(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】マーキング装置、及びマーキング方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20241203BHJP
【FI】
B23K26/00 B
(21)【出願番号】P 2021028665
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】平山 里絵
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 敬一
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-279650(JP,A)
【文献】特開2008-044015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253661(US,A1)
【文献】特開2017-140829(JP,A)
【文献】特開2014-101090(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0264845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置であって、
前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、
第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う第1マーキング部と、
第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う第2マーキング部と、を有し、
前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記第2光学系による第2集光位置は、前記第1光学系による第1集光位置とは異なって
おり、
前記非平面部は所定の曲率方向に沿って曲率を有し、
前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記複数の領域の各領域内での最大高低差が大きいほど、前記曲率方向における前記各領域の幅は小さいマーキング装置。
【請求項2】
前記第1マーキング部と、前記第2マーキング部と、を含む複数のマーキング部を有し、
前記複数のマーキング部のそれぞれによる光の集光位置は、前記第1光学系の中心軸に沿う方向において異なっている請求項
1に記載のマーキング装置。
【請求項3】
媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置であって、
前記媒体は所定の搬送方向に搬送され、
前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、
第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う第1マーキング部と、
第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う第2マーキング部と、
前記搬送方向に沿う前記第1マーキング部と前記第2マーキング部との間に設けられ、前記非平面部の向きを変化させる可変部と、を有し、
前記第2マーキング部は、前記第1マーキング部が前記第1領域に前記マーキングを行い、前記可変部が前記非平面部の向きを変化させた後、前記第2領域に前記マーキングを行うマーキング装置。
【請求項4】
前記第1領域は、前記第2領域とは非重複である非重複領域を含む請求項1乃至
3の何れか1項に記載のマーキング装置。
【請求項5】
前記第1マーキング部は、前記第2マーキング部と並行に前記マーキングを行う請求項1乃至
4の何れか1項に記載のマーキング装置。
【請求項6】
前記第1領域は、前記第2領域と重複する請求項1乃至
5の何れか1項に記載のマーキング装置。
【請求項7】
媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置であって、
前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、
第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う第1マーキング部と、
第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う第2マーキング部と、
画像データに基づき、前記第1マーキング部及び前記第2マーキング部のそれぞれを制御する制御部と、を有し、
前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記第2光学系による第2集光位置は、前記第1光学系による第1集光位置とは異なっており、
前記制御部は、前記非平面部の形状に応じて前記画像データを補正す
るマーキング装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像データが示す画像に対し、拡大又は縮小の何れか一方を行うことで、前記画像データを補正する請求項
7に記載のマーキング装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1
領域及び前記第2領域のつなぎ目の濃淡が変化しないように、或いは徐々に変化するように前記画像データを補正する請求項
7又は
8に記載のマーキング装置。
【請求項10】
前記第1マーキング部は、前記第1領域における長手方向に沿って前記第1の光をラスタ走査させ、
前記第2マーキング部は、前記第2領域における長手方向に沿って前記第2の光をラスタ走査させる請求項1乃至
9の何れか1項に記載のマーキング装置。
【請求項11】
前記第1マーキング部又は前記第2マーキング部の少なくとも一方は、複数のレーザ光源を有し、前記複数のレーザ光源のそれぞれが発するレーザ光を集光させることで、前記マーキングを行う請求項1乃至
10の何れか1項に記載のマーキング装置。
【請求項12】
所定の積載方向に沿って複数の前記第1マーキング部が積載された第1マーキング部群と、
前記積載方向に沿って複数の前記第2マーキング部が積載された第2マーキング部群と、を有する請求項1乃至
11の何れか1項に記載のマーキング装置。
【請求項13】
媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置によるマーキング方法であって、
前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、
マーキング装置が、
第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う工程と、
