(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】新規な化合物、それを含むコーティング組成物、それを用いた有機発光素子、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 211/61 20060101AFI20241202BHJP
C07C 217/94 20060101ALI20241202BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20241202BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20241202BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20241202BHJP
C09D 5/22 20060101ALI20241202BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20241202BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20241202BHJP
H10K 71/12 20230101ALI20241202BHJP
【FI】
C07C211/61 CSP
C07C217/94
C09K11/06 690
C09D7/63
C09D201/00
C09D5/22
H10K85/60
H10K50/17
H10K71/12
(21)【出願番号】P 2023526124
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2021019282
(87)【国際公開番号】W WO2022149756
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0003017
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミンソブ・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ドンファン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジュ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ドゥファン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533653(JP,A)
【文献】特開2018-177842(JP,A)
【文献】特開2019-057484(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204079(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0111968(KR,A)
【文献】特開平11-144875(JP,A)
【文献】国際公開第2016/006710(WO,A1)
【文献】特開平7-72639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C211/57-211/61
C07C217/00-217/94
C09K 11/06- 11/07
C09D 4/00
C09D 5/22
H05B 33/00- 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00- 99/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1において、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合
;アルキレン基;また
はアリーレン基であり、
L3及びL4はそれぞれ直接結合であり、
L5は
、直接結合;また
はアリーレン基であり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素
又は重水
素であり、
Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して
、アルキル基;また
はアリール基であり、
Ar1
はアリール基であり、
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して
、-Y-Aであ
り、
Yは直接結合
またはO
であり、
Aは硬化性基であり、
前記硬化性基は、下記の構造:
【化2】
から選択されるいずれかであり、
r1およびr4はそれぞれ0~4の整数であり、
r2およびr3はそれぞれ0~3の整数であり、
m1+m2は2~10の整数であり、
m3~m5はそれぞれ
1であり、
m6は0~5の整数であり、
f1およびf2はそれぞれ0~5の整数であり、f1+m1は5以下であり、f2+m2は5以下であり、
かつ
r1~r4がそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異な
る。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式2で表されるものである、請求項1に記載の化合物:
【化3】
前記化学式2において、
L1~L5、R1~R4、Af1、Af2、Ar1、X1、X2、r1~r4、m1~m6、f1およびf2は化学式1で定義したとおりである。
【請求項3】
前記化学式1は、下記化学式31~33のいずれかで表される、請求項1に記載の化合物:
【化4】
【化5】
前記化学式31~33において、L1~L5、R1~R4、Af1、Af2、Ar1、X1、X2、r1~r4およびm1~m6は化学式1で定義したとおりである。
【請求項4】
前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合
;ブチレン基
;フェニレン基;また
はビフェニリレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記L5は、直接結合
;フェニレン基
;ビフェニリレン基;また
はターフェニリレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して
、メチル基;また
はフェニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記Ar1は
、フェニル基
;ビフェニル基;また
はターフェニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化学式1は、下記化合物からなる群から選択されるいずれかである、請求項1に記載の化合物:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【請求項9】
請求項
1~8のいずれか一項に記載の化合物を含む、コーティング組成物。
【請求項10】
第1電極;
第2電極;および
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる1層以上の有機物層を含み、
前記1層以上の有機物層のうち1層以上は、請求項
9に記載のコーティング組成物またはその硬化物を含む、有機発光素子。
【請求項11】
前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は、正孔注入層である、請求項
10に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記1層以上の有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子注入および輸送層を含み、
前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は、正孔注入層である、請求項
10に記載の有機発光素子。
【請求項13】
第1電極を準備する段階;
前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成する段階;および
前記1層以上の有機物層上に第2電極を形成する段階を含み、
前記1層以上の有機物層を形成する段階は、請求項
9に記載のコーティング組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階を含む、有機発光素子の製造方法。
【請求項14】
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成する段階は、
前記第1電極または1層以上の有機物層上に前記コーティング組成物をコーティングする段階;および
前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理する段階を含む、請求項
13に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年1月11日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許第10-2021-0003017号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、新規な化合物、前記化合物を含むコーティング組成物、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光現象は、特定の有機分子の内部プロセスによって電流が可視光に切り替えられる例の一つである。有機発光現象の原理は次のとおりである。アノードとカソードとの間に有機物層を位置させたときに両電極の間に電流を流すと、カソードとアノードからそれぞれ電子と正孔が有機物層に注入される。有機物層に注入された電子と正孔は再結合してエキシトン(exciton)を形成し、このエキシトンが再び基底状態に落ちることで光が出る。このような原理を利用する有機発光素子は、一般にカソードとアノードおよびその間に位置する有機物層、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層などで構成され得る。
従来、有機発光素子を製造するために蒸着工程を主に使用してきた。しかし、蒸着工程で有機発光素子を製造する際に、材料の損失が多く発生するという問題点と大面積の素子を製造することが難しいという問題点があり、これを解決するために、溶液工程を用いた素子が開発されつつある。
したがって、溶液工程用材料に対する開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国特許公開公報第10-2000-0051826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規な化合物、それを含むコーティング組成物、それを含む有機発光素子、またはその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のアルキレン基;または置換または非置換のアリーレン基であり、
L3~L5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換のアリーレン基であり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;または置換または非置換のヘテロアリール基であり、
Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基;または置換または非置換のアリール基であり、
Ar1は置換または非置換のアリール基であり、
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、-(R101)s;または-Y-Aであり、X1およびX2の少なくとも1つは-Y-Aであり、
R101は、水素;重水素;ハロゲン基;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;または置換または非置換のアリールオキシ基であり、
sは0~5の整数であり、sが2以上の場合、2以上のR101は互いに同一または異なり、
Yは直接結合、OまたはSであり、
Aは硬化性基であり、
r1およびr4はそれぞれ0~4の整数であり、
r2およびr3はそれぞれ0~3の整数であり、
m1+m2は2~10の整数であり、
m3~m5はそれぞれ0~2の整数であり、
m6は0~5の整数であり、
f1およびf2はそれぞれ0~5の整数であり、f1+m1は5以下であり、f2+m2は5以下であり、
r1~r4がそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
m3~m5がそれぞれ2である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0007】
本発明の他の一実施態様は、前記化合物を含むコーティング組成物を提供する。
【0008】
また、本発明の他の一実施態様は、第1電極;第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる1層以上の有機物層を含み、前記1層以上の有機物層のうち1層以上は、前述のコーティング組成物またはその硬化物を含む、有機発光素子を提供する。
【0009】
なお、本発明の他の一実施態様は、第1電極を準備する段階;前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成する段階;および前記1層以上の有機物層上に第2電極を形成する段階を含み、前記1層以上の有機物層を形成する段階は、前記コーティング組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階を含む、有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化学式1の化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として用いることができ、低い駆動電圧と優れた発光効率および寿命特性を有する素子が得られ、溶液工程が可能であり素子の大面積化が可能である。
