(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】硬磁性粉末
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20241202BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20241202BHJP
B22F 1/068 20220101ALI20241202BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20241202BHJP
H01F 1/057 20060101ALI20241202BHJP
【FI】
B22F1/00 Y
B22F1/05
B22F1/068
C22C38/00 303D
H01F1/057 110
H01F1/057 180
(21)【出願番号】P 2021000530
(22)【出願日】2021-01-05
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 滉大
(72)【発明者】
【氏名】細見 凌平
(72)【発明者】
【氏名】澤田 俊之
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-224811(JP,A)
【文献】特開平11-288807(JP,A)
【文献】特開2020-152979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-1/18
C22C 33/02,38/00
H01F 1/04,1/055,1/057,1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の扁平粒子からなり、
これらの粒子の材質が、
Nd:10.8原子%以上16.0原子%以下
B:5.4原子%以上9.0原子%以下
C:0.3原子%以上1.0原子%以下
及び
O:15原子%以下
を含んでおり、残部がFe及び不可避的不純物である合金であり、
最大アスペクト比が5.0以上であ
り、
保磁力iHcが90kA/m以上である硬磁性粉末。
【請求項2】
上記合金が、上記希土類金属としてのNdと、上記遷移元素としてのFeとを含む請求項1に記載の硬磁性粉末。
【請求項3】
体積基準のメジアン径D50が5μm以上60μm以下である
請求項1又は2に記載の硬磁性粉末。
【請求項4】
タップ密度TDが0.50g/cm
3以上3.50g/cm
3以下である
請求項1から3のいずれかに記載の硬磁性粉末。
【請求項5】
ポリマーが基材であるマトリックスと、このマトリックスに分散する硬磁性粉末とを備えており、
上記硬磁性粉末が多数の扁平粒子からなり、
これらの粒子の材質が、
Nd:10.8原子%以上16.0原子%以下
B:5.4原子%以上9.0原子%以下
C:0.3原子%以上1.0原子%以下
及び
O:15原子%以下
を含んでおり、残部がFe及び不可避的不純物である合金であり、
上記硬磁性粉末の最大アスペクト比が5.0以上であ
り、
上記硬磁性粉末の保磁力iHcが90kA/m以上である磁性部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その粒子の形状が扁平であり、かつ硬磁性を有する粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の電子機器は、回路を有している。この回路に装着される電子部品から放射される電波ノイズに起因して、電子部品と他の電子部品との間の電波干渉、及び電子回路と他の電子回路との間の電波干渉が生じる。電波干渉は、電子機器の誤動作を招来する。誤作動の抑制の目的で、電子機器に電磁波吸収シートが挿入される。
【0003】
近年の情報通信では、通信速度の高速化が図られている。この高速通信には、高周波の電波が使用される。従って、高周波域での使用に適した電磁波吸収シートが、望まれている。
【0004】
特開2020―152979公報には、高周波域での使用に適した磁性シートが記載されている。この磁性シートは、粉末を含んでいる。この粉末は、扁平形状を有する多数の粒子からなる。この粉末の材質は、Fe-Ni-Al-Co系合金である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁性シートは、自然共鳴現象によって電磁波を吸収する。自然共鳴は、磁気モーメントの歳差運動に依存する。高い周波数での自然共鳴は、周波数が高い電磁波の吸収に寄与しうる。自然共鳴周波数は、保磁力iHcと相関する。特開2020―152979公報に記載された粉末の保磁力は、31kA/m以下である。この粉末は、周波数が極めて高い電磁波の吸収には、適さない。
【0007】
本発明の目的は、周波数がきわめて高い電磁波が吸収されうる磁性部材のための、粉末の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る硬磁性粉末は、多数の扁平粒子からなる。これらの粒子の材質は、希土類金属-遷移金属-B系の合金である。この粉末の最大アスペクト比は、5.0以上である。
