(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 643A
(21)【出願番号】P 2023502305
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2022005960
(87)【国際公開番号】W WO2022181398
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2021030327
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹口 博史
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 宏紀
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-056309(JP,A)
【文献】特表2017-504182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸を含む薬液処理後の基板に第1洗浄液を供給し、前記第1洗浄液によって前記基板を洗浄する工程と、
前記第1洗浄液の供給を停止し、前記基板を乾燥させる工程と、
乾燥した前記基板に第2洗浄液を供給し、前記第2洗浄液によって前記基板を洗浄する工程とを含み、
前記基板を乾燥させる工程は、
前記基板を回転させて前記基板から前記第1洗浄液を排出させた後に、前記基板の回転を停止し、前記基板の雰囲気を、前記基板上のイオンを反応させる反応成分を含む雰囲気にし、前記基板上のイオンを反応させて塩を生成する、基板処理方法。
【請求項2】
前記第1洗浄液は、アンモニア成分を含み、
前記第2洗浄液は、前記基板上の塩を溶解させる、請求項
1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第1洗浄液によって前記基板を洗浄する工程、および前記基板を乾燥させる工程は、複数回繰り返し行われる、請求項1
または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
基板に、前記基板上のイオンを反応させる第1洗浄液を供給する第1洗浄液供給部と、
前記基板に第2洗浄液を供給する第2洗浄液供給部と、
前記基板を保持して回転させる基板保持部と、
前記基板に対する基板処理を実行させる制御装置とを備え、
前記制御装置は、
硫酸を含む薬液処理後の前記基板を前記第1洗浄液によって洗浄させた後に、前記基板を回転させて
前記基板から前記第1洗浄液を排出させた後に、前記基板の回転を停止し、前記基板の雰囲気を、前記基板上のイオンを反応させる反応成分を含む雰囲気にし、前記基板を乾燥させてから前記基板に前記第2洗浄液を供給する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、硫酸、および過酸化水素水を用いて基板処理を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板へのパーティクルの発生を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理方法は、第1洗浄液によって基板を洗浄する工程と、基板を乾燥させる工程と、第2洗浄液によって基板を洗浄する工程とを含む。第1洗浄液によって基板を洗浄する工程は、硫酸を含む薬液処理後の基板に第1洗浄液を供給する。基板を乾燥させる工程は、第1洗浄液の供給を停止する。第2洗浄液によって基板を洗浄する工程は、乾燥した基板に第2洗浄液を供給する。第1洗浄液は、基板上のイオンを反応させる成分を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板へのパーティクルの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理方法および基板処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により開示される基板処理方法および基板処理装置が限定されるものではない。
【0009】
(第1実施形態)
<基板処理装置>
まずは、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る基板処理装置1の概略構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0010】
基板処理装置1は、基板搬送装置(不図示)によってウェハW(基板の一例)が搬入される。基板処理装置1は、所定の基板処理をウェハWに実行する。基板処理が行われたウェハWは、基板搬送装置によって基板処理装置1から搬出される。
