(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】補修図生成装置、補修図生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241129BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20241129BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20241129BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/20
G01N21/88 J
E04G23/02 B ESW
(21)【出願番号】P 2023184779
(22)【出願日】2023-10-27
(62)【分割の表示】P 2021534578の分割
【原出願日】2020-06-03
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2019136758
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【氏名又は名称】増田 重之
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】堀田 修平
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-57192(JP,A)
【文献】特開2014-95565(JP,A)
【文献】特開2017-167969(JP,A)
【文献】特開2004-340590(JP,A)
【文献】特開2019-49951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G01N 21/88
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の撮影画像を取得する画像取得部と、
前記撮影画像から画像処理により損傷を検出し、前記損傷の程度を特定する損傷検出部と、
前記損傷及び前記損傷の程度に基づいて、前記損傷の補修工法を特定する工法特定部と、
前記損傷及び前記補修工法に基づいて、前記損傷を補修するための補修領域及び前記補修工法を示す補修図を生成する補修図生成部と、
前記補修図に基づいて、前記補修領域のサイズを算出する補修算出部と、
前記補修領域の前記サイズを含む補修数量表を生成する補修数量表生成部と、
を備える補修図生成装置。
【請求項2】
前記補修図生成部は、前記損傷の形状よりも大きな領域を前記補修領域として、前記補修図を生成する請求項1に記載の補修図生成装置。
【請求項3】
前記補修領域の前記サイズ及び前記補修工法に基づいて、前記損傷の補修費を算出する補修費算出部を備える請求項1に記載の補修図生成装置。
【請求項4】
前記補修図、前記補修数量表及び前記補修費のうち少なくとも一つを第1の検出結果として表示部に表示する第1の表示制御部を備える請求項3に記載の補修図生成装置。
【請求項5】
前記損傷に基づいて、前記損傷を表す損傷図を生成する損傷図生成部を備える請求項4に記載の補修図生成装置。
【請求項6】
前記損傷の前記程度を含む損傷数量表を生成する損傷数量表生成部と、
を備える請求項5に記載の補修図生成装置。
【請求項7】
前記損傷図及び前記損傷数量表のうち少なくとも一つを第2の検出結果として前記表示部に表示する第2の表示制御部を備える請求項6に記載の補修図生成装置。
【請求項8】
前記第1の表示制御部と前記第2の表示制御部とは、前記第1の検出結果と、前記第2の検出結果とを切り換えて表示する請求項7に記載の補修図生成装置。
【請求項9】
前記第1の表示制御部と前記第2の表示制御部とは、前記第1の検出結果と前記第2の検出結果とを並べて同時に表示させる請求項7に記載の補修図生成装置。
【請求項10】
前記第1の検出結果に対して、編集の指示を受け付ける第1の編集受付部を備える請求項4から9のいずれか1項に記載の補修図生成装置。
【請求項11】
前記第2の検出結果に対して、編集の指示を受け付ける第2の編集受付部を備える請求項7から9のいずれか1項に記載の補修図生成装置。
【請求項12】
前記画像取得部で取得された複数の前記撮影画像をパノラマ合成するパノラマ合成部を備える請求項1から11のいずれか1項に記載の補修図生成装置。
【請求項13】
コンピュータにより行われる、構造物の撮影画像を取得する画像取得ステップと、
コンピュータにより行われる、前記撮影画像から画像処理により損傷を検出し、前記損傷の程度を特定する損傷検出ステップと、
コンピュータにより行われる、前記損傷及び前記損傷の程度に基づいて、前記損傷の補修工法を特定する工法特定ステップと、
コンピュータにより行われる、前記損傷及び前記補修工法に基づいて、前記損傷を補修するための補修領域及び前記補修工法を示す補修図を生成する補修図生成ステップと、
コンピュータにより行われる、前記補修図に基づいて、前記補修領域のサイズを算出する補修算出ステップと、
コンピュータにより行われる、前記補修領域の前記サイズを含む補修数量表を生成する補修数量表生成ステップと、
を含む補修図生成方法。
【請求項14】
構造物の撮影画像を取得する画像取得ステップと、
前記撮影画像から画像処理により損傷を検出し、前記損傷の程度を特定する損傷検出ステップと、
前記損傷及び前記損傷の程度に基づいて、前記損傷の補修工法を特定する工法特定ステップと、
