(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】極低温電子顕微鏡用のサンプルを調製するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20241203BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20241203BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20241203BHJP
H01J 37/18 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01J37/20 A
G01N1/28 F
G01N23/04
H01J37/18
H01J37/20 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020150606
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-07-26
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】バス ヘンドリクセン
(72)【発明者】
【氏名】マールテン クイユペル
(72)【発明者】
【氏名】ルイージ メレ
(72)【発明者】
【氏名】プレウン ドナ
(72)【発明者】
【氏名】エルム ラジャ
(72)【発明者】
【氏名】アティーフ アミニアン
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0298883(US,A1)
【文献】特開2012-213148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0120226(US,A1)
【文献】国際公開第2008/010718(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0348687(US,A1)
【文献】特開2018-022620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
G01N 1/28-1/44
G01N 23/04-23/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル検査装置を使用してサンプルを検査する方法であって、
前記サンプル検査装置の第1のチャンバに第1のサンプルを流すことであって、前記第1のチャンバが、上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成され、複数のピラーが、前記第1のチャンバ内に配列され、複数のピラーの各ピラーが、前記上部電子透過層から前記下部電子透過層まで延在する、流すことと、
前記上部電子透過層と前記下部電子透過層との間に形成された第2のチャンバに第2のサンプルを流すことと、
荷電粒子ビームを前記サンプル検査装置の窓に向けて誘導することであって、前記窓が、前記上部電子透過層および前記下部電子透過層のうちの少なくとも1つの一部で形成され、前記窓が、前記複数のピラーのうちの少なくとも1つおよび前記第2のチャンバの一部を覆う、誘導することと、
前記サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて、前記第1のサンプルの第1の画像を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のサンプルを前記第1のチャンバに流す前に、前記サンプル検査装置の内面を処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記荷電粒子ビームを前記窓に向けて誘導することが、前記荷電粒子ビームを、前記複数のピラーのうちの
前記少なくとも1つを覆わない前記窓の場所に誘導することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルを前記サンプル検査装置に流した後、かつ前記荷電粒子ビームを前記サンプル検査装置の前記窓に向けて誘導する前に、前記サンプル検査装置中の前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルをガラス化することをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記荷電粒子ビームを前記サンプル検査装置の
前記窓に向けて誘導して、前記サンプル検査装置を透過する前記荷電粒子に基づいて前記第1のサンプルの前記第1の画像を形成することが、
前記サンプル検査装置を透過した前記荷電粒子に基づいて、前記第1のサンプルの前記第1の画像を形成することと、を含む、請求項4
に記載の方法。
【請求項6】
前記荷電粒子ビームを前記第2のチャンバ中の第2の場所に向けて誘導することと、
前記サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて、前記第2のサンプルの第2の画像を形成することと、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルが、異なるサンプル条件を有し、前記方法が、前記第1の画像と前記第2の画像とを比較することによって、最適なサンプル条件を決定することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のサンプルを前記第1のチャンバに流す間に、前記第2のサンプルを前記第2のチャンバに流し、前記窓によって覆われた前記サンプル検査装置の混合領域で前記第1のサンプルと前記第2のサンプルとを混合し、
前記混合領域内の複数の場所
からサンプル画像を取得し、前記複数の場所での
前記第1のサンプルと
前記第2のサンプルとの間の比率が、異なる、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて画像を形成することが、前記サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて複数の場所のそれぞれの画像を形成することを含み、前記方法が、複数の前記画像を比較して、最適なサンプル条件を決定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルを前記サンプル検査装置に流すことと前記ガラス化との間の持続時間に基づいて、複数の場所で前記第1のサンプルと前記第2のサンプルとの間の比率を決定することと、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本説明は、概して、単一粒子分析用のサンプルを調製するための方法および装置に関し、より詳細には、極低温電子顕微鏡撮像に基づく単一粒子分析用のサンプル品質を最適化することに関する。
【背景技術】
【0002】
極低温電子顕微鏡(cryo-EM)画像に基づく単一粒子分析は、ほぼ原子分解能で生体高分子の構造を解決し得る。サンプル調製は、高分子の高品質のcryo-EM画像を得るための重要なステップである。一例として、タンパク質構造を解決するために、タンパク質サンプルは、タンパク質を1つ以上の緩衝溶液と混合することによって調製される。サンプル構成、ならびにPHレベル、塩濃度、界面活性剤濃度、および洗剤濃度を含む緩衝液条件は、最適なcryo-EM結果を得るために、タンパク質を可溶化および安定化するために最適化する必要がある。しかしながら、サンプル条件が異なるガラス化されたタンパク質サンプルを調製および撮像することは、広範な試行錯誤の試験が必要であり、非常に時間がかかる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、サンプル条件をスクリーニングするためにサンプル検査装置が使用される。サンプル検査装置は、第1のサンプルを保持するための上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成された1つ以上のチャンバと、第1のチャンバ内の複数のピラーであって、複数のピラーの各ピラーが、上部電子透過層から下部電子透過層まで延在する、複数のピラーと、第1のチャンバ中の第1のサンプルを検査するための上部電子透過層および下部電子透過層のうちの少なくとも1つの一部で形成された窓であって、複数のピラーのうちの少なくとも1つを覆う、窓と、を備える。このようにして、複数のサンプル条件を有するサンプルをガラス化し、同じサンプル検査装置内で撮像し得る。