【0011】
図1に示すように、基板処理装置1は、基板処理部2と、制御装置3とを備える。基板処理装置1は、搬送されたウェハWに基板処理を実行する。
【0012】
基板処理部2は、チャンバ10と、基板保持機構11と、処理流体供給部12と、回収カップ13とを備える。
【0013】
チャンバ10は、基板保持機構11と処理流体供給部12の一部と回収カップ13とを収容する。チャンバ10の天井部には、FFU(Fan Filter Unit)14が設けられる。FFU14は、チャンバ10内にダウンフローを形成する。
【0014】
基板保持機構11(基板保持部の一例)は、ウェハW(基板の一例)を保持して回転させる。基板保持機構11は、保持部20と、支柱部21と、駆動部22とを備える。保持部20は、ウェハWを水平に保持する。保持部20は、ウェハWを保持する爪部20aを備える。保持部20は、爪部20aを開閉させるモータ(不図示)などを含む。なお、保持部20は、ウェハWの下面を吸着して保持してもよい。
【0015】
支柱部21は、鉛直方向に延在する部材であり、基端部が駆動部22によって回転可能に支持され、先端部において保持部20を水平に支持する。駆動部22は、支柱部21を鉛直軸まわりに回転させる。駆動部22は、支柱部21を上下方向に移動させる。駆動部22は、例えば、複数のモータを含む。
【0016】
基板保持機構11は、駆動部22を用いて支柱部21を回転させることによって支柱部21に支持された保持部20を回転させる。これにより、保持部20に保持されたウェハWが回転する。
【0017】
処理流体供給部12は、基板処理に用いられる各種液をウェハWに供給する。処理流体供給部12は、処理液供給部30と、第1リンス液供給部40と、第2リンス液供給部50と、機能液供給部60とを備える。
【0018】
処理液供給部30は、ウェハWに処理液を供給する。処理液は、SPM(Sulfuric acid-Hydrogen Peroxide Mixture:硫酸過酸化水素水溶液)である。処理液供給部30は、ウェハWの上面に処理液を供給する。
【0019】
処理液供給部30は、処理液供給源31と、処理液供給ノズル32と、処理液調整部33とを備える。処理液供給ノズル32は、処理液調整部33を介して処理液供給源31に接続される。処理液調整部33は、処理液供給ノズル32からウェハWの上面に供給されるSPMの流量を調整する。処理液調整部33は、開閉バルブ(不図示)、流量調整バルブ(不図示)、および各バルブを作動させるモータ(不図示)などを含む。
【0020】
第1リンス液供給部40は、ウェハWに第1リンス液を供給する。第1リンス液は、DIW(DeIonized Water:脱イオン水)である。第1リンス液は、常温である。第1リンス液供給部40は、ウェハWの上面、およびウェハWの下面に第1リンス液を供給する。
【0021】
第1リンス液供給部40は、第1リンス液供給源41と、第1リンス液供給ノズル42a、42bと、第1リンス液調整部43とを備える。第1リンス液供給ノズル42aは、ウェハWの上面に第1リンス液を供給する。第1リンス液供給ノズル42bは、ウェハWの下面に第1リンス液を供給する。第1リンス液供給ノズル42aは、第1リンス液調整部43を介して第1リンス液供給源41に接続される。第1リンス液供給ノズル42bは、第1リンス液調整部43を介して第1リンス液供給源41に接続される。
【0022】
第1リンス液調整部43は、開閉バルブ(不図示)、流量調整バルブ(不図示)、および各バルブを作動させるモータ(不図示)などを含む。第1リンス液調整部43は、第1リンス液供給ノズル42a、および第1リンス液供給ノズル42bにおける第1リンス液の流量をそれぞれ調整可能である。第1リンス液調整部43は、例えば、第1リンス液供給ノズル42aから吐出される第1リンス液の流量を調整する流量調整バルブ、および第1リンス液供給ノズル42bから吐出される第1リンス液の流量を調整する流量調整バルブを備える。
【0023】
第2リンス液供給部50(第2洗浄液供給部)は、ウェハW(基板の一例)に第2リンス液(第2洗浄液の一例)を供給する。第2リンス液(第2洗浄液の一例)は、ウェハW(基板の一例)上の塩、例えば、硫酸アンモニウムを溶解させる。第2リンス液は、第1リンス液よりも温度が高いDIWである。第2リンス液は、例えば、70度程度に温調される。第2リンス液供給部50は、ウェハWの上面、およびウェハWの下面に第2リンス液を供給する。
【0024】
第2リンス液供給部50は、第2リンス液供給源51と、第2リンス液供給ノズル52a、52bと、第2リンス液調整部53とを備える。第2リンス液供給源51は、DIWの温度を予め設定された温度に調整するヒータなどを含む。