【0011】
本発明の一実施態様によって、前記化学式1の化合物を有機溶媒に溶解してコーティング組成物を形成する場合、前記コーティング組成物は溶液工程に適した粘度を有し、前記化学式1の化合物は、有機溶媒に対する溶解度に優れており、コーティング組成物内で結晶化しないという利点がある。
【0012】
また、本発明の化学式1の化合物を含む有機物層を形成した後、上層部の有機物層を溶液工程を通じて形成する場合、前記化学式1の化合物を含む有機物層は、上層部の溶液工程溶媒に対して溶解しないため、素子の性能が低下しないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施態様による有機発光素子の例を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0015】
本発明において、ある部材(層)が他の部材(層)の「上」に位置していると言うとき、これはある部材(層)が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材(層)の間に別の部材(層)が存在する場合も含む。
【0016】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0017】
本発明において、前記「層」は、本技術分野で主に使用される「フィルム」と互換性のある意味であり、所望の領域を覆うコーティングを意味する。前記「層」のサイズは限定されず、それぞれの「層」はそのサイズが同じでも異なっていてもよい。一実施態様によれば、「層」のサイズは全体素子と同じでもよく、特定の機能性領域のサイズに該当してもよく、単一のサブピクセル(sub-pixel)ほど小さくてもよい。
本発明において、「硬化性基」とは、熱処理および/または光暴露により架橋結合を引き起こすことのできる基、または化合物などの間で架橋をさせる反応性置換基を意味し得る。架橋は、熱処理または光照射によって、炭素-炭素多重結合または環状構造が分解しながら生成されたラジカルが連結されて生成されることができる。
【0018】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化性基は、以下の構造から選択されてもよい。
【化2】
前記構成において、
L11は、直接結合;-O-;-S-;置換または非置換のアルキレン基;置換または非置換のアリーレン基;または置換または非置換のヘテロアリーレン基であり、
lkは1または2であり、
前記lkが2である場合、前記L11は互いに同一または異なり、
R21は置換または非置換のアルキル基である。
【0019】
本発明の一実施態様によれば、前記L11は、直接結合;メチレン基;またはエチレン基である。
【0020】
他の一実施態様によれば、前記L11は直接結合である。
【0021】
本発明の一実施態様によれば、前記R21はメチル基;またはエチル基である。
【0022】
他の一実施態様によれば、前記R21はメチル基である。
【0023】
本発明において、
【化3】
「*」および「-」はそれぞれ連結される部位を意味する。
【0024】
本発明において、前記ラジカル化合物とは、対を成していない(unpaired)電子を有する化合物を意味する。また、ラジカル化合物とは、対を成していない(unpaired)電子を有する化合物を意味し、化合物の種類によってカチオンであると同時にラジカルである化合物が存在してもよい。ちなみに、本発明においてカチオン化合物は、プロトン数が電子数より多く、正の正味電荷(net charge)を有する化合物を意味する。一般に、Π-ラジカル化合物は不安定であることが知られているが、Π-コンジュゲーションシステム(Π-conjugated system)、アルキル置換基などの適切な構造を有する場合、カチオンラジカル物質は安定して存在することができる。
【0025】
本発明において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合または組み合わせを意味するもので、前記構成要素からなる群から選択される少なくとも1つを含むことを意味する。
【0026】
本発明における置換基の例は以下に説明するが、これらに限定されない。
【0027】
本発明において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0028】
本発明において、「置換または非置換」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;シリル基;アリール基;硬化性基;およびヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されているか、前記例示の置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、または如何なる置換基も有しないことを意味する。
【0029】
本発明において、ハロゲン基は、フルオロ基(-F)、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)またはヨード基(-I)である。
【0030】
本発明において、前記アルキル基は直鎖または分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~20であってもよい。他の一実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~60であってもよく、一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。他の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。前記シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明において、前記アルコキシ基は直鎖または分岐鎖であってもよい。前記アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であってもよい。前記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基などであってもよいが、これに限定されない。
【0033】
本発明において、前記アリールオキシ基は-ORaryloxyを意味し、Raryloxyはアリール基を意味する。
【0034】
本発明において、前記シリル基は-SiRsil1Rsil2Rsil3を意味し、前記Rsil1、Rsil2およびRsil3は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素、重水素、アルキル基、重水素化されたアルキル基、フルオロアルキル基、アリール基、または重水素化されたアリール基であり、一部の実施態様において、前記Rsil1、Rsil2およびRsil3がそれぞれアルキル基である場合、アルキル基内の少なくとも1つの炭素がSiに置き換わる。
【0035】
本発明において、前記アリール基は特に限定されないが、炭素数6~60であってもよく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基が単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などであってもよいが、これに限定されない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フェリレニル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明において、フルオレニル基は置換されてもよく、置換基2つが互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。
【0037】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化4】
などのスピロフルオレニル基、
【化5】
(9,9-ジメチルフルオレニル基)、および
【化6】
(9,9-ジフェニルフルオレニル基)などの置換されたフルオレニル基となってもよい。ただし、これに限定されるものではない。
【0038】
本発明において、ヘテロアリール基は、異種原子であるN、O、P、S、SiおよびSeのうち少なくとも1つを含む芳香族環基であり、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であってもよい。一実施態様によれば、前記ヘテロアリール基の炭素数は2~30である。前記ヘテロアリール基の例としては、ピリジン基、ピロール基、ピリミジン基、ピリダジン基、フラン基、チオフェン基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基などがあるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明において、前記アルキレン基は2価であることを除いては、前述のアルキル基に関する説明が適用される。
【0040】
本発明において、前記アリーレン基は2価であることを除いては、前述のアリール基に関する説明が適用される。
【0041】
本発明において、前記ヘテロアリーレン基は2価であることを除いては、前述のヘテロアリール基に関する説明が適用される。
【0042】
本発明において、脂肪族環は芳香族ではない炭化水素環であり、例示として上述したシクロアルキル基の例示、アダマンチル基などが挙げられる。
【0043】
本発明において、芳香族環は、前述のアリール基に関する内容が適用され得る。
【0044】
本発明において、「隣接する」基は、該当置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位置に置換された2つの置換基および脂肪族環において同じ炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接する」基と解釈され得る。
【0045】
本発明において、互いに結合して形成される置換または非置換の環において、「環」は炭化水素環;またはヘテロ環を意味する。前記炭化水素環は、芳香族、脂肪族または芳香族と脂肪族の縮合環であってもよい。前記ヘテロ環は二価であることを除いては、前記ヘテロ環に関する説明が適用され得る。
【0046】
本発明において、芳香族炭化水素環は2価基であることを除いては、前述のアリール基に関する説明が適用され得る。
【0047】
本発明において、脂肪族炭化水素環は2価であることを除いては、前述のシクロアルキル基に関する説明が適用され得る。
【0048】
本発明において、モル分率は、全ての成分の総モル数に対する与えられた成分のモル数の比を意味する。
【0049】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
【化7】
前記化学式1において、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のアルキレン基;または置換または非置換のアリーレン基であり、
L3~L5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換のアリーレン基であり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;または置換または非置換のヘテロアリール基であり、
Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基;または置換または非置換のアリール基であり、
Ar1は置換または非置換のアリール基であり、
X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、-(R101)s;または-Y-Aであり、X1およびX2の少なくとも1つは-Y-Aであり、
R101は、水素;重水素;ハロゲン基;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;または置換または非置換のアリールオキシ基であり、
sは0~5の整数であり、sが2以上の場合、2以上のR101は互いに同一または異なり、
Yは直接結合、OまたはSであり、
Aは硬化性基であり、
r1およびr4はそれぞれ0~4の整数であり、
r2およびr3はそれぞれ0~3の整数であり、
m1+m2は2~10の整数であり、
m3~m5はそれぞれ0~2の整数であり、
m6は0~5の整数であり、
f1およびf2はそれぞれ0~5の整数であり、f1+m1は5以下であり、f2+m2は5以下であり、
r1~r4がそれぞれ2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なり、
m3~m5がそれぞれ2である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0050】
本発明の一実施態様による化学式1の化合物は、分子内の窒素の数を1つに限定し、Ar1を置換または非置換のアリール基を有するようにすることによって、工程中に使用される溶媒に対する溶解度を増加させる。また、HOMOエネルギー準位を深くさせる。これにより、HOMOエネルギー準位により正孔が正孔注入層から正孔輸送層に容易に超えて行くことができ、素子寿命が増加する。
【0051】
