(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、データ表示方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
H04N1/00 C
(21)【出願番号】P 2021002121
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 裕太郎
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-259021(JP,A)
【文献】特開2017-152915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコードの各項目に格納されている宛先情報に基づいてデータを送信する情報処理装置であって、
アプリケーション又は機能と、レコード内の項目とを対応付ける着目情報を記憶した着目情報記憶部と、
前記着目情報記憶部において、前記情報処理装置で起動されたアプリケーション又は機能
に対応付けられている前記着目情報と同じ項目を、レコード内の各項目か
ら決定する情報決定部と、
前記情報決定部が決定した項目に格納されている前記宛先情報が同じ前記レコードを1つのレコードに集約する集約部と、
前記集約部が集約した前記レコードに含まれる宛先を表示する表示制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ネットワークを介して通信できる他の情報処理装置からレコードに格納された宛先情報を受信する通信部を有し、
前記集約部は、前記通信部が受信したレコードと前記情報処理装置が保持するレコードのうち、前記情報決定部が決定した前記項目に格納されている前記宛先情報が同じレコードを1つのレコードに集約することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ファクシミリを送信する前記アプリケーションが起動され、インターネットファクスの機能が使用される場合、
前記情報決定部は、
前記着目情報記憶部に基づいて、レコード内の各項目からメールアドレスを格納する前記項目を決定し、
前記集約部は、前記メールアドレスが同じ前記レコードを1つのレコードに集約することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ファクシミリを送信する前記アプリケーションが起動され、電話回線ファクスの機能が使用される場合、
前記情報決定部は、
前記着目情報記憶部に基づいて、レコード内の各項目からファクシミリ番号を格納する前記項目を決定し、
前記集約部は、前記ファクシミリ番号が同じ前記レコードを1つのレコードに集約することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
スキャナを使用する前記アプリケーションが起動され、Scan To E-mailの機能が使用される場合、
前記情報決定部は、
前記着目情報記憶部に基づいて、レコード内の各項目からメールアドレスを格納する前記項目を決定し、
前記集約部は、前記メールアドレスが同じ前記レコードを1つのレコードに集約することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
スキャナを使用する前記アプリケーションが起動され、Scan To Folderの機能が使用される場合、
前記情報決定部は、
前記着目情報記憶部に基づいて、レコード内の各項目からフォルダ名を格納する前記項目を決定し、
前記集約部は、前記フォルダ名が同じ前記レコードを1つのレコードに集約することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部が表示した宛先の選択を受け付ける操作受付部、を有し、
前記操作受付部が受け付けた前記宛先に、前記アプリケーションが生成した前記データを1回のみ送信する、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
アプリケーション又は機能と、レコード内の項目とを対応付ける着目情報を記憶した着目情報記憶部を有し、レコードの各項目に格納されている宛先情報に基づいてデータを送信する情報処理装置を、
前記着目情報記憶部において、前記情報処理装置で起動されたアプリケーション又は機能
に対応付けられている前記着目情報と同じ項目を、レコード内の各項目か
ら決定する情報決定部と、
前記情報決定部が決定した項目に格納されている前記宛先情報が同じ前記レコードを1つのレコードに集約する集約部と、
前記集約部が集約した前記レコードに含まれる宛先を表示する表示制御部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
レコードの各項目に格納されている宛先情報に基づいてデータを送信する情報処理装置が行うデータ表示方法であって、
前記情報処理装置は、アプリケーション又は機能と、レコード内の項目とを対応付ける着目情報を記憶した着目情報記憶部を有し、
情報決定部が、
前記着目情報記憶部において、前記情報処理装置で起動されたアプリケーション又は機能
に対応付けられている前記着目情報と同じ項目を、レコード内の各項目か
ら決定するステップと、
集約部が、前記情報決定部が決定した項目に格納されている前記宛先情報が同じ前記レコードを1つのレコードに集約するステップと、
表示制御部が、前記集約部が集約した前記レコードに含まれる宛先を表示するステップと、
を有するデータ表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、及び、データ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの情報処理装置は宛先にデータを送信する機能を有するため、アドレス帳を参照することができる。ユーザーはアドレス帳を使用して、ファクシミリで送信する画像データやスキャンで読み取った画像データ等を所望の宛先に送信できる。
【0003】
元のアドレス帳を別のアドレス帳へ登録する技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、アドレス情報提供サーバーが有するアドレス情報に、登録元サーバー内の電話番号やメールアドレスを付加するシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、アドレス帳に重複して登録されている宛先をそれぞれ表示するという問題があった。補足すると、ユーザーがA社のaさんを想定してアドレス帳に宛先情報を登録する場合、A社のファクシミリ番号とaさんを対応付けたレコードを登録する場合がある。同じユーザー又は別のユーザーがA社のbさんを想定してアドレス帳に宛先情報を登録する場合、A社のファクシミリ番号とbさんを対応付けたレコードを登録する場合がある。このように、1つのアドレス帳に、同じファクシミリ番号(宛先情報)を有するが氏名が異なる複数のレコードが登録される場合がある。