【0025】
第2リンス液供給ノズル52aは、ウェハWの上面に第2リンス液を供給する。第2リンス液供給ノズル52bは、ウェハWの下面に第2リンス液を供給する。第2リンス液供給ノズル52aは、第2リンス液調整部53を介して第2リンス液供給源51に接続される。第2リンス液供給ノズル52bは、第2リンス液調整部53を介して第2リンス液供給源51に接続される。
【0026】
第2リンス液調整部53は、開閉バルブ(不図示)、流量調整バルブ(不図示)、および各バルブを作動させるモータ(不図示)などを含む。第2リンス液調整部53は、第2リンス液供給ノズル52a、および第2リンス液供給ノズル52bにおける第2リンス液の流量をそれぞれ調整可能である。第2リンス液調整部53は、例えば、第2リンス液供給ノズル52aから吐出される第2リンス液の流量を調整する流量調整バルブ、および第2リンス液供給ノズル52bから吐出される第2リンス液の流量を調整する流量調整バルブを備える。
【0027】
機能液供給部60(第1洗浄液供給部の一例)は、ウェハW(基板の一例)に機能液(第1洗浄液の一例)を供給する。機能液(第1洗浄液の一例)は、ウェハW(基板の一例)上のイオンを反応させる成分を含む。機能液は、ウェハWに残った処理液のイオンを反応させる成分を含む液である。処理液によって処理が行われたウェハWには、硫黄成分のイオンが残ることがある。機能液は、硫黄成分のイオンを反応させる成分を含む液である。具体的には、機能液(第1洗浄液の一例)は、アンモニア成分を含む液である。機能液は、例えば、アンモニア水である。例えば、機能液におけるアンモニア濃度は、3~20ppm程度である。機能液供給部60は、ウェハWの上面、およびウェハWの下面に機能液を供給する。
【0028】
機能液供給部60は、機能液供給源61と、機能液供給ノズル62a、62bと、機能液調整部63とを備える。機能液供給ノズル62aは、ウェハWの上面に機能液を供給する。機能液供給ノズル62bは、ウェハWの下面に機能液を供給する。機能液供給ノズル62aは、機能液調整部63を介して機能液供給源61に接続される。機能液供給ノズル62bは、機能液調整部63を介して機能液供給源61に接続される。
【0029】
機能液調整部63は、開閉バルブ(不図示)、流量調整バルブ(不図示)、および各バルブを作動させるモータ(不図示)などを含む。機能液調整部63は、機能液供給ノズル62a、および機能液供給ノズル62bにおける機能液の流量をそれぞれ調整可能である。機能液調整部63は、例えば、機能液供給ノズル62aから吐出される機能液の流量を調整する流量調整バルブ、および機能液供給ノズル62bから吐出される機能液の流量を調整する流量調整バルブを備える。
【0030】
回収カップ13は、保持部20を取り囲むように配置され、保持部20の回転によってウェハWから飛散する処理液などを捕集する。回収カップ13の底部には、排液口13aが形成されており、回収カップ13によって捕集された処理液などは、排液口13aから基板処理装置1の外部へ排出される。また、回収カップ13の底部には、FFU14から供給される気体を基板処理装置1の外部へ排出する排気口13bが形成される。
【0031】
制御装置3は、たとえばコンピュータであり、制御部3Aと記憶部3Bとを備える。
【0032】
記憶部3Bには、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。記憶部3Bは、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0033】
制御部3Aは、記憶部3Bに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1の動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から制御装置3の記憶部3Bにインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0034】
制御装置3は、ウェハW(基板の一例)に対する基板処理を実行させる。制御装置3は、駆動部22における回転を制御する。制御装置3は、処理液調整部33、第1リンス液調整部43、第2リンス液調整部53、および機能液調整部63を制御する。具体的には、制御装置3は、硫酸を含む薬液処理後のウェハW(基板の一例)を機能液(第1洗浄液の一例)によって洗浄させた後に、ウェハWを回転させてウェハWを乾燥させてからウェハWに第2リンス液(第2洗浄液の一例)を供給させる。
【0035】
<基板処理>
次に、第1実施形態に係る基板処理について
図2を参照し説明する。