第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う工程と、を行い、
前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記第2光学系による第2集光位置は、前記第1光学系による第1集光位置とは異なって
おり、
前記非平面部は所定の曲率方向に沿って曲率を有し、
前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記複数の領域の各領域内での最大高低差が大きいほど、前記曲率方向における前記各領域の幅は小さいマーキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング装置、及びマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードやQRコード(登録商標)等の識別コード、文字、記号、及びマーク等の意匠を含む媒体が知られている。
【0003】
また、被加工物に設定したマーキングエリアに所定の描画パターンを描画するマーキング装置において、第1のドット径で被加工物にマーキングを行う第1マーキング部と、 第1のドット径よりもドット径の小さい第2のドット径で被加工物にマーキングを行う第2マーキング部とを用いて、同一領域内の描画パターンを第1マーキング部で描画する第1描画パターンおよび第2マーキング部で描画する第2描画パターンに分割してマーキングを行う構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、被加工物等の媒体の非平面部に行うマーキングの品質に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、媒体の非平面部に高品質にマーキングを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るマーキング装置は、媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置であって、前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、
第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う第1マーキング部と、第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う第2マーキング部と、を有し、前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記第2光学系による第2集光位置は、前記第1光学系による第1集光位置とは異なっており、前記非平面部は所定の曲率方向に沿って曲率を有し、前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記複数の領域の各領域内での最大高低差が大きいほど、前記曲率方向における前記各領域の幅は小さい。
【0007】
本発明の一態様に係るマーキング装置は、媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置であって、前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う第1マーキング部と、第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う第2マーキング部と、を有し、前記第1光学系の中心軸は、前記第1領域の面に直交し、前記第2光学系の中心軸は、前記第2領域の面に直交し、且つ前記第1光学系の中心軸と非平行である。
【0008】
本発明の一態様に係るマーキング装置は、媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置であって、前記媒体は所定の搬送方向に搬送され、前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う第1マーキング部と、第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う第2マーキング部と、前記搬送方向に沿う前記第1マーキング部と前記第2マーキング部との間に設けられ、前記非平面部の向きを変化させる可変部と、を有し、前記第2マーキング部は、前記第1マーキング部が前記第1領域に前記マーキングを行い、前記可変部が前記非平面部の向きを変化させた後、前記第2領域に前記マーキングを行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、媒体の非平面部に高品質にマーキングを行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】PETボトルへのマーキングを説明する図である。
【
図2】第1実施形態に係るマーキング装置の構成例を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】PETボトルの円周方向に沿う各領域の幅の違いの一例の図である。
【
図6】第2実施形態に係るマーキング装置の構成例を示す図である。
【
図7】第3実施形態に係るマーキング装置の構成例を示す図である。
【
図8】第3実施形態に係るマーキング装置によるマーキング例の図であり、
図8(a)は第1領域へのマーキングの図、
図8(b)は第2領域へのマーキングの図である。
【
図9】第4実施形態に係るマーキング装置の構成例を示す図である。
【
図10】第4実施形態に係るマーキング装置の構成の他の例を示す図である。
【
図11】多角筒状のPETボトルへのマーキングを説明する図である。
【
図12】実施形態に係る収容体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0012】
また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのマーキング装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0013】
実施形態に係るマーキング装置は、媒体の非平面部にマーキングを行うものである。ここで、媒体は一例として収容器等を含む。収容器とは、内部に固体、液体又は気体等の物質を収容可能な部材をいう。例えば、収容器は、PET(ポリエチレンテレフタレート;Poly ethylene terephthalate)ボトルである。基材とは、収容器を構成する素材部分をいう。基材は、樹脂又はガラス等の透明な材料を含んで構成されてもよい。
【0014】
透明な材料とは、少なくとも可視光に対して光透過性を有する材料をいう。可視光とは、人間が視認可能な光であって、波長の下界が略360[nm]乃至略400[nm]であり、波長の上界が略760[nm]乃至略830[nm]である光をいう。
