IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7596684ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法
<>
  • 特許-ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法 図1
  • 特許-ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法 図2
  • 特許-ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法 図3
  • 特許-ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法 図4
  • 特許-ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法 図5
  • 特許-ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法 図6
  • 特許-ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20241203BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241203BHJP
   H04N 1/191 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H04N1/028 C
H04N1/04 D
H04N1/191
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020157309
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2021118537
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020012778
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】白土 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】中澤 政元
(72)【発明者】
【氏名】阪口 伸司
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-040146(JP,A)
【文献】特開2007-124144(JP,A)
【文献】特開2007-043427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される複数の信号のチャンネル数分設けられ、同時に取得した複数のチャンネルの信号の増幅に用いるゲイン値を調整するゲイン調整手段と、
他の信号の信号レベルに対して影響を及ぼす信号について、当該他の信号とは別の期間にゲイン値を切替えるように、前記ゲイン調整手段におけるゲイン値の切替タイミングをチャンネル毎に選択的に異ならせるゲイン反映制御手段と、
を備えることを特徴とするゲイン調整装置。
【請求項2】
前記ゲイン反映制御手段は、他の信号の信号レベルに対して影響を及ぼす信号について、前記ゲイン調整手段におけるゲイン値の切替対象としないことを選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲイン調整装置。
【請求項3】
前記ゲイン反映制御手段は、他の信号の信号レベルに対して影響を及ぼす信号について、前記ゲイン調整手段におけるゲイン値の切替タイミングを遅らせる、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲイン調整装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のゲイン調整装置を備え、
前記信号は、複数設けられた処理系統毎に入力された画像信号である、
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
入射光を電気信号に変換した色毎の画像信号を出力する光電変換素子と、
請求項4に記載の信号処理装置と、
を備え、
前記信号は、前記光電変換素子から出力される色毎に入力された画像信号である、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記色毎の画像信号は、可視光を受光した画像信号と不可視光を受光した画像信号とである、
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
光を照射する光源と、
請求項5または6に記載の撮像装置と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
画像形成部と、
請求項7に記載の画像読取装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