前記損傷及び前記補修工法に基づいて、前記損傷を補修するための補修領域及び前記補修工法を示す補修図を生成する補修図生成ステップと、
前記補修図に基づいて、前記補修領域のサイズを算出する補修算出ステップと、
前記補修領域の前記サイズを含む補修数量表を生成する補修数量表生成ステップと、
を含む補修図生成工程をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補修図生成装置、補修図生成方法及びプログラムに関し、特に、構造物を撮影した撮影画像から補修図を生成する補修図生成装置、補修図生成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検査対象である構造物の撮影画像を取得し、その撮影画像に基づいてひびわれ等の損傷を検出する技術が用いられてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、構造物を撮影し、その撮影画像から欠陥を検出し、欠陥を補修するためのコストの計算を簡便かつ正確に行うことを目的とした技術が記載されている。特許文献1に記載された技術では、評価対象物の撮影画像が取得され、パターン抽出等の手法により、撮影画像内に存在する損傷の個数、種類及び大きさが検出される。そして、検出された損傷の個数、種類及び大きさに基づいて補修コストが算出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、検出された損傷の大きさに基づいて、補修コストが算出されているが、実際に補修を行う大きさと検出された損傷の大きさとは異なる場合がある。例えば、コンクリート壁の剥離箇所を補修する場合には、剥離箇所の周辺部分も含めて補修が行われる場合がある。
【0006】
また、実際に補修領域及び補修工法を示す補修図を利用して、補修工事の計画書や、補修前調査の報告書が作成される場合があり、その場合には補修図を生成する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、補修領域及び補修工法を示す補修図は生成されていなく、例えばユーザが手作業で補修図を生成する必要がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされ、その目的は、構造物の撮影画像から補修を行う補修領域及び補修工法を示す補修図を正確に且つ効率的に生成する補修図生成装置、補修図生成方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一の態様である補修図生成装置は、構造物の撮影画像を取得する画像取得部と、撮影画像から画像処理により損傷を検出し、損傷の程度を特定する損傷検出部と、損傷及び損傷の程度に基づいて、損傷の補修工法を特定する工法特定部と、損傷及び補修工法に基づいて、損傷を補修するための補修領域及び補修工法を示す補修図を生成する補修図生成部と、を備える。
【0009】
本態様によれば、損傷検出部により、損傷が検出され、その損傷の程度が特定される。そして、本態様は、損傷及び損傷の程度に基づいて損傷の補修工法を特定し、損傷及び補修工法に基づいて損傷を補修するための補修領域及び補修工法を示す補修図を正確に且つ効率的に生成する。
【0010】
好ましくは、補修図生成部は、損傷が撮影画像において複数のひび割れであり、複数のひびわれ同士が閾値以下に近接している場合には、接近しているひび割れ同士を接続して補修図を生成する。
【0011】
好ましくは、補修図生成部は、損傷の形状よりも大きな領域を補修領域として、補修図を生成する。
【0012】
好ましくは、補修図生成装置は、補修図に基づいて、補修領域のサイズを算出する補修算出部と、補修領域のサイズを含む補修数量表を生成する補修数量表生成部と、を備える。
【0013】
好ましくは、補修図生成装置は、補修領域のサイズ及び補修工法に基づいて、損傷の補修費を算出する補修費算出部を備える。
【0014】
好ましくは、補修図生成装置は、補修図、補修数量表及び補修費のうち少なくとも一つを第1の検出結果として表示部に表示する第1の表示制御部を備える。
【0015】
好ましくは、補修図生成装置は、損傷に基づいて、損傷を表す損傷図を生成する損傷図生成部を備える。
【0016】
好ましくは、補修図生成装置は、損傷の程度を含む損傷数量表を生成する損傷数量表生成部と、を備える。
【0017】
好ましくは、補修図生成装置は、損傷図及び損傷数量表のうち少なくとも一つを第2の検出結果として表示部に表示する第2の表示制御部を備える。
【0018】
好ましくは、第1の表示制御部と第2の表示制御部とは、第1の検出結果と、第2の検出結果とを切り換えて表示する。
【0019】
好ましくは、第1の表示制御部と第2の表示制御部とは、第1の検出結果と第2の検出結果とを並べて同時に表示させる。
【0020】
好ましくは、補修図生成装置は、第1の検出結果に対して、編集の指示を受け付ける第1の編集受付部を備える。
【0021】
好ましくは、補修図生成装置は、第2の検出結果に対して、編集の指示を受け付ける第2の編集受付部を備える。
【0022】
好ましくは、補修図生成装置は、画像取得部で取得された複数の撮影画像をパノラマ合成するパノラマ合成部を備える。
【0023】
本発明の他の態様である補修図生成方法は、構造物の撮影画像を取得する画像取得ステップと、撮影画像から画像処理により損傷を検出し、損傷の程度を特定する損傷検出ステップと、損傷及び損傷の程度に基づいて、損傷の補修工法を特定する工法特定ステップと、損傷及び補修工法に基づいて、損傷を補修するための補修領域及び補修工法を示す補修図を生成する補修図生成ステップと、を含む。