本発明の一実施態様による化学式1の化合物は、分子内フルオロ基を含むことにより、正孔輸送層および正孔注入層の間の界面特性が改善され、HOMOエネルギー準位を深くさせる。これにより、正孔輸送層および正孔注入層の間の正孔の移動が容易になり、優れた駆動電圧および寿命特性を有する。特に、本発明の一実施態様による化学式1の化合物は、分子内に2以上のフルオロ基(-F)が置換されることにより、正孔注入層と正孔輸送層の間の界面特性を改善し、フルオロ基が置換されたフェニル基の安定性を高めて素子特性を改善する効果がある。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のアルキレン基;または置換または非置換のアリーレン基である。本発明の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;アルキレン基;またはアリーレン基である。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換の炭素数1~20のアルキレン基;または置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン基;または置換または非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換の炭素数1~6のアルキレン基;または置換または非置換の炭素数6~15のアリーレン基である。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換または非置換のブチレン基;置換または非置換のフェニレン基;または置換または非置換のビフェニリレン基である。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;ブチレン基;フェニレン基;またはビフェニリレン基である。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記L3およびL4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換のアリーレン基である。
本発明の一実施態様によれば、前記L3およびL4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;またはアリーレン基である。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記L3およびL4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記L3およびL4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記L3およびL4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換の炭素数6~15のアリーレン基である。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記L3およびL4は直接結合である。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記L5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記L5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換または非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記L5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;あるいは、置換または非置換の炭素数6~18のアリーレン基である。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記L5は、直接結合;置換または非置換のフェニレン基;置換または非置換のビフェニリレン基;または置換または非置換のターフェニリレン基である。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記L5は、直接結合;フェニレン基;ビフェニリレン基;またはターフェニリレン基である。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、水素;重水素;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;または置換または非置換のヘテロアリール基である。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、水素;重水素;アルキル基;アルコキシ基;アリール基;またはヘテロアリール基である。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、水素;重水素;置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基;置換または非置換の炭素数1~20のアルコキシ基;置換または非置換の炭素数6~30のアリール基;または置換または非置換の炭素数2~30のヘテロアリール基である。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、水素;重水素;置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基;置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基;置換または非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換または非置換の炭素数3~20のヘテロアリール基である。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、水素;重水素;置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基;置換または非置換の炭素数1~6のアルコキシ基;置換または非置換の炭素数6~15のアリール基;または置換または非置換の炭素数3~15のヘテロアリール基である。
【0073】
本発明の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、水素または重水素である。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、前記R1~R4は水素である。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基;または置換または非置換のアリール基である。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、アルキル基;またはアリール基である。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基;または置換または非置換の炭素数6~30のアリール基である。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基;または置換または非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基;または置換または非置換の炭素数6~18のアリール基である。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基;または置換または非置換の炭素数6~10のアリール基である。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のメチル基;または置換または非置換のフェニル基である。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記Af1およびAf2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;またはフェニル基である。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換または非置換のアリール基である。
【0084】
本発明の他の一実施態様によれば、前記Ar1はアリール基である。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基である。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換または非置換の炭素数6~20のアリール基である。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換または非置換の炭素数6~18のアリール基である。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記Ar1は、置換または非置換のフェニル基;置換または非置換のビフェニル基;または置換または非置換のターフェニル基である。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、前記Ar1は、フェニル基;ビフェニル基;またはターフェニル基である。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、前記X1およびX2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して-(R101)s;または-Y-Aであり、X1およびX2のうち少なくとも1つは-Y-Aである。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記R101は、水素;重水素;ハロゲン基;置換または非置換のアルキル基;置換または非置換のアルコキシ基;置換または非置換のアリール基;または置換または非置換のアリールオキシ基である。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記R101は、水素;重水素;ハロゲン基;アルキレン基で置換または非置換のアルキル基;アルキレン基で置換または非置換のアルコキシ基;アルキレン基で置換または非置換のアリール基;またはアルキレン基で置換または非置換のアリールオキシ基である。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、前記R101は、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルコキシ基;アリール基;またはアリールオキシ基である。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記R101は、水素;重水素;ハロゲン基;置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基;置換または非置換の炭素数1~20のアルコキシ基;置換または非置換の炭素数6~30のアリール基;または置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基である。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記R101は、水素;重水素;ハロゲン基;置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基;置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基;置換または非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換または非置換の炭素数6~20のアリールオキシ基である。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記R101は、水素;重水素;ハロゲン基;置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基;置換または非置換の炭素数1~6のアルコキシ基;置換または非置換の炭素数6~18のアリール基;または置換または非置換の炭素数6~18のアリールオキシ基である。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、R101は、水素;重水素;ハロゲン基;置換または非置換のフェニル基;または置換または非置換のビフェニル基である。
【0098】
本発明の一実施態様によれば、R101は、水素;置換または非置換のフェニル基;または置換または非置換のビフェニル基である。
【0099】
本発明の一実施態様によれば、R101は、置換または非置換のフェニル基;または置換または非置換のビフェニル基である。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、R101は、アルキレン基で置換または非置換のフェニル基;またはアルキレン基で置換または非置換のビフェニル基である。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、R101は、エチレン基で置換または非置換のフェニル基;またはエチレン基で置換または非置換のビフェニル基である。
【0102】
本発明の一実施態様によれば、前記Yは直接結合、OまたはSである。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記Aは硬化性基である。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記Aは以下の構造から選択されるいずれかである。
【化8】
【0105】
前記構造において、L11およびR21は硬化性基で定義したとおりである。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、前記Aは以下の構造から選択することができる。
【化9】
【0107】