【0015】
基材に用いられる樹脂の材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロビレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、エポキシ、バイオポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸ブレンド(PBAT)、スターチブレンドポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシプチレート/ヒドロキシヘキサノエート(PHBH)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、バイオPET30、バイオポリアミド(PA)610,410,510、バイオPA1012,10T、バイオPA11T,MXD10、バイオポリカーポネート、バイオポリウレタン、バイオPE、バイオPET100、バイオPA11、バイオPA1010等を含む。
【0016】
収容器は、被収容物を収容する本体部の他にキャップや蓋等を含んでよい。また、識別コードの他に、被収容物や製造者等を示す文字や、ブランドロゴやリサイクルマーク等の図形が基材に形成されていてもよい。
【0017】
また、収容器の中に飲料等の被収容物が収容されたものを収容体という。
【0018】
また、マーキングとは、媒体に意匠を形成することをいう。意匠は識別コード、文字、記号、及びマークなどを含む。識別コードには、バーコード等の1次元コード、又はQRコード等の2次元コード等が含まれる。また、マーキングで形成される内容は、識別コードが付与された収容器又は収容器に収容される被収容物等の対象物の名称や識別番号、製造業者、製造日時等の対象物に関する情報を表示する記号、図形又は文字である。
【0019】
また、非平面部とは、平面でない部分をいう。例えば非平面部には、円筒状又は多角筒状等に形成されたPETボトル等の立体構造物に含まれる平面でない部分が該当する。より具体的には、非平面部には、PETボトルの側面部又は側面部に形成された凹凸部等が該当する。
【0020】
実施形態では、非平面部は、第1領域と、第2領域とを含む複数の領域を有し、マーキング装置は、第1光学系により第1領域に第1の光を集光させることでマーキングを行う第1マーキング部と、第2光学系により第2領域に第2の光を集光させることでマーキングを行う第2マーキング部とを有する。
【0021】
非平面部が含む第1及び第2領域は、第1光学系の中心軸に沿う方向における位置が異なる。そのため、該方向において、第2光学系による第2集光位置が第1光学系による第1集光位置と等しいと、第2の光は第2領域上で広がる。また、第1及び第2領域同士は非平行であるため、第2光学系の中心軸が第1光学系の中心軸と略平行であると、第2光学系の中心軸が第2領域に対して傾くことにより第2の光は第2領域上で広がる。
【0022】
これらの結果、第2領域へのマーキングの品質が低下する場合がある。なお、集光位置とは、光学系により光を集光させる位置をいう。例えばレーザ光を集光させる場合には、ビームウエスト位置が集光位置の一例に対応する。但し、集光位置は、ビームウエスト位置に限定されるものではなく、ビームウエスト位置からずれた、いわゆるデフォーカス位置であってもよい。
【0023】
実施形態では、第1光学系の中心軸に沿う方向において、第2光学系による第2集光位置は、第1光学系による第1集光位置とは異なっている。これにより、第1マーキング部は第1領域に第1の光を集光させ、第2マーキング部は第2領域に第2の光を集光させることができ、第1及び第2領域の両方へ高品質にマーキングを行える。
【0024】
また、他の実施形態では、第1光学系の中心軸は、第1領域の面に直交し、第2光学系の中心軸は、第2領域の面に直交し、且つ第1光学系の中心軸と非平行である。これにより、第1光学系はその中心軸が第1領域の面に直交するように第1の光を集光させ、第2光学系はその中心軸が第2領域の面に直交するように第2の光を集光させることができ、第1及び第2領域の両方へ高品質にマーキングを行える。なお、非平行とは平行でないことをいう。また直交は、厳密な直交を要求するものではなく、一般に誤差と認識される程度の直交からのずれは許容するものである。この点は、以下で「直交」と示す場合においても同様とする。
【0025】
また、他の実施形態では、媒体は所定の搬送方向に搬送され、第2マーキング部は、第1マーキング部が第1領域にマーキングを行い、非平面部の向きを変化させた後、第2領域に前記マーキングを行う。これにより、第1光学系はその中心軸が第1領域の面に直交するように第1の光を集光させ、第2光学系はその中心軸が第2領域の面に直交するように第2の光を集光させることができ、第1及び第2領域の両方へ高品質にマーキングを行える。
【0026】
以下、各実施形態を詳細に説明する。
【0027】
なお、以下に示す図でX軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合があるが、X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。但し、このことは、マーキング装置の使用時における向きを制限するわけではなく、マーキング装置の向きは任意である。
【0028】
図1は、PETボトルへのマーキングを説明する図である。
図1に示すように、PETボトル100は、側面にパターン200がマーキングされた円筒状の部材であり、媒体の一例である。
【0029】
図1に示すY軸は、PETボトル100の円筒軸に沿う方向を示し、X軸はY軸に略直交する方向を示し、Z軸はX軸及びY軸の両方に略直交する方向を示す。X軸、Y軸及びZ軸の各軸が示す方向は、以降に示す図においても同様とする。
【0030】
PETボトル100の側面は、円筒軸周りに曲率を有する曲面である。PETボトル100の側面のうちの曲面部110は、第1領域101と、第2領域102と、第3領域103とを含む非平面部の一例である。
【0031】
第1領域101、第2領域102及び第3領域103は、PETボトル100の側面部に円筒軸周りに並ぶ複数の領域の一例であり、各領域は重なっていない。換言すると、第1領域101は、第2領域102とは非重複である非重複領域を含んでいる。但し、これに限定されるものではなく、各領域同士の少なくとも一部が重複してもよい。
【0032】
パターン200は、意匠の一例である。
図1の例では、パターン200は花びらを示すパターンである。パターン200は、第1領域101、第2領域102及び第3領域103のそれぞれに集光されたレーザ光の光エネルギーにより、PETボトル100の基材が蒸散、溶融、結晶化又は発泡等の変性をすることでマーキングされたものである。実施形態に係るマーキング装置は、このようなマーキングを行う装置である。
