(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-28
(45)【発行日】2024-12-06
(54)【発明の名称】半導体測定の品質を決定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241129BHJP
G01N 21/21 20060101ALI20241129BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01L21/66 C
G01N21/21 Z
G01N21/27 B
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2023519029
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 US2021048591
(87)【国際公開番号】W WO2022066378
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2024-06-12
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンコ ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ムーン ミン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パンデフ スティリアン
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0154319(US,A1)
【文献】国際公開第2012/092132(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0033201(US,A1)
【文献】特表2014-512101(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03547031(EP,A1)
【文献】特表2019-525450(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/21
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある照明放射量を半導体ウェハの表面上の第1の測定部位に向けて提供するように構成された照明源、
前記照明放射量に応じて前記第1の測定部位から収集されたある放射量を検出するように構成された検出器
を備える計測サブシステムと、
前記第1の測定部位から検出された前記放射量を特徴付ける第1の複数の特徴量の値を生成することと、
訓練済みの測定モデルに基づいて、検出された前記放射量の前記第1の複数の特徴量の生成された値から、前記第1の測定部位を特徴付ける1つ以上の対象パラメータの値を推定することと、
前記第1の複数の特徴量のそれぞれの再構築された値を決定することであって、前記第1の複数の特徴量のうちのある特徴量の再構築された値が、訓練済みのデータ再構築モデルに基づいて、前記1つ以上の対象パラメータの推定された値、および前記第1の複数の特徴量のうちの前記特徴量の生成された前記値を除く前記第1の複数の特徴量のそれぞれの生成された値から決定される、再構築された値を決定することと、
前記訓練済みの測定モデルに基づいて、前記第1の複数の特徴量の再構築された前記値から、前記第1の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの再構築された値を推定することと、
前記第1の複数の特徴量の生成された前記値から決定された前記1つ以上の対象パラメータの推定された値と、前記第1の複数の特徴量の前記再構築された値から決定された前記1つ以上の対象パラメータの再構築された前記値との間の差に基づいて、品質指標の値を決定することと
を行うように構成されたコンピューティングシステムと
を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記コンピューティングシステムが前記品質指標の前記値を正規化するようにさらに構成されるシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記コンピューティングシステムが、
前記第1の測定部位とは異なる第2の測定部位の測定値の第2の複数の特徴量の値と、前記第2の複数の特徴量の再構築された値との間の差を最小化することによって、前記データ再構築モデルの1つ以上のパラメータを訓練するようにさらに構成され、前記第2の複数の特徴量のうちのある特徴量の再構築された値が、前記第2の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの値、および前記特徴量を除く前記第2の複数の特徴量の前記値から決定されるシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、前記第2の
測定部位の前記測定値の前記第2の複数の特徴量がシミュレートされるシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、前記第2の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの前記値が、前記訓練済みの測定モデルに基づいて前記第2の複数の特徴量の値から推定されるシステム。
【請求項6】
請求項3に記載のシステムであって、前記第2の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの前記値が既知の参照値であるシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の複数の特徴量が、前記第1の測定部位から検出された前記放射量に応じて測定される複数の検出器信号であるシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の測定部位から検出された前記放射量を特徴付ける前記第1の複数の特徴量の値の前記生成が、前記第1の測定部位から検出された前記放射量に応じて測定される複数の検出器信号の次元を削減することを含むシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記複数の検出器信号の前記次元の前記削減が、主成分分析、フーリエ分析、ウェーブレット分析、および離散コサイン変換分析のうちのいずれかを含むシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記照明源および前記検出器が、分光偏光解析器、分光反射率計、軟X線反射率計、小角X線散乱計、イメージングシステム、およびハイパースペクトルイメージングシステムのうちのいずれかの一部として構成されるシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記訓練済みの測定モデルが、訓練済みの欠陥分類モデルおよび訓練済みの計測モデルのうちのいずれかであるシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記1つ以上の対象パラメータが、対象となる幾何学的パラメータ、対象となるプロセスパラメータ、対象となる電気パラメータ、および対象となる分散パラメータのうちのいずれかを含むシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、前記1つ以上の対象パラメータが、オーバーレイ寸法、限界寸法、リソグラフィ焦点、およびリソグラフィ線量のうちのいずれかを含むシステム。
【請求項14】
ある照明放射量を半導体ウェハの表面上の第1の測定部位に向けて提供するステップと、
前記照明放射量に応じて前記第1の測定部位から収集されたある放射量を検出するステップと、
前記第1の測定部位から検出された前記放射量を特徴付ける第1の複数の特徴量の値を生成するステップと、
訓練済みの測定モデルに基づいて、検出された前記放射量の前記第1の複数の特徴量の生成された値から、前記第1の測定部位を特徴付ける1つ以上の対象パラメータの値を推定するステップと、
前記第1の複数の特徴量のそれぞれの再構築された値を決定するステップであって、前記第1の複数の特徴量のうちのある特徴量の再構築された値が、訓練済みのデータ再構築モデルに基づいて、前記1つ以上の対象パラメータの推定された値、および前記第1の複数の特徴量のうちの前記特徴量の生成された前記値を除く前記第1の複数の特徴量のそれぞれの生成された値から決定される、ステップと、
前記訓練済みの測定モデルに基づいて、前記第1の複数の特徴量の再構築された前記値から、前記第1の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの再構築された値を推定するステップと、
前記第1の複数の特徴量の生成された前記値から決定された前記1つ以上の対象パラメータの推定された前記値と、前記第1の複数の特徴量の前記再構築された値から決定された前記1つ以上の対象パラメータの再構築された前記値との間の差に基づいて、品質指標の値を決定するステップと