【0004】
別の実施形態では、サンプル検査装置を使用してサンプルを検査するための方法は、サンプル検査装置の第1のチャンバに第1のサンプルを流すことであって、第1のチャンバが、上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成され、複数のピラーが、第1のチャンバ内に配列され、複数のピラーの各ピラーが、上部電子透過層から下部電子透過層まで延在する、流すことと、荷電粒子ビームをサンプル検査装置の窓に向けて誘導することであって、窓が、上部電子透過層および下部電子透過層のうちの少なくとも1つの一部で形成され、窓が、複数のピラーのうちの少なくとも1つを覆う、誘導することと、サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて、第1のサンプルの第1の画像を形成することと、を含む。
【0005】
上記の概要は、発明を実施するための形態でさらに説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供されていることを理解されたい。特許請求される主題の主要なまたは本質的な特徴を特定することを意味するものではなく、その範囲は、発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。さらに、特許請求される主題は、上記または本開示の任意の部分で言及された任意の欠点を解決する実装に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2A】チャンバが1つであるサンプル検査装置を示す。
【
図2B】チャンバが1つであるサンプル検査装置を示す。
【
図2C】チャンバが1つであるサンプル検査装置を示す。
【
図3A】2つのチャンバが切断されたサンプル検査装置を示す。
【
図3B】2つのチャンバが切断されたサンプル検査装置を示す。
【
図3C】2つのチャンバが切断されたサンプル検査装置を示す。
【
図4】4つのチャンバが切断された例示的なサンプル検査装置を示す。
【
図5A】2つのチャンバが接続された例示的なサンプル検査装置を示す。
【
図5B】
図5Aのサンプル検査装置における様々な試料状態分布を示す。
【
図6】サンプル検査装置を製造するための方法を示す。
【
図7】
図6の方法によるサンプル検査装置を製造するための手順を示す。
【
図8】チャンバが切断されたサンプル検査装置を使用して試料条件をスクリーニングするための例示的な方法を示す。
【
図9】チャンバが接続された例示的なサンプル検査装置を使用して試料条件をスクリーニングするための例示的な方法を示す。
【
図10】チャンバが切断されたサンプル検査装置およびチャンバが接続されたサンプル検査装置の両方を使用して、サンプル条件をスクリーニングするための例示的な方法を示す。
【0007】
同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、極低温電子顕微鏡(cryo-EM)ベースの単一粒子分析用のサンプルをスクリーニングするためのシステムおよび方法に関する。cryo-EM撮像は、
図1に示される撮像システムを使用して実行され得る。
【0009】
単一粒子分析を実行するために、サンプルは、cryo-EM撮像システムで撮像される前に、最適なサンプル条件を達成するために複数のサンプル調製ステップを受ける。サンプル条件には、緩衝液タイプおよびPHレベル、塩および洗剤タイプおよび濃度、ならびに界面活性剤濃度が含まれ得る。サンプル条件には、ナノディスクサイズ、脂質対タンパク質比、および臨界ミセル濃度も含まれ得る。
【0010】
サンプル調製ステップは、サンプルを精製すること、精製されたサンプルを緩衝液と混合すること、および混合物をガラス化することを含み得る。サンプル調製ステップのうちの1つは、タンパク質などのサンプルを1つ以上の緩衝液と混合して、サンプルを可溶化および安定化することである。例えば、タンパク質は、ナノディスク、架橋剤、および/または足場材などの構成物を添加することによって安定化され得る。サンプルを1つ以上の緩衝液と混合することにより、サンプルの緩衝液システムは、精製プロセスおよび/またはサンプル保管中に使用される緩衝液システムから、cryo-EM撮像に適した緩衝液システムに交換される。
【0011】
単一粒子分析用のサンプル品質は、サンプルのcryo-EM画像に基づいて決定され得る。サンプル品質には、粒子品質、サンプルグリッド品質、およびcryo-EM画像品質が含まれ得る。粒子品質は、三次および四次構造、凝集状態、安定性、粒子結合、粒径、および粒子類似性のうちの1つ以上を含み得る。サンプルグリッド品質には、氷形成、ならびにグリッド上の粒子分布および粒子配向のうちの1つ以上が含まれ得る。画質には、コントラストおよび解像度のうちの1つ以上が含まれ得る。
【0012】
cryo-EM撮像なしでタンパク質の発現および精製用のサンプルをスクリーニングするための複数の手法が利用可能であるが、単一粒子分析のためのサンプル品質は、ガラス化されたサンプルのcryo-EM画像に基づいてのみ正確かつ確実に決定することができる。その結果、サンプル条件は、cryo-EM画像に基づいてのみ正確かつ確実に評価することができる。他のサンプルについての既知の最適なサンプル条件に基づいて新しいサンプルのためのサンプル条件を予測することは難しいため、新しいサンプルのための最適なサンプル条件を検索するには、サンプル調製およびcryo-EM撮像を複数回繰り返し実行する必要がある。
【0013】
この問題に対処するために、サンプル検査装置の様々な例およびサンプル検査装置を使用してサンプル条件をスクリーニングするための方法が、最適なサンプル条件の検索を加速するために提示されている。サンプル検査装置は、1つのチャンバ(
図2A~2C)、複数の流体的に切断されたチャンバ(
図3A~3Cおよび
図4)、または上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成された複数の流体的に接続されたチャンバ(
図5A)を有し得る。サンプル条件が異なるサンプルを1つ以上のチャンバに装填し、電子透過層の少なくとも一部による窓形態を通した撮像によって検査し得る。チャンバには複数のピラーが配列される。窓は、ピラーのうちの少なくとも1つを覆う。各ピラーは、上部電子透過層と結合した一端および下部電子透過層と結合した他端を有する。サンプルは、ピラーの周りを流れ得る。ピラーは、窓に機械的強度および堅牢性を提供する。さらに重要なことは、ピラーを電子透過層と結合することにより、サンプル装填中の膨らみおよび装置のガラス化を防止し得る。
【0014】
チャンバが切断されたサンプル検査装置の場合、個別のサンプル条件を撮像して分析し得る。チャンバが流体的に接続されたサンプル検査装置の場合、サンプル条件の勾配を混合領域に形成し得、連続的な様々なサンプル条件を撮像して分析し得る。
図5Bは、
図5Aの装置の混合領域における例示的なサンプル条件を示す。複数のサンプルまたはサンプル条件が異なるサンプルを覆う窓を提供することにより、サンプルおよび/または複数のサンプルの複数の場所が、撮像ビームまたはサンプルの最小限の並進で撮像され得る。さらに、大きな窓面積は、均一な厚さおよび熱容量を備えた大きな面積を提供し、ガラス化中に高品質の氷を構築するのを容易にし得る。
【0015】
サンプル検査装置の内面は、チャンバへのサンプルの進入を容易にするために前処理され得る。内面は、サンプル検査装置の製造中に前処理され得る。内面は、代替的または追加的に、サンプルを装置に装填する前に前処理され得る。
