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特許7596755非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置、およびこれを用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法
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  • 特許-非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置、およびこれを用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法 図1
  • 特許-非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置、およびこれを用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法 図2
  • 特許-非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置、およびこれを用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置、およびこれを用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/42 20230101AFI20241203BHJP
【FI】
C02F1/42 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020200525
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088212
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-011120(JP,A)
【文献】特公昭46-004721(JP,B1)
【文献】特開2009-061377(JP,A)
【文献】特開2011-110449(JP,A)
【文献】特開2011-072924(JP,A)
【文献】特開2004-141805(JP,A)
【文献】中国実用新案第202054644(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/42
B01J 39/00-49/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超純水製造システムを構成する非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置であって、
イオン交換樹脂及び超純水を内包した耐圧容器と、
前記非再生式イオン交換装置と耐圧容器とを接続する管状の移送部材と、
前記耐圧容器に樹脂移送媒体を供給する供給機構と
を備える、非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置。
【請求項2】
前記耐圧容器が0.02MPa(ゲージ圧)以上の耐圧性を有する、請求項1に記載の非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置。
【請求項3】
前記非再生式イオン交換装置により構成される超純水製造システムが、50nm以上の微粒子数が10個/mL以下もしくは超純水中の金属濃度が10ng/L以下の超純水を製造可能である、請求項1又は2に記載の非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置。
【請求項4】
超純水製造システムを構成する非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の移送・充填方法であって、
イオン交換樹脂及び超純水を内包した耐圧容器と非再生式イオン交換装置とを管状の移送部材で接続し、
前記耐圧容器に樹脂移送媒体を供給することで内包されたイオン交換樹脂を耐圧容器から圧送して移送部材を経由して非再生式イオン交換装置に充填する、イオン交換樹脂の移送・充填方法。
【請求項5】
前記樹脂移送媒体によりイオン交換樹脂を圧送する圧力が0.05MPa以上である、請求項4に記載のイオン交換樹脂の移送・充填方法。
【請求項6】
前記非再生式イオン交換装置により構成される超純水製造システムが、50nm以上の微粒子数が10個/mL以下もしくは超純水中の金属濃度が10ng/L以下の超純水を製造可能である、請求項4又は5に記載の非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の移送・充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置、およびこれを用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に電子分野で使用される超純水は、前処理装置、一次純水製造装置、二次純水製造装置(サブシステム)から構成される超純水製造システムで原水を処理することにより製造される。例えば、図3に示すようにサブシステム21は、一次純水W1を貯留するサブタンク22と、このサブタンク22から一次純水W1を送給する送液ポンプ23と、一次純水W1の熱を回収する熱交換器24と、一次純水W1中の有機物を分解する紫外線酸化装置25と、膜式脱気装置26と、非再生式イオン交換装置27と、限外濾過(UF)膜28とから構成される。そして、このようなサブシステム21で製造された二次純水(超純水)W2は、供給路29からユースポイント30に供給され、使用されなかった超純水W2は、返送路31からサブタンク22に還流する。このサブシステム21で使用される非再生式イオン交換装置27には寿命があり、定期的な交換やメンテナンスが必要となる。
