(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】フィルタ保持装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241202BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G21/18 103
(21)【出願番号】P 2021051281
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020169669
(32)【優先日】2020-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】薮田 裕太
(72)【発明者】
【氏名】與五澤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】久保 達哉
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 卓也
(72)【発明者】
【氏名】橋川 ほたる
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-346035(JP,A)
【文献】特開2018-197835(JP,A)
【文献】特開2014-178347(JP,A)
【文献】特開平10-268717(JP,A)
【文献】特開昭61-181513(JP,A)
【文献】特開平10-198152(JP,A)
【文献】実公昭46-018535(JP,Y1)
【文献】特開2003-214270(JP,A)
【文献】実開平02-083017(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/08
B01D 46/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内と装置外とを連通させる開口部にフィルタが設置されたフィルタ保持装置であって、
前記開口部は、装置内から装置外に向かう連通方向に延びる縁部を具備し、
前記フィルタは、前記開口部に設置された状態で、
装置外の側に比べて装置内の側が前記縁部との接触によって前記連通方向に対して交差する方向に圧縮されるとともに、
前記装置外の側の単位体積当たりの重量密度が、
前記装置内の側の単位体積当たりの重量密度に比べて、大きくなることを特徴とするフィルタ保持装置。
【請求項2】
前記フィルタは、
前記開口部に設置されていない単体の状態で、一端側の単位体積当たりの重量密度が、他端側の単位体積当たりの重量密度に比べて、小さくなるように形成されて、
前記一端側が
前記装置内の側に位置して前記他端側が
前記装置外の側に位置するように前記開口部に設置され、
前記他端側に比べて前記一端側が前記縁部との接触によって前記連通方向に対して交差する方向に圧縮されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ保持装置。
【請求項3】
前記フィルタは、
前記開口部に設置されていない単体の状態で、単位体積当たりの重量密度が低い低密度部が前記一端側に形成されて、単位体積当たりの重量密度が高い高密度部が前記他端側に形成された2層構造体であって、
前記高密度部に比べて前記低密度部が前記縁部によって前記交差する方向に圧縮された状態で、前記開口部に設置されたことを特徴とする請求項2に記載のフィルタ保持装置。
【請求項4】
前記縁部は、前記開口部の開口面積が
前記装置外の側から
前記装置内の側に向けて連続的又は段階的に小さくなるように形成されたことを特徴とする
請求項1~請求項3のいずれかに記載のフィルタ保持装置。
【請求項5】
装置内と装置外とを連通させる開口部にフィルタが設置されたフィルタ保持装置であって、
前記開口部は、装置内から装置外に向かう連通方向に延びる縁部を具備し、
前記縁部は、前記開口部の開口面積が装置内の側から装置外の側に向けて連続的又は段階的に小さくなるように形成
され、
前記フィルタは、
前記開口部に設置されていない単体の状態で、単位体積当たりの重量密度が略均一に形成された1層構造体であって、
前記開口部に設置された状態で、前記装置外の側の単位体積当たりの重量密度が、前記装置内の側の単位体積当たりの重量密度に比べて、大きくなることを特徴とするフィルタ保持装置。
【請求項6】
前記フィルタは、前記開口部に設置された状態で、前記連通方向に直交する長手方向における前記連通方向の厚さが、長手方向中央部に比べて長手方向両端部が薄くなることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載のフィルタ保持装置。
【請求項7】
前記フィルタが前記開口部から装置内に脱落するのを制限する制限部を形成したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載のフィルタ保持装置。
【請求項8】
前記制限部は、前記フィルタの前記装置内の側が突き当たるように形成されたことを特徴とする請求項7に記載のフィルタ保持装置。
【請求項9】
前記フィルタが前記開口部から装置外に外れないように前記フィルタに当接可能なストッパ部材が、着脱可能に設置されたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載のフィルタ保持装置。
【請求項10】