【0016】
図2A~2C、3A~3C、4および5Aは、様々な構成要素の相対的な配置を伴うサンプル検査装置の例示的な構成を示す。これらの図は、一定の縮尺で描かれていない。互いに直接接触している、または直接結合していることが示されている場合、そのとき、そのような要素は、それぞれ直接接触している、または直接結合していると呼ばれ得る。同様に、連続的にまたは互いに隣接して示される要素は、それぞれ連続的にまたは隣接していてもよい。別の例として、それらの間に空間のみがあり、他の構成要素がない状態で互いに離れて配置された要素は、少なくとも1つの例では、そのように呼ばれ得る。さらに、図に示すように、z軸における最上部の要素または要素の点は、構成要素の「上部」と呼ばれ得、z軸における最下部の要素または要素の点は、少なくとも1つの例では、構成要素の「下部」と呼ばれ得る。本明細書で使用される場合、上部/下部、上方/下方、上/下は、z軸に対して相対的であり得、互いに対する図の要素の配置を説明するために使用され得る。
【0017】
図6は、サンプル検査装置を製造するための例示的な方法を示す。
図7は、
図6の方法に従ってサンプル検査装置を製造するための手順を示す。サンプル検査装置は、それぞれが電子透過性材料の層が堆積された2つのシリコンウェハから作製され得る。堆積された2枚のウェハは、パターン化された層によって一緒に結合される。パターン化された層は、複数のピラーおよび結合層を形成する。
【0018】
複数のチャンバが切断されたサンプル検査装置は、
図8に示すように、個別のサンプル条件をスクリーニングするために個々に使用され得る。複数のチャンバが接続されサンプル検査装置は、
図9に示すように、連続的な様々なサンプル条件をスクリーニングするために使用され得る。チャンバが接続されたサンプル検査装置は、
図10に示すように、最適なサンプル条件を迅速に特定するために、チャンバが切断されたサンプル検査装置と一緒に使用することができる。チャンバが接続された装置を使用して、サンプル条件の最適な範囲を最初に特定し得る。次いで、チャンバが切断された装置を使用して、最適な範囲内の最適なサンプル条件を特定し得る。
【0019】
図1を参照すると、本開示の実施形態によるcryo-EM撮像システムが示されている。cryo-EMシステムは、ガラス化されたサンプルを撮像するための透過型電子顕微鏡(TEM)システム100を含み得る。TEMシステム100は、電子ビーム11などの放出軸110に沿って荷電粒子をカラム12に向かって放出する電子源10を含む。電子源10は、高エネルギー電子、すなわち、約10keV~1,000keVの典型的なエネルギーを有する電子を生成してもよい。いくつかの実施形態では、カラム12は、コンデンサレンズ120および121などの1つ以上のコンデンサレンズと、アパーチャ122などの1つ以上のアパーチャとを含んでもよい。カラム12は、電子源10から生成された電子をコリメートし、電子ビームをサンプル検査装置14上に誘導する。サンプル検査装置14は、サンプルホルダー13によって保持され得る。サンプル検査装置は、本明細書に記載されているサンプル検査装置のいずれであってもよい。サンプルホルダー13は、サンプルを傾斜させるおよび/または並進させることによってサンプル位置を調整し得る。サンプルホルダーは、極低温撮像のために、ゼロ度よりかなり低い温度に保たれ得る。電子ビームがサンプルの選択された領域のみを照射することを可能にするために、コンデンサアパーチャ15は任意選択でビーム経路に挿入されてもよい。
【0020】
TEMシステム100は、サンプルの回折パターンとEM画像の両方を取得するために使用されてもよい。回折撮像モードでは、実線で示すように、散乱電子は、サンプル検査装置14を透過し、対物レンズ123、中間レンズ126、および投影レンズ127を順次進んだ後、検出器25によって収集され得る。非散乱ビームは、ビームストッパ17によって遮断され得る。収集された散乱電子は、選択領域電子回折(SAED)パターンなどの電子回折パターンを形成するために使用され得る。EM撮像モードでは、ビームストッパ17がビーム経路から取り外される。サンプル検査装置14から透過した電子は、破線で示されるように、対物レンズ123、中間レンズ126、および投影レンズ127を順次進み、検出器25上にサンプルのTEM画像を形成する。
【0021】
検出器25は、受け取った電子を検出し、信号を画像プロセッサ24に送って画像を形成し得る。検出器25は、信号を画像プロセッサ24に送る前に信号を増幅するための増幅器を含んでもよい。一例では、検出器25は、CCDカメラまたはCMOSカメラとしてもよい。いくつかの実施形態では、電子とサンプルとの相互作用によって生成された信号を検出するために、異なる検出器が使用され得る。例えば、検出器は、X線および/または光子を検出し得る。
【0022】
コントローラ30は、オペレータの命令に応答して手動で、またはコントローラ30の非一時的メモリ(またはコンピュータ可読媒体)32に格納されたコンピュータ可読命令に従って自動的にかのいずれかで、TEMシステム100の動作を制御し得る。コントローラ30は、プロセッサ24を含み、本明細書で説明する方法のいずれかを実装するために、メモリ32に格納されたコンピュータ可読命令を実行し、TEMシステム100の様々な構成要素を制御するように構成され得る。例えば、コントローラは、選択された面積アパーチャ15および対物絞り124の位置を調整することにより、回折パターンまたはEM画像を取得するように撮像モードを調整し得る。コントローラ30は、電流密度を調整することにより、サンプルに向けて照射される電子ビームの線量を調整してもよい。例えば、電流密度は、コンデンサ光学系(コンデンサレンズ120および121など)を調整することによって調整してもよい。コントローラ30は、カラム12の1つ以上のアパーチャおよび/またはレンズを調整することによって、入射ビームのプロファイルを調整し得る。コントローラ30は、サンプルホルダー13を調整することにより、入射ビームに対するサンプルの位置および/または向きを調整し得る。コントローラ30は、サンプル検査装置14の1つの場所または複数の場所で画像を自動的に取得するように構成され得る。コントローラ30は、サンプルの通知および/または画像を表示するためにディスプレイ31にさらに結合されてもよい。コントローラ30は、ユーザ入力デバイス33からユーザ入力を受け取り得る。ユーザ入力デバイス33は、キーボード、マウス、またはタッチスクリーンを含み得る。
【0023】
TEMシステムは例として説明されているが、回折パターンおよびEM画像は、他の顕微鏡システムで取得され得ることを理解されたい。一例として、回折パターンは、光学ベースの顕微鏡システムによって取得され得る。一例として、回折パターンは、X線回折システムから取得されたX線回折パターンであってもよい。別の例として、EM画像は、走査型透過電子顕微鏡(STEM)システムから取得されてもよい。TEMシステムの本考察は、単に1つの好適な画像化モダリティの例として提供されている。
【0024】
図2A~
図2Cは、単一チャンバを有するサンプル検査装置200の例を示す。入口および出口は、チャンバと流体的に接続されている。サンプルは、入口を介してチャンバに流れ、チャンバの少なくとも一部を覆う窓を通して検査され得る。
【0025】
図2Aは、サンプル検査装置200の上面図である。サンプル検査装置200は、長方形であり得る。例えば、サンプル検査装置は、10×3.3mm