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記品質指標の前記値を正規化するステップをさらに含む方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1の測定部位とは異なる第2の測定部位の測定値の第2の複数の特徴量の値と、前記第2の複数の特徴量の再構築された値との間の差を最小化することによって、前記データ再構築モデルの1つ以上のパラメータを訓練するステップをさらに含み、前記第2の複数の特徴量のうちのある特徴量の再構築された値が、前記第2の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの値、および前記特徴量を除く前記第2の複数の特徴量の前記値から決定される方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、前記第1の測定部位から検出された前記放射量を特徴付ける前記第1の複数の特徴量の値を生成する前記ステップが、前記第1の測定部位から検出された前記放射量に応じて測定される複数の検出器信号の次元を削減することを含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記複数の検出器信号の前記次元の前記削減が、主成分分析、フーリエ分析、ウェーブレット分析、および離散コサイン変換分析のうちのいずれかを含む方法。
【請求項19】
ある照明放射量を半導体ウェハの表面上の第1の測定部位に向けて提供するように構成された照明源と、
前記照明放射量に応じて前記第1の測定部位から収集されたある放射量を検出するように構成された検出器と、
1つ以上のプロセッサによって実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の測定部位から検出された前記放射量を特徴付ける第1の複数の特徴量の値を生成することと、
訓練済みの測定モデルに基づいて、検出された前記放射量の前記第1の複数の特徴量の生成された値から、前記第1の測定部位を特徴付ける1つ以上の対象パラメータの値を推定することと、
前記第1の複数の特徴量のそれぞれの再構築された値を決定することであって、前記第1の複数の特徴量のうちのある特徴量の再構築された値が、訓練済みのデータ再構築モデルに基づいて、前記1つ以上の対象パラメータの推定された値、および前記第1の複数の特徴量のうちの前記特徴量の生成された前記値を除く前記第1の複数の特徴量のそれぞれの生成された値から決定される、再構築された値を決定することと、
前記訓練済みの測定モデルに基づいて、前記第1の複数の特徴量の再構築された前記値から、前記第1の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの再構築された値を推定することと、
前記第1の複数の特徴量の生成された前記値から決定された前記1つ以上の対象パラメータの推定された前記値と、前記第1の複数の特徴量の前記再構築された値から決定された前記1つ以上の対象パラメータの再構築された前記値との間の差に基づいて、品質指標の値を決定することと
前記品質指標の前記値を正規化することと
を行わせる命令を記憶する非一過性のコンピュータ可読媒体
を備えるシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記非一過性のコンピュータ可読媒体が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の測定部位とは異なる第2の測定部位の測定値の第2の複数の特徴量の値と、前記第2の複数の特徴量の再構築された値との間の差を最小化することによって、前記データ再構築モデルの1つ以上のパラメータを訓練することであって、前記第2の複数の特徴量のうちのある特徴量の再構築された値が、前記第2の測定部位を特徴付ける前記1つ以上の対象パラメータの値、および前記特徴量を除く前記第2の複数の特徴量の前記値から決定される、1つ以上のパラメータを訓練すること
を行わせる命令をさらに記憶するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載されている実施形態は、計測システムおよび計測方法に関し、より詳細には、半導体構造体の改善された測定のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
論理デバイスおよびメモリデバイスなどの半導体デバイスは、典型的には、試験片に適用される一連の処理ステップによって製造される。半導体デバイスの様々なフィーチャおよび多重構造階層は、これらの処理ステップによって形成される。例えば、とりわけリソグラフィは、半導体ウェハ上にパターンを生成することを含む1つの半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスのさらなる例には、化学機械研磨、エッチング、堆積、およびイオン注入が含まれるが、これらに限定されない。複数の半導体デバイスが、単一の半導体ウェハ上に製造され、次いで、個々の半導体デバイスに分離されてもよい。
【0003】
計測プロセスは、ウェハ上の欠陥を検出して歩留まりを向上させるために、半導体製造プロセス中の様々なステップにおいて使用される。光学およびX線ベースの計測技法は、サンプルを破壊するリスクを伴うことなく、高スループットの可能性をもたらす。ナノスケール構造体の限界寸法、膜厚、組成、オーバーレイ、および他のパラメータを特徴付けるために、光波散乱計測、反射率計測、および偏光解析の実装ならびに関連する分析アルゴリズムを含む多くの計測ベースの技法が一般的に使用されている。
【0004】
多くの計測技術は、測定中の試験片の物理的性質を測定する間接的な方法である。ほとんどの場合、生の測定信号は、試験片の物理的性質を直接決定するために使用することはできない。代わりに、測定モデルを採用して、1つ以上の対象パラメータの値を生の測定信号に基づいて推定する。例えば、偏光解析は、測定中の試験片の物理的性質を測定する間接的な方法である。一般に、生の測定信号(例えば、αmeasおよびβmeas)に基づいて試験片の物理的性質を決定するには、物理ベースの測定モデルまたは機械学習ベースの測定モデルが必要である。
【0005】
いくつかの例では、1つ以上のモデルパラメータの想定値に基づいて生の測定信号(例えば、αmeasおよびβmeas)を予測することを試みる物理ベースの測定モデルが作成される。式(1)および式(2)に示すように、測定モデルは、計測ツール自体に関連するパラメータ、例えば機械パラメータ(Pmachine)と、測定中の試験片に関連するパラメータとを含む。対象パラメータの値を求める場合、いくつかの試験片パラメータは、固定値(Pspec-fixed)として扱われ、対象となる他の試験片パラメータは、浮動値(Pspec-float)として扱われる、すなわち、生の測定信号に基づいて値が求められる。
【0006】
αmodel=f(Pmachine,Pspec-fixed,Pspec-float) (1)
βmodel=g(Pmachine,Pspec-fixed,Pspec-float) (2)
【0007】
機械パラメータは、計測ツール(例えば、偏光解析器101)を特徴付けるために使用されるパラメータである。例示的な機械パラメータには、入射角(AOI:angle of incidence)、分析器角度(A0)、偏光子角度(P0)、照明波長、開口数(NA:numerical aperture)、(存在する場合)補償器または波長板などが含まれる。試験片パラメータは、試験片を特徴付けるために使用されるパラメータ(例えば、測定中の構造体を特徴付ける材料パラメータおよび幾何学的パラメータ)である。薄膜試験片の場合、例示的な試験片パラメータには、屈折率、誘電関数テンソル、すべての層の公称層厚、層の順序などが含まれる。CD試験片の場合、例示的な試験片パラメータには、異なる層に関連する幾何学的パラメータ値、異なる層に関連する屈折率などが含まれる。測定目的では、機械パラメータおよび多くの試験片パラメータは、既知の固定値パラメータとして扱われる。しかしながら、試験片パラメータのうちの1つ以上の値は、対象となる未知の浮動パラメータとして扱われる。
【0008】
いくつかの例では、対象となる浮動パラメータの値は、理論的予測と実験データとの間の最適な適合を生み出す反復プロセス(例えば、回帰)によって求められる。モデル出力値と実験による測定値(例えば、αmeasおよびβmeas)との間の十分に近い一致がもたらされる試験片パラメータ値セットが決定されるまで反復して、対象となる未知の浮動パラメータの値が変更され、モデル出力値(例えば、αmodelおよびβmodel)が算出されて、生の測定データと比較される。いくつかの他の例では、浮動パラメータは、事前に算出された解のライブラリを検索して最も近い一致を見出すことによって求められる。
【0009】
いくつかの他の例では、生の測定データに基づいて対象パラメータの値を直接推定するために、訓練済みの機械学習ベースの測定モデルが採用される。これらの例では、機械学習ベースの測定モデルは、生の測定信号をモデル入力として取得し、対象パラメータの値をモデル出力として生成する。
【0010】
特定の測定アプリケーションについて対象パラメータの有用な推定値を生成するには、物理学ベースの測定モデルと機械学習ベースの測定モデルとの両方が訓練されなければならない。一般に、モデルの訓練は、対象パラメータの既知の値(実験計画法(DOE:Design of Experiments)データ)を有する試験片から収集された生の測定信号に基づいている。
【0011】
機械学習ベースの測定モデルは、いくつかの重みパラメータによってパラメータ化される。従来、機械学習ベースの測定モデルは、回帰プロセス(例えば、通常の最小二乗回帰)によって訓練される。対象パラメータの既知の参照値と測定された生の測定信号に基づいて機械学習ベースの測定モデルによって推定された対象パラメータの値との間の差を最小限に抑えるために、重みパラメータの値が反復的に調整される。
