(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】発光モジュール、面状光源および制御回路
(51)【国際特許分類】
H05B 45/10 20200101AFI20241203BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241203BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241203BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241203BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241203BHJP
【FI】
H05B45/10
H01L33/00 J
H01L33/62
F21S2/00 410
F21S2/00 430
F21V23/00 140
F21V23/00 160
(21)【出願番号】P 2020211355
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】松田 義和
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-143307(JP,A)
【文献】特開2008-171984(JP,A)
【文献】特開2020-198293(JP,A)
【文献】特開2020-198421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/10
H01L 33/00
H01L 33/62
F21S 2/00
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
前記第1端子とは異なる電圧が印加され得る第2端子と、
第1領域に設けられ、前記第1端子と前記第2端子との間に接続され
、前記第1領域を含む面に平行な第1方向と、前記面に平行であり且つ前記第1方向に垂直な第2方向と、に沿って配列された
複数の第1光源と、
前記第1領域と同一の平面内で前記第1領域の周囲に位置する第2領域に配置され、前記第1端子と前記第2端子との間に接続され
、一部が前記第1方向に沿って配列され、別の一部が前記第2方向に沿って配列された
複数の第2光源
と、
を備え、
前記
複数の第1光源は、前記
複数の第2光源
と並列に接続され、
前記
複数の第1光源は、前記第1端子から前記第2端子に向かって電流が流れるように接続され、
前記複数の第2光源は、前記第2端子から前記第1端子に向かって電流が流れるように接続され
、
第1期間で、前記第1端子には、前記第2端子よりも高い第1電圧が印加され、
第2期間で、前記第1端子には、前記第2端子よりも低い第2電圧が印加され、
前記第1期間および前記第2期間は、連続する期間であり、
前記第2期間は、前記第1期間に等しいか前記第1期間よりも長い、発光モジュール。
【請求項2】
第1面と前記第1面に対向する第2面とを含む導光部材をさらに備え、
前記導光部材は、前記第2面に複数の凹部を含み、
前記
複数の第1光源
および前記
複数の第2光源
は、前記複数の凹部にそれぞれ設けられた請求項
1記載の発光モジュール。
【請求項3】
第1面と前記第1面に対向する第2面とを含む導光部材をさらに備え、
前記導光部材は、前記第1面および前記第2面を貫通する複数の貫通孔を含み、
前記
複数の第1光源
および前記
複数の第2光源
は、前記複数の貫通孔
にそれぞれ設けられた請求項
1記載の発光モジュール。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1つに記載の発光モジュールを備え、
前記発光モジュールを電気的に接続する配線基板をさらに備えた面状光源。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1つに記載の発光モジュールに接続される制御回路であって、
前記第1電圧および前記第2電圧を切り替えて前記第1端子および前記第2端子に印加する切替回路を制御し、
前記第1期間および前記第2期間で順次、前記切替回路を制御する制御回路。
【請求項6】
前記切替回路をさらに備えた請求項
5記載の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光モジュール、面状光源および制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
面状光源を利用したバックライトモジュールや照明モジュール等がある。面状光源は、小形のLED等の発光素子を光源として、これらが2次元平面状に配列されているものがある。
【0003】
このような面状光源では、隣接して配置された光源同士は、自発光する光以外に隣接する光源からの影響を受け光の輝度が強められ、隣接する光源の数や距離に応じて強められる輝度が異なることがある。同一の面状光源において、光源を同一の輝度で発光させても、このような輝度の強め合いの程度で、面状光源の面内輝度にばらつきが生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、2次元平面内の輝度ばらつきを低減した発光モジュール、面状光源および制御回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る発光モジュールは、第1端子と、前記第1端子とは異なる電圧が印加され得る第2端子と、第1領域に設けられ、前記第1端子と前記第2端子との間に接続された第1光源と、前記第1領域と同一の平面内で前記第1領域の周囲に位置する第2領域に配置され、前記第1端子と前記第2端子との間に接続された第2光源および第3光源と、を備える。前記第1光源は、前記第2光源と、前記第3光源と、の間に配置される。前記第1光源は、前記第2光源および前記第3光源と並列に接続される。前記第1光源は、前記第1端子から前記第2端子に向かって電流が流れるように接続される。前記複数の第2光源は、前記第2端子から前記第1端子に向かって電流が流れるように接続される。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態では、2次元平面内の輝度ばらつきを低減した発光モジュール、面状光源および制御回路が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な平面図である。
【
図2】第1の実施形態の発光モジュールを例示する模式的な回路図である。
【
図3】第1の実施形態の発光モジュールを例示する模式的な平面図である。
【
図4A】
図3のIVA-IVA’線における模式的な矢視断面図である。
【