2であり得る。窓201、入口203、および出口204は、サンプル検査装置の上部層211に形成される。窓201、入口203、および出口204は、上部層211にそれぞれテーパ状の凹部202、205、および206を作成することによって形成され得る。開口部がチャンバ231に近づくにつれて、x-y平面における凹部(202、205、および206)の開口部は減少する。凹部(202、205、および206)は、上部層211の厚さと同じ深さを有する。一例では、凹部(202、205、および206)は、シリコンウェハをエッチングすることによって作成される。上部層211の厚さは、300μmであり得る。x-y平面における窓201の最小寸法は、100μm超であり得る。大きな窓面積は、均一な厚さおよび熱容量を有する大きな面積を提供し、これにより、ガラス化中に高品質の氷を構築しやすくなり得る。一例では、窓201は、周囲が100μm超の正方形である。別の例では、窓201は、周囲が約200μmの正方形である。他の例では、窓201は、長方形または円形などの他の形状であり得る。一例では、入口203および出口204は、周囲が80~180μmの正方形である。他の例では、入口203および出口204は、長方形または円形などの他の形状であり得る。窓201は、チャンバ231の少なくとも一部を覆う。入口203および出口204は、チャンバ231と流体連通している。サンプルは、チャネル209を介して入口203からチャンバ231に流れ、チャネル210を介してチャンバ231から出口204に流れ得る。チャンバ内のサンプルは、窓201を介して検査され得る。
【0026】
図2Bは、
図2AのA-A’に沿ったx-z平面におけるサンプル検査装置200の断面図である。2つの電子透過層217および218は、上部層211と下部層215との間に配置される。上部電子透過層217は、上部層211と直接接触しており、下部電子透過層218は、下部層215と直接接触している。上部電子透過層217および下部電子透過層218は、結合層232および1つ以上のピラー212によって結合される。電子透過層217および218の厚さは、20nmであり得る。テーパ状の凹部242は、下部層215に形成され、凹部202と位置合わせされるため、電子などの荷電粒子は、窓201を通してサンプル検査装置を透過し得る。凹部202と同様に、開口部がチャンバ231に近づくにつれて、x-y平面における凹部242の開口部は、減少する。凹部242の高さは、下部層215の厚さ252と同じである。上部層211の厚さ251は、下部層215の厚さ252と同じであり得る。
【0027】
窓201は、2つの電子透過層217および218のうちの少なくとも1つの部分を含む。窓202を形成する電子透過層217の部分は、連続的な材料のものである。チャンバ231は、電子透過層217と218との間に形成される。2つの電子透過層の間の距離(またはチャンバの高さ)は、50~100nmであり得る。複数のピラー212が2つの電子透過層217と218との間に配列され、サンプルがピラーの周りを流れることを可能にする。ピラー212のそれぞれは、上部電子透過層217から下部電子透過層218まで延在する。ピラー212のそれぞれは、上部電子透過層217に結合された一端および下部電子透過層218に結合された他端を有する。ピラーの各端を2つの電子透過層のうちの1つに結合することにより、サンプル検査装置は、サンプル装填、サンプルガラス化、およびサンプル撮像のプロセス中に形状を保有し得る。一例では、x-y断面におけるピラーの形状は、円形、楕円形、または長方形であり得る。窓201は、ピラー212のうちの少なくとも1つを覆う。x-y平面における各ピラーの断面積は、3μm2~350μm2であり得る。ピラー(212、213)および結合層232は、同じプロセスステップで同じ材料から製造され得る。荷電粒子は、ピラー212のギャップの間の窓201を透過し得、その結果、ピラーを取り囲むサンプルを撮像し得る。換言すれば、窓201は、少なくとも荷電粒子が透過することを可能にする領域および少なくとも荷電粒子がピラーによって遮断される領域を有する。窓で覆われたチャンバ内にピラーを配列することにより、窓の面積を増加し得る。窓面積が増加すると、荷電粒子撮像システムでサンプルを検査しながら、撮像面積を拡大し、ステージの移動距離の短縮が可能になる。さらに、大きな窓面積により、ガラス化中のサンプルの均質な冷却が容易になる。さらに、ピラーは、窓の機械的支持を提供し、サンプル検査装置の堅牢性を高める。
【0028】
チャネル209および210は、下部層215に形成され、入口203および出口204をそれぞれチャンバ231に接続する。チャネルは、下部層215にエッチングすることによって作成され得る。チャネル209および210の高さ255は、0.1~10μmであり得る。いくつかの実施形態では、複数のピラー213は、任意選択で、チャンバに配列されてもよく、一端が上部電子透過層217に結合される。一実施形態では、チャンバ231は、排気される。入口203および出口204は、薄膜によって密封される。一例では、入口203および出口204は、
図2Bに示すように、上部電子透過層217によって封止される。別の実施形態では、サンプル検査装置は、入口のみを有し、出口を有しない。入口は、薄膜で密封され得る。サンプルは、薄膜を突くおよび破ることによって、チャンバに流れ得る。
【0029】
緩衝室207および208は、それぞれ入口203とチャンバ231との間、およびチャンバ231と出口204との間に配列される。サンプルは、入口から緩衝室207を介して窓201によって覆われたチャンバ231の領域に流れる。いくつかの実施形態では、緩衝室は、
図2B~2Cに示すように、チャンバ231の一部であり得る。緩衝室207および208は、2つの電子透過層217と218との間にある。ピラーは、緩衝室に配列されない。他の実施形態では、緩衝室は、チャネル209および210の一部であり得る。ピラーのない緩衝室は、チャンバ231から入口203に向かうサンプルの逆流を回避し得る。
【0030】
図2Cは、
図2BのB-B’に沿ったx-y平面におけるサンプル検査装置200の断面図である。チャンバ231の一部は、窓201によって覆われる。窓の縁は、破線230によって描かれている。緩衝室207および208は、窓によって覆われたチャンバ領域をそれぞれ入口203および出口204と流体的に接続する。窓201は、複数のピラー212を覆う。言い換えれば、窓201は、複数のピラー212によって支持される。サンプルは、入口203から、チャネル209および緩衝室207を介して、窓201によって覆われたチャンバ231の領域に順次流れ得る。サンプル検査装置が出口204を含む場合、サンプルは、窓201によって覆われたチャンバ231の領域から、緩衝室208およびチャネル210を介して出口に排出され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、サンプル検査装置は、円形であり得る。例えば、サンプル検査装置は、直径3mmの円形であり得る。
【0032】
図3A~3Cは、2つのチャンバが切断されたサンプル検査装置300の例を示す。各チャンバは、チャンバと流体的に接続された入口を有する。この例では、サンプル検査装置300は、出口を含まない。両方のチャンバにおけるサンプルは、窓を介して検査され得る。いくつかの例では、チャンバのうちの1つ以上は、1つ以上の出口に接続され得る。
【0033】
図3Aは、サンプル検査装置300の上面図である。窓301、第1の入口303、および第2の入口304は、それぞれ上部層311にテーパ状の凹部302、305、および306を作成することによって形成される。窓301は、第1のチャンバ331の一部および第2のチャンバ332の一部の両方を覆う。第1のチャンバ331および第2のチャンバ332は、流体的に接続されない。窓301によって覆われた領域内で、第1のチャンバ331および第2のチャンバ332は、壁360によって分離される。第1の入口303は、チャネル309によって第1のチャンバ331と流体的に接続される。第2の入口304は、チャネル310によって第2のチャンバ332と流体的に接続される。
【0034】
上部層311の厚さは、300μmであり得る。x-y平面における窓301の最小寸法は、100μm超であり得る。一例では、窓301は、周囲が100μm超の正方形である。別の例では、窓301は、周囲が約200μmの正方形である。他の例では、窓301は、長方形または円形などの他の形状であり得る。一例では、入口303および出口304は、周囲が80~180μmの正方形である。他の例では、入口303および出口304は、長方形または円形などの他の形状であり得る。