【0033】
[第1実施形態]
<マーキング装置1の構成例>
図2は、第1実施形態に係るマーキング装置1の構成の一例を示す図である。
図2は、+Y方向側から視たPETボトル100及びマーキング装置1を示している。なお、マーキング装置1は内部を透視して表示されている。
【0034】
図2に示すように、マーキング装置1は、第1マーキング部10と、第2マーキング部20と、第3マーキング部30と、制御部40とを有する。マーキング装置1は、受信した画像データに基づいて、第1マーキング部10により第1領域101に、第2マーキング部20により第2領域102に、第3マーキング部30により第3領域103にそれぞれマーキングを行う。
【0035】
第1マーキング部10は、第1レーザ光源11と、第1集光レンズ12と、第1ガルバノミラー13とを有する。第1マーキング部10は、第1レーザ光源11が発する第1レーザ光L1を第1ガルバノミラー13によりY軸に沿う方向にラスタ走査させ、走査される第1レーザ光L1を第1集光レンズ12により第1領域101に集光させることでマーキングを行う。第1集光レンズ12は第1光学系の一例であり、第1レーザ光L1は第1の光の一例である。
【0036】
第2マーキング部20は、第2レーザ光源21と、第2集光レンズ22と、第2ガルバノミラー23とを有する。第2マーキング部20は、第2レーザ光源21が発する第2レーザ光L2を第2ガルバノミラー23によりY軸に沿う方向にラスタ走査させ、走査される第2レーザ光L2を第2集光レンズにより第2領域102に集光させることでマーキングを行う。第2集光レンズ22は第2光学系の一例であり、第2レーザ光L2は第2の光の一例である。
【0037】
第3マーキング部30は、第3レーザ光源31と、第3集光レンズ32と、第3ガルバノミラー33とを有する。第3マーキング部30は、第3レーザ光源31が発する第3レーザ光L3を第3ガルバノミラー33によりY軸に沿う方向にラスタ走査させ、走査される第3レーザ光L3を第3集光レンズにより第3領域103に集光させることでマーキングを行う。
【0038】
第1マーキング部10、第2マーキング部20及び第3マーキング部30は、曲面部110に対し、並行にマーキングを行うことができる。
【0039】
また、PETボトル100がX軸に沿う搬送方向400に沿って搬送されることで、各マーキング部によるレーザ光の集光位置とPETボトル100とのX軸に沿う相対位置が変化する。これにより、第1領域101、第2領域102及び第3領域103の各領域内の全体にマーキングを行えるようになっている。
【0040】
第1レーザ光源11、第2レーザ光源21及び第3レーザ光源31は、何れもファイバーレーザであり、ピコ秒又はナノ秒等の短パルスのレーザ光を発する。ファイバーレーザは、希土類元素を添加した光ファイバをレーザ媒質として利用するレーザ光源である。
【0041】
但し、各レーザ光源は、ファイバーレーザに限定されるものではなく、各種のレーザ光源を使用できる。各レーザ光源が発するレーザ光は、パルス光であってもCW(Continuous Wave)であってもよいが、ピークエネルギー等の観点からピコ秒からナノ秒等のパルス発振可能なものが好ましい。
【0042】
固体レーザとしては、YAGレーザ、チタンサファイアレーザ等がある。気体レーザとしては、アルゴンレーザ、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザ等がある。半導体レーザも小型で好ましい。ファイバーレーザはそのピークエネルギーの高さと小型化可能な面でより好適な光源である。
【0043】
第1レーザ光源11、第2レーザ光源21及び第3レーザ光源31のそれぞれで異なる種類のレーザ光源を用いてもよい。
【0044】
第1集光レンズ12、第2集光レンズ22及び第3集光レンズ32は、何れも同じ形状の屈折型単レンズであり、同じ焦点距離を有するfθレンズである。fθレンズはレーザ光を等速走査させつつ、集光させる機能を有する。fθレンズにはガラス又は樹脂を材料とするものを使用できるが、実施形態では、レーザ光の光エネルギーが大きいため、ガラスがより好ましい。
【0045】
なお、第1集光レンズ12、第2集光レンズ22及び第3集光レンズ32は、光を集光させる光学系であれば、上記のものに限定されるものではない。例えば、回折型レンズや集光機能を有するミラー等を用いることもでき、複数のレンズ又はミラーを組み合わせることもできる。また、各集光レンズの形状が異なったり、焦点距離等の光学特性が異なったりしてもよい。
【0046】
第1ガルバノミラー13、第2ガルバノミラー23及び第3ガルバノミラー33は、何れもミラーの角度を変化させることでY軸に沿う方向にレーザ光を走査させる。走査方向はY軸方向に限定されるものではなく、X軸方向に走査させたり、X軸及びY軸の2軸方向に走査させたりしてもよい。但し、第1領域101、第2領域102及び第3領域103の長手方向に沿う方向に走査させると、マーキング効率の観点でより好ましい。また、ガルバノミラー以外にもポリゴンミラー、音響光学素子又はMEMSミラー等を用いることもできる。
【0047】
制御部40は、第1マーキング部10、第2マーキング部20及び第3マーキング部30のそれぞれを制御可能な制御装置である。
【0048】
<各マーキング部によるレーザ光の集光位置>
図2は、第1領域101、第2領域102及び第3領域103のそれぞれを太線の矢印で示している。
図2に示すように、各領域のZ軸方向に沿う位置は、PETボトル100の円筒軸周りの曲率に応じて異なっている。第1領域101及び第3領域103と比較して、第2領域102は、Z軸方向に沿ってマーキング装置1から近い位置にある。
【0049】
従って、第1マーキング部10、第2マーキング部20及び第3マーキング部30のそれぞれが、Z軸方向に沿う同じ位置にレーザ光を集光させると、各領域上でレーザ光が広がる場合がある。
【0050】
例えば、第2マーキング部20が、Z軸方向に沿って、第1マーキング部10による第1レーザ光L1の集光位置と同じ位置に第2レーザ光L2を集光させる。この場合には、ビームウエストになる手前に第2領域102が位置するため、第2レーザ光L2が広がって第2領域102に照射される。これにより、第2領域102にマーキングされるパターンの解像度が低下し、マーキングの品質が低下する。
【0051】
そのため、本実施形態では、第1集光レンズ12及び第3集光レンズ32と比較して、第2集光レンズ22を+Z方向に距離dだけずらして配置している。距離dは、曲面部110の曲率に基づき、予め定めることができる。
【0052】
これにより、第1集光レンズ12による第1マーキング平面111及び第3集光レンズ32による第3マーキング平面113に対し、第2集光レンズ22による第2マーキング平面112は、距離dだけ+Z方向にずれる。その結果、第2領域102上でビームウエストになるように第2レーザ光L2を集光させることができる。
