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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-29
(45)【発行日】2024-12-09
(54)【発明の名称】骨強化剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20241202BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20241202BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20241202BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20241202BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20241202BHJP
   A21D 2/08 20060101ALN20241202BHJP
   A21D 13/45 20170101ALN20241202BHJP
   A23L 29/256 20160101ALN20241202BHJP
   A23L 9/00 20160101ALN20241202BHJP
   A23L 9/20 20160101ALN20241202BHJP
   A23D 7/00 20060101ALN20241202BHJP
   A23C 19/09 20060101ALN20241202BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20241202BHJP
   A23L 2/38 20210101ALN20241202BHJP
   A23C 9/123 20060101ALN20241202BHJP
   A23C 9/152 20060101ALN20241202BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/744
A61K35/745
A61K35/747
A61P19/08
A21D2/08
A21D13/45
A23L29/256
A23L9/00
A23L9/20
A23D7/00 500
A23C19/09
A23L2/00 F
A23L2/38 G
A23C9/123
A23L2/52
A23C9/152
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021562636
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2020044521
(87)【国際公開番号】W WO2021112041
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2019217705
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03073
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03074
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-01707
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-02644
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03077
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03076
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03075
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-02997
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-03078
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03081
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03003
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03079
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03080
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03071
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-03072
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-03070
(73)【特許権者】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安枝 武彦
(72)【発明者】
【氏名】加茂 佳恵
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 泰幸
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2001/015715(WO,A1)
【文献】特開2006-256993(JP,A)
【文献】特開平09-194384(JP,A)
【文献】特開2004-315477(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031749(WO,A1)
【文献】特表2015-526389(JP,A)
【文献】Clinical Interventions in Aging,2018年,Vol.13,pp.1555-1564
【文献】Lacto Plus Kids + Vitamin D,ID 2829323,Mintel GNPD[online],2014年12月,[検索日2024.08.13],https://www.portal.mintel.com
【文献】Yogurt with Strawberry Pure,ID 4963793,Mintel GNPD[online],2017年7月,[検索日2024.08.13],https://www.portal.mintel.com
【文献】Probiotics Supplement,ID 3488223,Mintel GNPD[online],2015年9月,[検索日2024.08.13],https://www.portal.mintel.com
【文献】Supplement for Stress and Fatigue,ID 6695677,Mintel GNPD[online],2019年7月,[検索日2024.08.13],https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 9/00
A23C19/00
A23L 9/00
A23L29/00
A23L33/00
A23L 2/00
A23D 7/00
A21D13/45
A21D 2/08
C12N 1/20
A61K35/744
CAPLUS/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/FSTA (STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス(Lactobacillus)属又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の菌体及び/又はその培養物を有効成分として含む骨芽細胞増殖促進用組成物であって、ラクトバチルス属又はビフィドバクテリウム属に属する菌が、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)から選択される1つ以上であることを特徴とする前記組成物
【請求項2】
ラクトバチルス・デルブルッキーに属する菌が、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)に属する菌であることを特徴とする請求項に記載の組成物 。
【請求項3】
ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス属又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の菌体及び/又はその培養物を有効成分として含む骨芽細胞増殖促進用組成物であって、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属又はビフィドバクテリウム属に属する菌が、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)SBT2115株(NITE P-03074)、SBT0056株(NITE P-03073)、 ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株(NIT E P-03076)、SBT1848株(NITE BP-03075)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株(NITE BP-02997)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス (Lactococcus lactis subsp.lactis)SBT0625株(NITE BP-03078)、SBT2483株(NITE P-03081 )、SBT1223株(NITE P-03003)、SBT1554株(NITE P -03079)、SBT2397株(NITE P-03080)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株(NITE P-03071)、SBT10561株(NITE BP-03072)から選択される1つ以上であることを特徴とする前記組成物。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の骨芽細胞増殖促進用組成物を含むことを特徴とする骨芽細胞増殖促進用飲食品、骨芽細胞増殖促進用栄養組成物、骨芽細胞増殖促進用飼料又は骨芽細胞増殖促進用医薬品。
【請求項5】
新規乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス SBT0056株(NITE P-03073)
【請求項6】
新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT0625株 (NITE BP-03078)
【請求項7】
新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT2483株(NITE P-03081)
【請求項8】
新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT1223株(NITE P-03003)
【請求項9】
新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT1554株 (NITE P -03079)
【請求項10】
新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT2397株(NITE P-03080)
【請求項11】
新規ビフィズス菌ビフィドバクテリウム・ブレーベ SBT10535株(NITE P-03071)
【請求項12】
新規ビフィズス菌ビフィドバクテリウム・ブレーベ SBT10561株(NITE BP-03072)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨を強化することができる骨強化剤に関する。本発明は、骨芽細胞の増殖を促進させる作用がある。また、本発明は、破骨細胞による骨吸収を抑制する作用がある。本発明により、骨粗鬆症、骨折治療、リウマチ、及び関節炎などの種々の骨疾患の予防又は治療に有用である、骨強化作用を有する素材を提供することができる。さらに、本発明は、該骨強化作用を有する素材を含有する、骨強化用飲食品、骨強化用栄養組成物、骨強化用飼料又は骨強化用医薬品に関する。
この出願は、2019年12月2日に出願された日本出願特願2019-217705号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
近年、世界的規模で、高齢化等に伴い、骨粗鬆症、骨折、あるいは腰痛などの種々の骨に関連する疾患が増加している。そして、これらが、大きな社会問題となっている。これは、カルシウムの摂取不足、カルシウム吸収能力の低下、及び閉経後のホルモンのアンバラスなどが原因であるとされている。骨粗鬆症、骨折、及び腰痛などの種々の骨疾患を予防するためには、若齢期から骨芽細胞による骨形成を促進して体内の骨量をできるだけ増加させることにより、最大骨量及び骨強度(骨密度+骨質)を高めることが有効であるとされている。なお、骨質とは、骨の微細構造、代謝回転、微小骨折、及び石灰化を指すものである。また、骨粗鬆症、骨折、及び腰痛などの種々の骨疾患を予防する方法としては、破骨細胞による骨吸収を抑制することも考えられる。骨はバランスのとれた吸収と形成を絶えず繰り返している(リモデリング)。しかしながら、閉経後のホルモンのバランス変化等により、骨吸収が骨形成を上回ることがある。そして、これが骨粗鬆症、骨折、及び腰痛などの種々の骨疾患の原因となる。したがって、破骨細胞による骨吸収を抑制して骨強度を一定に保つことにより、結果的に骨を強化することが可能である。
【0003】
このような現状から、骨を強化する目的で、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、及び乳酸カルシウムなどのカルシウム塩、ならびに、乳清カルシウム、牛骨粉、及び卵殻などの天然カルシウム剤が、それぞれ単独で医薬品、飲食品、及び飼料などに添加され、摂取されている。あるいは、これらのカルシウム剤をカゼインホスホペプチド又はオリゴ糖などのカルシウム吸収促進効果を有する物質と共に、医薬品、飲食品、及び飼料などに添加して、摂取することが行われている。しかしながら、これらのカルシウム塩、又は天然カルシウム剤を飲食品に添加して摂取した場合、カルシウムの吸収率は50%以下であり、半分以上のカルシウムが吸収されず体外に排出されてしまうといわれている。また、体内に吸収されたカルシウムは、その形態又は同時に摂取される他の栄養成分の種類によって骨への親和性が異なるので、必ずしも骨代謝の改善又は骨強化作用を示さないこともある。
【0004】
その他、骨粗鬆症治療又は骨強化のための医薬として、女性ホルモン製剤、活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、ビスフォスフォネート製剤、及びカルシトニン製剤などが知られている。抗RANKL抗体などの新薬の開発も進められている。しかし、これらの医薬品を用いた場合、耳鳴り、頭痛、及び食欲不振などの副作用を伴うことがある。また、服用期間に制限があるものもある。さらに、これらの物質は安全性及びコストなどの面から、現在のところ、飲食品に添加することができない状況にある。したがって、骨粗鬆症、骨折、及び腰痛などの種々の骨疾患の疾病の性質を鑑みて、長期的に副作用が無く摂取することができ、骨形成促進的及び/又は骨吸収抑制的に作用して骨強度を高め、その予防又は治療効果が期待できるような骨強化剤、並びに、このような骨強化剤を含有する飲食品及び飼料の開発が望まれている。
【0005】
こうしたなかで、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒの培養物が株化骨芽細胞の分化を促進すること、及び培養破骨細胞の分化を抑制することが知られている(特許文献1)。しかしながら、乳酸菌及び/又はビフィズス菌の菌体成分又はその培養物が、骨芽細胞の増殖を促進し、加えて、破骨細胞による骨吸収を抑制することは、これまで知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許4750991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、骨を強化することができる骨強化作用を有する素材を提供することである。この素材は、安全性が高く、骨芽細胞の増殖を促進させる作用がある。また、この素材は、破骨細胞による骨吸収を抑制する作用がある。また、この素材は、骨粗鬆症、骨折、リウマチ、及び関節炎などの種々の骨疾患の予防又は治療に有用である。また、本発明の課題は、骨粗鬆症、骨折、リウマチ、及び関節炎などの種々の骨疾患の予防又は治療に有用である骨強化作用を有する素材を配合した骨強化剤、骨強化用飲食品、骨強化用栄養組成物、骨強化用飼料又は骨強化用医薬品を提供することである。これらは、骨芽細胞の増殖を促進させる作用がある。これらは、また、破骨細胞による骨吸収を抑制する作用があり、骨を強化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を進めた結果、いくつかの乳酸菌あるいはビフィズス菌が、骨強化作用を有することを見出した。本発明には、以下の構成が含まれる。
(1)ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の菌体及び/又はその培養物を有効成分として含む骨強化用組成物。
(2)ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、又はビフィドバクテリウム属に属する菌がラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)から選択されるひとつ以上であることを特徴とする(1)の骨強化用組成物。