前記ストッパ部材は、装置外の側から前記フィルタに当接可能な複数の突起部を具備して、前記複数の突起部を除く部分が前記フィルタに対して隙間をあけて対向するように形成されたことを特徴とする請求項9に記載のフィルタ保持装置。
【請求項11】
前記フィルタは、装置外から着脱されることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載のフィルタ保持装置。
【請求項12】
装置内にトナーが収容されて、像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置であって、
請求項1~請求項11のいずれかに記載のフィルタ保持装置であることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項12に記載の現像装置と前記像担持体とを一体的に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項14】
請求項1~請求項11のいずれかに記載のフィルタ保持装置、請求項12に記載の現像装置、請求項13に記載のプロセスカートリッジ、のうち少なくとも1つを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開口部にフィルタが設置されたフィルタ保持装置と、トナーが収容された現像装置と、プロセスカートリッジと、画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像装置において、装置内の内圧上昇によるトナー飛散を防止することを目的として、現像ケースの上部に形成した開口部にフィルタを設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における現像装置は、装置内の内圧が上昇しそうになっても、装置内の空気が、フィルタが設置された開口部を介して装置外に排出されるため、内圧上昇が抑止される。そして、そのように装置内の空気が装置外に排出されるときに、装置内で浮遊していたトナーが空気とともに装置外に排出されそうになっても、そのトナーがフィルタによって捕集されるため、装置外へのトナー飛散が抑止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、フィルタの側方から装置内のトナー(捕集対象体)が空気(排出対象体)とともに漏出してしまう可能性があった。そのような場合には、フィルタの機能が充分に発揮されずに、装置外にトナー(捕集対象体)が飛散しまうことになる。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置内の排出対象体が捕集対象体とともに装置外に排出されてしまう不具合が軽減される、フィルタ保持装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるフィルタ保持装置は、装置内と装置外とを連通させる開口部にフィルタが設置されたフィルタ保持装置であって、前記開口部は、装置内から装置外に向かう連通方向に延びる縁部を具備し、前記フィルタは、前記開口部に設置された状態で、装置外の側に比べて装置内の側が前記縁部との接触によって前記連通方向に対して交差する方向に圧縮されるとともに、前記装置外の側の単位体積当たりの重量密度が、前記装置内の側の単位体積当たりの重量密度に比べて、大きくなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置内の排出対象体が捕集対象体とともに装置外に排出されてしまう不具合が軽減される、フィルタ保持装置、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図4】(A)現像装置の開口部にフィルタが設置された状態を示す拡大断面図と、(B)現像装置の開口部にフィルタが設置される前の状態を示す拡大断面図と、である。
【
図5】別形態としてのフィルタを示す断面図である。
【
図6】変形例1としての、現像装置の開口部にフィルタが設置された状態を示す拡大図である。
【
図7】変形例2としての、現像装置の開口部にフィルタが設置された状態を示す拡大図である。
【
図8】変形例3としての、現像装置の開口部にフィルタが設置された状態を示す拡大図である。
【
図9】変形例4としての、(A)フィルタを長手方向と短手方向とに示す拡大図と、(B)現像装置の開口部にフィルタが設置された状態を長手方向に示す拡大図と、である。
【
図10】変形例5としての、現像装置の開口部にフィルタが設置された状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するようにフィルタ保持装置(フィルタ付き装置)としての現像装置26(
図2参照)が設置されている。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
また、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、80はクリーニング装置23(
図2参照)や中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーが廃トナーとして回収される廃トナー回収容器、を示す。
【0012】
ここで、