図2は、第1実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【0036】
基板処理装置1は、搬入処理を行う(S100)。具体的には、基板処理装置1は、チャンバ10にウェハWを搬入する。基板処理装置1は、保持部20によってウェハWを保持させた後に、保持部20を回転させる。すなわち、基板処理装置1は、ウェハWを回転させる。
【0037】
基板処理装置1は、薬液処理を行う(S101)。具体的には、基板処理装置1は、処理液供給ノズル32から処理液をウェハWの上面に供給する。ウェハWの上面に供給された処理液は、ウェハWの回転に伴う遠心力によってウェハWの上面全体に広がる。これにより、ウェハWの上面が、処理液によって薬液処理される。
【0038】
基板処理装置1は、第1リンス処理を行う(S102)。具体的には、基板処理装置1は、処理液の供給を停止する。基板処理装置1は、第1リンス液供給ノズル42aから第1リンス液をウェハWの上面に供給する。基板処理装置1は、第1リンス液供給ノズル42bから第1リンス液をウェハWの下面に供給する。基板処理装置1は、ウェハWを回転させながら、第1リンス液をウェハWに供給する。
【0039】
基板処理装置1は、機能液処理を行う(S103)。機能液処理は、硫酸を含む薬液処理後のウェハW(基板の一例)に機能液(第1洗浄液の一例)を供給し、機能液によってウェハWを洗浄する工程である。具体的には、基板処理装置1は、第1リンス液の供給を停止する。基板処理装置1は、機能液供給ノズル62aから機能液をウェハWの上面に供給する。基板処理装置1は、機能液供給ノズル62bから機能液をウェハWの下面に供給する。基板処理装置1は、ウェハWを回転させながら、機能液をウェハWに供給する。機能液処理によって、ウェハWに残った処理液の硫黄成分のイオンと、機能液のアンモニア水との中和反応が起こり、水溶性の塩である硫酸アンモニウムが生成される。
【0040】
基板処理装置1は、第1乾燥処理を行う(S104)。第1乾燥処理は、機能液(第1洗浄液の一例)の供給を停止し、ウェハW(基板の一例)を乾燥させる工程である。具体的には、基板処理装置1は、機能液の供給を停止する。基板処理装置1は、ウェハWを回転させて、ウェハWの付着した機能液を振り切り、ウェハWを乾燥させる。基板処理装置1は、ウェハWの回転速度を大きくし、機能液を振り切る。第1乾燥処理は、ウェハW(基板の一例)上のイオンを反応させて塩を生成する。第1乾燥処理によって、ウェハWに残った硫黄成分のイオンが空気中のアンモニア成分と反応し、塩が生成される。
【0041】
基板処理装置1は、第2リンス処理を行う(S105)。第2リンス処理は、乾燥したウェハW(基板の一例)に第2リンス液(第2洗浄液の一例)を供給し、第2リンス液によってウェハWを洗浄する工程である。具体的には、基板処理装置1は、ウェハWの回転速度を第1乾燥処理における回転速度よりも小さくする。基板処理装置1は、第2リンス液供給ノズル52aから第2リンス液をウェハWの上面に供給する。基板処理装置1は、第2リンス液供給ノズル52bから第2リンス液をウェハWの下面に供給する。基板処理装置1は、ウェハWを回転させながら、第2リンス液を供給する。第2リンス処理が行われることで、生成された硫酸アンモニウムが第2リンス液(DIW)に溶解し、ウェハWから除去される。
【0042】
基板処理装置1は、第2乾燥処理を行う(S106)。具体的には、基板処理装置1は、第2リンス液の供給を停止する。基板処理装置1は、ウェハWを回転させて、ウェハWに付着した第2リンス液を振り切り、ウェハWを乾燥させる。基板処理装置1は、ウェハWの回転速度を大きくし、第2リンス液を振り切る。なお、基板処理装置1は、チャンバ10に窒素を供給し、窒素雰囲気において第2乾燥処理を行ってもよい。
【0043】
基板処理装置1は、搬出処理を行う(S107)。具体的には、基板処理装置1は、ウェハWの回転を停止する。基板処理装置1は、チャンバ10からウェハWを搬出する。
【0044】
基板処理装置1は、第2リンス処理に変えて、機能液(第2洗浄液の一例)を供給する第2機能液処理を行ってもよい。すなわち、基板処理装置1は、機能液をウェハWに供給した後に、ウェハWを乾燥させてから、さらに機能液をウェハWに供給し、機能液によってウェハWを洗浄してもよい。これにより、ウェハWに残る処理液の硫黄成分のイオンが繰り返し除去される。なお、第1乾燥処理、および第2機能液処理は、さらに繰り返されてもよい。すなわち、基板処理装置1は、第2機能液処理(第1洗浄液によって基板を洗浄する工程の一例)、および第1乾燥処理(基板を乾燥させる工程)を、複数回繰り返し行ってもよい。
【0045】