【0053】
ここで、マーキング平面とは、マーキング部が、レーザ光の走査又はPETボトルが搬送されることの何れか一方によりレーザ光の集光位置を変化させてマーキングを行う平面をいう。Z軸に沿う方向におけるマーキング平面の位置は、マーキング部によるレーザ光の集光位置と等しい。従って、第1マーキング平面111は、第1集光レンズ12による第1集光位置の一例、第2マーキング平面112は、第2集光レンズ22による第2集光位置の一例である。なお、
図2は、各マーキング平面を太い破線で示している。
【0054】
また、第1集光レンズ12の中心軸51はZ軸に沿っている。そのため、換言すると、中心軸51に沿う方向において、第2マーキング平面112は第1マーキング平面111とは異なっていると言える。中心軸51は、例えば第1集光レンズ12の光軸である。
【0055】
ここで、第1領域101、第2領域102及び第3領域103はそれぞれ曲面であり、各領域内で中心軸51に沿う方向における高低差(位置差)があるため、マーキング平面とは一致しない。従って、中心軸51に沿う方向における各領域とマーキング平面との間での高低差に応じてレーザ光が広がる。
【0056】
本実施形態では、各領域内での高低差の中心となる位置にマーキング平面が配置されるように、PETボトル100に対する各マーキング部の中心軸51に沿う方向における位置を定めている。これにより、中心軸51に沿う方向における各領域とマーキング平面との高低差に応じたレーザ光の広がりが抑制される。
【0057】
図2に示すように、第1領域101及び第3領域103は、面が傾斜しているため、各領域内での高低差が大きくなっている。第1マーキング平面111及び第2マーキング平面112は、第1領域101及び第3領域103内で、高低差の中心となる位置に配置されている。
【0058】
<制御部40の機能構成例>
次に、
図3はマーキング装置1が有する制御部40の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部40は、受信部41と、補正部42と、マーキング制御部43とを有する。これらの機能は電気回路で実現される他、機能の一部又は全部をソフトウェア(CPU;Central Processing Unit)によって実現することもできる。また複数の回路又は複数のソフトウェアによって各機能が実現されてもよい。
【0059】
制御部40は、PC(Personal Computer)等の外部装置から受信部41を介して画像データを受信し、補正部42により適宜補正された画像データに基づき、マーキング制御部43により各マーキング部を制御してマーキングを行わせる。
【0060】
ここで、本実施形態では、領域内で高低差の中心となる位置にマーキング平面を配置することでレーザ光の広がりを最小限に抑制している。しかし、第1領域101及び第3領域103等の面の傾斜が大きい領域では、レーザ光の広がりが大きくなったり、マーキング対象の画像が変形してマーキングされたりして、マーキングの品質が低下する場合がある。
【0061】
補正部42は、第1領域101及び第3領域103における面の傾斜等の曲面部110の形状に応じて、画像データを補正する。例えば、傾斜した面に画像を投影すると、傾斜に応じた台形歪みが生じるため、補正部42は、台形歪みを相殺するように、投影画像の台形歪みとは反対となる台形歪みを画像データに付与することで、画像データを補正する。
【0062】
画像データに台形歪みを付与する処理は、画像データにおけるラインごとにライン幅を拡大又は縮小する処理であるため、画像データが示す画像に対し、拡大又は縮小の何れか一方を行う補正処理の一例である。
【0063】
第1領域101及び第2領域102のつなぎ目の濃淡が変化しないように、或いは徐々に変化するように、補正部42が画像データを補正すると、マーキングの品質を向上させる観点でより好適である。
【0064】
マーキング制御部43は、第1レーザ光源11、第2レーザ光源21及び第3レーザ光源31のそれぞれの発光のオン又はオフの制御、或いは光強度の制御を行う。またマーキング制御部43は、第1ガルバノミラー13、第2ガルバノミラー23及び第3ガルバノミラー33の駆動の開始又は停止の制御を行う。
【0065】
<マーキング装置1の作用効果>
以上説明したように、本実施形態に係るマーキング装置1は、PETボトル100(媒体)の曲面部110(非平面部)にマーキングを行うものである。曲面部110は、第1領域101と、第2領域102とを含む複数の領域を有する。またマーキング装置1は、第1集光レンズ12(第1光学系)により第1領域101に第1レーザ光L1(第1の光)を集光させることでマーキングを行う第1マーキング部10と、第2集光レンズ22(第2光学系)により第2領域102に第2レーザ光L2(第2の光)を集光させることでマーキングを行う第2マーキング部20とを有する。
【0066】
そして、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向において、第2集光レンズ22による第2マーキング平面(第2集光位置)は、第1集光レンズ12による第1マーキング平面(第1集光位置)とは異なっている。
【0067】
これにより、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向における第1領域101と第2領域102の位置が異なる場合にも、第1マーキング部10は、第1領域101に第1レーザ光L1を集光させ、第2マーキング部20は第2領域102に第2レーザ光L2を集光させることができる。その結果、マーキング装置1は、第1領域101及び第2領域102の両方へ高品質にマーキングを行うことができる。
【0068】
例えば特許文献1の構成では、同じ領域で大きいドットと小さいドットの2つの条件にマーキング条件を変更しているが、本実施形態では、領域ごとでマーキング条件を変えることができ、これによりマーキングの品質を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、第1領域101は、第2領域102とは非重複である非重複領域を含み、第1マーキング部10は、第2マーキング部20と並行にマーキングを行う。複数のマーキング部が重複する領域にマーキングすると、マーキングの生産性が低下する場合がある。第1領域101が非重複領域を含むことで、第1マーキング部10が第1領域101に、第2マーキング部20が第2領域102に、それぞれ並行にマーキングを行うことができる。これにより、マーキングの生産性を向上させることができる。
【0070】
但し、これに限定されるものではなく、第1領域101は、第2領域102と重複してもよい。重複させることで、第1マーキング部10と第2マーキング部20は、同じ領域に異なる条件でマーキングを行うこと等が可能となる。