図5A】第1の実施形態の変形例の発光モジュールの一部を例示する模式的な断面図である。
【
図6】第1の実施形態の発光モジュールの使用方法を例示する模式的なブロック図である。
【
図7A】第1の実施形態の発光モジュールの使用方法を説明するための模式的な動作波形図である。
【
図7B】第1の実施形態の発光モジュールの使用方法を説明するための模式的な動作波形図である。
【
図8A】第1の実施形態の発光モジュールの動作を説明するための模式的な等価回路図である。
【
図8B】第1の実施形態の発光モジュールの動作を説明するための模式的な等価回路図である。
【
図8C】第1の実施形態の発光モジュールの動作を説明するための模式的な等価回路図である。
【
図9A】第2の実施形態に係る面状光源を例示する模式的な平面図である。
【
図9B】
図9AのIXB-IXB’線における模式的な矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な平面図である。
図1には、本実施形態の発光モジュール20の配線層40における配線パターンのレイアウトを示す模式図であり、配線層40は、複数の配線パターンを含んでいる。配線層40は、発光モジュール20の配線設置面34e上に設けられている。
なお、本明細書において、配線パターンとは、任意の形状に形成された膜状または板状の導電体を意味する。
【0011】
以下の説明では、3次元の座標を用いることがある。配線設置面34eは、XY平面にほぼ平行な面に設けられているものとする。したがって、配線層40は、XY平面にほぼ平行な面に配置されている。この3次元座標は右手座標系であり、Z軸は、紙面の手前方向に向かうものとする。配線層40の各配線パターン42~49には、複数の光源32a~32rが配置されており、複数の光源32a~32rの発光方向は、Z軸の負方向に向かう方向とされる。
【0012】
図1に示すように、発光モジュール20は、複数の光源32a~32rと、端子(第1端子、第2端子)41a,41bと、を備える。この例では、光源32a~32rは、X軸方向に沿って4個配列され、4個ずつの配列が、さらにY軸方向に沿って4個ずつ配列されている。16個の光源32a~32rは、このようにマトリクス状に配列されている。
【0013】
光源32a~32rは、発光素子をそれぞれ含む。光源32a~32rのそれぞれは、発光素子であってもよい。発光素子は、半導体積層体と半導体積層体に電気に接続される正負一対の電極とを含む。半導体積層体は、たとえば、サファイアまたは窒化ガリウム等の支持基板と、支持基板上に配置されるn型半導体層およびp型半導体層と、これらに挟まれた発光層と、n型半導体層およびp型半導体層とそれぞれ電気的に接続されたn側電極およびp側電極とを含む。なお、半導体積層体は、支持基板が除去されたものを用いてもよい。発光層は、ダブルヘテロ構造や、単一量子井戸構造(SQW)、多重量子井戸構造(MQW)等の構造を有する。発光層は、可視光または紫外光を発光可能である。発光層は、可視光として、青色から赤色までを発光可能である。このような発光層を含む半導体積層体としては、たとえばInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。半導体積層体が複数の発光層を含む場合、発光色が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光色が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光色が同じとは、使用上同じ発光色とみなせる範囲、たとえば、主波長で数nm程度のばらつきがあってもよい。発光色の組み合わせとしては適宜選択することができる。
【0014】
以下説明する発光モジュール20では、光源32a~32rは、すべてほぼ同一の特性を有するものとする。同一の特性とは、各発光素子に同一の電流が流れたときに、各発光素子は、同一の順電圧降下を発生し、光源が同一の輝度で発光することをいうものとする。同数の光源による直列回路が並列接続され、並列回路に電流を流したときには、各発光素子には、ほぼ同一の電流が流れ、各光源は、ほぼ同一の輝度で発光するものとする。
【0015】
光源の符号は、光源を互いに区別するときには、光源32a~32rのように表し、光源を区別しないときには、光源32のように表すこととする。
【0016】
光源32a~32rは、配線パターン42~49および配線パターン51,52によって、端子41a,41bと電気的に接続されている。配線パターン42~49は、X軸方向に配列された光源を電気的に接続する複数の配線を含んでおり、ほぼX軸方向に沿って設けられている。配線パターン51,52は、配線パターン42~49の両端をそれぞれ電気的に接続する配線であり、ほぼY軸に沿って設けられている。端子41aは、配線パターン51に接続され、端子41bは、配線パターン52に接続されている。
【0017】
端子41a,41bおよび配線パターン42~49,51,52は、配線層40を構成する要素であり、同一の導電材料の導体によって形成されている。端子41a,41bおよび配線パターン42~49,51,52は、ほぼ同一の厚さを有している。配線パターン42~49を構成する配線は、導体の長さおよび幅によって抵抗値が決定される。導体の幅とは、電流が流れる方向とY方向に直交する方向に沿う長さである。
【0018】
発光モジュール20は、境界22,26を有する。光源32f,32g,32j,32kは、境界22に囲まれた第1領域24内に設けられている。境界26は、第1領域24の外側を取り巻いており、光源32a,32b,32c,32d,32e,32h,32i,32m,32n,32p,32q,32rは、境界26と境界22との間の第2領域28内に設けられている。
【0019】
境界22,26は、光源32f,32g,32j,32kが設けられている第1領域24と、光源32a,32b,32c,32d,32e,32h,32i,32m,32n,32p,32q,32rが設けられている第2領域28とを区別するための仮想的な線である。第1領域および第2領域は、図の破線のような方形であってもよく、円形、または三角形等の多角形でもよい。第2領域28は、第1領域24の周囲に位置する領域であり、この例では、第2領域28は、第1領域24を連続的に取り囲んでいる。また、第2領域28は、第1領域24の周囲に位置していればよく、第2領域28は、複数の領域に分割されて、第1領域24の周囲に位置している、としてもよい。たとえば、光源が6つの場合であって2×3のマトリクス状に配置されるときには、第2領域は、2つの領域に分割されて第1領域の周囲に配置される。
【0020】