(3)ラクトバチルス・デルブルッキー又はラクトコッカス・ラクチスに属する菌がラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)に属する菌であることを特徴とする(2)の骨強化用組成物。
(4)ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、又はビフィドバクテリウム属に属する菌が、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT2115株(NITE P-03074)、SBT0056株(NITE P-03073)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株(NITE BP-01707)、SBT11380株(NITE BP-02644)、SBT2192A株(NITE P-03077)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株(NITE P-03076)、SBT1848株(NITE P-03075)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株(NITE BP-02997)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株(NITE ABP-03078)、SBT2483株(NITE P-03081)、SBT1223株(NITE P-03003)、SBT1554株(NITE P-03079)、SBT2397株(NITE P-03080)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株(NITE P-03071)、SBT10561株(NITE ABP-03072)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株(NITE P-03070)から選択されるひとつ以上であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の骨強化用組成物。
(5)(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の骨強化用組成物を含むことを特徴とする骨強化用飲食品、骨強化用栄養組成物、骨強化用飼料又は骨強化用医薬品。
(6)新規乳酸菌ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス SBT0056株。
(7)新規乳酸菌ラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2192A株。
(8)新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT0625株。
(9)新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT2483株。
(10)新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT1223株。
(11)新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT1554株。
(12)新規乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT2397株。
(13)新規ビフィズス菌ビフィドバクテリウム・ブレーベ SBT10535株。
(14)新規ビフィズス菌ビフィドバクテリウム・ブレーベ SBT10561株。
(15)新規ビフィズス菌ビフィドバクテリウム・アドレセンティス SBT10549株。
(16)骨強化用組成物の製造のための、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の菌体及び/又はその培養物の使用。
(17)骨強化に使用するための、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の菌体及び/又はその培養物。
(18)有効量のラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の菌体及び/又はその培養物を、それを必要としている対象に摂取させるか、又は投与することを含む、骨強化方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の骨強化用組成物は、安全性が高く、骨芽細胞の増殖を促進させることができる。加えて、本発明の骨強化用組成物は、破骨細胞の分化ならびに該細胞による骨吸収を、いずれも抑制する作用を介した骨強化作用が顕著である。該骨強化用組成物は、骨粗鬆症、骨折、リウマチ、及び関節炎などの種々の骨疾患の予防又は治療に有用である。また、本発明は、骨芽細胞の増殖を促進させることができる。また、本発明は、破骨細胞の分化ならびに該細胞による骨吸収を、いずれも抑制する作用があり、骨を強化することができる。したがって、本発明は、骨粗鬆症、骨折、リウマチ、及び関節炎などの種々の骨疾患の予防又は治療に有用である骨強化用組成物を配合した骨強化用飲食品、骨強化用栄養組成物、骨強化用飼料又は骨強化用医薬品を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において使用できる乳酸菌としては、骨強化作用を有する、ラクトバチルス(Lactobacillus)属ラクトコッカス(Lactococcus)属に分類される乳酸菌であればどのようなものでも用いることができる。ビフィズス菌としては、骨強化作用を有する、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属するビフィズス菌であればどのようなものでも用いることができる。ラクトバチルス属に属する乳酸菌としては、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)等に属する乳酸菌を例示することができる。ラクトコッカス属に属する乳酸菌としては、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)等に属する乳酸菌を例示することができる。ビフィドバクテリウム属に属するビフィズス菌としては、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)等に属するビフィズス菌を例示することができる。ラクトバチルス・デルブルッキーに属する乳酸菌としては、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)等の乳酸菌を例示することができる。ラクトコッカス・ラクチスに属する乳酸菌としては、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)等の乳酸菌を例示することができる。いずれの乳酸菌又はビフィズス菌についても、例示したものに限定されるものではない。
本発明に用いることができるラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、及びビフィドバクテリウム・アドレセンティスは、16SリボソームRNA遺伝子配列解析等の一般的な分類方法により、分類することができる。
本発明では、特に、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株(NITE P-03073)、SBT2115株(NITE P-03074)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株(NITE BP-01707)、SBT11380株(NITE BP-02644)、2192A株(NITE P-03077)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株(NITE P-03076)、SBT1848株(NITE P-03075)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株(NITE BP-02997)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株(NITE ABP-03078)、SBT2483株(NITE P-03081)、SBT1223株(NITE P-03003)、SBT1554株(NITE P-03079)、SBT2397株(NITE P-03080)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株(NITE P-03071)、SBT10561株(NITE ABP-03072)、又はビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株(NITE P-03070)を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