【0005】
情報処理装置で動作するファクシミリアプリは、ファクシミリ番号が同じ複数の氏名がアドレス帳に存在しても、各氏名をそれぞれ別々に表示する。同様に、情報処理装置で動作するスキャナアプリは、メールアドレスが同じ複数の氏名が存在しても、各氏名をそれぞれ別々に表示する。このように、同じファクシミリ番号やメールアドレスなどが1つ又は複数のアドレス帳が有するレコードの項目に登録されている場合、情報処理装置は各レコードを表示してしまう。
【0006】
この場合、ユーザーがA社にファクシミリを送信する場合、aさん、bさんのファクシミリ番号が異なると誤解して、ユーザーは該当する社員を都度、選択する必要がある。また、情報処理装置の制御によっては、ファクシミリ番号が同じでも1回ごとの送信操作に応じて別々にファクシミリを送信するため、コスト増となる場合があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、アドレス帳に重複して登録されている宛先をそれぞれ表示することを低減できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、レコードの各項目に格納されている宛先情報に基づいてデータを送信する情報処理装置であって、アプリケーション又は機能と、レコード内の項目とを対応付ける着目情報を記憶した着目情報記憶部と、前記着目情報記憶部において、前記情報処理装置で起動されたアプリケーション又は機能に対応付けられている前記着目情報と同じ項目を、レコード内の各項目から決定する情報決定部と、前記情報決定部が決定した項目に格納されている前記宛先情報が同じ前記レコードを1つのレコードに集約する集約部と、 前記集約部が集約した前記レコードに含まれる宛先を表示する表示制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アドレス帳に重複して登録されている宛先をそれぞれ表示することを低減できる情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】アドレス帳の表示方法の概略を説明する図である。
【
図2】電子機器システムの全体構成図の一例である。
【
図3】サーバーのハードウェア構成図の一例である。
【
図4】複合機又はファクシミリ装置のハードウェア構成図の一例である。
【
図5】情報処理装置及びサーバーの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
【
図6】情報処理装置が複数のアドレス帳を統合して1つのアドレス帳を表示するフローチャート図の一例である。
【
図7】複数のアドレス帳の統合例を説明する図の一例である。
【
図8】情報処理装置が選択されたアプリに応じて表示する画面の遷移図の一例である。
【
図10】ユーザーがファクシミリアプリを選択し、かつ、電話回線ファクスの機能を選択した場合に、情報処理装置が表示するファクシミリアプリかつ電話回線ファクス画面の一例を示す図である。
【
図11】ユーザーがファクシミリアプリを選択し、かつ、インターネットファクスの機能を選択した場合に、情報処理装置が表示するファクシミリアプリかつインターネットファクス画面の一例を示す図である。
【
図12】ユーザーがスキャナアプリを選択し、かつ、Scan To E-mailの機能を選択した場合に、情報処理装置が表示するスキャナアプリかつメール画面の一例を示す図である。
【
図13】ユーザーがスキャナアプリを選択し、かつ、Scan To Folderの機能を選択した場合に、情報処理装置が表示するスキャナアプリかつフォルダ画面の一例を示す図である。
【
図14】情報処理装置が画像データを送信する手順を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、電子機器システムと電子機器システムが行うデータ表示方法について説明する。
【0012】
<本実施形態におけるアドレス帳の表示方法の概略>
図1は、本実施形態におけるアドレス帳の表示方法の概略を説明する図である。本実施形態の情報処理装置30(例えば複合機)は、ユーザーが使用するアプリケーション(以下、アプリという)又はアプリ内の機能に応じて、キーを決定し、キーの値が等しいレコードを1つのレコードに集約して、アドレス帳を表示する。キーとは、レコードが有する複数の項目のうち集約に使用される項目をいう。キーの値は宛先情報であり、本実施形態では説明の便宜上、宛先情報をキーと表現する場合がある。
【0013】
図1では、ネットワーク上のサーバー10Aがアドレス帳Aを有し、ネットワーク上のサーバー10Bがアドレス帳Bを有している。また、情報処理装置30はアドレス帳Cを有している。アドレス帳A~アドレス帳Cはそれぞれ各レコードに、氏名、ファクシミリ番号、及び、メールアドレスを有している。氏名、ファクシミリ番号、及び、メールアドレスはそれぞれが宛先情報であり、氏名、ファクシミリ番号、及び、メールアドレスの1つ以上がキーとなりうる。アドレス帳A~アドレス帳Cがそれぞれ有する宛先情報は全て同じである必要はなく、アドレス帳A~アドレス帳Cにおいて1つ以上の宛先情報が重複していればよい。
【0014】
(1) ユーザーは操作パネルを操作することでアプリを起動する。
図1では情報処理装置30がファクシミリアプリ291とスキャナアプリ292を有している。ファクシミリアプリ291は電子メールを使用してファクシミリを送信する場合と(インターネットファクス)、ファクシミリ番号を使用してファクシミリを送信する場合がある(電話回線ファクス)。スキャナアプリ292は電子メールを使用してスキャンした画像データを送信する場合と(この機能をScan To E-mailという)、フォルダ名を使用して画像データを送信する場合がある(この機能をScan To Folderという)。
【0015】
(2) 情報処理装置30はサーバー10Aとサーバー10Bに接続し、アドレス帳A,Bを取得する。また、情報処理装置30は自機が有するアドレス帳C(ローカルのアドレス帳)を取得する。
【0016】
(3) 起動されたアプリは、複数のアドレス帳を統合する。アプリはこの統合の際、アプリ又はアプリ内で使用される機能に応じてキーを決定し、キーとなった宛先情報が同じレコードを1つのレコードに集約して表示する。例えば、ファクシミリアプリが電話回線ファクスを使用する場合、キーをファクシミリ番号に決定する。また、スキャナアプリがScan To E-mailを使用する場合、キーをメールアドレスに決定する。