【0035】
図3Bは、
図3AのC-C’に沿ったx-z平面におけるサンプル検査装置300の断面図である。2つの電子透過層317および318は、上部層311と下部層315との間に配置される。上部電子透過層317は、上部層311と直接接触しており、下部電子透過層318は、下部層315と直接接触している。上部電子透過層317および下部電子透過層318は、結合層311およびピラー312によって結合される。ピラー(312、313、および373)および結合層311は、同じプロセスステップで、同じ材料から製造され得る。電子透過層317および318の厚さは、20nmであり得る。テーパ状の凹部305、302、および306の開口部は、減少し、開口部は、上部電子透過層317に近づく。テーパ状の凹部の深さは、上部層311の厚さ351と同じである。
【0036】
テーパ状の凹部342は、下部層315に形成され、凹部302と位置合わせされるため、電子などの荷電粒子は、窓301を通してサンプル検査装置を透過し得る。開口部が下部電子透過層318に近づくにつれて、x-y平面における凹部342の開口部は、減少する。凹部342の高さは、下部層315の厚さ352と同じである。上部層211の厚さ351は、下部層315の厚さ352と同じであり得る。
【0037】
チャネル309および310は、それぞれ第1の入口303を第1のチャンバ331に接続し、第2の入口304を第2のチャンバ332に接続するために、下部層315に形成される。チャネルは、下部層315にエッチングすることによって作成され得る。チャネル309の高さ355およびチャネル310の高さ356は、0.1~10μmであり得る。ピラー313および373は、任意選択で、チャネル309および/またはチャネル310に配置されてもよい。ピラー313および373は、上部電子透過層317に結合され得る。いくつかの実施形態では、第1の入口303および第2の入口304は、それぞれ第1のチャンバ331および第2のチャンバ332からの薄膜によって密封される。一例では、薄膜は、
図3Bに示すように、上部電子透過層317によって形成される。第1のチャンバ331および第2のチャンバ332は、排気され得る。液体サンプルは、薄膜を突くまたは破ることによって、チャンバに流れ得る。
【0038】
図3Cは、
図3BのD-D’に沿ったx-y平面におけるサンプル検査装置300の断面図である。窓301は、第1のチャンバ331の一部および第2のチャンバ332の一部の両方を覆う。窓の縁は、破線330によって描かれている。緩衝室307は、窓301によって覆われた第1のチャンバの領域を入口303と流体的に接続する。緩衝室308は、窓301によって覆われた第2のチャンバの領域を入口304と流体的に接続する。窓301は、複数のピラー312を覆う。言い換えれば、窓301は、複数のピラー312によって支持される。第1のサンプルは、第1の入口303から、チャネル309および緩衝室307を介して、窓301によって覆われたチャンバ331の領域に順次流れ得る。第2のサンプルは、第2の入口304から、チャネル310および緩衝室308を介して、窓301によって覆われたチャンバ332の領域に順次流れ得る。
【0039】
図4は、結合層402によって結合された2つの電子透過層の間に形成された4つのチャンバ451、452、453、および454が切断されたサンプル検査装置400の一部の断面図である。窓401は、各チャンバの少なくとも一部を覆う。窓の縁470は、破線で描かれている。x-y平面において窓401によって覆われた領域は、窓縁470内の対角線によって示される。窓401は、連続的な上部電子透過層の少なくとも一部を含む。x-y平面における窓401の最小寸法は、100μm超であり得る。
図3A~3Cのサンプル検査装置と同様に、サンプル検査装置は、出口を有しなくてもよく、入口は、薄膜によって封止される。4つの異なるサンプルは、サンプル検査装置の異なるチャンバに移送され、窓401を通して撮像され得る。
【0040】
第1のチャンバ411および第3のチャンバ431は、壁403によって第2のチャンバ421および第4のチャンバ441から分離される。第1のチャンバ411および第2のチャンバ421は、壁404によって第3のチャンバ431および第4のチャンバ441から分離される。各チャンバは、複数のピラーが配列された領域およびピラーのない領域を含み得る。ピラーのない領域は、本明細書では緩衝室とも呼ばれる。例えば、第1のチャンバ411は、複数のピラー412およびピラーフリーの緩衝室410が配列された領域を含む。第2のチャンバ421は、複数のピラー422およびピラーフリーの緩衝室420が配列された領域を含む。第3のチャンバ431は、複数のピラー432およびピラーフリーの緩衝室430が配列された領域を含む。第4のチャンバ441は、複数のピラー442およびピラーフリーの緩衝室440が配列された領域を含む。窓401は、チャンバのそれぞれで少なくとも1つのピラーを覆う。言い換えると、x-y平面において少なくとも1つのピラー全体が、x-y平面において窓401によって覆われる。本明細書では、ピラーは、x-y平面においてスタジアム形状で示される。ピラーの断面は、長方形または円形などの他の形状であり得る。いくつかの実施形態では、ピラーは、1つのサンプル検査装置において異なる形状であり得る。
【0041】
チャンバのそれぞれは、チャネル(451、452、453、または454)を介して異なる入口(図示せず)と流体接続している。複数のピラー(461、462、463、および464)は、任意選択で、チャネル内に配列されてもよい。
【0042】
一実施形態では、緩衝室は、チャンバの代わりにチャネルに含まれ得る。いくつかの実施形態では、サンプル検査装置のチャンバ数は、16、32、または64などの任意の整数であり得る。
【0043】
図5Aは、例示的なサンプル検査装置500の一部の断面図である。サンプル検査装置500は、結合層502によって結合された2つの電子透過層の間に形成された接続されたチャンバを含む。第1のチャンバ521および第2のチャンバ522は、それぞれ矢印551および522で示されるように、異なる入口(図示せず)から第1のサンプルおよび第2のサンプルを受け取る。第1のチャンバ521および第2のチャンバ522は、壁506によって装置の上流(すなわち、x軸矢印方向と反対の方向)で流体的に分離され、装置の下流で流体的に接続される。第1のサンプルおよび第2のサンプルは、サンプル検査装置の混合領域591において下流(すなわち、x軸の矢印方向)で混合される。第1のサンプルおよび第2のサンプルの一部の流れ方向は、それぞれ矢印553および554によって示されるとおりである。
【0044】
第1のサンプル、第2のサンプル、およびサンプルの混合物は、2つの電子透過層の少なくとも一部によって形成された窓を通して検査され得る。窓は、x-y平面において領域501を覆う。領域501は、電子透過層(上部電子透過層など)の連続的な部分によって覆われる。破線510は、窓で覆われた領域501の縁を描いている。窓で覆われた領域501は、サンプルが混合される混合領域591を含む。窓は、壁506の一部も覆い得る。窓で覆われた領域501は、2つの電子透過層の間に配列された複数のピラー511のうちの少なくとも1つのピラーを含む。本明細書では、ピラー511は、x-y平面において円形である。他の例では、ピラー511の断面は、スタジアムまたは長方形などの他の形状であり得る。
【0045】
サンプル検査装置500の各チャンバ(521および522)は、窓で覆われた領域501の領域の上流にピラーフリーの緩衝室(531および532)を含み得る。いくつかの実施形態では、サンプル検査装置は、3つ以上のサンプルを混合するための3つ以上の接続されたチャンバを含み得る。窓は、サンプルが混合される領域を覆い得る。
【0046】