第1領域24であるか、第2領域28であるかは、平面視において、各光源により近い位置に配置された光源の個数により区別される。平面視において、後述するように、第1領域24の各光源により近い位置に配置された光源の個数は、第2領域28の各光源により近い位置に配置された光源の個数よりも多い。
【0021】
第1領域24に設けられた各光源32f,32g,32j,32kは、第2領域28に設けられた光源32a,32b,32c,32d,32e,32h,32i,32m,32n,32p,32q,32rのうち、平面視において、少なくとも2つの光源の間に設けられている。また、平面視において、第1領域24の各光源は、第2領域28の光源のうち、第1領域の光源により近い距離にある2つの光源の間に設けられている。
【0022】
本実施形態の場合には、2つの光源間の距離は、以下のように決定され、各光源32が、第1領域24または第2領域28のいずれに属するかが決定される。
後述する
図3において説明するように、各光源のX軸方向の間隔は、距離P1であり、各光源のY軸方向の間隔は、距離P2である。この例では、距離P1は、距離P2にほぼ等しい。たとえば、第1領域24の光源32fの場合には、X軸方向について距離P1だけ離れた位置に光源32e,32gが配置され、Y軸方向について距離P2だけ離れた位置に光源32b,32jが配置されている。したがって、光源32fには、光源32e,32g,32b,32jがより近い位置に配置されている。同様に、第1領域24の光源32g,32j,32k場合についても、より近い位置に配置された光源の個数が特定され、いずれの場合も、より近い位置に配置された光源の個数は、4個である。
【0023】
第2領域の光源32aの場合には、光源32b,32eがより近い位置に配置され、光源32dの場合には、光源32c,32hがより近い位置に配置されている。同様にして、光源32n,32pの場合についても、より近い位置に配置された光源の個数が特定され、より近い位置に配置された光源の個数は、2個である。また、第2領域28の光源32b,32c,32e,32h,32i,32m,32p,32qの場合には、より近い位置に配置される光源の個数は、3個である。したがって、この例の場合には、第2領域28の各光源については、より近い位置に2個または3個の光源が配置されている。
【0024】
さらに、第1領域24の光源と、第2領域28の2つの光源との間の関係は、以下のようにして決定される。
第1領域24の光源32fの場合には、X軸方向では、第2領域28の光源32eが光源32fにより近い位置に配置されている。Y軸方向では、第2領域28の光源32bが光源32fにより近い位置に配置されている。したがって、第1領域24の光源(第1光源)32fは、第2領域28の光源(第2光源)32bと光源(第3光源)32eとの間に配置されている。同様に、第1領域24の光源32gは、第2領域28の光源32hと光源32cとの間に設けられている。第1領域24の光源32jは、第2領域28の光源32iと光源32pとの間に設けられている。第1領域24の光源32kは、第2領域28の光源32mと光源32qとの間に設けられている。
【0025】
図2は、本実施形態の発光モジュールを例示する模式的な回路図である。
図2では、電流の向きがわかるように、各光源は、発光素子の回路図記号で表されている。
図2に示すように、発光モジュール20は、2個の光源が直列に接続された直列回路が8個並列に接続されている。8個の並列回路は、端子41a,41bの間に接続されている。光源32aおよび光源32b、光源32cおよび光源32d、光源32eおよび光源32h、光源32fおよび光源32g、光源32iおよび光源32m、光源32jおよび光源32k、光源32nおよび光源32p、ならびに光源32qおよび光源32rは、それぞれ直列に接続されている。
【0026】
図1も参照すると、配線パターン42によって、光源32c,32dの直列回路が構成され、配線パターン43によって、光源32a,32bの直列回路が構成される。光源32a~32dは、X軸方向に沿ってほぼ直線状に配列されている。
【0027】
配線パターン44によって、光源32e,32hの直列回路が構成され、配線パターン45によって、光源32f,32gの直列回路が構成される。光源32e~32hは、X軸方向に沿ってほぼ直線状に配列されている。
【0028】
配線パターン46によって、光源32j,32kの直列回路が構成され、配線パターン47によって、光源32i,32mの直列回路が構成されている。光源32i~32mは、X軸方向に沿ってほぼ直線状に配列されている。
【0029】
配線パターン48によって、光源32q,32rの直列回路が構成され、配線パターン49によって32n,32pの直列回路が構成される。光源32n~32rは、X軸方向に沿ってほぼ直線状に配列されている。
【0030】
これら8個の直列回路は、配線パターン51,52によって、端子41a,41b間で並列に接続されている。
【0031】
光源32f,32g,32j,32kは、第1領域24に設けられている。その他の光源32a,32b,32c,32d,32e,32h,32i,32m,32n,32p,32q,32rは、第2領域28に設けられている。つまり、光源32f,32gの直列回路および光源32j,32kの直列回路は、第1領域24に設けられ、これら以外の光源の直列回路は、第2領域28に設けられている。
【0032】
第1領域24に設けられた光源32f,32g,32j,32kは、端子41aの電位が端子41bの電位よりも高い場合に電流が流れて発光する。第2領域28に設けられた光源32a,32b,32c,32d,32e,32h,32i,32m,32n,32p,32q,32rは、端子41bの電位が端子41aの電位よりも高い場合に電流が流れて発光する。第1領域24内の光源および第2領域28内の光源は、同時に発光することなく、端子41a,41b間に接続される駆動用電源の極性に応じて、交互に点灯される。第1領域24の光源および第2領域28の光源は、ちらつきが視認されないように、十分高い周波数で交互に切り替えて点灯される。ここでいう十分高い周波数とは、人間の目の時間分解能より短い20Hz以上であり、より好ましくは50Hz以上である。
【0033】
第1領域24内の光源および第2領域内の光源は、発光モジュール20の全体の輝度ムラが低減するように交互に点灯する。この例では、第1領域24内の光源が発光するときの輝度は、第2領域内の光源が発光するときの輝度よりも低くなるように設定される。このように設定されることによって、発光モジュール20の発光面の全体の輝度ムラは低減される。光源32の輝度を調整するのは、その光源32に電流を流す期間と電流を遮断する期間との比率を変えず、光源32に流れる電流値を調整することによってもよいし、光源に流す電流を一定にして、その光源に電流を流す期間と電流を遮断する期間との比率を調整することによってもよい。