【0017】
(4) 起動されたアプリは、決定したキーとなった宛先情報が同じレコードを1つのレコードに集約して表示する。
【0018】
図1に示すように、電話回線ファクスを使用するファクシミリアプリは、キーであるファクシミリ番号が同じ、氏名A、E、Hのレコードを1つのレコードに集約して、氏名A、E、Hにファクシミリ番号を対応付けて表示する。氏名C、G、氏名F、Jについても同様である。
【0019】
一方、Scan To E-mailを使用するスキャナアプリはキーであるメールアドレスが同じ、氏名A、E、Gのレコードを1つのレコードに集約して、氏名A、E、Gにメールアドレスを対応付けて表示する。氏名B、Iについても同様である。
【0020】
このように、本実施形態の情報処理装置30は、アプリ又はアプリ内の機能に応じて定まるキーに基づいてレコードを集約して表示することができる。アドレス帳に重複して登録されている宛先を集約して表示するので、ユーザーは1つのレコードを選択すればよい。また、アドレス帳に表示されるレコードの数が少なくなるので、ユーザーが宛先を選択する場合の操作性を向上できる。重複した宛先情報が集約して表示されるので、操作パネルが表示する宛先を最小限に抑えることができる。アドレス帳が同じユーザーの宛先情報を表示するため、アドレス帳の最下部を表示させるまでにユーザーがスクロールする手間を省ける。
【0021】
<用語について>
複数のデータを一つにまとめることを統合するという。情報処理では統合をマージという。
【0022】
集約とは集めてまとめることをいう。本実施形態では、集約は、アドレス帳に含まれる複数のレコードを1つのレコードにまとめることである。
【0023】
レコードとはいくつかの値の並びとして構成されるデータをいう。1一つのレコードの中には、複数の項目が存在する。
【0024】
アドレス帳とは、グループに所属する人間の連絡先を項目ごとに一覧にしたテーブル状の情報である。本実施形態では、項目の1つ以上が宛先情報である。宛先情報には、氏名、ファクシミリ番号、メールアドレス、電話番号、及び、SNSのID、などがある。
【0025】
宛先とは、宛先情報で特定されるユーザーやデータの送信先をいう。
【0026】
アプリケーションとは、ユーザーがサービスを受けるために情報処理装置で実行されるプログラムである。アプリケーションには、Webブラウザとサーバー側のプログラムが協調して実行するWebアプリと、サーバーを必須とせずに(通信してもよい)情報処理装置が実行するネイティブアプリがある。Webアプリの場合、アプリケーションは一連の処理を順番に実行するワークフローアプリの場合がある。
【0027】
機能とは、アプリケーションが提供するサービスである。1つのアプリケーションが複数のサービスを提供する場合がある。
【0028】
アプリ又は機能の起動とは、アプリ又は機能をユーザーが利用できる状態になることをいう。画面が1つのアプリ又は機能により専有される場合、画面に表示されているアプリ又は機能が、起動されたアプリ又は機能である。
【0029】
<システム構成例>
図2は、電子機器システム100の全体構成図の一例である。電子機器システム100は、公衆回線Wを介して通信可能に接続された、複合機30a、ファクシミリ装置30b、及び、PC30c(Personal Computer)を有している。以下では、複合機30a、ファクシミリ装置30b、及び、PC30cを区別せずに情報処理装置30という。
【0030】
公衆回線Wは電話回線であり、送信元のファクシミリ装置と受信側の情報処理装置30が回線を占有して画像データ(ファクス文書)を送信する回線である。送信元及び宛先の情報処理装置30はファクシミリ番号で指定される。したがって、ファクシミリ番号が宛先情報である。
【0031】
情報処理装置30がファクシミリを送受信するには、公衆回線Wを使用するほか、インターネット又はIP-FAXを使用する方法がある。インターネットを介して電子メールの添付ファイルでファクシミリを送受信する方法をインターネットファクスという。したがって、インターネットファクスでは、送信元が電子メールの仕組みを利用して画像データを送信し、宛先の情報処理装置30が電子メールの仕組みを利用して画像データを受信する。送信元及び宛先はメールアドレスで指定される。したがって、メールアドレスが宛先情報である。
【0032】
IP-FAXはインターネットを使用する点はインターネットファクスと同じだが、通信の接続にSIP(Session Initiation Protocol)とH.323というプロトコルを使用する。SIPは、2つ以上の拠点で、音声、映像、又は、テキストメッセージの交換などを行うためにセッションの生成・変更・切断を行うプロトコルである。H.323は、電話における呼制御に関するプロトコルである。H.323は送信元と宛先のネットワーク上で、通信路の確保、切断等の処理を行う。なお、プロトコルとしてはT.37が使用されてもよい。
【0033】
IP-FAXはインターネットを使用するため、宛先及び送信元がSIP URIで指定される。SIPでは種々のURIが指定可能であり、IPアドレス若しくはホスト名、SIPユーザー名、ファクス番号等がSIP URIとなり得る。これらは、SIPのRTP(Real-time Transport Protocol)パケットのヘッダーに記載されている。したがって、SIP URIが宛先情報である。
【0034】
複合機30aとファクシミリ装置30bはスキャナで読み取られた画像データを送信する機能を有していてよい。複合機30aとファクシミリ装置30bが画像データを送信する場合とは、Scan To E-mail又はScan To Folderなどのアプリが動作する場合である。Scan To E-mailの場合、宛先情報はメールアドレスである。Scan To Folderの場合、宛先情報はユーザーが使用するPCのフォルダ名(ホスト名、IPアドレスを含んでいてよい)である。フォルダ名はURLでもよい。フォルダ名はファイルパスとも呼ばれる。
【0035】
複合機30aはファクシミリの送受信機能、原稿のスキャン機能等を有する。この他、複合機30aは、例えば、プリンタ機能を有していてよい。このように、複数の機能を有する装置を複合機という。なお、複合機30aは、MFP(Multi-function Peripheral/Product/Printer)と呼ばれる場合がある。この他、複合機30aは画像形成装置、画像処理装置、プリンタ、印刷装置、スキャナ、又は、ファクシミリ装置と呼ばれてもよい。
【0036】
ファクシミリ装置30bはファクシミリの送受信機能を有する情報処理装置30である。ファクシミリ装置30bは必然的に、受信したファクシミリを印刷する機能、送信される原稿をスキャナで読み取る機能を有している。