本発明の骨強化用組成物では、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の菌体、及びその培養物のうちの1つ以上を含むことができる。本発明の有効成分は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の各々の菌体から成るものであってもよい。本発明の有効成分は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の各々の培養物から成るものであってもよい。
【0011】
(乳酸菌又はビフィズス菌の培養法)
本発明に用いられる乳酸菌又はビフィズス菌は、乳酸菌又はビフィズス菌の培養の常法に従って培養することができる。培養培地は、乳培地又は乳成分を含む培地、乳培地又は乳成分を含まない半合成培地など種々の培地を用いることができる。このような培地としては、還元脱脂乳培地などを例示することができる。得られた培養物から遠心分離などの集菌手段によって分離された菌体を、そのまま本発明の有効成分として用いることができる。濃縮、乾燥、又は凍結乾燥などした菌体を用いることもできる。菌体は、加熱乾燥などによる死菌体でもよい。菌体として純粋に分離されたものだけでなく、培養物、懸濁物、又はその他の菌体含有物、並びに菌体を酵素又は物理的手段を用いて処理した細胞質又は細胞壁画分も用いることができる。培養物などの形態としては、合成培地であるMRS培地(DIFCO社製)、M17培地(DIFCO社製)、1%グルコース含有GAM培地(日水製薬社製)、還元脱脂乳培地など一般的に乳酸菌の培養に用いられる培地を用いた培養物だけでなく、チーズ、発酵乳、及び乳酸菌飲料などの乳製品などを例示することができるが特に限定されるものではない。さらに、得られた培養物から遠心分離、濾過操作などの方法を用いて、乳タンパク質沈殿及び菌体成分を除去することによって調製した培養上清なども用いることができる。このような培養上清は、固形分が少ない上清であるため、飲食品などへの適用範囲が広くなる。例えば、還元脱脂乳培養物を5,000rpmで10分間遠心分離することにより、培養上清を調製することができる。
【0012】
(新規乳酸菌株又は新規ビフィズス菌株)
本発明は、新規乳酸菌株又は新規ビフィズス菌株に関するものである。これらの新規乳酸菌株又は新規ビフィズス菌株とは、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス SBT0056株(NITE P-03073)、ラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2192A株(NITE P-03077)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT0625株(NITE ABP-03078)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT2483株(NITE P-03081)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT1223株(NITE P-03003)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT1554株(NITE P-03079)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT2397株(NITE P-03080)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ SBT10535株(NITE P-03071)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ SBT10561株(NITE ABP-03072)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス SBT10549株(NITE P-03070)である。以下、同乳酸菌株又はビフィズス菌株を「本発明の乳酸菌又はビフィズス菌」、「本発明の乳酸菌株又はビフィズス菌株」、又は単にSBT0056株、SBT2192A株、SBT0625株、SBT2483株、SBT1223株、SBT1554株、SBT2397株、SBT10535株、SBT10561株、SBT10549株と記載することがある。
これらの乳酸菌株のうち、SBT1223株はNITE P-03003の受託番号で、2019年7月8日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に寄託されている。それ以外の菌株は、2019年11月25日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、SBT0056株はNITE P-03073、SBT2192A株はNITE P-03077、SBT0625株はNITE ABP-03078、SBT2483株はNITE P-03081、SBT1554株はNITE P-03079、SBT2397株はNITE P-03080、SBT10535株はNITE P-03071、SBT10561株はNITE ABP-03072、SBT10549株はNITE P-03070の受託番号で、それぞれ寄託されている。
本発明の乳酸菌又はビフィズス菌は、上記寄託乳酸菌株又はビフィズス菌株に制限されず、これらの寄託乳酸菌株又はビフィズス菌株と実質的に同等の乳酸菌株又はビフィズス菌株であってもよい。実質的に同等の乳酸菌株又はビフィズス菌株とは、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・アドレセンティスに属する乳酸菌株又はビフィズス菌株であって、寄託乳酸菌株又はビフィズス菌株と同程度の高い骨強化作用を有する乳酸菌株又はビフィズス菌株を言う。「寄託乳酸菌株又はビフィズス菌株と同程度の高い骨強化作用を有する乳酸菌株又はビフィズス菌株」とは、例えば、以下の手順1)~3)により測定した骨芽細胞増殖促進効果又は、手順4)~6)により測定した骨吸収抑制効果が、各々の寄託乳酸菌株又はビフィズス菌株における骨芽細胞増殖促進効果又は骨吸収抑制効果と有意差がない乳酸菌株又はビフィズス菌株を意味する。
(骨芽細胞増殖促進効果の評価方法)
1)株化骨芽細胞(MC3T3-E1)を96穴の平板細胞培養プレートに4,000cells/wellになるように播種し、10%(v/v)ウシ胎児血清を含むα-MEM培地で24時間培養する。
2)培地を全て除いた後、ウシ胎児血清を含まないα-MEM培地に交換し、各種乳酸菌体又はビフィズス菌体を5μg/mlの最終濃度となるよう培地に添加して、さらに24時間培養する。
3)Cell Proliferation kit(GEヘルスケア社製)付属のブロモデオキシウリジン(BrdU)を添加し2時間培養する。その後、ペルオキシダーゼ標識抗BrdU抗体と反応させる。そして、基質である3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを添加し、450nmにおける吸光度を測定する。
(骨吸収抑制効果の評価方法)
4)5日齢のウサギの脛骨及び大腿骨を摘出し、軟組織を除去する。その後、5%(v/v)FBSを含むα-MEM培地中で機械的に細切した破骨細胞を含む全骨髄細胞を500,000cells/wellになるように結晶性リン酸カルシウムプレート(Corning社製)のウェル上に撒き込み、培養する。
5)培養2時間後に、新しい培地へと交換する。その後、各種乳酸菌体又はビフィズス菌体を100μg/mlの最終濃度となるよう培地に添加して72時間培養する。
6)培地を全て除き、5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加することで細胞を取り除く。その後、リン酸カルシウムプレートのウェル上にできた骨吸収窩(ピット)を実体顕微鏡下で撮影する。画像解析によってその面積を測定することにより破骨細胞による骨吸収を抑制する効果を調べる(瀬野悍二ら,研究テーマ別動物培養細胞マニュアル、pp.199-200、1993)。
本発明において、「骨強化」とは、骨芽細胞の増殖を促進することにより、及び/又は、破骨細胞の分化を抑制する又は破骨細胞による骨吸収を抑制することにより、骨量、骨密度、及び骨質のうちの少なくとも1つを増加させることを意味する。「骨強化」は、インビトロにおける効果であってもよく、インビボにおける効果であってもよい。インビボにおける効果である場合、「骨強化」は、骨芽細胞の増殖を促進すること、及び/又は、骨吸収を抑制することを意味することができる。
本発明の乳酸菌又はビフィズス菌は、前記手順1)~3)により、骨芽細胞増殖促進効果の評価を行った場合に、好ましくは、測定した細胞増殖促進効果が、乳酸菌株又はビフィズス菌株を添加していないコントロールにおける骨芽細胞増殖促進効果よりも1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上大きいものである。なお、前記「測定した細胞増殖促進効果」とは、前記手順1)~3)の後に測定した吸光度の値の大きさを意味する。
