1A…検査装置、2…ガイド、3…光源、4…カメラ、5…アクチュエータ、6…表示部、7…操作ボタン、10…検査室、11…側壁、12…開口部、13…内側面、13a…右内側面、13b…左内側面、14…底面、15…軸受、20…検査対象物(ワーク)、21…検体収容部、22…試薬収容部、23…ベース、30…シャッター機構、40…第1シャッター(小シャッター)、41…シャッター板、42…固定部(右側固定部)、43…固定部(左側固定部)、44…支持軸、45…外側面、45a…右外側面、45b…左外側面、46…下端面、50…第2シャッター(大シャッター)、51…シャッター板、52…右側遮光部、53…左側遮光部、54…中央部、55…固定部(右側固定部)、56…固定部(左側固定部)、57…支持軸、58…軸受、60,60a,60b,61…隙間、62…挿入口