【0037】
PC30cはWindows(登録商標)等のOSを搭載した情報処理装置である。PC30cはインターネットに接続することができるためインターネットファクスやIP-FAXを送信及び受信することができる。一方、公衆回線Wを介するファクシミリをPC30cが送受信するには、ファクシミリモデム等の部品が必要になる。また、PC30cは電子メールを送受信する機能を有する。
【0038】
PC30cは、タブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、カーナビ、電子黒板、又は、テレビ会議端末等、ネットワークNに接続する機能を有していればよい。
【0039】
また、
図2に示すように、電子機器システム100は、ネットワークNに接続されたサーバー10A、10Bを有している。ネットワークNには、複合機30a、ファクシミリ装置30b及びPC30cが接続されている。本実施形態において、複合機30a、ファクシミリ装置30b及びPC30cはアドレス帳を共有するため、複合機30a、ファクシミリ装置30b及びPC30cは同じ企業や組織内の情報処理装置30であることが想定される。したがって、ネットワークNは社内LAN、事業所間を結ぶ広域LAN、WAN、又は、VPN(Virtual Private Network)などでもよいし、インターネットでもよい。
【0040】
サーバー10A、10Bは、主にアドレス帳の保存場所として使用される。したがって、サーバー10A、10Bは単にネットワーク上のNAS(Network Attached Storage)でもよい。また、サーバー10A、10Bはサーバーと呼ばれてもよい。サーバー10A、10Bは例えばLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバーである。従来から、複合機30aはローカルのアドレス帳を有しているが、企業がLDAPサーバー等でアドレス帳を管理する場合があり、複合機30a、及び、サーバー10A、10B等がそれぞれアドレス帳を有する場合が生じうる。以下では、サーバー10A、サーバー10Bを区別せずにサーバー10という場合がある。
【0041】
なお、サーバーとは、クライアントからの要求に対して情報や処理結果を提供する機能を果たすコンピュータやソフトウェアである。サーバー10A、10Bはインターネット上に存在してもよいし、オンプレミスに存在してもよい。インターネット上に存在する場合はクラウドコンピューティングに対応しているとよい。クラウドとは、特定のハードウェア資源を意図しない場合に用いられる用語である。
【0042】
<ハードウェア構成例>
<<サーバー10A、10Bのハードウェア構成例>>
図3は、サーバー10A、10Bのハードウェア構成図である。
図3に示されているように、サーバー10A、10Bは、コンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、バスライン510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0043】
これらのうち、CPU501は、サーバー10A、10B全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、
図3に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0044】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力に使用される複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RW513は、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0045】
なお、PC30cのハードウェアブロック図は
図3と同様か、異なるとしても本実施形態の説明上、支障はないものとする。
【0046】
<<複合機、ファクシミリ装置のハードウェア構成例>>
図4は、複合機30a又はファクシミリ装置30bのハードウェア構成図である。
図4に示されているように、複合機30a又はファクシミリ装置30bは、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0047】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0048】
これらのうち、CPU901は、複合機30a又はファクシミリ装置の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PC30I(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0049】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0050】
SB904は、NB903とPC30Iデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PC30Iバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PC30Iターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPC30Iバス922を介したデータ転送を行うPC30Iユニットとからなる。なお、ASIC906は、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースと接続されてよい。
【0051】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0052】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路のアンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0053】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931及びプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させる。操作パネル940は、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。また、操作パネル940は、記憶媒体を装着する記憶媒体装着部940cを備えている。コントローラ910は、複合機30a又はファクシミリ装置30b全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931又はプリンタ部932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0054】