本発明の一実施態様によれば、m1+m2は2~10の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は5の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は6の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は7の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は8の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は9の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1+m2は10の整数である。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、m1およびm2はそれぞれ1~5の整数である。
【0109】
本発明の一実施態様によれば、m1は1~5の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1は4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1は5の整数である。
【0110】
本発明の一実施態様によれば、m2は1~5の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m2は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m2は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m2は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m2は4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m2は5の整数である。
【0111】
本発明の一実施態様によれば、m1およびm2は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1およびm2は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1およびm2は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1およびm2は4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m1およびm2は5の整数である。
【0112】
本発明の一実施態様によれば、m3は0~2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m3は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m3は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m3は2の整数である。m3が2の場合、L3は互いに同一または異なる。
【0113】
本発明の一実施態様によれば、m4は0~2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m4は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m4は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m4は2の整数である。m4が2の場合、L4は互いに同一または異なる。
【0114】
本発明の一実施態様によれば、m5は0~2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m5は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m5は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m5は2の整数である。m5が2の場合、L5は、互いに同一または異なる。
【0115】
本発明の一実施態様によれば、m6は0~5の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m6は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m6は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m6は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m6は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m6は4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、m6は5の整数である。
【0116】
本発明の一実施態様によれば、sは0~5の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、sは1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、sは2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、sは3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、sは4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、sは5の整数である。sが2以上の場合、2以上のR101は互いに同一または異なる。
【0117】
本発明の一実施態様によれば、r1およびr4はそれぞれ0~4の整数である。
【0118】
本発明の一実施態様によれば、r1は0~4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r1は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r1は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r1は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r1は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r1は4の整数である。
【0119】
本発明の一実施態様によれば、r4は0~4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r4は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r4は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r4は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r4は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r4は4の整数である。
【0120】
本発明の一実施態様によれば、r2およびr3はそれぞれ0~3の整数である。
【0121】
本発明の一実施態様によれば、r2は0~3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r2は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r2は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r2は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r2は3の整数である。
【0122】
本発明の一実施態様によれば、r3は0~3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r3は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r3は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r3は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、r3は3の整数である。
【0123】
前記r1~r4が2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0124】
本発明の一実施態様によれば、f1およびf2はそれぞれ0~5の整数である。
【0125】
本発明の一実施態様によれば、f1は0~5の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f1は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f1は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f1は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f1は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f1は4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f1は5の整数である。
【0126】
本発明の一実施態様によれば、f2は0~5の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f2は0の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f2は1の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f2は2の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f2は3の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f2は4の整数である。本発明の他の一実施態様によれば、f2は5の整数である。
【0127】
本発明の一実施態様によれば、f1+m1は5以下である。
【0128】
本発明の一実施態様によれば、f2+m2は5以下である。
【0129】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は下記化学式2で表される。
【化10】
前記化学式2において、
L1~L5、R1~R4、Af1、Af2、Ar1、X1、X2、r1~r4、m1~m6、f1およびf2は化学式1で定義したとおりである。
【0130】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式31~33のいずれかで表される。
【0131】
【0132】
【0133】
前記化学式31~33において、L1~L5、R1~R4、Af1、Af2、Ar1、X1、X2、r1~r4およびm1~m6は化学式1で定義したとおりである。
【0134】
前記化学式31~33に対する一例によれば、m1およびm2は1である。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式301~303のいずれかで表される。
【0135】
【0136】
【0137】
前記化学式301~303において、L1~L5、R1~R4、Af1、Af2、Ar1、X1、X2、r1~r4およびm3~m6は化学式1で定義したとおりである。
【0138】
前記化学式301~303は、前記化学式1で定義したf1、f2、m1およびm2がそれぞれ1の場合である。
【0139】
本発明の一実施態様による化学式301~303のいずれか一つによる化合物は、アミン基の左右側に結合されたフルオレニル基に置換されたそれぞれのフェニル基にフルオロ基を1つずつ含み、前記フルオロ基の周辺の特定位置に置換または非置換のアルキル基;あるいは、置換または非置換のアリール基を含むことにより、有機発光素子の特性を改善する効果がある。具体的に、Af1またはAf2、およびフルオロ基は、フェニル基のメタ(meta)またはパラ(para)位に結合する化合物は、Af1またはAf2、およびフルオロ基がフェニル基のオルト(ortho)位に結合する化合物よりも、フルオロ基が置換されたフェニル基の安定性を高めることができ、これにより、前記化学式301~303のいずれかによる化合物を含む有機発光素子の特性を改善することができる。
【0140】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式41~43のいずれかで表される。
【0141】
【0142】
【0143】
前記化学式41~43において、L1~L5、R1~R4、Af1、Af2、Ar1、X1、X2、r1~r4およびm3~m6は化学式1で定義したとおりである。
【0144】
前記化学式41~43に対する一例によれば、m1およびm2は1である。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は、下記化学式401~403のいずれかで表される。
【0145】
【0146】
【0147】
前記化学式401~403において、L1~L5、R1~R4、Af1、Af2、Ar1、X1、X2、r1~r4およびm3~m6は化学式1で定義したとおりである。
【0148】
前記化学式401~403は、前記化学式1で定義したm1、m2、f1およびf2がそれぞれ1の場合である。
【0149】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1は、以下の化合物からなる群から選択されるいずれかである。