ゲイン調整装置におけるゲイン調整方法であって、
入力される複数の信号のチャンネル数分設けられたゲイン調整手段で、同時に取得した複数のチャンネルの信号の増幅に用いるゲイン値を調整するゲイン調整工程と、
他の信号の信号レベルに対して影響を及ぼす信号について、当該他の信号とは別の期間にゲイン値を切替えるように、前記ゲイン調整工程におけるゲイン値の切替タイミングをチャンネル毎に選択的に異ならせるゲイン反映制御工程と、
を含むことを特徴とするゲイン調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置において、光電変換素子から得た複数の画像信号(R/G/B)を可変ゲインアンプ(PGA)で増幅する際、飽和等の防止の為、各信号レベルが予め設定した目標値となるように、3チャンネルの処理回路にて色毎にゲイン値を調整している。
【0003】
近年では、光電変換素子から出力される画像信号であるカラー(R/G/B)とモノクロ(BW)の4チャンネルに対し、AFEで各チャンネルの信号をそれぞれゲイン調整する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、近年では、第4の画素に赤外光を受光する画素(IR)を備えることで、R/G/Bの可視情報に加えて不可視情報を出力する光電変換素子が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のゲイン調整方法によれば、ゲイン切り替え時の処理回路の負荷変動によるGND/電源変動が回路の共通インピーダンスを介して他チャンネルに画像信号レベルの変動が発生してしまうという問題があった。
【0006】
特に、上述したIR画素については、シリコンの赤外領域の感度が低いため信号は小さく、ゲインが大きくなる為、ゲイン切り替え時の負荷変動による他チャンネルへの影響が大きい。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の処理系統を持ったシステムにおいて、ゲイン切り替え時に負荷変動による信号間の影響を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、入力される複数の信号のチャンネル数分設けられ、同時に取得した複数のチャンネルの信号の増幅に用いるゲイン値を調整するゲイン調整手段と、他の信号の信号レベルに対して影響を及ぼす信号について、当該他の信号とは別の期間にゲイン値を切替えるように、前記ゲイン調整手段におけるゲイン値の切替タイミングをチャンネル毎に選択的に異ならせるゲイン反映制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の処理系統を持ったシステムにおいて、ゲイン切り替え時に負荷変動による信号間の影響を防止することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態にかかる画像形成装置の一例の構成を示す図である。
図2図2は、画像読取部の構造を例示的に示す断面図である。
図3図3は、画像読取部を構成する各部の電気的接続を示すブロック図である。
図4図4は、ゲイン調整処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、ゲイン調整処理におけるオートゲインコントロール例を示すタイミングチャートである。
図6図6は、ゲイン調整処理におけるオートゲインコントロール例を示すタイミングチャートである。
図7図7は、ゲイン調整装置の構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、ゲイン調整装置、信号処理装置、撮像装置、画像読取装置、画像形成装置およびゲイン調整方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、実施の形態にかかる画像形成装置100の一例の構成を示す図である。図1において、画像形成装置100は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機と称される画像形成装置である。
【0013】
画像形成装置100は、画像読取装置である画像読取部101およびADF(Automatic Document Feeder)102を有し、その下部に画像形成部103を有する。画像形成部103については、内部の構成を説明するために、外部カバーを外して内部の構成を示している。
【0014】
ADF102は、画像を読み取らせる原稿を読取位置に位置づける原稿支持部である。ADF102は、載置台に載置した原稿を読取位置に自動搬送する。画像読取部101は、ADF102により搬送された原稿を所定の読取位置で読み取る。また、画像読取部101は、原稿を載置する原稿支持部であるコンタクトガラスを上面に有し、読取位置であるコンタクトガラス上の原稿を読み取る。具体的に画像読取部101は、内部に光源や、光学系や、CCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子を有するスキャナであり、光源で照明した原稿の反射光を光学系を通じて読み取る。