図2をも参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム21、帯電装置22、クリーニング装置23、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0013】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(
図2参照)の表面に向けて照射される。
【0014】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、
図1、
図2の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電装置22(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光の照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0015】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0016】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0017】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、クリーニング装置23との対向位置に達する。そして、クリーニング装置23で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置23で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
その後、感光体ドラム21の表面は、除電装置の位置で残留電位が除電されて、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置81の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置81に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
なお、中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
【0019】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0020】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0021】
次に、
図2及び
図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、画像形成装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0022】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電装置22と、クリーニング装置23と、がケースに一体的に収納されている。
感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電装置22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電装置22(帯電ローラ)に電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
クリーニング装置23には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25a及びクリーニングローラ25bが設置されている。クリーニングブレード25aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム21表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。クリーニングローラ25bは、芯金上にブラシ毛が周設されたブラシローラである。
【0023】
図2、
図3に示すように、現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26a、現像ローラ26aに対向する第1搬送スクリュ26b1(第1搬送部材)、仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1に対向する第2搬送スクリュ26b2(第2搬送部材)、現像ローラ26aに対向して現像ローラ26a上に担持された現像剤の量を規制するドクターブレード26c(現像剤規制部材)、等で構成される。
なお、本実施の形態における現像装置26は、フィルタ26t(トナーフィルタ)を保持するフィルタ保持装置としても機能するが、これについては後で詳しく説明する。
【0024】
現像装置26内には、キャリアとトナーとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
現像ローラ26aは、感光体ドラム21に対して微小なギャップをあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ26aは、
図3に示すように、内部に固設されてローラ外周面上に複数の極(磁極)を形成するマグネット26a1と、マグネット26a1の周囲を回転するスリーブ26a2と、で構成される。
【0025】