【0071】
また、本実施形態では、画像データに基づき、第1マーキング部10及び前記第2マーキング部のそれぞれを制御する制御部40を有する。制御部40は、曲面部110の形状に応じて画像データを補正する補正部42を有する。例えば補正部42は、画像データが示す画像に対し、拡大又は縮小の何れか一方を行うことで、画像データを補正する。
【0072】
曲面部110は曲面であるため、マーキング平面とは一致せず、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向における曲面の高低差に応じてレーザ光が広がったり、マーキング対象の画像が変形してマーキングされたりして、マーキングの品質が低下する場合がある。
【0073】
補正部42が曲面部110の形状に応じて画像データを補正することで、例えばマーキング対象の画像の台形歪みを補正でき、マーキングの品質低下を抑制できる。
【0074】
また、本実施形態では、第1マーキング部10は、第1領域101における長手方向に沿って第1レーザ光L1をラスタ走査させ、第2マーキング部20は、第2領域102における長手方向に沿って第2レーザ光L2をラスタ走査させる。これにより、各領域の長手方向に対して高速にマーキングを行うことができ、マーキングの生産性をより向上させることができる。
【0075】
但し、各マーキング部は、レーザ光をラスタ走査させるものに限定されない。ここで、
図4はマーキング部の他の構成としてマーキング部10'の構成を示す図である。マーキング部10'は、マーキング装置1が含む複数のマーキング部のうちの1つである。
図4に示すように、マーキング部10'は、レーザアレイ11'と、集光レンズ12'とを有する。
【0076】
レーザアレイ11'は、Y軸に沿って配列された複数のレーザ光源を有し、複数のレーザ光源のそれぞれからPETボトル100に向けて並行にレーザ光を発する。集光レンズ12' は、レーザアレイ11'が発する複数のレーザ光のそれぞれを、第1領域101上で集光させる第1又は第2光学系の一例である。
【0077】
各マーキング部がこのようなレーザアレイ11'を有する構成でも、レーザ光をラスタ走査させることと同様の作用が得られる。
【0078】
なお、本実施形態では、第1集光レンズ12、第2集光レンズ22及び第3集光レンズ32が同じ焦点距離であり、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向において、第2集光レンズ22の位置を第1集光レンズ12からずらす構成を示した。しかし、中心軸51に沿う方向において、第1マーキング平面111と第2マーキング平面112とを異ならせる手段はこれに限定されるものではない。例えば、第2集光レンズ22の焦点距離を短くすることで、第1マーキング平面111に対して第2マーキング平面112を異ならせてもよい。また中心軸51に沿う方向に第2マーキング部20自体をずらして配置しても同様の作用が得られる。
【0079】
また本実施形態では、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向において、第2マーキング平面112の位置のみが他と異なる構成を例示したが、これに限定されるものではない。第1領域101、第2領域102及び第3領域103のそれぞれの配置に応じて、第1マーキング平面111、第2マーキング平面112及び第3マーキング平面113のそれぞれの位置が中心軸51に沿う方向に異なっていてもよい。
【0080】
さらに本実施形態では、マーキング装置1が3つのマーキング部を有し、曲面部110が含む3つの領域にマーキングを行う構成を例示したが、これに限定されるものではない。マーキング装置1は、さらに多くのマーキング部を有し、曲面部110等の非平面部が含むさらに多くの領域にマーキングを行えるようにしてもよい。
【0081】
換言すると、マーキング装置1は、第1マーキング部10と、第2マーキング部20とを含む複数のマーキング部(複数のマーキング部)を有し、複数のマーキング部のそれぞれによるレーザ光の集光位置が、第1集光レンズの中心軸51に沿う方向において異なる構成にしてもよい。
【0082】
また非平面部の一例として曲面部110を示したが、これに限定されるものではなく、非平面部は凹凸又は段差を含んでもよく、また第1領域101、第2領域102及び第3領域103のそれぞれは凹凸又は段差を含んでもよい。この場合にも、マーキング装置1により同様の作用効果が得られる。
【0083】
<第1実施形態に係る変形例>
図2では、PETボトル100の円周方向に沿う第1領域101、第2領域102及び第3領域103のそれぞれの幅が略等しい構成を例示した。しかし、各領域の傾斜が大きくなる等して第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向における高低差が大きくなると、高低差に応じてレーザ光の広がりが大きくなる場合がある。
【0084】
そのため、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向における第1領域101、第2領域102及び第3領域103の各領域内での最大高低差に応じ、第1領域101、第2領域102及び第3領域103の円周方向に沿う幅を異ならせることもできる。
【0085】
図5は、PETボトル100の円周方向に沿う第1領域101及び第2領域102の幅の違いの一例を示す図である。
図5に示すPETボトル100の円周方向120は、非平面部の曲率方向の一例である。
【0086】
図5に示すように、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向において、第1領域101内での最大高低差h
1は、第2領域102内での最大高低差h
2より大きい。また、円周方向120に沿う第1領域101の幅W
1は、円周方向120に沿う第2領域102の幅W
2より小さい。
【0087】
幅W1の小ささに伴って最大高低差h1は小さくなるため、高低差に応じた第1レーザ光L1の広がりを抑制し、第1領域101へのマーキングの品質をより高く確保できる。
【0088】
なお、
図5では、第1領域101及び第2領域102のみを例示したが、これに限定されるものではない。非平面部が第1領域101と、第2領域102とを含む複数の領域を含む場合に、第1集光レンズ12の中心軸51に沿う方向において、複数の領域の各領域内での最大高低差が大きいほど、曲率方向における各領域の幅を小さくすることもできる。この場合にも
図5に示した例と同様の作用効果が得られる。
【0089】
[第2実施形態]
次に第2実施形態に係るマーキング装置1aについて説明する。なお、第1実施形態で説明した同一の構成部には同一の部品番号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以降に示す実施形態又は変形例においても同様とする。