【0015】
画像形成部103は、画像読取部101で読み取った原稿画像を印刷する。画像形成部103は、記録紙を手差しする手差ローラ104や、記録紙を供給する記録紙供給ユニット107を有する。記録紙供給ユニット107は、多段の記録紙給紙カセット107aから記録紙を繰り出す機構を有する。供給された記録紙は、レジストローラ108を介して二次転写ベルト112に送られる。
【0016】
二次転写ベルト112上を搬送する記録紙は、転写部114において中間転写ベルト113上のトナー画像が転写される。
【0017】
また、画像形成部103は、光書込装置109や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)105や、中間転写ベルト113や、上記二次転写ベルト112などを有する。作像ユニット105による作像プロセスにより、光書込装置109が書き込んだ画像を中間転写ベルト113上にトナー画像として形成する。
【0018】
具体的に、作像ユニット(Y、M、C、K)105は、4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)を回転可能に有し、各感光体ドラムの周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素106をそれぞれ備える。各感光体ドラムにおいて作像要素106が機能し、感光体ドラム上の画像が各一次転写ローラにより中間転写ベルト113上に転写される。
【0019】
中間転写ベルト113は、各感光体ドラムと各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト113に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト113の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト112上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト112の走行により、定着装置110に搬送され、記録紙上にトナー画像がカラー画像として定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。なお、両面印刷の場合は、反転機構111により記録紙の表裏が反転されて、反転された記録紙が二次転写ベルト112上へと送られる。
【0020】
なお、画像形成部103は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。
【0021】
次に、画像読取部101について説明する。
【0022】
図2は、画像読取部101の構造を例示的に示す断面図である。図2に示すように、画像読取部101は、本体11内に、光電変換素子9を備えたセンサ基板10、レンズユニット8、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7を有する。光電変換素子9は、例えばCCDやCMOSイメージセンサなどである。第1キャリッジ6は、LED(Light Emitting Diode)である光源2及びミラー3を有する。第2キャリッジ7は、ミラー4,5を有する。また、画像読取部101は、上面にコンタクトガラス1及び基準白板13を設けている。
【0023】
画像読取部101は、読取動作において、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7を待機位置(ホームポジション)から副走査方向(A方向)に移動させながら光源2から光を上方に向けて照射する。そして、第1キャリッジ6及び第2キャリッジ7は、原稿12からの反射光を、レンズユニット8を介して光電変換素子9上に結像させる。
【0024】
また、画像読取部101は、電源ON時などには、基準白板13からの反射光を読取って基準を設定する。即ち、画像読取部101は、第1キャリッジ6を基準白板13の直下に移動させ、光源2を点灯させて基準白板13からの反射光を光電変換素子9の上に結像させることによりゲイン調整を行う。
【0025】
図3は、画像読取部101を構成する各部の電気的接続を示すブロック図である。図3に示すように、画像読取部101は、光源2と、撮像装置21と、制御部23と、光源駆動部24と、を備えている。光源駆動部24は、光源2を駆動する。
【0026】
光源2は、可視(Red/Green/Blue)波長の可視光と、赤外(IR)波長の不可視光(赤外光)とを原稿(被写体)に照射する。
【0027】
撮像装置21は、光電変換素子9と、信号処理装置22と、を備えている。
【0028】
光電変換素子9は、入射光に対してカラーフィルタ等により波長ごとに可視光(Red/Green/Blue)と不可視光(赤外光)に分解された光を受光し、Red/Green/Blue/赤外の電気信号に変換する。光電変換素子9は、可視画像の読取りの場合はRGBの画像信号を、不可視画像の読取りの場合はIRの画像信号を、複数系統毎に同時に後段の信号処理装置22に対して出力する。