【0024】
本発明の他の態様であるプログラムは、構造物の撮影画像を取得する画像取得ステップと、撮影画像から画像処理により損傷を検出し、損傷の程度を特定する損傷検出ステップと、損傷及び損傷の程度に基づいて、損傷の補修工法を特定する工法特定ステップと、損傷及び補修工法に基づいて、損傷を補修するための補修領域及び補修工法を示す補修図を生成する補修図生成ステップと、を含む補修図生成工程をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、損傷検出部により、損傷が検出されその損傷の程度を特定し、損傷及び損傷の程度に基づいて損傷の補修工法を特定し、損傷及び補修工法に基づいて損傷を補修するための補修領域及び補修工法を示す補修図を正確に且つ効率的に生成する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、補修図生成装置が搭載されるコンピュータを示す概念図である。
【
図2】
図2は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、補修図生成装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、補修工法選定工程の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ひびわれの補修図を作成する場合の例について説明する図である。
【
図7】
図7は、剥離の補修図を作成する場合の例について説明する図である。
【
図9】
図9は、補修図生成方法を説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、補修図生成装置の主な構成例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、補修費データベースの記憶構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、補修図生成装置の主な機能構成例を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、撮影画像に重畳させて補修図を表示させた表示例を示す。
【
図18】
図18は、撮影画像に重畳させて損傷図を表示させた表示例を示す。
【
図19】
図19は、第1の検出結果と第2の検出結果との交互表示を概念的に示し図である。
【
図20】
図20は、第1の検出結果と第2の検出結果とを並べて同時に表示する場合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態にかかる補修図生成装置、補修図生成方法及びプログラムの好ましい実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態にかかる補修図生成装置10(
図4参照)が搭載されるコンピュータ1を示す概念図である。コンピュータ1は、コンピュータ本体1a、表示部3、及び操作部5を含む。
【0029】
表示部3は、コンピュータ1に接続可能な液晶モニタ等の各種のモニタで構成される。表示部3は、構造物を撮影した撮影画像を表示する。また、表示部3は、第1の検出結果である補修図、補修数量表及び補修費のうち少なくとも一つを表示する。また、表示部3は、第2の検出結果である損傷図及び損傷数量表のうち少なくとも一つを表示する。
【0030】
操作部5は、コンピュータ1に有線接続又は無線接続されるキーボード及びマウス等で構成される。ユーザは、表示部3に表示された第1及び第2の検出結果を確認し、操作部(第1の編集受付部、第2の編集受付部)5を介して修正等の入力を行い、第1及び第2の検出結果を修正又は変更を行うことができる。
【0031】
図2は、コンピュータ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
コンピュータ1のハードウェア構成は、主として画像取得部12と、記憶部16と、操作部5と、CPU(Central Processing Unit)20と、RAM(Random Access Memory)22と、ROM(Read Only Memory)24と、表示部3とから構成されている。
【0033】
画像取得部12は、入出力インターフェースに相当し、本例ではカメラ(不図示)で撮影された撮影画像を無線又は有線で取得する。カメラは、点検対象である構造物の撮影画像を取得する。画像取得部12は、点検対象である構造物を分割して撮影することにより得られた分割画像である撮影画像を取得してもよいし、構造物が1枚の画像で収まっている撮影画像を取得してもよい。点検対象の構造物は、例えば、ビル、橋梁、トンネルである。
【0034】
図3は、画像取得部12で取得された点検対象の構造物である橋梁の一部を撮影した撮影画像を模式的に示す図である。撮影画像Pには、ひびわれJ1~J5及び剥離K1が写っている。
【0035】
記憶部16は、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等から構成される記憶部16であり、オペレーティングシステム、損傷の検出プログラム、補修図生成プログラム、補修工法選定プログラム、補修数量表の生成プログラム、補修費の算出のためのデータベース、損傷図生成プログラム、損傷数量表の生成プログラム等、補修図生成装置10を機能させるプログラムを記憶する。なお、各種プログラムは、図示しない外部記録媒体に記録されて配布され、その記録媒体からCPU20によりインストールされてもよい。又は、各種プログラムは、ネットワークに接続されたサーバ等に、外部からアクセス可能な状態で記憶され、要求に応じてCPU20により記憶部16にダウンロードされ、インストール及び実行されてもよい。