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
本発明の一実施態様による化学式1の化合物は、下記反応式1のようにコア構造が製造されてもよい。また、置換基は当技術分野で知られている方法によって結合することができ、置換基の種類、位置または数は当技術分野で知られている技術に従って変更されてもよい。
【0163】
【化31】
前記反応式1は、アミン置換反応であり、パラジウム触媒と塩基存在下で行うことが好ましいが、これに限定されるものではない。前記反応式1のアミン置換反応のための反応基は、当技術分野で知られている方法によって変更することができる。前記反応式1において、他の各置換基の定義は化学式1で定義したとおりである。
【0164】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1の化合物を含むコーティング組成物を提供する。
【0165】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、前記化学式1の化合物および溶媒を含む。
【0166】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は液状であってもよい。前記「液状」は、常温および常圧で液体状態であることを意味する。
【0167】
本発明の一実施態様によれば、前記溶媒は、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン(Isophorone)、テトラロン(Tetralone)、デカロン(Decalone)、アセチルアセトン(Acetylacetone)などのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2-ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;テトラリンなどの溶媒が例示されるが、本発明の一実施態様に係る化学式1の化合物を溶解または分散させることのできる溶媒であればよく、これらを限定しない。
【0168】
また他の一実施態様によれば、前記溶媒は一種単独で使用するか、または二種以上の溶媒を混合して使用してもよい。
【0169】
本発明の一実施態様によれば、前記溶媒の含量は、前記コーティング組成物を基準にして50~99.9重量%で含まれてもよい。好ましくは、前記コーティング組成物を基準にして80~99重量%で含まれてもよく、これらに限定されない。
【0170】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物はpドーピング物質をさらに含まない。
【0171】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物はpドーピング物質をさらに含む。
【0172】
本発明において、前記pドーピング物質とは、ホスト物質をp半導体特性を有するようにする物質を意味する。p半導体特性とは、HOMO(highest occupied molecular orbital)エネルギー準位で正孔の注入を受けたり、輸送する特性、すなわち正孔の伝導度が大きい物質の特性を意味する。
【0173】
本発明の一実施態様によれば、前記pドーピング物質はF4TCNQ;またはホウ素アニオンを含む。
【0174】
本発明の一実施態様によれば、前記pドーピング物質はF4TCNQ;またはホウ素アニオンを含み、前記ホウ素アニオンはハロゲン基を含む。
【0175】
本発明の一実施態様によれば、前記pドーピング物質はF4TCNQ;あるいはホウ素アニオンを含み、前記ホウ素アニオンはFを含む。
【0176】
本発明の一実施態様によれば、前記pドーピング物質は、下記化学式4-1~4-3のようにF4TCNQであるか、フルオロ化アリールボレート(arl(fluoro)borate,Farylborate)系化合物であってもよいが、これに限定されない。
【0177】
【0178】
前記化学式4-3において、
PAr1およびPAr2は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアリール基であり、
PAr3およびPAr4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のアルキル基であり、
PAr5は置換または非置換のアリール基であり、
前記複数のPAr5は、互いに同一または異なる。
【0179】
本発明の一実施態様によれば、前記PAr5はフルオロ基で置換されてもよい。
【0180】
本発明の一実施態様によれば、前記PAr5は1つのフルオロ基で置換されてもよい。本発明の他の一実施態様によれば、前記PAr5は2つのフルオロ基で置換されてもよい。本発明の他の一実施態様によれば、前記PAr5は3つのフルオロ基で置換されてもよい。本発明の他の一実施態様によれば、前記PAr5は4つのフルオロ基で置換されてもよい。本発明の他の一実施態様によれば、前記PAr5は5つのフルオロ基で置換されてもよい。本発明の他の一実施態様によれば、前記PAr5は炭素数7以上の置換または非置換のアリール基であり、前記PAr5は6つ以上のフルオロ基で置換されてもよい。
【0181】
本発明の一実施態様によれば、PAr1およびPAr2は置換または非置換のフェニル基である。ただし、これに限定されない。
【0182】
本発明の一実施態様によれば、PAr3はイソプロピル基である。ただし、前記イソプロピル基は例示に過ぎず、これに限定されない。
【0183】
本発明の一実施態様によれば、PAr4はメチル基である。ただし、前記メチル基は例示であり、これに限定されない。
【0184】
本発明の一実施態様によれば、PAr5は5つのフルオロ基で置換されたフェニル基である。ただし、前記5つのフルオロ基で置換されたフェニル基は例示に過ぎず、これに限定されない。
【0185】
具体例として、前記化学式4-3は、下記化学式4-3-1で表されてもよい。
【化33】
【0186】
本発明において、前記pドーピング物質は、p半導体特性を有するようにする物質であればよく、1種または2種以上を用いることができ、その種類を限定しない。
【0187】
本発明の一実施態様によれば、前記pドーピング物質の含量は、前記化学式1の化合物を基準に0重量%~50重量%である。
【0188】
本発明の一実施態様によれば、前記pドーピング物質の含量は、前記コーティング組成物の全固形分含量を基準に0~40重量%を含む。本発明の一実施態様によれば、前記pドーピング物質の含量は、前記コーティング組成物の全固形分含量を基準に1~30重量%を含むことが好ましく、また他の一実施態様によれば、前記pドーピング物質の含量は、前記コーティング組成物の全固形分含量を基準に10~30重量%を含むことがさらに好ましい。
【0189】
また他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、光硬化性基および/または熱硬化性基を含む単分子;あるいは、熱によるポリマー形成が可能な末端基を含む単分子をさらに含んでもよい。前記のように光硬化性基および/または熱硬化性基を含む単分子;あるいは、熱によるポリマー形成が可能な末端基を含む単分子の分子量は、3,000g/mol以下の化合物であってもよい。
【0190】
前記光硬化性基および/または熱硬化性基を含む単分子;または、熱によるポリマー形成が可能な末端基を含む単分子は、フェニル、ビフェニル、フルオレン、ナフタレンなどのアリール;アリールアミン;あるいは、フルオレンに光硬化性基および/または熱硬化性基または熱によるポリマー形成が可能な末端基が置換された単分子を意味し得る。
【0191】
また他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物の粘度は、常温(約25℃)で2cP~15cPである。前記粘度を満たす場合、素子の製造に容易である。
【0192】
本発明はまた、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子を提供する。
【0193】
本発明の一実施態様によれば、第1電極;第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる1層以上の有機物層を含み、前記1層以上の有機物層のうち1層以上は、前記コーティング組成物またはその硬化物を含み、前記コーティング組成物の硬化物は、前記コーティング組成物が熱処理または光処理によって硬化された状態である。
【0194】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は正孔輸送層である。
【0195】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層または正孔注入および輸送層である。
【0196】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は、電子輸送層、電子注入層または電子注入および輸送層である。
【0197】
また他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は発光層である。
【0198】
他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は発光層であり、前記発光層は前記化学式1の化合物を発光層のホストとして含む。
【0199】
また他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物またはその硬化物を含む有機物層は発光層であり、前記発光層は前記化学式1の化合物を発光層のドーパントとして含む。
【0200】
本発明の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電子遮断層、正孔遮断層、正孔注入および輸送層、並びに電子輸送および注入層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含む。
【0201】
本発明の一実施態様によれば、前記第1電極はアノードであり、第2電極はカソードである。
【0202】
他の一実施態様によれば、前記第1電極はカソードであり、第2電極はアノードである。
【0203】
また他の一実施態様によれば、有機発光素子は、基板上にアノード、1層以上の有機物層、およびカソードが順次積層された構造(normal type)の有機発光素子であり得る。
【0204】
他の一実施態様によれば、有機発光素子は、基板上にカソード、1層以上の有機物層、およびアノードが順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であり得る。
【0205】
本発明の有機発光素子の有機物層は単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔注入および輸送層、電子注入および輸送層などを含む構造を有してもよい。しかしながら、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少ない数の有機層を含んでもよい。
【0206】
例えば、本発明の一実施態様による有機発光素子の構造は、
図1に例示されている。
【0207】
図1には、基板101上に第1電極201、正孔注入層301、正孔輸送層401、発光層501、電子注入および輸送層601および第2電極701が順次積層された有機発光素子の構造が例示されている。ここで、電子注入および輸送層は、電子注入と電子輸送を同時に行う層を意味する。前記
図1の正孔注入層301および/または正孔輸送層401は、前述の化学式1の化合物を含むコーティング組成物を用いて形成されてもよい。
【0208】
前記
図1は有機発光素子を例示したものであり、これに限定されない。
【0209】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は同じ物質または異なる物質で形成されてもよい。
【0210】
本発明の有機発光素子は、有機物層のうち少なくとも1層が前記化学式1の化合物を含むコーティング組成物を用いて形成することを除いては、当技術分野で知られている材料と方法で製造されてもよい。
【0211】
例えば、本発明の有機発光素子は、基板上にアノード、有機物層およびカソードを順次積層することにより製造することができる。このとき、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e-beam evaporation)などのPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはそれらの合金を蒸着してアノードを形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層、正孔注入および輸送層、並びに電子注入および輸送層のうち1層以上を含む有機物層溶液工程、蒸着工程などを介して形成した後、その上にカソードとして使用できる物質を蒸着させることによって製造されてもよい。このような方法に加えて、基板上にカソード物質から有機物層、アノード物質を順次蒸着して有機発光素子を作製してもよい。
【0212】
本発明はまた、前記コーティング組成物を用いて形成された有機発光素子の製造方法を提供する。
【0213】
具体的には、本発明の一実施態様によれば、第1電極を準備する段階;前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成する段階;および前記1層以上の有機物層上に第2電極を形成する段階を含み、前記1層以上の有機物層を形成する段階は、前記コーティング組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階を含む。