【0034】
図3は、本実施形態の発光モジュールを例示する模式的な平面図である。
図3には、光源の発光面の側からみた平面図が示されている。
図3に示すように、発光モジュール20は、複数のセル30を含んでいる。各セル30は、それぞれ同一の形状を有している。各セル30は、X軸方向の長さがWcであり、Y軸方向の長さがLcである。セル30は、X軸方向に沿って4個配列されたものが、さらにY軸方向に沿って4個ずつ配列されている。つまり、発光モジュール20は、16個のセル30が4×4のマトリクス状に配列されている。発光モジュール20は、X軸方向の長さがWmであり、Y軸方向の長さがLmである。Wmは、4×Wcに等しく、Lmは、4×Lmに等しい。
【0035】
セル30の形状を同一とすることによって、セル30の組み合わせによる発光モジュール20の形状や寸法の自由度が向上し、発光モジュール20の設計および製造における効率を向上させることができる。
【0036】
セル30は、光源32と導光部材34とを含む。セル30のXY平面視での形状は、導光部材34のXY平面視での形状にほぼ同一である。光源32は、導光部材34のほぼ中央に設けられている。導光部材34は、ほぼ中央部に設けられた光源32が発光する光をZ軸の負方向に導光する。つまり、
図3における導光部材34の面が、発光モジュール20の発光面となる。
なお、導光部材34は、たとえば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ若しくはシリコーン等の熱硬化性樹脂、または、ガラスなどの導光板または導光シートを用いることができる。または、導光部材34として空気層を用いてもよい。
【0037】
発光モジュール20では、X軸方向に隣接して設けられた光源間の距離は、P1であり、Y軸方向に隣接して設けられた光源間の距離はP2である。セル30の形状は、ほぼ同一なので、P1は、Wcにほぼ等しく、P2は、Lcにほぼ等しい。また、この例では、Wcは、Lcにほぼ等しくされ、セル30は、XY平面視で、ほぼ正方形形状とされている。
【0038】
この例では、発光モジュール20では4×4の2次元のセル配列であるが、セルの配列は、これに限らず、2×8等であってもよい。発光モジュール20に含まれるセルの数も16個に限らず、任意の数とすることができる。
【0039】
上述では、発光モジュール20の回路は、光源を2直列×8並列とするものであるが、これに限るものではなく、たとえば、16個の光源をすべて並列に接続するようにしてもよい。
【0040】
図4Aは、
図3のIVA-IVA’線における模式的な矢視断面図である。
図4Aに示すように、導光部材34は、導光部材34のZ軸の負方向の側に発光面となる第1面34aを有する。導光部材34は、第1面34aに対向する第2面34bを有する。導光部材34は、第2面34bにおいて、凹部34cを有する。
【0041】
光源32は、凹部34cに挿入されて、絶縁性の固定部材33によって導光部材34に固定されている。
【0042】
第2面34bには、封止部材34dが設けられており、光源32の電極は封止部材34dより露出されている。この例では、封止部材34dは、導光部材34の第2面34bに接続された面に対向する配線設置面34eを有する。封止部材34dは、光源32が発する光に対する反射性を有し、たとえば、TiO2、SiO2、Al2O3、ZnOまたはガラス等の粒子からなる光拡散剤を含む、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂である。封止部材34dは、光源同士を電気的に分離し、光源を他の導電性の部材から電気的に分離するとともに、光源32kから出射する光を反射し、導光部材34に導くようにすることができる。
【0043】
配線設置面34eには、配線層40が配置されており、この図には、配線パターン46が示されている。光源32の2つの電極は、配線パターン46によって、回路を構成している。
【0044】
光源32kのサイズが小さい場合には、電極間の距離が短く、配線層における配線パターン間の距離も短くなる。また、この例では、電極が外部に露出するのを避けるため、配線パターン46上の光源32の電極の位置に相当する位置に絶縁樹脂35が配置されている。絶縁樹脂35は、たとえばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、レジスト等である。
【0045】
導光部材34の第1面34a上には、たとえば円錐状、円錐台状、多角錐状または多角錐台状の凹みを有し、凹みの中に光調整部材34fを設けることが好ましい。光調整部材34fは、光反射性を有する材料で形成されている。光調整部材34fが光源32kの直上に設けられることによって、光源32kの直上の領域の輝度が他の領域の輝度よりも高くなることを抑制し、光源32kが発光する光が導光部材34の全体に広がるようにすることができる。
【0046】
図4Bは、
図4Aの模式的な拡大図である。
図4Bには、
図4Aの光源32kの部分の拡大図が示されている。
図4Bに示すように、光源32kは、発光素子31と、発光素子の正負一対の電極に電気的に接続された電極31b1,31b2と、蛍光体層31cと、を含む。発光素子31では、蛍光体層31cが設けられた面が主発光面である。発光素子31は、蛍光体層31cが設けられた面の対向する面の側に電極31b1,31b2を含む。電極31b1,31b2は、アノード電極およびカソード電極である。
【0047】
蛍光体層31cは、絶縁性の接合部材31dによって、発光素子31に支持されている。接合部材31dは、たとえば透光性樹脂である。発光素子31および接合部材31dを覆うように、反射部材31fが設けられている。反射部材31fは絶縁性の部材であり、たとえば、TiO2、SiO2、Al2O3、ZnOまたはガラス等の粒子からなる光拡散剤を含む、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂である。
【0048】
図4Bにも示されているように、光源32kの電極31b1,31b2は、反射部材31fから露出されている。また、
図4Aに示されているように、電極31b1,31b2は、封止部材34dから露出されており、電極31b1,31b2が露出する面は、配線設置面34eとされる。配線設置面34eには、破線で示された配線パターン46を含む配線層40が設けられている。他の光源32もこれと同様に構成されている。
【0049】
このように構成することによって、本実施形態の発光モジュール20のセル30では、光源32kが発光した光は、導光部材34の全体に広がり、セル30の全体にわたって輝度ムラが低減される。導光部材34は、セル30の配光を制御する部材の1つであり、セル30全体の輝度ムラを低減する。また、封止部材34dは、隣接するセル30に光をなるべく漏らさないように制御する。