なお、複合機30a又はファクシミリ装置30bは、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。複合機30a又はファクシミリ装置は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0055】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PC30Iバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0056】
<機能について>
<<情報処理装置>>
図5は、情報処理装置30及びサーバー10A、10Bの機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。情報処理装置30は、通信部31、表示制御部32、操作受付部33、出力部34、ファクシミリ制御部35、読取部36、情報決定部37、及び、集約部38を有している。情報処理装置30が有するこれらの機能は、
図4に示した複合機30a又はファクシミリ装置30bのCPU901がHD909等に記憶されたプログラムを実行し、複合機30a又はファクシミリ装置30bのハードウェアを制御することにより実現される機能又は手段である。あるいは、情報処理装置30が有するこれらの機能は、
図3に示したPC30のCPU501がHD504等に記憶されたプログラムを実行し、PC30cのハードウェアを制御することにより実現される機能又は手段である。
【0057】
通信部31はネットワークNを介してサーバー10A、10Bと通信する。本実施形態では、通信部31は、アドレス帳A、Bをサーバー10A、10Bに要求し、アドレス帳A、Bを受信する。また、インターネットファクス、Scan To E-mail又はScan To Folderなど、ネットワークNを使用するアプリが動作する場合、通信部31はこれらのデータを宛先に送信する。
【0058】
表示制御部32は、ユーザーとのインターフェースとなる画面を操作パネル940に表示する。また、表示制御部32は、情報処理装置30で実行されるアプリに応じた画面を表示する。例えば、ファクシミリアプリの場合、表示制御部32はファクシミリの宛先等を受け付ける画面を表示する。スキャナアプリの場合、表示制御部32は読み取り条件、及び、スキャンにより生成された画像データの宛先等を受け付ける画面を表示する。これら画面には、ユーザーが宛先を選択するためにアドレス帳が表示される。
【0059】
操作受付部33は情報処理装置30に対するユーザーの操作を受け付ける。例えば、操作受付部33は宛先の選択を受け付ける。操作受付部33は音声操作を受け付けてもよい。
【0060】
出力部34は、プリンタ部932を制御して出力する(印刷する)ための制御を行う。ファクシミリアプリがファクシミリを受信した場合、出力部34は、ファクシミリ制御部35が受信したファクシミリ(画像データ)を印刷する。プリンタアプリがPC等から印刷ジョブを受信した場合、出力部34は、PCから送信された印刷ジョブを実行する。なお、印刷方式は電子写真方式又はインクジェット方式のどちらでもよい。
【0061】
ファクシミリ制御部35は、アドレス帳で選択された宛先情報に、読取部36が読み取って生成した画像データを送信する。ファクシミリ制御部35は、電話回線部39又は電子メール部40を使用することで、画像データ(ファクス文書)の送信及び受信を行う。
【0062】
電話回線部39は、ファクスの通信プロトコルを使用する。ファクスの通信プロトコルとしては、G3、スーパーG3、G4等がある。例えばG3では、アナログ回線で、解像度は水平・垂直ともに200dpiで、圧縮方式はMH(Modified Huffman coding)又はMR(Modified Read)符号である。スーパーG3は圧縮方式がMMR(Modified Modified Read)又はJBIG(joint bi-level image experts group)である。G4はISDN回線で解像度が400dpiとなる。
【0063】
電子メール部40は、電子メールに関する処理を行う。インターネットファクスの通信プロトコルとしては、T.37 Simple Mode(メール方式)などがあり、電子メール部40は該通信プロトコルに基づいてファクシミリを送受信する。
【0064】
なお、IP-FAXのファクスの通信プロトコルとしては、T.37 ダイレクトSMTP(IPアドレス方式)、T.38(FoIP)などの方式がある。
【0065】
読取部36は、シート状部材を光学的に読み取り画像データを生成する。読取部36は電子メール部40又はフォルダ保存部41を使用することで、生成した画像データを送信する。
【0066】
電子メール部40は、宛先情報をメールアドレスとする電子メールに画像データを添付してメールサーバに送信する(Scan To E-mail)。フォルダ保存部41は、宛先情報がフォルダ名の場合に、画像データを該フォルダに保存する(Scan To Folder)。
【0067】
情報決定部37は、ユーザーが使用するアプリ又はアプリの機能に応じて、アドレス帳のレコードを集約するためのキー(レコード内の項目)を決定する。情報決定部37は、記憶部の着目情報記憶部492を参照して、アプリ又は機能に対応付けられているキーを決定する。
【0068】
集約部38は、複数のアドレス帳を統合する。集約部38は、統合の際、アドレス帳においてキーに格納された宛先情報が同じレコードを1つのレコードに集約する。例えば、通信部31が受信したレコードと情報処理装置30が保持するレコードのうち、情報決定部37が決定した項目に格納されている宛先情報が同じレコードを1つのレコードに集約する。詳細は後述される。
【0069】
また、情報処理装置30は
図4に示したHD909、ROM902a、及び、RAM902b等、又は、
図3に示したHD504及びRAM503等に構築された記憶部49を有している。記憶部49はアドレス帳記憶部C(符号は491)、及び、着目情報記憶部492を有している(表1、表2参照)。
【0070】
【表1】
表1はアドレス帳記憶部Cに記憶されてるアドレス帳Cの一例である。アドレス帳Cは情報処理装置30が内部に保存しているローカルアドレス帳である。アドレス帳Cは氏名、ファクシミリ番号、及び、メールアドレスの各項目を有している。各項目には宛先情報が格納されている。一行分「氏名、ファクシミリ番号、及び、メールアドレス」をレコードという。
・氏名はユーザーの姓と名である。氏名は法人名又は部署名等でもよい。