【0003】
この非再生式イオン交換装置27は、使用済のイオン交換樹脂を取り出して、新品もしくは再生処理済のイオン交換樹脂を充填することでイオン交換樹脂を交換することが可能である。このイオン交換樹脂の充填方法の一つとして、ロータリポンプで投入する方法がある。しかし、この方法は樹脂の破砕や汚染があり、樹脂投入後通水した際の水質が悪くなるため、超純水製造装置のサブシステムの非再生式イオン交換装置25には適しない、という課題がある。このため、特に高純度の水質を要求される顧客においては、イオン交換装置25へのイオン交換樹脂の充填時には頂部からイオン交換樹脂を直接人力で投入していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非再生式イオン交換装置27にイオン交換樹脂を直接人力で投入する方法では、交換作業に非常に手間がかかる上に過大なM/Hも要する、という問題点がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、超純水製造装置を構成するイオン交換装置のメンテナンスにイオン交換樹脂を投入する際に、効率良く非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂を充填することの可能な充填装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このイオン交換樹脂の充填装置を用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に鑑み本発明は第一に、超純水製造システムを構成する非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置であって、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器と、前記非再生式イオン交換装置と耐圧容器とを接続する管状の移送部材と、前記耐圧容器に樹脂移送媒体を供給する供給機構とを備える、非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置を提供する(発明1)。
【0007】
かかる発明(発明1)によれば、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器と非再生式イオン交換装置とを管状の移送部材で接続し、この耐圧容器に樹脂移送媒体を供給することで内包されたイオン交換樹脂を耐圧容器から圧送して移送部材を経由して非再生式イオン交換装置に充填することができる。
【0008】
上記発明(発明1)においては、前記耐圧容器が0.02MPa(ゲージ圧)以上の耐圧性を有することが好ましい(発明2)。
【0009】
かかる発明(発明2)によれば、樹脂移送媒体を用いて十分な圧力でイオン交換樹脂を移送するのに耐圧容器が十分な耐性を発揮することができる。
【0010】
上記発明(発明1,2)においては、前記非再生式イオン交換装置により構成される超純水製造システムが、50nm以上の微粒子数が10個/mL以下もしくは超純水中の金属濃度が10ng/L以下の超純水を製造可能であることが好ましい(発明3)。
【0011】
かかる発明(発明3)によれば、イオン交換樹脂の交換後のイオン交換装置の立ち上げ時の水質が良化するので、短時間で上記水質の超純水を製造することが可能となる。
【0012】
また、本発明は第二に、超純水製造システムを構成する非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の移送・充填方法であって、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器と非再生式イオン交換装置とを管状の移送部材で接続し、前記耐圧容器に樹脂移送媒体を供給することで内包されたイオン交換樹脂を耐圧容器から圧送して移送部材を経由して非再生式イオン交換装置に充填する、イオン交換樹脂の移送・充填方法を提供する(発明4)。
【0013】
かかる発明(発明4)によれば、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器と非再生式イオン交換装置とを管状の移送部材で接続し、この耐圧容器に樹脂移送媒体を供給することで内包されたイオン交換樹脂を耐圧容器から圧送して移送部材を経由して圧送することで、イオン交換樹脂にかかる応力が平準化するので、個々のイオン交換樹脂を破損させることなく、非再生式イオン交換装置にイオン交換樹脂を移送・充填することができる。
【0014】
上記発明(発明4)においては、前記樹脂移送媒体によりイオン交換樹脂を圧送する圧力が0.05MPa以上であることが好ましい(発明5)。
【0015】
かかる発明(発明5)によれば、耐圧容器に内包したイオン交換樹脂を円滑かつ迅速にイオン交換装置に移送・充填することができる。
【0016】
上記発明(発明4,5)においては、前記非再生式イオン交換装置により構成される超純水製造システムが、50nm以上の微粒子数が10個/mL以下もしくは超純水中の金属濃度が10ng/L以下の超純水を製造可能であることが好ましい(発明6)。
【0017】