搬送部材としての搬送スクリュ26b1、26b2は、現像装置26の内部に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路(
図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ26b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ26b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材26e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の長手方向両端部は互いに連通口26f、26gを介して連通している。具体的に、
図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口26fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口26gを介して連通している。すなわち、仕切部材26eは、長手方向両端部を除く位置に配設されている。
第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ26aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)は仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ26b1は、現像剤を長手方向に搬送しながら、現像ローラ26aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ26aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ26b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、補給口26dから補給されたフレッシュなトナーと、を長手方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、いずれも、回転軸にスクリュ部が巻装されたものである。
【0026】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに詳しく説明する。
現像ローラ26aは、
図2中の矢印方向に回転している。現像装置26内の現像剤は、
図3に示すように、間に仕切部材26eを介在するように配設された第1搬送スクリュ26b1及び第2搬送スクリュ26b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路を経て補給口26dから補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(
図3中の破線矢印方向の循環である。)。
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ26a上に形成された剤汲上げ極によって、キャリアとともに現像ローラ26a上に汲み上げられる。現像ローラ26a上に担持された現像剤は、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード26cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ26a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム21上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ26a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ26aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ26aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0027】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置26内のトナーの消費にともない、トナー補給経路(不図示)を経由して補給口26dから現像装置26内に適宜に補給されるものである。現像装置26内のトナーの消費は、現像装置26内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサ(不図示)によって検知される。
また、補給口26dは、第2搬送スクリュ26b2の長手方向(
図3の左右方向である。)の一端であって、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0028】
以下、本実施の形態において特徴的な、フィルタ保持装置としての現像装置26の構成・動作について詳しく説明する。
図2、
図4(A)等を参照して、本実施の形態における現像装置26は、装置内と装置外とを連通させる開口部26k1にフィルタ26tが設置されたフィルタ保持装置としても機能している。
詳しくは、現像装置26の現像ケース26k(筐体)の天井部には、内外に貫通する開口部26k1(通気路)が形成されている。そして、その開口部26k1を塞ぐようにフィルタ26tが設けられている。フィルタ26tは、粉体としてのトナーを捕集して通気するためのものである。