【0012】
前述のように、物理学ベースの測定モデルは、いくつかの機械パラメータおよび試験片パラメータによってパラメータ化される。従来、物理学ベースの測定モデルも、回帰プロセス(例えば、通常の最小二乗回帰)によって訓練される。生の測定データとモデル化された測定データとの間の差を最小限に抑えるために、機械パラメータおよび試験片パラメータのうちの1つ以上が反復的に調整される。反復ごとに、対象となる特定の試験片パラメータの値は、既知のDOE値に維持される。
【0013】
訓練済みの機械学習ベースの測定モデルと物理学ベースのモデルとの両方が、対象パラメータの値を測定データに基づいて推定する。推定の正確度は測定データに依存する。例えば、モデル訓練フェーズ中に観測された測定データの領域外の測定データは、外挿による大きな予測誤差を引き起こす可能性がある。
【0014】
従来、各測定部位に関連する出力の不確実性を定量化するために、いくつかの技法が検討されてきた。これらの技法には、変分推論およびマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC:Markov Chain Monte Carlo)法を使用したベイズ回帰(例えば、線形過程回帰、ガウス過程回帰など)、ベイズニューラルネットワークとしてのモンテカルロドロップアウト、ブートストラップサンプリング、異なるハイパーパラメータの組合せからの出力変動、サンプルから訓練セットの中心までの距離の推定などが含まれる。
【0015】
残念ながら、これらの従来の技法は、実用的な成功には限界がある。前述の各技法は、訓練済みの測定モデルに関連付けられていない集合平均予測を表す。集合平均予測は、最適に訓練された測定モデルの予測と同じではない。したがって、集合平均予測は、測定の不確実性を正確に推定することができず、測定モデルの品質を直接測定することができない。さらに、ベイズ回帰およびブートストラップサンプリングは計算コストが高く、事実上、大規模な半導体製造設備の一部として実装するには適していない。最後に、前述の技法は、正規化されていない。正規化されない場合、測定中に異なる測定レシピまたは構造体にわたって、結果を一貫して解釈することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】米国特許出願公開第2016/0154319号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
小さい分解能に対する需要の高まり、多重パラメータ相関、幾何学的構造の複雑性の高まり、および不透明材料の使用の増加により、将来の計測アプリケーションにおいて、計測に関する課題が生じる。したがって、測定品質の評価を改善するための方法およびシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書において、半導体測定の1つ以上の性能特性を示す品質指標の値を推定するための方法およびシステムが提示される。品質指標は、実際の測定データ、シミュレートされた測定データ、またはその両方、および参照測定データに基づいて訓練された品質指標モデルから決定される。品質指標モデルは、訓練されると、参照計測を使用せずに、各測定部位でインラインウェハから収集された測定データに基づいて、特定の測定レシピの測定品質を示す定量的な品質指標を算出することを可能にする。品質指標の値は、幅広い測定シナリオにわたる適用可能性を保証するために正規化される。
【0019】
いくつかの実施形態では、品質指標の値は、測定推論中に測定サンプルごとに決定される。いくつかの実施形態では、訓練済みの測定モデルは、測定データから欠陥を検出および分類するように訓練された欠陥分類モデルである。
【0020】
一般に、品質指標は、様々な他の目的に使用される場合がある。品質指標は、特に、対象となる測定パラメータ、欠陥分類などに関連する不確実性を特徴付けるために使用され得る。他のいくつかの例では、品質指標は、測定値の外れ値を検出するためのフィルタとして採用される。いくつかの他の例では、品質指標は、半導体プロセスを調整するためのトリガとして採用される。同様に、いくつかの例では、品質指標値は、製造仕様内にないウェハを検出するために採用される。これらの例のいくつかでは、品質指標値は、測定ツールの偏りが仕様から逸脱したことを検出するために採用される。他の例では、品質指標値は、測定誤差の偏りが仕様から逸脱したことを検出するために採用される。
【0021】
一態様では、品質指標モデルは、データ再構築モデルのパラメータを訓練することによって訓練される。データ再構築モデルは、測定データセットの各特徴量を、測定データセットの他の特徴量と、測定データセットに基づいて訓練済みの測定モデルによって推定された1つ以上の対象パラメータの値とに基づいて再構築する。
【0022】
別の態様では、訓練済みの品質指標モデルは、測定データ量に基づいて特定の測定に関連する品質指標の値を決定するために採用される。
【0023】
さらなる態様では、生の品質指標値は、品質指標値の適用可能性を複数のレシピ、ツール、層、ユースケースなどに広げるために正規化される。このように、正規化された品質指標は、幅広い測定シナリオの測定性能の指標である。
【0024】
別の態様では、本明細書に記載の品質指標モデルを訓練および使用するために採用される訓練データならびに測定データは、ウェハ上に極めて近接して配置された複数のターゲットから、シミュレートされるか、実際の測定値から収集されるか、またはその両方である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の測定中の測定ターゲットは、専用の計測ターゲットではなく、実際のデバイス構造体であってもよい。
【0025】
別の態様では、本明細書に記載の品質指標モデルを訓練および使用するために使用される訓練データおよび測定データは、複数の異なる計測システムによって1つ以上のターゲットから収集される。
【0026】
いくつかの実施形態では、測定データを収集して対象パラメータを推定するために採用される計測システムは、測定データを収集して品質指標の値を推定するために採用される計測システムとは異なる。
【0027】
別のさらなる態様では、複数の異なる対象パラメータが測定され、複数の異なる対象パラメータごとに、対応する品質指標が評価される。いくつかの実施形態では、複数の異なる対象パラメータに関連する品質指標は、特定の測定レシピに関連する測定の不確実性をより明確に識別するために、プロセスパラメータの変更がいつ必要とされるかをより明確に識別するために、またはその両方のために採用される。
【0028】
別のさらなる態様では、測定ターゲットに極めて近接する構造体に関連する、対象パラメータの値、対応する品質指標値、またはその両方は、プロセスパラメータの変更がいつ必要とされるかをより明確に識別するために採用される。
【0029】
さらに別の態様では、本明細書に記載の測定結果を使用して、プロセスツール(例えば、リソグラフィツール、エッチングツール、堆積ツールなど)に能動的フィードバックを提供することができる。
【0030】
上記は、要約であり、したがって必要に応じて単純化、一般化、および詳細の省略を含んでおり、したがって、当業者は、要約が例示のみを目的としており、決して限定的なものではないことを理解するであろう。本明細書に記載のデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、発明の特徴、および利点は、本明細書に記載の非限定的な詳細な説明において明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本明細書に提示される例示的な方法による、ウェハ上で実行される測定の測定品質を監視するためのウェハ計測システム100の図である。
【
図2】一実施形態における例示的な測定品質モデル訓練エンジン150を示す図である。
【
図3】別の実施形態における例示的な測定品質エンジン160を示す図である。
【
図4A】測定モデルによって決定された対象パラメータの値における絶対誤差と各測定に関連する対応する品質指標値との間の相関を示すプロットである。
【
図4B】測定モデルによって決定された対象パラメータの値における絶対誤差と各測定に関連する対応する品質指標値との間の相関を示すプロットである。
【
図4C】測定モデルによって決定された対象パラメータの値における絶対誤差と各測定に関連する対応する品質指標値との間の相関を示すプロットである。
【
図4D】測定モデルによって決定された対象パラメータの値における絶対誤差と各測定に関連する対応する品質指標値との間の相関を示すプロットである。
【
図4E】測定モデルによって決定された対象パラメータの値における絶対誤差と各測定に関連する対応する品質指標値との間の相関を示すプロットである。
【
図4F】測定モデルによって決定された対象パラメータの値における絶対誤差と各測定に関連する対応する品質指標値との間の相関を示すプロットである。
【
図5】いくつかのウェハのそれぞれにおけるいくつかの測定部位について算出された品質指標値の分布を示すプロットである。
【
図6】半導体測定の1つ以上の性能特性を示す品質指標の値を推定するための方法300の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、背景の例および本発明のいくつかの実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。