【0214】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階は、スピンコーティング方法を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0215】
他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階は、印刷法を使用することができるが、これに限定されない。
【0216】
本発明の一実施態様において、前記印刷法は、例えば、インクジェットプリンティング、ノズルプリンティング、オフセットプリンティング、転写プリンティング、またはスクリーンプリンティングなどがあるが、これらに限定されない。
【0217】
本発明の一実施態様に係るコーティング組成物は、構造的な特性により溶液工程が適しており、印刷法により形成することができるため、素子の製造時に時間およびコスト的に経済的な効果がある。
【0218】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階は、前記第1電極または1層以上の有機物層上にコーティング組成物をコーティングする段階;および前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理または光処理する段階を含む。
【0219】
本発明の一実施態様によれば、前記熱処理する段階は、熱処理を介して行われてもよく、熱処理する段階における熱処理温度は85℃~250℃であり、他の一実施態様によれば、100℃~250℃であり、また他の一実施態様によれば、前記熱処理温度は150℃~250℃であってもよい。本発明の好ましい一実施態様によれば、前記熱処理温度は220℃であってもよいが、これに限定されない。
【0220】
本発明の一実施態様によれば、前記熱処理する段階における熱処理時間は1分~2時間であり、他の一実施態様によれば、1分~1時間であってもよく、また他の一実施態様によれば、30分~1時間であってもよい。本発明の好ましい一実施態様によれば、前記熱処理時間は30分であり得るが、これに限定されない。
【0221】
前記コーティング組成物を用いて形成された1層以上の有機物層を形成する段階で前記熱処理または光処理段階を含む場合には、コーティング組成物に含まれた複数の前記化合物が架橋を形成して薄膜化された構造が含まれた有機物層を提供することができる。この場合、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層の表面上に他の層を積層する際に、溶媒によって溶解されたり、形態学的に影響を受けたり、分解されたりすることを防止することができる。したがって、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層が熱処理または光処理段階を含んで形成された場合には、溶媒に対する抵抗性が増加し、溶液蒸着および架橋方法を繰り返し行って多層を形成することができ、安定性が増加して素子の寿命特性を向上させることができる。
【0222】
前記アノード物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑になるように、仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明において使用することができるアノード物質の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはそれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbなどの金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらに限定されない。
【0223】
前記カソード物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易になるように、仕事関数が小さい物質であることが好ましい。カソード物質の具体例としては、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、および鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alなどの多層構造物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0224】
前記正孔注入層は電極から正孔を注入する層であり、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有し、アノードでの正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層や電子注入材料への移動を防止し、さらに薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)がアノード物質の仕事関数と周辺の有機物層のHOMOの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体例としては、前述の化学式1の化合物、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0225】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層であり、正孔輸送物質としては、アノードや正孔注入層から正孔の輸送を受けて発光層に移すことができる物質であり、正孔に対する移動性が大きい物質が適している。具体的な例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が一緒にあるブロック共重合体などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0226】
前記正孔注入および輸送層は、上述した正孔輸送層および正孔注入層の材料を含んでもよい。
【0227】
前記発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子をそれぞれ輸送を受けて結合させることによって可視光領域の光を出すことのできる物質であり、蛍光や燐光に対する量子効率のよい物質が好ましい。具体例としては、8-ヒドロキシ-キノリンアルミニウム錯体(Alq3);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10-ヒドロキシベンゾキノリン-金属化合物;ベンズオキサゾール、ベンズチアゾールおよびベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン、ルブレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0228】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含んでもよい。ホスト材料としては、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0229】
ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、ストリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的には、芳香族アミン誘導体としては、置換または非置換のアリールアミノ基を有する縮合芳香族環誘導体として、アリールアミノ基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがあり、スチリルアミン化合物としては、置換または非置換のアリールアミンに少なくとも1つのアリールビニル基が置換されている化合物であり、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基およびアリールアミノ基からなる群から1または2以上選択される置換基が置換または非置換される。具体的には、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これらに限定されない。また、金属錯体としてはイリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これらに限定されない。
【0230】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取り、発光層まで電子を輸送する層であり、電子輸送物質としては、カソードから電子をうまく注入を受けて発光層へと移すことのできる物質であり、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq3を含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体などがあるが、これらに限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術に従って使用されたように、任意の所望のカソード物質と共に使用してもよい。特に、適切なカソード物質の例は、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が後続く通常の物質である。具体的にはセシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウムおよびサマリウムであり、それぞれの場合、アルミニウム層またはシルバー層が後を続く。
【0231】
前記電子注入層は、電極から電子を注入する層であり、電子注入物質としては、電子を輸送する能力を有し、カソードからの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有し、発光層で生成された励起子の正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フルオレニリデンメタン、アントロンなどとそれらの誘導体、金属錯体化合物および含窒素五員環誘導体などがあるが、これらに限定されない。
【0232】
前記電子注入および輸送層は、上述した電子輸送層および電子注入層の材料を含んでもよい。
【0233】
前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h])キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(1-ナフトラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(2-ナフトラト)ガリウムなどがあるが、これに限定されない。
【0234】
前記正孔遮断層は、正孔のカソード到達を遮断、阻止または抑制する層であり、一般に正孔注入層と同じ条件で形成され得る。具体的には、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、BCP、アルミニウム錯体(aluminum complex)などがあるが、これらに限定されない。
【0235】
前記電子遮断層は、電子のアノード到達を遮断、阻止または抑制する層であり、当技術分野で知られている物質を用いてもよい。
【0236】
本発明による有機発光素子は、使用される材料に応じて、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0237】
本発明において、他に定義されない限り、使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本発明において、説明されたのと類似または等価の方法および材料が本発明の実施態様の実施または試験で使用され得るが、適切な方法および材料については後述する。本発明において、言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、全体として本発明に参考として組み込まれ、相反する場合に特定の語句(passage)が言及されないと、定義も含めて本発明が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は単に例示的なものであり、限定することを意図してはいない。
【実施例】
【0238】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかしながら、本発明による実施例は様々な異なる形態に変更することができ、本発明の範囲が以下に記述する実施例に限定されるものと解釈されない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0239】
<製造例>
製造例1.化合物1の製造
1)中間体1-1の合成
【化34】
【0240】
1-ブロモ-4-フルオロベンゼン(1-bromo-4-fluorobenzene)(27.9mL、255mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(500mL)に入れた。窒素置換した後、-78℃に冷却した。N-ブチルリチウム(n-BuLi)(2.5M Hex)(96mL、240mmol)を滴下ロート(dropping funnel)に入れた後、反応混合物にゆっくりと投入した。-78℃で30分間撹拌した。2-ブロモフルオレノン(2-bromofluorenone)(38.9g、150mmol)を投入した。ゆっくりと常温に上げながら一晩撹拌した。蒸留水を投入して反応を終結した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去し、次の反応に用いた。
【0241】
【0242】
中間体1-1(53g、150mmol)、フェノール(phenol)(70.6g、750mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。CH3SO3H(214mL)を加えた後、60℃で4時間撹拌した。氷水を投入した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体1-2を40.6g確保した。