これにより、ウェハWに残る硫黄成分のイオンが少なくなる。ウェハWへのパーティクルの発生が抑制される。
【0046】
基板処理装置1は、機能液処理の後に、第1乾燥処理を行わずに、第2リンス処理を行ってもよい。また、基板処理装置1は、機能液処理の後に、第1乾燥処理、および第2リンス処理を行わずに、第2乾燥処理を行ってもよい。
【0047】
<効果>
基板処理方法は、機能液(第1洗浄液の一例)によってウェハW(基板の一例)を洗浄する工程と、ウェハWを乾燥させる工程と、第2リンス液(第2洗浄液の一例)によってウェハWを洗浄する工程とを含む。機能液によってウェハWを洗浄する工程は、硫酸を含む薬液処理後のウェハWに機能液を供給し、ウェハWを洗浄する。ウェハWを乾燥させる工程は、機能液の供給を停止し、ウェハWを乾燥させる。第2リンス液によってウェハWを洗浄する工程は、乾燥したウェハWに第2リンス液を供給し、ウェハWを洗浄する。機能液は、ウェハW上のイオンを反応させる成分を含む。
【0048】
これにより、ウェハWに残った硫黄成分のイオンが機能液によって中和されて、塩である硫酸アンモニウムが生成される。生成された塩は、第2リンス液によって洗浄される。そのため、ウェハWへのパーティクルの発生が抑制される。
【0049】
基板処理方法は、機能液(第1洗浄液の一例)によってウェハW(基板の一例)を洗浄する工程と、ウェハWを乾燥させる工程と、第2リンス液(第2洗浄液の一例)によってウェハWを洗浄する工程とを含む。機能液によってウェハWを洗浄する工程は、硫酸を含む薬液処理後のウェハWに機能液を供給し、ウェハWを洗浄する。ウェハWを乾燥させる工程は、機能液の供給を停止し、ウェハWを乾燥させる。第2リンス液によってウェハWを洗浄する工程は、乾燥したウェハWに第2リンス液を供給し、ウェハWを洗浄する。ウェハWを乾燥させる工程は、ウェハW上のイオンを反応させて塩を生成する。
【0050】
これにより、機能液によって洗浄されたウェハWが乾燥することによって、ウェハWに残った硫黄成分のイオンが空気中のアルカリ成分と反応し、塩が生成される。生成された塩は、第2リンス液によって洗浄される。そのため、ウェハWへのパーティクルの発生が抑制される。
【0051】
機能液(第1洗浄液の一例)は、アンモニア成分を含む。第2リンス液(第2洗浄液の一例)は、ウェハW上の塩を溶解させる。これにより、機能液によるウェハWの洗浄によって、ウェハWの残った硫黄成分のイオンがアンモニア成分と反応し、硫酸アンモニウムが生成される。生成された硫酸アンモニウムは、第2リンス液に対して溶解する。そのため、第2リンス液によってウェハWが洗浄されることで、硫酸アンモニウムは、洗い流される。従って、ウェハWへのパーティクルの発生が抑制される。
【0052】
(第2実施形態)
<基板処理装置>
次に、第2実施形態に係る基板処理装置1について
図3を参照して説明する。
図3は、第2実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す図である。ここでは、第1実施形態に係る基板処理装置1と異なる箇所について説明する。第1実施形態に係る基板処理装置1の構成と同じ構成については、第1実施形態に係る基板処理装置1と同じ符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0053】
基板処理装置1は、雰囲気調整部70を備える。雰囲気調整部70は、チャンバ10に反応ガスを供給し、ウェハW(基板の一例)の雰囲気を、ウェハW上のイオンを反応させる反応成分を含む雰囲気にする。反応ガスは、アンモニアを含むガスである。
【0054】
雰囲気調整部70は、反応ガス供給源71と、反応ガス調整部72とを備える。雰囲気調整部70は、反応ガス調整部72を介して、反応ガス供給源71からチャンバ10に反応ガスを供給する。反応ガス調整部72は、開閉バルブ(不図示)、流量調整バルブ(不図示)、および各バルブを作動させるモータなどを含む。雰囲気調整部70は、制御装置3によって反応ガス調整部72が制御される。
【0055】
制御装置3は、硫酸を含む薬液処理後のウェハW(基板の一例)を機能液(第1洗浄液の一例)によって洗浄させた後に、ウェハWを、反応成分を含む雰囲気下で乾燥させてからウェハWに第2リンス液(第2洗浄液の一例)を供給する。
【0056】
<基板処理>
次に、第2実施形態に係る基板処理について
図4を参照し説明する。
図4は、第2実施形態に係る基板処理を説明するフローチャートである。
【0057】
基板処理装置1は、ステップS100~ステップS103において、第1実施形態のステップS100~ステップS103と同じ処理を行う。
【0058】