【0050】
発光モジュール20を構成するセルは、上述の例に限らず、他の構成とすることができる。
図5Aは、本実施形態の変形例の発光モジュールの一部を例示する模式的な断面図である。
図5Bは、
図5Aのセル130の一部を構成する光源132Kの拡大図である。
セル130は、上述した
図4Aのセル30に対応し、光源132Kは、
図4Bの光源32kに対応する。上述の例において、他の光源32は、光源32kと同じ構成を有するのと同様に、以下の光源132Kは、他の光源と同じ構成を有するものとする。
図5Aに示すように、変形例の発光モジュールは、セル130を含んでいる。セル130は、光源132Kと導光部材110とを含む。
【0051】
導光部材110は、第1面111および第2面112を含む。第1面111は、セル130の発光面である。導光部材110において、第2面112は、第1面111の反対側の面である。導光部材110は、光源132Kが配置される貫通孔113を含む。貫通孔113は、第1面111から第2面112まで貫通している。
【0052】
セル130は、支持部材200を含む。支持部材200は、上面201および下面202を含む。支持部材200において、下面202は、上面201の反対側の面である。導光部材110は、第2面112を上面201に対向させて支持部材200上に配置されている。光源132Kは、貫通孔113内に設けられ、支持部材200上に配置されている。
【0053】
セル130は、第1透光性部材171と、波長変換部材172と、第2透光性部材173と、第2光調整部材174と、をさらに含むことができる。第1透光性部材171、波長変換部材172、および第2透光性部材173は、導光部材110の貫通孔113内に配置されている。
【0054】
第1透光性部材171は、光源132Kの側面と、導光部材110の貫通孔113の側面との間に配置されている。第1透光性部材171を設けることによって、光源132Kからの光は、導光部材110に導光されやすくなるとの利点がある。
【0055】
波長変換部材172は、光源132Kの上面を覆っている。波長変換部材172は、第1透光性部材171の上面も覆っている。波長変換部材172は、光源132Kが発光する光の色調整用の蛍光体を含む透光性の樹脂部材である。
【0056】
第2透光性部材173は、波長変換部材172の上面を覆っている。第2透光性部材173の上面は、平坦な面とすることができる。あるいは、第2透光性部材173の上面は、凹状または凸状の曲面としてもよい。
【0057】
第2光調整部材174は、第2透光性部材173上に配置されている。第2光調整部材174は、光源132Kが発する光に対する反射性および透光性を有する。第2光調整部材174は、XY平面視において光源132Kと重なる位置に配置される。第2光調整部材174は、光源132Kの真上方向へ出射された光の一部を反射させ、他の一部を透過させる。これにより、セル130の発光面である第1面111において、光源132Kの直上領域の輝度が他の領域の輝度に比べて極端に高くなることを抑制でき、セル130全体の光の輝度ムラを軽減することができる。
【0058】
支持部材200は、絶縁基材150と、配線層151と、第1接着部材141と、光反射性シート142と、第2接着部材143と、を含む。絶縁基材150上に、第1接着部材141、光反射性シート142、および第2接着部材143が順に配置されている。
【0059】
絶縁基材150は、配線層151を形成するための基材である。配線層151は、絶縁基材150の厚さ方向に2層以上含まれていてもよい。絶縁基材150の上面は、第1接着部材141が設けられている。絶縁基材150の下面には、配線層151が配置されている。配線層151は絶縁膜152で覆われている。絶縁膜152の下面は、支持部材200の下面202を構成する。
【0060】
なお、セル130における配線層151は、上述の
図4Aおよび
図4Bに示したセル30の配線層40に対応する。セル130では、配線層151を構成する各配線によってセル130間の電気的接続、端子との電気的接続がとられる。
【0061】
第1接着部材141は、絶縁基材150と光反射性シート142との間に配置され、絶縁基材150と光反射性シート142とを接着している。
【0062】
光反射性シート142は、導光部材110の第2面112の下方および光源132Kの下方に配置されている。光反射性シート142は、光源132Kが発光する光に対する反射性を有する。光反射性シート142には、たとえば、多数の気泡を含む樹脂部材や、光拡散剤を含む樹脂部材を用いることができる。
【0063】
第2接着部材143は、光反射性シート142と、導光部材110の第2面112との間に配置され、光反射性シート142と導光部材110とを接着している。光源132Kは、導光部材110の貫通孔113内において第2接着部材143上に配置されている。第2接着部材143は、光源132Kが発光する光に対する透光性を有する。
【0064】
光源132Kの下方に接続部材161が配置されている。接続部材161は、支持部材200の上面201および下面202を貫通する孔部内に配置され、さらに支持部材200の下面202側において配線層151まで延在している。一対の電極126に対応して、一対の接続部材161が設けられている。導電性を有する接続部材161は、電極126と配線層151とを電気的に接続している。
【0065】
絶縁膜152の下面には、接続部材161を覆うように絶縁膜153が配置されている。絶縁膜153は、一対の接続部材161の間を覆うように配置され、一対の接続部材161間の絶縁性を高めている。
【0066】
図5Bに示すように、光源132Kは、発光素子121と、一対の電極126と、樹脂部材122と、を含む。発光素子121の構成は、
図4Bで説明したものと同様の構成とすることができる。
【0067】
正負の一対の電極126は、発光素子121の下面に設けられている。正負一対の電極126は、発光素子121のp側電極およびn側電極に電気的に接続されている。
【0068】
樹脂部材122は、発光素子121の上面、側面および底面を覆うように設けられている。樹脂部材122は、この例のように、第1樹脂部123および第2樹脂部124を含むことができる。第1樹脂部123は、発光素子121の上面および側面を覆っている。第2樹脂部124は、発光素子121の底面および第1樹脂部123の底面を覆っている。
【0069】
第1樹脂部123は、発光素子121を保護するとともに、第1樹脂部123に添加される粒子に応じて、波長変換および光拡散等の機能を備える。第2樹脂部124は、発光素子121が発光する光に対する反射性を有する光反射部である。
【0070】