【0243】
【0244】
中間体1-2(40g、92.7mmol)、4-ニトロベンズアルデヒド(4-nitrobenzaldehyde)(21.2g、139mmol)、Cu(OAc)2(842mg、4.64mmol)、Cs2CO3(45.3g、139mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。ジメチルホルムアミド(DMF)(310mL)を加え、100℃で4時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体1-3を38.7g確保した。
【0245】
【0246】
CH3PPh3Br(51.6g、144.6mmol)、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)(16.2g、144.6mmol)、テトラヒドロフラン(THF)(217mL)を丸底フラスコ(RBF)に入れた後、0℃に冷却した。中間体1-3(38.7g、72.3mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(144mL)に溶かした溶液を反応混合物に投入した。常温に昇温し、1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して中間体1-4を33.7g確保した。
【0247】
【0248】
[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-4-アミン([1,1’:3’,1’’-terphenyl]-4-amine)(687mg、2.8mmol),中間体1-4(3.1g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物1を2.8g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1150
化合物1のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.84-7.81(m,5H)、7.71(d,2H)、7.61-7.35(m,16H)、7.28(t,2H)、7.12-7.00(m,18H)、6.92(d,4H)、6.86(t,4H)、6.64(m,2H)、5.67(dd,2H)、5.17(dd,2H)
【0249】
【0250】
[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-3-アミン([1,1’:3’,1’’-terphenyl]-3-amine)(687mg、2.8mmol),中間体1-4(3.1g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物2を2.6g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1150
化合物2のNMR測定値:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ7.84-7.81(m,5H)、7.71(d,2H)、7.62-7.35(m,17H)、7.28(t,2H)、7.13-7.00(m,17H)、6.92(d,4H)、6.86(t,4H)、6.64(m,2H)、5.67(dd,2H)、5.17(dd,2H)
【0251】
【0252】
4’’-フルオロ-[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-4-アミン(4’’-fluoro-[1,1’:3’,1’’-terphenyl]-4-amine)(737mg、2.8mmol),中間体1-4(3.1g、5.74mmol),Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物3を2.9g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1168
化合物3のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.84-7.77(m,7H)、7.61-7.35(m,15H)、7.28(t,2H)、7.12-7.00(m,18H)、6.92(d,4H)、6.86(t,4H)、6.64(m,2H)、5.67(dd,2H)、5.17(dd,2H)
【0253】
製造例4.化合物4の製造
1)中間体4-1の製造
【化41】
【0254】
中間体1-2(45g、104mmol)、N-フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(81.8g、229mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(2.54g、21mmol)を丸底フラスコに入れた。ジクロロメタン(416mL)とトリエチルアミン(37.7mL、270mmol)を加え、常温で1時間撹拌した。ジクロロメタンと3%HCl水溶液で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体4-1(52.5g)を製造した。
【0255】
【0256】
中間体4-1(52.2g、92.7mmol)、カリウムビニルトリフルオロボレート(27.3g、204mmol)、Pd(dppf)Cl2(3.4g、4.6mmol)、K2CO3(51.2g、971mmol)を丸底フラスコに入れた。窒素置換した後、テトラヒドロフラン(THF)(371mL)とH2O(93mL)を投入し、90℃で4時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して中間体4-2(34g)を製造した。
【0257】
【0258】
[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-4-アミン([1,1’:3’,1’’-terphenyl]-4-amine)(687mg、2.8mmol),中間体4-2(2.53g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物4を2.2g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=966
化合物4のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.85-7.82(m,5H)、7.70(d,2H)、7.61-7.35(m,16H)、7.28(t,2H)、7.12-7.00(m,14H)、6.84(t,4H)、6.62(dd,2H)、5.63(dd,2H)、5.14(dd,2H)
【0259】
【0260】
4’-フルオロ-[1,1’-ビフェニル]-4-アミン(4’-fluoro-[1,1’-biphenyl]-4-amine)(524mg、2.8mmol)、中間体4-2(2.53g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物5を2.1g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=908
化合物5のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.85-7.82(m,5H)、7.78(d,2H)、7.61-7.35(m,11H)、7.28(t,2H)、7.12-7.00(m,14H)、6.84(t,4H)、6.62(dd,2H)、5.63(dd,2H)、5.14(dd,2H)
【0261】
製造例6.化合物6の製造
1)中間体6-1の製造
【化45】
【0262】
中間体4-1(11.3g、20mmol)、4-ビニルフェニルボロン酸(6.51g、44mmol)、Pd(PPh3)4(1.16g、1mmol)、K2CO3(11g、80mmol)を丸底フラスコに入れた。その後、窒素置換した後、テトラヒドロフラン(THF)(64mL)とH2O(16mL)を投入した。90℃で4時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して中間体6-1(7g)を製造した。
【0263】
【0264】
[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-4-アミン([1,1’:3’,1’’-terphenyl]-4-amine)(687mg、2.8mmol)、中間体6-1(2.97g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物6を2.6g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1118
化合物6のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.84-7.81(m,5H)、7.71(d,2H)、7.61-7.35(m,16H)、7.28(t,2H)、7.12-6.90(m,18H)、6.87(d,4H)、6.81(t,4H)、6.62(dd,2H)、5.63(dd,2H)、5.14(dd,2H)
【0265】
製造例7.化合物7の製造
1)中間体7-1の合成
【化47】
【0266】
1-ブロモ-2,6-ジフルオロベンゼン(1-bromo-2,6-difluorobenzene)(29.4mL、255mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(500mL)に入れる。窒素置換した後、-78℃に冷却した。n-ブチルリチウム(n-BuLi)(2.5Mヘキサン中)(96mL、240mmol)を滴下ロート(dropping funnel)に入れた後、反応混合物にゆっくりと投入した。-78℃で30分間撹拌した。2-ブロモフルオレノン(2-bromofluorenone)(38.9g、150mmol)を投入し、ゆっくりと常温に上げながら一晩撹拌した。蒸留水を投入して反応を終結した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去し、次の反応に用いた。
【0267】
【0268】
中間体7-1(56g、150mmol)、フェノール(phenol)(70.6g、750mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。CH3SO3H(214mL)を加えた後、60℃で4時間撹拌した。氷水を投入した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体7-2を45.2g確保した。
【0269】
【0270】
中間体7-2(45.2g、100mmol)、4-ニトロベンズアルデヒド(4-nitrobenzaldehyde)(22.8g、150mmol)、酢酸銅(Cu(OAc)2)(908mg、5mmol)、Cs2CO3(48.9g、150mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。ジメチルホルムアミド(DMF)(333mL)を加え、100℃で4時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体7-3を39.8g確保した。
【0271】
【0272】
CH3PPh3Br(51.4g、144mmol)、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)(16.2g、144mmol)、THF(216mL)をRBFに入れた後、0℃に冷却した。中間体7-3(39.8g、72mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(144mL)に溶かした溶液を反応混合物に投入し、常温に昇温し、1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化し、中間体7-4を34.8g確保した。
【0273】
【0274】
[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-4-アミン([1,1’:2’,1’’-terphenyl]-4-amine)(687mg、2.8mmol),中間体7-4(3.2g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物7を2.8g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1186
化合物7のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.84-7.81(m,5H)、7.71(d,2H)、7.61-7.35(m,16H)、7.28(t,2H)、7.20-7.08(m,16H)、6.92(d,4H)、6.86(t,4H)、6.64(m,2H)、5.67(dd,2H)、5.17(dd,2H)
【0275】
【0276】
[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-3-アミン([1,1’:2’,1’’-terphenyl]-3-amine)(687mg、2.8mmol),中間体7-4(3.2g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物8を2.9g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1186