【0036】
CPU20は、記憶部16又はROM24等に記憶された各種のプログラムを読み出し、各部を統括制御する。また、CPU20は、後で説明する第1の検出結果(補修図、補修数量表又は補修費)を生成する各種処理、及び第2の検出結果(損傷図又は損傷数量表)を実行する。
【0037】
RAM22は、CPU20の作業領域として使用され、読み出されたプログラムや各種のデータを一時的に記憶する記憶部として用いられる。
【0038】
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態の補修図生成装置10に関して説明する。
【0039】
図4は、本実施形態の補修図生成装置10の主な構成例を示すブロック図である。
【0040】
補修図生成装置10は、主に画像取得部12、及びCPU20を備える。本実施形態のCPU20は、記憶部16又はROM24等に記憶された各種のプログラムを実行することにより、当該CPU20が損傷検出部20A、工法特定部20B、補修図生成部20C、及び第1の表示制御部20Dとして機能する。
【0041】
損傷検出部20Aは、撮影画像から画像処理により損傷を検出し、検出した損傷の程度を特定する。損傷検出部20Aは、検出する損傷の種類に応じて構築される。例えば、損傷検出部20Aは、各種の損傷を検出するように機械学習を施されたAI(artificial intelligence)検出器により構築される。検出器の具体例としては、剥離検出器、鉄筋露出検出器、漏水検出器、遊離石灰検出器等であり、損傷検出部20Aは、単数又は複数の検出器により構築される。
【0042】
損傷検出部20Aは、損傷を検出して、そして検出した損傷の程度を特定する。ここで、損傷の程度とは、例えば損傷の実際の長さ、幅、面積、深さ、鉄筋腐食の有無、錆汁の有無などの情報を含み、後で説明する補修工法の選定に使用される項目を含む。
【0043】
損傷検出部20Aは、ひびわれ検出器及び剥離検出器で構築され、撮影画像PからひびわれJ1~J5及び剥離K1を検出する。例えば損傷検出部20Aは、ひびわれ検出器によりひびわれJ1~J5を検出し、剥離検出器により剥離K1を検出する。そして、損傷検出部20Aは、ひびわれ検出器によりひびわれJ1~J5の程度、及び剥離検出器により剥離K1の程度を特定する。
【0044】
損傷検出部20Aは、損傷の種類及び損傷の程度を工法特定部20Bに出力する。
【0045】
工法特定部20Bは、検出された損傷に基づいて損傷の補修工法を特定する。具体的には、工法特定部20Bは、記憶部16に記憶されている補修工法選定プログラムを用いて、損傷及び損傷の程度により、損傷の補修工法を選定する。
【0046】
図5は、補修工法選定工程の一例を示すフローチャートである。なお、
図5は、橋梁補修補強マニュアル(長崎県土木部)から引用したフローチャートである。
【0047】
先ず、工法特定部20Bは、損傷検出部20Aで検出された損傷が「ひびわれ」「床板ひびわれ」「漏水・遊離石灰」である場合には、損傷検出部20Aで鉄筋腐食及び錆汁の有無が検出されたかを判定する(ステップS10)。そして、工法特定部20Bは、鉄筋腐食及び錆汁が無い場合には、ひびわれ補修工により補修が行われることを選定する(ステップS11)。次に、工法特定部20Bは、ひびわれ幅の判定を行う(ステップS12)。工法特定部20Bは、損傷検出部20Aが検出したひびわれの幅tがt≦0.2mmの場合には基本的に補修を行わないことを選定する(ステップS13)。また、工法特定部20Bは、ひびわれ幅tが0.2mm<t<0.5mmの場合にはひびわれ注入工を選定する(ステップS14)。また、工法特定部20Bは、ひびわれ幅tが0.5mm≦tである場合にはひびわれ充填工を選定する(ステップS15)。
【0048】
ここで、ひびわれ注入工は、ひびわれに沿ってコンクリートをカットし、補修材を専用の治具を用いて所定の注入圧力で注入する工法である。また、ひびわれ充填工は、ひびわれに沿ってコンクリートをカットし、その部分に補修材を充填する工法である。
【0049】
一方、工法特定部20Bは、損傷検出部20Aで検出された損傷の種類が「剥離・鉄筋露出」「うき」である場合、また損傷の種類が「ひびわれ」「床板ひびわれ」「漏水・遊離石灰」であり、鉄筋腐食及び錆汁がある場合には、断面修復工を選定する(ステップS16)。次に、工法特定部20Bは、損傷検出部20Aで検出した欠損部の深さと面積の判定を行う(ステップS17)。工法特定部20Bは、欠損部面積が0.5m 2以下である場合には左官工法を選定する(ステップS18)。また、工法特定部20Bは、欠損部の深さが3~5cmであり欠損部の面積が0.5m 2以上である場合には型枠注入工法を選定する(ステップS19)。また、工法特定部20Bは、欠損部の深さが5cm以上であり、欠損部の面積が0.5m 2以上である場合にはプレパックドコンクリート工法を選定する(ステップS20)。
【0050】
ここで、左官工法は断面修復材を塗りつける工法であり、型枠注入工法は型枠を設置して注入材を注入する工法であり、プレパックドコンクリート工法は、先に型枠内に粗骨材を投入し、次いでモルタルを注入填充して造るコンクリートを使用して補修する工法である。
【0051】
なお、