【0033】
本明細書において、半導体測定の1つ以上の性能特性を示す品質指標の値を推定するための方法およびシステムが提示される。品質指標は、実際の測定データ、シミュレートされた測定データ、またはその両方、および参照測定データに基づいて訓練された品質指標モデルから決定される。品質指標モデルは、訓練されると、参照計測を使用することなく、各測定部位でインラインウェハから収集された測定データに基づいて、特定の測定レシピの測定品質を示す定量的な品質指標を算出することを可能にする。品質指標の値は、幅広い測定シナリオにわたる適用可能性を保証するために正規化される。
【0034】
一般に、品質指標の値は、測定の不確実性、訓練データと比較した測定データの異常性、訓練済みの測定モデルを使用して推定された対象パラメータの値の信頼度、ウェハレベルまたはウェハロットレベルでのプロセス変数の調整の必要性を示す。
【0035】
いくつかの実施形態では、品質指標の値は、測定推論中に測定サンプルごとに決定される。これらの実施形態のいくつかでは、半導体測定は、訓練済みの測定モデルを使用して、測定データから1つ以上の対象パラメータの値を推論することを含む。これらの実施形態のいくつかでは、訓練済みの測定モデルは、物理学に基づいている。いくつかの他の実施形態では、訓練済みの測定モデルは、機械学習ベースの測定モデル(例えば、線形モデル、ニューラルネットワークモデル、畳み込みネットワークモデルなど)である。品質指標の推定値が、測定品質が不十分であることを示す場合、その測定はフラグ付けされる。いくつかの例では、不十分な測定品質のインスタンスが繰り返されることは、測定モデルが古く、再訓練が必要であることを示す。
【0036】
いくつかの実施形態では、訓練済みの測定モデルは、測定データから欠陥を検出および分類するように訓練された欠陥分類モデルである。これらの実施形態では、訓練済みの品質指標モデルは、欠陥分類の不確実性を決定するために採用される。これらの実施形態のいくつかでは、測定データは画像データであり、訓練済みの品質指標モデルは、画像データから欠陥検出の不確実性を決定するために採用される。
【0037】
いくつかの実施形態では、訓練済みの測定モデルは、対象となる幾何学的パラメータ(例えば、限界寸法、オーバーレイなど)、対象となる分散パラメータ(例えば、屈折率など)、対象となるプロセスパラメータ(例えば、リソグラフィの焦点、線量など)、対象となる電気的性質(例えば、バンドギャップなど)、またはそれらの任意の組合せを推定するように訓練された計測モデルである。これらの実施形態では、訓練済みの品質指標モデルは、対象となる推定パラメータの不確実性を決定するために採用される。
【0038】
品質指標は、特に、対象となる測定パラメータ、欠陥分類などに関連する不確実性を特徴付けるために採用される場合がある。しかしながら、一般に、品質指標は、様々な他の目的に使用される場合がある。いくつかの例では、品質指標は、測定値の外れ値を検出するためのフィルタとして採用される。一例では、特定の測定に関連する品質指標の値は、所定の閾値と比較される。品質指標値が所定の閾値を超える場合、測定値は外れ値と見なされる。いくつかの例では、品質指標は、半導体プロセスを調整するためのトリガとして採用される。例えば、同じ測定の異なるインスタンスにそれぞれ関連するいくつかの品質指標の平均値が所定の閾値を超える場合、プロセスは、品質指標の平均値を所望の範囲に戻すように調整される。
【0039】
同様に、いくつかの例では、品質指標値は、製造仕様内にないウェハを検出するために採用される。これらの例のいくつかでは、品質指標値は、測定ツールの偏りが仕様から逸脱したことを検出するために採用される。他の例では、品質指標値は、測定誤差の偏りが仕様から逸脱したことを検出するために採用される。
【0040】
図1は、本明細書に提示される例示的な方法による、試験片の特性を測定し、各測定に関連する品質指標を評価するためのシステム100を示す。
図1に示すように、システム100は、構造体101の分光偏光解析測定を実行するために使用されてもよい。この態様では、システム100は、照明器102と分光計104とを備えた分光偏光解析器を含み得る。システム100の照明器102は、選択された波長範囲(例えば、100~2500nm)の照明を生成し、これを構造体101が製作される試験片の表面上に配置された構造体に向けるように構成される。次に、分光計104は、構造体101から反射された照明を受け取るように構成される。照明器102から発生する光は、偏光照明ビーム106を生成するために偏光状態生成器107を使用して偏光されることにさらに留意されたい。構造体101によって反射された放射は、偏光状態分析器109を通過し、分光計104に送られる。収集ビーム108において分光計104によって受け取られた放射は、偏光状態に関して分析され、これにより、分析器を通過した放射の分光計によるスペクトル分析が可能になる。これらのスペクトル111は、本明細書に記載の構造体の分析のためにコンピューティングシステム130に渡される。
【0041】
図1に示すように、システム100は、単一の測定技術(すなわち、SE)を含む。しかしながら、一般に、システム100は、任意の数の異なる測定技術を含み得る。非限定的な例として、システム100は、分光偏光解析器(ミュラー行列偏光解析を含む)、分光反射率計、分光散乱計、オーバーレイ散乱計、角度分解型ビームプロファイル反射率計、偏光分解型ビームプロファイル反射率計、ビームプロファイル反射率計、ビームプロファイル偏光解析器、任意の単一もしくは複数の波長偏光解析器、またはそれらの任意の組合せとして構成され得る。さらに、一般に、異なる測定技術によって収集され、本明細書に記載の方法に従って分析される測定データは、複数のツール、複数の技術を統合する単一のツール、またはそれらの組合せから収集され得る。
【0042】
さらなる実施形態では、システム100は、構造体の測定を実行し、本明細書に記載の方法に従って品質指標値を決定するために採用される1つ以上のコンピューティングシステム130を含み得る。1つ以上のコンピューティングシステム130は、分光計104に通信可能に結合され得る。一態様では、1つ以上のコンピューティングシステム130は、測定中の構造体(例えば、構造体101)の測定に関連する測定データ111を受け取るように構成される。
【0043】
一態様では、コンピューティングシステム130は、測定中の構造体の測定に関連する品質指標モデルを訓練するための測定品質モデル訓練エンジンとして構成される。
図2は、一実施形態における例示的な測定品質モデル訓練エンジン150を示す図である。
図2に示すように、測定品質モデル訓練エンジン150は、任意選択としてのデータ変換モジュール151と、訓練済みの測定モデルモジュール153と、データ再構築モデル訓練モジュール155とを含む。
【0044】
品質指標モデルは、ある量の訓練データおよび参照データに基づいて訓練される。訓練データは、実際の測定データ、シミュレートされた測定データ、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、訓練データは、特定の測定ツールによる特定のターゲットの測定のシミュレーションからのシミュレートされた測定データを含む。いくつかの実施形態では、訓練データは、特定の測定ツールによる特定のターゲットの測定からの実際の測定データを含む。これらの実施形態のいくつかでは、測定データは、公称ウェハ上のターゲットの実際の測定値を含む。これらの実施形態のいくつかでは、測定データは、対象パラメータの既知のプログラムされた値を有する実験計画法(DOE)ウェハ上のターゲットの実際の測定値を含む。
【0045】
訓練データは、様々な測定目的のいずれかのために、シミュレートされるか、収集されるか、またはその両方であってもよい。いくつかの実施形態では、測定目的は、測定の正確度、測定精度の追跡、ツール間のマッチング、ウェハ間の変動などである。
【0046】
前述のように、測定モデルを訓練するには訓練データが必要である。品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データは、対応する測定モデルを訓練するために採用されるデータセットと同じ訓練データセット、対応する測定モデルを訓練するために採用される訓練データセットのサブセット、または対応する測定モデルの訓練に採用される訓練データセットとは異なるデータセットであってもよい。好ましい実施形態では、品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データは、対応する測定モデルを訓練するために採用されるデータセットと同じデータセットまたはサブセットである。
【0047】
品質指標モデルを訓練するために採用される参照データは、測定に関連する1つ以上の対象パラメータの信頼できる値を含む。いくつかの実施形態では、参照データは、参照計測システム、すなわち、対象パラメータの好適な測定値を提供するものと信頼されている計測システムから得られる。いくつかの実施形態では、参照データは、測定システムのユーザによって経験に基づいて提供される。いくつかの実施形態では、参照データは、測定されたDOEウェハに関連する対象パラメータの既知のプログラムされた値として提供される。いくつかの実施形態では、参照データは、複数の異なる測定技法による対象パラメータの測定値の統計的分析から導出される。いくつかの実施形態では、参照データは、既知の物理的制約から導出される。
【0048】