化合物8のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.85-7.81(m,5H)、7.72(d,2H)、7.61-7.35(m,16H)、7.28(t,2H)、7.20-7.08(m,16H)、6.92(d,4H)、6.86(t,4H)、6.64(m,2H)、5.67(dd,2H)、5.17(dd,2H)
【0277】
製造例9.化合物9の製造
1)中間体9-1の合成
【化53】
【0278】
1-ブロモ-2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゼン(1-bromo-2,3,4,5,6-Pentafluorobenzene)(31.8mL、255mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(500mL)に入れ、窒素置換した後、-78℃に冷却した。n-ブチルリチウム(n-BuLi)(2.5Mヘキサン中)(96mL、240mmol)を滴下ロート(dropping funnel)に入れた後、反応混合物にゆっくりと投入し、-78℃で30分間撹拌した。2-ブロモフルオレノン(2-bromofluorenone)(38.9g、150mmol)を投入した。ゆっくりと常温に上げながら一晩撹拌した。蒸留水を投入して反応を終結した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去し、次の反応に用いた。
【0279】
【0280】
中間体9-1(64.1g、150mmol)、フェノール(phenol)(70.6g、750mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。CH3SO3H(214mL)を加えた後、60℃で4時間撹拌した。氷水を投入した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体9-2を52.8g確保した。
【0281】
【0282】
中間体9-2(50.3g、100mmol),4-ニトロベンズアルデヒド(4-nitrobenzaldehyde)(22.8g、150mmol),Cu(OAc)2(908mg、5mmol),Cs2CO3(48.9g、150mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。ジメチルホルムアミド(DMF)(333mL)を加え、100℃で4時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体9-3を48.6g確保した。
【0283】
【0284】
CH3PPh3Br(51.4g、144mmol)、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)(16.2g、144mmol)、テトラヒドロフラン(THF)(216mL)を丸底フラスコ(RBF)に入れた後、0℃に冷却した。中間体9-3(43.7g、72mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(144mL)に溶かした溶液を反応混合物に投入し、常温に昇温し、1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して中間体9-4を31g確保した。
【0285】
【0286】
4-フルオロアニリン(4-fluoroaniline)(0.26mL、2.8mmol)、中間体9-4(3.5g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物9を2.4g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1160
化合物9のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.81(m,2H)、7.58-7.35(m,11H)、7.28(t,2H)、7.15-7.09(m,11H)、6.92(d,4H)、6.86(t,4H)、6.64(m,2H)、5.67(dd,2H)、5.17(dd,2H)
【0287】
製造例10.化合物10の製造
1)中間体10-1の合成
【化58】
【0288】
5-ブロモ-2-フルオロトルエン(5-bromo-2-fluorotoluene)(31.7mL、255mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(500mL)に入れ、窒素置換した後、-78℃に冷却した。n-ブチルリチウム(n-BuLi)(2.5Mヘキサン中)(96mL、240mmol)を滴下ロート(dropping funnel)に入れた後、反応混合物にゆっくりと投入し、-78℃で30分間撹拌した。2-ブロモフルオレノン(2-bromofluorenone)(38.9g、150mmol)を投入した。ゆっくりと常温に上げながら一晩撹拌した。蒸留水を投入して反応を終結した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去し、次の反応に用いた。
【0289】
【0290】
中間体10-1(55.4g、150mmol)、フェノール(phenol)(70.6g、750mmol)をRBFに入れた。CH3SO3H(214mL)を加えた後、60℃で4時間撹拌した。氷水を投入した後、エチルアセテートと水で抽出した。有機層を集めた後、MgSO4を使用して有機層を乾燥させ、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体10-2を44.8g確保した。
【0291】
【0292】
中間体10-2(44.5g、100mmol)、4-ニトロベンズアルデヒド(4-nitrobenzaldehyde)(22.8g、150mmol)、酢酸銅(Cu(OAc)2)(908mg、5mmol)、Cs2CO3(48.9g、150mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。ジメチルホルムアミド(DMF)(333mL)を加え、100℃で4時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/ヘプタン(Heptane)条件で結晶化して中間体10-3を45g確保した。
【0293】
【0294】
CH3PPh3Br(51.4g、144mmol)、カリウムtert-ブトキシド(KOtBu)(16.2g、144mmol)、テトラヒドロフラン(THF)(216mL)を丸底フラスコ(RBF)に入れた後、0℃に冷却した。中間体10-3(39.6g、72mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(144mL)に溶かした溶液を反応混合物に投入し、常温に昇温し、1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化し、中間体10-4を35.9g確保した。
【0295】
【0296】
[1,1’:3’,1’’-ターフェニル]-4-アミン([1,1’:3’,1’’-terphenyl]-4-amine)(687mg、2.8mmol)、中間体10-4(3.14g、5.74mmol)、Pd(PtBu3)2(72mg、0.14mmol)とナトリウムtert-ブトキシド(NaOtBu)(1.08g、11.2mmol)を丸底フラスコ(RBF)に入れた。窒素置換した後、トルエン(14mL)を加え、90℃で1時間撹拌した。エチルアセテートと水で抽出し、有機層を集めた後、MgSO4を用いて有機層を乾燥後、濾過した。濾液を真空回転濃縮器で乾燥して有機溶媒を除去した。カラム精製後、ジクロロメタン(Dichloromethane、DCM)/エタノール(EtOH)条件で結晶化して化合物10を2.6g確保した。化合物の合成は、LC-MSとNMRによって確認した。MS:[M+H]+=1116
化合物10のNMR測定値:1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ7.84-7.81(m,5H)、7.71(d,2H)、7.61-7.35(m,14H)、7.28(t,2H)、7.12-7.00(m,18H)、6.92(d,4H)、6.86(t,4H)、6.64(m,2H)、5.67(dd,2H)、5.17(dd,2H)、2.31(s,6H)
【0297】
<素子例>
実施例1
ITO(indium tin oxide)が1500Åの厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れ、超音波で洗浄した。このとき、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を使用し、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルター(Filter)で2次ろ過された蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返して超音波洗浄を10分間行った。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピル、アセトンの溶剤で超音波洗浄して乾燥させた後、前記基板を5分間洗浄した後、グローブボックスで基板を輸送した。
【0298】
前記ITO透明電極である第1電極上に、先に製造例1で製造した化合物1および下記の化合物Gを8:2の重量比で含む2wt%シクロヘキサノンインクをITO表面上にスピンコーティングし、220℃で30分間熱処理して400Å厚さの正孔注入層を形成した。
【0299】
前記正孔注入層上に下記化合物Aの2wt%トルエンインクをスピンコートし、120℃で10分間熱処理して200Å厚さの正孔輸送層を形成した。前記正孔輸送層上に下記化合物Bと化合物Cを92:8の重量比で真空蒸着して200Å厚さの発光層を形成した。前記発光層上に下記化合物Dを真空蒸着して350Å厚さの電子注入および輸送層を形成した。前記電子注入および輸送層上に順次10Åの厚さにLiFと1000Åの厚さにアルミニウムを蒸着して第2電極を形成した。
【0300】
【0301】
前記の過程で有機物の蒸着速度は0.4~0.7Å/secに保ち、カソードのリチウムフルオリドは0.3Å/sec、アルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は2×10-7~5×10-8torrを維持した。
【0302】
実施例2~10
正孔注入層の製造時に、前記化合物1の代わりに下記表1に記載のように、下記化合物2~10を用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0303】
【0304】
比較例1~4
正孔注入層の製造時に、前記化合物1の代わりに下記表1に記載のように、下記化合物CE1~CE4のいずれかの化合物を用いたことを除いては、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0305】
【0306】
前記実施例および比較例で製造した有機発光素子を10mA/cm2の電流密度で駆動電圧、外部量子効率(external quantum efficiency)、輝度および寿命を測定した結果を下記表1に示した。前記外部量子効率は、(放出された光子数)/(注入された電荷運搬体数)で求めた。T95は、輝度が初期輝度(500nit)から95%に減少するのにかかる時間(hr)を意味する。
【0307】
【0308】
前記表1に示すように、前記実施例の有機発光素子は、比較例の有機発光素子に対比して駆動電圧が大幅に減少し、外部量子効率、輝度および寿命が増加することを確認することができる。
【0309】
具体的には、前記実施例1~10の化合物1~10は、分子内に1つの窒素および2つ以上のフルオロ基を含むことによって、有機発光素子内の正孔注入層と正孔輸送層との間の膜および/または界面の特性を改善し、フルオロ基が置換されたフェニル基の安定性を高めて素子特性を改善し、HOMOレベルの変化により正孔移動度と正孔/電子バランスが改善される効果がある。これにより、前記化合物1~10を正孔注入層のホストとして用いた実施例1~10の有機発光素子は、駆動電圧の減少、外部量子効率の増加、輝度増加または寿命増加の効果があることを確認することができる。
【0310】
一方、前記比較例1~4の化合物CE1~CE4は、分子内に2つ以上の窒素原子を含むか、1つ以下のフルオロ基のみを含むため、前記化合物CE1~CE4を含む有機発光素子は、本発明の実施態様に係る化合物を含む有機発光素子が有する、優れた効果を有することができないことが確認できる。
【0311】
具体的には、前記比較例1および2の化合物CE1およびCE2は、アミン基に結合されたフルオレニル基にフルオロ基を含んでいない。これにより、前記化合物CE1およびCE2を含む有機発光素子は、実施例1~10の有機発光素子に比べて駆動電圧の増加、外部量子効率の減少、輝度減少または寿命減少の劣化した特性を有する。特に、外部量子効率および輝度が大幅に減少するという短所がある。
【0312】
また、前記比較例3の化合物CE3は、フルオロ基を1つのみ含んでおり、他の化合物とは異なり、分子内にカルバゾール基をさらに含むことにより、分子内の窒素原子が2つ以上である。これにより、前記化合物CE3を含む有機発光素子は、実施例1~10の有機発光素子に比べて駆動電圧の増加、外部量子効率の減少、輝度減少または寿命減少の劣化した特性を有する。特に、駆動電圧が大幅に増加し、寿命が大幅に減少するという欠点がある。
【0313】
さらに、比較例4のCE4は、フルオロ基を含むフルオレニル基を1つだけ含んでいるため、本願実施例1~10より劣化した特性を有することを確認することができる。
【符号の説明】
【0314】
101 ・・・基板
201 ・・・第1電極
301 ・・・正孔注入層
401 ・・・正孔輸送層
501 ・・・発光層
601 ・・・電子注入および輸送層
701 ・・・第2電極