・ファクシミリ番号は情報処理装置30がこのユーザーにファクシミリを送信するためのファクシミリ番号である。
・メールアドレスは情報処理装置30がこのユーザーに電子メールを送信するためのメールアドレスである。
【0071】
【表2】
表2は着目情報記憶部492に記憶されてる着目情報の一例である。着目情報は、アプリ又は機能とキーを対応付ける。
・アプリ又は機能は、情報処理装置30で動作するアプリの種類、又は、情報処理装置30若しくはアプリが有する機能である。例えば、アプリの種類として、ファクシミリアプリとスキャナアプリがある。ファクシミリアプリの機能として、電話回線ファクスとインターネットファクスがある。スキャナアプリの機能としてScan To E-mailとScan To Folderがある。このようにアプリ又は機能にキーが対応付けられている。なお、Scan To E-mailとScan To Folderが独立にアプリと呼ばれる場合もある。
・キーは集約の際に着目される着目情報となる。キーが同じ複数のレコードは1つのレコードに集約される。複数のレコードはアドレス帳A~Cのどこにあってもよいし、1つのアドレス帳にあってもよい。キーは、例えば、ファクシミリ番号、メールアドレス、又は、フォルダ名である。
【0072】
<<サーバー>>
サーバー10A、10Bは、それぞれ通信部11A,11Bを有している。サーバー10A、10Bが有するこれらの機能は、
図3に示したサーバー10A、10BのCPU501がHD504等に記憶されたプログラムを実行し、サーバー10A、10Bのハードウェアを制御することにより実現される機能又は手段である。
【0073】
通信部11A,11BはネットワークNを介して情報処理装置30と通信する。本実施形態では、通信部11A,11Bはアドレス帳A、Bの要求を情報処理装置30から受信する。通信部11A,11Bは、アドレス帳A、Bを情報処理装置30に送信する。
【0074】
また、サーバー10A、10Bには、
図3に示したサーバー10A、10BのHD504、ROM502、及び、RAM503等により記憶部12A,12Bが構築されている。記憶部12A,12Bはそれぞれアドレス帳記憶部A(符号は13A),B(符号は13B)を有している(表3、表4参照)。
【0075】
【表3】
表3はアドレス帳記憶部Aに記憶されてるアドレス帳Aの一例である。アドレス帳Aが有する項目はアドレス帳Cと同様でよい。
【0076】
【表4】
表4はアドレス帳記憶部Bに記憶されてるアドレス帳Bの一例である。アドレス帳Bが有する項目はアドレス帳Cと同様でよい。
【0077】
なお、アドレス帳A、B,Cが有する項目は同一である必要はなく、任意のアドレス帳が有する項目が他のアドレス帳が有する項目より多くてもよいし少なくてもよい。しかし、アドレス帳A,B、Cでは、キーとなる項目が重複していることが好ましい。
【0078】
<処理の流れ>
図6は、情報処理装置30が複数のアドレス帳を統合して1つのアドレス帳を表示するフローチャート図の一例である。
図6の処理は、例えばユーザーがアプリを選択するとスタートする。
図6は、例えば、アプリのアイコンが表示されているホーム画面で1つのアプリが押下(起動された)場合にスタートする。画面例については
図8~
図13にて説明した。
【0079】
まず、集約部38は、起動されたアプリがファクシミリアプリかスキャナアプリかを判断する(S1)。起動されたアプリがファクシミリアプリ又はスキャナアプリでない場合、集約部38がアドレス帳を統合する必要がないので
図6の処理は終了する。
【0080】
起動されたアプリがファクシミリアプリ又はスキャナアプリである場合、集約部38は取得可能なアドレス帳を取得する(S2)。すなわち、集約部38は、通信部31を介して、サーバー10A、10Bからアドレス帳A、Bを受信する。また、集約部38はアドレス帳記憶部Cからアドレス帳Cを取得する。
【0081】
次に、情報決定部37は、ファクシミリアプリが起動されたかを判断する(S3)。ファクシミリアプリが起動された場合、情報決定部37は更に、インターネットファクスが選択されたか否かを判断する(S4)。ユーザーはファクシミリアプリの画面からインターネットファクス又は電話回線ファクスを選択できる。情報決定部37はユーザー操作に応じて選択された機能を特定する。
【0082】
インターネットファクスが選択されていない場合、電話回線ファクスが選択されたので、情報決定部37は着目情報記憶部492を参照することで、キーがファクシミリ番号であると決定する。集約部38は、ファクシミリ番号に基づいて、アドレス帳A、B、Cに同じファクシミリ番号のレコードがある場合、複数のレコードのファクシミリ番号を1つだけ取り出し、このファクシミリ番号に複数のレコードの他の宛先情報(例えば氏名)を対応付ける。また、集約部38はファクスアプリで使用されない宛先情報を削除してよい。
【0083】
そして、表示制御部32はファクシミリ番号で複数のレコードが集約されたアドレス帳を操作パネルに表示する(S5)。
【0084】
インターネットファクスが選択された場合、情報決定部37は着目情報記憶部492を参照することで、キーがメールアドレスであると決定する。集約部38は、アドレス帳A、B、Cに同じメールアドレスのレコードがある場合、複数のレコードの電子メールを1つだけ取り出し、この電子メールに複数のレコードの他の宛先情報(例えば氏名)を対応付ける。また、集約部38は電子メールで画像を送信する機能で使用されない宛先情報を削除してよい。
【0085】
そして、表示制御部32はメールアドレスでレコードが集約されたアドレス帳を操作パネルに表示する(S6)。
【0086】
ファクシミリアプリが起動されてない場合、情報処理装置30でスキャナアプリが起動された。このため、情報決定部37は、更に、Scan To E-mailが選択されたか否かを判断する(S7)。ユーザーはスキャナアプリの画面から、Scan To E-mail又はScan To Folderを選択できる。情報決定部37はユーザー操作に応じて選択された機能を特定する。
【0087】
Scan To E-mailが選択された場合、情報決定部37は着目情報記憶部492を参照することで、キーがメールアドレスであると決定する。集約部38は、アドレス帳A、B、Cに同じメールアドレスのレコードがある場合、複数のレコードの電子メールを1つだけ取り出し、この電子メールに複数のレコードの他の宛先情報(例えば氏名)を対応付ける。また、集約部38はScan To E-mailで使用されない宛先情報を削除してよい。
【0088】
そして、表示制御部32はメールアドレスでレコードが集約されたアドレス帳を操作パネルに表示する(S6)。
【0089】