【0009】
好ましくは、この合金は、希土類金属としてのNdと、遷移元素としてのFeとを含む。
【0010】
好ましくは、この合金は、
Nd:10.8原子%以上16.0原子%以下
B:5.4原子%以上9.0原子%以下
C:0.3原子%以上1.0原子%以下
及び
O:15原子%以下
を含む。残部は、Fe及び不可避的不純物である。
【0011】
好ましくは、粉末の保磁力iHcは、90kA/m以上である。好ましくは、粉末のメジアン径D50は、5μm以上60μm以下である。好ましくは、粉末のタップ密度TDは、0.50g/cm3以上3.50g/cm3以下である。
【0012】
他の観点によれば、本発明に係る磁性部材は、ポリマーが基材であるマトリックスと、このマトリックスに分散する硬磁性粉末とを有する。この硬磁性粉末は、多数の扁平粒子からなる。これらの粒子の材質は、希土類金属-遷移金属-B系の合金である。この硬磁性粉末の最大アスペクト比は、5.0以上である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る硬磁性粉末が用いられた磁性部材では、極めて高い周波数が吸収されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る磁性部材の一部が示された模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の磁性部材に含まれる扁平粒子が示された拡大図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1に係る粉末の粒子の断面が示された反射電子像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
[磁性シート]
図1には、磁性シート2(磁性部材)が示されている。この磁性シート2は、ポリマー組成物からなる。この磁性シート2は、基材ポリマーのマトリックス4と、このマトリックス4に分散する粉末とを有している。基材ポリマーは、ゴム又は樹脂である。粉末は、多数の粒子6の集合である。
【0017】
[粒子形状]
図2に、1つの粒子6の断面が示されている。
図1において、符号L1で示されているのは粒子6の長軸の長さであり、符号T1で示されているのは粒子6の厚さである。長さL1は、厚さT1よりも大きい。換言すれば、この粒子6は扁平である。
【0018】
扁平粒子6は、形状異方性を有する。この異方性は、磁性部材の実部透磁率μ’を高める。しかも、厚さT1が小さな扁平粒子6を含む磁性シート2では、渦電流損失が抑制されるので、実部透磁率μ’の緩和が生じにくい。この扁平粒子6を含む磁性シート2は、周波数が高い電磁波を吸収しうる。
【0019】
[最大アスペクト比]
この粉末の最大アスペクト比は、5.0以上である。最大アスペクト比が5.0以上である粉末では、扁平加工時に粒子に大きな歪みが与えられる。従って、この粉末の保磁力は大きい。最大アスペクト比が5.0以上である粉末では、粒子6の形状異方性が大きい。さらに、最大アスペクト比が5.0以上であり粒子の厚さが小さい粉末を含む磁性シート2では、渦電流損失が抑制される。よって、最大アスペクト比が5.0以上である粉末を含む磁性シート2は、周波数が高い電磁波を吸収しうる。
【0020】
高周波域での電磁波吸収の観点から、最大アスペクト比は8.0以上がより好ましく、10.0以上が特に好ましい。最大アスペクト比は、100以下が好ましい。最大アスペクト比が100以下である粉末が用いられた磁性部材では、粒子6が他の粒子6と接触する箇所が抑制され、渦電流による損失が抑制される。この観点から、最大アスペクト比は50以下がより好ましく、30以下が特に好ましい。
【0021】
アスペクト比の測定には、扁平粒子6の厚さ方向が観察できる樹脂埋め試料が用いられる。この試料が研磨され、研磨面が走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察される。観察時の画像の倍率は、1000倍である。得られた反射電子像データが、画像解析に供される。この画像のデータが、画像解析ソフトで2値化される。粒子6の2値化画像が楕円に近似されたとき、この楕円の短軸の長さに対する長軸の長さの比が、この粒子6のアスペクト比である。4つの視野で得られる多数の2値化粒子のアスペクト比の中から、最も大きいアスペクト比(最大アスペクト比)が選ばれる。
【0022】
[材質]
扁平粒子6の材質は、希土類金属-遷移金属-B系の合金である。この合金は、希土類金属M1、遷移金属M2及びホウ素Bを含む。この合金の金属組織は、金属間化合物である(M12M214B)を含む。この金属間化合物は、粉末の高い保磁力に寄与する。
【0023】