第1のサンプルおよび第2のサンプルは、同時にサンプル検査装置に移送され得る。サンプルをサンプル検査装置に移送する瞬間から、各サンプルに対して層流の定常流を確立し得る。サンプル混合は、混合領域においてこれら2つの平行流の境界で発生する。サンプル条件の勾配が混合領域で形成され得る。一例では、定常サンプル流が、サンプルのサンプル検査装置への移送からガラス化の時間まで残る場合、サンプル条件は、混合領域中のサンプル位置の関数である。別の例では、サンプル条件は、サンプル位置、ならびにサンプルの移送からガラス化の時間までの待機期間の関数であり得る。サンプル比などの異なるサンプル条件は、異なる時点で混合領域の異なる場所で観察され得る。混合領域591におけるサンプル比の空間分布は、時間とともに変化する。
【0047】
図5Bは、
図5Aの混合領域591を横切る線590に沿ったサンプル2とサンプル1との間の比率を示す。一例では、両方のサンプルが、サンプル検査装置へのサンプルの移送からガラス化の時間まで層流および定常流を維持する場合、サンプル比581は、時間とともに変化しない。サンプル比581は、壁506の端部からのx軸の距離が増加するにつれて減少する。別の例では、サンプルをT1でサンプル検査装置に移送した後、サンプル比581は、時間とともに変化する。例えば、時間T1より遅い時間T2において、サンプル比582は、T1におけるサンプル比581から増加する。
【0048】
図2A~2C、3A~3C、4および5Aに示されるサンプル検査装置は、単一の窓によって覆われた1つ以上のチャンバを含む。単一の窓は、連続的な電子透過層の一部を含む。窓は、2つの電子透過層の間に結合された少なくとも1つのピラーで覆われ、支持される。ピラーは、単一の形状または複数の形状の断面を有し得る。いくつかの例では、サンプル検査装置の内面(すなわち、サンプル装填および撮像中にサンプルと直接接触する表面)の全部または一部を前処理して、サンプル装填を容易にし得る。前処理は、室温で行ってもよい。
【0049】
表面前処理は、異なる実験的アプローチを介して行うことができる。一例では、表面は、室温で表面活性化法によって前処理され得る。サンプル検査装置の内面を化学溶液で処理して、適切な表面湿潤を可能にし得、装置へのサンプルの進入を容易にし、チャンバへのサンプルの接着を容易にする。サンプル検査装置の表面は、表面上で溶液をインキュベートすることによって、または表面を通して溶液を流すことによって処理され得る。例えば、最適な濃度の洗剤または親水性の防汚化合物、例えば標的タンパク質の構造および機能を妨げないPEGを含む緩衝液は、サンプルを装置に移送または装填する前にサンプル検査装置を通過させて、装置の内面を改質し得る。いくつかの例では、化学物質は、装置の内面に共有結合し得る。
【0050】
別の例では、サンプル検査装置の内面は、プラズマ洗浄によって処理され得る。例えば、荷電空気は、ラジカル反応を介して高電圧で適用され、表面の親水性を高める。
【0051】
さらに別の例では、サンプル検査装置の内面は、内面に放射線、そのような紫外線照射(UV)を照射することによって前処理され得る。内面は、表面の濡れ性を高める表面張力および表面自由エネルギーを変えるためにUV線に曝される。
【0052】
図6は、サンプル検査装置を製造するための例示的な方法600である。
図7は、
図2A~2Cのサンプル検査装置を製造するための方法600の手順を示す。
【0053】
602では、2枚のシリコンウェハが調製される。一例では、x-y平面における各ウェハの直径は、4インチであり得る。ウェハの厚さは、300μmであり得る。
【0054】
604では、窒化ケイ素の層が各ウェハの1つの表面上に堆積される。窒化シリコン層の厚さは、20nmであり得る。一例では、窒化シリコン層は、低圧化学気相堆積(LPCVD)によって堆積される。
図7のプロット701は、電子透過性窒化ケイ素層712が堆積された第1のウェハ711のx-z断面を示す。
【0055】
606では、パターン化された層が、第1のウェハの窒化ケイ素層の上に堆積される。パターン化された層の厚さは、50~100nmであり得る。パターン化された層は、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)であり得る。一例では、パターン化された層は、プラズマ増強気相堆積(PECVD)によって堆積される。
図7のプロット702は、窒化ケイ素層712の上に堆積されたパターン化された層724を示す。パターン化された層724は、チャンバ(
図2A~2Cのチャンバ231など)内のピラー721、チャネル(
図2A~2Cのチャネル209など)内のピラー722、および結合層(
図2A~2Cの結合層232など)のうちの1つ以上を形成し得る。
【0056】
608では、チャネルが第2のウェハにエッチングされる。チャネルは、第2のウェハ上に堆積された窒化シリコン層をエッチングすることによって形成され得る。チャネルの深さは、0.1~10μmであり得る。プロット703は、窒化ケイ素層732が堆積された第2のウェハ731にエッチングされたチャネル733を示す。チャネル733の深さ735は、0.1~10μmであり得る。
【0057】
610では、ステップ606からの第1のウェハおよびステップ608からの第2のウェハは、直接または溶融結合によって真空または低圧の不活性ガス中で位置合わせおよび結合され得る。プロット704は、互いに位置合わせされ、結合されたプロット702の加工された第1のウェハおよびプロット703の加工された第2のウェハを示す。
【0058】
612では、結合されたウェハがエッチングされる。結合されたウェハは、窒化ケイ素層を露出させるためにエッチングされ得る。
図7のプロット705は、窒化ケイ素層712および732を露出させるために、結合されたウェハにエッチングされる凹部751、752、753、および754を示す。したがって、窓、入口、および出口のうちの1つ以上が、結合されたウェハ上に形成され得る。
【0059】
614では、エッチングされたウェハは、複数の個別の装置にダイシングされ得る。
【0060】
サンプル検査装置の内面は、前処理され得る。一例では、ステップ610で、サンプル検査装置の内面は、ウェハを位置合わせして結合する前に、前処理され得る。内面は、放射線、プラズマ洗浄、または加熱で照射され得る。内面は、装置の内面の一部または全部を1つ以上の化学溶液に順次浸漬することによって前処理され得る。内面は、内面の上に溶液を順次流すことによって前処理され得る。溶液は、最適な濃度の洗剤またはPEGなどの防汚化学物質を含む緩衝液であり得る。別の例では、サンプル検査装置の内面は、ステップ612で境界ウェハをエッチングした後、装置を加熱することによって、前処理され得る。さらに別の例では、内面は、ステップ610でウェハを位置合わせして結合した後、装置を通して溶液を流すことによって、前処理され得る。
【0061】
図8は、
図3A~3Cおよび
図4のサンプル検査装置などの、チャンバが切断されたサンプル検査装置を使用して、複数のサンプルのサンプル条件をスクリーニングするための方法800を示す。サンプル条件が異なるサンプルは、サンプル検査装置の異なるチャンバに移送され、撮像され得る。最適なサンプル条件は、サンプルのcryo-EM画像に基づいて選択され得る。
【0062】
802では、サンプル条件が異なる複数のサンプルが調製される。例えば、精製されたタンパク質溶液を複数の緩衝溶液と混合して、サンプル条件が異なるサンプルを得てもよい。サンプルは、異なるタンパク質対緩衝液比、異なるタンパク質濃度、または異なる緩衝液濃度を有し得る。
【0063】
803では、サンプル検査装置は、サンプルを装置に移送または装填する前に、任意選択で前処理されてもよい。サンプル検査装置は、プラズマ洗浄または装置を通して溶液を流すことによって前処理され得る。例えば、最適な濃度の洗剤またはPEGなどの防汚化学物質を含む緩衝液は、サンプルを装置に移送して内面を改質する前に、順次検査装置に流され得る。いくつかの例では、サンプル検査装置の入口および/または出口が封止されている場合。サンプル検査装置を前処理する前に、最初にシールを破る。
【0064】
804では、調製されたサンプルの各サンプルは、サンプル検査装置の1つのチャンバに移送される。サンプルは、同時にまたは順次にサンプル検査装置に移送され得る。例えば、少量のサンプルが、サンプル検査装置の入口の凹部に置かれ得る。次いで、その少量のサンプルが、窓で覆われたチャンバの部分に流れて、満たし得るように入口を封止する薄膜が突かれて破られる。