図5で説明した補修工法の選定工程は、具体例の一つであり補修工法の選定はこれに限定されず、様々な補修工法の選定を使用することができる。また、補修工法の選定で必要な情報は、損傷検出部20A又はユーザの操作部5を介しての入力から取得される。
【0052】
図4に戻って、補修図生成部20Cは、検出された損傷及び補修工法に基づいて、損傷を補修するための補修領域及び補修工法を示す補修図を生成する。補修図生成部20Cは、様々な手法により補修図を生成する。例えば、補修図生成部20Cは、機械学習が施された補修図生成器により撮影画像Pから各損傷の補修図を生成する。すなわち、この場合補修図生成部20Cは、撮影画像Pから直接的に補修図を生成する。また、補修図生成部20Cは、撮影画像Pから検出された損傷に対して予め決められた処理を施すことにより、検出された損傷の補修図を生成する。以下に補修図生成の具体例を説明する。なお、補修図生成部20Cは、例えば
図5で説明したステップS13のように、工法特定部20Bにより補修しないと選定された損傷に関しては補修図を生成しない。
【0053】
図6は、ひびわれの補修図を作成する場合の例について説明する図である。
図6(A)では、ひびわれJ3及びひびわれJ4が示されており、
図6(B)では補修
図A2が示されている。補修
図A2は、ひびわれJ3及びひびわれJ4に基づいて補修図生成部20Cに生成される。
【0054】
図6に示されているように、ひびわれJ3の端部31とひびわれJ4の端部33とは近接しているので、ひびわれJ3とひびわれJ4とは結合した補修
図A2が生成される。このように、ひびわれが近接している場合には、表面上(撮影画像上)ではつながっていない場合であっても、内部では、ひびわれがつながっており、この場合には充填剤などが余分に必要になる。従って、補修図生成部20Cは、損傷検出部20Aで検出された損傷が撮影画像において複数のひびわれであり、複数のひびわれ同士が閾値以下に接近している場合には、その接近しているひびわれ同士を接続して補修図を生成する。これにより、ユーザは正確な補修領域を得ることができ、充填剤等の準備を適切に行うことができる。なお、この閾値は、点検対象である構造物や構造物の材質等に基づいて、ユーザによって決定される。なお、ひびわれ同士を結合させる場合には、ひびわれ端付近の方向性も考慮してもよい。具体的には、補修図生成部20Cは、ひびわれ端部付近の方向ベクトルの角度差が閾値以下である場合に、ひびわれ同士を結合して、補修図を生成する。
【0055】
補修
図A2は、ひびわれJ3及びひびわれJ4がひびわれ補修工により補修されることを表す。例えば、補修
図A2は赤線により表されており、これによりひびわれ補修工により補修
図A2の領域が補修されることを示す。
【0056】
図7は、剥離K1の補修図を作成する場合の例について説明する図である。なお、
図7では、剥離K1の領域のみを示す。
【0057】
図7には、剥離K1の損傷領域が示されており、示された損傷領域の外接長方形領域35を点線で示す。剥離K1を補修する場合には、断面修復工のいずれかの工法に補修されるが、補修する(コンクリートをはつる)領域は、実際の剥離K1の領域よりも大きくなる。従って、補修図生成部20Cは、外接長方形領域35から+αmm外側に上下左右と拡張した領域を補修
図D1として生成する。なお、外接長方形領域35を拡張するためのαは予め決められた数値であり、ユーザによって調整が可能である。また、外接長方形領域35を拡張するためのαは、損傷領域の面積等に応じて自動で決定されてもよい。この場合には例えば、損傷領域の面積が大きい程αの数値は大きく設定される。なお、補修
図D1は、例えば青線により表されており、これにより断面修復工により補修
図D1の領域が補修されることを示す。
【0058】
図4に戻って、第1の表示制御部20Dは、第1の検出結果(補修図、補修数量表及び補修費のうち少なくとも一つ)を表示部3に表示する。例えば第1の表示制御部20Dは、補修図を表示部3に表示する。なお、補修数量表及び補修費に関しては後で説明する。
【0059】
【0060】
補修図生成部20Cは、ひびわれJ1及びひびわれJ2に基づいて補修
図A1を生成している。ひびわれJ1とひびわれJ2は閾値以下の距離で近接しているので、一本の補修
図A1が生成される。また、補修図生成部20Cは、ひびわれJ3及びひびわれJ4に基づいて補修
図A2を生成している。ひびわれJ3とひびわれJ4は閾値以下の距離で近接しているので、一本の補修
図A2が生成される。なお、補修
図A1及び補修
図A2は、例えば赤線で表されており、ひびわれ補修工で補修されることが示されている。
【0061】
また、補修図生成部20Cは、ひびわれJ5に対応する補修図を生成しない。これは、ひびわれJ5の幅は閾値以下であり、補修が行われないので(例えば
図5のステップS13)補修図は作成されていない。
【0062】
補修図生成部20Cは、剥離K1に基づいて補修
図D1を生成している。補修
図D1が示す領域は、剥離K1の外接長方形の領域から上下左右にαmm外側に拡張した領域である。なお、補修
図D1は、例えば青線で表されており、断面修復工で補修されることが示されている。
【0063】
図9は、補修図生成装置10を使用した補修図生成方法(補修図生成工程)を説明するフローチャートである。
【0064】