【0029】
なお、本実施形態においては、不可視画像として赤外(IR)画像を用いる例について説明するが、不可視画像として紫外画像を用いるようにしても良く、不可視画像で使用する波長域は限定しない。また、可視画像のみを用いるものであってもよい。
【0030】
制御部23は、光源駆動部24、光電変換素子9、信号処理装置22の各部を制御する。
【0031】
信号処理装置22は、光電変換素子9から出力された画像信号に対して各種の信号処理を実施する。
【0032】
次に、信号処理装置22について詳述する。
【0033】
図3に示すように、信号処理装置22は、複数の画像信号に独立したゲイン処理を行う為に、複数チャンネル分(信号数分)のゲイン調整手段31およびAD変換手段32を備えている。また、信号処理装置22は、CPU(Central Processing Unit)33とレジスタ34とレベル検出手段35とを備える。複数チャンネル分(信号数分)のゲイン調整手段31およびレベル検出手段35は、CPU33にて制御され、一連のゲイン処理を実行する。なお、CPU33と、レジスタ34と、レベル検出手段35と、複数チャンネル分(信号数分)のゲイン調整手段31とにより、ゲイン調整装置20が実現される。
【0034】
レベル検出手段35は、AD変換手段32の信号のデジタルデータのレベルを検出する。
【0035】
ゲイン調整手段31は、増幅手段41と、ゲイン設定手段42と、ゲイン制御手段43と、ゲイン反映制御手段44と、を備える。
【0036】
ゲイン設定手段42は、ゲイン値を格納する。
【0037】
増幅手段41は、入力信号をゲイン設定手段42に格納されているゲイン値にて増幅し、出力信号として出力する。増幅手段41は、例えばスイッチドキャパシタが挙げられるが、増幅できるのであれば、これに限ったものではない。
【0038】
ゲイン制御手段43は、レベル検出手段35で検出したAD変換手段32の出力信号のレベルに応じてゲイン値を決定する。
【0039】
すなわち、レベル検出手段35およびゲイン制御手段43は、入力信号の状態によって都度最適なゲイン設定にする為のオートゲインコントロール(AGC)機能を構成する。
【0040】
より詳細には、レベル検出手段35は、増幅手段41前の入力信号のレベルを検出する。ゲイン制御手段43は、レベル検出手段35により検出したレベルに応じてゲインを決定する。ゲイン設定手段42は、増幅手段41のゲイン値を切り替える。
【0041】
ゲイン制御手段43は、その検出レベルから目標のゲイン値を演算し導き出す演算回路を含む。
【0042】
複数チャンネル分(信号数分)のゲイン調整手段31およびレベル検出手段35は、図3中のCPU33にて制御され、一連のゲイン処理を実行する。
【0043】
ところで、各ゲイン調整手段31でゲイン調整動作が一斉に行われる際に、決定ゲインが大きい信号での負荷変動によって隣接するゲイン調整手段31の入力の変動が共通インピーダンスを介して発生する。
【0044】
本実施形態においては、可視光と赤外光とで画像信号の大きさが異なり、赤外光の画像信号が値として低い場合がある。実際に赤外光の画像信号の信号量は可視光の画像信号の信号量に比べると数分の一となる。これは、光電変換素子9を構成するシリコンでは、不可視(赤外)域の量子感度が可視域よりも低下するためである。
【0045】
そこで、本実施形態のゲイン調整手段31は、ゲイン反映制御手段44を備える。ゲイン反映制御手段44は、他の画像信号の信号レベルに対して影響を及ぼす画像信号について、当該他の画像信号とは別の期間にゲイン値の切替対象となるように、オートゲインコントロール(AGC)機能にて決定したゲイン制御手段43からのゲイン値の切替対象とするタイミングを異ならせる手段である。より詳細には、ゲイン反映制御手段44は、特定の画像信号のゲイン反映を他の画像信号とはタイミングを遅らせる、またはゲイン制御手段43からのゲイン値の切替対象とするか否か(ゲイン設定手段42に反映するか否か)を選択する。それにより、ゲイン調整手段31に対しては決定したゲイン値をゲイン設定手段42に同時に反映しないようにし、ゲインの切り替えによる負荷変動を発生しないようにする。
【0046】
すなわち、ゲイン反映制御手段44は、ゲインを同時に切り替えたくないチャンネルの有無によって、他の画像信号の信号レベルに対して影響を及ぼす画像信号について、当該他の画像信号とは別の期間にゲイン値を反映するように反映タイミングを決められた時間遅らせる。ゲイン反映制御手段44に対する反映タイミングは、状況に応じてユーザがCPU33を介してレジスタ34に設定する。
【0047】
もしくは、ゲイン反映制御手段44は、ゲインを同時に切り替えたくないチャンネルの有無によって、ON/OFFされる。ゲイン反映制御手段44に対するON/OFFは、状況に応じてユーザがCPU33を介してレジスタ34に設定する。
【0048】
続いて、信号処理装置22におけるゲイン調整処理の流れについて説明する。
【0049】