換言すると、現像装置26の内部から外部に向けて空気を送出するための開口部26k(通気路)が、現像ケース26kに形成されている。そして、その開口部26kを取付け部として、フィルタ26tが設置されている。このフィルタ26tは、トナーTやキャリアCの粒径よりも小さなメッシュからなり、空気のみが通過できるように形成されている。
なお、本実施の形態では、開口部26k1は略矩形に開口しており、フィルタ26t(単体の状態のものである。)は略長方体状に形成されている。
【0029】
ここで、現像領域の下流側における現像ローラ26aと現像ケース26kとのギャップH(ケーシングギャップ)は、0.6~1.0mmの範囲内になるように設定されている。
ケーシングギャップHが0.6mmより小さくなってしまうと、現像ローラ26aに担持された現像工程後の現像剤が、現像ローラ26aと現像ケース26kとのギャップHにスムーズに搬送されずに、そこから溢れて現像装置26の外部に漏出してしまいやすくなる。
これに対して、ケーシングギャップHが1.0mmより大きくなってしまうと、現像ローラ26aに担持された現像剤が現像ケース26kの内周面に摺接しにくくなって、ポンプ作用による現像装置26の内部に向けての吸込み気流が形成されにくくなり、現像装置26からのトナー飛散(現像領域の周囲へのトナー飛散である。)が生じやすくなってしまう。
ケーシングギャップHを適正な範囲に維持することで、現像剤の漏出やトナー飛散を軽減することができる。
さらに、上述したケーシングギャップHにおける吸込み気流によって、現像装置26の内圧は高まる傾向にあり、内圧が高まってしまうと現像装置26の隙間からトナー飛散が生じてしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、フィルタ26tが設置された開口部26k1が設けられているため、トナーを捕集して外部への飛散を防止しながら通気のみをおこなって、現像装置26の内圧の上昇を抑えている。すなわち、現像装置26の内圧の上昇によるトナー飛散を防止している。
【0030】
ここで、本実施の形態において、フィルタ26tは、開口部26k1に設置された状態で、装置外の側(
図4(B)の上方である。)の単位体積当たりの重量密度が、装置内の側(
図4(B)の下方である。)の単位体積当たりの重量密度に比べて、大きくなる。
詳しくは、フィルタ26tは、開口部26k1に設置されていない単体の状態(
図4(B)の状態である。)で、一端側(
図4(B)の下方である。)の単位体積当たりの重量密度が、他端側(
図4(B)の上方である。)の単位体積当たりの重量密度に比べて、小さくなるように形成されている。
すなわち、フィルタ26tは、外力が作用しない単体の状態で、単位体積当たりの重量密度が、均一ではなくて、通気方向(連通方向)に重量密度が低い部分と高い部分とが形成されている。さらに換言すると、フィルタ26tは、単位体積当たりの重量密度の勾配を有している。
【0031】
さらに具体的に、本実施の形態において、フィルタ26tは、開口部26kに設置されていない単体の状態で、単位体積当たりの重量密度が低い低密度部26t2が一端側に形成されて、単位体積当たりの重量密度が高い高密度部26t1が他端側に形成された2層構造体である。
すなわち、フィルタ26tにおいて、一端側の低密度部26t2は、目が粗くて比較的ふわふわした状態で、他端側の高密度部26t1は、目が詰まった状態になっている。したがって、本実施の形態におけるフィルタ26tは、単体の状態では、低密度部26t2のトナー捕集力に比べて高密度部26t1のトナー捕集力が高くなる。
【0032】
ここで、本実施の形態における現像装置26において、開口部26k1には、装置内から装置外に向かう連通方向(通気方向であって、
図2、
図4(A)の上下方向である。)に延びる縁部26k10(壁部)が形成されている。
そして、フィルタ26tは、一端側(重量密度が低い側である。)が装置内の側(
図4(A)の下方である。)に位置して、他端側(重量密度が高い側である。)が装置外の側(
図4(A)の上方である。)に位置するように、開口部26k1に設置される。そして、開口部26k1に設置されたフィルタ26tは、一端側(重量密度が低い側である。)が縁部26k10との接触によって連通方向に対して交差する方向(
図4(A)の黒矢印方向である。)に圧縮される。
具体的に、
図4(A)に示すように、フィルタ26tは、低密度部26t2が縁部26k10によって
図4(A)の黒矢印方向(交差する方向)に圧縮された状態で、開口部26k1に設置される。
なお、
図4(A)では、フィルタ26t(低密度部26t2)が圧縮されて開口部26k1に設置(嵌合)された状態を2次元的に図示した。しかし、実際には、フィルタ26t(低密度部26t2)は、略矩形の縁部26k10との接触によって四方から圧縮されている。
【0033】
さらに詳しくは、
図4(B)に示すように、フィルタ26tは、単体の状態では交差方向の長さNが、開口部26k1の開口幅M1、M2(交差方向の長さ)よりも大きく設定されている(N>M1>M2)。
そして、
図4(A)に示すように、フィルタ26tは、開口部26k1の形状に合わせて圧縮された状態で、開口部26k1に密着して設置されることになる。具体的に、開口部26k1に設置されたフィルタ26tは、高密度部26t1も多少は圧縮されることになるが、低密度部26t2が高い圧縮率で圧縮されることになる。そして、フィルタ26tは、そのように開口部26k1に設置された状態であっても、高密度部26t1の単位体積当たりの重量密度が、低密度部26t2の単位体積当たりの重量密度に比べて、大きくなっている。