また、本発明の乳酸菌又はビフィズス菌は、前記手順4)~6)により、骨吸収抑制効果の評価を行った場合に、好ましくは、測定した骨吸収抑制効果が、乳酸菌株又はビフィズス菌株を添加していないコントロールにおける骨吸収抑制効果よりも2倍以上、さらに好ましくは4倍以上、より好ましくは6倍以上大きいものである。なお、前記「測定した骨吸収抑制効果」とは、前記手順4)~6)の後に測定したピットの面積を意味する。ピットの面積が小さいほど、骨吸収抑制効果が大きい。例えば後述の試験例2において、PBSに懸濁したラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス SBT0625株を添加した場合、対照(PBSのみ)と比較して、リン酸カルシウムプレートのウェル上にできたピットの面積が10分の1以下である。
なお、上記の評価方法に限定されず、当業者に公知である骨芽細胞増殖促進効果の評価方法又は骨吸収抑制効果の評価方法を採用して、骨芽細胞増殖促進効果又は骨吸収抑制効果を評価可能であることは言うまでもない。
また、実質的に同等の乳酸菌株又はビフィズス菌株は、さらに、その16S rRNA遺伝子の塩基配列が、上記寄託乳酸菌株又はビフィズス菌株の16S rRNA遺伝子の塩基配列と98%以上、好ましくは99%以上、より好ましくは100%の相同性を有し、且つ、好ましくは上記寄託乳酸菌株又はビフィズス菌株と同一の菌学的性質を有する。さらに、本発明の乳酸菌又はビフィズス菌は、本発明の効果が損なわれない限り、寄託乳酸菌株もしくはビフィズス菌株、又はそれと実質的に同等の乳酸菌株もしくはビフィズス菌株から、変異処理、遺伝子組み換え、又は自然変異株の選択等によって育種された乳酸菌株又はビフィズス菌株であってもよい。
【0013】
(有効成分の摂取量)
本発明の乳酸菌あるいはビフィズス菌の菌体又は培養物の摂取量は、骨芽細胞の増殖を促進させる作用、あるいは、破骨細胞の分化ならびに該細胞による骨吸収を抑制する作用を介した骨強化作用を示す有効量であれば特に制限はない。したがって、製造の容易性及び好ましい1日摂取量にあわせて、摂取量を適宜調節すればよい。本発明の投与対象は特に限定されず、ヒトに対して投与することができるが、投与対象はヒト以外の動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ又はウサギ等)であってもよい。投与対象がヒトである場合は、20歳未満の未成年、成人、男女、又は65歳以上の高齢者などに投与することができる。本発明の乳酸菌又はビフィズス菌の菌体又は培養物の摂取量は、投与対象者の症状、年齢、及び性別などを考慮してそれぞれ個別に決定されるが、通常成人の場合、乳酸菌あるいはビフィズス菌の培養物などを10~200g、あるいはその菌体を0.1~5,000mg摂取できるように配合量などを調整すればよい。本発明の乳酸菌又はビフィズス菌の菌体又は培養物は、そのまま経口摂取してもよいが、飲食品、栄養組成物、飼料及び経口用医薬等へ配合する場合は、上記した摂取量となるように配合量を調整すればよい。このようにして摂取することにより、所望の効果を発揮することができる。
投与対象は、骨粗鬆症、骨折、リウマチ、及び関節炎などの種々の骨疾患を罹患する患者でもよく、又は罹患する恐れの高い対象でもよく、未だ罹患していないが、将来罹患する恐れのある健康な対象であってもよい。
【0014】
(本発明の乳酸菌あるいはビフィズス菌の飲食品及び医薬品への使用方法について)
本発明の乳酸菌あるいはビフィズス菌の菌体又は培養物は、それぞれを単独もしくは、任意の組み合わせでそのまま骨強化用組成物として使用してもよい。それに加えて、骨芽細胞の増殖を促進させる作用、あるいは、破骨細胞の分化及び該細胞による骨吸収を抑制する作用を介した骨強化作用を失わない範囲で必要に応じて常法に従い、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、又はドリンク剤等に製剤化して用いることもできる。また、そのまま又は製剤化した後に、栄養剤や粉乳、乳飲料、乳酸菌飲料、発酵乳、清涼飲料水、チーズ、マーガリン、クリーム、プリン、ゼリー、又はウエハース等の飲食品、栄養組成物、飼料及び医薬品に配合することも可能である。
本発明の乳酸菌又はビフィズス菌の菌体又は培養物は、他の飲食品、飼料及び医薬に通常含まれる安定剤や糖類、脂質、フレーバー、ビタミン、ミネラル、フラボノイド、ポリフェノール等の原材料とともに使用することができる。
【0015】
製剤化に際しては、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、及び滑沢剤等の希釈剤又は賦形剤を用いることができる。賦形剤としては、例えばショ糖、乳糖、デンプン、結晶性セルロース、マンニット、軽質無水珪酸、アルミン酸マグネシウム、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素カルシウム、及びカルボキシルメチルセルロースカルシウム等の1種又は2種以上を組み合わせて加えることができる。
また、本発明の飲食品は、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は美容用食品として使用することも可能である。
【0016】
以下に実施例、試験例を示し、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、本明細書において、特に説明のない限り、%は質量%を示す。
【実施例
【0017】
(実施例1)
ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株、SBT2115株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株、SBT11380株、2192A株、又はラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株、SBT1848株、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株を、滅菌したMRS broth(DIFCO社製)にて、それぞれの菌株毎に、37℃、16時間の培養を3代以上行って賦活させた。その培養物を同培地にそれぞれ3%(v/v)接種し、37℃で16時間培養した。その後、遠心分離によりそれぞれの菌体を分離した。菌体は滅菌生理食塩水で2回、超純水で1回洗浄した後、凍結乾燥した。上記の操作により、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株、SBT2115株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株、SBT11380株、2192A株、又はラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株、SBT1848株、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株の菌体を得た(実施例品1)。このようにして得られたラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株、SBT2115株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株、SBT11380株、2192A株、又はラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株、及びSBT1848株、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株の菌体は、そのまま本発明の骨強化作用を有する乳酸菌として使用できる。
【0018】
(実施例2)
ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、SBT2483株、SBT1223株、SBT1554株、SBT2397株を、滅菌した0.5%ラクトース含有M17培地(DIFCO社製)にて、それぞれの菌株毎に、30℃、16時間の培養を3代以上行って賦活させた。その培養物を同培地にそれぞれ3%(v/v)接種し、30℃で16時間培養した。その後、遠心分離によりそれぞれの菌体を分離した。菌体は滅菌生理食塩水で2回、超純水で1回洗浄した後、凍結乾燥した。上記の操作により、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、SBT2483株、SBT1223株、SBT1554株、SBT2397株の菌体を得た(実施例品2)。このようにして得られたラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、SBT2483株、SBT1223株、SBT1554株、SBT2397株の菌体は、そのまま本発明の骨強化作用を有する乳酸菌として使用できる。
【0019】
(実施例3)
ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株、SBT10561株、又はビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株を、滅菌した1%グルコース含有GAM培地(日水製薬社製)にて、それぞれの菌株毎に、30℃、16時間の培養を3代以上行って賦活させた。その培養物を同培地にそれぞれ3%(v/v)接種し、37℃で16時間培養した。その後、遠心分離によりそれぞれの菌体を分離した。菌体は滅菌生理食塩水で2回、超純水で1回洗浄した後、凍結乾燥した。上記の操作により、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株、SBT10561株、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株の菌体を得た(実施例品3)。このようにして得られたビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株、SBT10561株、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株の菌体は、そのまま本発明の骨強化作用を有するビフィズス菌として使用できる。
【0020】
(比較例1)
雪印メグミルク株式会社保有のロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシーズ・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides)No.1株を、滅菌したMRS broth(DIFCO社製)にて、37℃、16時間の培養を3代以上行って賦活させた。これを同培地にそれぞれ3%(v/v)接種し、37℃で16時間培養した。その後、遠心分離によりそれぞれの菌体を分離した。菌体は滅菌生理食塩水で2回、超純水で1回洗浄した後、凍結乾燥した。上記の操作により、ロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシーズ・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides)No.1株の菌体を得た(比較例品1)。
【0021】
(比較例2)
雪印メグミルク株式会社保有のストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)No.1株を、滅菌した0.5%ラクトース含有M17培地(DIFCO社製)にて、30℃、16時間の培養を3代以上行って賦活させた。これを同培地にそれぞれ3%(v/v)接種し、37℃で16時間培養した。その後、遠心分離によりそれぞれの菌体を分離した。菌体は滅菌生理食塩水で2回、超純水で1回洗浄した後、凍結乾燥した。上記の操作により、ストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)No.1株の菌体を得た(比較例品2)。
【0022】
(試験例1)
実施例品1の、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株、SBT2115株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株、SBT11380株、2192A株、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株、SBT1848株、実施例品2の、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、実施例品3の、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株、SBT10561株の菌体の骨芽細胞増殖促進効果を調べた。また、比較のために、比較例品1のロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシーズ・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides)No.1株、比較例品2のストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)No.1株の菌体の骨芽細胞増殖促進効果を調べた。株化骨芽細胞(MC3T3-E1)を96穴の平板細胞培養プレートに4,000cells/wellになるように播種し、10%(v/v)ウシ胎児血清を含むα-MEM培地で24時間培養した。培地を全て除いた後、ウシ胎児血清を含まないα-MEM培地に交換した。その後、本発明の菌体を5μg/mlの最終濃度となるよう培地に添加して、さらに24時間培養した。Cell Proliferation kit(GEヘルスケア社製)付属のブロモデオキシウリジン(BrdU)を添加し2時間培養した。その後、ペルオキシダーゼ標識抗BrdU抗体と反応させ、基質である3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンを添加した。その後、450nmにおける吸光度を測定した。上記操作を行うことで、細胞内に取り込まれたBrdU量を測定することにより骨芽細胞増殖促進効果を求めた。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
この結果、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株、SBT2115株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株、SBT11380株、2192A株、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株、SBT1848株、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株、SBT10561株の菌体を添加した場合は、いずれも対照(PBS)に比べ、有意に骨芽細胞の増殖が促進した。この結果から、本発明のラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株、SBT2115株、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株、SBT11380株、2192A株、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株、SBT1848株、実施例品2の、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、実施例品3の、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株、SBT10561株の菌体には骨芽細胞の増殖促進作用があることがわかった。一方、比較例品1のロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシーズ・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides)No.1株、比較例品2のストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)No.1株の菌体は、骨芽細胞の増殖促進作用を示さなかった。
【0025】
(試験例2)
実施例品1の、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株、実施例品2の、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、SBT2483株、SBT1223株、SBT1554株、SBT2397株、実施例品3の、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株の菌体の骨吸収抑制効果を調べた。また、比較のために、比較例品1のロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシーズ・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides)No.1株、比較例品2のストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)No.1株の菌体の骨吸収の抑制効果を調べた。5日齢のウサギの脛骨及び大腿骨を摘出し、軟組織を除去した。その後、5%(v/v)FBSを含むα-MEM培地中で機械的に細切した破骨細胞を含む全骨髄細胞を、500,000cells/wellになるように結晶性リン酸カルシウムプレート(Corning社製)のウェル上に撒き込み、培養した。培養2時間後に、新しい培地へと交換した後、本発明の菌体を100μg/mlの最終濃度となるよう培地に添加して72時間培養した。そして、5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加することで細胞を取り除いた後、リン酸カルシウムプレートのウェル上にできた骨吸収窩(ピット)を実体顕微鏡下で撮影した。画像解析によってその面積を測定することにより破骨細胞による骨吸収を抑制する効果を調べた(瀬野悍二ら,研究テーマ別動物培養細胞マニュアル、pp.199-200、1993)。その結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