基板処理装置1は、第1乾燥処理を行う(S200)。第1乾燥処理は、ウェハW(基板の一例)の雰囲気を、ウェハW上のイオンを反応させる反応成分を含む雰囲気にする工程である。第1乾燥処理は、ウェハW(基板の一例)を回転させてウェハWから機能液(第1洗浄液の一例)を排出させた後に、ウェハWの回転を停止し、反応成分を含む雰囲気とする工程である。具体的には、基板処理装置1は、機能液の供給を停止する。基板処理装置1は、ウェハWを回転させて、ウェハWに付着した機能液を振り切り、ウェハWを乾燥させる。基板処理装置1は、雰囲気調整部70によってチャンバ10に反応ガスを供給し、ウェハWの雰囲気を反応ガス雰囲気にする。
【0059】
基板処理装置1は、例えば、ウェハWの回転を停止させた後に、チャンバ10に反応ガスを供給する。基板処理装置1は、ウェハWを回転させることによってウェハWを乾燥させた後に、ウェハWの回転を停止させて、チャンバ10に反応ガスを供給する。
【0060】
なお、基板処理装置1は、ウェハWの回転を停止させる前に、チャンバ10に反応ガスを供給してもよい。すなわち、基板処理装置1は、ウェハWの雰囲気を反応ガス雰囲気にして、ウェハWを回転させて、ウェハWを乾燥させてもよい。
【0061】
第1乾燥処理によって、ウェハWに残る硫黄成分のイオンが反応ガスに含まれるアンモニアにより中和され、塩である硫酸アンモニウムが生成される。
【0062】
基板処理装置1は、第2リンス処理を行う(S201)。具体的には、基板処理装置1は、雰囲気調整部70による反応ガスの供給を停止し、ウェハWを回転させる。基板処理装置1は、第2リンス液供給ノズル52aから第2リンス液をウェハWの上面に供給する。基板処理装置1は、第2リンス液供給ノズル52bから第2リンス液をウェハWの下面に供給する。
【0063】
基板処理装置1は、ステップS106、およびステップS107において、第1実施形態のステップS106、およびステップS107と同じ処理を行う。
【0064】
基板処理装置1は、第2リンス処理において、チャンバ10に反応ガスを供給してもよい。すなわち、基板処理装置1は、チャンバ10に反応ガスを供給しながら、第2リンス液をウェハWに供給してもよい。
【0065】
基板処理装置1は、機能液処理において、チャンバ10に反応ガスを供給してもよい。すなわち、基板処理装置1は、チャンバ10に反応ガスを供給しながら、機能液をウェハWに供給してもよい。
【0066】
基板処理装置1は、第2リンス処理に変えて、機能液を供給する第2機能液処理を行ってもよい。基板処理装置1は、第2機能液処理において、チャンバ10に反応ガスを供給してもよい。基板処理装置1は、第1乾燥処理、および第2機能液処理を複数回繰り返し行ってもよい。なお、基板処理装置1は、チャンバ10に反応ガスを供給した状態で、第1乾燥処理、および第2機能液処理を複数回繰り返し行ってもよい。
【0067】
基板処理装置1は、第1リンス処理の後に、第2リンス処理を行い、その後、第1乾燥処理を行ってもよい。すなわち、基板処理装置1は、機能液供給部60から機能液を供給せずに、雰囲気調整部70によって反応ガスをチャンバ10に供給する。ウェハWに残る硫黄成分のイオンは、反応ガスのアンモニアと反応し、硫酸アンモニウムが生成される。基板処理装置1は、第1乾燥処理の後に、第2リンス処理を行う。第1乾燥処理の後の第2リンス処理では、雰囲気調整部70によって反応ガスがチャンバ10に供給された状態で、第2リンス液がウェハWに供給されてもよい。
【0068】
<効果>
基板処理方法におけるウェハW(基板の一例)を乾燥させる工程は、ウェハWの雰囲気を、ウェハW上のイオンを反応させる反応成分を含む雰囲気にする。
【0069】
これにより、ウェハWが乾燥する際に、ウェハWに残った硫黄成分のイオンが反応ガスに含まれる反応成分によって反応し、塩が生成される。生成された塩は、第2リンス液によって洗い流される。そのため、ウェハWへのパーティクルの発生が抑制される。
【0070】
基板処理方法におけるウェハW(基板の一例)を乾燥させる工程は、ウェハWを回転させてウェハWから機能液(第1洗浄液の一例)を排出させた後に、ウェハWの回転を停止し、反応成分を含む雰囲気にする。
【0071】
これにより、ウェハWに対して反応ガスの滞留時間が長くなる。そのため、少ない反応ガスによって、塩が生成される。従って、反応ガスの使用量が少なくなる。
【0072】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 基板処理装置
2 基板処理部
3 制御装置
11 基板保持機構(基板保持部)
12 処理流体供給部
30 処理液供給部
40 第1リンス液供給部
50 第2リンス液供給部(第2洗浄液供給部)
60 機能液供給部(第1洗浄液供給部)
70 雰囲気調整部