ここで、図4はゲイン調整処理の流れを示すフローチャート、図5および図6はゲイン調整処理におけるオートゲインコントロール例を示すタイミングチャートである。なお、図5および図6に示す例は、ゲイン調整手段31が4つ並んでいる場合において、各ゲイン調整手段31の出力Dout1~4のAGC時のレベルの変動をプロットしている。
【0050】
図4に示すように、まず、信号処理装置22は、他の画像信号の信号レベルに対して影響を及ぼす画像信号があるかを判定する(ステップS1)。他の画像信号の信号レベルに対して影響を及ぼす画像信号がある場合(ステップS1のYes)、信号処理装置22は、前述の通り、ゲイン反映制御手段44はON/OFFの制御で切り替える方法か、反映タイミングをずらす方法かを判定し、分岐する(ステップS2)。例えば、ゲイン反映制御手段44は、ユーザが予め設定したモード(ON/OFFの制御で切り替えるモード、反映タイミングをずらすモード)を参照して、ON/OFFの制御で切り替える方法か反映タイミングをずらす方法かを判定する。
【0051】
ゲイン反映制御手段44に対するタイミング制御の場合(ステップS2のNo)、信号処理装置22は、画像読取部101の光源2の可視光と赤外光を点灯させて、可視/不可視領域(Red/Green/Blue/赤外)のゲイン調整を行う。この際に、信号処理装置22は、事前にDout4(赤外光)のゲイン切り替え設定は「遅延」に設定し、Dout1~3(可視光)のゲイン切り替え設定は「通常」にレジスタを介して設定しておく(ステップS3)。
【0052】
図4に示すように、信号処理装置22は、オートゲインコントロール動作(AGC)を開始すると、初期ゲイン値での画像信号を検出する(ステップS4)。そして、信号処理装置22は、値が予め設定した目標値になるように各ゲイン調整手段31によってゲイン(Dout1~3)を決定し、ゲイン(Dout1~3)を切り替える(ステップS5)。
【0053】
図5に示すように、Dout4については、ゲイン反映選択手段44にて「遅延」の設定にしている為、信号処理装置22は、Dout4に対応するゲイン調整手段31に対し、ゲイン制御手段43からのゲイン値をこのタイミングでは反映しない。
【0054】
一方、図5に示すように、Dout1~3については、ゲイン反映選択手段44にて「通常」の設定にしている為、信号処理装置22は、Dout1~3に対応するゲイン調整手段31に対し、ゲイン制御手段43からのゲイン値を反映する。
【0055】
この結果、信号処理装置22は、可視領域(Red/Green/Blue)のチャンネルのゲインのみを調整したと判定する(ステップS6)。
【0056】
そして、Dout4については、ゲイン反映選択手段44にて「通常」の設定にしている為、信号処理装置22は、Dout4に対応するゲイン調整手段31に対し、遅れてゲイン制御手段43からのゲイン値を反映する。
【0057】
すなわち、信号処理装置22は、値が予め設定した目標値になるように各ゲイン調整手段31によってゲイン(Dout4)を決定し、ゲイン(Dout4)を切り替える(ステップS7)。
【0058】
尚、この「遅延」を設定した際の遅延量はレジスタにて負荷変動期間に応じて可変できるようにしておく。
【0059】
この結果、信号処理装置22は、非可視領域(赤外)のチャンネルのゲインのみを調整したと判定する。そして、信号処理装置22は、可視領域(Red/Green/Blue)と非可視領域(赤外)とで反映タイミングをずらすことで、Dout4からのノイズの影響は受けずにオートゲインコントロール(AGC)を終了する(ステップS8)。
【0060】
これにより、ゲインの大きいチャンネルのノイズ影響を受けずに正確なオートゲインコントロールが可能となる。
【0061】
このように本実施形態によれば、複数の信号レベルのうち、ゲイン値が大きい信号についてはゲイン切り替えを遅延させることで、ゲイン切り替え時の他信号へのノイズの影響を無くすことが可能となるので、複数の処理系統を持ったシステムにおいて、ゲイン切り替え時に負荷変動による信号間の影響を防止することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、負荷変動発生時の負荷変動の収束時間のバラツキを考慮した長期間(AGC時間の倍以上)のウェイトを考慮する必要がない。
【0063】
ゲイン反映制御手段44に対するON/OFFの制御の場合(ステップS2のYes)、信号処理装置22は、最初のオートゲインコントロール動作(AGC(1))として画像読取部101の光源2の可視光と赤外光を点灯させて、可視領域(Red/Green/Blue)のゲイン調整を行う。この際に、信号処理装置22は、事前にDout4(赤外光)のゲイン切り替え設定は「無効」に設定し、Dout1~3(可視光)のゲイン切り替え設定は「有効」に設定しておく(ステップS9)。
【0064】
図4に示すように、信号処理装置22は、最初のオートゲインコントロール動作(AGC(1))を開始すると、初期ゲイン値での画像信号を検出する(ステップS10)。そして、信号処理装置22は、値が予め設定した目標値になるように各ゲイン調整手段31によってゲインを決定し、ゲインを一斉に切り替える(ステップS11)。