【0065】
806では、サンプル検査装置に移送されたサンプルは、ガラス化される。例えば、複数のサンプルが装填されたサンプル検査装置は、プランジ凍結によってガラス化され得る。
【0066】
808では、例えば、
図1のcryo-EM撮像システムを使用して、サンプル検査装置の各チャンバからサンプル画像が取得される。チャンバ中のサンプルを撮像するために、荷電粒子ビームは、窓上の場所、および窓によって覆われたピラーのうちの1つを取り囲むサンプルに向けて誘導され得る。サンプルの画像は、サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて形成され得る。チャンバの異なる場所でのサンプルの複数の画像を撮ってもよく、異なる場所でのサンプルは、同じサンプル条件を有する。
【0067】
810では、最高のサンプル品質を提供する最適なサンプル条件は、各チャンバから取得されたサンプル画像に基づいて決定され得る。各サンプルのサンプル品質は、808で取得された各サンプルの画像に基づいて評価され得る。最適なサンプル条件は、最高のサンプル品質に対応し、単一粒子分析でのサンプル調製のために特定され、使用され得る。
【0068】
このようにして、サンプル条件が異なるサンプルは、ガラス化され、単一装置で撮像され得る。個別のサンプル条件を評価し得る。いくつかの例では、装置チャンバに、サンプル条件が異なる1種類のタンパク質を装填する代わりに、種々の構造を有する複数のサンプルを1つのサンプル検査装置の複数のチャンバに装填して、タンパク質の最適な安定化方法を決定し得る。他の例では、標的タンパク質と種々の配位子または化合物との異なるタンパク質複合体を装填して、1つのサンプル検査装置を使用して検査し得る。いくつかの例では、異なるタンパク質または異なる状態(開閉もしくは回転など)のタンパク質複合体の複数のバージョンを装填して、1つのサンプル検査装置を使用して、検査され得る。
【0069】
図9は、
図5のサンプル検査装置などの、チャンバが接続されたサンプル検査装置を使用して複数のサンプルのサンプル条件をスクリーニングするための方法900を示す。サンプルは、サンプル検査装置に移送され、装置中で混合される。画像は、サンプル検査装置の窓によって覆われた混合領域の異なる場所で撮られ得る。サンプル条件の最適な範囲は、画像および対応する撮像場所に基づいて決定され得る。
【0070】
902では、複数のサンプルが調製される。例えば、第1のサンプルは、精製されたタンパク質溶液であり、第2のサンプルは、緩衝液である。
【0071】
903では、サンプル検査装置は、サンプルを装置に移送または装填する前に、任意選択で、前処理され得る。サンプル検査装置は、プラズマ洗浄または装置を通して溶液を流すことによって処理され得る。例えば、最適な濃度の洗剤またはPEGなどの防汚化学物質を含む緩衝液は、サンプルを装置に移送して内面を改質する前に、順次検査装置を通して流され得る。
【0072】
904では、サンプルは、チャンバが接続されたサンプル検査装置中で混合される。サンプルを混合することは、各サンプルを装置の1つの入口に流すことによってサンプルをサンプル検査装置に移送することを含む。例えば、少量のサンプルが、サンプル検査装置の入口の凹部に置かれ得る。次いで、その少量のサンプルが窓で覆われたチャンバの領域に流れ得るように、入口を封止する薄膜が破られる。サンプルは、同時に装置に流れ、窓で覆われた混合領域で装置の下流で混合され得る。
【0073】
906では、サンプル検査装置内のサンプルは、サンプルをサンプル検査装置に流してからの待機期間後にガラス化される。待機期間は、所定であり得る。混合領域でのサンプル条件の空間分布は、待機時間とともに変化し得る。サンプル検査装置中のサンプルは、プランジ凍結によってガラス化され得る。
【0074】
908では、例えば
図1のcryo-EM撮像システムを使用して、サンプル検査装置の混合領域中の複数の場所からサンプル画像が取得される。混合領域中の各場所は、異なるサンプル条件を有し得る。一例では、画像は、所定の場所で撮られ得る。
【0075】
910では、取得されたサンプル画像のサンプル品質が評価され、画像が良好なサンプル品質を有する場所が特定され得る。
【0076】
912では、サンプル条件の最適範囲が決定される。サンプル条件の最適な範囲を決定することは、特定された場所でのサンプル条件を910から決定することを含み得る。いくつかの例では、サンプル条件の感度は、908からの画像に基づいて複数の場所の間の差異を特定することによって決定され得る。特定された場所でのサンプル条件に基づいて、サンプル条件の最適な範囲が決定され得る。
【0077】
一例では、914では、特定された場所のそれぞれでのサンプル条件は、実験的に決定され得る。特定された各場所での混合されたサンプルを抽出および分析して、サンプル条件を得てもよい。例えば、混合されたサンプルは、集束イオンビームシステムを使用してサンプル検査装置をブレークアウトすることによって抽出され得る。
【0078】
別の例では、916では、特定された場所および較正されたサンプル条件分布に基づいて、サンプル条件が決定され得る。較正されたサンプル条件分布は、サンプルの特性、待機時間、温度、およびサンプルをサンプル検査装置に移送するときのサンプルの流量のうちの1つ以上を含むパラメータに基づくシミュレーションによって理論的に生成され得る。あるいは、較正されたサンプル条件分布は、サンプル検査装置で較正サンプルのサンプル条件を測定することによって実験的に生成され得る。
【0079】
このようにして、サンプルは、単一装置で混合、ガラス化、および撮像され得る。混合されたサンプルの連続的な範囲のサンプル条件を得て評価し得る。
【0080】
図10は、チャンバが接続されたサンプル検査装置およびチャンバが切断されたサンプル検査装置の両方を使用して、サンプル条件をスクリーニングするための方法1000を示す。チャンバが接続されたサンプル検査装置を使用して、サンプル条件の大きな変動をスクリーニングすることにより、サンプル条件の最適範囲を最初に決定し得る。次いで、最適な範囲内のサンプル条件を有する複数のサンプルを個々にスクリーニングして、チャンバが切断されたサンプル検査装置を使用して最適なサンプル条件を決定し得る。
【0081】
1002では、サンプル条件の最適範囲は、
図9の方法900を使用して決定される。例えば、タンパク質溶液および1つ以上の緩衝液は、チャンバが接続されたサンプル検査装置に移送され得る。cryo-EM画像に基づいて、最適なサンプル品質が生じ得るサンプル条件が決定される。チャンバが接続されたサンプル検査装置を使用して広範囲のサンプル条件が得られ得るため、方法900を使用した緩衝液スクリーニングは、最適な範囲の全体的な検索を提供する。しかしながら、混合領域中のサンプル条件の空間分布が連続的に変動するため、各サンプル画像内のサンプル条件は、変動し得る。さらに、特定のサンプル条件で限定された数の混合サンプルを撮像できる。したがって、方法900は、特定の最適なサンプル条件ではなく、最適なサンプル条件を含む最適な範囲のサンプル条件を提供し得る。
【0082】
1004では、1002で決定された最適範囲内のサンプル条件を有する複数のサンプルが調製される。
図8の方法800を使用してサンプルをスクリーニングして、最適範囲内の最適なサンプル条件を決定し得る。特定のサンプル条件を有するサンプルの複数の画像を取得してもよく、各画像は、チャンバの異なる場所で撮られ得る。したがって、サンプル品質を正確かつ確実に評価し得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、ステップ1002および1004のそれぞれは、異なる緩衝液をスクリーニングするために、かつ/または最適なサンプル条件で正確に特定するために繰り返され得る。
【0084】