かかる発明(発明6)によれば、発明4,5によりイオン交換樹脂の交換後のイオン交換装置の立ち上げ時の水質が良化するので、短時間で上記水質の超純水を製造することが可能となる。特に樹脂移送媒体として、純水や超純水を用いることで、イオン交換樹脂のコンタミを忌避することができるので、超純水製造システムを短時間で立ち上げることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置によれば、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器と非再生式イオン交換装置とを管状の移送部材で接続し、この耐圧容器に樹脂移送媒体を供給することで内包されたイオン交換樹脂を、移送部材を経由して圧送することで、個々のイオン交換樹脂を破損させることなく、非再生式イオン交換装置に充填することができる。これによりイオン交換樹脂の交換後のイオン交換装置の立ち上げ時の水質が良化するので、短時間で高純度の超純水を製造することが可能となる。また、イオン交換装置にイオン交換樹脂を人手により投入する場合と比較して、作業時間を削減し、人的労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態による非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置を示す概略図である。
図2】従来の非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置を示す概略図である。
図3】本発明の非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置を適用可能な超純水製造装置のサブシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置の一実施形態について添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0021】
〔イオン交換樹脂の充填装置〕
図1は、本発明の一実施形態による非再生式イオン交換装置へのイオン交換樹脂の充填装置を示しており、図1においてイオン交換樹脂の充填装置1は、イオン交換装置2と、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器3と、これらイオン交換装置2と耐圧容器3とを接続する移送部材としての供給チューブ4と、耐圧容器3に接続した押出管5に設けられた樹脂移送媒体としての超純水Wを供給する供給機構たる押圧ポンプ6とからなる。
【0022】
<イオン交換装置>
本実施形態において、イオン交換装置2は、超純水製造システムのサブシステム(二次純水装置)を構成する非再生式イオン交換装置である。この非再生式イオン交換装置は、一般にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混合した状態で充填されており、所定時間あるいは所定量の被処理水を通水したら、非再生式イオン交換装置2の使用済のイオン交換樹脂を新品もしくは再生処理済のイオン交換樹脂と交換することで再利用することができる。この際、イオン交換装置2内に充填された使用済のイオン交換樹脂を取り出して、新規あるいは再生済のイオン交換樹脂を充填する作業が必要となる。なお、本実施形態のイオン交換装置2を好適に適用可能な超純水製造システムは、微粒子が10個/mL以下もしくは超純水中の金属濃度が10ng/L以下の超純水を製造可能であることが好ましい
【0023】
<耐圧容器>
本実施形態において、耐圧容器3としては、特に制限はなく、FRPなどの強化プラスチック製、ステンレス製などのものを用いることができる。この耐圧容器3は、樹脂移送媒体により、内包したイオン交換樹脂を樹脂移送媒体により十分な圧力で押し出すことができるように0.02MPa(ゲージ圧)以上の耐圧性を有することが好ましい。
【0024】
<樹脂移送媒体>
本実施形態において、樹脂移送媒体としては超純水Wを用いる。ここで、超純水Wとしては、例えば、抵抗率:18.1MΩ・cm以上、微粒子:粒径50nm以上で1000個/L以下、生菌:1個/L以下、TOC(Total Organic Carbon):1μg/L以下、全シリコン:0.1μg/L以下、金属類:1ng/L以下、イオン類:10ng/L以下、過酸化水素;30μg/L以下、水温:25±2℃のものが好適である。なお、樹脂移送媒体としては、超純水Wに限らず、Nなどの不活性ガスや純水を用いることができる。また、場合によっては、工水や水道水などの汎用的な水や空気などを用いてもよい。
【0025】
〔イオン交換樹脂の移送・充填方法〕
次に前述したような構成を有する本実施形態のイオン交換樹脂の充填装置1を用いたイオン交換樹脂の移送・充填方法について説明する。
【0026】
まず、イオン交換装置2内に充填されている使用済のイオン交換樹脂を取り出しておく。一方、耐圧容器3内には、あらかじめイオン交換装置2に充填される量で、かつアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが所定の比率の新規もしくは再生済のイオン交換樹脂を内包しておく。このとき本実施形態においては、耐圧容器3内にイオン交換樹脂とともに超純水Wを充填しておくことが好ましい。耐圧容器3内に超純水Wを充填しておくことで、内包させたイオン交換樹脂の劣化やコンタミを防止することができる。
【0027】
そして、イオン交換装置2と耐圧容器3とを供給チューブ4で接続し、続いて耐圧容器3に樹脂移送媒体としての超純水Wを押圧ポンプ6により供給することで、耐圧容器3内に圧力をかけ、内包したイオン交換樹脂を押し出すことで、供給チューブ4を経由してイオン交換装置2にイオン交換樹脂を移送・充填することができる。ここで、超純水Wなどの樹脂移送媒体の供給によるイオン交換樹脂を圧送する圧力は0.05MPa以上とすることが好ましい。このような圧力とすることにより、イオン交換樹脂を円滑かつ迅速にイオン交換装置2に移送・充填することができる。なお、超純水Wなどの樹脂移送媒体の供給によるイオン交換樹脂を圧送する圧力が高過ぎるとは、イオン交換樹脂を破損する場合があるため、圧送する圧力を適宜調節すればよい。
【0028】