【0065】
図6に示すように、Dout4については、ゲイン反映制御手段44にて切り替えOFFの設定(無効)にしている為、信号処理装置22は、Dout4に対応するゲイン調整手段31に対し、ゲイン制御手段43からのゲイン値を反映しない。
【0066】
一方、図6に示すように、Dout1~3については、ゲイン反映制御手段44にて切り替えONの設定(有効)にしている為、信号処理装置22は、Dout1~3に対応するゲイン調整手段31に対し、ゲイン制御手段43からのゲイン値を反映する。
【0067】
この結果、信号処理装置22は、可視領域(Red/Green/Blue)のチャンネルのゲインのみを調整したと判定した後、Dout4からのノイズの影響は受けずに最初のオートゲインコントロール(AGC(1))を終了する(ステップS12)。
【0068】
次に、信号処理装置22は、Red/Green/BlueのDout1~3(可視光)のゲイン切り替え設定は「無効」、Dout4(赤外光)のゲイン切り替え設定は「有効」とし、次のオートゲインコントロール動作(AGC(2))を行う(ステップS13)。
【0069】
図4に示すように、信号処理装置22は、次のオートゲインコントロール動作(AGC(2))を開始すると、初期ゲイン値での画像信号を検出する(ステップS14)。そして、信号処理装置22は、値が予め設定した目標値になるように各ゲイン調整手段31によってゲインを決定し、ゲインを一斉に切り替える(ステップS15)。
【0070】
図6に示すように、Dout1~3については、ゲイン反映制御手段44にて切り替えOFFの設定(無効)にしている為、信号処理装置22は、Dout1~3に対応するゲイン調整手段31に対し、ゲイン制御手段43からのゲイン値を反映しない。
【0071】
一方、図6に示すように、Dout4については、ゲイン反映制御手段44にて切り替えONの設定(有効)にしている為、信号処理装置22は、Dout4に対応するゲイン調整手段31に対し、ゲイン制御手段43からのゲイン値を反映する。
【0072】
この結果、信号処理装置22は、不可視領域(赤外)のチャンネルのゲインのみを調整したと判定した後、Dout1~3からのノイズの影響は受けずに次のオートゲインコントロール(AGC(2))を終了する(ステップS16)。
【0073】
これにより、ゲインの大きいチャンネルのノイズ影響を受けずに正確なオートゲインコントロールが可能となる。
【0074】
このように本実施形態によれば、複数の信号レベルのうち、ゲイン値が大きい信号についてはゲイン切り替えを無効にすることで、ゲイン切り替え時の他信号へのノイズの影響を無くすことが可能となるので、複数の処理系統を持ったシステムにおいて、ゲイン切り替え時に負荷変動による信号間の影響を防止することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、2回分のAGCを実施することになるが、負荷変動発生時の負荷変動の収束時間のバラツキを考慮した長期間(AGC時間の倍以上)のウェイトを考慮する必要がない。また、例えばスキャナなどで別の制御を実行しなければならない場合、2回目のAGCタイミングは撮像装置周辺のシステム構成やシーケンスを鑑みて設定すれば良い。
【0076】
なお、扱う光学システム上、入射光量が大きい(ゲイン値が大きくない)等、チャンネル間のノイズ影響が問題なければ、信号処理装置22は、全てのチャンネルで「有効」として一回で実施しても良い。
【0077】
その場合、図4に示すように、そもそも他の画像信号の信号レベルに対して影響を及ぼす画像信号がない場合として(ステップS1のNo)、従来と同様に、信号処理装置22は、最初のオートゲインコントロール動作(AGC)を開始すると、初期ゲイン値での画像信号を検出する(ステップS17)。そして、信号処理装置22は、値が予め設定した目標値になるように各ゲイン調整手段31によってゲイン(Dout1~4)を決定し、ゲインを一斉に切り替えて(ステップS18)、各チャンネルのゲインを調整したと判定した後、オートゲインコントロール(AGC)を終了する(ステップS19)。
【0078】
ここで、図7はゲイン調整装置20の構成の変形例を示すブロック図である。図7に示すように、ゲイン調整装置20が、レベル検出手段35を各ゲイン調整手段31に備えるようにしてもよい。この場合、レベル検出手段35は、増幅手段41による増幅前の画像信号のレベルを検出する。
【0079】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
2 光源
9 光電変換素子
20 ゲイン調整装置
21 撮像装置
22 信号処理装置
31 ゲイン調整手段
32 AD変換手段
44 ゲイン反映制御手段
100 画像形成装置
101 画像読取装置
103 画像形成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【文献】特許第3743401号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7