【0034】
このように、本実施の形態における現像装置26では、フィルタ26tの装置外の側の単位体積当たりの重量密度が装置内の側のものに比べて大きくなっているため、フィルタ26tの側方(開口部26k1との間である。)から現像装置26内の空気(排出対象体)がトナー(捕集対象体)とともに漏出してしまう不具合が軽減される。また、本実施の形態では、フィルタ26tが開口部26k1に密着して設置されるため、そのような不具合がさらに軽減される。したがって、先に説明したフィルタ26tの機能が充分に発揮されて、現像装置26の外部にトナー(捕集対象体)が飛散しまう不具合などが軽減される。
特に、フィルタ26tは、単位体積当たりの重量密度が低くて圧縮されやすい部分が形成されているため、少なくともその部分における開口部26k1における密着性は確保されることになり、上述した効果が発揮されやすくなる。
また、通気方向(連通方向)の上流側から下流側にかけて重量密度が高くなるようにフィルタ26tを形成することで、現像装置26の内部から外部に向けての空気の流れが形成されやすくなる。そのため、現像装置26の内圧上昇が効率的に抑止されることになるとともに、フィルタ26tの全体的なトナー捕集性を高めることができて、さらにフィルタ26tの目詰まりが生じにくくなる。
なお、フィルタ26tは、開口部26k1に設置された状態(実使用状態)では、単位体積当たりの重量密度が低い部分(低密度部26t2)が圧縮されて重量密度が高められることになるが、単位体積当たりの重量密度が高い部分(高密度部26t1)ほどには高められることはない。
【0035】
ここで、本実施の形態において、開口部26kの縁部26k10は、開口部26k1の開口面積が装置外の側から装置内の側に向けて(
図4(A)の上方から下方に向けて)、連続的に小さくなるように形成されている。
すなわち、縁部26k10は、空気が装置外に排出される排出方向(通気方向)に対して、排出方向上流側から排出方向下流側に向けて、開口中央部から遠ざかるように傾斜している(傾斜面が形成されている。)。
このように縁部26k10を構成することで、圧縮しやすい低密度部26t2を高い圧縮率で圧縮することが可能になり、開口部26k1に対する密着性を高めることができる。また、フィルタ26tを現像装置26の外部から組み付けやすくなるし、フィルタ26tを現像装置26から取り外しやすくなる。
また、縁部26k10の傾斜の下端が、フィルタ26tが現像装置26内に脱落するのを防止する制限部として機能することになる。
【0036】
本実施の形態では、フィルタ26tは、現像装置26の外部(装置外)から着脱されるように構成されている。
また、本実施の形態における現像装置26は、フィルタ26tが開口部26k1(縁部26k10)から装置外に外れないようにフィルタ26tの装置外側(重量密度が高い部分であって、高密度部26t1である。)に当接可能なストッパ部材26rが、着脱可能に設置されている。
【0037】
具体的に、フィルタ26tの装着時には、
図4(B)に示すように、現像装置26(開口部26k1)の上方からフィルタ26を白矢印方向に移動させて、
図4(A)に示すように、開口部26k1にフィルタ26tを嵌め込むことになる。そして、フィルタ26tが上方に外れてしまう不具合を防止するために、フィルタ26tを上方から押えるようにストッパ部材26rが現像ケース26kにネジ90によって固定される(ネジ締結される)。
なお、本実施の形態では、ストッパ部材26rとして、内側に開口を有する板状部材を用いたが、ストッパ部材26rはフィルタ26の機能を損なわないものであればこれに限定されることなく、例えば、ストッパ部材26rとして、網目の粗い網状部材を用いることもできる。
また、本実施の形態では、略長方体状のフィルタ26tを用いたが、フィルタ26tの形状はこれに限定されることなく、例えば、傾斜面を有する縁部26k10の形状に合わせて、フィルタ26tを四角錐状に形成しても良い。
【0038】
なお、本実施の形態では、フィルタ26tとして、高密度部26t1と低密度部26t2とからなる2層構造のものを用いた。
これに対して、
図5に示すように、フィルタ26tとして、開口部26k1に設置されていない単体の状態で、単位体積当たりの重量密度が一端側(装置内の側)から他端側(装置外の側)に向けて
図5の矢印方向に漸増するように形成されたものを用いることもできる。
すなわち、このようなフィルタ26tは、通気方向(排気方向)に沿って、単位体積当たりの重量密度が徐々に高くなるように形成されたものとなる。具体的に、
図5に示すフィルタ26tは、一端側の目が粗くて比較的ふわふわした状態で、他端側に向かうにつれて目が詰まった状態になる。
このようなフィルタ26tは、例えば、単位体積当たりの重量密度が異なる複数の層を積層することで製造することができる。
【0039】
<変形例1>
図6に示すように、変形例1における現像装置26は、開口部26k1の縁部26k11、26k12が、開口部26k1の開口面積が装置外の側から装置内の側に向けて段階的に小さくなるように形成されている。
詳しくは、開口部26k1は、装置外の側(
図6の上側である。)に開口面積が大きな第1の縁部26k11が形成されて、装置内の側(
図6の下側である。)に開口面積が小さな第2の縁部26k12が形成された2段状のものである。