一般に、参照データは、1つ以上の対象パラメータの値を、精度、正確度(例えば、偏り)、追跡(例えば、参照値との相関)、ツール間のマッチング、ウェハ内の変動、ウェハの平均、ウェハのシグネチャ、ウェハ間の変動などの様々な観点で表現する。
【0049】
いくつかの実施形態では、訓練データセットの特徴量は、品質指標モデルを訓練するための入力データとして直接採用される。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、訓練データセットは、削減された次元へと変換され、削減された訓練データセットの特徴量は、品質指標モデルを訓練するために直接採用される。多くの実践的な状況では、計算負荷を軽減するために、訓練データセットの次元を削減することが好ましい。一例では、訓練データとして採用される測定スペクトルのセットは、数千個の特徴量(例えば、15,000個の測定信号)を含み得る。しかしながら、データ削減を使用すると、訓練データセットの次元は、1桁以上(例えば、200個の信号)削減され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、データ特徴量の次元削減は、測定されたデータセットが主成分のより小さいセットに分解される主成分分析によって達成される。一般に、フーリエ解析、ウェーブレット解析、離散コサイン変換解析などの任意の好適なデータ削減技法が採用されてもよい。
【0051】
図2に示すように、訓練データセット157は、データ変換モジュール151によって受け取られる。一例では、データ変換モジュール151は、訓練データセット157の特徴量を、式(1)に示すようにn個の成分を有する主成分のセット152に変換し、ここで、PC
Tは、訓練済みの測定モデルモジュール153およびデータ再構築モデル訓練モジュール155に伝達される訓練データセット152の主成分のベクトルである。
【数1】
【0052】
一態様では、品質指標モデルは、データ再構築モデルのパラメータを訓練することによって訓練される。データ再構築モデルは、測定データセットの各特徴量を、測定データセットの他の特徴量と、測定データセットに基づいて訓練済みの測定モデルによって推定された1つ以上の対象パラメータの値とに基づいて再構築する。
【0053】
一例では、データ再構築モデルが式(2)に示されており、ここで、PCiは測定データセットのi番目の特徴量であり、PCi
*はPCiの再構築された値であり、yは対象となる測定パラメータであり、giは測定データセットのi番目の特徴量に関連する再構築関数であり、Piはi番目の再構築関数に関連する再構築モデル定数である。
【0054】
PC1
*=g1(PC2,PC3,…,PCn,y,y2,y3,y4,P1)])
PC2
*=g2(PC1,PC3,…,PCn,y,y2,y3,y4,P2)]) (2)
…
PCn
*=gn(PC1,PC2,…,PCn-1,y,y2,y3,y4,Pn)])
式(2)に示す例では、測定データセットの各特徴量が主成分である。一般に、再構築関数gは、線形モデル、ニューラルネットワークモデルなど、任意の好適なパラメータ化されたモデルであってもよい。式(2)に示す例では、各主成分再構築は、4次多項式基底までの対象となる測定パラメータと、再構築される主成分を除く測定データセットの主成分と、各再構築関数gの定数パラメータとの関数である。
【0055】
データ再構築モデルは、(データ削減の有無にかかわらず)訓練データセットと、対象パラメータの値yとに基づいて訓練され、どちらも参照測定値から既知であるか、または訓練済みの測定モデルを使用して訓練データセットから算出される。訓練の結果、調整されたモデルパラメータのセット、例えばP
iが得られる。
図2に示すように、訓練済みのデータ再構築モデル156はメモリ132に記憶される。
【0056】
図2に示すように、主成分のセット152は、訓練済みの測定モデルモジュール153に伝達される。訓練済みの測定モデルモジュール153は、訓練済みの測定モデルを使用して、主成分のセット152に基づいて、1つ以上の対象パラメータの値yを決定する。対象パラメータの算出された値154は、データ再構築モデル訓練モジュール155に伝達される。この例では、対象パラメータの値yは、訓練済みの測定モデルを使用して訓練データセットから算出される。代替の例では、対象パラメータの値154は、データ再構築モデル訓練モジュール155に直接伝達される。
【0057】
いくつかの実施形態では、データ再構築モデルは、訓練データセットの各特徴量と対応する再構築された各特徴量との間の差の合計を最小化することによって訓練され、これは典型的には、最小二乗最小化として表される。式(3)は、非限定的な例として、データ再構築モデルの訓練を示す。
【数2】
【0058】
いくつかの他の実施形態では、データ再構築モデルは、訓練データに関連する特定のドメイン知識に基づいて訓練される。ドメイン知識は1つ以上の確率分布として表現され、1つ以上の確率分布は、訓練中に採用される最適化プロセスを正則化するために使用される。このように、最適化プロセスは、物理ベースの確率分布の1つ以上の表現によって物理的に正則化される。非限定的な例として、最適化プロセスを物理的に正則化するために、測定精度、ツール間のマッチング、追跡、ウェハ内の変動などに関連する確率分布が採用される。このように、経験、測定データ、および物理学から得られたドメイン知識は、データ再構築モデルの最適化を促進する目的関数において直接表現される。その結果、ドメイン知識は、品質指標モデルの開発プロセスにおいて十分に活用される。
【0059】
別の態様では、訓練済みの品質指標モデルは、測定データ量に基づいて特定の測定に関連する品質指標の値を決定するために採用される。
【0060】
測定データは、実際の測定データ、シミュレートされた測定データ、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、測定データは、訓練データセットの一部として採用される測定ターゲットとは構造的に異なる1つ以上の測定ターゲットの測定のシミュレーションからのシミュレートされた測定データを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、測定データは、特定の測定ツールによる特定のターゲットの測定からの実際の測定データを含む。典型的には、測定データは、公称ウェハ上のターゲットの実際の測定値を含む。いくつかの実施形態では、ウェハ間の変動を推定するために、複数のウェハから測定データが収集される。いくつかの実施形態では、測定の正確度、精度の追跡、またはその両方を推定するために、DOEウェハから測定データが収集される。いくつかの実施形態では、ツール間のマッチングを推定するために、複数の測定システムによって測定データが収集される。
【0062】
いくつかの実施形態では、測定データセットの特徴量は、訓練済みの品質指標モデルへの入力データとして直接採用される。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、測定データセットは削減された次元に変換され、削減された測定データセットの特徴量が、訓練済みの品質指標モデルへの入力データとして直接採用される。多くの実践的な状況では、計算負荷を軽減するために、測定データセットの次元を削減することが好ましい。一般に、測定データセットを削減するには、訓練データセットを削減するために採用されるものと同じデータ特徴量次元削減技法が採用される。
【0063】
いくつかの実施形態では、データ特徴量の次元削減は、測定されたデータセットが主成分のより小さいセットに分解される主成分分析によって達成される。一般に、フーリエ解析、ウェーブレット解析、離散コサイン変換解析などの任意の好適なデータ削減技法が採用されてもよい。
【0064】
図3に示すように、測定データセット173は、データ変換モジュール161によって受け取られる。一例では、データ変換モジュール161は、訓練データセット173の特徴量を、式(4)に示すようにn個の成分を有する主成分のセット162に変換し、ここで、PCは、訓練済みの測定モデルモジュール163および訓練済みのデータ再構築モジュール165に伝達される測定データセット162の主成分のベクトルである。
【0065】
PC=[PC1,PC2,...,PCn] (4)
【0066】
図3に示すように、主成分のセット162は、訓練済みの測定モデルモジュール163に伝達される。訓練済みの測定モデルモジュール163は、訓練済みの測定モデルを使用して、主成分のセット162に基づいて、1つ以上の対象パラメータの値yを決定する。対象パラメータの算出された値164は、訓練済みのデータ再構築モジュール165に伝達される。例示的な対象パラメータには、測定された構造体を特徴付ける幾何学的パラメータ、分散パラメータ、プロセスパラメータ、または電気パラメータが含まれる。
【0067】
代替として、測定データセット173は、測定された構造体を特徴付ける1つ以上の対象パラメータの値、例えば、yを推定するために、訓練済みの測定モデルによって処理される。
【0068】
データ再構築モデルは、測定データセット(または削減された測定データセット)の各特徴量を、測定データセットの他の特徴量と、測定データセットに基づいて訓練済みの測定モデルによって推定された1つ以上の対象パラメータの値とに基づいて再構築する。一例では、データ再構築モデルが式(2)に示されている。この例では、PCiは測定データセットのi番目の特徴量であり、PCi