先ず、画像取得部12は、構造物の撮影画像を取得する(画像取得ステップ:ステップS10)。その後、損傷検出部20Aにより、撮影画像から画像処理により損傷を検出し、検出された損傷の程度を特定する(損傷検出ステップ:ステップS11)。次に、工法特定部20Bにより、損傷の補修工法を特定する(工法特定ステップ:ステップS12)。その後、補修図生成部20Cにより、損傷を補修するための補修領域を示す補修図を生成する(補修図生成ステップ:ステップS13)。
【0065】
上記実施形態において、各種の処理を実行する処理部(例えば損傷検出部20A、工法特定部20B、補修図生成部20C、第1の表示制御部20D)(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0066】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、あるいはCPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0067】
上述の各構成及び機能は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組み合わせによって適宜実現可能である。例えば、上述の処理ステップ(処理手順)をコンピュータに実行させるプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)、或いはそのようなプログラムをインストール可能なコンピュータに対しても本発明を適用することが可能である。
【0068】
以上で説明したように、損傷検出部20Aにより、撮影画像PからひびわれJ1~J5及び剥離K1が検出され、ひびわれJ1~J5及び剥離K1を補修するための補修工法が特定され、補修図生成部20Cは、補修
図A1、補修
図A2及び補修
図D1を正確かつ効率的に生成することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
次に、補修図生成装置10の第2の実施形態に関して説明する。本実施形態においては、第1の検出結果である補修数量表、及び補修費が生成される。
【0070】
図10は、本実施形態の補修図生成装置10の主な構成例を示すブロック図である。
【0071】
なお、
図4で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明は省略する。
【0072】
補修図生成装置10は、主に画像取得部12、及びCPU20を備える。本実施形態のCPU20は、記憶部16又はROM24等に記憶された各種のプログラムを実行することにより、当該CPU20が損傷検出部20A、工法特定部20B、補修図生成部20C、第1の表示制御部20D、補修算出部20E、補修数量表生成部20F、及び補修費算出部20Gとして機能する。
【0073】
補修算出部20Eは、補修図に基づいて補修領域の大きさを算出する。補修算出部20Eは、補修図に基づいて、実際に補修する大きさを算出する。例えば、補修算出部20Eは、損傷図の幅、長さ及び面積から実際の補修を行う領域の幅、長さ及び面積を算出する。例えば、補修算出部20Eは、補修図の長さと実際の構造物上での長さとの関係式を有しており、その関係式を用いて、補修図から実際に補修を行う領域の幅、長さ及び面積を算出する。関係式は、様々な手法により取得される。例えば、撮影画像P(又はパノラマ合成されている場合にはパノラマ合成画像)の1画素あたりの実寸サイズ情報を取得したり、撮影画像P(又はパノラマ合成画像)に写る構造物の一部あるいは全体のサイズ情報を取得して、1画素あたりの実寸サイズ情報に換算することで、関係式を取得することができる。
【0074】
補修数量表生成部20Fは、損傷の補修工法及び補修領域の大きさを含む補修数量表を生成する。具体的には、補修数量表生成部20Fは、各補修図が有する情報を文字情報にして表にする。
【0075】
図11は、補修
図Qに対応する補修数量表の一例を示す図表である。
【0076】
図11に示す補修数量表では、補修ID、補修工法種類、補修領域のサイズ(幅、長さ及び面積)の項目を有し、補修箇所(補修図)毎に各項目に対応する情報が記載されている。補修IDは、各補修図に付される個別のIDである。補修工法種類は、工法特定部20Bで特定された各補修図の補修工法が示されている。サイズ(幅、長さ及び面積)は、補修算出部20Eで算出された補修領域の大きさが示されている。
【0077】
図10に戻って、補修費算出部20Gは、補修領域のサイズ及び補修工法に基づいて、損傷の補修費を算出する。補修費算出部20Gは、補修領域のサイズ及び補修工法に基づいて、記憶部16に記憶されている補修費データベースを参照して補修費を算出する。
【0078】
図12は、補修費データベースの記憶構成例を示す図である。
【0079】
図12で示す例では、補修工法大分類、補修工法小分類、及び単位補修費がそれぞれ関連付けられて記憶されている。
【0080】
補修工法大分類がひびわれ補修工で、補修工法小分類がひびわれ注入工である場合には、補修費は10,000円/mで計算される。また、補修工法大分類がひびわれ補修工で、補修工法小分類がひびわれ充填工である場合には、補修費は25,000円/mで計算される。また、補修工法大分類が断面修復工である場合には、補修工法小分類が左官工法だと50,000円/m2、補修工法小分類が型枠注入工法だと150,000円/m2、補修工法小分類がプレパックドコンクリート工法だと300,000円/m2の補修費が発生する。
【0081】
なお、上述した補修費データベースは一例であり、本発明は他の補修費データベースも用いられる。
【0082】
【0083】