好ましい希土類金属M1として、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ho、Er、Tm及びYが、例示される。2以上の希土類金属M1が、併用されてもよい。好ましい遷移金属M2として、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo及びWが、例示される。2以上の遷移金属M2が、併用されてもよい。
【0024】
[好ましい合金]
特に好ましい希土類金属M1は、Ndである。特に好ましい遷移金属M2は、Feである。換言すれば、Nd-Fe-B系合金が、特に好ましい。この合金の金属組織は、金属間化合物である(Nd2Fe14B)を含む。この金属間化合物は、粉末の高い保磁力に寄与する。
【0025】
好ましい合金は、Fe基合金である。このFe基合金は、
Nd:10.8原子%以上16.0原子%以下
B:5.4原子%以上9.0原子%以下
C:0.3原子%以上1.0原子%以下
及び
O:15原子%以下
を含む。好ましくは、残部は、Fe及び不可避的不純物である。
【0026】
[ネオジム(Nd)]
この合金はBを多く含むが、その金属組織を構成する主な相は、Nd2Fe14B、Ndリッチ相、及び少量のαFe相である。これらの相は結晶相であり、非晶質相ではない。Ndは、金属間化合物(Nd2Fe14B)の形成に必須の元素である。この金属間化合物を有する粉末は、高い飽和磁化と高い保磁力とを有する。かかる観点から、本発明では、Ndの含有率が10.8原子%以上に規定される。この含有率は、10.9原子%以上がより好ましく、11.1原子%以上が特に好ましい。過剰のNdは過剰の金属間化合物(Nd2Fe14B)を析出させる。過剰の析出は、合金の延性を損ない、アスペクト比が大きい扁平粒への加工を阻害する。延性の観点から、本発明では、Ndの含有率が16.0原子%以下に規定される。この含有率は、15.0原子%以下がより好ましく、14.0原子%以下が特に好ましい。
【0027】
[ホウ素(B)]
Bは、金属間化合物(Nd2Fe14B)の形成に必須の元素である。この金属間化合物を有する粉末は、高い飽和磁化と高い保磁力とを有する。かかる観点から、本発明では、Bの含有率が5.4原子%以上に規定される。この含有率は、5.6原子%以上がより好ましく、6.3原子%以上が特に好ましい。Bの含有率は、9.0原子%以下が好ましく、8.5原子%以下がより好ましく、7.9原子%以下が特に好ましい。
【0028】
[炭素(C)]
Cは、本発明において特に重要な元素である。Cは、扁平加工に使用される有機溶媒に由来して、合金に混入する。Cは主として、扁平粒子6の表面の近傍に存在する。本発明者が得た知見によれば、Cの混入により、粉末の高い保磁力が達成される。その理由は、CがNdと結合することで得られる化合物が保磁力に寄与するためと、推測される。保磁力の観点から、本発明では、Cの含有率が0.3原子%以上に規定される。この含有率は、0.4原子%以上が特に好ましい。Cの混入は、Oの混入を伴う。後述されるように、Oの過剰の混入は、好ましくない。かかる観点から、本発明では、Cの含有率が1.0原子%以下に規定される。この含有率は、0.9原子%以下がより好ましく、0.8原子%以下が特に好ましい。
【0029】
[酸素(O)]
Oは、アトマイズ時及び扁平加工時に、合金に不可避的に混入する。OはNdと反応し、Nd2O3を代表とする酸化物を形成する。この酸化物の形成は、Nd2Fe14Bの形成量の減少を招来し、粉末の保磁力を阻害する。保磁力の観点から、本発明では、Oの含有率が15原子%以下に規定される。この含有率は、13原子%以下がより好ましく、11原子%以下が特に好ましい。
【0030】
[保磁力iHc]
保磁力iHcは、磁化された磁性体を磁化されていない状態に戻すために必要な外部磁場の強さである。保磁力iHcが大きい粉末を含む磁性シート2は、周波数が高い電磁波を吸収しうる。この観点から、粉末の保磁力iHcは90kA/m以上が好ましく、100kA/m以上がより好ましく、150kA/m以上が特に好ましい。この粉末は、硬磁性である。
【0031】
保磁力は、振動試料型磁力計(VSM)にて測定される。測定条件は、以下の通りである。
最大印加磁場:1204kA/m
粉末の質量:約70mg
印加磁場方向は、扁平粒子6の長手方向である。
【0032】
[メジアン径D50]
均質でかつ表面が平滑な磁性シート2が得られうるとの観点から、粉末のメジアン径D50は60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下が特に好ましい。保磁力の観点から、メジアン径D50は5μm以上が好ましく、6.3μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。
【0033】
メジアン径D50は、粉末の全体積を100%として累積カーブが求められたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子6の直径である。メジアン径D50は、例えば、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」により測定される。この装置のセル内に、粉末が純水と共に流し込まれ、粒子6の光散乱情報に基づいて、メジアン径D50が検出される。