Scan To E-mailが選択されない場合、Scan To Folderが選択されたので、情報決定部37は着目情報記憶部492を参照することで、キーがフォルダ名であると決定する。集約部38は、アドレス帳A、B、Cに同じフォルダ名のレコードがある場合、複数のレコードのフォルダ名を1つだけ取り出し、このフォルダ名に複数のレコードの他の宛先情報(例えば氏名)を対応付ける。また、集約部38はScan To Folderで使用されない宛先情報を削除してよい。
【0090】
そして、表示制御部32はフォルダ名でレコードが集約されたアドレス帳を操作パネルに表示する(S8)。
【0091】
以上の処理により、情報処理装置30は、ユーザーが使用するアプリ又は機能に応じてレコードが集約されたアドレス帳を表示できる。
【0092】
<統合例>
図7は、複数のアドレス帳の統合例を説明する図である。説明の便宜上、キーがファクシミリ番号の場合とメールアドレスの場合を説明する。
図7(a)はアドレス帳A、
図7(b)はアドレス帳B,
図7(c)はアドレス帳Cを示す。
【0093】
キーがファクシミリ番号の場合は以下のように同じファクシミリ番号がアドレス帳A、B、Cから見つかる。
・100というファクシミリ番号を有するレコードが、アドレス帳A、B、Cに存在する。氏名はH,A、Eである。
・102というファクシミリ番号が有するレコードが、アドレス帳A、Bに存在する。氏名はG,Cである。
【0094】
なお、1つのレコードに集約された氏名H、A、Eを、表示制御部32が操作パネルの1レコード用のスペースに表示することが困難となることが考えられる。したがって、表示制御部32は1レコード用のスペースには1つの氏名のみを表示し、残りの氏名は、ユーザーがレコードにタッチすることでポップアップ表示させる、又は、プルダウンで表示してもよい。表示制御部32は1レコード用のスペースに表示された氏名の他に集約された氏名がある旨を文字、アイコン又は記号などで表示するとよい。
【0095】
また、キーが同じレコードがない場合、集約部38は各アドレス帳のレコードをキーでソートして統合する。
【0096】
図7(d)はキーがファクシミリ番号の場合のアドレス帳の統合例を示す。集約部38は、ファクシミリ番号が同じ各アドレス帳のレコードを1つのレコードに集約する。集約部38は1つのキー(ファクシミリ番号)に氏名及びメールアドレスを対応付けるが、メールアドレスはファクシミリアプリでは使用されないので表示制御部32が非表示とすることができる。
【0097】
キーがメールアドレスの場合は以下のように同じメールアドレスがアドレス帳A、B、Cから見つかる。
・abc@jp.comというメールアドレスを有するレコードが、アドレス帳A、B、Cに存在する。氏名はG,A、Eである。
・cde@jp.comというファクシミリ番号が有するレコードが、アドレス帳A、Bに存在する。氏名はI,Bである。
【0098】
図7(e)はキーがメールアドレスの場合のアドレス帳の統合例を示す。集約部38は、メールアドレスが同じ各アドレス帳のレコードを1つのレコードに集約する。集約部38は1つのキー(メールアドレス)に氏名及びファクシミリ番号を対応付けるが、ファクシミリ番号はスキャナアプリでは使用されないので表示制御部32が非表示とすることができる。
【0099】
<画面遷移の一例>
図8を参照して、各アプリが選択された場合の画面の遷移例を説明する。
図8は、情報処理装置30が選択されたアプリに応じて表示する画面の遷移図である。
図8の各画面を
図9~
図13に示す。
【0100】
図9は、ホーム画面150の一例である。ホーム画面150とは、情報処理装置30の起動後、又は、ユーザーがログインすると最初に表示される画面である。ホーム画面はユーザーが使用できるアプリのリストを表示する。アプリのリストの中には、ファクシミリアプリ101とスキャナアプリ102が含まれる。
【0101】
図10はユーザーがファクシミリアプリを選択し、かつ、電話回線ファクスの機能を選択した場合に、情報処理装置30が表示するファクシミリアプリかつ電話回線ファクス画面110の一例である。ファクシミリアプリかつ電話回線ファクス画面110は、機能選択欄111を有してる。機能選択欄111は、ユーザー操作に応じて機能名(インターネットファクス又は電話回線ファクス)をプルダウン表示する。ユーザーはインターネットファクス又は電話回線ファクスを選択できる。
【0102】
なお、ファクシミリアプリの選択直後は、前回、ユーザーが選択した機能(インターネットファクス又は電話回線ファクス)が選択された状態で表示されてよい。あるいは、デフォルトの機能が選択された状態で表示されてよい。
【0103】
ファクシミリアプリかつ電話回線ファクス画面110では、ファクシミリ番号がキーになるので、ファクシミリ番号と共に複数の氏名のリスト112が表示されている。
【0104】
したがって、ユーザーは例えば同じ会社の社員に画像データを送信する場合、ファクシミリ番号を1つだけ選択すればよい。また、表示される氏名の数も少なくなるので、ユーザーは目的の氏名を選択しやすくなる。
【0105】
図10では、氏名とファクシミリ番号がともに表示されているが、氏名のみ又はファクシミリ番号のみが表示されてもよい。ユーザーが宛先を判断できる情報が表示されていればよい。以降の画面でも同様である。
【0106】
また、ユーザーの操作に応じて、情報処理装置30は集約前のレコードを表示してもよい。例えば、ユーザーがA、E、Hの指名の1つを長押しすると、表示制御部32がファクシミリ番号「100」のレコードをアドレス帳A~Cから取得することで例えばポップアップ表示する。
【0107】
図11はユーザーがファクシミリアプリを選択し、かつ、インターネットファクスの機能を選択した場合に、情報処理装置30が表示するファクシミリアプリかつインターネットファクス画面120の一例である。ファクシミリアプリかつインターネットファクス画面120は、機能選択欄121を有してる。機能選択欄121は、ユーザー操作に応じて機能名(インターネットファクス又は電話回線ファクス)をプルダウン表示する。ユーザーはインターネットファクス又は電話回線ファクスを選択できる。
【0108】
図10のファクシミリアプリかつ電話回線ファクス画面110と
図11のファクシミリアプリかつインターネットファクス画面120は、ユーザーが選択した機能に応じて相互に遷移する。
【0109】
ファクシミリアプリかつインターネットファクス画面120では、メールアドレスがキーになるので、メールアドレスと共に複数の氏名のリスト122が表示されている。
【0110】
したがって、ユーザーは例えば同じ会社の社員に画像データを送信する場合、メールアドレスを1つだけ選択すればよい。また、表示される氏名の数も少なくなるので、ユーザーは目的の氏名を選択しやすくなる。
【0111】