図13に示された補修数量表の変形例では、補修ID、補修工法種類、補修領域のサイズ(幅、長さ及び面積)、補修費の項目を有し、補修箇所(補修図)毎に各項目に対応する情報が記載されている。補修費の項目には、補修費算出部20Gにより算出された各補修図に対応する補修費が示されている。このように、補修数量表生成部20Fが、補修費算出部20Gが算出した補修費を含めた補修数量表を生成することにより、ユーザは各補修図に対応する補修費を確認することができる。
【0084】
以上で説明したように、補修数量表が生成され、表示部3に表示されることにより、ユーザは文字情報として補修図を確認することが可能となる。また、各補修図の補修費が算出されて、表示部3に表示されることにより、ユーザは各補修図の補修費を確認することができる。
【0085】
<第3の実施形態>
次に、補修図生成装置10の第3の実施形態に関して説明する。本実施形態においては、第2の検出結果である損傷図及び損傷数量表が生成される。
【0086】
図14は、補修図生成装置10の主な機能構成例を示すブロック図である。なお、
図4及び
図10で既に説明を行った箇所は同じ符号を付し説明を省略する。
【0087】
補修図生成装置10は、主に画像取得部12、及びCPU20を備える。本実施形態のCPU20は、記憶部16又はROM24等に記憶された各種のプログラムを実行することにより、当該CPU20が損傷検出部20A、工法特定部20B、補修図生成部20C、第1の表示制御部20D、補修算出部20E、補修数量表生成部20F、補修費算出部20G、損傷図生成部20H、損傷数量表生成部20I、及び第2の表示制御部20Jとして機能する。
【0088】
損傷図生成部20Hは、損傷検出部20Aに検出された損傷に基づいて損傷を表す損傷図を生成する。損傷図生成部20Hは、公知の手法により、損傷検出部20Aが検出した損傷に対応する損傷図を生成する。例えば、損傷図生成部20Hは、損傷がひびわれであれば線で示した損傷図を生成し、損傷が剥離であれば剥離の領域の外周を線で示した損傷図を生成する。以下に、損傷図生成部20Hが生成する損傷図の具体例を説明する。
【0089】
図15は、損傷図生成部20Hが撮影画像Pに基づいて生成した損傷
図Sを示す図である。
【0090】
損傷
図Sは、撮影画像Pに対応し、ひびわれJ1~J5に対応する損傷
図C1~C5、及び剥離K1に対応する損傷
図H1を有する。また、損傷
図C1~C5は、例えば赤線で示されており、ひびわれの損傷図であることが表されている。また、損傷
図H1は、例えば青線で示されており、剥離の損傷図であることが表されている。
【0091】
図14に戻って、損傷数量表生成部20Iは、損傷及び損傷の程度を含む損傷数量表を生成する。
【0092】
図16は、損傷
図Sに対応する損傷数量表を示す図である。
【0093】
図16に示す損傷数量表では、損傷ID、損傷種類、損傷の程度(サイズ)(幅、長さ及び面積)の項目を有し、損傷箇所(損傷図)毎に各項目に対応する情報が記載されている。
【0094】
図14に戻って、第2の表示制御部20Jは、損傷図及び損傷数量表のうち少なくとも一つを第2の検出結果として表示部3に表示する。
【0095】
以上で説明したように、本実施形態では、損傷図及び/又は損傷数量表が生成され表示部3に表示される。ユーザは、損傷図が表示部3に表示されることにより、損傷をより明確に確認することができ、また損傷図を使用して報告書等を作成することができる。さらに、ユーザは損傷数量表が表示部3に表示されることにより、文字情報として損傷を確認することできる。
【0096】
<第1の応用例>
本例では、補修
図Q又は損傷
図Sを撮影画像Pに重畳して表示させる。以下に、具体例を説明する。
【0097】
図17は、撮影画像Pに重畳させて補修
図Qを表示させた表示例を示す。第1の表示制御部20Dは、表示部3に撮影画像Pに重畳させて補修
図Qを表示する。第1の表示制御部20Dは、ひびわれJ1及びひびわれJ2に補修
図A1(点線で示す)を重畳して表示する。また、第1の表示制御部20Dは、ひびわれJ3及びひびわれJ4に補修
図A2(点線で示す)を重畳して表示する。また、第1の表示制御部20Dは、剥離K1に補修
図D1(実線で示す)を重畳して表示する。なお、ひびわれJ5は、補修を行わないので補修図は生成されていない。このように、補修図生成部20Cで生成された補修図を撮影画像Pに重畳して表示することにより、ユーザはより損傷と補修図との関連を明確に把握することができる。
【0098】
図18は、撮影画像Pに重畳させて損傷
図Sを表示させた表示例を示す。第2の表示制御部20Jは、表示部3に撮影画像Pに重畳させて損傷
図Sを表示する。第2の表示制御部20Jは、ひびわれJ1に損傷
図C1(点線で示す)を、ひびわれJ2に損傷
図C2(点線で示す)を重畳して表示する。また、第2の表示制御部20Jは、ひびわれJ3に損傷
図C3(点線で示す)を、ひびわれJ4に損傷
図C4(点線で示す)を重畳して表示する。また、第2の表示制御部20Jは、ひびわれJ5に損傷
図C5(点線で示す)を重畳して表示する。また、第1の表示制御部20Dは、剥離K1に損傷
図H1(点線で示す)を重畳して表示する。このように、損傷図生成部20Hで生成された損傷図を撮影画像Pに重畳して表示することにより、ユーザは損傷と損傷図との関連を明確に把握することができる。
【0099】
ここで、上記で説明したように重畳して表示する撮影画像Pは、1枚の撮影画像であってもよいし、複数の撮影画像をパノラマ合成してパノラマ画像に補修図又は損傷図を重畳して表示してもよい。パノラマ合成部(不図示)は、CPU20で実現され、画像取得部12で取得された複数の撮影画像をパノラマ合成する。