【0034】
[タップ密度TD]
均質でかつ表面が平滑な磁性シート2が得られうるとの観点から、粉末のタップ密度TDは3.50g/cm3以下が好ましく、3.20g/cm3以下がより好ましく、2.91g/cm3以下が特に好ましい。タップ密度TDは、0.50g/cm3以上が好ましい。
【0035】
タップ密度TDの測定では、約20gの粉末が、容積が100cm3であるシリンダーに充填される。測定条件は、以下の通りである。
落下高さ:10mm
タップ回数:200
【0036】
[粉末の製造]
本発明に係る粉末は、原料粉末に扁平加工が施されることで得られる。原料粉末は、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法、粉砕法等によって得られうる。ガスアトマイズ法が、好ましい。ガスアトマイズ法では、冷却速度が比較的遅い。ガスアトマイズ法では、酸化が少ない。
【0037】
ガスアトマイズ法では、原料金属が加熱されて溶解し、溶湯が得られる。この溶湯が、ノズルから流れ出る。この溶湯に、ガス(典型的にはアルゴンガス)が吹き付けられる。このガスのエネルギーにより、溶湯は粉化して液滴となり、落下されつつ冷却される。この液滴が凝固し、粒子が形成される。このガスアトマイズ法では、溶湯が瞬間的に液滴化し、これと同時に冷却されるので、均一な微細組織が得られる。しかも、連続的に液滴が形成されるので、粒子間の組成差がきわめて小さい。
【0038】
この原料粉末に、必要に応じ、分級及び熱処理が施される。この原料粉末に、扁平加工が施される。典型的な扁平加工は、アトライタによってなされる。扁平加工に、ステアリン酸等の扁平化助剤が用いられてもよい。扁平化助剤が使用された扁平加工では、メジアン径D50が大きい扁平粉末が得られうる。扁平加工後の粉末に、必要応じて、分級が施される。扁平加工後の粉末に、熱処理が施されないことが好ましい。熱処理は、保磁力を低下させるからである。
【0039】
[磁性部材の成形]
この粉末から磁性部材(電磁波吸収体)が得られるには、まず粉末が、樹脂及びゴムのような基材ポリマーに混練されて、ポリマー組成物が得られる。混練には、既知の方法が採用されうる。例えば、密閉式混練機、オープンロール等により、混練がなされうる。
【0040】
次に、このポリマー組成物から、磁性部材が成形される。成形には、既知の方法が採用されうる。圧縮成形法、射出成形法、押出成形法、圧延法等により、成形がなされうる。典型的な磁性部材は、
図1に示された磁性シート2(電磁波吸収シート)である。リング状、立方体状、直方体状、円筒状等の形状が、磁性部材に採用されうる。
【0041】
基材ポリマーに、粉末と共に、種々の薬品が混練されうる。薬品として、潤滑材及びバインダーのような加工助剤が例示される。ポリマー組成物が、難燃剤を含有してもよい。
【実施例】
【0042】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0043】
[実施例1]
ガスアトマイズ及び分級により、原料粉末を得た。この原料粉末500gを、アトライタに投入した。このアトライタには、1.4kgのナフテン系溶媒も投入した。粉末メディアとして、4.8mmのSUJ2を用いた。このアトライタによって粉末に扁平加工を施し、扁平粒子からなる粉末を得た。この粉末の組成、メジアン径D50、タップ密度TD及び最大アスペクト比が、下記の表1に示されている。Nd、Fe及びBの含有率は、アトマイズ後であって扁平加工前の粉末にて測定した。この測定には、ICP(Inductive Coupled Plasma)発光分光分析装置を用いた。C及びOの含有率は、扁平化加工後の粉末にて測定した。Cの含有率は、燃焼-赤外線吸収法によって測定した。Oの含有率は、不活性ガス搬送融解赤外線吸収法にて測定した。この粉末の反射電子像が、
図3に示されている。
図3には、粒子の断面が示されている。
【0044】
[実施例2-6及び比較例1-7]
組成を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2-6及び比較例1-7の粉末を製作した。なお、実施例6及び比較例3の粉末の扁平加工には、扁平化助剤を用いた。比較例5-7の粉末には、熱処理を施した。この熱処理では、高温のアルゴンガス雰囲気で粉末を1時間保持し、徐冷した。雰囲気温度が、下記の表1に示されている。比較例5-7の粉末におけるC及びOの含有率は、熱処理後に測定した。
【0045】
[保磁力の測定]
前述の方法にて、粉末の保磁力を測定した。この結果が、下記の表1に示されている。
【0046】
【0047】
表1に示されるように、各実施例の粉末の保磁力は大きい。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る粉末は、種々の磁性部材に適している。
【符号の説明】
【0049】
2・・・磁性シート
4・・・マトリックス
6・・・扁平粒子