この例では、第1樹脂部123の上面に、第1光調整部材128が配置されている。第1光調整部材128は、発光素子121や蛍光体が発する光に対する反射性および透光性を有する。第1光調整部材128樹脂部材122の上面から出射する光の量や出射方向を制御する。
【0071】
このように、変形例のセル130では、導光部材110を貫通する貫通孔113内に光源132Kを設けるので、セル130の厚さを薄くすることができる。セル130の厚さは、すなわち発光モジュールの厚さであるので、発光モジュールを液晶ディスプレイ等のバックライトに用いた場合に、バックライトの収納スペースを削減することが可能になる。
【0072】
本実施形態の発光モジュール20では、セル30によって構成することもでき、セル130によって構成することもできる。以下では、実施形態の発光モジュールという場合には、特に断らない限り、セル30またはセル130のいずれかを含むことができるものとする。
【0073】
本実施形態およびその変形例の発光モジュール20の動作について説明する。
発光モジュール20では、第1領域24に設けられた光源および第2領域28に設けられた光源は、同時に点灯されず、交互に点灯される。第1領域24に設けられた光源を点灯する期間を第1期間とし、第2領域28に設けられた光源を点灯する期間を第2期間とする。第1期間では、端子41aに端子41bよりも高い電圧(第1電圧)が印加され、第1領域24の光源が点灯される。第1期間では、第2領域28の光源は、点灯されない。第2期間では、端子41aに端子41bよりも低い電圧(第2電圧)が印加され、第2領域28の光源が点灯される。第2期間では、第1領域24の光源は、点灯されない。第1期間および第2期間は、連続した期間であり、連続した期間が繰り返される。
【0074】
複数の光源が同時に発光する場合には、互いに隣接して配置されている光源は、自発光する光以外に隣接する光源からの影響を受け、発光する光同士は強め合って輝度が高くなる。第1領域24では、光源に隣接する他の光源の個数が、第2領域28の光源の場合よりも多い。そのため、第1領域24の光源および第2領域28の光源を同じ電流値で駆動すると、第1領域24の方が、第2領域28よりも輝度が高くなる。
【0075】
第1領域24に設けられた光源32f,32g,32j,32kの周囲には、それぞれ4個の光源が隣接して配置されている。これに対して、第2領域28の光源32a,32d,32n,32rの周囲には、2個の光源がそれぞれ隣接して配置されている。第2領域28の光源32b,32c,32e,32h,32i,32m,32p,32qの周囲には、3個の光源がそれぞれ隣接して配置されている。
【0076】
発光モジュール20の16個の光源32a~32rを同時に発光させると、第1領域24が発光する光の輝度が、第2領域28が発光する光の輝度よりも高くなる。そのため、本実施形態の発光モジュール20では、第1領域24発光する光の輝度が、第2領域28の発光する光の輝度にほぼ等しくなるように、第1領域24の光源および第2領域28の光源を交互に独立して駆動する。
【0077】
より具体的には、第1領域24の光源および第2領域28の光源を同一の駆動用電源で駆動する。そして、第1領域24の光源を駆動する第1期間と、第2領域28の光源を駆動する第2期間と、で駆動用の電源の極性を切り替える。第1期間および第2期間は、第1領域24の発光する光の輝度が、第2領域28の発光する光の輝度にほぼ等しくなるように調整される。
【0078】
なお、各光源を駆動する駆動用電源は、直流電流を出力する電源でもよいし、交流電流を出力する電源でもよい。駆動用電源を、直流電流を出力する電源とする場合には、後述するように、切替回路を設けることによって、発光モジュールに供給する電流の方向を切り替える。駆動用電源を、交流電流を出力する電源とする場合には、直接発光モジュールに接続することができるが、位相を調整する機能を有することによって、第1期間および第2期間を調整する必要がある。
【0079】
本実施形態の発光モジュールの使用方法について説明する。
図6は、本実施形態の発光モジュールの使用方法を例示する模式的なブロック図である。
図6に示すように、発光モジュール20は、切替回路70を介して、電源回路60に接続される。電源回路60は、たとえば定電流回路である。電源回路60は、図示しないが調光制御回路によって、出力する定電流値が設定される。電源回路60は、電流値の振幅を変更することによって定電流値を設定する定電流回路であってもよいし、一定の電流値を断続することによって実質的な低電流値を設定する定電流回路であってもよい。
【0080】
切替回路70は、切替スイッチを含む。切替回路70は、切替スイッチによって、電源回路60の正負の出力を、発光モジュール20の端子41a,41bに切り替えて接続する。具体的には、電源回路60の“+”と図示した正出力端子を端子41aに接続するときには、電源回路60の“-”と図示した負出力端子を端子41bに接続する。電源回路60の正出力を端子41bに接続するときには、電源回路60の負出力を端子41aに接続する。
【0081】
切替回路70は、制御回路80に接続されており、制御回路80から制御信号を供給されて、切替スイッチの接続を切り替える。制御回路80が出力する制御信号は、たとえば、ハイレベルとローレベルとを有する2値の信号である。制御信号がハイレベルのときには、端子41aに電源回路60の正出力が接続され、端子41bに電源回路60の負出力が接続される。制御信号がローレベルのときには、端子41aに電源回路60の負出力が接続され、端子41bに電源回路60の正出力が接続される。制御信号がハイレベルとなる期間が第1期間であり、ローレベルとなる期間が第2期間である。
【0082】
制御回路80は、たとえば、プログラムによって動作するコンピュータ装置であって、第1期間および第2期間は、プログラムによって設定される。発光モジュール20が調光制御される場合には、各調光設定値に対する電流値ごとに、第1期間および第2期間がプログラムに設定される。切替回路70および制御回路80は、他の回路の一部であってもよいし、切替回路70および制御回路80は、一体として構成された回路であってもよい。また、切替回路70および制御回路80の少なくとも一方を電源回路60と一体として構成するようにしてもよい。
【0083】
図7Aおよび
図7Bは、本実施形態の発光モジュールの使用方法を説明するための模式的な動作波形図である。
図7Aおよび
図7Bには、同一の調光設定値の場合に、第1領域24の光源の発光する光の輝度が第2領域28の光源の発光する光の輝度にほぼ等しくなるように、第1期間および第2期間の割り合いを調整する場合の動作波形の例が示されている。
すべての光源に同一の電流を流して、同一の輝度の光を発光させると、第1領域24の光源の発光する光の輝度が、第2領域28の光源の発光する光の輝度よりも高くなる傾向がある。そのため、