【0090】
<マーキング装置1aの構成例>
図6は、マーキング装置1aの構成の一例を示す図である。
図6に示すように、マーキング装置1aは、第1マーキング部10aと、第2マーキング部20aと、第3マーキング部30aとを有する。
【0091】
また、第1マーキング部10aは第1集光レンズ12aを有し、第2マーキング部20aは第2集光レンズ22aを有する。第1集光レンズ12の中心軸51は、第1領域101の面に直交する。第2集光レンズの中心軸52は、第2領域102の面に直交し、且つ第1集光レンズ12の中心軸51と非平行である。なお、直交は厳密に垂直であることに限定されず、±5[度]以下の角度差は許容できる。この点は、以降で直交という用語を用いる場合においても同様とする。
【0092】
<マーキング装置1aの作用効果>
図6の構成により、マーキング装置1aは、第1集光レンズ12はその中心軸51が第1領域101の面に直交するように第1レーザ光L1を集光させ、第2集光レンズ22はその中心軸52が第2領域102の面に直交するように第2レーザ光L2を集光させることができる。その結果、第1領域101及び第2領域102の両方へ高品質にマーキングを行える。なお、これ以外の効果は、第1実施形態で示したものと同様である。
【0093】
第1集光レンズ12は、PETボトル100の円周方向に沿う第1領域101の略中央位置において、第1集光レンズ12の中心軸51が第1領域101の面に直交するように第1レーザ光L1を集光させることが好ましい。
【0094】
第2集光レンズ22は、PETボトル100の円周方向に沿う第2領域102の略中央位置において、第2集光レンズ22の中心軸52が第2領域102の面に直交するように第2レーザ光L2を集光させることが好ましい。
【0095】
[第3実施形態]
次に第3実施形態に係るマーキング装置1bについて説明する。
【0096】
<マーキング装置1bの構成例>
図7は、マーキング装置1bの構成の一例を示す図である。
図7は、PETボトル100がコンベア300上に載置され、搬送方向400に沿って搬送されている様子を示している。
【0097】
図7に示すように、マーキング装置1bは、マニピュレータ14を有する。
図7に示されている5つのPETボトルは何れも同じPETボトル100を示している。
図7は、PETボトル100の搬送によって、時刻に応じて搬送方向400に沿う位置が異なるPETボトル100を併せて表示している。
【0098】
マニピュレータ14は、第1マニピュレータ141と、第2マニピュレータ142とを含む。第1マニピュレータ141は、搬送方向400に沿う第1マーキング部10と第2マーキング部20との間に設けられ、PETボトル100が含む非平面部の向きを変化させる。
【0099】
また第2マニピュレータ142は、搬送方向400に沿う第2マーキング部20と第3マーキング部30との間に設けられ、PETボトル100が含む非平面部の向きを変化させる。第1マニピュレータ141及び第2マニピュレータ142のそれぞれは可変部の一例である。但し、可変部はマニピュレータ14に限定されるものではなく、可変部の機能を実現できるものであれば何れの手段であってもよい。
【0100】
<マーキング装置1bの動作例>
PETボトル100は、コンベア300により搬送方向400に沿って搬送され、第1集光レンズ12の中心軸51に沿って、第1領域101が第1マーキング部10に向き合う位置で一時停止される。その後、第1マーキング部10は第1領域101にマーキングを行う。
【0101】
その後、PETボトル100は、コンベア300により搬送方向400に沿って搬送され、第1マニピュレータ141に向き合う位置で一時停止される。
【0102】
第1マニピュレータ141は、一時停止されたPETボトル100を把持して持ち上げ、PETボトル100の円筒軸周りに回転させる。この際に、第1マニピュレータ141は、第2集光レンズ22の中心軸52に第2領域102の面が直交するように、曲面部110の向きを変化させる。向きの変化量は、予め定めることができる。
【0103】
第1マニピュレータ141は、曲面部110の向きを変化させた後、コンベア300上にPETボトル100を載置する。
【0104】
その後、PETボトル100は、コンベア300により搬送方向400に沿って搬送され、第2集光レンズ22の中心軸52に沿って、第2領域102が第2マーキング部20に向き合う位置で一時停止される。その後、第2マーキング部20は第2領域102にマーキングを行う。
【0105】
その後、PETボトル100は、コンベア300により搬送方向400に沿って搬送され、第2マニピュレータ142に向き合う位置で一時停止される。
【0106】
第2マニピュレータ142は、一時停止されたPETボトル100を把持して持ち上げ、PETボトル100の円筒軸周りに回転させる。この際に、第2マニピュレータ142は、第2集光レンズ22の中心軸53に第3領域103の面が直交するように、曲面部110の向きを変化させる。第2マニピュレータ142は、曲面部110の向きを変化させた後、コンベア300上にPETボトル100を載置する。
【0107】
その後、PETボトル100は、コンベア300により搬送方向400に沿って搬送され、第3集光レンズ32の中心軸53に沿って、第3領域103が第3マーキング部30に向き合う位置で一時停止される。その後、第3マーキング部30は第3領域103にマーキングを行う。
【0108】
<マーキング例>
図8は、マーキング装置1bによるマーキングの一例を説明する図である。
図8(a)は、PETボトル100がコンベア300により搬送方向400に沿って搬送され、第1集光レンズ12の中心軸51に沿って、第1領域101が第1マーキング部10に向き合う位置で一時停止された状態を示している。
【0109】
図8(a)に示すように、第1集光レンズ12の中心軸51は、第1領域101の面に直交する。この状態で、第1マーキング部10は第1領域101にマーキングを行う。
【0110】
なお、第1マニピュレータ141は、PETボトル100の円周方向に沿う第1領域101の略中央位置において、第1集光レンズ12の中心軸51が第1領域101の面に直交するように、曲面部110の向きを変化させることが好ましい。
【0111】
図8(b)は、PETボトル100がコンベア300により搬送方向400に沿って搬送され、第2集光レンズ22の中心軸52に沿って、第2領域102が第2マーキング部20に向き合う位置で一時停止された状態を示している。
【0112】
図8(b)に示すように、第2集光レンズ22の中心軸52は、第2領域102の面に直交する。この状態で、第2マーキング部20は第2領域102にマーキングを行う。
【0113】