【0100】
<第2の応用例>
本例では第1の検出結果及び第2の検出結果を交互又は同時に表示する。例えば、第1の検出結果として補修
図Q、第2の検出結果として損傷
図Sを交互に又は同時に表示する。補修図は損傷を補修するための補修領域及び前記補修工法を示し、損傷図は損傷を示すので、それぞれ違った用途に用いられる。例えば補修図は、補修設計及び補修前調査に用いられる。従って、補修図は、補修対象の長さ又は面積が把握できるように、損傷検出した結果を、補修工法に応じた補修個所又は領域の情報に変換して出力される。一方、損傷図は、点検、診断、補修設計及び補修前調査に用いられる。従って、補修図は、損傷が過去と比較してどの程度進行しているか把握できるように、忠実に損傷を検出した結果(ひび割れ線、損傷の領域)が出力される。本例では、このように性質の異なる補修図と損傷図とを交互又は同時に表示することにより、ユーザへの利便性を向上させる。以下に、第1の検出結果と第2の検出結果との交互表示、及び第1の検出結果と第2の検出結果とを並べて同時に表示について説明する。
【0101】
図19は、第1の検出結果と第2の検出結果との交互表示を概念的に示し図である。
【0102】
図19に示すように、第1の表示制御部20Dと第2の表示制御部20Jとは、第1の検出結果の表示と、第2の検出結果の表示とを切り替えて表示する。なお、切り換えのタイミングは、適宜調節が可能である。例えば、ユーザが操作部5を介して切り換えのタイミングを指示することにより、表示が切り替えられる。
【0103】
図20は、第1の検出結果と第2の検出結果とを並べて同時に表示する場合を示した図である。
【0104】
図20に示すように、第1の表示制御部20Dと第2の表示制御部20Jとは、第1の検出結果と第2の検出結果とを並べて同時に表示する。なお、
図20では、第1の検出結果と第2の検出結果とを横方向に並べているが、本例はこれに限定されるものではない。第1の検出結果と第2の検出結果とを縦方向に並べてもよい。
【0105】
以上で本発明の例に関して説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0106】
上記記載から、以下の付記項1から14に記載の補修図生成装置を把握することができる。
[付記項1]
構造物の撮影画像を取得するカメラと、
プロセッサと、を備え、
プロセッサは、
撮影画像から画像処理により損傷を検出し、損傷の程度を特定し、
損傷及び損傷の程度に基づいて、損傷の補修工法を特定し、
損傷及び補修工法に基づいて、損傷を補修するための補修領域及び補修工法を示す補修図を生成する補修図生成装置。
[付記項2]
プロセッサは、損傷が撮影画像において複数のひびわれであり、複数のひびわれ同士が閾値以下に近接している場合には、接近しているひびわれ同士を接続して補修図を生成する付記項1に記載の補修図生成装置。
[付記項3]
プロセッサは、損傷の形状よりも大きな領域を補修領域として、補修図を生成する付記項1又は2に記載の補修図生成装置。
[付記項4]
プロセッサは、
補修図に基づいて、補修領域のサイズを算出し、
補修領域のサイズを含む補修数量表を生成する、付記項1から3のいずれか1項に記載の補修図生成装置。
[付記項5]
プロセッサは、補修領域のサイズ及び補修工法に基づいて、損傷の補修費を算出する付記項4に記載の補修図生成装置。
[付記項6]
プロセッサは、補修図、補修数量表及び補修費のうち少なくとも一つを第1の検出結果としてモニタに表示する付記項5に記載の補修図生成装置。
[付記項7]
プロセッサは、損傷に基づいて、損傷を表す損傷図を生成する付記項6に記載の補修図生成装置。
[付記項8]
プロセッサは、損傷の程度を含む損傷数量表を生成する付記項7に記載の補修図生成装置。
[付記項9]
プロセッサは、損傷図及び損傷数量表のうち少なくとも一つを第2の検出結果としてモニタに表示する付記項8に記載の補修図生成装置。
[付記項10]
プロセッサは、第1の検出結果と、第2の検出結果とを切り換えてモニタに表示する付記項9に記載の補修図生成装置。
[付記項11]
プロセッサは、第1の検出結果と第2の検出結果とを並べて同時にモニタに表示する付記項9に記載の補修図生成装置。
[付記項12]
プロセッサは、第1の検出結果に対して、編集の指示を受け付ける付記項6から11のいずれか1項に記載の補修図生成装置。
[付記項13]
プロセッサは、第2の検出結果に対して、編集の指示を受け付ける付記項9から11のいずれか1項に記載の補修図生成装置。
[付記項14]
プロセッサは、カメラで取得された複数の撮影画像をパノラマ合成する付記項1から13のいずれか1項に記載の補修図生成装置。
【符号の説明】
【0107】
1 :コンピュータ
1a :コンピュータ本体
3 :表示部
5 :操作部
10 :補修図生成装置
12 :画像取得部
16 :記憶部
20 :CPU
20A :損傷検出部
20B :工法特定部
20C :補修図生成部
20D :第1の表示制御部
20E :補修算出部
20F :補修数量表生成部
20G :補修費算出部
20H :損傷図生成部
20I :損傷数量表生成部
20J :第2の表示制御部
22 :RAM
24 :ROM
31 :端部
33 :端部
35 :外接長方形領域
A1 :補修図
A2 :補修図
C1 :損傷図
C2 :損傷図
C3 :損傷図
C4 :損傷図
C5 :損傷図
D1 :補修図
H1 :損傷図
K1 :剥離
P :撮影画像
Q :補修図
S :損傷図