この結果、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、SBT2483株、SBT1223株、SBT1554株、SBT2397株、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株の菌体を添加した場合は、いずれも対照(PBS)に比べ、ピットの面積が有意に減少した。この結果から、本発明のラクトバチルス・ロイテリ(
Lactobacillus reuteri)SBT10010株、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株、SBT2483株、SBT1223株、SBT1554株、SBT2397株、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株の菌体には破骨細胞による骨吸収を抑制する作用があることがわかった。一方、比較例品1のロイコノストック・メセンテロイデス・サブスピーシーズ・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides)No.1株、比較例品2のストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus mitis)No.1株の菌体は、破骨細胞による骨吸収の抑制作用を示さなかった。
【0028】
(実施例4)
(骨強化用カプセル剤の調製)
表3に示す配合で原材料を混合後、常法により造粒し、カプセルに充填して、本発明の骨強化用カプセル剤を製造した。
【0029】
【表3】
【0030】
(実施例5)
(骨強化用錠剤の調製)
表4に示す配合で原材料を混合後、常法により1gに成型、打錠して本発明の骨強化用錠剤を製造した。
【0031】
【表4】
【0032】
(実施例6)
(骨強化用液状栄養組成物の調製)
SBT10561株の菌体(実施例品3)25gを4975gの脱イオン水に溶解し、40℃まで加熱後、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで10分間撹拌混合して25g/5kgのSBT10561株の菌体溶液を得た。このSBT10561株溶液5.0kgに、カゼイン5.0kg、大豆タンパク質5.0kg、魚油1.0kg、シソ油3.0kg、デキストリン17.0kg、ミネラル混合物6.0kg、ビタミン混合物1.95kg、乳化剤2.0kg、安定剤4.0kg、香料0.05kgを配合し、200mlのレトルトパウチに充填し、レトルト殺菌機(第1種圧力容器、TYPE: RCS-4CRTGN、日阪製作所製)で121℃、20分間殺菌して、本発明の骨強化用液状栄養組成物50kgを製造した。なお、本発明の骨強化用液状栄養組成物200gには、SBT10561株の菌体が100mg含まれていた。
【0033】
(実施例7)
(骨強化用飲料の調製)
実施例品1のSBT2161株の菌体0.5gを699.5gの脱イオン水に溶解した後、40℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー(ULTRA-TURRAX T-25;IKAジャパン社製)にて、9,500rpmで20分間撹拌混合した。マルチトール100g、酸味料2g、還元水20g、香料2g、脱イオン水176gを添加した後、100mlのガラス瓶に充填し、95℃、15秒間殺菌後、密栓し、本発明の骨強化用飲料10本(100ml入り)を調製した。なお、本発明の骨強化用飲料100gには、SBT2161株の菌体が50mg含まれていた。
【0034】
(実施例8)
(イヌ用骨強化用飼料の調製)
実施例品3のSBT10549株の菌体2gを3,998gの脱イオン水に溶解し、40℃まで加熱後、TKホモミクサー(MARK II 160型;特殊機化工業社製)にて、3,600rpmで20分間撹拌混合して2g/4kgのSBT10549株の菌体溶液を得た。このSBT10549株の菌体溶液2kgに大豆粕1kg、脱脂粉乳1kg、大豆油0.4kg、コーン油0.2kg、パーム油2.3kg、トウモロコシ澱粉1kg、小麦粉0.9kg、ふすま0.2kg、ビタミン混合物0.5kg、セルロース0.3kg、ミネラル混合物0.2kgを配合し、120℃、4分間加熱殺菌して、本発明の骨強化用飼料10kgを製造した。なお、本発明の骨強化用飼料100gには、SBT10549株の菌体が10mg含まれていた。
【0035】
(実施例9)
(骨強化用粉乳の調製)
実施例品1のSBT0056株の菌体2g、脱脂粉乳9.998kg、脱イオン水90kgを混合し、40℃まで加熱後、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで10分間撹拌混合した。この溶液を噴霧乾燥して本発明の骨強化用粉乳10kgを製造した。なお、本発明の骨強化粉乳10gにはSBT0056株の菌体が2mg含まれていた。
【0036】
(実施例10)
(骨強化用乳飲料の調製)
実施例品2のSBT1223株の菌体1g、牛乳9.999kgを混合し、40℃まで加熱後、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで10分間撹拌混合した。130℃で2秒間、加熱殺菌した後、10℃以下まで冷却して本発明の骨強化用乳飲料10kgを製造した。なお、本発明の骨強化用乳飲料200gにはSBT1223株の菌体が20mg含まれていた。
【0037】
(実施例11)
(骨強化用発酵乳の調製)
実施例品2のSBT0625株の菌体0.1g、脱脂粉乳1700g、グルコース300g、脱イオン水7699.9gを混合し、95℃で2時間保持することで加熱殺菌した。これを37℃まで冷却し、乳酸菌スターター(Streptococcus thermophilus)を300g植菌し、攪拌混合後、37℃に保持したインキュベーター内でpH4.0まで発酵させた。pH4.0到達後10℃以下まで冷却し、本発明の骨強化用発酵乳10kgを製造した。なお、本発明の骨強化用発酵乳200gには、SBT0625株の菌体が2mg含まれていた。
【0038】
(実施例12)
(骨強化用乳酸菌飲料の調製)
脱脂粉乳1700g、グルコース300g、脱イオン水7700gを混合し、95℃で2時間保持することで加熱殺菌した。これを37℃まで冷却し、乳酸菌スターター(Lb.casei)を300g植菌し、攪拌混合後、37℃に保持したインキュベーター内でpH4.0まで発酵させた。pH4.0到達後、攪拌しながら10℃以下まで冷却し、発酵ベースを得た。また、実施例品1のSBT10010株の菌体4g、上白糖1800g、酸味料20g、香料10g、脱イオン水8166gを混合し、90℃で10分間殺菌後10℃以下まで冷却し、糖液を得た。前述の発酵ベース2000gと糖液8000gを混和し、均質機で組織を滑らかにし、200ml入り紙容器50本に分注後、アルミ蓋で密封し、本発明の骨強化用乳酸菌飲料10kgを製造した。なお、本発明の骨強化用乳酸菌飲料200mlには、SBT10010株の菌体が64mg含まれていた。
【0039】
(実施例13)
(骨強化用清涼飲料水の調製)
実施例品1のSBT2054株の菌体3g、50%乳酸0.75kg、エリスリトール5.7kg、香料1kg、脱イオン水42.547kgを混合し、40℃まで加熱後、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで10分間撹拌混合した。この溶液を90℃で10分間殺菌後10℃以下まで冷却することで、本発明の骨強化用清涼飲料水50kgを製造した。なお、本発明の骨強化用清涼飲料水200mlには、SBT2054株の菌体が12mg含まれていた。
【0040】
(実施例14)
(骨強化用チーズの調製)
ゴーダチーズ9.5kg、チェダーチーズ9.5kg、実施例品1のSBT10561株の菌体4g、クエン酸ナトリウム200g、脱イオン水796gを混合し、85℃で乳化した。乳化後にチーズをカルトンに充填して2昼夜、5℃で冷却して、本発明の骨強化用チーズ20kgを製造した。なお、本発明の骨強化用チーズ100gには、SBT10561株の菌体が20mg含まれていた。
【0041】
(実施例15)
(骨強化用マーガリンの調製)
大豆硬化油2kg、大豆白絞油4kg、パーム油2.5kg、グリセリン脂肪酸エステル50gを混合して油層を調製した。次に、実施例品1のSBT11380株の菌体20g、乳酸10g、脱イオン水1420gを混合し、油層へ添加して油中水型乳化物を得た、この乳化物をマーガリン製造機で冷却、固化及び練圧して、本発明の骨強化用マーガリン10kgを製造した。なお本発明の骨強化マーガリン10gには、SBT11380株の菌体が20mg含まれていた。
【0042】
(実施例16)
(骨強化用クリームの調製)