なお、第2マニピュレータ142は、PETボトル100の円周方向に沿う第2領域102の略中央位置において、第2集光レンズ22の中心軸52が第2領域102の面に直交するように、曲面部110の向きを変化させることが好ましい。
【0114】
<マーキング装置1bの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、第2マーキング部20は、第1マーキング部10が第1領域101にマーキングを行い、マニピュレータ14(可変部)が曲面部110(非平面部)の向きを変化させた後、第2領域102にマーキングを行う。
【0115】
これにより、第1集光レンズ12は、その中心軸51が第1領域101の面に直交するように第1レーザ光L1を集光させ、第2集光レンズ22は、その中心軸52が第2領域102の面に直交するように第2レーザ光L2を集光させることができる。その結果、第1領域101及び第2領域102の両方へ高品質にマーキングを行える。なお、これ以外の効果は、第1実施形態で示したものと同様である。
【0116】
[第4実施形態]
次に第4実施形態に係るマーキング装置1cについて説明する。
<マーキング装置1cの構成例>
図9は、マーキング装置1cの構成の一例を示す図である。
図9に示すように、マーキング装置1cは、第1マーキング部群10cと、第2マーキング部群20cと、第3マーキング部群30cとを有する。
【0117】
第1マーキング部群10cは、Y軸に沿う積載方向に積載された3つの第1マーキング部10を有する。第2マーキング部群20cは、積載方向に積載された3つの第2マーキング部20を有する。第3マーキング部群30cは、積載方向に積載された3つの第3マーキング部30を有する。
【0118】
このように、PETボトル100の円筒軸に沿う積載方向に沿って複数のマーキング部を積載することで、PETボトル100における積載方向に沿う広い範囲に対して並行にマーキングを行うことができる。これにより、マーキングの生産性をより高めることができる。
【0119】
またマーキング部群ごとで、マーキング部の積載数を変更することもできる。
図10は、マーキング装置1cの構成の他の例としてのマーキング装置1c'の構成を示す図である。
図10に示すように、マーキング装置1c'は、第1マーキング部群10c'と、第2マーキング部群20c'と、第3マーキング部群30c'とを有する。
【0120】
第1マーキング部群10c'は、Y軸に沿う方向に積載された3つの第1マーキング部10を有する。第2マーキング部群20c'は、1つの第2マーキング部20を有する。第3マーキング部群30c'は、Y軸に沿う方向に積載された2つの第3マーキング部30を有する。
【0121】
マーキング装置1c'の設置場所に対する制約等により、マーキング部の積載数が制限される場合があるが、マーキング部群ごとでマーキング部の積載数を変えることで、マーキング装置1c'の設置場所の制約等に対応可能になる。なお、これ以外の効果は第1実施形態で示したものと同様である。また第4実施形態は、第1乃至第3実施形態の何れとも組み合わせることができる。
【0122】
[その他の好適な実施形態]
以上に示した各実施形態では、円筒状のPETボトル100を示したが、各実施形態に係るマーキング装置がマーキングを行う媒体は、円筒状のものに限定されるものではない。例えば、マーキング装置は、断面が多角形状のPETボトル等の筒状部材にマーキングを行うこともできる。
【0123】
図11は多角形状のPETボトル100aへのマーキングの一例を示す図である。
図11は多角形状のPETボトル100aを筒の軸方向に沿って視た図である。
図11に示すように、多角形状のPETボトル100aの側面部を第1領域101a、第2領域102a及び第3領域103aとすることもできる。
【0124】
また実施形態は収容体を含む。
図12は、実施形態に係る収容体の一例を示す図である。
図12に示すように、収容体7は、PETボトル100と、PETボトル100の内部に収容された被収容物9と、キャップ8とを含む。PETボトル100の側面部には、「ラベルレス」という文字を含むパターン201がマーキングされている。なお、キャップ8は、収容体7の必須の構成部ではない。
【0125】
以上、実施形態を説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や調整が可能である。
【0126】
なお、実施形態はマーキング方法を含む。例えば、マーキング方法は、媒体の非平面部にマーキングを行うマーキング装置によるマーキング方法であって、前記非平面部は、第1領域と、第2領域と、を含む複数の領域を有し、第1光学系により前記第1領域に第1の光を集光させることで前記マーキングを行う工程と、第2光学系により前記第2領域に第2の光を集光させることで前記マーキングを行う工程と、を行い、前記第1光学系の中心軸に沿う方向において、前記第2光学系による第2集光位置は、前記第1光学系による第1集光位置とは異なっている。このようなマーキング方法によっても、実施形態に係るマーキング装置と同様の作用効果が得られる。
【0127】
また、実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0128】
さらに、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0129】
1 マーキング装置
10 第1マーキング部
11 第1レーザ光源
11' レーザアレイ(複数のレーザ光源の一例)
12 第1集光レンズ(第1光学系の一例)
13 第1ガルバノミラー
14 マニピュレータ
141 第1マニピュレータ(可変部の一例)
142 第2マニピュレータ(可変部の一例)
20 第2マーキング部
21 第2レーザ光源
22 第2集光レンズ(第2光学系の一例)
23 第2ガルバノミラー
30 第3マーキング部
31 第3レーザ光源
32 第3集光レンズ(第3光学系の一例)
33 第3ガルバノミラー
40 制御部
41 受信部
42 補正部
43 マーキング制御部
100 PETボトル(媒体の一例)
101 第1領域
102 第2領域
103 第3領域
110 曲面部(非平面部の一例)
111 第1マーキング平面(第1集光位置の一例)
112 第2マーキング平面(第2集光位置の一例)
113 第3マーキング平面
120 円周方向(曲率方向の一例)
51 第1集光レンズの中心軸
52 第2集光レンズの中心軸
53 第3集光レンズの中心軸
7 収容体
8 キャップ
9 被収容物
200 パターン
201 パターン
300 コンベア
400 搬送方向
L1 第1レーザ光(第1の光の一例)
L2 第2レーザ光(第2の光の一例)
L3 第3レーザ光(第3の光の一例)
d 距離
W1、W2、W3 幅
h1、h2 最大高低差
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】