図12はユーザーがスキャナアプリを選択し、かつ、Scan To E-mailの機能を選択した場合に、情報処理装置30が表示するスキャナアプリかつメール画面130の一例である。スキャナアプリかつメール画面130は、機能選択欄131を有してる。機能選択欄131は、ユーザー操作に応じて機能名(Scan To E-mail又はScan To Folder)をプルダウン表示する。ユーザーはScan To E-mail又はScan To Folderを選択できる。
【0112】
なお、スキャナアプリの選択直後は、前回、ユーザーが選択した機能(Scan To E-mail又はScan To Folder)が選択された状態で表示されてよい。あるいは、デフォルトの機能が選択された状態で表示されてよい。
【0113】
スキャナアプリかつメール画面130では、メールアドレスがキーになるので、メールアドレスと共に複数の氏名のリスト132が表示されている。
【0114】
したがって、ユーザーは例えば同じ会社の社員に画像データを送信する場合、メールアドレスを1つだけ選択すればよい。また、表示される氏名の数も少なくなるので、ユーザーは目的の氏名を選択しやすくなる。
【0115】
図13はユーザーがスキャナアプリを選択し、かつ、Scan To Folderの機能を選択した場合に、情報処理装置30が表示するスキャナアプリかつフォルダ画面140の一例である。スキャナアプリかつフォルダ画面140は、機能選択欄141を有してる。機能選択欄141は、ユーザー操作に応じて機能名(Scan To E-mail又はScan To Folder)をプルダウン表示する。ユーザーはScan To E-mail又はScan To Folderを選択できる。
【0116】
図12のスキャナアプリかつメール画面130と
図13のスキャナアプリかつフォルダ画面140は、ユーザーが選択した機能に応じて相互に遷移する。
【0117】
スキャナアプリかつフォルダ画面140では、フォルダ名がキーになるので、フォルダ名と共に複数の氏名のリスト142が表示されている。
【0118】
したがって、ユーザーは例えば同じ部署の社員に画像データを送信する場合、氏名を1つだけ選択すればよい。また、表示される氏名の数も少なくなるので、ユーザーは目的の氏名を選択しやすくなる。
【0119】
<画像データの送信>
図14は、情報処理装置30が画像データを送信する手順を示すフローチャート図の一例である。ユーザーは
図10~
図13に示した氏名のリストから所望の宛先を選択する(S11)。操作受付部33は選択を受け付ける。
【0120】
電話回線部39、電子メール部40、又は、フォルダ保存部41は、集約に使用され宛先情報を宛先にして画像データを1回だけ送信する(S12)。すなわち、集約前は同じ宛先情報を有する複数のレコードが存在しても、情報処理装置30は1回のみ送信するので、通信コストを低減できる。
【0121】
アプリケーションがファクシミリアプリで、ユーザーが選択した機能がインターネットファクスの場合、電子メール部40が選択された氏名に対応付けられているメールアドレスを宛先にして1回だけ電子メールを送信する。
【0122】
アプリケーションがファクシミリアプリで、ユーザーが選択した機能が電話回線ファクスの場合、電話回線部39が選択された氏名に対応付けられているファクシミリ番号を宛先にして1回だけファクシミリを送信する。
【0123】
アプリケーションがスキャナアプリで、ユーザーが選択した機能がScan To E-mailの場合、電子メール部40が選択された氏名に対応付けられているメールアドレスを宛先にして1回だけ電子メールを送信する。
【0124】
アプリケーションがスキャナアプリで、ユーザーが選択した機能がScan To Folderの場合、フォルダ保存部41が選択された氏名に対応付けられているフォルダ名を宛先にして1回だけフォルダに画像データを保存する。
【0125】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置30は、アプリ又はアプリ内の機能に応じて定まるキーに基づいてレコードを集約して表示することができる。アドレス帳に重複して登録されている宛先を集約して表示するので、ユーザーは1つの宛先を選択すればよい。また、アドレス帳に表示されるレコードの数が少なくなるので、ユーザーが宛先を選択する場合の操作性を向上できる。重複した宛先情報が集約して表示されるので、操作パネルが表示する宛先を最小限に抑えることができる。アドレス帳が同じユーザーの宛先情報を表示するため、アドレス帳の最下部を表示させるまでにユーザーがスクロールする手間を省ける。
【0126】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0127】
例えば、本実施形態では、情報処理装置30がレコードを集約することで複数のアドレス帳を統合したが、同じ処理をサーバーが行ってもよい。この場合、情報処理装置30は自機のアドレス帳とユーザーが選択したアプリと機能をサーバーに送信し、サーバーから統合されたアドレス帳を取得する。
【0128】
また、本実施形態では、集約されたレコードを情報処理装置30が画面に表示すると説明したが、情報処理装置30が用紙に印刷してもよい。また、情報処理装置30が集約されたレコードを電子メールなどで外部に送信してもよい。
【0129】
また、以上の実施例で示した
図5等の構成例は、情報処理装置30の処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。しかし、各処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。情報処理装置30は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0130】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0131】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。
【0132】
また、情報処理装置30は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。情報処理装置30は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、電子黒板(電子ホワイトボード)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【符号の説明】
【0133】
10 サーバー
30 情報処理装置
30a 複合機
30b ファクシミリ装置
30c PC
100 電子機器システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】