図7Aに示すように、初期的には、第1期間T1は、第2期間T2よりも短く設定される。
【0084】
発光モジュール20の全体の輝度をみながら、輝度ムラが低減されるように、第1期間および第2期間を調整する。
図7Bに示すように、第1期間T11および第2期間T12とすることによって、発光モジュール20の全体の輝度ムラが低減される。この場合においては、第1期間T11および第2期間T12は、ほぼ等しく設定されている。
【0085】
このように、第1期間を、第2期間とほぼ等しい値から、第2期間よりも短い値に設定することによって、発光モジュール20の発光面全体の輝度ムラを低減することができる。第1期間および第2期間の設定範囲は、光源の配置および接続によって適切に設定される。この例では、T1+T2=T11+T12となるように、第1期間および第2期間の割り合いを調整したが、第1期間または第2期間の一方を固定し、他方を変化させることによって、輝度の調整を行うようにしてもよい。あるいは、輝度を設定する電流値に応じて、輝度設定ごとに第1期間および第2期間を独立して調整するようにしてもよい。
【0086】
図8A~
図8Cは、本実施形態の発光モジュールの動作を説明するための模式的な等価回路図である。
光源が発光する光の輝度は、光源に流れる電流が大きいほど高くなる。また、発光モジュール20が発光する光の輝度は、発光している光源の数が多いほど高くなる。つまり、発光モジュール20の発光する光の輝度は、発光モジュール20を構成する光源に流れる電流および同時に発光する光源の数の関数となっている。そのため、回路構成ごとに、各光源に流れる電流に応じて、第1期間および第2期間を設定する必要がある。
【0087】
図8Aの例では、第1領域の光源D1は、第2領域の2個の光源D2,D3の間に設けられている。光源D1~D3は、端子C1,C2間に並列に接続されている。光源D1と光源D2,D3とは、逆並列に接続されている。
【0088】
端子C1,C2間に電流Iを流すように電源回路を設定した場合には、第1期間では、光源D1に電流Iが流れ、第2期間では、2個の光源D2,D3に(1/2)×Iの電流がそれぞれ流れる。そのため、第1期間は、第2期間に等しいか、2個の光源D2,D3の輝度の強め合いの程度に応じて、第2期間よりも短くなるように設定される。
【0089】
図8Bの例では、第1領域の2個の光源D1a,D1bは、直列に接続されている。第2領域の2個の光源D2,D3は、光源D1a,D1bの直列回路に並列に接続されている。光源D1a,D1bの直列回路は、光源D2,D3に逆並列に接続されている。
【0090】
端子C1,C2間に電流Iを流すように電源回路を設定した場合には、第1期間では、2個の光源D1a,D1bに電流Iが流れ、第2期間では、2個の光源D2,D3に(1/2)×Iの電流がそれぞれ流れる。
【0091】
この例では、第1期間に発光する光源の個数と、第2期間に発光する光源の個数は、同数となっている。一方、光源D1a,D1bに流れる電流は、光源D2,D3に流れる電流の2倍とされている。したがって、この例の場合には、
図8Aの場合よりも第1期間を短く設定することが必要となる。光源D1a,D1bの輝度の強め合いの程度によっては、第1期間を第2期間よりも十分に短く設定する必要がある。
【0092】
図8Cの例では、第1領域の2個の光源D1a,D1bは、並列に接続されている。第2領域の2個の光源D2,D3は、並列に接続されており、光源D1a,D1bとは逆並列に接続されている。
【0093】
端子C1,C2間に電流Iを流すように電源回路を設定した場合には、第1期間では、2個の光源D1a,D1bに電流(1/2)×Iがそれぞれ流れ、第2期間では、2個の光源D2,D3に(1/2)×Iの電流がそれぞれ流れる。
【0094】
この例では、第1期間に発光する光源の個数と第2期間に発光する光源の個数が同じである。そして、第1期間に発光する光源に流れる電流値は、第2期間に発光する光源に流れる電流値とほぼ等しい。したがって、第1期間は、第2期間とほぼ等しく設定され得る。ただし、光源D1a,D1bの輝度の強め合い、および、光源D2,D3の輝度の強め合いの程度に応じて、第1期間および第2期間は調整される。
【0095】
上述では、各光源の輝度は、輝度または駆動電流、および、点灯する光源の個数によるものとしたが、隣接する光源間の距離や光の広がり等も関係するので、発光モジュール20では、これらを含めて適切な輝度となるように、第1期間および第2期間が決定される。
【0096】
このようにして、発光モジュール20は、発光面の輝度ムラを低減することができる。
【0097】
本実施形態の発光モジュール20の効果について説明する。
本実施形態の発光モジュール20では、発光モジュール20の光源が配置されている面は、第1領域24と第2領域28とに区別されている。第1領域24では、1つの光源により近い位置に配置された光源の個数が、他の1つの光源により近い位置に配置された光源の個数よりも多い光源が配置される領域である。第2領域28は、第1領域24に配置される光源以外の光源が配置される領域である。このように、発光モジュール20の発光面を区別し、第1領域24の光源を駆動する第1期間の長さと、第2領域の光源を駆動する第2期間の長さとを適切に設定することによって、発光モジュール20の発光面の輝度ムラを低減することができる。
【0098】
本実施形態の発光モジュール20では、第1領域24の光源と第2領域28の光源とは、端子41a,41b間で、互いに逆極性となるように接続されている。そのため、端子41a,41bに接続される電源の極性を切り替えることによって、第1領域24の光源への電源供給のための端子および第2領域28の光源への電源供給のための端子を別に設けることなく、独立して駆動することができる。
【0099】
発光モジュール20と電源回路60との間に切替回路70を設けて、制御回路80によって切替回路70の接続を切り替えることによって、第1領域24の光源の発光と第2領域28の光源の発光を容易に切り替えることができる。
【0100】
切替回路70による接続の切り替えは、制御回路80が生成する制御信号によって、容易に実現でき、第1期間および第2期間を調整することによって、発光モジュール20の発光面の輝度ムラを容易に低減することができる。
【0101】
本実施形態では、光源と、その光源により近い位置にある光源との関係は、X軸方向あるいはY軸方向にそれぞれ互いに隣接して設けられているセル30,130を構成する光源間の関係である。したがって、上述の光源間の関係を、互いに隣接するセル30,130間と言い換えてもよい。
【0102】