そして、変形例1において、フィルタ26tは、その高密度部26t1が第1の縁部26k11に嵌合して、その低密度部26t2が第2の縁部26k12に接触して黒矢印方向に圧縮されるように設置される。
このように構成した場合にも、現像装置26内の空気がトナーとともにフィルタ26tを介さずに装置外に排出されてしまう不具合を軽減することができる。また、変形例1のように、縁部26k11、26k12を段階的に開口面積が小さくなるように形成した場合にも、
図4(A)に示すように縁部26k10を連続的に開口面積が小さくなるように形成した場合と同様に、装置外からの開口部26k1への着脱操作性が向上するとともに、縁部26k11、26k12の段差によりフィルタ26tが装置内に脱落しにくくなる。
【0040】
<変形例2>
図7に示すように、変形例2における現像装置26は、フィルタ26tが開口部26k1(縁部26k10)から装置内に脱落するのを制限する制限部26k15が形成されている。
詳しくは、現像ケース26kにおける開口部26k1(縁部26k10)には、その下方に、開口を狭める方向に突出する制限部26k15が形成されている。
この制限部26k15は、フィルタ26tの一端側(重量密度が低い部分であって、低密度部26t2である。)が突き当たるように形成されている。
このように制限部26k15を設けることで、開口部26k1に設置されたフィルタ26tが現像装置26の内部に落っこちてしまう不具合を防止することができる。また、開口部26k1におけるフィルタ26tの上下方向の位置を定めやすくなる。
【0041】
<変形例3>
図8に示すように、変形例3における現像装置26にも、フィルタ26tが開口部26k1(縁部26k10)から装置外に外れないように、フィルタ26tの装置外側(重量密度が高い部分であって、高密度部26t1である。)に当接可能なストッパ部材26r(フィルタカバー)が、着脱可能に設置されている。
ここで、変形例3におけるストッパ部材26rは、装置外の側からフィルタ26t(高密度部26t1)に当接可能な複数の突起部26r1(リブ)が設けられている。具体的に、突起部26r1は、板状の部分(環状の板状部材ではなく、穴部は設けられていない。)から下方に突出するように形成されている。また、突起部26r1は、略長方体のフィルタ26tをバランス良く押えるように、長手方向と短手方向とにそれぞれ間隔をあけて少なくとも4つ設けられている。
そして、ストッパ部材26rは、複数の突起部26r1を除く部分が、フィルタ26tに対して隙間をあけて対向するように形成されている。そして、現像装置26内からフィルタ26tを通過した空気が、このストッパ部材26rとフィルタ26tとの隙間から装置外に排気されることになる。
このように複数の突起部26r1が設けられたストッパ部材26rでフィルタ26tの中央部を押えることで、現像装置26内から排出される空気によってフィルタ26rの中央部が浮き上がってしまう不具合が軽減される。
なお、ストッパ部材26rは、上述した隙間からの排気を妨げないように、その板状の部分の外縁の一部(例えば、四隅である。)のみが、パッチン止めなどにより現像装置26に着脱可能に係止されることが好ましい。
【0042】
<変形例4>
図9(A)に示すように、変形例4における現像装置26に設置されるフィルタ26tも、単体の状態で、略長方体状に形成されている。具体的に、フィルタ26tは、単体の状態で、厚さ(連通方向の厚さ)がZ1、長手方向(連通方向に直交する長手方向)の長さがD、短手方向(連通方向に直交する短手方向)の長さがN、となる長方体である。
ここで、変形例4において、フィルタ26tは、開口部26k1(現像装置26)に設置された状態で、連通方向に直交する長手方向における連通方向の厚さが、長手方向中央部に比べて長手方向両端部が薄くなる。
すなわち、
図9(B)に示すように、開口部26k1に設置されたフィルタ26tを長手方向(
図2の紙面垂直方向に対応する方向である。)に見たときに、フィルタ26tは、長手方向中央部の厚さZ1に比べて、長手方向両端部の厚さZ2が小さくなる(Z1>Z2)。
詳しくは、変形例4における現像装置26において、開口部26k1は、長手方向に見たときに、装置外の側(
図9(B)の上側である。)に開口幅D´(フィルタ26tの長手方向長さDと同等か若干小さな長さである。)が大きな第1の縁部26k11が形成されて、装置内の側(
図9(B)の下側である。)に開口幅が小さな第2の縁部26k12が形成された2段状のものである。また、第1の縁部26k11の深さZ2(連通方向の長さ)は、フィルタ26tの厚さZ1よりも小さく設定されている(Z2<Z1)。
したがって、このように2段状の開口部26k1に設置されたフィルタ26tは、長手方向両端部が段差の部分によって上下左右方向に押し潰された状態になる。これにより、フィルタ26tの長手方向の長さDの寸法公差が大きい場合であっても、上述した開口部26k1の段差によって長手方向両端部が確実に潰されて開口部26k1に密着することになる。そのため、現像装置26内の空気がトナーとともに、開口部26k1とフィルタ26tとの間から装置外に排出されてしまう不具合を軽減することができる。
なお、変形例4において、開口部26k1に設置されたフィルタ26tを短手方向(
図2の左右方向に対応する方向である。)に見たときに、フィルタ26tは、