このようにして、グローバルなサンプル条件スクリーニングは、最適な範囲を特定するために、チャンバが接続されたサンプル検査装置を使用して最初に実行される。最適な条件を特定するために、最適な範囲内でローカライズされたサンプル条件スクリーニングが実行される。マルチスケールのスクリーニング戦略により、サンプル条件のスクリーニング時間が大幅に短縮され、単一粒子分析のためのグローバルな最適なサンプル条件の特定が容易になり得る。
【0085】
サンプル検査のために複数のピラーの少なくとも1つのピラーを覆う窓を提供することの技術的効果は、サンプル検査装置の窓で覆われた面積の機械的強度を提供することである。ピラーを2つの電子透過層に結合する技術的効果は、サンプルの装填およびガラス化中の膨らみを防止することである。チャンバ内で複数のサンプルを撮像する技術的効果は、サンプル品質が、ガラス化および撮像のために、より良好に制御され得る。サンプル検査装置で複数のサンプルを混合することの技術的効果は、サンプル条件の連続的な分布が得られ得ることである。サンプルをサンプル検査装置に流すこととサンプルのガラス化との間の待機時間を制御することの技術的効果は、混合領域におけるサンプル条件の分布が調整され得ることである。
【0086】
一実施形態では、サンプル検査装置は、第1のサンプルを保持するための上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成された第1のチャンバと、第1のチャンバ内の複数のピラーであって、複数のピラーの各ピラーが、上部電子透過層から下部電子透過層まで延在する、複数のピラーと、第1のチャンバ中の第1のサンプルを検査するための上部電子透過層および下部電子透過層のうちの少なくとも1つの一部で形成された窓であって、複数のピラーのうちの少なくとも1つを覆う、窓と、を含む。装置の第1の例では、窓は、窓によって覆われた複数のピラーのうちの少なくとも1つを取り囲む第1のサンプルの検査を可能にする。方法の第2の例は、任意選択で、第1の例を含み、第2のサンプルを保持するための上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成された第2のチャンバをさらに含み、窓は、第2のチャンバ中の第2のサンプルを検査するための第2のチャンバの一部を覆う。方法の第3の例は、任意選択で、第1~第2の例のうちの1つ以上を含み、複数のピラーが第2のチャンバの上部電子透過層と下部電子透過層との間に配列されることをさらに含む。方法の第4の例は、任意選択で、第1~第3の例のうちの1つ以上を含み、第1のチャンバおよび第2のチャンバが、窓によって覆われた領域で流体的に接続されることをさらに含む。方法の第5の例は、任意選択で、第1~第4の例のうちの1つ以上を含み、複数のピラーの各ピラーの一端が、上部電子透過層に結合され、ピラーの他端が、下部電子透過層に結合されることをさらに含む。方法の第6の例は、任意選択で、第1~第5の例のうちの1つ以上を含み、入口および緩衝室をさらに含み、入口は、緩衝室を介して第1のチャンバに流体的に接続され、ピラーは、緩衝室に配列されない。方法の第7の例は、任意選択で、第1~第6の例のうちの1つ以上を含み、第1のサンプルと接触している上部電子透過層および/または下部電子透過層の少なくとも一部が、第1のサンプルを第1のチャンバへ移送するのを容易にするために前処理されることをさらに含む。方法の第8の例は、任意選択で、第1~第7の例のうちの1つ以上を含み、複数のピラーのうちの少なくとも1つを覆わない窓の領域が、荷電粒子ビームがサンプル検査装置を透過すること可能にすることをさらに含む。方法の第9の例は、任意選択で、第1~第8の例のうちの1つ以上を含み、2つの電子透過層の間の距離が、100nm未満であることをさらに含む。
【0087】
別の実施形態では、サンプル検査装置を使用してサンプルを検査する方法は、サンプル検査装置の第1のチャンバに第1のサンプルを流すことであって、第1のチャンバが、上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成され、複数のピラーが、第1のチャンバ内に配列され、複数のピラーの各ピラーが、上部電子透過層から下部電子透過層まで延在する、流すことと、荷電粒子ビームをサンプル検査装置の窓に向けて誘導することであって、窓が、上部電子透過層および下部電子透過層のうちの少なくとも1つの一部で形成され、窓が、複数のピラーのうちの少なくとも1つを覆う、誘導することと、サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて、第1のサンプルの第1の画像を形成することと、を含む。方法の第1の例では、方法は、第1のサンプルを第1のチャンバに流す前に検査装置の内面を処理することをさらに含む。方法の第2の例は、任意選択で、第1の例を含み、荷電粒子ビームを窓に向けて誘導することが、ビームを複数のピラーのうちの少なくとも1つを覆わない窓の場所に誘導することを含むことをさらに含む。方法の第3の例は、任意選択で、第1~第2の例のうちの1つ以上を含み、第1のサンプルを第1のチャンバに流した後、かつ荷電粒子ビームをサンプル検査装置の窓に向けて誘導する前に、サンプル検査装置で第1のサンプルをガラス化することをさらに含む。方法の第4の例は、任意選択で、第1~第3の例のうちの1つ以上を含み、荷電粒子ビームをサンプル検査装置の窓に向けて誘導して、サンプル検査装置を透過する荷電粒子に基づいて第1のサンプルの第1の画像を形成することが、荷電粒子ビームを第1のチャンバの第1の場所で誘導することと、サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて、第1のサンプルの第1の画像を形成することと、を含むことをさらに含む。方法の第5の例は、任意選択で、第1~第4の例のうちの1つ以上を含み、第2のサンプルをサンプル検査装置の第2のチャンバに流すことであって、第2のチャンバが、上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成され、第2のチャンバが、第1のチャンバから流体的に分離され、窓が、第2のチャンバの少なくとも一部を覆う、流すことと、荷電粒子ビームを第2のチャンバ中の第2の場所に向けて誘導することと、サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて、第2のサンプルの第2の画像を形成することと、をさらに含む。方法の第6の例は、任意選択で、第1~第5の例のうちの1つ以上を含み、第1のサンプルおよび第2のサンプルが、異なるサンプル条件を有することをさらに含み、方法が、第1の画像と第2の画像とを比較して最適なサンプル条件を決定することをさらに含む。方法の第7の例は、任意選択で、第1~第6の例のうちの1つ以上を含み、第1のサンプルを第1のチャンバに流す間に、第2のサンプルを上部電子透過層と下部電子透過層との間に形成された第2のチャンバに流すことと、窓によって覆われたサンプル検査装置の混合領域で第1のサンプルと第2のサンプルとを混合することと、をさらに含み、荷電粒子ビームを窓に向けて誘導することが、混合領域内の複数の場所で荷電粒子ビームを誘導することを含み、複数の場所での第1のサンプルと第2のサンプルとの間の比率が、異なる。方法の第8の例は、任意選択で、第1~第7の例のうちの1つ以上を含み、サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて画像を形成することが、サンプル検査装置を透過した荷電粒子に基づいて複数の場所のそれぞれの画像を形成することを含むことをさらに含み、方法が、複数の画像を比較して、最適なサンプル条件を決定することをさらに含む。方法の第9の例は、任意選択で、第1~第8の例のうちの1つ以上を含み、荷電粒子ビームを窓に向けて誘導する前にサンプル検査装置で、第1のサンプル、第2のサンプル、および第1のサンプルと第2のサンプルとの混合物をガラス化することと、第1のサンプルおよび第2のサンプルをサンプル検査デバイスに流すことと、ガラス化との間の持続時間に基づいて、複数の場所で第1のサンプルと第2のサンプルとの間の比率を決定することと、をさらに含む。