以上、本発明について添付図面を参照にして前記実施形態に基づき説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。例えば、樹脂移送媒体としてとしては、超純水Wに限らず、耐圧容器3に供給することでイオン交換樹脂を移送できれば気体、液体にかかわらず種々の流動体を適用することができる。また、耐圧容器3を複数用意してアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂をそれぞれ別個に充填して、別々に移送・充填するようにしてもよい。さらに、供給チューブ4は可撓性の管状部材であっても剛性の管状部材であってもよい。
【0029】
実施例
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
[比較例1]
図2に示すようにイオン交換装置2と、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器3と、これらイオン交換装置2と耐圧容器3を接続する供給チューブ4とを有し、供給チューブ4にロータリポンプ11を設けたイオン交換樹脂の充填装置10を用意した。なお、イオン交換装置2に移送・充填するイオン交換樹脂は100L、すなわち耐圧容器3に内包した新品のイオン交換を100Lとした。このイオン交換樹脂の充填装置10を用いて、耐圧容器3内の100Lのイオン交換樹脂をイオン交換装置2にロータリポンプ11を用いて移送・充填したところ15分を要した。
【0031】
次に、このイオン交換樹脂を充填したイオン交換装置を図3に示すようなサブシステム21にイオン交換装置27として使用し、これを備えた超純水製造システムで超純水を製造したところ、製造初期における超純水Wは50nm以上の微粒子数が約100個/mLであり、金属濃度は約15ng/Lであった。なお、この超純水製造システムは、定常運転時において、50nm以上の微粒子数が10個/mL以下、及び超純水中の金属濃度が10ng/L以下の超純水を製造可能な能力を有する。このように微粒子数及び金属濃度が悪化した理由は、イオン交換樹脂の移送する際にロータリポンプ11を通過する際に、破損が生じたためであると推測される。
【0032】
[比較例2]
比較例1において、イオン交換装置2及び耐圧容器3を大型化し、イオン交換装置2に移送・充填するイオン交換樹脂は1000L、すなわち耐圧容器3に内包した新品のイオン交換を1000Lとした以外は同様にして、ロータリポンプ11を用いてイオン交換樹脂を移送・充填したところ60分を要した。
【0033】
次に、このイオン交換樹脂を充填したイオン交換装置を図3に示すようなサブシステム21にイオン交換装置27として使用し、これを備えた超純水製造システムで超純水を製造したところ、製造初期における超純水Wは50nm以上の微粒子数が約100個/mLであり、金属濃度は約15ng/Lであった。
【0034】
[比較例3]
比較例1において、ロータリポンプ11を用いずに作業員が100Lの新品のイオン交換樹脂をイオン交換装置2の投入口から投入して充填したところ、充填時間は45分であった。次に、このイオン交換樹脂を充填したイオン交換装置を図3に示すようなサブシステム21にイオン交換装置27として使用し、これを備えた超純水製造システムで超純水を製造したところ、製造初期における超純水Wは50nm以上の微粒子数が10個/mL以下であり、金属濃度は10ng/L以下で、十分な清浄度であった。
【0035】
[比較例4]
比較例2において、ロータリポンプ11を用いずに作業員が1000Lの新品のイオン交換樹脂をイオン交換装置2の投入口から投入して充填したところ、充填時間は180分であった。次に、このイオン交換樹脂を充填したイオン交換装置を図3に示すようなサブシステム21にイオン交換装置27として使用し、これを備えた超純水製造システムで超純水を製造したところ、製造初期における超純水Wは50nm以上の微粒子数が10個/mL以下であり、金属濃度は10ng/L以下で、十分な清浄度であった。
【0036】
[実施例1]
図1に示すようにイオン交換装置2と、イオン交換樹脂を内包した耐圧容器3と、イオン交換装置2と耐圧容器3を接続する供給チューブ4とを有し、耐圧容器3に超純水Wを供給する押圧ポンプ6を押出管5を介して接続してイオン交換樹脂の充填装置1を用意した。なお、イオン交換装置2に移送・充填するイオン交換樹脂は100L、すなわち耐圧容器3に内包した新品のイオン交換を100Lとした。
【0037】
このイオン交換樹脂の充填装置1を用いて、耐圧容器3に0.1MPaの圧力をかけて超純水Wを供給し、耐圧容器3からイオン交換樹脂を押し出すことでイオン交換装置2に移送・充填したところ15分を要した。
【0038】
次に、このイオン交換樹脂を充填したイオン交換装置を図3に示すようなサブシステム21にイオン交換装置27として使用し、これを備えた超純水製造システムで超純水を製造したところ、製造初期における超純水Wは50nm以上の微粒子数が10個/mL以下であり、金属濃度は10ng/L以下で、十分な清浄度であった。
【0039】
[実施例2]
実施例1において、イオン交換装置2及び耐圧容器3を大型化し、イオン交換装置2に移送・充填するイオン交換樹脂は1000L、すなわち耐圧容器3に内包した新品のイオン交換を1000Lとした以外は同様にして、耐圧容器3に0.1MPaの圧力をかけて超純水Wを供給し、耐圧容器3からイオン交換樹脂を押し出すことでイオン交換装置2に移送・充填したところ60分を要した。
【0040】
次に、このイオン交換樹脂を充填したイオン交換装置を図3に示すようなサブシステム21にイオン交換装置27として使用し、これを備えた超純水製造システムで超純水を製造したところ、製造初期における超純水Wは50nm以上の微粒子数が10個/mL以下であり、金属濃度は10ng/L以下で、十分な清浄度であった。
【符号の説明】
【0041】
1 イオン交換樹脂の充填装置
2 イオン交換装置
3 耐圧容器
4 供給チューブ(移送部材)
5 押出管
6 押圧ポンプ(供給機構)
W 超純水(樹脂移送媒体)
図1
図2
図3