ナタネ硬化油4.5kg、レシチン40g、モノグリセリン脂肪酸エステル10g、ソルビタン脂肪酸エステル10gを混合し、油相を調製した。次に、実施例品1のSBT2115株の菌体40g、脱脂粉乳400g、カゼインナトリウム10g、シュガーエステル20g、リン酸塩10g、キサンタンガム5g、脱イオン水4.955kgを混合して、水相を調製した。水相を65℃に加温し、70℃に加温した油相を少量ずつ攪拌しながら添加し、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで10分間撹拌混合した。これを均質機で均質処理して本発明の骨強化クリーム10kgを製造した。なお、本発明の骨強化クリーム10gには、SBT2115株の菌体が40mg含まれていた。
【0043】
(実施例17)
(骨強化用プリンの調製)
はちみつ2000g、実施例品1のSBT1848株の菌体4g、脱脂粉乳800g、マスカルポーネ300g、液状水700g、グラニュー糖500g、生クリーム250g、バター200g、加糖卵黄400g、ゼラチン40g、寒天15g、ローカストビーンガム120g、脱イオン水4671gを混合して、プリンミックスとした。このプリンミックスをTKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで10分間撹拌混合し、60℃に加熱して溶解した後、100gずつ容器へ充填して冷却することで、本発明の骨強化用プリン100個を製造した。なお、本発明の骨強化プリン100gには、SBT1848株の菌体が40mg含まれていた。
【0044】
(実施例18)
(骨強化用ゼリーの調製)
実施例品2のSBT2483株の菌体4.4g、果糖2000g、グラニュー糖1500g、水500g、寒天100g、香料10g、脱イオン水5885.6gを混合し、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化工業社製)にて、6,000rpmで10分間撹拌混合し、50℃に加熱して溶解した後、100gずつ容器へ充填して冷却することで、本発明の骨強化用ゼリー100個を製造した。なお、本発明の骨強化用ゼリー100gには、SBT2483株の菌体が44mg含まれていた。
【0045】
(実施例19)
(骨強化用ウエハースの調製)
実施例品3のSBT10535株の菌体9.2g、小麦粉8.5kg、コーンスターチ1.21kg、パーム油0.22kg、膨張剤0.05kgを混合した後、脱イオン水を適量加えてバッターを調製した後、ウエハース焼成機で焼成して、本発明の骨強化用ウエハース10kgを製造した。なお、本発明の骨強化用ウエハース50gには、SBT10535株の菌体が46mg含まれていた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば長期摂取が可能で、安全性が高く、骨芽細胞の増殖を促進させる作用があり、また、破骨細胞の分化ならびに該細胞による骨吸収を抑制する作用を介した骨強化作用が顕著な骨強化用組成物を提供することが可能である。したがって、本発明の摂取により骨粗鬆症や骨折、リウマチ、関節炎などの種々の骨疾患の予防又は治療が可能である。
【受託番号】
【0047】
[寄託生物材料への言及]
(1)ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT0056株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03073
(2)ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT2115株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03074
(3)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2013年9月18日(原寄託日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE BP-01707
(4)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT11380株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2018年2月21日(原寄託日)
令和1年5月27日(原寄託よりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE BP-02644
(5)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)2192A株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03077
(6)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2054株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03076
(7)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT1848株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03075
(8)ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SBT10010株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年6月26日(原寄託日)
令和2年7月13日(原寄託よりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE BP-02997
(9)ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT0625株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
(なお、原寄託日後、原寄託に基づくブタペスト条約に基づく寄託への移管申請をし、生存確認試験の完了後に、受領・受託番号を通知する書面を受領した。受領・受託番号は、ABP-03078である。)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03078
(10)ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT2483株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03081
(11)ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT1223株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年7月8日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03003
(12)ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT1554株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03079
(13)ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)SBT2397株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03080
(14)ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10535株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03071
(15)ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)SBT10561株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
(なお、原寄託日後、原寄託に基づくブタペスト条約に基づく寄託への移管申請をし、生存確認試験の完了後に、受領・受託番号を通知する書面を受領した。受領・受託番号は、ABP-03072である。)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03072
(16)ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)SBT10549株
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室(郵便番号292-0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
2019年11月25日
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P-03070