*はPCiの再構築された値であり、yは対象となる測定パラメータであり、giは測定データセットのi番目の特徴量に関連する再構築関数であり、Piはi番目の再構築関数に関連する再構築モデル定数のベクトルである。
【0069】
図3に示すように、主成分のセット162および対象パラメータの算出された値164は、訓練済みのデータ再構築モジュール165に伝達される。再構築関数および再構築モデル定数は既知である。訓練済みのデータ再構築モジュール165は、非限定的な例として、式(2)に示すように、訓練済みのデータ再構築モデルを使用して、再構築された測定データセット、例えば、再構築された主成分166の値を決定する。
【0070】
一般に、評価中の測定データが訓練空間に近い場合、各データの特徴量、例えばPCiは、対応する再構築されたデータの特徴量、PCi
*と同様になる。
【0071】
図3に示すように、訓練済みの測定モデルモジュール167は、再構築された測定データセット166を受け取り、訓練済みの測定モデルを使用して、測定された構造体を特徴付ける1つ以上の対象パラメータ168の値、例えば、y
*を推定する。
【0072】
図3に示すように、品質指標モジュール169は、再構築された測定データセットに基づいて決定された1つ以上の対象パラメータ168の値と、測定データセットに基づいて決定された1つ以上の対象パラメータ164の値とを受け取る。生の品質指標値170は、式(5)によって示されるように、対象パラメータの測定値、例えば、yと、再構築された測定データを使用して推定された対象パラメータの値、例えば、y
*との間の絶対差として決定され、ここで、QM
rawは生の品質指標の値である。差は、測定モデルを使用して推定された対象パラメータの値における不確実性を示す。
【0073】
QMraw=|y-y*| (5)
【0074】
図3に示すように、正規化モジュール171は、生の品質指標値170を正規化して、正規化された品質指標値172を生成し、正規化された品質指標値172はメモリ132に記憶される。生の品質指標値のスケールは、層、ツール、測定レシピ、ユースケースなどによって異なる。さらなる態様では、生の品質指標値は、品質指標値の適用可能性を複数のレシピ、ツール、層、ユースケースなどに広げるために正規化される。このように、正規化された品質指標は、幅広い測定シナリオの測定性能の指標である。
【0075】
いくつかの例では、正規化された品質指標値は、0から1までに制限される。このように、正規化された品質指標値は、標準化され、一貫性が保たれる。値が小さいほど信頼性の高い測定値を示し、その逆も同様である。
【0076】
いくつかの実施形態では、生の品質指標値の正規化は、反復的に達成される。第1に、生の品質指標値と、正規化係数の初期値α
0とに基づいて、正規化された品質指標値が決定される。非限定的な例として、式(6)は、生の品質指標値の正規化の第1の反復を示し、ここで、QM
normは正規化された品質指標値であり、QM
rawは生の品質指標値であり、α
0は正規化係数αの初期値であり、QM
criticalは生の品質指標値QM
rawの値の分布の95%の分位値である。式(6)に示すように、QM
normの値は、値0および値1によって制限される。
【数3】
第2に、正規化された品質指標値の分布と、正規化係数の初期値α
0とに基づいて、正規化係数αが更新される。非限定的な例として、式(7)は、正規化係数の値の更新を示し、ここで、αは正規化係数の更新された値であり、α
0は正規化係数αの初期値であり、閾値は定数値、例えば0.8であり、QM
norm-98%は、正規化された品質指標値QM
normの値の分布の98%の分位値である。
【数4】
第3に、生の品質指標値と、正規化係数の更新された値αとに基づいて、正規化された品質指標値が決定される。非限定的な例として、式(8)は、生の品質指標値の正規化の第2の反復を示し、ここで、QM
normは正規化された品質指標値であり、QM
rawは生の品質指標値であり、αは正規化係数の更新された値であり、QM
criticalは、生の品質指標値QM
rawの値の分布の95%の分位値である。式(8)に示すように、QM
normの値は、値0および値1によって制限される。
【数5】
【0077】
図4A~
図4Fは、測定モデルによって決定された対象パラメータの値における絶対誤差と、各測定に関連する対応する品質指標値との間の相関を示すプロットである。
【0078】
これらの例では、対象パラメータの測定値の絶対誤差Errorabsは、対象パラメータの既知の参照値yrefと、シミュレートされた各測定スペクトルから測定モデルによって推定された対象パラメータの値yとの間の絶対差として決定される。
【0079】
Errorabs=|y-yref| (9)
【0080】
各測定値に関連する生の品質指標値QMrawは、式(10)によって示されるように、対象パラメータの測定値、例えば、yと、再構築された測定データを使用して推定された対象パラメータの値、例えば、y*と間の絶対差として決定される。
【0081】
QMraw=|y-y*| (10)
【0082】
図4A~
図4Fはそれぞれ、異なる焦点の値、異なるプロセス条件、および異なる測定条件に対する、絶対誤差と対応する品質指標値との間の相関を示す。
【0083】
図4Aは、下地層の厚さの変動範囲5%と、測定モデルおよび品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データセット内の焦点値の範囲とを含む、100個の異なる測定値に対する絶対誤差と対応する品質指標値との間の相関を示すプロット210を示す。
図4Aに示すように、プロット線211は絶対誤差を示し、プロット線212は対応する品質指標値を示す。
図4Aに示すように、すべての試験条件について、絶対誤差は非常に低く、品質指標の対応する値も同様である。機械学習ベースの測定モデルと品質指標モデルはどちらも、
図4Aに示す測定と同様の訓練データに基づいて訓練されており、したがって、絶対誤差の値および対応する品質指標値が小さいことは、本明細書に記載の品質指標方法論が訓練データの領域内で効果的であることを示す。
【0084】
図4Bは、下地層の厚さの変動範囲10%と、測定モデルおよび品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データセット内外の焦点値の範囲とを含む、100個の異なる測定値に対する絶対誤差と対応する品質指標値との間の相関を示すプロット220を示す。
図4Bに示すように、プロット線221は絶対誤差を示し、プロット線222は対応する品質指標値を示す。
図4Bに示すように、絶対誤差は、試験条件に応じて変動し、対応する品質指標の値も同様である。さらに、すべての試験条件について、品質指標値は絶対誤差とよく相関している。
【0085】
図4Cは、下地層の厚さの変動範囲5%と、1つの層の10%分の平均シフトと、測定モデルおよび品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データセット内外の焦点値の範囲とを含む、100個の異なる測定値に対する絶対誤差と対応する品質指標値との間の相関を示すプロット230を示す。
図4Cに示すように、プロット線231は絶対誤差を示し、プロット線232は対応する品質指標値を示す。
図4Cに示すように、絶対誤差は、試験条件に応じて変動し、対応する品質指標の値も同様である。この場合もやはり、すべての試験条件について、品質指標値は絶対誤差とよく相関している。
【0086】
図4Dは、下地層の厚さの変動範囲5%と、測定モデルおよび品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データセット内外の焦点値の範囲とを含む、100個の異なる測定値に対する絶対誤差と対応する品質指標値との間の相関を示すプロット240を示す。
図4Dに示すように、プロット線241は絶対誤差を示し、プロット線242は対応する品質指標値を示す。
図4Dに示すように、絶対誤差は、試験条件に応じて変動し、対応する品質指標の値も同様である。この場合もやはり、すべての試験条件について、品質指標値は絶対誤差とよく相関している。
【0087】
図4Eは、下地層の厚さの変動範囲5%と、0.1度の入射角のシフトと、測定モデルおよび品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データセット内外の焦点値の範囲とを含む、100個の異なる測定値に対する絶対誤差と対応する品質指標値との間の相関を示すプロット250を示す。
図4Eに示すように、プロット線251は絶対誤差を示し、プロット線252は対応する品質指標値を示す。
図4Eに示すように、絶対誤差は、試験条件に応じて変動し、対応する品質指標の値も同様である。この場合もやはり、すべての試験条件について、品質指標値は絶対誤差とよく相関している。
【0088】
図4Fは、下地層の厚さの変動範囲5%と、測定システムノイズの3倍増と、測定モデルおよび品質指標モデルを訓練するために採用される訓練データセット内外の焦点値の範囲とを含む、100個の異なる測定値に対する絶対誤差と対応する品質指標値との間の相関を示すプロット260を示す。
図4Fに示すように、プロット線261は絶対誤差を示し、プロット線262は対応する品質指標値を示す。
図4Fに示すように、絶対誤差は、試験条件に応じて変動し、対応する品質指標の値も同様である。この場合もやはり、すべての試験条件について、品質指標値は絶対誤差とよく相関している。
【0089】
機械学習ベースの測定モデルと品質指標モデルはどちらも、
図4B~