また、セル30,130から放射される光が次第に拡散して広がることを考慮すると、これらの各セル30,130の発光領域の重なりによって、隣接する光源間の関係を決定することもできる。
【0103】
このように考える場合には、たとえば、
図1の光源32fを含むセル30の発光領域は、光源32b,32e,32j,32gをそれぞれ含むセル30の発光領域からの影響にとどまらず、光源32a,32c,32k,32iをそれぞれ含むセル30の発光領域の影響も受け得る。したがって、第1領域24の光源32fは、第2領域28の光源32a,32b,32c,32e,32g,32i,32j,32kに隣接しているとすることもできる。
【0104】
このような定義によっても、本実施形態の場合には、第1領域24の光源に隣接する光源の個数は、8個であり、第2領域28の光源に隣接する光源の個数は、3個または5個であり、第1領域24と第2領域28との区分は変わらない。
【0105】
セル30の構成が、2×8の場合、つまり、X軸方向に4個のセル30が2行にわたって設けられている発光モジュールの場合には、隣接数の定義は、後者とされる。セル30の構成が2×8の場合は、第1領域の光源に隣接する光源の個数は、5個であり、第2領域の光源の隣接する光源の個数は、3個である。第1領域の光源は、隣接する第2領域の2つの光源の間に設けられていることになる。
【0106】
セル30,130の形状は、説明してきたように平面視において正方形であってもよく、長方形や、円形としてもよい。
【0107】
また、上述とは異なる配光制御設計がされた発光モジュールであっても、複数の光源の発光領域の重なりによって、発光モジュールの発光面の輝度がばらつくとの観点から、上述の例と同様に考えることができる。すなわち、第1領域の光源は、平面視において、第2領域の2つの光源の間に設けられており、第1領域の光源と第2領域の光源との位置関係は、第1領域の光源の発光領域が、第2領域の2つの光源の発光領域と重なり合う程度の位置に配置されている。このような場合において、第1領域の光源を第1期間で点灯させ、第2領域の光源を第2期間で点灯させることによって、発光モジュールの発光面の全体の輝度ムラをより低減することが可能になる。
【0108】
(第2の実施形態)
より広い発光面積を有する面状光源は、発光モジュール20を複数個組み合わせることによりできる。
図9Aは、本実施形態に係る面状光源を例示する模式的な平面図である。
図9Aに示すように、面状光源210は、1つまたは複数の発光モジュール20を備える。複数の発光モジュール20は、XY平面上に配列されている。この例では、X軸方向に4個、Y軸方向に2個の発光モジュール20が2次元に配列されている。
【0109】
面状光源210は、接続コネクタ270a,270bを含む。発光モジュール20の端子41aが接続された配線は、接続コネクタ270aに接続される。発光モジュール20の端子41bが接続された配線は、接続コネクタ270bに接続される。たとえば、接続コネクタ270a,270bには、上述した切替回路70を介して電源回路60が接続される。
【0110】
この例では、面状光源210は、8個の発光モジュールを接続して、面状光源210全体を同じ輝度で発光させる。また、複数の発光モジュール20を1つまたは複数個を1組にして、部分的に異なる輝度で発光させてもよいし、同じ輝度で個別に発光させてもよい。
【0111】
図9Bは、
図9AのIXB-IXB’線における模式的な矢視断面図である。
図9Bに示すように、面状光源210を構成する複数の発光モジュール20は、絶縁性の接続部材250を介して、配線基板260に接続されている。絶縁性の接続部材250は、たとえば樹脂製シートの両面に接着剤が塗布されたボンディングシートである。配線基板260は、たとえばポリイミド等の絶縁性の基材からなるフレキシブルプリント基板である。
【0112】
配線基板260は、配線パターン262を含む。この例では、配線パターン262は、接続部材250が設けられた面に対向する面に配置されている。さらに、配線基板260には、配線パターン262を覆う絶縁層266が設けられている。絶縁層266を設けることによって、配線パターン262間の絶縁を確保することができる。絶縁層266は、たとえばレジスト等である。
【0113】
配線基板260には、接続コネクタ270bおよびこの図に図示しない接続コネクタ270aが設けられており、面状光源210は、外部回路と接続コネクタ270a,270bを介して電気的に接続することができる。
【0114】
接続部材250および配線基板260には、接続部材250および配線基板260を貫通するビア270が形成されている。ビア270のためのビアホールは、発光モジュール20の配線層40に達するまで形成されており、ビア270は、発光モジュール20と配線基板260の配線パターン262とを電気的に接続する。ビア270は、発光モジュール20の配線層40に形成された端子41a,41bにそれぞれ接続されている。
【0115】
たとえば、配線基板260上に形成された配線パターン262は、各発光モジュール20を並列に接続するように形成されている。ローカルディミングに対応するためには、配線パターン262は、1つまたは複数の発光モジュール20ごとに接続するように形成されている。
【0116】
図5Aで示した変形例のセル130を有する発光モジュールであっても、同様に複数の発光モジュールを配列して、絶縁基材150に設けられた配線層151で相互に接続することによって、面状光源とすることができる。この場合においては、絶縁基材150および配線層151が
図9Bで示した配線基板260に対応する。
【0117】
本実施形態の面状光源210の効果について説明する。
本実施形態の面状光源210は、複数の発光モジュール20を備えており、各発光モジュール20は、発光面における輝度ムラを低減することができるので、より大きな面積の面状光源において輝度ムラの低減を実現することができる。
【0118】
本実施形態の面状光源210では、配線基板260に適切に配線パターン262を設けることによって、複数の発光モジュール20を配線層40の側で相互に接続することができ、必要な面積の光源を容易に実現することができる。
【0119】
以上説明した実施形態によれば2次元平面内の輝度ばらつきを低減した発光モジュール、面状光源および制御回路を実現することができる。
【0120】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0121】
20 発光モジュール、22,26 境界、24 第1領域、28 第2領域、30,130 セル、32,32a~32r,132K 光源、34,110 導光部材、40,151 配線層、41a,41b 端子、42~49,51,52 配線パターン、60 電源回路、70 切替回路、80 制御回路、210 面状光源、260 配線基板