図4(A)に示すように形成された開口部26k1(テーパ状に形成された縁部)に、下方が寸法M2(<M1≦N)に短手方向に圧縮された状態で設置されている。このように、フィルタ26tの長手方向両端部のみ上下方向(厚さ方向)に潰して、短手方向両端部は上下方向(厚さ方向)に潰さないように構成したのは、短手方向を上下方向に潰してしまうと、低密度部26t2の圧縮の程度が大きくなり過ぎてフィルタ機能が低下してしまう可能性があるためである。
【0043】
<変形例5>
図10に示すように、変形例5における現像装置26は、縁部26k10が、開口部26k1の開口面積が装置内の側から装置外の側に向けて連続的に小さくなるように、テーパ状に形成されている。
また、変形例5において、フィルタ26tは、高密度部26t1と低密度部26t2とからなる2層構造体のものではなくて、単位体積当たりの重量密度が略均一に形成された1層構造体のものである。
このように縁部26k10(開口部26k1)を構成した場合、フィルタ26tは、2層構造体のものはもちろんのこと、1層構造体のものであっても、開口部26k1に設置された状態で、装置外側の単位体積当たりの重量密度が装置内側のものに比べて大きくなる。すなわち、開口部26k1に設置されたフィルタ26tは、装置外側の圧縮の程度が装置内側に比べて大きくなる。
そのため、フィルタ26tの側方(開口部26k1との間である。)から現像装置26内の空気(排出対象体)がトナー(捕集対象体)とともに漏出してしまう不具合が軽減される。また、本実施の形態では、フィルタ26tが開口部26k1に密着して設置されるため、そのような不具合がさらに軽減される。したがって、フィルタ26tの機能が充分に発揮されて、現像装置26の外部にトナーが飛散しまう不具合などが軽減される。
また、通気方向(連通方向)の上流側から下流側にかけて重量密度が高くなるようにフィルタ26tが設置されることで、現像装置26の内部から外部に向けての空気の流れが形成されやすくなる。そのため、現像装置26の内圧上昇が効率的に抑止されることになるとともに、フィルタ26tの全体的なトナー捕集性を高めることができて、さらにフィルタ26tの目詰まりが生じにくくなる。
なお、変形例5においても、縁部26k10が、開口部26k1の開口面積が装置内側から装置外側に向けて段階的に小さくなるように、段状に形成することができる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置26は、装置内と装置外とを連通させる開口部26k1にフィルタ26tが設置されたフィルタ保持装置である。そして、開口部26k1は、装置内から装置外に向かう連通方向に延びる縁部26k10が設けられている。フィルタ26tは、開口部26k1に設置された状態で、装置外の側の単位体積当たりの重量密度が、装置内の側の単位体積当たりの重量密度に比べて、大きくなる。
これにより、現像装置26内の空気(排出対象体)がトナー(捕集対象体)とともに装置外に排出されてしまう不具合を軽減することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0046】
また、本実施の形態では、2つの搬送スクリュ26b1、26b2(搬送部材)が水平方向に並設されていて、ドクターブレード26cが現像ローラ26aの下方に配置された現像装置26に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の構成はこれに限定されることなく、例えば、3つ以上の搬送部材が水平方向に並設された現像装置や、複数の搬送部材が上下方向に並設されている現像装置や、ドクターブレードが現像ローラの上方に配置された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた現像装置26に対して、本発明を適用した。これに対して、トナー(外添剤等も含む。)のみからなる1成分現像剤を用いた現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、フィルタ保持装置としての現像装置26に対して本発明を適用したが、本発明が適用されるフィルタ保持装置はこれに限定されることなく、例えば、トナー容器70、廃トナー回収容器80、クリーニング装置23、中間転写ベルトクリーニング装置81、トナー補給装置、トナー搬送装置、など、内部にトナーなどの粉体が収容されたもののすべてに適用することができる。
また、本実施の形態では、捕集対象体としてのトナーを捕集して、排出対象体としての空気を装置外に排出するように構成されたフィルタ保持装置としての現像装置26に対して本発明を適用したが、本発明が適用されるフィルタ保持装置(排出対象体と捕集対象体との組み合わせ)は、これに限定されることはない。例えば、捕集対象体としてのオゾンを捕集して、排出対象体としての空気(オゾンを含まない空気)を装置外に排出するように構成されたフィルタ保持装置としての画像形成装置本体1に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(像担持体)、
26 現像装置(フィルタ保持装置)、
26a 現像ローラ(現像剤担持体)、
26k 現像ケース、
26k1 開口部(通気路)、
26k10 縁部(壁部)、
26k11、26k12 縁部、
26k15 制限部、
26t フィルタ、
26t1 高密度部、 26t2 低密度部、
26r ストッパ部材。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】