図4Fに示す測定よりも小さい領域を有する訓練データに基づいて訓練されている。それにもかかわらず、絶対誤差の値と対応する品質指標値はよく相関している。これは、本明細書に記載の品質指標方法論が訓練データの領域外で効果的であることを示している。したがって、本明細書に記載の品質指標方法論を使用して、対象パラメータの測定値における不確実性を検出することができる。
【0090】
図5は、いくつかのウェハのそれぞれにおけるいくつかの測定部位について算出された品質指標値の分布を示すプロット270である。
図5に示すように、各縦棒は、各特定のウェハ上の多数の測定部位について算出された品質指標値の分布の3シグマ値を表す。
図5に示すように、各分布の3シグマ値は非常に小さく、比較的密な分布を示している。結果として、比較的大きい、例えば0.8を超える値の品質指標を有する測定値は、外れ値である可能性がある。
【0091】
別の態様では、本明細書に記載の品質指標モデルを訓練および使用するために採用される訓練データならびに測定データは、ウェハ上に極めて近接して配置された複数のターゲットから、シミュレートされるか、収集されるか、またはその両方である。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の測定中の測定ターゲットは、専用の計測ターゲットではなく、実際のデバイス構造体であってもよい。
【0093】
別の態様では、本明細書に記載の品質指標モデルを訓練および使用するために使用される訓練データおよび測定データは、複数の異なる計測システムによって1つ以上のターゲットから収集される。一例では、第1のターゲットからの測定データは、分光偏光解析器によって収集されてもよく、同じターゲットまたは異なるターゲットからの測定データは、小角X線散乱計測(SAXS:small-angle x-ray scatterometry)システムによって収集されてもよく、同じターゲットまたは異なるターゲットは、イメージングベースの計測システムによって収集されてもよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、測定データを収集して対象パラメータを推定するために採用される計測システムは、測定データを収集して品質指標の値を推定するために採用される計測システムとは異なる。
【0095】
別のさらなる態様では、複数の異なる対象パラメータが測定され、複数の異なる対象パラメータごとに、対応する品質指標が評価される。いくつかの実施形態では、複数の異なる対象パラメータに関連する品質指標は、特定の測定レシピに関連する測定の不確実性をより明確に識別するために、プロセスパラメータの変更がいつ必要とされるかをより明確に識別するために、またはその両方のために採用される。
【0096】
別のさらなる態様では、測定ターゲットに極めて近接する構造体に関連する、対象パラメータの値、対応する品質指標値、またはその両方は、プロセスパラメータの変更がいつ必要とされるかをより明確に識別するために採用される。
【0097】
一般に、本明細書に記載の品質指標モデルを訓練および使用するために採用される訓練データならびに測定データは、任意の好適な半導体測定システムから収集され得る。好適なシステムには、非限定的な例として、分光偏光解析器、分光反射率計、軟X線ベースの計測システム、小角X線散乱計測システム、イメージングシステム、ハイパースペクトルイメージングシステムなどが含まれる。
【0098】
さらに別の態様では、本明細書に記載の測定結果を使用して、プロセスツール(例えば、リソグラフィツール、エッチングツール、堆積ツールなど)に能動的フィードバックを提供することができる。例えば、本明細書に記載の測定方法に基づいて決定された測定パラメータの値をエッチングツールに伝達して、所望のエッチング深さを達成するようにエッチング時間を調整することができる。同様に、エッチングツールまたは堆積ツールにそれぞれ能動的フィードバックを提供するために、エッチングパラメータ(例えば、エッチング時間、拡散率など)または堆積パラメータ(例えば、時間、濃度など)を測定モデルに含めてもよい。いくつかの例では、測定されたデバイスパラメータ値に基づいて決定されたプロセスパラメータに対する修正がプロセスツールに伝達されてもよい。一実施形態では、コンピューティングシステム130が、1つ以上の対象パラメータの値を決定する。さらに、コンピューティングシステム130は、1つ以上の対象パラメータの決定された値に基づいて、制御コマンドをプロセスコントローラに伝達する。制御コマンドは、プロセスコントローラに、プロセスの状態を変更させる(例えば、エッチングプロセスの停止、拡散率の変更など)。一例では、制御コマンドは、プロセスコントローラに、リソグラフィシステムの焦点、リソグラフィシステムの線量、またはその両方を調整させる。別の例では、制御コマンドは、測定されたCDパラメータのウェハ均一性を改善するために、プロセスコントローラにエッチング速度を変更させる。
【0099】
いくつかの例では、測定モデルは、KLA-Tencor Corporation、Milpitas、California、USAから入手可能なSpectraShape(登録商標)光学限界寸法計測システムの要素として実装される。このように、モデルは、作成され、システムによってスペクトルが収集された直後に使用できる状態になる。
【0100】
いくつかの他の例では、測定モデルは、例えば、KLA-Tencor Corporation、Milpitas、California、USAから入手可能なAcuShape(登録商標)ソフトウェアを実装するコンピューティングシステムによって、オフラインで実装される。得られた訓練済みのモデルは、測定を実行する計測システムによってアクセス可能なAcuShape(登録商標)ライブラリの要素として組み込まれてもよい。
【0101】
図6は、少なくとも1つの新規な態様において半導体測定の1つ以上の性能特性を示す品質指標の値を推定する方法300を示す。方法300は、本発明の
図1に示す計測システム100などの計測システムによる実施に好適である。一態様では、方法300のデータ処理ブロックは、コンピューティングシステム130または任意の他の汎用コンピューティングシステムの1つ以上のプロセッサによって実行される事前プログラム済みのアルゴリズムを介して実施され得ることを理解されたい。本明細書では、計測システム100の特定の構造的態様は制限を表すものではなく、単なる例示として解釈されるべきであることを理解されたい。
【0102】
ブロック301において、ある照明放射量が、半導体ウェハの表面上の第1の測定部位に向けられる。
【0103】
ブロック302において、照明放射量に応じて第1の測定部位から収集されたある放射量が検出される。
【0104】
ブロック303において、第1の測定部位から検出された放射量を特徴付ける第1の複数の特徴量が生成される。
【0105】
ブロック304において、1つ以上の対象パラメータの値が推定される。1つ以上のパラメータは、訓練済みの測定モデルに基づいて、検出された放射量の第1の複数の特徴量の値から測定部位を特徴付ける。
【0106】
ブロック305において、第1の複数の特徴量のそれぞれの再構築された値が決定される。第1の複数の特徴量のうちのある特徴量の再構築された値は、訓練済みのデータ再構築モデル、および特徴量の値を除く第1の複数の特徴量のそれぞれの値に基づいて、1つ以上の対象パラメータから決定される。
【0107】
ブロック306において、訓練済みの測定モデルに基づいて、複数の再構築された特徴量の値から、測定部位を特徴付ける1つ以上の対象パラメータの再構築された値が推定される。
【0108】
ブロック307において、第1の複数の特徴量の値から決定された1つ以上の対象パラメータの値と、第1の複数の特徴量の再構築された値から決定された1つ以上の対象パラメータの値との間の差に基づいて、品質指標の値が決定される。
【0109】
さらなる実施形態では、システム100は、本明細書に記載の方法に従って収集された分光測定データに基づいて半導体構造体の測定を実行するために採用される1つ以上のコンピューティングシステム130を含む。1つ以上のコンピューティングシステム130は、1つ以上の分光計、能動光学素子、プロセスコントローラなどに通信可能に結合されてもよい。一態様では、1つ以上のコンピューティングシステム130は、ウェハ104の構造体のスペクトル測定に関連する測定データを受信するように構成される。
【0110】
本開示を通じて記載されている1つ以上のステップは、単一のコンピュータシステム130によって、または代替として複数のコンピュータシステム130によって実行されてもよいことが認識されるべきである。さらに、システム100の異なるサブシステムは、本明細書に記載のステップの少なくとも一部を実行するのに好適なコンピュータシステムを含んでもよい。したがって、前述の説明は、本発明に対する限定と解釈されるべきではなく、単なる例示である。
【0111】
さらに、コンピュータシステム130は、当技術分野で知られている任意の方法で分光計に通信可能に結合されてもよい。例えば、1つ以上のコンピューティングシステム130は、分光計に関連するコンピューティングシステムに結合されてもよい。別の例では、分光計は、コンピュータシステム130に結合された単一のコンピュータシステムによって直接制御されてもよい。
【0112】
システム100のコンピュータシステム130は、有線部分および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって、システムのサブシステム(例えば、分光計など)からデータもしくは情報を受信および/または取得するように構成されてもよい。このように、伝送媒体は、コンピュータシステム130とシステム100の他のサブシステムとの間のデータリンクとして機能してもよい。
【0113】
システム100のコンピュータシステム130は、有線部分および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって、他のシステムからデータもしくは情報(例えば、測定結果、モデリング入力、モデリング結果、参照測定結果など)を受信ならびに/または取得するように構成されてもよい。このように、伝送媒体は、コンピュータシステム130と他のシステム(例えば、メモリオンボードシステム100、外部メモリ、または他の外部システム)との間のデータリンクとして機能してもよい。例えば、コンピューティングシステム130は、データリンクを介して記憶媒体(すなわち、メモリ132または外部メモリ)から測定データを受信するように構成されてもよい。例えば、本明細書に記載の分光計を使用して得られたスペクトル結果は、永続的または半永続的なメモリデバイス(例えば、メモリ132または外部メモリ)に記憶されてもよい。この点に関して、スペクトル結果は、オンボードメモリから、または外部メモリシステムからインポートされてもよい。さらに、コンピュータシステム130は、伝送媒体を介して他のシステムにデータを送信してもよい。例えば、測定モデル、またはコンピュータシステム130によって決定された推定パラメータ値は、外部メモリに伝達および記憶されてもよい。この点に関して、測定結果は、別のシステムにエクスポートされてもよい。
【0114】
コンピューティングシステム130には、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、または当技術分野で知られている任意の他のデバイスが含まれるが、これらに限定されない。一般に、「コンピューティングシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広く定義され得る。
【0115】
本明細書に記載の方法などの方法を実施するプログラム命令134は、ワイヤ、ケーブル、またはワイヤレス伝送リンクなどの伝送媒体を介して伝送されてもよい。例えば、
図1に示すように、メモリ132に記憶されたプログラム命令134は、バス133を介してプロセッサ131に伝送される。プログラム命令134は、コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ132)に記憶される。例示的なコンピュータ可読媒体には、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクもしくは光ディスク、または磁気テープが含まれる。
【0116】
本明細書に記載の「限界寸法」という用語は、構造体の任意の限界寸法(例えば、下部限界寸法、中間限界寸法、上部限界寸法、側壁角、格子高さなど)、任意の2つ以上の構造体間の限界寸法(例えば、2つの構造体間の距離)、および2つ以上の構造体間の変位(例えば、オーバーレイ格子構造体間のオーバーレイ変位など)を含む。構造体には、3次元構造体、パターン形成された構造体、オーバーレイ構造体などが含まれてもよい。
【0117】
本明細書に記載の「限界寸法アプリケーション」または「限界寸法測定アプリケーション」という用語は、任意の限界寸法測定を含む。
【0118】
本明細書に記載の「計測システム」という用語は、限界寸法計測、オーバーレイ計測、焦点/線量計測、および組成計測などの計測アプリケーションを含む、任意の態様で試験片を特徴付けるために少なくとも部分的に採用される任意のシステムを含む。しかしながら、そのような技術用語は、本明細書に記載の「計測システム」という用語の範囲を限定するものではない。さらに、システム100は、パターン形成されたウェハおよび/またはパターン形成されていないウェハの測定のために構成されてもよい。計測システムは、LED検査ツール、エッジ検査ツール、裏面検査ツール、マクロ検査ツール、またはマルチモード検査ツール(1つ以上のプラットフォームからのデータを同時に含む)、および限界寸法データに基づくシステムパラメータの校正から恩恵を受ける任意の他の計測または検査ツールとして構成されてもよい。
【0119】
本明細書では、任意の半導体処理ツール(例えば、検査システムまたはリソグラフィシステム)内で試験片を測定するために使用され得る半導体測定システムについての様々な実施形態が記載されている。「試験片」という用語は、本明細書では、当技術分野で知られている手段によって処理(例えば、印刷、または欠陥について検査)され得るウェハ、レチクル、または任意の他のサンプルを指すために使用されている。
【0120】
本明細書で使用される「ウェハ」という用語は、一般に、半導体材料または非半導体材料で形成された基板を指す。例には、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、およびリン化インジウムが含まれるが、これらに限定されない。このような基板は、一般的に、半導体製造設備において見出され、かつ/または処理されてもよい。いくつかの事例では、ウェハは、基板のみ(すなわち、ベアウェハ)を含んでもよい。代替として、ウェハは、基板上に形成された異なる材料の1つ以上の層を含んでもよい。ウェハ上に形成される1つ以上の層は、「パターン形成されている」場合もあれば「パターン形成されていない」場合もある。例えば、ウェハは、反復可能なパターンフィーチャを有する複数のダイを含んでもよい。
【0121】
「レチクル」は、レチクル製造プロセスの任意の段階のレチクル、または半導体製造設備での使用向けにリリースされている場合もあればリリースされていない場合もある完成したレチクルであってもよい。レチクル、または「マスク」は、一般に、上に実質的に不透明な領域が形成され、あるパターンで構成された、実質的に透明な基板と定義される。基板は、例えば、非晶質SiO2などのガラス材料を含んでもよい。レチクル上のパターンがレジストに転写されるように、リソグラフィプロセスの露光ステップ中に、レジストで覆われたウェハの上にレチクルが配置されてもよい。
【0122】
ウェハ上に形成される1つ以上の層は、パターン形成されている場合もあればパターン形成されていない場合もある。例えば、ウェハは、それぞれが反復可能なパターンフィーチャを有する複数のダイを含んでもよい。このような材料層の形成および処理により、最終的に、完成したデバイスがもたらされ得る。ウェハ上に多くの異なるタイプのデバイスが形成されてもよく、本明細書で使用されるウェハという用語は、当技術分野で知られている任意のタイプのデバイスが製造されているウェハを包含することを意図している。
【0123】
1つ以上の例示的な実施形態において、記載された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せにおいて実装されてもよい。ソフトウェアにおいて実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして記憶または伝送されてもよい。コンピュータ可読媒体には、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体との両方が含まれる。記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であってもよい。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体には、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、もしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ、もしくは他の磁気ストレージデバイス、あるいは、所望のプログラムコード手段を命令もしくはデータ構造の形式で保持または記憶するために使用され得るとともに、汎用もしくは専用のコンピュータ、または、汎用もしくは専用のプロセッサによってアクセスされ得る、任意の他の媒体が含まれてもよい。また、厳密には、任意の接続もコンピュータ可読媒体と呼ばれる。例えば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL:digital subscriber line)、または赤外線、無線、マイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ソフトウェアがウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、マイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)には、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピディスク、およびブルーレイディスクが含まれ、ディスク(disk)は通常、磁気的にデータを再生し、ディスク(disc)は、レーザを用いて光学的にデータを再生する。上記の組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0124】
説明のために特定の具体的な実施形態が上に記載されているが、本特許文書の教示は、一般的な適用可能性を有し、上記の具体的な実施形態に限定されない。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態の様々な特徴の様々な変形、適応、および組合せを実施することができる。